JP7547991B2 - 有機溶剤系グラビアインキ、それを用いた印刷物および積層体 - Google Patents
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Description
また、ポリエーテル構造を有するウレタン樹脂とグリコールエーテルあるいは水を含有する溶剤系グラビアインキにて、印刷層の白化が無く、インキ析出による皮張りやドクター摩耗が少なく、印刷適性が良好な溶剤型ラミネート用グラビアインキについて開示されている。(特許文献2)。そして印刷適性維持の観点から、これらグラビアインキには混合溶剤が使用されている。
前記グラビアインキ総質量中に、3級炭素および/または4級炭素を有する沸点100~150℃の脂肪族アルコールを0.5~15質量%含有し、かつ、水を0.1~10質量%含有する、有機溶剤系グラビアインキに関する。
なお以下の説明で用いる「インキ」または「グラビアインキ」とは「有機溶剤系グラビアインキ」を示す。また「部」とは「質量部」を示す。
前記グラビアインキ総質量中に、3級炭素および/または4級炭素を有する沸点100~150℃の脂肪族アルコールを0.5~15質量%含有し、かつ、水を0.1~10質量%含有する、有機溶剤系グラビアインキである。
特定組み合わせのバインダー樹脂、特定脂肪族アルコールおよび水を含むことで、まとまりある構成として作用し本発明の課題解決に有効である。
本発明の有機溶剤系グラビアインキは、バインダー樹脂を含む。
バインダー樹脂のインキにおける含有量は、インキの印刷基材への接着性を十分にする観点および顔料分散性の観点からインキ固形分全量中にて4~25質量%が好ましく、更には6~15質量%の範囲が好ましい。
バインダー樹脂は上記以外の樹脂を含んでよく、例えば、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ロジン類、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、塩化ゴム、環化ゴム、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリエステル樹脂、ケトン樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化エチレンビニルアセテート樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂、エチレン-ビニルアルコール樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、カゼイン、アルキッド樹脂などが挙げられる。バインダー樹脂にあっては、活性水素基を有するバインダー樹脂が好ましく、当該活性水素基としては水酸基、アミノ基、カルボキシル基等が好ましい。
ウレタン樹脂は、印刷適性の観点から重量平均分子量が10,000~100,000のものが好ましく、ガラス転移温度が0℃以下であることが好ましい。-60℃~0℃であることがなお好ましく、-40~-5℃であることが更に好ましい。また、ウレタン樹脂は、印刷適性およびラミネート強度の観点からアミン価および/または水酸基価を有するものが好ましく、アミン価は0.5~30mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは1~20mgKOH/gである。また、水酸基価は0.5~30mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは1~20mgKOH/gである。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多塩基酸とジオールの縮合物が挙げられる。多塩基酸は例えば、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、など炭素数2~20の二塩基酸が好適に挙げられる。特にセバシン酸が好ましい。またジオールは、分岐状ジオールを含むことが好ましく、上記分岐状ジオールとしては、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール(以下、BEPGとも記載する)と、2-メチル-1,3-プロパンジオール(以下、MPOとも記載する)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPDとも記載する)、ネオペンチルグリコール(NPGとも記載する)、1,2-プロピレングリコール(以下、PGとも記載する)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,3-ブタンジオール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールとしては数平均分子量500~5000であることが好ましい。
