以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲の記載内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
1.回路装置
図1に本実施形態の回路装置20の構成例を示す。本実施形態の回路装置20は、発振回路30と温度センサー回路40とロジック回路50と電源回路60を含む。また本実施形態の発振器4は、振動子10と回路装置20を含む。振動子10は回路装置20に電気的に接続されている。例えば振動子10及び回路装置20を収納するパッケージの内部配線、ボンディグワイヤー又は金属バンプ等を用いて、振動子10と回路装置20は電気的に接続されている。
振動子10は、電気的な信号により機械的な振動を発生する素子である。振動子10は、例えば水晶振動片などの振動片により実現できる。例えば振動子10は、音叉型水晶振動片、双音叉型水晶振動片、又はカット角がATカットやSCカットなどの厚みすべり振動する水晶振動片などにより実現できる。例えば振動子10は、恒温槽を備えない温度補償型水晶発振器(TCXO)に内蔵されている振動子であってもよいし、恒温槽を備える恒温槽型水晶発振器(OCXO)に内蔵されている振動子であってもよい。なお本実施形態の振動子10は、例えば音叉型、双音叉型又は厚みすべり振動型以外の振動片や、水晶以外の材料で形成された圧電振動片などの種々の振動片により実現できる。例えば振動子10として、SAW(Surface Acoustic Wave)共振子や、シリコン基板を用いて形成されたシリコン製振動子としてのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)振動子等を採用してもよい。
回路装置20は、IC(Integrated Circuit)と呼ばれる集積回路装置である。例えば回路装置20は、半導体プロセスにより製造されるICであり、半導体基板上に回路素子が形成された半導体チップである。図1では回路装置20は、発振回路30、温度センサー回路40、ロジック回路50、電源回路60、出力バッファー回路70、I/O回路80を含んでいる。
発振回路30は振動子10を発振させる回路である。例えば発振回路30は、端子TX1、TX2に電気的に接続され、振動子10を発振させることで発振信号OSCを生成する。一例としては発振回路30は例えば32KHzの周波数の発振信号OSCを生成する。端子TX1は第1端子であり、端子TX2は第2端子である。例えば発振回路30は、端子TX1と端子TX2との間に設けられた発振用の駆動回路と、キャパシターや抵抗などの能動素子により実現できる。駆動回路は、例えばCMOSのインバーター回路やバイポーラートランジスターにより実現できる。駆動回路は、発振回路30のコア回路であり、駆動回路が、振動子10を電圧駆動又は電流駆動することで、振動子10を発振させる。発振回路30としては、例えばインバーター型、ピアース型、コルピッツ型、又はハートレー型などの種々のタイプの発振回路を用いることができる。また発振回路30には、可変容量回路が設けられ、この可変容量回路の容量の調整により、発振周波数を調整できるようになっている。可変容量回路は、例えばキャパシターアレイと、キャパシターアレイに接続されるスイッチアレイとにより実現できる。例えば可変容量回路は、容量値がバイナリーに重み付けされた複数のキャパシターを有する第1キャパシターアレイを含む。また可変容量回路は、各スイッチが、第1キャパシターアレイの各キャパシターと端子TX1との間の接続のオン、オフを行う複数のスイッチを有する第1スイッチアレイを含む。また可変容量回路として、第1キャパシターアレイ及び第1スイッチアレイを有し、端子TX1に接続される第1可変容量回路と、第2キャパシターアレイ及び第2スイッチアレイを有し、端子TX2に接続される第2可変容量回路を設けてもよい。なお可変容量回路を、バラクターなどの可変容量素子により実現することも可能である。また本実施形態における接続は電気的な接続である。電気的な接続は、電気信号が伝達可能に接続されていることであり、電気信号による情報の伝達が可能となる接続である。電気的な接続は能動素子等を介した接続であってもよい。
温度センサー回路40は、振動子10や回路装置20の環境温度などの温度を測定し、その結果を温度データTSQとして出力する。温度データTSQは、回路装置20の動作温度範囲において、温度に対して例えば単調増加又は単調減少するデータである。温度センサー回路40は、後述の図5に示すように、リングオシレーター42の発振周波数が温度依存性を有することを利用した温度センサーである。具体的には、図5に示すように温度センサー回路40は、リングオシレーター42とカウンター回路44を含む。カウンター回路44は、発振回路30からの発振信号OSCに基づくクロック信号CKにより規定されるカウント期間TSENSにおいて、リングオシレーター42の発振信号である出力パルス信号RCKをカウントし、そのカウント値を温度データTSQとして出力する。なお温度センサー回路40はこれに限定されず、例えばPN接合の順方向電圧が温度依存性を有することを利用して温度検出電圧を出力するアナログの温度センサーと、温度検出電圧をA/D変換して温度データTSQを出力するA/D変換回路と、を含んでもよい。
そして本実施形態では温度センサー回路40が間欠動作を行う。例えば温度センサー回路40は、その動作期間において温度に対応する温度データTSQを求め、求められた温度データTSQをロジック回路50に出力した後に停止する間欠動作を行う。間欠動作の詳細については後述する。
ロジック回路50は、温度センサー回路40の出力に基づき温度補償処理を行う。この温度補償処理はロジック回路50の温度補償回路54が行う。温度補償処理は、例えば温度変動による発振周波数の変動を抑制して補償する処理である。即ちロジック回路50は、温度変動があった場合にも周波数が一定になるように、発振回路30の発振周波数の温度補償処理を行う。具体的にはロジック回路50は、温度センサー回路40の出力である温度データTSQに基づいてデジタルの温度補償処理を行う。例えばロジック回路50は、温度データTSQに基づいて周波数調整データを求める。そして、求められた周波数調整データに基づいて、前述した発振回路30の可変容量回路の容量値が調整されることで、発振回路30の発振周波数の温度補償処理が実現される。例えばロジック回路50は記憶回路を有しており、記憶回路は、温度データTSQと周波数調整データの対応を表すルックアップテーブルを記憶する。そしてロジック回路50は、このルックアップテーブルを用いて、温度データTSQから周波数調整データを求める温度補償処理を行う。記憶回路は、例えば不揮発性メモリーなどにより実現できる。不揮発性メモリーは、例えばFAMOSメモリー又はMONOSメモリー等のEEPROMであるが、これに限らず、OTPメモリー又はヒューズ型ROM等であってもよい。或いは記憶回路は、RAMにより実現したり、ラッチ回路等で構成されるレジスターにより実現してもよい。なおロジック回路50は、温度データTSQを変換温度データに変換する演算処理を行ってもよく、ルックアップテーブルは、この変換温度データと周波数調整データの対応を表すテーブルであってもよい。変換温度データは、温度データTSQと同様に温度に対して単調増加又は単調減少するデータであるが、変換温度データの傾きは、温度範囲に応じて温度データTSQの傾きから変換されている。
またロジック回路50は制御回路であり、種々の制御処理を行う。例えばロジック回路50は、回路装置20の全体の制御を行ったり、回路装置20の動作シーケンスの制御を行う。またロジック回路50は、発振回路30の制御のための各種の処理を行ったり、温度センサー回路40や電源回路60の制御を行ってもよい。ロジック回路50は、例えばゲートアレイ等の自動配置配線によるASIC(Application Specific Integrated Circuit)の回路により実現できる。
電源回路60は、電源端子TVDDからの電源電圧VDDが供給されて、回路装置20の内部回路用の種々の電源電圧を内部回路に供給する。電源回路60は、回路装置20で用いられる基準電圧や基準電流などの基準信号を生成する基準信号生成回路と言うこともできる。例えば電源回路60は少なくとも発振回路30に電源を供給する。また電源回路60は、ロジック回路50に対して電源を供給してもよい。具体的には、図1では電源回路60は、レギュレーター61を有し、レギュレーター61は、外部電源電圧である電源電圧VDDのレギュレートを行って、レギュレート電源電圧VREG1を発振回路30の電源として供給する。また電源回路60は、レギュレーター62を有し、レギュレーター62は、電源電圧VDDのレギュレートを行って、レギュレート電源電圧VREG2をロジック回路50の電源として供給する。VDDは例えば1.5~3.6Vの電圧である。またVREG1は例えば0.9~1.1Vの電圧であり、VREG2は例えば1.1~1.3Vの電圧である。また後述するVREG3は例えば1.25~1.45Vの電圧である。
出力バッファー回路70は、発振信号OSCに基づく出力クロック信号CKQを出力する。例えば出力バッファー回路70は、発振信号OSCに基づくクロック信号CKをバッファリングして、出力クロック信号CKQとしてクロック端子TCKに出力する。そして、この出力クロック信号CKQが発振器4の外部端子TECKを介して外部に出力される。例えば出力バッファー回路70は、シングルエンドのCMOSの信号形式で出力クロック信号CKQを出力する。例えばロジック回路50は、発振回路30からの発振クロック信号である発振信号OSCに基づいてクロック信号CKを出力する。例えばロジック回路50は、出力イネーブル端子TOEからの出力イネーブル信号OEを、I/O回路80を介して受ける。そしてロジック回路50は、出力イネーブル信号OEがアクティブである場合に、発振信号OSCをクロック信号CKとして出力する。そして出力バッファー回路70は、このクロック信号CKをバッファリングして出力クロック信号CKQとして出力する。一方、ロジック回路50は、出力イネーブル信号OEが非アクティブである場合に、クロック信号CKを例えばローレベルなどの固定電圧レベルに設定する。これによりクロック端子TCKの電圧レベルが固定電圧レベルに設定される。なお信号がアクティブとは、例えば正論理の場合にはハイレベルであり、負論理の場合にはローレベルである。また信号が非アクティブとは、例えば正論理の場合にはローレベルであり、負論理の場合にはハイレベルである。なお出力バッファー回路70が、CMOS以外の信号形式で出力クロック信号CKQを出力するようにしてもよい。
I/O回路80は、出力イネーブル端子TOEからの出力イネーブル信号OEを受けて、ロジック回路50に出力する回路である。I/O回路80は、例えば回路装置20のアナログ回路等の検査用のテスト回路などを含むことができる。
