JP7520822B2 - 2’-ハロゲン化-4’-チオ-2’-デオキシ-5-アザシチジンアナログおよびその使用 - Google Patents

2’-ハロゲン化-4’-チオ-2’-デオキシ-5-アザシチジンアナログおよびその使用 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本願は、2018年9月25日出願の米国仮特許出願第62/736,246号の先の出願日の利益を主張する。この米国仮特許出願は、その全体が参照により本明細書中に組み込まれる。
分野
本開示は、5-アザ-2’-デオキシシチジンのハロゲン化アナログ、例えば、5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジン(5-アザ-T-dCyd)のハロゲン化アナログ、および前記ハロゲン化アナログを使用する方法に関する。
概要
5-アザ-2’-デオキシシチジンのハロゲン化アナログおよび前記ハロゲン化アナログを使用する方法が開示される。いくつかの実施形態において、前記化合物は、式Iaに記載の構造またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容され得る塩を有し、
Figure 0007520822000001

式中、Xは、ハロであり;Yは、水素、ハロまたはジュウテリウムであり;各Rは、独立して、水素またはジュウテリウムであり;Rは、水素、ジュウテリウム、アルキル、アルコキシ、アミノまたはハロである。ある特定の実施形態において、(i)Xは、Fである;または(ii)Yは、水素である;または(iii)各Rは、水素である;または(iv)Rは、水素である;または(v)(i)、(ii)、(iii)および(iv)の任意の組み合わせである。
いくつかの実施形態において、上記化合物は、式IIa~Vaのいずれか1つに記載の構造、またはそれらの任意の組み合わせを有する。
Figure 0007520822000002
化合物IIa~Vaのいずれかまたはすべてにおいて、Xは、Fであり得、Yは、HまたはFであり得、各Rは、Hであり得、かつ/またはRは、Hであり得る。ある特定の実施形態において、上記化合物は、
Figure 0007520822000003

またはそれらの任意の組み合わせである。
薬学的組成物は、開示される化合物のうちの少なくとも1つおよび薬学的に許容され得るキャリアを含み得る。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、静脈内、経口、腹腔内、皮下、直腸または頬側投与のために製剤化されている。
新形成を阻害する方法は、有効量の本明細書中に開示されるような化合物と新生物性細胞を接触させる工程を含む。いくつかの実施形態において、有効量の化合物と新生物性細胞を接触させる工程は、新生物性細胞の増殖を低減する。
任意のまたはすべての実施形態において、有効量の化合物と新生物性細胞を接触させることは、新生物性細胞の存在を少なくとも部分的に特徴とする疾患、例えば、がんを有するかまたは有すると疑われる被験体に治療有効量の化合物を投与することを含み得る。いくつかの例において、がんは、腎臓、膀胱、乳房、結腸、子宮内膜、皮膚、血液、膵臓、前立腺、骨、肝臓、肺、食道または中枢神経系のがんである。任意のまたはすべての実施形態において、治療有効量の化合物を被験体に投与することにより、その疾患の徴候または症候が低減し得る。1つの実施形態において、その疾患の徴候または症候は、固形腫瘍であり、治療有効量の化合物を被験体に投与することにより、その固形腫瘍の成長が低減するか、その固形腫瘍の体積が小さくなるか、その固形腫瘍の転移が減少するか、またはそれらの任意の組み合わせが生じる。別の実施形態において、その疾患の徴候または症候は、異常な全血球数であり、治療有効量の化合物を被験体に投与することにより、その全血球数が少なくとも部分的に正常化する。任意のまたはすべての実施形態において、治療有効量の化合物を投与することは、治療有効量の化合物を含む薬学的組成物を被験体に投与することを含み得る。
本発明の前述のおよび他の目的、特徴および利点は、添付の図面を参照して進められる以下の詳細な説明からより明らかになる。
図1は、4-アミノ-1-((2R,3S,4S,5R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロチオフェン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン(化合物1)についての例示的な合成スキームである。
図2は、4-オキシルオキシフェニルメタンチオールについての例示的な合成スキームである。
図3Aおよび3Bはそれぞれ、白血病細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50(正味のタンパク質増加の50%減少をもたらす薬物濃度)データを示している。 図3Aおよび3Bはそれぞれ、白血病細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50(正味のタンパク質増加の50%減少をもたらす薬物濃度)データを示している。
図4Aおよび4Bはそれぞれ、中枢神経系(CNS)がん細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。 図4Aおよび4Bはそれぞれ、中枢神経系(CNS)がん細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。
図5Aおよび5Bはそれぞれ、腎がん細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。 図5Aおよび5Bはそれぞれ、腎がん細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。
図6Aおよび6Bはそれぞれ、非小細胞肺がん細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。 図6Aおよび6Bはそれぞれ、非小細胞肺がん細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。
図7Aおよび7Bはそれぞれ、メラノーマ細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。 図7Aおよび7Bはそれぞれ、メラノーマ細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。
図8Aおよび8Bはそれぞれ、前立腺がん細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。
図9Aおよび9Bはそれぞれ、結腸がん細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。 図9Aおよび9Bはそれぞれ、結腸がん細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。
図10Aおよび10Bはそれぞれ、卵巣がん細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。 図10Aおよび10Bはそれぞれ、卵巣がん細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。
図11Aおよび11Bはそれぞれ、乳がん細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。 図11Aおよび11Bはそれぞれ、乳がん細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。
図12Aおよび12Bは、10mg/kgの化合物1(F-アザ-TdCyd)を腹腔内にQD×5、休薬、そしてこのサイクルを4回反復で;400mg/kgの化合物1を腹腔内にQ7D×3で;240mg/kgのF-TdCydを静脈内にQ7D×4で;1.5mg/kgの5-アザ-T-dCydを腹腔内にQD×5、休薬、そしてこのサイクルを4回反復で;または150mg/kgのゲムシタビンを腹腔内にQ7D×3で投与されたマウスのHCT-116ヒト結腸癌異種移植片の腫瘍体積およびマウス体重をそれぞれ経時的に示している。 図12Aおよび12Bは、10mg/kgの化合物1(F-アザ-TdCyd)を腹腔内にQD×5、休薬、そしてこのサイクルを4回反復で;400mg/kgの化合物1を腹腔内にQ7D×3で;240mg/kgのF-TdCydを静脈内にQ7D×4で;1.5mg/kgの5-アザ-T-dCydを腹腔内にQD×5、休薬、そしてこのサイクルを4回反復で;または150mg/kgのゲムシタビンを腹腔内にQ7D×3で投与されたマウスのHCT-116ヒト結腸癌異種移植片の腫瘍体積およびマウス体重をそれぞれ経時的に示している。
図13Aおよび13Bは、8mg/kgの化合物1(F-アザ-TdCyd)を腹腔内にQD×5、休薬で3サイクル;250mg/kgの化合物1を腹腔内にQ7D×3で;200mg/kgのF-TdCydを静脈内にQ7D×3で;1.5mg/kgの5-アザ-T-dCydを腹腔内にQD×5、休薬、そしてこのサイクルを3回反復で;150mg/kgのゲムシタビンを腹腔内にQ7D×3で;または8mg/kgの化合物1を経口的にQD×5、休薬で3サイクル、投与されたマウスのBL0382ヒト膀胱癌異種移植片の腫瘍体積およびマウス体重をそれぞれ経時的に示している。 図13Aおよび13Bは、8mg/kgの化合物1(F-アザ-TdCyd)を腹腔内にQD×5、休薬で3サイクル;250mg/kgの化合物1を腹腔内にQ7D×3で;200mg/kgのF-TdCydを静脈内にQ7D×3で;1.5mg/kgの5-アザ-T-dCydを腹腔内にQD×5、休薬、そしてこのサイクルを3回反復で;150mg/kgのゲムシタビンを腹腔内にQ7D×3で;または8mg/kgの化合物1を経口的にQD×5、休薬で3サイクル、投与されたマウスのBL0382ヒト膀胱癌異種移植片の腫瘍体積およびマウス体重をそれぞれ経時的に示している。
図14Aおよび14Bは、8mg/kgの化合物1(F-アザ-TdCyd)を腹腔内にQD×5、休薬で3サイクル;250mg/kgの化合物1を腹腔内にQ7D×3で;200mg/kgのF-TdCydを静脈内にQ7D×3で;1.5mg/kgの5-アザ-T-dCydを腹腔内にQD×5、休薬、そしてこのサイクルを3回反復で;150mg/kgのゲムシタビンを腹腔内にQ7D×3で;または8mg/kgの化合物1を経口的にQD×5、休薬で3サイクル、投与されたマウスのOVCAR3ヒト卵巣癌異種移植片の腫瘍体積およびマウス体重をそれぞれ経時的に示している。 図14Aおよび14Bは、8mg/kgの化合物1(F-アザ-TdCyd)を腹腔内にQD×5、休薬で3サイクル;250mg/kgの化合物1を腹腔内にQ7D×3で;200mg/kgのF-TdCydを静脈内にQ7D×3で;1.5mg/kgの5-アザ-T-dCydを腹腔内にQD×5、休薬、そしてこのサイクルを3回反復で;150mg/kgのゲムシタビンを腹腔内にQ7D×3で;または8mg/kgの化合物1を経口的にQD×5、休薬で3サイクル、投与されたマウスのOVCAR3ヒト卵巣癌異種移植片の腫瘍体積およびマウス体重をそれぞれ経時的に示している。
図15Aおよび15Bは、10mg/kgの化合物1(F-アザ-TdCyd)を腹腔内にQD×5、休薬で3サイクル;80mg/kgの化合物1を経口的にQD×5、休薬で3サイクル;400mg/kgの化合物1を腹腔内にQ7D×3で;240mg/kgのF-TdCydを静脈内にQ7D×3で;1.5mg/kgの5-アザ-T-dCydを腹腔内にQD×5、休薬で3サイクル;または150mg/kgのゲムシタビンを腹腔内にQ7D×3で投与されたマウスのNCI-H23 NSCLCヒト肺癌異種移植片の腫瘍体積およびマウス体重をそれぞれ経時的に示している。 図15Aおよび15Bは、10mg/kgの化合物1(F-アザ-TdCyd)を腹腔内にQD×5、休薬で3サイクル;80mg/kgの化合物1を経口的にQD×5、休薬で3サイクル;400mg/kgの化合物1を腹腔内にQ7D×3で;240mg/kgのF-TdCydを静脈内にQ7D×3で;1.5mg/kgの5-アザ-T-dCydを腹腔内にQD×5、休薬で3サイクル;または150mg/kgのゲムシタビンを腹腔内にQ7D×3で投与されたマウスのNCI-H23 NSCLCヒト肺癌異種移植片の腫瘍体積およびマウス体重をそれぞれ経時的に示している。
図16Aおよび16Bは、10mg/kgの化合物1(F-アザ-TdCyd)を腹腔内にQD×5、休薬で3サイクル;400mg/kgの化合物1を腹腔内にQ7D×3で;240mg/kgのF-TdCydを静脈内にQ7D×3で;1.5mg/kgの5-アザ-T-dCydを腹腔内にQD×5、休薬で3サイクル;または150mg/kgのゲムシタビンを腹腔内にQ7D×3で投与されたマウスのHL-60ヒト白血病異種移植片の腫瘍体積およびマウス体重をそれぞれ経時的に示している。 図16Aおよび16Bは、10mg/kgの化合物1(F-アザ-TdCyd)を腹腔内にQD×5、休薬で3サイクル;400mg/kgの化合物1を腹腔内にQ7D×3で;240mg/kgのF-TdCydを静脈内にQ7D×3で;1.5mg/kgの5-アザ-T-dCydを腹腔内にQD×5、休薬で3サイクル;または150mg/kgのゲムシタビンを腹腔内にQ7D×3で投与されたマウスのHL-60ヒト白血病異種移植片の腫瘍体積およびマウス体重をそれぞれ経時的に示している。
詳細な説明
5-アザ-2’-デオキシシチジンのハロゲン化アナログおよび前記ハロゲン化アナログを使用する方法が開示される。いくつかの実施形態において、前記化合物は、5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジン(5-アザ-T-dCyd)のハロゲン化アナログである。開示される化合物は、新生物性細胞の存在を少なくとも部分的に特徴とする疾患(例えば、がん)の処置に有用であり得る。開示されるハロゲン化アナログのいくつかの実施形態は、ある特定のがんの処置に関して、対応する非ハロゲン化アザ化合物および/または対応する非アザのハロゲン化アナログよりも効果的であり得る。
I.定義および省略形
以下の用語および省略形の説明は、本開示をより良く説明するため、および本開示の実施に際して当業者を導くために提供される。本明細書中で使用されるとき、「含む(comprising)」は、「含む(including)」を意味し、単数形「a」または「an」または「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。用語「または」とは、文脈が明らかに他のことを示さない限り、述べられている択一的エレメントのうちの1つのエレメントまたは2つもしくはそれを超えるエレメントの組み合わせのことを指す。
別段説明されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学用語は、本開示が属する分野の当業者が通常理解している意味と同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料と類似のまたは等価な方法および材料を、本開示の実施または試験において用いることができるが、好適な方法および材料が下記に記載される。前記材料、方法および例は、単なる例証的なものであって、限定するものであると意図されていない。本開示の他の特徴は、以下の詳細な説明および請求項から明らかである。
別段示されない限り、明細書または請求項において使用される、構成要素、分子量、パーセンテージ、温度、時間などの量を表現するすべての数字が、用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。したがって、別段黙示的にもしくは明示的に示されない限り、またはより限定的な解釈を有すると当業者が文脈を適切に理解しない限り、示される数値パラメータは、求める所望の特性および/または当業者に公知の標準的な試験条件/方法における検出限界に依存し得る近似値である。議論されている従来技術と実施形態を直接かつ明示的に区別するときは、「約」という単語が記述されない限り、実施形態の数字は近似値ではない。
本明細書中に示される様々な構成要素、パラメータ、操作条件などの代替物が存在するが、それは、それらの代替物が、必ず均等物であること、かつ/または等しく機能することを意味しない。また、別段述べられない限り、それらの代替物が好ましい順序で列挙されていることも意味しない。
化学における一般的な用語の定義は、Richard J.Lewis,Sr.(ed.),Hawley’s Condensed Chemical Dictionary,John Wiley & Sons,Inc.による出版,1997(ISBN 0-471-29205-2)に見られることがある。本開示の様々な実施形態の検討を容易にするために、特定の用語の説明を以下に提供する:
活性な作用物質:疾患もしくは障害またはそれらに関連する少なくとも1つの症候の処置、回復または予防などの変化をもたらすために被験体に投与される、薬物、薬、医薬品、治療薬、機能性食品または他の化合物。活性な作用物質という用語には、生物学的に活性な作用物質、例えば、タンパク質、抗体、抗体フラグメント、ペプチド、オリゴヌクレオチド、ワクチン、およびそのような材料の様々な誘導体も含まれる。
アルキル:飽和炭素鎖を有する炭化水素基。その鎖は、環状であっても、分枝状であっても、非分枝状であってもよい。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルおよびデシルが挙げられるが、これらに限定されない。
アルコキシ:構造-ORを有するラジカル(または置換基)であって、ここで、Rは、置換または非置換アルキルである。メトキシ(-OCH)が、例示的なアルコキシ基である。置換アルコキシでは、Rは、非妨害置換基で置換されたアルキルである。
アノマー:環状サッカライドに存在するエピマー(ただ1つのキラル炭素に異なる配置を有する異性体)。
共投与:用語「共投与」および「共投与する」とは、本明細書中に開示される化合物を少なくとも1つの他の活性な作用物質とともに、同じ大まかな時間内で投与することを指し、厳密に同じ瞬間における投与を必要としない(が、共投与は厳密に同じ瞬間に投与することを含む)。したがって、共投与は、同じ日もしくは異なる日、または同じ週もしくは異なる週に行われ得る。
有効量または治療有効量:有益な効果すなわち治療効果を被験体または所与のパーセンテージの被験体に提供するのに十分な量。
阻害する:本明細書中で使用されるとき、用語「阻害する」は、低減するまたは予防することを意味する。
新形成/新生物/新生物性:新形成は、組織または血液細胞の異常な成長である。その異常な成長によって、固体塊または腫瘍が形成され得る。新生物は、良性、上皮内(in situ)(例えば、非浸潤がんまたは前がん性新生物)または悪性(例えば、がん)であり得る。
薬学的に許容され得るキャリア:本開示において有用な薬学的に許容され得るキャリア(ビヒクル)は、従来のキャリアである。Remington:The Science and Practice of Pharmacy,The University of the Sciences in Philadelphia,Editor,Lippincott,Williams,& Wilkins,Philadelphia,PA,21st Edition(2005)には、本明細書中に開示されるような1つまたはそれを超えるシアニンフルオロフォアの薬学的送達に適した組成物および製剤が記載されている。
一般に、キャリアの性質は、用いられる特定の投与様式に依存する。例えば、非経口製剤は、通常、薬学的および生理的に許容され得る流体、例えば、水、生理食塩水、平衡塩類溶液、デキストロース水溶液、グリセロールなどをビヒクルとして含む注射可能な流体を含む。いくつかの例において、薬学的に許容され得るキャリアは、被験体への投与(例えば、非経口、筋肉内または皮下注射による投与)に適するように滅菌され得る。投与される薬学的組成物は、生物学的に中性のキャリアに加えて、少量の無毒性の補助物質(例えば、湿潤剤または乳化剤、保存剤およびpH緩衝剤など、例えば、酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレート)を含み得る。
薬学的に許容され得る塩:開示されるシアニンフルオロフォアの生物学的に適合する塩であって、これらの塩は、当該分野で周知の種々の有機対イオンおよび無機対イオンから得られ、それらの単なる例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩など;および分子が塩基性官能基を含むとき、有機酸または無機酸の塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩など)が挙げられる。薬学的に許容され得る酸付加塩は、生物学的にもその他の点でも望ましくないことのない酸パートナー、例えば、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など、ならびに有機酸、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などによって形成されている一方で、遊離塩基の生物学的有効性を保持する塩である。薬学的に許容され得る塩基付加塩としては、無機塩基から得られる塩基付加塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、マンガン塩、アルミニウム塩などが挙げられる。例示的な塩は、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩である。薬学的に許容され得る無毒性の有機塩基から得られる塩としては、第一級、第二級および第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、ならびに塩基性イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などの塩が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリンおよびカフェインである(例えば、S.M.Bergeら、“Pharmaceutical Salts,”J.Pharm.Sci.,1977;66:1-19(参照により本明細書中に組み込まれる)を参照のこと)。
立体化学:分子の3次元の空間的配置。
立体異性体:分子式および結合原子の配列が同じであるが、空間内の原子の3次元配向だけが異なる異性体。
被験体:処置、観察または実験に供される動物またはヒト。
互変異性体:陽子および電子の位置だけが異なり、水素原子の移動によって相互転換できる、有機化合物の構造異性体。互変異性体は、通常、平衡状態で共存する。
処置する/処置:本明細書中で使用されるとき、用語「処置する」および「処置」は、状態、すなわち、障害または疾患に関連する少なくとも1つの徴候または症候を阻害する(低減するまたは予防する)ことを意味する。腫瘍に関して、処置は、腫瘍成長を低減もしくは予防すること、腫瘍体積を小さくすること、および/または腫瘍転移を低減もしくは予防することを意味し得る。処置は、例えば、腫瘍の一部もしくは全部の臨床症候の重症度を低下し得るか、腫瘍の進行を遅くし得る(例えば、腫瘍を有する被験体を延命することによって)か、腫瘍の再発数を減少させ得るか、被験体の全体的な健康状態もしくは福祉を改善し得るか、または特定の障害もしくは疾患に特異的な当該分野で周知の他のパラメータによってもたらされ得る。
II.5-アザ-2’-デオキシシチジンのハロゲン化アナログ
5-アザ-2’-デオキシシチジンのハロゲン化アナログおよびその立体異性体は、一般式Iに記載の構造:
Figure 0007520822000004

