JP7517701B2 - 高次モードの弾性表面波を利用するデバイス - Google Patents

高次モードの弾性表面波を利用するデバイス Download PDF

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本発明は、基本モードのオーバートーンとなる高次モードの利用を提供する高次モード弾性表面波(SAW;surface acoustic wave)デバイスに関する。
近年、スマートフォン等で主に使用されている700MHzから3GHzの周波数帯には、80近くのバンドがあり、非常に混雑している。その対策として、次世代無線通信システムの第5世代移動通信システム(5G)では、3.6GHzから4.9GHzの周波数帯の利用が計画されており、さらに、その次の世代では、6GHz以上の周波数帯を使用する計画もなされている。
これらの計画に対し、代表的な弾性波デバイスである弾性表面波デバイスでは、耐電力および製造技術の限界から、すだれ状電極(IDT;interdigital transducer)の周期(λ)を小さくすることができず、高周波化に限界がある。図1(a)および(b)に、従来のSAWデバイスの一例として、圧電基板にLiTaO結晶の42°回転Y板を用い、X方向伝搬のすだれ状電極52をAlで形成した構造の平面図および断面図を示す。図1(b)の断面図は、図1(a)の平面図における切断線I-Iによる断面を示している。
図1(c)に、すだれ状電極52の周期が1.2μmのとき得られたインピーダンスの周波数特性を示す。その共振周波数は約3.2GHz、比帯域幅は3.8%、インピーダンス比は65dBであった。また、17.2GHzに高次モードらしき小さなレスポンスが見られるが、使用できるレベルではない。すだれ状電極52の周期を1μmまで微細化したとしても、その共振周波数は約3.8GHzであり、このように、従来のSAWデバイスでは、5G以降はもちろん、5Gに必要とされる周波数帯をカバーすることもできない。
ここで、特許文献1には、メタライゼーション比0.45以下のAlより重いPt,Cu,Mo,Ni,Ta,Wなどの電極をオイラー角(0°,80~130°、0°)のLiNbO基板に埋め込んでラブ波の基本モードを励振し、広い帯域幅が得られるようにした弾性表面波デバイスが開示されている。また、非特許文献1には、42°回転Y板のLiTaO基板に0.1波長以下のCu電極を埋め込み、その上にAl電極を形成して、基本モードで励振して高いQ値が得られるようにした弾性表面波デバイスが開示されている。一方、1.9GHzの周波数帯を有する弾性波フィルタとして、AlNやScAlNの圧電薄膜を用いたバルク弾性波デバイス(FBAR;film bulk acoustic resonator)が研究されている(例えば、非特許文献2参照)。
国際公開第2014/054580号
T. Kimura, M. Kadota, and Y. IDA, "High Q SAW resonator using upper-electrodes on Grooved-electrode in LiTaO3", Proc. IEEE Microwave Symp. (IMS), p.1740, 2010. Keiichi Umeda et al., "PIEZOELECTRIC PROPERTIES OF ScAlN THIN FILMS FOR PIRZO-MEMS DEVICES", MEMS 2013, Taipei, Taiwan January 20-24, 2013
しかしながら、特許文献1、非特許文献1に記載された技術は、電極に使用する金属が重く、メタライゼーション比も小さく、5G以降で求められる3.6GHz以上の高周波数帯では十分な性能が得られなかった。非特許文献2に記載のバルク弾性波デバイスは、圧電薄膜が多結晶薄膜であるため、1.9GHzで55dBのインピーダンス比しか得られておらず、超高周波での減衰が大きく、良好な特性を実現するのは難しかった。また、FBARの周波数は、薄膜の音速/(2×薄膜の厚み)で決定され、周波数を高くするためには、薄膜の厚みを極端に薄くしなければならない。現行のFBARは、自己支持された圧電薄膜を有するため、それが極端に薄くなる超高周波帯では、機械的強度を保てなかった。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、3.8GHz以上の高周波数帯でも、良好な特性を得ることができると共に、十分な機械的強度を保つことができる高次モード弾性表面波デバイスを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る高次モード弾性表面波デバイスは、LiTaO結晶又はLiNbO結晶を含む圧電基板と、圧電基板の表面に埋め込まれたすだれ状電極とを含み、高次モードの弾性表面波を利用するものである。
高次モード弾性表面波デバイスは、圧電基板の表面にすだれ状電極を埋め込むことにより、SAWの高次モード(1次モード、2次モード、3次モードなど)を励振することができ、大きいインピーダンス比を有する高次モードを得ることができる。高次モード弾性表面波デバイスは、その高次モードを利用することにより、高周波化を図ることができ、3.8GHz以上の高周波数帯でも良好な特性を得ることができる。また、高次モードを利用することにより、3.8GHz以上の高周波数帯でも圧電基板を超薄板化したり、すだれ状電極の周期を小さくしたりする必要がなく、十分な機械的強度を保つことができる。なお、圧電基板には、圧電薄膜や圧電薄板も含まれる。
高次モード弾性表面波デバイスにおいて、すだれ状電極は、圧電基板の表面から突出して形成されていてもよい。この場合でも、大きいインピーダンス比を有する高次モードを得ることができる。
高次モード弾性表面波デバイスは、圧電基板に接するように設けられた薄膜又は基板を有していてもよい。また、圧電基板のすだれ状電極が設けられた表面とは反対側の面に接するように設けられた支持基板及び/又は多層膜を有していてもよい。支持基板を有するとき、支持基板は、金属以外の材料から構成されてもよい。また、支持基板は、Si、水晶、サファイア、ガラス、石英、ゲルマニウム及びアルミナの少なくとも1つから構成されてもよい。また、多層膜を有するとき、多層膜は、音響インピーダンスが異なる複数の層を積層した音響多層膜から構成されてもよい。これらの場合にも、大きいインピーダンス比を有する高次モードを得ることができる。
係る高次モード弾性表面波デバイスで、すだれ状電極のメタライゼーション比は、0.45以上、0.9以下であることが好ましく、0.63以上であることがより好ましい。この場合、より大きいインピーダンス比を有する高次モードを得ることができる。また、帯域幅を拡げることもできる。
