JP7528074B2 - タイヤトレッド用ゴム組成物 - Google Patents
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Description
- エラストマー100重量部当り35~95重量部(phr)の第1のジエンエラストマーであって、該第1のジエンエラストマーが、ブタジエン及びスチレンをベースとするコポリマーであり、該コポリマーが、その構造内に、ケイ素原子によってエラストマーに結合した少なくとも1つのアルコキシシラン基と、窒素原子を含む少なくとも1つの官能基とを含み、かつ-70℃より低いガラス転移温度を有する、第1のジエンエラストマー、
- 5~40phrの第2のエラストマーであって、イソプレンエラストマーである第2のジエンエラストマー、並びに
- 任意で、0~40phrの第3のジエンエラストマー
を含むタイヤである。
本明細書では、別段の記載がない限り、「組成物」又は「本発明による組成物」という表現は本発明によるトレッドの組成物を示す。
「をベースとする組成物」という表現は、使用する様々な構成成分の混合物及び/又はin situ反応の生成物を含む組成物を意味すると理解されるべきであり、これらの構成成分の一部は、組成物の製造の様々な段階で、少なくとも部分的に互いに反応することが可能である、及び/又は反応することが意図されており、従って、組成物が完全に又は部分的に架橋状態又は非架橋状態にあることが可能である。本発明の目的において、「エラストマー100重量部当りの重量部」(phr)という表現は、エラストマー100質量部当りの質量部を意味すると理解されるべきである。本明細書では、別段の明示的な記載がない限り、記載するすべての百分率(%)は質量百分率(%)である。さらに、「aからbの間」という表現で示される任意の値の間隔は、a超からb未満までの値の範囲(すなわち限界値a及びbは含まない)を表すのに対し、「a~b」という表現で示される任意の値の間隔は、a~bまでの値の範囲(すなわち限界値a及びbを含む)を意味する。本明細書において、値の間隔を「a~b」という表現で説明する場合、好ましくは「aからbの間」という表現で表される間隔も説明している。「優勢な」化合物に言及する場合、これは本発明の目的において、この化合物が組成物中の同種の化合物の中で優勢であること、すなわち同種の化合物の中で質量的に最大量を示すものであることを意味すると理解される。従って、例えば「優勢な」エラストマーは、組成物中のエラストマーの総質量に対して最大の質量を占めるエラストマーである。同様に、「優勢な」充填剤は組成物の充填剤の中で最大の質量を占める充填剤である。例えば、ただ1つのエラストマーを含む系では、本発明の目的において、このエラストマーが優勢であり、2つのエラストマーを含む系では、優勢なエラストマーがエラストマーの質量の半分より多くを占める。好ましくは、「優勢」という用語は、50%超、好ましくは60%、70%、80%、90%超で存在すること、さらに優先的には、「優勢」な化合物は100%を占めることを意味すると理解される。本明細書中で言及する炭素を含む化合物は、化石由来でもバイオベースでもよい。バイオマスベースの場合、炭素を含む化合物の一部又は全部がバイオマスに由来しても、或いはバイオマスに由来する再生可能な出発物質から炭素を含む化合物を得てもよい。特に、ポリマー、可塑剤、充填剤などが該当する。エラストマーのガラス転移温度(Tg)は、規格ASTM E1356-08(2014)に従って示差熱量計(示差走査熱量計)を用いて測定する。
II-1 エラストマーマトリックス
本発明によれば、タイヤのトレッドの組成物のエラストマーマトリックスが、
- 35~95phrの第1のジエンエラストマーであって、該第1のジエンエラストマーが、ブタジエン及びスチレンをベースとするコポリマーであり、該コポリマーが、その構造内に、ケイ素原子によってエラストマーに結合した少なくとも1つのアルコキシシラン基と、窒素原子を含む少なくとも1つの官能基とを含み、かつ-70℃より低いガラス転移温度を有する、第1のジエンエラストマー、
- 5~40phrの第2のエラストマーであって、イソプレンエラストマーである第2のジエンエラストマー、並びに
- 任意で、0~40phrの第3のジエンエラストマー
を含む。
- 溶液中で調製したスチレン/ブタジエンコポリマーである(SSBR)、
- スチレン/ブタジエンコポリマーの総質量に対するスチレンの質量含有量が、1から15%の間、好ましくは1から5%の間である、
- ブタジエン部分のビニル結合の含有量が、4から25%の間、好ましくは10から15%の間である。
(*-)aSi(OR’)bRcX
上式で、
- *-はエラストマー鎖への結合を表し、
- 基Rは置換若しくは非置換のC1-C10、又はC1-C8アルキル基、好ましくはC1-C4アルキル基、より優先的にはメチル及びエチルを表し、
- 任意で部分的に又は完全に加水分解してヒドロキシルを生じる式-OR’のアルコキシル基において、R’は置換若しくは非置換のC1-C10、又はC1-C8アルキル基、好ましくはC1-C4アルキル基、より優先的にはメチル及びエチルを表し、
- Xは窒素ベースの官能基を含む基を表し、
- aは1又は2、bは1又は2、及びcは0又は1、ただしa+b+c=3。
aの値はエラストマーの構造内のアルコキシシラン基の位置によって異なることを当業者は理解するだろう。aが1のとき、基は鎖末端に位置する。aが2のとき、基は鎖の中央に位置する。
- 窒素原子を含む官能基が3級アミン、より具体的にはジエチルアミノ基又はジメチルアミノ基である、
- 窒素原子を含む官能基を、C1-C10脂肪族炭化水素ベースの基、さらにより優先的には直鎖のC2又はC3炭化水素ベースの基として定義されるスペーサー基を介してアルコキシシラン基が有している、
- アルコキシシラン基が、任意で部分的に又は完全に加水分解してシラノールを生じるメトキシシラン又はエトキシシランである、
