JP7608831B2 - 炭素繊維束の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、生産性に優れる高弾性率の炭素繊維束を高品位に製造する製造方法に関するものである。
ポリアクリロニトリル系炭素繊維の特長の一つとして高弾性率であることが挙げられるが、汎用品よりもさらに弾性率を高めつつも、生産性を高めるために、炭素繊維束の総繊度を高める検討が進められている(特許文献1)。そして、提案されている総繊度の大きい高弾性率の炭素繊維束は、撚りを加えることで炭素繊維束の糸幅(厚み)が大きなものとなってきている。
ここで、炭素繊維束は、ポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維束を200~300℃の酸化性雰囲気下で耐炎化繊維へ転換する耐炎化工程、500~1200℃の不活性雰囲気下で予備炭素化する予備炭素化工程、1200~3000℃の不活性雰囲気下で炭素化する炭素化工程を経て工業的に製造される。その中でも、炭素繊維束の高弾性率化のために、炭素化工程で高張力を付与することが進められている。具体的に、例えば特許文献2では、炭素繊維束の製造の際に炭素化工程で高張力を付与することが提案されている。特許文献3では、炭素繊維束の製造の際に撚りを加えつつ、炭素化工程で高張力を付与することが提案されている。
また、炭素繊維束を製造する際の製造設備として、繊維束を搬送するための駆動ローラーがあるが、ローラー径を60mm以上に大きくする例が知られている(特許文献4)。
国際公開第2019/244830号 特開2014-141762号公報 特開2014-141761号公報 特開昭49-92327号公報
しかしながら、従来の技術には次のような課題がある。
ポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維束や耐炎化繊維とは異なり、炭素化工程に搬送される繊維束は、予備炭素化工程までの処理によって、破断ひずみが小さいものとなっている。そのため、特許文献1に記載されるように総繊度を高めつつ撚りを加えて高張力で炭素化処理を行うと、炭素化炉内での張力によって、炭素化炉外のローラーの手前においても毛羽が発生した。すなわち、炭素化炉内だけではなく、炭素化炉の外に存在するローラーでの搬送中に毛羽が増加するという課題が新たに発生した。特許文献2および3では、生産性の観点で必須な総繊度が低かったために、通常のローラー搬送で特に問題が生じず、総繊度を大きくしたときの課題について検討されていなかった。特許文献4では、耐炎化工程において、ローラー径を大きくするほど物性が向上することの記載があるものの、実施例でもせいぜい径が159mmのローラーを用いた態様を示すのみである。そして、破断ひずみの小さい炭素化工程に関する記載も、高張力を付与する示唆もなく、品位に関して着目されていなかった。
そこで、本発明は、総繊度が大きく撚りを加えた高弾性率かつ糸幅の大きな炭素繊維束を製造する場合において、駆動ローラーによる搬送中繊維束への毛羽発生を抑制する方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の炭素繊維束の製造方法は以下のいずれかの特徴を有する。
(1)ポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維束を200~300℃の酸化性雰囲気中で熱処理する耐炎化処理を行って耐炎化繊維束を得た後、該耐炎化繊維束を最高温度が500~1200℃となるように制御した不活性雰囲気中で熱処理する予備炭素化処理を行って予備炭素化繊維束を得て、次いで、該予備炭素化繊維束を最高温度が1200~3000℃となるように制御した不活性雰囲気中で熱処理する炭素化処理を行って炭素繊維束を得る炭素繊維束の製造方法において、炭素化処理の前後では繊維束は駆動ローラーに接触しながら走行し、得られる炭素繊維束の総繊度Aが6000~40000dtex、最大撚り角Bが1~10°であり、炭素化処理における繊維束の張力Cが50~500N/束であり、炭素化処理前後の駆動ローラーの直径Dが200~1000mmである、炭素繊維束の製造方法。