また、高次モード弾性表面波デバイスは、より大きいインピーダンス比を有する高次モードを得るために、以下の構成であってもよい。すなわち、圧電基板は、LiTaO結晶から構成され、すだれ状電極は、Ti,Al及びMg合金の少なくとも1つから構成されてもよい。この場合、すだれ状電極は、圧電基板の表面から、弾性表面波の波長/メタライゼーション比が0.075~0.3(波長/メタライゼーション比が0.5のときは、0.15~0.6)の範囲にある深さまで埋め込まれていることが好ましく、弾性表面波の波長/メタライゼーション比が0.115~0.3(波長/メタライゼーション比が0.5のときは、0.23~0.6)の範囲にある深さまで埋め込まれていることがより好ましい。ここで、埋め込まれた電極の断面が、基板表面に対して垂直でない場合は、メタライゼーション比および電極幅は、実効的なメタライゼーション比と電極幅とする。以下でも同様とする。
また、圧電基板は、LiTaO結晶から構成され、すだれ状電極は、Ag,Mo,Cu,及びNiの少なくとも1つから構成されてもよい。この場合、すだれ状電極は、圧電基板の表面から、弾性表面波の波長/メタライゼーション比が0.08~0.3(波長/メタライゼーション比が0.5のときは、0.16~0.6)の範囲にある深さまで埋め込まれていることが好ましく、弾性表面波の波長/メタライゼーション比が0.09~0.3(波長/メタライゼーション比が0.5のときは、0.18~0.6)の範囲にある深さまで埋め込まれていることがより好ましい。
また、圧電基板は、LiTaO結晶から構成され、すだれ状電極は、Pt,Au,W,Ta及びHfの少なくとも1つから構成されてもよい。この場合、すだれ状電極は、圧電基板の表面から、弾性表面波の波長/メタライゼーション比が0.08~0.3(波長/メタライゼーション比が0.5のときは、0.16~0.6)の範囲にある深さまで埋め込まれていることが好ましく、弾性表面波の波長/メタライゼーション比が0.125~0.3(波長/メタライゼーション比が0.5のときは、0.25~0.6)の範囲にある深さまで埋め込まれていることがより好ましい。
また、圧電基板は、LiNbO結晶から構成され、すだれ状電極は、Ti,Al及びMg合金の少なくとも1つから構成されてもよい。この場合、すだれ状電極は、圧電基板の表面から、弾性表面波の波長/メタライゼーション比が0.07~0.3(波長/メタライゼーション比が0.5のときは、0.14~0.6)の深さまで埋め込まれていることが好ましく、弾性表面波の波長/メタライゼーション比が0.105~0.3(波長/メタライゼーション比が0.5のときは、0.21~0.6)の深さまで埋め込まれていることがより好ましい。
また、圧電基板は、LiNbO結晶から構成され、すだれ状電極は、Ag,Mo,Cu,及びNiの少なくとも1つから構成されてもよい。この場合、すだれ状電極は、圧電基板の表面から、弾性表面波の波長/メタライゼーション比が0.065~0.3(波長/メタライゼーション比が0.5のときは、0.13~0.6波長)の深さまで埋め込まれていることが好ましく、弾性表面波の波長/メタライゼーション比が0.09~0.3(波長/メタライゼーション比が0.5のときは、0.18~0.6波長)の深さまで埋め込まれていることがより好ましい。
また、圧電基板は、LiNbO結晶から構成され、すだれ状電極は、Pt,Au,W,Ta及びHfの少なくとも1つから構成されてもよい。この場合、すだれ状電極は、圧電基板の表面から、弾性表面波の波長/メタライゼーション比が0.075~0.3(波長/メタライゼーション比が0.5のときは、0.15~0.6)の深さまで埋め込まれていることが好ましく、弾性表面波の波長/メタライゼーション比が0.115~0.3(波長/メタライゼーション比が0.5のときは、0.23~0.6波長)の深さまで埋め込まれていることがより好ましい。
また、圧電基板は、LiTaO結晶から構成され、オイラー角が(0°±20°、112°~140°、0°±5°)の範囲にあり、またはこれと結晶学的に等価なオイラー角であることが好ましく、さらに、オイラー角が(0°±10°、120°~132°、0°±5°)の範囲にあり、またはこれと結晶学的に等価なオイラー角であることがより好ましい。
また、圧電基板は、LiNbO結晶から構成され、オイラー角が(0°±25°、78°~153°、0°±5°)の範囲にあり、またはこれと結晶学的に等価なオイラー角であることが好ましく、さらに、オイラー角が(0°±20°、87°~143°、0°±5°)の範囲にあり、またはこれと結晶学的に等価なオイラー角であることがより好ましい。
ここで、オイラー角(φ、θ、ψ)は、右手系であり、圧電基板の切断面と、弾性表面波の伝搬方向とを表現するものである。すなわち、圧電基板を構成する結晶や、LiTaOまたはLiNbOの結晶軸X、Y、Zに対し、Z軸を回転軸としてX軸を反時計廻りにφ回転し、X’軸を得る。次に、そのX’軸を回転軸としてZ軸を反時計廻りにθ回転しZ’軸を得る。このとき、Z’軸を法線とし、X’軸を含む面を、圧電基板の切断面とする。また、Z’軸を回転軸としてX’軸を反時計廻りにψ回転した方向を、弾性表面波の伝搬方向とする。また、これらの回転によりY軸が移動して得られる、X’軸およびZ’軸と垂直な軸を、Y′軸とする。
オイラー角をこのように定義することにより、例えば、40°回転Y板のX方向伝搬は、オイラー角で(0°、130°、0°)と表され、40°回転Y板の90°X方向伝搬は、オイラー角で(0°、130°、90°)と表される。なお、圧電基板を所望のオイラー角で切り出す際には、オイラー角の各成分に対して、最大で±0.5°程度の誤差が発生する可能性がある。すだれ状電極の形状に関しては、伝搬方向ψに対し、±3°程度の誤差が生じる可能性がある。弾性波の特性に関しては、(φ、θ、ψ)のオイラー角のうち、φ、ψに関しては、±5°程度のずれによる特性差はほとんどない。
圧電基板のすだれ状電極が設けられた表面とは反対側の面に接するよう設けられた支持基板、薄膜及び多層膜の少なくとも1つを含み、支持基板の横波音速又は等価的な横波音速が2000~3000m/s又は6000~8000m/sの範囲にあり、圧電基板の厚みは0.2波長から20波長の範囲にあってもよい。
圧電基板のすだれ状電極が設けられた表面とは反対側の面に接するよう設けられた支持基板、薄膜及び多層膜の少なくとも1つを含み、支持基板の横波音速又は等価的な横波音速が3000~6000m/sの範囲にあり、圧電基板の厚みは2波長から20波長の範囲にあってもよい。
圧電基板の前記すだれ状電極が設けられた表面とは反対側の面に接するよう設けられた支持基板、薄膜及び多層膜の少なくとも1つを含み、支持基板の線膨張係数は10.4×10-6/℃以下であり、αを線膨張係数として、支持基板/圧電基板の厚みの比TRは、下記の(1)式で規定されたTRの値以上であってもよい。
TR=α×0.55×10 + 2.18 (1)
本発明によれば、3.8GHz以上の高周波数帯でも、良好な特性を得ることができると共に、十分な機械的強度を保つことができる高次モード弾性表面波デバイスを提供することができる。
