JP7547920B2 - SiC基板の研磨方法 - Google Patents

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本発明は、SiC基板の研磨方法に関する。
炭化珪素(SiC)は、シリコン(Si)に比べて絶縁破壊電界が1桁大きく、バンドギャップが3倍大きく、熱伝導率が3倍程度高い。そのため、炭化珪素(SiC)は、パワーデバイス、高周波デバイス、高温動作デバイス等の基板としての応用が期待されている。このため、近年、半導体デバイスの基板にSiC基板が用いられるようになっている。このような目的に用いられるSiC基板は、一般に、一方の表面がSi面で、他方の表面がC面とされた単結晶体である。通常は、SiC基板のSi面にデバイスが搭載される。
上述のSiC基板は、一般に、昇華法等で作製したSiC単結晶のインゴットから製造される。通常は、円柱状に形成されたSiC単結晶インゴットを、ワイヤーソー等を用いて円板状にスライス加工することによって製造されている。得られたSiC基板は、平坦化及び平滑化のために、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械研磨)法等のメカノケミカル研磨を行なうのが一般的である。CMP法とは、例えば、研磨パッドに砥粒スラリーを供給しながら、SiC基板の表面と研磨パッドとを接触させることよって、SiC基板の表面を研磨する方法である。通常は、研磨パッドを回転可能な定盤に固定し、SiC基板を保持プレートにワックスで固定して、定盤と保持プレートとを互いに反対方向に回転させながら、SiC基板の表面と研磨パッドとを接触させることよって、SiC基板の表面を研磨する。
特許文献1には、SiC基板の研磨用の砥粒スラリーとして、モース硬度が8以下の軟質研磨粒子と、コロイダルシリカ粒子、モース硬度が8以上の硬質研磨粒子を含むスラリーが記載されている。
特許文献2には、SiC基板の研磨用の砥粒スラリーとして、バナジン酸塩と、酸素供与剤と、砥粒とを含むスラリーが記載されている。この特許文献2には、SiC基板のC面の研磨する砥粒スラリーのpHを8以下とすることが記載されている。
特表2009-509784号公報 特開2008-179655号公報
SiC基板の生産時間の短縮化のため、研磨時間を短縮化できれば望ましい。しかしながら、SiCは、それ自体が研磨剤として利用されるほど極めて硬度が高く、化学的、熱的にも安定な物質である。このため、SiC基板は加工が極めて難しい。例えば、CMP法による研磨においては、砥粒として硬度の高い物質(例えば、ダイヤモンド粒子)を単独で使用することや定盤の回転速度を速くすることによって、研磨レートを速くすることは可能である。しかしながら、この場合には、研磨後のSiC基板の平坦性や平滑性が低下することがある。また、定盤に固定されている研磨パッドの温度が過度に上昇することによって、SiC基板を保持プレートに固定する際に用いるワックスが溶解して、研磨中にSiC基板が保持プレートから外れるおそれがある。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、研磨レートを速くしても、研磨パッドの過度な温度の上昇と、研磨後のSiC基板の表面の平坦性や平滑性の低下とを抑制することができるSiC基板の研磨方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ダイヤモンド粒子と、コロイダルシリカ粒子と、バナジン酸塩とを含み、ダイヤモンド粒子とコロイダルシリカ粒子の平均粒子径が所定の範囲内にあって、pHが所定の範囲内にある砥粒スラリーを用いて、SiC基板を研磨することによって、研磨パッドの温度を過度に上昇させずに、研磨レートを速くすることが可能となることを見出した。そして、研磨後のSiC基板の平坦性や平滑性については、SiC基板のC面として利用するのであれば実用上問題ない範囲であることを確認して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)ダイヤモンド粒子と、コロイダルシリカ粒子と、バナジン酸塩とを含み、前記ダイヤモンド粒子は、平均粒子径が0.25μm以上1.00μm以下の範囲内にあり、前記コロイダルシリカ粒子は、平均粒子径が0.10μm以上0.50μm以下の範囲内にあって、pHが8より大きく9以下の範囲内にある砥粒スラリーを用意する工程と、研磨パッドに前記砥粒スラリーを供給しながら、SiC基板のC面を、前記研磨パッドを用いて研磨する工程と、を含む、SiC基板の研磨方法。
