JP7547991B2 - 有機溶剤系グラビアインキ、それを用いた印刷物および積層体 - Google Patents

有機溶剤系グラビアインキ、それを用いた印刷物および積層体 Download PDF

Info

Publication number
JP7547991B2
JP7547991B2 JP2020211134A JP2020211134A JP7547991B2 JP 7547991 B2 JP7547991 B2 JP 7547991B2 JP 2020211134 A JP2020211134 A JP 2020211134A JP 2020211134 A JP2020211134 A JP 2020211134A JP 7547991 B2 JP7547991 B2 JP 7547991B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organic solvent
gravure ink
mass
resin
ink
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020211134A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2022097894A (ja
Inventor
拓郎 木島
比呂 木林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Artience Co Ltd
Original Assignee
Artience Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Artience Co Ltd filed Critical Artience Co Ltd
Priority to JP2020211134A priority Critical patent/JP7547991B2/ja
Publication of JP2022097894A publication Critical patent/JP2022097894A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7547991B2 publication Critical patent/JP7547991B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Description

本発明は、印刷されたラミネート積層体として優れたラミネート強度を有するラミネート用の有機溶剤系グラビアインキであって、ハイライト転移性、トラッピング性にも優れたインキに関する。また、それを用いた印刷物および積層体に関する。
グラビアインキは、被印刷体(主に紙、プラスチック基材)に美粧性、機能性を付与させる目的で広く用いられている。グラビア印刷された積層体が、包装材料の中でも特に食品包材として用いられる場合、ラミネート加工が施されるのが一般的である。この場合、内容物の種類や使用目的に応じて様々なプラスチック基材やラミネート構成が利用される。
従来、グラビアインキにはバインダー樹脂としてウレタン樹脂が使用されることが多い。そして、印刷適性を向上するために様々な試みが行われており、例えば、上記印刷適性以外にも版つまりによるハイライト転移性を改善するためにグリコールエーテルあるいは水を含有する溶剤系グラビアインキが提案されている(特許文献1)。
また、ポリエーテル構造を有するウレタン樹脂とグリコールエーテルあるいは水を含有する溶剤系グラビアインキにて、印刷層の白化が無く、インキ析出による皮張りやドクター摩耗が少なく、印刷適性が良好な溶剤型ラミネート用グラビアインキについて開示されている。(特許文献2)。そして印刷適性維持の観点から、これらグラビアインキには混合溶剤が使用されている。
しかし近年、使用形態によっては、有機溶剤の回収再利用の観点からグリコールエーテルを使用しない形のインキが望まれる場合がある。すなわち、エステル系有機溶剤やアルコール系有機溶剤を回収再利用する場合、グリコールエーテルが不純物となり再利用効率が低下するためである。しかしながら、グリコールエーテルを使用しないとなると、ハイライト転移性、トラッピング性などの印刷適性を維持・向上させることが困難であり、新たな技術開発が望まれる。
このような問題点を解決する技術としてウレタン結合濃度を規定したウレタン樹脂を含み、アルコール系有機溶剤として炭素原子数4~6のアルコールを含むインキが開示されている(特許文献3)しかしながら、この技術では臭気が課題であるうえ、経時でのインキの増粘などが懸念される。
特開平9-328646号公報 特開2018-16708号公報 特開2020-147688号公報
本発明は、ハイライト転移性、トラッピング性などの印刷適性が良好であり、印刷物の臭気が少なく、ラミネート強度が良好であり、更に溶剤のリサイクル可能な有機溶剤系グラビアインキを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記した課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下に記載の有機溶剤系グラビアインキが課題解決に有効であることを見出した。
即ち、本発明は、バインダー樹脂として、ウレタン樹脂と、塩化ビニル共重合樹脂および/またはセルロース系樹脂とを含んでなる有機溶剤系グラビアインキであって、
前記グラビアインキ総質量中に、3級炭素および/または4級炭素を有する沸点100~150℃の脂肪族アルコールを0.5~15質量%含有し、かつ、水を0.1~10質量%含有する、有機溶剤系グラビアインキに関する。
また、本発明は、脂肪族アルコールと、水との質量比率が、85:15~15:85である、上記有機溶剤系グラビアインキに関する。
また、本発明は、脂肪族アルコールと、水との合計質量が、グラビアインキ総質量中1~15質量%である、上記有機溶剤系グラビアインキに関する。
また、本発明は、更に、シリカ粒子を含有する、上記有機溶剤系グラビアインキに関する。
また、本発明は、ウレタン樹脂が、ポリエステルポリオール由来の構成単位を有する、上記有機溶剤系グラビアインキに関する。
また、本発明は、ポリエステルポリオールが、セバシン酸由来の構成単位を含む、上記有機溶剤系グラビアインキに関する。
また、本発明は、基材1上に、上記有機溶剤系グラビアインキから形成された印刷層を有する印刷物に関する。
また、本発明は、基材1、上記有機溶剤系グラビアインキから形成された印刷層、接着剤層および基材2を順次有する積層体に関する。
本発明により、ハイライト転移性、トラッピング性などの印刷適性が良好であり、印刷物の臭気が少なく、ラミネート強度が良好であり、更に溶剤のリサイクル可能な有機溶剤系グラビアインキを提供することを可能とした。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその趣旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
なお以下の説明で用いる「インキ」または「グラビアインキ」とは「有機溶剤系グラビアインキ」を示す。また「部」とは「質量部」を示す。
