JP7749941B2 - 微細繊維状セルロース、分散液、シート及び微細繊維状セルロースの製造方法 - Google Patents
微細繊維状セルロース、分散液、シート及び微細繊維状セルロースの製造方法Info
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Description
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、置換基を除去した微細繊維状セルロースであって、分散液やシートとした際に、透明性を高め、かつ着色を抑制し得る微細繊維状セルロースを提供することを目的として検討を進めた。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[2] 下記式で算出されるナノファイバー収率が95質量%以上である、[1]に記載の微細繊維状セルロース;
ナノファイバー収率[質量%]=C/0.1×100
ここで、Cは、微細繊維状セルロースの濃度が0.1質量%の水分散液を、12000G、10分の条件で遠心分離した際に得られる上澄み液に含まれる微細繊維状セルロースの濃度である。
[3] 微細繊維状セルロースを0.2質量%濃度の水分散液とした場合、水分散液のヘーズが5.0%以下となる、[1]又は[2]に記載の微細繊維状セルロース。
[4] 置換基がアニオン性基である、[1]~[3]のいずれかに記載の微細繊維状セルロース。
[5] アニオン性基が、リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基である、[4]に記載の微細繊維状セルロース。
[6] カルバミド基を有する、[1]~[5]のいずれかに記載の微細繊維状セルロース。
[7] [1]~[6]のいずれかに記載の微細繊維状セルロースを含む分散液。
[8] [1]~[6]のいずれかに記載の微細繊維状セルロースを含むシート。
[9] 置換基導入量が0.5mmol/g未満であり、かつ繊維幅が1~10nmの微細繊維状セルロースを含むシートであって、
厚み50μmにおけるYI値が1.5以下である、シート。
[10] シートを160℃で6時間加熱した場合、下記式により算出されるYI増加率が1500%以下である[9]に記載のシート;
YI増加率(%)=(加熱後のシートの黄色度-加熱前のシートの黄色度)/加熱前のシートの黄色度×100
上記式において、シートの黄色度はJIS K 7373:2006に準拠して測定した黄色度である。
[11] 全光線透過率が90.0%以上である、[9]又は[10]に記載のシート。
[12] ヘーズが5.0%以下である、[9]~[11]のいずれかに記載のシート。
[13] 少なくとも一方の面の表面粗さが10nm以下である、[9]~[12]のいずれかに記載のシート。
[14] 置換基を有し、かつ繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースから、置換基の少なくとも一部を除去する工程(A)と、
工程(A)の後に、均一分散処理する工程(B)と、を含む、微細繊維状セルロースの製造方法。
[15] 工程(A)に供される微細繊維状セルロースの置換基導入量は0.60mmol/g以上である、[14]に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
[16] 置換基がアニオン性基である、[14]又は[15]に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
[17] アニオン性基が、リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基である、[16]に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
[18] 工程(A)に供される微細繊維状セルロースはカルバミド基を有する、[14]~[17]のいずれかに記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
[19] 窒素量を低減させる工程をさらに含む、[14]~[18]のいずれかに記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
[20] 工程(A)は、スラリー状で行われる、[14]~[19]のいずれかに記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
[21] 工程(A)の前に、微細繊維状セルロースを含むスラリーのpHを3~8に調整する工程をさらに含む、[20]に記載の繊維状セルロースの製造方法。
[22] コンクリート先行剤用である、[1]~[6]のいずれかに記載の微細繊維状セルロース。
[23] 潤滑剤用である、[1]~[6]のいずれかに記載の微細繊維状セルロース。
[24] 鋳型成形用組成物用である、[1]~[6]のいずれかに記載の微細繊維状セルロース。
[25] 歯科材料用である、[1]~[6]のいずれかに記載の微細繊維状セルロース。
[26] 研磨剤用である、[1]~[6]のいずれかに記載の微細繊維状セルロース。
[27] 剥離剤用である、[1]~[6]のいずれかに記載の微細繊維状セルロース。
[28] 製紙用添加剤用である、[1]~[6]のいずれかに記載の微細繊維状セルロース。
[29] [1]~[6]のいずれかに記載の微細繊維状セルロースを含む、コンクリート先行剤。
[30] [1]~[6]のいずれかに記載の微細繊維状セルロースを含む、潤滑剤。
[31] [1]~[6]のいずれかに記載の微細繊維状セルロースを含む、鋳型成形用組成物。
[32] [1]~[6]のいずれかに記載の微細繊維状セルロースを含む、歯科材料。
[33] [1]~[6]のいずれかに記載の微細繊維状セルロースを含む、研磨剤。
[34] [1]~[6]のいずれかに記載の微細繊維状セルロースを含む、剥離剤。
[35] [1]~[6]のいずれかに記載の微細繊維状セルロースを含む、製紙用添加剤。
本発明は、置換基導入量が0.5mmol/g未満であり、繊維幅が1~10nmである微細繊維状セルロースに関する。本発明においては、微細繊維状セルロースにおける置換基除去後の置換基導入量を0.5mmol/g未満とし、さらに繊維幅を1~10nmとすることにより、分散液やシートとした際に、透明性を高め、かつ着色を抑制することができる。分散液やシートとした際の透明性や着色度合いについては、後述するように、分散液やシートのヘーズやYI値によって評価することができる。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、交差する繊維を無作為で20本以上選択する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、交差する繊維を無作為で20本以上選択する。
まず、微細繊維状セルロースを含有するスラリーを強酸性イオン交換樹脂で処理する。なお、必要に応じて、強酸性イオン交換樹脂による処理の前に、後述の解繊処理工程と同様の解繊処理を測定対象に対して実施してもよい。
次いで、水酸化ナトリウム水溶液を加えながらpHの変化を観察し、図1の上側部に示すような滴定曲線を得る。図1の上側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットしており、図1の下側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対するpHの増分(微分値)(1/mmol)をプロットしている。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ確認される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中に含まれる微細繊維状セルロースの第1解離酸量と等しくなり、第1終点から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれる微細繊維状セルロースの第2解離酸量と等しくなり、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれる微細繊維状セルロースの総解離酸量と等しくなる。そして、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量を滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して得られる値が、リンオキソ酸基導入量(mmol/g)となる。なお、単にリンオキソ酸基導入量(又はリンオキソ酸基量)と言った場合は、第1解離酸量のことを表す。