また回路装置20は、電源端子TVDD、グランド端子TGND、クロック端子TCKを含む。また回路装置20は、振動子接続用の端子TX1、TX2や、出力イネーブル端子TOEを含む。これらの端子は、例えば半導体チップである回路装置20のパッドである。例えばパッド領域では、絶縁層であるパシベーション膜から金属層が露出しており、この露出した金属層により回路装置20の端子であるパッドが構成される。
電源端子TVDDは、電源電圧VDDが供給される端子である。例えば外部の電源供給デバイスからの電源電圧VDDが電源端子TVDDに供給される。グランド端子TGNDは、グランド電圧であるGNDが供給される端子である。GNDはVSSと呼ぶこともでき、グランド電圧は例えば接地電位である。本実施形態ではグランドを、適宜、GNDと記載する。クロック端子TCKは、発振回路30の発振信号OSCに基づき生成された出力クロック信号CKQが出力される端子である。出力イネーブル端子TOEは、出力クロック信号CKQの出力のイネーブル、ディスエーブルを制御するための端子である。電源端子TVDD、グランド端子TGND、クロック端子TCK、出力イネーブル端子TOEは、各々、発振器4の外部接続用の外部端子TEVDD、TEGND、TECK、TEOEに電気的に接続される。例えばパッケージの内部配線、ボンディグワイヤー又は金属バンプ等を用いて電気的に接続される。そして発振器4の外部端子TEVDD、TEGND、TECK、TEOEは外部デバイスに電気的に接続される。
第1端子である端子TX1は、振動子10の一端に電気的に接続され、第2端子である端子TX2は、振動子10の他端に電気的に接続される。例えば振動子10及び回路装置20を収納するパッケージの内部配線、ボンディグワイヤー又は金属バンプ等を用いて、振動子10と回路装置20の端子TX1、TX2とが電気的に接続される。
図2、図3に本実施形態の回路装置20のレイアウト配置例を示す。図2、図3のレイアウト配置例では、図1で説明した回路装置20の各回路のレイアウト配置が示されている。図2、図3では、回路装置20の回路素子が形成される基板に直交する方向から見た平面視での配置例が示されている。なお図2、図3において、「ESD」は静電保護回路であり、「TEST」は回路装置20の検査時に使用されるテスト用の端子である。
回路装置20は辺SD1、SD2、SD3、SD4を有する。辺SD1、SD2、SD3、SD4は、各々、第1辺、第2辺、第3辺、第4辺である。辺SD1、SD2、SD3、SD4は、回路装置20である矩形の半導体チップの辺に対応する。例えば辺SD1、SD2、SD3、SD4は半導体チップの基板の辺である。半導体チップはシリコンダイとも呼ばれる。辺SD2は辺SD1の対辺である。辺SD3は辺SD1、SD2に交差する辺である。ここで交差は例えば直交である。辺SD4は辺SD3の対辺である。辺SD4は辺SD1、SD2に交差する。ここで辺SD1から辺SD2に向かう方向をDR1とし、方向DR1の反対方向をDR2とする。また辺SD3から辺SD4に向かう方向をDR3とし、方向DR3の反対方向をDR4とする。方向DR1、DR2、DR3、DR4は、各々、第1方向、第2方向、第3方向、第4方向である。
そして図1で説明したように、本実施形態の回路装置20は、振動子10を発振させて発振信号OSCを生成する発振回路30と、間欠動作する温度センサー回路40と、温度センサー回路40の出力に基づき温度補償処理を行うロジック回路50と、発振回路30に電源を供給する電源回路60を含む。例えば発振回路30は、電源回路60からレギュレート電源電圧VREG1が電源として供給されて、振動子10を発振させる発振動作を行い、発振信号OSCを生成する。温度センサー回路40は、動作期間と停止期間を繰り返す間欠動作を行いながら、温度を検出して、その検出結果を温度データTSQとしてロジック回路50に出力する。ロジック回路50は、温度センサー回路40の出力である温度データTSQに基づいて、温度補償処理を行う。例えばロジック回路50は、環境温度が変動しても発振回路30の発振周波数を一定にする温度補償処理を行う。具体的には、温度データTSQにより求められた周波数調整データである容量値調整データに基づいて、後述の図4で詳細に説明する発振回路30の可変容量回路CV1、CV2の容量値が調整されることで、発振周波数の温度補償処理が実現される。可変容量回路CV1は第1可変容量回路であり、可変容量回路CV2は第2可変容量回路である。
そして本実施形態では、図2、図3に示すように、発振回路30と温度センサー回路40との間に、ロジック回路50又は電源回路60が配置される。
例えば図2のレイアウト配置例では、発振回路30と温度センサー回路40との間にロジック回路50が配置されている。例えば回路装置20の辺SD1から対辺の辺SD2へと向かう方向をDR1とした場合に、発振回路30の方向DR1側にロジック回路50が配置され、ロジック回路50の方向DR1側に温度センサー回路40が配置される。温度センサー回路40は例えば辺SD2に沿って配置される。また方向DR1の反対方向をDR2とした場合に、発振回路30の方向DR2側に電源回路60が配置される。電源回路60は例えば辺SD1に沿って配置される。別の言い方をすれば、図2では、発振回路30と温度センサー回路40の間の距離は、発振回路30とロジック回路50の間の距離よりも大きい。即ち温度センサー回路40は、ロジック回路50に比べて発振回路30から遠い距離に配置される。なお第1回路と第2回路との間に第3回路が配置されるとは、例えば第1回路の位置と第2回路の位置との間に第3回路が位置することである。また第1回路と第2回路の間の距離は、例えば第1回路の位置と第2回路の位置の間の距離と言うことができる。回路の位置は、例えば回路の代表位置であり、例えば回路の中心位置又は重心位置等である。
また図2では、温度センサー回路40やロジック回路50は、回路領域RG2に配置され、電源回路60は、回路領域RG3に配置される。そして発振回路30は、回路領域RG2と回路領域RG3の間の回路領域RG1に配置される。回路領域RG1、RG2、RG3は、各々、第1回路領域、第2回路領域、第3回路領域である。例えば回路領域RG3は辺SD1に沿った領域であり、回路領域RG2は、辺SD1の対辺である辺SD2に沿った領域である。そして回路領域RG1は回路領域RG3と回路領域RG2の中間に位置する領域である。例えば発振回路30が配置される回路領域RG1の方向DR1側の回路領域RG2に、温度センサー回路40やロジック回路50が配置され、回路領域RG1の方向DR2側の回路領域RG3に、電源回路60が配置される。ここで回路領域は、回路を構成する回路素子や回路素子間を接続する配線が配置される領域である。回路素子は、トランジスターなどの能動素子や、抵抗、キャパシターなどの受動素子である。例えば図2では、回路領域RG1、RG2、RG3は矩形領域になっている。ここで矩形領域は略矩形の領域を含む。例えば電源回路60が配置される回路領域RG3は、辺SD1に沿った方向DR3を長辺方向とする矩形領域である。発振回路30が配置される回路領域RG1も、方向DR3を長辺方向とする矩形領域である。温度センサー回路40及びロジック回路50が配置される回路領域RG2は、方向DR3を長辺方向とする矩形領域であるが、辺SD3に沿った方向DR1を長辺方向とする矩形領域であってもよい。なお図2では回路領域RG1、RG2、RG3は矩形領域になっているが、矩形以外の形状の領域であってもよい。
一方、図3のレイアウト配置例では、発振回路30と温度センサー回路40との間に電源回路60が配置されている。例えば図3では、温度センサー回路40が回路装置20の辺SD1に沿って配置される。そして辺SD1から辺SD2に向かう方向をDR1とした場合に、温度センサー回路40の方向DR1側に電源回路60が配置され、電源回路60の方向DR1側に発振回路30が配置される。また発振回路30の方向DR1側にロジック回路50が配置される。ロジック回路50は例えば辺SD2に沿って配置される。別の言い方をすれば、図3では、発振回路30と温度センサー回路40の間の距離は、発振回路30と電源回路60の間の距離よりも大きい。即ち温度センサー回路40は、電源回路60に比べて発振回路30から遠い距離に位置する。
例えば本実施形態では、回路装置20の消費電流を低減するために、温度センサー回路40を、常時動作させるのではなく、間欠動作させている。温度センサー回路40を間欠動作させることで、常時動作させる場合に比べて温度センサー回路40での消費電流を大幅に低減でき、結果的に回路装置20の低消費電力化を図れるようになる。
ところが、このように温度センサー回路40を間欠動作させると、後述の図10等で説明されるように消費電流がAC的に変動してしまい、この消費電流のAC的な変動が原因となって、発振信号OSCのジッター特性等の信号特性が劣化することが判明した。具体的には、温度センサー回路40での消費電流のAC的な変動が、ノイズとして発振回路30に伝搬されて、発振信号OSCのジッター特性等の信号特性が劣化してしまう。この結果、発振信号OSCに基づくクロック信号CKの信号特性が劣化し、信号特性が劣化した出力クロック信号CKQが、回路装置20及び発振器4から出力されてしまう事態が発生する。
例えば前述した特許文献1では、アナログの回路領域とデジタルの回路領域を分離することで、クロック信号の信号特性の劣化を防止しているが、温度センサー回路に関する言及は無く、温度センサー回路の間欠動作に起因する上記の問題点についても把握されていなかった。例えば従来の温度補償型の発振回路では、アナログ電圧を使用する温度センサー回路が用いられることが多く、消費電流のAC的な変動は殆ど無い。しかしながら、本実施形態のように温度センサー回路40を例えばデジタル構成にして間欠動作させた場合には、AC的な消費電流の変動が大きく、温度センサー回路40がノイズ源となるため、温度センサー回路40の配置についても配慮が必要になる。
そこで本実施形態では、間欠動作によるAC的な消費電流の変動によりノイズ源となってしまう温度センサー回路40等と、消費電流が小さくノイズの影響を受けやすい発振回路30との間のスペースを離すレイアウト配置手法を採用する。具体的には図2、図3に示すように、ノイズの影響を受けやすい発振回路30と、ノイズ源となる温度センサー回路40との間に、ロジック回路50又は電源回路60を配置する。例えば発振回路30と温度センサー回路40の間に、図2ではロジック回路50が配置され、図3では電源回路60が配置されている。このようにすれば、発振回路30と温度センサー回路40との間に、ロジック回路50又は電源回路60が介在するようになる。そして、このようにロジック回路50又は電源回路60が介在することで、少なくともロジック回路50又は電源回路60の分だけ、発振回路30と温度センサー回路40との間の距離が離れるようになる。この結果、温度センサー回路40の間欠動作による消費電流のAC的な変動がノイズとなって、発振回路30の発振動作に悪影響を与えて、発振信号OSCのジッター特性等の信号特性が劣化してしまう事態を効果的に抑制することが可能になる。