- 第1のジエンエラストマーがブタジエン/スチレンコポリマーである、
- 第1のジエンエラストマーが、主にケイ素原子を介して第1のジエンエラストマーの2つの分岐に結合したアルコキシシラン基によって鎖の中央で官能化されている、
- 第1のジエンエラストマーが-105~-70℃の範囲内であるガラス転移温度を有する。
特に好ましくは、以下の特徴のうち少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つ、より好ましくはすべてが観察される。
- 窒素原子を含む官能基が3級アミン、より具体的にはジエチルアミノ基又はジメチルアミノ基である、
- 窒素原子を含む官能基を、直鎖のC3脂肪族炭化水素ベースの基を介してアルコキシシラン基が有している、
- アルコキシシラン基が、任意で部分的に又は完全に加水分解してシラノールを生じるメトキシシラン又はエトキシシランである、
- 第1のジエンエラストマーがブタジエン/スチレンコポリマーである、
- 第1のジエンエラストマーが、主にケイ素原子を介して第1のジエンエラストマーの2つの分岐に結合したアルコキシシラン基によって鎖の中央で官能化されている、
- 第1のジエンエラストマーのガラス転移温度が-95~-80℃の範囲内である。
本発明によるタイヤのトレッドの組成物における第1のジエンエラストマーの含有量は、有利には40~80phrの範囲内であり得る。
(OR’)dSi(R)cX
上式で、
- 任意で部分的に又は完全に加水分解性である式-OR’のアルコキシル基において、R’は置換若しくは非置換のC1-C10、又はC1-C8アルキル基、好ましくはC1-C4アルキル基、より優先的にはメチル及びエチルを表し、
- Rは置換若しくは非置換のC1-C10、又はC1-C8アルキル基、好ましくはC1-C4アルキル基、より優先的にはメチル及びエチルを表し、
- Xは窒素原子を含む官能基を含む基を表し、
- dは2又は3、cは0又は1、ただしd+c=3。
窒素原子を含む官能基は上記に定義するとおりである。窒素原子を含む官能基は、保護された若しくは保護されていない1級アミン、保護された若しくは保護されていない2級アミン、又は3級アミンであり得る。それにより窒素原子は、2つの同一の又は異なる基によって置換することができ、この基は、トリアルキルシリル基、つまり1~4個の炭素原子、又はC1-C10、好ましくはC1-C4アルキル基、より好ましくはメチル若しくはエチル基を有するアルキル基、又は窒素形態の2つの置換基であり得、後者は、複素環が窒素原子及び少なくとも1個の炭素原子、好ましくは2~6個の炭素原子を含む。
本発明によるタイヤのトレッドの組成物は、追加的に、タイヤの製造に使用できるゴム組成物を補強できることが知られている補強充填剤を含む。補強充填剤は、カーボンブラック、無機補強充填剤、又はこれらの混合物を含み得る。本発明の関連で使用し得るカーボンブラックは、タイヤ又は該タイヤのトレッドで従来使用されている任意のカーボンブラック(「タイヤグレード」のカーボンブラック)であり得る。より具体的には、100、200、及び300シリーズの補強カーボンブラック、又は500、600、若しくは700シリーズ(ASTMグレード)のカーボンブラック、例えばN115、N134、N234、N326、N330、N339、N347、N375、N550、N683、及びN772カーボンブラックが挙げられよう。これらのカーボンブラックは、市販されている分離した状態でも、その他の形態でも、例えば、使用するいくつかのゴム添加剤の支持体として使用できる。カーボンブラックは、例えばマスターバッチの形態で、ジエンエラストマー、特にイソプレンエラストマーに予め混合しておくことができよう(例えば、国際公開第97/36724号又は国際公開第99/16600号参照)。カーボンブラック以外の有機充填剤の例として、例えば国際公開第2006/069792号、国際公開第2006/069793号、国際公開第2008/003434号、及び国際公開第2008/003435号に記載の官能化ポリビニル有機充填剤を挙げてよい。カーボンブラックのBET比表面積は、規格D6556-10[多点(少なくとも5点)法-ガス:窒素-相対圧力P/P0範囲:0.1~0.3]に従って測定される。
加硫系は、優先的には硫黄分子及び/又は少なくとも1つの硫黄供与剤を含む。優先的には、少なくとも1つの加硫促進剤も存在し、任意で、また優先的には、様々な既知の加硫活性剤、例えば酸化亜鉛、ステアリン酸などの化合物、例えばステアリン酸塩、及び遷移金属の塩、グアニジン誘導体(特にジフェニルグアニジン)、又は既知の加硫遅延剤も使用する。硫黄は0.5から12phrの間、特に1から10phrの間の優先的な含有量で使用してよい。加硫促進剤は0.5から10phrの間、より優先的には0.5から5.0phrの間の優先的な含有量で使用する。促進剤として、硫黄の存在下でジエンエラストマーの加硫促進剤として作用できる任意の化合物、具体的にはチアゾール型及びそれらの誘導体の促進剤、又はスルフェンアミド型、チウラム型、ジチオカルバメート型、ジチオホスフェート型、チオ尿素型、及びキサントゲン酸塩型の促進剤を使用してよい。具体的には、そのような促進剤の例として以下を挙げてよい:2-メルカプトベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(DCBS)、N-(tert-ブチル)-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)、N-(tert-ブチル)-2-ベンゾチアゾールスルフェンイミド(TBSI)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBZTD)、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(ZBEC)、及びこれらの化合物の混合物。
本発明によるタイヤのトレッドのゴム組成物は、「高Tg」として知られる、ガラス転移温度が20℃より高い可塑化樹脂を含む可塑化系(本明細書では用語簡略化のため「可塑化樹脂」とも呼ぶ)を含み得る。