を有し、式中、Xは、ハロ(F、Cl、BrまたはI)であり、Yは、水素、ハロ(F、Cl、BrまたはI)またはジュウテリウムであり、Zは、SまたはOであり、各Rは、独立して、水素またはジュウテリウムであり、Rは、水素、ジュウテリウム、アルキル(例えば、C1-5またはC1-3アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピル)アルコキシ、アミノまたはハロである。いくつかの実施形態において、Zは、Sである。任意のまたはすべての実施形態において、Xは、Fであり得る。任意のまたはすべての実施形態において、Yは、水素またはFであり得る。任意のまたはすべての実施形態において、各Rは、水素であり得る。任意のまたはすべての実施形態において、Rは、水素であり得る。
いくつかの実施形態において、上記化合物は、5-アザ-4’-チオ-2’-デオキシシチジン(5-アザ-T-dCyd)のハロゲン化アナログであり、一般式Iaに記載の構造を有し、式中、X、Y、RおよびRは、上で定義されたとおりである。
Figure 0007520822000005
上記ハロゲン化アナログは、式II~Vのいずれか1つに記載の立体化学またはそれらの任意の組み合わせを有し得、式中、X、Y、Z、RおよびRは、上で定義されたとおりである。
Figure 0007520822000006

Figure 0007520822000007
いくつかの実施形態において、Zは、Sであり、上記化合物は、式IIa~Vaのいずれか1つに記載の構造またはそれらの任意の組み合わせを有する。
Figure 0007520822000008
ある特定の実施形態において、上記化合物は、β-アノマー、すなわち、式II、IIa、IIIまたはIIIaに記載の化合物である。
例示的な化合物としては、
Figure 0007520822000009

またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、上記化合物は、
Figure 0007520822000010