本発明の一形態は、バインダー樹脂として、ウレタン樹脂、並びに、塩化ビニル共重合樹脂および/またはセルロース系樹脂を含んでなる有機溶剤系グラビアインキであって、
前記グラビアインキ総質量中に、3級炭素および/または4級炭素を有する沸点100~150℃の脂肪族アルコールを0.5~15質量%含有し、かつ、水を0.1~10質量%含有する、有機溶剤系グラビアインキである。
特定組み合わせのバインダー樹脂、特定脂肪族アルコールおよび水を含むことで、まとまりある構成として作用し本発明の課題解決に有効である。
(バインダー樹脂)
本発明の有機溶剤系グラビアインキは、バインダー樹脂を含む。
バインダー樹脂のインキにおける含有量は、インキの印刷基材への接着性を十分にする観点および顔料分散性の観点からインキ固形分全量中にて4~25質量%が好ましく、更には6~15質量%の範囲が好ましい。
バインダー樹脂は、ウレタン樹脂、並びに、塩化ビニル共重合樹脂および/またはセルロース系樹脂を含む結着樹脂であり、これらは質量比率が95:5~30:70(ウレタン樹脂:塩化ビニル共重合樹脂および/またはセルロース系樹脂)の範囲で併用することが好ましく、90:10~40:60であることがなお好ましい。このように樹脂を併用するのは印刷適性、ラミネート強度の向上、インキの経時安定性向上のためである。
バインダー樹脂は上記以外の樹脂を含んでよく、例えば、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ロジン類、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、塩化ゴム、環化ゴム、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリエステル樹脂、ケトン樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化エチレンビニルアセテート樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂、エチレン-ビニルアルコール樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、カゼイン、アルキッド樹脂などが挙げられる。バインダー樹脂にあっては、活性水素基を有するバインダー樹脂が好ましく、当該活性水素基としては水酸基、アミノ基、カルボキシル基等が好ましい。
(ウレタン樹脂)
ウレタン樹脂は、印刷適性の観点から重量平均分子量が10,000~100,000のものが好ましく、ガラス転移温度が0℃以下であることが好ましい。-60℃~0℃であることがなお好ましく、-40~-5℃であることが更に好ましい。また、ウレタン樹脂は、印刷適性およびラミネート強度の観点からアミン価および/または水酸基価を有するものが好ましく、アミン価は0.5~30mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは1~20mgKOH/gである。また、水酸基価は0.5~30mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは1~20mgKOH/gである。
ウレタン樹脂は特に制限はなく、公知の方法により適宜製造される。ポリオールとポリイソシアネートからなるウレタン樹脂や、ポリオールとポリイソシアネートからなる末端イソシアネートのウレタンプレポリマーと、ポリアミンとを反応させることにより得られるウレタン樹脂などが好ましい。製造方法としては例えば、特開2013-256551号公報、特開2018-127545号公報、特開2013-213109号公報に記載の方法などが挙げられる。
ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ひまし油ポリオール、水素添加ひまし油ポリオール、ダイマージオール、水添ダイマージオールなどが挙げられる。好ましくはポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールである。
これらのうち、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオール由来の構造単位を含むものが好ましく、その含有量の合計は、ウレタン樹脂固形分100質量%中、5~80質量%であることが好ましく、より好ましくは10~60質量%であり、更に好ましくは10~50質量%である。特に、ポリエステルポリオール由来の構成単位をポリオール全質量中に40質量%以上、50質量%以上、あるいは70質量%以上含むことが好ましい。印刷適性が良好であり、基材密着性、耐候性および耐ブロッキング性が良好となるためである。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリトリメチレングリコールおよびこれらの共重合ポリエーテルポリオールを好適に挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多塩基酸とジオールの縮合物が挙げられる。多塩基酸は例えば、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、など炭素数2~20の二塩基酸が好適に挙げられる。特にセバシン酸が好ましい。またジオールは、分岐状ジオールを含むことが好ましく、上記分岐状ジオールとしては、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール(以下、BEPGとも記載する)と、2-メチル-1,3-プロパンジオール(以下、MPOとも記載する)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPDとも記載する)、ネオペンチルグリコール(NPGとも記載する)、1,2-プロピレングリコール(以下、PGとも記載する)、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,3-ブタンジオール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールとしては数平均分子量500~5000であることが好ましい。
また分岐状ジオールのほかに直鎖状ジオールを含むことが好ましく、当該直鎖状ジオールとしては、エチレングリコール(EGとも記載する)、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール(1,3-PDとも記載する)、1,4-ブタンジオール(1,4―BDとも記載する)、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,4-ブチンジオール、1,4-ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられる。
中でも炭素数8以下、好ましくは炭素数6以下の直鎖状ジオールが好ましく、EG、1,3-PD、1,4-BD、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、などが好ましい。
本発明において、ラミネート強度の観点からポリエステルポリオールの全ジオール中の分岐状ジオールおよび直鎖状ジオールの質量比(分岐状ジオール:直鎖状ジオール)は、10:90~90:10であることが好ましく、20:80~80:20であることがなお好ましい。30:70~70:30であることが更に好ましい。
