JP7540756B2 - 更年期症状の予防及び/又は改善組成物 - Google Patents

更年期症状の予防及び/又は改善組成物 Download PDF

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Description

本発明は、更年期症状を予防及び/又は改善する組成物に関する。
更年期とは、一般的に、閉経を挟んだ前後約10年間のことを指し、日本人女性は50歳前後といわれている。更年期には、例えば、急に顔が熱くなったり赤くなったりするなどの、この時期特有の症状(更年期症状)が生じることがある。このような更年期における様々な不快な症状は、女性ホルモンの1つであるエストロゲンと密接な関係があることが知られており、このエストロゲン量の急激な減少に身体が対応できなくなることにより生じると考えられている。
この更年期症状の改善には、イソフラボンが有効であるとされており、例えば、大豆イソフラボン等から抽出したイソフラボンを含有する組成物を用いて閉経前後の症状(更年期症状)を改善することが提案されている(特許文献1参照)。また、大豆イソフラボンを、テアニンとローヤルゼリーと組み合わせて、更年期障害を含む女性ホルモン異常障害を改善することが提案されている(特許文献2参照)。
しかし、その効果は十分といえず、更年期症状に対して十分な予防改善作用を有し、かつ、安全性の高い食品又は医薬品が求められている。
特開平11-221048号公報 特開2003-002831号公報
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、副作用の問題がなく、長期的かつ持続的な摂取が可能であり、更年期症状に対する優れた予防及び/又は改善効果を奏する経口組成物を提供することにある。
本発明者らは、副作用がなく、更年期症状をより効果的に予防及び/又は改善する食品及び医薬品について鋭意検討した結果、特定の植物素材の組合せがイソフラボンの更年期症状改善効果を増強することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りのものである。
[1]イソフラボンと植物素材とを含有することを特徴とする経口組成物。
[2]植物素材が、大麦若葉と、ケールと、ヨモギ、長命草、ゴーヤ、クマザサ、セロリ、アシタバ、クワ及びホウレンソウから選ばれる少なくとも1つとを含有することを特徴とする[1]、[6]又は[7]に記載の経口組成物。
[3]更年期症状の予防及び/又は改善に用いられることを特徴とする[1]又は[2]に記載の経口組成物。
[4]イソフラボンを有効成分とする更年期症状の予防及び/又は改善用経口組成物において、さらに、大麦若葉と、ケールと、ヨモギ、長命草、ゴーヤ、クマザサ、セロリ、アシタバ、クワ及びホウレンソウから選ばれる少なくとも1つの植物素材と、を含有することを特徴とする更年期症状の予防及び/又は改善用経口組成物。
[5]機能性食品であることを特徴とする[1]~[4]のいずれかに記載の経口組成物。
[6]イソフラボンと植物素材とを含有することを特徴とするエストロゲン受容体活性用経口組成物。
[7]イソフラボンと植物素材とを含有することを特徴とする更年期に起因して急に顔が熱くなることや赤くなることを軽減するための経口組成物。
本発明の経口組成物は、優れた更年期症状の予防及び/又は改善効果を有する。
本発明の組成物(イソフラボン+大麦若葉+ケール+他の植物素材)をヒト乳腺癌由来細胞に適用した場合のエストロゲン様活性の変化値を示す図である。
本発明の経口組成物は、イソフラボンと植物素材とを含有することを特徴とし、特に、イソフラボンと、大麦若葉と、ケールと、ヨモギ、長命草、ゴーヤ、クマザサ、セロリ、アシタバ、クワ及びホウレンソウから選ばれる少なくとも1つの植物素材(ヨモギ~ホウレンソウを他の植物素材ということがある)と、を含有することが好ましい。イソフラボン、大麦若葉、ケールと共に用いられる他の植物素材は、一種単独(例えばヨモギのみ)で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。他の植物素材を2種以上組み合わせて用いる場合、イソフラボンの効果を増強する効果の高い植物素材同士を組み合わせることが好ましい。