中でも炭素数8以下、好ましくは炭素数6以下の直鎖状ジオールが好ましく、EG、1,3-PD、1,4-BD、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、などが好ましい。
塩化ビニル共重合樹脂としては、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂などが好適に挙げられる。
塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂としては、塩化ビニルと酢酸ビニルが共重合したものであり、分子量としては重量平均分子量で5,000~100,000のものが好ましく、20,000~70,000が更に好ましい。塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂の固形分100質量%中の酢酸ビニルモノマー由来の構造は、1~30質量%が好ましく、塩化ビニルモノマー由来の構造は、70~95質量%であることが好ましい。この場合有機溶剤への溶解性が向上、更に基材への密着性、皮膜物性、ラミネート強度等が良好となる。
また、有機溶剤への溶解性が向上するため、ケン化反応あるいは共重合でビニルアルコール由来の水酸基を含むものが更に好ましく、水酸基価として20~200mgKOH/gであることが好ましい。また、ガラス転移温度は50℃~90℃であることが好ましい。
塩化ビニル-アクリル共重合樹脂は塩化ビニルモノマーとアクリルモノマーの共重合樹脂を主成分とするものであり、アクリルモノマーとしては、基材に対する接着性と有機溶剤に対する溶解性が向上するため(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルを含むことが好ましい。アクリルモノマーはポリ塩化ビニルの主鎖にブロックないしランダムに組み込まれていても良いし、ポリ塩化ビニルの側鎖にグラフトされていても良い。塩化ビニル-アクリル共重合樹脂は、重量平均分子量が10,000から100,000であることが好ましく、30,000から70,000であることが更に好ましい。
バインダー樹脂は、セルロース系樹脂を含むことが好ましく、セルロース系樹脂としては、例えばセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートその他のセルロースエステル樹脂、ニトロセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、およびカルボキシアルキルセルロース等が挙げられる。セルロースエステル樹脂はアルキル基を有することが好ましく、当該アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、更にアルキル基が置換基を有していてもよい。
セルロース系樹脂としては、上記のうちセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、およびニトロセルロースが好ましい。特に好ましくはニトロセルロースである。分子量としては重量平均分子量で5,000~200,000のものが好ましく、10,000~50,000が更に好ましい。また、ガラス転移温度が120℃~180℃であるものが好ましい。ウレタン樹脂またはポリアミド樹脂との併用で耐ブロッキング性、耐擦傷性その他のコート剤被膜物性が向上するためである。
上記ニトロセルロースは、例えば、天然セルロースと硝酸とを反応させて、天然セルロース中の無水グルコピラノース基の6員環中の3個の水酸基を、硝酸基に置換した硝酸エステルとして得られるものが好ましく、分子量としては重量平均分子量で5,000~200,000のものが好ましく、10,000~100,000が更に好ましい。また、ガラス転移温度が120℃~180℃であるものが好ましい。被膜の強度が向上し、耐擦傷性が向上するためである。また、基材密着性、ラミネート強度の観点から窒素分は10.5~12.5質量%であることが好ましい。
本発明の有機溶剤系グラビアインキは、シリカ粒子を含む。
シリカ粒子は天然産、合成品、あるいは結晶性、非結晶性、あるいは疎水性、親水性のものなどが挙げられる。シリカ粒子の合成法では、乾式、湿式法があり、乾式法では燃焼法、アーク法、湿式法では沈降法、ゲル法が知られており、いずれの方法で合成されたものでもよい。また、シリカ粒子は、表面に親水性官能基を有する親水性シリカでも良いし、親水性官能基をアルキルシラン等で変性して疎水化した疎水性シリカでも良いが、親水性シリカが好ましい。このようなシリカ粒子は例えば、東ソー・シリカ社製のニップジェルシリーズ、ニップシルシリーズ、水澤化学社製のミズカシルシリーズなどから選択できる。
シリカ粒子を含むインキは重ね印刷時のインキの濡れ・広がりを促し、トラッピング性を向上させ、かつ、ハイライト転移性も維持する効果をもつ。これは水、上記脂肪族アルコールとの併用で顕著である。シリカの添加量としては本発明のグラビアインキ100質量%中、0.1~3質量%含有することが好ましく、0.2~2.5質量%であることがなお好ましい。更に好ましくは0.2~2質量%であり、特に好ましくは0.2~1.5質量%である。
