JP7572151B2 - 塗料組成物及びフィルム - Google Patents
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Description
上記のような高機能化のニーズに対し、これまで各種方法が提示されている。例えば、特許文献1では、ポリイソシアネートの一部にアミノシランカップリング剤を反応させ、ポリアクリルポリオールと混合することで硬化性樹脂組成物を作製しており、高い耐擦り傷性を達成している。
(1) 以下の成分(A)、及び成分(BC)を含有し、
(A)脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上のジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートと、アミノシランカップリング剤と、から誘導される尿素成分;
(BC)同一分子内にアルコキシシリル基及び3級アミノ基を有する化合物(ただし、尿素化合物を除く。);
前記成分(A)の固形分の質量に対するイソシアネート基の含有量が4質量%以上20質量%以下であり、
前記成分(BC)に対する前記成分(A)の質量比(A)/(BC)が50/50以上95/5以下である、塗料組成物。
(2) 有機溶剤を更に含む、(1)に記載の塗料組成物。
(3) (1)又は(2)に記載の塗料組成物を硬化させてなる、フィルム。
本明細書において、「ポリイソシアネート」とは、1つ以上のイソシアネート基(-NCO)を有する単量体化合物(モノマー)を複数結合した反応物を意味する。
本実施形態の塗料組成物は、以下の成分(A)~(C)を含有する。
(A)脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上のジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートと、アミノシランカップリング剤と、から誘導される尿素成分;
(B)少なくとも1つのアルコキシシリル基を含有する化合物;
(C)1種以上のアミン基を含有する化合物
まず、(A)尿素成分:1g以上3g以下程度を精秤する(Wg)。次いで、(A)尿素成分にトルエン:20mLを添加し、溶解する。次いで、(A)尿素成分を含有するトルエン溶液に、2規定のジ-n-ブチルアミンのトルエン溶液:10mLを添加し、混合後、15分間室温放置する。次いで、この混合液に、イソプロピルアルコール:70mLを加え、混合する。この液を1規定塩酸溶液(ファクターF)で、指示薬に滴定し、得られた滴定値を「V2mL」とする。同様の操作を(A)尿素成分なしで行い、得られた滴定値を「V1mL」とする。これらの滴定値を用いて、下記式から尿素成分中の固形分に対するイソシアネート基含有量を算出する。なお、合成例で得られた尿素成分の固形分を調べ、その値が98質量%以上であったものは、そのまま測定に供する。一方、98質量%未満であるものは、Wgの代わりに、Wgに固形分の割合を乗じた値を下記式に導入して尿素成分中の固形分に対するイソシアネート基含有量を算出する。固形分については後述する実施例に示す方法を用いて算出することができる。
次いで、本実施形態の塗料組成物に含まれる各成分について以下に詳細を説明する。
(A)尿素成分は、ポリイソシアネートと、アミノシランカップリング剤と、から誘導されるものであり、すなわち、ポリイソシアネートと、アミノシランカップリング剤との反応物である尿素化合物を含む。
(A)尿素成分は、尿素化合物に加えて、未反応のポリイソシアネートと、未反応のアミノシランカップリング剤とを含むことができる。
尿素化合物は、一分子中に1つ以上の尿素結合を有する化合物である。一般に、尿素結合は、式(I)で表される結合である。なお、式(I)中、波線は結合手を意味する。
ポリイソシアネートは、(a)脂肪族ジイソシアネート及び(b)脂環式ジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上のジイソシアネートから誘導される。すなわち、ポリイソシアネートは、上記成分(a)及び上記成分(b)からなる群より選ばれる1種以上のジイソシアネートの反応物である。
「プレポリマー化反応」としては、2つのイソシアネート基を環化二量化して得られるウレトジオン基を生成する反応、3つのイソシアネート基を環化三量化して得られるイソシアヌレート基又はイミノオキサジアジンジオン基を生成する反応、3つのイソシアネート基と1つの水分子とを反応させることにより得られるビウレット基を生成する反応、2つのイソシアネート基と1分子の二酸化炭素とを反応して得られるオキサダイアジントリオン基を生成する反応、1つのイソシアネート基と1つの水酸基とを反応して得られるウレタン基を生成する反応、2つのイソシアネート基と1つの水酸基とを反応して得られるアロファネート基を生成する反応、1つのイソシアネート基と1つのカルボキシ基とを反応して得られるアシル尿素基を生成する反応、1つのイソシアネート基と1つの1級又は2級アミンとを反応して得られる尿素基を生成する反応等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