なお、図1において、滴定開始から第1終点までの領域を第1領域と呼び、第1終点から第2終点までの領域を第2領域と呼ぶ。例えば、リンオキソ酸基がリン酸基の場合であって、このリン酸基が縮合を起こす場合、見かけ上、リンオキソ酸基における弱酸性基量(本明細書では第2解離酸量ともいう)が低下し、第1領域に必要としたアルカリ量と比較して第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなる。一方、リンオキソ酸基における強酸性基量(本明細書では第1解離酸量ともいう)は、縮合の有無に関わらずリン原子の量と一致する。また、リンオキソ酸基が亜リン酸基の場合は、リンオキソ酸基に弱酸性基が存在しなくなるため、第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなるか、第2領域に必要としたアルカリ量はゼロとなる場合もある。この場合、滴定曲線において、pHの増分が極大となる点は一つとなる。
すなわち、下記計算式によって算出する。
リンオキソ酸基量(C型)=リンオキソ酸基量(酸型)/{1+(W-1)×A/1000}
A[mmol/g]:微細繊維状セルロースが有するリンオキソ酸基由来の総アニオン量(リンオキソ酸基の総解離酸量)
W:陽イオンCの1価あたりの式量(たとえば、Naは23、Alは9)
ザンテート基量(mmol/g)=(0.05×10×2-0.05×チオ硫酸ナトリウム滴定量(mL))/1000/微細繊維状セルロースの絶乾質量(g)
ナノファイバー収率[質量%]=C/0.1×100
ここで、Cは、微細繊維状セルロースの濃度が0.1質量%の水分散液を、12000G、10分の条件で遠心分離した際に得られる上澄み液に含まれる微細繊維状セルロースの濃度である。
本発明は、微細繊維状セルロースの製造方法に関するものでもある。本発明の微細繊維状セルロースの製造方法は、置換基を有し、かつ繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースから、置換基の少なくとも一部を除去する工程(A)と、工程(A)の後に、均一分散処理する工程(B)と、を含む。ここで、工程(A)に供される微細繊維状セルロースが有する置換基はアニオン性基であることが好ましく、リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基であることがより好ましい。さらに、工程(A)に供される微細繊維状セルロースはカルバミド基を有することが好ましい。
工程(A)は、置換基を有し、かつ繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースから、置換基の少なくとも一部を除去する工程である。以下では、まず、置換基を有し、かつ繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロース(工程(A)に供される微細繊維状セルロース)の製造方法について説明する。
工程(A)に供される微細繊維状セルロースは、セルロースを含む繊維原料から製造される。セルロースを含む繊維原料としては、特に限定されないが、入手しやすく安価である点からパルプを用いることが好ましい。パルプとしては、たとえば木材パルプ、非木材パルプ、及び脱墨パルプが挙げられる。木材パルプとしては、特に限定されないが、たとえば広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)及び酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)及びケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)及びサーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、特に限定されないが、たとえばコットンリンター及びコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら及びバガス等の非木材系パルプが挙げられる。脱墨パルプとしては、特に限定されないが、たとえば古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。本実施態様のパルプは上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。上記パルプの中でも、入手のしやすさという観点からは、たとえば木材パルプ及び脱墨パルプが好ましい。また、木材パルプの中でも、セルロース比率が大きく解繊処理時の微細繊維状セルロースの収率が高い観点や、パルプ中のセルロースの分解が小さく軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースが得られる観点から、たとえば化学パルプがより好ましく、クラフトパルプ、サルファイトパルプ、溶解パルプがさらに好ましい。なお、軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースを用いると粘度が高くなる傾向がある。
工程(A)に供される微細繊維状セルロースは置換基を有する。このため、工程(A)に供される微細繊維状セルロースの製造工程は、置換基導入工程を有することが好ましく、アニオン性基導入工程を有することがより好ましい。アニオン性基導入工程としては、例えば、リンオキソ酸基導入工程が挙げられる。リンオキソ酸基導入工程は、セルロースを含む繊維原料が有する水酸基と反応することで、リンオキソ酸基を導入できる化合物から選択される少なくとも1種の化合物(以下、「化合物A」ともいう)を、セルロースを含む繊維原料に作用させる工程である。この工程により、リンオキソ酸基導入繊維が得られることとなる。
反応の均一性を向上させる観点から、化合物Bは水溶液として用いることが好ましい。また、反応の均一性をさらに向上させる観点からは、化合物Aと化合物Bの両方が溶解した水溶液を用いることが好ましい。
工程(A)に供される微細繊維状セルロースの製造工程は、アニオン性基導入工程として、スルホン基導入工程を含んでもよい。スルホン基導入工程は、セルロースを含む繊維原料が有する水酸基とスルホン酸が反応することで、スルホン基を有するセルロース繊維(スルホン基導入繊維)を得ることができる。
工程(A)に供される微細繊維状セルロースの製造工程は、アニオン性基導入工程として、ザンテート基導入工程を含んでもよい。ザンテート基導入工程は、セルロースを含む繊維原料が有する水酸基を下記式(2)で表されるザンテート基で置換することで、ザンテート基を有するセルロース繊維(ザンテート基導入繊維)を得ることができる。
―OCSS-M+……(2)
ここで、M+は水素イオン、一価金属イオン、アンモニウムイオン、脂肪族又は芳香族アンモニウムイオンから選ばれる少なくとも一種である。
工程(A)に供される微細繊維状セルロースの製造工程においては、必要に応じてアニオン性基導入繊維に対して洗浄工程を行うことができる。洗浄工程は、たとえば水や有機溶媒によりアニオン性基導入繊維を洗浄することにより行われる。また、洗浄工程は後述する各工程の後に行われてもよく、各洗浄工程において実施される洗浄回数は、特に限定されない。
工程(A)に供される微細繊維状セルロースの製造工程においては、アニオン性基導入工程と、後述する解繊処理工程との間に、繊維原料に対してアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えばアルカリ溶液中に、アニオン性基導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。
工程(A)に供される微細繊維状セルロースの製造工程においては、アニオン性基を導入する工程と、後述する解繊処理工程の間に、繊維原料に対して酸処理を行ってもよい。例えば、アニオン性基導入工程、酸処理、アルカリ処理及び解繊処理をこの順で行ってもよい。