具体的には、本実施形態では、消費電流が小さくノイズの影響を受けやすい発振回路30等のアナログ回路の領域と、消費電流が大きくノイズを発生させる温度センサー回路40、ロジック回路50、出力バッファー回路70等のデジタル回路の領域を分けることで、デジタル回路とアナログ回路との干渉によって発生するノイズの影響を低減する。例えば常時動作している発振回路30や電源回路60等のアナログ回路の領域と、間欠動作している温度センサー回路40等のデジタル回路の領域を分けて配置することで、常時動作している回路と間欠動作している回路との干渉により発生するノイズの影響を低減する。例えばデジタル回路の中でも、最も消費電流が大きくノイズ源となる出力バッファー回路70と、消費電流が小さくノイズの影響を一番受けやすい発振回路30との間の距離を極力離す構成とすることで、発振回路30へのノイズの回り込みの悪影響を抑制する。また温度センサー回路40は温度情報をデジタルコードに変換するデジタル回路を含み、且つ、低消費電流化のために間欠動作しているため、動作時の消費電流は、出力バッファー回路70と近いオーダーで、発振回路30へのノイズ源になる。そこで発振回路30と、これらのノイズ源となる温度センサー回路40や出力バッファー回路70を分けて配置し、これらの回路の間に、発振回路30よりもノイズの影響を受けにくいロジック回路50を配置したり、或いは、ノイズの影響を受けにくくDC的な動作の電源回路60を配置することで、発振回路30へのノイズの回り込みを抑制している。
また温度センサー回路40は、動作期間において温度に対応する温度データTSQを求め、求められた温度データTSQをロジック回路50に出力した後に停止する間欠動作を行う。例えば温度センサー回路40は、動作期間において動作イネーブル状態になって温度データTSQを求める。例えば温度センサー回路40は、その動作期間において、後述の図5のリングオシレーター42、カウンター回路44、レギュレーター46等が動作イネーブル状態になって、温度に対応する温度データTSQを求める。具体的には、これらの各回路に対してレギュレーター46からのレギュレート電源電圧VREG3が供給されると共に、後述する各回路のイネーブル信号がアクティブになることで、各回路に流れる動作電流がオンになり、各回路が動作イネーブル状態になる。そして温度センサー回路40は、求められた温度データTSQをロジック回路50に出力する。即ち動作期間において測定された温度に対応する温度データTSQをロジック回路50に出力する。そして温度センサー回路40は、温度データTSQをロジック回路50に出力した後に、例えば動作ディスエーブル状態になって、その動作を停止する。例えば間欠動作の停止期間において、リングオシレーター42、カウンター回路44、レギュレーター46等が動作ディスエーブル状態になって動作を停止する。具体的には、これらの各回路に対してレギュレーター46からのレギュレート電源電圧VREG3が非供給になると共に、各回路のイネーブル信号が非アクティブになることで、各回路に流れる動作電流がオフになり、各回路が動作ディスエーブル状態になる。温度センサー回路40の各回路が動作を停止することで、温度センサー回路40の省電力化が図れる。このように温度センサー回路40が動作期間と停止期間が繰り返される間欠動作を行うことで、低消費電力化が実現される。間欠動作における温度センサー回路40の動作期間の長さは、例えば50ms以下であり、動作期間での温度センサー回路40の動作期間での消費電流は、例えば10μA以下である。リングオシレーター42は、後述するBGR(Band Gap Reference)回路に比べて起動に要する時間が短いため、短い動作期間であっても適正な発振動作を開始できる。そして、このように温度センサー回路40の動作期間を短くすることで、低消費電力化を実現できる。具体的には、発振回路30の消費電流は例えば100~200nA程度であり、ロジック回路50の消費電流は例えば10~20nA程度であり、電源回路60の消費電流は例えば100nA程度である。そして温度センサー回路40の動作期間での消費電流が例えば100μA程度である場合にも、温度センサー回路40を間欠動作させることで、温度センサー回路40の1秒平均での消費電流を2nA程度に低減することが可能になる。
しかしながら、このような動作期間と停止期間が繰り返される間欠動作が行われると、前述したように消費電流のAC的な変動が発生し、これがノイズとなって発振回路30に悪影響を及ぼすおそれがある。この点、本実施形態では図2、図3に示すように、発振回路30と温度センサー回路40との間に、ロジック回路50又は電源回路60が配置される。これにより発振回路30と温度センサー回路40の間の距離を離すことが可能になる。従って、このような間欠動作に起因する消費電流のAC的な変動が発生した場合にも、この変動によるノイズが発振回路30に伝達されるのが抑制され、発振信号OSCの信号特性の劣化等を抑制できるようになる。
また図1に示すようにロジック回路50は、温度センサー回路40が動作期間において出力した温度データTSQをラッチするラッチ回路52を有する。このラッチ回路52は、例えばフリップフロップ回路等の保持回路により実現できる。そしてロジック回路50は、温度センサー回路40の停止期間においても、ラッチ回路52にラッチされた温度データTSQに基づく温度補償処理を行う。即ち温度センサー回路40は、動作期間において温度に対応する温度データTSQを求めるが、この求められた温度データTSQが、ロジック回路50のラッチ回路52にラッチされる。従って、温度センサー回路40が、求められた温度データTSQを出力した後、その動作を停止した場合にも、求められた温度データTSQが、ロジック回路50のラッチ回路52にラッチされて保持されるようになる。従って、間欠動作の動作期間の後の停止期間において温度センサー回路40が動作を停止した場合にも、ロジック回路50は、ラッチ回路52にラッチされた温度データTSQに基づいて、温度補償処理を適正に実行できるようになる。即ち、ロジック回路50は、常時動作している電源回路60からレギュレート電源電圧VREG2が供給されて動作することで、温度補償処理を実行できる。
また図2では、回路装置20の辺SD1と辺SD1の対辺である辺SD2との間において、発振回路30とロジック回路50と温度センサー回路40とが、発振回路30、ロジック回路50、温度センサー回路40の順で配置される。例えば辺SD1から辺SD2へと向かう方向をDR1とした場合に、発振回路30の方向DR1側にロジック回路50が配置され、ロジック回路50の方向DR1側に温度センサー回路40が配置される。一例としては、発振回路30とロジック回路50は方向DR1に沿って隣り合って配置され、ロジック回路50と温度センサー回路40は方向DR1に沿って隣り合って配置される。そして温度センサー回路40は例えば回路装置20の辺SD2に沿って配置される。例えば温度センサー回路40は、辺SD2に沿った方向を長手方向として配置される。このように発振回路30、ロジック回路50、温度センサー回路40の順で配置すれば、発振回路30と温度センサー回路40の間に、比較的大きな回路ブロックであるロジック回路50が介在するようになり、間欠動作する温度センサー回路40からの消費電流のAC的な変動に起因するノイズが、発振回路30に伝達されるのが抑制され、発振信号OSCの信号特性の劣化等を抑制できるようになる。また回路装置20の辺SD1から辺SD2へと向かう方向DR1に沿って、発振回路30とロジック回路50と温度センサー回路40を効率的にレイアウト配置できるようになるため、回路装置20の方向DR1での長さを短くでき、回路装置20のレイアウト面積の小規模化を図れるようになる。従って、発振信号OSCの信号特性の劣化の抑制と、回路装置20の小面積化とを両立して実現することが可能になる。
また図2では、電源回路60は、回路装置20の辺SD1と発振回路30との間に配置される。例えば回路装置20の辺SD1から辺SD2へと向かう方向DR1に沿って、電源回路60と発振回路30が、電源回路60、発振回路30に順に配置される。例えば電源回路60は辺SD1に沿って配置される。具体的には電源回路60は、辺SD1に沿った方向を長手方向として配置される。そして電源回路60と発振回路30は、例えば方向DR1に沿って隣り合って配置される。このようにすれば、回路装置20の辺SD1から辺SD2へと向かう方向DR1に沿って、電源回路60と発振回路30を効率的にレイアウト配置できるようになるため、回路装置20の方向DR1で長さを短くでき、回路装置20の回路面積の小規模化を図れるようになる。例えば図2では、電源回路60、発振回路30、ロジック回路50、温度センサー回路40が、方向DR1に沿って隣り合って配置されるため、回路装置20の方向DR1で長さを最小限に短くでき、回路装置20の小面積化を図れるようになる。特に、電源回路60、発振回路30、ロジック回路50、温度センサー回路40は、方向DR1に直交する方向DR3を長辺方向とする回路ブロックとなっているため、これらの回路ブロックを方向DR1に沿って順に配置することで、回路装置20の小面積化を実現できる。なお第1回路ブロックと第2回路ブロックが隣り合って配置されるとは、例えば第1回路ブロックと第2回路ブロックとが、その間に他の回路ブロックが介在することなく配置されることである。
一方、図3では、回路装置20の辺SD1と辺SD2との間において、温度センサー回路40と電源回路60と発振回路30とが、温度センサー回路40、電源回路60、発振回路30の順で配置される。例えば辺SD1から辺SD2へと向かう方向をDR1とした場合に、温度センサー回路40の方向DR1側に電源回路60が配置され、電源回路60の方向DR1側に発振回路30が配置される。一例としては、温度センサー回路40と電源回路60は方向DR1に沿って隣り合って配置され、電源回路60と発振回路30は方向DR1に沿って隣り合って配置される。そして温度センサー回路40は例えば回路装置20の辺SD1に沿って配置される。例えば温度センサー回路40は、辺SD1に沿った方向を長手方向として配置される。このように温度センサー回路40、電源回路60、発振回路30の順で配置すれば、温度センサー回路40と発振回路30の間に、比較的大きな回路ブロックである電源回路60が介在するようになり、間欠動作する温度センサー回路40からの消費電流のAC的な変動に起因するノイズが、発振回路30に伝達されるのが抑制され、発振信号OSCの信号特性の劣化等を抑制できるようになる。また回路装置20の辺SD1から辺SD2へと向かう方向DR1に沿って、温度センサー回路40と電源回路60と発振回路30を効率的にレイアウト配置できるようになるため、回路装置20の方向DR1での長さを短くでき、回路装置20のレイアウト面積の小規模化を図れるようになる。従って、発振信号OSCの信号特性の劣化の抑制と、回路装置20の小面積化とを両立して実現することが可能になる。
