以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1から図3を参照すると、本発明の実施形態に係るロック装置40を備えるリッド開閉装置10は、自動車のサイドパネル(パネル)1に取り付けられている。サイドパネル1には、車幅方向Yに貫通した受給口2が設けられている。
図面に付したX方向は自動車の車長方向であり、Y方向は自動車の車幅方向であり、Z方向は自動車の車高方向である。個々の図において、X方向の矢印が示す向きが前側であり、矢印とは逆向きが後側である。Y方向の矢印が示す向きが車内側(内側)であり、矢印とは逆向きが車外側(外側)である。Z方向の矢印が示す向きが上側であり、矢印とは逆向きが下側である。
図1を参照すると、リッド開閉装置10は、充電プラグ(図示せず)が接続される給電コネクタ(受給部)15を備える。但し、受給部は、ガソリン及び軽油等の液体燃料、並びに水素及びLPガス等の気体燃料のうちのいずれかを補給するためのものでもよい。
図4から図6を参照すると、リッド開閉装置10は、サイドパネル1(図1参照)に対して車幅方向Yの内側に取り付けられるベース20と、受給口2(図1参照)を開放可能に閉塞するリッド(対象物)30を備える。リッド30は、一端側の枢着部36がベース20に軸支されたアーム32を備え、図3に示す閉位置と図2に示す開位置との間を回転可能である。アーム32は、第1アーム部34と第2アーム部35によって構成されたアーム本体33と、枢着部36の一部を構成するスピンドル37とを備える。
ロック装置40は、リッド30が図3に示す閉位置にある状態でアーム32を移動不可能にロックする。ロック装置40は、ロックピン(ロック部材)41、トーションスプリング(付勢部材)46、電動式の駆動機構50、及び手動式のロック解除部材65を備える。トーションスプリング46は、ロックピン41を付勢する第2アーム部46cを備える。図12Bを参照すると、ロック装置40は、ベース20に設けられ、ロック解除部材65が操作されたときに、トーションスプリング46の第2アーム部46cを保持する保持部47を備える。
図4から図6を参照すると、駆動機構50は、モータ(駆動源)51と、カム面(カム)53aを有するインプットカム(回転体)52とを備える。本実施形態の駆動機構50は、スピンドル37に駆動力を伝達してリッド30を開閉させる差動機構60を備える。差動機構60は、スピンドル37に設けられた凹部39と、インプットカム52に設けられた凸部54とを備える。閉位置のリッド30を開位置に回転させるとき、差動機構60は、ロックピン41の回転開始に対してスピンドル37の回転を遅延させる。
図12A及び図12Bを参照すると、ロックピン41は、リッド30が図2に示す閉位置にあるとき、駆動機構50又はロック解除部材65によってロック位置からアンロック位置に回転される。駆動機構50によるロック位置からアンロック位置(以下「第2アンロック位置」という。)までのロックピン41の回転角度は、ロック解除部材65によるロック位置からアンロック位置(以下「第1アンロック位置」という。)までのロックピン41の回転角度よりも大きい。
図12Aを参照すると、ロックピン41は、駆動機構50によって、ロック位置から第1アンロック位置を経て第2アンロック位置に回転され、トーションスプリング46の付勢力によって、第2アンロック位置から第1アンロック位置を経てロック位置に回転される。駆動機構50とトーションスプリング46による作動時、第2アーム部46cは保持部47に保持されず、ロックピン41は第1アンロック位置を通過する。
駆動機構50の開作動によってロックピン41が第2アンロック位置に回転されるとき、モータ51の駆動力がインプットカム52及び差動機構60を介してスピンドル37に伝わることで、アーム32が図2に示すサイドパネル1外へ突出した進出位置に回転する。これにより、リッド30は、図2に示すように、受給口2を開放した姿勢(開位置)になる。また、駆動機構50の閉作動によってアーム32は、図3に示すサイドパネル1内に退避した後退位置に回転する。これにより、リッド30は、図3に示すように、受給口2を閉塞した姿勢(閉位置)になる。
図12Bを参照すると、ロック解除部材65は、モータ51の故障等によって駆動機構50によりロックピン41を作動できない非常時に使用される。つまり、駆動機構50が故障していない正常時には、ロック解除部材65は使用されない。ロックピン41がロック位置にあるとき、ロック解除部材65が操作されると、ロックピン41は、トーションスプリング46の第2アーム部46cを介して第1アンロック位置に回転され、第2アーム部46cが保持部47に保持される。これにより、ロックピン41が第1アンロック位置に保持される。その結果、図3に示す閉位置から図2に示す開位置へのリッド30の手動による回転が可能になる。
このように、本実施形態のロック装置40は、正常時には駆動機構50とトーションスプリング46によって、アンロック状態とロック状態に切り換えられ、リッド30も開閉させる。また、非常時にロック装置40は、ロック解除部材65によってトーションスプリング46を介してロック状態からアンロック状態に切り換えられ、リッド30を手動で開閉可能とする。
以下、ベース20、アーム32、ロックピン41、トーションスプリング46、駆動機構50、及び差動機構60について具体的に説明する。
図1及び図4を参照すると、ベース20は、受給口2を塞ぐベース本体21と、アーム32を軸支する軸受部24とを備える。
ベース本体21には、給電コネクタ15を取り付ける取付部22が設けられている。ベース本体21の外周縁には、リッド30との間を水密にシールするシール部材23が取り付けられている。ベース本体21には更に、車幅方向Yから見て受給口2内に位置するように、アーム32を進退可能に挿通する挿通孔21aと、図示しないスイッチを配置する開口21bとが設けられている。
図4から図6を参照すると、軸受部24は、ベース本体21と一体構造であり、取付部22に対して車長方向Xの前側に隣接し、車幅方向Yの内側に突出している。軸受部24は、図4において上側に位置する端壁部25、図4において下側に位置する端壁部26、及び端壁部25,26を連結する側壁部27を備える。端壁部25,26は車高方向Zに間隔をあけて設けられている。側壁部27は、端壁部25,26の車長方向Xの前端間と、端壁部25,26の車幅方向Yの外端間とを閉鎖している。端壁部25,26の車長方向Xの後端間と端壁部25,26の車幅方向Yの内端間とは開放され、端壁部25,26間には隙間29が形成されている。
図6及び図13を参照すると、端壁部25,26間の隙間29にはアーム本体33が差し込まれ、端壁部25,26に枢着部36が回転可能に支持されている。図6及び図16を参照すると、端壁部25の上面側には、インプットカム52を回転可能に配置する第1配置部25a、ロックピン41を回転可能に配置する第2配置部25b、及びトーションスプリング46を配置する第3配置部25cが設けられている。また、端壁部25には、ロックピン41の回転を規制するストッパ25iと、ロック解除部材65を案内するガイド部(第3ガイド部)25kとが設けられている。さらに、本実施形態の端壁部25には、トーションスプリング46を介してロックピン41を第1アンロック位置に保持する保持部47が設けられている。
