JP7588949B2 - セラミックス粉体、セラミックス粉体の製造方法およびセラミックス粉体を用いたセラミックス構造物の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、レーザー光を用いた付加製造技術によってセラミックス構造物(造形物)を得るための原料粉体として好適に用いられる、セラミックス粉体に関する。本発明のセラミックス粉体は、セラミックス構造物の骨材となる第一の無機化合物の粒子からなる第一の粒子群と、レーザー光の吸収体である第二の無機化合物の粒子からなり平均粒子径が第一の粒子群よりも小さい第二の粒子群とを含んでいる。そして、第二の粒子群に含まれる粒子は、第一の粒子群に含まれる粒子の表面部に(通常は複数個)配置されている。このようなセラミックス粉体は、第二の粒子群によってレーザー光を吸収して昇温し、その熱を効率よく第一の粒子群に伝えることができる。その結果、レーザー光を高速で走査して熔融することが可能となり、結果として造形速度が高まる。
(1)レーザー光の照射により熔融および凝固が生ずる。これにより、セラミック構造物を構成することができる。
(2)第一の無機化合物の粒子からなり平均粒子径が10μm以上100μm以下である第一の粒子群を含んでいる。
(3)第二の無機化合物の粒子からなり平均粒子径が第一の粒子群より小さい第二の粒子群を含んでいる。
(4)第二の粒子群に含まれる粒子は、第一の粒子群に含まれる粒子の表面に配置され、第二の無機化合物は、レーザー光の波長に吸収帯を有する吸収体である。
以下、それぞれの特徴について詳述する。
本発明のセラミックス粉体はセラミック構造物を得るための原料であり、セラミックスを主成分として含む。また、レーザー光を照射すると照射された部位の粉体が熔融し、レーザー光の照射を止めると凝固する特性がある。なお、本発明において「熔融し凝固する」といった場合には、完全に液体(粘性流体)状になってから凝固する場合のみならず、当該粉体を構成する各粒子(の表面)が軟化して互いに結着する場合(所謂焼結する場合)をも包含する。この特性は、当該粉体が後述する特徴2、特徴3、特徴4を有することで好ましく発現される。
本発明のセラミックス粉体は、平均粒子径が10μm以上100μm以下である第一の粒子群を含んでいる。セラミックス造形物の骨材となる第一の粒子群の大きさを平均で10μm以上100μm以下とすることで、造形時のリコーター部やクラッディングノズルによる粉体移送に求められる流動性(例えば40秒/50g以下)を満たし、かつ、造形物に十分な強度を持たせることができる。同じ観点において、より好ましい第一の粒子群の平均粒子径は、15μm以上40μm以下である。第一の粒子群に含まれる各粒子は、流動性の観点で球形であることが好ましいが、不定形、あるいは板状、針状等の異方性のある形状であっても良い。平均粒子径は、粉体の顕微鏡写真から投影像の円相当径として算出することができる。例えば、粉体を構成する100個以上の第一の粒子群に含まれる粒子をランダムに選定し、表面部に配置された第二の粒子群に含まれる粒子を除いた円相当径の値を各粒子について求めて平均化することで、平均粒子径を得ることができる。各粒子の大きさにばらつきある場合は、観察倍率の異なる顕微鏡写真を組み合わせても良いが、各々の第一の粒子の円相当径の分散が小さく、99個数%以上の粒子の粒子径(円相当径)が10μm以上100μm以下であるとより好ましい。
本発明のセラミックス粉体は、第一の無機化合物の粒子からなる第一の粒子群に加えて、第二の無機化合物の粒子からなり第一の粒子群よりも平均粒子径が小さい第二の粒子群を含む。第二の無機化合物は、付加造形法に用いられる波長のレーザー光に対して光吸収能を有する。そして、第二の粒子群に含まれる粒子は、第一の粒子群に含まれる粒子の表面部に配置されている。すなわち、第一の無機化合物からなる第一の粒子群と、第二の無機化合物からなる第二の粒子群とは、互いに化学組成が異なっているが、いずれも本発明のセラミックス粉体の主成分となる。
第二の粒子群は、レーザー光の波長に吸収帯を有する吸収体である第二の無機化合物の粒子で構成されている。第二の粒子群に適する吸収体は、レーザー光を効率よく吸収して、そのものの高温化を生じ、その周囲に存在する吸収能を有さない組成物にも波及して温度上昇をもたらすものである。これによりレーザー光の照射範囲における局所加熱が実現し、照射領域と非照射領域の界面部を形成し、精度の良い造形が可能となる。
上記特徴を有するセラミックス粉体の製造方法は特に限定されるものではないが、以下に好ましい製造方法を説明する。本発明のセラミックス粉体の製造方法は以下の特徴を有する。
(5)第一の粒子群に含まれる粒子の表面を、第二の粒子群に含まれる粒子の前駆体となる金属成分含有液で覆う工程を有する。
(6)前記工程により金属成分含有液で覆われた第一の粒子群に含まれる粒子を加熱して、第一の粒子群に含まれる粒子の表面に第二の粒子群に含まれる粒子を配置する工程を有する。
