以下、新規のTROP2-標的ADCおよびその使用方法の各種実施形態を、図面を参照しながら説明する。以下に記載される実施形態は、本発明の実施形態の典型的な例として示されるものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
本発明の抗TROP2抗体薬物複合体は、抗TROP2抗体がリンカー構造部分を介して抗腫瘍化合物に複合化される抗腫瘍薬であり、以下で詳細に説明される。
定義
方法は、記載されている特定の実施形態に限定されるものではなく、それ自体異なってもよいことを理解すべきである。本明細書において用いられる用語は、特定の実施形態を記載する目的のためだけにあるのであって、限定的であることを意図するものではないことも理解すべきである。本技術の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるであろう。
特に定義されない限り、本明細書において用いられる全ての専門用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似のまたは同等のいずれの方法および材料も本発明の実施または試験に用いることができるが、代表的で例示的な方法および材料がここで説明される。
値の範囲が提供される場合、その範囲の上下限の間の、文脈が明確に規定しない限り下限の単位の10分の1までの各々の間の値、およびその示された範囲内のいずれか他の示された値または間の値は、本発明の中に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、より小さい範囲内に独立して含まれてもよく、示された範囲内の任意の具体的に除外された限界値を条件として、本発明の中にも包含される。示された範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれた限界の一方または両方を除く範囲は、本発明にも含まれる。
明細書および請求項において用いられる場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」および「前記(the)」は、文脈によって明確に規定されない限り、単数および複数の参照物を含む。
本明細書において用いられる場合、「含む(comprising)」という用語は、組成物および方法が、列挙された要素を含むが、他のものを除外するわけではないことを意味することが意図される。「実質的になる(consisting essentially of)」は、組成物および方法を定義するために用いられる場合、前記組成物または前記方法にとってなんらかの実質的な重要性のある他の要素を除外することを意味する。「からなる(consisting of)」は、請求された組成物および実質的な方法ステップについての他の成分の微量要素を超えるものを除外することを意味する。これらの移行用語の各々によって定義される実施形態は、本開示の範囲内である。したがって、方法および組成物は、さらなるステップおよび成分を含むことができる(含む)か、または、重要でないステップおよび組成物を代替的に含む(実質的になる)か、または、代替的に、記載された方法ステップもしくは組成物だけを意図する(からなる)ことが意図される。
本明細書において用いられる場合、「約(about)」は、プラスマイナス10%および指定された数を意味する。例えば、「約10」は、「10」および「9~11」の両方であると理解されるべきである。
本明細書において用いられる場合、「所望により存在する(optional)」または「所望により(optionally)」は、続いて記載される事象または状況が生じても生じなくてもよく、前記記載が、前記事象または前記状況が生じる例と、前記事象または前記状況が生じない例とを含むことを意味する。
「個体(individual)」、「対象(subject)」および「罹患体(patient)」という用語は、交換可能に本明細書において用いられ、本開示の方法または使用に従って処置される任意の個体の哺乳動物、例えば、ウシ、イヌ、ネコ、ウマ、サル、ブタ、ラクダ、コウモリまたはヒトを指す。好ましい実施形態において、対象はヒトである。
本明細書において用いられる場合、「有効量(effective amount)」、「治療上有効量(therapeutically effective amount)」および「治療レベル(therapeutic level)」という句は、そのような処置を必要とする対象においてADCが投与される、すなわち、癌(例えば、肺癌、TROP2発現癌または耐性癌もしくは不応性癌)を処置または予防するための特定の薬理学的効果を提供する対象における用量または濃度を意味する。ADCの治療上有効量または治療レベルは、そのような用量が当業者によって治療上有効量であると考えられる場合であっても、本明細書において記載される癌を処置するのに必ずしも有効ではないことが強調される。便宜上のためだけに、例示的な用量、薬物送達量、治療上有効量および治療レベルが以下で提供される。当業者は、特定の対象および/または状態を処置する必要に応じて、標準的実施方法に従ってそのような量を調整することができる。治療上有効量は、投与経路および剤形、対象の年齢および体重、ならびに/または癌の型および重症度を含む対象の状態に基づいて変化してもよい。
癌に関して本明細書において用いられる通りの「処置(treatment)」または「処置すること(treating)」という用語は、癌を減少させること、抑制すること、もしくはなくすこと、癌細胞増殖を減少させること、抑制すること、もしくはなくすこと、癌の転移を減少させること、抑制すること、もしくはなくすこと、または腫瘍もしくは転移を消失させるか、もしくは死滅させることを指す。処置および処置することは、癌細胞増殖が阻害されないか、かつ/または癌が死滅しない場合であっても、所望により、対象のQOL(quality or life)または全生存率を向上させることを意味してもよい。
癌に関して本明細書において用いられる通りの「予防する(prevent)」または「予防すること(preventing)」という用語は、転移(すなわち、処置の開始時に癌が存在しない二次部位における癌の増殖)の発生を阻止するか、または予防すること、および、対象が寛解を達成する場合、または癌/腫瘍が完全に破壊されるか、もしくは死滅させられる場合に、癌の再発を阻止するか、または予防することを指す。
本明細書において用いられる場合、「医薬組成物」という用語は、活性剤と、前記組成物をとりわけインビボまたはエクスビボにおける診断的使用または治療的使用に適切なものにする不活性または活性の担体との複合物を指す。
本明細書において用いられる場合、「医薬的に許容し得る担体」という用語は、リン酸緩衝生理食塩水、水、乳剤(例えば、水中油型乳剤または油中水型乳剤など)および各種型の湿潤剤などの標準的医薬担体の内のいずれかを指す。前記組成物は、安定剤および保存剤を含むこともできる。担体、安定剤およびアジュバントの例については、例えば、Martin、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第15版、Mack Publ.Co.、Easton、PA[1975年]を参照すること。
本願明細書において用いられる通りの「非経口投与」および「非経口的に投与される」という句は、通常は注射による、腸内投与および局所投与以外の投与様式を意味し、限定されるものではないが、静脈内注射および静脈内注入で、筋肉内注射および筋肉内注入、動脈内注射および動脈内注入、鞘内注射および鞘内注入、嚢内注射および嚢内注入、眼窩内注射および眼窩内注入、心臓内注射および心臓内注入、皮内注射および皮内注入、腹腔内注射および腹腔内注入、経気管注射および経気管注入、皮下注射および皮下注入、表皮下注射および表皮下注入、関節内注射および関節内注入、被膜下注射および被膜下注入、クモ膜下注射およびクモ膜下注入、髄腔内注射および髄腔内注入、ならびに胸骨内注射および胸骨内注入を含む。
本明細書において用いられる通りの「全身投与」、「全身的に投与される」、「末梢投与」および「末梢的に投与される」という句は、化合物、薬物または他の材料が罹患体の系に入ることによって、代謝や他の同種のプロセスを受けるような、直接の中枢神経系内への投与を除く、前記化合物、前記薬物または前記他の材料の投与、例えば、皮下投与を意味する。
本明細書において用いられる通りの「遺伝子」という用語は、DNAだけでなく、そのmRNA、そのcDNAおよびそのcRNAも含む。
本明細書において用いられる通りの「ポリヌクレオチド」という用語は、核酸と同じ意味で用いられ、DNA、RNA、プローブ、オリゴヌクレオチドおよびプライマーも含む。
本明細書において用いられる通りの「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、区別なく用いられる。
本明細書において用いられる通りの「細胞」という用語は、動物の個体内の細胞および培養細胞も含む。
本明細書において用いられる通りの「TROP2」という用語は、TROP2タンパク質と同じ意味で用いられる。
本明細書において用いられる通りの「CDR」という用語は、相補性決定領域(CDR)を指す。抗体分子の重鎖および軽鎖の各々は、3つの相補性決定領域(CDR)を有することが知られている。CDRは、超可変ドメインとも呼ばれており、抗体の重鎖および軽鎖の各々の可変領域内に存在する。それは一次構造内における著しく高い可変性を有する部位であり、重ポリペプチド鎖および軽ポリペプチド鎖の各々の一次構造内に3つの別々のCDRがある。本明細書において、抗体のCDRに関して、重鎖のCDRは、重鎖のアミノ酸配列のアミノ末端側からCDRH1、CDRH2およびCDRH3で表され、軽鎖のCDRは、軽鎖のアミノ酸配列のアミノ末端側からCDRL1、CDRL2およびCDRL3で表される。これらの部位は、三次構造内においてで互いに近位であり、抗体が結合する抗原についての特異性を決定する。
本明細書において用いられる通りの「ストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションが行われる」という句は、商業的に入手可能なハイブリダイゼーション溶液ExpressHyb Hybridization Solution(Clontech、Inc.によって製造される)中において68℃でハイブリダイゼーションを行うか、またはフィルター上に固定されるDNAを有する前記フィルターを用いて0.7~1.0MのNaClの存在下で68℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1~2×SSC溶液(1×SSC溶液は、150mMのNaClおよび15mMのクエン酸ナトリウムから構成される)を用いて68℃で、またはそれと同等の状態下で洗浄を行うことによって同定を達成することができる条件下でハイブリダイゼーションが行われるプロセスを指す。
本明細書において用いられる通りの「いくつか(several)」は、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、または1~2を指す。
本明細書におけるアミノ酸置換として、保存的アミノ酸置換が好ましい。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸側鎖に関連するアミノ酸の基の中で生じる置換を指す。好ましいアミノ酸基は、以下の通りである。酸性基(アスパラギン酸およびグルタミン酸)、塩基性基(リジン、アルギニンおよびヒスチジン)、非極性基(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニンおよびトリプトファン)および非荷電極性ファミリー(グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニンおよびチロシン)。より好ましいアミノ酸基は、以下の通りである。脂肪族ヒドロキシル基(セリンおよびスレオニン)、アミド含有基(アスパラギンおよびグルタミン)、脂肪族基(アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン)および芳香族基(フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシン)。そのようなアミノ酸置換は、好ましくは、元のアミノ酸配列を有する物質の特性を損なわない範囲内で行われる。
本明細書にわたって、組成物が具体的な成分を有するか、含む(including)か、もしくは含む(comprising)と記載されるか、または、プロセスおよび方法が具体的なステップを有するか、含む(including)か、もしくは含む(comprising)と記載される場合、さらに、列挙された成分から実質的になるか、またはなる本開示の組成物があり、列挙された処理ステップから実質的になるか、またはなる本開示にかかるプロセスおよび方法があることが考えられる。
一般的に、パーセンテージを特定する組成物は、特に特定しない限り、重量による。さらに、変数に定義がない場合、前記変数の前の定義が優先する。
TROP2
TROP2は、ヒト栄養膜細胞において発現したTACSTDファミリーのメンバーであり、ヒト栄養膜細胞および癌細胞に共通の免疫耐性に関与する1回膜貫通型1型細胞膜タンパク質である。
本開示の目的のために、TROP2タンパク質をヒトまたは非ヒト哺乳動物(例えば、ラットまたはマウス)のTROP2発現細胞から直接精製し、用いることが可能であるか、または上記細胞の細胞膜画分を調製し、用いることが可能である。さらに、TROP2は、そのインビトロ合成、または遺伝子操作による宿主細胞におけるその産生によって得られ得る。具体的には、遺伝子操作において、TROP2 cDNAを発現することが可能なベクターにTROP2 cDNAが統合された後、TROP2タンパク質は、転写および翻訳に必要な酵素、基質およびエネルギー物質を含む溶液中においてそれを合成することによって、または別の原核生物形質転換宿主細胞内もしくは真核生物形質転換宿主細胞内においてTROP2を発現させることによって得られ得る。代替的に、遺伝子操作された上記TROP2発現細胞、またはTROP2を発現する細胞系をTROP2タンパク質として用いてもよい。
TROP2のDNA配列およびアミノ酸配列は、公開データベースにおいて入手可能であり、例えば受託番号NM_002353およびNP_002344(NCBI)で参照され得る。
さらに、TROP2の上記アミノ酸配列の内のいずれかにおいて1つあるいは複数のアミノ酸が置換され、欠失され、かつ/または付加されるアミノ酸配列からなり、前記タンパク質と同等の生物学的活性も有するタンパク質もTROP2に含まれる。
ヒトTROP2タンパク質は、N末端の26個のアミノ酸残基からなるシグナル配列と、248個のアミノ酸残基からなる細胞外ドメインと、23個のアミノ酸残基からなる膜貫通ドメインと、26個のアミノ酸残基からなる細胞内ドメインとを含む。
抗TROP2抗体
本開示の抗TROP2抗体薬物複合体において用いられる抗TROP2抗体は、いずれの種に由来してもよく、前記種の好ましい例としては、ヒト、ラット、マウスおよびウサギを挙げることができる。それは、ヒト種以外に由来する場合、好ましくはよく知られた手法を用いてキメラ化されるか、またはヒト化される。本発明の抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であってもよく、好ましくはモノクローナル抗体である。
抗TROP2抗体は、腫瘍細胞を標的とすること、腫瘍細胞を認識すること、腫瘍細胞に結合すること、または腫瘍細胞内に内在化することなどが可能であり、抗腫瘍活性を有する化合物にリンカーを介して複合化することによって抗体薬物複合体に転化され得る。
腫瘍細胞に対する抗体の結合活性は、フローサイトメトリを用いて確認され得る。腫瘍細胞内への抗体の内在化を確認する方法の例としては、(1)治療抗体への二次抗体(蛍光標識)結合を用いて蛍光顕微鏡下で細胞内に組み込まれた抗体を視覚化するアッセイ(Cell Death and Differentiation(2008年)15、751~761)、(2)治療抗体への二次抗体(蛍光標識)結合を用いて細胞内に組み込まれた蛍光強度を測定するアッセイ(Molecular Biology of the Cell、第15巻、5268~5282、2004年12月)または(3)細胞内への組み込みの際に毒素が放出されて細胞増殖を阻害する、治療抗体への免疫毒素結合を用いたMab-ZAPアッセイ(Bio Techniques28:162~165、2000年1月)を挙げることができる。ジフテリア毒素の触媒領域およびタンパク質Gの組換え複合タンパク質を免疫毒素として用いてもよい。
抗体薬物複合体において複合化される薬物が抗腫瘍効果を発揮するので、抗体自体が抗腫瘍効果を有することは好ましいが、必須ではない。腫瘍細胞に対する抗腫瘍化合物の細胞破壊活性を特異的にかつ選択的に発揮する目的のために、抗体が腫瘍細胞内に移動するために内在化する特性を有することは、重要であり、かつ、好ましいことでもある。
動物を抗原性ポリペプチドで免疫化し、インビボで産生された抗体を回収して精製することを含む、本技術分野において通常は実施される方法を用いて、抗TROP2抗体を得ることができる。抗原の由来はヒトに限定されるものではなく、動物は、マウス、ラットおよび同種のものなどの非ヒト動物に由来する抗原で免疫化されてもよい。この場合、ヒト疾患に適用可能な抗体についてスクリーニングを行うために、得られた異種抗原に結合する抗体のヒト抗原との交差反応性を試験することができる。
代替的に、本技術分野で知られている方法(例えば、KohlerおよびMilstein、Nature(1975年)256、495~497ページ、ならびにKennet,R.ら、Monoclonal Antibodies、365~367ページ、Plenum Press、N.Y.(1980年))に従って、抗原に対する抗体を産生する抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させて、次にモノクローナル抗体を得ることができるハイブリドーマを確立する。
抗原タンパク質をコードする遺伝子を産生するために宿主細胞を遺伝子操作することによって抗原を得ることができる。具体的には、前記抗原遺伝子の発現を可能にするベクターを調製し、前記遺伝子が発現するように宿主細胞にトランスファーする。このようにして発現させた抗原を精製することができる。遺伝子操作された上記抗原発現細胞または前記抗原を発現する細胞系を有する動物を免疫化する方法を用いて前記抗体を得ることもできる。
本技術分野で知られている手法によって抗TROP2抗体を得ることができる。
本発明において用いることができる抗TROP2抗体は、特に限定されるものではないが、例えば、好ましくは、本出願の配列表に示されるアミノ酸配列によって指定されるものを用いることができる。本発明において用いられる抗TROP2抗体は、好ましくは、以下に記載される通りの特性を有する。
(1)以下の特性:
(a)TROP2に特異的に結合すること、および
(b)TROP2への結合によってTROP2発現細胞内に内在化する活性を有すること
を有する抗体。
(2)TROP2がヒトTROP2である、(1)に記載の抗体。
(3)前記抗体が、配列番号45の重鎖の相補性決定領域(CDR)H1、CDRH2およびCDRH3、ならびに/または配列番号46の軽鎖のCDRL1、CDRL2およびCDRL3を有する、(1)または(2)に記載の抗体。代替的にまたは付加的に、前記抗体が、重鎖相補性決定領域としての、配列番号23で表されるアミノ酸配列を含むCDRH1、配列番号24で表されるアミノ酸配列を含むCDRH2、配列番号25で表されるアミノ酸配列を含むCDRH3、ならびに、軽鎖相補性決定領域としての、配列番号26で表されるアミノ酸配列を含むCDRL1、配列番号27で表されるアミノ酸配列を含むCDRL2、および配列番号28で表されるアミノ酸配列を含むCDRL3を有する、(1)または(2)に記載の抗体。
(4)(1)~(3)のいずれかに記載の抗体であって、その定常領域がヒト由来定常領域である、抗体。
(5)前記抗体がヒト化抗体である、(1)~(4)のいずれかに記載の抗体。
(6)前記抗体が、(a)配列番号45におけるアミノ酸位置1~121に記載されるアミノ酸配列、(b)(a)と少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列、および(c)少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換または付加によって前記配列(a)または(b)のいずれかから誘導されるアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(d)配列番号46におけるアミノ酸位置1~109に記載されるアミノ酸配列、(e)(d)と少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列、および(f)少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換または付加によって前記配列(d)または(e)のいずれかから誘導されるアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを有する、(5)に記載の抗体。代替的にまたは付加的に、前記抗体が、(a)配列番号12におけるアミノ酸位置20~140に記載されるアミノ酸配列、(b)配列番号14におけるアミノ酸位置20~140に記載されるアミノ酸配列、(c)配列番号16におけるアミノ酸位置20~140に記載されるアミノ酸配列、(d)前記配列(a)~(c)のいずれかと少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列、および(e)少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換または付加によって前記配列(a)~(c)のいずれかから誘導されるアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(f)配列番号18におけるアミノ酸位置21~129に記載されるアミノ酸配列、(g)配列番号20におけるアミノ酸位置21~129に記載されるアミノ酸配列、(h)配列番号22におけるアミノ酸位置21~129に記載されるアミノ酸配列、(i)前記配列(f)~(h)のいずれかと少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列、および(j)少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換または付加によって前記配列(f)~(h)のいずれかから誘導されるアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを有する、(5)に記載の抗体。
(7)前記抗体が、配列番号45におけるアミノ酸位置1~121に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号46におけるアミノ酸位置1~109に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを有する、(6)に記載の抗体。代替的にまたは付加的に、前記抗体が、配列番号12におけるアミノ酸位置20~140に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号18におけるアミノ酸位置21~129に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、配列番号12におけるアミノ酸位置20~140に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号20におけるアミノ酸位置21~129に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、配列番号12におけるアミノ酸位置20~140に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号22におけるアミノ酸位置21~129に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、配列番号14におけるアミノ酸位置20~140に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号18におけるアミノ酸位置21~129に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、配列番号14におけるアミノ酸位置20~140に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号20におけるアミノ酸位置21~129に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、配列番号14におけるアミノ酸位置20~140に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号22におけるアミノ酸位置21~129に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、配列番号16におけるアミノ酸位置20~140に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号18におけるアミノ酸位置21~129に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、配列番号16におけるアミノ酸位置20~140に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号20におけるアミノ酸位置21~129に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、ならびに配列番号16におけるアミノ酸位置20~140に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号22におけるアミノ酸位置21~129に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域からなる群から選択される重鎖可変領域および軽鎖可変領域を有する、(6)に記載の抗体。