図1及び図4を参照すると、配置部25a~25cの上端は、カバー28によって覆われている。カバー28内には、ロックピン41、トーションスプリング46、及びインプットカム52が収容されている。カバー28の外部には、モータ51を取り付けるための取付片28aが突設されている。カバー28には、外部のモータ51と内部のインプットカム52を接続するための貫通孔28bが設けられている。
図1から図3を参照すると、リッド30が備えるアーム32は、挿通孔21aを通してベース20の車幅方向Yの内側から外側に跨がって配置されている。図6及び図13を参照すると、アーム32は、軸受部24に軸支された枢着部36を備える。より具体的には、アーム32は、第1アーム部34と第2アーム部35によって構成されたアーム本体33と、枢着部36を構成するスピンドル37とを備える。
第1アーム部34は、枢着部36の回転軸Aまわりの周方向に延びる円弧状で、ベース本体21の挿通孔21aに挿通されている。第1アーム部34のうち、車幅方向Yの外側に位置する先端がリッド30に連なっている。
図5、図6及び図13を参照すると、第2アーム部35は、板状で、端壁部25,26間の隙間29に差し込まれ、軸受部24から車幅方向Yの内側に突出している。第2アーム部35の車幅方向Yの内端には、第1アーム部34が機械的に接続されている。隙間29に差し込まれる第2アーム部35の車幅方向Yの外端には、断面非円形状の取付孔35bを有する筒部35aが形成されている。取付孔35bを貫通して筒部35aにスピンドル37が取り付けられている。筒部35aとスピンドル37によって枢着部36が構成されている。
図6及び図13を参照すると、スピンドル37は、取付部37a、フランジ部37b、及び軸部37cを備える。スピンドル37は、軸受部24のうち円形状の貫通孔からなる第1配置部25aに、車高方向Zの上側から差し込んで取り付けられている。
取付部37aは、取付孔35bの形状と対応する断面非円形状の棒体であり、取付孔35bを貫通して取り付けられ、筒部35aと一体に回転する。
フランジ部37bは、取付部37aの上端に連なり、筒部35aの車高方向Zの上側に位置している。フランジ部37bは、枢着部36の回転軸Aが延びる方向から見て、円形状の筒部35aの直径と同じ直径の円形状である。図13に最も明瞭に示すように、フランジ部37bは、端壁部25の第1配置部25aの孔壁に回転可能に支持されている。図7、図8、及び図13を参照すると、フランジ部37bの中心には、インプットカム52を軸支する軸部37dが突設されている。フランジ部37bには更に、ロックピン41が係合する係合溝(係合部)38と、差動機構60を構成する凹部39とが設けられている。なお、係合溝38と凹部39については後に詳述する。
引き続いて図7、図8、及び図13を参照すると、軸部37cは、取付部37aの下端に設けられ、筒部35aから車高方向Zの下側に突出している。軸部37cは、第1配置部25aに対して車高方向Zに対向する端壁部26に形成された軸孔26a内に配置され、軸孔26aの孔壁に回転可能に支持されている。
図5、図6、及び図16を参照すると、ロックピン41は、軸受部24の第2配置部25bに配置されている。図7及び図8を参照すると、ロックピン41は、筒部41aとロックピン本体41bを備える。
ロックピン41は、図16から図18に示すロック位置から、図20Aから図20Cに示す第1アンロック位置を経て、図19Aから図19Cに示す第2アンロック位置への回転と、第2アンロック位置から第1アンロック位置を経てロック位置への回転とが可能である。ロック位置、第1アンロック位置、及び第2アンロック位置の設定(回転角度位置)については、後に詳述する。
図6及び図16を参照すると、筒部41aは、上端開口の凹みからなる第2配置部25bに形成された軸部25dに嵌合され、枢着部36の回転軸Aと平行な回転軸Bまわりに回転可能である。回転軸Aと回転軸Bの配置は、ロックピン41の回転と係合溝38への係合が阻害されない限り、幾何学的に厳密な意味での平行でなくてもよい。
図7及び図8を参照すると、ロックピン本体41bは、スピンドル37のフランジ部37bに隣接するように、トーションスプリング46に向けて筒部41aから車長方向Xの前側に突出している。ロックピン本体41bの車高方向Z(回転軸Bが延びる方向)の厚みは、スピンドル37のフランジ部37bの厚みよりも厚い。
ロックピン本体41bの車高方向Zの下側部分は、係合溝38に係合する係合凸部42を構成する。ロックピン本体41bの車高方向Zの上側部分は、インプットカム52のカム面53aに当接可能なカムフォロワ43を構成する。つまり、係合凸部42とカムフォロワ43は、車高方向Zに隣接して一体に設けられている。図10B及び図23Cを参照すると、ロックピン本体41bには更に、トーションスプリング46を取り付ける取付部44と、保持部47から第2アーム部46cを離間させるガイド部(第2ガイド部)45とが設けられている。
ここで、スピンドル37の係合溝38とロックピン41の係合凸部42について説明する。
図8及び図9を参照すると、スピンドル37の係合溝38は、フランジ部37bの外周面から内向きに窪んでいる。係合溝38は、ベース面38a、当接面38b、及び規制面38cによって画定されている。係合溝38の当接面38bの外端には、図20Bに示す第1アンロック位置に回転されたロックピン41を、図19Bに示す第2アンロック位置まで回転させるガイド面38dが形成されている。
ベース面38aは、XY平面に沿って延びる平坦な扇形状である。図14を参照すると、軸受部24にスピンドル37を配置した状態では、ベース面38aはロックピン41よりも車高方向Zの下側に位置する。
図8及び図9を参照すると、当接面38bは、ベース面38aから直交方向に突出し、フランジ部37bの径方向に延びる平坦面である。当接面38bが延びる方向は、ロックピン41の係脱を阻害しない限り、幾何学的に厳密な意味でフランジ部37bの径方向でなくてもよい。また、当接面38bは、ロックピン41の係脱を阻害しない限り、幾何学的に厳密な意味での平坦面でなくてもよい。
規制面38cは、ベース面38aから直交方向に突出し、当接面38bに対して交差する方向に延びる平坦面である。図17を参照すると、規制面38cは、ロック位置の係合凸部42に沿って延び、枢着部36の回転軸Aに向けたロックピン41の回転を規制する。規制面38cと当接面38bとがなす角は、90度以上に設定されており、好ましくは90度よりも大きく90度に近い角度(例えば92度)に設定されている。
ガイド面38dは、フランジ部37bの径方向における当接面38bの外端に設けられ、規制面38cとは反対側に傾斜した平坦面である。より具体的には、ガイド面38dは、フランジ部37bの径方向の内側から外側に向けて、図2に示す開位置のリッド30を図3に示す閉位置に回転させるときにスピンドル37が閉回転する向きd2に傾斜している。