本発明のセラミックス粉体を製造するのに好適な製造方法では、第一の粒子群に含まれる粒子1の表面を、第二の粒子群に含まれる粒子2の前駆体となる金属成分含有液で覆う工程を有する。
前記工程の後に、粒子1およびその表面に付着した金属成分含有液を同時に加熱することで、粒子1の表面に粒子2を形成する工程を実施する。
本発明のセラミックス造形用粉体を原料として使用し、これに対してレーザー照射を行うことでセラミック構造物(造形物)を製造する方法は以下の特徴を有する。
(7)本発明のセラミックス造形用粉体をレーザー照射部に配置する工程(i)を有する。
(8)レーザー照射部に配置されたセラミックス造形用粉体に選択的にレーザー光を照射することにより、セラミックス造形用粉体を焼結又は熔融させた後に凝固させる(焼結させる場合を含む)工程(ii)を有する。
(9)前記工程(i)および工程(ii)を繰り返すことによりセラミック構造物(造形物)を製造する工程(iii)を有する。
本発明のセラミックス造形用粉体をレーザー照射部に配置する手法については、特徴1で述べた通りである。例えば、図1のような装置では、粉末升11に充填した本発明のセラミックス造形用粉体をリコーター部13により、造形ステージ部12に配置することが可能である。また、図2を用いて特徴1で説明したように、セラミックス造形用粉体を所定の箇所に噴出させて、その箇所にレーザー光を照射すると、曲面基台上に造形物を形成することが可能となる。
前記セラミックス造形用粉体を熔融させた後に凝固させるためのレーザー光の選定方法は特徴1で述べた通りである。上に述べたように、本発明では、焼結することも熔融させた後に凝固させる操作の一形態とする。厳密には、焼結とは粉体を(熔融させることなく)固相のまま結着させて粒成長させる反応を指し、熔融とは粉体が液相となる反応を指すが、これらの中間的な固相と液相が混在している状態も含む。工程(ii)に先だって、レーザー照射部に配置されたセラミックス造形用粉体を敷きならしておき、その後にレーザー光を照射させると、より密度の高い造形物を得られるため好ましい。
前記工程(i)と工程(ii)を1回ずつ実施するとパターニングされた1層のセラミックス造形物が得られる。この上に新たなセラミックス造形用粉体を敷き詰めて、異なるパターンで工程(i)と工程(ii)を繰り返すことで、所望の立体形状を有するセラミックス造形物を製造することができる。
以下に実施例を挙げて本発明のセラミックス粉体、その製造方法、使用方法をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
本発明のセラミックス粉体を、以下の手順で製造した。
第一の粒子群としては、工業品として市販されているAl2O3粉(純度99%以上、平均粒子径20μm)とGd2O3粉(純度99%以上、平均粒子径20μm)を質量比で1:1となるように混合したものを使用した。
原料種と配合比を表1に従って変化させたこと以外は、実施例1と同様にして本発明のセラミックス粉体を製造した。
第一の粒子群である酸化ジルコニウムとしては、工業品として市販されているZrO2粉(純度99%以上、平均粒子径15μm)を使用した。プラセオジムの金属アルコキシドとしては、一般試薬として市販されているプラセオジム-2,4-ペンタンジオネートを用いた。
第一の粒子群に対する第二の粒子群の前駆体となる金属成分含有液の添加量は適宜変化させた。
原料種と配合比を表1に従って変化させたこと以外は、実施例1~実施例3と同様にして本発明のセラミックス粉体を製造した。
ただし、第二粒子群には金属アルコキシド溶液由来のものを用いずに、市販のTb4O7粉(平均粒子径3μm)とPr6O11粉(平均粒子径4μm)を用いた。
表1に示した配合比に従って、実施例1と同様にして比較用のセラミックス粉体を製造した。ただし、比較例1においては、第二の粒子群を加えずに第一の粒子群のみでセラミックス粉体を構成した。比較例2においては、第二の粒子群の前駆体となる金属成分含有液を用いずに、市販のTb4O7粉を700℃の電気炉で仮焼して作成した平均粒子径40μmの粉とPr6O11粉(平均粒子径50μm)を混合することでセラミックス造形用粉体を構成した。
各実施例および各比較例のセラミックス粉体の造形速度に関する違いを明確にするために、各粉体を平板状で十分な面積を有するアルミナ基材上に約50μm厚になるよう敷き均してから、その表面にレーザー照射を行った。レーザーの焦点サイズは100μmとし、出力は30Wとした。レーザー光は、長さ4.5mmを走査させ、50μmピッチで2本の線を描くように照射した。走査の速度は、100mm/秒、250mm/秒、500mm/秒、1000mm/秒の各条件で実施して、熔融の状態を比較した。
レーザー光照射部の粉体が、レーザー光照射後に凝固してセラミックス状に造形できているか否かについて、顕微鏡を用いて観察した、観察結果を表2に示す。
