JP7761142B2 - ジヒドロキシビフェニル化合物、ビスホスファイト化合物、触媒、触媒組成物、アルデヒドの製造方法及びアルコールの製造方法 - Google Patents
ジヒドロキシビフェニル化合物、ビスホスファイト化合物、触媒、触媒組成物、アルデヒドの製造方法及びアルコールの製造方法Info
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Description
さらに、本発明は、前記ビスホスファイト化合物を含む触媒と触媒組成物に関する。
さらに、本発明は、前記ビスホスファイト化合物又は前記触媒を用いたアルデヒドの製造方法及びアルコールの製造方法に関する。
さらに本発明は、前記ビスホスファイト化合物を含む触媒及び触媒組成物を提供することを課題とする。
さらに本発明は、前記ビスホスファイト化合物又は前記触媒を用いて、オレフィン化合物を一酸化炭素及び水素と反応させてアルデヒドを得る、アルデヒドの製造方法を提供することを課題とする。
さらに本発明は、前記アルデヒドの製造方法により得られたアルデヒドを用いて、アルコールを製造する、アルコールの製造方法を提供することを課題とする。
Xは、4~20個の炭素原子を有するアルキレン基であり、
R1及びR11は、それぞれ独立に、水素原子、1~20個の炭素原子を有するアルキル基及び3~20個の炭素原子を有するシクロアルキル基からなる群から選ばれるものを表し、R1とX-R11とは互いに異なる。
R2及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、3~20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、3~20個の炭素原子を有するシクロアルコキシ基、2~20個の炭素原子を有するジアルキルアミノ基、6~20個の炭素原子を有するアリール基、6~20個の炭素原子を有するアリールオキシ基、7~20個の炭素原子を有するアルキルアリール基、7~20個の炭素原子を有するアルキルアリールオキシ基、7~20個の炭素原子を有するアリールアルキル基、7~20個の炭素原子を有するアリールアルコキシ基、シアノ基、ヒドロキシ基及びハロゲン原子からなる群から選ばれるものを表し、
R3及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6~20個の炭素原子を有するアリール基、7~20個の炭素原子を有するアルキルアリール基及び7~20個の炭素原子を有するアリールアルキル基からなる群から選ばれるものを表し、
R4及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、1~12個の炭素原子を有するアルキル基、3~12個の炭素原子を有するシクロアルキル基、1~12個の炭素原子を有するアルコキシ基、シリル基、シロキシ基及びハロゲン原子からなる群から選ばれるものを表す。)
-C(CH3)2-CH2- (1X)
前記R2及びR12が水素原子であり、
前記R3及びR13が、それぞれ独立に、4~20個の炭素原子を有する第3級アルキル基であり、
前記R4及びR14が、それぞれ独立に、水素原子、1~3個の炭素原子を有するアルキル基、1~3個の炭素原子を有するアルコキシ基及びハロゲン原子からなる群から選ばれるものである、[1]~[4]のいずれかに記載のジヒドロキシビフェニル化合物。
前記R4及びR14が、それぞれ独立に、1~3個の炭素原子を有するアルキル基である、[5]に記載のジヒドロキシビフェニル化合物。
Xは、4~20個の炭素原子を有するアルキレン基であり、
R1及びR11は、それぞれ独立に、水素原子、1~20個の炭素原子を有するアルキル基及び3~20個の炭素原子を有するシクロアルキル基からなる群から選ばれるものを表し、R1とX-R11とは互いに異なる。
R2及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、3~20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、3~20個の炭素原子を有するシクロアルコキシ基、2~20個の炭素原子を有するジアルキルアミノ基、6~20個の炭素原子を有するアリール基、6~20個の炭素原子を有するアリールオキシ基、7~20個の炭素原子を有するアルキルアリール基、7~20個の炭素原子を有するアルキルアリールオキシ基、7~20個の炭素原子を有するアリールアルキル基、7~20個の炭素原子を有するアリールアルコキシ基、シアノ基、ヒドロキシ基及びハロゲン原子からなる群から選ばれるものを表し、
R3及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6~20個の炭素原子を有するアリール基、7~20個の炭素原子を有するアルキルアリール基及び7~20個の炭素原子を有するアリールアルキル基からなる群から選ばれるものを表し、
R4及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、1~12個の炭素原子を有するアルキル基、3~12個の炭素原子を有するシクロアルキル基、1~12個の炭素原子を有するアルコキシ基、シリル基、シロキシ基及びハロゲン原子からなる群から選ばれるものを表す。
Z1~Z4は、それぞれ独立に、6~20個の炭素原子を有するアリール基を表し、置換基を有していてもよく、該置換基同士が結合して環を形成していてもよい。また、Z1
とZ2、並びに、Z3とZ4は、いずれも互いに結合していなくてもよいし、互いに結合して環構造を形成してもよい。)
-C(CH3)2-CH2- (1X)
前記R2及びR12が水素原子であり、 前記R3及びR13が、それぞれ独立に、4~20個の炭素原子を有する第3級アルキル基であり、
前記R4及びR14が、それぞれ独立に、水素原子、1~3個の炭素原子を有するアルキル基、1~3個の炭素原子を有するアルコキシ基及びハロゲン原子からなる群から選ばれるものである、[8]~[11]のいずれかに記載のビスホスファイト化合物。
前記R4及びR14が、それぞれ独立に、1~3個の炭素原子を有するアルキル基である、[12]又は[13]に記載のビスホスファイト化合物。
R1、R2及びR12、R3及びR13、R4及びR14、Z1~Z4は、それぞれ、前記一般式(2)におけるR1、R2及びR12、R3及びR13、R4及びR14、Z1~Z4と同義である。)
よって、本発明によれば、オレフィン化合物のヒドロホルミル化反応において、極めて優れた直鎖型のアルデヒド異性体選択性が得られるビスホスファイト化合物を提供することができる。
さらに本発明によれば、前記アルデヒドの製造方法により得られたアルデヒドを用いて、アルコールを製造する、アルコールの製造方法を提供することができる。
本明細書において、「LC面積%」は、液体クロマトグラム(LC)測定装置と液体クロマトグラフィー(LC法)総面積法を用いて測定される各成分の組成割合を示し、液体クロマトグラム上の全生成物質のLCピークの総面積を100%としたときの各ピーク成分の面積含有割合(単位:LC面積%)として算出される。LC測定条件の詳細は後述する実験例において説明する。
本明細書において、「任意の」又は「任意に」とは、続いて説明される状況が発生しても発生しなくてもよいことを意味する。そのため、該説明には、該状況が発生した場合と発生しない場合とが含まれる。
本明細書に記載の全ての工程は、本明細書に特に記載がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、好適ないずれの順序でも行うことができる。
本発明のジヒドロキシビフェニル化合物は、各々下記一般式(1)で表される新規なジヒドロキシビフェニル化合物である。
Xは、4~20個の炭素原子を有するアルキレン基であり、
R1及びR11は、それぞれ独立に、水素原子、1~20個の炭素原子を有するアルキル基及び3~20個の炭素原子を有するシクロアルキル基からなる群から選ばれるものを表し、R1とX-R11とは互いに異なる。
R2及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、3~20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、3~20個の炭素原子を有するシクロアルコキシ基、2~20個の炭素原子を有するジアルキルアミノ基、6~20個の炭素原子を有するアリール基、6~20個の炭素原子を有するアリールオキシ基、7~20個の炭素原子を有するアルキルアリール基、7~20個の炭素原子を有するアルキルアリールオキシ基、7~20個の炭素原子を有するアリールアルキル基、7~20個の炭素原子を有するアリールアルコキシ基、シアノ基、ヒドロキシ基及びハロゲン原子からなる群から選ばれるものを表し、