工程(A)に供される微細繊維状セルロースの製造工程は、繊維状セルロースに導入された窒素量や系内に存在する窒素量を低減させる工程(窒素除去処理工程)をさらに含んでもよい。窒素量を低減させることで、さらに着色を抑制し得る微細繊維状セルロースを得ることができる。窒素除去処理工程は、後述する工程(B)における均一分散処理工程の後に設けられてもよいが、後述する工程(B)における均一分散処理工程の前に設けられることが好ましい。また、後述する工程(A)における解繊処理工程の前に設けられることが好ましい。
工程(A)に供される微細繊維状セルロースの製造工程は、解繊処理工程を含む。これにより、置換基を有し、かつ繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースが得られる。解繊処理工程においては、たとえば解繊処理装置を用いることができる。解繊処理装置は、特に限定されないが、たとえば高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、又はビーターなどを使用することができる。上記解繊処理装置の中でも、粉砕メディアの影響が少なく、コンタミネーションのおそれが少ない高速解繊機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーを用いるのがより好ましい。
ナノファイバー収率(質量%)=上澄みのセルロース濃度(質量%)/0.1×100
本発明の微細繊維状セルロースの製造方法は、置換基を有し、かつ繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースから、置換基の少なくとも一部を除去する工程(A)を含む。本明細書において、微細繊維状セルロースから、置換基の少なくとも一部を除去する工程は、置換基除去処理工程とも言う。
置換基除去処理工程がスラリー状で行われる場合、置換基除去処理工程の前に、微細繊維状セルロースを含むスラリーのpHを調整する工程を設けてもよい。例えば、セルロース繊維にアニオン性基を導入し、このアニオン性基の対イオンがNa+である場合、解繊後の微細繊維状セルロースを含むスラリーは弱アルカリ性を示す。この状態で加熱を行うと、セルロースの分解により着色要因の一つである単糖が発生する場合があるため、スラリーのpHを8以下に調整することが好ましく、6以下に調整することがより好ましい。また、酸性条件においても同様に単糖が発生する場合があるため、スラリーのpHを3以上に調整することが好ましく、4以上に調整することがより好ましい。
置換基除去処理工程の後には、除去した置換基由来の塩の除去処理を行うことが好ましい。置換基由来の塩を除去することで、着色を抑制し得る微細繊維状セルロースが得られ易くなる。置換基由来の塩を除去する手段は特に限定されないが、例えば洗浄処理が挙げられる。洗浄処理は、たとえば水や有機溶媒により、置換基除去処理で凝集した微細繊維状セルロースを洗浄することにより行われる。黄変をより効果的に抑制する観点から、洗浄処理は濾過脱水や、遠心脱水、遠心分離により行うことが好ましい。
本発明の微細繊維状セルロースの製造方法は、置換基を有し、かつ繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースから、置換基の少なくとも一部を除去する工程(A)と、工程(A)の後に、均一分散処理する工程(B)と、を含む。均一分散処理する工程(B)は、工程(A)の置換基除去処理を経て得られた微細繊維状セルロースを均一分散処理する工程である。工程(A)において、微細繊維状セルロースに対して置換基除去処理を施すことにより、少なくとも一部の微細繊維状セルロースが凝集する。工程(B)においては、このように凝集した微細繊維状セルロースを均一分散する工程である。工程(B)における微細繊維状セルロースが均一分散された状態とは微細繊維状セルロースの繊維幅が10nm以下となる状態をいう。このように、本発明の製造方法で得られる微細繊維状セルロースは、置換基導入量が0.5mmol/g未満という低置換基導入量であるにも関わらず、その繊維幅が10nm以下となる。
本発明は、上述した微細繊維状セルロースを含む分散液に関するものでもある。すなわち、本発明の分散液は、置換基導入量が0.5mmol/g未満であり、繊維幅が1~10nmである、微細繊維状セルロースを含む。
なお、この繊維幅が10nm以下の微細繊維状セルロースの割合とは、下記式で表される値である。
繊維幅が10nm以下の微細繊維状セルロースの割合(%)=(繊維幅が10nm以下の微細繊維状セルロースの本数/全繊維状セルロースの本数)×100
ナノファイバー収率[質量%]=C/0.1×100
ここで、Cは、微細繊維状セルロースの濃度が0.1質量%の分散液を、12000G、10分の条件で遠心分離した際に得られる上澄み液に含まれる微細繊維状セルロースの濃度である。
分散液には、上述したような微細繊維状セルロースと分散媒に加えて、任意成分が含まれていてもよい。任意成分としては、例えば、上述したスペーサー分子、親水性高分子や有機イオン等が挙げられる。親水性高分子は、親水性の含酸素有機化合物(但し、上記セルロース繊維は除く)であることが好ましい。含酸素有機化合物は非繊維状であることが好ましく、このような非繊維状の含酸素有機化合物には、微細繊維状セルロースや熱可塑性樹脂繊維は含まれない。また、任意成分としては、例えば、消泡剤、潤滑剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、安定剤、界面活性剤、防腐剤(例えば、フェノキシエタノール)等を挙げることができる。
本発明は、上述した微細繊維状セルロースを含むシートに関するものでもある。すなわち、本発明のシートは、置換基導入量が0.5mmol/g未満であり、繊維幅が1~10nmである、微細繊維状セルロースを含む。
厚み50μmにおけるYI値=シートのYI値(実測値)×[50/シートの厚み(μm)]
なお、シートの厚みは触針式定圧厚さ計測定器(マール社TECLOCK CORPORATION製、ミリトロン1202DPG-02)で測定することができる。具体的には、50mm角以上の大きさに切り出したシートを23℃、相対湿度50%で24時間調湿した後、任意の点4点の厚みを測定し、その平均値をシートの厚みとする。
YI増加率(%)=(加熱後のシートの黄色度-加熱前のシートの黄色度)/加熱前のシートの黄色度×100
なお、上記式において、シートの黄色度はJIS K 7373:2006に準拠して測定した黄色度である。
そして、本発明においては、初期YI値が1.5以下であり、かつYI増加率が上記範囲内である場合に、シートの着色(黄変)が抑制されていると判定できる。
本実施形態のシートには、分散液に含まれ得る任意成分が含まれていてもよい。なかでも、シートは、上述した親水性高分子を含むことが好ましく、親水性高分子は、親水性の含酸素有機化合物であることが好ましい。シートに含まれる含酸素有機化合物の含有量は、シートに含まれる微細繊維状セルロース100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、15質量部以上であることがさらに好ましい。また、シートに含まれる含酸素有機化合物の含有量は、シートに含まれる微細繊維状セルロース100質量部に対して、1000質量部以下であることが好ましく、500質量部以下であることがより好ましく、100質量部以下であることがさらに好ましく、50質量部以下であることが特に好ましい。含酸素有機化合物の含有量を上記範囲内とすることにより、高い透明性と強度を有するシートを形成することができる。
本発明の微細繊維状セルロースの用途は、特に制限されるものではないが、例えばコンクリート先行剤、潤滑剤、鋳型成形用組成物、歯科材料、研磨剤、剥離剤、製紙用添加剤、金属表面処理剤、樹脂表面処理剤、石油掘削、接着剤、洗浄剤、電池・コンデンサー用電極・セパレータ、凍結抑制剤、配管摩擦抵抗低減剤、フィルタ、芳香・消臭剤、アスファルト、吸収性物品、水解性シート、抗菌剤、殺虫剤・昆虫忌避剤、農薬等を挙げることができる。中でも、本発明の微細繊維状セルロースは、コンクリート先行剤用、潤滑剤用、鋳型成形用組成物用、歯科材料用、研磨剤用、剥離剤用、製紙用添加剤用であることが好ましい。