大麦若葉、ケール及び他の植物素材の特定の組合せがイソフラボンのエストロゲン用活性を増強することから、本発明の経口組成物は、エストロゲンの低下に起因する更年期の女性に特徴的な症状を有効に予防及び/又は改善することができる。
[イソフラボン]
本発明の経口組成物に用いるイソフラボンは、マメ科植物、特に大豆に多く含まれるフラボノイド化合物である。本発明のイソフラボンとしては、アグリコンであっても、配糖体であってもよいが、配糖体であることが好ましい。その由来は特に制限されるものではないが、大豆由来の大豆イソフラボンが好ましい。イソフラボンは、例えば、代表的な大豆加工食品に含まれており、アグリコン換算した場合の平均含有量は、100gあたり、大豆では140.4mg、黄粉では266.2mg、納豆では73.4mg、豆乳では24.8mgである。本発明の経口組成物においては、このようなイソフラボン含有植物やその加工品を用いるものを妨げるものではないが、イソフラボン含有植物やその加工品からイソフラボンを抽出、濃縮、精製したものや、合成されたイソフラボンを用いることが好ましい。例えば、特定保健用食品や機能性表示食品などでは、製品の有効成分の摂取目安量を表示し、適切な用法用量に関する表示をしなければならないが、抽出物等を用いることにより、その製品中の有効量をより容易に調整することができる。
[大麦若葉]
大麦若葉は、イネ科植物であるオオムギの若葉であり、茎を含んでいてもよい。大麦若葉の形態としては、特に制限されるものではなく、例えば、若葉を収穫したそのままの状態であってもよいし、若葉を収穫した後さらに加工処理を加えたものであってもよい。そのような加工処理としては、例えば、乾燥粉末処理、細片処理及びその乾燥粉末処理、搾汁処理及びその乾燥粉末処理、エキス抽出処理及びその乾燥粉末処理などが挙げられ、これらは当業界において採用されている処理法を適用できる。すなわち、加工処理物としては、大麦若葉の粉砕物、搾汁、抽出物等を挙げることができ、粉砕物としては、粉末、顆粒等が挙げられる。粉砕物とする方法としては、例えば、大麦の葉及び/又は茎を乾燥し、粗粉砕した後、110℃以上で加熱し、さらに微粉砕する方法(特開2003-033151号公報を参照)や、大麦の葉及び/又は茎をブランチングした後、乾燥し、その後、粉砕する方法(特開2002-065204号公報を参照)などが挙げられる。絞汁や抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末として用いることもできる。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することにより得ることができ、溶媒としては、例えば、水、エタノール、含水エタノール等の水溶性溶媒を用いることができる。
[ケール]
ケールは、アブラナ科植物であり、本発明の植物素材として用いる部位としては、緑葉が好ましく、茎を含んでいてもよい。ケールの品種としては、特に制限されるものではなく、キッチンケール、ツリーケール、ブッシュケール、マローケール、コラード、緑葉カンラン等の様々な種類のケールを用いることができる。ケールの形態としては、特に制限されるものではなく、例えば、茎葉を収穫したそのままの状態であってもよいし、茎葉を収穫した後さらに加工処理を加えたものであってもよい。加工処理物としては、粉砕物、搾汁、抽出物等を挙げることができ、粉砕物としては、粉末、顆粒等が挙げられる。絞汁や抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末として用いることもできる。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することにより得ることができ、溶媒としては、例えば、水、エタノール、含水エタノール等の水溶性溶媒を用いることができる。なお、特にケールは、収穫後直ちに乾燥、抽出等の加工処理を施したものが好ましい。処理までに時間を要する場合には、ケールの変質を防ぐために低温貯蔵などの当業者が通常用いる貯蔵手段により貯蔵することが好ましい。
[大麦若葉及びケール以外の植物素材(他の植物素材)]