脂肪族ジイソシアネートは、環状構造を含まない飽和炭化水素基からなるジイソシアネート化合物である。脂肪族ジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネートは低粘度となる傾向がある。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、1,4-ジイソシアナトブタン、1,5-ジイソシアナトペンタン、エチル(2,6-ジイソシアナト)ヘキサノエート、1,6-ジイソシアナトヘキサン(以下、「HDI」と略記する場合がある)、1,9-ジイソシアナトノナン、1,12-ジイソシアナトドデカン、2,2,4-又は2,4,4-トリメチル-1、6-ジイソシアナトヘキサン等が挙げられる。中でも、脂肪族ジイソシアネートとしては、工業的に入手し易く、耐候性と塗膜の柔軟性が非常に優れることから、HDIが特に好ましい。
脂環式ジイソシアネートは、飽和炭化水素環を一つ以上含むジイソシアネート化合物である。
脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、1,3-又は1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、「水添XDI」と略記する場合がある)、1,3-又は1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、3,5,5-トリメチル1-イソシアナト-3-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、「IPDI」と略記する場合がある)、4-4’-ジイソシアナト-ジシクロヘキシルメタン(以下、「水添MDI」と略記する場合がある)、2,5-又は2,6-ジイソシアナトメチルノルボルナン等が挙げられる。
アミノシランカップリング剤は、シランカップリング剤の分子中に一級アミノ基及び二級アミノ基のうち少なくともいずれか一方のアミノ基を含有しているシランカップリング剤である。
(A)尿素成分は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上のジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートと、アミノシランカップリング剤と、から誘導される化合物である。
具体的には、上記ポリイソシアネートと、上記アミノシランカップリング剤とを、50℃以上200℃以下程度の温度で、30分間以上3時間以下程度反応させることで、(A)尿素成分が得られる。上記ポリイソシアネートと、上記アミノシランカップリング剤との配合比はモル比で、例えば、30/70以上70/30以下とすることができる。
(B)アルコキシシリル基を含有する化合物(以下、「(B)アルコキシシリル基含有化合物」と略記する場合がある)は、分子中にSi-OR基を有するモノマー、オリゴマー又はポリマーである。ここで、Si-OR中の「R」は炭化水素基であって、アルキル基、アリール基、ビニル基又はスチリル基が好ましい。このような(B)アルコキシシリル基含有化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、トリメトキシメチルシラン、ジメチルジメトキシシラン、メトキシトリメチルシラン、テトラエトキシシラン、トリエトキシメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、エテニルトリエトキシシラン、トリエトキシフェニルビニルシラン、1,4,6,9-テトラオキサ-5-シラスピロ[4,4]ノナン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これら(B)アルコキシシリル基含有化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