[リン酸化処理]
原料パルプとして、王子製紙製の広葉樹溶解パルプ(ドライシート)を使用した。この原料パルプに対してリン酸化処理を次のようにして行った。まず、上記原料パルプ100質量部(絶乾質量)に、リン酸二水素アンモニウムと尿素の混合水溶液を添加して、リン酸二水素アンモニウム45質量部、尿素120質量部、水150質量部となるように調整し、薬液含浸パルプを得た。次いで、得られた薬液含浸パルプを165℃の熱風乾燥機で250秒加熱し、パルプ中のセルロースにリン酸基を導入し、リン酸化パルプを得た。
次いで、得られたリン酸化パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、リン酸化パルプ100g(絶乾質量)に対して10Lのイオン交換水を注いで得たパルプ分散液を、パルプが均一に分散するよう撹拌した後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
次いで、洗浄後のリン酸化パルプに対して中和処理を次のようにして行った。まず、洗浄後のリン酸化パルプを10Lのイオン交換水で希釈した後、撹拌しながら1Nの水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ添加することにより、pHが12以上13以下のリン酸化パルプスラリーを得た。次いで、当該リン酸化パルプスラリーを脱水して、中和処理が施されたリン酸化パルプを得た。次いで、中和処理後のリン酸化パルプに対して、上記洗浄処理を行った。
得られたリン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、スターバースト)で200MPaの圧力にて6回処理し、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。X線回折により、この微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。なお、後述する[リンオキソ酸基量]の測定に記載の測定方法で測定されるリン酸基量(第1解離酸量)は、1.45mmol/gだった。なお、総解離酸量は、2.45mmol/gであった。
リン酸化パルプの洗浄処理及び中和処理後に、下記の窒素除去処理を行った以外は製造例1と同様にして、リン酸化パルプ及び微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。
リン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が4質量%のスラリーを調製した。スラリーに48質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH13.4に調整し、液温85℃の条件で1時間加熱した。その後、このパルプスラリーを脱水し、リン酸化パルプ100g(絶乾質量)に対して10Lのイオン交換水を注いで得たパルプ分散液を、パルプが均一に分散するよう撹拌し、濾過脱水する操作を繰り返すことにより余剰の水酸化ナトリウムを除去した。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、除去の終点とした。
[亜リン酸化処理]
リン酸化処理においてリン酸二水素アンモニウムの代わりに亜リン酸(ホスホン酸)33質量部を用いた以外は、製造例1と同様に操作を行い、リン酸化パルプ及び微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。
[硫酸化処理]
リン酸化処理においてリン酸二水素アンモニウムの代わりにアミド硫酸(スルファミン酸)38質量部を用いて、加熱時間を19分間に延長した以外は、製造例1と同様に操作を行い、硫酸化パルプ及び微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。
リン酸化処理に代えて下記のザンテート化処理を行った以外は、製造例1と同様に操作を行い、ザンテート化パルプ及び微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を得た。
原料パルプ(王子製紙製の広葉樹溶解パルプ(ドライシート))100質量部(絶乾質量)に、8.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液2500質量部を添加し、室温にて3時間撹拌してアルカリ処理を行った。このアルカリ処理後のパルプを遠心分離(ろ布400メッシュ、3000rpmで5分間)により固液分離してアルカリセルロースの脱水物を得た。得られたアルカリセルロース10質量部(絶乾質量)に対して、二硫化炭素を3.5質量部添加し、室温で4.5時間硫化反応を進行させてザンテート化処理を行った。
原料パルプ(王子製紙製の広葉樹溶解パルプ(ドライシート))にイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置(スギノマシン社製、スターバースト)で200MPaの圧力にて30回処理し、繊維幅が1000nmよりも大きい粗大繊維状セルロースを含むセルロース分散液を得た。
[置換基除去処理(高温熱処理)]
製造例1で得られた微細繊維状セルロース分散液に、20質量%のクエン酸水溶液を添加し、分散液のpHを5.5に調整した。得られたスラリーを耐圧容器に入れ、液温160℃で15分間、リン酸基量が0.08mmol/gとなるまで加熱を行った。この操作により微細繊維状セルロース凝集物の生成が確認された。
加熱後のスラリーに、スラリーと同量のイオン交換水を加えて固形分濃度が約1質量%のスラリーとし、スラリーを撹拌した後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより、スラリーの洗浄を行った。ろ液の電気伝導度が10μS/cm以下となった時点で、再びイオン交換水を添加して約1質量%のスラリーとし、24時間静置した。そこからさらに濾過脱水する操作を繰り返し、再びろ液の電気伝導度が10μS/cm以下となった時点を洗浄終点とした。得られた微細繊維状セルロース凝集物にイオン交換水を加え、置換基除去後スラリーを得た。このスラリーの固形分濃度は1.7質量%であった。
得られた置換基除去後スラリーにイオン交換水を加え、固形分濃度が1.0質量%のスラリーとした。このスラリーはpH5.5であった。湿式微粒化装置(スギノマシン社製、スターバースト)で200MPaの圧力にて3回処理し、置換基除去微細繊維状セルロースを含む置換基除去微細繊維状セルロース分散液を得た。後述する[繊維幅の測定]で測定した置換基除去微細繊維状セルロースの数平均繊維幅は4nmであり、分散液中に含まれる全繊維状セルロースのうち繊維幅が10nm以下の微細繊維状セルロースの割合は98%であった。
イオン交換水に、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル株式会社製、ゴーセネックスZ-200)を12質量%になるように加え、95℃で1時間撹拌し、溶解した。以上の手順により、ポリビニルアルコール水溶液を得た。
置換基除去処理を、液温85℃で5日間行った以外は実施例1と同様にして、置換基除去微細繊維状セルロース分散液及び置換基除去微細繊維状セルロース含有シートを得た。
製造例1で得られた微細繊維状セルロース分散液を0.7質量%に希釈し、置換基除去処理を行った。置換基除去後の洗浄処理工程の後、得られた微細繊維状セルロース凝集物にイオン交換水を加え、固形分濃度が1.0質量%のスラリーとした。その他は実施例1と同様にして、置換基除去微細繊維状セルロース分散液及び置換基除去微細繊維状セルロース含有シートを得た。
置換基除去処理を液温160℃で40分間行い、リン酸基量が0.05mmol/gとなるまで行った以外は実施例1と同様にして、置換基除去微細繊維状セルロース分散液および置換基除去微細繊維状セルロース含有シートを得た。
置換基除去処理を液温150℃で15分間行い、リン酸基量が0.21mmol/g程度となるまで行った以外は実施例1と同様にして、置換基除去微細繊維状セルロース分散液及び置換基除去微細繊維状セルロース含有シートを得た。