(塩化ビニル共重合樹脂)
塩化ビニル共重合樹脂としては、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂などが好適に挙げられる。
(塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂)
塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂としては、塩化ビニルと酢酸ビニルが共重合したものであり、分子量としては重量平均分子量で5,000~100,000のものが好ましく、20,000~70,000が更に好ましい。塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂の固形分100質量%中の酢酸ビニルモノマー由来の構造は、1~30質量%が好ましく、塩化ビニルモノマー由来の構造は、70~95質量%であることが好ましい。この場合有機溶剤への溶解性が向上、更に基材への密着性、皮膜物性、ラミネート強度等が良好となる。
また、有機溶剤への溶解性が向上するため、ケン化反応あるいは共重合でビニルアルコール由来の水酸基を含むものが更に好ましく、水酸基価として20~200mgKOH/gであることが好ましい。また、ガラス転移温度は50℃~90℃であることが好ましい。
(塩化ビニル-アクリル共重合樹脂)
塩化ビニル-アクリル共重合樹脂は塩化ビニルモノマーとアクリルモノマーの共重合樹脂を主成分とするものであり、アクリルモノマーとしては、基材に対する接着性と有機溶剤に対する溶解性が向上するため(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルを含むことが好ましい。アクリルモノマーはポリ塩化ビニルの主鎖にブロックないしランダムに組み込まれていても良いし、ポリ塩化ビニルの側鎖にグラフトされていても良い。塩化ビニル-アクリル共重合樹脂は、重量平均分子量が10,000から100,000であることが好ましく、30,000から70,000であることが更に好ましい。
また、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂中の塩化ビニルモノマー由来の構造は、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂固形分100質量%中、70~95質量%であることが好ましい。この場合有機溶剤への溶解性が向上、更に基材への密着性、皮膜物性、ラミネート強度等が良好となる。
以下の説明において、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」はそれぞれ「メタクリルおよび/またはアクリル」、「メタクリレートおよび/またはアクリレート」を意味する。
上記アクリルモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、アルキル基の炭素数は1~20が好ましい。例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシルなどが挙げられる。更にアルキル基は更にベンゼン環構造を有しても良い。これらは単独または2種以上を併用できる。
またアクリルモノマーは水酸基を有して良く、例としては(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルや、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのグリコールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミドなどが挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピルが溶剤に対する溶解性を向上させるため、より好ましい。これらは単独または2種以上を併用できる。
(セルロース系樹脂)
バインダー樹脂は、セルロース系樹脂を含むことが好ましく、セルロース系樹脂としては、例えばセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートその他のセルロースエステル樹脂、ニトロセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、およびカルボキシアルキルセルロース等が挙げられる。セルロースエステル樹脂はアルキル基を有することが好ましく、当該アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、更にアルキル基が置換基を有していてもよい。
セルロース系樹脂としては、上記のうちセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、およびニトロセルロースが好ましい。特に好ましくはニトロセルロースである。分子量としては重量平均分子量で5,000~200,000のものが好ましく、10,000~50,000が更に好ましい。また、ガラス転移温度が120℃~180℃であるものが好ましい。ウレタン樹脂またはポリアミド樹脂との併用で耐ブロッキング性、耐擦傷性その他のコート剤被膜物性が向上するためである。
(ニトロセルロース)
上記ニトロセルロースは、例えば、天然セルロースと硝酸とを反応させて、天然セルロース中の無水グルコピラノース基の6員環中の3個の水酸基を、硝酸基に置換した硝酸エステルとして得られるものが好ましく、分子量としては重量平均分子量で5,000~200,000のものが好ましく、10,000~100,000が更に好ましい。また、ガラス転移温度が120℃~180℃であるものが好ましい。被膜の強度が向上し、耐擦傷性が向上するためである。また、基材密着性、ラミネート強度の観点から窒素分は10.5~12.5質量%であることが好ましい。
<シリカ粒子>
本発明の有機溶剤系グラビアインキは、シリカ粒子を含む。
シリカ粒子は天然産、合成品、あるいは結晶性、非結晶性、あるいは疎水性、親水性のものなどが挙げられる。シリカ粒子の合成法では、乾式、湿式法があり、乾式法では燃焼法、アーク法、湿式法では沈降法、ゲル法が知られており、いずれの方法で合成されたものでもよい。また、シリカ粒子は、表面に親水性官能基を有する親水性シリカでも良いし、親水性官能基をアルキルシラン等で変性して疎水化した疎水性シリカでも良いが、親水性シリカが好ましい。このようなシリカ粒子は例えば、東ソー・シリカ社製のニップジェルシリーズ、ニップシルシリーズ、水澤化学社製のミズカシルシリーズなどから選択できる。
シリカ粒子を含むインキは重ね印刷時のインキの濡れ・広がりを促し、トラッピング性を向上させ、かつ、ハイライト転移性も維持する効果をもつ。これは水、上記脂肪族アルコールとの併用で顕著である。シリカの添加量としては本発明のグラビアインキ100質量%中、0.1~3質量%含有することが好ましく、0.2~2.5質量%であることがなお好ましい。更に好ましくは0.2~2質量%であり、特に好ましくは0.2~1.5質量%である。
本発明で使用するシリカ粒子はインキ層の表面に凹凸を作るため、平均粒子径は1~10μmであることが好ましい。1~7μmであることがなお好ましく、1~5μmであることが更に好ましい。シリカ粒子の平均粒子径は、粒度分布における積算値50%(D50)での粒径を意味し、コールターカウンター法によって求めることができる。