またシリカ粒子は比表面積がBET法で50~600m2/gであることが好ましい。より好ましくは100m~450m2/gである。本発明のグラビアインキで使用するシリカ粒子は平均粒子径あるいはBET法比表面積の異なるものを組み合わせて使用出来る。
本発明のグラビアインキは、一般のインキ、塗料、及び記録剤などに使用されている無機顔料、有機顔料を含むことができる。有彩色は、有機顔料であることが好ましく、特に黒色顔料、藍色顔料、赤色顔料、および黄色顔料であることが好ましい。
有機顔料としては、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系、カーボンブラック系などの顔料が挙げられる。
黒色顔料としてC.I.ピグメントブラック7、
藍色顔料としてC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、
緑色顔料としてC.I.ピグメントグリーン7、
赤色顔料としてC.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド166、
紫色顔料としてC.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット37、
黄色顔料としてC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー139、
橙色顔料としてC.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ64、
等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも一種または二種以上を使用することが好ましい。
本発明において有機溶剤系グラビアインキの有機溶剤系とは、グラビアインキの液状媒体が有機溶剤を50質量%以上含む意味であり、70質量%以上あるいは80質量%以上が好ましい。
本発明において、液状媒体として、水と、3級炭素および/または4級炭素を有する沸点100~150℃の脂肪族アルコールとを含む。
3級炭素および/または4級炭素を有する沸点100~150℃の脂肪族アルコール
(単に「脂肪族アルコール」という場合がある)は、他の構成要件と組み合わされて主に印刷適性に作用がある。当該脂肪族アルコールの沸点は100~140℃であることが好ましく、100~130℃であることがなお好ましい。脂肪族アルコールとしては、例えば、
3-メチル-1-ブタノール(沸点131℃)、2-メチル-1-ブタノール(沸点128℃)、2,2-ジメチル-1-プロパノール(沸点113℃)、3-メチル-2-ブタノール(沸点112.5℃)、2-メチル-2-ブタノール(沸点102℃)、イソブタノール(沸点108℃)、等が挙げられる。
なお、3級炭素とは、1つの炭素原子に3つの炭素原子と1つの炭素原子以外の原子とが結合している炭素であり、4級炭素とは、1つの炭素原子に4つの炭素原子が結合している炭素である。したがって、3級アルコールの水酸基と結合している炭素は3級炭素であり、2級アルコールの水酸基と結合している炭素は2級炭素である。
3級炭素および/または4級炭素を有する沸点100~150℃の脂肪族アルコールは、グラビアインキ総質量中に0.5~15質量%含有することを必須とする。
3級炭素および/または4級炭素を有する脂肪族アルコールをインキ全量の0.5~15質量%とする事で、グラビア印刷においてハイライト転移性、トラッピング性などの印刷適性が良好となる。また臭気上も問題がない。含有量として好ましくは1~10質量%であり、なお好ましくは1~8質量%である。また、当該脂肪族アルコールは、水と併用することで相乗効果を得る。脂肪族アルコール水と親和して顔料分散性を向上させ、また、印刷時版面におけるインキの乾燥速度をコントロールでき、ハイライト転移性、トラッピング性などが向上する。また、上記ウレタン樹脂と、塩化ビニル共重合樹脂および/またはセルロース系樹脂と、を含むバインダー樹脂により顔料分散性が良好であり、結果として積層体とした場合のラミネート強度が良好となるのである。
当該有機溶剤は、トルエンといった芳香族有機溶剤や、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤は使用しないことが好ましく、エステル系有機溶剤とアルコール系有機溶剤との混合溶剤を使用することが好ましい。
エステル系有機溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
アルコール系有機溶剤は、沸点100℃未満のアルコール系有機溶剤も使用が好ましく、例えば、n-プロパノール、イソプロパノール、エタノールその他脂肪族アルコールで100℃未満のものが好適に使用できる。エステル系有機溶剤と、沸点100℃未満の有機溶剤との質量比率が、95:5~40:60であることが好ましく、90:10~50:50であることがなお好ましい。