図1(a)は従来の弾性表面波デバイス[Alすだれ状電極/42°回転Y板X方向伝搬LiTaO結晶]を示す平面図であり、図1(b)は断面図であり、図1(c)は図1(a)および図1(b)の弾性表面波デバイスのインピーダンスの周波数特性を示すグラフである。 図2(a)本実施の形態の高次モード弾性表面波デバイスであり、図2(b)は図2(a)の薄膜を有する変形例であり、図2(c)は図2(a)のすだれ状電極が突出した変形例であり、図2(d)は図2(a)の支持基板を有する変形例であり、図2(e)は図2(d)のすだれ状電極が突出した変形例であり、図2(f)は図2(d)の圧電基板と支持基板との間に多層膜を有する変形例を示す断面図である。 図2(a)から図2(f)に示す高次モード弾性表面波デバイスにおいて、埋め込まれた電極の側面が基板表面に対して垂直でない場合の断面図である。 図2(a)に示す高次モード弾性表面波デバイス[Al電極/(0°,126.5°,0°)LiTaO結晶基板]について、図4(a)はすだれ状電極のメタライゼーション比が0.5のときのインピーダンスの周波数特性を示すグラフであり、図4(b)は図4(a)の1次モードの共振周波数付近を拡大したグラフであり、図4(c)は1次モードの共振周波数における変位分布を示すグラフであり、図4(d)はすだれ状電極のメタライゼーション比が0.7のときの1次モードのインピーダンスの周波数特性を示すグラフである。 図2(c)に示す高次モード弾性表面波デバイス[Al電極(メタライゼーション比0.5)/(0°,126.5°,0°)LiTaO結晶基板]について、インピーダンスの周波数特性を示すグラフである。 図2(d)に示す高次モード弾性表面波デバイス[Al電極(メタライゼーション比0.5)/(0°,126.5°,0°)LiTaO結晶基板/支持基板]について、図6(a)は支持基板がSi基板から構成されたとき、図6(b)は支持基板が水晶基板から構成されたときのインピーダンスの周波数特性を示すグラフである。 図2(f)に示す高次モード弾性表面波デバイス[Al電極(メタライゼーション比0.5)/(0°,126.5°,0°)LiTaO結晶基板]について、1次モードのインピーダンスの周波数特性を示すグラフである。 図2(a)に示す高次モード弾性表面波デバイス[Al電極(メタライゼーション比0.5)/(0°,116°,0°)LiNbO結晶基板]について、図8(a)はインピーダンスの周波数特性を示すグラフ、図8(b)は図8(a)の1次モードの共振周波数付近を拡大したグラフである。 図2(a)に示す高次モード弾性表面波デバイス[Cu電極(メタライゼーション比0.5)/(0°,116°,0°)LiNbO結晶基板]について、インピーダンスの周波数特性を示すグラフである。 図2(a)に示す高次モード弾性表面波デバイス[すだれ状電極(メタライゼーション比0.5)/(0°,126.5°,0°)LiTaO結晶基板]、すだれ状電極がAl電極、Cu電極およびAu電極について、図10(a)は各電極の厚みと1次モードの比帯域幅との関係、図10(b)は各電極の厚みと1次モードのインピーダンス比との関係を示すグラフである。 図2(a)に示す高次モード弾性表面波デバイス[Al電極(メタライゼーション比0.5)/(0°,θ,0°)LiTaO結晶基板]について、図11(a)はθと1次モードの比帯域幅との関係、図11(b)はθと1次モードのインピーダンス比との関係を示すグラフである。 図2(a)に示す高次モード弾性表面波デバイス[Al電極(メタライゼーション比0.5)/(0°,θ,0°)LiTaO結晶基板]について、図12は(φ,126.5°,0°)LiTaO結晶基板において、φと1次モードのインピーダンス比との関係を示すグラフである。 図2(a)に示す高次モード弾性表面波デバイス[すだれ状電極(メタライゼーション比0.5)/(0°,116°,0°)LiNbO結晶基板]、すだれ状電極がAl電極、Cu電極およびAu電極について、図13(a)は各電極の厚みと1次モードの比帯域幅との関係、図13(b)は各電極の厚みと1次モードのインピーダンス比との関係を示すグラフである。 図2(a)に示す高次モード弾性表面波デバイス[Al電極(メタライゼーション比0.5)/(0°,θ,0°)LiNbO結晶基板]について、図14(a)はθと1次モードの比帯域幅との関係、図14(b)はθと1次モードのインピーダンス比との関係を示すグラフである。 図2(a)に示す高次モード弾性表面波デバイス[Al電極(メタライゼーション比0.5)/(φ,θ,0°)LiNbO結晶基板]について、図15は(φ,116°,0°)LiNbO結晶基板において、φと1次モードのインピーダンス比との関係を示すグラフである。 図2(a)に示す高次モード弾性表面波デバイス[Al電極/(0°,126.5°,0°)LiTaO結晶基板]について、図16(a)はAl電極のメタライゼーション比と1次モードの位相速度との関係、図16(b)はAl電極のメタライゼーション比と1次モードのインピーダンス比との関係を示すグラフである。 図2(a)に示す高次モード弾性表面波デバイス[Al電極(メタライゼーション比0.85)/(0°,126.5°,0°)LiTaO結晶基板]のインピーダンスの周波数特性を示すグラフである。 図17に示す高次モード弾性表面波デバイスについて、図18(a)はすだれ状電極の厚みと0次~3次のモードの位相速度との関係、図18(b)はすだれ状電極の厚みと0次~3次のモードのインピーダンス比との関係を示すグラフである。 図2(d)に示す高次モード弾性表面波デバイス[溝深さ0.2λのCu電極(メタライゼーション比0.5)/(0°,126.5°,0°)LiTaO結晶の基板/支持基板]について、支持基板がcサファイア、Si、水晶、パイレックス(登録商標)ガラス、鉛ガラスから構成されるときの1次モードのインピーダンス比のLiTaO結晶基板厚み依存性を示すグラフである。 図2(d)に示す高次モード弾性表面波デバイス[溝深さ0.23λのCu電極(メタライゼーション比0.5)/(0°,116°,0°)LiNbO結晶の基板/支持基板]について、支持基板がcサファイア、Si、水晶、パイレックスガラス、鉛ガラスから成るときの1次モードのインピーダンス比のLiNbO結晶の基板厚み依存性を示すグラフである。 図2(d)に示す高次モード弾性表面波デバイス[溝深さ0.3λのAl電極(メタライゼーション比0.5)/(0°,126.5°,0°)LiTaO結晶の基板および(0°,116°,0°)LiNbO結晶の基板/支持基板]の周波数温度係数について、支持基板の線膨張係数ごとのLiTaO結晶の基板およびLiNbO結晶の厚み依存性を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図2乃至図21は、本発明の実施の形態の高次モード弾性表面波デバイスに関するものである。図2(a)に示すように、高次モード弾性表面波デバイス10は、高次モードの弾性表面波(SAW)を利用するものであって、圧電基板11とすだれ状電極(IDT)12とを有している。