またはそれらの任意の組み合わせである。
ある特定の実施形態において、上記化合物は、
Figure 0007520822000011

4-アミノ-1-((2R,3S,4S,5R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロチオフェン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オンである。
III.薬学的組成物
本開示は、本明細書中に開示されるような少なくとも1つの化合物を含む薬学的組成物も含む。上記薬学的組成物のいくつかの実施形態は、薬学的に許容され得るキャリアおよび少なくとも1つの化合物を含む。上記薬学的組成物は、1つまたはそれを超えるさらなる活性成分、例えば、抗がん剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、麻酔薬なども含み得る。これらの製剤に有用な薬学的に許容され得るキャリアは、従来のものである。Remington’s Pharmaceutical Sciences,E.W.Martin,Mack Publishing Co.,Easton,PA,19th Edition(1995)には、例えば、本明細書中に開示される化合物の薬学的送達に適した組成物および製剤が記載されている。
本明細書中に開示される式Iに記載の化合物は、非経口、経口または直腸経路を含む種々の経路によって被験体に投与され得る。非経口経路としては、静脈内、腹腔内、皮下、頬側および舌下経路が挙げられるが、これらに限定されない。他の代替の実施形態では、上記化合物は、被験体を起源とする細胞、組織または器官への直接的な曝露によってエキソビボで投与され得る。エキソビボ投与は、例えば、細胞(例えば、がん細胞)が上記化合物の投与に反応性であるかを判定するために有用であり得る。
上記薬学的組成物は、投薬単位形態(dosage unit form)、例えば、注射可能な流体、経口送達用の流体(例えば、溶液または懸濁液)、経鼻送達用の流体(例えば、エアロゾルまたは吸入剤として送達するための流体)、半固体の形態(例えば、局所クリーム)または固体の形態、例えば、散剤、丸剤、錠剤またはカプセル剤の形態であり得る。
一般に、キャリアの性質は、用いられる特定の投与形式に依存する。例えば、非経口製剤は、通常、薬学的および生理的に許容され得る流体、例えば、水、生理食塩水、平衡塩類溶液、デキストロース水溶液、グリセロールなどをビヒクルとして含む注射可能な流体を含む。固体の組成物(例えば、散剤、丸剤、錠剤またはカプセル剤の形態)の場合、従来の無毒性の固体キャリアとしては、例えば、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプンまたはステアリン酸マグネシウムが挙げられ得る。投与される薬学的組成物は、生物学的に中性のキャリアに加えて、少量の無毒性の補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、保存剤およびpH緩衝剤など、例えば、酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートを含み得る。
上記薬学的組成物を製剤化するために、上記化合物は、その化合物を分散させるための基剤またはビヒクルのみならず、様々な薬学的に許容され得る添加物と組み合わせることができる。所望の添加物としては、pH調整剤、例えば、アルギニン、水酸化ナトリウム、グリシン、塩酸、クエン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール)、吸着阻害剤(例えば、Tween(登録商標)80ポリエチレンソルビトールエステルまたはMiglyol(登録商標)812トリグリセリド)、溶解促進剤(例えば、シクロデキストリンおよびその誘導体)、安定剤(例えば、血清アルブミン)および還元剤(例えば、グルタチオン)を含めることができる。アジュバント、例えば、当該分野で周知の他の多くの好適なアジュバントの中でも、水酸化アルミニウム(例えば、Amphogel、Wyeth Laboratories,Madison,NJ)、フロイントアジュバント、MPLTM(3-O-脱アシル化モノホスホリルリピドA;Corixa,Hamilton,IN)およびIL-12(Genetics Institute,Cambridge,MA)を組成物に含めることができる。組成物が液体であるとき、0.9%(w/v)生理食塩水溶液の張度を1とする基準として計測される製剤の張度は、通常、実質的かつ不可逆的な組織損傷が投与部位において誘導されない値に調整される。一般に、溶液の張度は、約0.3~約3.0、例えば、約0.5~約2.0または約0.8~約1.7という値に調整される。
上記化合物は、その化合物を分散させる能力を有する親水性化合物および任意の所望の添加物を含み得る、基剤またはビヒクル中に分散され得る。その基剤は、広範囲の好適な化合物から選択でき、それらとしては、ポリカルボン酸またはその塩、カルボン酸無水物(例えば、無水マレイン酸)と他のモノマー(例えば、メチル(メタ)アクリレート、アクリル酸など)との共重合体、親水性ビニルポリマー、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど、ならびに天然高分子、例えば、キトサン、コラーゲン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、ヒアルロン酸およびそれらの無毒性の金属塩が挙げられるがこれらに限定されない。基剤またはビヒクルとして、生分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸、ポリ(乳酸-グリコール酸)共重合体、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ(ヒドロキシ酪酸-グリコール酸)共重合体およびそれらの混合物が選択されることが多い。代替的または追加的に、合成脂肪酸エステル、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステルなどもビヒクルとして使用され得る。親水性ポリマーおよび他のビヒクルは、単独でまたは組み合わせて使用することができ、部分結晶化、イオン結合、架橋などによって高い構造的完全性がビヒクルに付与され得る。ビヒクルは、種々の形態で提供され得、その形態としては、流体または粘稠性溶液、ゲル、ペースト、粉末、ミクロスフェア、および粘膜表面に直接適用するための薄膜が挙げられる。
上記化合物は、種々の方法に従って基剤またはビヒクルと組み合わされ得、それらの化合物は、拡散、ビヒクルの崩壊、または付随する水路の形成によって放出され得る。いくつかの状況においては、上記化合物は、好適なポリマー、例えば、イソブチル2-シアノアクリレートから調製されたマイクロカプセル(ミクロスフェア)またはナノカプセル(ナノスフェア)内に分散され(例えば、Michaelら、J.Pharmacy Pharmacol.43:1-5,1991を参照のこと)、そして生体適合性の分散媒中に分散され、それにより、長時間にわたる持続的な送達および生物学的活性がもたらされる。
本開示の組成物は、生理学的条件に近づけるために必要な物質、例えば、pH調整剤および緩衝剤、張度調整剤、湿潤剤など、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレートおよびオレイン酸トリエタノールアミンを薬学的に許容され得るビヒクルとして択一的に含むことができる。固体組成物の場合、従来の無毒性の薬学的に許容され得るビヒクルを使用することができ、それらとしては、例えば、薬学グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。
上記化合物を投与するための薬学的組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、または高濃度の活性成分に適した他の秩序構造としても製剤化することができる。ビヒクルは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)およびそれらの好適な混合物を含む溶媒または分散媒であり得る。例えば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散性の製剤の場合は所望の粒径を維持することによって、および界面活性剤を使用することによって、溶液にとって適切な流動性を維持することができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖類、多価アルコール(例えば、マンニトールおよびソルビトール)または塩化ナトリウムを組成物中に含めることが望ましい。吸収を遅延させる作用物質、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを組成物中に含めることによって、上記化合物を長期にわたって吸収させることができる。
ある特定の実施形態において、上記化合物は、持効性製剤、例えば、緩効性ポリマーを含む組成物として投与され得る。これらの組成物は、急速放出から保護するビヒクル、例えば、制御放出ビヒクル、例えば、ポリマー、マイクロカプセル化送達系または生体接着ゲルを用いて調製され得る。吸収を遅延させる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムヒドロゲルおよびゼラチンを組成物中に含めることによって、本開示の様々な組成物を長期にわたって送達させることができる。制御放出製剤が望まれる場合、本開示に従った使用に適した制御放出結合剤としては、活性な化合物に対して不活性であり、その化合物および/または他の生物学的に活性な作用物質を組み込むことができる、任意の生体適合性の制御放出材料が挙げられる。数多くのそのような材料が当該分野で公知である。有用な制御放出結合剤は、送達後に生理学的条件下において(例えば、粘膜表面において、または体液の存在下において)ゆっくり代謝される材料である。適切な結合剤としては、徐放製剤において使用するための、当該分野で周知の生体適合性ポリマーおよび共重合体が挙げられるがこれらに限定されない。そのような生体適合性の化合物は、周囲組織に対して無毒性かつ不活性であり、有意な有害な副作用(例えば、鼻の刺激作用、免疫応答、炎症など)を引き起こさない。それらは、生体適合性であって身体から容易に排出される代謝産物に代謝される。
本開示において使用するための例示的なポリマー材料としては、加水分解性のエステル結合を有する共重合体のおよびホモポリマーのポリエステルから得られる高分子マトリックスが挙げられるが、これらに限定されない。これらのうちのいくつかは、生分解性であること、および毒性がないまたは低い分解産物に到達することが当該分野で公知である。例示的なポリマーとしては、ポリグリコール酸およびポリ乳酸、ポリ(DL-乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(D-乳酸-co-グリコール酸)およびポリ(L-乳酸-co-グリコール酸)が挙げられる。他の有用な生分解性または生体内分解性のポリマーとしては、ポリ(イプシロン-カプロラクトン)、ポリ(イプシロン-カプロラクトン-CO-乳酸)、ポリ(イプシロン-カプロラクトン-CO-グリコール酸)、ポリ(ベータ-ヒドロキシ酪酸)、ポリ(アルキル-2-シアノアクリレート)、ヒドロゲル、例えば、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリアミド、ポリ(アミノ酸)(例えば、L-ロイシン、グルタミン酸、L-アスパラギン酸など)、ポリ(エステル尿素)、ポリ(2-ヒドロキシエチルDL-アスパルトアミド)、ポリアセタールポリマー、ポリオルトエステル、ポリカーボネート、ポリマレアミド、多糖およびそれらの共重合体などのようなポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。そのような製剤を調製するための多くの方法が、当業者に周知である(例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson,ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,1978を参照のこと)。他の有用な製剤としては、制御放出マイクロカプセル(米国特許第4,652,441号および同第4,917,893号)、マイクロカプセルおよび他の製剤の作製において有用な乳酸-グリコール酸共重合体(米国特許第4,677,191号および同第4,728,721号)および水溶性ペプチド用の徐放組成物(米国特許第4,675,189号)が挙げられる。
本開示の薬学的組成物は、通常、滅菌され、製造、保存および使用の条件下で安定である。滅菌された溶液は、本明細書中に列挙される成分の1つまたは組み合わせを必要に応じて含む適切な溶媒に化合物を必要量で組み込んだ後、濾過滅菌することによって、調製され得る。一般に、分散物は、基礎分散媒および本明細書中に列挙されるもの由来の必要な他の成分を含む滅菌されたビヒクルに化合物および/または他の生物学的に活性な作用物質を組み込むことによって調製される。滅菌された粉末の場合、調製方法には、予め濾過滅菌された溶液から化合物および任意のさらなる所望の成分の粉末をもたらす真空乾燥および凍結乾燥が含まれる。微生物の作用は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによって防止され得る。
本開示の様々な処置方法に応じて、上記化合物は、処置または予防が求められる障害の管理に関連する従来の方法と一致した様式で被験体に送達され得る。本明細書中の本開示に従って、上記化合物の予防有効量または治療有効量は、疾患(例えば、がん)または1つもしくはそれを超えるその症候を阻害および/または処置するのに十分な時間にわたって、かつ十分な条件下において、そのような処置を必要とする被験体に投与される。
上記化合物は、経口経路によって、または単回のボーラス送達で、長時間にわたる連続的な送達(例えば、連続的な経皮的、粘膜または静脈内送達)により、または反復投与プロトコルで(例えば、毎時間、毎日または毎週の反復投与プロトコルによって)、被験体に投与され得る。治療的に有効な投与量の化合物は、臨床的に有意な結果をもたらして、1つもしくはそれを超える症候、または本明細書中に示されるような標的状態に関連する検出可能な状態を軽減する、長期の予防レジメンまたは処置レジメン内の反復用量として提供され得る。この文脈における有効な投与量の決定は、通常、ヒト臨床試験の前に行われる動物モデル研究に基づき、被験体における標的疾患の症候または状態の発生または重症度を有意に低減する投与プロトコルによって導かれる。この点において好適なモデルとしては、例えば、マウス、ラット、鳥類、ブタ、ネコ、非ヒト霊長類、および当該分野で公知の他の容認された動物モデル被験体が挙げられる。
IV.使用方法
いくつかの実施形態において、式Iに記載の化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容され得る塩は、新生物性細胞が有効量の上記化合物と接触すると、新形成を阻害する。新形成の阻害には、新形成に関連する徴候または症候の低減、例えば、上記化合物の非存在下における増殖速度と比べたときの新生物性細胞の成長速度または増殖速度の低下が含まれる。新形成が固形腫瘍であるとき、上記新形成の阻害によって、腫瘍成長が低減または予防し得、腫瘍体積が小さくなり得、そして/または固形腫瘍の転移が低減し得る。
新形成は、良性、上皮内/前がん性または悪性であり得る。いくつかの実施形態において、新形成は、悪性、すなわちがんであり、がん細胞を有効量の式Iに記載の化合物と接触させることにより、がん細胞の増殖が低減または予防される。開示される化合物の投与によって阻害または処置され得るがんとしては、腎臓(腎細胞)がん、膀胱がん、乳がん(男性および女性)、結腸がん、子宮内膜がん、肺がん(気管支を含む)、皮膚がん(メラノーマを含む)、血液のがん(例えば、白血病、リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫)、ミエローマ)、膵臓がん、前立腺がん、骨がん、肝臓がん、肺がん、食道がんおよび中枢神経系がんが挙げられるが、これらに限定されない。
新生物性細胞と式Iに記載の化合物との接触は、インビトロ、インビボまたはエキソビボで行われ得る。化合物が特定の新形成に対して有効であり得るかを確かめるとき、細胞をインビトロで(例えば、細胞培養物において)またはエキソビボで(例えば、被験体から得られた生物学的サンプルにおいて)接触させることにより、上記化合物が細胞の成長および/または増殖を低減または予防するかが判定され得る。