(8)前記抗体が、配列番号12におけるアミノ酸位置20~140に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号18におけるアミノ酸位置21~129に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、配列番号14におけるアミノ酸位置20~140に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号18におけるアミノ酸位置21~129に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、配列番号14におけるアミノ酸位置20~140に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号20におけるアミノ酸位置21~129に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、ならびに配列番号16におけるアミノ酸位置20~140に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号22におけるアミノ酸位置21~129に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域からなる群から選択される重鎖可変領域および軽鎖可変領域を有する、(7)に記載の抗体。
(9)前記抗体が、配列番号45におけるアミノ酸位置1~451に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号46におけるアミノ酸位置1~214に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、(6)または(7)に記載の抗体。代替的にまたは付加的に、前記抗体が、配列番号12におけるアミノ酸位置20~470に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号18におけるアミノ酸位置21~234に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号12におけるアミノ酸位置20~470に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20におけるアミノ酸位置21~234に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号12におけるアミノ酸位置20~470に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号22におけるアミノ酸位置21~234に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号14におけるアミノ酸位置20~470に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号18におけるアミノ酸位置21~234に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号14におけるアミノ酸位置20~470に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20におけるアミノ酸位置21~234に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号14におけるアミノ酸位置20~470に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号22におけるアミノ酸位置21~234に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号16におけるアミノ酸位置20~470に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号18におけるアミノ酸位置21~234に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号16におけるアミノ酸位置20~470に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20におけるアミノ酸位置21~234に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖、ならびに配列番号16におけるアミノ酸位置20~470に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号22におけるアミノ酸位置21~234に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる群から選択される重鎖および軽鎖を含む、(6)または(7)に記載の抗体。
(10)前記抗体が、配列番号45で表されるアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号46で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、(6)または(7)に記載の抗体。代替的にまたは付加的に、前記抗体が、配列番号12で表されるアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号18で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号12で表されるアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号12で表されるアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号22で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号14で表されるアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号18で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号14で表されるアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号14で表されるアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号22で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号16で表されるアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号18で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号16で表されるアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖、ならびに配列番号16で表されるアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号22で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる群から選択される重鎖および軽鎖を含む、(6)または(7)に記載の抗体。
(11)前記抗体が、配列番号12におけるアミノ酸位置20~470に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号18におけるアミノ酸位置21~234に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号14におけるアミノ酸位置20~470に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号18におけるアミノ酸位置21~234に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号14におけるアミノ酸位置20~470に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20におけるアミノ酸位置21~234に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖、ならびに配列番号16におけるアミノ酸位置20~470に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号22におけるアミノ酸位置21~234に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖からなる群から選択される重鎖および軽鎖を含む、(8)に記載の抗体。
(12)前記抗体が、前記重鎖のカルボキシル末端においてリジン残基を欠く、(1)~(11)のいずれかに記載の抗体。
(13)(1)~(12)のいずれかに記載の抗体を産生する方法によって得られる抗体であって、前記方法が、前記抗体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞を培養するステップと、上記ステップで得られた培養物から目的の前記抗体を回収するステップとを含む、抗体。
本開示の目的のために、配列番号45および46の全配列を以下の表1(および図2)に示す。
抗TROP2抗体の産生
本発明のTROP2に対する抗体は、通常、TROP2またはTROP2のアミノ酸配列から選択される任意のポリペプチドで動物を免疫化することと、インビボで産生された抗体を回収し、精製することとを含む、本技術分野において実施される方法を用いて得られ得る。抗原として用いられるTROP2の生物学的種はヒトであることに限定されず、マウスまたはラットなどのヒト以外の動物に由来するTROP2で動物を免疫化することができる。この場合、得られた異種TROP2およびヒトTROP2への抗体結合間の交差反応性を検討することによって、ヒト疾患に適用可能な抗体を選択することができる。
さらに、知られた方法(例えば、KohlerおよびMilstein、Nature、(1975年)256、495~497ページ;Kennet,R.編、Monoclonal Antibodies、365~367ページ、Plenum Press、N.Y.(1980年))に従って骨髄腫細胞でTROP2に対する抗体を産生する1つまたは複数の抗体産生細胞を融合することによって確立されるハイブリドーマからモノクローナル抗体を得ることができる。
遺伝子操作を用いて宿主細胞においてTROP2遺伝子を発現させることによって、抗原として用いられるTROP2を得ることができる。具体的には、TROP2遺伝子を発現させることが可能なベクターを作製することが可能であり、得られた前記ベクターを宿主細胞内にトランスフェクトして前記遺伝子を発現させることが可能であり、次いで、発現させたTROP2を精製することが可能である。
代替的に、遺伝子操作された上記TROP2発現細胞またはTROP2を発現する細胞系をTROP2タンパク質として用いてもよい。以下、TROP2に対する抗体を得る方法を具体的に説明する。
(1)抗原の調製
抗TROP2抗体を産生するために用いられる抗原の例としては、TROP2、またはTROP2の少なくとも6つの連続するアミノ酸を含む部分アミノ酸配列からなるポリペプチド、または所定のアミノ酸配列もしくは担体をそれに付加することによって得られる誘導体が挙げられる。
TROP2を、ヒト腫瘍組織またはヒト腫瘍細胞から直接精製し、用いることができる。さらに、TROP2は、インビトロでそれを合成することによって、または遺伝子操作によって宿主細胞内でそれを産生することによって得られ得る。
具体的には、遺伝子操作に関して、TROP2 cDNAを発現することが可能なベクターにTROP2 cDNAが統合された後、前記抗原は、転写および翻訳に必要な酵素、基質およびエネルギー物質を含む溶液中においてそれを合成することによって、または別の原核生物形質転換宿主細胞内もしくは真核生物形質転換宿主細胞内においてTROP2を発現させることによって得られ得る。
さらに、適切な宿主ベクター系内の抗体の定常領域に膜タンパク質であるTROP2の細胞外ドメインを連結することによって得られた融合タンパク質を発現させることによって、前記抗原を分泌タンパク質として得ることもできる。
例えば、鋳型としてのTROP2 cDNAを発現するcDNAライブラリと、TROP2 cDNAを特異的に増幅するプライマーとを用いてポリメラーゼ連鎖反応(以下「PCR」と記載する;Saiki,R.K.ら、Science、(1988年)239、487~489ページ参照)が行われるいわゆるPCR法によって、TROP2 cDNAを得ることができる。
前記ポリペプチドのインビトロにおける合成として、例えば、Roche Diagnostics, Inc.によって製造されたRapid Translation System(RTS)を例示することができるが、それに限定されるものではない。
原核生物宿主細胞の例としては、大腸菌(Escherichia coli)および枯草菌(Bacillus subtilis)が挙げられる。宿主細胞を標的遺伝子で形質転換するために、レプリコン、すなわち宿主に適合性がある種に由来する複製開始点と、調節配列とを含むプラスミドベクターによって宿主細胞を形質転換する。さらに、前記ベクターは、好ましくは、前記形質転換細胞に表現型選択性を付与することが可能な配列を有する。
真核生物宿主細胞の例としては、脊椎動物細胞、昆虫細胞および酵母細胞が挙げられる。脊椎動物細胞として、例えば、サルCOS細胞(Gluzman,Y.、Cell、(1981年)23、175~182ページ、ATCC CRL-1650;ATCC:American Type Culture Collection)、マウス繊維芽細胞NIH3T3(ATCC No.CRL-1658)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞;ATCC:CCL-61)のジヒドロ葉酸還元酵素欠失株(Urlaub,G.およびChasin,L.A.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1980年)77、4126~4220ページ)および同種のものが、多くの場合用いられるが、前記細胞は、それらに限定されるものではない。
このようにして得られた形質転換体を、本技術分野において通常実施される方法に従って培養することが可能であり、前記形質転換体の培養によって、標的ポリペプチドは、細胞内または細胞外で産生される。
前記培養のために使用される適切な培地は、用いられた宿主細胞に依存して、各種の一般に使用される培養培地から当業者によって選択され得る。大腸菌が用いられる場合、例えば、必要に応じてアンピシリンまたはIPMGなどの抗生物質が補充されたLB培地を使用することができる。
そのような培養によって形質転換体によって細胞内または細胞外で産生された組換えタンパク質は、前記タンパク質の物理的特性または化学的特性を利用する各種の知られた分離法の内のいずれかによって分離され、精製され得る。
前記方法の具体例としては、一般的なタンパク質沈殿剤による処理、限外濾過、モレキュラーシーブクロマトグラフィー(ゲル濾過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよび親和性クロマトグラフィーなどの各種型の液体クロマトグラフィー、透析、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
さらに、発現対象の組換えタンパク質に6つのヒスチジン残基の標識を付着させることによって、前記タンパク質をニッケル親和性カラムで効率的に精製することができる。代替的に、発現対象の組換えタンパク質にIgG Fc領域を付着させることによって、前記タンパク質をタンパク質Aカラムで効率的に精製することができる。
上記の方法を組み合わせることによって、大量の標的ポリペプチドを高収率および高純度で容易に生成することができる。
上記の形質転換体自体を抗原として使用することもできる。代替的に、TROP2を発現する細胞系を抗原として使用してもよい。そのような細胞系の例としては、ヒト肺癌系NCI-H322、PC14、NCIH-H2122およびLCAM1、ヒト前立腺癌系PC3、ヒト膵癌系BxPC-3、Capan-1およびPK-1、ヒト卵巣癌系SKOV3ならびにヒト結腸直腸癌系COLO205を挙げることができるが、本発明にかかる細胞系は、TROP2を発現する限り、これらの細胞系に限定されるものではない。
(2)抗TROP2モノクローナル抗体の産生
TROP2に特異的に結合する抗体の例としては、TROP2に特異的に結合するモノクローナル抗体が挙げられ、そのような抗体を得る方法は、以下で記載される通りである。
モノクローナル抗体の産生は、以下の、
(a)抗原として使用されるバイオポリマーを精製するか、または抗原発現細胞を調製する操作ステップ、
(b)前記抗原の注射によって動物を免疫化することによって抗体産生細胞を調製し、血液を回収し、その抗体価をアッセイして、脾臓を切除する時点を決定する操作ステップ、
(c)骨髄腫細胞(以下、「骨髄腫」と称する)を調製する操作ステップ、
(d)前記抗体産生細胞を前記骨髄腫と融合する操作ステップ、
(e)所望の抗体を産生するハイブリドーマの群をスクリーニングする操作ステップ、
(f)前記ハイブリドーマを単一細胞クローンに分割する(クローン化)操作ステップ、
(g)所望により、大量のモノクローナル抗体を産生するために前記ハイブリドーマを培養するか、または前記ハイブリドーマが移植された動物を飼育する操作ステップ、
(h)このようにして産生されたモノクローナル抗体を生物学的活性および結合特異性について検討するか、またはそれを標識試薬として特性についてアッセイする操作ステップ、および同種のもの
を概して必要とする。
以下、上記のステップの後のモノクローナル抗体を産生する方法が詳細に記載されるが、前記方法は、それに限定されるものではなく、例えば、脾臓細胞および骨髄腫以外の抗体産生細胞を使用することができる。
(a)抗原の精製
抗原として、上記の通りの方法によって調製されたTROP2、またはその部分ペプチドを使用することができる。
さらに、TROP2を発現する組換え細胞から調製される膜画分またはTROP2を発現する組換え細胞自体や、当業者に知られている方法によって化学的に合成される本発明のタンパク質の部分ペプチドも、抗原として使用することもできる。
さらに、TROP2を発現する細胞系を抗原として使用することもできる。
(b)抗体産生細胞の調製
ステップ(a)で得られた抗原を、フロイント完全アジュバントもしくはフロイント不完全アジュバントなどのアジュバント、または硫酸カリウムアルミニウムなどの助剤と混合し、得られた混合物を免疫原として使用して実験動物を免疫化する。代替的方法において、免疫原としての抗原発現細胞で前記実験動物を免疫化する。前記実験動物として、知られたハイブリドーマ産生方法で使用されるいずれの動物も支障なく使用することができる。具体的には、例えば、マウス、ラット、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ウマまたは同種のものを使用することができる。しかし、抽出された抗体産生細胞と融合される骨髄腫細胞の利用可能性の容易さの観点から、マウスまたはラットが、免疫化対象の動物として好ましくは使用される。
さらに、使用されるマウスまたはラットの株は、特に限定されるものではないが、マウスの場合、例えば、A、AKR、BALB/c、BDP、BA、CE、C3H、57BL、C57BL、C57L、DBA、FL、HTH、HT1、LP、NZB、NZW、RF、R III、SJL、SWR、WB、および129などの各種株および同種のものを使用することが可能であり、ラットの場合、例えば、ウィスター、ロー(Low)、ルイス、スプラーグ、ドーリー、ACI、BN、フィッシャーおよび同種のものを使用することが可能である。
これらのマウスおよびラットは、実験動物のブリーダ/ディストリビュータ、例えば、CLEA Japan,Inc.およびCharles River Laboratories Japan,Inc.から得られ得る。
以下に記載される骨髄腫細胞と融合する適合性を考慮して、免疫化される動物として、マウスの場合はBALB/c株が、ラットの場合はウィスター株およびロー株が特に好ましい。
さらに、ヒトおよびマウスの間の抗原性相同性を考慮して、自己抗体を除去する生物学的機能が低下したマウス、すなわち、自己免疫疾患のマウスを使用することも好ましい。
免疫化時のそのようなマウスまたはラットの齢は、好ましくは5~12週齢、より好ましくは6~8週齢である。
TROP2またはその組換え体で動物を免疫化するために、例えば、例えばWeir,D.M.、Handbook of Experimental Immunology 第I巻、第II巻、第III巻、Blackwell Scientific Publications、Oxford(1987年);Kabat,E.A.およびMayer,M.M.、Experimental Immunochemistry,Charles C Thomas Publisher Springfield、Illinois(1964年)または同種のものに詳細に記載されている知られた方法を用いることができる。
これらの免疫化方法の中で、本発明における好ましい具体的方法は、例えば、以下の通りである。
すなわち、まず、抗原の役割を果たす膜タンパク質画分または抗原を発現させる細胞を動物に皮内投与または腹腔内投与する。しかし、免疫化効率を増加させるために両投与経路の併用が好ましく、皮内投与を前半に行い、腹腔内投与を後半または最後の投与時のみに行う場合、免疫化効率は特に増加する可能性がある。
抗原の投与スケジュールは、免疫化対象の動物の型、個体差または同種のものに応じて変化する。しかし、概して、抗原の投与の頻度が3~6回で、かつ投与間隔が2~6週間である投与スケジュールが好ましく、抗原の投与の頻度が3~4回で、かつ投与間隔が2~4週間である投与スケジュールがより好ましい。
さらに、抗原の投与量は、動物の型、個体差または同種のものに応じて変化するが、投与量は、概して、0.05~5mgに、好ましくは約0.1~0.5mgに設定される。
追加免疫化は、上記の通りの抗原の投与後の1~6週間、好ましくは1~4週間、より好ましくは、1~3週間行われる。免疫原が細胞である場合、1×106~1×107個の細胞が用いられる。
追加免疫化を行う際の抗原の投与量は、動物または同種のものの型または大きさに応じて変化するが、例えばマウスの場合、投与量は、概して、0.05~5mg、好ましくは0.1~0.5mg、より好ましくは約0.1~0.2mgに設定される。免疫原が細胞である場合、1×106~1×107個の細胞が用いられる。
抗体産生細胞を含む脾臓細胞またはリンパ球は、追加免疫化の1~10日後、好ましくは2~5日後、より好ましくは2~3日後に、免疫化された動物から無菌的に除去される。この時、抗体価を測定し、抗体価が充分に増加した動物を抗体産生細胞の供給源として使用する場合、後続の手法をより効率的に実施することができる。
ここで用いられる抗体価を測定する方法の例としては、RIA法およびELISA法が挙げられるが、前記方法はそれらに限定されるものではない。例えば、ELISA法を用いる場合、本発明における抗体価の測定は、以下に記載される通りの手法に従って実施され得る。
まず、精製された、または部分的に精製された抗原をELISAのための96ウェルプレートなどの固体相の表面に吸着させ、それに吸着された抗原がない固体相の表面をウシ血清アルブミン(BSA)などの抗原とは無関係なタンパク質で覆う。表面を洗浄した後、表面を一次抗体としての連続的に希釈された試料(例えば、マウス血清)に接触させて、前記試料中の抗体を抗原に結合させる。
さらに、二次抗体として、マウス抗体に対する酵素で標識された抗体を前記マウス抗体に付加し、結合させる。洗浄後、前記酵素のための基質を付加し、前記基質または同種のものの分解によって誘導される発色によって生じる吸光度の変化を測定し、測定に基づいて抗体価を算出する。