(2)ポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維束を200~300℃の酸化性雰囲気中で熱処理する耐炎化処理を行って耐炎化繊維束を得た後、該耐炎化繊維束を500~1200℃の不活性雰囲気中で熱処理する予備炭素化処理を行って予備炭素化繊維束を得て、次いで、該予備炭素化繊維束を1200~3000℃の不活性雰囲気中で熱処理する炭素化処理を行って炭素繊維束を得る炭素繊維束の製造方法において、炭素化処理の前後では繊維束は駆動ローラーに接触しながら走行し、得られる炭素繊維束の総繊度Aが6000~40000dtex、最大撚り角Bが1~10°であり、炭素化処理における繊維束の張力Cが50~500N/束であり、炭素化処理前後の駆動ローラーの直径Dが200~1000mmである、炭素繊維束の製造方法。
これらの製造方法においては、前記炭素繊維束の総繊度A、前記炭素繊維束の最大撚り角B、前記炭素化処理における繊維束の張力C、および前記駆動ローラーの直径Dが式(1)を満足することが好ましい。
D>C/2+(A0.5×B)/10 ・・・式(1)
また、前記炭素化処理後の駆動ローラーを通過する繊維束は、伸度が0.5~3.0%であることが好ましい。
本発明の炭素繊維束の製造方法によれば、高弾性率の炭素繊維束を高品位、かつ高い生産性で得ることができる。
本発明は、ポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維束を200~300℃の酸化性雰囲気中で熱処理する耐炎化処理を行って耐炎化繊維束を得た後、該耐炎化繊維束を500~1200℃の不活性雰囲気中で熱処理する予備炭素化処理を行って予備炭素化繊維束を得て、次いで、該予備炭素化繊維束を1200~3000℃の不活性雰囲気中で熱処理する炭素化処理を行って炭素繊維束を得る炭素繊維束の製造方法において、破断ひずみが小さい繊維束を処理する炭素化工程に着目することで、高弾性率の炭素繊維束を高品位、かつ高い生産性で得ることを達成するものである。
本発明の炭素繊維束の製造方法において、得られる炭素繊維束の総繊度Aは、6000~40000dtexであり、好ましくは8000~35000dtexであり、より好ましくは10000~30000dtexである。炭素繊維束の総繊度は、炭素繊維束の生産性に関連するために大きいほど良い。また、炭素繊維束の総繊度は、カタログ上では目付(g/m)で表記されているためにdtexに換算すれば容易に知ることができる。炭素繊維束は、炭素化工程で質量変化するために総繊度は工程途中で変化していくが、炭素化炉を出た後の質量変化は小さく、炭素繊維束の総繊度は炭素化炉を出た直後の総繊度と見なすことができる。すなわち、炭素繊維束の総繊度が6000dtex以上であると炭素繊維束の生産性が高いと言える。炭素繊維束の総繊度が40000dtex以下であれば、炭素繊維束の品位が満足できるレベルとなる。炭素繊維束の総繊度は大きいほど、ローラー上での束の厚みが大きくなることにも注意が必要である(詳細は後述する)。炭素繊維束の総繊度は10mあたりの質量から換算して評価することができる。炭素繊維束の総繊度を制御するためには、単繊維繊度とフィラメント数を調整すれば良い。
炭素繊維束は、1糸条あたりのフィラメント数は、好ましくは10000~80000本であり、より好ましくは20000~50000本である。炭素繊維束のフィラメント数が10000本以上であると炭素繊維束の生産性が高いと言える。炭素繊維束のフィラメント数が80000本以下であれば、炭素繊維束の品位が満足できるレベルとなる。