II-4.1 可塑化樹脂
本特許出願において「樹脂」という名称は、当業者に既知の定義により、油などの液体可塑化化合物とは異なり、環境温度(23℃)で固体である化合物を示す。可塑化樹脂は、当業者に既知のポリマーであり、本質的に炭素と水素をベースとするが、特にポリマーマトリックス中で可塑剤又は粘着剤として使用できる他の種類の原子を含み得る。可塑化樹脂は一般に、真の希釈剤として作用するように、使用する含有量で、意図されるポリマー組成物と本質的に混和性(すなわち相溶性)である。これらは、例えばR.Mildenberg、M.Zander及びG.Collinによる「Hydrocarbon Resins]という題名の著書(New York,VCH,1997,ISBN3-527-28617-9)に記載されており、その第5章がその用途、とりわけタイヤゴム領域(5.5.“Rubber Tires and Mechanical Goods”)にあてられている。可塑化樹脂は、脂肪族、脂環式、芳香族、水素化芳香族、脂肪族/芳香族系、すなわち脂肪族及び/又芳香族モノマーをベースとするものであってよい。これらは、天然でも合成でもよく、石油ベースであってもなくてもよい(石油ベースであれば、石油樹脂という名称で知られる)。可塑化樹脂のTgは、好ましくは20℃より高い(通常は30から95℃の間)。
- 溶出溶媒:テトラヒドロフラン、
- 温度:35℃、
- 濃度:1g/L、
- 流量:1mL/分、
- 注入量:100μL、
- ポリスチレン標準によるムーア較正(Moore calibration)、
- 直列の3本「Waters」カラムセット(Styragel HR4E、Styragel HR1及びStyragel HR0.5)、
- 示差屈折計(例えばWaters Millennium)(場合によっては操作用ソフトウェア(例えばWaters Millennium)を装備)による検出。
ムーア較正は、PDIが低く(1.2未満)、モル質量が既知で、分析する質量範囲をカバーしている一連の市販ポリスチレン標準を用いて実施する。重量平均モル質量(Mw)、数平均モル質量(Mn)、及び多分散指数(PDI=Mw/Mn)を、記録したデータ(モル質量の重量分布曲線)から導き出す。従って、本出願で示すすべてのモル質量が、ポリスチレン標準を用いて作成した較正曲線の相対値となる。
- Tgが25℃より高い(特に30から100℃の間)、より優先的には30℃より高い(特に30から95℃の間)、
- 軟化点が50℃より高い(特に50から150℃の間)、
- 数平均モル質量(Mn)が300から2000g/モルの間、優先的には400から1500g/モルの間、
- 多分散指数(PDI)が3未満、優先的には2未満(注:PDI=Mw/Mnで、Mwは重量平均モル質量)。
上記の優先的な高Tg可塑化樹脂は当業者にはよく知られており、例えば以下が市販されている。
- ポリリモネン樹脂:DRT製Dercolyte L120(Mn=625g/モル;Mw=1010g/モル;PDI=1.6;Tg=72℃)又はArizona製Sylvagum TR7125C(Mn=630g/モル;Mw=950g/モル;PDI=1.5;Tg=70℃)、
- C5画分/ビニル芳香族コポリマー樹脂、特にC5画分/スチレン又はC5画分/C9画分コポリマー樹脂:Neville Chemical Company製Super Nevtac78、Super Nevtac85、及びSuper Nevtac99、Goodyear Chemicals製Wingtack Extra、Kolon製Hikorez T1095及びHikorez T1100、又はExxon製Escorez2101及びEscorez1273、
- リモネン/スチレンコポリマー樹脂:DRT製Dercolyte TS105又はArizona Chemical Company製ZT115LT及びZT5100。
本発明の実施に必須ではないものの、本発明によるタイヤのトレッドのゴム組成物の可塑化系は、「低Tg」(すなわち、定義によれば、Tgが-20℃より低い、好ましくは-40℃より低い)と呼ばれる23℃で液体の可塑剤を含み得る。本発明によれば、組成物は任意で、0~50phrの23℃で液体の可塑剤を含み得る。23℃で液体の可塑剤を使用する場合、本発明によるトレッドの組成物におけるその含有量は、10~45phr、好ましくは15~30phrの範囲内であり得る。芳香族性であれ非芳香族性であれ、ジエンエラストマーに対する可塑化特性が知られている23℃で液体の任意の可塑剤(又はエクステンダー油)を使用できる。多少の粘性を有するこれらの可塑剤又はこれらの油は、特に環境温度(23℃)で本質的に固体である可塑化樹脂とは対照的に、環境温度で液体(すなわち、注記しておくと、最終的に容器の形を取ることができる物質)である。液体ジエンポリマー、ポリオレフィン油、ナフテン系油、パラフィン系油、DAE油、MES(中度抽出溶媒和物)油、TDAE(処理留出物芳香族抽出物)油、RAE(残留芳香族抽出物)油、TRAE(処理残留芳香族抽出物)油、SRAE(安全残留芳香族抽出物)油、鉱油、植物油、エーテル可塑剤、エステル可塑剤、リン酸エステル可塑剤、スルホン酸エステル可塑剤、及びこれらの23℃で液体の可塑剤の混合物を含む、又はこれらからなる群から選択される23℃で液体の可塑剤が特に好適である。
本発明の実施に必須ではないものの、本発明によるタイヤのトレッドのゴム組成物の可塑化系は、「低Tg」(すなわち、定義によれば、Tgが-40~-20℃の範囲内にある)と呼ばれる20℃で粘性の可塑化樹脂を含み得る。本発明によれば、この組成物は、23℃で液体の可塑剤に加えて、又はその全部若しくは一部の代わりとして、0~140phrの20℃で粘性の可塑化樹脂を任意で含み得る。好ましくは、20℃で粘性の可塑化樹脂は、以下の特徴のうち少なくともいずれか1つ、好ましくは2つ又は3つ、好ましくはすべてを示す。