圧電基板11は、LiTaO結晶またはLiNbO結晶から構成されている。すだれ状電極12は、圧電基板11の表面に埋め込まれている。なお、すだれ状電極12は、上面が圧電基板11の表面と同一平面上、あるいは、その平面より下にあり、圧電基板11の表面から突出していてもよい。以下、電極厚みは、溝に埋め込まれた電極厚さをいう。
高次モード弾性表面波デバイス10は、図2(b)に示すように、すだれ状電極12の隙間の圧電基板11の表面を覆うよう設けられた薄膜13を有していてもよい。薄膜13は、例えば、SiO薄膜である。すだれ状電極12は、上面が薄膜13の表面と同一平面上にある。また、高次モード弾性表面波デバイス10は、図2(a)に示すように、すだれ状電極12が圧電基板11の表面と同一でも良いし、下にあっても良い。図2(c)に示すように、すだれ状電極12が圧電基板11の表面から突出するよう設けられていてもよい。
また、高次モード弾性表面波デバイス10は、図2(d)に示すように、支持基板14を有し、圧電基板11が厚みの小さい薄板から構成され、支持基板14が、圧電基板11のすだれ状電極12が設けられた表面とは反対側の面に接するように設けられていてもよい。支持基板14は、例えば、Si基板や水晶基板、サファイア基板、ガラス基板、石英基板、ゲルマニウム基板またはアルミナ基板などの半導体あるいは絶縁基板である。また、図2(d)の構成に加えて、図2(b)のように、圧電基板11の表面に薄膜13が形成されていてもよい。また、高次モード弾性表面波デバイス10は、図2(e)に示すように、図2(d)の構成に加えて、図2(c)のように、すだれ状電極12が圧電基板11の表面から突出するよう設けられていてもよい。
また、高次モード弾性表面波デバイス10は、図2(f)に示すように、図2(d)の構成に加えて、圧電基板11と支持基板14との間に設けられた多層膜15を有していてもよい。多層膜15は、例えば、音響インピーダンスが異なる複数の層を積層した音響多層膜である。また、図2(f)の構成に加えて、図2(b)のように、圧電基板11の表面に薄膜13が形成されていてもよく、図2(c)のように、すだれ状電極12が圧電基板11の表面から突出していてもよい。
高次モード弾性表面波デバイス10は、圧電基板11の表面にすだれ状電極12を埋め込むことにより、SAWの高次モード(1次モード、2次モード、3次モードなど)を励振することができ、大きいインピーダンス比を有する高次モードを得ることができる。高次モードは、約2倍、3倍、4倍の周波数を励振するオーバートーンとも呼ぶことがある。高次モード弾性表面波デバイス10は、その高次モードを利用することにより、高周波化を図ることができ、3.8GHz以上の高周波数帯でも良好な特性を得ることができる。また、高次モードを利用することにより、3.8GHz以上の高周波数帯でも圧電基板11を超薄板化したり、すだれ状電極の周期を小さくしたりする必要がなく、十分な機械的強度を保つことができる。
高次モード弾性表面波デバイス10は、例えば、以下のようにして製造することができる。まず、圧電基板11の表面に、すだれ状電極12を埋め込むための電極溝を形成する。すなわち、圧電基板11の表面の電極溝を形成しない部分に、レジスト等を塗布し、Ar等のイオンで乾式エッチングを行って、圧電基板11の表面に電極溝を形成する。このとき、レジストの代わりに、レジスト以外の材料として、エッチング時の速度が圧電基板11のエッチング速度より遅い材料を用いてもよい。また、乾式エッチングのほかに、湿式でエッチングする方法を用いてもよい。
次に、その電極溝を圧電基板11の表面まで埋める程度の厚みで、圧電基板11の表面全体に、電極用の金属を成膜する。その後、湿式エッチングあるいは洗浄等でレジストを除去する。これにより、電極溝に埋め込められたすだれ状電極12を形成することができる。なお、すだれ状電極12の厚みが所望の厚みでない場合には、さらにエッチング等によりすだれ状電極12の厚みを調整する工程を行ってもよい。
以下では、図2に示す各構成の高次モード弾性表面波デバイス10について、インピーダンス比や比帯域幅等を求めた。図1(c)を参照すると、インピーダンス比は、共振特性のインピーダンスのうち、最も低い共振周波数frでの共振インピーダンスZrと、最も高い反共振周波数faでの反共振インピーダンスZaとの比20×log(Za/Zrで与えられる。比帯域幅は、(fa-fr)/frで与えられる。また、図1(a)を参照すると、すだれ状電極52のメタライゼーション比は、弾性表面波の伝搬方向に沿って、すだれ状電極52の電極指の幅Fを、電極指の周期(λ)の半分(電極指の幅Fと電極指間の隙間Gとの和)で除した比率、すなわちF/(F+G)=2×F/λによって与えられる。
図3に示すように、すだれ状電極12の電極が基板表面に垂直ではなく傾いて基板内に埋め込まれた場合があり得る。このような場合には、メタライゼーション比及び電極幅は、実効的なメタライゼーション比および電極幅とする。すなわち、電極溝の側面と圧電基板11の表面とがなす角γが90度より小さいときには、各電極の表面の幅a、底の幅b、埋め込まれた深さdとすると、面極の実効的な幅cは(a+b)/2、メタライゼーション比は(c/(c+e))で与えるものとする。埋め込まれた電極深さはdのままである。
ここでは、すだれ状電極12の周期(λ)を1μm、メタライゼーション比を0.5、すなわち、電極指の幅を0.25μm、電極指の隙間を0.25μmとした。なお、以下では、オイラー角(φ、θ、ψ)を、単に(φ、θ、ψ)で表す。また、圧電基板11やすだれ状電極12の厚み等を、使用する弾性表面波デバイスの波長λ(すだれ状電極の周期)に対する倍率で表す。
図4に、図2(a)に示す構造を有する高次モード弾性表面波デバイス10の、インピーダンスの周波数特性等を示す。圧電基板11は、(0°,126.5°,0°)LiTaO結晶である。すだれ状電極12は、厚みが0.36λのAl電極から構成され、圧電基板11の表面から深さ0.36λまで埋め込まれている。すだれ状電極12のメタライゼーション比が0.5のときの、インピーダンスの周波数特性を図4(a)および図4(b)に、1次モードの共振周波数における変位分布を図4(c)に示す。図4(b)は、図4(a)の1次モードの共振周波数付近を拡大したものである。また、すだれ状電極12のメタライゼーション比が0.7のときの、インピーダンスの周波数特性を図4(d)に示す。
図4(a)に示すように、すだれ状電極12を圧電基板11に埋め込むことにより、図1に示す従来のSAWデバイスの0次モードの共振周波数3.3GHzの1.36倍の共振周波数4.5GHzの0次モードが得られていることが確認された。しかも、図4(a)および図4(b)に示すように、共振周波数4.5GHzの0次モードに対し、その約2倍の共振周波数9.6GHzの1次モードが大きく励振されていることが確認された。その1次モードの比帯域幅は3%、インピーダンス比は67dBであり、図1に示す従来のSAWデバイスよりも大きなインピーダンス比が得られていることが確認された。1次モードの共振周波数は、従来のSAWデバイスの共振周波数の約2.9倍である。
