JP7351305B2 - 繊維状セルロース含有組成物、液状組成物及び成形体 - Google Patents
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Description
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
アニオン性基の対イオンとして有機オニウムイオンを含み、
繊維状セルロース含有組成物中に含まれる固形分を絶乾状態とした場合に、絶乾固形分中における金属イオンの含有量が、80ppm以上700ppm以下である繊維状セルロース含有組成物。
[2] 繊維状セルロースにおけるアニオン性基量が、0.50mmol/g以上である[1]に記載の繊維状セルロース含有組成物。
[3] 有機オニウムイオンは、下記(a)及び(b)から選択される少なくとも一方の条件を満たす[1]又は[2]に記載の繊維状セルロース含有組成物;
(a)炭素数が5以上の炭化水素基を含む;
(b)総炭素数が17以上である。
[4] 有機オニウムイオンは、有機アンモニウムイオンである[1]~[3]のいずれかに記載の繊維状セルロース含有組成物。
[5] 金属イオンは、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンから選択される少なくとも一種である[1]~[4]のいずれかに記載の繊維状セルロース含有組成物。
[6] 固形分濃度が、80質量%以上である[1]~[5]のいずれかに記載の繊維状セルロース含有組成物。
[7] 固形状体である[1]~[6]のいずれかに記載の繊維状セルロース含有組成物。
[8] 粉粒物である[1]~[7]のいずれかに記載の繊維状セルロース含有組成物。
[9] [1]~[8]のいずれかに記載の繊維状セルロース含有組成物と、有機溶媒と、を混合してなる液状組成物。
[10] 樹脂をさらに含む[9]に記載の液状組成物。
[11] [1]~[8]のいずれかに記載の繊維状セルロース含有組成物、もしくは、[9]又は[10]に記載の液状組成物、から形成される成形体。
本発明は、繊維幅が1000nm以下であり、アニオン性基を有する繊維状セルロースと、金属イオンと、を含む繊維状セルロース含有組成物に関する。本発明の繊維状セルロース含有組成物は、アニオン性基の対イオンとして有機オニウムイオンを含み、繊維状セルロース含有組成物中に含まれる固形分を絶乾状態とした場合に、絶乾固形分中における金属イオンの含有量が、80ppm以上700ppm以下である。なお、本明細書において、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを微細繊維状セルロースと呼ぶこともある。
塩化物イオンの含有量を測定する際には、まず、繊維状セルロース含有組成物を105℃の条件下で絶乾になるまで(例えば、3時間以上)乾燥させる。次いで、絶乾固形分をJIS Z 7302-6に準拠して全塩素分試験機(吉田製作所製、ボンベ式)を用いて酸素雰囲気下で燃焼させた後、イオンクロマトグラフィー(サーモフィッシャサイエンティフィック社製、ICS2100)を用いて微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分中に含まれる塩化物イオン量を測定する。
本発明の繊維状セルロース含有組成物は、繊維幅が1000nm以下であり、アニオン性基を有する繊維状セルロースを含む。アニオン性基を有する繊維状セルロースの繊維幅は、100nm以下であることが好ましく、8nm以下であることがより好ましい。なお、繊維状セルロースの繊維幅は、たとえば電子顕微鏡観察などにより測定することが可能である。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交差する繊維の幅を目視で読み取る。このようにして、少なくとも互いに重なっていない表面部分の観察画像を3組以上得る。次いで、各画像に対して、直線X、直線Yと交差する繊維の幅を読み取る。これにより、少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。そして、読み取った繊維幅の平均値を、繊維状セルロースの平均繊維幅とする。
リン酸基は、たとえばリン酸からヒドロキシ基を取り除いたものにあたる、2価の官能基である。具体的には-PO3H2で表される基である。リン酸基に由来する置換基には、リン酸基の塩、リン酸エステル基などの置換基が含まれる。なお、リン酸基に由来する置換基は、リン酸基が縮合した基(たとえばピロリン酸基)として繊維状セルロースに含まれていてもよい。また、リン酸基は、たとえば、亜リン酸基(ホスホン酸基)であってもよく、リン酸基に由来する置換基は、亜リン酸基の塩、亜リン酸エステル基などであってもよい。
すなわち、下記計算式によってカルボキシ基導入量を算出する。
カルボキシ基導入量(C型)=カルボキシ基量(酸型)/{1+(W-1)×(カルボキシ基量(酸型))/1000}
W:陽イオンCの1価あたりの式量(例えば、Naは23、Alは9)
<繊維原料>