(2)前記ダイヤモンド粒子の平均粒子径が、前記コロイダルシリカ粒子の平均粒子径よりも大きい、上記(1)に記載のSiC基板の研磨方法。
(3)前記ダイヤモンド粒子の含有量が1g/L以上10g/L以下の範囲内にある、上記(1)又は(2)に記載のSiC基板の研磨方法。
(4)前記コロイダルシリカ粒子の含有量が50g/L以上300g/L以下の範囲内にある、上記(1)~(3)のいずれか一つに記載のSiC基板の研磨方法。
(5)前記バナジン酸塩の含有量が10g/L以上200g/L以下の範囲内にある、上記(1)~(4)のいずれか一つに記載のSiC基板の研磨方法。
本発明のSiC基板の研磨方法によれば、研磨レートを速くしても、研磨パッドの過度な温度の上昇と、研磨後のSiC基板の表面の平坦性や平滑性の低下とを抑制することができる。
本発明の一実施形態に係るSiC基板の研磨方法に用いることができる研磨装置の一例の斜視図である。 図1の研磨装置で用いられるSiC基板の保持プレートの一例の平面図である。
以下、本発明に係るSiC基板の研磨方法の実施形態について、図面を適宜参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
<SiC基板>
本実施形態のSiC基板の研磨方法において被研磨物であるSiC基板は、各種の半導体デバイスに用いられる半導体基板である。SiC基板は、一方の表面がSi面で、他方の表面がC面とされた単結晶体である。通常は、SiC基板のSi面にデバイスが搭載される。このため、SiC基板のC面は、Si面と比較して、平坦性や平滑性がやや低くてもよい場合がある。なお、本実施形態のSiC基板の研磨方法を用いて研磨したSiC基板のC面は、表面粗さRaが10Å未満であることが好ましく、8Å以下であることが特に好ましい。また、SiC基板のC面の表面粗さRaは2Å以上であってもよい。
SiC基板は、例えば、次のようにして製造することができる。先ず、円柱状のSiC単結晶インゴットを用意する。円柱状のSiC単結晶インゴットは、例えば、昇華法等により作製することができる。次いで、円柱状のSiC単結晶インゴットを、ワイヤーソー等を用いて円板状にスライス加工する。
<砥粒スラリー>
本実施形態のSiC基板の研磨方法において用いる砥粒スラリーは、ダイヤモンド粒子と、コロイダルシリカ粒子と、バナジン酸塩とを含む。砥粒スラリーの溶媒は、水であってもよい。砥粒スラリーは、ダイヤモンド粒子と、コロイダルシリカ粒子と、バナジン酸塩とを含み、残部が溶媒と不可避不純物であってもよい。不可避不純物は、砥粒スラリーの原料に含まれる不純物及び砥粒スラリーの製造時に混入する不純物を含む。
ダイヤモンド粒子は、平均粒子径が0.25μm以上1.00μm以下の範囲内とされている。ダイヤモンド粒子は、SiC基板を相対的に粗く研磨する作用がある。ダイヤモンド粒子の平均粒子径が上記の範囲内とされているので、研磨レートを速くすることによって、研磨パッドの温度が過度に上昇することを抑制することができる。ダイヤモンド粒子の平均粒子径は、0.50μm以上1.00μm以下の範囲内であることが好ましい。ダイヤモンド粒子の平均粒子径がこの範囲内にあると、研磨パッドの温度の上昇をより抑制することができると共に、後述の研磨装置において、研磨パッドが固定されている定盤を、回転させるのに必要な電流量を低減させることができる。