置換基除去処理を液温140℃で20分間行い、リン酸基量が0.40mmol/g程度となるまで行った以外は実施例1と同様にして、置換基除去微細繊維状セルロース分散液及び置換基除去微細繊維状セルロース含有シートを得た。
置換基除去処理に供する微細繊維状セルロース分散液のpHを2.4に調整し、置換基除去後スラリーの洗浄処理後にはpH5.5に調整した以外は実施例1と同様にして、置換基除去微細繊維状セルロース分散液及び置換基除去微細繊維状セルロース含有シートを得た。置換基除去後のリン酸基量は0.22mmol/gであった。
置換基除去処理に供する微細繊維状セルロース分散液のpH調整を行わず加熱処理を行い、置換基除去後スラリーの洗浄処理後にはpH5.5に調整した以外は実施例1と同様にして、置換基除去微細繊維状セルロース分散液及び置換基除去微細繊維状セルロース含有シートを得た。置換基除去後のリン酸基量は0.29mmol/gであった。
置換基除去後スラリーの均一分散を、高速解繊機(エムテクニック社製、クレアミックス-11S)を用いて、周速34m/secの条件で180分間処理した以外は実施例1と同様にして、置換基除去微細繊維状セルロース分散液及び置換基除去微細繊維状セルロース含有シートを得た。
置換基除去処理を、加熱処理ではなく下記の酵素処理で行い、さらに置換基除去後スラリーの洗浄処理を下記の方法で行った以外は実施例1と同様にして、置換基除去微細繊維状セルロース分散液及び置換基除去微細繊維状セルロース含有シートを得た。
得られた微細繊維状セルロース分散液に、20質量%のクエン酸水溶液を添加し、スラリーをpH5.5に調整した。得られたスラリーに、酸性ホスファターゼ(新日本化学工業製スミチームPM)を微細繊維状セルロース100質量部に対して3質量部となるように添加し、37℃の湯浴中で2.5時間酵素処理を行った。この操作により微細繊維状セルロース凝集物の生成が確認された。
得られた置換基除去後スラリーに、体積で1/5の強塩基性イオン交換樹脂(アンバージェット4400;オルガノ株式会社、コンディショニング済)及び弱酸性イオン交換樹脂(アンバーライトIRC76;オルガノ株式会社、コンディショニング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することによりスラリーを洗浄した。
製造例1で得られた微細繊維状セルロース分散液に代えて、製造例2で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、置換基除去微細繊維状セルロース分散液及び置換基除去微細繊維状セルロース含有シートを得た。
製造例1で得られた微細繊維状セルロース分散液に代えて、製造例3で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、置換基除去微細繊維状セルロース分散液及び置換基除去微細繊維状セルロース含有シートを得た。
製造例1で得られた微細繊維状セルロース分散液に代えて、製造例4で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、置換基除去微細繊維状セルロース分散液及び置換基除去微細繊維状セルロース含有シートを得た。
製造例1で得られた微細繊維状セルロース分散液に代えて、製造例5で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いた。さらに置換基除去処理(高温熱処理)の代わりに後述する置換基除去処理(低温熱処理)を行った。その他は実施例1と同様にして、置換基除去微細繊維状セルロース分散液及び置換基除去微細繊維状セルロース含有シートを得た。
得られた微細繊維状セルロース分散液を、液温40℃で45分間加熱し、ザンテート基量が0.08mmol/gとなるまで加熱を行った。
[シートの作製1]において、置換基除去微細繊維状セルロース分散液に代えて、製造例1で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いた以外は、上記[シートの作製1]と同様の操作を行い、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
製造例3で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いた以外は比較例1と同様にして、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
製造例4で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いた以外は比較例1と同様にして、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
製造例5で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いた以外は比較例1と同様にして、微細繊維状セルロース含有シートを得た。
置換基除去処理を液温140℃で10分間行い、リン酸基量が0.74mmol/g程度となるまで行った以外は実施例1と同様にして、置換基除去微細繊維状セルロース分散液及び置換基除去微細繊維状セルロース含有シートを得た。
製造例6で得られた粗大繊維状セルロースを含むセルロース分散液を用いた以外は比較例1と同様にして、粗大繊維状セルロースを含むシートを得た。
置換基除去後スラリーの均一分散を行わなかった以外は実施例1と同様にして、置換基除去微細繊維状セルロース分散液及び置換基除去微細繊維状セルロース含有シートを得た。
置換基除去後スラリーの均一分散を行わなかった以外は実施例12と同様にして、置換基除去微細繊維状セルロース分散液及び置換基除去微細繊維状セルロース含有シートを得た。
置換基除去後スラリーの均一分散を行わなかった以外は実施例13と同様にして、置換基除去微細繊維状セルロース分散液及び置換基除去微細繊維状セルロース含有シートを得た。
置換基除去後スラリーの均一分散を行わなかった以外は実施例14と同様にして、置換基除去微細繊維状セルロース分散液及び置換基除去微細繊維状セルロース含有シートを得た。
置換基除去後スラリーの均一分散を行わず、ディスパーザーにて2000rpmで10分間撹拌した以外は実施例1と同様にして、置換基除去微細繊維状セルロース分散液及び置換基除去微細繊維状セルロース含有シートを得た。
下記の通り、スラリー状ではなくシート状での置換基除去を行い、置換基除去微細繊維状セルロース含有シートを得た。
置換基除去前の製造例1で得られた微細繊維状セルロース分散液に、グリセリンを微細繊維状セルロース100質量部に対し、15質量部になるように添加した。なお、固形分濃度が0.5質量%となるよう濃度調製を行った。シートの仕上がり坪量が37.5g/m2になるようにスラリー量を計量して、市販のアクリル板に展開し50℃のオーブンにて乾燥した。なお、所定の坪量となるようアクリル板上には堰止用の板を配置し、得られるシートが四角形になるようにした。以上の手順により、微細繊維状セルロース含有シートを得た。得られたシートの厚さは25μm、密度は1.49g/cm3であった。
ステンレス板の上に、耐熱性ゴムシート(信越化学製、X-30-4084-U)に100mmφの穴をあけたものを載せ、穴の中にエチレングリコール11mLを充填した。そこに5cm四方に切り出した微細繊維状セルロース含有シートを浸漬し、その上にステンレス板を重ねて、180℃に加熱した熱プレス機(井元製作所製:手動油圧真空加熱プレス)に設置した。置換基除去処理として、シートを180℃で15分間処理した後、シートを30mLのメタノールに浸漬し、洗浄を行った。洗浄を3回繰り返し、シートをガラスに貼り付け、100℃で5分加熱乾燥させ、置換基除去微細繊維状セルロース含有シートを得た。なお、後述する[シート中のリン酸基量の測定]に記載の測定方法で測定されるリン酸基量は0.1mmol/g未満であった。
[置換基除去後スラリーの洗浄処理]の代わりに下記[置換基除去後スラリーのイオン交換樹脂処理]を行った以外は実施例1と同様にして、置換基除去微細繊維状セルロース分散液及び置換基除去微細繊維状セルロース含有シートを得た。