微細繊維状セルロースは、セルロースを含む繊維原料から製造される。セルロースを含む繊維原料としては、とくに限定されないが、入手しやすく安価である点からパルプを用いることが好ましい。パルプとしては、たとえば木材パルプ、非木材パルプ、および脱墨パルプが挙げられる。木材パルプとしては、とくに限定されないが、たとえば広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)および酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)およびケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)およびサーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、とくに限定されないが、たとえばコットンリンターおよびコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わらおよびバガス等の非木材系パルプが挙げられる。脱墨パルプとしては、とくに限定されないが、たとえば古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。本実施態様のパルプは上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
上記パルプの中でも、入手のしやすさという観点からは、たとえば木材パルプおよび脱墨パルプが好ましい。また、木材パルプの中でも、セルロース比率が大きく解繊処理時の微細繊維状セルロースの収率が高い観点や、パルプ中のセルロースの分解が小さく軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースが得られる観点から、たとえば化学パルプがより好ましく、クラフトパルプ、サルファイトパルプがさらに好ましい。なお、軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースを用いると粘度が高くなる傾向がある。
微細繊維状セルロースがリン酸基を有する場合、微細繊維状セルロースの製造工程は、リン酸基導入工程を含む。リン酸基導入工程は、セルロースを含む繊維原料が有する水酸基と反応することで、リン酸基を導入できる化合物から選択される少なくとも1種の化合物(以下、「化合物A」ともいう)を、セルロースを含む繊維原料に作用させる工程である。この工程により、リン酸基導入繊維が得られることとなる。
反応の均一性を向上させる観点から、化合物Bは水溶液として用いることが好ましい。また、反応の均一性をさらに向上させる観点からは、化合物Aと化合物Bの両方が溶解した水溶液を用いることが好ましい。
微細繊維状セルロースがカルボキシ基を有する場合、微細繊維状セルロースの製造工程は、カルボキシ基導入工程を含む。カルボキシ基導入工程は、セルロースを含む繊維原料に対し、オゾン酸化やフェントン法による酸化、TEMPO酸化処理などの酸化処理やカルボン酸由来の基を有する化合物もしくはその誘導体、またはカルボン酸由来の基を有する化合物の酸無水物もしくはその誘導体によって処理することにより行われる。
本実施形態における微細繊維状セルロースの製造方法においては、必要に応じてアニオン性基導入繊維に対して洗浄工程を行うことができる。洗浄工程は、たとえば水や有機溶媒によりアニオン性基導入繊維を洗浄することにより行われる。また、洗浄工程は後述する各工程の後に行われてもよく、各洗浄工程において実施される洗浄回数は、とくに限定されない。
微細繊維状セルロースを製造する場合、アニオン性基導入工程と、後述する解繊処理工程との間に、繊維原料に対してアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えばアルカリ溶液中に、アニオン性基導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。
微細繊維状セルロースを製造する場合、アニオン性基を導入する工程と、後述する解繊処理工程の間に、繊維原料に対して酸処理を行ってもよい。例えば、アニオン性基導入工程、酸処理、アルカリ処理及び解繊処理をこの順で行ってもよい。
アニオン性基導入繊維を解繊処理工程で解繊処理することにより、微細繊維状セルロースが得られる。解繊処理工程においては、たとえば解繊処理装置を用いることができる。解繊処理装置は、特に限定されないが、たとえば高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、またはビーターなどを使用することができる。上記解繊処理装置の中でも、粉砕メディアの影響が少なく、コンタミネーションのおそれが少ない高速解繊機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーを用いるのがより好ましい。
本発明の繊維状セルロース含有組成物は、微細繊維状セルロースが有するアニオン性基の対イオンとして、有機オニウムイオンを含む。本発明においては、少なくとも一部の有機オニウムイオンは、微細繊維状セルロースの対イオンとして存在しているが、繊維状セルロース含有組成物中には、遊離した有機オニウムイオンが存在していてもよい。なお、有機オニウムイオンは、繊維状セルロースと共有結合を形成するものではない。
(a)炭素数が5以上の炭化水素基を含む。
(b)総炭素数が17以上である。