図7及び図10Aを参照すると、ロックピン41の係合凸部42は、カムフォロワ43よりも枢着部36の回転軸A側に突出している。つまり、ロックピン41の回転軸Bまわりの周方向における係合凸部42の横幅は、カムフォロワ43の横幅よりも大きい。図17を参照すると、係合凸部42のうち筒部41aとは反対側の先端部42aは、断面円弧状に面取りされている。アーム32が図17に示す後退位置に回転した状態では、図3に示す閉位置のリッド30を図2に示す開位置に回転させる向きd1へのスピンドル37の開回転によって、先端部42aに係合溝38の当接面38bが当接可能である。
ロックピン41には、図16から図18に示すロック位置、図20Aから図20Cに示す第1アンロック位置、及び図19Aから図19Cに示す第2アンロック位置が設定されている。図16から図18に示すロック位置では、スピンドル37を介して図3に示す閉位置のリッド30を移動不可能にロックする。図20Aから図20Cに示す第1アンロック位置では、スピンドル37を介してリッド30のロックを解除し、リッド30を開閉可能とする。図19Aから図19Cに示す第2アンロック位置では、スピンドル37を介してリッド30のロックを解除し、リッド30を開閉可能とする。ロック位置のロックピン41の回転角度位置、第1アンロック位置のロックピン41の回転角度位置、及び第2アンロック位置のロックピン41の回転角度位置は、いずれも異なっている。ロックピン41の回転角度位置は、回転軸Bまわりの周方向における係合凸部42の横幅の中心線が延びる方向として定義される。
以下、図16から図18に示すロック位置、図20Aから図20Cに示す第1アンロック位置、及び図19Aから図19Cに示す第2アンロック位置の設定について、具体的に説明する。
図17に示すように、ロックピン41の回転軸Bを通り当接面38bに対して直交方向に延びる基準線をL1とし、スピンドル37のフランジ部37bの外周に係合凸部42が当接する図19Bに示す状態での係合凸部42の中心線の回転角度位置である直線をL2とする。また、基準線L1よりも枢着部36の回転軸A側の領域をR1、基準線L1と直線L2の間の領域をR2、及び直線L2に対して基準線L1とは反対側の領域をR3とする。
図17に示すロックピン41のロック位置は、基準線L1を含む領域R1に係合凸部42の中心線が位置する回転角度位置に設定されている。図20Bに示すロックピン41の第1アンロック位置は、基準線L1及び直線L2を含まない領域R2に係合凸部42の中心線が位置する回転角度位置に設定されている。図19Bに示すロックピン41の第2アンロック位置は、直線L2を含む領域R3に係合凸部42の中心線が位置する回転角度位置に設定されている。つまり、基準線L1は、ロック位置と第1アンロック位置の境界線であり、直線L2は、第1アンロック位置と第2アンロック位置の境界線である。
図17を参照すると、基準線L1を含む領域R1は、リッド30を開回転させる向きd1へのスピンドル37の開回転を阻止できる開放阻止領域である。まず、ロックピン41の回転角度位置が基準線L1に一致する状態では、向きd1へのスピンドル37の開回転によって当接面38bが係合凸部42を押圧すると、係合凸部42には基準線L1に沿う圧縮方向の力が作用する。これにより、ロックピン41は回転しないため、向きd1へのスピンドル37の開回転が阻止され、リッド30も動かない。一方、ロックピン41の回転角度位置が基準線L1上以外の開放阻止領域R1にあるとき、向きd1へのスピンドル37の開回転によって当接面38bが係合凸部42を押圧すると、ロックピン41には枢着部36の回転軸Aに向けて回転する力が作用する。但し、ロックピン41の回転は、規制面38cへの係合凸部42の当接によって規制される。これにより、向きd1へのスピンドル37の開回転は、係合凸部42への当接面38bの当接によって阻止される。その結果、リッド30は、図2に示す開位置に回転できず、図3に示す閉位置のまま動かない。この開放阻止領域R1のうち、本実施形態のロックピン41のロック位置は、基準線L1上以外の回転角度位置に係合凸部42の中心線が位置する姿勢に設定されている。
図17に示す領域R2は、リッド30を開回転させる向きd1へのスピンドル37の回転を許容する第1開放許容領域である。図20Bに示すように、第1開放許容領域R2にロックピン41があるとき、向きd1へのスピンドル37の開回転によって当接面38b又はガイド面38dが係合凸部42を押圧すると、ロックピン41には枢着部36の回転軸Aから離れる向きに回転する力が作用する。これにより、ロックピン41は図19Bに示す第2アンロック位置に向けて回転し、係合凸部42が係合溝38から離脱する。つまり、第1開放許容領域R2にロックピン41がある状態では、係合溝38へのロックピン41の係合は解除され、向きd1へのスピンドル37の回転が可能である。そのため、図3に示す閉位置のリッド30を図2に示す開位置に回転できる。この第1開放許容領域R2のうち、本実施形態のロックピン41の第1アンロック位置は、向きd1へのスピンドル37の開回転によってガイド面38dが係合凸部42に当接する回転角度位置に設定されている。
図17に示す領域R3は、開放阻止領域R1に対して第1開放許容領域R2よりも離れて位置し、リッド30を開回転させる向きd1へのスピンドル37の回転を許容する第2開放許容領域である。図19Bに示すように、第2開放許容領域R3にロックピン41があるとき、向きd1へのスピンドル37の開回転によって当接面38bとガイド面38dはいずれも係合凸部42に当接しない。つまり、第2開放許容領域R3にロックピン41がある状態では、係合溝38へのロックピン41の係合は解除され、向きd1へのスピンドル37の回転が可能である。そのため、図3に示す閉位置のリッド30を図2に示す開位置に回転できる。この第2開放許容領域R3のうち、本実施形態のロックピン41の第2アンロック位置は、係合凸部42の中心線が直線L2に沿って延びる回転角度位置、つまり、スピンドル37のフランジ部37bの外周に係合凸部42が当接する回転角度位置に設定されている。
図7及び図8を参照すると、カムフォロワ43は、ロックピン本体41bのうち係合凸部42よりも上側の部分によって構成されている。カムフォロワ43は、係合凸部42よりも車長方向Xの前側に突出している。カムフォロワ43の筒部41aとは反対側の先端のうち、枢着部36の回転軸A側(車幅方向Yの外側)に位置する角部には、カム面53aに摺接する円弧状の面取り部43aが設けられている。ロックピン41が図16及び図17に示すロック位置にあるとき、カムフォロワ43とインプットカム52のカム面53aとの間の隙間は、係合凸部42とスピンドル37の当接面38bとの間の隙間よりも大きい。そのため、ロックピン41がロック位置にあるとき、リッド30が開操作されると、スピンドル37の回転によって当接面38bが係合凸部42に当接し、カムフォロワ43にはカム面53aが当接しない。これにより、リッド30の不正操作によって、インプットカム52を介してロックピン41が第1開放許容領域R2に向けて回転することを防止している。
図8、図10A、及び図10Bを参照すると、取付部44は、ロックピン本体41bのうちカムフォロワ43の面取り部43aとは反対側に設けられている。取付部44は、車幅方向Yの内側に突出した枠体からなり、トーションスプリング46の第2アーム部46cが引っ掛けて取り付けられる。
ガイド部45は、ロックピン本体41bのうち、取付部44の車高方向Zの下側に設けられている。ガイド部45の具体的構造については後に詳述する。
