JP7521211B2 - 反射材 - Google Patents

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Description

本発明は反射材に関する。更に詳しくは、本発明は、液晶ディスプレイ、照明器具、照明看板などの構成部材として好適に使用することができる反射材に関する。
液晶ディスプレイをはじめ、照明器具や照明看板など多くの分野で反射材が使用されている。最近では、液晶ディスプレイの分野において装置の大型化及び表示性能の高度化が進み、少しでも多くの光を液晶に供給してバックライトユニットの性能を向上させることが求められるようになり、反射材に対しても、より一層優れた光反射性(単に「反射性」ともいう)が求められている。
この種の反射材としては、例えば芳香族ポリエステル系樹脂を主原料とする白色ポリエステルフィルムを用いた液晶ディスプレイ用の反射フィルムが知られている(特許文献1参照)。
しかし、反射材の材料として芳香族ポリエステル系樹脂を用いた場合、分子鎖中に含まれる芳香環が紫外線を吸収するため、液晶表示装置等の光源から発せられる紫外線によって、フィルムが劣化、黄変して、反射フィルムの光反射性が低下するという問題があった。
また、ポリプロピレン樹脂に充填剤を添加して形成されたフィルムを延伸することによって、フィルム内に微細な空隙を形成させ、光散乱反射を生じさせた反射材(特許文献2参照)や、ポリオレフィン樹脂とフィラーを含有する基材層と、ポリオレフィン樹脂を含む層より構成された積層構成のポリオレフィン樹脂光反射体も知られている(特許文献3参照)。
このようなポリオレフィン樹脂を用いた反射フィルムは、紫外線によるフィルムの劣化や黄変の問題が少ないという特徴を有する。
さらに、ポリプロピレン樹脂と、該ポリプロピレン樹脂と非相溶性の樹脂の少なくとも1種以上とを含む、熱収縮率が低減された二軸延伸反射シートが知られている(特許文献4参照)。この反射シートは、無機粉末を多量に含まなくとも、坪量、密度が同程度の従来の反射シートに比べてより高い反射率を示すという特徴を備えるものである。
近年、液晶ディスプレイには更なる薄型化が要求されており、液晶ディスプレイ内に備わるバックライトに関しても薄型化が求められている。
バックライトを薄型化する場合、背面筐体や導光板などの部材を薄くする必要がある。しかしながら、これらの部材を薄くすると、バックライトの機械的強度が低下するため、例えばディスプレイ本体へ外力が加わった場合に、導光板と反射材が局所的に強く接触し、輝度ムラや色ムラ(以下、総称して「輝度ムラ」と言う)を生じる原因となる。そのため、薄型化された液晶ディスプレイに使用されるバックライトには、更に輝度ムラ防止機能が付与された反射材が要求されている。
このような輝度ムラの問題を解消する手段として、粒子を反射材の表層に含有させた反射材(特許文献5、特許文献6参照)が提案されている。
特開平04-239540号公報 特開平11-174213号公報 特開2005-031653号公報 特開2008-158134号公報 特開2015-163986号公報 特開2015-001596号公報
本発明者らの検討によれば、特許文献5および特許文献6に開示されているような反射材は、輝度ムラの問題を解消する効果はみられるものの、導光板が削れて傷が付く場合やバックライトユニット等の構成部材の汚染が生じる場合があることが確認された。また、このような現象はポリオレフィン樹脂を用いた反射材において生じやすいことが確認された。
そこで本発明の目的は、ポリオレフィン樹脂を用いた反射材に関し、良好な反射特性を有し、バックライトユニット等の構成部材に用いた際に、輝度ムラの発生や構成部材の汚染を抑制することができ、液晶ディスプレイの薄型化に対応可能な反射材を提供することにある。
本発明は、ポリオレフィン樹脂と微粉状充填剤を含有する樹脂層(B)と、主成分樹脂としてのポリオレフィン樹脂及び有機粒子を含有する樹脂層(A)と、主成分樹脂としてのポリオレフィン樹脂を含有し且つ粒径が10μm以上である有機粒子を含有しない樹脂層(C)とがこの順に積層された構成を備え、空隙を有する反射材を提案する。
本発明はまた、本発明が提案する前記反射材において、前記樹脂層(A)が含有する有機粒子が、ガラス転移点における熱容量(ΔCp)が0.75J/(g・℃)以下である反射材を提案する。
本発明はまた、本発明が提案する前記反射材において、前記樹脂層(A)の厚みに対する前記樹脂層(C)の厚みの比率が0.6~5.0である反射材を提案する。
本発明が提案する反射材によれば、良好な反射特性を有し、バックライトユニット等の構成部材に用いた際に、輝度ムラの発生や構成部材の汚染を抑制することができ、液晶ディスプレイの薄型化に対応可能な反射材とすることができる。よって、本発明が提案する反射材は、液晶ディスプレイ、照明器具或いは照明看板などの反射材として好適に用いることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
<<本反射材>>
本発明の実施形態の一例に係る反射材(「本反射材」と称する)は、ポリオレフィン樹脂と微粉状充填剤を含有する樹脂層(B)と、主成分樹脂としてのポリオレフィン樹脂及び有機粒子を含有する樹脂層(A)と、主成分樹脂としてのポリオレフィン樹脂を含有し且つ粒径が10μm以上である有機粒子を含有しない樹脂層(C)とが、この順に積層された構成を備え、空隙を有する反射材である。
なお、本発明において「主成分樹脂」とは、各層を構成する樹脂のうち最も質量割合の大きな樹脂を意味し、当該主成分樹脂の機能を妨げない範囲で他の樹脂を含有することを許容する。この際、当該主成分樹脂の含有割合は、各層を構成する樹脂の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100質量%を含む)を占めるものである。
ここで、本反射材を設計する際の技術思想について説明する。但し、本発明は以下の技術思想の範囲に何ら制約を受けるものではない。
前述の通り、輝度ムラを防止する方策としては、従来より、反射材を積層構成とし、その表層に粒子(特に大粒径の有機粒子)を含有させる方策が行われてきた。これは、反射材の表層に粒子を含有させることで表面に突起を形成させるためである。反射材の表面に突起が存在することで、導光板と反射材が局所的に強く接触することを防止することができ、輝度ムラを抑制することが出来る。このことから、反射材の表面に突起を形成させるために粒子を含有させる場合は、積層構成の最表層に粒子を含有させることが採用されてきた。
一方、本発明者らの検討によれば、このような反射材は、輝度ムラの問題を解消する効果はみられるものの、反射材を構成する材料の選択や、反射材の層構成、製造条件等によっては、これらの反射材が導光板を傷付ける場合や、バックライトユニット等の構成部材を汚染する場合のあることが確認された。導光板の傷付きや構成部材の汚染が生じると、このような構成部材を組み込んだ液晶ディスプレイが、液晶画面の欠陥を生じることが推測される。
また、このような現象は、ポリオレフィン樹脂を用いた反射材において生じやすいことも判明した。
本検討の結果、その主な原因の一つは、反射材に含有する粒子が表層から脱離することに起因することが確認された。更に、この粒子の脱離は、反射材の製造時のみならず、製造された反射材の保管中や、バックライトユニット組立工程、および組込後の製品取扱による振動等によっても生じ得ると考えられる。
脱離した粒子が反射材表面に付着した状態でバックライトユニットに組み込んだり、バックライトユニット内で反射材から粒子が脱離したりすると、当該粒子は凝集して更に大粒径化し、反射材と導光板との間に挟まれた状態で存在することとなる。この状態でバックライトユニットに変形応力がかかると、凝集粒子部分に応力集中が生じ、導光板や反射材自身が削れて傷が付き、その結果、液晶画面の欠陥となることが推定される。
この点でも、比較的剛直である(弾性率が高い)ポリエステル樹脂系の反射材に較べ、柔軟である(弾性率が低い)ポリオレフィン樹脂系の反射材において問題が生じやすいことも理解できる。
そこで本発明者らは、仮にポリオレフィン樹脂を用いた反射材であったとしても、突起を形成するための有機粒子含有層を最表層とはせずに、該有機粒子含有層の表層側に外層に相当する層を設けることにより、輝度ムラの抑制効果を発揮しつつ、反射材表面に存在する粒子の脱離を抑制することができることを見出し、かかる知見に基づいて、本反射材を設計したものである。
さらに、本反射材では、樹脂層(A)、樹脂層(B)及び樹脂層(C)のそれぞれの層の機能を分離することができるから、例えば次の(i)~(iii)のような効果を得ることができる。但し、これらの効果に限定するものではない。
(i)樹脂層(B)に光反射性を持たせる一方、樹脂層(A)及び樹脂層(C)に耐熱性を持たせることができる。或いは、
(ii)樹脂層(B)に光反射性を持たせる一方、樹脂層(A)及び樹脂層(C)に反射材としての剛性を持たせることができる。或いは、
(iii)樹脂層(C)で光を表面反射させることができるようにする一方、樹脂層(C)を透過した光を樹脂層(A)或いは樹脂層(B)内で反射させることができる。
このように、樹脂層(A)、樹脂層(B)及び樹脂層(C)の機能を分離することができるから、より一層高い反射性能と共に、より一層優れた耐熱性及び耐折性を得ることができる。
<樹脂層(A)>
樹脂層(A)は、ポリオレフィン樹脂を主成分樹脂とし、かつ有機粒子を含有する層である。
樹脂層(A)がポリオレフィン樹脂を主成分樹脂とすることにより、樹脂層(B)或いは樹脂層(C)と親和性を有し、層間接着性を良好にすることができる。また、樹脂層(A)が有機粒子を含有することにより、本反射材の表面、通常は樹脂層(C)側表面に適度な突起を形成することが出来るため、輝度ムラを抑制することができる。
(ポリオレフィン樹脂)
樹脂層(A)の主成分樹脂としてのポリオレフィン樹脂は、その種類を限定するものではない。例えばポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体等のポリプロピレン系樹脂;高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン・α-オレフィン共重合体等のポリエチレン系樹脂;ポリメチルペンテン等のα-オレフィン樹脂、エチレン-環状オレフィン共重合体等のシクロオレフィン樹脂;エチレン-プロピレンゴム(EPR)、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)等のオレフィン系エラストマー等から選ばれた少なくとも1種のポリオレフィン樹脂を挙げることができる。
これらの中でも、機械的性質、柔軟性などから、ポリプロピレン樹脂、シクロオレフィン樹脂、または両者の組み合わせが好ましい。その中でも、特にシクロオレフィン樹脂を主成分樹脂とすることが好ましい。シクロオレフィン樹脂は可視光の吸収が少なく、耐熱性があるため、樹脂層(A)の主成分樹脂として好適である。
樹脂層(A)中におけるポリオレフィン樹脂の含有量は限定されず、通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。ポリオレフィン樹脂の含有量が前記下限値以上であれば、本反射材に良好な柔軟性を付与することが可能となるため好ましい。
また、樹脂層(A)中におけるポリオレフィン樹脂の含有量の上限も限定されず、有機粒子を除く全てがポリオレフィン樹脂であってもよい。好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは97質量%以下である。ポリオレフィン樹脂の含有量が前記上限値以下であれば、本反射材の耐破断性、耐折り曲げ性や輝度ムラ防止機能などが良好となるため好ましい。
ここで、ポリオレフィン樹脂の含有量は、樹脂層(A)中における全てのポリオレフィン樹脂の合計量を意味する。
(シクロオレフィン樹脂)
次に、樹脂層(A)の主成分樹脂として、上記ポリオレフィン樹脂の中でも特に好ましいシクロオレフィン樹脂について説明する。
シクロオレフィン樹脂とは、主鎖が炭素-炭素結合からなり、主鎖の少なくとも一部に環状炭化水素構造を有する高分子化合物である。この環状炭化水素構造は、ノルボルネンやテトラシクロドデセンに代表されるような、環状炭化水素構造中に少なくとも一つのオレフィン性二重結合を有する化合物(シクロオレフィン)を単量体として用いることで導入される。