本発明における他の植物素材は、植物素材そのものの他、その粉砕物、搾汁、抽出物等の加工処理物を用いることができる。粉砕物としては、粉末、顆粒等が挙げられる。絞汁や抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末として用いることもできる。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することにより得ることができ、溶媒としては、例えば、水、エタノール、含水エタノール等の水溶性溶媒を用いることができる。
以下、各植物素材について説明する。
(ヨモギ)
ヨモギは、キク科植物であり、本発明の植物素材として用いる部位としては、緑葉が好ましく、茎を含んでいてもよい。ヨモギの品種としては、特に限定されるものではなく、ヨモギ、ニガヨモギ、タラゴン、ニトロフヨモギ、オニオトコヨモギ、カワラヨモギ、オトコヨモギ、ハマヨモギ、カワラニンジン、クソニンジン、イヌヨモギ、ミヤマオトコヨモギ、エゾハハコヨモギ、サマニヨモギ、タカネヨモギ、ハハコヨモギ、シコタンヨモギ、シロヨモギ、イワヨモギ、ヒメヨモギ、ワタヨモギ、ケショウヨモギ、ヒトツバヨモギ、チシマヨモギ、ヒロハウラジロヨモギ、ヒロハヤマヨモギ、ユキヨモギ、ヤブヨモギ、オオヨモギ、ニシヨモギ、アサギリソウ、キタダケヨモギ等を用いることができる。
(ゴーヤ)
ゴーヤは、ウリ科の植物であり、東南アジアから中国南部、アフリカ、南米と熱帯地方に広く分布している。本発明の植物素材として用いる部位としては、果実が好ましく、種子やワタを含んでいてもよい。もともとゴーヤは、中国や東南アジアで健胃、免疫疾患などに対する薬用野菜として広く用いられてきており、食欲増進、消炎鎮痛など様々な効果が明らかとなってきている。
(長命草)
長命草はセリ科植物であり、本発明の植物素材として用いる部位としては、緑葉が好ましく、茎を含んでいてもよい。長命草は、学名がPeucedanum japonicum又はPeucedanum japonicum Thunb.であるものであれば特に限定されない。長命草は地方によってボタンボウフウ、チョーメイソウ、チョーメイグサ、チョミーフサ、ボーフー、サクナ、ウプバーサフナ、チョーミーグサ、牡丹防風などと呼ばれている。
(クマザサ)
クマザサ(熊笹)は、イネ科植物であり、本発明の植物素材として用いる部位としては、緑葉が好ましく、茎を含んでいてもよい。その葉は、古来より医薬品として用いられている。神農本草経には、火傷、吐血、下血、尿利渋滞などに効果があると記載されている。日本では、天然の食品・保存包装剤として用いられているほか、胃腸病、糖尿病、高血圧、喘息、風邪などの薬として用いられている。
(セロリ)
セロリは、セリ科の植物であり、原産地はヨーロッパとされている。本発明の植物素材として用いる部位としては、緑葉が好ましく、茎を含んでいてもよい。古代ローマやギリシャでは高麗人参と同様、強精・整腸作用の薬効を持つ植物とされており、さらに疲労回復、美肌、糖尿病に効果があるとも言われている。
(アシタバ)
アシタバ(明日葉)は、セリ科植物であり、本発明の植物素材として用いる部位としては、緑葉が好ましく、茎を含んでいてもよい。アシタバは、緑黄色野菜としてミネラルおよびビタミンが豊富であり、便秘防止作用、利尿作用および強壮作用などの効果があるとされている。さらに、アシタバには、カルコン類およびクマリン類に属する複数の化合物が含まれていることが知られており、これらの化合物が制がん作用、抗潰瘍作用、抗血栓作用、抗菌作用および抗エイズ作用などの効果を有することが報告されている。
(クワ)
クワ(桑)は、クワ科植物であり、本発明の植物素材として用いる部位としては、緑葉が好ましく、茎を含んでいてもよい。
(ホウレンソウ)
ホウレンソウはアカザ科植物であり、本発明の植物素材として用いる部位としては、緑葉が好ましく、茎を含んでいてもよい。
[本発明の経口組成物]
本発明の経口組成物は、例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品や、一般的な食品、食品添加剤、飼料等として用いることができる。
本発明の経口組成物は、更年期症状の予防及び/又は改善に用いることができ、かかる更年期症状予防及び/又は改善用経口組成物は、イソフラボン、大麦若葉、ケール及び他の植物素材を含有し、更年期症状の予防及び/又は改善に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができる物であれば特に制限されるものではない。例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物のいずれかに更年期症状の予防及び/又は改善効果がある旨を表示したものが本発明の権利範囲に含まれる。