免疫化された動物の脾臓細胞またはリンパ球からの抗体産生細胞の分離は、知られた方法(例えば、Kohlerら、Nature(1975年)、256、495ページ;Kohlerら、Eur.J.Immunol.(1977年)、6、511ページ;Milsteinら、Nature(1977年)、266、550ページ;Walsh、Nature(1977年)、266、495ページ)に従って実施され得る。例えば、脾臓細胞の場合、抗体産生細胞を、ステンレス鋼メッシュによる濾過によって細胞を得るために脾臓をホモジナイズして、イーグル最小必須培地(MEM)中で細胞を懸濁することによって分離する一般的方法を用いることができる。
(c)骨髄腫細胞(以下、「骨髄腫」と称する)の調製
細胞融合のために使用される骨髄腫細胞は、特に限定されるものではないが、知られた細胞系から適切な細胞を選択することができる。しかし、利便性を考慮して、融合細胞からハイブリドーマを選択する場合、選択手法が確立されているHGPRT(ヒポキサンチン-グアニンフォスフォリボシル転移酵素)欠失株を使用することが好ましい。
さらに具体的には、HGPRT欠失株の例としては、マウスに由来するX63-Ag8(X63)、NS1-ANS/1(NS1)、P3X63-Ag8.U1(P3U1)、X63-Ag8.653(X63.653)、SP2/0-Ag14(SP2/0)、MPC11-45.6TG1.7(45.6TG)、FO、S149/5XXOおよびBU.1、ラットに由来する210.RSY3.Ag.1.2.3(Y3)、ならびにヒトに由来するU266AR(SKO-007)、GM1500・GTG-A12(GM1500)、UC729-6、LICR-LOW-HMy2(HMy2)および8226AR/NIP4-1(NP41)が挙げられる。これらのHGPRT欠失株は、例えば、ATCCまたは同種のものから入手可能である。
これらの細胞株は、8-アザグアニン培地(グルタミン、2-メルカプトエタノール、ゲンタマイシンおよびウシ胎仔血清(以下、「FBS」と称する)が補充されたRPMI1640培地に8-アザグアニンを添加することによって得られる培地、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)またはダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)などの適切な培地中において継代培養される。この場合、細胞融合を行う3~4日前に、細胞を正常培地(例えば、10%のFCSを含むASF104培地(Ajinomoto Co.,Ltd.によって製造される))中で継代培養して、細胞融合の日に2×107個以上の細胞を確保する。
(d)細胞融合
抗体産生細胞および骨髄腫細胞の間の融合を、細胞の生存率が過剰に低下しないような条件下で、知られた方法(Weir,D.M.、Handbook of Experimental Immunology 第I巻、第II巻、第III巻、Blackwell Scientific Publications,Oxford(1987年);Kabat,E.A.およびMayer,M.M.、Experimental Immunochemistry、Charles C Thomas Publisher、Springfield、Illinois(1964年)など)に従って適切に行うことができる。
そのような方法として、例えば、高濃度でポリエチレングリコールなどのポリマーを含む溶液中において抗体産生細胞および骨髄腫細胞を混合する化学的方法、電気刺激を用いる物理的方法、または同種のものを用いることができる。これらの方法の中で、化学的方法の具体例は、以下に記載される通りである。
すなわち、ポリエチレングリコールが高濃度でポリマーを含む溶液中で用いられる場合、1~10分間、好ましくは5~8分間、30~40℃、好ましくは35~38℃の温度で、分子量が1500~6000、より好ましくは2000~4000であるポリエチレングリコールの溶液中で、抗体産生細胞および骨髄腫細胞を混合する。
(e)ハイブリドーマの群の選択
上記の細胞融合によって得られるハイブリドーマを選択する方法は、特に限定されるものではない。通常、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)選択方法(Kohlerら、Nature(1975年)、256、495ページ;Milsteinら、Nature(1977年)、266、550ページ)が用いられる。
この方法は、アミノプテリンの存在下で生存することができないHGPRT欠失株の骨髄腫細胞を用いてハイブリドーマを得る場合に有効である。すなわち、HAT培地中における非融合の細胞およびハイブリドーマを培養することによって、アミノプテリンに対して耐性があるハイブリドーマだけを選択的に生存させ、増殖させることができる。
(f)単細胞クローンへの分裂(クローン化)
ハイブリドーマのためのクローン化方法として、メチルセルロース法、軟アガロース法または限界希釈法などの知られた方法を用いることができる(例えば、Barbara,B.M.およびStanley,M.S.:Selected Methods in Cellular Immunology、W.H.Freeman and Company、San Francisco(1980年)参照)。これらの方法の中で、特に、メチルセルロース方法などの三次元培養方法が好ましい。例えば、細胞融合によって産生されるハイブリドーマの群をClonaCell-HY Selection Medium D(StemCell Technologies,Inc.によって製造、#03804)などのメチルセルロース培地中で懸濁させ、培養する。次いで、形成されたハイブリドーマコロニーを回収することによって、モノクローナルハイブリドーマを得ることができる。回収されたそれぞれのハイブリドーマコロニーを培養し、得られたハイブリドーマ培養上清中において抗体価が安定していることが確認されたハイブリドーマをTROP2モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ株として選択する。
このようにして確立されたハイブリドーマ株の例としては、TROP2ハイブリドーマTINA1が挙げられる。本明細書において、TROP2ハイブリドーマTINA1によって産生される抗体は、「TINA1抗体」、または単に「TINA1」と称される。
TINA1抗体の重鎖可変領域は、配列表の配列番号2で表されるアミノ酸配列を有する。さらに、TINA1抗体の軽鎖可変領域は、配列表の配列番号4で表されるアミノ酸配列を有する。
(g)ハイブリドーマを培養することによるモノクローナル抗体の調製
このようにして選択されたハイブリドーマを培養することによって、モノクローナル抗体を効率的に得ることができる。しかし、培養の前に、標的モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングを行うことが好ましい。
そのようなスクリーニングにおいて、知られた方法を用いることができる。
本発明における抗体価の測定は、例えば、上記の項目(b)において説明されたELISA法によって実施され得る。
上記の方法によって得られたハイブリドーマは、液体窒素内、または-80℃以下の凍結器内において、凍結状態で貯蔵され得る。
クローン化の完了後、培地をHT培地から正常培地に変更し、ハイブリドーマを培養する。
大量培養は、大きい培養瓶を用いる回転培養によって、または撹拌培養によって行われる。大量培養によって得られた上清から、本発明のタンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体を、ゲル濾過など、当業者に知られている方法を用いて精製によって得ることができる。
さらに、ハイブリドーマをハイブリドーマと同じ株(例えば、上記のBALB/c)のマウスまたはNu/Nuマウスの腹腔内に注射してハイブリドーマを増殖させることによって、本発明の大量のモノクローナル抗体を含む腹水を得ることができる。
ハイブリドーマを腹腔内において投与する場合、その3~7日前に2,6,10,14-テトラメチルペンタデカン(プリスタン)などの鉱油を投与するならば、より大量の腹水を得ることができる。
例えば、ハイブリドーマと同じ株のマウスの腹腔内に免疫抑制剤を前もって注射して、T細胞を不活化する。その20日後、106~107個のハイブリドーマクローン細胞を無血清培地(0.5mL)中で懸濁させ、懸濁液をマウスの腹腔内において投与する。概して、腹部が膨張して腹水で満たされる場合、マウスから腹水を回収する。この方法によって、モノクローナル抗体は、培養溶液中の濃度の約100倍またはそれよりもずっと高い濃度で得られ得る。
上記の方法によって得られたモノクローナル抗体は、例えば、Weir,D.M.:Handbook of Experimental Immunology 第I巻、第II巻、第III巻、Blackwell Scientific Publications、Oxford(1978年)に記載される方法によって精製され得る。
このようにして得られたモノクローナル抗体は、TROP2に対する高い抗原特異性を有する。
(h)モノクローナル抗体のアッセイ
このようにして得られたモノクローナル抗体のアイソタイプおよびサブクラスは、以下の通りに決定され得る。
まず、同定方法の例としては、オークタロニー法、ELISA法およびRIA法が挙げられる。
オークタロニー法は簡便であるが、モノクローナル抗体の濃度が低い場合、濃縮作業が必要となる。
一方、ELISA法またはRIA法が用いられる場合、培養上清を抗原吸着固相と直接反応させ、二次抗体として各種型のイムノグロブリンアイソタイプおよびサブクラスに対応する抗体を用いることによって、モノクローナル抗体のアイソタイプおよびサブクラスを同定することができる。
さらに、より簡便な方法として、商業的に入手可能な同定キット(例えば、Bio-Rad Laboratories,Inc.によって製造されたMouse Typer Kit)または同種のものを使用することもできる。
さらに、タンパク質の定量は、Folin Lowry法および280nmの吸光度に基づいた算出方法(1.4(OD280)=イムノグロブリン1mg/mL)によって実施され得る。
さらに、(2)の(a)~(h)のステップを再度行うことによってモノクローナル抗体が別々にかつ独立して得られる場合でも、TINA1抗体と同等の細胞毒性活性を有する抗体、または配列番号45を含む重鎖と配列番号46を含む軽鎖とを含む抗体を得ることが可能である。そのような抗体の一例として、TINA1抗体と同じエピトープに結合する抗体、または配列番号45を含む重鎖と配列番号46を含む軽鎖とを含む抗体。新しく産生されたモノクローナル抗体が、TINA1抗体または配列番号45を含む重鎖と配列番号46を含む軽鎖とを含む抗体が結合する部分ペプチドまたは部分的三次構造に結合する場合、モノクローナル抗体が同じエピトープに結合すると決定することができる。さらに、モノクローナル抗体がTROP2への結合についてTINA1抗体または配列番号45を含む重鎖と配列番号46を含む軽鎖とを含む抗体と競合すること(すなわち、モノクローナル抗体が、TINA1抗体または配列番号45を含む重鎖と配列番号46を含む軽鎖とを含む抗体およびTROP2の間の結合を阻害すること)を確認することによって、特異的なエピトープ配列または構造が決定されなかった場合でもモノクローナル抗体が抗TROP2抗体と同じエピトープに結合すると決定することができる。モノクローナル抗体が抗TROP2抗体と同じエピトープに結合することが確認される場合、モノクローナル抗体は、TINA1抗体または配列番号45を含む重鎖と配列番号46を含む軽鎖とを含む抗体と同等の抗原結合親和性および生物学的活性を有することが強く期待される。
(3)他の抗体
本発明の抗体は、TROP2に対する上記のモノクローナル抗体だけでなく、キメラ抗体、ヒト化抗体およびヒト抗体など、ヒトに対する異種抗原性を減少させる目的のための人工的修飾によって得られる組換え抗体も含む。これらの抗体は、知られた方法を用いて産生され得る。
キメラ抗体として、抗体可変領域および抗体定常領域が異なる種に由来する抗体、例えば、マウス由来抗体可変領域またはラット由来抗体可変領域がヒト由来抗体定常領域に連結されたキメラ抗体を例示することができる(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81、6851~6855、(1984年)参照)。
ヒト化抗体として、相補性決定領域(CDR)だけをヒト由来抗体内に統合することによって得られる抗体(Nature(1986年)321、522~525ページ参照)、およびCDRグラフト法によってフレームワークのアミノ酸残基の一部およびCDR配列をヒト抗体にグラフトすることによって得られる抗体(国際公開第90/07861号)を例示することができる。
しかし、TINA1抗体に由来するヒト化抗体は、ヒト化抗体がTINA1抗体の6つの型全てのCDR配列を有する限り、特異的ヒト化抗体に限定されるものではない。TINA1抗体の重鎖可変領域は、配列表の配列番号23で表されるアミノ酸配列からなるCDRH1(TAGMQ)と、配列表の配列番号24で表されるアミノ酸配列からなるCDRH2(WINTHSGVPKYAEDFKG)と、配列表の配列番号25で表されるアミノ酸配列からなるCDRH3(SGFGSSYWYFDV)とを有する。さらに、TINA1抗体の軽鎖可変領域は、配列表の配列番号26で表されるアミノ酸配列からなるCDRL1(KASQDVSTAVA)と、配列表の配列番号27で表されるアミノ酸配列からなるCDRL2(SASYRYT)と、配列表の配列番号28で表されるアミノ酸配列からなるCDRL3(QQHYITPLT)とを有する。
マウス抗体TINA1のヒト化抗体の例として、(1)配列表の配列番号12、14もしくは16のアミノ酸残基20~140または配列番号45のアミノ酸残基1~121からなるアミノ酸配列、(2)上記のアミノ酸配列(1)と少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列、および(3)上記のアミノ酸配列(1)内の1つもしくは複数のアミノ酸が欠失されるか、置換されるか、または付加されるアミノ酸配列の内のいずれか1つからなる重鎖可変領域を含む重鎖と、(4)配列表の配列番号18、20もしくは22のアミノ酸残基21~129または配列番号46のアミノ酸残基1~109からなるアミノ酸配列、(5)上記のアミノ酸配列(4)と少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列、および(6)上記のアミノ酸配列(4)内の1つもしくは複数のアミノ酸が、欠失されるか、置換されるか、または付加されるアミノ酸配列の内のいずれか1つからなる軽鎖可変領域を含む軽鎖との任意の組み合わせを例示することができる。
上記の重鎖と軽鎖との好ましい組み合わせを有する抗体として、配列番号45のアミノ酸1~121を含む可変領域を含む重鎖と配列番号46のアミノ酸1~109を含む可変領域を含む軽鎖とを含む抗体、配列番号12のアミノ酸位置20~140からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む重鎖と配列番号18のアミノ酸位置21~129からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む軽鎖とからなる抗体、配列番号12のアミノ酸位置20~140からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む重鎖と配列番号20のアミノ酸位置21~129からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む軽鎖とからなる抗体、配列番号12のアミノ酸位置20~140からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む重鎖と配列番号22のアミノ酸位置21~129からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む軽鎖とからなる抗体、配列番号14のアミノ酸位置20~140からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む重鎖と配列番号18のアミノ酸位置21~129からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む軽鎖とからなる抗体、配列番号14のアミノ酸位置20~140からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む重鎖と配列番号20のアミノ酸位置21~129からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む軽鎖とからなる抗体、配列番号14のアミノ酸位置20~140からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む重鎖と配列番号22のアミノ酸位置21~129からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む軽鎖とからなる抗体、配列番号16のアミノ酸位置20~140からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む重鎖と配列番号18のアミノ酸位置21~129からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む軽鎖とからなる抗体、配列番号16のアミノ酸位置20~140からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む重鎖と配列番号20のアミノ酸位置21~129からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む軽鎖とからなる抗体、および配列番号16のアミノ酸位置20~140からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む重鎖と配列番号22のアミノ酸位置21~129からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む軽鎖とからなる抗体を例示することができる。
さらに、上記の重鎖と軽鎖とのより好ましい組み合わせを有する抗体として、配列番号45を含む重鎖と配列番号46を含む軽鎖とを含む抗体、配列番号12のアミノ酸位置20~470からなるアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号18のアミノ酸位置21~234からなるアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体、配列番号12のアミノ酸位置20~470からなるアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号20のアミノ酸位置21~234からなるアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体、配列番号12のアミノ酸位置20~470からなるアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号22のアミノ酸位置21~234からなるアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体、配列番号14のアミノ酸位置20~470からなるアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号18のアミノ酸位置21~234からなるアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体、配列番号14のアミノ酸位置20~470からなるアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号20のアミノ酸位置21~234からなるアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体、配列番号14のアミノ酸位置20~470からなるアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号22のアミノ酸位置21~234からなるアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体、配列番号16のアミノ酸位置20~470からなるアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号18のアミノ酸位置21~234からなるアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体、配列番号16のアミノ酸位置20~470からなるアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号20のアミノ酸位置21~234からなるアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体、および配列番号16のアミノ酸位置20~470からなるアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号22のアミノ酸位置21~234からなるアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体を例示することができる。
上記の重鎖と軽鎖とのより優れた好ましい組み合わせを有する抗体として、配列番号45のアミノ酸1~121を含む可変領域を含む重鎖と配列番号46のアミノ酸1~109を含む可変領域を含む軽鎖とからなる抗体、配列番号12のアミノ酸残基20~140からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む重鎖と配列番号18のアミノ酸残基21~129からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む軽鎖とからなる抗体、配列番号14のアミノ酸残基20~140からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む重鎖と配列番号18のアミノ酸残基21~129からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む軽鎖とからなる抗体、配列番号14のアミノ酸残基20~140からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む重鎖と配列番号20のアミノ酸残基21~129からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む軽鎖とからなる抗体、および配列番号16のアミノ酸残基20~140からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む重鎖と配列番号22のアミノ酸残基21~129からなるアミノ酸配列からなる可変領域を含む軽鎖とからなる抗体を例示することができる。
さらに、上記の重鎖と軽鎖との別のより好ましい組み合わせを有する抗体として、配列番号45を含む重鎖と配列番号46を含む軽鎖とからなる抗体、配列番号12のアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号18のアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体、配列番号12のアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号20のアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体、配列番号12のアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号22のアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体、配列番号14のアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号18のアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体、配列番号14のアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号20のアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体、配列番号14のアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号22のアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体、配列番号16のアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号18のアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体、配列番号16のアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号20のアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体、配列番号16のアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号22のアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体を例示することができる。