また、ダイヤモンド粒子の平均粒子径は、コロイダルシリカ粒子の平均粒子径よりも大きいことが好ましい。ダイヤモンド粒子の平均粒子径をコロイダルシリカ粒子の平均粒子径よりも大きくすることによって、さらに研磨パッドの温度上昇を抑制することが可能となる。ダイヤモンド粒子の平均粒子径は、コロイダルシリカ粒子の平均粒子径を1として、1.1以上10以下の範囲内にあることが好ましく、1.2以上8.0以下の範囲内にあることが特に好ましい。
コロイダルシリカ粒子は、平均粒子径が0.10μm以上0.50μm以下の範囲内とされている。コロイダルシリカ粒子は、SiC基板を相対的に微細に研磨する作用がある。コロイダルシリカ粒子の平均粒子径が上記の範囲内とされているので、研磨レートを速くすることによって、研磨後のSiC基板の表面の平坦性や平滑性が低下することを抑制することができる。コロイダルシリカ粒子の平均粒子径は、0.10μm以上0.40μm以下の範囲内にあることが好ましい。
バナジン酸塩は、SiC基板の表面におけるSi-C結合の酸化開裂を促進する作用を有する。バナジン酸塩としては、例えば、バナジン酸アンモニウム、バナジン酸ナトリウム、バナジン酸カリウムを用いることができる。これらのバナジン酸塩は一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
砥粒スラリーは、pHが8より大きく9以下の範囲内とされている。砥粒スラリーのpHがこの範囲内とされているので、コロイダルシリカ粒子が安定に分散し、コロイダルシリカ粒子の凝集体の生成を抑制することができる。コロイダルシリカ粒子の凝集体の生成が抑制されるので、研磨後のSiC基板は、その凝集体によるスクラッチが発生しにくくなる。
砥粒スラリーのダイヤモンド粒子の含有量は、1g/L以上10g/L以下の範囲内にあってもよい。また、コロイダルシリカ粒子の含有量は50g/L以上300g/L以下の範囲内にあってもよい。コロイダルシリカ粒子の含有量をダイヤモンド粒子の含有量よりも多くすることによって、研磨後のSiC基板の表面の平坦性や平滑性が低下することをより抑制することができる。コロイダルシリカ粒子の含有量は、ダイヤモンド粒子の含有量を1として、10以上200以下の範囲内にあることが好ましく、20以上100以下の範囲内にあることが特に好ましい。また、バナジン酸塩の含有量は10g/L以上200g/L以下の範囲内にあってもよい。
砥粒スラリーの調製方法としては、例えば、溶媒と、ダイヤモンド粒子と、コロイダルシリカ粒子と、バナジン酸塩とを混合し、ダイヤモンド粒子とコロイダルシリカ粒子とを分散処理する方法を用いてもよい。分散処理としては、例えば、超音波処理を用いてもよい。各材料の混合順序には、特に制限はない。例えば、コロイダルシリカ粒子とバナジン酸塩とを含むスラリーに、ダイヤモンド粒子を加えてもよいし、ダイヤモンド粒子とバナジン酸塩とを含むスラリーに、コロイダルシリカ粒子を加えてもよい。また、バナジン酸塩を含む溶液に、コロイダルシリカ粒子とダイヤモンド粒子を加えてもよいし、溶媒に、ダイヤモンド粒子と、コロイダルシリカ粒子と、バナジン酸塩を同時に加えてもよい。
<研磨装置>
次に、本実施形態のSiC基板の研磨方法に用いることができる研磨装置について、図1と図2を参照しながら説明する。
研磨装置10は、図1に示すように、砥粒スラリー供給装置20と、研磨パッド30と、保持プレート40と、プレート回転駆動装置50とを備える。
砥粒スラリー供給装置20は、上述の砥粒スラリー1を研磨パッド30に供給するための装置である。砥粒スラリー供給装置20は撹拌機21を備えていて、ダイヤモンド粒子及びコロイダルシリカ粒子が沈殿しないように砥粒スラリー1を撹拌できるようにされている。
研磨パッド30は、円板状の定盤(不図示)に固定されている。定盤は、定盤駆動装置(不図示)によって、周方向に回転可能とされている。研磨パッド30は、定盤と共に回転するように固定されている。
研磨パッド30は、不織布、スエード材など研磨パッドとして用いられているものを用いることができる。研磨パッド30の材料は、例えば、ウレタン樹脂であってもよい。研磨パッド30の厚みは、0.1mm以上10mm以下の範囲内にあってもよい。研磨パッド30の硬さは、例えば、アスカーA型で5以上99以下の範囲内であってもよく、ショアDで5以上99以下の範囲内であってもよい。研磨パッド30の圧縮率は0.1%以上10%以下の範囲内にあってもよい。なお、圧縮率は、JIS L 1021-6(繊維製床敷物試験方法-第6部:静的荷重による厚さ減少試験方法)に記載されている方法に準拠した方法により測定した値である。