また図3では、ロジック回路50は、発振回路30と辺SD2との間に配置される。例えば回路装置20の辺SD1から辺SD2へと向かう方向DR1に沿って、発振回路30とロジック回路50が、発振回路30、ロジック回路50に順に配置される。例えばロジック回路50は辺SD2に沿って配置される。具体的にはロジック回路50は、辺SD2に沿った方向を長手方向として配置される。そして発振回路30とロジック回路50は、例えば方向DR1に沿って隣り合って配置される。このようにすれば、回路装置20の辺SD1から辺SD2へと向かう方向DR1に沿って、発振回路30とロジック回路50を効率的にレイアウト配置できるようになるため、回路装置20の方向DR1で長さを短くでき、回路装置20の回路面積の小規模化を図れるようになる。例えば図3では、温度センサー回路40、電源回路60、発振回路30、ロジック回路50が、方向DR1に沿って隣り合って配置されるため、回路装置20の方向DR1で長さを最小限に短くでき、回路装置20の小面積化を図れるようになる。特に、温度センサー回路40、電源回路60、発振回路30、ロジック回路50は、方向DR1に直交する方向DR3を長辺方向とする回路ブロックとなっているため、これらの回路ブロックを方向DR1に沿って順に配置することで、回路装置20の小面積化を実現できる。
また図2、図3では、回路装置20は、振動子10の一端に接続される端子TX1と、振動子10の他端に接続される端子TX2を含む。即ち回路装置20は、回路装置20を振動子10に電気的に接続するための第1端子である端子TX1と第2端子である端子TX2を含む。また回路装置20は、電源電圧が入力される電源端子TVDDと、グランド電圧GNDが入力されるグランド端子TGNDを含む。即ち回路装置20は、外部の電源デバイスから外部電源電圧であるVDDを供給するための電源端子TVDDと、VSSとも呼ばれるGNDを供給するためのグランド端子TGNDを含む。そして図2、図3に示すように、端子TX1とグランド端子TGNDは、回路装置20の辺SD1及び辺SD2に交差する辺SD3に沿って配置される。例えば端子TX1は、辺SD3の中央付近に配置され、端子TX1の方向DR1側にグランド端子TGNDが配置される。例えば端子TX1とグランド端子TGNDは、その間にロジック回路50の一部や静電保護回路を挟んで配置される。また電源端子TVDDと端子TX2は、回路装置20の辺SD3の対辺である辺SD4に沿って配置される。例えば端子TX2は、辺SD4の中央付近に配置され、方向DR1の反対方向をDR2とした場合に、端子TX2の方向DR2側に電源端子TVDDが配置される。例えば端子TX2と電源端子TVDDは、その間に発振回路30の一部や静電保護回路を挟んで配置される。このようにすれば、例えば図2、図3のように、発振回路30と温度センサー回路40の間にロジック回路50又は電源回路60が配置されるレイアウト配置において、辺SD3における発振回路30の近傍に、振動子10の一端に接続される端子TX1を配置し、辺SD4における発振回路30の近傍に、振動子10の他端に接続される端子TX2を配置できるようになる。そしてグランド端子TGNDについては端子TX1と共に辺SD3に沿って配置し、電源端子TVDDについては端子TX2と共に辺SD4に沿って配置できるようになる。これにより、例えば後述の図18、図19、図20に示す第1構造例の発振器4に好適な回路装置20の端子配置を実現できるようになる。
なお図2、図3では、発振回路30の端子TX1側の領域に、後述の図4の可変容量回路CV1が配置され、発振回路30の端子TX2側の領域に、可変容量回路CV2が配置される。例えば発振回路30の可変容量回路CV1と、可変容量回路CV1に接続される端子TX1とが隣り合って配置され、発振回路30の可変容量回路CV2と、可変容量回路CV2に接続される端子TX2とが隣り合って配置される。このようにすれば、端子TX1、TX2と可変容量回路CV1、CV2を、ショートパスの経路で接続できるようになり、当該経路での寄生容量や寄生抵抗等を原因とする悪影響を低減できるようになる。例えば第1キャパシターアレイ等により構成される可変容量回路CV1の面積や、第2キャパシターアレイ等により構成される可変容量回路CV2の面積は、発振回路30のレイアウト面積のうちの大部分を占める。従って、可変容量回路CV1については、発振回路30において辺SD3側に寄せて配置することで、可変容量回路CV1と、辺SD3に配置される端子TX1とを、ショートパスの経路で接続できるようになる。また可変容量回路CV2については、発振回路30において辺SD4側に寄せて配置することで、可変容量回路CV2と、辺SD4に配置される端子TX2とを、ショートパスの経路で接続できるようになる。
また図2、図3では、電源端子TVDDは、辺SD1と辺SD4が交差する第1コーナー部に配置される。またグランド端子TGNDは、辺SD2と辺SD3が交差する第2コーナー部に配置される。即ち、電源端子TVDDは、辺SD1と辺SD4が交差する領域である第1コーナー部に配置され、グランド端子TGNDは、辺SD2と辺SD3が交差する領域であって、第1コーナー部に対向する第2コーナー部に配置される。つまり、矩形の回路装置20の半導体チップにおいて、電源端子TVDDとグランド端子TGNDは対角配置される。そして、第2コーナー部に配置されるグランド端子TGNDと、振動子10の一端に接続される端子TX1とが、辺SD3に沿って配置される。また第1コーナー部に配置される電源端子TVDDと、振動子10の他端に接続される端子TX2とが、辺SD4に沿って配置される。従って、端子TX1とグランド端子TGNDを辺SD3に沿って効率良く配置できると共に、端子TX2と電源端子TVDDを辺SD4に沿って効率良く配置できるため、発振回路30、温度センサー回路40、ロジック回路50、電源回路60の効率の良いレイアウト配置も可能になる。そして、後述の図18、図19、図20に示す第1構造例の発振器4に好適な回路装置20の端子配置を実現できるようになる。
また回路装置20は、発振信号OSCに基づく出力クロック信号CKQが出力されるクロック端子TCKを含む。そして図2、図3に示すように、クロック端子TCKが、辺SD2と辺SD4が交差する第3コーナー部に配置される。即ちクロック端子TCKが、電源端子TVDDが配置される第1コーナー部の方向DR1側の領域であって、グランド端子TGNDが配置される第2コーナー部の方向DR3側の領域である第3コーナー部に配置される。このようにすれば、ノイズ源となるクロック端子TCKや、クロック端子TCKに出力クロック信号CKQを出力する出力バッファー回路70を、辺SD2と辺SD4が交差する第3コーナー部に配置できるようになる。従って、クロック端子TCKの出力クロック信号CKQによるノイズ源と、発振回路30との間の距離を、できる限り離すことが可能になり、当該ノイズ源からのノイズが発振回路30に伝達されるのを更に抑制できるようになる。
また回路装置20は、電源電圧VDDが入力される電源端子TVDDを含み、図2、図3に示すように、電源回路60は、電源端子TVDDと発振回路30との間に配置される。例えば電源端子TVDDの位置と発振回路30の位置を結ぶ線上に電源回路60が位置するように、電源端子TVDD、電源回路60、発振回路30が配置される。具体的には電源端子TVDDに隣り合うように電源回路60が配置され、電源回路60に隣り合うように発振回路30が配置される。例えば図2では、電源端子TVDDの方向DR4側に電源回路60が配置され、電源回路60の方向DR1側に発振回路30が配置される。また図3では、電源端子TVDDからグランド端子TGNDに向かう方向をDR5とした場合に、電源端子TVDDの方向DR5側に電源回路60が配置され、電源回路60の方向DR5側や方向DR1側に発振回路30が配置される。このように電源回路60を電源端子TVDDと発振回路30の間に配置すれば、電源端子TVDDからショートパスの経路で、電源電圧VDDを電源回路60に供給し、供給された電源電圧VDDに基づいて電源回路60が発振回路30に対してショートパスの経路で電源を供給できるようになる。例えば図1の電源回路60のレギュレーター61が、電源端子TVDDからショートパスの経路で供給された電源電圧VDDに基づいて、レギュレート電源電圧VREG1を生成し、生成されたレギュレート電源電圧VREG1をショートパスの経路で発振回路30に対して供給できるようになる。従って、当該経路の寄生抵抗等に起因する電源特性の悪化を抑制して、電源端子TVDDからの電源電圧VDDに基づく適正な電源を発振回路30に供給することが可能になる。
また回路装置20は、発振信号OSCに基づく出力クロック信号CKQを出力する出力バッファー回路70と、出力クロック信号CKQが出力されるクロック端子TCKを含む。例えば出力バッファー回路70は、発振信号OSCに基づくクロック信号CKをバッファリングした信号を、出力クロック信号CKQとしてクロック端子TCKに出力する。そして図2、図3に示すように、出力バッファー回路70は、クロック端子TCKとロジック回路50との間に配置される。例えばクロック端子TCKの位置とロジック回路50の位置を結ぶ線上に出力バッファー回路70が位置するように、クロック端子TCK、出力バッファー回路70、ロジック回路50が配置される。具体的にはロジック回路50に隣り合うように出力バッファー回路70が配置され、出力バッファー回路70に隣り合うようにクロック端子TCKが配置される。このようにすれば、ロジック回路50が発振信号OSCに基づき出力したクロック信号CKが、ショートパスの経路で、出力バッファー回路70に入力されてバッファリングされ、出力クロック信号CKQとしてクロック端子TCKから出力されるようになる。これにより、当該経路における寄生抵抗や寄生キャパシターに起因する出力クロック信号CKQの信号特性の劣化を抑制できるようになる。
2.発振回路、温度センサー回路
次に発振回路30や温度センサー回路40の構成例について説明する。図4に発振回路30の構成例を示す。なお本実施形態の発振回路30は、図4の構成に限定されるものではなく、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したり、その構成要素を他のタイプの構成要素に変更するなどの種々の変形実施が可能である。
図4に示すように、発振回路30は、インバーター回路DV1、DV2と可変容量回路CV1、CV2を含む。インバーター回路DV1は振動子10の駆動回路であり、入力ノードが振動子10の一端に接続され、出力ノードが振動子10の他端に接続される。インバーター回路DV2は、インバーター回路DV1の出力信号をバッファリングして、発振信号OSCとして出力する。インバーター回路DV1、DV2は、高電位側の電源電圧としてVREG1が供給され、低電位側の電源電圧としてGNDが供給されて動作する。