すなわち、微細繊維状セルロースは、炭素数が5以上の炭化水素基を含む有機オニウムイオン、及び総炭素数が17以上の有機オニウムイオンから選択される少なくとも一方を、アニオン性基の対イオンとして含むことが好ましい。有機オニウムイオンを、上記(a)及び(b)から選択される少なくとも一方の条件を満たすものとすることにより、有機溶媒に対する微細繊維状セルロースの分散性をより効果的に高めることができる。
中でも、Mは、窒素原子であることが好ましい。すなわち、有機オニウムイオンは有機アンモニウムイオンであることが好ましい。また、R1~R4の少なくとも1つは、炭素数が5以上のアルキル基であり、かつR1~R4の炭素数の合計が17以上であることが好ましい。
本発明の繊維状セルロース含有組成物は、金属イオンを含む。金属イオンは、後述するように微細繊維状セルロースの濃縮物を得る工程で、有機オニウムイオンと微細繊維状セルロース含有スラリーを混合する前に、微細繊維状セルロースがアニオン性基の対イオンとして有していた金属イオンであることが好ましいが、金属イオンはこれに限定されるものではない。金属イオンは、繊維状セルロース含有組成物中に別途添加された金属イオンであってもよい。
本発明の繊維状セルロース含有組成物は、有機溶媒をさらに含むものであってもよい。なお、有機溶媒を含むことにより組成物が液体状となる場合には、繊維状セルロース含有組成物は、後述する液状組成物と呼ぶ。
本発明の繊維状セルロース含有組成物は、樹脂をさらに含むものであってもよい。樹脂の種類は特に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を挙げることができる。
繊維状セルロース含有組成物は、さらに他の任意成分を含有していてもよい。繊維状セルロース含有組成物が他の任意成分を含有する場合、任意成分は濃縮後に得られた繊維状セルロース含有組成物に添加・混合してもよく、濃縮前のスラリーに含有させてもよい。
繊維状セルロース含有組成物の製造工程は、微細繊維状セルロース含有スラリーに、有機オニウムイオンまたは、中和により有機オニウムイオンを形成する化合物を添加する工程を含む。具体的には、上述した解繊処理工程で得られた微細繊維状セルロース含有スラリーに、上述したような有機オニウムイオンまたは、中和により有機オニウムイオンを形成する化合物を添加する。この際、有機オニウムイオンは、有機オニウムイオンを含有した溶液として添加することが好ましく、有機オニウムイオンを含有した水溶液として添加することがより好ましい。
また、添加する有機オニウムイオンのモル数は、微細繊維状セルロースが含むアニオン性基の量(モル数)に価数を乗じた値の0.2倍以上であることが好ましく、1.0倍以上であることがより好ましく、2.0倍以上であることがさらに好ましい。なお、添加する有機オニウムイオンのモル数は、微細繊維状セルロースが含むアニオン性基の量(モル数)に価数を乗じた値の10倍以下であることが好ましい。
本発明の繊維状セルロース含有組成物は、有機溶媒混合用として好ましく用いられる。すなわち、有機溶媒を含む系の増粘剤や粒子分散安定剤として使用することができる。特に樹脂成分を含む有機溶媒との混合に好ましく用いることができる。本発明の微細繊維状セルロースと、樹脂成分を含む有機溶媒を混合することで、微細繊維状セルロースが均一に分散した樹脂複合体を形成することができる。同様に微細繊維状セルロース再分散スラリーを用いて製膜し、各種フィルムとして使用することができる。
本発明は、上述した繊維状セルロース含有組成物と、有機溶媒と、を混合してなる液状組成物に関するものでもある。液状組成物は、上述した微細繊維状セルロース含有組成物が、有機溶媒を含む分散媒中に分散した繊維状セルロース含有分散液(再分散液)である。なお、本発明の液状組成物の分散媒は有機溶媒であることが好ましいが、有機溶媒の他に水をさらに含有していてもよい。なお、有機溶媒としては、上述した有機溶媒を列挙することができる。
なお、液状組成物中の固形分濃度は、1質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。なお、液状組成物中の固形分濃度は、50質量%未満であることが好ましい。
本発明は、上述した繊維状セルロース含有組成物、もしくは、上述した液状組成物から形成される成形体に関するものでもある。この場合、繊維状セルロース含有組成物及び液状組成物は樹脂を含むものであることが好ましい。本発明では、有機溶媒及び樹脂との相溶性に優れた微細繊維状セルロースを用いているため、成形体は、優れた曲げ弾性率を有し、さらに強度と寸法安定性にも優れている。加えて、本発明の成形体は透明性にも優れている。
〔微細繊維状セルロース分散液Aの製造〕
原料パルプとして、王子製紙製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量208g/m2シート状、離解してJIS P 8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)を使用した。
〔微細繊維状セルロース分散液Bの製造〕
原料パルプとして、王子製紙製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量208g/m2シート状、離解してJIS P 8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)を使用した。この原料パルプに対してTEMPO酸化処理を次のようにして行った。
〔微細繊維状セルロース濃縮物の製造〕