シクロオレフィン樹脂は、シクロオレフィンの付加重合体又はその水素添加物、シクロオレフィンとα-オレフィンの付加重合体又はその水素添加物、シクロオレフィンの開環重合体又はその水素添加物に分類され、いずれもシクロオレフィン樹脂として用いることができる。また、シクロオレフィン樹脂は、シクロオレフィン単独重合体、シクロオレフィン共重合体の何れであってもよい。
シクロオレフィン樹脂の具体例としては、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、1,3-シクロヘキサジエン等の1環シクロオレフィン;
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン(慣用名:ノルボルネン)、5-メチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5,5-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-エチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-ブチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-エチリデン-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-ヘキシル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-オクチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-オクタデシル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-メチリデン-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-ビニル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-プロペニル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン等の2環シクロオレフィン;
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3,7-ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)等の3環シクロオレフィン;
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン(単にテトラシクロドデセンともいう)等の4環シクロオレフィン;
8-シクロペンチル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、テトラシクロ[8.4.14,7.01,10.03,8]ペンタデカ-5,10,12,14-テトラエン(1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-へキサヒドロアントラセンともいう);シクロペンタジエンの4量体などの多環のシクロオレフィンなどを挙げることができる。
これらのシクロオレフィン樹脂は、それぞれ単独であるいは2種以上組み合わせて共重合体として用いることができる。
シクロオレフィンと共重合可能なα-オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-へキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-へキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-へキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの炭素数2~20、好ましくは炭素数2~8のエチレンまたはα-オレフィンなどを挙げることができる。これらのα-オレフィンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
シクロオレフィン樹脂とは、シクロオレフィン成分を主成分として含有する樹脂であり、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上含有する樹脂である。
この際、上記「主成分」とは、シクロオレフィン樹脂を構成する成分のうち最も質量割合の大きな成分を意味し、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する。この際、当該主成分の含有割合は、シクロオレフィン樹脂を構成する成分の50質量%以上、好ましくは70質量%以上(100質量%を含む)を占めるものである。なお、他の樹脂の主成分についても同様である。
シクロオレフィン樹脂がノルボルネン等のシクロオレフィンとα-オレフィンとの共重合体である場合、α-オレフィンを共重合成分とすることによる延伸加工等の加工性能の向上の効果と、シクロオレフィンを共重合成分の主成分とすることによる耐熱性の効果とをバランスよく得る観点から、シクロオレフィン樹脂中のシクロオレフィン成分の含有割合は60~90質量%であることが好ましく、中でも65質量%以上或いは80質量%以下であることがより好ましい。
シクロオレフィン又はシクロオレフィンとα-オレフィンとの重合方法及び得られた重合体の水素添加方法に格別な制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。
シクロオレフィン樹脂のメルトフローレート(MFR)は、限定するものではない。例えば、JIS K7210に準拠し、230℃、荷重21.18Nで測定した値として0.1~20g/10分であることが好ましく、中でも0.5g/10分以上或いは10g/10分以下であることがより好ましい。
シクロオレフィン樹脂は、結晶性であっても非晶性であってもよい。中でも、非晶性であることが好ましい。
シクロオレフィン樹脂のガラス転移温度(Tg)は限定するものではない。耐熱性の観点からは、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは85℃以上であり、好ましくは170℃以下、より好ましくは160℃以下、更に好ましくは150℃以下である。
シクロオレフィン樹脂のガラス転移温度が上記範囲であると、延伸加工性が良好となる傾向がある。
ここで「ガラス転移点(Tg)」は、示差走査型熱量計により、10℃/分の速度で-50℃から250℃まで昇温後、1分間等温で維持し、10℃/分の速度で-50℃まで冷却し、1分間等温で維持後、再度10℃/分の速度で250℃まで昇温した際に読み取った値とする。
なお、2種類以上のシクロオレフィン樹脂を組み合わせて混合し、混合樹脂のガラス転移点(Tg)を上記範囲に調整するようにしてもよい。
シクロオレフィン樹脂は、1種を単独で用いてもよく、組成や物性等の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。例えば、2種類以上のシクロオレフィン樹脂を組み合わせて混合し、混合樹脂のMFRやTgを上記範囲に調整するようにしてもよい。
樹脂層(A)中におけるシクロオレフィン樹脂の含有量は限定するものではない。好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、更に好ましくは40質量%以上である。シクロオレフィン樹脂の含有量が前記下限値以上であれば、本反射材に良好な耐熱性を付与することが可能となるため好ましい。
また、樹脂層(A)中におけるシクロオレフィン樹脂の含有量の上限も限定するものでない。好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である。
シクロオレフィン樹脂の含有量が前記上限値以下であれば、本反射材の耐破断性、耐折り曲げ性や輝度ムラ防止機能などが良好となるため好ましい。
シクロオレフィン樹脂としては、市販製品を用いることができる。例えば、日本ゼオン社製「ゼオノア(登録商標)」(環状オレフィンの開環重合体の水素添加物)、三井化学社製「アペル(登録商標)」(エチレンとテトラシクロドデセンの付加共重合体)や、ポリプラスチックス社製「TOPAS(登録商標)」(エチレンとノルボルネンの付加共重合体)等を挙げることができる。中でも、「ゼオノア」及び「TOPAS」は光吸収作用が少ないことから、高い反射性能を有する反射材を得ることができるので好ましい。
(その他のポリオレフィン樹脂)
樹脂層(A)の主成分樹脂であるポリオレフィン樹脂としてシクロオレフィン樹脂を用いる場合、シクロオレフィン樹脂以外のポリオレフィン樹脂(以下、「その他のポリオレフィン樹脂」という。)を配合して樹脂層(A)を形成することで、耐折性と耐熱性をさらに高めることができる場合がある。
また、樹脂層(A)の主成分樹脂としてシクロオレフィン樹脂を用いずに、「その他のポリオレフィン樹脂」のみを当該主成分樹脂として用いてもよい。
「その他のポリオレフィン樹脂」のメルトフローレート(MFR)は限定するものではない。中でも、JIS K7210に準拠し、230℃、荷重21.18Nで測定した値として0.1~20g/10分であることが好ましく、中でも0.5g/10分以上或いは10g/10分以下であることがより好ましい。
また、シクロオレフィン樹脂と「その他のポリオレフィン樹脂」を併用する場合、シクロオレフィン樹脂のMFRも前記の範囲に調整することが好ましい。このように両者のMFRを調整すると、反射材としての機械特性が良好となる傾向がある。
「その他のポリオレフィン樹脂」としては、上記において、樹脂層(A)の主成分樹脂として例示したポリオレフィン樹脂のうちの一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂が好ましく、その中でも、融点が高く耐熱性に優れており、また、弾性率等の機械特性が高いという観点から、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。但し、これらに限定するものではない。
「その他のポリオレフィン樹脂」がポリプロピレン系樹脂である場合、押出成形性の観点から、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210に準拠し、230℃、荷重21.18Nで測定した値として0.1~20g/10分であることが好ましく、中でも0.2g/10分以上或いは10g/10分以下、その中でも0.5g/10分以上或いは5g/10分以下であることが更に好ましい。
樹脂層(A)を構成する樹脂成分として、シクロオレフィン樹脂と「その他のポリオレフィン樹脂」とを組み合わせて用いる場合、シクロオレフィン樹脂のMFR(「MFR(CO)」)と、「その他のポリオレフィン樹脂」のMFR(「MFR(PO)」)との関係が、MFR(CO):MFR(PO)=1:0.05~1:20であることが好ましく、1:0.1~1:10であることがより好ましい。
両者のMFRの関係が上記範囲内であると、その他のポリオレフィン樹脂がシクロオレフィン樹脂中に配向し、反射材としての機械特性を良好にすることが出来る傾向にあるので好ましい。
樹脂層(A)中における「その他のポリオレフィン樹脂」の含有量は、限定するものではない。シクロオレフィン樹脂と併用する場合は、(樹脂層(A)100質量%に対して)好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。また、その上限も限定されない。好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
「その他のポリオレフィン樹脂」の含有量が前記下限値以上であれば、延伸時に樹脂層(A)が破断することをより効果的に抑制出来ると共に、樹脂層(A)と樹脂層(B)、或いは樹脂層(A)と樹脂層(C)との層間接着性がより一層高く保たれるため好ましい。一方、「その他のポリオレフィン樹脂」の含有量が前記上限値以下であれば、耐熱性や輝度ムラ防止機能をより一層良好なものとすることができる傾向がある。
さらに樹脂層(A)の主成分樹脂であるポリオレフィン樹脂と樹脂層(C)の主成分樹脂であるポリオレフィン樹脂が同一であれば、樹脂層(A)と樹脂層(C)の接着性が高くなるため好ましい。但し、同一であることに限定するものではない。
また、樹脂層(A)の主成分樹脂であるポリオレフィン樹脂と樹脂層(B)が含有する、好ましくは主成分樹脂として含有するポリオレフィン樹脂が同一であれば、樹脂層(A)と樹脂層(B)の接着性が高くなるため好ましい。但し、同一であることに限定するものではない。