また、図4(c)に示すように、共振周波数9.5GHzの1次モードは、SH(shear horizontal)成分のみから構成されており、従来のSAWデバイスの共振周波数もSH成分から構成されることから、基本モード(0次)の高次モード(1次モード)であることがわかる。なお、図4(c)中の「L」は縦波成分、「SV」は shear vertical 成分を表している。また、図4(d)に示すように、メタライゼーション比を0.7にすることにより、1次モードの共振周波数がメタライゼーション比を0.5の時の1.2倍の11.2GHzに、比帯域幅が13%広い3.4%に、インピーダンス比が3dB大きい70dBになることが確認された。
図5に、図2(c)に示す構造を有する高次モード弾性表面波デバイス10の、インピーダンスの周波数特性を示す。圧電基板11は、(0°,126.5°,0°)LiTaO結晶である。すだれ状電極12は、厚みが0.38λのAl電極から構成され、圧電基板11の表面から深さ0.36λまで埋め込まれ、圧電基板11の表面から0.02λ突出している。すだれ状電極12のメタライゼーション比は、0.5である。
図5に示すように、図4(a)および図4(b)と比べ、高次モード(1次モード)の共振周波数は少し高くなっていることが確認された。また、インピーダンス比は50dBと小さくなるが、比帯域幅が1%と狭くなっており、狭帯域化に適しているといえる。また、スプリアスとなる基本モード(0次)の励振が小さいことが確認された。
図6に、図2(d)に示す構造を有する高次モード弾性表面波デバイス10の、インピーダンスの周波数特性を示す。圧電基板11は、(0°,126.5°,0°)LiTaO結晶であり、厚みが0.5λである。すだれ状電極12は、厚みが0.36λのAl電極から構成され、圧電基板11の表面から深さ0.36λまで埋め込まれている。すだれ状電極12のメタライゼーション比は、0.5である。支持基板14は、Siまたは水晶から構成され、いずれも厚みが350μmであり、接着剤や直接接合により圧電基板11と接合されている。支持基板14がSi基板から構成されるときのインピーダンスの周波数特性を図6(a)に、支持基板14が水晶基板から構成されるときのインピーダンスの周波数特性を図6(b)に示す。
図6(a)に示すように、Si支持基板を有する場合、1次モードの共振周波数が9GHzであり、比帯域幅が2.8%、インピーダンス比が71dBであることが確認された。また、図6(b)に示すように、水晶基板を有する場合、1次モードの共振周波数が9GHzであり、比帯域幅が3.5%、インピーダンス比が68dBであることが確認された。図6(a)および図6(b)を図4(b)と比較すると、支持基板14を設けることにより、インピーダンス比が大きくなることが確認された。なお、より大きいインピーダンス比を得るためには、圧電基板11は、支持基板14より薄いことが好ましく、20波長以下であることがより好ましく、さらに10波長以下であることが好ましい。
図7に、図2(f)に示す構造を有する高次モード弾性表面波デバイス10の、インピーダンスの周波数特性を示す。圧電基板11は、(0°,126.5°,0°)LiTaO結晶であり、厚みが0.5λである。すだれ状電極12は、厚みが0.36λのAl電極から構成され、圧電基板11の表面から深さ0.36λまで埋め込まれている。すだれ状電極12のメタライゼーション比は、0.5である。多層膜15は、音響インピーダンスが異なるSiO層(厚み0.25μm)とTa層(厚み0.25μm)とを、交互に6層積層した音響多層膜から構成される。支持基板14は、Si基板から構成され、厚みが350μmである。なを、この音響膜の層数は6層以外でも良い。
図7に示すように、1次モードの共振周波数が9.5GHzであり、比帯域幅が2.6%、インピーダンス比が69dBであることが確認された。図7を図6(a)と比較すると、多層膜15を設けることにより、帯域幅がやや狭くなると共に、インピーダンス比がやや小さくなることが確認された。
図8に、図2(a)に示す構造を有する高次モード弾性表面波デバイス10の、インピーダンスの周波数特性を示す。図8(a)はインピーダンスの周波数特性を示し、図8(b)は図8(a)の1次モードの共振周波数付近を拡大したものである。圧電基板11は、(0°,116°,0°)LiNbO結晶である。すだれ状電極12は、厚みが0.35λのAl電極から構成され、圧電基板11の表面から深さ0.35λまで埋め込まれている。すだれ状電極12のメタライゼーション比は、0.5である。
図8(a)および8(b)に示すように、圧電基板11がLiNbO結晶の場合も、LiTaO結晶の場合(図4参照)と同様に、10.4GHzの高次モード(1次モード)が大きく励振されていることが確認された。その1次モードの比帯域幅は6.4%、インピーダンス比は68dBであり、図4(b)に示すLiTaO結晶の1次モードと比べて、帯域幅が広くなり、インピーダンス比が大きくなっていることが確認された。
図9に、図2(a)に示す構造を有する高次モード弾性表面波デバイス10の、インピーダンスの周波数特性を示す。圧電基板11は、(0°,116°,0°)LiNbO結晶である。すだれ状電極12は、厚みが0.24λのCu電極から構成され、圧電基板11の表面から深さ0.24λまで埋め込まれている。すだれ状電極12のメタライゼーション比は、0.5である。
図9に示すように、すだれ状電極12がCu電極の場合、1次モードの共振周波数は、Al電極の場合(図8(a)参照)と比べて、9.5GHzと少し低くなるが、Al電極よりも薄く(浅く)形成しても、Al電極と同程度である68dBのインピーダンス比が得られることが確認された。
図10に、図2(a)に示す構造を有する高次モード弾性表面波デバイス10の、すだれ状電極12の厚みと1次モードの比帯域幅およびインピーダンス比との関係を示す。圧電基板11は、(0°,126.5°,0°)LiTaO結晶である。すだれ状電極12は、Al電極、Cu電極、またはAu電極から構成されている。すだれ状電極12のメタライゼーション比は、0.5である。各電極の厚み(深さ)を0.02λ~0.6λまで変化させたときの、各電極の厚みと比帯域幅との関係、および、各電極の厚みと1次モードのインピーダンス比との関係を、それぞれ図10(a)および図10(b)に示す。
図10(a)に示すように、同じ厚み(深さ)のときには、Al電極の帯域幅が最も広く、Cu電極、Au電極の順に帯域幅が狭くなっていくことが確認された。また、各電極とも、厚み(深さ)が大きくなるに従って、帯域幅が広がっていくことも確認された。また、図10(b)に示すように、Al電極で0.15λ~0.6λ、Cu電極およびAu電極で0.16λ~0.6λのとき、インピーダンス比が50dB以上になることが確認された。また、Al電極で0.23λ~0.6λ、Cu電極で0.18λ~0.6λ、Au電極で0.25λ~0.6λのとき、インピーダンス比が60dB以上になることが確認された。さらにAl電極で0.3λ~0.6λ、Cu電極で0.29λ~0.6λ、Au電極で0.55λ~0.6λのとき、インピーダンス比が65dB以上になることが確認された。