保持プレート40は、図2に示すように、円板状であって、3つのSiC基板2を保持できるようにされている。保持プレート40の材料としては、セラミックスやガラスを用いてもよい。保持プレート40は、プレート回転駆動装置50によって周方向に回転可能とされている。
研磨装置10を用いたSiC基板の研磨方法は、例えば、次のように実施される。
先ず、砥粒スラリー供給装置20に、砥粒スラリー1を投入する。
次に、保持プレート40を、以下のようにしてSiC基板2に固定する。先ず、保持プレート40を90℃に加温する。次いで、加温した保持プレート40にワックスを塗布し、ワックスを塗布した部分にSiC基板2を配置する。その後、冷却によりワックスを固化させて、保持プレート40をSiC基板2に固定する。
SiC基板2を固定した保持プレート40を、SiCのC面が、研磨パッド30と接するように、研磨パッド30の上に配置する。保持プレート40の上面にプレート回転駆動装置を設置する。SiC基板2と研磨パッド30の面圧は1psi以上10psi以下の範囲内としてもよい。
次いで、砥粒スラリー供給装置20の撹拌機21を作動させて、砥粒スラリー1を撹拌しながら、研磨パッド30に砥粒スラリー1を供給する。砥粒スラリー1の供給速度は研磨パッド30の面積1000cmあたりの速度として5mL/分以上30mL/分以下の範囲内としてもよい。
次いで、定盤駆動装置(不図示)を作動させて、定盤(不図示)と共に、研磨パッド30を周方向に回転させる。これに合わせて、プレート回転駆動装置50を作動させて、保持プレート40を、研磨パッド30とは反対側の周方向に回転させる。研磨パッド30の回転速度は、5rpm以上500rpmの範囲内としてもよく、保持プレート40の回転速度は、5rpm以上500rpmの範囲内としてもよい。
研磨パッド30と保持プレート40とを周方向に回転させることによって、SiC基板2のC面が研磨される。研磨時間は、SiC基板2のサイズやC面の粗さによっても変わるが、10分以上1時間以内としてもよい。
本実施形態のSiC基板の研磨方法によれば、砥粒スラリーが、ダイヤモンド粒子と、コロイダルシリカ粒子と、バナジン酸塩とを含み、前記ダイヤモンド粒子は、平均粒子径が0.25μm以上1.00μm以下の範囲内にあり、前記コロイダルシリカ粒子は、平均粒子径が0.10μm以上0.50μm以下の範囲内にあって、pHが8より大きく9以下の範囲内にあるので、研磨レートを速くしても、研磨パッドの温度が過度に上昇しにくく、また研磨後のSiC基板の表面の平坦性や平滑性が低下しにくい。よって、SiC基板の製造時間を短縮化することが可能となる。
[実施例1]
1Lの水に、コロイダルシリカ粒子(平均粒子径:0.20μm)を80.0g、ダイヤモンド粒子(平均粒子径:0.25μm)を1.5g、バナジン酸ナトリウムを22.0g投入し、撹拌して混合した。次いで得られた混合物に対して超音波処理を行なって、砥粒スラリーを調製した。調製した砥粒スラリーの組成を、下記の表1に示す。
図1に示す研磨装置10の砥粒スラリー供給装置20に、上記の砥粒スラリー1を投入した。また、保持プレート40に、予め質量を計測したSiC基板2(直径:150mm、厚さ:350μm)を3枚固定し、その保持プレート40をSiC基板のC面が研磨パッドと接するように研磨パッド30の上に配置した。なお、研磨装置10の研磨パッド30は、厚さ:1.3mmのウレタン樹脂製繊維の不織布(硬度:42(ショアD)、圧縮率:7%)を用いた。次いで、保持プレート40の上面にプレート回転駆動装置50を設置した。SiC基板のC面と研磨パッドの面圧は6psiとした。