(有機粒子)
本反射材の樹脂層(A)は有機粒子を含有する。
ここで「有機粒子」とは、有機物を主成分としてなる粒子状物質であれば該当する。この際、「主成分」とは、有機粒子を構成する成分のうち最も質量割合の大きな成分を意味し、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する。この際、当該主成分の含有割合は、有機粒子を構成する成分の50質量%以上、好ましくは70質量%以上(100質量%を含む)を占めるものである。
当該有機粒子としては、好ましくは樹脂粒子であり、いわゆるポリマービーズ、ポリマー中空粒子等を挙げることができる。
樹脂粒子としての有機粒子の種類は限定されるものではなく、例えば(メタ)アクリレート系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、ナイロン系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂粒子、ベンゾグアナミン系樹脂粒子、ウレタン系樹脂粒子等を挙げることができる。
これらの有機粒子は、単独重合体であっても、共重合体であってもよい。これらは、いずれか1種または2種以上を混合して用いることができる。
これらの有機粒子の中でも(メタ)アクリレート系樹脂粒子が好ましく、中でもメタクリル酸メチル系樹脂粒子又はメタクリル酸ブチル系樹脂粒子が好ましく、特にメタクリル酸メチル系樹脂粒子が好ましい。これらの場合、メタクリル酸メチル或いはメタクリル酸ブチルを主成分とする共重合体であってもよい。
ここで、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
樹脂層(A)に含有する有機粒子の形状は限定されるものではなく、例えば球状、棒状、平板状や、特定の形状を有さない粉砕物や凝集物、無定形のものであってもよい。これらの中でも、有機粒子の形状としては、球状であることが好ましい。
ここで「球状」とは、必ずしも真球のみを意味するものではなく、視覚的に略球形であれば該当する。具体的には、例えば、粒子の断面形状が円形、略円形、楕円形、略楕円形、曲率をもった円弧で囲まれた形状などのものが該当する。
樹脂層(A)が有機粒子を含有することにより、隣接する樹脂層(C)の表面、延いては、該樹脂層(C)表面に「他の層」が積層する場合も、その表面、すなわち本反射材の樹脂層(C)側表面に適度な突起を形成することが出来る。この際、樹脂層(A)が含有する有機粒子が球状であると、当該有機粒子が不定形の粒子である場合に比べて、前記突起の高さ、大きさ、形状等を比較的均一にすることができる。このように樹脂層(C)の表面、延いては本反射材の樹脂層(C)側表面に形成される突起の高さ、大きさ、形状等が揃うことによって、輝度ムラの抑制や粒子の脱離等をより一層抑制することができる。
また、有機粒子は架橋処理をされている粒子(「架橋粒子」と称する)であることが好ましい。有機粒子が架橋処理をされていることで、押出製膜時での加熱状態で変形応力がかかるような状態においても、粒子の形状を保持することが容易となる。
有機粒子が架橋粒子であるか否かは、例えば、架橋されていなければ溶解するような溶媒(良溶媒)に浸漬させた際に、溶解せずに膨潤することによって確認することができる。その際、適宜加熱してもよい。その他、核磁気共鳴スペクトル(NMR)や赤外吸収スペクトル(IR)等によっても確認することができる。
なお、架橋されていなければ溶解するような溶媒(良溶媒)は、有機粒子を構成する樹脂種によって異なるが、(メタ)アクリレート系樹脂粒子の場合であれば、例えばアセトン、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどを挙げることができる。
有機粒子を架橋粒子とするためには、例えば、重合原料としてジビニルベンゼンやポリアクリレート、ペンタエリスリトール、トリメリット酸等、多官能の重合性基を有する化合物を用いればよい。
樹脂層(A)に含有する有機粒子のガラス転移点(単に「Tg」とも称する)は、好ましくは120℃以上である。該Tgが120℃以上の有機粒子を樹脂層(A)中に含有させることにより、本反射材表面に適度な硬さの付与が可能となり、輝度ムラを抑制することが可能となる。有機粒子のTgの下限は、上記と同様の理由により、好ましくは125℃以上、より好ましくは130℃以上である。
また、有機粒子のTgの上限は制限されるものではなく、好ましくは260℃以下である。該Tgが260℃以下であることにより、本反射材表面の硬さが過度に高くなることが抑えられる傾向がある。有機粒子のTgの上限は、上記と同様の理由により、好ましくは240℃以下、より好ましくは200℃以下である。
ここで、ガラス転移点(Tg)は、示差走査型熱量計により、30℃/分の昇温速度で昇温した際に読み取ったガラス転移点の値とし、粒子そのものを測定する。なお、複数のガラス転移点(Tg)がある場合は、少なくとも一つのガラス転移点(Tg)が上記の範囲にあればよい。
有機粒子のTgを上記範囲内とする方法としては、有機粒子を樹脂粒子とし、樹脂骨格の種類(例えば(メタ)アクリレート系骨格又はスチレン系骨格など)、モノマーの種類(共重合である場合はモノマーの種類や組成比を含む)、分子量(架橋粒子である場合は架橋度)等によって調整することができる。
なお、通常、有機粒子は架橋することによってTgが変化する。これは架橋点によって高分子鎖の分子運動が拘束されるためである。
本発明においては、有機粒子が架橋粒子であり、そのTgが上記範囲であると、輝度ムラの抑制の点で特に好ましい。
樹脂層(A)に含有される有機粒子のガラス転移点における熱容量(ΔCp)は、0.75J/(g・℃)以下であることが好ましい。樹脂層(A)にΔCpが0.75J/(g・℃)以下の有機粒子を含有させることにより、反射材の輝度ムラをより抑制することが可能となる。
有機粒子のΔCpの上限は上記と同様の理由より、好ましくは0.50J/(g・℃)以下、より好ましくは0.45J/(g・℃)以下、より好ましくは0.40J/(g・℃)以下、更に好ましくは0.35J/(g・℃)以下である。
有機粒子のΔCpの下限は制限されるものではなく、好ましくは0.20J/(g・℃)以上、より好ましくは0.25J/(g・℃)以上、更に好ましくは0.30J/(g・℃)以上である。
ここで、ガラス転移点における熱容量(ΔCp)は、示差走査型熱量計により、30℃/分の昇温速度で昇温した際に読み取ったガラス転移点におけるΔCpの値とし、粒子そのものを測定する。なお、複数のTgがある場合は、115~260℃の範囲における最も低い温度のTgにおける熱容量(ΔCp)の値とする。
有機粒子のΔCpを上記範囲とする方法としては、有機粒子を樹脂粒子とし、樹脂骨格の種類(例えば(メタ)アクリレート系骨格又はスチレン系骨格など)、モノマーの種類(共重合である場合はモノマーの種類や組成比を含む)、分子量(架橋粒子である場合は架橋度)等によって調整することができる。中でも、架橋度の影響が大きい。
前記ガラス転移点とは、高分子材料がミクロブラウン運動を開始する温度であり、熱容量(ΔCp)とは、その際の運動量に相当する。すなわち、類似した組成の樹脂であっても、架橋度が高い場合は分子鎖が拘束されているため、ΔCpの値は小さくなる。従って、ΔCpの値が低いことは、分子が拘束されていて架橋度が高いことを意味する。
本反射材が樹脂層(C)、樹脂層(A)、樹脂層(B)の順に積層された構成であると、反射材を製造する工程(主として延伸工程)で、樹脂層(A)は両側に備わる樹脂層(C)及び樹脂層(B)から応力を受ける。本発明者らの検討によれば、その際、樹脂層(A)中に含有する有機粒子が柔軟であると、この応力を受けて粒子が変形しやすいことが判明した。有機粒子が変形してしまうと、反射材表面への適度な突起の形成が困難になり、輝度ムラを抑制する効果を低減させることが判明した。
更に、この問題は、特に樹脂層(A)が最表層である場合に比べて、該樹脂層(A)の外側に樹脂層(C)が存在することによって顕著となることが明らかとなった。樹脂層(C)が無い場合は、反射材製造時に樹脂層(B)から受ける応力は、有機粒子を表面に押し出す効果は生じるにせよ、粒子を(輝度ムラを抑制する効果を低減させるほどに)大きく変形させる力とはなり難いため、そもそも上記の様な問題は生じない。
本発明者らによれば、該熱容量(ΔCp)が上記上限値以下の有機粒子を樹脂層(A)中に含有させることにより、樹脂層(C)、樹脂層(A)、樹脂層(B)の順に積層された構成であったとしても、有機粒子の変形を抑制し得ることを見出した。その結果、表面の粗さの低下を抑えられるため、輝度ムラの抑制効果をより高めることが可能となったものと考えられる。従って、該熱容量(ΔCp)の上限値は、樹脂層(C)が存在する層構成の反射材における最適化を図るのが好ましい。樹脂層(C)が存在しない層構成の反射材に上記範囲内の熱容量(ΔCp)を有する有機粒子を用いた場合は、寧ろ有機粒子の脱離等を生じる可能性がある。
有機粒子の平均粒径は、15~50μmであることが好ましい。有機粒子の平均粒径が15μm以上であると、輝度ムラの抑制に有効な高さの突起を表面に効率良く形成することが出来る傾向にある。一方、有機粒子の平均粒径が50μm以下であると、粒子の脱離を抑制できる傾向にある。
上記観点から、有機粒子の平均粒径の下限は18μm以上がより好ましく、21μm以上が更に好ましく、23μm以上が特に好ましい。有機粒子の平均粒径の上限は45μm以下がより好ましく、39μm以下が更に好ましく、37μm以下が特に好ましい。
有機粒子の平均粒径は、以下の通り測定することができる。
原料としての有機粒子の平均粒径は、動的光散乱法等によって測定される体積基準粒度分布から求められる平均粒径(D50)として測定することができる。
樹脂層(A)に含有している有機粒子の平均粒径は、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)を使用し、樹脂層(A)の表面或いは本反射材の断面を観察し、10個以上の粒子の直径を測定し、その平均値として求めることができる。その際、断面形状が、円形でない場合(例えば楕円形などである場合)、最長径と最短径の平均値を各粒子の直径として測定することができる。
なお、樹脂層(A)に含有している有機粒子の形状が、原料の有機粒子の形状から有意な変形が見られない場合は、原料の有機粒子の平均粒径をもって樹脂層(A)に含有している有機粒子の平均粒径とみなすことができる。
樹脂層(A)中の有機粒子の含有量は、樹脂層(A)100質量%に対して0.5~5質量%であることが好ましく、中でも2質量%以上或いは4質量%以下であるのがさらに好ましい。有機粒子の含有量が前記下限値以上であれば、本反射材表面へ特定の硬さや粗さの付与がより容易に可能となるから好ましく、有機粒子の含有量が前記上限値以下であれば、押出製膜時の連続生産性を損なうことなくより一層効率的に生産が可能となるから好ましい。
(微粉状充填剤)
樹脂層(A)は、上記有機粒子と共に、上記有機粒子以外の微粉状充填剤(以下「微粉状充填剤」と称する。)を含有してもよい。
樹脂層(A)中に微粉状充填剤を含有することにより、ポリオレフィン樹脂等と微粉状充填剤との屈折率差による光散乱のほか、本反射材を製造する過程で微粉状充填剤の周囲に形成される空洞とポリオレフィン樹脂等との屈折率差による光散乱、更には微粉状充填剤の周囲に形成される空洞と微粉状充填剤との屈折率差による光散乱などからも、本反射材の反射特性が一層向上する傾向がある。なお、樹脂層(B)によって十分な光反射性を確保できる場合は、樹脂層(A)に微粉状充填剤を含有させなくてもよい。
樹脂層(A)に用いることができる微粉状充填剤の種類、粒径および表面処理方法に関しては、後述する樹脂層(B)に用いることが可能な微粉状充填剤として記載したものを同様に用いることができ、好ましい例も同様である。ここで、樹脂層(B)に用いる微粉状充填剤として後述する事項のうち「樹脂層(B)」は「樹脂層(A)」と読み替えるものとする。
樹脂層(A)が含有する微粉状充填剤は、その平均粒径が0.05μm以上15μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上或いは10μm以下である。
当該微粉状充填剤の平均粒径が0.05μm以上であれば、ポリオレフィン樹脂への分散性が低下することがないので、より均質な反射材を得ることができる。また、当該平均粒径が15μm以下であれば、ポリオレフィン樹脂と微粉状充填剤との界面が緻密に形成されて、高反射性の反射材を得ることができる。