またシリカ粒子は比表面積がBET法で50~600m/gであることが好ましい。より好ましくは100m~450m/gである。本発明のグラビアインキで使用するシリカ粒子は平均粒子径あるいはBET法比表面積の異なるものを組み合わせて使用出来る。
(顔料)
本発明のグラビアインキは、一般のインキ、塗料、及び記録剤などに使用されている無機顔料、有機顔料を含むことができる。有彩色は、有機顔料であることが好ましく、特に黒色顔料、藍色顔料、赤色顔料、および黄色顔料であることが好ましい。
有機顔料としては、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系、カーボンブラック系などの顔料が挙げられる。
以下に限定されないが、好適な顔料の例を、C.I.ピグメントナンバーで示す。
好ましい顔料として、
黒色顔料としてC.I.ピグメントブラック7、
藍色顔料としてC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、
緑色顔料としてC.I.ピグメントグリーン7、
赤色顔料としてC.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド166、
紫色顔料としてC.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット37、
黄色顔料としてC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー139、
橙色顔料としてC.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ64、
等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも一種または二種以上を使用することが好ましい。
無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ、リトボン、アンチモンホワイト、石膏などの白色無機顔料が挙げられる。無機顔料の中では酸化チタンの使用が特に好ましい。酸化チタンは白色を呈し、着色力、隠ぺい力、耐薬品性、耐候性の点から好ましく、印刷性能の観点から該酸化チタンはシリカおよび/またはアルミナ処理を施されているものが好ましい。
白色以外の無機顔料としては、例えば、アルミニウム粒子、マイカ(雲母)、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、ジルコンが挙げられ、アルミニウムは粉末またはペースト状であるが、取扱い性および安全性の面からペースト状で使用するのが好ましく、リーフィングまたはノンリーフィングを使用するかは輝度感および濃度の点から適宜選択される。
前記顔料の平均粒子径は、10~200nmの範囲にあるものが好ましく、より好ましくは50~150nm程度のものである。前記顔料は、グラビアインキの濃度・着色力を確保するのに充分な量、すなわちインキ組成物の総質量に対して1~60質量%、インキ組成物中の固形分質量比では10~90質量%の割合で含まれることが好ましい。また、これらの顔料は単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
(有機溶剤)
本発明において有機溶剤系グラビアインキの有機溶剤系とは、グラビアインキの液状媒体が有機溶剤を50質量%以上含む意味であり、70質量%以上あるいは80質量%以上が好ましい。
本発明において、液状媒体として、水と、3級炭素および/または4級炭素を有する沸点100~150℃の脂肪族アルコールとを含む。
(3級炭素および/または4級炭素を有する沸点100~150℃の脂肪族アルコール)
3級炭素および/または4級炭素を有する沸点100~150℃の脂肪族アルコール
(単に「脂肪族アルコール」という場合がある)は、他の構成要件と組み合わされて主に印刷適性に作用がある。当該脂肪族アルコールの沸点は100~140℃であることが好ましく、100~130℃であることがなお好ましい。脂肪族アルコールとしては、例えば、
3-メチル-1-ブタノール(沸点131℃)、2-メチル-1-ブタノール(沸点128℃)、2,2-ジメチル-1-プロパノール(沸点113℃)、3-メチル-2-ブタノール(沸点112.5℃)、2-メチル-2-ブタノール(沸点102℃)、イソブタノール(沸点108℃)、等が挙げられる。
なお、3級炭素とは、1つの炭素原子に3つの炭素原子と1つの炭素原子以外の原子とが結合している炭素であり、4級炭素とは、1つの炭素原子に4つの炭素原子が結合している炭素である。したがって、3級アルコールの水酸基と結合している炭素は3級炭素であり、2級アルコールの水酸基と結合している炭素は2級炭素である。
3級炭素および/または4級炭素を有する沸点100~150℃の脂肪族アルコールは、グラビアインキ総質量中に0.5~15質量%含有することを必須とする。
3級炭素および/または4級炭素を有する脂肪族アルコールをインキ全量の0.5~15質量%とする事で、グラビア印刷においてハイライト転移性、トラッピング性などの印刷適性が良好となる。また臭気上も問題がない。含有量として好ましくは1~10質量%であり、なお好ましくは1~8質量%である。また、当該脂肪族アルコールは、水と併用することで相乗効果を得る。脂肪族アルコール水と親和して顔料分散性を向上させ、また、印刷時版面におけるインキの乾燥速度をコントロールでき、ハイライト転移性、トラッピング性などが向上する。また、上記ウレタン樹脂と、塩化ビニル共重合樹脂および/またはセルロース系樹脂と、を含むバインダー樹脂により顔料分散性が良好であり、結果として積層体とした場合のラミネート強度が良好となるのである。
本発明において、液状媒体は、水、3級炭素および/または4級炭素を有する沸点100~150℃の脂肪族アルコール以外の有機溶剤を含んでもよい。
当該有機溶剤は、トルエンといった芳香族有機溶剤や、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤は使用しないことが好ましく、エステル系有機溶剤とアルコール系有機溶剤との混合溶剤を使用することが好ましい。
エステル系有機溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
アルコール系有機溶剤は、沸点100℃未満のアルコール系有機溶剤も使用が好ましく、例えば、n-プロパノール、イソプロパノール、エタノールその他脂肪族アルコールで100℃未満のものが好適に使用できる。エステル系有機溶剤と、沸点100℃未満の有機溶剤との質量比率が、95:5~40:60であることが好ましく、90:10~50:50であることがなお好ましい。
(そのほかの添加剤)
本発明のグラビアインキでは必要に応じて、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、ワックス、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤なども含むこともできる。
(有機溶剤系グラビアインキの製造)