R3及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6~20個の炭素原子を有するアリール基、7~20個の炭素原子を有するアルキルアリール基及び7~20個の炭素原子を有するアリールアルキル基からなる群から選ばれるものを表し、
R4及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、1~12個の炭素原子を有するアルキル基、3~12個の炭素原子を有するシクロアルキル基、1~12個の炭素原子を有するアルコキシ基、シリル基、シロキシ基及びハロゲン原子からなる群から選ばれるものを表す。)
本発明のジヒドロキシビフェニル化合物は、上記一般式(1)に示されるように、分子内にビフェニル骨格を有し、該ビフェニル骨格の5位と5’位(6位と6’位に置換したヒドロキシル基に対してオルト位の位置)に、-R1と-X-R11という異なる置換基を有することにより、非対称構造となっている。また、一方の置換基:-X-R11が嵩高い置換基であるという構造的特徴を有する。
本発明のジヒドロキシビフェニル化合物は、このような構造的特徴を有することから、次のような効果を得ることができる。
(1) 非対称構造と嵩高い置換基(-X-R11)は、該ジヒドロキシビフェニル化合物を前駆体として合成された後述の本発明のビスホスファイト化合物に、加水分解に対する安定化効果をもたらす。
(2) この非対称構造と嵩高い置換基(-X-R11)は、該ビスホスファイト化合物を用いた触媒においても、加水分解に対する安定化効果をもたらすとともに、嵩高い置換基(-X-R11)により、オレフィン系化合物が金属に配位する際の配位の向きが制御されるので、極めて優れた直鎖型のアルデヒド異性体選択性が得られる。
一般式(1)中、Xは、4~20個の炭素原子を有するアルキレン基である。
Xは、第4級炭素原子を含む4~20個の炭素原子を有するアルキレン基であることが好ましい。
本発明において、第4級炭素原子とは、当該炭素原子の結合手のすべてが他の炭素原子と結合している炭素原子を意味する。
(Benz)-(CH2)d-C(CaH2a+1)(CbH2b+1)-(CH2)c-(R11) (11)
式(11)中、a,b,c,及びdは、1≦a、1≦b、1≦c、0≦d、3≦a+b+c+d≦19を満たす整数である。R11は、前記式(1)におけるR11である。Benzは、前記式(1)において、Xが結合しているベンゼン環である。
上記式(11)において、a=1、b=1であることが好ましく、特にXは、下記式(1X)で表される構造単位を有するアルキレン基であることが、優れたアルデヒド異性体選択性が得られる観点から好ましい。
-C(CH3)2-CH2- (1X)
(Benz)-C(CH3)2-CH2-(R11) (12)
式(12)中、R11は、前記式(1)におけるR11である。Benzは、前記式(1)における、Xが結合しているベンゼン環である。
R1及びR11は、それぞれ独立に、水素原子、1~20個の炭素原子を有するアルキル基及び3~20個の炭素原子を有するシクロアルキル基からなる群から選ばれるものを表す。
以上の理由より、R1及びR11はt-ブチル基が特に好ましい。
-X-R11のより具体的な一実施形態としては、アルデヒド異性体選択性がより優れたものとなる観点から、下記表1中の式(a)、(a’)、(b)~(g)で表される基が挙げられる。下記式(a)、(a’)、(b)~(g)中、「*」は、前記式(1)におけるXのベンゼン環への結合部を示す。
R2及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、1~20個の炭素原子を有するアルキル基及びアルコキシ基、3~20個の炭素原子を有するシクロアルキル基及びシクロアルコキシ基、2~20個の炭素原子を有するジアルキルアミノ基、6~20個の炭素原子を有するアリール基及びアリールオキシ基、7~20個の炭素原子を有するアルキルアリール基、アルキルアリールオキシ基、アリールアルキル基及びアリールアルコキシ基、シアノ基、ヒドロキシ基並びにハロゲン原子からなる群から選ばれるものを表す。
3~20個の炭素原子を有するシクロアルキル基としては、例えばシクロヘキシル基、シクロオクチル基、アダマンチル基等が挙げられる。
3~20個の炭素原子を有するシクロアルコキシ基としては、例えばシクロペンチルオキシ基等が挙げられる。
6~20個の炭素原子を有するアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
6~20個の炭素原子を有するアリールオキシ基としては、例えばフェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられる。
7~20個の炭素原子を有するアルキルアリール基としては、例えばp-トリル基、o-トリル基等が挙げられる。
7~20個の炭素原子を有するアリールアルキル基としては、例えばベンジル基等が挙げられる。
7~20個の炭素原子を有するアリールアルコキシ基としては、例えば2-(2-ナフチル)エトキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
R3及びR13は、水素原子、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6~20個の炭素原子を有するアリール基並びに7~20個の炭素原子を有するアルキルアリール基及びアリールアルキル基からなる群から選ばれるものを表す。
6~20個の炭素原子数を有するアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
7~20個の炭素原子数を有するアルキルアリール基としては、例えばp-トリル基、o-トリル基等が挙げられる。
7~20個の炭素原子数を有するアリールアルキル基としては、例えばベンジル基等が挙げられる。
R4及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、1~12個の炭素原子を有するアルキル基、3~12個の炭素原子を有するシクロアルキル基、1~12個の炭素原子を有するアルコキシ基、シリル基、シロキシ基及びハロゲン原子からなる群から選ばれるものを表す。
3~12個の炭素原子を有するシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
1~12個の炭素原子を有するアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、t-ブトキシ基等の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基が挙げられる。
シロキシ基としては、例えばシロキシ基及びトリメチルシロキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
一般式(1)で表されるジヒドロキシビフェニル化合物としては、
Xが第4級炭素原子を含む4~5個の炭素原子を有するアルキレン基であり、R1及びR11が、それぞれ独立に、4~20個の炭素原子を有する第3級アルキル基であり、R2及びR12が水素原子であり、R3及びR13が、それぞれ独立に、4~20個の炭素原子を有する第3級アルキル基であり、R4及びR14が、それぞれ独立に、水素原子、1~3個の炭素原子を有するアルキル基、1~3個の炭素原子を有するアルコキシ基及びハロゲン原子からなる群から選ばれるものであるジヒドロキシビフェニル化合物
が好ましい。
一般式(1)で表されるジヒドロキシビフェニル化合物としては、
Xが前記式(1X)で表される構造単位を有するアルキレン基であり、R1及びR11、R3及びR13が、それぞれ独立に、4~7個の炭素原子を有する第3級アルキル基であり、R2及びR12が水素原子であり、R4及びR14が、それぞれ独立に、1~3個の炭素原子を有するアルキル基であるジヒドロキシビフェニル化合物
がより好ましい。
一般式(1)で表されるジヒドロキシビフェニル化合物としては、
Xが1,1-ジメチルエチレン基であり、R1、R11、R3及びR13がt-ブチル基であり、R2及びR12が水素原子であり、R4及びR14がメチル基であるジヒドロキシビフェニル化合物