[置換基除去処理(高温熱処理)]で得られた加熱後のスラリーにイオン交換水を加えて固形分濃度が約1.1質量%のスラリーとした後、体積比で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショニング済)および体積比で1/10の強塩基性イオン交換樹脂(アンバージェット4400;オルガノ株式会社、コンディショニング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離した。得られたスラリーはpH3.1であった。
[置換基除去処理(高温熱処理)]においてクエン酸を添加せず、微細繊維状セルロース分散液の1/10量の尿素を添加した以外は比較例13と同様にして、置換基除去微細繊維状セルロース分散液及び置換基除去微細繊維状セルロース含有シートを得た。
実施例及び比較例で得られた分散液及びシートについて、下記の方法で評価を行った。
繊維状セルロースの繊維幅を下記の方法で測定した。各繊維状セルロース分散液を、セルロースの濃度が0.01質量%以上0.1質量%以下となるように水で希釈し、親水化処理したカーボン膜被覆グリッド上にキャストした。これを乾燥した後、酢酸ウラニルで染色し、透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子社製、JEOL-2000EX)により観察した。その際、得られた画像内に縦横任意の画像幅の軸を想定し、その軸に対し、20本以上の繊維が交差するよう、倍率を調節した。この条件を満たす観察画像を得た後、この画像に対し、1枚の画像当たり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交差する繊維の繊維幅を目視で読み取っていった。各分散液につき3枚の重複しない観察画像を撮影し、各々2つの軸に交差する繊維の繊維幅の値を読み取った(20本以上×2×3=120本以上)。なお、このようにして得られた繊維幅から数平均繊維幅を算出した。但し、製造例6のみ、得られた分散液をセルロースの濃度が0.01質量%以上0.1質量%以下となるように水で希釈し、ガラス上へキャストして走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
また、下記式に基づいて、繊維幅が10nm以下の微細繊維状セルロースの割合を求めた。
繊維幅が10nm以下の微細繊維状セルロースの割合(%)=(繊維幅が10nm以下の微細繊維状セルロースの本数/全繊維状セルロースの本数)×100
リンオキソ酸基量(リン酸基もしくは亜リン酸基量)の測定においては、まず、対象となる微細繊維状セルロースにイオン交換水を添加し、固形分濃度が0.2質量%のスラリーを調製した。得られたスラリーに対し、イオン交換樹脂による処理を行った後、アルカリを用いた滴定を行うことにより測定した。
イオン交換樹脂による処理は、上記微細繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショニング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することにより行った。
また、アルカリを用いた滴定は、イオン交換樹脂による処理後の微細繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を、5秒に10μLずつ加えながら、スラリーが示すpHの値の変化を計測することにより行った。なお、滴定開始の15分前から窒素ガスをスラリーに吹き込みながら滴定を行った。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ観測される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ(図1)。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中の第1解離酸量と等しくなる。また、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中の総解離酸量と等しくなる。なお、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除した値をリンオキソ酸基量(mmol/g)とした。
なお、パルプのリンオキソ酸基量を測定する場合には、リンオキソ酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製し、このスラリーを、湿式微粒化装置(株式会社スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて6回処理して得られた分散液に対して、上述した方法と同様にアルカリを用いた滴定を行った。
スルホン基量は、次のように測定した。微細繊維状セルロースを冷凍庫で凍結させた後、凍結乾燥機(ラブコンコ社製FreeZone)で3日間乾燥させた。得られた凍結乾燥物をハンドミキサー(大阪ケミカル製、ラボミルサーPLUS)を用い、回転数20,000rpmで60秒、粉砕処理を行って粉末状にした。凍結乾燥及び粉砕処理後の試料を密閉容器中で硝酸を用いて加圧加熱分解した。その後、適宜希釈してICP-OESで硫黄量を測定した。供試した微細繊維状セルロースの絶乾質量で割り返して算出した値を硫酸エステル基量(単位:mmol/g)とした。
ザンテート基量は、Bredee法により測定した。具体的には、繊維状セルロース1.5質量部(絶乾質量)に飽和塩化アンモニウム溶液を40mL添加し、ガラス棒でサンプルを潰しながらよく混合し、約15分間放置後、GFPろ紙(ADVANTEC社製GS-25)でろ過して、飽和塩化アンモニウム溶液で十分に洗浄した。サンプルをGFPろ紙ごと500mLのトールビーカーに入れ、0.5M水酸化ナトリウム溶液(5℃)を50mL添加して撹拌した。15分間放置後、溶液がピンク色になるまでフェノールフタレイン溶液を添加した後、1.5M酢酸を添加して、溶液がピンク色から無色になった点を中和点とした。中和後蒸留水を250mL添加してよく撹拌し、1.5M酢酸10mL、0.05mol/Lヨウ素溶液10mLをホールピペットを使用して添加した。この溶液を0.05mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定した。チオ硫酸ナトリウムの滴定量、繊維状セルロースの絶乾質量より次式からザンテート基量を算出した。
ザンテート基量(mmol/g)=(0.05×10×2-0.05×チオ硫酸ナトリウム滴定量(mL))/1000/繊維状セルロースの絶乾質量(g)
蛍光X線分析により、シート中のリン原子濃度を測定した。具体的には、シートにX線を照射したときにリン原子の内殻電子が励起されて生じた空孔に、外殻の電子が遷移する際に放出されるリン原子の特性X線の強度を測定し、下記の方法で作製される検量線よりリン原子の濃度を算出した。検量線は、リン酸基量が既知の微細繊維状セルロース分散液からシートを作製し、蛍光X線分析を実施後、リン原子の特性X線強度とリン酸基量のプロットを得ることにより作製した。
分散液のヘーズの測定は、繊維状セルロース分散液をイオン交換水で0.2質量%となるように希釈した後、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所社製、HM-150)で、光路長1cmの液体用ガラスセル(藤原製作所製、MG-40、逆光路)を用いて、JIS K 7136:2000に準拠して測定した。なお、ゼロ点測定は、同ガラスセルに入れたイオン交換水で行った。また、測定対象の分散液は測定前に23℃、相対湿度50%の環境下に24時間静置した。測定時の分散液の液温は23℃であった。
繊維状セルロース分散液を遠心分離した後のナノファイバー収率を以下に記載の方法により測定した。ナノファイバー収率は、微細繊維状セルロースの収率の指標となり、ナノファイバー収率が高い程、微細繊維状セルロースの収率が高い。各分散液をセルロース濃度0.1質量%に調整し、冷却高速遠心分離機(コクサン社、H-2000B)を用い、12000G、10分の条件で遠心分離した。得られた上澄み液を回収し、上澄み液のセルロース濃度を測定した。下記式に基づいて、微細繊維状セルロースの収率を求めた。
ナノファイバー収率(質量%)=上澄みのセルロース濃度(質量%)/0.1×100