上記の重鎖と軽鎖とのより優れた好ましい組み合わせを有する抗体として、配列番号45を含む重鎖と配列番号46を含む軽鎖とを含む抗体、配列番号12のアミノ酸位置20~470からなるアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号18のアミノ酸位置21~234からなるアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体、配列番号14のアミノ酸位置20~470からなるアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号18のアミノ酸位置21~234からなるアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体、配列番号14のアミノ酸位置20~470からなるアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号20のアミノ酸位置21~234からなるアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体、および配列番号16のアミノ酸位置20~470からなるアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号22のアミノ酸位置21~234からなるアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体を例示することができる。
さらに、上記の重鎖と軽鎖とのさらにより優れた好ましい組み合わせを有する抗体として、配列番号12のアミノ酸位置20~469からなるアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号18のアミノ酸位置21~234からなるアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体、配列番号14のアミノ酸位置20~469からなるアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号18のアミノ酸位置21~234からなるアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体、配列番号14のアミノ酸位置20~469からなるアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号20のアミノ酸位置21~234からなるアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体、および配列番号16のアミノ酸位置20~469からなるアミノ酸配列からなる重鎖と配列番号22のアミノ酸位置21~234からなるアミノ酸配列からなる軽鎖とからなる抗体を例示することができる。
上記の重鎖アミノ酸配列と高い相同性を有する配列を上記の軽鎖アミノ酸配列と高い相同性を有する配列と組み合わせることによって、上記の抗体の各々と同等の生物学的活性を有する抗体を選択することが可能である。そのような相同性は、概して80%以上の相同性であり、好ましくは90%以上の相同性であり、より好ましくは95%以上の相同性であり、最も好ましくは99%以上の相同性である。さらに、1つ~いくつかのアミノ酸残基が重鎖アミノ酸配列または軽鎖アミノ酸配列において置換されるか、欠失されるか、または付加されるアミノ酸配列を組み合わせることによって、上記の抗体の各々と同等の生物学的活性を有する抗体を選択することも可能である。
2つのアミノ酸配列間の相同性は、Blastアルゴリズムバージョン2.2.2のデフォルトパラメータを用いて決定され得る(Altschul、Stephen F.、Thomas L.Madden、Alejandro A.Schaeffer、Jinghui Zhang、Zheng Zhang、Webb Miller、およびDavid J.Lipman(1997)、「Gapped BLAST and PSI-BLAST:a new generation of protein database search programs」、Nucleic Acids Res.25:3389~3402)。Blastアルゴリズムは、サイトncbi.nlm.nih.gov/blastにアクセスすることによって、インターネットを通して使用され得る。
配列表の配列番号12、14または16で表される重鎖アミノ酸配列において、アミノ酸残基1~19からなるアミノ酸配列はシグナル配列であり、アミノ酸残基20~140からなるアミノ酸配列は可変領域であり、アミノ酸残基141~470からなるアミノ酸配列は定常領域である。
さらに、配列表の配列番号18、20または22で表される軽鎖アミノ酸配列において、アミノ酸残基1~20からなるアミノ酸配列はシグナル配列であり、アミノ酸残基21~129からなるアミノ酸配列は可変領域であり、アミノ酸残基130~234からなるアミノ酸配列は定常領域である。
さらに、本発明の抗体は、TROP2に結合するヒト抗体を含む。抗TROP2ヒト抗体は、ヒト染色体に由来する抗体の配列だけを有するヒト抗体を指す。抗TROP2ヒト抗体は、ヒト抗体の重鎖遺伝子および軽鎖遺伝子を含むヒト染色体断片を有するヒト抗体産生マウスを用いる方法によって得られ得る(Tomizuka,K.ら、Nature Genetics(1997年)16、133~143ページ;Kuroiwa,Y.ら、Nucl.Acids Res.(1998年)26、3447~3448ページ;Yoshida,H.ら、Animal Cell Technology:Basic and Applied Aspects 第10巻、69~73ページ(Kitagawa,Y.、Matuda,T.およびIijima,S.編)、Kluwer Academic Publishers、1999年;Tomizuka,K.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2000年)97、722~727ページなど参照)。
そのようなヒト抗体産生マウスは、具体的には以下のように作製され得る。内在性イムノグロブリン重鎖遺伝子座および内在性イムノグロブリン軽鎖遺伝子座が破壊され、その代わりにヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座およびヒト免疫グロブリン軽鎖遺伝子座が酵母人工染色体(YAC)ベクターまたは同種のものを介して導入された遺伝子修飾動物は、ノックアウト動物およびトランスジェニック動物を作製し、これらの動物を交尾させることによって作製される。
さらに、組換えDNA技術に従って、ヒト抗体のそのような重鎖および軽鎖の各々をコードするcDNAおよび好ましくはそのようなcDNAを含むベクターを用いることによって、真核生物細胞が形質転換され、組換えヒトモノクローナル抗体を産生する形質転換細胞を培養され、それによって、培養上清から抗体を得ることもできる。
ここで、宿主として、例えば、真核生物細胞、好ましくは哺乳動物細胞、例えば、CHO細胞、リンパ球または骨髄腫細胞を使用することができる。
さらに、ヒト抗体ライブラリから選択されるファージディスプレイ由来ヒト抗体を得る方法(Wormstone,I.M.ら、Investigative Ophthalmology & Visual Science.(2002年)43(7)、2301~2308ページ;Carmen,S.ら、Briefings in Functional Genomics and Proteomics(2002年)、1(2)、189~203ページ;Siriwardena,D.ら、Ophthalmology(2002年)109(3)、427~431ページなど参照)も知られている。
例えば、ヒト抗体の可変領域を単鎖抗体(scFv)としてのファージの表面上に発現させ、抗原と結合するファージを選択するファージディスプレイ法(Nature Biotechnology(2005年)、23、(9)、1105~1116年)を用いることができる。
抗原への結合に基づいて選択されるファージの遺伝子を分析することによって、抗原に結合するヒト抗体の可変領域をコードするDNA配列を決定することができる。
抗原に結合するscFvのDNA配列を決定する場合、前記配列を含む発現ベクターを調製し、前記ベクターを適切な宿主内に導入してそれを発現させることによって、ヒト抗体を得ることができる(国際公開第92/01047号、国際公開第92/20791号、国際公開第93/06213号、国際公開第93/11236号、国際公開第93/19172号、国際公開第95/01438号、国際公開第95/15388号;Annu.Rev.Immunol.(1994年)12、433~455ページ;Nature Biotechnology(2005年)23(9)、1105~1116ページ)。
新しく産生されたヒト抗体が、TINA1抗体が結合する部分ペプチドまたは部分的三次構造に結合する場合、ヒト抗体がTINA1抗体と同じエピトープに結合すると決定することができる。さらに、ヒト抗体がTROP2への結合についてTINA1抗体と競合する(すなわち、ヒト抗体が、TINA1抗体とTROP2との間の結合を阻害する)ことを確認することによって、特異的なエピトープ配列またはエピトープ構造が決定されなかった場合であってもヒト抗体がTINA1抗体と同じエピトープに結合することを決定することができる。ヒト抗体がTINA1抗体と同じエピトープに結合することが確認される場合、ヒト抗体は、TINA1抗体と同等の生物学的活性を有することが強く期待される。
上記の方法によって得られるキメラ抗体、ヒト化抗体またはヒト抗体を、知られた方法または同種のものによって、抗原への結合特性について評価することが可能であり、好ましい抗体を選択することができる。
抗体の特性の比較における使用のための別の指標の一例として、抗体の安定性を例示することができる。示差走査熱量測定(DSC)は、タンパク質の相対的立体配座安定性の良好な指標として用いられる熱変性中点温度(Tm)を迅速かつ正確に測定することが可能な方策である。DSCを用いてTm値を測定し、前記値を比較することによって、熱安定性の差を比較することができる。抗体の貯蔵安定性は、抗体の熱安定性との多少の相関性を示すことが知られており(Lori Burtonら、Pharmaceutical Development and Technology(2007年)12、265~273ページ)、熱的安定性を指標として用いることによって好ましい抗体を選択することができる。抗体を選択するための他の指標の例としては、以下の特徴、すなわち、適切な宿主細胞における収率が高いこと、および水溶液中の凝集性が低いこと、が挙げられる。例えば、最も高い収率を示す抗体が必ずしも最も高い熱安定性を示すわけではなく、ゆえに、上記の指標に基づいて総合評価を行うことによってヒトへの投与に最も適切な抗体を選択することが必要である。
本発明において、抗体の修飾変異体も含まれる。修飾変異体は、本発明の抗体の化学的修飾または生物学的修飾を行うことによって得られる変異体を指す。化学的修飾変異体の例としては、化学的部分をアミノ酸骨格に連結することによって化学的修飾をほどこした変異体、N連結型炭水化物鎖またはO連結型炭水化物鎖と化学的修飾をほどこした変異体などが挙げられる。生物学的修飾変異体の例としては、翻訳後修飾(例えば、N連結型グリコシル化もしくはO連結型グリコシル化、N末端プロセシングもしくはC末端プロセシング、アミド分解、アスパラギン酸の異性化、またはメチオニンの酸化)によって得られる変異体、メチオニン残基が原核生物宿主細胞内で発現させることによってN末端に付加された変異体が挙げられる。
さらに、本発明の抗体または抗原の検出または単離を可能にするように標識される抗体、例えば、酵素標識抗体、蛍光標識抗体および親和性標識抗体も修飾変異体の意味に含まれる。本発明の抗体のそのような修飾変異体は、抗体の安定性および血液貯溜を向上させること、その抗原性を低下させること、抗体または抗原を検出または単離することなどのために有用である。
さらに、本発明の抗体に連結されているグリカンの修飾(グリコシル化、脱フコシル化など)を調節することによって、抗体依存性細胞毒性活性を増強することが可能である。抗体のグリカンの修飾を調節するための手法として、国際公開第1999/54342号、国際公開第2000/61739号、国際公開第2002/31140号などが知られている。しかし、前記手法はそれらに限定されるものではない。本発明の抗体において、グリカンの修飾が調節される抗体も含まれる。
まず抗体遺伝子を単離し、次いで前記遺伝子を適切な宿主内に導入することによって抗体を産生する場合、適切な宿主および適切な発現ベクターの組み合わせを用いることができる。抗体遺伝子の具体例としては、本明細書に記載される抗体の重鎖配列をコードする遺伝子とその軽鎖配列をコードする遺伝子との組み合わせが挙げられる。宿主細胞を形質転換する場合、重鎖配列遺伝子および軽鎖配列遺伝子を、同じ発現ベクター内に挿入することが可能であり、異なる発現ベクター内に別々に挿入することも可能である。
真核生物細胞を宿主として使用する場合、動物細胞、植物細胞および真核微生物を使用することができる。動物細胞として、哺乳動物細胞、例えば、サルCOS細胞(Gluzman,Y.、Cell、(1981年)23、175~182ページ、ATCC CRL-1650)、マウス繊維芽細胞NIH3T3(ATCC番号CRL-1658)、およびチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞;ATCC:CCL-61)のジヒドロ葉酸還元酵素欠失株(Urlaub,G.およびChasin,L.A.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1980年)77、4126~4220ページ)を例示することができる。
原核細胞を使用する場合、例えば、大腸菌および枯草菌を例示することができる。
形質転換によって所望の抗体遺伝子をこれらの細胞内に導入し、このように形質転換された細胞をインビトロで培養することによって、抗体を得ることができる。上記の培養方法において、収率は、抗体の配列に応じて変化する場合がある可能性があり、ゆえに、同等の結合活性を有する抗体における指標として収率を用いることによって医薬品として容易に作製される抗体を選択することが可能である。ゆえに、本発明の抗体において、形質転換された宿主細胞を培養するステップと、培養ステップで得られた培養産物から所望の抗体を回収するステップとを含むことを特徴とする、抗体を産生する方法によって得られた抗体も含まれる。
培養哺乳動物細胞において産生された抗体の重鎖のカルボキシル末端のリジン残基を欠失させることが知られており(Journal of Chromatography A、705:129~134(1995年))、培養哺乳動物細胞において産生された抗体の重鎖のカルボキシル末端の2つのアミノ酸残基(グリシンおよびリジン)を欠失させ、新しくカルボキシル末端に位置するプロリン残基をアミド化させることも知られている(Analytical Biochemistry、360:75~83(2007年))。しかし、重鎖配列のそのような欠失および修飾は、抗体の抗原結合親和性およびエフェクタ機能(補体の活性化、抗体依存性細胞毒性など)に影響を及ぼさない。ゆえに、本発明の抗体において、そのような修飾をほどこした抗体および前記抗体の機能的断片も含まれ、1つまたは2つのアミノ酸が重鎖のカルボキシル末端で欠失された欠失変異体、前記欠失変異体のアミド化によって得られた変異体(例えば、カルボキシ末端プロリン残基がアミド化された重鎖)および同種のものも包含される。本発明にかかる抗体の重鎖のカルボキシル末端に欠失を有する欠失変異体の型は、抗原結合親和性およびエフェクタ機能が保存される限り、上記の変異体に限定されるものではない。本発明にかかる抗体を構成する2つの重鎖は、完全長重鎖および上記の欠失変異体からなる群から選択される1つの型のものであってもよいか、またはそれらから選択される組み合わせにおける2つの型のものであってもよい。各欠失変異体の量の比は、本発明にかかる抗体を産生する培養哺乳動物細胞の型および培養条件に影響を受ける可能性があるが、カルボキシル末端の1つのアミノ酸残基が本発明にかかる抗体中において主要な成分として含まれる2つの重鎖の両方において欠失されている場合を例示することができる。
本発明の抗体のアイソタイプとして、例えば、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)を例示することが可能であり、好ましくはIgG1またはIgG2を例示することが可能である。
抗体の生物学的活性として、概して、抗原結合活性、抗原への結合によって抗原を発現する細胞内で内在化する活性、抗原の活性を中和する活性、抗原の活性を増強する活性、抗体依存性細胞毒性(ADCC)活性、補体依存性細胞毒性(CDC)活性および抗体依存性細胞媒介食作用(ADCP)活性を例示することができる。本発明の抗体の機能は、TROP2への結合活性、好ましくは、TROP2への結合によってTROP2発現細胞内で内在化する活性である。さらに、本発明の抗体は、細胞内在化活性の他に、ADCC活性、CDC活性および/またはADCP活性を有してもよい。
得られた抗体は、均質になるまで精製され得る。抗体の分離および精製は、従来のタンパク質分離および精製方法を用いて実施されてもよい。例えば、カラムクロマトグラフィー、フィルター濾過、限外濾過、塩沈澱、透析、調製用ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動および同種のものを適切に選択し、組み合わせることによって、抗体を分離し、精製することができるが(Strategies for Protein Purification and Characterization:A Laboratory Course Manual、Daniel R.Marshakら編、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1996年);Antibodies:A Laboratory Manual.Ed Harlow and David Lane、Cold Spring Harbor Laboratory(1988年))、前記方法は、それらに限定されるものではない。
そのようなクロマトグラフィーの例としては、親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーおよび吸着クロマトグラフィーが挙げられる。
そのようなクロマトグラフィーは、HPLCまたはFPLCなどの液体クロマトグラフィーを用いて実施され得る。
親和性クロマトグラフィーで使用されるカラムとして、タンパク質Aカラムおよびタンパク質Gカラムを例示することができる。例えば、タンパク質Aカラムを用いたカラムとして、Hyper D、POROS、Sepharose FF(Pharmacia)および同種のものを例示することができる。
さらに、担体であって、その上に固定される抗原を有する前記担体を使用することによって、前記抗原への前記抗体の結合特性を利用して前記抗体を精製することもできる。
抗癌化合物
本セクションにおいて、本発明の開示された抗体薬物複合体の一部として抗TROP2抗体に複合化される抗腫瘍化合物を説明する。
本発明において用いられる抗腫瘍化合物は、抗腫瘍効果および置換基、またはリンカー構造への連結を可能にする部分構造を有する化合物である場合、特に限定されるものではない。部分的な、または全部のリンカーを腫瘍細胞内で開裂させる場合、抗腫瘍化合物部分が放出されて抗腫瘍化合物の抗腫瘍効果を示す。リンカーが薬物への連結位置で開裂されると、抗腫瘍化合物は、その無修飾構造内で放出されて、その内因性抗腫瘍効果を示す。
本発明において使用される抗腫瘍化合物として、カンプトセシン誘導体の内の1種であるエキサテカン(以下の式に示される((1S,9S)-1-アミノ-9-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13(9H,15H)-ジオン)が好ましくは使用され得る。エキサテカンは、式1において以下で示される。
エキサテカンは、優れた抗腫瘍効果を有するが、抗腫瘍薬として商品化されていない。前記化合物を知られた方法によって容易に得ることが可能であり、好ましくは1位のアミノ基をリンカー構造への連結位置として用いることが可能である。さらに、リンカーの一部を依然として付着させると共に腫瘍細胞内でエキサテカンを放出することも可能であり、それは、そのような構造においても優れた抗腫瘍効果を示す優れた抗癌化合物のままである。
エキサテカンはカンプトセシン構造を有するので、平衡は、水性酸性媒体(例えば、pH3程度)中において閉ラクトン環(閉環)を有する構造に移動するが、水性塩基性媒体(例えば、pH10程度)中において開ラクトン環(開環)を有する構造に移動することが知られている。閉環構造に対応するエキサテカン残基が薬物複合体に導入されている場合、開環構造が同じ抗腫瘍効果を有することも期待され、これらの状況のいずれも本発明の範囲内である。
抗腫瘍化合物の他の例としては、ドキソルビシン、ダウノルビシン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、シクロシチジン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、メトトレキセート、白金系抗腫瘍剤(シスプラチンまたはその誘導体)、タキソールまたはその誘導体、およびカンプトセシンまたはその誘導体(特開平6-87746号に記載されている抗腫瘍剤)を挙げることができる。
抗体薬物複合体に関して、抗体分子1個当たりの複合化薬物分子の数は、有効性および安全性に影響がある主要な因子である。抗体薬物複合体の作製は、一定数の複合化薬物分子を有するように反応のための原料および試薬の使用量を含む反応条件を明確にすることによって行われ、抗体薬物複合体は、概して、低分子化合物の化学反応とは異なって、異なる数の複合化薬物分子を含む混合物として得られる。抗体分子において複合化される薬物の数は、平均値、すなわち、複合化薬物分子の平均数で表されるか、または指定される。具体的に原理として記載されない限り、複合化薬物分子の数は、それが異なる数の複合化薬物分子を有する抗体薬物複合体混合物に含まれる具体的な数の複合化薬物分子を有する抗体薬物複合体を表す場合を除いて、平均値を意味する。抗体分子に複合化されるエキサテカン分子の数は制御可能であり、抗体1個当たりの複合化薬物分子の平均数として、約1~10個のエキサテカンを連結することができる。いくつかの実施形態において、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のエキサテカンを連結することができる。好ましくは、それは、2~8であり、より好ましくは3~8であり、より好ましくは、3.5~4.5、または4である。一方、当業者は、本出願の実施例の記載に基づいて、必要数の薬物分子を抗体分子に複合化するための反応を設計することが可能であり、制御された数のエキサテカン分子を有する抗体薬物複合体を得ることが可能である。
リンカー構造
本発明の抗TROP2抗体薬物複合体に関して、抗腫瘍化合物を抗TROP2抗体に複合化するためのリンカー構造を説明する。リンカーは、以下の式の構造を有する。
-L1-L2-LP-NH-(CH2)n1-La-(CH2)n2-C(=O)-
前記抗体は、L1の末端(L2への連結部の反対側の末端)に連結され、前記抗腫瘍化合物は、-La-(CH2)n2-C(=O)-部分のカルボニル基に連結されている。
n1は、0~6の整数を表し、好ましくは1~5、より好ましくは、1~3の整数である。
L1
L1は、-(Succinimid-3-yl-N)-(CH2)n3-C(=O)-の構造で表される。
上記において、n3は、2~8の整数であり、「-(Succinimid-3-yl-N)-」は、以下の式で表される構造を有する。
上記の部分構造の3位は、抗TROP2抗体に対する連結位置である。3位の抗TROP2抗体に対する結合は、チオエーテル形成により結合していることを特徴とする。構造部分の1位の窒素原子は、前記構造を含むリンカー内に存在するメチレンの炭素原子に連結されている。具体的に、-(Succinimid-3-yl-N)-(CH2)n3-C(=O)-L2-は、以下の式(本願明細書において、「抗体-S-」は、抗体に由来する)で表される構造である。
前記式において、n3は、2~8、好ましくは2~5の整数である。
L1の具体例としては、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2-C(=O)-、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-
を挙げることができる。
L2
L2は、以下の構造で表されるリンカーである。
-NH-(CH2CH2-O)n4-CH2CH2-C(=O)-、