(C)アミノ基を含有する化合物(以下、「(C)アミノ基含有化合物」と略記する場合がある)としては、例えば、1級アミン、2級アミン、3級アミンが挙げられる。(C)アミノ基含有化合物としては、硬化過程中に飛散してしまうのを防ぐため、沸点が高いアミンが好ましい。このような(C)アミノ基含有化合物としては、例えば、トリプロピルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ノルマルブチルアミン、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール、ジ-n-プロピルアミン、イソプロピルエチルアミン、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。これら(C)アミノ基含有化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。(C)アミノ基含有化合物は、分子中に、アルキル基、アリール基、チオール基、シリル基、アルコキシ基等が有していてもよい。また、一分子中に複数のアミノ基を有するポリアミンを用いることもできる。
本実施形態の塗料組成物は、(B)アミノ基含有化合物及び(C)アルコキシシリル基含有化合物の代わりに、(BC)同一分子内にアルコキシシリル基及びアミノ基を含有する化合物(以下、「(BC)アルコキシシリル基及びアミノ基含有化合物」と略記する場合がある)を含有することが好ましい。また、(BC)アルコキシシリル基及びアミノ基含有化合物において、アルコキシシランからシラノールへの加水分解反応、並びにシラノール間の脱水縮合反応の反応速度の調整が行いやすいことから、アミノ基は3級アミノ基であることが好ましい。(BC)アルコキシシリル基及びアミノ基含有化合物としては、例えば、N,N-ジメチル-3-(トリメトキシシリル)プロピルアミン([3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン)、N,N-ジメチル-3-(トリエトキシシリル)プロピルアミン、N,N-ジメチル-3-(トリプロポキシシリル)プロピルアミン、N,N-ジメチル-3-(トリブトキシシリル)プロピルアミン、N,N-ジエチル-3-(トリメトキシシリル)プロピルアミン、N,N-ジエチル-3-(トリエトキシシリル)プロピルアミン、N,N-ジエチル-3-(トリプロポキシシリル)プロピルアミン、N,N-ジエチル-3-(トリブトキシシリル)プロピルアミン、N,N-ジプロピル-3-(トリメトキシシリル)プロピルアミン、N,N-ジプロピル-3-(トリエトキシシリル)プロピルアミン、N,N-ジプロピル-3-(トリプロポキシシリル)プロピルアミン、N,N-ジプロピル-3-(トリブトキシシリル)プロピルアミン、N,N-ジブチル-3-(トリメトキシシリル)プロピルアミン、N,N-ジブチル-3-(トリエトキシシリル)プロピルアミン、N,N-ジブチル-3-(トリプロポキシシリル)プロピルアミン、N,N-ジブチル-3-(トリブトキシシリル)プロピルアミン等が挙げられる。これら(BC)アルコキシシリル基及びアミノ基含有化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の塗料組成物は、上記成分(A)~(C)に加えて、(D)有機溶剤を含むことができる。本実施形態の塗料組成物は、有機溶剤を含有することで、塗料組成物の粘度がより低くなるため、ハンドリング性が向上する。
このような有機溶剤としては、例えば、エステル化合物、エーテル化合物、ケトン化合物、芳香族化合物、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル系の化合物、ポリエチレングリコールジカルボキシレート系の化合物等が挙げられる。エステル化合物としては、例えば、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、メトキシプロピルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、2-エチルブチルアセテート、2-エチルヘキシルアセテート、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸ブチル、酪酸ブチル、アジピン酸ジオクチル、グルタル酸ジイソプロピル等が挙げられる。エーテル化合物としては、例えば、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、ジエトキシエタン等が挙げられる。ケトン化合物としては、例えば、2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン、4-ヘプタノン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等が挙げられる。芳香族化合物としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ブチルベンゼン、p-シメン等が挙げられる。ポリエチレングリコールジアルキルエーテル系の化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等が挙げられる。ポリエチレングリコールジカルボキシレート系の化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジアセテート等が挙げられる。