本発明の有機溶剤系グラビアインキは、バインダー樹脂、顔料などを有機溶剤中に溶解及び/又は分散することにより製造することができる。具体的には、例えば、顔料をウレタン樹脂により有機溶剤に分散させた顔料分散体を製造し、得られた顔料分散体に、必要に応じて他の化合物などを配合することによりインキを製造することができる。顔料分散体における顔料の粒度分布は、分散機のメディアビーズのサイズ、メディアビーズの充填率、分散時間、顔料分散体の流出速度、顔料分散体の粘度などを適宜調節することにより、調整することができる。分散機としては、一般に使用される、例えば、ローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。ビーズミルの使用が好ましい。
前記方法で製造されたインキ粘度は、高速なグラビア印刷に適合させる観点から10~1000mPa・sの範囲であることが好ましく、15~700mPa・sの範囲であることがなお好ましい。尚、上記粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定された粘度である。
インキの粘度は、使用される原材料の種類や量、例えばウレタン樹脂、顔料、有機溶剤などを適宜選択することにより調整することができる。バインダー樹脂の有機溶剤への溶解性など粘度へ影響もあり、また、インキ中の顔料の粒度および粒度分布を調節することによりインキの粘度を調整することもできる。
本発明のグラビアインキは、版を用いての印刷適性(ハイライト転移性、トラッピング性(重ね印刷適性))で効果を発揮するものであり、凹版によるグラビア印刷用である一方で、版を使用せずインクジェットノズルからインキを吐出するインクジェット用インキとしての使用形態を除くものである。印刷のメカニズムが全く異なるためである。
(有機溶剤系グラビアインキの印刷、印刷物)
本発明における印刷物は、グラビアインキを下記基材1上にグラビア印刷機で印刷して印刷層を形成し、オーブンによる乾燥によって乾燥させて定着することで得られる。乾燥温度は通常40~60℃程度である。
(積層体)
本発明における積層体とは、少なくとも基材1、印刷層、基材2をこの順に有する易引裂き性を有する積層体をいう。少なくとも基材1、印刷層、接着剤層、基材2をこの順に有する積層体の使用形態であることが好ましい。
本発明の積層体は基材1上にグラビアインキを印刷した印刷物の印刷層上に、接着剤層を設け、基材2と貼り合わせる(ラミネートする)ことで得られる。ラミネート加工の代表例として、ドライラミネート法等が挙げられる。ドライラミネート法とは、接着剤を印刷物の印刷層上に塗布・乾燥し、シーラントと圧着して積層する方法である。
(基材1)
基材は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと称する場合がある)、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ乳酸等のポリヒドロキシカルボン酸、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)等の脂肪族ポリエステル系樹脂などの生分解性樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂又はそれらの混合物等の熱可塑性樹脂よりなるフィルムやこれらの積層体が挙げられるが、中でも、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンからなるフィルムが好ましい。
基材において印刷される面には、コロナ放電処理等をされていることが好ましく、あるいは、シリカおよび/またはアルミナ等が蒸着されていてもよい。
(基材2)
基材2は基材1と同様のものが挙げられ、同一でも異なっていてもよい。なお、熱可塑性基材(シーラントと称する場合がある)であることが好ましく、無延伸ポリエチレン基材、無延伸ポリプロピレン基材、無延伸ポリエステル基材等が好ましい。
(接着剤層)
接着剤層は接着剤を塗布、乾燥して得られる。当該接着剤としてはポリオールおよびイソシアネート硬化剤の混合物からなる2液型接着剤などが好適であり、ポリオールとしてはポリエステル系、ポリエーテル系などが挙げられる。具体的には東洋モートン株式会社製・TM-250HV/CAT-RT86L-60、TM-550/CAT-RT37、TM-314/CAT-14B等が挙げられる。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部および%は、特に注釈の無い場合、質量部および質量%を表わす。
(水酸基価)
JISK0070に従って求めた。
(酸価)
JISK0070に従って求めた。
(アミン価)
アミン価は、樹脂1g中に含有するアミノ基を中和するのに必要とする塩酸の当量と同量の水酸化カリウムのmg数でJISK0070に準じて以下の方法に従って求めた。
試料を0.5~2g精秤した(試料固形分:Sg)。精秤した試料にメタノール/メチルエチルケトン=60/40(質量比)の混合溶液50mLを加え溶解させた。得られた溶液に指示薬としてブロモフェノールブルーを加え、得られた溶液を0.2mol/Lエタノール性塩酸溶液(力価:f)で滴定を行なった。溶液の色が緑から黄に変化した点を終点とし、この時の滴定量(AmL)を用い、下記(式2)によりアミン価を求めた。
(式2)アミン価=(A×f×0.2×56.108)/S[mgKOH/g]
(重量平均分子量)
重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置(東ソー株式会社製HLC-8220)を用いて分子量分布を測定し、ポリスチレンを標準物質に用いた換算分子量として求めた。下記に測定条件を示す。
カラム:下記カラムを直列に連結して使用した。
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW2500
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW3000
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW4000
東ソー株式会社製TSKgelguardcolumnSuperAWH
検出器:RI(示差屈折計)
測定条件:カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
(合成例1)[ウレタン樹脂PU1]
数平均分子量2000の、メチルペンタンジオール(MPD)とセバシン酸(SA)の縮合物であるポリエステルポリオール(以下「MPD/SA」)100部、1,4-ブタンジオール(以下「1,4-BD」)1部、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」)28.5部および酢酸エチル32.1部を混合して90℃で窒素雰囲気下で5時間反応させて、末端イソシアネートウレタンプレポリマーを得た。次いでイソホロンジアミン(以下「IPDA」)11部、N-(2-アミノエチル)エタノールアミン(以下「AEA」)1部、ジブチルアミン(以下「DBA」)1部および酢酸エチル/イソプロパノール=70/30の混合溶剤を攪拌混合させ、得られた末端イソシアネートウレタンプレポリマーを40℃で徐々に添加し、次に80℃で1時間反応させ、固形分30%、アミン価6.5mgKOH/g、水酸基価3.8mgKOH/g、重量平均分子量50000のウレタン樹脂PU1溶液を得た。