が特に好ましい。
本発明のジヒドロキシビフェニル化合物の具体的な実施態様としては、特に制限されるものではない。例えば、後掲の本発明のビスホスファイト化合物の具体的な実施態様として例示した化合物において、リン酸エステル基部分をヒドロキシル基に置き換えたものが挙げられる。
前記一般式(1)で表される本発明のジヒドロキシビフェニル化合物の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、下記反応式(X)のように、鈴木-宮浦クロスカップリング反応を応用することで合成できる。すなわち、対応するフェノール化合物のボロン酸誘導体と対応するフェノール化合物のハロゲン化物とを、炭酸ナトリウムのような塩基性化合物の存在下、ホスフィン配位子を有するパラジウム触媒を用いて合成することができる。
まず、ヒドロキシ基のオルト位及びパラ位が無置換のフェノール系化合物を出発物質として、これを、イソブテンを用いてアルキル化することにより、ヒドロキシ基のオルト位及びパラ位にtert-ブチル基を導入する。このフェノール類のアルキル化反応は、一般に酸触媒の存在下、Friedel-Crafts反応を用いて行うことができる。例えば、特開昭55-81829号公報に記載されたように、m-クレゾールとイソブテンを70%過塩素酸及び85%リン酸触媒の存在下で反応させて、4,6-ジ-tert-ブチル-m-クレゾール(以下、「フェノール-a」という。)を製造できる。これを前記化合物(A-R)とする(反応式-1)。
まず、化合物(A-L)のヒドロキシ基のオルト位に付加している1,1,3,3-テトラメチルブチル基の元となる2,4,4-トリメチル-1-ペンテンの製造について示す。
2,4,4-トリメチル-1-ペンテンの製造にはイソブテンの二量化反応を用いることができる。例えば、独国特許出願公開第3542171号明細書に記載のようにビスマス又は鉛が添加されたゼオライト触媒上でイソブテンを高温で反応させることにより、下記式で表される2,4,4-トリメチル-1-ペンテン(以下、「ジイソブテン-a」という。)及び2,4,4-トリメチル-2-ペンテン(以下、「ジイソブテン-b」という。)を含む混合物を製造できる(反応式-2)。
次いで、m-クレゾールを出発物質として、これを、ジイソブテン-aを用いてアルキル化することにより、ヒドロキシ基のオルト位のみ、パラ位のみ、並びに、オルト位及びパラ位の両方にジイソブテン基を導入する。このフェノール類のアルキル化反応は、一般に酸触媒の存在下、Friedel-Crafts反応を用いて行うことができる。例えば、m-クレゾールとジイソブテン-aを、Friedel-Crafts反応させて、4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-m-クレゾール(以下、「フェノール-b」という。)及び6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-m-クレゾール(以下、「フェノール-c」という。)、4,6-ジ-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-m-クレゾール(以下、「フェノール-d」という。)を含む混合物を製造できる(反応式-3)。
即ち、前記反応式-1に従いフェノール-aを製造する際に、不純物としてフェノール-e又は以下に示す4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-tert-ブチル-m-クレゾール(以下、「フェノール-f」という。)が少量生成することがある。生成したフェノール-eは、前述の通り、前記フェノール-aと酸化カップリング反応させて化合物Aを製造することができる。また、フェノール-fが含まれる場合、フェノールfから、以下に示す3,3’-ジ-tert-ブチル-5-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-5’-tert-ブチル-6,6’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-2,2’-ジオール(以下、「ビフェノール-g」という。)が少量生成することがある。
本発明のビスホスファイト化合物は、下記一般式(2)で表される新規なビスホスファイト化合物である。
Z1~Z4は、それぞれ独立に、6~20個の炭素原子を有するアリール基を表し、置換基を有していてもよく、該置換基同士が結合して環を形成していてもよい。また、Z1
とZ2、並びに、Z3とZ4は、いずれも互いに結合していなくてもよいし、互いに結合して環構造を形成してもよい。)
Z1~Z4は、それぞれ独立に、6~20個の炭素原子を有するアリール基であって、該アリール基は置換基を有していてもよい。該置換基同士が結合して環を形成していてもよい。なお、Z1とZ2及びZ3とZ4のいずれも、互いに結合していなくてもよいし、互いに結合して-O-P-O-を含む環構造を形成してもよい。
また、これらの置換基は隣接する置換基同士で環を形成していてもよい。このようなものとしては、例えば、Z1~Z4の芳香環に縮合する飽和炭化水素環が挙げられる。
Z1とZ2、及びZ3とZ4が互いに結合して-O-P-O-を含む環構造を形成している場合の好適なものとしては、1,1’-ビフェニル-2,2’-ジイル基、1,1’-ビナフチル-2,2’-ジイル基等が挙げられる。
一般式(2)で表されるビスホスファイト化合物としては、Xが第4級炭素原子を含む4~5個の炭素原子を有するアルキレン基であり、R1及びR11が、それぞれ独立に、4~20個の炭素原子を有する第3級アルキル基であり、R1とX-R11とは互いに異なり、R2及びR12が水素原子であり、R3及びR13が、それぞれ独立に、4~20個の炭素原子を有する第3級アルキル基であり、R4及びR14が、それぞれ独立に、水素原子、1~3個の炭素原子を有するアルキル基、1~3個の炭素原子を有するアルコキシ基及びハロゲン原子からなる群から選ばれるものであるビスホスファイト化合物が好ましい。
一般式(2)で表されるビスホスファイト化合物としては、その中でも、Z1~Z4が、それぞれ独立に、酸素原子と結合する炭素原子に隣接する芳香環炭素原子に置換基を有さないか、又は該芳香環炭素原子に、1~2個の炭素原子を有する置換基を有し、かつ、Z1~Z4のいずれもが互いに結合していないビスホスファイト化合物が好ましい。
一般式(2)で表されるビスホスファイト化合物としては、その中でもZ1~Z4が、それぞれ独立に、1-ナフチル基又は2-ナフチル基であるビスホスファイト化合物がより好ましく、Xが1,1-ジメチルエチレン基であり、R1、R11、R3及びR13がt-ブチル基であり、R2及びR12が水素原子であり、R4及びR14がメチル基であり、Z1~Z4が、それぞれ独立に、1-ナフチル基又は2-ナフチル基であるビスホスファイト化合物が特に好ましい。
本発明のビスホスファイト化合物の具体的な実施態様としては、下記式(L-1-x)~(L-80-x)で表される化合物が挙げられるが、これらの化合物に限定されるものではない。
式(L-1-x)~(L-80-x)における符号「x」は、前記表1に記載した式(a)、(a’)、(b)~(g)のいずれかである。
例えば、式(L-1-a)の化合物において、「-a」を「-b」に置き換え、前記一般式(2)で表されるビスホスファイト化合物の-X-R11に相当する置換基を、前掲の表1の式(a)で表される置換基から、式(b)で表される置換基に置き換えることができる。式(a’)、(c)~(g)で表される他の置換基についても同様に置き換えることができる。
例えば、下記式(L-1-a)の化合物において、「-a」を、「-a’」、「-b」、「-c」、「-d」、「-e」及び「-f」に置き換えた化合物の構造式を以下に示す。
前記一般式(2)で表される本発明のビスホスファイト化合物の製造方法は、特に限定されるものではなく、下記一般式(4)で表されるジヒドロキシビフェニル化合物のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩と、下記一般式(5A)及び/又は(5B)で表されるリン化合物とを、反応させることにより合成することができる(二座ホスファイト合成法1)。
なお、一般式(4)中の、X、R1~R4及びR11~R14は、それぞれ一般式(2)中のX、R1~R4及びR11~R14と同義である。また、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属である。また、一般式(5A)、(5B)中、Z1~Z4は一般式(2)のZ1~Z4とそれぞれ同義である。