本発明のグラビアインキでは必要に応じて、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、ワックス、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤なども含むこともできる。
本発明の有機溶剤系グラビアインキは、バインダー樹脂、顔料などを有機溶剤中に溶解及び/又は分散することにより製造することができる。具体的には、例えば、顔料をウレタン樹脂により有機溶剤に分散させた顔料分散体を製造し、得られた顔料分散体に、必要に応じて他の化合物などを配合することによりインキを製造することができる。顔料分散体における顔料の粒度分布は、分散機のメディアビーズのサイズ、メディアビーズの充填率、分散時間、顔料分散体の流出速度、顔料分散体の粘度などを適宜調節することにより、調整することができる。分散機としては、一般に使用される、例えば、ローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。ビーズミルの使用が好ましい。
インキの粘度は、使用される原材料の種類や量、例えばウレタン樹脂、顔料、有機溶剤などを適宜選択することにより調整することができる。バインダー樹脂の有機溶剤への溶解性など粘度へ影響もあり、また、インキ中の顔料の粒度および粒度分布を調節することによりインキの粘度を調整することもできる。
本発明における印刷物は、グラビアインキを下記基材1上にグラビア印刷機で印刷して印刷層を形成し、オーブンによる乾燥によって乾燥させて定着することで得られる。乾燥温度は通常40~60℃程度である。
本発明における積層体とは、少なくとも基材1、印刷層、基材2をこの順に有する易引裂き性を有する積層体をいう。少なくとも基材1、印刷層、接着剤層、基材2をこの順に有する積層体の使用形態であることが好ましい。
本発明の積層体は基材1上にグラビアインキを印刷した印刷物の印刷層上に、接着剤層を設け、基材2と貼り合わせる(ラミネートする)ことで得られる。ラミネート加工の代表例として、ドライラミネート法等が挙げられる。ドライラミネート法とは、接着剤を印刷物の印刷層上に塗布・乾燥し、シーラントと圧着して積層する方法である。
基材は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと称する場合がある)、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ乳酸等のポリヒドロキシカルボン酸、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)等の脂肪族ポリエステル系樹脂などの生分解性樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂又はそれらの混合物等の熱可塑性樹脂よりなるフィルムやこれらの積層体が挙げられるが、中でも、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンからなるフィルムが好ましい。
基材において印刷される面には、コロナ放電処理等をされていることが好ましく、あるいは、シリカおよび/またはアルミナ等が蒸着されていてもよい。
基材2は基材1と同様のものが挙げられ、同一でも異なっていてもよい。なお、熱可塑性基材(シーラントと称する場合がある)であることが好ましく、無延伸ポリエチレン基材、無延伸ポリプロピレン基材、無延伸ポリエステル基材等が好ましい。
接着剤層は接着剤を塗布、乾燥して得られる。当該接着剤としてはポリオールおよびイソシアネート硬化剤の混合物からなる2液型接着剤などが好適であり、ポリオールとしてはポリエステル系、ポリエーテル系などが挙げられる。具体的には東洋モートン株式会社製・TM-250HV/CAT-RT86L-60、TM-550/CAT-RT37、TM-314/CAT-14B等が挙げられる。
JISK0070に従って求めた。
(酸価)
JISK0070に従って求めた。
(アミン価)
アミン価は、樹脂1g中に含有するアミノ基を中和するのに必要とする塩酸の当量と同量の水酸化カリウムのmg数でJISK0070に準じて以下の方法に従って求めた。
試料を0.5~2g精秤した(試料固形分:Sg)。精秤した試料にメタノール/メチルエチルケトン=60/40(質量比)の混合溶液50mLを加え溶解させた。得られた溶液に指示薬としてブロモフェノールブルーを加え、得られた溶液を0.2mol/Lエタノール性塩酸溶液(力価:f)で滴定を行なった。溶液の色が緑から黄に変化した点を終点とし、この時の滴定量(AmL)を用い、下記(式2)によりアミン価を求めた。
(式2)アミン価=(A×f×0.2×56.108)/S[mgKOH/g]