図6及び図16を参照すると、トーションスプリング46は、巻回部46a、第1アーム部46b、及び第2アーム部46cを備え、軸受部24のうち上端開口の凹みからなる第3配置部25cに配置されている。
巻回部46aは、第3配置部25cに形成された位置決め凸部25fへの嵌合によって、第3配置部25cの円環状の第1溝25gに位置決めされている。これにより、巻回部46aの軸線Cはロックピン41の回転軸Bと平行に位置する。ここで、回転軸Bと軸線Cの配置は、トーションスプリング46の位置決めが可能な範囲であれば、幾何学的に厳密な意味での平行でなくてもよい。
第1アーム部46bは、巻回部46aの上端から延出して、第3配置部25cの第2溝25hに位置決めされている。
第2アーム部46cは、巻回部46aの下端から延出して、巻回部46aを配置した第3配置部25cに空間的に連通した第2配置部25b内へ突出している。第2アーム部46cは引掛部46dを備え、この引掛部46dがロックピン41の回転軸Bと巻回部46aの軸線Cとの間でロックピン41の取付部44に取り付けられている。
このように構成されたトーションスプリング46では、駆動機構50による図16に示すロック位置から図19Aに示す第2アンロック位置へのロックピン41の回転に連動して第2アーム部46cが移動し、巻回部46aが収縮する。また、図20Aを参照すると、ロック解除部材65の操作によって、車幅方向Yの内側に第2アーム部46cが移動して巻回部46aが収縮し、図16に示すロック位置のロックピン41が図20Aに示す第1アンロック位置に回転する。図16を参照すると、巻回部46aの弾性的な付勢力によって、第2アーム部46cが車幅方向Yの外側に移動し、開放許容領域R2又はR3に位置するロックピン41をロック位置に付勢する。
図4及び図6を参照すると、駆動機構50は、1個のモータ51とインプットカム52を備える。
モータ51は、電気的に接続された駆動回路(図示せず)がECU(Electronic Control Unit)によって制御されることで、正転及び逆転が可能な駆動源である。正転によってモータ51は、インプットカム52とスピンドル37を介してロック位置のロックピン41を第2アンロック位置に回転させるとともに、インプットカム52と差動機構60を介して図3に示す後退位置のアーム32を図2に示す進出位置に回転させる。逆転によってモータ51は、インプットカム52と差動機構60を介して図2に示す進出位置のアーム32を図3に示す後退位置に回転させる。これにより、トーションスプリング46の付勢力による図19Aに示す第2アンロック位置から図16に示すロック位置へのロックピン41の回転を許容する。
図6及び図13を参照すると、インプットカム52は、第1配置部25aに配置されたスピンドル37のフランジ部37b上に配置され、モータ51から受けた駆動力によって回転する回転体である。インプットカム52は、モータ51から受けた駆動力をロックピン41に伝達し、ロック位置のロックピン41を第2アンロック位置に向けて移動させるカム面53aを備える。また、インプットカム52は、モータ51から受けた駆動力をスピンドル37に伝達する差動機構60を構成する凸部54を一体に備える。なお、凸部54については後に詳述する。
図7及び図8を参照すると、インプットカム52は、枢着部36の回転軸Aが延びる方向から見て扇形板状の本体52aと、本体52aの中心から突出する接続部52bとを備える。図4を参照すると、接続部52bは、貫通孔28bを貫通してカバー28外へ突出してモータ51に接続される。接続部52bは、回転軸Aに沿って突出しており、外周面に放射状に突出する複数の凸条を備える断面非円形状である。但し、接続部52bはモータ51側に設けられ、インプットカム52に接続されてもよい。
図13を参照すると、インプットカム52の中心には、軸穴52cが設けられている。インプットカム52は、スピンドル37の軸部37dへの軸穴52cの嵌合によってフランジ部37b上に軸支され、枢着部36の回転軸Aまわりに回転する。
図8及び図11を参照すると、本体52aには、係合溝38への係合凸部42の係合を許容するための切り欠き53が形成されている。切り欠き53は、インプットカム52の外周面から内向きに窪み、車高方向Zに貫通している。切り欠き53が係合溝38の上側に位置するように、枢着部36の回転軸Aに沿ってインプットカム52がスピンドル37上に隣接して配置されている。
枢着部36の回転軸Aが延びる方向から見て、枢着部36の回転軸Aまわりの切り欠き53の角度範囲αは、係合溝38を露出可能な広さで形成されている。より具体的には、図3に示す後退位置のアーム32を図2に示す進出位置に移動させる開回転時、及び図2に示す進出位置のアーム32を図3に示す後退位置に移動させる閉回転時のいずれでも、スピンドル37の係合溝38が露出する角度範囲αで切り欠き53が形成されている。
切り欠き53を画定する壁面のうちの1つは、インプットカム52の回転力を伝達して、図17に示すロック位置のロックピン41を図19Bに示す第2アンロック位置に向けて回転させるカム面53aを構成する。具体的には、切り欠き53は、枢着部36の回転軸Aまわりの周方向に対向するカム面53aと対向面53b、及び周方向に延びる内周面53cとで画定されている。カム面53aは、インプットカム52が開回転する向きd1の後側に位置する。カム面53aは、対向面53bに向けて円弧状に膨出している。
本実施形態では、カム面53aとカムフォロワ43の摺接によって、図17に示すロック位置のロックピン41を図20Bに示す第1アンロック位置まで回転させた後、係合凸部42とガイド面38dの摺接によって、図20Bに示す第1アンロック位置のロックピン41を図19Bに示す第2アンロック位置まで回転させる。但し、図17に示すロック位置から図19Bに示す第2アンロック位置までのロックピン41の回転全てを、カム面53aによって行ってもよい。
図6及び図7を参照すると、差動機構60は、スピンドル37の凹部39とインプットカム52の凸部54とで構成されている。但し、凹部39をインプットカム52に設け、凸部54をスピンドル37に設けてもよい。
凸部54は、インプットカム52のうちスピンドル37と対向する下面の外周部に設けられている。枢着部36の回転軸Aが延びる方向から見て、凸部54は、扇形状であり、インプットカム52からスピンドル37に向けて突出している。
凹部39は、スピンドル37のフランジ部37bに設けられている。凹部39は、フランジ部37bの外周面から内向きに窪み、インプットカム52と対向する上面を開放した扇形状の溝からなり、内部に凸部54が配置される(図17参照)。
図17を参照すると、枢着部36の回転軸Aまわりの周方向において、凸部54を形成する角度範囲βは、凹部39を形成する角度範囲γよりも小さい。これにより、回転軸Aまわりの周方向における凸部54と凹部39の間には、角度範囲β,γの差分の隙間61が形成されている。この隙間61の角度範囲(γ-β)が、インプットカム52の回転開始に対して遅延させて枢着部36を回転させる差動角度範囲である。