一般式(6)中の、R20は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基のような炭素数1~5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表す。
反応操作の点からは、n-BuLi又はNaHを用い、溶媒としてはテトラヒドロフランを用いて、反応を行なうことが好ましい。
一般式(4)で表されるジヒドロキシビフェニル化合物のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を合成した後、該化合物は、特に精製することなく反応液をそのまま次の工程に用いてもかまわない。一般式(4)で表されるジヒドロキシビフェニル化合物のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を合成した後、予め貧溶媒による洗浄や再結晶操作による単離等の処理を行った後、次の工程に用いてもよい。
反応時間は1分~48時間の範囲を選択することができる。例えば、5分~10時間程度の反応時間が好ましい。
カラムの展開溶液としては、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル類、ヘキサン及びヘプタン等の脂肪族炭化水素類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル及び酢酸メチル等のエステル類、クロロホルム及びジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類が挙げられる。これらの展開溶液は目的物の精製に適するよう、単一溶媒又は2種類以上の溶媒と混合して用いられる。
ビスホスファイト化合物が不溶又は難溶な溶媒としては、アセトニトリルの他、ヘキサン及びヘプタン等の脂肪族炭化水素類、アセトン及びジエチルケトン等のケトン類並びにメタノール及びエタノール等のアルコール類が挙げられる。
本発明の触媒は、本発明のビスホスファイト化合物と第8~10族金属との錯体を含むものである。本発明の触媒は、オレフィン化合物を一酸化炭素及び水素と反応させてアルデヒドを製造するための触媒として有用である。
該オレフィンとしては、後述のアルデヒドの製造方法の項に記載のものが挙げられる。
これらの内、コバルト、ロジウム又はルテニウムの化合物が好ましく、ロジウム化合物が特に好ましい。
本発明の触媒組成物は、本発明のビスホスファイト化合物を利用した触媒組成物の一実施形態であり、下記一般式(3)で表されるビスホスファイト化合物、及び、前記一般式(2)で表される本発明のビスホスファイト化合物を含むものである。
本発明の触媒組成物は、オレフィン化合物を一酸化炭素及び水素と反応させてアルデヒドを製造するための触媒組成物として有用である。
R1、R2及びR12、R3及びR13、R4及びR14、Z1~Z4は、それぞれ、前記一般式(2)におけるR1、R2及びR12、R3及びR13、R4及びR14、Z1~Z4と同義である。)
また、本発明の触媒組成物において、第8~10族金属に対する前記一般式(3)で表されるビスホスファイト化合物のモル比は、本発明の触媒における第8~10族金属化合物に対する前記一般式(3)で表されるビスホスファイト化合物のモル比と同義である。
80.00質量%以上とすることができ、
90.00質量%以上がより好ましく、
95.00質量%以上がさらに好ましく、
98.00質量%以上が特に好ましく。
99.00質量%以上が一層好ましく、
99.40質量%以上がより一層好ましい。
一方、本発明の触媒組成物中の、前記一般式(3)で表されるビスホスファイト化合物の含有割合の下限は、特に限定されるものではないが、該触媒組成物の総質量100%に対して、
99.99質量%以下とすることができ、
99.98質量%以下がより好ましく、
99.97質量%以下がさらに好ましく、
99.95質量%以下が特に好ましく、
99.90質量%以下がとりわけ好ましく、
99.85質量%以下が最も好ましい。
上記の上限下限は任意に組み合わせることができる。例えば、本発明の触媒組成物中の、前記一般式(3)で表されるビスホスファイト化合物の含有割合は、特に限定されるものではないが、該触媒組成物の総質量100%に対して、
80.00質量%以上99.99質量%以下とすることができ、
90.00質量%以上99.98質量%以下がより好ましく、
95.00質量%以上99.97質量%以下がさらに好ましく、
98.00質量%以上99.95質量%以下が特に好ましく、
99.00質量%以上99.90質量%以下がとりわけ好ましく、
99.40質量%以上99.85質量%以下が最も好ましい。
0.01質量%以上とすることができ、
0.02質量%以上がより好ましく、
0.03質量%以上がさらに好ましく、
0.05質量%以上が特に好ましく。
0.10質量%以上がとりわけ好ましく、
0.15質量%以上が最も好ましい。
一方、本発明の触媒組成物中の、前記式(2)で表される本発明のビスホスファイト化合物の含有割合の下限は、特に限定されるものではないが、該触媒組成物の総質量100%に対して、
20.00質量%以下とすることができ、
10.00質量%以下がより好ましく、
5.00質量%以下がさらに好ましく、
2.00質量%以下が特に好ましく、
1.00質量%以下がとりわけ好ましく、
0.60質量%以下が最も好ましい。
上記の上限下限は任意に組み合わせることができる。例えば、本発明の触媒組成物中の、前記式(2)で表される本発明のビスホスファイト化合物の含有割合は、特に限定されるものではないが、該触媒組成物の総質量100%に対して、
0.01質量%以上20.00質量%以下とすることができ、
0.02質量%以上10.00質量%以下がより好ましく、
0.03質量%以上5.00質量%以下がさらに好ましく、
0.05質量%以上2.00質量%以下が特に好ましく、
0.10質量%以上1.00質量%以下がとりわけ好ましく、
0.15質量%以上0.60質量%以下が最も好ましい。
本発明のアルデヒドの製造方法は、第8~10族金属化合物及び本発明のビスホスファイト化合物の存在下で、オレフィン化合物を一酸化炭素及び水素と反応させることを特徴とする。
或いは、本発明のアルデヒドの製造方法は、前述の本発明の触媒の存在下で、オレフィン化合物を一酸化炭素及び水素と反応させることを特徴とする。
また、場合によっては、第8~10族金属化合物と前記ビスホスファイト化合物とをヒドロホルミル化反応帯域に供給し、ヒドロホルミル化反応系内で錯体を形成させて用いることもできる。
好ましい溶媒の具体例としては、トルエン、キシレン及びトデシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、ジエチルケトン及びメチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル及びジ-n-オクチルフタレート等のエステル類、アルデヒド縮合体等のヒドロホルミル化反応時に副生する高沸点成分、並びに反応原料であるオレフィン化合物等が挙げられる。
反応方式としては、撹拌型反応槽または気泡塔型反応槽中で連続方式または回分方式のいずれでも行なうことができる。
本発明のアルコールの製造方法は、本発明のアルデヒドの製造方法によりアルデヒドを製造し、該アルデヒドから対応するアルコールを製造する、アルコールの製造方法である。
前記水素添加反応の条件は、通常、温度が60~200℃、水素圧力が0.1~20MPaG程度である。
以下の実験例は単なる例示であり、本明細書に記載される実施形態のいずれかを限定することを意図するものではない。以下の実験例は、本発明を何ら限定するものではない。
以下の実験例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実験例の値又は実験例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
実験例で使用した化合物の略称は以下のとおりである。
DBMC:4,6-ジ-t-ブチル-m-クレゾール
[Rh(OAc)(cod)]2:(1,5-シクロオクタジエン)アセテートロジウムダイマー (商品名:Rh2(cod)2(OAc)2、エヌ・イー・ケムキャット株式会社製製)
ホスファイト配位子A:特許第3812046号公報の実施例-11に記載の方法にて製造した、下記構造式で表される、ホスファイト置換基のo-位にt-Bu基のみを有する対称型ビスホスファイト化合物