また、本実施形態の塗料組成物は、上記成分(A)~(D)に加えて、公知慣用の種々の(E)塗料用添加剤を含有することができる。塗料用添加剤としては、例えば、増粘剤、レベリング剤、チクソ化剤、消泡剤、凍結安定剤、艶消し剤、架橋反応触媒、皮張り防止剤、分散剤、湿潤剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、可塑剤、潤滑剤、還元剤、防腐剤、防黴剤、消臭剤、黄変防止剤、静電防止剤又は帯電調整剤等が挙げられる。これら添加剤は、本実施形態の塗料組成物が奏する効果を妨げない範囲内で、適宜、選択して使用することができる。特に架橋反応触媒としては、公知の化合物を使用することができ、キレート配位子を有する金属錯体を使用することが反応上有利である。キレート配位子を形成する化合物は、金属原子又は金属イオンに配位することができる官能基を少なくとも2つ有する有機化合物である。これらの官能基は、電子受容体としての金属原子又は金属イオンに電子を与える電子供与体である。基本的に、塗料組成物が当該塗料組成物を硬化させてなる硬化物へと架橋することに否定的な影響を与えないか、又は妨げることのない限り、全ての有機化合物を使用することができる。
本実施形態の塗料組成物は、主剤である樹脂成分を配合せずとも、空気中の水分の作用により硬化し得る湿気硬化型の塗料組成物である。そのため、例えば、上記成分(A)又はその溶剤希釈物に、上記成分(B)及び上記成分(C)、又は、上記成分(BC)と必要に応じて、(E)塗料用添加剤を添加する。次いで、必要に応じて、更に(D)有機溶剤を添加して、粘度を調整する。次いで、手攪拌又はマゼラー等の攪拌機器を用いて攪拌することによって、塗料組成物を得ることができる。
本実施形態の塗料組成物は、金属、プラスチック、旧塗膜等の基材への密着性が優れる。また、本実施形態の塗料組成物から得られた塗膜は、水に浸漬した場合におけるブリスター(塗膜ふくれ)が起こりにくい。従って、本実施形態の塗料組成物は、金属部品用塗料、プラスチック部品用塗料、インキ、接着剤、シーリング剤、エラストマー、フィルム、フォーム、プラスチック材料等の原料等として使用することができる。中でも、本実施形態の塗料組成物は、金属部品用塗料、プラスチック部品用塗料、シーリング剤、接着剤又はフィルムに好適である。
本実施形態のフィルムは、上述した塗料組成物を硬化させてなる。本実施形態のフィルムは、上述したように、成分(A)が有するイソシアネート基により形成されるウレア結合、並びに、成分(A)及び成分(B)が有するアルコキシシリル基から生成されるシラノール基により形成されるシロキサン結合の2種類の結合を有する。ウレア結合を有することで耐アルカリ性を良好なものとすることができる。シロキサン結合を有することで耐擦り傷性を良好なものとすることができる。また、ウレア結合及びシロキサン結合の2種類の結合を有することで、耐有機溶剤性を良好なものとすることができる。よって、本実施形態のフィルムは、耐擦り傷性、耐アルカリ性、耐有機溶剤性及び表面外観に優れる。
[物性1]
(イソシアネート基含有量(NCO%))
合成例で得られた尿素成分(溶剤希釈前):1g以上3g以下程度を精秤した(Wg)。次いで、尿素成分にトルエン:20mLを添加し、溶解した。次いで、尿素成分を含有するトルエン溶液に、2規定のジ-n-ブチルアミンのトルエン溶液:10mLを添加し、混合後、15分間室温放置した。次いで、この混合液に、イソプロピルアルコール:70mLを加え、混合した。この液を1規定塩酸溶液(ファクターF)で、指示薬に滴定し、得られた滴定値を「V2mL」とした。同様の操作を尿素成分なしで行い、得られた滴定値を「V1mL」とした。これらの滴定値を用いて、下記式から尿素成分中の固形分に対するイソシアネート基含有量(NCO%)を算出した。なお、合成例で得られた尿素成分の固形分を後述する方法によって調べ、その値が98質量%以上であったものは、そのまま測定に供した。一方、98質量%未満であるものは、Wgに固形分の割合を乗じた値を下記式に導入して尿素成分中の固形分に対するイソシアネート基含有量を算出した。
(固形分)