差動角度範囲(γ-β)は、図17に示すロック位置のロックピン41を、図17に示す第1開放許容領域R2に回転させるときのインプットカム52の回転角度よりも大きく、図20Bに示す第1アンロック位置に回転させるときのインプットカム52の回転角度よりも小さい。これにより、図17に示すロック位置のロックピン41が、スピンドル37の回転を許容する第1開放許容領域R2に回転した後、凸部54及び凹部39それぞれの対向面が当接して、スピンドル37が回転し始める。その結果、ロックピン41を図19Bに示す第2アンロック位置に回転させながら、図3に示す後退位置のアーム32を図2に示す進出位置に回転させることができる。
ロック解除部材65は、トーションスプリング46の第2アーム部46cを介して、図16及び図18に示すロック位置のロックピン41を図20A及び図20Cに示す第1アンロック位置に手動で回転させる。図5及び図15を参照すると、ロック解除部材65は、ワイヤ66と操作部67を備え、操作部67全体とワイヤ66の一部が第2配置部25bに配置されている。
図16及び図18を参照すると、ワイヤ66は、可撓性を有し、図示しないチューブ内に移動可能に取り付けられた伝達部材である。ワイヤ66の一端には操作部67が設けられ、ワイヤ66の他端は図示しない操作レバーに接続されている。操作レバーは自動車のボンネット内又はトランク内に配置され、ワイヤ66は操作レバーの操作力を操作部67に伝達する。なお、伝達部材は、操作部67に接続される部分が可撓性の無い剛体によって構成されてもよく、操作部67を移動できる構成であればよい。
操作部67は、トーションスプリング46の第2アーム部46cに取り付けられ、ワイヤ66の操作によって車幅方向Yの内側へ移動し、第2アーム部46cを一緒に移動させる。操作部67は、ロックピン41とトーションスプリング46の巻回部46aとの間に位置するように、第2配置部25bに配置されている。具体的には、操作部67は、第2アーム部46cを取り囲む四角形状の枠体であり、基部67a、上枠部67b、下枠部67c、及びガイド部(第1ガイド部)67dを備える。
図18に最も明瞭に示すように、基部67aは、ワイヤ66に接続され、第2配置部25bへの配置状態で車高方向Zに延びている。基部67aは、第2アーム部46cよりも車幅方向Yの内側に位置し、第2アーム部46cの上側から下側まで延びている。図21A及び図21Cを参照すると、基部67aは、ワイヤ66の非操作状態で、駆動機構50によってロックピン41が第2アンロック位置に移動したときの第2アーム部46cよりも、車幅方向Yの内側に位置している。つまり、ロックピン41の移動に連動して第2アーム部46cが移動しても、基部67aには第2アーム部46cが干渉しない。
図18を参照すると、上枠部67bは、第2アーム部46cの上側に間隔をあけて位置し、車幅方向Yに延びている。より具体的には、上枠部67bは、基部67aの上端に連なり、ロックピン41をロック位置に付勢した第2アーム部46cよりも、車幅方向Yの外側まで延びている。
下枠部67cは、第2アーム部46cの下側に間隔をあけて位置し、車幅方向Yに延びている。より具体的には、下枠部67cは、基部67aの下端に連なり、上枠部67bの車幅方向Yの外端よりも車幅方向Yの外側まで延びている。
ガイド部67dは、ワイヤ66の操作によって操作部67が車幅方向Yの内側へ移動されるとき、第2アーム部46cを保持部47に誘導する。具体的には、ガイド部67dは、上枠部67b及び下枠部67cそれぞれの車幅方向Yの外端に連なり、第2アーム部46cよりも車幅方向Yの外側に位置している。ガイド部67dは、上枠部67bから下枠部67cに向けて車幅方向Yの外側に傾斜している。つまり、ガイド部67dは、上枠部67bから下枠部67cに向けて、ワイヤ66の操作によって操作部67が移動する向き(車幅方向Yの内向き)とは反対側に傾斜している。これにより、ガイド部37dは、操作部67の移動によって、第2アーム部46cを車高方向Zの下向きかつ車幅方向Yの内向きに移動できる(図22C参照)。
操作部67内には、基部67a、上枠部67b、下枠部67c、及びガイド部67dによって画定された許容空間67eが形成されている。基部67aとガイド部67dの最短距離である許容空間67eの車幅方向Yの最短距離は、駆動機構50とトーションスプリング46による第2アーム部46cの移動ストロークよりも長い。そのため、許容空間67eは、ワイヤ66が操作されていないとき、駆動機構50とトーションスプリング46によるロックピン41の回転に連動する第2アーム部46cの移動を許容する。これにより、第2アーム部46cが操作部67に干渉することに伴う作動不良を防止している。
図5及び図16を参照すると、ワイヤ66の操作によって移動する操作部67は、軸受部24に設けられたガイド部25kによって、直動するように案内される。ガイド部25kは、第3配置部25cを画定する隔壁と、第2配置部25bに形成された溝25l(図18を参照)によって構成されている。また、図5及び図18を参照すると、端壁部25には、ガイド部25kの延長線上に位置するように、ワイヤ66を挿通する挿通孔25mが形成されている。
図5、図20A、及び図20Cを参照すると、ロック解除部材65の操作によって移動された第2アーム部46cは、軸受部24に設けられた保持部47に保持される。これにより、ロックピン41が第1アンロック位置に保持される。保持部47は、第2配置部25bのうちロックピン41の先端と第3配置部25cの間に設け、車高方向Zの上側に突出している。図18を参照すると、保持部47は、車高方向Zの上端である第2アーム部46c側が、車幅方向Yの内側へ突出した鉤爪状である。
図18を参照すると、保持部47の上端は、ロック解除部材65が操作されていないときの第2アーム部46cに対して、車高方向Zの下側に間隔をあけて位置している。また、保持部47の上端は、操作部67の下枠部67cに対して上方に間隔をあけて位置している。これにより、保持部47は、ロック解除部材65が操作されていないとき、ロックピン41の回転に連動して移動する第2アーム部46cに干渉せず、第2アーム部46cの移動を阻害しない。一方、ロック解除部材65が操作されると、操作部67の移動によってガイド部37dが第2アーム部46cを車高方向Zの下向きに移動させることで、保持部47が第2アーム部46cを保持できる(図22C参照)。
図20Cに示す保持部47による第2アーム部46cの保持は、図20Aに示す第1アンロック位置から図23Aに示す第2アンロック位置へのロックピン41の回転による車幅方向Yの内側への第2アーム部46cの移動と、トーションスプリング46の弾性的な復元力による車高方向Zの上側への第2アーム部46cの移動とによって、通常では解除される。しかし、ロックピン41の取付部44とトーションスプリング46の引掛部46dとの間の摩擦抵抗等によって、車高方向Zの第2アーム部46cの移動が阻害される場合、図16に示すロック位置に向けてロックピン41を付勢するときに、第2アーム部46cが保持部47に再保持される虞がある。この再保持を防ぐために、ロックピン41にはガイド部45が設けられている。