L2が存在しない場合があり、そのような場合、L2は単結合である。上記において、n4は、1~6、好ましくは2~4の整数である。L2は、その末端アミノ基でL1に連結され、他方の末端におけるそのカルボニル基でLPに連結されている。
L2の具体例としては、
-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-、
-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-、
-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-、
-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-、
-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-、
-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-
を挙げることができる。
LP
LPは、2~7個のアミノ酸からなるペプチド残基である。具体的に、それは、2~7個のアミノ酸がペプチド結合によって連結されているオリゴペプチド残基からなる。LPは、そのN末端でL2に連結され、そのC末端でリンカーの-NH-(CH2)n1-La-(CH2)n2-C(=O)-部分のアミノ基に連結されている。
リンカー内においてLPを構成するアミノ酸は、特に限定されるものではないが、その例としては、L-アミノ酸またはD-アミノ酸、好ましくはL-アミノ酸が挙げられる。そして、それは、α-アミノ酸の他に、β-アラニン、ε-アミノカプロン酸またはγ-アミノ酪酸などの構造を有するアミノ酸であることが可能であり、さらに、それは、N-メチル化アミノ酸などの非天然型アミノ酸であることが可能である。
LPのアミノ酸配列は、特に限定されるものではないが、構成アミノ酸の例としては、フェニルアラニン(Phe;F)、チロシン(Tyr;Y)、ロイシン(Leu;L)、グリシン(Gly;G)、アラニン(Ala;A)、バリン(Val;V)、リジン(Lys;K)、シトルリン(Cit)、セリン(Ser;S)、グルタミン酸(Glu;E)およびアスパラギン酸(Asp;D)が挙げられる。
それらの中で、好ましい例としては、フェニルアラニン、グリシン、バリン、リジン、シトルリン、セリン、グルタミン酸およびアスパラギン酸が挙げられる。アミノ酸の型に応じて、薬剤放出パターンを制御することができる。アミノ酸の数は、2~7個の間であることができる。
LPの具体例としては、
-GGF-、
-DGGF-、
-(D-)D-GGF-、
-EGGF-、
-GGFG-、
-SGGF-、
-KGGF-、
-DGGFG-、
-GGFGG-、
-DDGGFG-、
-KDGGFG-、
-GGFGGGF-
を挙げることができる。
上記において、「(D-)D」は、D-アスパラギン酸を表す。
本発明の抗体薬物複合体のためのLPの特に好ましい例としては、-GGFG-のテトラペプチド残基を挙げることができる。
La-(CH2)n2-C(=O)-
La-(CH2)n2-C(=O)-におけるLaは、-O-の構造または単結合である。n2は、0~5、より好ましくは0~3、より好ましくは0または1の整数である。
La-(CH2)n2-C(=O)-の例としては、以下の構造、
-O-CH2-C(=O)-、
-O-CH2CH2-C(=O)-、
-O-CH2CH2CH2-C(=O)-、
-O-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-、
-O-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-、
-CH2-C(=O)-、
-CH2CH2-C(=O)-、
-CH2CH2CH2-C(=O)-、
-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-、
-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-
を有するものを挙げることができる。
それらの中で、-O-CH2-C(=O)-、-O-CH2CH2-C(=O)-、またはLaが単結合であり、かつn2が0である場合が好ましい。
リンカー内における-NH-(CH2)n1-La-(CH2)n2-C(=O)-で表される構造の具体例としては、
-NH-CH2-C(=O)-、
-NH-CH2CH2-C(=O)-、
-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-、
-NH-CH2CH2-O-C(=O)-、
-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-、
-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-、
-NH-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-、
-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-
を挙げることができ、
-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-、-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-、または-NH-CH2CH2-O-C(=O)-が好ましい。
リンカー内において、-NH-(CH2)n1-La-(CH2)n2-C(=O)-の鎖長は、好ましくは4~7個の原子の鎖長であり、より好ましくは5個または6個の原子の鎖長である。
本発明の抗TROP2抗体薬物複合体に関して、抗TROP2抗体薬物複合体が腫瘍細胞の内部にトランスファーされる場合、リンカー部分が開裂され、NH2-(CH2)n1-La-(CH2)n2-C(=O)-(NH-DX)で表される構造を有する薬物誘導体が放出されて抗腫瘍作用を発現することが考えられる。本発明の抗体薬物複合体からの放出によって抗腫瘍効果を示す抗腫瘍誘導体の例としては、リンカーの-NH-(CH2)n1-La-(CH2)n2-C(=O)-で表される構造が末端アミノ基を有する構造部分を有する抗腫瘍誘導体が挙げられ、特に好ましいものとしては、以下のものが挙げられる。
NH2-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
NH2-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
NH2-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、
NH2-CHCH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
一方、NH2-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)の場合、分子中のアミナール構造が不安定であると、それは再度自己分解を経て以下の
HO-CH2-C(=O)-(NH-DX)
を放出することが確認された。好ましくは、それらの化合物を本発明の抗体薬物複合体の生成中間体として使用することもできる。
エキサテカンが薬物として使用される本発明の抗体薬物複合体について、以下の構造を有する薬物-リンカー構造部分[-L1-L2-LP-NH-(CH2)n1-La-(CH2)n2-C(=O)-(NH-DX)]が抗体に連結されていることが好ましい。抗体1個当たりの前記薬物-リンカー構造部分の平均複合化数は、1~10、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であることができる。好ましくは、それは、2~8であり、より好ましくは3~8であり、より好ましくは、3.5~4.5、または4である。
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
それらの中で、より好ましいものは、以下のものである。
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
特に好ましいものは、以下のものである。
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
本発明の抗体薬物複合体において抗TROP2抗体および薬物を複合化するためのリンカー構造に関して、好ましいリンカーは、上記で説明されるリンカーの部分毎に示される好ましい構造を連結することによって構築され得る。リンカー構造に関して、好ましくは、以下の構造を有するものを使用することができる。一方、前記構造の左の末端は、抗体との連結位置であり、右の末端は、薬物との連結位置である。
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
その中で、より好ましいものは、以下のものである。
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
特に好ましいものは、以下のものが挙げられる。
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-、
-(Succinimid-3-yl-N)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2O-CH2CH2O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-
本発明において使用される抗TROP2抗体薬物複合体に関して、それが腫瘍細胞の内部にトランスファーされる場合、リンカー部分が開裂され、式:
NH2-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)
で表される構造を有する薬物誘導体が放出され得る。
薬物誘導体の分子中のアミナール構造が不安定であると、それは再度自己分解を経て、式:HO-CH2-C(=O)-(NH-DX)で表される化合物を放出することが確認された。
前記化合物は、以下の式:
(以下、本発明において「化合物1」とも称される)で表され得る。
化合物1は、本発明において使用される抗体薬物複合体が有する抗腫瘍活性の主要な医薬的活性物質であると考えられ、トポイソメラーゼI阻害効果を有することが確認された(Ogitani Y.ら、Clinical Cancer Research、2016年10月15日;22(20):5097~5108、Epub 2016年3月29日)。
生成方法
次に、本発明の抗体薬物複合体またはその生成中間体を生成するための代表的方法について説明する。一方、前記化合物は、以下で本明細書において、各化学反応式に示される化合物番号と共に記載される。具体的に、それらは、「式(1)の化合物」、「化合物(1)」または同種のものと称される。それら以外の番号を伴う化合物も同様に記載される。
生成方法A
チオエーテルを介して薬物-リンカー構造に連結されている式(1)で表される抗体薬物複合体は、例えば、以下の方法によって生成され得る。
前記式において、ABは、スルフヒドリル基を有する抗体を表し、L1’は、リンカー末端がマレイミジル基であるL1リンカー構造(以下で示される式)を表す。
前記式において、窒素原子は連結位置であり、具体的には、L1の-(Succinimid-3-yl-N)-(CH2)n3-C(=O)-における-(Succinimid-3-yl-N)-部分がマレイミジル基である基を表す。さらに、-(NH-DX)は、以下の式:
で表される構造を表し、それは、エキサテカンの1位においてアミノ基の1個の水素原子を除去することによって誘導される基を表す。
さらに、上記化学反応式における式(1)の化合物は、薬物からリンカー末端までに相当する1つの構造部分が1つの抗体に連結している構造であると解釈される。しかし、それは便宜上示される記載に過ぎず、実際には、複数の構造部分が1つの抗体分子に連結されている場合が多くある。以下で記載される生成方法の説明も同様である。
抗体薬物複合体(1)は、以下で記載される方法によって入手可能な化合物(2)を、スルフヒドリル基を有する抗体(3a)と反応させることによって生成され得る。
スルフヒドリル基を有する抗体(3a)は、本技術分野においてよく知られた方法(Hermanson,G.T、Bioconjugate Techniques、56~136ページ、456~493ページ、Academic Press(1996年))によって得られ得る。例としては:トラウトの試薬を抗体のアミノ基と反応させる;N-スクシンイミジルS-アセチルチオアルカノエートを抗体のアミノ基と反応させた後、ヒドロキシルアミンとの反応を行う;N-スクシンイミジル3-(ピリジルジチオ)プロピオネートとの反応の後、抗体を還元剤と反応させる;抗体をジチオスレイトール、2-メルカプトエタノールおよびトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)などの還元剤と反応させて、抗体内のジスルフィド結合を還元させてスルフヒドリル基を形成する、が挙げられるが、それらに限定されるものではない。
具体的に、抗体内における1つのジスルフィドにつき還元剤として0.3~3モル当量のTCEPを用いて、キレート剤を含む緩衝溶液中における抗体と反応させて、抗体内に部分的にまたは完全に還元されたジスルフィドを有する抗体を得ることもできる。キレート剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)が挙げられる。それは、1mM~20mMの濃度で使用され得る。使用することができる緩衝溶液の例としては、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウムの溶液が挙げられる。具体的に、抗体を、4℃~37℃で、1~4時間、TCEPと反応させることによって、部分的にまたは完全に還元されたスルフヒドリル基を有する抗体(3a)を得ることができる。
一方、スルフヒドリル基を薬物-リンカー部分に付加するための反応を行うことによって、チオエーテル結合で薬物-リンカー部分を複合化することができる。
スルフヒドリル基を有する抗体(3a)1つにつき2~20モル当量の化合物(2)を用いて、抗体1つにつき2~8個の薬物分子が複合化される抗体薬物複合体(1)を生成することができる。具体的に、その中に溶解された化合物(2)を含む溶液を、前記反応のためのスルフヒドリル基を有する抗体(3a)を含む緩衝溶液に加えることで充分である。本明細書において、使用することができる緩衝溶液の例としては、酢酸ナトリウム溶液、リン酸ナトリウムおよびホウ酸ナトリウムが挙げられる。前記反応のためのpHは、5~9であり、より好ましくは、前記反応は、ほぼpH7で行われる。化合物(2)を溶解させるための溶媒の例としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)およびN-メチル-2-ピリドン(NMP)などの有機溶媒が挙げられる。
その中に溶解される化合物(2)を含む有機溶媒溶液を、前記反応のためのスルフヒドリル基を有する抗体(3a)を含む緩衝溶液に1~20%v/vで加えることで充分である。反応温度は、0~37℃、より好ましくは10~25℃であり、反応時間は、0.5~2時間である。チオール含有試薬との未反応の化合物(2)の反応性を非活性化することによって前記反応を終了させることができる。チオール含有試薬の例としては、システインおよびN-アセチル-L-システイン(NAC)が挙げられる。より具体的には、使用される化合物(2)に1~2モル当量のNACを加え、室温で10~30分間インキュベートすることによって前記反応を終了させることができる。
生成された抗体薬物複合体(1)に対して、濃縮後に、緩衝液交換、精製、以下で記載される一般的手法による抗体濃度および抗体分子1個当たりの複合化薬物分子の平均数の測定、抗体薬物複合体(1)の同定を行うことができる。
一般的手法A:抗体または抗体薬物複合体の水溶液の濃縮
Amicon Ultra(50,000MWCO、Millipore Corporation)容器に抗体または抗体薬物複合体の溶液を加え、遠心分離機(Allegra X-15R、Beckman Coulter,Inc.)を用いて、遠心分離(2000G~3800Gで5~20分間の遠心分離)によって抗体または抗体薬物複合体の溶液を濃縮した。
一般的手法B:抗体濃度の測定
UV検出器(Nanodrop1000、Thermo Fisher Scientific Inc.)を用いて、製造業者によって規定された方法に従って抗体濃度の測定を行った。その時、各抗体について異なる280nm吸収係数(1.3mLmg-1cm-1~1.8mLmg-1cm-1)を用いた。
一般的手法C-1:抗体のための緩衝液交換
Sephadex G-25担体を用いたNAP-25カラム(Cat.No.17-0852-02、GE Healthcare Japan Corporation)を、製造業者によって規定された方法に従って、塩化ナトリウム(137mM)およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA、5mM)を含むリン酸緩衝液(10mM、pH6.0;それは本明細書においてPBS6.0/EDTAと称される)で平衡させた。抗体の水溶液を2.5mLの量で単一NAP-25カラムに適用し、次いで、3.5mLのPBS6.0/EDTAで溶出させた画分(3.5mL)を回収した。得られた画分を一般的手法Aによって濃縮した。一般的手法Bを用いて抗体の濃度を測定した後、PBS6.0/EDTAを用いて抗体濃度を10mg/mLに調整した。
一般的手法C-2:抗体のための緩衝液交換
Sephadex G-25担体を用いたNAP-25カラム(Cat.No.17-0852-02、GE Healthcare Japan Corporation)を、製造業者によって規定された方法に従って、塩化ナトリウム(50mM)およびEDTA(2mM)を含むリン酸緩衝液(50mM、pH6.5;それは本明細書においてPBS6.5/EDTAと称される)で平衡させた。抗体の水溶液を2.5mLの量で単一NAP-25カラムに適用し、次いで、3.5mLのPBS6.5/EDTAで溶出させた画分(3.5mL)を回収した。得られた画分を一般的手法Aによって濃縮した。一般的手法Bを用いて抗体の濃度を測定した後、PBS6.5/EDTAを用いて抗体濃度を20mg/mLに調整した。
一般的手法D:抗体薬物複合体の精製
NAP-25カラムを、商業的に入手可能なリン酸緩衝液(PBS7.4、Cat.No.10010-023、Invitrogen)、塩化ナトリウム(137mM)を含むリン酸ナトリウム緩衝液(10mM、pH6.0;それはPBS6.0と称される)、およびソルビトール(5%)を含む酢酸緩衝液(10mM、pH5.5;それは本明細書においてABSと称される)から選択される任意の緩衝液で平衡させた。抗体薬物複合体反応の水溶液を約1.5mLの量でNAP-25カラムに適用し、次いで、製造業者によって規定された量の緩衝液で溶出させて抗体画分を回収した。回収された画分をNAP-25カラムに再び適用し、緩衝液による溶出のためのゲル濾過精製プロセスを合計で2~3回繰り返すことによって、非複合化薬物リンカーおよび低分子化合物(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)、N-アセチル-L-システイン(NAC)およびジメチルスルホキシド)を除く抗体薬物複合体を得た。
一般的手法E:抗体薬物複合体中における抗体濃度の測定、および抗体分子(1)1個当たりの複合化薬物分子の平均数。
280nmおよび370nmの2つの波長で抗体薬物複合体の水溶液のUV吸光度を測定することによって抗体薬物複合体中における複合化薬物濃度を算出した後、以下で示される算出を行うことができる。
任意の波長の総吸光度が系内に存在する全ての光吸収化学種の吸光度の合計に等しいので(吸光度の加法性)、抗体および薬物のモル吸収係数が抗体および薬物の間の複合化の前後で変わらない場合、抗体薬物複合体中における抗体濃度および薬物濃度は、以下の式で表される。
A280=AD,280+AA,280=εD,280CD+εA,280CA 式(I)
A370=AD,370+AA,370=εD,370CD+εA,370CA 式(II)
上記において、A280は、280nmにおける抗体薬物複合体の水溶液の吸光度を表し、A370は、370nmにおける抗体薬物複合体の水溶液の吸光度を表し、AA,280は、280nmにおける抗体の吸光度を表し、AA,370は、370nmにおける抗体の吸光度を表し、AD,280は、280nmにおける複合体前駆体の吸光度を表し、AD,370は、370nmにおける複合体前駆体の吸光度を表し、εA,280は、280nmにおける抗体のモル吸収係数を表し、εA,370は、370nmにおける抗体のモル吸収係数を表し、εD,280は、280nmにおける複合体前駆体のモル吸収係数を表し、εD,370は、370nmにおける複合体前駆体のモル吸収係数を表し、CAは、抗体薬物複合体中における抗体濃度を表し、CDは、抗体薬物複合体中における薬物濃度を表す。
上記におけるεA,280、εA,370、εD,280およびεD,370に関して、事前に用意された値(化合物のUV測定によって得られた算出値または測定値に基づいた推定値)を用いる。例えば、知られた算出方法を用いて抗体のアミノ酸配列からεA,280を推定することができる(Protein Science、1995年、第4巻、2411~2423)。εA,370は、概してゼロである。用いられる複合体前駆体が特定のモル濃度で溶解する溶液の吸光度を測定することによって、ランバート-ベールの法則(吸光度=モル濃度×モル吸収係数×セル光路長)に基づいてεD,280およびεD,370を得ることができる。抗体薬物複合体の水溶液のA280およびA370を測定し、前記値を用いて連列方程式(I)および(II)を解くことによって、CAおよびCDを得ることができる。さらに、CDをCAで除す(diving)ことによって、抗体1つ当たりの複合化薬物の平均数を得ることができる。
一般的手法F:抗体薬物複合体内における抗体分子1個当たりの複合化薬物分子の平均数の測定-(2)。
上述の一般的手法Eの他に、以下で記載される方法を用いて、抗体薬物複合体内における抗体分子1個当たりの複合化薬物分子の平均数を高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)分析によって決定することもできる。
[F-1.HPLC分析のための試料の調製(抗体薬物複合体の還元)]
抗体薬物複合体溶液(約1mg/mL、60μL)をジチオスレイトール(DTT)水溶液(100mM、15μL)と混合する。混合物を37℃で30分間インキュベートして、抗体薬物複合体のL鎖およびH鎖の間のジスルフィド結合を開裂する。得られた試料をHPLC分析で用いる。
[F-2.HPLC分析]
以下の測定条件でHPLC分析を行う。
HPLCシステム:Agilent1290HPLCシステム(Agilent Technologies,Inc.)
検出器:UV吸収分光計(測定波長:280nm)
カラム:PLRP-S(2.1×50mm、8μm、1000オングストローム;Agilent Technologies,Inc.、P/N PL1912-1802)
カラム温度:80℃
移動相A:0.04%トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液
移動相B:0.04%TFAを含むアセトニトリル溶液
勾配プログラム:29%~36%(0分~12.5分)、36%~42%(12.5~15分)、42%~29%(15分~15.1分)、29%~29%(15.1分~25分)
試料注射量:15μL
[F-3.データ分析]
[F-3-1]非複合化抗体のL鎖(L0)およびH鎖(H0)と比較して、薬物複合化L鎖(1個の薬物分子に連結されたL鎖:L1)およびH鎖(1個の薬物分子に連結されたH鎖:H1、2個の薬物分子に連結されたH鎖:H2、3個の薬物分子に連結されたH鎖:H3)は、複合化薬物分子の数に比例して、より高い疎水性を示し、ゆえに、保持時間がより大きい。ゆえに、これらの鎖は、L0およびL1、またはH0、H1、H2およびH3の順序で溶離する。保持時間とL0およびH0との比較によって、検出ピークをL0、L1、H0、H1、H2およびH3のいずれかに割り当てることができる。
[F-3-2]薬物リンカーがUV吸収を有するので、ピーク面積値は、L鎖、H鎖および薬物リンカーのモル吸収係数を用いて、以下の式に従って、複合化薬物リンカー分子の数に応じて補正される。
ここで、各抗体のL鎖またはH鎖のモル吸光係数(280nm)に関して、知られた算出方法(Protein Science、1995年、第4巻、2411~2423)によって各抗体のL鎖またはH鎖のアミノ酸配列から推定された値を用いることができる。hTINAの場合、そのアミノ酸配列に従って、34690のモル吸光係数(molar extinctio coefficient)および95000のモル吸光係数をそれぞれL鎖およびH鎖についての推定値として用いた。薬物リンカーのモル吸光係数(280nm)に関して、各薬物リンカーのメルカプトエタノールまたはN-アセチルシステインとの反応によってマレイミド基がスクシンイミドチオエーテルに転化された化合物の測定モル吸光係数(280nm)を用いた。