なお、微粉状充填剤の平均粒径は、以下の通り測定することができる。
原料としての微粉状充填剤の平均粒径は、動的光散乱法等によって測定される体積基準粒度分布から求められる平均粒径(D50)、或いは、遠心沈降式粒度分布測定装置を使用して測定した等価球形分布における積算(質量基準)50%の粒径を平均粒径(D50)として測定することができる。
樹脂層(A)に含有されている微粉状充填剤の平均粒径は、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)を使用し、樹脂層(A)の表面或いは本反射材の断面を観察し、10個以上の粒子の直径を測定し、その平均値として求めることができる。その際、断面形状が円形でない場合は、最長径と最短径の平均値を各粒子の直径として測定することができる。後述する樹脂層(B)に含有する微粉状充填剤についても同様であるが、その場合は本反射材の断面を観察する方法が好適である。
なお、樹脂層(A)に含有している微粉状充填剤の形状が、原料の微粉状充填剤の形状から有意な変形が見られない場合は、原料の微粉状充填剤の平均粒径をもって樹脂層(A)に含有している微粉状充填剤の平均粒径とみなすことができる。
樹脂層(A)が微粉状充填剤を含有する場合、樹脂層(A)中の微粉状充填剤の含有量は限定するものではない。本反射材の光反射性、機械的強度、生産性等を考慮すると、樹脂層(A)全体に対して(すなわち樹脂層(A)100質量%に対して)10~80質量%であることが好ましく、中でも20質量%以上或いは70質量%以下であることが更に好ましい。微粉状充填剤の含有量が10質量%以上であれば、樹脂層(A)を構成する樹脂と微粉状充填剤との界面の面積を充分に確保することができ、本反射材により一層高い反射性を付与することができる。微粉状充填剤の含有量が80質量%以下であれば、反射材に必要な機械的強度をより一層効果的に確保することができるから好ましい。
(他の成分)
樹脂層(A)は、ポリオレフィン樹脂、有機粒子、微粉状充填剤以外の成分をさらに「その他の成分」として含有してもよい。
「その他の成分」としては、上記以外の樹脂成分(熱可塑性エラストマーを含む)や、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、相溶化剤、滑剤及び微粉状充填剤以外の充填剤等を挙げることができる。
また、本反射材の性能を阻害しない範囲で、本反射材の製造工程等で発生した再生原料を樹脂層(A)中に含有してもよい。
再生原料の含有割合は限定するものでなく、樹脂層(A)全体の質量に対して(樹脂層(A)100質量%に対して)1~60質量%であることが好ましく、中でも10質量%以上或いは50質量%以下であるのがさらに好ましい。当該含有量が10質量%以上であれば、再生原料を用いることでのコストメリットが発生し、50質量%以下であれば、反射材に必要な光反射性や、機械的強度を損なわない傾向にある。
但し、再生原料を樹脂層(A)中に含有させると、本反射材の表面粗さが不安定になる場合や、反射率が不安定になる場合があるので、そのような場合は、後述する通り樹脂層(B)中に含有させることが好ましい。
<樹脂層(B)>
本反射材における樹脂層(B)は、ポリオレフィン樹脂を含有する層である。
樹脂層(B)は、ポリオレフィン樹脂を含有すれば、他の樹脂を含有してもよい。但し、樹脂層(A)との密着性を高める観点からすると、ポリオレフィン樹脂を主成分樹脂として含有するのが好ましい。
(ポリオレフィン樹脂)
樹脂層(B)に用いるポリオレフィン樹脂は限定されず、樹脂層(A)のポリオレフィン樹脂として例示したものの中から選択して用いることが出来る。例えば、ポリプロピレン、プロピレン-エチレン共重合体等のポリプロピレン樹脂や、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン・α-オレフィン共重合体等のポリエチレン樹脂や、エチレン-環状オレフィン共重合体等のシクロオレフィン樹脂や、エチレン-プロピレンゴム(EPR)、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)等のオレフィン系エラストマーから選ばれた少なくとも1種のポリオレフィン樹脂を挙げることができる。これらの中でも、機械的性質、柔軟性などから、ポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂が好ましく、その中でもポリプロピレン(プロピレンの単独重合体)が最も好ましい。
なお、樹脂層(B)のポリオレフィン樹脂は、樹脂層(A)の主成分樹脂であるポリオレフィン樹脂と異なるポリオレフィン樹脂であってもよい。但し、樹脂層(A)(B)間の密着性を高める観点からすると、樹脂層(A)の主成分樹脂であるポリオレフィン樹脂と共通するモノマー単位を含むポリオレフィン樹脂を使用するのが好ましい。
樹脂層(B)に用いるポリオレフィン樹脂は、押出成形性の観点から、そのメルトフローレート(MFR)が、JIS K7210に準拠し、230℃、荷重21.18Nで測定した値として0.1~20g/10分であることが好ましく、中でも0.2g/10分以上或いは10g/10分以下であることがより好ましく、その中でも0.5g/10分以上或いは5g/10分以下であることが更に好ましい。
樹脂層(B)中におけるポリオレフィン樹脂の含有量は限定されず、樹脂層(B)100質量%に対して、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上である。ポリオレフィン樹脂の含有量が前記下限値以上であれば、樹脂層(B)の強度がより一層保たれるため好ましい。
また、樹脂層(B)中におけるポリオレフィン樹脂の含有量の上限も限定されず、ポリオレフィン樹脂のみで構成されていてもよいが、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
ポリオレフィン樹脂の含有量が前記上限値以下であれば、反射率を低下させることなく強度が保たれるため好ましい。
(微粉状充填剤)
樹脂層(B)には、より一層の反射性能を得る観点から、上記ポリオレフィン樹脂と共に微粉状充填剤を含有することが好ましい。
樹脂層(B)が微粉状充填剤を含有することにより、当該微粉状充填剤によって入射光が乱反射して反射特性が向上するとともに、樹脂層(B)が延伸体である場合には、空隙を形成することが容易となる。
樹脂層(B)に含有する微粉状充填剤は限定されず、無機質微粉体、有機質微粉体等を例示することができる。なお、当該有機質微粉体は、樹脂層(A)に用いる有機粒子と同様のものを使用することができる。これらの中でも、樹脂層(B)は、微粉状充填剤として当該無機質微粉体を含有することが好ましい。また、無機質微粉体と有機質微粉体とを組み合わせて用いてもよい。
樹脂層(B)に含有することが可能な有機質微粉体としては、例えばポリマービーズ、ポリマー中空粒子等を挙げることができ、これらはいずれか1種または2種以上を混合して用いることができる。
また、本反射材は、後述する通り、該反射材の製造工程等で発生した端材を再生原料として樹脂層(B)の原料の一部としてよい。その場合は、樹脂層(A)中に含有していた有機粒子が樹脂層(B)中にも含有されることとなる。
上記無機質微粉体としては、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、アルミナ、水酸化アルミニウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、マグネシウムシリケート、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ガラス粉、アスベスト粉、ゼオライト、珪酸白土等を挙げることができる。これらは、いずれか1種または2種以上を混合して用いることができる。
これらの中でも、樹脂層(B)を構成する樹脂との屈折率差を考慮すると、屈折率の大きいものが好ましく、屈折率が1.6以上である、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン又は酸化亜鉛を用いることが特に好ましい。
中でも酸化チタンは、他の無機質微粉体に比べて屈折率が顕著に高く、樹脂層(B)を構成する樹脂との屈折率差を顕著に大きくすることができるため、他の充填剤を使用した場合よりも少ない配合量で優れた光反射性を得ることができる。さらに、酸化チタンを用いることにより、本反射材の厚みを薄くしても高い光反射性を得ることができる。
酸化チタンの含有量は限定されず、無機質微粉体の合計質量の30%以上であることが好ましい。微粉状充填剤として有機質微粉体と無機質微粉体とを組み合わせて使用する場合は、その合計質量の30%以上を酸化チタンとするのが好ましい。
酸化チタンとしては、例えば、石原産業社製、ケマーズ社製、KRONOS社製などの市販品を使用することができる。
これら無機質微粉体の樹脂への分散性を向上させるために、その表面に、シリコン系化合物、多価アルコール系化合物、アミン系化合物、脂肪酸、脂肪酸エステル等で表面処理を施した無機質微粉体を使用してもよい。
微粉状充填剤は、平均粒径が0.05~15μmであることが好ましく、中でも0.1μm以上或いは10μm以下であるのがさらに好ましい。微粉状充填剤の平均粒径が0.05μm以上であれば、樹脂層(B)を構成する樹脂への分散性が良好であるので、より均質な反射材を得ることができる。また、微粉状充填剤の平均粒径が15μm以下であれば、樹脂層(B)を構成する樹脂と微粉状充填剤との界面が緻密に形成されて、より高い反射性の反射材を得ることができる。
ここで、「平均粒径」は、前記した方法によって測定することが出来る。
樹脂層(B)に含有される微粉状充填剤の含有量は、本反射材の光反射性、機械的強度、生産性等を考慮すると、樹脂層(B)全体の質量に対して(すなわち樹脂層(B)100質量%に対して)、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上である。微粉状充填剤の含有量が前記下限値以上であれば、樹脂層(B)を構成する樹脂と微粉状充填剤との界面の面積を充分に確保することができ、反射材により高い反射性を付与することができる。
また、微粉状充填剤の含有量の上限も限定するものではなく、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。微粉状充填剤の含有量が前記上限値以下であれば、反射材に必要な機械的強度をより効果的に確保することができる。
(その他の成分)
樹脂層(B)は、ポリオレフィン樹脂、微粉状充填剤以外の成分を「その他の成分」としてさらに含有してもよい。
「その他の成分」としては、ポリオレフィン樹脂以外の樹脂成分(熱可塑性エラストマーを含む)や、結晶核剤、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、相溶化剤、滑剤及びその他の添加剤等を挙げることができる。
また、樹脂層(B)の性能を阻害しないのであれば、本反射材の製造工程等で発生した再生原料を含有してもよい。
再生原料の含有割合は限定されず、樹脂層(B)全体の質量に対して(すなわち樹脂層(B)100質量%に対し)1~60質量%であることが好ましく、中でも10質量%以上或いは50質量%以下であるのがさらに好ましい。当該含有量が10質量%以上であれば、再生原料を用いることでのコストメリットが発生するから好ましい。他方、当該含有量が50質量%以下であれば、反射材に必要な光反射性や、機械的強度を損なうことが少ないから好ましい。
通常、本反射材の全厚みのうち、樹脂層(B)の厚みが占める割合が高いため、再生原料を樹脂層(B)中に含有させると、本反射材の諸特性の変動を小さくすることが出来るため好ましい。
<樹脂層(C)>
樹脂層(C)は、ポリオレフィン樹脂を主成分樹脂とし、かつ粒径が10μm以上である有機粒子を含有しない層である。
ポリオレフィン樹脂を主成分樹脂とし、かつ粒径が10μm以上である有機粒子を含有しない層として樹脂層(C)が存在することにより、樹脂層(A)中に含有する有機粒子が本反射材から脱離することを抑制することが可能となる。更には、樹脂層(A)中に含有する有機粒子の硬さが、本反射材の表面硬度に直接影響することが低減されるため、本反射材が導光板等に接触した際に、導光板等を傷付けることが抑制されることが期待される。
樹脂層(C)をこのような構成とするためには、樹脂層(C)に用いる原料、すなわち後述する樹脂組成物Cに含有する有機粒子の種類及び含有割合(全く含有しない場合を含む)を調整するのが好ましい。但し、かかる方法に限定するものではない。