(合成例2~4)[ウレタン樹脂PU2~PU4]
表1に示す原料を用い、合成例1と同様の方法により、ウレタン樹脂溶液PU2~PU4を得た。なお、表1中の略称は下記の通りである。
・NPG/SA:ネオペンチルグリコールとセバシン酸の縮合物であるポリエステルポリオール 数平均分子量2000
・NPG/AA:ネオペンチルグリコールとアジピン酸の縮合物であるポリエステルポリオール 数平均分子量2000
・PEG:ポリエチレングリコール 数平均分子量1000
・PPG:ポリプロピレングリコール 数平均分子量1000
(実施例1)[グラビアインキS1の作成]
ウレタン樹脂溶液PU1(固形分30%)を40質量部、塩化ビニル共重合樹脂(ソルバインTA5R:日信化学工業社製 塩化ビニル:酢酸ビニル:ビニルアルコール=88:1:11(固形分30%酢酸エチル溶液))10質量部、藍顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3(トーヨーカラー社製 製品名:LIONOL BLUE FG-7330)を10質量部、シリカ1(親水性シリカ 平均粒子径3.0μm、比表面積300m/g)0.8質量部、n-プロピルアセテート(NPAC)/イソプロパノール(IPA)=70/30の混合溶剤36.5質量部を混合し、アイガーミルで20分間分散した顔料分散体に、水1.5質量部およびイソブタノール3.5質量部を攪拌混合し、有機溶剤系グラビアインキS1を得た。
(実施例2~22)[グラビアインキS2~S22の作成]
表2に示す原料を用いた以外は実施例1と同様の方法により、グラビアインキS2~S15を得た。なお、表2および表3中の略称は以下を表す。
VC-Ac:塩化ビニル-アクリル共重合樹脂 塩化ビニル比80質量% 重量平均分子量50000
NC1:ニトロセルロース樹脂 窒素分10.5~12.5質量% 重量平均分子量60000
なお、
イソブタノール:沸点108℃(3級炭素を有する)
3-メチル-1-ブタノール:沸点131℃(3級炭素を有する)
2,2-ジメチル-1-プロパノール:沸点113℃(4級炭素を有する)
1-ブタノール:沸点118℃(3級炭素、4級炭素を有しない)
1-メトキシ-2-プロパノール:沸点121℃(3級炭素、4級炭素を有しない)
(比較例1~6)[グラビアインキSS1~SS6の作成]
表3に示す原料および比率を使用する以外は、上記実施例1に記載の方法と同様の方法にてグラビアインキSS1~SS6を得た。
(グラビアインキの印刷)
上記で得られたグラビアインキS1~S22、SS1~SS6を、混合溶剤(メチルエチルケトン「MEK」:Nプロピルアセテート「NPAC」:イソプロパノール「IPA」=30:40:30)により、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈し、ヘリオ175線ベタ版(版式コンプレスト、100%ベタ柄)により、ポリプロピレンフィルム(膜厚20μm)のコロナ放電処理面に印刷速度100m/分で印刷し、S1~S22、SS1~SS6の印刷物をそれぞれ得た。
(ラミネート加工)
S1~S22、SS1~SS6の印刷物の印刷層上に、ポリエーテルウレタン系ラミネート接着剤(東洋モートン社製TM320/CAT13B)を固形分30%の酢酸エチル溶液を、乾燥後の接着剤層が2.0g/mとなるように塗工・乾燥した後、接着剤層に厚さ50μmの未延伸ポリエチレン(PE)を貼り合わせてドライラミネート加工を行ってインキS1~S22、SS1~SS6を使用したラミネート積層体を得た。
(評価)
上記実施例および比較例で得られたグラビアインキ、印刷物およびラミネート積層体を用いて以下の特性評価を行った。評価ABおよびCが実用範囲である。
(ハイライト転移性)
実施例、比較例で得られたグラビアインキの粘度を酢酸エチル/イソプロパノール=70/30の混合溶剤でザーンカップ#3(離合社製)で16秒(25℃)に調整し、グラビア版を取り付けたグラビア印刷機を用いて、片面にコロナ放電処理を施した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学株式会社製FOR厚さ20μm)の処理面に印刷を行った。試験は、30℃の高温条件下において行い、網点グラデーション柄部分を有するグラビア版(円周600mmφ)で200m/minの印刷速度した際のハイライト(網点面積5%以上10%未満)印刷部分における印刷柄のカスレの面積の割合を目視評価した。
(評価基準)
A:カスレが全くなく、非印刷部の汚れもない。
B:カスレが面積比5%未満で見られる。
C:カスレが面積比5%以上15%未満で見られる。
D:カスレが面積比15%以上みられる。
(トラッピング性)
上記実施例および比較例で得られた印刷物のそれぞれの印刷層上に、東洋インキ社製リオアルファSF121紅(紅インキ)を重ねて印刷を行った。印刷条件は上記「ハイライト転移性」での評価条件で行った。評価は重ねの紅インキが当該印刷層上にどの程度濡れ広がるかで評価を行った。
A:印刷された部分にムラが無い。
B:印刷された部分に僅かにムラがある。
C:印刷された部分にやや目立つムラがある。
D:印刷部の全体に渡り大きなムラがある、あるいはまだら模様が見える。
(ラミネート強度)
実施例および比較例で得られたラミネート積層体を15mm幅に切り出し、引張り試験機にて引っ張り速度50mm/分で90度剥離試験を行った。0.7N/15mm以上であれば実用範囲である。
(評価基準)
A:ラミネート強度が1.5N/15mm以上である。
B:ラミネート強度が1.0N/15mm以上~1.5N/15mm未満である。
C:ラミネート強度が0.5N/15mm以上~1.0N/15mm未満である。
D:ラミネート強度が0.5N/15mm未満である。
(有機溶剤リサイクル性)
(回収・再使用性)
グラビア印刷機(富士機械社工業社製)の乾燥器の排気口から溶剤回収試験機(クレハエンジニアリング製)をダクトで繋いだ。上記ハイライト転移性と同条件で、グラビア版の版深度が25μmのグラビア版を用いて印刷を行い、回収装置により回収された有機溶剤のpHを測定した。pHの測定は、200gの水を入れた分液漏斗に200gの回収溶剤を加え、3分間混合した後に水を分取し、その水のpHを測定した。
(評価)
A:pHの6以上8未満
B:pHが5以上6未満
D:pHが5未満
(印刷物臭気)
上記実施例および比較例で得られた印刷物を印刷直後に10cm×15cmに切り出して瓶に密閉して60℃のオーブンで3時間保持した。保持後のサンプルを常温に戻し、以下の基準で評価した。評価は官能性評価であり、任意に10人から臭気感じた者、臭気をあまり感じなかった者とで、その人数で評価した。
(評価基準)
A:臭気を感じた人数が0~1人。
B:臭気を感じた人数が2~3人。
C:臭気を感じた人数が4~5人。
D:臭気を感じた人数が6人以上。
Figure 0007547991000001
Figure 0007547991000002
Figure 0007547991000003
上記のように、本発明の要件を具備する実施例のインキ、印刷物および積層体は本願課題を達成しうる結果を得た。一方で本発明の要件を具備しない比較例のインキ、印刷物および積層体は、いずれかの特性を満たすことができなかった。