2.43質量%のN,N-ジドデシルメチルアミン水溶液100gに0.60gの乳酸を添加して事前に中和した後、製造例1で得られた微細繊維状セルロース分散液A 100gに添加した。熱媒を使用し、液温を5℃(以下、撹拌処理温度という)に保った状態で、ディスパーザーで5分間撹拌処理を行ったところ、微細繊維状セルロース分散液中に凝集物が生じた。凝集物が生じた微細繊維状セルロース分散液を減圧濾過することにより、微細繊維状セルロース凝集物を得た。得られた微細繊維状セルロース凝集物をイオン交換水で繰り返し洗うことで、微細繊維状セルロース凝集物に含まれる余剰なN,N-ジドデシルメチルアミン、乳酸及び溶出したイオン等を除去した。得られた微細繊維状セルロース凝集物を30℃、相対湿度40%の条件下で乾燥し、微細繊維状セルロース濃縮物(繊維状セルロース含有組成物)を得た。
微細繊維状セルロース濃縮物に含まれるリン酸基の対イオンは、N,N-ジドデシルメチルアンモニウム(DDMA+)となっていた。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の固形分濃度は93質量%であった。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分中に含まれる金属イオン量及び塩化物イオン量を後述の方法により測定した。
微細繊維状セルロース濃縮物に、微細繊維状セルロースの含有量が2.0質量%となるようN-メチルー2ーピロリドン(NMP)を添加した。その後、超音波処理装置(ヒールシャー製、UP400S)を用いて超音波処理を10分間行い、微細繊維状セルロース再分散スラリーを得た。得られた微細繊維状セルロース再分散スラリーの粘度及び波長600nmにおける光透過率を後述の方法により測定した。
微細繊維状セルロース濃縮物の製造時の撹拌処理温度を20℃とした以外は実施例1と同様にして、微細繊維状セルロース濃縮物及び微細繊維状セルロース再分散スラリーを得た。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の固形分濃度は95質量%であった。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分中に含まれる金属イオン量及び塩化物イオン量、得られた微細繊維状セルロース再分散スラリーの粘度及び波長600nmにおける光透過率を後述の方法により測定した。
製造例2で得られた微細繊維状セルロース分散液Bを、微細繊維状セルロース分散液Aの代わりに用いた。1.32質量%のN,N-ジドデシルメチルアミン水溶液100gに0.32gの乳酸を添加して中和した後に、微細繊維状セルロース分散液Bに添加した以外は、実施例1と同様にして微細繊維状セルロース濃縮物を得た。微細繊維状セルロース濃縮物に含まれるカルボキシ基の対イオンは、N,N-ジドデシルメチルアンモニウム(DDMA+)となっていた。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の固形分濃度は90質量%であった。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分中に含まれる金属イオン量及び塩化物イオン量、得られた微細繊維状セルロース再分散スラリーの粘度及び波長600nmにおける光透過率を後述の方法により測定した。
微細繊維状セルロース濃縮物の製造時の撹拌処理温度を20℃とした以外は実施例3と同様にして、微細繊維状セルロース濃縮物及び微細繊維状セルロース再分散スラリーを得た。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の固形分濃度は91質量%であった。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分中に含まれる金属イオン量及び塩化物イオン量、得られた微細繊維状セルロース再分散スラリーの粘度及び波長600nmにおける光透過率を後述の方法により測定した。
微細繊維状セルロース濃縮物の製造時の撹拌処理温度を80℃とした以外は実施例1と同様にして、微細繊維状セルロース濃縮物及び微細繊維状セルロース再分散スラリーを得た。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の固形分濃度は93質量%であった。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分中に含まれる金属イオン量及び塩化物イオン量、得られた微細繊維状セルロース再分散スラリーの粘度及び波長600nmにおける光透過率を後述の方法により測定した。
微細繊維状セルロース濃縮物の製造時の撹拌処理温度を80℃とした以外は実施例3と同様にして、微細繊維状セルロース濃縮物及び微細繊維状セルロース再分散スラリーを得た。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の固形分濃度は93質量%であった。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分中に含まれる金属イオン量及び塩化物イオン量、得られた微細繊維状セルロース再分散スラリーの粘度及び波長600nmにおける光透過率を後述の方法により測定した。