[F-3-3]以下の式に従って、ピーク面積の補正値の合計について、各鎖のピーク面積比(%)を算出する。
[F-3-4]抗体薬物複合体において抗体分子1個当たりの複合化薬物分子の平均数は、以下の式に従って算出される。
複合化薬物分子の平均数=(L0ピーク面積比×0+L0ピーク面積比×1+H0ピーク面積比×0+H1ピーク面積比×1+H2ピーク面積比×2+H3ピーク面積比×3)/100×2
生成方法1における式(2)によって表される化合物は、以下の式によって表される化合物である。
(Maleimid-N-yl)-(CH2)n3-C(=O)-L2-LP-NH-(CH2)n1-La-(CH2)n2-C(=O)-(NH-DX)
式において、
n3は、2~8の整数を表し、
L2は、-NH-(CH2CH2-O)n4-CH2CH2-C(=O)-または単結合を表し、式中、n4は、1~6の整数を表し、
LPは、フェニルアラニン、グリシン、バリン、リジン、シトルリン、セリン、グルタミン酸およびアスパラギン酸から選択される2~7個のアミノ酸からなるペプチド残基を表し、
n1は、0~6の整数を表し、
n2は、0~5の整数を表し、
Laは、-O-または単結合を表し、
(Maleimid-N-yl)-は、以下の式によって表されるマレイミジル基(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル基)であり、
(式中、窒素原子は、連結位置である)
-(NH-DX)は、以下の式によって表される基である。
(式中、1位のアミノ基の窒素原子は、連結位置である)
L2が単結合または-NH-(CH2CH2-O)n4-CH2CH2-C(=O)-である場合、n4が2~4の整数である化合物が生成中間体として好ましい。
LPのペプチド残基に関して、フェニルアラニン、グリシン、バリン、リジン、シトルリン、セリン、グルタミン酸およびアスパラギン酸から選択されるアミノ酸を含むペプチド残基を有する化合物が生成中間体として好ましい。それらのペプチド残基の中で、LPが4つのアミノ酸からなるペプチド残基である化合物が生成中間体として好ましい。より具体的に、LPが-GGFG-のテトラペプチド残基である化合物が生成中間体として好ましい。
さらに、-NH-(CH2)n1-La-(CH2)n2-に関して、-NH-CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-、-NH-CH2-O-CH2-、または-NH-CH2CH2-O-CH2-を有する化合物が生成中間体として好ましい。-NH-CH2CH2CH2-、-NH-CH2-O-CH2-、または-NH-CH2CH2-O-CH2を有する化合物がより好ましい。
さらに、式(2)で表される化合物において、n3が2~5の整数であり、L2が単結合であり、-NH-(CH2)n1-La-(CH2)n2-が-NH-CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-、-NH-CH2-O-CH2-、または-NH-CH2CH2-O-CH2-である化合物が生成中間体として好ましい。-NH-(CH2)n1-La-(CH2)n2-は-NH-CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2-、-NH-CH2-O-CH2-、または-NH-CH2CH2-O-CH2-である化合物がより好ましい。n3が2または5の整数である化合物がさらに好ましい。
さらに、式(2)で表される化合物において、n3が2~5の整数であり、L2が-NH-(CH2CH2-O)n4-CH2CH2-C(=O)-であり、n4が2~4の整数であり、-NH-(CH2)n1-La-(CH2)n2-は-NH-CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2CH2-、-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-、-NH-CH2-O-CH2-、または-NH-CH2CH2-O-CH2-である化合物が生成中間体として好ましい。n4が2または4の整数である化合物がより好ましい。-NH-(CH2)n1-La-(CH2)n2-は-NH-CH2CH2CH2-、-NH-CH2-O-CH2-、または-NH-CH2CH2-O-CH2-である化合物がさらに好ましい。
本発明の化合物の生成において有用なそのような好ましい中間体として、以下のものを例示することができる。
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
生成中間体化合物の上記群から選択される薬物-リンカー化合物を抗TROP2抗体またはその反応性誘導体と反応させ、抗TROP2抗体内に存在するジスルフィド結合部位でチオエーテル結合を形成することによって、本発明の抗TROP2抗体薬物複合体を生成することができる。この場合、抗TROP2抗体の反応性誘導体が、好ましくは用いられる。特に、抗TROP2抗体を還元することによって得られる反応性誘導体が好ましい。
以下のものが、生成中間体としてより好ましい化合物である。
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)
中間体化合物の上記群の中で、以下の式:
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2CH2-C(=O)-(NH-DX)、
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)、または
(Maleimid-N-yl)-CH2CH2CH2CH2CH2-C(=O)-GGFG-NH-CH2CH2-O-CH2-C(=O)-(NH-DX)で表される化合物が、さらに好ましい化合物である。
前記複合体の量を確保するために、同等の数(例えば、約±1)の薬物を有するように同様の生成条件下で得られた複数の複合体を混合して新しいロットを調製することができる。この場合、薬物の平均数は、前記混合前における前記複合体内の薬物の平均数の間にある。
生成方法2
前の生成方法で用いられる中間体として式(2)で表される化合物およびその薬理学的に許容し得る塩は、例えば、以下の方法によって生成され得る。
前記式において、L1’は、マレイミジル基を表し、P1、P2およびP3は、各々保護基を表す。
化合物(6)は、カルボン酸(5)を活性エステル、混合酸無水物、酸ハロゲン化物または同種のものに誘導体化し、それを塩基の存在下でNH2-DX(4)またはその薬理学的に許容し得る塩と反応させることによって生成され得る。NH2-DX(4)は、エキサテカン(化学名:(1S,9S)-1-アミノ-9-エチル-5-フルオロ-2,3-ジヒドロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-10,13(9H,15H)-ジオン)を表す。
ペプチド合成のために一般に用いられる反応試薬および反応条件を前記反応のために用いることができる。各種の活性エステルがある。例えば、それは、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミドまたは1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩などの縮合剤を用いて、p-ニトロフェノール、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール、N-ヒドロキシスクシンイミドまたは同種のものなどのフェノールをカルボン酸(5)と反応させることによって生成され得る。さらに、前記活性エステルは、カルボン酸(5)とトリフルオロ酢酸ペンタフルオロフェニルまたは同種のものとの反応、カルボン酸(5)と1-ベンゾトリアゾリルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファイトとの反応、カルボン酸(5)とシアノホスホン酸ジエチルとの反応(塩入法方法)、カルボン酸(5)とトリフェニルホスフィンおよび2,2’-ジピリジルジスルフィドとの反応(Mukaiyamaの方法)、カルボン酸(5)と4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMTMM)などのトリアジン誘導体との反応または同種のものによっても生成され得る。さらに、前記反応は、例えば、カルボン酸(5)を塩基の存在下で塩化チオニルおよび塩化オキサリルなどの酸ハロゲン化物で処理する酸ハロゲン化物法によっても行われ得る。
上記のように得られたカルボン酸(5)の活性エステル、混合酸無水物または酸ハロゲン化物を-78℃~150℃の反応温度で不活性溶媒中における適切な塩基の存在下で化合物(4)と反応させることによって、化合物(6)を生成することができる。一方、「不活性溶媒」は、溶媒が用いられる標的反応を阻害しない溶媒を示す。
上記の各ステップのために用いられる塩基の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムエトキシド、カリウムブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウムおよび水素化カリウムを含むアルカリ金属またはアルカリ土金属のカーボネート、アルコキシド、水酸化物または水素化物、n-ブチルリチウムや、リチウムジイソプロピルアミドを含むジアルキルアミノリチウムを含むアルキルリチウムに代表される有機金属塩基、リチウムビス(トリメチルシリル)アミドを含むビスシリルアミンの有機金属塩基、ならびに第三アミンまたは窒素含有複素環化合物、例えば、ピリジン、2,6-ルチジン、コリジン、4-ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン、ジイソプロピルエチルアミンおよびジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)を含む有機塩基を挙げることができる。
本発明の反応のために用いられる不活性溶媒の例としては、ジクロロメタン、クロロホルムおよび四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタンおよびジオキサンなどのエーテル溶媒、ベンゼンおよびトルエンなどの芳香族炭化水素溶媒、ならびにN、N-ジメチルホルムアミド、N、N-ジメチルアセトアミドおよびN-メチルピロリジン-2-オンなどのアミド溶媒が挙げられる。それらの他に、場合によって、ジメチルスルホキシドおよびスルホランなどのスルホキシド溶媒、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン溶媒、ならびにメタノールおよびエタノールなどのアルコール溶媒を用いてもよい。さらに、これらの溶媒を使用のために混合してもよい。
化合物(6)の末端アミノ基のための保護基P1に関して、ペプチド合成のために概して用いられるアミノ基のための保護基、例えば、tert-ブチルオキシカルボニル基、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基およびベンジルオキシカルボニル基を用いることができる。アミノ基のための他の保護基の例としては、アセチル基などのアルカノイル基、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基、パラメトキシベンジルオキシカルボニル基およびパラ(またはオルト)ニトロベンジルオキシカルボニル基(para (or ortho)nitroybenzyloxy carbonyl group)などのアリールメトキシカルボニル基、ベンジル基およびトリフェニルメチル基などのアリールメチル基、ベンゾイル基などのアロイル基、ならびに2,4-ジニトロベンゼンスルホニル基およびオルトニトロベンゼンスルホニル基などのアリールスルホニル基を挙げることができる。保護基P1は、例えば、保護対象のアミノ基を有する化合物の特性に応じて選択され得る。
得られた化合物(6)の末端アミノ基のための保護基P1を脱保護することによって、化合物(7)を生成することができる。この脱保護のために、保護基に応じて試薬および条件を選択することができる。
P2で保護されたN末端を有するペプチドカルボン酸(8)を活性エステル、混合酸無水物または同種のものに誘導体化し、それを得られた化合物(7)と反応させることによって、化合物(9)を生成することができる。ペプチドカルボン酸(8)および化合物(7)の間のペプチド結合を形成するために用いられる反応条件、試薬、塩基および不活性溶媒を、化合物(6)の合成について記載されるものから適切に選択し、用いることができる。化合物(6)の保護基について記載されるものから保護基P2を適切に選択し、用いることが可能であり、例えば、保護対象のアミノ基を有する化合物の特性に基づいて前記選択を行うことが可能である。ペプチド合成で一般に用いられるように、伸長のためのペプチドカルボン酸(8)を構成するアミノ酸またはペプチドの反応および脱保護を連続して繰り返すことによって、化合物(9)を生成することもできる。
得られた化合物(9)のアミノ基のための保護基P2を脱保護することによって、化合物(10)を生成することができる。この脱保護のために、保護基に応じて試薬および条件を選択することができる。
カルボン酸(11)を活性エステル、混合酸無水物、酸ハロゲン化物または同種のものに誘導体化し、それを得られた化合物(10)に反応させることによって、化合物(2)を生成することが可能である。カルボン酸(11)および化合物(10)の間のペプチド結合を形成するために用いられる反応条件、試薬、塩基および不活性溶媒を、化合物(6)の合成について記載されるものから適切に選択し、用いることができる。
例えば、以下の方法によって、化合物(9)を生成することもできる。
P2で保護されたN末端を有するペプチドカルボン酸(8)を活性エステル、混合酸無水物または同種のものに誘導体化し、それを、塩基の存在下で、P3で保護されたカルボキシ基を有するアミン化合物(12)と反応させることによって、化合物(13)を生成することができる。ペプチドカルボン酸(8)および化合物(12)の間のペプチド結合を形成するために用いられる反応条件、試薬、塩基および不活性溶媒を、化合物(6)の合成について記載されるものから適切に選択し、用いることができる。
化合物(13)のアミノ基のための保護基P2は、一般に用いられる保護基で保護されてもよい。
具体的に、ヒドロキシル基のための保護基の例としては、メトキシメチル基などのアルコキシメチル基、ベンジル基、4-メトキシベンジル基およびトリフェニルメチル基などのアリールメチル基、アセチル基などのアルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル基、およびtert-ブチルジフェニルシリル基などのシリル基が挙げられる。カルボキシ基は、例えば、メチル基、エチル基およびtert-ブチル基などのアルキル基、アリル基、またはベンジル基などのアリールメチル基を有するエステルとして保護され得る。アミノ基のための保護基の例としては、例えば、tert-ブチルオキシカルボニル基、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基などのアルキルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、または9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、パラメトキシベンジルオキシカルボニル基およびパラ(またはオルト)ニトロベンジルオキシカルボニル基などのアリールメトキシカルボニル基、アセチル基などのアルカノイル基、ベンジル基およびトリフェニルメチル基などのアリールメチル基、ベンゾイル基などのアロイル基、ならびに2,4-ジニトロベンゼンスルホニル基またはオルトニトロベンゼンスルホニル基などのアリールスルホニル基が挙げられる。
カルボキシ基のための保護基P3に関して、有機合成化学、特にペプチド合成においてカルボキシ基のための保護基として一般に用いられる保護基を用いることができる。具体例としては、メチル基、エチル基またはtert-ブチルなどのアルキル基を有するエステル、アリルエステルおよびベンジルエステルが挙げられ、保護基は、上記の保護基から適切に選択され得る。そのような場合、アミノ基のための保護基と、カルボキシ基のための保護基とは、好ましくは異なる方法または異なる条件によって除去されるものであることができることが好ましい。例えば、代表例としては、P2がtert-ブチルオキシカルボニル基であり、P3がベンジル基である組み合わせが挙げられる。保護基は、例えば、保護対象のアミノ基およびカルボキシ基を有する化合物の特性に応じて、上述されたものから選択され得る。保護基の除去のために、試薬および条件は、保護基に応じて選択され得る。
得られた化合物(13)のカルボキシ基のための保護基P3を脱保護することによって、化合物(14)を生成することができる。この脱保護のために、試薬および条件は、保護基に応じて選択される。
得られた化合物(14)を活性エステル、混合酸無水物、酸ハロゲン化物または同種のものに誘導体化し、塩基の存在下で化合物(4)と反応させることによって、化合物(9)を生成することができる。前記反応のために、ペプチド合成のために概して用いられる反応試薬および反応条件を用いることも可能であり、前記反応のために用いられる反応条件、試薬、塩基および不活性溶媒を、化合物(6)の合成について記載されるものから適切に選択することが可能である。
例えば、以下の方法によって、化合物(2)を生成することもできる。
化合物(13)のアミノ基のための保護基P2を脱保護することによって、化合物(15)を生成することができる。この脱保護のために、保護基に応じて試薬および条件を選択することができる。
カルボン酸誘導体(11)を活性エステル、混合酸無水物、酸ハロゲン化物または同種のものに誘導体化し、それを、塩基の存在下で、得られた化合物(15)と反応させることによって、化合物(16)を生成することができる。ペプチドカルボン酸(11)および化合物(15)の間のアミド結合を形成するために用いられる反応条件、試薬、塩基および不活性溶媒を、化合物(6)の合成について記載されるものから適切に選択することができる。
得られた化合物(16)のカルボキシ基のための保護基を脱保護することによって、化合物(17)を生成することができる。この脱保護は、化合物(14)を生成するためのカルボキシ基における脱保護と同様に実施され得る。
化合物(17)を活性エステル、混合酸無水物、酸ハロゲン化物または同種のものに誘導体化し、それを塩基の存在下で化合物(4)と反応させることによって、化合物(2)を生成することができる。前記反応のために、ペプチド合成のために概して用いられる反応試薬および反応条件を用いることも可能であり、前記反応のために用いられる反応条件、試薬、塩基および不活性溶媒を、化合物(6)の合成について記載されるものから適切に選択することが可能である。
生成方法3
中間体の式(2)で表される化合物を、以下の方法によって生成することもできる。
前記式において、L1’は、末端がマレイミジル基に転化され、P4が保護基を表す構造を有するL1に相当する。
化合物(11)を活性エステル、混合酸無水物または同種のものに誘導体化し、それを、塩基の存在下で、P4で保護されたC末端を有するペプチドカルボン酸(18)と反応させることによって、化合物(19)を生成することができる。ペプチドカルボン酸(18)および化合物(11)の間のペプチド結合を形成するために用いられる反応条件、試薬、塩基および不活性溶媒を、化合物(6)の合成について記載されるものから適切に選択することができる。化合物(18)のカルボキシ基のための保護基P4は、上記の保護基から適切に選択され得る。
得られた化合物(19)のカルボキシ基のための保護基を脱保護することによって、化合物(20)を生成することができる。この脱保護は、化合物(14)を生成するためのカルボキシ基の脱保護と同様に実施され得る。
得られた化合物(20)を活性エステル、混合酸無水物または同種のものに誘導体化し、それを化合物(7)と反応させることによって、化合物(2)を生成することができる。前記反応のために、ペプチド合成のために概して用いられる反応試薬および反応条件を用いることも可能であり、前記反応のために用いられる反応条件、試薬、塩基および不活性溶媒を、化合物(6)の合成のために記載されるものから適切に選択することが可能である。
生成方法4
以下、本明細書において、生成方法2に記載される生成中間体(10)においてn1=1、La=Oである化合物(10b)を生成するための方法を詳細に記載する。例えば、以下の方法に従って、式(10b)で表される化合物、その塩または溶媒和化合物を生成することができる。
前記式において、LPは、上記で定義される通りであり、Lは、アセチル基などのアルカノイル基もしくはベンゾイル基などのアロイ基(alloy group)などのアシル基、水素原子または同種のものを表し、XおよびYは、各々1~3個のアミノ酸からなるオリゴペプチドを表し、P5およびP7は、各々アミノ基のための保護基を表し、P6は、カルボキシ基のための保護基を表す。
特開2002-60351号または文献(J.Org.Chem.、第51巻、3196ページ、1986年)に記載されている方法を用いるか、または適用し、必要に応じて保護基の除去または官能基の修飾を行うことによって、式(21)で表される化合物を生成することができる。代替的に、保護された末端アミノ基でアミノ酸を処理することによって、またはアルデヒドもしくはケトンを有する保護されたアミノ基でオリゴペプチドの酸アミドを処理することによって、それを得ることもできる。
化合物(21)を、酸または塩基の存在下で不活性溶媒中において冷却温度条件下から室温までの範囲の温度でヒドロキシル基を有する化合物(22)と反応させることによって、化合物(23)を生成することができる。
ここで使用され得る前記酸の例としては、フッ化水素酸、塩化水素、硫酸、硝酸、リン酸およびホウ酸などの無機酸、酢酸、クエン酸、パラトルエンスルホン酸およびメタンスルホン酸などの有機酸、ならびにテトラフルオロホウ酸塩、クロロ亜鉛、塩化スズ、塩化アルミニウムおよび塩化鉄などのルイス酸を挙げることができる。それらの中で、スルホン酸、特にパラトルエンスルホン酸が好ましい。塩基に関して、上述の塩基のいずれか1種を適切に選択し、用いることができる。それらの好ましい例としては、カリウムtert-ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水素化ナトリウムおよび水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物、リチウムジイソプロピルアミドなどのジアルキルアミノリチウムによって代表される有機金属塩基、およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミドなどのビスシリルアミンの有機金属塩基が挙げられる。前記反応のために用いられる溶媒の例としては、テトラヒドロフランおよび1,4-ジオキサンなどのエーテル溶媒、ならびにベンゼンおよびトルエンなどの芳香族炭化水素溶媒が挙げられる。それらの溶媒を水との混合物として調製することができる。さらに、P5によって例示される通りのアミノ基のための保護基は、アミノ基の保護のために一般に用いられる基である場合、特に限定されるものではない。代表例としては、生成方法2に記載されるアミノ基のための保護基が挙げられる。しかし、本反応において、P5によって例示される通りのアミノ基のための保護基が開裂される場合がある可能性がある。そのような場合、保護基を再度導入することが必要になる可能性があるので、アミノ基を保護するための適切な試薬との反応を行うことが必要である。
化合物(23)の保護基P6を除去することによって化合物(24)を生成することができる。本明細書において、P6によって例示される通りのカルボキシ基のための保護基の代表例は生成方法2に記載されており、それらから適切なものを選択することができる。化合物(23)において、アミノ基のための保護基P5およびカルボキシ基のための保護基P6は、異なる方法または異なる条件によって除去され得る保護基であることが望ましい。例えば、代表例としては、P5が9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基であり、P6がベンジル基である組み合わせが挙げられる。例えば、保護対象のアミノ基およびカルボキシ基を有する化合物の特性に応じて、保護基を選択することができる。保護基の除去のために、試薬および条件は、保護基に応じて選択される。
カルボン酸(24)を活性エステル、混合酸無水物、酸ハロゲン化物または同種のものに誘導体化し、それを化合物(4)またはその薬理学的に許容し得る塩と反応させて化合物(25)を生成した後、得られた化合物(25)の保護基P5を除去することによって、化合物(26)を生成することができる。化合物(4)とカルボン酸(24)との間の反応ならびに保護基P6を除去するための反応のために、生成方法2のために記載されるものと同じ試薬および反応条件を用いることができる。