以下の実験例においては、下記の方法により各種物性を測定した。
化合物Aの分子量を、高速液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS法)を用いて、以下の測定条件で測定した。
(LC測定条件)
高速液体クロマトグラム装置:Agilent 1260(装置名、アジレント・テクノロジー株式会社製)
分析カラム:CAPCELLPAK C18 MGIII(商品名、株式会社大阪ソーダ製、サイズ:内径4.6mm×長さ75mm、膜厚3μm)
溶離液:アセトニトリル
流速:1.0mL/min
検出器:UV検出器(波長210nm)
注入量:2μL
(MS測定条件)
質量分析装置:Agilent LC/MS 6130(装置名、アジレント・テクノロジー株式会社製)
イオン源:エレクトロスプレーイオン化(ESI)法(Positive/Negative;AJSプローブ使用)
なお、イオン化助剤として、ポストカラムに20mMギ酸アンモニウム水溶液を0.1mL/minで添加した。
核磁気共鳴スペクトル測定装置(装置名:JNM-ECS400型装置、日本電子株式会社製、共鳴周波数(1H):400MHz、プローブ:H5XAT/FG2(インバース))を用いて、以下の手順により、化合物Aの構造解析を実施した。
単離した化合物Aを、テトラメチルシラン(TMS)を少量添加した重クロロホルム(CDCl3)に溶解させ、これをNMR測定用試料とした。
(1H-NMR測定)
得られたNMR測定試料について、核磁気共鳴スペクトル測定装置を用いて、測定温度25℃、積算回数128回の条件で、1H-NMR測定を行った。
(13C-NMR測定)
得られたNMR測定試料について、核磁気共鳴スペクトル測定装置を用いて、測定温度25℃及び以下の測定条件で、13C-NMR(積算回数:3000回)、DEPT(フリップ角度:135°、積算回数:3000回)、HMQC(積算回数:16回)、及びHMBC(積算回数:8回)の測定を行った。
単離した化合物Bについて、液体クロマトグラフ/飛行時間型質量分析装置(LC/ToFMS)を用いて、以下の測定条件により精密質量を測定した。
(測定条件)
高速液体クロマトグラム測定装置:Waters Acquity H-Class(装置名、日本ウォーターズ株式会社製)
分析カラム:ACQUITY UPLC BEH C8(商品名、カラムサイズ:内径:2.1mm×カラム長:100mmL、膜厚:1.7μm、日本ウォーターズ株式会社製)
溶離液:アセトニトリル
溶離液の流速:0.4mL/min
質量分析装置:四重極-飛行時間型質量分析装置 Waters Xevo G2-XS Qtof(装置名、日本ウォーターズ株式会社製)
イオン化法:エレクトロスプレーイオン(ESI)法 (Positive Mode)
質量校正物質:ロイシンエンケファリン(RE)
核磁気共鳴スペクトル測定装置(装置名:Bruker AVANCE NEO 600型装置、ブルカー株式会社製、共鳴周波数(1H):600MHz、プローブ:5mmBBO Cryo)を用いて、以下の手順により、化合物Bの構造解析を実施した。
単離した化合物Bを、テトラメチルシラン(TMS)を少量添加した重クロロホルム(CDCl3)に溶解させ、これをNMR測定用試料とした。
(1H-NMR測定)
得られたNMR測定試料について、核磁気共鳴スペクトル測定装置を用いて、測定温度25℃、積算回数16回の条件で、1H-NMR測定を行った。
(13C-NMR測定)
得られたNMR測定試料について、核磁気共鳴スペクトル測定装置を用いて、測定温度25℃及び以下の測定条件で、13C-NMR(積算回数:256回)、DEPT(フリップ角度:135°、積算回数:128回)、HSQC(積算回数:16回)、HMBC(積算回数:2回)、1H-1H COSY(積算回数:2回)の測定を行った。
単離した化合物Bについて、FT-IR用モジュール(商品名:iZ10、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)を備えた赤外顕微鏡(装置名:Nicolet iN10MX、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)を用いて、以下の測定条件により全反射測定(ATR)法による赤外分光(IR)測定を行った。
(測定条件)
ATR:Gladi ATR vision ダイヤモンドクリスタル(PIKE社製)
分解能:4cm―1
積算回数:64回
ジヒドロキシビフェニル化合物(化合物A)の製造において、DBMCを含有する組成物(DBMC組成物)を出発物質として用いた。前記DBMC組成物の組成を、ガスクロマトグラム(GC)測定装置とガスクロマトグラフィー総面積法を用いて、下記のGC測定条件で分析した結果、該DBMC組成物は、DBMCを97.5GC面積%、下記式(E)で表される化合物(前述の「フェノール-e」)を0.8GC面積%含んでいた。
なお、ガスクロマトグラフィー総面積法における各成分の組成割合は、ガスクロマトグラム上の全生成物質のGCピークの総面積を100%としたときの各ピーク成分の面積含有割合(単位:GC面積%)として算出した。
GC装置:GC-2025(高性能 汎用ガスクロマトグラフ、株式会社島津製作所製)
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
キャリアガス:窒素ガス(カラム流量4.07mL/分)
カラム:キャピラリーカラム BPX5(SGE Analytical Science社製、サイズ:長さ60m×内径0.32mm、膜厚0.25μm)
カラム温度:50℃(保持時間5分)→10℃/分で昇温→300℃(保持時間10分)
注入口温度:300℃
検出器温度:300℃
サンプル量:0.5μL(スプリット比:1/20)
以下の操作を行い、得られた白色固体(1)から化合物Aを分離した。
得られた白色固体(1)(17.9g)にテトラヒドロフラン溶液(39.9g)を添加した後、ガラス製反応容器に仕込み、オイルバスを用いて、攪拌速度200rpmで撹拌しながら、反応容器内の溶液温度が60℃となるまで昇温して、前記白色固体(1)を溶解させた。次いで、メタノール54gを滴下速度5mL/minで、反応容器内に滴下した後、撹拌速度を50rpmに低減し、反応容器内の溶液温度が2℃になるまる降温速度0.8℃/minで冷却し、さらに2時間撹拌して、スラリー状の溶液を得た。
得られたスラリー溶液を懸洗しながら濾過し、濾液を回収した。得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、前記濾液は、ビフェノール-aを58.4GC面積%、推定化合物Aを12.7GC面積%含有していた。
得られた白色固体(2)から、液体クロマトグラフィー(LC法)を用いて、以下の条件により、化合物Aを約6.4mg単離した。
次いで、分取した溶離液を、エバポレーターを用いて濃縮した後、減圧乾燥して乾固させ、化合物Aを得た。
(分取LC条件)
装置:LC-10A(装置名、株式会社島津製作所製)
分取カラム:CAPCELLPAK C18(商品名、株式会社大阪ソーダ製、サイズ:内径20mm×長さ150mm、膜厚5μm)
分析温度:40℃
溶離液:アセトニトリル
流速:15mL/min
検出器:UV検出器(波長210nm)
注入量:1000μL/回で、7回実施
単離した化合物Aについて、前記液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS法)を用いた分子量測定、及び、各種NMR測定(1H-NMR、13C-NMR、DEPT、HMQC、HMBC)を行った。化合物Aの1H-NMRスペクトルを図1(a)に、13C-NMRスペクトルを図1(b)に示す。
化合物Aの分析結果は次の通りであった。
液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS法)において、ポジティブモード494([M]+)、ネガティブモード493([M-H]-)を観測したことにより、化合物Aの分子量は494であると判断した。
下記式(α)で表される構造式に基づき、1H-NMRスペクトル上に観察されたピークを同定した。