微細繊維状セルロース濃縮物の製造時に乳酸による事前中和を行わず、2.43質量%のN,N-ジドデシルメチルアミン水溶液100gを直接微細繊維状セルロース分散液Aに添加した以外は実施例2と同様にして、微細繊維状セルロース濃縮物及び微細繊維状セルロース再分散スラリーを得た。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の固形分濃度は86質量%であった。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分中に含まれる金属イオン量及び塩化物イオン量、得られた微細繊維状セルロース再分散スラリーの粘度及び波長600nmにおける光透過率を後述の方法により測定した。
〔酸型微細繊維状セルロースの製造〕
製造例1で得られた微細繊維状セルロース分散液A100gに1N塩酸を添加してpHを1に調整し、ディスパーザーで1時間撹拌処理を行った。その後、冷却高速遠心分離機(コクサン社、H-2000B)を用い、12000Gで、10分間遠心分離し、微細繊維状セルロースゲルを得た。得られた微細繊維状セルロースゲルにイオン交換水を添加し、撹拌処理を行ったところ、微細繊維状セルロースゲルが膨潤し、微細繊維状セルロースゲル中に含まれる余剰な塩酸、溶出したイオンを除去することができず、有機アミンとの反応工程に供試することができなかった。
〔酸型微細繊維状セルロースゲルの製造〕
製造例2で得られた微細繊維状セルロース分散液B150gに1N塩酸を添加してpHを1に調整し、ディスパーザーで1時間撹拌処理を行った。その後、冷却高速遠心分離機(コクサン社、H-2000B)を用い、12000Gで、10分間遠心分離し、微細繊維状セルロースゲルを得た。得られた微細繊維状セルロースゲルにイオン交換水を添加し、撹拌処理の後、12000Gで、10分間遠心分離を行い、微細繊維状セルロースゲルを得る工程を4回繰り返すことにより、微細繊維状セルロースゲル中に含まれる余剰な塩酸、溶出したイオンを除去した。得られた微細繊維状セルロースゲルに含まれるカルボキシ基が酸型であった。また、得られた微細繊維状セルロースゲルの固形分濃度は2.5質量%であった。
得られた酸型微細繊維状セルロースゲル100gにイソプロパノール(IPA)を50g添加した後、超音波処理装置(ヒールシャー製、UP400S)を用いて1分間超音波処理を行い、酸型微細繊維状セルロース分散液を得た。得られた酸型微細繊維状セルロース分散液に3.3質量%のN,N-ジドデシルメチルアミン溶液50gを添加し、24時間撹拌処理を行った。この時、反応液は白濁するものの、凝集物の生成は確認されなかった。次いで、反応液を4Lのイオン交換水に添加したところ、水中に凝集物が生じた。凝集物が生じた微細繊維状セルロース分散液を減圧濾過することにより、微細繊維状セルロース凝集物を得た。得られた微細繊維状セルロース凝集物をイオン交換水で繰り返し洗うことで、微細繊維状セルロース凝集物に含まれる余剰なN,N-ジドデシルメチルアミン、IPA及び溶出したイオン等を除去した。得られた微細繊維状セルロース凝集物を30℃、相対湿度40%の条件下で乾燥し、微細繊維状セルロース濃縮物を得た。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の固形分濃度は93質量%であった。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分中に含まれる金属イオン量及び塩化物イオン量を後述の方法により測定した。
実施例1と同様にして、微細繊維状セルロース再分散スラリーを得た。得られた微細繊維状セルロース再分散スラリーの粘度及び波長600nmにおける光透過率を後述の方法により測定した。
3.86gのジ-n-アルキルジメチルアンモニウムクロリド(アルキル鎖の炭素原子数は16個又は18個)を80℃で96.1gのイオン交換水に溶解後、常温に冷まし、3.86質量%のジ-n-アルキルジメチルアンモニウムクロリド水溶液を得た。3.86質量%のジ-n-アルキルジメチルアンモニウムクロリド水溶液100gを、乳酸で中和したN,N-ジドデシルメチルアミン水溶液の代わりに用い、N-メチルー2ーピロリドン(NMP)の代わりにトルエンを微細繊維状セルロース濃縮物に添加した以外は、実施例1と同様にして、微細繊維状セルロース濃縮物及び微細繊維状セルロース再分散スラリーを得た。微細繊維状セルロース濃縮物に含まれるリン酸基の対イオンは、ジ-n-アルキルジメチルアンモニウム(DADMA+)となっていた。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の固形分濃度は91質量%であった。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分中に含まれる金属イオン量及び塩化物イオン量、得られた微細繊維状セルロース再分散スラリーの粘度及び波長600nmにおける光透過率を後述の方法により測定した。
微細繊維状セルロース濃縮物の製造時の撹拌処理温度を20℃とした以外は実施例5と同様にして、微細繊維状セルロース濃縮物及び微細繊維状セルロース再分散スラリーを得た。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の固形分濃度は90質量%であった。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分中に含まれる金属イオン量及び塩化物イオン量、得られた微細繊維状セルロース再分散スラリーの粘度及び波長600nmにおける光透過率を後述の方法により測定した。