本発明の炭素繊維束の製造方法において、得られる炭素繊維束の最大撚り角Bは、1~10°であり、好ましくは2~9°であり、より好ましくは3~8°である。炭素繊維束を撚った場合、繊維束の径方向に関して中心部の撚り角は0°に近く、最表層が最大撚り角となる。炭素繊維束が撚りを有することは、集束性が高いことを意味し、最大撚り角で調整すれば良い。炭素繊維束の最大撚り角が1°以上であれば集束性が満足するものとなり、10°以下であれば炭素化処理時に張力を付与しやすい。炭素繊維束の最大撚り角は大きいほど炭素繊維束の断面が扁平から円断面化しやすく、ローラー上での束の厚みが大きくなることにも注意が必要である(詳細は後述する)。炭素繊維束に撚りが入った状態とするためには、炭素化工程より前に繊維束に撚りを与える。最大撚り角は、用いた繊維束の目付y(g/m)、密度d(g/cm)、および撚り数T(ターン/m)を用いて、次の式(2)により計算する。
撚り角(°)=arctan{(0.01×y/π/d)0.5×10-6×π×T} ・・(2)
繊維束に撚りを与える方法としては、公知のものから選ぶことができる。具体的には、繊維束を一旦ボビンに巻き取った後、該繊維束を巻き出す際にボビンを巻き出し方向に対して直交する面に旋回させる方法や、ボビンに巻き取らず走行中の繊維に対して回転するローラーやベルトを接触させて撚りを付与する方法などにより制御することができる。言い換えると、最大撚り角は目付と密度と撚り数から評価することも可能である。
本発明の炭素繊維束の製造方法において、炭素化処理における張力Cは50~500N/束であり、好ましくは100~450N/束であり、より好ましくは150~400N/束である。炭素化処理における張力は、炭素繊維束の弾性率を決定する重要な要素であり、張力が50N/束以上であれば弾性率が満足でき、500N/束以下であれば炭素繊維束の品位が満足できる結果である。炭素化処理における張力は、処理前後のローラー速度(延伸比)を変更することで調整でき、張力計などで評価することができる。
本発明の炭素繊維束の製造方法において、炭素化処理の前後では繊維束が駆動ローラーに接触しながら走行するが、炭素化処理前後の該駆動ローラーの直径Dは200~1000mmであり、好ましくは250~800mmであり、より好ましくは270~600mmである。本発明においては炭素化処理において厚みのある炭素繊維束に高張力が付与されており、厚みのある炭素繊維束は、駆動ローラー上で炭素繊維束内側(駆動ローラーに接している側)と炭素繊維束外側(駆動ローラーから最も離れている側)で周長差が大きく、無張力でも歪みが発生していることになる。したがって、駆動ローラーの曲率半径が大きい、すなわち、駆動ローラーの直径が小さいほど炭素繊維束への歪みが発生しやすく、毛羽が発生しやすい。しかしながら、駆動ローラーの直径が200mm以上あれば、炭素繊維束の毛羽を抑制しやすく、1000mmもあれば毛羽を抑制する効果は飽和していることが多い。
本発明の炭素繊維束の製造方法において、好適なポイントは、上述したような総繊度A、最大撚り角B、および炭素化処理における繊維束の張力Cが特定の範囲のときに、炭素化処理前後の駆動ローラーの直径Dが式(1)の関係を満足することである。
D>C/2+(A0.5×B)/10 ・・・式(1)
炭素化処理における張力と炭素繊維束の厚みに関連した周長差による歪みが炭素繊維束における毛羽の出方に関わるが、この式は、駆動ローラーの直径を大きくすることで炭素繊維束の周長差の影響が緩和されて、炭素繊維束の毛羽が出にくくなることを経験的に理解して導き出されたものである。そのため、A、B、Cの条件に応じて駆動ローラーの直径を調整することが好ましい。本発明において、炭素化処理前後の駆動ローラーとは、炭素化炉を出入りする繊維束が、炭素化炉の事前、事後それぞれで炭素化炉に最も近い位置で接触する駆動ローラーのことである。