上記の記載において「粒径が10μm以上である有機粒子」を「粒径が5μm以上である有機粒子」と読み替えた上で同様の規定とする態様がより好ましく、「粒径が2μm以上である有機粒子」と読み替えた上で同様の規定とする態様が更に好ましく、「粒径が1μm以上である有機粒子」と読み替えた上で同様の規定とする態様が特に好ましい。
さらに樹脂層(C)は、粒径が10μm以上である微粉状充填剤を含有しないことが好ましく、その理由も上記有機粒子と同様である。なお、当該微粉状充填剤は、樹脂層(B)が含有する微粉状充填剤と同様の意味である。
樹脂層(C)をこのような構成とするためには、樹脂層(C)に用いる原料、すなわち後述する樹脂組成物Cに含有する微粉状充填剤の種類及び含有割合(全く含有しない場合を含む)を調整するのが好ましい。但し、かかる方法に限定するものではない。
上記の記載において「粒径が10μm以上である微粉状充填剤」を「粒径が5μm以上である微粉状充填剤」と読み替えた上で同様の規定とする態様がより好ましく、「粒径が2μm以上である微粉状充填剤」と読み替えた上で同様の規定とする態様が更に好ましく、「粒径が1μm以上である微粉状充填剤」と読み替えた上で同様の規定とする態様が特に好ましい。
なお、「粒径が10μm以上である有機粒子又は微粉状充填剤を含有しない」とは、粒径10μm以上の有機粒子又は微粉状充填剤を実質的に含有しないという意味であり、粒径10μm以上の有機粒子又は微粉状充填剤の樹脂層(C)における含有量が1質量%以下である場合を許容して包含する。この際、樹脂層(C)中の粒径が10μm以上である有機粒子又は微粉状充填剤の含有割合は、(樹脂層(C)100質量%に対して)好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下であり、全く含有しないことが特に好ましい。
粒径10μm以上の有機粒子又は微粉状充填剤の樹脂層(C)における含有量が1質量%以下であれば、有機粒子又は微粉状充填剤が本反射材から脱離するのを防ぐことができるため、本発明の効果を奏することができる。
樹脂層(C)が「粒径が10μm以上である有機粒子又は微粉状充填剤を含有しない」ことは、以下の方法で確認できる。
樹脂層(C)の原料としては、動的光散乱法等によって測定される体積基準粒度分布から求められる平均粒径(D50)が10μm以上である有機粒子又は微粉状充填剤を配合していないことで確認することができる。
他方、樹脂層(C)中の有機粒子又は微粉状充填剤に関しては、先ず樹脂層(C)中に有機粒子又は微粉状充填剤が含有されているか否かを確認する。含有されている場合には、任意の10個以上の有機粒子又は微粉状充填剤を選択し、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して、それら粒子の直径を測定する。この際、断面形状が円形でない場合は、最長径と最短径の平均値を各粒子の直径として測定することができる。そして、測定された直径が10μm以上であるか否かを判定し、いずれの粒子も直径が10μm以上でなければ、樹脂層(C)が「粒径が10μm以上である有機粒子又は微粉状充填剤を含有しない」ことを確認することができる。
なお、「粒径が5μm以上である有機粒子又は微粉状充填剤を含有しない」「粒径が2μm以上である有機粒子又は微粉状充填剤を含有しない」「粒径が1μm以上である有機粒子又は微粉状充填剤を含有しない」についても、上記の「10μm」を「5μm」「2μm」「1μm」にそれぞれ読み替えることで同様に確認することができる。
樹脂層(C)は、前記樹脂層(A)の構成から、有機粒子及び微粉状充填材の含有割合を上記範囲とする以外は、前記樹脂層(A)の態様と同様である。すなわち、樹脂層(C)に用いることができるポリオレフィン樹脂やシクロオレフィン樹脂、その他ポリオレフィン樹脂、微粉状充填剤、その他の成分の種類に関しては、前述した樹脂層(A)に用いることが可能なポリオレフィン樹脂やシクロオレフィン樹脂、その他ポリオレフィン樹脂、微粉状充填剤、その他の成分として記載したものを同様に用いることができ、有機粒子及び微粉状充填材の含有割合以外は、好ましい例、好ましい態様も同様である。ここで樹脂層(A)の態様として前述した事項は、「樹脂層(A)」を「樹脂層(C)」と読み替えて適用することが出来る。
なお、樹脂層(A)における主成分樹脂であるポリオレフィン樹脂と、樹脂層(C)における主成分樹脂であるポリオレフィン樹脂が同一である場合や親和性が高い場合は、本反射材において樹脂層(A)と樹脂層(C)の境界が存在しない、或いは確認出来ない場合が生じる。このような場合であっても、有機粒子が含有している領域(層)と、有機粒子が存在しない領域(層)とが識別し得る場合は、これらを樹脂層(A)、樹脂層(C)と見做すことができる。更には、有機粒子の含有割合が厚み方向に連続的に変化している場合であっても、上記の有機粒子の含有割合をもって樹脂層(A)、樹脂層(C)と見做すことも可能である。この様な場合であっても、本発明における樹脂層(A)、樹脂層(C)による効果を発現することが出来る。
<空隙>
本反射材では、いずれかの層が空隙を有することにより、反射特性を高めることができる。
当該空隙は、樹脂層(A)、樹脂層(B)、樹脂層(C)のうち何れかの層のみが有していても、これらの層のうち任意の2つの層が有していても、全ての層が有していてもよい。或いは、これらの層以外の層(その他の層)が有していてもよい。樹脂層(A)或いは樹脂層(C)に空隙を設けると耐熱性や弾性率等の機械特性が低下するような場合は、樹脂層(B)にのみ上記の空隙を設けるのが好ましい。このような空隙を樹脂層(B)のみに設けることで、フィルム全体の耐熱性を高めることができる。
当該空隙は、各層を構成する組成物中に微粉状充填剤を含有させておき、延伸、好ましくは2軸延伸することで形成することができる。或いは、各層を構成するポリオレフィン樹脂に非相溶な樹脂を含有させておき、延伸、好ましくは2軸延伸することで形成することもできる。
<本反射材>
(層構成)
本反射材は、樹脂層(B)、樹脂層(A)及び樹脂層(C)がこの順に積層されていれば、他の任意の層を有する構成であってもよい。例えば、樹脂層(B)又は樹脂層(C)の表面に、「他の層」を有する構成であってもよいし、樹脂層(A)と樹脂層(B)の層間や樹脂層(A)と樹脂層(C)の層間に、例えば接着層等の「他の層」を介在させるようにしてもよい。
当該「他の層」としては、コーティングや蒸着によって設けられる層も包含する。
また、樹脂層(A)、樹脂層(B)及び樹脂層(C)のうち少なくとも何れかの層を2層以上有する4層以上の構成であってもよい。4層以上の構成である場合、樹脂層(B)をコア層とする構成が好ましく、樹脂層(B)の両面に樹脂層(A)を有し、かつ2つの樹脂層(A)の両面にそれぞれ樹脂層(C)を有する構成、すなわち「樹脂層(C)/樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(C)」の5層を有する構成であることがより好ましい。
樹脂層(B)、樹脂層(A)及び樹脂層(C)をこの順で積層することにより、各層の機能分離が可能になり、反射性能、耐熱性、耐折性、輝度ムラの発生、粒子脱離の低減等の性能を高めることができる。例えば、樹脂層(B)には主に光反射性を付与する役割を持たせ、樹脂層(A)には、耐熱性のほか、輝度ムラの発生を低減する役割を持たせ、樹脂層(C)には耐熱性のほか、粒子脱離を低減する役割を持たせることができる。
本反射材は何れの層を最表層としてもよいが、樹脂層(C)は粒子脱離を低減する役割を持たせることが出来るため、本反射材の表面層、中でも反射使用面である最外層として樹脂層(C)を配置することが好ましい。
(樹脂層(A)、樹脂層(B)及び樹脂層(C)の形態)
樹脂層(A)、樹脂層(B)及び樹脂層(C)は何れも、フィルム状すなわち薄膜形状であれば、より具体的な形状や製造方法には何ら制約はない。中でも、何れの層も押出法によって製膜されるフィルム状であることが好ましい。
各層がフィルム状である場合、何れの層も、無延伸のフィルムであっても、一軸或いは二軸延伸フィルムであってもよい。中でも、少なくとも一軸方向に1.1倍以上延伸して得られる延伸フィルム、特に二軸延伸フィルムであることが好ましい。
また、予め各層に相当するフィルムを製造した後、これらを貼り合せて積層構成とすることも出来るが、一度に積層構成を形成することが可能である共押出法により製造することが好ましい。共押出法で積層構成とした上で延伸を行えば、全ての層が延伸されることとなるため、更に好ましい。
(厚み)
本反射材の厚みは、特に限定するものではない。中でも、30μm~1500μmであるのが好ましい。実用面における取り扱い性を考慮すると、本反射材の厚みは50~1000μm程度であることが好ましい。
例えば、液晶ディスプレイ用途の反射材としては、厚みが50~700μmであることが好ましく、照明器具、照明看板用途の反射材としては、厚みが70~1000μmであることが好ましい。
樹脂層(A)の厚みは特に限定するものではなく、例えば5~100μmであることが好ましく、中でも10μm以上或いは80μm以下であるのがより好ましい。樹脂層(A)の厚みが上記範囲内であると、輝度ムラがより一層効果的に抑制される傾向がある。ここで、樹脂層(A)の厚みは平均厚みを意味し、有機粒子による凸部をも平均化した厚みである。また、本反射材中に樹脂層(A)を複数有する場合は、各層ごとの厚みを意味する。
樹脂層(B)の厚み(樹脂層(B)を2層以上有する場合はその合計厚み)は、特に限定するものではない。例えば20~1400μmであることが好ましく、中でも50μm以上或いは600μm以下であるのがより好ましい。樹脂層(B)の厚みが上記範囲内であると、反射特性が良好になる傾向がある。ここで、樹脂層(B)の厚みは、平均厚みを意味する。
なお、樹脂層(A)における主成分樹脂であるポリオレフィン樹脂と、樹脂層(B)が主成分樹脂として含有するポリオレフィン樹脂とが同一である場合や親和性が高い場合においても、本反射材において樹脂層(A)と樹脂層(B)の境界が存在しない、或いは確認出来ない場合が生じる。このような場合、上記した各層の厚みや、下記の各層の厚み比は、本反射材を製造する際の各層の原料の使用割合や押出量の比率から求めることができる。
樹脂層(C)の厚みは特に限定するものではなく、例えば5~100μmであることが好ましく、中でも10μm以上或いは80μm以下であるのがより好ましい。樹脂層(C)の厚みが上記範囲内であると、粒子の脱離が抑制される傾向がある。ここで、樹脂層(C)の厚みは、平均厚みを意味する。また、本反射材中に樹脂層(C)を複数有する場合は、各層ごとの厚みを意味する。
なお、樹脂層(A)における主成分樹脂であるポリオレフィン樹脂と、樹脂層(C)における主成分樹脂であるポリオレフィン樹脂が同一である場合や親和性が高い場合は、本反射材において樹脂層(A)と樹脂層(C)の境界が存在しない、或いは確認出来ない場合が生じる。このような場合、上記した各層の厚みや、下記の各層の厚み比は、本反射材を製造する際の各層の原料の使用割合や押出量の比率から求めることができる。
本反射材は、樹脂層(A)の厚みに対する樹脂層(C)の厚みの比率((C)/(A))が、0.6~5.0であることが好ましい。樹脂層(A)に対する樹脂層(C)の厚み比が0.6以上であれば、樹脂層(A)中に含有する有機粒子を樹脂層(C)が十分な厚みで覆うことができるため、樹脂層(A)及び樹脂層(C)による粒子の保持力が向上し、粒子の脱離をより一層抑制できる傾向にある。また、当該厚み比が5.0以下であれば、樹脂層(A)中に含有する有機粒子が本反射材中に埋没しにくくなるため、輝度ムラを一層効果的に抑制することができる傾向にある。
樹脂層(A)の厚みに対する樹脂層(C)の厚みの比率((C)/(A))の下限は上記と同様の理由より、好ましくは0.8以上、より好ましくは1.0以上、さらに好ましくは1.2以上、中でも好ましくは1.5以上である。また、当該厚み比の上限は上記と同様の理由より、好ましくは4.5以下、より好ましくは4.0以下である。
なお、「樹脂層(C)/樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(C)」の様に、樹脂層(A)と樹脂層(C)が隣接する構成が本反射材中に複数存在する場合は、少なくとも1つの組み合わせにおける厚み比率が上記範囲であればよい。ここで「樹脂層(A)と樹脂層(C)が隣接する」とは、樹脂層(B)を基準として同一側に樹脂層(A)と樹脂層(C)が存在することを意味し、樹脂層(A)と樹脂層(C)の間に他の任意の層が存在していても該当する。