δ0.77(9H,s,式(α)の7のシグナル),δ1.40(9H,s,式(α)の2のシグナル),δ1.43(18H,s,式(α)の1及び6のシグナル),δ1.45(6H,d,J=5.95Hz,式(α)の9のシグナル),δ1.89(2H,dd,J=14.4Hz,54.3Hz,式(α)の8のシグナル),δ2.01(3H,s,式(α)の10のシグナル),δ2.02(3H,s,式(α)の3のシグナル),δ4.70(1H,s,式(α)の5のシグナル),δ4.81(1H,s,式(α)の12のシグナル),δ7.38(1H,s,式(α)の4のシグナル),δ7.41(1H,s,式(α)の11のシグナル)
下記式(β)で表される構造式に基づき、13C-NMRスペクトル上に観察されたピークを同定した。
δ18.82(式(β)のC及びcのシグナル),δ29.65(式(β)のBのシグナル),δ31.03,31.14(式(β)のiのシグナル),δ31.53(式(β)のfのシグナル),δ31.59(式(β)のaのシグナル),δ31.69(式(β)のAのシグナル),δ32.56(式(β)のgのシグナル),δ35.06(式(β)のEのシグナル),δ35.91(式(β)のdのシグナル),δ35.94(式(β)のDのシグナル),δ39.17(式(β)のjのシグナル),δ52.42(式(β)のhのシグナル),δ123.35(式(β)のOのシグナル),δ123.37(式(β)のoのシグナル),δ125.43(式(β)のLのシグナル),δ126.73(式(β)のlのシグナル),δ131.32(式(β)のkのシグナル),δ132.50(式(β)のKのシグナル),δ133.94(式(β)のNのシグナル),δ133.97(式(β)のnのシグナル),δ140.07(式(β)のMのシグナル),δ140.30(式(β)のmのシグナル),149.85(式(β)のPのシグナル),150.19(式(β)のpのシグナル)
前記13C-NMRスペクトルにおける、D、d、E、g、j、K、k、M、m、N、n、O、o、P、pのシグナルが消失し、hのシグナルが逆向きに出現することを確認した。
HMQC及びHMBC測定結果を下記表2に示す。
実施例1において得られた化合物A(1.08g、2.18mmol)のテトラヒドロフラン溶液(12mL)を調製し、ガラス製反応器に仕込み、窒素雰囲気下、0℃にて撹拌しつつ、市販の金属ナトリウム鉱油分散体(商品名:SD Super FineTM(Sodium 25wt% dispersion in mineral Oil)、東京化成工業株式会社株式会社製)0.466g(ナトリウムとして5.067mmol))を滴下した。その後、65℃に設定したオイルバスを用いて、前記反応器の内容物を4時間加熱して、化合物Aのナトリウム体を含むテトラヒドロフラン溶液を得た。
次に、ビスジエチルアミノクロロホスフィン(1.08g、5.126mmol)のトルエン溶液(14mL)を別に用意したガラス製反応器に仕込み、窒素雰囲気下、温度0℃で撹拌しつつ、得られた化合物Aのナトリウム体を含むテトラヒドロフラン溶液を滴下した。滴下後に、前記反応器の内容物に含まれているテトラヒドロフラン12mLを留去して、化合物Aのアミノホスフィン化体を含むトルエン溶液を得た。
得られた白色固体(3)(1.04g)をトルエン(4mL)に溶解した後、シリカゲル(商品名:ワコーゲルC-200、富士フィルム和光純薬株式会社製)を充填したクロマト管(内径:3.3cm、シリカゲルの充填長:30cm)に、溶離液としてヘキサン/トルエン=5/1を用いて、オープンカラム精製を行い、クロマト管の溶離液を100mL毎に分取した。16~22本目の溶離液を合わせて、液体クロマトグラフィーを用いて分析したところ、該溶離液には、化合物Bが89.6LC面積%含まれていた。該溶離液を、エバポレーターを用いて濃縮した後、減圧乾燥して乾固させ、化合物Bを含む白色固体(4)0.63gを得た。
得られた化合物Bを含む白色固体(4)から、液体クロマトグラフィー(LC法)を用いて、以下の条件により化合物Bを単離した。
次いで、分取した溶離液を、エバポレーターを用いて濃縮した後、減圧乾燥して乾固させ、化合物Bを得た。
(分取LC条件)
装置:LC-10A(装置名、株式会社島津製作所製)
分取カラム:CAPCELLPAK C18(商品名、株式会社大阪ソーダ製、サイズ:内径20mm×長さ150mm、膜厚5μm)
分析温度:40℃
溶離液:イソプロパノール/アセトニトリル(20/80)
流速:15mL/min
検出器:UV検出器(波長290nm)
注入量:1000μL/回で、11回実施
単離した化合物Bについて、液体クロマトグラフ/時間型質量分析装置(LC/TofMS)を用いた分子量及び精密質量測定、及び、各種NMR分析(1H-NMR,13C-NMR、DEPT、HSQC、HMBC、1H-1H COSY)を行った。化合物Bの1H-NMRスペクトルを図2(a)に、13C-NMRスペクトルを図2(b)に示す。
化合物Bの分析結果は次の通りであった。
液体クロマトグラフ/時間型質量分析装置(LC/ToFMS)を用いて、ポジティブモードにおいて、m/z=1127.5507([M+H]+)のイオンピークを観測したことより、化合物Bの分子量は1127.5であると判断した。また、このイオンピークに関する精密質量測定の結果は1127.5508であり、理論値との誤差が-0.1mDa、-0.1ppmの範囲内に収まっていたことから、化合物Bの組成式は、C74H80O6P2と推定した。
下記式(γ)で表される構造式に基づき、1H-NMRスペクトル上に観察されたピークを同定した。
δ0.75(9H,s,式(γ)の6のシグナル),δ1.17(18H,s,式(γ)の1と5のシグナル),δ1.34(3H,s,式(γ)の8のシグナル),δ1.40(9H,s,式(γ)の2のシグナル),δ1.43(2H,s,式(γ)の8のシグナル),δ1.50(1H,d,J=14.9Hz,式(γ)の7のシグナル),δ2.03(3H,s,式(γ)の3のシグナル),δ2.10(3H,s,式(γ)の9のシグナル),δ2.71(1H,d,J=14.6Hz,式(γ)の7のシグナル),δ6.88(1H,d,J=7.80Hz,式(γ)の12のシグナル),δ6.95(1H,d,J=7.96Hz,式(γ)の12のシグナル),δ7.02(1H,d,J=7.80Hz,式(γ)の11のシグナル),δ7.06-7.34(14H,m,式(γ)の11,12,13,15,16のシグナル),δ7.38(1H,d,J=8.29,式(γ)の13のシグナル),δ7.51(1H,s,式(γ)の4のシグナル),δ7.52(1H,s,式(γ)の10のシグナル),δ7.58(1H,d,J=7.96,式(γ)の14のシグナル),δ7.61(1H,d,J=7.96,式(γ)の14のシグナル),δ7.64(1H,d,J=7.96,14のシグナル),δ7.65(1H,d,J=7.96,式(γ)の14のシグナル),δ7.76(1H,d,J=8.29,式(γ)の17のシグナル),δ7.82(1H,d,J=8.29,式(γ)の17のシグナル),δ7.84(1H,d,J=8.29,式(γ)の17のシグナル),δ7.88(1H,d,J=8.29,式(γ)の17のシグナル)
下記式(ε)で表される構造式に基づき、13C-NMRスペクトル上に観察されたピークを同定した。
δ19.87,19.91(式(ε)のCのシグナル),δ19.94,19.97(式(ε)のcのシグナル),δ30.65(式(ε)のBのシグナル),30.73(式(ε)のiのシグナル),δ31.00(式(ε)のfのシグナル),δ31.11(式(ε)のAのシグナル),δ31.87(式(ε)のaのシグナル),δ31.92(式(ε)のiのシグナル),δ32.51(式(ε)のgのシグナル),δ35.34(式(ε)のEのシグナル),δ35.81(式(ε)のdのシグナル),δ35.88(式(ε)のDのシグナル),δ39.73(式(ε)のjのシグナル),δ53.25(式(ε)のhのシグナル),δ112.99,δ113.09,δ113.26,δ113.37,δ113.46,δ113.56,δ113.65,δ113.74(式(ε)のRのシグナル),δ122.45(式(ε)のY,Tのシグナル),δ122.49(式(ε)のTのシグナル),δ122.53(式(ε)のYのシグナル),δ122.61(式(ε)のY,Tのシグナル),δ122.65(式(ε)のYのシグナル),δ124.86,δ124.96,δ125.03,δ125.08(式(ε)のXのシグナル),δ125.10,δ125.18,δ125.23,δ125.31(式(ε)のSのシグナル),δ125.83,δ125.97,δ126.04(式(ε)のWのシグナル),δ126.26(式(ε)のlのシグナル),δ126.52,126.68,126.82(式(ε)のZのシグナル),δ127.08,δ127.11,δ127.18(式(ε)のVのシグナル),δ127.52(式(ε)のLのシグナル),δ131.72(式(ε)のoのシグナル),δ131.87(式(ε)のOのシグナル),δ134.46,δ134.56,δ134.60(式(ε)のUのシグナル),δ135.71(式(ε)のnのシグナル),δ135.99(式(ε)のNのシグナル),δ136.31(式(ε)のkのシグナル),δ137.17(式(ε)のKのシグナル),δ143.38(式(ε)のmのシグナル),δ143.57(式(ε)のMのシグナル),δ148.13,δ148.20(式(ε)のQのシグナル),δ149.73(式(ε)のpのシグナル),δ149.81(式(ε)のPのシグナル)