いくつかの実施形態において、新生物性細胞を有効量の化合物と接触させることには、新生物性細胞の存在を少なくとも部分的に特徴とする疾患を有するかまたは有すると疑われる被験体に治療有効量の化合物を投与することが含まれる。被験体は、哺乳動物、例えば、ヒトまたは非ヒト哺乳動物(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウサギなど)であり得る。ある特定の実施形態において、新生物性細胞は、悪性であり、疾患は、がんである。任意のまたはすべての実施形態において、治療有効量の化合物を被験体に投与することにより、上記疾患の徴候または症候が低減し得る。いくつかの実施形態において、徴候または症候は、固形腫瘍であり、治療有効量の化合物を被験体に投与することにより、その固形腫瘍の成長が低減されるか、上記固形腫瘍の体積が小さくなるか、上記固形腫瘍の転移が減少するか、またはそれらの任意の組み合わせが生じる。他の実施形態において、上記徴候または症候は、異常な全血球数であり得、治療有効量の化合物を被験体に投与することにより、全血球数が部分的または完全に正常化される。新生物性細胞の存在を少なくとも部分的に特徴とする疾患の他の徴候または症候としては、咳嗽、息切れ、喀血、腫脹、疼痛、発熱、悪寒、頻回の感染症、皮膚の痒みまたは発疹、食欲不振、悪心、寝汗、持続的な脱力、疲労、息切れ、腹部膨満、腸または膀胱の習慣の変化、便秘、下痢、血便、直腸出血、黄疸、異常な膣出血、嚥下困難、音声変化、口のびらん、口渇、インフルエンザ様症候、頭痛、易皮下出血または易出血、リンパ節肥大、および黒子の外観の変化が挙げられるが、これらに限定されない。
治療有効量の化合物を投与することには、治療有効量の化合物を含む薬学的組成物を被験体に投与することが含まれ得る。投与は、任意の好適な経路による投与であってよく、その経路としては、静脈内、経口、腹腔内、皮下、直腸または頬側投与が挙げられるがこれらに限定されない。
上記化合物の実際の投与量は、被験体の疾患の指標および特定の状態(例えば、被験体の齢、サイズ、フィットネス、症候の程度、感受性因子など)、投与時間および投与経路、同時に投与される他の薬物または処置、ならびに被験体において所望の活性または生物学的応答を誘発するための作用物質の特定の薬理学などの因子に従って変わる。投与レジメンは、最適な予防反応または治療反応がもたらされるように調整され得る。治療有効量は、臨床表現において、当該化合物の有毒または有害な副作用よりも治療的に有益な効果が上回る量でもある。
あるいは、有効な投与量は、インビトロモデルを用いて決定することもできる。そのようなモデルを用いれば、治療有効量の化合物を投与するのに適切な濃度および用量(例えば、所望の免疫応答を誘発するまたは標的疾患の1つもしくはそれを超える症候を軽減するのに有効な量)を決定するために、通常の計算および調整だけしか必要なくなる。代替の実施形態では、有効量または有効用量の化合物は、単に、治療目的または診断目的で、本明細書中に示されるような疾患または状態と相関する1つまたはそれを超える選択された生物学的活性を阻害し得るかまたは高め得る。
本開示の方法および製剤における式Iに記載の化合物の治療有効量に対する非限定的な範囲は、成人の場合、0.0001グラム~100グラム、例えば、0.001グラム~50グラム、0.01グラム~25グラムまたは0.1グラム~10グラムである。いくつかの実施形態において、上記治療有効量は、0.001mg/kg体重~100mg/kg体重、例えば、0.01mg/kg体重~20mg/kg体重、0.01mg/kg体重~10mg/kg体重 0.05mg/kg~5mg/kg体重または0.1mg/kg~2mg/kg体重の範囲内である。上記治療有効量は、単回で投与されてもよいし、2回またはそれを超える回数に分けて時間をかけて投与されてもよい。いくつかの実施形態において、治療有効量の化合物または上記化合物を含む薬学的組成物が、1日あたり1回、2回または3回の投薬レジメンで被験体に投与される。投薬レジメンは、1~14日間の休薬日を含み得る。
投与量は、標的部位(例えば、体循環)において所望の濃度を維持するように主治医によって変更され得る。送達様式(例えば、経口送達 対 静脈内送達または皮下送達)に基づいて、より高いまたはより低い濃度が選択され得る。投与量は、投与される製剤(例えば、徐放経口 対 注射微粒子または直腸坐剤など)の放出速度に基づいても調整され得る。
いくつかの実施形態において、第2の活性な作用物質が、上記化合物と共投与され得る。上記化合物と第2の活性な作用物質とは、別々に投与されてもよく、単一の組成物として一緒に投与されてもよい。第2の活性な作用物質は、同じ経路によって投与されてもよく、異なる経路によって投与されてもよい。上記化合物と第2の作用物質とは、同時に投与されてもよく、別個の時点において投与されてもよい。別個の投与は、任意の順序で行ってよい。同時に投与される場合、上記化合物および第2の活性な作用物質は、単一の薬学的組成物に組み合わされてもよく、2つの薬学的組成物として同時に投与されてもよい。第2の活性な作用物質は、例えば、抗がん剤、抗炎症剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、麻酔剤などであり得る。
例証的な抗がん剤としては、アビラテロン、アクチノマイシンD、アルトレタミン、アミホスチン、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、ベキサロテン、ビカルタミド、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、コンブレタスタチンA4、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダウノルビシン、デガレリクス、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドキソルビシン、デュオカルマイシンDM、エピルビシン、エチニルエストラジオール、エトポシド、エキセメスタン、5-フルオロウラシル、フルダラビン、フルタミド、フォリン酸、フルベストラント、ゲムシタビン、ゴセレリン、イバンドロン酸、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ランレオチド、レナリドマイド、レトロゾール、リュープロレリン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メスナ(mesna)、メトトレキサート、オクトレオチド、パミドロネート、ペメトレキセド、マイトマイシン(mitocmycin)、ミトタン、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペントスタチン(pentastatin)、ピポブロマン(pipbroman)、プリカマイシン、プロカルバジン、ラルチトレキセド、スチルベストロール、ストレプトゾシン、タモキシフェン、テモゾロマイド、テニポシド、トポテカン、トリプトレリン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビンおよびゾレドロン酸(zolendronic acid)が挙げられるが、これらに限定されない。
V.実施例
実施例1
4-アミノ-1-((2R,3S,4S,5R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロチオフェン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オンの合成
図1は、4-アミノ-1-((2R,3S,4S,5R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロチオフェン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オンについての例示的な合成スキーム(スキーム1)である。図2は、前駆体4-オキシルオキシフェニルメタンチオールについての例示的な合成スキーム(スキーム2)である。
4-オクチルオキシフェニルメタノール(13)
Figure 0007520822000012
調製:アセトニトリル(8.0L)中の、4-ヒドロキシベンズアルデヒド(998.0g,8.17mol)、1-ブロモオクタン(1664.2g,8.617mol)および炭酸カリウム(1164.2g,8.436mol)の混合物を一晩還流し、周囲温度に冷却した。固体を濾別し、濾液を減圧下で濃縮することにより、1959.0g(102.3%)の粗4-オクチルオキシベンズアルデヒドを得た。生成物をメタノール(6.0L)に溶解させ、温度を15℃未満で維持しながら、形成された溶液に水素化ホウ素ナトリウム(100.0g,2.64mol)を滴下した。反応混合物を周囲温度で1時間撹拌した。水酸化ナトリウム(33.3g,832.5mmol)の水(500mL)溶液を加えた後、酢酸エチル(3.0L)およびブライン(3.0L)を加えた。有機溶液を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させた。残渣にヘプタン(2L)を加え、形成された混合物を4℃に冷却した。得られた固体を濾別し、氷冷ヘプタンで洗浄し、真空中で乾燥させることにより、1715.0g(88.8%)の粗4-オクチルオキシフェニルメタノール(13)を得て、それをさらに精製することなく以下の工程で使用した。
1H NMR (300MHz, CDCl3/TMS) d 7.26 (d, J = 8.7 Hz,2H); 6.87 (d, J = 8.7 Hz, 2H); 4.59 (s, 2H); 3.95 (t, J = 6.6Hz, 2 H); 1.73-1.81 (m, 3 H); 1.30-1.48 (m, 10 H); 0.89 (t, J = 6.9 Hz,3 H) ppm.
4-オクチルオキシフェニルメタンチオール(14)
Figure 0007520822000013
調製:4-オクチルオキシフェニルメタノール(13)(1716.2g,7.26mol)、濃HCl(1345mL,16.41mol)およびアセトニトリル(3.8L)の混合物を周囲温度で一晩撹拌した。次いで、チオ尿素(663.8g,8.72mol)およびアセトニトリル(1.3L)を加えた。混合物を2時間加熱還流し、室温に冷却し、一晩維持した。水酸化ナトリウム(12162.7g,29.07mol)の水(2.3L)溶液を加えた。混合物を3時間加熱還流し、10℃に冷却した。温度を15℃未満で維持しながら、濃HCl(1.34L)を加えた。混合物をメチルt-ブチルエーテル(7L)で抽出した。抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣にヘプタン(2.2L)を加え、混合物を蒸発させた。残渣にヘプタン(3.4L)を再度加えた。形成された乳白色の溶液を一晩維持し、シリカゲルパッド(1.0kg)で濾過した。濾液を蒸発させることにより、1636.0g(89.3%)の4-オクチルオキシフェニルメタンチオール(14)を得た。
1H NMR (300MHz, CDCl3/TMS) d 7.23 (d, J = 8 Hz, 2 H); 6.83(d, J = 8 Hz, 2 H); 3.95 (m, 2 H); 3.72 (d, J = 7.5 Hz, 2 H);1.75 (m, 3H); 1.25 (m, 9 H); 0.87 (m, 3 H) ppm.
((2R,3R,4S,5S)-3-(ベンゾイルオキシ)-4-フルオロ-5-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチルベンゾエート(3)
Figure 0007520822000014
調製:窒素下の3000mLの一口丸底フラスコ内のジクロロメタン(600mL)中の(2R,3S,4R,5R)-5-((ベンゾイルオキシ)メチル)-3-フルオロテトラヒドロフラン-2,4-ジイルジベンゾエート(2)(176g,379mmol)の溶液に、臭化水素酸の33%酢酸溶液(131mL,796mmol)を加え、反応物を室温で6時間撹拌した。溶液を、0℃で保持された1200mLの飽和炭酸水素ナトリウム、固体の炭酸水素ナトリウム(121g,1440mmole)および1200mLのジクロロメタンの激しく撹拌した混合物に注ぎ込んだ。層を分離し、有機層を1×100mLの飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮することにより、136g(84%)の中間体臭化物を薄黄色油状物として得た。1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.14 - 7.99(m, 3H), 7.66 - 7.45 (m, 2H), 7.50 - 7.43 (m, 1H), 7.48 - 7.37 (m, 1H), 6.62(m, 1H), 5.59 - 5.47 (m, 1H), 4.87 - 4.64 (m, 2H) ppm.
粗臭化物を、周囲雰囲気下の3000mLの一口丸底フラスコ内のDMF(600mL)に溶解させた。溶液をトリエチルアミン(317mL,2274mmol)および水(205mL,1.14E+04mmol)で処理し、反応物を室温で撹拌した。反応物は、水/トリエチルアミン混合物を加えると23~37℃の発熱を示した。反応物を1時間撹拌し、次いで、2400mLの酢酸エチルで希釈した。1200mLの50%飽和塩化ナトリウムとともに激しく撹拌した後、層を分離し、有機層を3×500mLの50%飽和塩化ナトリウムで洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで濾過し、濾液を真空中で濃縮することにより、116グラム(85%)の表題化合物(3)を粘稠性の琥珀色油状物として得た。粗油状物をさらに精製することなく直接使用することを選んだ。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.07 - 8.02 (m, 1H), 8.06 - 7.99(m, 2H), 8.04 - 7.91 (m, 1H), 7.63 - 7.28 (m, 6H), 5.66 (dd, J = 10.4,0.9 Hz, 1H), 5.46 (ddd, J = 22.3, 4.5, 1.0 Hz, 1H), 5.21 - 5.06 (m, 1H),4.78 - 4.54 (m, 4H) ppm.
(2R,3R,4S)-4-フルオロ-2-ヒドロキシ-5,5-ビス((4-(オクチルオキシ)ベンジル)チオ)ペンタン-1,3-ジイルジベンゾエート(4)
Figure 0007520822000015
調製:窒素下の2,000mLの一口丸底フラスコに、500mLのジクロロメタン中の、((2R,3R,4S,5S)-3-(ベンゾイルオキシ)-4-フルオロ-5-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチルベンゾエート(3)(58g,161mmol)および(4-(オクチルオキシ)フェニル)メタンチオール(102g,402mmol)(14)を入れた。溶液を0℃に冷却し、50mLのジクロロメタン中の三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(39.7mL,322mmol)で滴下処理した。反応物を0℃で1.5時間撹拌し、200mLのジクロロメタンと層を成した600mLの水中の炭酸カリウム(150g,1.08mol)の氷冷溶液に急速滴下した。混合物をセライト503で濾過し、層を分離した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾液を、琥珀色油状物になるまで真空中で濃縮した。油状物をヘキサンで希釈し、125G RediSep(登録商標)Rfカラム(Teledyne ISCO)にロードし、Biotage(登録商標)システムにおいて0~20%酢酸エチル/ヘキサン勾配を用いて340G UltraSil SNAPカートリッジ(Biotage,Charlotte,NC)で27mLの画分に溶出した。画分28~100を合わせ、濃縮することにより、85g(62%)の表題化合物(4)を山吹色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d): δ 8.03 - 7.93 (m, 2H), 7.94 - 7.86 (m,2H), 7.61 - 7.49 (m, 2H), 7.40 (m, 4H), 7.19 - 7.10 (m, 2H), 6.97 - 6.88 (m,2H), 6.71 - 6.62 (m, 2H), 6.57 - 6.48 (m, 2H), 5.65 (ddd, J = 26.9, 7.7, 1.7Hz, 1H), 5.01 (ddd, J = 45.2, 9.1, 1.8 Hz, 1H), 4.45 (dd, J = 11.7, 2.9 Hz,1H), 4.34 - 4.17 (m, 2H), 3.97 - 3.62 (m, 8H), 2.73 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 1.80 -1.65 (m, 4H), 1.49 - 1.32 (m, 4H), 1.37 - 1.20 (m, 17H), 0.92 - 0.81 (m, 6H).
(2S,3R,4S)-2-(2-クロロアセトキシ)-4-フルオロ-5,5-ビス((4-(オクチルオキシ)ベンジル)チオ)ペンタン-1,3-ジイルジベンゾエート(5)
Figure 0007520822000016