- Tgが-40から0℃の間、より優先的には-30~0℃の間、及びさらにより優先的には-20~0℃の間、
- 数平均分子質量(Mn)が800g/モル未満、好ましくは600g/モル未満、及びより優先的には400g/モル未満、
- 軟化点が0~50℃、優先的には0~40℃、より優先的には10~40℃、好ましくは10~30℃の範囲内、
- 多分散指数(PDI)が3未満、より優先的には2未満(注:PDI=Mw/Mnで、Mwは重量平均分子質量)。
上記の優先的な20℃で粘性の可塑化樹脂は当業者にはよく知られており、例えば以下が市販されている。
- 脂肪族樹脂:Cray Valley製Wingtack10(Mn=480g/モル;Mw=595g/モル;PDI=1.2;SP=10℃;Tg=-28℃)、
- クマロン/インデン樹脂:Rutgers Chemicals製Novares C30(Mn=295g/モル;Mw=378g/モル;PDI=1.28;SP=25℃;Tg=-19℃)、
- C9画分樹脂:Rutgers Chemicals製Novares TT30(Mn=329g/モル;Mw=434g/モル;PDI=1.32;SP=25℃;Tg=-12℃)。
20℃で粘性の可塑化樹脂を使用する場合、本発明によるトレッドの組成物におけるその含有量は、20~120phr、好ましくは40~90phr範囲内であり得る。非常に有利には、23℃で液体の可塑剤と20℃で粘性の可塑化樹脂の総含有量は、0~50phr、好ましくは10~45phr、好ましくは15~30phrの範囲内である。
本発明によるタイヤのトレッドのゴム組成物は、タイヤ用のエラストマー組成物に一般に使用される通常の添加剤、例えば可塑剤(可塑化油及び/又は可塑化樹脂など)、顔料、保護剤、例えば耐オゾンワックス、化学オゾン劣化防止剤、酸化防止剤、抗疲労剤、補強樹脂(例えば国際公開第02/10269に記載)の全部又は一部を任意で含んでもよい。
本発明による組成物は、当業者によく知られている連続的な2つの調製段階を用いて適切なミキサーで製造できる。
- 第1段階の熱機械加工又は混練(「非生産」段階)は単一の熱機械的ステップで実施でき、ここで加硫系を除くすべての必要な構成成分、特にエラストマーマトリックス、任意の充填剤、及び任意の他の様々な添加剤を、標準的な内部ミキサー(例えば「バンバリー」型)などの適切なミキサーに導入する。任意の充填剤は、熱機械的に混練する際に1回又は複数回に分けてエラストマーに加えてよい。非生産段階は、一般に2から10分の間の時間にわたって、110から200℃、好ましくは130から185℃の間の最高温度で実施できる、
- 第2段階の機械加工(「生産」段階)は、第1の非生産段階で得られた混合物を、通常120℃より低い温度、例えば40から100℃の間の低温まで冷却した後に、オープンミルなどの外部ミキサーで実施する。次いで、加硫系を加えた後、合わせた混合物を数分間、例えば5から15分間混合する。
そのような段階は、例えば欧州特許出願公開第0501227号明細書、欧州特許出願公開第0735088号明細書、欧州特許出願公開第0810258号明細書、国際公開第00/05300号、又は国際公開第00/05301号に記載されている。このようにして得られた最終組成物は、その後、特に実験室での特性評価のために、例えばシート状又はプラーク状にカレンダー加工するか、或いは、例えば乗用車のタイヤトレッドとして使用できるゴム半製品(又は異形)要素の形状に押し出す。これらの製品は、その後、当業者に既知の技術により、タイヤの製造に使用できる。組成物は生の状態(加硫前)と硬化状態(加硫後)のどちらであってもよく、タイヤに使用できる半製品であってよい。組成物の加硫は、当業者に既知の方法で、例えば加圧下で130から200℃の間の温度で実施できる。
周知のように、タイヤのトレッドは、装備するのが乗用車であるか他の車両であるかにかかわらず、タイヤが回転している時に地面と接するトレッド面を持つ。トレッドには、特に様々な主溝で区切られたトレッドパターン要素又は基本ブロックを備えるトレッドパターンが設けられており、主溝は縦又は円周方向、横又は斜め方向で、さらに基本ブロックに様々な切り欠きや細い筋を含むことができる。溝は、濡れた地面の走行時に水を排出する水路を形成し、これらの溝の壁は、曲がる方向に応じて、トレッドパターン要素の前縁と後縁を画定する。本発明によれば、トレッドは同一組成物で構成されていてよい。また有利には、トレッドは複数の部分(又は層)を、例えば半径方向に2つ重ねて有していてもよい。すなわち、各部分(又は各層)は、少なくとも実質的に、互いに対しても接線(又は縦断)面に対しても平行であり、この接線面は半径方向に対して垂直に画定されている。従って、本発明による組成物は本発明によるトレッド全体に存在し得る。好ましくは、トレッドは少なくとも1つの半径方向内側部分と1つの半径方向外側部分を有し、本発明による組成物は、有利には本発明によるタイヤのトレッドの半径方向内側部分に存在する。この場合、トレッドの半径方向外側部分は、好ましくは本発明による組成物とは異なる組成物で形成されている。トレッドは、互いに異なるが、ともに本発明による2つの組成物を含むこともでき、1つはトレッドの半径方向外側部分に、もう1つは半径方向内側部分に存在する。
- 第1の部分と、第1の部分に対して半径方向外側の第2の部分とを半径方向に重ね合わせて形成されている軸方向の幅Lを有し、
- 第1の部分が単一の層C1で形成されており、
- 層C1が、タイヤの赤道面(XZ)で測定した、トレッドの軸方向の幅Lの少なくとも80%にわたって実質的に一定である半径方向の厚みE1を有し、かつ本発明による組成物で形成されており、
- 第2の部分が単一の層C2で形成されており、
- 層C2が、タイヤの赤道面(XZ)で測定した、トレッドの軸方向の幅Lの少なくとも80%にわたって実質的に一定である半径方向の厚みE2を有し、かつ本発明による組成物とは異なるゴム組成物C2で形成されている。
III-1枚の図面の簡単な説明