合成例で得られた尿素成分を試料として、溶剤希釈をした場合には、アルミニウム製カップの質量を精秤した(W0g)。試料約1gを入れて、加熱乾燥前のカップ質量を精秤した(W1g)。上記試料を入れたカップを105℃の乾燥機中で3時間加熱した。上記加熱後のカップを室温まで冷却した後、再度カップの質量を精秤した(W2g)。精秤した各質量を用いて、下記式から試料中の乾燥残分の質量%を固形分として算出した。
((A)/(B))
(A)尿素成分の配合量を、(B)少なくとも1つのアルコキシシリル基を含有する化合物の配合量で除することで、質量比(A)/(B)を算出した。
実施例及び比較例で得られた塗料組成物を厚さ30μm以上40μm以下程度となるように塗装し、23℃/50%RHの雰囲気下で1日乾燥させた後、120℃で1時間焼付を実施して塗膜を得た。
(耐擦り傷性)
実施例及び比較例で得られた塗料組成物を電着板上に厚さ30μm以上40μm以下程度となるように塗装し、23℃/50%RHの雰囲気下で1日乾燥させた後、120℃で1時間焼付を実施して塗膜を得た。得られた塗膜を用いて、荷重1kgの荷重をかけた真鍮ブラシで20往復擦り、擦る前後の塗膜表面の光沢保持率を%で算出し、以下の評価基準に従い、耐擦り傷性を評価した。
◎:95%以上
○:95%未満90%以上
×:90%未満
(耐アルカリ性)
実施例及び比較例で得られた塗料組成物をガラス板上に厚さ30μm以上40μm以下程度となるように塗装し、23℃/50%RHの雰囲気下で1日乾燥させた後、120℃で1時間焼付を実施して塗膜を得た。得られた塗膜に、ゴムリングを置き、中央部位に10質量%の水酸化ナトリウム水溶液を滴下した。23℃、24時間浸漬後、ガラス基材/塗膜の間に生ずるブリスターの状態から、以下の評価基準に従い、耐アルカリ性を評価した。
○:外観に変化なし
×:白濁や溶出、ブリスター膨れあり
(耐有機溶剤性)
実施例及び比較例で得られた塗料組成物をガラス板上に厚さ30μm以上40μm以下程度となるように塗装し、23℃/50%RHの雰囲気下で1日乾燥させた後、120℃で1時間焼付を実施して塗膜を得た。得られた塗膜に、キシレン又はエタノールで湿らせたコットンを置いた。23℃でキシレンを10分間、又はエタノールを5分間置いた後の塗膜外観の状態から、以下の評価基準に従い、耐有機溶剤性を評価した。
○:キシレン及びエタノールいずれの痕もなし
△:キシレン及びエタノールの片方に白化や膨潤、溶出あり
×:キシレン及びエタノールいずれも白化や膨潤、溶出あり
(表面外観)
実施例及び比較例で得られた塗料組成物をガラス板上に厚さ30μm以上40μm以下程度となるように塗装し、23℃/50%RHの雰囲気下で1日乾燥させた後、120℃で1時間焼付を実施して塗膜を得た。得られた塗膜を以下の目視で観察し、評価基準に従い、表面外観を評価した。
◎:滑らかで無色透明な膜
○:一部分に凹凸がある無色透明な膜
×:一様に凹凸がある、又は白化やブツが見られる膜
××:成膜していない
実施例及び比較例で用いた(A)尿素成分は、以下の合成手順に従い、製造した。
(尿素成分P-a1の合成)
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた四ツ口フラスコの内部を窒素置換し、HDIイソシアヌレート型ポリイソシアネート(デュラネートTPA-100、旭化成株式会社製)(以下、「ポリイソシアネートA-1」と称する場合がある):40.9質量部を入れ、攪拌しながらN,N-ビス[(3-トリメトキシシリル)プロピル]アミン(東京化成株式会社製):19.1質量部を滴下し、60℃で1時間撹拌して尿素化反応を行った。得られた尿素成分中の固形分に対するイソシアネート基含有量は11.8質量%であった。その後、酢酸ブチル:40.0質量部を混合することで均一溶解液を得た。得られた尿素成分の均一溶解液は、淡黄色液体であり、固形分は60質量%であった。
(尿素成分P-a2の合成)
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた四ツ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリイソシアネートA-1:54.9質量部を入れ、攪拌しながらN,N-ビス[(3-トリメトキシシリル)プロピル]アミン(東京化成株式会社製):5.1質量部を滴下し、60℃で1時間撹拌して尿素化反応を行った。得られた尿素成分中の固形分に対するイソシアネート基含有量は20.0質量%であった。その後、酢酸ブチル:40.0質量部を混合することで均一溶解液を得た。得られた尿素成分の均一溶解液は、淡黄色液体であり、固形分は60質量%であった。
(尿素成分P-a3の合成)