微細繊維状セルロースに含まれる窒素と微細繊維状セルロース分散液中に含まれる遊離窒素の合計量を以下に記載の方法により測定した。各分散液を固形分濃度1質量%に調整し、ケルダール法(JIS K 0102:2016 44.1)で分解した。分解後、陽イオンクロマトグラフィでアンモニウムイオン量(mmol)を測定し、測定に使用したセルロース量(g)で除して窒素含有量(mmol/g)を算出した。
繊維状セルロース(微細繊維状セルロース、粗大繊維状セルロース)を含むスラリーを凍結乾燥し、さらに粉砕した試料を、微量窒素分析することでカルバミド基量を測定した。微細繊維状セルロース単位質量あたりのカルバミド基の導入量(mmol/g)は、微量窒素分析で得られた微細繊維状セルロース単位質量あたりの窒素含有量(g/g)を窒素の原子量で除することで算出した。
JIS K 7361-1:1997に準拠し、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所社製、HM-150)を用いてシートの全光線透過率を測定した。
JIS K 7136:2000に準拠し、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所社製、HM-150)を用いてシートのヘーズを測定した。
JIS K 7373:2006に準拠し、Colour Cute i(スガ試験機株式会社製)を用いてシートの加熱前後の黄色度を測定した。なお、加熱後の黄色度は、160℃で6時間加熱したシートの黄色度とした。測定した黄色度について、下記式を用いて厚み50μmにおけるYI値に換算した。
厚み50μmにおけるYI値=シートのYI値(実測値)×[50/シートの厚み(μm)]
ここで、シートの厚みは触針式定圧厚さ計測定器(マール社TECLOCK CORPORATION製、ミリトロン1202DPG-02)を用いて、以下の方法にしたがって測定した。50mm角以上の大きさに切り出したシートを23℃、相対湿度50%で24時間調湿した後、任意の点4点の厚みを測定し、その平均値をシートの厚みとした。
また、加熱前後のシートの黄色度から、下記の方法でYI増加率を算出した。
YI増加率(%)=(加熱後のシートの黄色度-加熱前のシートの黄色度)/加熱前のシートの黄色度×100
さらに、実施例1、3、10及び11において得られた置換基除去微細繊維状セルロース含有シートの表面粗さを測定した。シートの表面粗さは、原子間力顕微鏡(Veeco社製、NanoScope IIIa)を用いて測定し、シートの表面の3μm四方の算術平均粗さをシートの表面粗さとした。
さらに、実施例1及び比較例13において得られた置換基除去微細繊維状セルロース含有分散液のpHおよびシート表面pHを測定した。シートの表面pHを測定する際には、シート表面の1cm四方の範囲内に10μLのイオン交換水をマイクロピペットで滴下し、その部分のpHをフラット形pH複合電極(6261-10C;HORIBA製)を用いて測定した。
さらに、実施例1及び比較例13において得られた置換基除去微細繊維状セルロース含有分散液の粘度を測定した。粘度は微細繊維状セルロース濃度を0.4質量%とし、測定前に23℃、相対湿度50%の環境下で24時間静置後、B型粘度計(BLOOKFIELD社製、アナログ粘度計T-LVT)を用いて、23℃、回転速度3rpmの条件下で測定開始から3分後の粘度を測定した。
さらに、実施例1及び比較例13及び比較例14において得られた置換基除去微細繊維状セルロース含有分散液中の遊離窒素量を測定した。微細繊維状セルロース分散液に微細繊維状セルロース濃度が0.2質量%となるように蒸留水を添加し、24時間撹拌した。撹拌後、孔径0.45μmの濾材を使用して濾液を得た。
<実施例15>
多孔質炭酸カルシウム100質量部、水200質量部を混合し、そこへ実施例1で得られた置換基除去微細繊維状セルロース分散液を、固形分が0.015質量部となるように添加し、よく混合し、コンクリート先行剤を作製した。得られたコンクリート先行剤は良好な分散安定性を示し、かつ組成物の粘度は十分に低く、実使用時におけるハンドリング性において問題ない範囲であった。従って上記の組成物は、コンクリート先行剤として良好であった。
<実施例16>
実施例1で得られた、置換基除去微細繊維状セルロース分散液を固形分として0.2質量部、ポリアルキレングリコール12.5質量部、プロピレングリコール45.0質量部、モルホリン1.0質量部、ラウリン酸1.5質量部、金属不活性剤(メチルベンゾトリアゾールアルカノールアミン塩)0.001質量部、全体を100質量部として残りが水となるように調製・撹拌し、潤滑剤を作製した。得られた潤滑剤は良好な潤滑性かつ保存安定性を示した。従って上記の組成物は、機器類の摩擦部分において使用される潤滑剤として良好であった。
<実施例17>
実施例1で得られた、置換基除去微細繊維状セルロース分散液を固形分として0.25質量部、無機材料としてアルミナ(Al2O3)(Al-160SG-4、昭和電工社製)を100質量部、分散剤としてA-6114(カルボン酸系共重合体アンモニウム塩、東亞合成社製)を0.2質量部、水を40質量部混合した後、ボールミルを用いて24時間混合し、鋳型成形用組成物を調製した。得られた鋳型成形用組成物は良好な分散安定性かつ鋳込み性を示した。また、得られた鋳型成形用組成物を石膏鋳型に注入し、室温で24時間、静置して乾燥することによって、湿潤成形体を得た。得られた湿潤成形体を電気炉で焼成し、鋳型成形体を作製した。得られた鋳型成形体は、鋳型から容易に脱型することができ、セラミックスの緻密性が高かった。従って上記の組成物は、セラミックス製品等の鋳型成形体の製造効率を向上させるための鋳型成形用組成物として良好であった。
<実施例18>
二水石膏4質量部、無水石膏9質量部、酸化マグネシウム3.2質量部、流動パラフィン6質量部、界面活性剤(デカグリセリトリオレート)1質量部、リン酸三ナトリウム0.3質量部、珪藻土3質量部を混錬し、硬化材ペーストを調製した。さらにアルギン酸カリウム3.5質量部、水60質量部、珪藻土10質量部を混錬し、基材ペーストを調製した。さらに、実施例1で得られた置換基除去微細繊維状セルロース分散液100質量部に、イソプロパノールを200質量部添加し、微細繊維状セルロースを沈殿させた。沈殿物をろ過で回収し、回収した微細繊維状セルロースを70℃のオーブンで3時間加熱した。加熱後の微細繊維状セルロースは固形分濃度15質量%であった。この微細繊維状セルロースを固形分として1質量部、硬化材ペーストが26.2質量部、基材ペーストが72.8質量部となるように混合・混錬し、歯科材料用組成物を得た。得られた歯科材料用組成物は、良好な破砕抗力および耐熱性を示した。従って上記の組成物は、口腔内で鋳造歯冠修復処理や欠損補綴処理に用いられる歯科材料として良好であった。
比較例1で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いた以外は実施例18と同様にして、歯科材料用組成物を得た。
JIS K 7373:2006に準拠し、Colour Cute i(スガ試験機株式会社製)を用いた反射測定方法によって、実施例18及び比較例15で得られた歯科材料用組成物の加熱前後のYI増加率を測定した。なお、加熱後の黄色度は、160℃で6時間加熱した組成物の黄色度とし、下記の方法でYI増加率を測定した。
YI増加率(%)=(加熱後の組成物の黄色度-加熱前の組成物の黄色度)/加熱前の組成物の黄色度×100
<実施例19>
実施例1で得られた置換基除去微細繊維状セルロース分散液を固形分として0.2質量部、酸化セリウム30質量部、全体が100質量部として残りが水になるように調製・撹拌し、研磨剤を得た。得られた研磨剤は、良好なスプレー性およびタレ防止性を示した。従って上記の組成物は、金属製品、ガラス製品、石材製品、樹脂製品等の研磨よび洗浄に用いられる研磨剤として良好であった。
<実施例20>
実施例1で得られた置換基除去微細繊維状セルロース分散液を固形分として0.4質量部、ベンジルアルコールを35質量部、過酸化水素(H2O2)を2質量部、全体を100質量部として残りが水になるように調製・撹拌し、剥離剤を作製した。得られた剥離剤は、塗膜剥離試験の結果が良好かつ、剥離補助剤添加後の液ダレも見られなかった。従って上記の組成物は、塗膜を外壁や構造物等の素地から剥離する際等に使用される剥離剤として良好であった。
<実施例21>