2.10gのジ-n-アルキルジメチルアンモニウムクロリド(アルキル鎖の炭素原子数は16個又は18個)を80℃で97.9gのイオン交換水に溶解後、常温に冷まし、2.10質量%のジ-n-アルキルジメチルアンモニウムクロリド水溶液を得た。製造例2で得られた微細繊維状セルロース分散液Bを、微細繊維状セルロース分散液Aの代わりに用い、2.10質量%のジ-n-アルキルジメチルアンモニウムクロリド水溶液100gを微細繊維状セルロース分散液Bに添加した以外は、実施例5と同様にして微細繊維状セルロース濃縮物を得た。微細繊維状セルロース濃縮物に含まれるカルボキシ基の対イオンは、ジ-n-アルキルジメチルアンモニウム(DADMA+)となっていた。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の固形分濃度は89質量%であった。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分中に含まれる金属イオン量及び塩化物イオン量、得られた微細繊維状セルロース再分散スラリーの粘度及び波長600nmにおける光透過率を後述の方法により測定した。
微細繊維状セルロース濃縮物の製造時の撹拌処理温度を80℃とした以外は実施例5と同様にして、微細繊維状セルロース濃縮物及び微細繊維状セルロース再分散スラリーを得た。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の固形分濃度は93質量%であった。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分中に含まれる金属イオン量及び塩化物イオン量、得られた微細繊維状セルロース再分散スラリーの粘度及び波長600nmにおける光透過率を後述の方法により測定した。
微細繊維状セルロース濃縮物の製造時の撹拌処理温度を80℃とした以外は実施例7と同様にして、微細繊維状セルロース濃縮物及び微細繊維状セルロース再分散スラリーを得た。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の固形分濃度は93質量%であった。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分中に含まれる金属イオン量及び塩化物イオン量、得られた微細繊維状セルロース再分散スラリーの粘度及び波長600nmにおける光透過率を後述の方法により測定した。
3.86gのジ-n-アルキルジメチルアンモニウムクロリド(アルキル鎖の炭素原子数は16個又は18個)を常温で67%のIPA水溶液に溶解し、3.86質量%のジ-n-アルキルジメチルアンモニウムクロリド溶液を得た。得られたジ-n-アルキルジメチルアンモニウムクロリド溶液100gを微細繊維状セルロース分散液Aに添加した以外は実施例6と同様にして、微細繊維状セルロース濃縮物及び微細繊維状セルロース再分散スラリーを得た。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の固形分濃度は93質量%であった。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分中に含まれる金属イオン量及び塩化物イオン量、得られた微細繊維状セルロース再分散スラリーの粘度及び波長600nmにおける光透過率を後述の方法により測定した。
2.33gのアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド(アルキル鎖の炭素原子数は8~18個)を80℃で97.7gのイオン交換水に溶解後、常温に冷まし、2.33質量%のアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド水溶液を得た。2.33質量%のアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド水溶液100gを、乳酸で中和したN,N-ジドデシルメチルアミン水溶液の代わりに用い、N-メチルー2ーピロリドン(NMP)の代わりにメタノールを微細繊維状セルロース濃縮物に添加した以外は、実施例1と同様にして、微細繊維状セルロース濃縮物及び微細繊維状セルロース再分散スラリーを得た。微細繊維状セルロース濃縮物に含まれるリン酸基の対イオンは、アルキルジメチルベンジルアンモニウム(ADMBA+)となっていた。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の固形分濃度は84質量%であった。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分中に含まれる金属イオン量及び塩化物イオン量、得られた微細繊維状セルロース再分散スラリーの粘度及び波長600nmにおける光透過率を後述の方法により測定した。