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた四ツ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリイソシアネートA-1:50.5質量部を入れ、攪拌しながらN,N-ビス[(3-トリメトキシシリル)プロピル]アミン(東京化成株式会社製):9.5質量部を滴下し、60℃で1時間撹拌して尿素化反応を行った。得られた尿素成分中の固形分に対するイソシアネート基含有量は17.4質量%であった。その後、酢酸ブチル:40.0質量部を混合することで均一溶解液を得た。得られた尿素成分の均一溶解液は、淡黄色液体であり、固形分は60質量%であった。
(尿素成分P-a4の合成)
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた四ツ口フラスコの内部を窒素置換し、HDIビウレット型ポリイソシアネート(デュラネート24A-100、旭化成株式会社製)(以下、「ポリイソシアネートA-2」と称する場合がある):43.4質量部を入れ、攪拌しながらN,N-ビス[(3-トリメトキシシリル)プロピル]アミン(東京化成株式会社製):16.6質量部を滴下し、60℃で1時間撹拌して尿素化反応を行った。得られた尿素成分中の固形分に対するイソシアネート基含有量は13.6質量%であった。その後、酢酸ブチル:40.0質量部を混合することで均一溶解液を得た。得られた尿素成分の均一溶解液は、淡黄色液体であり、固形分は60質量%であった。
(尿素成分P-a5の合成)
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた四ツ口フラスコの内部を窒素置換し、HDI弾性アダクト型ポリイソシアネート(デュラネートE402-100、旭化成株式会社製)(以下、「ポリイソシアネートA-3」と称する場合がある):52.3質量部を入れ、攪拌しながらN,N-ビス[(3-トリメトキシシリル)プロピル]アミン(東京化成株式会社製):7.7質量部を滴下し、60℃で1時間撹拌して尿素化反応を行った。その後、酢酸ブチル:40.0質量部を混合した後、混合液と尿素成分P-a1とを20:80の質量比で混合することで均一溶解液を得た。得られた尿素成分の均一溶解液中の固形分に対するイソシアネート基含有量は9.1質量%であった。また、得られた尿素成分の均一溶解液は、淡黄色液体であり、固形分は60質量%であった。
(尿素成分P-a6の合成)
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた四ツ口フラスコの内部を窒素置換し、HDI多官能型ポリイソシアネート(デュラネートMFA-100、旭化成株式会社製)(以下、「ポリイソシアネートA-4」と称する場合がある):46.3質量部を入れ、攪拌しながらN,N-ビス[(3-トリメトキシシリル)プロピル]アミン(東京化成株式会社製):13.7質量部を滴下し、60℃で1時間撹拌して尿素化反応を行った。得られた尿素成分中の固形分に対するイソシアネート基含有量は11.2質量%であった。その後、酢酸ブチル:40.0質量部を混合することで均一溶解液を得た。得られた尿素成分の均一溶解液は、淡黄色液体であり、固形分は60質量%であった。
(尿素成分P-a7の合成)
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた四ツ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリイソシアネートA-4:31.8質量部を入れ、攪拌しながらN,N-ビス[(3-トリメトキシシリル)プロピル]アミン(東京化成株式会社製):28.2質量部を滴下し、60℃で1時間撹拌して尿素化反応を行った。得られた尿素成分中の固形分に対するイソシアネート基含有量は4.0質量%であった。その後、酢酸ブチル:40.0質量部を混合することで均一溶解液を得た。得られた尿素成分の均一溶解液は、淡黄色液体であり、固形分は60質量%であった。
(尿素成分P-b1の合成)
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた四ツ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリイソシアネートA-1:25.0質量部を入れ、攪拌しながらN,N-ビス[(3-トリメトキシシリル)プロピル]アミン(東京化成株式会社製):35.0質量部を滴下し、60℃で1時間撹拌して尿素化反応を行った。得られた尿素成分中の固形分に対するイソシアネート基含有量は2.4質量%であった。その後、酢酸ブチル:40.0質量部を混合することで均一溶解液を得た。得られた尿素成分の均一溶解液は、淡黄色液体であり固形分は60質量%であった。