本発明の炭素繊維束の製造方法において、炭素化処理前後それぞれの駆動ローラーの個数は好ましくは1~10個である。駆動ローラーの個数が1個以上あれば繊維束の搬送ができ、10個以下であれば各駆動ローラーでの毛羽の増加が抑制できる。本発明において規定する「炭素化処理前後の駆動ローラー」とは、あくまでも炭素化処理前後のそれぞれ好ましくは1~10個の駆動ローラーのうち、炭素化炉に最も近い駆動ローラーのみのことを示す。ただし、その他の駆動ローラーの直径についても好ましくは200~1000mmである。
本発明の炭素繊維束の製造方法において、炭素化処理後の駆動ローラーを通過する繊維束の伸度は、好ましくは0.5~3.0%であり、より好ましくは0.5~2.0%である。該駆動ローラーを通過する繊維束の伸度が低いものほど、駆動ローラーの直径を調整することで、駆動ローラーによる毛羽発生を抑制する効果を得やすい。繊維束の伸度が0.5%以上であれば強度が高くて工業的に価値があることが多く、3.0%以下であれば弾性率が高いことを意味して工業的に価値があることが多い。該繊維束の伸度は、炭素化炉の最高温度や張力Cにより調整することができる。また、該繊維束の伸度は、単繊維の引張試験で評価することができ、詳細は後述する。炭素化処理後の駆動ローラーを通過する繊維束としては、炭素化処理後の駆動ローラー上に存在する繊維束をそのままサンプリングしても良いし、その後の表面処理、サイジング剤塗布処理などを経た繊維束でも伸度には変化がないために良く、最終的に得られる炭素繊維束をそのまま使用しても良い。炭素繊維束の伸度は、各社のカタログ値から示されるように、概ね0.7~2.2%程度が標準である。
その他の好適な炭素繊維束の製造方法について述べる。
本発明の炭素繊維束のもととなる炭素繊維前駆体繊維束は、ポリアクリロニトリル共重合体の紡糸溶液を製糸して得ることができる。得られた紡糸溶液を湿式紡糸法または乾湿式紡糸法により紡糸することにより、炭素繊維前駆体繊維を製造することができる。具体的には、紡糸溶液を凝固浴中に導入して凝固させ、得られた凝固繊維を、水洗工程、浴中延伸工程、油剤付与工程および乾燥工程を通過させることにより、炭素繊維前駆体繊維が得られる。また、上記の工程に乾熱延伸工程や蒸気延伸工程を加えてもよい。
得られる炭素繊維前駆体繊維束は、通常、連続繊維の形態である。また、その1糸条あたりのフィラメント数は、好ましくは10000~80000本であり、より好ましくは20000~50000本である。本発明において炭素繊維前駆体繊維束は、必要に応じて合糸して、得られる炭素繊維束の1糸条あたりのフィラメント数を調整してもよい。
本発明の炭素繊維束の製造方法では、前記した炭素繊維前駆体繊維束を耐炎化処理した後、予備炭素化処理、炭素化処理を順に行う。
炭素繊維前駆体繊維束の耐炎化処理は、空気などの酸化性雰囲気中において、好ましくは200~300℃の温度範囲で行う。炭素繊維前駆体繊維束はかかる温度範囲内で耐炎化処理され、耐炎化繊維束となる。
本発明では、前記耐炎化処理に引き続いて、耐炎化繊維束の予備炭素化処理を行う。予備炭素化処理においては、耐炎化処理により得られた耐炎化繊維束を、最高温度が500~1200℃の範囲内となるように制御された不活性雰囲気中において、密度1.5~1.8g/cmになるまで熱処理することが好ましい。耐炎化繊維束は予備炭素化処理され、予備炭素化繊維となる。なお、不活性雰囲気の最高温度は、1200℃未満が好ましい。
さらに、前記予備炭素化処理に引き続いて、予備炭素化繊維の炭素化処理を行う。炭素化処理は、予備炭素化処理により得られた予備炭素化繊維を、最高温度が1200~3000℃の範囲内となるように制御された不活性雰囲気中において行う。炭素化処理における最高温度は、得られる炭素繊維束の弾性率を高める観点からは高い方が好ましく、1200℃以上であれば炭素繊維強化複合材料として剛性を重視する用途に好適な、弾性率の高い炭素繊維束が得られる。炭素化処理の最高温度は、1500℃以上とすることが好ましい。一方、炭素化処理の最高温度が高すぎると品位が低下しやすいことがある。