前述を踏まえて、本発明の好ましい実施形態を以下に説明する。
A.タイヤであって、該タイヤのトレッドが、少なくとも1つのエラストマーマトリックス、補強充填剤、及び加硫系をベースとするゴム組成物を含み、エラストマーマトリックスが、
- エラストマー100重量部当り35~95重量部(phr)の第1のジエンエラストマーであって、該第1のジエンエラストマーが、ブタジエン及びスチレンをベースとするコポリマーであり、該コポリマーが、その構造内に、ケイ素原子によってエラストマーに結合した少なくとも1つのアルコキシシラン基と、窒素原子を含む少なくとも1つの官能基とを含み、かつ-70℃より低いガラス転移温度を有する、第1のエラストマー、
- 5~40phrの第2のエラストマーであって、イソプレンエラストマーである第2のジエンエラストマー、並びに
- 任意で、0~40phrの第3のジエンエラストマー
を含むタイヤ。
B.第1のジエンエラストマーがブタジエン/スチレンコポリマーである、実施形態Aに記載のタイヤ。
C.アルコキシシラン基が、任意で部分的に又は完全に加水分解してヒドロキシルを生じるC1-C10、又はC1-C8、好ましくはC1-C4アルコキシル基、より優先的にはメトキシ及びエトキシを含む、実施形態A又はBに記載のタイヤ。
D.窒素原子を含む官能基が、鎖末端に位置し、共有結合又は炭化水素ベースの基を介してエラストマーに直接結合している、実施形態A~Cのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
E.窒素原子を含む官能基を、アルコキシシラン基のシリコンが直接、又はスペーサー基を介して有しており、スペーサー基は、原子、又は飽和若しくは不飽和、環式若しくは非環式、直鎖若しくは分岐鎖のC1-C18二価脂肪族炭化水素ベースの基、若しくはC6-C18二価芳香族炭化水素ベースの基と定義され、該スペーサー基は、任意で1つ若しくは複数の芳香族基及び/又は1つ若しくは複数のヘテロ原子を有する、実施形態A~Dのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
F.アルコキシシラン基が次の式で表される、実施形態A~Eのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
(*-)aSi(OR’)bRcX
上式で、
- *-はエラストマー鎖への結合を表し、
- 基Rは置換若しくは非置換のC1-C10、又はC1-C8アルキル基、好ましくはC1-C4アルキル基、より優先的にはメチル及びエチルを表し、
- 任意で部分的に又は完全に加水分解してヒドロキシルを生じる式-OR’のアルコキシル基において、R’は置換若しくは非置換のC1-C10、又はC1-C8アルキル基、好ましくはC1-C4アルキル基、より優先的にはメチル及びエチルを表し、
- Xは窒素原子を含む官能基を含む基を表し、
- aは1又は2、bは1又は2、及びcは0又は1、ただしa+b+c=3。
G.窒素原子を含む官能基が、保護された若しくは保護されていない1級アミン、保護された若しくは保護されていない2級アミン、又は環式又は非環式3級アミンから選択される、実施形態A~Fのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
H.窒素原子を含む官能基が3級アミン官能基、好ましくはジエチルアミン又はジメチルアミンである、実施形態A~Fのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
I.第1のジエンエラストマーが、主にケイ素原子を介して第1のジエンエラストマーの2つの分岐に結合したアルコキシシラン基によって鎖の中央で官能化されており、アルコキシ基が、任意で部分的に又は完全に加水分解してヒドロキシルを生じる、実施形態A~Hのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
J.第1のジエンエラストマーのガラス転移温度が、-105~-70℃、好ましくは-100~-75℃、及び好ましくは-95~-80℃の範囲内である、実施形態A~Iのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
K.以下の特徴のうち少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、及び好ましくは少なくとも4つが観察される、実施形態A~Jのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
- 窒素原子を含む官能基が3級アミン、より具体的にはジエチルアミノ基又はジメチルアミノ基である、
- 窒素原子を含む官能基を、C1-C10脂肪族炭化水素ベースの基、さらにより優先的には直鎖のC2又はC3炭化水素ベースの基として定義されるスペーサー基を介してアルコキシシラン基が有している、
- アルコキシシラン基が、任意で部分的に又は完全に加水分解してシラノールを生じるメトキシシラン又はエトキシシランである、
- 第1のジエンエラストマーがブタジエン/スチレンコポリマーである、
- 第1のジエンエラストマーが、主にケイ素原子を介して第1のジエンエラストマーの2つの分岐に結合したアルコキシシラン基によって鎖の中央で官能化されている、
- 第1のジエンエラストマーが-105~-70℃の範囲内であるガラス転移温度を有する。
L.以下の特徴のすべてが観察される、実施形態A~Jのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
- 窒素原子を含む官能基が3級アミン、より具体的にはジエチルアミノ基又はジメチルアミノ基である、
- 窒素原子を含む官能基を、アルコキシシラン基が、直鎖のC3脂肪族炭化水素ベースの基を介して有している、
- アルコキシシラン基が、任意で部分的に又は完全に加水分解してシラノールを生じるメトキシシラン又はエトキシシランである、
- 第1のジエンエラストマーがブタジエン/スチレンコポリマーである、