Claims (8)

  1. バインダー樹脂として、ウレタン樹脂と、塩化ビニル共重合樹脂および/またはセルロース系樹脂とを含んでなる有機溶剤系グラビアインキであって、
    前記グラビアインキ総質量中に、3級炭素および/または4級炭素を有する沸点100~150℃の脂肪族アルコールを0.5~15質量%含有し、かつ、水を0.1~10質量%含有し、
    更に、エステル系有機溶剤と沸点100℃未満のアルコール系有機溶剤との混合溶剤を含有する、有機溶剤系グラビアインキ。
  2. 脂肪族アルコールと、水との質量比率が、85:15~15:85である、請求項1に記載の有機溶剤系グラビアインキ。
  3. 脂肪族アルコールと、水との合計質量が、グラビアインキ総質量中1~15質量%である、請求項1または2に記載の有機溶剤系グラビアインキ。
  4. 更に、シリカ粒子を含有する、請求項1~3いずれかに記載の有機溶剤系グラビアインキ。
  5. ウレタン樹脂が、ポリエステルポリオール由来の構成単位を有する、請求項1~4いずれかに記載の有機溶剤系グラビアインキ。
  6. ポリエステルポリオールが、セバシン酸由来の構成単位を含む、請求項5に記載の有機溶剤系グラビアインキ。
  7. 基材1上に、請求項1~6いずれかに記載の有機溶剤系グラビアインキから形成された印刷層を有する印刷物。
  8. 基材1、請求項1~6いずれかに記載の有機溶剤系グラビアインキから形成された印刷層、接着剤層および基材2を順次有する積層体。
JP2020211134A 2020-12-21 2020-12-21 有機溶剤系グラビアインキ、それを用いた印刷物および積層体 Active JP7547991B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020211134A JP7547991B2 (ja) 2020-12-21 2020-12-21 有機溶剤系グラビアインキ、それを用いた印刷物および積層体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020211134A JP7547991B2 (ja) 2020-12-21 2020-12-21 有機溶剤系グラビアインキ、それを用いた印刷物および積層体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022097894A JP2022097894A (ja) 2022-07-01
JP7547991B2 true JP7547991B2 (ja) 2024-09-10