古紙(新聞紙古紙、段ボール古紙、上質古紙、廃棄機密文書等の紙類)をパルパーにより溶解して再生古紙パルプスラリーを得た(濾水度:220ml、カルシウム量:60ppm、ナトリウム量:35ppm)。その後、異物除去装置により、再生古紙パルプスラリーからゴミ等の異物を除いた。次いで、再生古紙パルプの固形分100質量部に対して、実施例1で得られた置換基除去微細繊維状セルロース分散液を、固形分30質量部になるように、再生古紙パルプスラリーに添加した。得られた再生古紙パルプスラリーを成形機の容器に入れ、通常のパルプモールド用成形型を用いて、厚さ2.5±0.3mm、坪量420±50g/m2となるように調製した平板状のパルプモールドを得た。得られたパルプモールドは、良好な離型性および引張強度を示した。従って上記の組成物は、製紙用添加剤として良好であった。
再生古紙パルプに代えて、王子製紙製の広葉樹溶解パルプを使用した以外は実施例21と同様にして、パルプモールドを得た。
比較例1で得られた微細繊維状セルロース分散液を用いた以外は実施例22と同様にして、パルプモールドを得た。
JIS K 7373:2006に準拠し、Colour Cute i(スガ試験機株式会社製)を用いた反射測定方法によって、実施例22及び比較例16で得られたパルプモールドの加熱前後のYI増加率を測定した。なお、加熱後の黄色度は、160℃で6時間加熱した組成物の黄色度とし、下記の方法でYI増加率を測定した。
YI増加率(%)=(加熱後の組成物の黄色度-加熱前の組成物の黄色度)/加熱前の組成物の黄色度×100
実施例22のYI増加率は820%であったのに対し、比較例16のYI増加率は2060%であり、実施例22で得られた置換基除去微細繊維状セルロースを用いた場合は黄変が改善されていた。
Claims (28)
- アニオン性基の導入量が0.01mmol/g以上0.4mmol/g以下であり、繊維幅が1~10nmである、微細繊維状セルロースの水分散液であって、
下記式で算出されるナノファイバー収率が95質量%以上であり、
前記微細繊維状セルロースの濃度が0.2質量%の水分散液とした場合、前記水分散液のヘーズが5.0%以下となる、微細繊維状セルロースの水分散液;
ナノファイバー収率[質量%]=C/0.1×100
ここで、Cは、微細繊維状セルロースの濃度が0.1質量%の水分散液を、12000G、10分の条件で遠心分離した際に得られる上澄み液に含まれる微細繊維状セルロースの濃度である。 - 前記アニオン性基が、リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する基である、請求項1に記載の微細繊維状セルロースの水分散液。
- 前記微細繊維状セルロースがカルバミド基を有する、請求項1又は2に記載の微細繊維状セルロースの水分散液。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースの水分散液からシートを形成することを含む、シートの製造方法。
- アニオン性基の導入量が0.01mmol/g以上0.4mmol/g以下であり、かつ繊維幅が1~10nmの微細繊維状セルロースを含むシートであって、
ヘーズが5.0%以下であり、
下記式を用いて厚み50μmにおけるYI値に換算した値が1.5以下である、シート。
厚み50μmにおけるYI値=シートのYI値(実測値)×[50/シートの厚み(μm)] - 前記シートを160℃で6時間加熱した場合、下記式により算出されるYI増加率が1500%以下である請求項5に記載のシート;
YI増加率(%)=(加熱後のシートの黄色度-加熱前のシートの黄色度)/加熱前のシートの黄色度×100
上記式において、シートの黄色度はJIS K 7373:2006に準拠して測定した黄色度である。 - 全光線透過率が90.0%以上である、請求項5又は6に記載のシート。
- 少なくとも一方の面の表面粗さが10nm以下である、請求項5~7のいずれか1項に記載のシート。
- アニオン性基を有し、かつ繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースから、前記アニオン性基の少なくとも一部を除去する工程(A)と、
前記工程(A)の後に、置換基除去後スラリーの洗浄処理工程と、pH4以上で均一分散処理する工程(B)と、を含み、
前記工程(A)は、スラリー状で行われ、アニオン性基の導入量が0.01mmol/g以上0.4mmol/g以下となるまでアニオン性基が除去され、
前記工程(B)では、微細繊維状セルロースの繊維幅が1~10nmとなるように均一分散処理が行われる、微細繊維状セルロースの製造方法。 - 前記工程(A)に供される微細繊維状セルロースのアニオン性基の導入量は0.60mmol/g以上である、請求項9に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
- 前記アニオン性基が、リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する基である、請求項9又は10に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
- 前記工程(A)に供される微細繊維状セルロースはカルバミド基を有する、請求項9~11のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
- 窒素量を低減させる工程をさらに含む、請求項9~12のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースの製造方法。
- 前記工程(A)の前に、微細繊維状セルロースを含むスラリーのpHを3~8に調整する工程をさらに含む、請求項9~13のいずれか1項に記載の繊維状セルロースの製造方法。
- コンクリート先行剤用である、請求項1~3のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースの水分散液。
- 潤滑剤用である、請求項1~3のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースの水分散液。
- 鋳型成形用組成物用である、請求項1~3のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースの水分散液。
- 歯科材料用である、請求項1~3のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースの水分散液。
- 研磨剤用である、請求項1~3のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースの水分散液。
- 剥離剤用である、請求項1~3のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースの水分散液。
- 製紙用添加剤用である、請求項1~3のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースの水分散液。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースの水分散液を含む、コンクリート先行剤。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースの水分散液を含む、潤滑剤。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースの水分散液を含む、鋳型成形用組成物。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースの水分散液を含む、歯科材料。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースの水分散液を含む、研磨剤。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースの水分散液を含む、剥離剤。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の微細繊維状セルロースの水分散液を含む、製紙用添加剤。
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