砥粒スラリー供給装置20の撹拌機21を用いて、砥粒スラリー1を撹拌しながら、研磨パッド30に砥粒スラリー1を供給した。砥粒スラリー1の供給速度は、研磨パッド30の面積1000cmあたりの速度として5mL/分以上30mL/分以下となるように調整した。研磨パッド30に砥粒スラリー1を供給しながら、研磨パッド30を時計方向に100rpmの速度で回転させ、保持プレート40を反時計方向に50rpmの速度で回転させて、SiC基板のC面を0.5時間研磨した。
研磨終了後、砥粒スラリーの供給を止めて、研磨装置10から保持プレート40を取り出し、3枚のSiC基板2を回収した。回収したSiC基板2を水で洗浄して、砥粒スラリー1を十分に洗い流した後、乾燥した。
[評価]
研磨レート、定盤電流、研磨パッド温度、表面粗さRaを、下記のようにして測定した。その結果を、表2に示す。
(研磨レート)
乾燥後のSiC基板の質量を測定して、下記の式(1)より研磨レートを算出する。研磨レートは、3枚のSiC基板についてそれぞれ測定した。表2に記載した研磨レートは、3枚のSiC基板の研磨レートの平均値である。
研磨レート(μm/時間)=[{(W0-W1)/D}/S]/T・・・(1)
W0は、研磨前に予め測定したSiC基板の質量を表し、W1は、研磨後のSiC基板の質量を表し、Dは、SiCの密度を表し、Sは、SiC基板のC面の面積を表し、Tは、研磨時間(0.5時間)を表す。
(定盤電流)
研磨中に定盤に供給された電流量を計測し、研磨中に供給された電流量の総量を、定盤電流として算出する。
(研磨パッド温度)
研磨終了後、砥粒スラリーの供給を止めてから、研磨装置10から保持プレート40を取り出す前に、研磨パッド30の温度を、非接触式温度計を用いて測定する。
(表面粗さRa)
乾燥後のSiC基板のC面の表面粗さRaを、表面粗さ測定装置(Candela、KLA-Tencor社製)を用いて測定する。なお、表面粗さRaは、1枚のSiC基板について3箇所測定し、その平均表面粗さを求めた。表2に記載した表面粗さRaは、3枚のSiC基板の研磨レートの平均表面粗さの平均値である。
Figure 0007547920000001
Figure 0007547920000002
本発明に従う砥粒スラリーを用いた実施例1~3は、砥粒としてコロイダルシリカ粒子のみを含む砥粒スラリーを用いた比較例1と比較して、研磨レートが速く、研磨パッド温度が低くなった。特に、平均粒子径が1.00μmのダイヤモンド粒子を用いた実施例3は、比較例1と比較して、研磨レートが速く、定盤電流が低く、研磨パッド温度が低くなった。一方、砥粒としてダイヤモンド粒子のみを含む砥粒スラリーを用いた比較例2は研磨後のSiC基板の表面粗さRaが測定不可(10Å以上)となった。
1 砥粒スラリー
2 SiC基板
10 研磨装置
20 砥粒スラリー供給装置
21 撹拌機
30 研磨パッド
40 保持プレート
50 プレート回転駆動装置

Claims (5)

  1. ダイヤモンド粒子と、コロイダルシリカ粒子と、バナジン酸塩とを含み、前記ダイヤモンド粒子は、平均粒子径が0.25μm以上1.00μm以下の範囲内にあり、前記コロイダルシリカ粒子は、平均粒子径が0.10μm以上0.50μm以下の範囲内にあって、pHが8より大きく9以下の範囲内にある砥粒スラリーを用意する工程と、
    研磨パッドに前記砥粒スラリーを供給しながら、SiC基板のC面を、前記研磨パッドを用いて研磨する工程と、を含み、
    前記砥粒スラリーは過酸化水素を含まない、SiC基板の研磨方法。
  2. 前記ダイヤモンド粒子の平均粒子径が、前記コロイダルシリカ粒子の平均粒子径よりも大きい、請求項1に記載のSiC基板の研磨方法。
  3. 前記ダイヤモンド粒子の含有量が1g/L以上10g/L以下の範囲内にある、請求項1又は2に記載のSiC基板の研磨方法。
  4. 前記コロイダルシリカ粒子の含有量が50g/L以上300g/L以下の範囲内にある、請求項1~3のいずれか一項に記載のSiC基板の研磨方法。
  5. 前記バナジン酸塩の含有量が10g/L以上200g/L以下の範囲内にある、請求項1~4のいずれか一項に記載のSiC基板の研磨方法。
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