重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置(東ソー株式会社製HLC-8220)を用いて分子量分布を測定し、ポリスチレンを標準物質に用いた換算分子量として求めた。下記に測定条件を示す。
カラム:下記カラムを直列に連結して使用した。
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW2500
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW3000
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW4000
東ソー株式会社製TSKgelguardcolumnSuperAWH
検出器:RI(示差屈折計)
測定条件:カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
数平均分子量2000の、メチルペンタンジオール(MPD)とセバシン酸(SA)の縮合物であるポリエステルポリオール(以下「MPD/SA」)100部、1,4-ブタンジオール(以下「1,4-BD」)1部、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」)28.5部および酢酸エチル32.1部を混合して90℃で窒素雰囲気下で5時間反応させて、末端イソシアネートウレタンプレポリマーを得た。次いでイソホロンジアミン(以下「IPDA」)11部、N-(2-アミノエチル)エタノールアミン(以下「AEA」)1部、ジブチルアミン(以下「DBA」)1部および酢酸エチル/イソプロパノール=70/30の混合溶剤を攪拌混合させ、得られた末端イソシアネートウレタンプレポリマーを40℃で徐々に添加し、次に80℃で1時間反応させ、固形分30%、アミン価6.5mgKOH/g、水酸基価3.8mgKOH/g、重量平均分子量50000のウレタン樹脂PU1溶液を得た。
表1に示す原料を用い、合成例1と同様の方法により、ウレタン樹脂溶液PU2~PU4を得た。なお、表1中の略称は下記の通りである。
・NPG/SA:ネオペンチルグリコールとセバシン酸の縮合物であるポリエステルポリオール 数平均分子量2000
・NPG/AA:ネオペンチルグリコールとアジピン酸の縮合物であるポリエステルポリオール 数平均分子量2000
・PEG:ポリエチレングリコール 数平均分子量1000
・PPG:ポリプロピレングリコール 数平均分子量1000
ウレタン樹脂溶液PU1(固形分30%)を40質量部、塩化ビニル共重合樹脂(ソルバインTA5R:日信化学工業社製 塩化ビニル:酢酸ビニル:ビニルアルコール=88:1:11(固形分30%酢酸エチル溶液))10質量部、藍顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3(トーヨーカラー社製 製品名:LIONOL BLUE FG-7330)を10質量部、シリカ1(親水性シリカ 平均粒子径3.0μm、比表面積300m2/g)0.8質量部、n-プロピルアセテート(NPAC)/イソプロパノール(IPA)=70/30の混合溶剤36.5質量部を混合し、アイガーミルで20分間分散した顔料分散体に、水1.5質量部およびイソブタノール3.5質量部を攪拌混合し、有機溶剤系グラビアインキS1を得た。
表2に示す原料を用いた以外は実施例1と同様の方法により、グラビアインキS2~S15を得た。なお、表2および表3中の略称は以下を表す。
VC-Ac:塩化ビニル-アクリル共重合樹脂 塩化ビニル比80質量% 重量平均分子量50000
NC1:ニトロセルロース樹脂 窒素分10.5~12.5質量% 重量平均分子量60000
なお、
イソブタノール:沸点108℃(3級炭素を有する)
3-メチル-1-ブタノール:沸点131℃(3級炭素を有する)
2,2-ジメチル-1-プロパノール:沸点113℃(4級炭素を有する)
1-ブタノール:沸点118℃(3級炭素、4級炭素を有しない)
1-メトキシ-2-プロパノール:沸点121℃(3級炭素、4級炭素を有しない)
表3に示す原料および比率を使用する以外は、上記実施例1に記載の方法と同様の方法にてグラビアインキSS1~SS6を得た。
上記で得られたグラビアインキS1~S22、SS1~SS6を、混合溶剤(メチルエチルケトン「MEK」:Nプロピルアセテート「NPAC」:イソプロパノール「IPA」=30:40:30)により、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈し、ヘリオ175線ベタ版(版式コンプレスト、100%ベタ柄)により、ポリプロピレンフィルム(膜厚20μm)のコロナ放電処理面に印刷速度100m/分で印刷し、S1~S22、SS1~SS6の印刷物をそれぞれ得た。