化合物(26)を、保護された末端アミノ基を有するアミノ酸または保護されたアミノ基を有するオリゴペプチド(27)と反応させて化合物(9b)を生成し、得られた化合物(9b)の保護基P7を除去することによって、化合物(10b)を生成することができる。P7で表されるアミノ基のための保護基は、アミノ基の保護のために概して用いられる場合、特に限定されるものではない。その代表例としては、生成方法2に記載されているアミノ基のための保護基が挙げられる。保護基を除去するために、試薬および条件は、保護基に応じて選択される。化合物(26)と化合物(27)との間の反応のために、ペプチド合成のために一般に用いられる反応試薬および反応条件を用いることができる。上述の方法によって生成された化合物(10b)は、上記の方法に従って本発明の化合物(1)に誘導体化され得る。
本発明の抗TROP2抗体薬物複合体は、空気中に残っているか、または例えば精製のために再結晶化される場合、湿気を吸収して、吸着水を有するか、または水和物に変化する可能性があり、そのような化合物、および塩を含む水も、本発明に含まれる。
各種の放射性同位体または非放射性同位体で標識された化合物も本発明に含まれる。本発明の抗体薬物複合体を構成する1つまたは複数の原子は、非天然比で原子同位体を含んでもよい。原子同位体の例としては、ジウテリウム(2H)、トリチウム(3H)、ヨウ素125(125I)および炭素14(14C)が挙げられる。さらに、本発明の化合物は、トリチウム(3H)、ヨウ素125(125I)、炭素14(14C)、銅64(64Cu)、ジルコニウム89(89Zr)、ヨウ素124(124I)、フッ素18(18F)、インジウム111(111I)、炭素11(11C)およびヨウ素131(131I)などの放射性同位体で放射性標識されてもよい。放射性同位体で標識された化合物は、治療剤または予防剤、アッセイ試薬などの研究用試薬、およびインビボ診断用撮像剤などの診断用剤として有用である。放射活性に関連することなく、本発明の抗体薬物複合体のいずれの同位体異型も本発明の範囲内である。
抗体薬物複合体(ADC)
本開示は、抗TROP2抗体とトポイソメラーゼI阻害剤(DXd)などの抗癌化合物とを含むTROP2標的抗体薬物複合体(ADC)を提供するものである。図1を参照のこと。いくつかの実施形態において、TROP2標的ADCは、以下に示す通りの式13を含んでもよい。
いくつかの実施形態において、ADCの重鎖は、
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTTAGMQWVRQAPGQGLEWMGWINTHSGVPKYAEDFKGRVTISADTSTSTAYLQLSSLKSEDTAVYYCARSGFGSSYWYFDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号45)
を含んでもよい。
いくつかの実施形態において、ADCの軽鎖は、
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYTGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFAVYYCQQHYITPLTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号46)
を含んでもよい。
本発明の抗TROP2抗体薬物複合体は、癌細胞に対する細胞毒性活性を示し、したがって、薬物として、特に癌のための治療剤および/または予防剤として使用され得る。
すなわち、本発明の抗TROP2抗体薬物複合体は、癌を処置するための主要な方法である化学療法のための薬物として選択的に使用され得、その結果、癌細胞の発育を遅延させ、その増殖を阻害し、さらに癌細胞を死滅させることができる。このことによって、癌罹患体は、癌によって引き起こされる病徴がなくなるか、または癌罹患体のQOLの改善を達成する可能性があり、癌罹患体の寿命を持続させることによって治療効果が達成される。本発明の抗TROP2抗体薬物複合体は、癌細胞の死滅を達成しない場合であっても、癌細胞の増殖を阻害するか、または制御することによって、癌罹患体のより長期の生存期間を達成すると共に、癌罹患体のより高いQOLを達成する可能性がある。
そのような薬物治療において、それを、単独での薬物として、およびアジュバント治療における追加治療と併用した薬物として使用することが可能であり、外科的手術、放射線治療、ホルモン治療または同種のものと併用することが可能である。さらに、ネオアジュバント治療における薬物治療のための薬物として、それを使用することもできる。
上記の通りの治療用途の他に、微小転移癌細胞の増殖を抑制し、さらに、これらの癌細胞に結合することによってそれらを死滅させる効果も、抗原への抗体の結合特性によって期待することができる。特に、原発性癌細胞においてTROP2の発現が確認される場合、本発明の抗TROP2抗体薬物複合体を投与することによって、癌転移の阻害、または予防効果を期待することができる。例えば、転移の過程における体液中における癌細胞を阻害し、死滅させる効果、または、例えば、任意の組織内における埋入の直後に微小癌細胞を阻害し、死滅させる効果を期待することができる。さらに、特に癌の外科的切除の後、癌転移の阻害、または予防効果を期待することができる。したがって、癌転移を阻害する効果を期待することができる。
本発明の抗TROP2抗体薬物複合体は、罹患体への全身治療としての投与、および、付加的に、癌組織への局所投与によって治療効果を発揮することが期待され得る。
本発明の抗TROP2抗体薬物複合体が適用される癌型の例としては、肺癌、腎臓癌、尿路上皮癌、結腸直腸癌、前立腺癌、多形性神経膠芽細胞腫、卵巣癌、膵癌、乳癌、黒色腫、肝癌、膀胱癌、胃癌、子宮頸癌、頭頚部癌または食道癌が挙げられるが、処置対象としての癌細胞内において、抗体薬物複合体内の抗体が認識することができるタンパク質を発現する癌細胞である限り、それらに限定されるものではない。
本発明の抗TROP2抗体薬物複合体は、好ましくは哺乳動物に投与され得るが、より好ましくはヒトに投与される。
医薬組成物および投与様式
本発明の抗TROP2抗体薬物複合体を含む医薬組成物において用いられる物質は、用量または投与濃度に鑑みて、本技術分野において概して用いられる製剤添加剤または同種のものから適切に選択され、適用され得る。
本発明の抗TROP2抗体薬物複合体は、少なくとも1種の医薬的に適切な成分を含む医薬組成物として投与され得る。例えば、前記医薬組成物は、典型的には、少なくとも1種の医薬担体(例えば、滅菌された液体)を含む。いくつかの実施形態において、前記液体は、例えば、水および油(石油、および動物由来、植物由来または合成由来の油)を含む。前記油は、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油またはゴマ油であってもよい。前記医薬組成物を静脈内投与する場合、水は、より典型的な担体である。特に注射溶液のための液体担体として、食塩溶液、水性デキストロース溶液および水性グリセロール溶液を用いることもできる。適切な医薬的ビヒクルは、本技術分野で知られている。所望により、上記の組成物は、極微量の保湿剤、乳化剤またはpH緩衝剤を含んでもよい。適切な医薬担体の例は、E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に開示されている。製剤は、投与様式に対応する。
各種剤形のための薬理学的に許容し得る担体は、本技術分野において知られている。例えば、固体調製物のための賦形剤、滑沢剤、結合剤および崩壊剤は知られており、液体調製物のための溶媒、可溶化剤、懸濁化剤、等張剤、緩衝液および無痛化剤は知られている。いくつかの実施形態において、前記医薬組成物は、1種または複数種の保存剤、抗酸化剤、安定化剤および同種のものなどの1種または複数種の追加的成分を含む。
付加的に、開示された医薬組成物は、高薬物濃度に適切な溶液、マイクロエマルション、リポソームまたは他の規則構造として製剤化され得る。前記担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールおよび同種のもの)およびそれらの適切な混合物を含む溶媒または分散媒であることができる。例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散の場合は必要粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって、適切な流動性を維持することができる。いくつかの実施形態において、前記組成物中において、等張剤、例えば、糖、多価アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。吸収を遅延させる剤、例えば、モノステアレート塩およびゼラチンを前記組成物中に含むことによって、前記注射用組成物の持続的吸収を生じさせることができる。
必要に応じて、上記で列挙された成分の1種または組み合わせを有する適切な溶媒中に必要量の活性化合物を組み込んだ後、滅菌微量濾過を行うことによって、滅菌注射用溶液を調製することができる。概して、塩基性分散媒と、上記で列挙されるものからの必要な他の成分とを含む滅菌ビヒクルに活性化合物を組み込むことによって、分散物を調製する。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉剤の場合、好ましい調製方法は、活性成分と事前に滅菌濾過されたその溶液からの任意の追加的な所望の成分との粉剤が得られる真空乾燥および凍結-乾燥(凍結乾燥)である。
各種送達系が知られており、本発明の抗TROP2抗体薬物複合体を投与するために使用され得る。投与経路の例としては、皮内経路、筋肉内経路、腹腔内経路、静脈内経路および皮下経路が挙げられるが、それらに限定されるものではない。前記投与は、例えば、注射またはボーラス注射によりなされ得る。具体的な好ましい実施形態によれば、抗体薬物複合体の投与は、注射によって行われる。非経口投与が好ましい投与経路である。
代表的な実施形態によれば、医薬組成物は、従来の手法に従って、ヒトへの静脈内投与のために適切な医薬組成物として規定される。静脈内投与のための組成物は、典型的には、滅菌および等張水性緩衝液中における溶液である。必要に応じて、前記薬物は、可溶化剤と、注射部位における疼痛を緩和するための局所麻酔剤(例えば、リグノカイン)とを含んでもよい。概して、上記の成分は、ある量の活性剤を有するアンプルまたはサシェ内における封止によって得られる容器内に含まれる凍結乾燥粉末もしくは無水濃縮物のいずれか1種として、または単位剤形の混合物として、個別に提供される。前記薬物は、注射による投与の形態である場合、滅菌医薬グレードの水または食塩水を含む注射瓶から投与されてもよい。前記薬物を注射によって投与する場合、投与前に上述の成分が互いに混合されるように、注射のための滅菌水または滅菌食塩水のアンプルを提供してもよい。
本発明の医薬組成物は、本出願の抗TROP2抗体薬物複合体のみを含む医薬組成物、または抗TROP2抗体薬物複合体と前記複合体以外の少なくとも1種の癌処置剤とを含む医薬組成物であってもよい。本発明の抗TROP2抗体薬物複合体を、他の癌処置剤と共に、同時に、または連続的に、個体に投与することができる。それに応じて抗癌効果を増強させることができる。そのような目的のために用いられる別の抗癌剤を、前記抗体薬物複合体と同時に、前記抗体薬物複合体と別々に、または前記抗体薬物複合体に続いて投与してもよく、各々についての投与間隔を変化させつつ投与してもよい。癌処置剤の例としては、アブラキサン、パクリタキセル、シスプラチン、ゲムシタビン、イリノテカン(CPT-11)、パクリタキセル、ペメトレキセド、ソラフェニブ、ビノレルビン、国際公開第2003/038043号に記載されている薬物、LH-RH類似体(リュープリン、ゴセレリンまたは同種のもの)、リン酸エストラムスチン、エストロゲンアンタゴニスト(タモキシフェン、ラロキシフェンまたは同種のもの)およびアロマターゼ阻害剤(アナストロゾール、レトロゾール、エクセメスタンまたは同種のもの)が挙げられるが、それは、抗腫瘍活性を有する薬物である限り、限定されるものではない。
前記医薬組成物は、所望の組成物と必要な純度とを有する製剤としての凍結乾燥製剤または液体製剤に製剤化され得る。それは、凍結乾燥製剤として製剤化される場合、本技術分野において用いられる適切な製剤添加剤を含む製剤であってもよい。液体製剤についても、それは、本技術分野において用いられる各種製剤添加剤を含む液体製剤として製剤化され得る。
前記医薬組成物の組成および濃度は、投与方法に応じて変化してもよい。しかし、本発明の医薬組成物に含まれる抗TROP2抗体薬物複合体は、前記抗体薬物複合体が、抗原に対するより高い親和性、すなわち、抗原に対する解離定数(すなわち、Kd値)に関してより高い親和性(=より低いKd値)を有する場合、少ない用量でも医薬効果事象を示すことができる。したがって、抗体薬物複合体の用量を決定するために、前記抗体薬物複合体および抗原の間の親和性に関する状況に鑑みて前記用量を決定することができる。本発明の抗体薬物複合体をヒトに投与する場合、例えば、約0.001~100mg/kgを1回投与することができるか、または、1回の間隔が1~180日間で数回投与することができる。
TROP2発現癌
TROP2は上皮癌において高発現し、その発現は低生存率に関連する。TROP2発現癌の例としては、肺癌、腎臓癌、尿路上皮癌、結腸直腸癌、前立腺癌、多形性神経膠芽細胞腫、卵巣癌、膵癌、乳癌、黒色腫、肝癌、膀胱癌、胃癌、子宮頸癌、頭頚部癌および食道癌が挙げられるが、それらに限定されるものではない。これらの癌の内のいずれかは、開示されたADCおよびADCの用法用量によって処置されてもよい。しかし、癌細胞は、TROP2を発現する限り、癌の上記の列挙されたカテゴリに入らない場合であっても、開示された方法に従って処置されてもよいことを理解すべきである。
非小細胞肺癌(NSCLC)は、開示されたADCおよび用法用量を利用する処置のために特に適切である肺癌の型である。例えば、実施例5~7では、開示されたADCをNSCLCの対象に投与する第1相臨床試験が詳述される。
上記のTROP2発現癌の内のいずれかを処置するために、開示されたTROP2標的ADCを使用することができる。
処置方法および使用
本開示は、本明細書において開示される通りの抗TROP2抗体薬物複合体を投与することを含む癌の処置方法を提供する。癌の処置における使用のための開示された抗TROP ADCのいずれかも、本明細書において提供される。
いくつかの実施形態において、前記癌は、TROP2発現癌である。TROP2発現癌としては、肺癌(例えば、非小細胞肺癌またはNSCLC)、腎臓癌、尿路上皮癌、結腸直腸癌、前立腺癌、多形性神経膠芽細胞腫、卵巣癌、膵癌、乳癌、黒色腫、肝癌、膀胱癌、胃癌、子宮頸癌、頭頚部癌および食道癌を挙げることができるが、それらに限定されるものではない。
本開示の目的のために、「TROP2過剰発現癌」という用語は、当業者によってTROP2過剰発現癌であると認識される限り、特に限定されるものではない。TROP2過剰発現癌の好ましい例としては、免疫組織化学法(IHC)またはインサイチュハイブリダイゼーション法(ISH)においてTROP2の発現について高いスコアが付けられた癌を挙げることができる。本発明のインサイチュハイブリダイゼーション法としては、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション法(FISH)および二色インサイチュハイブリダイゼーション法(DISH)が挙げられる。
免疫組織化学法によってTROP2発現の程度のスコア付けを行うための方法、またはインサイチュハイブリダイゼーション法によってTROP2発現に対する陽性または陰性を決定する方法は、当業者によって認識される限り、特に限定されるものではない。
ADCならびに本発明の処置方法および使用は、好ましくは手術不能癌または再発癌の処置のために用いられ得る。
いくつかの実施形態において、ADCならびに本発明の処置方法および使用は、活性成分としての、本発明において用いられる抗体薬物複合体、その塩、またはその水和物と、医薬的に許容し得る製剤成分とを含む、癌の処置のための医薬組成物としても用いられ得る。
いくつかの実施形態において、ADCならびに本発明の処置方法および使用は、既存の抗癌薬に対する耐性を示す癌(すなわち、耐性癌)、特に、既存の抗癌薬に対する耐性を獲得した癌(すなわち、続発性耐性癌)に対する優れた抗腫瘍活性を示す。したがって、本発明の処置のためのADCは、癌罹患体の中で、既存の抗癌薬に対する耐性を有する癌の罹患体群(既存の抗癌薬による処置の既往歴を有する罹患体)に適用される場合、著しい抗腫瘍効果を発揮する。特に、処置対象の癌は、EGFR阻害剤処置(すなわち、ゲフィチニブ、エルロチニブ、オシメルチニブ、アファチニブ)、ALK阻害剤処置(すなわち、アレクチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ)、白金系化学療法(すなわち、シスプラチン、カルボプラチン)および/またはチェックポイント阻害剤処置(すなわち、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、イピリムマブ、デュルバルマブ、チスレリズマブ、シンチリマブ、セミプリマブ)による処置に対して耐性または不応性があってもよい。
本発明の処置のためのADCは、既存の抗癌薬の代わりに、またはこれらの既存の抗癌薬と併用して癌罹患体に投与されることによって、例えば、これらの既存の抗癌薬に対する耐性を獲得した癌に対して高い治療効果を示すことができる。
したがって、開示された方法および使用のいくつかの実施形態において、処置対象の癌は、肺癌(例えば、非小細胞肺癌またはNSCLC)、腎臓癌、尿路上皮癌、結腸直腸癌、前立腺癌、多形性神経膠芽細胞腫、卵巣癌、膵癌、乳癌、黒色腫、肝癌、膀胱癌、胃癌、子宮頸癌、頭頚部癌および食道癌の耐性形態であってもよい。
ADC、および本発明の処置のための方法または使用は、癌細胞の発育を遅延させること、その増殖を阻害すること、および、さらに癌細胞を死滅させることが可能である。これらの効果によって、癌罹患体は、癌によって引き起こされる病徴がなくなるか、または癌罹患体の生活の質(QOL)の改善を達成する可能性があり、癌罹患体の寿命を持続させることによって治療効果が達成される。本発明の抗TROP2抗体薬物複合体は、癌細胞の死滅を達成しない場合であっても、癌細胞の増殖を阻害するか、または制御することによって、より長期の生存期間を達成すると共に、癌罹患体のより高いQOLを提供する可能性がある。
開示された方法および使用のいくつかの実施形態において、ADCを、単独での薬物として使用することが可能であるか、またはアジュバント治療における追加治療と併用した薬物として使用することが可能であり、外科的手術、放射線治療、ホルモン治療または同種のものと併用することが可能である。さらに、ネオアジュバント治療における薬物治療のための薬物として、それを使用することもできる。いくつかの実施形態において、ADCは、例えば、アブラキサン、パクリタキセル、シスプラチン、カルボプラチン、ゲムシタビン、イリノテカン(CPT-11)、ペメトレキセド、ソラフェニブ、ビノレルビン、国際公開第2003/038043号に記載されている薬物、LH-RH類似体(リュープリン、ゴセレリンまたは同種のもの)、リン酸エストラムスチン、エストロゲンアンタゴニスト(タモキシフェン、ラロキシフェンまたは同種のもの)、アロマターゼ阻害剤(アナストロゾール、レトロゾール、エクセメスタンまたは同種のもの)、EGFR阻害剤処置(ゲフィチニブ、エルロチニブ、オシメルチニブ、アファチニブ)、ALK阻害剤処置(アレクチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ)および/またはチェックポイント阻害剤処置(ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、イピリムマブ、デュルバルマブ、チスレリズマブ、シンチリマブ、セミプリマブ)が挙げられるが、それらに限定されるものではない抗癌剤と併用されてもよい。
上記の治療方法および使用の他に、小転移癌細胞の増殖を抑制し、さらにそれらを死滅させる予防効果を期待することもできる。特に、原発性癌細胞においてTROP2の発現が確認される場合、本発明の抗TROP2抗体薬物複合体を投与することによって、癌転移の阻害、または予防効果を期待することができる。例えば、転移の過程における体液中における癌細胞を阻害し、死滅させる効果、または、例えば、任意の組織内における埋入の直後に小癌細胞を阻害し、死滅させる効果を期待することができる。したがって、特に癌の外科的除去の後、癌転移の阻害、または予防的効果を期待することができる。
前記方法および前記使用のいくつかの実施形態において、癌(例えば、TROP2発現癌)の対象に、約0.1~約15mg/kg、約0.5~約12mg/kg、約1.0~約10mg/kg、または約4~約8mg/kg投与されてもよい。すなわち、いくつかの実施形態において、前記対象に投与される前記ADCの投与量は、約0.1mg/kg以上、約0.2mg/kg以上、約0.3mg/kg以上、約0.4mg/kg以上、約0.5mg/kg以上、約0.6mg/kg以上、約0.7mg/kg以上、約0.8mg/kg以上、約0.9mg/kg以上、約1.0mg/kg以上、約1.25mg/kg以上、約1.5mg/kg以上、約1.75mg/kg以上、約2.0mg/kg以上、約2.25mg/kg以上、約2.5mg/kg以上、約2.75mg/kg以上、約3.0mg/kg以上、約3.25mg/kg以上、約3.5mg/kg以上、約3.75mg/kg以上、約4.0mg/kg以上、約4.25mg/kg以上、約4.5mg/kg以上、約4.75mg/kg以上、約5.0mg/kg以上、約5.25mg/kg以上、約5.5mg/kg以上、約5.75mg/kg以上、約6.0mg/kg以上、約6.25mg/kg以上、約6.5mg/kg以上、約6.75mg/kg以上、約7.0mg/kg以上、約7.25mg/kg以上、約7.5mg/kg以上、約7.75mg/kg以上、約8.0mg/kg以上、約8.25mg/kg以上、約8.5mg/kg以上、約8.75mg/kg以上、約9.0mg/kg以上、約9.25mg/kg以上、約9.5mg/kg以上、約9.75mg/kg以上、約10.0mg/kg以上、約10.25mg/kg以上、約10.5mg/kg以上、約10.75mg/kg以上、約11.0mg/kg以上、約11.25mg/kg以上、約11.5mg/kg以上、約11.75mg/kg以上、または約12mg/kg以上であってもよい。いくつかの実施形態において、前記対象に投与される前記ADCの前記投与量は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.25、1.5、1.75、2.0、2.25、2.5、2.75、3.0、3.25、3.5、3.75、4.0、4.25、4.5、4.75、5.0、5.25、5.5、5.75、6.0、6.25、6.5、6.75、7.0、7.25、7.5、7.75、8.0、8.25、8.5、8.75、9.0、9.25、9.5、9.75、10.0、10.25、10.5、10.75、11.0、11.25、11.5、11.75、または12mg/kg以上であってもよい。いくつかの実施形態において、前記投与量は、約2mg/kg~約10mg/kg、約2mg/kg~約8mg/kg、約4mg/kg~約10mg/kg、約4mg/kg~約8mg/kg、約6mg/kg~約10mg/kg、または約6mg/kg~約8mg/kgであってもよい。好ましい実施形態において、前記投与量は、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、または10mg/kgであってよいが、より好ましくは、4mg/kg、6mg/kg、または8mg/kgであってもよい。
前記方法および前記使用のいくつかの実施形態において、抗TROP2 ADCまたはその医薬組成物は、非経口投与を介して癌の対象に投与される。投与の好ましい非経口経路としては、静脈内注射、筋肉内注射および皮下注射などの注射が挙げられるが、それらに限定されるものではない。本発明において用いられる抗TROP2抗体薬物複合体は、罹患体への全身治療としての適用によって、および、付加的に、癌組織への局所適用によって、治療効果を発揮することが期待され得る。
投与のタイミングまたは用法は、1週間毎に1回(q1w)、2週間毎に1回(q2w)、3週間毎に1回(q3w)、4週間毎に1回(q4w)、5週間毎に1回(q5w)、6週間毎に1回(q6w)、7週間毎に1回(q7w)、8週間毎に1回(q8w)、9週間毎に1回(q9w)または10週間毎に1回(q10w)であってもよいが、好ましくは3週間毎または4週間毎に1回である。
用法用量は、最適な所望の応答(例えば、腫瘍退縮または腫瘍寛解などの治療応答)を提供するように調整されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、用法用量は、3週間毎に1回(q3w)2mg/kg、3週間毎に1回(q3w)4mg/kg、3週間毎に1回(q3w)6mg/kg、3週間毎に1回(q3w)8mg/kg、4週間毎に1回(q4w)2mg/kg、4週間毎に1回(q4w)4mg/kg、4週間毎に1回(q4w)6mg/kg、または4週間毎に1回(q4w)8mg/kgであってもよい。そして、いくつかの実施形態において、単回ボーラスを投与してもよく、一方で、いくつかの実施形態において、いくつかの分割投与量を経時的に投与してもよく、または、状況によって示されるように投与量を比例的に減少または増加させてもよい。