なお、本発明の更年期症状予防及び/又は改善用組成物は、製品の包装等に、本発明における組合せの成分(イソフラボン、大麦若葉、ケール及び他の植物素材)が更年期症状予防及び/又は改善の有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよい。また、イソフラボンのみを有効成分として表示したものであってもよい。すなわち、本発明の更年期症状予防及び/又は改善用経口組成物の一形態としては、イソフラボンを有効成分とする更年期症状予防及び/又は改善用経口組成物において、さらに、大麦若葉と、ケールと、ヨモギ、長命草、アシタバ、クマザサ、クワ及びホウレンソウから選ばれる少なくとも1つの植物素材とを含有する。
具体的に、本発明の更年期症状予防及び/又は改善用経口組成物としては、医薬品(医薬部外品を含む)やいわゆる健康食品が挙げられ、いわゆる食品においては、「更年期の悩みに」、「更年期対策」、「更年期症状が気になる女性に」、「女性の年齢悩みサポート」、「更年期女性のからだバランスを整える」、「更年期女性のゆらぎをやわらげる」、「年齢を重ねた女性の顔のほてりに」、「ゆらぎ世代の女性の健康に」、「急に顔が熱くなることや赤くなることを軽減する」等の更年期症状の予防及び/又は改善作用を有する旨を表示したものを例示することができる。
本発明の経口組成物の形態としては、例えば、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、液状、粒状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、ペースト状、クリーム状、カプレット状、ゲル状、チュアブル状、スティック状等を挙げることができる。これらの中でも、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、液状の形態が特に好ましい。具体的には、サプリメントや、ペットボトル、缶、瓶等に充填された容器詰飲料や、水(湯)、牛乳、果汁、青汁等に溶解して飲むためのインスタント飲料や、食品添加剤を例示することができる。これらは食事の際などに手軽に飲用しやすく、また嗜好性を高めることができるという点で好ましい。
本発明の経口組成物におけるイソフラボン、大麦若葉、ケール及び他の植物素材(本発明の成分)の含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。
一般的には、本発明の経口組成物が医薬品やサプリメントの場合には、本発明の成分が乾燥質量換算で全体の0.1~100質量%含まれていることが好ましく、1~85質量%含まれていることがより好ましく、5~70質量%含まれていることがさらに好ましい。
本発明の効果をより有効に発揮させるためには、本発明の成分が乾燥質量換算で本発明の経口組成物全体の80%以上含まれていることが好ましく、90%以上含まれていることがより好ましく、95%以上含まれていることがさらに好ましく、100%であることが特に好ましい。
本発明の経口組成物におけるイソフラボンと、大麦若葉、ケール及び他の植物素材の合計との配合質量比としては、乾燥質量換算で、1:0.001~1:1000の範囲であることが好ましく、1:0.01~1:500の範囲であることがより好ましく、1:0.1~1:200の範囲であることがさらに好ましい。また、大麦若葉、ケール及び他の植物素材の配合比率は、特に制限されるものではないが、各成分が同程度の配合量であることが好ましい。
本発明の経口組成物の摂取量としては特に制限はないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、成人の1日当たり、イソフラボン(アグリコン換算)摂取量が、10mg/日以上となるように摂取することが好ましく、15mg/日以上となるように摂取することがより好ましく、20mg/日以上となるように摂取することがさらに好ましい。その上限は、例えば、75mg/日であり、好ましくは70mg/日である。本発明の経口組成物は、特に更年期を迎えた女性が摂取することが好ましい。