S1~S22、SS1~SS6の印刷物の印刷層上に、ポリエーテルウレタン系ラミネート接着剤(東洋モートン社製TM320/CAT13B)を固形分30%の酢酸エチル溶液を、乾燥後の接着剤層が2.0g/m2となるように塗工・乾燥した後、接着剤層に厚さ50μmの未延伸ポリエチレン(PE)を貼り合わせてドライラミネート加工を行ってインキS1~S22、SS1~SS6を使用したラミネート積層体を得た。
上記実施例および比較例で得られたグラビアインキ、印刷物およびラミネート積層体を用いて以下の特性評価を行った。評価ABおよびCが実用範囲である。
実施例、比較例で得られたグラビアインキの粘度を酢酸エチル/イソプロパノール=70/30の混合溶剤でザーンカップ#3(離合社製)で16秒(25℃)に調整し、グラビア版を取り付けたグラビア印刷機を用いて、片面にコロナ放電処理を施した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学株式会社製FOR厚さ20μm)の処理面に印刷を行った。試験は、30℃の高温条件下において行い、網点グラデーション柄部分を有するグラビア版(円周600mmφ)で200m/minの印刷速度した際のハイライト(網点面積5%以上10%未満)印刷部分における印刷柄のカスレの面積の割合を目視評価した。
(評価基準)
A:カスレが全くなく、非印刷部の汚れもない。
B:カスレが面積比5%未満で見られる。
C:カスレが面積比5%以上15%未満で見られる。
D:カスレが面積比15%以上みられる。
上記実施例および比較例で得られた印刷物のそれぞれの印刷層上に、東洋インキ社製リオアルファSF121紅(紅インキ)を重ねて印刷を行った。印刷条件は上記「ハイライト転移性」での評価条件で行った。評価は重ねの紅インキが当該印刷層上にどの程度濡れ広がるかで評価を行った。
A:印刷された部分にムラが無い。
B:印刷された部分に僅かにムラがある。
C:印刷された部分にやや目立つムラがある。
D:印刷部の全体に渡り大きなムラがある、あるいはまだら模様が見える。
実施例および比較例で得られたラミネート積層体を15mm幅に切り出し、引張り試験機にて引っ張り速度50mm/分で90度剥離試験を行った。0.7N/15mm以上であれば実用範囲である。
(評価基準)
A:ラミネート強度が1.5N/15mm以上である。
B:ラミネート強度が1.0N/15mm以上~1.5N/15mm未満である。
C:ラミネート強度が0.5N/15mm以上~1.0N/15mm未満である。
D:ラミネート強度が0.5N/15mm未満である。
(回収・再使用性)
グラビア印刷機(富士機械社工業社製)の乾燥器の排気口から溶剤回収試験機(クレハエンジニアリング製)をダクトで繋いだ。上記ハイライト転移性と同条件で、グラビア版の版深度が25μmのグラビア版を用いて印刷を行い、回収装置により回収された有機溶剤のpHを測定した。pHの測定は、200gの水を入れた分液漏斗に200gの回収溶剤を加え、3分間混合した後に水を分取し、その水のpHを測定した。
(評価)
A:pHの6以上8未満
B:pHが5以上6未満
D:pHが5未満
上記実施例および比較例で得られた印刷物を印刷直後に10cm×15cmに切り出して瓶に密閉して60℃のオーブンで3時間保持した。保持後のサンプルを常温に戻し、以下の基準で評価した。評価は官能性評価であり、任意に10人から臭気感じた者、臭気をあまり感じなかった者とで、その人数で評価した。
(評価基準)
A:臭気を感じた人数が0~1人。
B:臭気を感じた人数が2~3人。
C:臭気を感じた人数が4~5人。
D:臭気を感じた人数が6人以上。
Claims (8)
- バインダー樹脂として、ウレタン樹脂と、塩化ビニル共重合樹脂および/またはセルロース系樹脂とを含んでなる有機溶剤系グラビアインキであって、
前記グラビアインキ総質量中に、3級炭素および/または4級炭素を有する沸点100~150℃の脂肪族アルコールを0.5~15質量%含有し、かつ、水を0.1~10質量%含有し、
更に、エステル系有機溶剤と沸点100℃未満のアルコール系有機溶剤との混合溶剤を含有する、有機溶剤系グラビアインキ。 - 脂肪族アルコールと、水との質量比率が、85:15~15:85である、請求項1に記載の有機溶剤系グラビアインキ。
- 脂肪族アルコールと、水との合計質量が、グラビアインキ総質量中1~15質量%である、請求項1または2に記載の有機溶剤系グラビアインキ。
- 更に、シリカ粒子を含有する、請求項1~3いずれかに記載の有機溶剤系グラビアインキ。
- ウレタン樹脂が、ポリエステルポリオール由来の構成単位を有する、請求項1~4いずれかに記載の有機溶剤系グラビアインキ。
- ポリエステルポリオールが、セバシン酸由来の構成単位を含む、請求項5に記載の有機溶剤系グラビアインキ。
- 基材1上に、請求項1~6いずれかに記載の有機溶剤系グラビアインキから形成された印刷層を有する印刷物。
- 基材1、請求項1~6いずれかに記載の有機溶剤系グラビアインキから形成された印刷層、接着剤層および基材2を順次有する積層体。
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