なお、電極の厚み×メタライゼーション比は一定であり、例えば、メタライゼーション比が0.5、電極の厚み0.15λに対し、メタライゼーション比0.75の場合、電極の厚みは、0.5×0.15λ/0.75=0.10λとなる。このため、例えば、メタライゼーション比0.5のときのAl電極の厚み0.15λに対し、メタライゼーション比0.75の場合には、Al電極の厚みが0.10λ以上あればよいことになる。
なお、図2(a)に示す構造に限らず、図2(b)~図2(f)に示す構造であっても、各電極の厚みに対するインピーダンス比の関係は変わらないものと考えられる。また、各電極の厚みに対するインピーダンス比の関係は、密度1500~6000kg/mの電極材料(例えば、Ti,Mg合金)はAl電極と、密度6000~12000kg/mの電極材料(例えば、Ag,Mo,Ni)はCu電極と、密度12000~23000kg/mの電極材料(例えば、Pt,W,Ta,Hf)はAu電極と同じ傾向を示す。また、用いる電極材料が合金の場合や、異なる金属で積層されたものである場合には、それぞれの材料の厚みと密度とから計算された平均密度により、上記の電極の厚みに対するインピーダンス比の関係の傾向が決まる。
図11に、図2(a)に示す構造を有する高次モード弾性表面波デバイス10の、圧電基板11のオイラー角と1次モードの比帯域幅およびインピーダンス比との関係を示す。圧電基板11は、(0°,θ,0°)LiTaO結晶である。すだれ状電極12は、厚みが0.36λのAl電極から構成され、圧電基板11の表面から深さ0.36λまで埋め込まれている。すだれ状電極12のメタライゼーション比は、0.5である。オイラー角を構成するθを0°~180°まで変化させたときの、θと比帯域幅との関係、および、θとインピーダンス比との関係を、それぞれ図11(a)および図11(b)に示す。
図11(a)および図11(b)に示すように、θ=112°~168°のとき、比帯域幅が2.5%以上であり、θ=112°~140°のとき、インピーダンス比が50dB以上になることが確認された。また、θ=120°~132°のとき、比帯域幅が2.6~2.7%であり、インピーダンス比が60dB以上になることが確認された。また、図12に示すようにφ=-20°から20°でインピーダンス比が50dB以上、φ=-10°から10°でインピーダンス比が60dB以上になることが確認された。
図13に、図2(a)に示す構造を有する高次モード弾性表面波デバイス10の、すだれ状電極12の厚みと1次モードの比帯域幅およびインピーダンス比との関係を示す。圧電基板11は、(0°,116°,0°)LiNbO結晶である。すだれ状電極12は、Al電極、Cu電極、またはAu電極から構成されている。すだれ状電極12のメタライゼーション比は、0.5である。各電極の厚み(深さ)を0.02λ~0.6λまで変化させたときの、各電極の厚みと比帯域幅との関係、および、各電極の厚みとインピーダンス比との関係を、それぞれ図13(a)および図13(b)に示す。
図13(a)に示すように、0.1λ以上で同じ厚み(深さ)のときには、Al電極の帯域幅が最も広く、Cu電極、Au電極の順に帯域幅が狭くなっていくことが確認された。また、各電極とも、0.4λ以下では、厚み(深さ)が大きくなるに従って、帯域幅が広がっていくことも確認された。また、図13(b)に示すように、Al電極で0.14λ~0.6λ、Cu電極で0.13λ~0.6λ、Au電極で0.15λ~0.6λのとき、インピーダンス比が50dB以上になることが確認された。また、Al電極で0.21λ~0.6λ、Cu電極で0.18λ~0.6λ、Au電極で0.23λ~0.6λのとき、インピーダンス比が60dB以上になることが確認された。なお、上述のように、電極の厚み×メタライゼーション比は一定である。
なお、図2(a)に示す構造に限らず、図2(b)~図2(f)に示す構造であっても、各電極の厚みに対するインピーダンス比の関係は変わらないものと考えられる。また、各電極の厚みに対するインピーダンス比の関係は、密度1500~6000kg/mの電極材料(例えば、Ti,Mg合金)はAl電極と、密度6000~12000kg/mの電極材料(例えば、Ag,Mo,Ni)はCu電極と、密度12000~23000kg/mの電極材料(例えば、Pt,W,Ta,Hf)はAu電極と同じ傾向を示す。また、用いる電極材料が合金の場合や、異なる金属で積層されたものである場合には、それぞれの材料の厚みと密度とから計算された平均密度により、上記の電極の厚みに対するインピーダンス比の関係の傾向が決まる。
図14に、図2(a)に示す構造を有する高次モード弾性表面波デバイス10の、圧電基板11のオイラー角と1次モードの比帯域幅およびインピーダンス比との関係を示す。圧電基板11は、(0°,θ,0°)LiNbO結晶である。すだれ状電極12は、厚みが0.3λのAl電極から構成され、圧電基板11の表面から深さ0.3λまで埋め込まれている。すだれ状電極12のメタライゼーション比は、0.5である。オイラー角を構成するθを50°~180°まで変化させたときの、θと比帯域幅との関係、および、θとインピーダンス比との関係を、それぞれ図14(a)および図14(b)に示す。
図14(a)および図14(b)に示すように、θ=78°~153°のとき、比帯域幅が4.4~6.5%であり、インピーダンス比が50dB以上になることが確認された。また、θ=87°~143°のとき、比帯域幅が5.2~6.5%であり、インピーダンス比が60dB以上になることが確認された。さらにθ=94°~135°のとき、比帯域幅が5.7~6.5%であり、インピーダンス比が65dB以上になることが確認された。また、図15に示すようにφ=-25°から25°でインピーダンス比が50dB以上、φ=-20°から20°でインピーダンス比が60dB以上になること、φ=-10°から10°でインピーダンス比が70dB以上になることが確認された。
図16に、図2(a)に示す構造を有する高次モード弾性表面波デバイス10の、すだれ状電極12のメタライゼーション比と1次モードの位相速度およびインピーダンス比との関係を示す。圧電基板11は、(0°,126.5°,0°)LiTaO結晶である。すだれ状電極12は、厚みが0.36λのAl電極から構成され、圧電基板11の表面から深さ0.36λまで埋め込まれている。Al電極のメタライゼーション比を、0.3~0.9まで変化させたときの、メタライゼーション比と位相速度との関係、および、メタライゼーション比とインピーダンス比との関係を、それぞれ図16(a)および図16(b)に示す。
図16(a)に示すように、位相速度は、約10000~11500m/sであり、概ねメタライゼーション比が大きいほど速くなる傾向があることが確認された。また、図16(b)に示すように、メタライゼーション比が0.4以上のとき、インピーダンス比が50dB以上、メタライゼーション比が4.5以上のとき、インピーダンス比が60dB以上、メタライゼーション比が0.52以上のとき、インピーダンス比が65dB以上、メタライゼーション比が0.63以上のとき、インピーダンス比が70dB以上になることが確認された。