図10B及び図23Cを参照すると、ガイド部45は、ロックピン本体41bの取付部44の下側から車幅方向Yの内側に突出している。ガイド部45は、車幅方向Yの内側から車幅方向Yの外側に向けて、上側へ傾斜した傾斜面45aを備える。図20Aに示す第1アンロック位置から図23Aに示す第2アンロック位置にロックピン41が回転されると、ガイド部45が第2アーム部46cに当接し、傾斜面45aの傾斜に従って第2アーム部46cを車高方向Zの上側に移動させる。よって、図23Aに示す第2アンロック位置に向けたロックピン41の回転によって、保持部47による第2アーム部46cの保持を確実に解除し、保持部47への再保持を防止できる。
次に、駆動機構50によるリッド開閉装置10の正常時の動作を、図24と図25を参照して説明する。
図24と図25は、モータ51の回転角度位置に対するインプットカム52、アーム32、ロックピン41、ワイヤ66、及びトーションスプリング46の第2アーム部46cの動きを示すグラフである。そのうち、図24は、駆動機構50により閉位置のリッド30を開位置に回転させるリッド開作動時を示し、図25は、駆動機構50により開位置のリッド30を閉位置に回転させるリッド閉作動時を示す。
図24を参照すると、閉位置のリッド30を開位置に回転させるとき、モータ51は、初期回転角度位置(0)から最大回転角度位置(max)まで正転する。これにより、インプットカム52は、図16及び図17に示す閉回転角度位置から図21A及び図21Bに示す開回転角度位置まで、向きd1へ開回転する。この間、アーム32、ロックピン41、トーションスプリング46の第2アーム部46cは、以下のように作動する。
インプットカム52の開回転によってカム面53aが一体に回転するため、ロック位置のロックピン41は、カム面53aとカムフォロワ43のクリアランス分の遅延時間を経て、第2アンロック位置に向けて移動し始める(図24のSa1参照)。一方、差動機構60の隙間61によって、インプットカム52の回転力はスピンドル37に伝わらないため、図24にSb1で示すように、アーム32は後退位置に停止している。ロックピン41に取り付けられた第2アーム部46cは、ロックピン41の移動に連動して付勢位置から収縮位置に向けて移動し始める(図24のSc1参照)。操作部67が許容空間67eを備えるため、第2アーム部46cが移動しても、ワイヤ66は移動しない。
インプットカム52が差動機構60の隙間61分(差動角度範囲γ-β)回転すると、凹部39と凸部54の対向面が当接する(図24のSb2参照)。よって、その後はインプットカム52の回転力が伝わってスピンドル37が回転するため、後退位置のアーム32が進出位置に向けて回転し始める(図24のSb3参照)。ロックピン41は、カム面53aとカムフォロワ43の摺接によって第2アンロック位置に向けて回転し続け、第2アーム部46cもロックピン41に連動して移動する。
スピンドル37の回転によって、カム面53aとカムフォロワ43の摺接に引き続き、ガイド面38dに係合凸部42が摺接する(図24のSa2参照)。これにより、ロックピン41は引き続き第2アンロック位置に向けて回転し、第2アーム部46cは収縮位置に向けて移動する。
その後、ガイド面38dの外端が係合凸部42に摺接する位置までスピンドル37が回転すると、ロックピン41は第2アンロック位置まで回転し(図24のSa3参照)、第2アーム部46cは収縮位置まで移動する(図24のSc2参照)。これにより、ロックピン41は、図19Aから図19Cに示すように、トーションスプリング46の付勢力によってスピンドル37のフランジ部37bの外周に圧接されて、第2アンロック位置に保持される(図24のSa4参照)。また、第2アーム部46cも収縮位置に維持される(図24のSc3参照)。
インプットカム52が開回転角度位置まで回転すると、図21A及び図21Bに示すように、スピンドル37を介してアーム32が進出位置まで回転する。その結果、リッド30は開位置に回転する。この状態でロックピン41は、トーションスプリング46の付勢力によってフランジ部37bの外周に圧接され、第2アンロック位置に維持される。これにより、図21Cに示すように、トーションスプリング46の第2アーム部46cも収縮位置に維持される。一方、ワイヤ66は、リッド30の開作動時には全く移動しない。
図25を参照すると、開位置のリッド30を閉位置に回転させるとき、モータ51は、最大回転角度位置(max)から初期回転角度位置(0)まで逆転する。これにより、インプットカム52は、図21A及び図21Bに示す開回転角度位置から図16及び図17に示す閉回転角度位置まで、向きd2へ閉回転する。この間、アーム32、ロックピン41、トーションスプリング46の第2アーム部46cは、以下のように作動する。
インプットカム52の閉回転によってカム面53aが一体に回転するが、カム面53aはカムフォロワ43から離れた回転角度位置に回転しているため、ロックピン41は回転することなく第2アンロック位置に保持される(図25のSa5参照)。また、差動機構60の隙間61によって、インプットカム52の回転力はスピンドル37に伝わらないため、図25にSb4で示すように、アーム32も回転しない。ロックピン41が回転しないため、第2アーム部46cも収縮位置から移動せず(図25のSc4参照)、ワイヤ66も移動しない。
インプットカム52が差動機構60の隙間61分(差動角度範囲γ-β)回転すると、凹部39と凸部54の対向面が当接する(図25のSb5参照)。よって、その後は、インプットカム52の回転力が伝わってスピンドル37が回転するため、進出位置のアーム32が後退位置に向けて回転し始める(図25のSb6参照)。この際もロックピン41、第2アーム部46c、及びワイヤ66は移動しない。
スピンドル37の回転によって、ガイド面38dに係合凸部42が位置すると(図25のSa6参照)、その後は、トーションスプリング46の付勢力によって、第2アンロック位置のロックピン41がロック位置に向けて回転し始める(図25のSa7参照)。これにより、収縮位置の第2アーム部46cが付勢位置に向けて移動し始める(図25のSc5参照)。
続いて、当接面38bの外端に係合凸部42が当接する角度位置にスピンドル37が回転されると(図25のSb7参照)、図16及び図17に示すように、トーションスプリング46の付勢力によって、ロックピン41がロック位置に回転し、軸受部24に形成されたストッパ25iに当接して停止する(図25のSa8参照)。また、図18に示すように、第2アーム部46cは付勢位置まで移動する(図25のSc6参照)。
最後に、スピンドル37の係合溝38とロックピン41の係合凸部42のクリアランス分、インプットカム52とスピンドル37が回転する。これにより、インプットカム52は閉回転角度位置まで回転し、スピンドル37を介してアーム32は後退位置まで回転し、リッド30は閉位置に回転する。
以上のように、本実施形態のロック装置40では、1個のモータ51によって、図2に示す進出位置と図3に示す後退位置の間のアーム32の回転を阻害することなく、ロックピン41によるリッド30のロック状態とアンロック状態を切り換えることができる。
次に、ロック解除部材65によるリッド開閉装置10のロック解除動作を、図26を参照して説明する。
図26は、ユーザがロック解除部材65を操作したときの操作ストロークに対するインプットカム52、アーム32、ロックピン41、ワイヤ66、及びトーションスプリング46の第2アーム部46cの動きを示すグラフである。