実施例1から3のセラミックス造形用粉体を図1に示すSLS装置に投入して、レーザー光の走査速度を1000mm/秒として積層造形工程を複数回繰り返すことで、所望の形状の三次元セラミックス造形物を得た。
(産業上の利用可能性)
2、3 第二の粒子群に含まれる粒子
11 粉末升
12 造形ステージ部
13 リコーター部
14 スキャナ部
15 レーザー
20 基体
21 クラッディングノズル
22 粉体供給孔
23 レーザー
Claims (18)
- レーザー光を照射して造形を行う付加造形法の原料として用いられるセラミックス粉体であって、
平均粒子径が10μm以上100μm以下である第一の粒子群と、
前記レーザー光を吸収して高温化する吸収体からなる第二の粒子群と、を含み、
前記第一の粒子群に含まれる1つの粒子の表面に前記第二の粒子群に含まれる複数の粒子が付着している複合粒子を含んでおり、該複合粒子において、前記1つの粒子の粒子径より前記複数の粒子の粒子径の方が小さく、前記高温化によって前記1つの粒子が熔融することを特徴とすることを特徴とする、セラミックス粉体。 - 前記複数の粒子の粒子径が1μm未満であることを特徴とする、請求項1に記載のセラミックス粉体。
- 前記1つの粒子と前記複数の粒子が化学的に結合していることを特徴とする、請求項1または2に記載のセラミックス粉体。
- 前記第二の粒子群には前記複数の粒子よりも粒子径が大きい粒子が含まれる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のセラミックス粉体。
- 前記大きい粒子の前記粒子径が10μm未満である、請求項4に記載のセラミックス粉体。
- 前記第二の粒子群の平均粒子径が0.3μm以下であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項または2に記載のセラミックス粉体。
- 前記第一の粒子群を70質量%以上含み、前記第一の粒子群と前記第二の粒子群を合計で80質量%以上含むことを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のセラミックス粉体。
- 前記第一の粒子群に対する前記第二の粒子群の質量比が2%以上20%以下であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のセラミックス粉体。
- 前記吸収体は、前記レーザー光の照射によって組成物変化を生じて前記レーザー光の吸収率が低下することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のセラミックス粉体。
- 前記吸収体は、金属酸化物であり、前記レーザー光の照射によって金属元素の価数が変化することを特徴とする、請求項9に記載のセラミックス粉体。
- 前記吸収体は、4価のテルビウムを含む酸化テルビウム、または、4価のプラセオジムを含む酸化プラセオジムを主成分とすることを特徴とする、請求項10に記載のセラミックス粉体。
- 前記第一の粒子群として金属酸化物の粒子を含むことを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のセラミックス粉体。
- 前記金属酸化物の粒子が、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化ジルコニウムからなる群より選択される1種を主成分として含むことを特徴とする、請求項12に記載のセラミックス粉体。
- 前記第一の粒子群が、複数の金属酸化物を含んでいることを特徴とする、請求項12または13に記載のセラミックス粉体。
- 前記複数の金属酸化物は、前記レーザー光の照射によって溶融した後に凝固して共晶組成を生成することを特徴とする、請求項14に記載のセラミックス粉体。
- 前記第一の粒子群が、酸化アルミニウムと、酸化ジルコニウムまたは希土類金属酸化物と、を含有することを特徴とする、請求項15に記載のセラミックス粉体。
- 付加製造法を用いたセラミックス構造物の製造方法であって、
(i)請求項1乃至16のいずれか一項に記載のセラミックス粉体を所定の厚さに敷き均す工程と、
(ii)所定の領域に選択的にレーザー光を照射することにより、前記セラミックス粉体を熔融させた後に凝固させる工程と、
を有し、前記工程(i)および(ii)を繰り返して造形を行うことを特徴とする、セラミックス構造物の製造方法。 - 付加製造法を用いたセラミックス構造物の製造方法であって、
請求項1乃至16のいずれか一項に記載のセラミックス粉体を所定の箇所に噴出させ、レーザー光を前記所定の箇所に照射して造形を行うことを特徴とする、セラミックス構造物の製造方法。
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