可変容量回路CV1は、一端が振動子10の一端に接続され、他端がGNDノードに接続される。具体的には可変容量回路CV1は、一端が振動子10の一端に接続される第1キャパシターアレイと、一端が第1キャパシターアレイの他端に接続され、他端がGNDノードに接続される第1スイッチアレイを含む。そして温度データTSQに基づき生成された周波数制御データにより第1スイッチアレイの複数のスイッチのオン、オフが制御されることで、可変容量回路CV1の容量値が調整される。同様に可変容量回路CV2は、一端が振動子10の他端に接続され、他端がGNDノードに接続される。具体的には可変容量回路CV2は、一端が振動子10の他端に接続される第2キャパシターアレイと、一端が第2キャパシターアレイの他端に接続され、他端がGNDノードに接続される第2スイッチアレイを含む。そして温度データTSQに基づき生成された周波数制御データにより第2スイッチアレイの複数のスイッチのオン、オフが制御されることで、可変容量回路CV2の容量値が調整される。そして、このようにして可変容量回路CV1、CV2の容量値が調整されることで、発振回路30の発振信号OSCの発振周波数が制御されて、発振周波数の温度補償処理が実現される。
図5に温度センサー回路40の構成例を示す。なお本実施形態の温度センサー回路40は、図5の構成に限定されるものではなく、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したり、その構成要素を他のタイプの構成要素に変更するなどの種々の変形実施が可能である。
温度センサー回路40は、リングオシレーター42と、カウンター回路44と、レギュレーター46を含む。リングオシレーター42は、複数個の遅延素子をリング状に接続した回路である。具体的にはリングオシレーター42は、例えば後述の図11に示すように奇数個のインバーター回路等の信号反転回路がリング状に接続された回路であり、発振信号である出力パルス信号RCKを出力する。カウンター回路44は、発振信号OSCに基づくクロック信号CKを用いて、リングオシレーター42の出力パルス信号RCKのパルス数のカウント処理を行う。そして、カウント処理により得られたカウント値に基づく温度データTSQを出力する。例えば図6に示すように、カウンター回路44は、クロック信号CKにより規定されるカウント期間TSENSにおける出力パルス信号RCKのパルス数のカウント値を求めることで、温度データTSQを求める。例えば図6では、カウント期間TSENSは、クロック信号CKのm=7クロック分に相当する期間である。カウンター回路44は、このカウント期間TSENSでの出力パルス信号RCKのパルス数をカウントする。レギュレーター46は、リングオシレーター42にレギュレート電源電圧VREG3を供給する。図5では、レギュレーター46は、電流設定回路48、カウンター回路44にもレギュレート電源電圧VREG3を供給している。例えばレギュレーター46は、電源電圧VDDのレギュレートを行って、レギュレート電源電圧VREG3を生成する。例えば図5に示すようにレギュレーター46は、オペアンプOPBと抵抗RB1、RB2を有する。そしてオペアンプOPBの仕事関数差WFによる基準電圧を利用してレギュレート電源電圧VREG3を生成する。図5の構成によれば、低消費電力で、低電圧動作が可能な温度センサー回路40を、小規模な回路により実現することが可能になる。
また図5に示すように温度センサー回路40は、電流設定回路48を含む。電流設定回路48は、レギュレーター46により生成されたレギュレート電源電圧VREG3に基づいて動作し、リングオシレーター42の動作電流を設定する。例えば電流設定回路48は、後述の図11に示すレギュレーター46のインバーター回路IVA1、IVA2、IVA3、IVA4に流れる動作電流を設定するためのバイアス電圧VBP2、VBN2を生成する。この動作電流はバイアス電圧VBP2、VBN2に基づくバイアス電流と言うこともできる。このような電流設定回路48を設けて、リングオシレーター42の動作電流を設定することで、リングオシレーター42の発振周波数を制御できるようになる。例えば電流設定回路48は、温度が上昇するにつれて電流値が大きくなるように、レギュレーター46のバイアス電流である動作電流を設定する。このようにすれば、温度が上昇するにつれて、リングオシレーター42の発振周波数が高くなるような周波数制御を実現できる。
例えば図7に、温度に対するクロック信号CKと出力パルス信号RCKの周波数偏差の特性例を示す。図7の右側の特性例の縦軸を拡大したものが左側の特性例になる。図7の右側の特性例に示すように、温度が上昇するにつれてリングオシレーター42の発振周波数である出力パルス信号RCKの周波数は増加している。これは電流設定回路48によるリングオシレーター42の動作電流の制御により実現される。
例えば32KHzなどの周波数が比較的低い発振器では、例えばIoT(Internet of Things)などのセンサー関連の用途のために、低消費電力、低電圧動作及び小型化が求められている。しかしながら、従来の温度センサー回路では、低消費電流と低電圧動作を両立させ、且つ小型の温度センサー回路を構成することが困難であるという問題があった。例えば温調機能を内蔵した高精度の発振器では温度センサー回路が必要になる。しかし温度センサー回路を、BGR(Band Gap Reference)回路とA/D変換回路で構成した場合には、低消費電流化や低電圧動作が困難である。例えば温度に比例した電圧を生成するためには、BGR回路のバイポーラートランジスターに一定量以上の電流を流す必要があり、低消費電力化が困難である。また温度検出の分解能を高くするためには、A/D変換回路に入力する電圧のダイナミックレンジが必要であるため、低電圧動作が困難である。また容量DAC型のA/D変換回路では容量面積が大きく、精度を確保するには、小型化が困難である。
そこで図5では、周波数比較型の温度センサー回路40を用いている。即ち、温度センサー回路40を、発振周波数が温度に依存する内蔵のリングオシレーター42と、リングオシレーター42の出力パルス信号RCKをカウントするカウンター回路44により構成する。ここでリングオシレーター42は、温度に依存するバイアス電流で制御された発振回路である。またカウンター回路44の基準クロック信号は、発振回路30の発振周波数である例えば32KHzのクロック信号CKである。そして温度センサー回路40を間欠動作させると共に、カウント期間TSENSにおいてカウンター回路44でのカウント値の信号がロジック回路50に伝達されないようにすることで、消費電流を抑制する。
また温度センサー回路40が間欠動作することによる温度センサー回路40以外の回路へのノイズの回り込みを抑制するために、温度センサー回路40の電源電圧は、専用のレギュレーター46により生成されたレギュレート電源電圧VREG3を用いる。例えば発振回路30、ロジック回路50に供給されるレギュレート電源電圧VREG1、VREG2を生成する図1のレギュレーター61、62は、図2、図3の電源回路60の領域に配置される。これに対して温度センサー回路40に供給されるレギュレート電源電圧VREG3を生成する図5のレギュレーター46は、図2、図3の温度センサー回路40の領域に配置される。
また図6に示すカウント期間TSENSは、例えばロジック回路50に設けられるレジスターの設定により可変になっているため、温度検出の感度である分解能を仕様に応じてカスタマイズ可能になっている。また図5では、周波数をカウンター回路44で比較する構成となっているため、BGR回路やA/D変換回路は不要になり、消費電流と回路規模を小さくすることが可能になる。またリングオシレーター42とカウンター回路44は、例えば1.2V程度の低い電源電圧でも動作するため、動作下限電圧は低く、温度検出の分解能はカウント期間TSENSを長くすることで確保できるため、分解能も確保することができる。またリングオシレーター42の周波数には個体差が生じるが、カウンター回路44の後段に設けられるロジック回路50が調整することで、温度補償用のルックアップテーブルのアドレス範囲に対応させることが可能になる。
図8、図9は温度センサー回路40の詳細な動作説明図である。図8には、カウンター回路44の詳細な構成例が模式的に示されており、図9には、図8の回路動作を説明する信号波形図が示されている。まず図9のタイミングt1において、信号TSONVDDがアクティブレベルであるハイレベルになって、レギュレーター46が起動し、レギュレート電源電圧VREG3が立ち上がる。また負論理のリセット信号TSXRSTがアクティブレベルであるローレベルになり、カウンター回路44はリセット状態になり、カウンターCTのカウント値CNT1は0になる。カウント値CNT1が入力されるAND回路AN1が出力するカウント値CNT2も0になる。次に、タイミングt1からクロック信号CKの1周期分だけ遅れて、信号TSONROSC、TSONIREFがハイレベルになって、リングオシレーター42や電流設定回路48が起動する。そして信号TSONROSCがハイレベルになることで、このハイレベルの信号の反転信号が入力されるAND回路AN1の出力であるカウント値CNT2の信号が、ローレベルに固定される。これにより、カウンターCTのカウント期間TSENSでのカウント値CNT1、CNT2の信号がロジック回路50に伝達されないようになり、低消費電力化を図れる。
次にタイミングt1から期間TSRSTの経過後のタイミングt2において、カウンターCTのカウント処理が開始する。例えば信号TSONROSCがハイレベルになってリングオシレーター42が起動してから、発振周波数が安定するまでには、ある程度の時間が必要である。そこで、この時間を確保するための期間TSRSTを設定し、タイミングt1から期間TSRSTの経過後に、カウンターCTは、リングオシレーター42からの出力パルス信号RCKのパルス数のカウント処理を開始する。この期間TSRSTの長さはレジスターにより設定可能になっている。そして、図6で説明したようにクロック信号CKのmクロック分(mは2以上の整数)の長さの期間であるカウント期間TSENSの間、カウンターCTは、出力パルス信号RCKのパルス数のカウント処理を行い、カウント処理の結果をカウント値CNT1として出力する。そしてタイミングt3においてカウント処理が終了し、そのときのカウント値CNT1が、温度データTSQとしてAND回路AN1及びAND回路AN2を介してロジック回路50に出力される。そしてタイミングt4において、ロジック回路50のラッチ回路52が、温度センサー回路40からの温度データTSQをラッチする。これにより、ラッチ回路52に保持される温度データTSDATAが、n番目の温度データから次のn+1番目の温度データに更新される。そしてロジック回路50は、このラッチ回路52に保持される温度データTSDATAに基づいて、発振周波数の温度補償処理を行う。