本発明において、不活性雰囲気に用いられる不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴンおよびキセノンなどが好ましく例示され、経済的な観点からは窒素が好ましく用いられる。
前記製造方法で得られた炭素繊維束は、さらに最高3000℃までの不活性雰囲気において追加の黒鉛化処理を行い、用途に応じて炭素繊維束の弾性率を適宜調整してもよい。
以上のようにして得られた炭素繊維束は、炭素繊維束とマトリックスとの接着強度を向上させるために、炭素化処理後に表面処理を施し、酸素原子を含む官能基を導入することが好ましい。表面処理方法としては、気相酸化、液相酸化、および液相電解酸化が用いられるが、生産性が高く、均一処理ができるという観点から、液相電解酸化が好ましく用いられる。本発明において、液相電解酸化の方法については特に制約はなく、公知の方法で行えばよい。
本明細書に記載の各種物性値の測定方法は以下の通りである。なお、特に記載のないものは測定数n=1で評価を行った。
<最大撚り角>
最大撚り角は、用いた繊維束の目付y(g/m)と密度d(g/cm)、撚り数T(ターン/m)を用いて、次の式(2)により計算する。
撚り角(°)=arctan{(0.01×y/π/d)0.5×10-6×π×T} ・・(2)
<総繊度>
測定する繊維束について、長さ10m分をサンプリングし、絶乾させた後に測定した質量に1000を掛けることにより、10000mあたりの質量である総繊度を求める。
<繊維束の伸度>
20cm程度の繊維束をほぼ4等分し、4つの束から順番に単繊維をサンプリングする。このとき合計15本の単繊維をサンプリングするが、各束において全体からできるだけまんべんなくサンプリングする。サンプリングした単繊維を、それぞれ、50mmの穴あき台紙に固定する。固定にはニチバン株式会社製のエポキシ系接着剤“アラルダイト(登録商標)”速硬化タイプを用い、塗布後、室温で24時間静置して硬化させる。単繊維を固定した台紙を引張試験装置に取り付け、50mmの各ゲージ長にて、歪速度4%/分、試料数15で引張試験をおこなう。各単繊維の伸度(%)を平均して、繊維束の伸度とする。
なお、本実施例では、引張試験装置として株式会社エー・アンド・デイ製の引張試験機“テンシロンRTF-1210”を用いた。
<炭素繊維束の毛羽数>
駆動ローラーで発生する毛羽のみを対象として評価する。特に炭素化炉前後の駆動ローラーのうち、炭素化炉後の駆動ローラーで発生する毛羽を評価して両方の代表とする。炭素繊維束の毛羽数は炭素化炉後の駆動ローラー群の入側と出側でそれぞれ毛羽をカウントする。毛羽を見やすくするために、投光器で照らしながら10m分カウントして10で割ることで1mあたりの毛羽数とする。炭素化処理過程で生成した毛羽を除くために、出側の毛羽数から入側の毛羽数を差し引いて最終的な毛羽数とする。
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に記載する実施例1~9および比較例1~8、参考例1~3は、次の包括的実施例に記載の実施方法において、表1に記載の各条件を用いて行ったものである。
[包括的実施例]
ポリアクリロニトリル共重合体を、ジメチルスルホキシドを溶媒として溶液重合法により重合させ、紡糸溶液を得た。次いで、得られた紡糸溶液を紡糸口金から一旦空気中に吐出し、その後凝固浴に導入する乾湿式紡糸法により、凝固繊維束を得た。そして、その凝固繊維束を水洗した後、浴中で延伸し、シリコーン油剤の付与、乾燥、加圧水蒸気中での延伸を行い、単繊維繊度1.1dtexの炭素繊維前駆体繊維束を得た。
得られた炭素繊維前駆体繊維束を総繊度が表1に記載の値となるように合糸して巻き取ったボビンを旋回させ、表1の撚り角となるように撚りを加えながら、空気雰囲気230~280℃のオーブン中で耐炎化処理し、耐炎化繊維束に転換した。得られた耐炎化繊維束を、最高温度800℃の窒素雰囲気中において、予備炭素化処理を行い、予備炭素化繊維束を得た。次いで、かかる予備炭素化繊維束を、最高温度1800℃の窒素雰囲気中において、表1に示す荷重で炭素化処理を行い、炭素繊維束を得た。そのときの炭素化処理前後の駆動ローラーは8個ずつであり、それら全てのローラー径は表1に示す値とした。炭素化処理後の駆動ローラーを通過する繊維束の伸度、得られた炭素繊維束の評価結果、および前記式(1)の右辺の計算結果を表1に記載する。