図26を参照すると、ボンネット内又はトランク内に配置された操作レバー(図示せず)は、初期位置(0)から最大操作位置(max)まで操作される。これにより、ワイヤ66は進出位置から最大引込位置に向けて引っ張られる(図26のSd1参照)。この間、インプットカム52、アーム32、ロックピン41、及び第2アーム部46cは、以下のように作動する。
まず、ワイヤ66の移動によってトーションスプリング46の第2アーム部46cが、操作部67とのクリアランス分の遅延時間を経て、付勢位置から収縮位置に向けて移動し始める(図26のSe1参照)。続いて、第2アーム部46cと取付部44のクリアランス分の遅延時間を経て、ロック位置のロックピン41が第1アンロック位置に向けて移動し始める(図26のSf1参照)。
第2アーム部46cは、操作部67のガイド部67dの押圧によって移動される。この際、第2アーム部46cは、ガイド部67dの傾斜に従って保持部47に向けて移動する。そして、図22Aから図22Cに示すように、ワイヤ66が最大引込位置まで引っ張られると、第2アーム部46cは、保持部47を越えて収縮位置に、かつ保持部47の上端よりも下側に移動する(図26のSe2参照)。また、ロックピン41は、第1アンロック位置を越えて第2アンロック位置まで回転する(図26のSf2参照)。
図22Aから図22Cに示す状態は、ユーザが操作レバーの操作を止めるまで続き、操作レバーから手を離すと(操作停止)、トーションスプリング46の付勢力によって第2アーム部46cが付勢位置に向けて移動する(図26のSe3参照)。これにより、操作部67を介してワイヤ66が進出位置に向けて進出する(図26のSd2参照)。また、第2アーム部46cと取付部44のクリアランス分の遅延時間を経て、ロックピン41がロック位置に向けて回転する(図26のSf3参照)。
ガイド部67dによって保持部47の上端よりも下側に第2アーム部46cが移動しているため、トーションスプリング46の付勢力による第2アーム部46cの移動は、保持部47で止まる(図26のSe4参照)。つまり、図20Aから図20Cに示すように、操作停止によって第2アーム部46cが保持部47に保持される。これにより、ワイヤ66の進出は半引込位置で止まり(図26のSd3参照)、ロックピン41の回転は第1アンロック位置で止まる(図26のSf4参照)。
以上のロック解除部材65の操作による力は、トーションスプリング46とロックピン41以外には伝わらない。そのため、アーム32は後退位置から回転せず(図26のSg1参照)、インプットカム52も閉回転角度位置から回転しない(図26のSh1参照)。よって、閉位置のリッド30も回転しない。
図20Aから図20Cに示す非常時の第1アンロック状態では、第2アーム部46cが保持部47に保持され、ロックピン41が第1アンロック位置に回転している。そのため、ロックピン41とスピンドル37の係合溝38との係合は解除されており、リッド30は手動で開閉可能である。この第1アンロック状態は、図3に示す閉位置のリッド30を図2に示す開位置に回転させるまで、又は駆動機構50を修理してリッド30を開作動させるまで続く。
次に、非常時の第1アンロック状態で、リッド30を操作したときのリッド開閉装置10の動作を、図27を参照して説明する。
図27は、リッド30を手動で操作したときのリッド30の回転角度位置に対するインプットカム52、アーム32、ロックピン41、ワイヤ66、及びトーションスプリング46の第2アーム部46cの動きを示すグラフである。
図27を参照すると、第1アンロック状態で開操作されたリッド30は、閉位置(0)から開位置(max)まで回転する。これにより、アーム32は後退位置から進出位置まで回転する(図27のSg2参照)。この間、インプットカム52、ロックピン41、ワイヤ66、及びトーションスプリング46の第2アーム部46cは、以下のように作動する。
図20Bを参照すると、第1アンロック状態では、リッド30の開操作によって向きd1に回転する凹部39と凸部54それぞれの対向面が当接している。そのため、閉回転角度位置のインプットカム52は、開回転角度位置に向けて直ぐに回転し始める(図27のSh2参照)。この時点では、リッド30の操作力が伝わらないロックピン41、第2アーム部46c、及びワイヤ66は、移動しない。
スピンドル37の回転によって、係合溝38のガイド面38dが係合凸部42に当接すると(図27のSf5参照)、その後は第1アンロック位置のロックピン41が第2アンロック位置に向けて回転し始める。これにより、トーションスプリング46の第2アーム部46cも保持位置から収縮位置に向けて移動し始める(図27のSe5参照)。但し、操作部67が許容空間67eを備えるため、第2アーム部46cが移動しても、ワイヤ66は移動しない(図27のSd4参照)。
ロックピン41が第2アンロック位置まで回転すると(図27のSf6参照)、第2アーム部46cも収縮位置まで移動する(図27のSe6参照)。これにより、第2アーム部46cが保持部47から離間し、保持部47による第2アーム部46cの保持が解除される。この際、第2アーム部46cは、ガイド部45によって車高方向Zの上側に誘導される。
続いて、リッド30が開位置まで回転されると、アーム32も進出位置まで回転する(図27のSg3参照)。この状態では、ロックピン41は、スピンドル37のフランジ部37bによって第2アンロック位置に保持され(図27のSf7参照)、第2アーム部46cは、ロックピン41によって収縮位置に保持される(図27のSe7参照)。一方、インプットカム52は、開回転角度位置まで回転することなく止まる(図27のSh3参照)。
第1アンロック状態からリッド30を開いた状態は図23A及び図23Bであり、駆動機構50によってリッド30を開いた状態は図21A及び図21Bである。これらの図を参照すると、非常時と正常時では、インプットカム52の回転角度位置と、ロック解除部材65の位置とが異なっている。図23A及び図23Bに示す非常時のインプットカム52の回転角度位置と、図21A及び図21Bに示す正常時のインプットカム52の回転角度位置との差は、差動機構60の隙間61の角度(γ-β)に対応する。つまり、非常ロック解除時のリッド30の開操作では、インプットカム52は、開回転角度位置に対して隙間61分の角度範囲(γ-β)を残して停止している。
引き続き図27を参照して、手動で開放したリッド30を手動で閉じるときのリッド開閉装置10の動作を説明する。
開状態のリッド30を閉操作すると、リッド30は開位置(max)から閉位置(0)まで回転する。これにより、アーム32は進出位置から後退位置まで回転する(図27のSg4参照)。この間、インプットカム52、ロックピン41、ワイヤ66、及びトーションスプリング46の第2アーム部46cは、以下のように作動する。
図23Bを参照すると、リッド30の閉操作によって向きd2に回転する凹部39と凸部54の間には、隙間61が存在する。そのため、インプットカム52は、隙間61の角度範囲(γ-β)分、スピンドル37が回転した後、閉回転角度位置に向けて回転し始める(図27のSh4参照)。リッド30の操作力が伝わらないロックピン41、第2アーム部46c、及びワイヤ66については、移動しない。