微細繊維状セルロース濃縮物の製造時の撹拌処理温度を20℃とした以外は実施例8と同様にして、微細繊維状セルロース濃縮物及び微細繊維状セルロース再分散スラリーを得た。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の固形分濃度は83質量%であった。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分中に含まれる金属イオン量及び塩化物イオン量、得られた微細繊維状セルロース再分散スラリーの粘度及び波長600nmにおける光透過率を後述の方法により測定した。
1.27gのアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド(アルキル鎖の炭素原子数は8~18個)を80℃で98.7gのイオン交換水に溶解後、常温に冷まし、1.27質量%のアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド水溶液を得た。製造例2で得られた微細繊維状セルロース分散液Bを、微細繊維状セルロース分散液Aの代わりに用い、1.27質量%のアルキルジメチルベンジルアンモニウム水溶液100gを微細繊維状セルロース分散液Bに添加した以外は、実施例8と同様にして微細繊維状セルロース濃縮物を得た。微細繊維状セルロース濃縮物に含まれるカルボキシ基の対イオンは、アルキルジメチルベンジルアンモニウム(ADMBA+)となっていた。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の固形分濃度は81質量%であった。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分中に含まれる金属イオン量及び塩化物イオン量、得られた微細繊維状セルロース再分散スラリーの粘度及び波長600nmにおける光透過率を後述の方法により測定した。
微細繊維状セルロース濃縮物の製造時の撹拌処理温度を80℃とした以外は実施例8と同様にして、微細繊維状セルロース濃縮物及び微細繊維状セルロース再分散スラリーを得た。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の固形分濃度は82質量%であった。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分中に含まれる金属イオン量及び塩化物イオン量、得られた微細繊維状セルロース再分散スラリーの粘度及び波長600nmにおける光透過率を後述の方法により測定した。
微細繊維状セルロース濃縮物の製造時の撹拌処理温度を80℃とした以外は実施例10と同様にして、微細繊維状セルロース濃縮物及び微細繊維状セルロース再分散スラリーを得た。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の固形分濃度は82質量%であった。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分中に含まれる金属イオン量及び塩化物イオン量、得られた微細繊維状セルロース再分散スラリーの粘度及び波長600nmにおける光透過率を後述の方法により測定した。
2.33gのアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド(アルキル鎖の炭素原子数は8~18個)を常温で67%IPA水溶液に溶解し、3.86質量%のアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド溶液を得た。得られたアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド溶液100gを微細繊維状セルロース分散液Aに添加した以外は実施例9と同様にして、微細繊維状セルロース濃縮物及び微細繊維状セルロース再分散スラリーを得た。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の固形分濃度は93質量%であった。得られた微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分中に含まれる金属イオン量及び塩化物イオン量、得られた微細繊維状セルロース再分散スラリーの粘度及び波長600nmにおける光透過率を後述の方法により測定した。
〔リン酸基量の測定〕
微細繊維状セルロースのリン酸基量は、対象となる微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液をイオン交換水で含有量が0.2質量%となるように希釈して作製した繊維状セルロース含有スラリーに対し、イオン交換樹脂による処理を行った後、アルカリを用いた滴定を行うことにより測定した。
イオン交換樹脂による処理は、上記繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することにより行った。
また、アルカリを用いた滴定は、イオン交換樹脂による処理後の繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を、30秒に1回、50μLずつ加えながら、スラリーが示す電気伝導度の値の変化を計測することにより行った。リン酸基量(mmol/g)は、計測結果のうち図1に示す第1領域に相当する領域において必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して算出した。