調製:窒素下のオーブン乾燥させた1,000mLの三口丸底フラスコに、トリフェニルホスフィン(38.7g,148mmol)および340mLの無水THFを入れた。溶液を-15℃に冷却し、トルエン中の40wt%アゾジカルボン酸ジエチル(67.2mL,148mmol)で滴下処理した。混合物を、それが沈殿物を伴って高粘度になるように1時間撹拌した。スラリーを、60mLの無水THF中の(2R,3R,4S)-4-フルオロ-2-ヒドロキシ-5,5-ビス((4-(オクチルオキシ)ベンジル)チオ)ペンタン-1,3-ジイルジベンゾエート(4)(25g,29.5mmol)で素早く滴下処理した。得られた懸濁液を、100mLの無水THF中のクロロ酢酸(13.94g,148mmol)で滴下処理した。反応物は、一時的に均一になり、次いで、スラリーとなり、白色固体が析出した。反応物を、冷却浴が有効でなくなるまで一晩撹拌した。揮発性物質を真空中で除去することにより、薄黄色ペースト状物を得た。ペースト状物を900mLの2:1ヘキサン/tBuOMe(メチルtert-ブチルエーテル)でスラリー化し、不溶性材料を濾過により除去した。濾液を真空中で濃縮することにより、48gの粗黄色油状物を得た。粗材料を、少量のジクロロメタンを含むヘキサンに溶解させ、100G UltraSil SNAPカートリッジにロードし、Biotage(登録商標)システムにおいて0~20%酢酸エチル/ヘキサン勾配を用いて120g Zip(登録商標)Sphereカートリッジ(Biotage,Charlotte,NC)で溶出した。画分4~21を合わせ、濃縮することにより、21.70g(80%)の表題化合物(5)を黄色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.02 - 7.86 (m, 4H), 7.63 - 7.49(m, 2H), 7.48 - 7.33 (m, 4H), 7.19 - 7.11 (m, 2H), 6.97 - 6.86 (m, 2H), 6.70 -6.60 (m, 2H), 6.63 - 6.52 (m, 2H), 5.92 (ddd, J = 25.5, 6.2, 2.4 Hz,1H), 5.54 (td, J = 6.3, 3.2 Hz, 1H), 4.78 (ddd, J = 46.0, 8.5,2.5 Hz, 1H), 4.61 - 4.44 (m, 2H), 4.37 (ddd, J = 12.5, 6.3, 1.2 Hz, 1H),4.02 - 3.64 (m, 10H), 1.81 - 1.66 (m, 4H), 1.49 - 1.36 (m, 4H), 1.41 - 1.20 (m,16H), 0.99 - 0.80 (m, 6H).
(2S,3R,4S)-4-フルオロ-2-ヒドロキシ-5,5-ビス((4-(オクチルオキシ)ベンジル)チオ)ペンタン-1,3-ジイルジベンゾエート(6)
Figure 0007520822000017
調製:窒素下、周囲温度の1000mLの一口丸底フラスコに、(2S,3R,4S)-2-(2-クロロアセトキシ)-4-フルオロ-5,5-ビス((4-(オクチルオキシ)ベンジル)チオ)ペンタン-1,3-ジイルジベンゾエート(5)(21.70g,23.49mmol)、ジクロロメタン(205mL)およびメタノール(240mL)を入れた。黄色溶液をチオ尿素(17.88g,235mmol)で処理したところ、黄色混合物が急速に脱色したのと同時に、懸濁液は希薄になった後、高粘度になった。懸濁液を、35mLのジクロロメタン中の2,6-ルチジン(2.74mL,23.49mmol)で滴下処理した。高粘度の懸濁液は、ルチジン添加の15分以内に徐々にほぼ均一になった。撹拌を室温で一晩、合計23時間続けた。反応物をクエン酸(4.51g,23.49mmol)の水(52mL)溶液で中和し、混合物を1Lのジクロロメタンで希釈し、層を分離した。有機層を1×250mLの1:1の15%クエン酸水溶液および飽和塩化ナトリウムで洗浄した。層を分離し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮することにより、21gの蒼白色ペースト状物を得た。残渣の有機成分を1:3ジクロロメタン/ヘキサンに溶解させ、100G UltraSil SNAPカートリッジにロードし、Biotage(登録商標)システムにおいて0~20%酢酸エチル/ヘキサン勾配を用いて120G Zip(登録商標)Sphereカートリッジで27mLの画分に溶出した。画分24~54を合わせ、濃縮することにより、16.98g(85%)の表題化合物(6)を蒼白色油状物として得た。
1HNMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.03 - 7.92 (m, 4H), 7.60 - 7.49 (m, 2H), 7.45 -7.34 (m, 4H), 7.12 - 6.98 (m, 4H), 6.74 - 6.59 (m, 4H), 5.72 (m, 1H), 5.02(ddd, J = 46.6, 6.3, 4.4 Hz, 1H), 4.40 - 4.28 (m, 2H), 3.94 (m, 1H), 3.89 -3.67 (m, 8H), 2.64 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 1.71 (m, 4H), 1.49 - 1.38 (m, 4H), 1.41- 1.20 (m, 18H), 0.99 - 0.80 (m, 6H).
(2S,3R,4S)-4-フルオロ-2-((メチルスルホニル)オキシ)-5,5-ビス((4-(オクチルオキシ)ベンジル)チオ)ペンタン-1,3-ジイルジベンゾエート(7)
Figure 0007520822000018
調製:窒素下の1000mLの一口丸底フラスコに、(2S,3R,4S)-4-フルオロ-2-ヒドロキシ-5,5-ビス((4-(オクチルオキシ)ベンジル)チオ)ペンタン-1,3-ジイルジベンゾエート(6)(16.95g,20.01mmol)およびジクロロメタン(200mL)を入れた。溶液を0℃に冷却し、20mLのジクロロメタン中の塩化メタンスルホニル(2.03mL,26.0mmol)で滴下処理した後、20mLのジクロロメタン中のトリエチルアミン(3.63mL,26.0mmol)を滴下した。反応物を、冷却浴が有効でなくなるまで72時間撹拌した。混合物を、1×100mLの水、1×100mLの飽和炭酸水素ナトリウムおよび1×100mLの1:1飽和塩化ナトリウム/15%クエン酸水溶液で順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮することにより、17.99g(97%)の表題化合物を粘稠性の琥珀色油状物として得た。材料をさらに精製することなく使用した。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.99 (m, 4H), 7.70 - 7.49 (m,2H), 7.49 - 7.35 (m, 4H), 7.21 - 7.10 (m, 2H), 7.01 - 6.85 (m, 2H), 6.77 - 6.64(m, 2H), 6.62 - 6.50 (m, 2H), 5.92 (m, 1H), 5.22 - 5.14 (m, 1H), 4.85 (m, 1H),4.68 - 4.56 (m, 1H), 4.44 (m, 1H), 3.93 - 3.62 (m, 10H), 2.93 (s, 3H), 1.72 (h,J = 6.8 Hz, 4H), 1.50 - 1.18 (m, 19H), 0.98 - 0.84 (m, 6H). 19FNMR (376 MHz, Chloroform-d) δ -188.51 (ddd, J = 45.7, 25.7, 11.3Hz).
((2R,3S,4S)-3-(ベンゾイルオキシ)-4-フルオロ-5-((4-(オクチルオキシ)ベンジル)チオ)テトラヒドロチオフェン-2-イル)メチルベンゾエート(8)
Figure 0007520822000019
調製:窒素下の3000mLの三口丸底フラスコに、(2S,3R,4S)-4-フルオロ-2-((メチルスルホニル)オキシ)-5,5-ビス((4-(オクチルオキシ)ベンジル)チオ)ペンタン-1,3-ジイルジベンゾエート(7)(59g,63.8mmol)、無水アセトニトリル(1000mL)、トリエチルアミン(17.78mL,128mmol)およびヨウ化テトラブチルアンモニウム(47.1g,128mmol)を入れた。反応混合物を96時間加熱還流した。反応物を室温に冷却し、次いで、混合物を400mLのシリカゲル(230~400メッシュ)に注ぎ込み、濃縮乾固した。充填物を、Biotage(登録商標)システムにおいて0~15%酢酸エチル/ヘキサン勾配で溶出する340G UltraSil SNAPカートリッジでクロマトグラフィーに供した。画分28~69を合わせ、濃縮することにより、27.6g(71%)の表題化合物(8)を粘稠性の油状物として得て、それを真空下で結晶化することにより、クリーム色の固体を得た。19F-NMRは、15:1のC-1α/β混合物を示した。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.02 - 7.90 (m, 3H), 7.65 - 7.47(m, 2H), 7.47 - 7.33 (m, 4H), 7.29 - 7.19 (m, 3H), 6.86 - 6.76 (m, 2H), 5.97(ddd, J = 9.9, 5.0, 3.9 Hz, 1H), 5.15 (dt, J = 50.5, 4.7 Hz, 1H),4.69 - 4.42 (m, 3H), 3.97 - 3.82 (m, 4H), 3.80 - 3.69 (m, 1H), 1.75 (m, 2H),1.50 - 1.19 (m, 10H), 0.95 - 0.82 (m, 3H). 19F NMR (376 MHz,Chloroform-d) -187.14 (ddd, J = 50.5, 16.6, 9.9 Hz).
(2R,3S,4S)-4-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)-5-((4-(オクチルオキシ)ベンジル)チオ)テトラヒドロチオフェン-3-オール(9)
Figure 0007520822000020
調製:7Mアンモニアのメタノール(MeOH)溶液(187mL,1310mmol)を、ジクロロメタン(50mL,16.37mmol)中の((2R,3S,4S)-3-(ベンゾイルオキシ)-4-フルオロ-5-((4-(オクチルオキシ)ベンジル)チオ)テトラヒドロチオフェン-2-イル)メチルベンゾエート(8)(10g,16.37mmol)の溶液に加え、得られた混合物を室温で撹拌した。室温で65時間撹拌した後、揮発性物質を真空中で除去することにより、ペースト状の固体を得た。固体を、ヘキサン(60mL)とともに室温で1時間撹拌した。細かい白色固体を回収し、ヘキサンで洗浄し、フィルター上で乾燥させることにより、6.60g(100%)の表題化合物(9)を白色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.24 - 7.16 (m, 2H), 6.90- 6.81 (m, 2H), 5.68 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 5.00 (t, J = 5.5 Hz,1H), 4.85 (dt, J = 51.4, 4.9 Hz, 1H), 4.49 (dd, J = 16.1, 4.5 Hz,1H), 4.20 (m, 1H), 3.92 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.91 - 3.75 (m, 2H), 3.68(m, 1H), 3.40 - 3.28 (m, 1H), 3.09 (dddd, J = 7.6, 6.1, 4.7, 0.9 Hz,1H), 1.68 (m, 2H), 1.46 - 1.33 (m, 2H), 1.28 (m, 8H), 0.90 - 0.82 (m, 3H).
13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ 158.15, 131.59, 130.42,129.75, 128.59, 127.86, 114.79, 99.37, 97.49, 75.29, 75.06, 67.81, 64.27,64.25, 53.22, 53.19, 50.32, 50.13, 36.00, 35.97, 31.67, 29.18, 29.13, 29.10,25.97, 22.51, 14.38.
19F-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ -186.62 (dddd, 1F)
(3S,4S,5R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロチオフェン-2-イルアセテート(10)
Figure 0007520822000021
調製:窒素下の500mLの一口丸底フラスコに、(2R,3S,4S)-4-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)-5-((4-(オクチルオキシ)ベンジル)チオ)テトラヒドロチオフェン-3-オール(37.5g,93mmol)および酢酸(225mL,3972mmol)を入れた。無色の懸濁液を、アセトキシ水銀(44.5g,140mmol)で一度に処理し、反応混合物を室温で24時間撹拌した。混合物を800mLのヘプタンで希釈し、不溶性材料を濾過により除去した。濾過ケークを300mLのジクロロメタン(DCM)で洗浄した後、600mLのヘプタンで洗浄し、濾液を、薄い琥珀色の油状物になるまで真空中で濃縮した。粗材料を最小量のDCMに溶かし、50G UltraSIL(登録商標)SNAP(登録商標)カートリッジ(Biotage(登録商標),Uppsala,Sweden)にロードし、0~50%酢酸エチル/DCM勾配を用いて100G UltraSIL(登録商標)SNAP(登録商標)カートリッジで溶出した。画分27~92を合わせ、濃縮することにより、17.59g(90%)の表題化合物(10)をアノマーの1:1混合物として得た。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 6.02 - 5.88 (m, 1H), 5.09 (dd, J= 7.1, 4.5 Hz, 0.2H), 5.00 - 4.92 (m, 0.5H), 4.83 (dd, J = 9.3, 4.7 Hz,0.3H), 4.50 (ddd, J = 12.1, 9.3, 8.0 Hz, 0.5H), 4.33 (dt, J =14.7, 7.5 Hz, 0.5H), 3.87 - 3.68 (m, 2H), 3.54 (dtd, J = 7.9, 5.1, 1.3Hz, 0.5H), 3.24 (ddd, J = 7.9, 5.3, 4.5 Hz, 0.5H), 2.88 (s, 1H), 2.11(m, 3H).
19F NMR (376 MHz, Chloroform-d) δ -188.81 (dt, J = 51.3,15.2 Hz), -193.39 (dd, J = 50.9, 12.2 Hz).
(3S,4S,5R)-4-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-5-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-3-フルオロテトラヒドロチオフェン-2-イルアセテート(11)
Figure 0007520822000022
調製:(3S,4S,5R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロチオフェン-2-イルアセテート(10)(11.85g,56.4mmol)を、窒素下、1,000mLの一口丸底フラスコ内のDMF(180mL)に溶解させた。溶液をイミダゾール(9.59g,141mmol)で処理した後、tert-ブチルジフェニルクロロシラン(43.4mL,169mmol)で処理し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応物を1,000mLの酢酸エチルで希釈し、1×500mLの50%飽和塩化ナトリウムで抽出した後、3×150mLの50%飽和塩化ナトリウムで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、無色の油状物になるまで真空中で濃縮した。粗材料を最小量のヘキサンに溶解させ、340G UltraSil SNAPカートリッジにロードし、Biotage(登録商標)システムにおいて0~15%酢酸エチル/ヘキサン勾配を用いて27mLの画分に溶出した。画分27~66を合わせ、濃縮することにより、36.7g(95%)の表題化合物(11)を無色の油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.78 - 7.68 (m, 4H), 7.65 - 7.46(m, 4H), 7.46 - 7.20 (m, 12H), 6.07 - 5.87 (m, 1H), 5.15 - 4.86 (m, 1H), 4.37 -4.19 (m, 1H), 3.81 (qd, J = 6.1, 3.1 Hz, 0.4H), 3.64 (m, 1H), 3.41 (m,1H), 3.25 (ddd, J = 24.0, 10.3, 8.5 Hz, 1H), 2.17 (s, 2H), 1.88 (s, 1H),1.07 (s, 9H), 0.94 (s, 9H). 19F NMR (376 MHz, Chloroform-d) δ-184.98 (dt, J = 49.3, 14.2 Hz), -190.33 - -190.64 (m).