- 第1のジエンエラストマーが、主にケイ素原子を介して第1のジエンエラストマーの2つの分岐に結合したアルコキシシラン基によって鎖の中央で官能化されている、
- 第1のジエンエラストマーのガラス転移温度が-95~-80℃の範囲内である。
M.組成物における第1のジエンエラストマーの含有量が、40~80phrの範囲内である、実施形態A~Lのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
N.第2のエラストマーが、質量含有率で、ポリイソプレン質量の少なくとも90%のcis-1,4結合を含む、実施形態A~Mのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
O.ポリイソプレンが、天然ゴム、合成ポリイソプレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施形態Nに記載のタイヤ。
P.ポリイソプレンが天然ゴムである、実施形態N又はMに記載のタイヤ。
Q.組成物における第2のジエンエラストマーの含有量が、10~35phrの範囲内である、実施形態A~Pのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
R.第3のジエンエラストマーが、ポリブタジエン、ブタジエンコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施形態A~Qのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
S.組成物における第3のジエンエラストマーの含有量が5~35phrの範囲内である、実施形態A~Rのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
T.組成物における第1、第2、及び第3のジエンエラストマー、好ましくは第1及び第2のジエンエラストマーの総含有量が、80~100phr、好ましくは90~100phrの範囲内であり、より好ましくは100phrである、実施形態A~Sのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
U.補強充填剤が、カーボンブラック、無機補強充填剤、又はこれらの混合物のうちの1つを含む、実施形態A~Tのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
V.補強充填剤が、主に無機補強充填剤を含む、実施形態A~Uのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
W.無機補強充填剤がシリカである、実施形態U又はV記載のタイヤ。
X.組成物における無機補強充填剤の含有量が、90~200phr、好ましくは95~180phr、及び好ましくは100~150phrの範囲内である、実施形態U~Wのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
Y.組成物におけるカーボンブラックの含有量が、0~40phr、好ましくは1~20phr、及び好ましくは2~10phrの範囲内である、実施形態U~Xのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
Z.加硫系が硫黄又硫黄供与剤をベースとする、実施形態A~Yのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
AA.組成物が追加的に、少なくとも1つの、ガラス転移温度が20℃より高い可塑化樹脂を含む、実施形態A~Zのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
BB.ガラス転移温度が20℃より高い可塑化樹脂が、シクロペンタジエンホモポリマー若しくはコポリマー樹脂、ジシクロペンタジエンホモポリマー若しくはコポリマー樹脂、テルペンホモポリマー若しくはコポリマー樹脂、C5画分ホモポリマー若しくはコポリマー樹脂、C9画分ホモポリマー若しくはコポリマー樹脂、α-メチルスチレンホモポリマー若しくはコポリマー樹脂、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施形態AAに記載のタイヤ。
CC.組成物における、ガラス転移温度が20℃より高い可塑化樹脂の含有量が、10~45phr、好ましくは15~30phrの範囲内である、実施形態AA又はBB記載のタイヤ。
DD.組成物が追加的に、0~50phrの23℃で液体の可塑剤を任意で含む、実施形態A~CCのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
EE.23℃で液体の可塑剤が、液体ジエンポリマー、ポリオレフィン油、ナフテン系油、パラフィン系油、DAE油、MES油、TDAE油、RAE油、TRAE油、SRAE油、鉱油、植物油、エーテル可塑剤、エステル可塑剤、リン酸エステル可塑剤、スルホン酸エステル可塑剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施形態DDに記載のタイヤ。
FF.トレッドが、少なくとも1つの半径方向内側部分と1つの半径方向外側部分を有し、組成物がトレッドの半径方向内側部分に存在する、実施形態A~EEのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
GG.半径方向外側部分の半径方向の厚みE2が、4~8mm、好ましくは4.5~7.5mmの範囲内である、実施形態FFに記載のタイヤ。
HH.半径方向内側部分の半径方向の厚みE1が、1~5mm、好ましくは1.5~4.5mmの範囲内である、実施形態FF又はGGに記載のタイヤ。
II.半径方向外側部分が、半径方向内側部分の組成物とは異なるゴム組成物を含む、実施形態FF~HHのうちいずれか1つに記載のタイヤ。
V-1 使用する測定法と試験