図10は温度センサー回路40の間欠動作が原因で発生する発振信号OSCの信号特性の劣化の説明図である。温度センサー回路40が間欠動作すると、図10のA1に示すように、温度センサー回路40の消費電流がAC的に変動する事態が発生する。これによりA2に示すようにGNDが供給されるグランド線にノイズが発生し、A3、A4に示すように、発振回路30内の信号に対して当該ノイズが重畳される。この結果、A5に示すように、発振回路30から出力される発振信号OSCにジッターが発生し、発振信号OSCの信号品質が劣化して、クロック信号CKの信号特性も劣化してしまう。この場合に本実施形態では、図2、図3に示すように、間欠動作する温度センサー回路40と発振回路30との間の距離を離すことができるため、このようなジッターの発生を低減できるようになる。
図11はリングオシレーター42の構成例である。リングオシレーター42は、リング状に接続されたNAND回路NAA、インバーター回路IVA1、IVA2、IVA3、IVA4を含む。またバッファー回路であるインバーター回路IVA5を含む。これらの奇数個の信号反転回路がリング状に接続されることで、発振信号である出力パルス信号RCKを生成できる。なおNAND回路NAAには、リングオシレーター42の動作をイネーブルにしたりディスエーブルにするためのイネーブル信号ENROSCが入力されている。このイネーブル信号ENROSCがロジック回路50によりアクティブ又は非アクティブにされることで、リングオシレーター42の間欠動作が行われて、温度センサー回路40の間欠動作が実現される。またインバーター回路IVA1、IVA2、IVA3、IVA4のVREG3側には、動作電流を流すためのP型のトランジスターTA1、TA2、TA3、TA4が設けられ、GND側にはN型のトランジスターTA5、TA6、TA7、TA8が設けられている。そしてトランジスターTA1~TA4のゲートには、電流設定回路48からのバイアス電圧VBP2が入力され、トランジスターTA5~TA8のゲートには、電流設定回路48からのバイアス電圧VBN2が入力される。これによりリングオシレーター42の動作電流が制御されて、リングオシレーター42は、例えば温度が上昇するにつれて周波数が増加するような出力パルス信号RCKを出力できるようになる。
図12にレギュレーター46の構成例を示す。なお図1のレギュレーター61、62も図12と同様の回路構成により実現できる。図12に示すように、レギュレーター46は、オペアンプOPBと抵抗RB1、RB2を含む。オペアンプOPBは、トランジスターTB1、TB2、TB3、TB4、TB5により構成される差動部と、トランジスターTB6、TB7により構成される出力部を有する。なおトランジスターTB8には、レギュレーター46の動作をイネーブルにしたりディスエーブルにするためのイネーブル信号ENVREG3が入力されている。このイネーブル信号ENVREG3がロジック回路50によりアクティブ又は非アクティブにされることで、レギュレーター46の間欠動作が行われて、温度センサー回路40の間欠動作が実現される。図12では、差動対を構成するN型のトランジスターTB3、TB4の仕事関数差WFを利用して、レギュレート電源電圧VREG3が生成されている。例えば仕事関数差WFの電圧と、抵抗RB1、RB2の抵抗値に基づいて、VREG3の電圧が設定される。
図13に電流設定回路48の構成例を示す。図13では、トランジスターTC1、TC2、TC3、TC4、TC5、TC6、TC7、TC8で構成されるバイアス電圧生成回路により、バイアス電圧VBN1が生成される。そしてトランジスターTC9、TC10、TC11、TC12により構成されるカレントミラー回路により、バイアス電圧VBN1に対応するバイアス電圧VBP2、VBN2が生成されて、図11のリングオシレーター42に供給され、リングオシレーター42の動作電流が設定される。なおトランジスターTC13、TC14には、電流設定回路48の動作をイネーブルにしたりディスエーブルにするためのイネーブル信号ENIREF、XENIREFが入力されている。このイネーブル信号ENIREF、XENIREFがロジック回路50によりアクティブ又は非アクティブにされることで、電流設定回路48の間欠動作が行われて、温度センサー回路40の間欠動作が実現される。
3.電源線、グランド線の配線
図14に本実施形態の回路装置20での電源線、グランド線の配線例を示す。図14は図2のレイアウト配置での電源線、グランド線の配線例である。図3のレイアウト配置においても同様の配線手法で電源線、グランド線を配線できるため、詳細な説明は省略する。図14では、前述したように、辺SD1と辺SD4が交差する第1コーナー部に電源端子TVDDが配置され、辺SD2と辺SD3が交差する第2コーナー部にグランド端子TGNDが配置される。即ち回路装置20において電源端子TVDDとグランド端子TGNDが対角配置される。そして第1コーナー部の電源端子TVDDから電源線が配線され、第2コーナー部のグランド端子TGNDからグランド線が配線されるようになる。
具体的には図14に示すように回路装置20は、電源線LV1とグランド線LG1を含む。LV1は第1電源線であり、LG1は第1グランド線である。電源線LV1は、電源端子TVDDに接続され、発振回路30に電源電圧VDDを供給する。グランド線LG1は、グランド端子TGNDに接続され、発振回路30にグランド電圧GNDを供給する。また回路装置20は、電源線LV2A、LV2Bとグランド線LG2A、LG2Bを含む。LV2A、LV2Bは第2電源線であり、LG2A、LG2Bは第2グランド線である。電源線LV2A、LV2Bは、電源端子TVDDに接続され、電源線LV1とは電源端子TVDDから分岐して配線されて、温度センサー回路40、ロジック回路50等に電源電圧VDDを供給する。具体的には、電源線LV2Aが温度センサー回路40や出力バッファー回路70にVDDを供給し、電源線LV2Bがロジック回路50にVDDを供給する。またグランド線LG2A、LG2Bは、グランド端子TGNDに接続され、グランド線LG1とはグランド端子TGNDから分岐して配線されて、温度センサー回路40、ロジック回路50等にグランド電圧GNDを供給する。具体的には、グランド線LG2Aが温度センサー回路40や出力バッファー回路70にGNDを供給し、グランド線LG2Bがロジック回路50にGNDを供給する。なお回路装置20は、電源線LV3とグランド線LG3を含むことができる。LV3は第3電源線であり、LG3は第3グランド線である。電源線LV3は、電源端子TVDDに接続され、電源線LV1、LV2A、LV2Bとは電源端子TVDDから分岐して配線されて、電源回路60に電源電圧VDDを供給する。またグランド線LG3は、グランド端子TGNDに接続され、グランド線LG1、LG2A、LG2Bとはグランド端子TGNDから分岐して配線されて、電源回路60にグランド電圧GNDを供給する。
このように図14では、発振回路30については、電源端子TVDDから配線された電源線LV1によりVDDを供給し、グランド端子TGNDから配線されたグランド線LG1によりGNDを供給している。一方、温度センサー回路40、ロジック回路50等については、電源端子TVDDから電源線LV1とは分岐して配線された電源線LV2A、LV2BによりVDDを供給し、グランド端子TGNDからグランド線LG1とは分岐して配線されたグランド線LG2A、LG2BによりGNDを供給している。即ち、電源端子TVDDから、電源線LV1と、電源線LV2A、LV2Bとを分岐して配線する。そして発振回路30については電源線LV1によりVDDを供給し、温度センサー回路40、ロジック回路50等については電源線LV2A、LV2BによりVDDを供給する。またグランド端子TGNDから、グランド線LG1と、グランド線LG2A、LG2Bとを分岐して配線する。そして、発振回路30についてはグランド線LG1によりGNDを供給し、温度センサー回路40、ロジック回路50等についてはグランド線LG2A、LG2BによりGNDを供給する。このようにすれば、温度センサー回路40、ロジック回路50等で発生したノイズについては、電源線LV2A、LV2Bやグランド線LG2A、LG2Bを介して電源端子TVDD側やグランド端子TGND側に吸収されるようになる。そして、電源端子TVDDやグランド端子TGND側のインピーダンスに比べて配線インピーダンスが高い電源線LV1、グランド線LG1側には、当該ノイズが伝わりにくくなる。この結果、温度センサー回路40、ロジック回路50等で発生したノイズが、発振回路30に伝達されて発振信号OSCの信号特性等が劣化してしまう事態を効果的に抑制できるようになる。
また図14では、回路装置20の第1コーナー部に電源端子TVDDを配置し、第2コーナー部にグランド端子TGNDを配置するというように、電源端子TVDDとグランド端子TGNDを対角配置している。このように電源端子TVDDとグランド端子TGNDを対角配置することで、電源線LV1と電源線LV2A、LV2Bとを、電源端子TVDDの場所で分岐配線したり、グランド線LG1とグランド線LG2A、LG2Bとを、グランド端子TGNDの場所で分岐配線することが容易になる。例えば電源線LV2A、グランド線LG2Aについては、温度センサー回路40や出力バッファー回路70の近傍を通るように、例えば辺SD2や辺SD4に沿った方向で容易に配線できるようになる。また電源線LV2B、グランド線LG2Bについては、例えばロジック回路50を囲むようにリング状に容易に配線できるようになる。一方、電源線LV1、グランド線LG1については、回路装置20において対角配置された電源端子TVDD、グランド端子TGNDから、発振回路30の方に引き出して配線することで、発振回路30に対して、容易に分岐配線できるようになる。従って、温度センサー回路40等のノイズ源からのノイズが発振回路30に伝達するのを抑制しながら、効率的なレイアウト配置で電源線やグランド線を配線できるようになる。
なお温度センサー回路40等からのノイズは、回路装置20の例えばP型の基板を介して発振回路30の領域に伝達される場合もある。この点、図2、図14では、発振回路30と温度センサー回路40の間にロジック回路50が介在するレイアウト配置とすることで、発振回路30と温度センサー回路40の距離を離すことが可能になり、基板を介したノイズの伝達についても効果的に抑制できる。また図3においても、発振回路30と温度センサー回路40の間に電源回路60が介在するレイアウト配置とすることで、発振回路30と温度センサー回路40の距離を離すことが可能になり、基板を介したノイズの伝達についても効果的に抑制できる。
4.他のレイアウト配置例
図15、図16、図17に回路装置20の他のレイアウト配置例を示す。図15、図16、図17のレイアウト配置が図2、図3と異なるのは、回路装置20の端子配置である。
例えば図2、図3では、出力イネーブル端子TOE、端子TX1、グランド端子TGNDが、辺SD3に沿って、この順で配置され、電源端子TVDD、端子TX2、クロック端子TCKが、辺SD4に沿って、この順で配置される。このようにすることで、後述の図18、図19、図20に示す第1構造例の発振器4に好適な回路装置20の端子配置を実現できるようになる。