前記13C-NMRスペクトルにおける、D,E,g,j,K,k,M,m,N,n,O,o,P,p,Q,U,Zのシグナルが消失し、hのシグナルが逆向きに出現することを確認した。
HMQ、CHMBC及び1H-1H COSYの測定結果を下記表3に示す。
IR測定結果は以下の通りであった。
567(w),594(w),702(w),729(w),766(s),793(s),872(m),891(m),906(w),1012(s),1026(m),1039(m),1078(m),1153(w),1169(w),1225(s),1257(s),1360(w),1388(s),1444(w),1460(m),1506(w),1574(m),1595(w),1745(m),2870(m),2951(m),3051(w)
本発明のビスホスファイト化合物を用いて、以下の手順に従い、プロピレンを原料としてヒドロホルミル化反応を行い、アルデヒドの製造評価を行った。
別途用意したガラス製容器に、窒素雰囲気下で、ヒドロホルミル化反応触媒のRh源として[Rh(OAc)(cod)]2を4.84mg(Rhとして0.0179mmol)、及び、ヒドロホルミル化反応触媒の配位子として、本発明のビスホスファイト化合物である実施例2で製造した化合物Bを80.4mg(0.0713mmol、Rhに対する配位子Lのモル比率(L/Rh比率)=4)加え、更に、溶媒としてトルエンを14.0mL(12.040g)、及び、ガスクロマトグラフィーの内部標準物質としてn-ドデカンを1.0mL(0.750g)加えた後、撹拌して、触媒液を調製した。
窒素ガスを用いて、前記オートクレーブ内を、窒素ガスの内圧が2.0MPaGとなるようにして3回窒素置換した後、窒素ガスを放圧し、オートクレーブ内にプロピレンガスを1.5g圧入した。次いで、オートクレーブ内における反応温度が70℃となるまで昇温し、さらに、オキソガス(H2/CO=1/1、反応初期のオキソガス分圧として0.6MPaG)をオートクレーブ内における反応圧力がプロピレンの自圧を含めて1.0MPaGとなるように圧入した後、この圧力及び温度を維持て、ヒドロホルミル化反応を1.5時間行った。なお、ヒドロホルミル化反応で消費された分のオキソガスは、二次圧力調整器を介して蓄圧器からオートクレーブ内に自動的に補給され、常にオートクレーブ内の圧力が1.0MPaGを維持するように反応を実施した。
分析の結果、反応速度定数(k)は2.8h-1、n-ブチルアルデヒドとi-ブチルアルデヒドの合計の選択率は97.8%、n-ブチルアルデヒドとi-ブチルアルデヒドとのモル比率(n/i)は75.1であった。
比較例として、ホスファイト置換基のo-位にt-Bu基のみを有する対称型ビスホスファイト化合物を用いて、以下の手順に従い、プロピレンを原料としてヒドロホルミル化反応を行い、アルデヒドの製造評価を行った。
実施例3において、ビスホスファイト化合物の種類や、L/Rh比率、反応温度、反応圧力、反応時間を表4記載のとおりに変更した以外は、実施例3と同様の条件でヒドロホルミル化反応を行ない、アルデヒドを製造した。
実施例3と同様の方法により評価した結果を、表4に示した。
実施例3において、化合物Bを、化合物Bとホスファイト配位子Aの混合物(モル比:50/50)に変更した以外は、実施例3と同様の条件でヒドロホルミル化反応を行ない、アルデヒドを製造した。
実施例3と同様の方法により評価した結果を、表4に示した。
以下の熱安定性試験は、ヒドロホルミル化反応後に生成したアルデヒドを蒸留分離し、配位子(ビスホスファイト化合物)を含む触媒液を反応器にリサイクルする一連の工程を想定し、配位子の熱安定性を調べたものである。
本発明のビスホスファイト化合物について、以下の手順に従い、熱安定性評価を行った。
別途用意したガラス製容器に、窒素雰囲気下で、40mLのn-ブチルアルデヒド(溶媒)、及び、ヒドロホルミル化反応触媒のRh源として[Rh(OAc)(cod)]2 18.0mg(Rhとして0.067mmol)と、ヒドロホルミル化反応触媒の配位子として、実施例2で製造した化合物B 0.151g(0.134mmol、Rhに対する配位子中のリン原子のモル比率(P/Rh比率)=2.01)の触媒混合溶液を調製した。次いで、前記オートクレーブ内に精製窒素ガスを用いて上記の触媒混合溶液を圧入した後、オートクレーブを密閉した。
次いで、オートクレーブ内の温度を室温(25℃)まで冷却し、オートクレーブ内のオキソガスをパージした後、窒素雰囲気下でオートクレーブ内から分析用の初期サンプルを採取した。次いで、オートクレーブ内を、窒素ガスの内圧が0.5MPaGとなるようにして3回窒素置換することにより、オートクレーブ内の反応溶液中のオキソガスと気相中のオキソガスを窒素ガスに置換した後、オートクレーブ内に内圧が0.1MPaGとなるように窒素ガスを圧入した。
取得した分析用のサンプルについて、液体クロマトグラフィーを用いて、下記の液体クロマトグラム測定条件により、化合物Bの分解率を測定した結果、88時間後、183時間後、231時間後の化合物Bの分解率は、それぞれ11.7LC面積%、21.4LC面積%、26.6LC面積%であった。
尚、化合物Bの分解率は、前記初期サンプルの液体クロマトグラムにおける化合物Bのピーク面積に対する、88時間後、183時間後、231時間後に取得したサンプルの液体クロマトグラムにおける化合物Bのピーク面積の減少割合(単位:面積%)である。
高速液体クロマトグラム測定装置:LC-20A(装置名、株式会社島津製作所製)
脱気:オンラインデガッサー
分析カラム:Inertsil ODS-2
非極性固定相(商品名、カラムサイズ:内径4.6mm×カラム長:250mm、膜厚:5μm、ジーエルサイエンス株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:トルエン:アセトニトリル=10:90(重量比)
溶離液の流速:0.85mL/min
検出器:紫外可視吸光度検出器(検出波長:290nm)
試料注入量:5μL
比較例として、ホスファイト置換基のo-位にt-Bu基のみを有する対称型ビスホスファイト化合物について、以下の手順に従い、熱安定性評価を行った。
その結果、88時間後、183時間後、231時間後のビスホスファイト化合物の分解率は、それぞれ14.3LC面積%、30.9LC面積%、39.0LC面積%であった。
本出願は、2023年4月12日付で出願された日本特許出願2023-065067及び、2024年2月2日付で出願された日本特許出願2024-015052に基づいており、その全体が引用により援用される。
本発明のジヒドロキシビフェニル化合物を原料にして製造されるビスホスファイト化合物を配位子として金属成分と共に用いた触媒を用いることにより、ヒドロホルミル化反応において、極めて優れた直鎖型のアルデヒド異性体選択性を得ることができる。
Claims (27)
- 下記一般式(1)で表されるジヒドロキシビフェニル化合物。
(式(1)中、
Xは、4~20個の炭素原子を有するアルキレン基であり、
R1及びR11は、それぞれ独立に、4~20個の炭素原子を有する第3級アルキル基を表し、R1とX-R11とは互いに異なる。
R2及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、3~20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、3~20個の炭素原子を有するシクロアルコキシ基、2~20個の炭素原子を有するジアルキルアミノ基、6~20個の炭素原子を有するアリール基、6~20個の炭素原子を有するアリールオキシ基、7~20個の炭素原子を有するアルキルアリール基、7~20個の炭素原子を有するアルキルアリールオキシ基、7~20個の炭素原子を有するアリールアルキル基、7~20個の炭素原子を有するアリールアルコキシ基、シアノ基、ヒドロキシ基及びハロゲン原子からなる群から選ばれるものを表し、