4-アミノ-1-((2R,3S,4S,5R)-4-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-5-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-3-フルオロテトラヒドロチオフェン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン(12)
Figure 0007520822000023
調製:HMDS(21.97mL,105mmol)を、アザシトシン(2.91g,26.2mmol)および硫酸アンモニウム(0.115g,0.873mmol)に加え、得られた混合物を130℃で20時間撹拌した。過剰なHMDSを減圧下で除去し、残りの残渣を1,2-ジクロロエタン(50mL)中に懸濁させた。その間に、臭化水素酸(33%の酢酸溶液)(3.45mL,20.96mmol)を、1,2-ジクロロエタン(50mL)中の(3S,4S,5R)-4-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-5-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-3-フルオロテトラヒドロチオフェン-2-イルアセテート(11)(6g,8.73mmol)の溶液に加え、得られた混合物を0℃で2時間撹拌した。反応物を75mLの飽和炭酸水素ナトリウムの添加によってクエンチし、混合物を、15分間激しく撹拌した。層を分離し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。中間体の臭化物を、シリル化アザシトシンの懸濁液に一度に加え、白色の懸濁液を84℃に加温した。反応物が温度に達すると、懸濁液は軽いスラリーになった。反応物を84℃で5時間撹拌した。反応物を一晩かけて室温まで冷却し、75mLの飽和炭酸水素ナトリウムで希釈し、10分間撹拌した。スラリーをCelite(登録商標)珪藻土ベッドで濾過し、フィルターパッドを新しいジクロロメタンで洗浄した。層を分離し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空中で濃縮することにより、5.3gのオフホワイト色泡状物を得た。粗材料を最小量のジクロロメタンに溶解させ、50G UltraSil SNAPカートリッジにロードし、Biotage(登録商標)システムにおいて10~65%酢酸エチル/ジクロロメタン勾配を用いて27mLの画分に溶出した。画分19~33を合わせ、濃縮することにより、2.7g(42%)の白色泡状物を得た。H-NMRは、その材料が2:1のβ/α混合物であることを示した。
上記白色泡状物を10mLの無水エタノール(EtOH)に溶解させ、室温で2時間撹拌したところ、混合物から細かい白色固体が晶出した。固体を回収し、少量のEtOHで洗浄し、フィルター上で乾燥させることにより、630mg(9%)の純粋なC-1アルファアノマーを白色固体として得た。母液を真空中で濃縮することにより、2.07グラム(32%)の表題化合物12を白色泡状物(>20:1のC-1ベータアノマー)として得た。この材料をさらなる分画なしに用いた。
プロトン、C-1アルファアノマー:1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.85 (s,1H), 7.53 (ddd, J = 14.6, 8.0, 4.2 Hz, 6H), 7.48 - 7.25 (m, 14H), 6.75 (s, 1H),6.10 (dd, J = 14.0, 1.8 Hz, 1H), 5.72 (s, 1H), 5.09 (dt, J = 46.7, 2.0 Hz, 1H),4.30 (m, 1H), 3.97 - 3.88 (m, 1H), 3.47 (dd, J = 10.2, 6.6 Hz, 1H), 3.43 - 3.33(m, 1H), 0.96 (m,18H).
フッ素、C-1アルファアノマー:19F NMR (376 MHz, Chloroform-d) δ-177.38 (dt, J = 46.8, 12.5 Hz).
プロトン、C-1ベータアノマー:1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.41 (d, J= 2.6 Hz, 1H), 7.68 - 7.52 (m, 6H), 7.57 - 7.42 (m, 4H), 7.47 - 7.28 (m, 10H),7.04 - 6.99 (m, 1H), 6.80 (dd, J = 24.5, 3.6 Hz, 1H), 5.69 (s, 1H), 4.81 (dt, J= 50.8, 2.8 Hz, 1H), 4.47 (m, 1H), 3.70 - 3.65 (m, 1H), 3.60 - 3.44 (m, 2H),1.10 (s, 9H), 0.89 (s, 9H).
フッ素、C-1ベータアノマー:19F NMR (376 MHz, Chloroform-d) δ-194.16 (ddd, J = 50.5, 24.6, 7.4 Hz).
4-アミノ-1-((2R,3S,4S,5R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロチオフェン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン(1)
Figure 0007520822000024
調製1:4-アミノ-1-((2R,3S,4S,5R)-4-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-5-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-3-フルオロテトラヒドロチオフェン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン(12)(5.9g,7.98mmol)を、窒素下、200mLの一口丸底フラスコ内のテトラヒドロフラン(45mL,555mmol)に溶解させた。溶液を、シリカゲル上のフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(21.16g,29.1mmol)で処理し、室温で1時間撹拌した。反応混合物を18gのシリカゲル(230~400メッシュ)で処理し、濃縮乾固した。固体充填物を、Biotage(登録商標)システムにおいて0~12.5%(10%MeOHのIPA溶液)/ジクロロメタン勾配(0~50%の、25%(10%MeOHのIPA溶液)/ジクロロメタン極性相)で27mLの画分に溶出しつつ、50グラムのUltraSil(登録商標)SNAP(登録商標)カートリッジでクロマトグラフィーに供した。画分33~84を合わせ、濃縮することにより、1.83gのペースト状の固体を得た。その固体を、20mLのアセトニトリルと共に摩砕し、濾過によって回収し、フィルター上で乾燥させることにより、1.48g(71%)の表題化合物(1)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.78 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 7.68 - 7.60 (m,2H), 6.29 (dd, J = 11.6, 5.4 Hz, 1H), 5.92 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 5.34 (t, J =5.2 Hz, 1H), 5.00 (dt, J = 50.7, 5.8 Hz, 1H), 4.27 (m, 1H), 3.68 (m, 2H), 3.23(q, J = 5.5 Hz, 1H) ppm. 13C NMR (101 MHz, dmso) δ 165.87, 158.07,158.04, 153.63, 96.79, 94.87, 73.44, 73.21, 61.28, 61.26, 57.44, 57.27, 51.97,51.93. 19F NMR (376 MHz, DMSO-d6) δ -192.78 (dt, J = 50.6, 11.7 Hz).融点:208~209℃、d.燃焼解析:計算値:C,36.64;H,4.23;F,7.24;N,21.36;S,12.22,実測値:C,36.66;H,4.14;F,7.04;N,21.08;S,12.27。
調製2:4-アミノ-1-((2R,3S,4S,5R)-4-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-5-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-3-フルオロテトラヒドロチオフェン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン(12)(12.2g,16.51mmol)を、窒素下、200mLの一口丸底フラスコ内のメタノール(無水)(110mL,16.51mmol)に溶解させた。溶液をフッ化アンモニウム(5.20g,140mmol)で処理し、60℃で撹拌した。60℃での2時間後の薄層クロマトグラフィー(30%MeOH/DCM)は、出発物質が完全に消費されたことを示した。混合物を合計3時間、60℃に加温した。反応物を室温に冷却し、12gのシリカゲル(230~400メッシュ)と合わせ、混合物を濃縮乾固した。粗充填物を、25G UltraSil(登録商標)SNAP(登録商標)カートリッジで5~25%MeOH/DCM勾配を用いて27mLの画分に溶出した。画分12~66を合わせ、濃縮することにより、4.8gの白色固体を得た。その固体を、20mLの無水EtOHと共に1時間摩砕し、白色固体を回収し、MeOHで洗浄した後、ジエチルエーテルで洗浄し、フィルター上で一晩乾燥させることにより、2.40g(55%)の表題化合物(1)を細かい白色固体として得た。母液を真空中で濃縮することにより、2.05gの白色泡状物を得た。その泡状物は、TLCおよびLCMSによると表題化合物の分解産物を主に含むとみられた。この残渣をMeOHに溶解させ、10mLのFlorisil(登録商標)吸着媒(60~100メッシュ,Sigma Aldrich)で処理し、濃縮乾固した。充填物を、5~25%MeOH/DCM勾配で27mLの画分に溶出する25G UltraSil(登録商標)SNAP(登録商標)カートリッジでクロマトグラフィーに供した。画分15~22を合わせ、濃縮することにより、360mgの白色泡状物を得た。その泡状物をMeCNから結晶化することにより、さらなる264mg(6%)の表題化合物(1)を細かい白色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.74 (d, J = 1.3Hz, 1H), 7.64 - 7.57 (m, 2H), 6.23 (dd, J = 11.5, 5.4 Hz, 1H), 5.89 (d, J= 5.2 Hz, 1H), 5.31 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 4.96 (dt, J = 50.7, 5.9Hz, 1H), 4.22 (dq, J = 11.5, 5.7 Hz, 1H), 3.71 - 3.55 (m, 2H), 3.17 (q, J= 5.5 Hz, 1H).
13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ 165.88, 158.08, 158.05,153.65, 96.78, 94.86, 73.42, 73.19, 61.26, 57.43, 57.26, 51.94, 51.90 ppm.
19F NMR (376 MHz, DMSO-d6) δ -192.77 (dt, J =50.8, 11.7 Hz).
LC/MS:[M+H]=263.1、98.2%純度。
実施例2
NCI60ヒト腫瘍細胞株抗がん薬スクリーニング
開示される化合物の実施形態は、NCI60ヒト腫瘍細胞株抗がん薬スクリーニング(例えば、Shoemaker,Nature Reviews Cancer 2006,6:813-823;https://dtp.cancer.gov/discovery_development/nci-60/handling.htmを参照のこと)を用いて抗がん活性についてスクリーニングされ得る。
サンプル調製のための標準的な操作手順:
全般:NCI60試験は、2部にわけて行う:まず、60種すべての細胞株において10-5モル濃度または15μg/mlという単回用量で単一濃度を試験する。得られた結果が選択基準を満たす場合、化合物を、最高用量を10-4モル濃度または150μg/mlとして5×10倍の希釈度で60種すべての細胞株において再試験する。NCI60試験で認められた化合物を、1用量試験と5用量試験の両方に向けて同時に調製する。
投与される作用物質:分子量が既知である合成物質および純粋な化合物ならびに分子量が不明の高分子および化合物-試験のために特定された作用物質のアリコートを計量し、予め計量されたガラスバイアルに移す。化合物をこれらのバイアル内で可溶化する。明確に述べられる場合を除いて、すべての作用物質を-70℃冷凍庫で保存する。粗天然物-粗天然物抽出物を、取り外し可能なポリプロピレン(PP)96ウェルマイクロタイタープレート上にプレーティングする。プレートを乾燥させ、1用量試験で必要とされるまで-20℃で保存する。1用量試験の結果に基づいて、5用量試験のために選択されるそれらのサンプルを、標準的な作用物質であるアドリアマイシン、NSC123127の縦列を含む96ウェルプレート1枚あたり88ウェルから72ウェルに再配置し、新しいプレートマップを作成し、割り当てのためにアップロードする。次いで、抽出物をDMSOまたは水で40mg/mlで可溶化する。
濃度要件-1用量/がんインビトロプログラム:1用量アッセイの場合は4mM、5用量アッセイの場合は40mMの濃度の、DMSO:グリセロール9:1(別段述べられない限り)。両方の場合において、溶液を1:400希釈して、それぞれ10または100μMというHigh Test濃度を得る。分子量が不明の合成作用物質(高分子)は、DMSO:グリセロール9:1(別段述べられない限り)中に6および60mg/mlという濃度で調製し、それを1:400希釈して、15および150μg/mlというHigh Test濃度を得る。有機溶媒に可溶性の天然物粗抽出物は、DMSO中で調製し、水性抽出によって生成された天然物粗抽出物は、水に可溶化し、両者とも40mg/mlとした。
体積要件-プレスクリーニング/がんインビトロプログラム:がんスクリーニングでは、通常の化合物の1logの5用量希釈の場合は100μl、および1用量試験の場合は75μlが必要である。1用量試験は、5用量試験の高濃度の1/10で行うので、体積要件は、分子量が既知の化合物の場合、40mMの210μl+20%であるか、または分子量が不明の化合物(高分子)の場合、60,000μg/mlの210μl+20%=250μl(すなわち、MW=1000の場合、10mg未満、または重量/体積として試験される化合物の場合、15mg)である。
化合物の特記事項:特記事項(例えば、酸素感受性、光感受性)によって、指示に従った作用物質の取り扱いが変化し得る。
新鮮な化合物:使用前に新しく調製される必要があると特定される化合物は、段階希釈の1時間以内に可溶化される。それをTECAN Freedom 200において段階希釈し(2薬物/プレート)、カラムプレートに移し、検査室に送達されるまでデシケーターボックス内の窒素下で保存する。
可溶化の標準的な操作手順
NPSG TECANシステムへの情報の入力:可溶化手順を始める前に、TECAN Freedom 200によって可溶化される各化合物についての情報をNPSG TECAN(Visual Basic機器制御およびORACLEフロントエンド)システムに入力する。シップリスト(shiplist)番号を入力することによって、72種の化合物セットをプレートセットに割り当てる。シップリストをTECANソフトウェアにロードすると、そのソフトウェアは、量およびMWを(DIS Oracle表から)検索し、一定濃度(40mMまたは60,000μg/ml)を得るために各バイアルに加えられる溶媒の体積を計算し、1用量および1回の試験&1回再試験にとって不十分な材料である場合、濃度を調整する(75μl@4mM&200μl@40mM+20%または75μl@6,000μg/ml&200μl@60,000μg/ml+20%)。プレスクリーニングのためのプレートマップ(化合物が入るウェルを定義する)を、ORADISを介してORACLE PLATEWELL表にアップロードする。
供給品および装置:PLATEMAPの印刷物上に指定されたシップリスト順でバイアルをTECANテーブルに置く。TECAN Freedomロボットが、適切な体積の溶媒(メタノール/酢酸エチル/メチル-t-ブチルエーテル、6:3:1)を各バイアルに加えることにより、一定濃度を得る。技師が、各バイアルを個別に調べ、超音波処理、加温などを行って、2時間未満の曝露時間にわたって溶液を維持する。薬物溶液を移す前のプレート調製:技師が、3枚の取り外し可能な96ウェルPPウェルプレート(1枚が1用量のため、2枚が60細胞試験のため)を調製する:100μlの10%グリセロールのイソプロパノール溶液を各ウェルに加える。[薬物溶液の添加および真空乾燥の後、1ウェルあたり10μLグリセロールが残る。]