Family

ID=82165537

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020211134A Active JP7547991B2 (ja) 2020-12-21 2020-12-21 有機溶剤系グラビアインキ、それを用いた印刷物および積層体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7547991B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001137647A (ja) 1999-11-15 2001-05-22 Kureha Techno Enji Kk 排ガスの多段吸着処理装置及び方法
JP2014005318A (ja) 2012-06-21 2014-01-16 Dic Graphics Corp リキッドインキ
JP2019011435A (ja) 2017-06-30 2019-01-24 東洋インキScホールディングス株式会社 グラビアインキおよびその印刷物と積層体
JP2019203066A (ja) 2018-05-23 2019-11-28 Dicグラフィックス株式会社 リキッドインキ組成物
JP2020147688A (ja) 2019-03-14 2020-09-17 Dicグラフィックス株式会社 リキッド印刷インキ、印刷物、及び積層体

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001137647A (ja) 1999-11-15 2001-05-22 Kureha Techno Enji Kk 排ガスの多段吸着処理装置及び方法
JP2014005318A (ja) 2012-06-21 2014-01-16 Dic Graphics Corp リキッドインキ
JP2019011435A (ja) 2017-06-30 2019-01-24 東洋インキScホールディングス株式会社 グラビアインキおよびその印刷物と積層体
JP2019203066A (ja) 2018-05-23 2019-11-28 Dicグラフィックス株式会社 リキッドインキ組成物
JP2020147688A (ja) 2019-03-14 2020-09-17 Dicグラフィックス株式会社 リキッド印刷インキ、印刷物、及び積層体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2022097894A (ja) 2022-07-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6391035B1 (ja) グラビアインキおよびその印刷物と積層体
WO2018088523A1 (ja) 溶剤型ラミネート用グラビアインキ、印刷物、および積層体
JP7139712B2 (ja) グラビアまたはフレキソインキ
JP6090520B1 (ja) ラミネート用グラビアインキ組成物、印刷物、および積層体
JP7168027B2 (ja) 印刷インキ用バインダーの溶液、及び包装ラミネート用印刷インキ組成物
JP7098020B1 (ja) インキ組成物、積層体、及び食品包装材
WO2012008339A1 (ja) 印刷インキ
WO2018016578A1 (ja) ラミネート用グラビアインキ、印刷物、および積層体
JP7039952B2 (ja) ラミネート用グラビアインキおよびその印刷物と積層体
JP6331205B1 (ja) ラミネート用グラビアインキ、印刷物、および積層体
WO2015041022A1 (ja) 印刷インキ及び印刷物
JP7164779B2 (ja) 有機溶剤系グラビアインキ、それを用いた印刷物及び積層体
JP7547991B2 (ja) 有機溶剤系グラビアインキ、それを用いた印刷物および積層体
JP2022019058A (ja) 溶剤型ラミネート用グラビアまたはフレキソインキとその利用
JP7400562B2 (ja) グラビアまたはフレキソインキとその利用
JP6932218B2 (ja) リキッド印刷インキ、印刷物、及び包装材料
JP2022169882A (ja) フレキソ印刷層を有する包装材、および包装材の製造方法
JP2021187871A (ja) ラミネート用グラビアインキ、印刷物および積層体
JP7442400B2 (ja) 印刷用リキッドインキ、及び印刷物
JP7361565B2 (ja) リキッド印刷インキ、印刷物、及び包装材料
JP7533676B1 (ja) 包装材及び包装材の製造方法
JP7459625B2 (ja) ラミネート用グラビアインキまたはラミネート用フレキソインキとその利用
JP7355271B1 (ja) 軟包装用ラミネートインキ組成物
JP7531307B2 (ja) リキッド印刷インキ、及び印刷物
JP7277685B2 (ja) ラミネート積層体用グラビアインキ、それを用いた印刷物、ラミネート積層体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230801

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20230804

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20230804

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240312

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240416

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240422

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240730

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240812

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7547991

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150