微細繊維状セルロースのカルボキシ基量は、対象となる微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液をイオン交換水で含有量が0.2質量%となるように希釈して作製した繊維状セルロース含有スラリーに対し、イオン交換樹脂による処理を行った後、アルカリを用いた滴定を行うことにより測定した。
イオン交換樹脂による処理は、上記繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することにより行った。
また、アルカリを用いた滴定は、イオン交換樹脂による処理後の繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を30秒に1回、50μLずつ加えながら、スラリーが示す電気伝導度の値の変化を計測することにより行った。カルボキシ基量(mmol/g)は、計測結果のうち図2に示す第1領域に相当する領域において必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して算出した。
微細繊維状セルロース含有スラリーの粘度は、微細繊維状セルロース含有スラリーを25℃で、24時間静置した後、B型粘度計(BLOOKFIELD社製、アナログ粘度計T-LVT)を用いて測定した。測定時の微細繊維状セルロース再分散スラリー濃度は、分散対象の有機溶媒の比誘電率が5.0以上の場合、2.0質量%であり、有機溶媒の比誘電率が5.0未満の場合、4.0質量%とした。測定条件は、25℃の条件とし、3rpmで3分間回転させた際の粘度を測定した。
紫外・可視分光光度計(オプティマ社製、SP3000nano)で、光路長1cmの液体用ガラスセルを用いて、微細繊維状セルロース再分散スラリーの波長600nmにおける全光線透過率を測定した。測定時の微細繊維状セルロース再分散スラリー濃度は、分散対象の有機溶媒の比誘電率が5.0以上の場合、2.0質量%であり、有機溶媒の比誘電率が5.0未満の場合、4.0質量%とした。
微細繊維状セルロース濃縮物を105℃で絶乾になるまで乾燥し、微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分を得た。この絶乾固形分0.1gに硝酸5.0mLを加えて、湿式分解装置(CEM社製、MARS5)を用いて湿式分解を行った後、ICP発光分光分析装置(アメテック社製、CIROS120)を用いて、微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分中に含まれる金属イオン量を測定した。
微細繊維状セルロース濃縮物を105℃で絶乾になるまで乾燥し、微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分を得た。この絶乾固形分をJIS Z 7302-6に準拠して全塩素分試験機(吉田製作所製、ボンベ式)を用いて酸素雰囲気下で燃焼させた後、イオンクロマトグラフィー(サーモフィッシャサイエンティフィック社製、ICS2100)を用いて微細繊維状セルロース濃縮物の絶乾固形分中に含まれる塩化物イオン量を測定した。
比較例4では塩酸処理後に得られた酸型の微細繊維状セルロースゲルに水を添加すると膨潤したため、系内に多く残存する塩酸や溶出イオンの遠心分離洗浄ができず、目的の繊維状セルロース含有組成物が得られなかった。
比較例8及び11では、IPA/水(2/1)溶液に常温で溶解したアルキルアンモニウム溶液を使用しており、得られた微細セルロース含有組成物の金属イオン量が700ppmを上回っていた。
Claims (7)
- 繊維幅が1000nm以下であり、アニオン性基を有する繊維状セルロースと、金属イオンと、を含む繊維状セルロース含有組成物であって、
前記アニオン性基の対イオンとして有機アンモニウムイオンを含み、
前記繊維状セルロースにおけるアニオン性基量が、0.50mmol/g以上であり、
前記アニオン性基が、リン酸基又はリン酸基に由来する置換基であり、
前記金属イオンがアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンから選択される少なくとも一種であり、
前記有機アンモニウムイオンは、下記(a)及び(b)から選択される少なくとも一方の条件を満たし、
前記繊維状セルロース含有組成物中に含まれる固形分を絶乾状態とした場合に、絶乾固形分中における前記金属イオンの含有量が、80ppm以上700ppm以下である繊維状セルロース含有組成物;
(a)炭素数が5以上の炭化水素基を含む;
(b)総炭素数が17以上である。 - 固形分濃度が、80質量%以上である請求項1に記載の繊維状セルロース含有組成物。
- 固形状体である請求項1又は2に記載の繊維状セルロース含有組成物。
- 粉粒物である請求項1~3のいずれか1項に記載の繊維状セルロース含有組成物。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の繊維状セルロース含有組成物と、有機溶媒と、を混合してなる液状組成物。
- 樹脂をさらに含む請求項5に記載の液状組成物。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の繊維状セルロース含有組成物、もしくは、請求項5又は6に記載の液状組成物、から形成される成形体。
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