前述の通り、輝度ムラを抑制するためには、反射材の表面に適度な突起を形成することが必要であるが、これを達成するためには、突起を形成するための有機粒子を含有している樹脂層(A)の厚み(ここでは有機粒子を含んでいない部分の平均厚みを意味する)に対し、有機粒子の粒径を大きくすることが好ましい。すなわち、比較的薄い樹脂層に、大粒径の有機粒子を含有させると、反射材の表面に突起を形成することが容易となる。
しかしながら、本発明者らによれば、このような構成とすると、有機粒子が脱離しやすくなったり、当該有機粒子を被覆する部分の樹脂が極めて薄くなり、樹脂層が剥離しやすくなったりする場合があることが判明した。そして、有機粒子の脱離の有無に関係なく、この極めて薄い被覆樹脂部分の剥離自体も、バックライトユニット等の構成部材の汚染に影響を及ぼしていることを見出した。
そこで本発明では、有機粒子を含有する樹脂層(A)の厚みと有機粒子の粒径との関係性は上記の技術思想を維持しながら、更に適度な厚みを有する樹脂層(C)を備えることにより、有機粒子の脱離のみならず、当該有機粒子を被覆している部分の樹脂の剥離をより一層抑制できるようにすることが好ましい。
なお、例えば、樹脂層(A)の主成分樹脂がアクリル樹脂であり、樹脂層(C)の主成分樹脂がポリオレフィン樹脂であるような場合、或いはその逆のような場合であれば、有機粒子の脱離及び被覆樹脂の剥離を抑制しようとすれば、樹脂層(C)は極めて厚くする必要がある。しかしながら、そうすると本来の目的である輝度ムラを抑制する効果が発揮出来なくなるため、構成部材の汚染防止との両立は困難である。
これに対し本反射材は、樹脂層(A)及び樹脂層(C)の主成分樹脂を何れもポリオレフィン樹脂としているため、樹脂層(A)の厚みに対する樹脂層(C)の厚みの比率を上記範囲とすることにより、有機粒子の脱離及び被覆樹脂の剥離をより抑制できる。このため本反射材は、電子顕微鏡で断面を観察した際に有機粒子を被覆する樹脂層(A)の樹脂部分が確認出来ない程度に薄い場合であっても、輝度ムラの抑制と構成部材の汚染防止を両立できる。
本反射材において、樹脂層(A)の厚みに対する樹脂層(B)の厚みの比率((B)/(A))は、2~15であることが好ましい。樹脂層(A)に対する樹脂層(B)の厚み比が2倍以上であれば、反射特性が良好になる傾向があり、更に柔軟性が良好になるため折り曲げ加工性が向上する傾向がある。また、樹脂層(A)に対する樹脂層(B)の厚み比が15倍以下であれば、耐熱性が良好となる傾向がある。
なお、上記厚み比は、樹脂層(A)或いは樹脂層(B)を2層以上有する構成である場合は、各層の合計厚みの厚み比を意味する。
本反射材において、樹脂層(A)および樹脂層(C)の合計厚みに対する樹脂層(B)の厚みの比率((B)/((A)+(C)))は、2~15であることが好ましい。樹脂層(A)および樹脂層(C)の合計厚みに対する樹脂層(B)の厚み比率が2倍以上であれば、反射特性が良好になる傾向があり、更に柔軟性が良好になるため折り曲げ加工性が向上する傾向がある。また、この厚み比率が15倍以下であれば、耐熱性が良好となる傾向がある。上記厚み比率は、樹脂層(A)や樹脂層(C)或いは樹脂層(B)を2層以上有する構成である場合は、各層の合計厚みの比率を意味する。
(表面の突起)
本反射材の樹脂層(C)側表面の突起の平面視径は21μm~39μmであることが好ましく、中でも22μm以上或いは38μm以下、その中でも23μm以上或いは37μm以下であるのがさらに好ましい。本反射材の樹脂層(C)側表面の突起の平面視径が当該範囲内にあれば、粒子の脱離を抑制しつつ、輝度ムラを抑制できる傾向にあるため好ましい。
ここで、「樹脂層(C)側表面の突起の平面視径」は、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して、本反射材の表面を上面から観察し、すなわち平面視して、明瞭に突起と判別することができる10個以上の任意の突起を選択し、当該突起の平面視径すなわち突起を平面視した際の直径を測定し、その平均値として求めることができる。平面視した突起の形状が円形でない場合は、最短径と最長径の平均値をその突起の平面視径とする。
なお、「樹脂層(C)/樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(C)」の様に「樹脂層(C)側表面」が本反射材の両側表面にある場合は、少なくとも何れかの表面の突起の平面視径が上記範囲であればよい。後述する「平面視径が21~39μmである突起の密度」、最大高さRz、算術平均粗さRaについても同様である。
本反射材は、有機粒子を含有する樹脂層(A)に樹脂層(C)を積層しているため、樹脂層(C)が本反射材の表層である場合は、樹脂層(A)中の有機粒子によって樹脂層(C)の表面、すなわち本反射材の樹脂層(C)側表面に突起が生じることとなる。また、樹脂層(C)の表面に「他の層」が積層している場合、当該「他の層」の表面すなわち本反射材の樹脂層(C)側表面に突起が生じることとなる。
但し、樹脂層(C)側表面の突起の平面視径の測定に際しては、樹脂層(A)中の有機粒子に起因する突起のみを対象とするものではない。従って、突起が樹脂層(A)中に含有する有機粒子に起因するものであることを確認する必要はない。
樹脂層(C)側表面の突起の平面視径の調整方法としては、樹脂層(A)に含有する有機粒子の種類や配合割合、樹脂層(A)と樹脂層(C)の厚み比率、樹脂層(A)および樹脂層(C)の主成分樹脂であるポリオレフィン樹脂の種類や配合割合、反射材を製造する際の延伸条件等によって最適化することができる。但し、これらの方法に限定するものではない。
本反射材の樹脂層(C)側表面は、平面視径が21~39μmである突起の密度が、7~40個/mmであることが好ましく、中でも14個/mm以上或いは35個/mm以下、その中でも21個/mm以上30個/mm以下であるのがさらに好ましい。平面視径が21~39μmである突起を上記範囲の密度で有していれば、輝度ムラを効果的に抑制できる傾向にあるため好ましい。
突起の密度の調整方法としては、樹脂層(A)に含有する有機粒子の種類や配合割合、反射材を製造する際の延伸条件等によって調整することができる。
(最大高さRz)
本反射材の樹脂層(C)側表面の最大高さRzは、特に限定するものではなく、好ましくは3.1μm以上、より好ましくは3.5μm以上、更に好ましくは4.0μm以上である。本反射材の樹脂層(C)側表面の最大高さRzが前記下限値以上であれば、反射特性が良好であるとともに、輝度ムラがより一層抑制される傾向にあるため好ましい。
また、本反射材の樹脂層(C)側表面の最大高さRzの上限も限定されず、好ましくは7.0μm以下、より好ましくは6.8μm以下、更に好ましくは6.5μm以下である。本反射材の樹脂層(C)側表面の最大高さRzが前記上限値以下であれば、反射特性が良好であるとともに、粒子の脱離を抑制できる傾向にあるため好ましい。
樹脂層(C)側表面の最大高さRzの調整方法としては、樹脂層(A)と樹脂層(C)との厚み比率、樹脂層(A)および樹脂層(C)の主成分樹脂であるポリオレフィン樹脂の種類や配合割合、樹脂層(A)中に含有する有機粒子の種類や配合割合、反射材を製造する際の延伸条件等によって最適化することができる。
なお、最大高さRzの測定は、JIS B0601に準拠するものとし、より詳細には後述の実施例の方法に基づくものとする。
(算術平均粗さRa)
本反射材の樹脂層(C)側表面の算術平均粗さRaは、特に限定するものではなく、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.6μm以上、更に好ましくは0.7μm以上である。本反射材の樹脂層(C)側表面の算術平均粗さRaが前記下限値以上であれば、反射特性が良好であるとともに、輝度ムラが一層抑制される傾向にあるため好ましい。
また、本反射材の樹脂層(C)側表面の算術平均粗さRaの上限も限定されず、好ましくは1.0μm以下、より好ましくは0.9μm以下、更に好ましくは0.8μm以下である。本反射材の樹脂層(C)側表面の算術平均粗さRaが前記上限値以下であれば、反射特性が良好であるとともに、粒子の脱離を抑制できる傾向にあるため好ましい。
樹脂層(C)側表面の算術平均粗さRaの調整方法としては、樹脂層(A)と樹脂層(C)の厚み比、樹脂層(A)および樹脂層(C)の主成分樹脂であるポリオレフィン樹脂の種類や配合割合、樹脂層(A)の有機粒子の種類や配合割合、反射材を製造する際の延伸条件等によって最適化することができる。
なお、算術平均粗さRaの測定は、JIS B0601に準拠するものとし、より詳細には後述の実施例の方法に基づくものとする。
(反射率)
本反射材は、高い反射性能を有することができる。
本反射材の反射性能に制約は無く、少なくとも片面の平均反射率を97%以上、更には98%以上、特には99%以上とすることができる。このような反射性能を有する反射材であれば、本反射材を組み込んだ液晶ディスプレイ等はその画面が十分な明るさを実現することができる。
ここで「反射率」とは、波長420~700nmの光に対する平均反射率を意味し、より詳細な測定方法は、後述する実施例で記載する。
(空隙率)
本反射材は、反射性能を高めるために空隙を有することが好ましい。
本反射材中に空隙を有していることは、例えば本反射材の断面を顕微鏡(電子顕微鏡や光学顕微鏡)で観察することにより確認することが出来る。
本反射材の空隙率は限定されない。好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上であり、他方、上限値に関しては、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下である。
本反射材の空隙率が前記下限値以上であれば、本反射材の白化が十分に進行するので高い光反射性を有する傾向にある。また、本反射材の空隙率が前記上限値以下であれば、本反射材の機械的強度が好適である傾向がある。
樹脂層(B)の空隙率は限定されない。好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上、更に好ましくは30%以上であり、他方、上限値に関しては、好ましくは80%以下、より好ましくは75%以下、更に好ましくは70%以下である。樹脂層(B)の空隙率が前記下限値以上であれば、本反射材の白化が十分に進行するので、より高い光反射性を有する傾向にある。また、樹脂層(B)の空隙率が前記上限値以下であれば、本反射材の機械的強度がより好適となる傾向がある。
なお、本反射材の空隙率は、実質的に樹脂層(A)、樹脂層(B)及び樹脂層(C)を対象とするものとし、これらの層間に他の層を有する場合には、これも含むものとする。一方、樹脂層(A)、樹脂層(B)及び樹脂層(C)よりも外面に、例えば樹脂板や金属板等の他の層を有する場合は、これらの層は反射材の空隙率の算出に際しては含めない。
本反射材の空隙率は、以下のような方法で求めることが出来る。
(1)延伸によって空隙を形成する場合は、延伸前後の反射材の密度を測定することにより、次の式によって求めることが出来る。
空隙率(%)={(延伸前のフィルムの密度-延伸後のフィルムの密度)/延伸前のフィルムの密度}×100
(2)各原料の密度と配合割合が明らかな場合は、各原料の密度と配合割合から空隙を有さない場合の密度を算出し、次の式によって求めることが出来る。
空隙率(%)={(空隙を有さない場合の密度-反射材の密度)/空隙を有さない場合の密度}×100
(3)更には、反射材の密度を測定した後、当該反射材を溶融、減圧、冷却固化して空隙を除去した後の密度を算出することで求めることもできる。
<本反射材の製造方法>
以下に、本反射材の製造方法の一例として、共押出法によって製造する「樹脂層(C)/樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(C)」の5層構成の本反射材について説明する。但し、以下の製造方法に限定されるものではない。例えば共押出法の代わりに、塗布、押出ラミネート、熱融着、接着剤などによって積層構成とすることも可能である。
なお、大粒径の有機粒子を多量に含有する層を設ける手法として、従来は主に塗布法が採用されてきた。しかしながら、有機粒子含有層を塗布法によって設けると、表面粗度は高くなるものの、粒子の脱離やリサイクル性(自己リサイクル性)の低下等の問題が生じる場合があるほか、基材からの塗布層の剥離、カール(捲き癖)、製造効率の低下等の問題も生じる場合がある。