一方、図15、図16、図17では、端子TX2、電源端子TVDD、クロック端子TCKが、辺SD3に沿って、この順で配置され、端子TX1、出力イネーブル端子TOE、グランド端子TGNDが、辺SD4に沿って、この順で配置される。このようにすることで、後述の図21、図22、図23に示す第2構造例の発振器4に好適な回路装置20の端子配置を実現できるようになる。
具体的には、図2では、発振回路30が、温度センサー回路40及びロジック回路50と電源回路60との間に設けられ、図3では、発振回路30が、温度センサー回路40及び電源回路60とロジック回路50との間に設けられる。このため図2、図3では、発振回路30に接続される端子TX1は、辺SD3の中央付近に配置され、発振回路30に接続される端子TX2は、辺SD4の中央付近に配置される。これにより、後述の図18、図19、図20の発振器4において、平面視において振動子10の中央付近に設けられる導電性の接続部CDC1、CDC2を、回路装置20の中央付近に設けられる端子TX1、TX2に対して容易に接続できるようになる。
一方、図15、図16、図17では、発振回路30が辺SD1に沿って配置され、発振回路30に接続される端子TX1、TX2も辺SD1に沿って配置される。これにより、図21、図22、図23の発振器4において、平面視において振動子10の左側に設けられる導電性の接続部CDC1、CDC2を、回路装置20の左側に設けられる端子TX1、TX2に容易に接続できるようになる。
また図2、図3では、出力イネーブル端子TOE、端子TX1、グランド端子TGNDは、辺SD3側に配置され、電源端子TVDD、端子TX2、クロック端子TCKが、辺SD4側に配置されている。これにより図18、図19、図20の発振器4のように、回路装置20が、その能動面が上方に向くように実装される場合に、回路装置20のこれらの端子を、バンプBMPを介して発振器4の内部電極端子等に接続できるようになる。一方、図15、図16、図17では、端子TX2、電源端子TVDD、クロック端子TCKが辺SD3側に配置され、端子TX1、出力イネーブル端子TOE、グランド端子TGNDが辺SD4側に配置されている。これにより図21、図22、図23の発振器4のように、回路装置20が、その能動面が下向に向くようにフリップ実装される場合に、回路装置20のこれらの端子を、バンプBMPを介して発振器4の内部電極端子等に接続できるようになる。
そして図15、図16、図17においても、回路装置20は、発振回路30と温度センサー回路40とロジック回路50と電源回路60を有し、発振回路30と温度センサー回路40との間に、ロジック回路50又は電源回路60が配置される。例えば発振回路30の位置と温度センサー回路40の位置を結ぶ線上にロジック回路50又は電源回路60が位置する。別の言い方をすれば、図15、図16、図17においても、発振回路30と温度センサー回路40の間の距離は、発振回路30とロジック回路50又は電源回路60との間の距離よりも大きい。即ち温度センサー回路40は、ロジック回路50又は電源回路60に比べて発振回路30から遠い距離に配置される。このようにすれば、発振回路30と温度センサー回路40との間に、ロジック回路50又は電源回路60が介在するようになる。そして、このようにロジック回路50又は電源回路60が介在することで、発振回路30と温度センサー回路40との間の距離が離れるようになる。この結果、温度センサー回路40の間欠動作による消費電流のAC的な変動がノイズとなって、発振回路30の発振動作に悪影響を与えて、発振信号OSCのジッター特性等の信号特性が劣化してしまう事態を効果的に抑制することが可能になる。
なお図15、図16、図17では、温度センサー回路40の配置位置が異なっている。例えば図15では温度センサー回路40は、辺SD3に沿って配置されているが、図16では辺SD3の対辺である辺SD4に沿って配置されている。また図17では、温度センサー回路40は、辺SD1の対辺である辺SD2に沿って配置されている。
具体的には図15では、電源端子TVDDと温度センサー回路40とは、回路装置20の辺SD3に沿って並んで配置される。例えば電源端子TVDDと温度センサー回路40は、辺SD3に沿って、電源端子TVDD、温度センサー回路40の順に並んで配置される。例えば電源端子TVDDの方向DR1側に温度センサー回路40が配置される。このように電源端子TVDDと温度センサー回路40とが、辺SD3に沿って並んで配置されることで、電源電圧VDDを、ショートパスの経路で電源端子TVDDから温度センサー回路40に供給できるようになるため、当該経路での寄生抵抗等を十分に小さくできる。従って、温度センサー回路40の間欠動作によって消費電流のAC的な変動が発生した場合に、電源端子TVDDから温度センサー回路40への経路での寄生抵抗等による電圧変動を最小限に抑えることが可能になり、消費電流のAC的な変動に起因するノイズも低減することが可能になる。
一方、図16では、温度センサー回路40とグランド端子TGNDとは、回路装置20の辺SD4に沿って並んで配置される。例えば温度センサー回路40とグランド端子TGNDは、辺SD4に沿って、温度センサー回路40、グランド端子TGNDの順に並んで配置される。例えば温度センサー回路40の方向DR1側にグランド端子TGNDが配置される。このように温度センサー回路40とグランド端子TGNDとが、辺SD4に沿って並んで配置されることで、グランド電圧GNDを、ショートパスの経路でグランド端子TGNDから温度センサー回路40に供給できるようになるため、当該経路での寄生抵抗等を十分に小さくできる。従って、温度センサー回路40の間欠動作によって消費電流のAC的な変動が発生した場合に、温度センサー回路40からグランド端子TGNDへの経路での寄生抵抗等による電圧変動を最小限に抑えることが可能になり、消費電流のAC的な変動に起因するノイズのレベルも低減することが可能になる。
このように図15、図16では、電源端子TVDD又はグランド端子TGNDと、温度センサー回路40とは、辺SD1及び辺SD2に交差する辺である辺SD3又は辺SD4に沿って並んで配置されている。
一方、図17では、温度センサー回路40が辺SD2に沿って配置される。例えば図17では、発振回路30については、辺SD1に沿って配置されると共に、温度センサー回路40については、辺SD1の対辺である辺SD2に沿って配置される。例えば発振回路30は、辺SD1が長辺方向になるように辺SD1に沿って配置され、温度センサー回路40は、辺SD2が長辺方向になるように辺SD2に沿って配置される。このように発振回路30が配置される辺SD1の対辺である辺SD2に沿って温度センサー回路40を配置すれば、図15や図16に比べて、発振回路30と温度センサー回路40との間の距離を更に遠くすることが可能になる。これにより、温度センサー回路40の間欠動作により発生したノイズが、発振回路30に伝達されるのを更に抑制できるようになる。なお本実施形態の回路装置20のレイアウト配置は、図2、図3、図15、図16、図17の配置例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。
5.発振器
図18、図19、図20に本実施形態の発振器4の第1構造例を示す。図18、図19、図20は、各々、第1構造例の発振器4の側面図、上面図、底面図である。この第1構造例の発振器4は、図2、図3で説明したレイアウト配置の回路装置20が用いられる発振器である。発振器4は、振動子10と、回路装置20と、振動子10及び回路装置20を収容するパッケージ12を有する。パッケージ12は、例えばセラミック等により形成される。パッケージ12は、ベース16とリッド17を有する。ベース16は、中間基板である第1基板13と、第1基板13の上面側に積層された略矩形フレーム形状の第2基板14と、第1基板13の底面側に積層された略矩形フレーム形状の第3基板15を有する。そして、第2基板14の上面にはリッド17が接合され、第1基板13と第2基板14とリッド17とにより形成された収容空間S1に、振動子10が収容されている。例えば収容空間S1に振動子10が気密封止されており、望ましくは真空に近い状態である減圧状態になっている。これにより、振動子10を衝撃、埃、熱、湿気等から好適に保護することができる。また第1基板と第3基板15とにより形成された収容空間S2に、半導体チップである回路装置20が収容されている。また第3基板15の底面には、発振器4の外部接続用の電極端子である外部端子TEVDD、TECK、TEGND、TEOEが形成されている。
また収容空間S1においては、振動子10が、導電性の接続部CDC1、CDC2により、第1基板13の上面に形成された不図示の第1電極端子、第2電極端子に接続される。導電性の接続部CDC1、CDC2は、例えば金属バンプ等の導電性のバンプにより実現してもよいし、導電性の接着剤により実現してもよい。具体的には、図19に示すような音叉型の振動子10の一端に形成された不図示の第1電極パッドが、導電性の接続部CDC1を介して、第1基板13の上面に形成された第1電極端子に接続される。そして第1電極端子は回路装置20の端子TX1に電気的に接続される。また音叉型の振動子10の他端に形成された不図示の第2電極パッドが、導電性の接続部CDC2を介して、第1基板13の上面に形成された第2電極端子に接続される。そして第2電極端子は回路装置20の端子TX2に電気的に接続される。これにより振動子10の一端及び他端を、導電性の接続部CDC1、CDC2を介して、回路装置20の端子TX1、TX2に電気的に接続できるようになる。
また半導体チップである回路装置20のTVDD、TCK、TGND、TOE、TX1、TX2の端子には導電性のバンプBMPが形成され、これらの導電性のバンプBMPが、第1基板13の底面に形成された複数の電極端子に接続される。そして回路装置20のTVDD、TCK、TGND、TOEの端子に接続された電極端子は、内部配線等を介して発振器4の外部端子TEVDD、TECK、TEGND、TEOEに電気的に接続される。また回路装置20のTX1、TX2の端子に接続された電極端子は、導電性の接続部CDC1、CDC2を介して振動子10に電気的に接続される。
図20の底面図に示すように、回路装置20の能動面の裏面は、発振器4の底面において露出している。そして第3基板15の底面には、発振器4の外部端子TEVDD、TECK、TEGND、TEOEが、図2、図3の回路装置20のTVDD、TCK、TGND、TOEの端子に対応する位置に形成されている。
以上のように、図2、図3のレイアウト配置の回路装置20によれば、図18、図19、図20に示すような第1構造例の発振器4に適切な端子配置の回路装置20を実現できる。