本発明の経口組成物は、1日の摂取量が前記摂取量となるように、1つの容器に、又は例えば2~3の複数の容器に分けて、1日分として収容することができる。
本発明の経口組成物は、必要に応じて、経口用として許容される本発明の成分以外の成分を添加して、公知の方法によって製造することができる。本発明の成分以外の成分としては、例えば、水溶性ビタミン(ビタミンB1、B2、B3、B5、B6、B12、B13、B15、B17、ビオチン、コリン、葉酸、イノシトール、PABA、ビタミンC、ビタミンP)、油溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)等のビタミン類;カルシウム、マグネシウム、リン、鉄等のミネラル類;タウリン、ニンニク等に含まれる含硫化合物;ヘスペリジン、ケルセチン等のフラバノイド或いはフラボノイド類;コラーゲン等のタンパク質;ペプチド;アミノ酸;動物性油脂;植物性油脂;動物・植物の粉砕物又は抽出物等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
[実施例1]
1.被験物質の調製
[イソフラボン]
イソフラボンとして、イソフラボン(アグリコン)混合物(大豆由来;093-04771、株式会社和光純薬製)を用いた。
イソフラボン混合物をDMSOに20μg/mLとなるように溶解した。次いで、被験物質調製用培地で200倍希釈し、0.1μg/mLとなるように調整した(DMSO濃度は0.5%)。イソフラボン混合物終濃度が0.05μg/mL、DMSO終濃度が0.5%となるように、0.1μg/mLのイソフラボン混合物とDMSO濃度0.5%の培地を当量ずつ添加した。
[大麦若葉、ケール及びその他の植物素材]
(前処理)
大麦若葉、ケール及びゴーヤ以外のその他の植物素材は、緑葉(及び茎)を、ゴーヤは果実を刈り取り、水洗いして付着した泥等を除去し、長いものは5~10cm程度の大きさに切断し前処理を行った。
大麦若葉、ケール及びその他の植物素材のうち、大麦若葉、ケール、ヨモギ、長命草、ゴーヤ、クマザサ、セロリ、アシタバ及びホウレンソウについては、切断した植物体を早帯型蒸機を用いてブランチング槽で90~100℃にて90~120秒間、1回のみブランチング処理を行い、その後冷水により冷却を行った。クワは、98~100℃の蒸気で蒸し、その後、冷水により冷却を行った。
その他の植物素材の比較として、茶葉(チャノキの緑葉、学名:Camellia sinensis)を用いた。摘み取った茶葉を、98~100℃の蒸気で蒸し、その後、冷水により冷却を行った。
冷却した大麦若葉、ケール及びその他の植物素材、並びに茶葉を、水分含量が5質量%以下となるように、乾燥機を用いて、20~50分間、80~130℃の温風にて乾燥処理を行った。乾燥処理後に、緑葉を約5mmの大きさに粗粉砕し、その後、200メッシュ区分を90%が通過するようにジェットミルを用いて微粉砕し緑葉粉末及び果実粉末を得た。
(被験物質の調製)
得られた緑葉粉末等を被験物質調製用培地に懸濁し、voltexにて約30分懸濁した。フィルター滅菌後、培地に懸濁した大麦若葉末、ケール及びその他の植物素材を1:1:1となるように混合し、3種類の合計が2倍濃度になるよう系列希釈した。2倍濃度の大豆イソフラボンを全体の1/2、2倍濃度の大麦若葉、ケール及びその他の植物素材の混合物を1/2ずつ添加することで、所定濃度とした。
2.細胞培養
37℃、5%COインキュベーター内で、75cmフラスコを用いて、ヒト乳腺癌由来細胞(MCF-7)を10%FBS-1%NEAA-DMEMにより培養した。次いで、トリプシン処理により浮遊させた細胞を、75cmフラスコから96well plateの各wellに2×10cells/wellの細胞密度で播種した。37℃、5%COインキュベーター内で24時間前培養した。
なお、MCF-7細胞の増殖性をマーカーにしたエストロゲン様作用の検出系は、安定した検出系であり、MCF-7細胞はエストロゲン受容体を有するため、受容体に物質が結合して細胞増殖の促進が起こることで、物質のエストロゲン様作用を確認することが出来る。
各wellより培地を除去後、EMEM培地(無血清)で一回洗浄した。所定濃度に調整した被験物質含有培地を100μLずつ添加し、COインキュベーター内で2日間培養した。