これに対し、本反射材の製造方法においては、有機粒子を含有する層(樹脂層(A))を構成する主成分樹脂を、樹脂層(B)及び樹脂層(C)を構成する樹脂と同種すなわちポリオレフィン樹脂とすることにより、共押出法に好適な構成とすることが出来る。共押出法によって本反射材を製造すれば、有機粒子を含有する層を塗布によって設ける必要も無くなるので、表面粗度を高くするとともに、粒子の脱離が抑制され、更にはリサイクル性(自己リサイクル性)も良好となり、基材からの表層の剥離やカールも無く、製造効率も大幅に改善することができる。一方、本反射材のような上記の構成に対し、例えば樹脂層(A)或いは、樹脂層(A)及び樹脂層(C)の主成分樹脂がアクリル樹脂であるような場合は、共押出法を採用することが困難となり、上記した効果も奏することが困難となる。
(樹脂組成物A)
樹脂層(A)の原料として、ポリオレフィン樹脂、有機粒子、必要に応じその他添加剤を配合した樹脂組成物Aを作製する。具体的には、これらの原料をリボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、1軸または2軸押出機等を用いて、樹脂の流動開始温度以上の温度(例えば、220℃~270℃)で混練することにより、樹脂組成物Aを得ることができる。
また、各原料を別々のフィーダー等により所定量を添加することにより樹脂組成物Aを得ることができる。又は、原料の一部をマスターバッチとしておき、これを原料として使用することもできる。又は、原料の一部を用いて予め樹脂組成物としておき、この樹脂組成物と他の原料とを混練して樹脂組成物Aを得ることもできる。
(樹脂組成物B)
樹脂層(B)の原料として、ポリオレフィン樹脂に、微粉状充填剤、必要に応じその他の添加剤等を配合し、樹脂組成物Bを作製する。具体的には、これらの原料をリボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、1軸または2軸押出機等を用いて、樹脂の融点以上の温度(例えば、190℃~270℃)で混練することにより樹脂組成物Bを得ることができる。
また、樹脂組成物Aと同様、フィーダー等を用いて製造したり、原料の一部をマスターバッチとして使用したり、原料の一部を用いて予め樹脂組成物としておくこともできる。
(樹脂組成物C)
樹脂層(C)の原料として、ポリオレフィン樹脂、必要に応じその他添加剤を配合した樹脂組成物Cを作製する。具体的には、これらの原料をリボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、1軸または2軸押出機等を用いて、樹脂の流動開始温度以上の温度(例えば、220℃~270℃)で混練することにより、樹脂組成物Cを得ることができる。
また、各原料を別々のフィーダー等により所定量を添加することにより樹脂組成物Cを得ることができる。又は、原料の一部をマスターバッチとしておき、これを原料として使用することもできる。又は、原料の一部を用いて予め樹脂組成物としておき、この樹脂組成物と他の原料とを混練して樹脂組成物Cを得ることもできる。
なお、樹脂層(C)にはポリオレフィン樹脂のみを用いる場合は、何ら配合等を行うこと無く樹脂組成物Cに相当する。
次に、このようにして得られた樹脂組成物A、樹脂組成物B及び樹脂組成物Cを必要により乾燥させた後、それぞれ別の押出機に供給し、それぞれ所定の温度以上に加熱して溶融させる。
押出温度等の条件は任意である。例えば、樹脂組成物A及び樹脂組成物Cの押出温度は220℃~270℃、樹脂組成物Bの押出温度は190~270℃であることが好ましい。
その後、溶融した樹脂組成物A、樹脂組成物B及び樹脂組成物Cを3種5層用のTダイに合流させ、Tダイのスリット状の吐出口から積層状に押出し、冷却ロールに密着固化させてキャストシートを形成する。
得られたキャストシートは、少なくとも1軸方向に延伸されているのが好ましい。延伸することにより、樹脂層(B)内部のポリオレフィン樹脂と微粉状充填剤の界面が剥離して空隙が形成され、シートの白化が進行して、フィルムの光反射性を高めることができる。
更に、キャストシートは2軸方向に延伸されていることがより好ましい。1軸延伸をしたのみでは形成される空隙は一方向に伸びた繊維状形態にしかならないが、2軸延伸することによって、その空隙は縦横両方向に伸ばされたものとなり円盤状形態になる。
すなわち、2軸延伸することによって、樹脂層(B)内部のポリオレフィン樹脂と微粉状充填剤との界面の剥離面積が増大し、シートの白化がさらに進行し、その結果、フィルムの光反射性をさらに高めることができる。また、2軸延伸するとフィルムの収縮方向の異方性が少なくなるので、フィルムの耐熱性を向上させることができ、またフィルムの機械的強度を増加させることもできる。
キャストシートを延伸する際の延伸温度は、樹脂層(A)または樹脂層(C)に含有するポリオレフィン樹脂のガラス転移温度(Tg)以上、(Tg+50)℃以下の範囲内の温度であることが好ましい。
延伸温度がガラス転移温度(Tg)以上であれば、延伸時にフィルムが破断することなく安定して行うことができる。また、延伸温度が(Tg+50)℃以下の温度であれば、延伸配向が高くなり、その結果、空隙率が大きくなるので、高い反射率のフィルムが得られやすい。
2軸延伸の延伸順序は特に制限されることはなく、例えば、同時2軸延伸でも逐次延伸でもよい。溶融状態のキャストシートとした後に、ロール延伸によって流れ方向(MD)に延伸した後、テンター延伸によって横方向(TD)に延伸してもよいし、チューブラー延伸等によって二軸延伸を行ってもよい。
2軸延伸の場合の延伸倍率は限定するものではない。面積倍率として通常4倍以上、好ましくは5倍以上、より好ましくは6倍以上であり、上限は通常25倍以下、好ましくは20倍以下、より好ましくは15倍以下である。面積倍率を上記範囲内とすることによって、反射材の空孔率を適正な範囲に制御し、優れた反射性能を発揮することができるので好ましい。
逐次二軸延伸を行う場合、一軸目の延伸の倍率は、好ましくは1.1~5.0倍、より好ましくは1.5~3.5倍であり、二軸目の延伸の倍率が、好ましくは1.1~5.0倍、より好ましくは2.5~4.5倍である。
延伸後は、反射材に寸法安定性(空隙の形態安定性)を付与するため熱固定を行うことが好ましい。フィルムを熱固定するための処理温度は130~160℃であることが好ましい。熱固定に要する処理時間は、好ましく1秒~3分である。
また、延伸設備等については特に限定はないが、延伸後に熱固定処理を行うことができるテンター延伸を行うことが特に好ましい。
<用途>
本反射材の用途は限定するものではない。本反射材は反射性能に優れている点から、液晶ディスプレイ等の液晶表示装置、照明器具、照明看板等に用いられる反射部材として有用である。
一般に液晶ディスプレイは、液晶パネル、偏光反射シート、拡散シート、導光板、反射シート、光源、光源リフレクタ等から構成されている。
本反射材は、光源からの光を効率よく液晶パネルや導光板へ入射させる役割をする反射材として好適に使用することができるし、エッジ部に配置された光源からの照射光を集光し導光板に入射させる役割を有する光源リフレクタとしても好適に使用することができる。
本反射材は、液晶ディスプレイのバックライトユニット中に備わる反射材として好適である。本反射材を用いると、輝度ムラの発生や粒子の脱離を低減することができる。導光板の材質にも制約は無く、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂製、メチルメタクリレート・スチレン共重合体(MS樹脂)製、シクロオレフィン樹脂製などの種々の導光板を備えたバックライトユニットに好適に用いることが出来、特にMS樹脂製の導光板を備えたバックライトユニットに好適である。
よって、本反射材と、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂製、メチルメタクリレート・スチレン共重合体(MS樹脂)製、シクロオレフィン樹脂製などの導光板とを備えたバックライトユニットを提供することができる。
本反射材は、そのまま前述の層構成を有する反射材として使用することも可能である。
さらに、金属板又は樹脂板(まとめて「金属板等」という)に積層した構成として使用することも可能であり、上述の用途、すなわち液晶ディスプレイ等の液晶表示装置、照明器具、照明看板等の構成部材としての反射板として有用である。
よって、本反射材を構成部材として、液晶表示装置、照明器具又は照明看板を提供することができる。
なお、本反射材を積層する金属板としては、例えばアルミ板やステンレス板、亜鉛メッキ鋼板などを挙げることができる。
金属板等に本反射材を積層する方法は特に限定するものではない。例えば接着剤を使用する方法、熱融着する方法、接着性シートを介して接着する方法、押出しコーティングする方法等を挙げることができる。
より具体的には、金属板等の反射材を貼り合わせる側の面にポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系等の接着剤を塗布し、反射材を貼り合わせることができる。
次いで、赤外線ヒーター及び熱風加熱炉により塗布面の乾燥及び加熱を行い、金属板等の表面を所定の温度に保持しつつ、直ちにロールラミネーターを用いて、反射材を被覆、冷却することにより、反射板を得ることできる。
また、本反射材は、上記以外の用途、例えば各種工業材料、包装材料、光学材料、電機材料など多様な用途に用いることができる。
<用語の説明>
本発明において「フィルム」と称する場合は「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合も「フィルム」を含むものとする。
本発明において「反射」とは、特記しない限り光の反射を意味し、より限定的には可視光の反射を意味する。
本発明において「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特記しない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特記しない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特記しない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
<測定及び評価方法>
実施例・比較例で得たサンプルの測定方法及び評価方法について以下に説明する。
(有機粒子のガラス転移温度及びガラス転移点の熱容量(ΔCp))
示差走査熱量計(パーキンエルマージャパン社製、機種名:DSC8500)を使用し、有機粒子を30℃/分の昇温速度で250℃まで昇温した際のガラス転移点(ベースラインシフト間の変曲点)及びガラス転移点の熱容量を測定した。
(反射材の厚み)
反射材の全層の厚みは、膜厚計により測定した。
また、樹脂層(A)と樹脂層(C)の合計厚み、並びに、樹脂層(B)の厚みは、電子顕微鏡により反射材の断面観察にて確認した。
なお、樹脂層(A)と樹脂層(C)の厚みは、顕微鏡では層界面の区別が困難であることから、樹脂層(A)と樹脂層(C)の合計厚みに、シート成形時の押出量比率をそれぞれ乗じることで求めた。
樹脂層(A)及び樹脂層(B)のみで構成される2種3層の反射材(比較例サンプル)の各層の厚みは、光学顕微鏡により反射材の断面観察にて確認した。
(樹脂層(A)中の有機粒子の形状)
3種5層の反射材(サンプル)については厚み測定のための断面観察の際に、また2種3層の反射材(サンプル)については表面を観察した際に、有機粒子が変形しているか否かを確認し、以下の基準で判断した。
変形なし:原料の粒子形状とほぼ同様であった。なお、「ほぼ同様」とは、反射材の樹脂層(A)を光学顕微鏡で観察し、有機粒子の長辺と短辺の比(L/D)が1.8倍以下であることをいう。この場合、原料の粒子の平均粒径をもって樹脂層(A)中粒子の平均粒径とみなすことができる。
変形あり:原料の粒子形状から変形していた。なお、反射材の樹脂層(A)を光学顕微鏡で観察し、有機粒子の長辺と短辺の比(L/D)が1.8倍を超えた場合に「変形している」と判断した。この場合は、原料の粒子の平均粒径をもって樹脂層(A)中粒子の平均粒径とみなすことができない。
(有機粒子の平均粒径)
樹脂層(A)中の有機粒子の平均粒径は、以下の通りとした。
上記の有機粒子の形状確認において「変形なし」であった場合は、原料の粒子の平均粒径の値を採用した。