さらに、前記方法および前記使用の対象は、概して癌罹患体であるが、前記罹患体の年齢は限定されない。開示された前記方法および前記使用は、全ての年齢群および年齢コホートにわたる様々な再発転帰および予後転帰を伴う癌、悪性疾患または癌細胞増殖を処置するために有用である。したがって、いくつかの実施形態において、前記対象は小児対象であってもよいが、他の実施形態において、前記対象は成体対象であってもよい。
本発明を例示するために、以下の実施例を示す。しかし、本発明は、これらの実施例に記載される具体的な条件または詳細に限定されるものではないことを理解すべきである。
[実施例]
抗体薬物複合体の生成
国際公開第2015/098099号および国際公開第2017/002776号に開示されている生成方法に従って、抗TROP2抗体(例えば、配列番号45におけるアミノ酸位置1~451におけるアミノ酸配列からなる重鎖と、配列番号46におけるアミノ酸位置1~214におけるアミノ酸配列からなる軽鎖とを含む抗体)を用いて、
前記抗TROP2抗体が、チオエーテル結合を介して、以下の式:
(式中、nは、単一抗体分子1個当たりの平均薬物-抗体比(DAR)を表し、前記抗体薬物複合体(1)のnの値は、3.5~4.5の範囲内にあり、前記抗体薬物複合体(2)のnの値は、6.5~8.0の範囲内にある)で表される薬物リンカーに結合する、抗体薬物複合体(1)および抗体薬物複合体(2)(以下、「抗体薬物複合体(1)」および「抗体薬物複合体(2)」と称する)を生成した。
抗体薬物複合体(1)および抗体薬物複合体(2)の概略の構造および配列は、図1および図2において認められる。
抗体薬物複合体の抗腫瘍効果についての試験
この実験の目的のために、5~6週齢の雌性BALB/cヌードマウス(Charles River Laboratories Japan)に実験を行った。ATCCから購入されたヒト膵臓腺癌細胞系(CFPAC-1細胞)を食塩水中に懸濁し、4×106個の細胞を前記雌性ヌードマウスの各々の体の右側部分に移植した。移植の14日後、前記マウスを組分けた(Day0)。単回投与群(3週間毎に1回)において、抗体薬物複合体(1)および(2)を、Day0に0.3mg/kgまたは1mg/kgの投与量で投与した。頻回投与群(1週間につき1回を3週間)において、抗体薬物複合体(1)および(2)を、Day0、Day8およびDay14に0.3mg/kgの投与量で投与した。ビヒクル投与群を対照群として決定した。Day22における腫瘍増殖阻害(TGI)を算出によって得た。投与群のいずれにおいても、体重減少などの特に顕著な所見は確認されなかった。
測定/計算式:電子デジタルノギス(CD-15CX、株式会社ミツトヨ)によって1週間につき2回腫瘍の長軸および短軸を測定し、腫瘍容積(mm3)を算出した。計算式は、以下に示される通りである。
腫瘍容積(mm3)=1/2×長軸(mm)×[短軸(mm)]2
以下の計算式に従って腫瘍増殖阻害(TGI)を算出した。
腫瘍増殖阻害(%)=100×(1-T/C)
(式中、Tは、試験物質投与マウス群の平均腫瘍容積を表し、Cは、対照マウス群の平均腫瘍容積を表す)。
抗体薬物複合体(1)および(2)を酢酸緩衝食塩水(pH5.5)(ナカライテスク株式会社製、以下、「ABS緩衝液」と称する)で各々希釈した。尾静脈を介して希釈溶液(10mL/kg)を投与した。
抗体薬物複合体(1)および(2)の抗腫瘍効果は、図3に示される。抗体薬物複合体(1)において、0.3mg/kgの投与量の単回投与群のTGIは15%であり、1mg/kgの投与量の単回投与群のTGIは86%であったが、投与量(0.3mg/kg)の頻回投与群のTGIは34%であった。抗体薬物複合体(2)において、0.3mg/kgの投与量の単回投与群のTGIは43%であり、1mg/kgの投与量の単回投与群のTGIは94%であったが、投与量(0.3mg/kg)の頻回投与群のTGIは80%であった。
上記の結果から、抗体薬物複合体(1)および(2)の両方の場合において、1mg/kgの投与量の単回投与群を0.3mg/kgの投与量の頻回投与群と比較する場合、両方とも合計でほとんど同等の投与量が提供されるが、単回投与群のTGIは、頻回投与群より高かった。このことから、3週間で1回だけ総投与量を投与する単回投与方法は、1週間で3回前記投与量の投与を反復する頻回投与方法より優れた有効性を有することが示された。抗体薬物複合体(1)および(2)の間の比較において、1mg/kgの投与量の抗体薬物複合体(1)の単回投与群のTGIは、0.3mg/kgの投与量の抗体薬物複合体(2)の単回投与群のTGIより高く、1mg/kgの投与量の抗体薬物複合体(2)の単回投与群のTGIより低い。このことから、抗体薬物複合体(1)および(2)の間の治療量の差が3倍の範囲内にあることが示された。
抗体薬物複合体の安全性評価
実施例1に従って生成された抗体薬物複合体(1)および(2)を別々に交差反応種(カニクイザル)に投与した。さらに具体的には、抗体薬物複合体(1)については、3週間毎に1回の間隔で合計3回投与したが、抗体薬物複合体(2)については、1週間に1回の間隔で合計2回投与した。抗体薬物複合体(1)の場合、最終投与の翌日まで観察を継続した。抗体薬物複合体(2)の場合、最終投与の翌週まで観察を継続した。その結果、抗体薬物複合体(2)の重篤な毒性が発現しない最大投与量(HNSTD)は10mg/kg未満であったが、抗体薬物複合体(1)のHNSTDは30mg/kgであった。したがって、抗体薬物複合体(1)は、抗体薬物複合体(2)より良好な安全性を有することが示された。
ヒトにおける抗体薬物複合体(1)の有効用量/投与量の推定
以下、「抗体薬物複合体(1)」は、「DS-1062a」と称されてもよい。
抗体薬物複合体(1)(すなわち、DS-1062a)を、カニクイザルに、0.2mg/kg、0.6mg/kg、2mg/kgまたは6mg/kgの投与量で1回静脈内投与した。その後、抗体薬物複合体(1)の血漿中濃度に基づいて、標的媒介薬物動態モデルを用いて薬物動態パラメータを算出した。さらに、ヒトへの反復投与の間の経時的な抗体薬物複合体の血漿中濃度の変化を推定した。抗体薬物複合体(1)を、3週間毎に1回で3回(q3w×3)、0.27mg/kg、0.54mg/kg、0.81mg/kg、1.6mg/kg、3.2mg/kgおよび6.4mg/kgからなる投与サイクルを反復することによって投与した。結果を図4に示す。ヒトにおいて推定された抗体薬物複合体(1)の経時的な血漿中濃度の変化をCFPAC-1担腫瘍マウスモデルにおけるDay21の血漿中濃度と比較した。その結果、3週間毎に1回(q3w)におけるヒトへの投与時に推定された血漿中濃度が、投与間隔の半分およびほとんどの部分において、マウスにおいて腫瘍退縮効果を示す最小濃度(1mg/kg投与群、0.312μg/mL)を超える投与量は、それぞれ、0.27mg/kgおよび0.81mg/kgであった。このことから、ヒトにおける抗体薬物複合体(1)の有効用量/投与量は、3週間毎に1回で、0.27mg/kg以上であることが推定された。
初期の第1相臨床試験
序文
DS-1062aは、新規なトポイソメラーゼI阻害剤(エキサテカン誘導体;DXd)を有する栄養膜細胞表面抗原2(TROP2)-標的抗体薬物複合体である。DS-1062aは、細胞表面上のTROP2に結合し、トポイソメラーゼIを阻害し、標的細胞のアポトーシスをもたらす酵素処理の後、細胞質内にDXdを内在化させ、放出する。
TROP2は、肺癌を含む上皮癌において高発現し、低生存率に関連する。前臨床試験において、DS-1062aは、異種移植マウスモデルにおいて有望な抗腫瘍活性を示した。
目的
本試験の目的は、DS-1062aの安全性および忍容性を評価し、最大耐用量(MTD)および展開用量パートにおける推奨用量(RDE)を決定することであった(clinicaltrials.gov識別子NCT03401385参照)。
試験デザインおよび方法
第1相試験は、米国および日本における対象を組み入れたDS-1062aの多施設共同、非盲検、反復投与、first in human試験であった。前記試験は、図5に示すように、用量漸増群および用量拡大群を含んだ。用量漸増群は、DS-1062aの単回静脈内注入および21日間の用量制限毒性(DLT)観察期間(サイクル1)を含んだ。用量拡大群は、RDEにおけるDS-1062aの投与量をNSCLC対象に投与することを含んだ。
用量漸増群の主要目的(primary objection)は、RDEのためのMTDを同定し、前記用量の安全性および忍容性を評価することであった。
用量拡大群のための主要目的は、RDEにおけるDS-1062aの安全性および忍容性を確認することであった。
副次目的は、DS-1062aの薬物動態学的(PK)特性、総TROP2抗体、薬物成分、およびDS1062aの抗腫瘍活性を測定することを含んだ。探索的目的は、DS-1062aに対する応答と相関するバイオマーカーを評価することを含んだ。
組み入れ基準は、標準処置の選択肢のない病理学的に確定された転移性NSCLCの20歳以上(日本)または18歳以上(米国)の年齢の罹患体、米東部腫瘍共同研究グループパフォーマンスステータス0または1、RECISTバージョン1.1に基づいた測定可能な疾患、3ヵ月以上の余命、および免疫組織化学による最近のTROP2レベルの測定のための入手可能な腫瘍組織を含んだ。
除外基準は、複数の原発性悪性腫瘍(適切に切除された非黒色腫皮膚癌、治癒的に処置されたインサイチュ疾患、または3年以上の疾患のエビデンスなしで治癒的に処置された他の固形腫瘍を除く)または臨床的に重要な/疑わしい肺疾患の罹患体を含んだ。
罹患体評価は、事前に指定された来院時における心エコーまたはMUGAスキャン、12誘導心電図、AE、PK、ヒト抗ヒト抗体、バイオマーカーおよび腫瘍評価を含んだ。この初期の第1相試験に組み入れられた罹患体の人口統計学的特性およびベースライン時の特性は、図6に示される。
MTDを決定するためのDS-1062aの用量漸増は、escalation with overdose controlの原則に従うベイズ流ロジスティック回帰モデルを用いた、改変された連続再評価法によって導かれた。客観的奏効率(ORR)は、クロッパー-ピアソン法を用いて95%信頼区間(CI)によってまとめられ、無増悪生存期間(PFS)/全生存率(OS)は、カプラン-マイヤー法を用いてまとめられた。安全性評価項目、DS-1062aのPKパラメータ、抗TROP2抗体、DXdおよび血漿抗薬物抗体は、記述統計を用いてまとめられた。
結果
39人の罹患体を、7つのDS-1062a投与群、ならびに罹患体の人口統計学的特性およびベースライン時の特性の中にカットオフ時に組み入れた。罹患体(N=39)を、8.86(3.0~31.1)週間の期間中央値(範囲)にわたって、DS-1062aによる3.0(1~10)回の処置サイクルの中央値(範囲)に曝露させた。
2人の罹患体がDS-1062aの投与の中断を必要としたが(4mg/kg群における1人、および8mg/kg群における1人)、6.0mg/kg群における1人の罹患体が用量減量を必要とした。全体として、23人(54.8%)の罹患体がDS-1062aによる処置を中止した。主要な中止理由は、13人の罹患体におけるRECIST毎のPDであった([0.5mg/kgおよび2.0mg/kg]については、各々n=4;[1.0mg/kg]については、n=3;[0.27mg/kgおよび4.0mg/kg]については、各々n=1。2人の罹患体が臨床的進行のために中止し(0.27mg/kgおよび6.0mg/kgについては、各々の1人)、2人の罹患体が中止し(0.5mg/kgおよび4.0mg/kgについて、各々1人)、1人の罹患体が医師の決定に基づいて中止した(1.0mg/kg群)。5人の罹患体(1.0mg/kg群においてn=3、0.27mg/kg群においてn=2)が、「その他」の理由のために中止した。
全体的に、罹患体の87.2%(34/39)が1つ以上のTEAEを報告したが、報告されたTEAEの内の1つを除く全てがグレード3以下と考えられた(図7)。最も高頻度で発現したTEAEは、罹患体の内の13人(33.3%)において報告された疲労であった。グレード3の全てのTEAEが、2人の罹患体(0.5mg/kg投与群および2.0mg/kg投与群において各々1人)において報告されたグレード3の疲労を除いて、各々1人の罹患体のみに報告された。
23/39(59.0%)罹患体において薬物関連TEAEが報告されたが、これらのTEAEを有する罹患体の内のこれらの罹患体の21/23(91.3%)は、重症度がグレード1または2であった。頻度の降順による(3人以上の罹患体において)最も高頻度で発現したTEAEは、悪心(n=10)、注入関連反応(n=8)、疲労(n=7)、脱毛症(n=6)、嘔吐(n=5)、貧血および発疹(各々n=4}、ならびに食欲減退および口内炎(各々n=3)であった。注入関連反応は、全てグレードは1または2の事象であり、管理可能/可逆性であった。
重篤なTEAEが10/39(25.6%)の罹患体において報告されたが、大部分(n=8)はグレード3であり、各々1人がグレード2およびグレード5(グレード5の敗血症;6.0mg/kg投与群)であった。2人以上の罹患体において発現する重篤なTEAEはなかった。1例の重篤なTEAEのみが薬物関連であると考えられた(発熱、グレード2;4.0mg/kg投与群)。
6.0mg/kg投与群の罹患体において1例の用量制限毒性(DLT)(斑状丘疹状皮疹、グレード3;消失)が発現したが、MTDに達しなかった。
図8に示されるように、35人の腫瘍評価可能罹患体の中で、7例のPR(RECISTに基づいたものであるが、単一点PRを含むものの、奏効がまだ確認されていない)が認められた。データカットの後、合計10例のPRについて3例の追加的なPR(8.0mg投与群における全例)が認められた。
3人の罹患体においてコンピュータ放出(図9A、図9Cおよび図9D)およびポジトロン放出(図形9B)を撮影した。4.0mg/kg投与群における2人の罹患体は、DS-1062aによる処置の開始から4.5ヵ月後に腫瘍の大きさが最大で36.6%(図9A)および38.4%(図9B)の減少を示した。2mg/kg投与群における別の罹患体は、DS-1062aによる処置の開始から3ヵ月後に腫瘍の大きさが最大で65.5%の減少を示し(図9C)、処置開始の3ヵ月後および7ヵ月後において複数の肺転移(非標的病変)の数の顕著な減少を示した(図9D)。
標的病変におけるベースラインからの最長寸法の合計の最良のパーセント変化を図10に示す。最良のパーセント変化(68%の腫瘍減少)は、2.0mg/kg投与群の罹患体で認められた。
薬物動態に関して、図11に示されるように、DS-1062aに対する全身曝露は、ほとんど用量に比例した様式で増加した。DS-1062aの血漿中レベルおよび総抗TROP2抗体は同様であったが、このことにより、DS-1062aが循環において安定したことが示唆された。DXdの曝露は、DS-1062aよりも低かった。
要約
データカット時点で、DS-1062aの忍容性は良好だった。6.0mg/kg投与群において、一過性でかつ可逆性であったグレード3の皮膚発疹の1例のDLTが認められた。DS-1062aにより、10例のPRおよび16例の安定疾患が認められた。PRの罹患体の内の2人は、従来のEGFR阻害剤処置またはALK阻害剤処置(すなわち、アレクチニブ、クリゾチニブ、セリチニブ、オシメルチニブ)を受けた。前記試験の全体的有効率は、図12において提供される。
新しいカットオフ日時点における第1相臨床試験
初期データカットの後、さらなる罹患体を第1相試験に組み入れ、被験者の全体数を59(N=59)とした。全ての罹患体は、再発した/標準治療(SOC)に不応性だった非切除の進行性NSCLC腫瘍に罹患していた。罹患体は、57.7%が男性であり、88.5%がステージIVの疾患を認め、73.1%が腺癌組織学的検査を受け、80.8%が米東部腫瘍共同研究グループパフォーマンスステータス(ECOG PS)が1であり、86.5%が従来の免疫チェックポイント阻害剤処置が無効であった。同じ用量漸増および用量拡大試験デザインを用いた。
因果関係にかかわらない試験治療下での発現有害事象(TEAE)が生じた新しいカットオフ日時点における第1相試験における罹患体の数を図13に示す。簡潔に述べれば、用量制限毒性(DLT)は10mg/kgに達し、最大耐用量(MTD)は、将来の用量拡大パートにおける展開用量パートにおける推奨用量(RDE)でもあった8mg/kgにおいて確立された。罹患体に対する曝露期間の中央値は、10.6(範囲3.0~43.1)週間であった。重篤なTEAEは、14人(26.9%)の罹患体に発現し、3人(5.8%)の罹患体が死亡したが、死亡は治験薬との関連がなかった。用量減少、中断または中止に関連するTEAEは、それぞれ、5人(9.6%)、5人(9.6%)および2人(3.8%)の罹患体において発現した。6.0mg/kgの用量で処置された疾患進行を伴う1人の罹患体(1.9%)は、間質性肺疾患(ILD)ではないと判定された呼吸不全(グレード5)の、特別な関心がもたれる肺有害事象を発症した。データカットオフ後の症例を含めて、まだ判定されていない潜在的ILDの4例の報告が認められた(グレード2の肺臓炎1例[6.0mg/kg]、グレード2の器質化肺炎1例[8mg/kg]、グレード2の肺臓炎1例[8mg/kg]、およびグレード5が1例[疾患進行を伴う罹患体における呼吸不全;8.0mg/kg])。
前記試験の用量漸増群において全ての用量にわたって、12例の部分奏効(少なくとも10例は確認された)が認められた。8mg/kgにおいて、5/7の罹患体は部分奏効(PR)を示し、2/7は安定疾患(SD)を示した。この群において、6/7が処置を継続した。図14は、対象の標的病変におけるベースラインからの最長寸法測度の合計の最良のパーセンテージ変化を示し、図15は、より高い投与群におけるそれらの罹患体がより一貫した、顕著な腫瘍の大きさの減少を示した場合、応答の頻度に対する明確な投与量-効果を示し、図16は、各種処置群において認められた抗腫瘍活性を示す(事前にEGFR標的治療、ALK標的治療およびHER2標的治療による処置を受けた罹患体が示される。
TROP2発現を決定するために免疫組織化学によって前処置腫瘍生検を評価したが、罹患体応答を図17に示す。図12、図17、図21および図26に示されるように、幾人かの罹患体は、従来のEGFR阻害剤治療もしくはALK阻害剤治療を受けたか、または免疫腫瘍学処置を受けた。部分奏効(PR)を達成した8人の罹患体のうちの6人が、Hスコアが中央値より大きかったが、一方で安定疾患(SD)の8/15および進行性疾患の4/12が、Hスコアが中央値より大きかった。このことは、抗体薬物複合体(1)(すなわち、DS-1062a)が、TROP2陰性腫瘍(Calu-6)と対照的に、TROP2陽性腫瘍(NCI-H2170およびHCC827)における、より強い抗腫瘍活性を有する肺癌異種移植マウスモデルにおける抗腫瘍活性を有したことを示す前臨床データ(図18参照)と一致している。
細胞遊離DNA(cfDNA)を評価することによって可変対立遺伝子頻度(VAF)の変化も決定した。サイクル3、Day1(C3D1)および処置の終了(EOT)においてVAFを確認した。図19に示されるこれらの結果によって、DS-1062aがSDおよびPRを達成した罹患体においてcfDNAを減少させたことが示された。
要約すると、DS-1062aは、MTDおよびRDEとして確立された最高8mg/kgの用量で忍容性が良好であった。10mg/kgは、2人の対象がグレード3の粘膜炎を発現し、忍容性が示されなかった。8mg/kgおよび6mg/kgの両方は、忍容性は良好であったが、8mg/kgは、6mg/kgと比較して、8mg/kgにおけるより高い全奏効率(ORR)と共に、より良好な予備的有効性シグナルを示した。実際、図20は、ORRが8mg/kg投与群において最良であったことを示す。
抗腫瘍活性に対する用量依存的効果が、2.0~8.0mg/kgの範囲にわたって認められた。免疫チェックポイント阻害剤を含む標準治療(SOC)から再発または進行した、強い前処置を受けた非選択NSCLC罹患体における用量漸増の間、12例の部分奏効が認められた。有効性の結果の要約は、図21に提供される。
抗体薬物複合体の予備的有効性
2019年11月16日時点で、DS-1062aで処置された95人の対象の内の88人が、奏効に関して評価可能であった。
治験責任医師によって評価された全奏効率(ORR;未確認)は、6mg/kg投与群(5/18の対象が奏効、全てPR)において27.8%(95%CI:9.7、53.5)および8mg/kg投与群(13/34、全てPR)において38.2%(95%CI:22.2、56.4)であった(表2および図22)。病勢コントロール率(DCR=CR+PR+SD)は、6mg/kgにおいて72.2%であり、8mg/kgにおいて79.4%であった。
データカットオフ日において、6mg/kgの投与群におけるPRの5人の対象全ては、疾患進行または死亡なしで処置が進行中であった。
8mg/kg投与群において、PRの13人の対象の内の6人は、疾患進行または死亡なしで処置が進行中であり、2人は進行性疾患を発現し、1人は死亡し、4人は、疾患進行または死亡以外の理由のためにDS-1062aを中止した。
効果評価可能対象は、ベースライン時の腫瘍評価およびベースライン後の腫瘍評価の両方を行った対象か、または試験処置を中止した対象であった。
薬物動態
DS-1062a(0.27mg/kg~10mg/kg)の投与を受けた61人の対象における非コンパートメント解析を用いて、予備的単回投与PKおよび予備的反復投与PKを評価した。
図23は、8mg/kgのDS-1062aの反復投与における、DS-1062aの血漿中濃度、全抗体および遊離薬物(図においてペイロードと称される)を示す。平均AUClast、Cmaxおよび消失半減期の平均値(t1/2)は、それぞれ、914μg・d/mL、196μg/mLおよび5.45日であった。
DS-1062aの血漿中レベルおよび総抗TROP2抗体は同様であり、遊離薬物の曝露がDS-1062aの曝露より低かったが、このことは、DS-1062aが循環において安定であったことを示唆している。
結論
このDS-1062aは、第I相試験において最高8mg/kgの用量で忍容性があり、かつ安全であったことが示された。
88人の有効性評価可能対象の中で、DS-1062aは、2mg/kg以上の用量で有効であったが、8mg/kg群において38.2%(13/34の対象)のORRおよび79.4%(27/34の対象)のDCRを達成した。
結果は、NSCLCにおける免疫チェックポイント阻害剤および白金系化学療法の後の標準治療として用いられるドセタキセルより優れている(表3)。
さらに、PR対象の90.9%(20/22の対象)が、事前に免疫チェックポイント阻害剤(例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、イピリムマブ、デュルバルマブ)で処置され、全ての対象が、事前に白金系化学療法薬(例えば、シスプラチン、カルボプラチン)で処置された。したがって、DS-1062aは、これらの標準治療に不応性であるか、または忍容性がないNSCLC対象を含む対象におけるドセタキセルと置き換える可能性を示した。
さらに、米国において開発されたTROP2を標的とする競合的抗体薬物複合体であるサシツズマブゴビテカン(Sactizumab govitecan)は、標準治療を受けた対象における第2相試験において、NSCLCにおけるORRが19%であるが、このことは、DS-1062aが前記競合的薬物より有効であるかもしれないことを示唆する。
したがって、本発明において用いられるDS-1062aを含む治療剤および治療的医薬組成物、ならびに本発明のDS-1062aを投与することを特徴とする治療的方法は、標準治療に対して不応性であるか、もしくは再発するか、または標準治療が適用可能でない、切除不能な進行非小細胞肺癌の対象における処置のために優れていることが示された。
4mg、6mgおよび8mgの安全性および予備的有効性の評価は、第I相試験において継続されている。
さらに、2020年に開始する予定である複数の第II相試験が計画されている。
1. Borghaei H、Paz-Ares L、Horn Lら、Nivolumab versus Docetaxel in advanced nonsquamous non-small-cell lung cancer.N Engl J Med.2015年;373(17):1627~39
2. Garon EB、Ciuleanu TE、Arrieta Oら、Ramucirumab plus docetaxel versus placebo plus docetaxel for second-line treatment of stage IV non-small-cell lung cancer after disease progression on platinum-based therapy(REVEL):a multicentre,double-blind,randomised phase 3 trial Lancet.2014年;384(9944):665~73、Suppl.:3
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