図17に、図2(a)に示す構造を有する高次モード弾性表面波デバイス10の、インピーダンスの周波数特性を示す。圧電基板11は、(0°,126.5°,0°)LiTaO結晶である。すだれ状電極12は、厚みが0.2λのAl電極から構成され、圧電基板11の表面から深さ0.2λまで埋め込まれている。すだれ状電極12のメタライゼーション比は、0.85である。
図17に示すように、0次モードの高次モードである1次モード、2次モード、3次モードが励振されていることが確認された。図4や図8に示すように、メタライゼーション比が0.5のときには、2次モードや3次モードはほとんど確認できないことから、メタライゼーション比を大きくすることにより、2次や3次などの高次モードが励振されると考えられる。
図17と同じ構造で、すだれ状電極12の厚みを0.05λ~0.55λまで変化させたときの、すだれ状電極12の厚みと0次~3次のモードの位相速度との関係、および、すだれ状電極12の厚みと0次~3次のモードのインピーダンス比との関係を、図18(a)および図18(b)に示す。図18(a)に示すように、例えば、すだれ状電極12の厚みが0.3λのとき、0次モードと比べて位相速度が約2.7倍の1次モード、4.7倍の2次モード、約6.9倍の3次モードの高次モードが励振されていることが確認された。また、このとき、図18(b)に示すように、インピーダンス比は、0次モードが47dBであるのに対し、1次モードが57dB、2次モードが40dB、3次モードが45dBであり、十分に使用可能なレベルであることが確認された。
表1に図2(d)に示す高次モード弾性表面波デバイス[溝電極/LiTaO結晶あるいはLiNbO結晶基板/支持基板]用の支持基板の密度、縦波音速、横波音速を示す。縦波音速は((c33/密度)の平方根)、横波音速は((c44/密度)の平方根)で表される。ここで、Cijは弾性スチフネス定数である。横波音速に応じてA,B,C,D,Eの5つにグループ分けしてある。
Figure 0007517701000001
図19には、図2(d)に示す高次モード弾性表面波デバイス[溝深さ0.2λのCu電極(メタライゼーション比0.5)/(0°,126.5°,0°)LiTaO結晶基板/支持基板]の、支持基板がcサファイア、Si、水晶、パイレックス(Pyrex)ガラス、鉛ガラスから構成されたときの、インピーダンス比のLiTaO結晶基板厚み依存性を示している。図中、白抜きの記号は、周波数特性の帯域内にリップルのない特性を示し、黒塗りの記号は、帯域内にリップルのある特性を示している。いずれの支持基板でも、LiTaO結晶厚み20波長以上では、支持基板のないLiTaO結晶基板だけの時のインピーダンス比62dBと一致するが、20波長以下のLiTaO結晶厚におけるインピーダンス比はそれに比べ大きくなる。
表1に示したLiTaO結晶の横波音速3604m/sよりはるかに横波音速の遅い表1の横波音速2000~3000m/sのグループAの2414m/sの鉛ガラスの場合は、LiTaO結晶厚み0.2λ以上20λ未満で帯域内リップルなく、62dBのインピーダンス比が、10波長以下で63dB以上のインピーダンス比が得られる。横波音速がLiTaO結晶よりはるかに速い、表1の横波音速6001~8000m/sのEグループの音速6073m/sのサファイアの場合も、帯域内のリップルなしにLiTaO結晶厚み0.2λ以上20λ未満で帯域内リップルなく、62dB以上のインピーダンス比が、LiTaO結晶厚み0.2λ以上10λで、63dB以上のインピーダンス比が得られる。
しかし、横波がLiTaO結晶の横波音速に近い表1の横波音速3000~4220m/sのBグループのパイレックスガラス、4220~5000m/sのCグループの水晶、4220~5000m/sのDグループのSi基板の支持基板の場合はLiTaO結晶厚0.2λ以上2λ未満では帯域内にリップルが生じ、LiTaO結晶厚2λから20λ未満で、62dB以上のインピーダンス比が得られ、LiTaO結晶厚2λから10λでは64.5dB以上のインピーダンス比が得られる。
図20には、図2(d)に示す高次モード弾性表面波デバイス[溝深さ0.23λのCu電極(メタライゼーション比0.5)/(0°,112°,0°)LiNbO結晶基板/支持基板]の、支持基板がcサファイア、Si、水晶、パイレックスガラス、鉛ガラスから構成されるときの、インピーダンス比のLiTaO結晶基板厚み依存性を示している。図中、白抜きの記号は、周波数特性の帯域内にリップルのない特性を示し、黒塗りの記号は、帯域内にリップルのある特性を示している。いずれの支持基板でも、LiNbO結晶厚み20波長以上では、支持基板のないLiNbO結晶基板だけの時のインピーダンス比68dBと一致するが、20波長未満のLiNbO結晶厚におけるインピーダンス比はそれに比べ大きくなる。
表1に示したLiTaO結晶の横波音速3604m/sよりはるかに横波音速の遅い表1のグループAの横波音速2414m/sの鉛ガラスの場合は、LiTaO結晶厚み0.2λ以上20λ未満で帯域内リップルなく、68~80dB以上のインピーダンス比が、10波長以下で71.5dB以上のインピーダンス比が得られる。表1のCグループの横波音速6073m/sとLiTaO結晶よりはるかに速いサファイアの場合も、帯域内のリップルなしにLiTaO結晶厚み0.2λ以上20λ未満で帯域内リップルなく、68~71dBのインピーダンス比が得られ、LiTaO結晶厚10波長以下で70dB以上のインピーダンス比が得られる。
しかし、横波がLiTaO結晶の横波音速に近い表1のB、C,Dグループの横波音速3000~6000m/sのパイレックス(Pyrex)、水晶、Siの支持基板の場合は、LiTaO結晶厚0.2λ以上2λ未満では帯域内にリップルが生じ、LiTaO結晶厚2λから20λ未満で、68~77dBのインピーダンス比が、LiTaO結晶厚2λから10λ未満で、71.5~77dBのインピーダンス比が得られる。
なお、LiTaO結晶やLiNbO結晶の圧電板と支持基板との間にSiO膜、SiO膜、SiOFなどSiO化合物膜などの薄膜がある場合は、その膜と下の支持基板との平均の横波音速と考える。圧電基板と支持基板の間にSiO膜、SiO化合物膜、あるいは音響多層膜が介在する場合でも、それらの2波長以内の音速の見かけ上の平均値が、表1のA,B,Cのいずれかのグループに属する音速で、圧電基板の最適膜厚は決定される。その場合、圧電基板に接する1層目の材料のウエイトを70%とし、それ以降をすべて30%とする。たとえば、1層目のSiO膜(横波音速3572m/s)が0.5波長厚、サファイア(横波音速6073m/s)支持基板厚が1.5波長の場合は、(3572×0.5×0.7+6073×1.5×0.3)=3983m/sとなり、グループEで最適な基板厚のLiTaO結晶,LiNbO結晶基板を使用すれば良い。