力学的特性
力学的特性G*とtan(δ)maxを、規格ASTM D5992-96に従って粘度分析計(Metravib VA4000)で測定する。tan(δ)max測定の規格ASTM D1349-09による標準温度条件(23℃)下若しくは0℃で、又はG*測定のために-20℃で、加硫後の組成物試料(厚さ2mm、断面積79mm2の円筒形試験片)に単純な正弦波のせん断応力を周波数10Hzで与え、その応答を記録する。ひずみ振幅掃引は、0.1~50%(外向きサイクル(outward cycle))、次いで50~0.1%(戻りサイクル(return cycle))で行う。観察されたtanδの最大値(tan(δ)max)、及び0.1%と50%ひずみの値間での複素弾性率の差(ΔG*)(ペイン効果)を戻りサイクルについて示す。0℃と23℃での損失係数tan(δ)maxと-20℃での複素動的せん断弾性率G*を結果として用いる。0℃でのtan(δ)maxの結果を基準100で表し、100を対照値とする。100より大きい結果は性能の向上を示し、すなわち検討中の実施例の組成物を含むトレッドは、濡れた地面のグリップが向上したことを示す。23℃でのtan(δ)maxと-20℃でのG*の結果を基準100で表し、100を対照値とする。100より小さい結果は性能の向上を示し、すなわち検討中の実施例の組成物を含むトレッドは、それぞれ転がり抵抗と雪で覆われた地面のグリップが向上したことを示す。
摩耗による体積損失を決定して得られる耐磨耗性を、2010年11月付の規格NF ISO4649に従って測定する。この規格では、標準研磨紙上で40リニアメーター移動させた後に試料の体積損失を決定する。より具体的には、2010年11月付の規格NF ISO4649の指示(方法B)に従って、回転ドラムの表面にP60グリットの研磨シートを接着し、5N(ニュートン)の接触圧下で40mのコースにわたって円筒形の試験片に作用を及ぼす研磨テスターを使用して、摩耗による体積損失を決定する。試料の質量損失を測定し、体積損失を、試験片を構成する材料の密度(ρ)に従って算出する。試験片を構成する材料の密度(ρ)は、通常、材料の各成分の質量分率とそれぞれの密度(ρ)に基づいて得られる。結果を基準100で示す。対照組成物に任意の値100を割り当てることで、様々な被験組成物の体積損失を比較することができる。被験組成物について基準100で表した値を、(対照組成物の体積損失の測定値/被験組成物の体積損失の測定値)×100の演算で算出する。これにより、100より大きい結果は体積損失の減少、従って耐磨耗性の向上(耐磨耗性能の向上に相当)を示す。逆に、100より小さい結果は体積損失の増加、従って耐磨耗性の低下(耐磨耗性能の低下に相当)を示す。
タックとは、未加硫混合物の集合体が引き裂き応力に耐える能力である。プローブタックテスター(ASTM D2979-95)から着想を得た試験装置を使用して、生の粘着性(タック)を測定する。金属製の固定ジョーと可動ジョーを備えたInstron製引張試験機を使用する。混合物の3mm厚のフィルムからなる第1の試験片を固定ジョーに接着する。混合物の3mm厚のフィルムからなる第2の試験片を可動ジョーに接着する。混合物フィルムは、両面テープ(Tesafix(登録商標)4970)で金属ジョーの表面に接着する。混合物の試験片は、混合物をカレンダー加工で厚さ3mmのフィルムにし、直径1cmのパンチで切り抜いて作成する。測定原理は、40Nの圧縮力をかけて2枚の混合物フィルムを5秒間接触させるというものである。この接触段階の後、引張試験機のクロスヘッドを駆動してフィルムを引き離す。この引き裂き段階でのクロスヘッドの移動速度はlmm/秒である。クロスヘッドの移動と力は、接触段階と引き裂き段階で時間の関数として連続的に測定する。引き裂き時に達した最大力(N)の測定値が、生の粘着力の結果となる。本発明では、9N以上の値が望ましい。生の粘着力の結果は基準100で表し、100を対照値とする。100より大きい結果は性能の向上を示し、すなわち組成物の支持体への接着性が向上したことを示す。
以下の実施例では、上記II-6に説明したようにゴム組成物を作成した。具体的には、0.4Lのミキサーで3.5分間、平均ブレード速度50rpm/分で、最大低下温度が160℃に達するまで、「非生産」段階を実施した。「生産」段階は、オープンミルで、23℃で5分間実施した。
以下に示す実施例の目的は、転がり抵抗、濡れた地面のグリップ、雪で覆われた地面のグリップ、耐摩耗性、及び生の粘着力の間の性能の折り合いについて、本発明による7つの組成物(C1~C7)と5つの対照組成物(T1~T5)とを比較することである。試験した調合物はすべてエラストマーマトリックスを含有する。それぞれの特質と含有量を以下の表1に記載する。120phrのRhodia製「HDS」型Zeosil 1165MP、シリカ/エラストマーのカップリング剤として9.6phrのTESPT液体シラン(Degussa製Si69)、4phrのCabot製ASTM N234グレードのカーボンブラック、19phrのNovance製Lubrirob Tod1880グリセロールトリオレアート(85質量%のオレイン酸を含むヒマワリ油)、2phrの耐オゾンワックス(Sasol Wax製VARAZON4959)、3phrの酸化防止剤(N-(1,3-ジメチルブチル)-N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、Flexsys製Santoflex6-PPD)、47phrの可塑化樹脂(C5/C9樹脂、ExxonMobil製ECR-373樹脂)、3phrのステアリン酸(Uniqema製Pristerene 4931)、2phrのFlexsys製Perkacit DPGジフェニルグアニジン、1.4phrの硫黄、加硫促進剤として1.6phrのN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(Flexsys製Santocure CBS)、及び1.5phrの工業用グレードの酸化亜鉛(Umicore製)。これらの調合物の特性も以下の表1に記載する。対照組成物は、ブタジエン及びスチレンをベースとするコポリマーの性質のみが組成物C1と異なる。組成物C2~C4では、本発明による組成物におけるブタジエン及びスチレンをベースとするコポリマーとポリイソプレンのそれぞれの含有量が、上述の性能の折り合いに及ぼす影響を調べることができる。組成物C5~C7は、本発明による組成物へのポリブタジエン添加の影響を示す。