図21、図22、図23に本実施形態の発振器4の第2構造例を示す。図21、図22、図23は、各々、第2構造例の発振器4の側面図、上面図、底面図である。この第2構造例の発振器4は、図15、図16、図17で説明したレイアウト配置の回路装置20が用いられる発振器である。発振器4は、振動子10と、回路装置20と、振動子10及び回路装置20を収容するパッケージ12を有する。パッケージ12は、例えばセラミック等により形成され、その内側に収容空間Sを有しており、この収容空間Sに振動子10及び回路装置20が収容されている。収容空間Sは気密封止されており、望ましくは真空に近い状態である減圧状態になっている。パッケージ12により、振動子10及び回路装置20を衝撃、埃、熱、湿気等から好適に保護することができる。
パッケージ12はベース16とリッド17を有する。具体的にはパッケージ12は、振動子10及び回路装置20を支持するベース16と、ベース16との間に収容空間Sを形成するようにベース16の上面に接合されたリッド17とにより構成されている。そして振動子10は、ベース16の内側に設けられた段差部に導電性の接続部CDC1、CDC2を介して支持されている。また回路装置20は、ベース16の内側底面に配置されている。具体的には回路装置20は、能動面がベース16の内側底面に向くようにフリップ実装されている。能動面は回路装置20の回路素子が形成される面である。また回路装置20のTVDD、TCK、TGND、TOE、TX1、TX2の端子には導電性のバンプBMPが形成されている。そして回路装置20は、導電性のバンプBMPを介してベース16の内側底面に支持される。導電性のバンプBMPは例えば金属バンプである。回路装置20のTVDD、TCK、TGND、TOEの端子は、バンプBMPやパッケージ12の内部配線などを介して、発振器4の外部端子TEVDD、TECK、TEGND、TEOEに電気的に接続される。また回路装置20のTX1、TX2は、バンプBMPやパッケージ12の内部配線や導電性の接続部CDC1、CDC2などを介して、振動子10に電気的に接続される。
図22の上面図に示すように、導電性の接続部CDC1、CDC2は、音叉型の振動子10の根元側の位置に接続される。このため図15、図16、図17のレイアウト配置においても、接続部CDC1、CDC2に電気的に接続される端子TX1、TX2が回路装置20の辺SD1に沿って配置される。
また図23の底面図に示すように、ベース16の底面には、発振器4の外部端子TEVDD、TECK、TEGND、TEOEが形成されている。即ち、外部端子TEVDD、TECK、TEGND、TEOEが、図15、図16、図17の回路装置20のTVDD、TCK、TGND、TOEの端子に対応する位置に形成されている。
以上のように、図15、図16、図17のレイアウト配置の回路装置20によれば、図21、図22、図23に示すような第2構造例の発振器4に適切な端子配置の回路装置20を実現できる。
なお図21、図22、図23では、回路装置20の能動面が下方に向くように回路装置20がフリップ実装されているが、回路装置20の能動面が上方に向くように回路装置20を実装してもよい。即ち能動面が振動子10に対向するように回路装置20を実装し、例えばボンディグワイヤーなどを用いて端子間の接続を行う。
以上に説明したように本実施形態の回路装置は、振動子を発振させて発振信号を生成する発振回路と、間欠動作する温度センサー回路と、温度センサー回路の出力に基づき温度補償処理を行うロジック回路と、発振回路に電源を供給する電源回路を含む。そして発振回路と温度センサー回路との間に、ロジック回路又は電源回路が配置される。
本実施形態によれば、発振回路は、電源回路から電源が供給されて、振動子を発振させる発振動作を行い、発振信号を生成する。温度センサー回路は、間欠動作を行いながら温度を検出し、ロジック回路は、温度センサー回路の出力に基づいて、温度補償処理を行う。そして本実施形態では、発振回路と温度センサー回路との間に、ロジック回路又は電源回路が配置される。このようにすれば、発振回路と温度センサー回路との間に、ロジック回路又は電源回路が介在するようになる。このようにロジック回路又は電源回路が介在することで、少なくともロジック回路又は電源回路の分だけ、発振回路と温度センサー回路との間の距離を離すことが可能になる。従って、温度センサー回路の間欠動作による消費電流のAC的な変動がノイズとなって、発振回路の発振動作に悪影響を与えて発振信号の信号特性が劣化してしまう事態を効果的に抑制することが可能になる。
また本実施形態では、温度センサー回路は、動作期間において温度に対応する温度データを求め、温度データをロジック回路に出力した後に停止する間欠動作を行ってもよい。
このように温度センサー回路が動作期間と停止期間が繰り返される間欠動作を行うことで、回路装置の低消費電力化を図れるようになる。
また本実施形態では、ロジック回路は、温度センサー回路が動作期間において出力した温度データをラッチするラッチ回路を有し、温度センサー回路の停止期間においても、ラッチされた温度データに基づく温度補償処理を行ってもよい。
このようにすれば、ロジック回路は、動作期間の後の停止期間において温度センサー回路が動作を停止した場合にも、ラッチ回路にラッチされた温度データに基づいて、温度補償処理を適正に実行できるようになる。
また本実施形態では、温度センサー回路は、リングオシレーターと、発振信号に基づくクロック信号を用いてリングオシレーターの出力パルス信号のカウント処理を行い、カウント処理により得られたカウント値に基づく温度データを出力するカウンター回路と、リングオシレーターにレギュレート電源電圧を供給するレギュレーターと、を含んでもよい。そしてレギュレーターは、間欠動作の期間においてレギュレート電源電圧をリングオシレーターに供給してもよい。
このような構成によれば、低消費電力で、低電圧動作が可能な温度センサー回路を、小規模な回路により実現することが可能になる。
また本実施形態では、温度センサー回路は、レギュレート電源電圧に基づいて動作し、リングオシレーターの動作電流を設定する電流設定回路を含んでよい。
このような電流設定回路を設けて、リングオシレーターの動作電流を設定することで、温度に応じてリングオシレーターの発振周波数を変化させるような周波数制御を実現できるようになる。
また本実施形態では、回路装置の第1辺と第1辺の対辺である第2辺との間において、発振回路とロジック回路と温度センサー回路とが、発振回路、ロジック回路、温度センサー回路の順で配置されてもよい。
このようにすれば、発振回路と温度センサー回路の間に、ロジック回路が介在するようになるため、温度センサー回路からのノイズが発振回路に伝達されるのを抑制できる。また回路装置の第1辺から第2辺へと向かう方向に沿って、発振回路とロジック回路と温度センサー回路を効率的にレイアウト配置できるため、回路装置の小面積化も実現できる。
また本実施形態では、電源回路は、第1辺と発振回路との間に配置されてもよい。
このようにすれば、回路装置の第1辺から第2辺へと向かう方向に沿って、電源回路と発振回路を効率的にレイアウト配置できるため、回路装置の小面積化を実現できる。
また本実施形態では、回路装置の第1辺と第1辺の対辺である第2辺との間において、温度センサー回路と電源回路と発振回路とが、温度センサー回路、電源回路、発振回路の順で配置されてもよい。
このようにすれば、発振回路と温度センサー回路の間に、電源回路が介在するようになるため、温度センサー回路からのノイズが発振回路に伝達されるのを抑制できる。また回路装置の第1辺から第2辺へと向かう方向に沿って、温度センサー回路と電源回路と発振回路を効率的にレイアウト配置できるため、回路装置の小面積化も実現できる。
また本実施形態では、ロジック回路は、発振回路と第2辺との間に配置されてもよい。
このようにすれば、回路装置の第1辺から第2辺へと向かう方向に沿って、発振回路とロジック回路を効率的にレイアウト配置できるため、回路装置の小面積化を実現できる。
また本実施形態では、振動子の一端に接続される第1端子と、振動子の他端に接続される第2端子と、電源電圧が入力される電源端子と、グランド電圧が入力されるグランド端子と、を含んでもよい。そして第1端子とグランド端子は、回路装置の第1辺及び第2辺に交差する第3辺に沿って配置され、電源端子と第2端子は、回路装置の第3辺の対辺である第4辺に沿って配置されてもよい。
このようにすれば、発振回路と温度センサー回路の間にロジック回路又は電源回路が配置されるレイアウト配置において、回路装置の第3辺における発振回路に対応する位置に、振動子の一端に接続される第1端子を配置できるようになると共に、グランド端子についても第1端子と共に第3辺に沿って配置できるようになる。また回路装置の第4辺における発振回路に対応する位置に、振動子の他端に接続される第2端子を配置できるようになると共に、電源端子についても第2端子と共に第4辺に沿って配置できるようになる。
また本実施形態では、電源端子は、第1辺と第4辺が交差する第1コーナー部に配置され、グランド端子は、第2辺と第3辺が交差する第2コーナー部に配置されてもよい。
このようにすれば、第2コーナー部に配置されるグランド端子と、振動子の一端に接続される第1端子とを、第3辺に沿って効率良く配置できようになる。また第1コーナー部に配置される電源端子と、振動子の他端に接続される第2端子とを、第4辺に沿って効率良く配置できるようになる。
また本実施形態では、発振信号に基づく出力クロック信号が出力されるクロック端子を含み、クロック端子は、第2辺と第4辺が交差する第3コーナー部に配置されてもよい。
このようにすれば、ノイズ源となるクロック端子を、第2辺と第4辺が交差する第3コーナー部に配置できるようになり、クロック端子での出力クロック信号のノイズが発振回路に伝達されるのを抑制できるようになる。
また本実施形態では、電源電圧が入力される電源端子を含み、電源回路は、電源端子と発振回路との間に配置されてもよい。
このようにすれば、電源端子からショートパスの経路で、電源電圧を電源回路に供給し、供給された電源電圧に基づいて電源回路が発振回路に対してショートパスの経路で電源を供給できるようになる。従って、電源端子からの電源電圧に基づく適正な電源を発振回路に供給することが可能になる。
また本実施形態では、発振信号に基づく出力クロック信号を出力する出力バッファー回路と、出力クロック信号が出力されるクロック端子と、を含み、出力バッファー回路は、クロック端子とロジック回路との間に配置されてもよい。
このようにすれば、ロジック回路が発振信号に基づき出力したクロック信号が、ショートパスの経路で、出力バッファー回路に入力されてバッファリングされ、出力クロック信号としてクロック端子から出力されるようになる。これにより、当該経路における寄生抵抗や寄生キャパシターに起因する出力クロック信号の信号特性の劣化を抑制できるようになる。
また本実施形態は、上記に記載の回路装置と、振動子と、を含む発振器に関係する。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また回路装置、発振器の構成・動作等も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。