TECANは、バイアル内の薬物溶液を一度混合し、次いで、1用量の場合、40μL(400μM)の薬物溶液を、取り外し可能な96ウェルプレートの各ウェルに移し、60細胞のフルスクリーニングの場合、取り外し可能な96ウェルPPウェルプレートに400μL(4,000μM)を移す。すべてのプレートを、乾燥のためにSpeedVacシステムに移す。加熱なしでの高真空によってすべての溶媒を除去すると、グリセロールおよび薬物の残渣がウェルの底に残る。乾燥したプレートを、試験で必要とされるまで、通常1~3週間、-70℃で保存する。ガラスバイアル内の移されなかった残渣は、SpeedVacにおいて乾燥され、乾燥した状態で-70℃において保存され、さらなる再試験が必要となった場合、使用され得る。
1用量60細胞試験の場合:組織培養中の生育細胞に薬物を加える当日または前日に、1つの標準物質(化合物と同じように調製および保存された、アドリアマイシン、NSC123127)を、取り外し可能なウェルプレートに加え、90μlのDMSOを各ウェルに加え(4mM溶液)、混合/超音波処理し、12チャネル手動ピペッターを用いて75μlを12チャネルレザバープレート(カラムプレート)に移し、そのプレートを密封し、検査室に送達されるまでデシケーターボックス内の窒素下で保存する。レザバープレートの前面の左右にラベルを貼る。それは、列の最初および最後のNSC番号であり得る。列は、取り外し可能なプレートからカラムプレートのカラム3~12に移される。プレートを密封し、薬物添加前に24時間を超えずに窒素下で保存する。
5用量60細胞試験の場合:組織培養中の生育細胞に薬物を加える当日に、90μlのDMSOを各ウェルに加え(40mM溶液)、TECAN Freedom 200の振盪機において混合/超音波処理する。次いで、チューブをTECAN Freedom 200に設置し(2薬物/プレート)、段階希釈し/カラムプレートに移し、そのプレートを密封し、検査室に送達されるまでデシケーターボックス内の窒素下で保存する。ORACLEフロントエンドプログラムオプションAA-Expid NSCラベルを利用するSATO熱転写プリンターによって、プレートのラベルを印刷する。それらのラベルをレザバープレートの前面の左右に貼り、薬物1はカラム1、薬物2はカラム12に配置される。
ビヒクル選択-合成物質:最適なビヒクルは、DMSOおよび水である。ほとんどの作用物質が、これら2つのビヒクルのうちの一方を用いて可溶化される。供給業者の要請により、または過去の試験方法に基づいて、他のビヒクルが使用される。揮発性溶媒をビヒクルとして使用する作用物質は、「新鮮」とラベルされ、スクリーニング添加の1時間以内に調製される。別のビヒクルが示されない限り、一般に、プレスクリーニング/がんスクリーニング用の合成作用物質のすべてが、DMSO:グリセロール9:1において調製される。水が示されるとき、化合物は、蒸留水、または血清を含まない細胞培養液(RPMI1640)に可溶化される。THF、エタノール、メタノールまたは他の揮発性溶媒を必要とするすべての可溶化は、蒸発を減少させるために、新しく調製される。
最小体積要件:可溶化の目標は、要求された最も高い濃度の作用物質をスクリーニングプロセスに届けることである。しかしながら、作用物質をスクリーニングするプログラムが要求するバイアル数が、加えることができるビヒクルの最小量を決定する。材料の量が、必要な数のアリコートを作製するのに不十分である場合、濃度を下げて、適切な体積を確保する。
体積要件-1用量/がんインビトロプログラム:がんスクリーニングでは、通常の化合物の1logの5用量希釈の場合、100μlが必要である。1用量がんアッセイと5用量がんアッセイの両方に向けてTECANにおいて可溶化された化合物の場合、250μlという最小体積が必要であり、これは、最初の1用量アッセイ、5用量アッセイにおける試験および再試験にとって十分である。
溶解度コード:作用物質は、必ずしも粒子のない透明な溶液になるまで可溶化しない。ゆえに、その溶液は、ビヒクル中の作用物質の溶解度を記載する最善のコードによって説明される。それは、評価されている溶液の透明度である。溶解度コードでは、色の有無は考慮されない。
NCI60スクリーニング方法
NCI60細胞の1用量スクリーニング:
概要:NCI60細胞スクリーニングに供されるすべての化合物が、はじめに全NCI60細胞パネルにおいて単一の高用量(10-5M)で試験される。最低限の数の細胞株において所定の閾値阻害基準を満たした化合物だけが、5用量フルアッセイに進む。5用量スクリーニングに進むための閾値阻害基準は、歴史的DTPスクリーニングデータの慎重な解析に基づいて、抗増殖活性を有する化合物を効率的に捕捉するように選択された。閾値基準は、さらなるデータが入手可能になると更新される場合がある。
1用量データの解釈:1用量データは、処置細胞の成長率の平均値グラフとして報告され、5用量アッセイの平均値グラフと形が似ている。1用量アッセイで報告される数字は、薬物なしのコントロールおよび時間0の細胞数を基準とした成長である。これにより、成長阻害(0~100の値)と致死(0未満の値)の両方の検出が可能になる。これは、下記に記載される5用量アッセイについても同じである。例えば、100という値は、成長阻害なしを意味する。40という値は、60%成長阻害を意味し得る。0という値は、実験を通して正味の成長が無いこと意味する。-40という値は、40%の致死率を意味し得る。-100という値は、すべての細胞が死ぬことを意味する。1用量の平均値グラフからの情報は、COMPARE解析に利用可能である。
NCI60細胞5用量スクリーニング:
1用量スクリーニングにおいて有意な成長阻害を示した化合物を、5つの濃度レベルで60細胞パネルに対して評価する。
がんスクリーニングパネルのヒト腫瘍細胞株を、5%ウシ胎仔血清および2mM L-グルタミンを含むRPMI1640培地中で生育する。通常のスクリーニング実験の場合、個々の細胞株の倍加時間に応じて5,000~40,000細胞/ウェルの範囲のプレーティング密度で96ウェルマイクロタイタープレートに100μLにおいて細胞を播種する。細胞播種後、実験薬を加える前に、そのマイクロタイタープレートを37℃、5%CO2、95%空気および100%相対湿度で24時間インキュベートする。
24時間後、各細胞株の2枚のプレートを、TCAを用いてインサイチュで固定して、薬物添加時(Tz)における各細胞株の細胞集団の測定値を得る。実験薬を、所望の最終的な最高試験濃度の400倍でジメチルスルホキシドに可溶化し、使用まで凍結保存する。薬物添加時に、凍結濃縮物のアリコートを解凍し、50μg/mlゲンタマイシンを含む完全培地で所望の最終的な最高試験濃度の2倍に希釈する。さらなる4つの10倍または1/2log段階希釈物を作製して、合計5つの薬物濃度およびコントロールを得る。100μLのこれらの異なる薬物希釈物のアリコートを、100μLの培地をすでに含んでいる適切なマイクロタイターウェルに加えることにより、必要な最終薬物濃度が得られる。
薬物添加後、プレートを37℃、5%CO、95%空気および100%相対湿度においてさらに48時間インキュベートする。接着細胞の場合、冷TCAを加えることによって、アッセイを終結させる。50μLの冷50%(w/v)TCA(最終濃度、10%TCA)を静かに加えることによって細胞をインサイチュで固定し、4℃で60分間インキュベートする。上清を廃棄し、プレートを水道水で5回洗浄し、風乾する。1%酢酸中0.4%(w/v)のスルホローダミンB(SRB)溶液(100μL)を各ウェルに加え、プレートを室温で10分間インキュベートする。染色後、1%酢酸で5回洗浄することによって未結合の色素を除去し、プレートを風乾する。続いて、結合した染色を10mM Trizma(登録商標)塩基(Tris塩基)で可溶化し、自動プレートリーダーにおいて515nmの波長の吸光度を読む。浮遊細胞の場合、50μLの80%TCA(最終濃度、16%TCA)を静かに加えることにより、ウェルの底に定着した細胞を固定することによって、アッセイを終了させること以外は、同じ方法である。7つの吸光度測定値[時間0、(Tz)、コントロール成長(C)および5濃度レベルの薬物の存在下における試験成長(Ti)]を用いて、各薬物濃度レベルにおいて成長率を計算する。成長阻害率を、以下のように計算する:
Ti>/=Tzである濃度の場合、[(Ti-Tz)/(C-Tz)]×100
Ti<Tzである濃度の場合、[(Ti-Tz)/Tz]×100
薬物インキュベーション中のコントロール細胞において正味のタンパク質増加の50%低下(SRB染色によって計測される)をもたらす薬物濃度である50%(GI50)を[(Ti-Tz)/(C-Tz)]×100=50から計算する。全成長阻害(TGI)をもたらす薬物濃度は、Ti=Tzから計算する。処置後の細胞の正味の減少を示唆するLC50(開始時と比較して、薬物処置終了時に計測されたタンパク質が50%減少する薬物濃度)は、[(Ti-Tz)/Tz]×100=-50から計算する。活性レベルに到達した場合、これら3つのパラメータの各々に対して値を計算する。しかしながら、効果が達成されなかったまたは超えた場合、そのパラメータに対する値は、試験した最高濃度または最低濃度より大きいまたは小さい値として表現される。
図3A~3Bはそれぞれ、白血病細胞株に対する化合物1(4-アミノ-1-((2R,3S,4S,5R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロチオフェン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン)および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。図4Aおよび4Bはそれぞれ、中枢神経系(CNS)がん細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。図5Aおよび5Bはそれぞれ、腎がん細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。図6Aおよび6Bはそれぞれ、非小細胞肺がん細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。図7Aおよび7Bはそれぞれ、メラノーマ細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。図8Aおよび8Bはそれぞれ、前立腺がん細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。図9Aおよび9Bはそれぞれ、結腸がん細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。図10Aおよび10Bはそれぞれ、卵巣がん細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。図11Aおよび11Bはそれぞれ、乳がん細胞株に対する化合物1および5-アザ-T-dCydのGI50データを示している。
実施例3
異種移植研究
異種移植研究を、HCT-116ヒト結腸癌細胞、BL0382ヒト膀胱癌細胞、OVCAR3ヒト卵巣癌細胞、NCI-H23 NSCLCヒト肺癌細胞およびHL-60ヒト白血病細胞の腫瘍を有するマウスにおいて行った。10%ウシ胎仔血清および2mM l-グルタミンを含むRPMI1640を用いてインビトロで生育した腫瘍細胞(HL-60、NCI-H23、OVCAR-3、HCT-116)を4~6週齢の雌無胸腺ヌードマウス(nu/nu NCr)またはNSGマウスに皮下注射することによって、ヒト腫瘍異種移植片を作製した。患者由来異種移植(PDX)モデルであるBL0382F1232の場合、他の異種移植モデルについて記載されているように、腫瘍フラグメントをドナーマウスから連続継代した(Plowmanら、“Human tumor xenograft models in NCI drug development.”In:Teicher,B.A.(Ed.),Anticancer Drug Development Guide:Preclinical Screening,Clinical Trials and Approval.Humana Press,Totowa,NJ,pp.101125;1997)。ヒト患者から得た腫瘍材料をNSGマウスに植え込むことによって、PDXドナー腫瘍を作製した。得られた腫瘍をNSGマウスに連続継代し、その後、保存された材料から新たな腫瘍を有する動物を樹立するために、フラグメントを冷凍保存した。それらのマウスを、AAALACi(Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care International)によって認定された施設に、食物および水を自由に摂取できる状態で収容した。腫瘍が所定の開始重量(ステージング重量)に達したら、動物を実験群に無作為化し、処置を開始した。群には、ビヒクルコントロール群ならびに薬物処置群が含まれた。薬物用量は、それまでの経験または別の箇所(同書)に記載されているような新しく行われたマウス耐容性試験に基づいて選択した。腫瘍を二方向のノギス測定によってモニターし、腫瘍重量を、腫瘍重量(mg)=(腫瘍の長さ(単位mm)×腫瘍の幅(単位mm))/2として計算した。データの収集および解析を、StudyLogソフトウェアプログラムStudy Director(Studylog Systems,Inc.,South San Francisco,CA)を用いて行った。
薬物投与は、以下のとおりであった:
Figure 0007520822000025
腫瘍移植後に腫瘍体積および体重の連続測定を行った。結果を図12Aおよび12B(HCT-116ヒト結腸癌細胞)、図13Aおよび13B(BL0382ヒト膀胱癌細胞)、図14Aおよび14B(OVCAR3ヒト卵巣癌細胞)、図15Aおよび15B(NCI-H23 NSCLCヒト肺癌細胞)ならびに図16Aおよび16B(HL-60ヒト白血病細胞)に示す。
実施例4
ハロゲン化5-アザ-T-dCydアナログによる処置
ハロゲン化5-アザ-T-dCydアナログで処置され得る疾患を有するかまたは有すると疑われる被験体を特定する。上記疾患は、新生物性細胞の存在を少なくとも部分的に特徴とする疾患であり得る。いくつかの場合において、上記疾患は、がんである。被験体は、臨床像に基づいて、および/または新生物性細胞の存在を少なくとも部分的に特徴とする疾患(例えば、がん)の存在を実証する検査を行うことによって、選択され得る。いくつかの例において、被験体は、固形腫瘍または血液のがんを有し得る。
被験体は、治療的に有効であると臨床医が判断した用量でハロゲン化5-アザ-T-dCydアナログまたはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容され得る塩を投与することによって処置される。いくつかの例において、上記化合物は、4-アミノ-1-((2R,3S,4S,5R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロチオフェン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オンである。上記化合物は、任意の好適な手段、例えば、非経口(例えば、静脈内、動脈内、皮下、筋肉内)注射もしくは髄腔内注射または経口投与によって投与される。処置の有効性は、従来の手段、例えば、腫瘍成長の予防、腫瘍成長の低減、転移の減少または喪失、血液細胞数の正常化などによって評価され得る。いくつかの例において、評価は、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴画像(MRI)またはポジトロン放出断層撮影(PET)走査によって行われる。
治療有効量の第2の活性な作用物質が、上記化合物と共投与され得る。上記化合物と第2の活性な作用物質とは、別々に投与されてもよく、単一の組成物として一緒に投与されてもよい。第2の活性な作用物質は、同じ経路によって投与されてもよく、異なる経路によって投与されてもよい。同時に投与される場合、上記化合物と第2の活性な作用物質とは、単一の薬学的組成物に組み合わされてもよく、2つの薬学的組成物として同時に投与されてもよい。第2の活性な作用物質は、例えば、抗がん剤、抗炎症剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、麻酔剤などであり得る。
開示された発明の原理が適用され得る多くの考えられる実施形態を考慮すると、例証された実施形態は、本発明の単なる好ましい例であって、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきでないことが認識されるはずである。むしろ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義される。ゆえに、本発明者らは、これらの特許請求の範囲の範囲および趣旨の中に含まれるものすべてを本発明者らの発明として主張する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
式Iaに記載の化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容され得る塩であって、
Figure 0007520822000026