なお、参考例1~3は、総繊度、最大撚り角、および荷重のいずれかが本発明の範囲に入っておらず、その場合では炭素繊維束の毛羽数が増えないために、本発明のような課題は生じない条件である。
Figure 0007608831000001
また、参考例4~12として、前記[包括的実施例]において総繊度が26000dtexとなるように合糸して耐炎化繊維束(伸度:4.0%)を得て、その耐炎化繊維束を用いて、室温で、表2に示す撚り角、荷重、およびローラー径で毛羽数の評価を行った(予備炭素化処理および炭素化処理は実施していない)。結果を表2に記載する。これら耐炎化繊維束においては、ローラー径の影響は小さく、本発明のような効果は発揮されない。
Figure 0007608831000002
本発明の炭素繊維束の製造方法は、高弾性率の炭素繊維束を高品位、かつ高い生産性で得ることができる。本発明の炭素繊維束を用いることにより、高弾性率な炭素繊維強化複合材料を高い生産性で得ることができる。

Claims (4)

  1. ポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維束を200~300℃の酸化性雰囲気中で熱処理する耐炎化処理を行って耐炎化繊維束を得た後、該耐炎化繊維束を最高温度が500~1200℃となるように制御した不活性雰囲気中で熱処理する予備炭素化処理を行って予備炭素化繊維束を得て、次いで、該予備炭素化繊維束を最高温度が1200~3000℃となるように制御した不活性雰囲気中で熱処理する炭素化処理を行って炭素繊維束を得る炭素繊維束の製造方法において、炭素化処理の前後では繊維束は駆動ローラーに接触しながら走行し、得られる炭素繊維束の総繊度Aが6000~40000dtex、最大撚り角Bが1~10°であり、炭素化処理における繊維束の張力Cが50~500N/束であり、炭素化処理前後の駆動ローラーの直径Dが200~1000mmである、炭素繊維束の製造方法。
  2. ポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維束を200~300℃の酸化性雰囲気中で熱処理する耐炎化処理を行って耐炎化繊維束を得た後、該耐炎化繊維束を500~1200℃の不活性雰囲気中で熱処理する予備炭素化処理を行って予備炭素化繊維束を得て、次いで、該予備炭素化繊維束を1200~3000℃の不活性雰囲気中で熱処理する炭素化処理を行って炭素繊維束を得る炭素繊維束の製造方法において、炭素化処理の前後では繊維束は駆動ローラーに接触しながら走行し、得られる炭素繊維束の総繊度Aが6000~40000dtex、最大撚り角Bが1~10°であり、炭素化処理における繊維束の張力Cが50~500N/束であり、炭素化処理前後の駆動ローラーの直径Dが200~1000mmである、炭素繊維束の製造方法。
  3. 前記炭素繊維束の総繊度A、前記炭素繊維束の最大撚り角B、前記炭素化処理における繊維束の張力C、および前記駆動ローラーの直径Dが式(1)を満足する、請求項1または2に記載の炭素繊維束の製造方法。
    D>C/2+(A0.5×B)/10 ・・・式(1)
  4. 前記炭素化処理後の駆動ローラーを通過する繊維束は、伸度が0.5~3.0%である、請求項1~3のいずれかに記載の炭素繊維束の製造方法。
JP2020558064A 2019-11-06 2020-10-12 炭素繊維束の製造方法 Active JP7608831B2 (ja)

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