(尿素成分P-b2の合成)
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた四ツ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリイソシアネートA-1:57.8質量部を入れ、攪拌しながらN,N-ビス[(3-トリメトキシシリル)プロピル]アミン(東京化成株式会社製):2.2質量部を滴下し、60℃で1時間撹拌して尿素化反応を行った。得られた尿素成分中の固形分に対するイソシアネート基含有量は21.7質量%であった。その後、酢酸ブチル:40.0質量部を混合することで均一溶解液を得た。得られた尿素成分の均一溶解液は、淡黄色液体であり、固形分は60質量%であった。
(尿素成分P-b3の合成)
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた四ツ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリイソシアネートA-1:20.9質量部を入れ、攪拌しながらN,N-ビス[(3-トリメトキシシリル)プロピル]アミン(東京化成株式会社製):39.1質量部を滴下し、60℃で1時間撹拌して尿素化反応を行った。得られた尿素成分中の固形分に対するイソシアネート基含有量は0質量%であった。その後、酢酸ブチル:40.0質量部を混合することで均一溶解液を得た。得られた尿素成分の均一溶解液は、淡黄色液体であり、固形分は60質量%であった。
[実施例1~10及び比較例1~6]
(塗料組成物S-a1~S-a10及びS-b1~S-b6の製造)
表2及び表3の示す組成となるように、各種成分を配合し、固形分が50質量%である塗料組成物S-a1~S-a10及びS-b1~S-b6を製造した。また、比較例4においてポリオールは塗膜の作製の直前に配合した。
((B)アルコキシシリル基含有化合物)
B-1:3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
C-1:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
BC-1:[3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン
D-1:酢酸ブチル
E-1:ジブチル錫ジラウレート(ネオスタンU-100、日東化成社製)
Setalux1767(Allnex社製)
また、成分(BC)を含有する塗料組成物S-a1(実施例1)の方が、成分(B)及び成分(C)を含有する塗料組成物S-a3(実施例3)よりも、塗膜としたときの耐擦り傷性により優れる傾向がみられた。
また、イソシアネート基の含有量が20質量%超である(A)尿素成分を含有し、(A)/(B)が76.9/23.1である塗料組成物S-b2(比較例2)では、塗膜としたときの耐擦り傷性、耐アルカリ性、耐有機溶剤性及び表面外観が全て不良であった。
また、イソシアネート基の含有量が11.8質量%である(A)尿素成分を含有し、(A)/(B)が95/5超である塗料組成物S-b4及びS-b5(比較例4及び5)では、塗膜としたときの塗膜としたときの耐アルカリ性及び表面外観は良好であったが、塗膜としたときの耐擦り傷性及び耐有機溶剤性が不良であった。
また、イソシアネート基の含有量が17.4質量%である(A)尿素成分を含有し、(A)/(B)が50/50未満である塗料組成物S-b6(比較例6)では、塗膜としたときの耐擦り傷性は良好であったが、塗膜としたときの耐アルカリ性、耐有機溶剤性及び表面外観が不良であった。
Claims (3)
- 以下の成分(A)、及び成分(BC)を含有し、
(A)脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上のジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートと、アミノシランカップリング剤と、から誘導される尿素成分;
(BC)同一分子内にアルコキシシリル基及び3級アミノ基を有する化合物(ただし、尿素化合物を除く。);
前記成分(A)の固形分の質量に対するイソシアネート基の含有量が4質量%以上20質量%以下であり、
前記成分(BC)に対する前記成分(A)の質量比(A)/(BC)が50/50以上95/5以下である、塗料組成物。 - 有機溶剤を更に含む、請求項1に記載の塗料組成物。
- 請求項1又は2に記載の塗料組成物を硬化させてなる、フィルム。
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