上記の有機粒子の形状確認において「変形あり」であった場合は、反射材の樹脂層(A)面を光学顕微鏡で観察し、10個以上の粒子の直径を測定し、その平均値を求めた。その際、断面形状が円形でない場合は、最長径と最短径の平均値とした。
(空隙率)
延伸前の積層シートの密度(未延伸シート密度)と、延伸後の積層シートの密度(延伸シート密度)を測定し、下記式にて、積層シートからなる反射材(サンプル)の空隙率(%)を求めた。
空隙率(%)={(未延伸シート密度-延伸シート密度)/未延伸シート密度}×100
(表面粗さ)
反射材(サンプル)を平面上に静置した状態で、無作為に選んだ5箇所の樹脂層(C)側表面(表裏何れか一方の面)についてRz及びRaを測定し、その平均値を反射材(サンプル)のRz(μm)及びRa(μm)とした。
測定には、ミツトヨ社製「サーフテスト SJ-210」を使用し、JIS B0601(2001)に基づき、λc:0.8mm、λs:2.5mmとして測定した。
(突起の平面視径)
反射材(サンプル)の樹脂層(C)側表面(表裏何れか一方の面)の突起の平面視径の測定は、走査型電子顕微鏡(SEM、観察倍率300~500倍程度)を使用して反射材の表面、すなわち反射材の樹脂層(C)側表面を上から観察し、10個以上の任意の突起部位の直径を測定し、その平均値として求めた。なお、実施例1,2において、樹脂層(C)側表面で観察された突起の平面視形状はいずれも円形であった。
(平均反射率)
分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製「U-3900H」)に積分球を取付け、アルミナ白板を100%とした時の反射材(サンプル)の反射率を、波長420~700nmに亘って0.5nm間隔で測定した。得られた測定値の平均値を計算し、平均反射率(%)とした。
(輝度ムラ評価)
導光板としてメチルメタクリレート・スチレン共重合体(MS樹脂)製、厚み約2mmのものを使用し、エッジライト型のバックライトユニットの評価モデルを作成した。
反射材(サンプル)の樹脂層(C)側(表裏何れか一方)に導光板を配置し、その上部に重り(2kg)を乗せた状態でエッジライトを点灯した。導光板の上部に設置したカメラにて、重りの付近に輝度ムラが発生するか否かを確認し、以下の基準で判断した。
○(good):輝度ムラが発生せず、薄型バックライト等の反射材として好適であった。
×(poor):輝度ムラが発生し、薄型バックライト等の反射材として不適当であった。
(テープ剥離評価)
反射材(サンプル)の樹脂層(C)側表面(表裏何れか一方の面)に粘着テープ(ニチバン株式会社製、セロテープ(登録商標)CT15)を貼り付けた後、粘着テープを剥離し、剥離後の反射材(サンプル)表面及び粘着テープの粘着面を、光学顕微鏡を用いて観察し、以下の基準で判断した。なお、粘着テープへの転写は、構成部材への汚染の程度の代替指標である。
◎(excellent):反射材(サンプル)表面の剥離や、反射材(サンプル)表面の粘着テープへの転写がほとんど見られない。
○(better):反射材(サンプル)表面の剥離や、反射材(サンプル)表面の粘着テープへの転写が少ない。
△(good):反射材(サンプル)表面の剥離や、反射材(サンプル)表面の粘着テープへの転写が若干見られる。
×(poor):反射材(サンプル)表面の剥離や、反射材(サンプル)表面の粘着テープへの転写が多い。
<原料>
実施例・比較例で使用した原料について以下に説明する。
(COP-A)
非晶性シクロオレフィン樹脂(MFR(230℃、21.18N):1.5g/10分、Tg:129℃)
(COP-B)
非晶性シクロオレフィン樹脂(MFR(230℃、21.18N):15g/10分、Tg:105℃)
(PP-A)
ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製「ノバテックPP FY6HA」、MFR(230℃、21.18N):2.3g/10分)
(PP-B)
ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製「ノバテックPP EG6D」、MFR(230℃、21.18N):2.0g/10分)
(有機粒子-A)
メタクリル酸メチル系架橋樹脂粒子(Tg:137℃、ΔCp:0.34J/(g・℃)、平均粒径(D50):30μm)
(酸化チタン)
KRONOS社製「KRONOS2450」(塩素法で製造され、アルミナ及びシリカで表面処理されたルチル型の酸化チタン、TiO含有量96.0%、平均粒径(D50):0.31μm)
(炭酸カルシウム)
備北粉化工業社製「ソフトン3200」(平均粒径(D50):0.70μm)
<実施例1>
(樹脂組成物Aの作製)
COP-A、COP-B、PP-Aのペレット及び有機粒子-Aを、COP-A/COP-B/PP-A/有機粒子-A=50:25:21:4の質量割合で混合した後、二軸押出機を用いて溶融混練してペレット化し、樹脂層(A)の原料として樹脂組成物Aを作製した。
(樹脂組成物Bの作製)
PP-Aのペレットと微粉状充填剤を、PP-A:酸化チタン:炭酸カルシウム=55:40:5の質量割合で混合した後、二軸押出機を用いて270℃で溶融混練してペレット化し、樹脂層(B)の原料として樹脂組成物Bを作製した。
(樹脂組成物Cの作製)
COP-A、COP-B、PP-Aのペレットを、COP-A/COP-B/PP-A=50:25:25の質量割合で混合した後、二軸押出機を用いて溶融混練してペレット化し、樹脂層(C)の原料として樹脂組成物Cを作製した。
(反射材の作製)
上記樹脂組成物A、B及びCをそれぞれ、段階的に220℃迄加熱された押出機A、B及びCに供給し、各押出機にて溶融した後、樹脂層(A)の厚みに対する樹脂層(C)の厚み比率が1.1となるように押出量を調整して3種5層用のTダイに合流させ、樹脂層(C)/樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(C)の5層構成になるようにシート状に押出し、冷却固化して無延伸の積層シートを形成した。
得られた積層シートを、温度142℃でフィルムの流れ方向(MD)に2.3倍ロール延伸した後、さらに136℃で直交方向(TD)に3倍テンター延伸することで二軸延伸を行い、全厚み195μmの積層シートからなる反射材(サンプル)を得た。
得られた反射材について、有機粒子の形状、空隙率、表面粗さ、平均反射率、輝度ムラ評価及びテープ剥離評価を行い、その結果を表1および表2に示す。
<実施例2>
樹脂層(A)の厚みに対する樹脂層(C)の厚み比率が3.0となるように押出量を調整した以外は実施例1と同様にして反射材(サンプル)を得た。得られた反射材(サンプル)について実施例1と同様の評価を行い、その結果を表1および表2に示す。
<比較例1>
樹脂組成物Aの作製において、PP-Bのペレット及び有機粒子-Aを、PP-B/有機粒子-A=90:10の質量割合で混合した後、二軸押出機を用いてペレット化し、〔PP-B・有機粒子-A混合物〕を得た後、COP-A、COP-2のペレット及び〔PP-B・有機粒子-A混合物〕を、COP-A/COP-B/〔PP-B・有機粒子-A混合物〕=50:25:25の質量割合で混合した後、二軸押出機を用いてペレット化し、樹脂層(A)の原料として、COP-A/COP-B/PP-B/有機粒子-A=50:25:22.5:2.5の質量割合となる樹脂組成物A2を作製した。
押出機Cを用いずに段階的に250℃迄加熱された押出機A及びBを用いて2種3層用のTダイに合流させ、樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)の3層構成になるようにシート状に押出し、直交方向(TD)に141℃でテンター延伸した以外は、実施例1と同様にして反射材(サンプル)を得た。得られた反射材(サンプル)について実施例1と同様の測定乃至評価を行い、その結果を表1および表2に示す。
<比較例2>
樹脂組成物Aの作製において、PP-Bのペレット及び有機粒子-Aを、PP-B/有機粒子-A=85:15の質量割合で混合した後、二軸押出機を用いてペレット化し、〔PP-B・有機粒子-A混合物〕を得た後、COP-A、COP-Bのペレット及び〔PP-B・有機粒子-A混合物〕を、COP-A/COP-B/〔PP-B・有機粒子-A混合物〕=50:25:25の重量割合で混合した後、二軸押出機を用いてペレット化し、樹脂層(A)の原料として重量割合がCOP-A/COP-B/PP-B/有機粒子-A=50:25:21.25:3.75となる樹脂組成物A3を作製した。
樹脂組成物A2の代わりに樹脂組成物A3を用いた以外は、比較例1と同様にして3層構成の反射材(サンプル)を得た。得られた反射材(サンプル)について実施例1と同様の測定乃至評価を行い、その結果を表1および表2に示す。
Figure 0007521211000001
Figure 0007521211000002
表1および表2から明らかなように、実施例1および実施例2は樹脂層(A)が樹脂層(C)と樹脂層(B)の間に積層されていることにより、反射率が高く、輝度ムラが抑制されているばかりか、反射材表面の剥離や反射材表面の粘着テープへの転写が少ないことが確認され、樹脂層(A)中に含有する有機粒子の脱離が抑制されていた。
一方、樹脂層(C)を有さない比較例1および比較例2の場合は、反射材表面の剥離や反射材表面の粘着テープへの転写が多いことから、粒子が脱離しやすく、実用面で問題があることが確認された。
また、上記実施例並びにこれまで本発明者が行ってきた試験結果から、有機粒子として、ガラス転移点(Tg)が120℃以上であり、かつ、ガラス転移点の熱容量ΔCpが0.75J/(g・℃)以下である有機粒子を樹脂層(A)中に含有することにより、反射率が高く、輝度ムラが抑制されているばかりか、反射材表面から粒子が脱離しにくいことが確認されている。
さらにまた、上記実施例並びにこれまで本発明者が行ってきた試験結果から、樹脂層(A)に対する樹脂層(C)の比率を0.6~5.0の範囲内とすることにより、反射率が高く、輝度ムラが抑制されているばかりか、反射材表面の剥離や反射材表面の粘着テープへの転写が少ないことが確認され、樹脂層(A)中に含有する有機粒子の脱離が抑制されることが確認されている。

Claims (14)

  1. ポリオレフィン樹脂及び微粉状充填剤を含有する樹脂層(B)と、主成分樹脂としてのポリオレフィン樹脂及び平均粒径15~50μmの有機粒子を含有する樹脂層(A)と、主成分樹脂としてのポリオレフィン樹脂を含有し且つ、粒径が10μm以上である有機粒子を含有しない樹脂層(C)とが、樹脂層(C)/樹脂層(A)/樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(C)の順に積層された構成を備え、空隙を有する反射材。
  2. 樹脂層(B)と樹脂層(C)とが同じ組成である反射材を除く、請求項1に記載の反射材。
  3. 樹脂層(C)側表面の最大高さRzが3.1μm~7.0μmである請求項1又は2に記載の反射材。
  4. 前記有機粒子は、ガラス転移点における熱容量(ΔCp)が0.75J/(g・℃)以下である請求項1~3の何れか1項に記載の反射材。
  5. 前記有機粒子は、ガラス転移点が120℃以上である請求項1~4の何れか1項に記載の反射材。
  6. 前記有機粒子が架橋粒子である請求項1~5の何れか1項に記載の反射材。
  7. 前記樹脂層(A)の厚みに対する前記樹脂層(C)の厚みの比率が0.6~5.0である請求項1~6の何れか1項に記載の反射材。
  8. 樹脂層(C)側表面の突起の平面視径が21μm~39μmである請求項1~7の何れか1項に記載の反射材。
  9. 樹脂層(A)中に有機粒子を0.5~5質量%含有する請求項1~8の何れか1項に記載の反射材。
  10. 空隙率が10~80%である請求項1~9の何れか1項に記載の反射材。
  11. 樹脂層(A)の主成分樹脂であるポリオレフィン樹脂、及び、樹脂層(C)の主成分樹脂であるポリオレフィン樹脂のうち何れか一方又は両方が、ポリプロピレン樹脂又はシクロオレフィン樹脂である請求項1~10の何れか1項に記載の反射材。
  12. バックライトユニットの何れかの構成部材として使用することを特徴とする請求項1~11の何れか1項に記載の反射材。
  13. 液晶ディスプレイ、照明器具及び照明看板のうちの何れかの構成部材として使用することを特徴とする請求項1~12の何れか1項に記載の反射材。
  14. 請求項1~13の何れか1項に記載の反射材を構成部材とする液晶ディスプレイ、照明器具又は照明看板。
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