a)天然ゴム
b)SBR1:3%のスチレン単位と13%のブタジエン部分の1,2単位を含み、エラストマー鎖の中央にアミノアルコキシシラン官能基を有するSBR(Tg:-88℃)
c)SBR2:15.5%のスチレン単位と24%のブタジエン部分の1,2単位を含み、エラストマー鎖の末端にシラノール官能基を有するSBR(Sn星型分岐)(Tg:-65℃)
d)SBR3:25%のスチレン単位と24%のブタジエン部分の1,2単位を含み、エラストマー鎖の中央にアミノアルコキシシラン官能基を有するSBR(Tg:-65℃)
e)SBR4:26%のスチレン単位と24%のブタジエン部分の1,2単位を含み、エラストマー鎖の末端にシラノール官能基を有するSBR(Sn星型分岐)(Tg:-48℃)
f)SBR5:25%のスチレン単位と58%のブタジエン部分の1,2単位を含み、エラストマー鎖の末端にシラノール官能基を有するSBR(Sn星型分岐)(Tg:-24℃)
g)SBR6:26.5%のスチレン単位と24%のブタジエン部分の1,2単位を含み、官能化されていないSBR(3-トリス(ジ-tert-ブチルフェニル)亜リン酸エステル星型分岐)(Tg:-48℃)
h)BR:0.5%の1,2単位と97%のcis-1,4単位を含むポリブタジエン(Tg=-108℃)
Claims (9)
- タイヤであって、前記タイヤのトレッドが、少なくとも1つのエラストマーマトリックス、補強充填剤、及び加硫系をベースとするゴム組成物を含み、前記トレッドが、少なくとも1つの半径方向内側部分と1つの半径方向外側部分を有し、前記ゴム組成物が、前記トレッドの半径方向内側部分に存在し、前記エラストマーマトリックスが、
- エラストマー100重量部当り35~95重量部(phr)の第1のジエンエラストマーであって、前記第1のジエンエラストマーが、ブタジエン及びスチレンをベースとするコポリマーであり、前記コポリマーが、その構造内に、ケイ素原子によって前記エラストマーに結合した少なくとも1つのアルコキシシラン基と、窒素原子を含む少なくとも1つの官能基とを含み、かつ-70℃より低いガラス転移温度を有する、第1のジエンエラストマー、
- 5~40phrの第2のエラストマーであって、イソプレンエラストマーである第2のジエンエラストマー、並びに
- 0~40phrの第3のジエンエラストマーであって、ポリブタジエンである第3のジエンエラストマー
を含み、
前記ゴム組成物における前記第1、第2、及び第3のジエンエラストマーの総含有量が100phrである、タイヤ。 - 以下の特徴のうち少なくとも2つが観察される、請求項1に記載のタイヤ:
- 窒素原子を含む官能基が3級アミンである、
- 窒素原子を含む官能基を、C1-C10脂肪族炭化水素ベースの基として定義されるスペーサー基を介してアルコキシシラン基が有している、
- アルコキシシラン基が、任意で部分的に又は完全に加水分解してシラノールを生じるメトキシシラン又はエトキシシランである、
- 第1のジエンエラストマーがブタジエン/スチレンコポリマーである、
- 第1のジエンエラストマーが、主にケイ素原子を介して第1のジエンエラストマーの2つの分岐に結合したアルコキシシラン基によって鎖の中央で官能化されている、
- 第1のジエンエラストマーが-105~-70℃の範囲内であるガラス転移温度を有する。 - 前記第2のエラストマーが、天然ゴム、合成ポリイソプレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載のタイヤ。
- タイヤであって、前記タイヤのトレッドが、少なくとも1つのエラストマーマトリックス、補強充填剤、及び加硫系をベースとするゴム組成物を含み、前記エラストマーマトリックスが、
- エラストマー100重量部当り35~95重量部(phr)の第1のジエンエラストマーであって、前記第1のジエンエラストマーが、ブタジエン及びスチレンをベースとするコポリマーであり、前記コポリマーが、その構造内に、ケイ素原子によって前記エラストマーに結合した少なくとも1つのアルコキシシラン基と、窒素原子を含む少なくとも1つの官能基とを含み、かつ-70℃より低いガラス転移温度を有する、第1のジエンエラストマー、
- 5~40phrの第2のエラストマーであって、イソプレンエラストマーである第2のジエンエラストマー、並びに
- 0~40phrの第3のジエンエラストマーであって、ポリブタジエンである第3のジエンエラストマー
を含み、
前記ゴム組成物における前記第1、第2、及び第3のジエンエラストマーの総含有量が100phrである、タイヤ。 - 前記組成物における前記第1及び第2のジエンエラストマーの総含有量が100phrである、請求項1~4のいずれか一項に記載のタイヤ。
- 前記補強充填剤が、カーボンブラック、無機補強充填剤、又はこれらの混合物のうちの1つを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のタイヤ。
- 前記補強充填剤が、主に無機補強充填剤を含む、請求項6に記載のタイヤ。
- 前記組成物における無機補強充填剤の含有量が、90~200phrの範囲内である、請求項6又は7に記載のタイヤ。
- 前記半径方向外側部分が、前記半径方向内側部分の前記組成物とは異なるゴム組成物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のタイヤ。
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