続いて、スピンドル37の回転によって、ガイド面38dが係合凸部42に摺接する位置までスピンドル37が回転されると(図27のSg5参照)、トーションスプリング46の付勢力によって、第2アンロック位置のロックピン41がロック位置に向けて回転し始め(図27のSf8参照)、第2アーム部46cも収縮位置から付勢位置に向けて移動し始める(図27のSe8参照)。一方、ワイヤ66は、第2アーム部46cが操作部67に当接するまでの遅延時間を経て、半引込位置から進出位置に進出し始める(図27のSd5参照)。
続いて、当接面38bの外端に係合凸部42が当接する角度位置にスピンドル37が回転すると(図27のSg6参照)、ロックピン41は、トーションスプリング46の付勢力によってロック位置まで回転し(図27のSf9参照)、ストッパ25iに当接した状態で停止する。また、第2アーム部46cは付勢位置まで移動し(図27のSe9参照)し、ワイヤ66は進出位置まで進出する(図27のSd6参照)。
最後に、インプットカム52とスピンドル37は、スピンドル37の係合溝38とロックピン41の係合凸部42のクリアランス分回転する。これにより、アーム32は後退位置まで回転し、インプットカム52は、閉回転角度位置に対して隙間61分の角度範囲(γ-β)を残して停止する。
以上のように、本実施形態のロック装置40では、駆動機構50によるロックピン41の回転が不可能な状態であっても、ロック解除部材65の操作、及びリッド30の操作によって、リッド30を開閉できる。
このように構成したロック装置40、及びロック装置40を備えるリッド開閉装置10は、以下の特徴を有する。
ロック位置のロックピン41を第2アンロック位置に移動させる電動式の駆動機構50と、ロックピン41をロック位置に付勢するトーションスプリング46とを備える。そのため、リッド30をロック状態とアンロック状態に電動で切り換えることができる。また、トーションスプリング46の第2アーム部46cを介してロック位置のロックピン41を第1アンロック位置に移動させる手動式のロック解除部材65を備える。そのため、モータ51の故障等によって電動でロックピン41を回転できない場合、ロック解除部材65の操作によって、ロック状態からアンロック状態に手動で切り換えることができる。
第1アンロック位置にロックピン41が位置するように第2アーム部46cを保持可能な保持部47を備え、ロック解除部材65の操作部67が第2アーム部46cを保持部47に誘導するガイド部67dを備える。ロック解除部材65を操作していないときには、保持部47が第2アーム部46cに対して巻回部46aの軸線Cに沿って間隔をあけて位置している。そのため、駆動機構50とトーションスプリング46によりロックピン41を回転させるときには、第2アーム部46cが保持部47に保持されることはない。
ロック解除部材65を操作すると、ガイド部67dによって第2アーム部46cが保持部47に誘導されるため、ロック解除部材65の操作を止めると第2アーム部46cが保持部47に保持される。これにより、ロックピン41は、リッド30の移動を許容する第1アンロック位置で止まるため、リッド30のロック解除と移動を片手で順番に行うことができる。つまり、ロックピン41がロック位置に戻ることはないため、不具合によってリッド30が移動しない場合でも、一方の手でロック解除部材65を操作した状態を維持し、他方の手でリッド30を操作する必要はない。そのため、手動によりロックを解除してリッド30を移動させるときの操作性を向上できる。
ガイド部67dは、第2アーム部46c側から保持部47側に向けて、ロック解除部材65の操作によって操作部67が移動する向き(車幅方向Yの内側)とは反対側(車幅方向Yの外側)に傾斜している。そのため、ロック解除部材65の操作によって、トーションスプリング46の第2アーム部46cを保持部47に確実に保持させることができる。
ロックピン41は、第1アンロック位置から第2アンロック位置への移動によって、保持部47による保持を解除した第2アーム部46cを、巻回部46aの軸線Cに沿って保持部47から離間するように誘導するガイド部45を有する。そのため、手動又は電動でロックピン41を第2アンロック位置に回転させることによって、保持部47による第2アーム部46cの保持を確実に解除できる。
第2アーム部46cは、ロックピン41の回転軸Bと巻回部46aの軸線Cとの間でロックピン41に取り付けられ、操作部67は、第2アーム部46cを取り囲み、許容空間67eを画定する枠体からなる。これにより、操作部67が第2アーム部46cから外れ、手動によるロック解除が不可能になることを防止できる。
ロックする対象物はリッド開閉装置10が備えるリッド30であり、リッド30が備えるアーム32は、巻回部46aの軸線Cに沿って延びる回転軸Aまわりに回転可能な枢着部36と、ロックピン41が係合可能な係合溝38とを有する。保持部47が無い場合、ロックピン41を第1アンロック位置に保持できないため、操作レバーを配置したボンネット又はトランクの近傍にリッド開閉装置10を配置する必要があるが、本実施形態ではロックピン41を第1アンロック位置に保持できる保持部47を備えるため、この様な制限が生じることはない。
駆動機構50は、モータ51の駆動力を枢着部36に伝達してアーム32を移動させるインプットカム52を備えるため、アーム32を介してリッドを自動開閉できる。また、ロックピン41は、アーム32が後退位置にあるとき、枢着部36の係合溝38に係合したロック位置と、係合溝38との係合が解除された第2アンロック位置との間を回転可能なため、アーム32を介して閉状態のリッド30をロックできる。また、後退位置のアーム32を進出位置に移動させるとき、インプットカム52の回転力を伝達してロック位置のロックピン41を第2アンロック位置に向けて回転させるカム面53aを備えるため、リッド30の開作動時にはロックピン41によるロックを解除できる。このように、1個のモータ51によって、リッド30の自動開閉と、ロックピン41によるリッド30のロック状態とアンロック状態の切り換え実現できるため、2個の駆動源を搭載する場合と比較して、リッド開閉装置10の大型化と高コスト化を抑えつつ、セキュリティ性を向上できる。
ベース20は、操作部67が直動するように案内するガイド部25kを備える。そのため、ロック解除部材65の操作によって操作部67を直動させ、ロック位置のロックピン41を第1アンロック位置に確実に移動できる。
なお、本発明は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
例えば、ロック解除部材65の操作部67は、ガイド部67dと許容空間67eを備える構成であれば、第2アーム部46cを取り囲む枠状でなくてもよい。また、ガイド部67dは、湾曲していてもよく、第2アーム部46cを保持部47に誘導できる構成であればよい。
ロック部材41には、保持部47から離間するようにアーム部46cを誘導するガイド部45を設けなくてもよい。
駆動機構50は、ロックピン41のみを移動可能な専用機構であってもよい。つまり、ロックピン41とリッド30は、異なる駆動機構によって作動されてもよい。また、駆動機構50の回転体にはギアが用いられてもよい。カムは、インプットカム52に連動して移動可能であれば、インプットカム52とは別の部材に設けられてもよい。
ロック装置40によりロックする対象物は、リッド開閉装置10が備えるリッド30以外であってもよい。