式中、Xは、ハロであり;
Yは、水素、ハロまたはジュウテリウムであり;
各Rは、独立して、水素またはジュウテリウムであり;
は、水素、ジュウテリウム、アルキル、アルコキシ、アミノまたはハロである、
化合物またはその立体異性体、互変異性体もしくは薬学的に許容され得る塩。
(項目2)
(i)Xが、Fである;または
(ii)Yが、水素またはFである;または
(iii)各Rが、水素である;または
(iv)R が、水素である;または
(v)(i)、(ii)、(iii)および(iv)の任意の組み合わせである、
項目1に記載の化合物。
(項目3)
式IIa~Vaのいずれか1つに記載の立体化学、またはそれらの任意の組み合わせを有する、項目1または項目2に記載の化合物。
Figure 0007520822000027

(項目4)
前記化合物が、
Figure 0007520822000028


またはそれらの任意の組み合わせである、項目1に記載の化合物。
(項目5)
前記化合物が、
Figure 0007520822000029


またはそれらの任意の組み合わせである、項目1に記載の化合物。
(項目6)
前記化合物が、4-アミノ-1-((2R,3S,4S,5R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロチオフェン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン:
Figure 0007520822000030


である、項目1に記載の化合物。
(項目7)
項目1~6のいずれか1項に記載の化合物および薬学的に許容され得るキャリアを含む薬学的組成物。
(項目8)
前記薬学的組成物が、静脈内、経口、腹腔内、皮下、直腸または頬側投与のために製剤化されている、項目7に記載の薬学的組成物。
(項目9)
新形成を阻害する方法であって、前記方法は、
新生物性細胞を有効量の項目1~6のいずれか1項に記載の化合物と接触させる工程
を含む、方法。
(項目10)
前記新生物性細胞を前記有効量の前記化合物と接触させる工程が、前記新生物性細胞の増殖を低減する、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記化合物が、4-アミノ-1-((2R,3S,4S,5R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロチオフェン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン:
Figure 0007520822000031


である、項目9または項目10に記載の方法。
(項目12)
前記新生物性細胞を前記有効量の前記化合物と接触させる工程が、新生物性細胞の存在を少なくとも部分的に特徴とする疾患を有するかまたは有すると疑われる被験体に治療有効量の前記化合物を投与する工程を含む、項目9~11のいずれか1項に記載の方法。
(項目13)
前記疾患が、がんである、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記がんが、腎臓、膀胱、乳房、結腸、子宮内膜、皮膚、血液、膵臓、前立腺、骨、肝臓、肺、食道または中枢神経系のがんである、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記治療有効量の前記化合物を前記被験体に投与する工程が、前記疾患の徴候または症候を低減する、項目12~14のいずれか1項に記載の方法。
(項目16)
前記疾患の前記徴候または症候が、固形腫瘍であり、前記治療有効量の前記化合物を前記被験体に投与する工程が、前記固形腫瘍の成長を低減するか、前記固形腫瘍の体積を小さくするか、前記固形腫瘍の転移を減少させるか、またはそれらの任意の組み合わせである;または
前記疾患の前記徴候または症候が、異常な全血球数であり、前記治療有効量の前記化合物を前記被験体に投与する工程が、前記全血球数を少なくとも部分的に正常化する、
項目15に記載の方法。
(項目17)
前記治療有効量の前記化合物を投与する工程が、前記治療有効量の前記化合物を含む薬学的組成物を前記被験体に投与する工程を含む、項目12~16のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
投与する工程が、静脈内、経口、腹腔内、皮下、直腸または頬側投与を含む、項目12~17のいずれか1項に記載の方法。
(項目19)
第2の活性な作用物質を前記被験体に投与する工程をさらに含む、項目12~18のいずれか1項に記載の方法。
(項目20)
前記第2の活性な作用物質が、抗がん剤、抗炎症剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、麻酔剤またはそれらの任意の組み合わせである、項目19に記載の方法。

Claims (13)

  1. 化合物であって、前記化合物が、4-アミノ-1-((2R,3S,4S,5R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロチオフェン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン:
    Figure 0007520822000032

    である、合物。
  2. 請求項に記載の化合物および薬学的に許容され得るキャリアを含む薬学的組成物。
  3. 前記薬学的組成物が、静脈内、経口、腹腔内、皮下、直腸または頬側投与のために製剤化されている、請求項に記載の薬学的組成物。
  4. 新形成を阻害する方法における使用のための、合物を含む組成物であって、前記化合物が、4-アミノ-1-((2R,3S,4S,5R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロチオフェン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン:
    Figure 0007520822000033

    であり、
    前記方法は、
    新生物性細胞を前記化合物と接触させる工程
    を含む、組成物。
  5. 前記新生物性細胞を前記化合物と接触させる工程が、前記新生物性細胞の増殖を低減する、請求項に記載の組成物。
  6. 前記新生物性細胞を前記化合物と接触させる工程が、新生物性細胞の存在を少なくとも部分的に特徴とする疾患を有するかまたは有すると疑われる被験体に前記組成物を投与する工程を含む、請求項4~5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 前記疾患が、がんである、請求項に記載の組成物。
  8. 前記がんが、腎臓、膀胱、乳房、結腸、子宮内膜、皮膚、血液、膵臓、前立腺、骨、肝臓、肺、食道または中枢神経系のがんである、請求項に記載の組成物。
  9. 前記組成物を前記被験体に投与する工程が、前記疾患の徴候または症候を低減する、請求項6~8のいずれか1項に記載の組成物。
  10. 前記疾患の前記徴候または症候が、固形腫瘍であり、前記組成物を前記被験体に投与する工程が、前記固形腫瘍の成長を低減するか、前記固形腫瘍の体積を小さくするか、前記固形腫瘍の転移を減少させるか、またはそれらの任意の組み合わせである;または
    前記疾患の前記徴候または症候が、異常な全血球数であり、前記組成物を前記被験体に投与する工程が、前記全血球数を少なくとも部分的に正常化する、
    請求項に記載の組成物。
  11. 投与する工程が、静脈内、経口、腹腔内、皮下、直腸または頬側投与を含む、請求項6~10のいずれか1項に記載の組成物。
  12. 前記組成物が、第2の活性な作用物質と組み合わせて前記被験体に投与される、請求項6~11のいずれか1項に記載の組成物。
  13. 前記第2の活性な作用物質が、抗がん剤、抗炎症剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、麻酔剤またはそれらの任意の組み合わせである、請求項12に記載の組成物。
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