R3及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6~20個の炭素原子を有するアリール基、7~20個の炭素原子を有するアルキルアリール基及び7~20個の炭素原子を有するアリールアルキル基からなる群から選ばれるものを表し、
R4及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、1~12個の炭素原子を有するアルキル基、3~12個の炭素原子を有するシクロアルキル基、1~12個の炭素原子を有するアルコキシ基、シリル基、シロキシ基及びハロゲン原子からなる群から選ばれるものを表す。) - 前記Xが、第4級炭素原子を含む4~20個の炭素原子を有するアルキレン基である、請求項1に記載のジヒドロキシビフェニル化合物。
- 前記Xが、第4級炭素原子を含む4~5個の炭素原子を有するアルキレン基である、請求項2に記載のジヒドロキシビフェニル化合物。
- 前記Xが、下記式(1X)で表される構造単位を有するアルキレン基である、請求項3に記載のジヒドロキシビフェニル化合物。
-C(CH3)2-CH2- (1X) - 前記R2及びR12が水素原子であり、 前記R3及びR13が、それぞれ独立に、4~20個の炭素原子を有する第3級アルキル基であり、
前記R4及びR14が、それぞれ独立に、水素原子、1~3個の炭素原子を有するアルキル基、1~3個の炭素原子を有するアルコキシ基及びハロゲン原子からなる群から選ばれるものである、請求項1~4のいずれか一項に記載のジヒドロキシビフェニル化合物。 - 前記R1、R11、R3及びR13が、それぞれ独立に、4~7個の炭素原子を有する第3級アルキル基であり、
前記R4及びR14が、それぞれ独立に、1~3個の炭素原子を有するアルキル基である、請求項5に記載のジヒドロキシビフェニル化合物。 - 前記R1、R11、R3及びR13がt-ブチル基であり、
前記R4及びR14がメチル基である、請求項6に記載のジヒドロキシビフェニル化合物。 - 下記一般式(2)で表されるビスホスファイト化合物。
(式(2)中、
Xは、4~20個の炭素原子を有するアルキレン基であり、
R1及びR11は、それぞれ独立に、4~20個の炭素原子を有する第3級アルキル基を表し、R1とX-R11とは互いに異なる。
R2及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、3~20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、3~20個の炭素原子を有するシクロアルコキシ基、2~20個の炭素原子を有するジアルキルアミノ基、6~20個の炭素原子を有するアリール基、6~20個の炭素原子を有するアリールオキシ基、7~20個の炭素原子を有するアルキルアリール基、7~20個の炭素原子を有するアルキルアリールオキシ基、7~20個の炭素原子を有するアリールアルキル基、7~20個の炭素原子を有するアリールアルコキシ基、シアノ基、ヒドロキシ基及びハロゲン原子からなる群から選ばれるものを表し、
R3及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6~20個の炭素原子を有するアリール基、7~20個の炭素原子を有するアルキルアリール基及び7~20個の炭素原子を有するアリールアルキル基からなる群から選ばれるものを表し、
R4及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、1~12個の炭素原子を有するアルキル基、3~12個の炭素原子を有するシクロアルキル基、1~12個の炭素原子を有するアルコキシ基、シリル基、シロキシ基及びハロゲン原子からなる群から選ばれるものを表す。
Z1~Z4は、それぞれ独立に、6~20個の炭素原子を有するアリール基を表し、置換基を有していてもよく、該置換基同士が結合して環を形成していてもよい。また、Z1とZ2、並びに、Z3とZ4は、いずれも互いに結合していなくてもよいし、互いに結合して環構造を形成してもよい。) - 前記Xが、第4級炭素原子を含む4~20個の炭素原子を有するアルキレン基である、請求項8に記載のビスホスファイト化合物。
- 前記Xが、第4級炭素原子を含む4~5個の炭素原子を有するアルキレン基である、請求項9に記載のビスホスファイト化合物。
- 前記Xが、下記式(1X)で表される構造単位を有するアルキレン基である、請求項10に記載のビスホスファイト化合物。
-C(CH3)2-CH2- (1X) - 前記R2及びR12が水素原子であり、前記R3及びR13が、それぞれ独立に、4~20個の炭素原子を有する第3級アルキル基であり、
前記R4及びR14が、それぞれ独立に、水素原子、1~3個の炭素原子を有するアルキル基、1~3個の炭素原子を有するアルコキシ基及びハロゲン原子からなる群から選ばれるものである、請求項8~11のいずれか一項に記載のビスホスファイト化合物。 - 前記Z1~Z4が、それぞれ独立に、酸素原子と結合する炭素原子に隣接する芳香環炭素原子に置換基を有さないか、又は該芳香環炭素原子に、0~2個の炭素原子を有する置換基を有する、請求項8~11のいずれか一項に記載のビスホスファイト化合物。
- 前記R1、R11、R3及びR13が、それぞれ独立に、4~7個の炭素原子を有する第3級アルキル基であり、
前記R4及びR14が、それぞれ独立に、1~3個の炭素原子を有するアルキル基である、請求項12に記載のビスホスファイト化合物。 - 前記Z1~Z4が、それぞれ独立に、1-ナフチル基又は2-ナフチル基である、請求項8~11のいずれか一項に記載のビスホスファイト化合物。
- 前記R1、R11、R3及びR13がt-ブチル基であり、前記R4及びR14がメチル基である、請求項14に記載のビスホスファイト化合物。
- 請求項8~11のいずれか一項に記載のビスホスファイト化合物と第8~10族金属との錯体を含む触媒。
- 前記第8~10族金属に対する前記ビスホスファイト化合物のモル比が、0.00004~500である、請求項17に記載の触媒。
- 前記第8~10族金属に対する前記ビスホスファイト化合物のモル比が、0.0002~100である、請求項18に記載の触媒。
- 前記第8~10族金属に対する前記ビスホスファイト化合物のモル比が、0.001~50である、請求項19に記載の触媒。
- 下記一般式(3)で表されるビスホスファイト化合物、及び、請求項8~11のいずれかに記載のビスホスファイト化合物を含む触媒組成物。
(式(3)中、
R1、R2及びR12、R3及びR13、R4及びR14、Z1~Z4は、それぞれ、前記一般式(2)におけるR1、R2及びR12、R3及びR13、R4及びR14、Z1~Z4と同義である。) - 前記一般式(3)で表されるビスホスファイト化合物の含有割合が、80.0質量%以上で、請求項8~11のいずれかに記載のビスホスファイト化合物の含有割合が0.01質量%以上である、請求項21に記載の触媒組成物。
- 第8~10族金属化合物及び請求項8~11のいずれかに記載のビスホスファイト化合物の存在下で、オレフィン化合物を一酸化炭素及び水素と反応させるアルデヒドの製造方法。
- 前記第8~10族金属化合物の反応液中の濃度が金属原子換算で0.05~5000mg/Lである、請求項23に記載のアルデヒドの製造方法。
- 請求項23に記載のアルデヒドの製造方法によりアルデヒドを製造した後、該アルデヒドを水素と反応させるアルコールの製造方法。
- 請求項17に記載の触媒の存在下で、オレフィン化合物を一酸化炭素及び水素と反応させるアルデヒドの製造方法。
- 請求項26に記載のアルデヒドの製造方法によりアルデヒドを製造した後、該アルデヒドを水素と反応させるアルコールの製造方法。
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Non-Patent Citations (1)
| Title |
|---|
| LEUPOLD, I. et al.,Aromatic solvent induced shifts in the NMR spectra of tert-Butyl-, tert-Butoxy- and Nitro(tert-butyl)benzene derivatives,Chem. Ber.,1971年,Vol.104,pp.40-49 |
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