被験物質とイソフラボンの併用サンプルは、イソフラボンを2倍濃度、被験物質含有培地は4倍濃度に調整し、イソフラボンを50μL、被験物質含有培地を25μLずつ添加することで目的の濃度とした。培地は、10%FBS(活性炭処理済み)-1%NEAA-1mM Glutamine-EMEMを使用した。
Controlは、イソフラボンを終濃度0.05μg/mLとなるように調整したcontrol(+)と、イソフラボンを添加しないcontrol(-)を用意した。なお、control(-)を0としたときのcontrol(+)の変化値は25.8であった。
3.細胞賦活活性測定
2日間培養した後、培地を除去し、無血清DMEMで洗浄後、無血清DMEMで30倍に希釈したCell Counting Kit-8溶液(株式会社同仁化学研究所)を150μL添加した。次いで、37℃、5%COインキュベーター内に静置し適度に発色させた後、450nmにおける吸光度を測定した。得られたデータを元に下記式より% of controlを算出した。
% of control
= (Data sample-Data blank)/(Data control-Data blank)×100
その結果を図1に示す。図1は、イソフラボン単独添加区(0.05μg/mL)の値を0としたときのエストロゲン様活性の変化値を示す。Control区以外の区においては、大麦若葉、ケール及び他の植物素材が含まれており、例えば、「ヨモギ125」は、大麦若葉、ケール、ヨモギが、それぞれ41.7μg/mLの濃度で含まれることを示し、「-」は、イソフラボンが添加されていないものを示し、「+」は、イソフラボン(0.05μg/mL)が添加されたものを示す。
図1に示すように、イソフラボンと、それらだけではエストロゲン様活性は低いか又はない本発明の特定の植物素材とを組み合わせることにより、エストロゲン様活性が増強された。特に、大麦、ケールとヨモギを組み合わせた場合に、その他の組合せよりも、エストロゲン様活性は増強された。一方で、大麦、ケールと茶を組み合わせた場合は、植物素材そのものでもエストロゲン様活性を示さないばかりか、イソフラボンと組み合わせてもそのエストロゲン様活性を阻害した。これらのことから、本発明の組成物は、更年期症状を有効に予防及び/又は改善することができることがわかる。
[実施例2](錠剤の製造)
大豆由来イソフラボン(アグリコンとして) 25mg
大麦若葉末 25mg
ケール末 25mg
ヨモギ末 25mg
還元麦芽糖 50mg
ステアリン酸カルシウム 100mg
からなる混合物を打錠し、錠剤2粒を製造した。
[実施例3](カプセル剤の製造)
大豆由来イソフラボン(アグリコンとして) 50mg
大麦若葉末 25mg
ケール末 25mg
ヨモギ末 25mg
貝殻カルシウム 50mg
からなる混合物をソフトカプセルに封入し、カプセル剤1粒を製造した。
[実施例4](顆粒剤の製造)
大豆由来イソフラボン(アグリコンとして) 75mg
大麦若葉末 1000mg
ケール末 500mg
ホウレンソウ末 135mg
乳糖 50mg
還元麦芽糖 残部
からなる混合物を混合後に造粒し、3gの顆粒剤を製造した。
本発明の経口組成物は、高い更年期症状予防及び/又は改善効果を有する医薬品や健康食品等として用いることができることから、本発明の産業上の有用性は高い。

Claims (1)

  1. イソフラボンと、大麦若葉と、ケールと、アシタバとを含有することを特徴とする更年期症状の予防及び/又は改善用食品組成物(ただし、以下に記載する(1)~(5)の食品組成物を除く)。
    (1)レッドドラゴンフルーツを含有し、トロピカルフルーツフレーバーであるスムージー調製用組成物、及び該スムージー調製用組成物から調製されたスムージー
    (2)アサイー、ベリー類及びバナナを含有し、ベリーバナナフレーバーであるスムージー調製用組成物、及び該スムージー調製用組成物から調製されたスムージー
    (3)大麦若葉、マンゴー及び桃を含有し、マンゴーピーチフレーバーであるスムージー調製用組成物、及び該スムージー調製用組成物から調製されたスムージー
    (4)葛花を含有する食品組成物
    (5)トマト、ニンジン、ケール、アシタバ、大麦若葉、セロリ、バジル、ブロッコリー、パセリ、ウコン、タマネギ、タイム、アヤムラサキ、大豆胚芽及びローズマリーを含有する食品組成物
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