表2にLiTaO結晶とLiNbO結晶の線膨張係数、およびLiTaO結晶やLiNbO結晶より小さい代表的な基板の線膨張係数を示す。表2には、図2(d)に示す高次モード弾性表面波デバイス[溝電極/圧電基板/支持基板]構造で用いられる各種支持基板の線膨張係数が示されている。
Figure 0007517701000002
図21に図2(d)に示す高次モード弾性表面波デバイス[溝深さ0.3λのAl電極(メタライゼーション比0.5)/(0°,126.5°,0°)LiTaO結晶基板/支持基板]と溝深さ0.3λのAl電極(メタライゼーション比0.5)/(0°,112°,0°)LiNbO結晶基板/支持基板]の周波数温度係数の、支持基板の線膨張係数ごとのLiTaO結晶およびLiNbO結晶/支持基板依存性を示す。縦軸の周波数温度係数はLiTaO結晶あるいはLiNbO結晶/支持基板を用いたときの温度1℃あたりの周波数変化率、すなわち(-20から80℃間における最大周波数変化量/(100~20℃における温度の最大変化量(この場合80)))で表され、左と右の縦軸はそれぞれ、LiTaO結晶基板、LiNbO結晶基板を用いたときの周波数温度係数である。横軸は支持基板と圧電基板の比、すなわち、(支持基板の厚み/LiTaO結晶基板あるいはLiNbO結晶基板厚)で表している。
支持基板にのみAlの溝電極を設けたときの周波数温度係数はそれぞれ、-45、-100ppm/℃であるが、線膨張係数0.5×10-6/℃の支持基板を用いた場合、圧電基板/支持基板の厚み比が2.5以上でLiTaO結晶では、-25ppm/℃より、LiNbO結晶では-35ppm/℃より良好な周波数温度係数が得られる。線膨張係数3.35×10-6/℃の支持基板を用いた場合、圧電基板/支持基板の厚み比が4以上で、線膨張係数8.4×10-6/℃の支持基板を用いた場合、圧電基板/支持基板の厚み比が6.7以上で、線膨張係数10.4×10-6/℃の支持基板を用いた場合、圧電基板/支持基板の厚み比が8以上でLiTaO結晶の場合、-25ppm/℃、LiNbO結晶の場合-35ppm/℃より良好な周波数温度係数が得られる。この線膨張係数αと圧電基板/支持基板の厚み比TRとの関係は次の(2)式で表される。
TR=α×0.55×10 + 2.18 (2)
よって、(2)式で得られるTRより大きな圧電基板/支持基板の厚み比となる、圧電基板、支持基板を用いれば良い。圧電基板と支持基板の間にSiO膜、SiO化合膜、あるいは音響多層膜が介在する場合でも、厚みに応じた線膨張係数の平均値と、総厚みとからTRを計算すればよい。表2に示したLiTaO結晶やLiNbO結晶より線膨張経緯数の小さい、10.4×10-6/℃以下の支持基板を使用するのが望ましく、それ以下の線膨張係数ならなお良い。
10 高次モード弾性表面波デバイス
11 圧電基板
12 すだれ状電極(IDT)
13 薄膜
14 支持基板
15 多層膜

Claims (26)

  1. 高次モードの弾性表面波を利用するデバイスであって、
    LiTaO 結晶を含む圧電基板と、
    前記圧電基板の表面に埋め込まれたすだれ状電極と
    を含み、
    記すだれ状電極は、Ti,Al及びMg合金の少なくとも1つを含み、前記圧電基板の表面から、前記弾性表面波の波長/メタライゼーション比が0.075~0.3の範囲にある深さまで埋め込まれているデバイス。
  2. 高次モードの弾性表面波を利用するデバイスであって、
    LiTaO 結晶を含む圧電基板と、
    前記圧電基板の表面に埋め込まれたすだれ状電極と
    を含み、
    され、
    記すだれ状電極は、Ag,Mo,Cu,Ni,Pt,Au,W,Ta及びHfの少なくとも1つを含み、前記圧電基板の表面から、前記弾性表面波の波長/メタライゼーション比が0.08~0.3の範囲にある深さまで埋め込まれているデバイス。
  3. 高次モードの弾性表面波を利用するデバイスであって、
    LiTaO 結晶を含む圧電基板と、
    前記圧電基板の表面に埋め込まれたすだれ状電極と
    を含み、
    記すだれ状電極は、Ti,Al及びMg合金の少なくとも1つを含み、前記圧電基板の表面から、前記弾性表面波の波長/メタライゼーション比が0.115~0.3の範囲にある深さまで埋め込まれているデバイス。
  4. 高次モードの弾性表面波を利用するデバイスであって、
    LiTaO 結晶を含む圧電基板と、
    前記圧電基板の表面に埋め込まれたすだれ状電極と
    を含み、
    記すだれ状電極は、Ag,Mo,Cu及びNiの少なくとも1つを含み、前記圧電基板の表面から、前記弾性表面波の波長/メタライゼーション比が0.09~0.3の範囲にある深さまで埋め込まれているデバイス。
  5. 高次モードの弾性表面波を利用するデバイスであって、
    LiTaO 結晶を含む圧電基板と、
    前記圧電基板の表面に埋め込まれたすだれ状電極と
    を含み、
    記すだれ状電極は、Pt,Au,W,Ta及びHfの少なくとも1つを含み、前記圧電基板の表面から、前記弾性表面波の波長/メタライゼーション比が0.125~0.3の範囲にある深さまで埋め込まれているデバイス。
  6. 高次モードの弾性表面波を利用するデバイスであって、
    LiNbO 結晶を含む圧電基板と、
    前記圧電基板の表面に埋め込まれたすだれ状電極と
    を含み、
    記すだれ状電極は、Ti,Al及びMg合金の少なくとも1つを含み、前記圧電基板の表面から、前記弾性表面波の波長/メタライゼーション比が0.07~0.3の範囲にある深さまで埋め込まれているデバイス。
  7. 高次モードの弾性表面波を利用するデバイスであって、
    LiNbO 結晶を含む圧電基板と、
    前記圧電基板の表面に埋め込まれたすだれ状電極と
    を含み、
    記すだれ状電極は、Ag,Mo,Cu及びNiの少なくとも1つを含み、前記圧電基板の表面から、前記弾性表面波の波長/メタライゼーション比が0.065~0.3の範囲にある深さまで埋め込まれているデバイス。
  8. 高次モードの弾性表面波を利用するデバイスであって、
    LiNbO 結晶を含む圧電基板と、
    前記圧電基板の表面に埋め込まれたすだれ状電極と
    を含み、
    記すだれ状電極は、Pt,Au,W,Ta及びHfの少なくとも1つを含み、前記圧電基板の表面から、前記弾性表面波の波長/メタライゼーション比が0.075~0.3の範囲にある深さまで埋め込まれているデバイス。
  9. 高次モードの弾性表面波を利用するデバイスであって、
    LiNbO 結晶を含む圧電基板と、
    前記圧電基板の表面に埋め込まれたすだれ状電極と
    を含み、
    記すだれ状電極は、Ti,Al及びMg合金の少なくとも1つを含み、前記圧電基板の表面から、前記弾性表面波の波長/メタライゼーション比が0.105~0.3の範囲にある深さまで埋め込まれているデバイス。
  10. 高次モードの弾性表面波を利用するデバイスであって、
    LiNbO 結晶を含む圧電基板と、
    前記圧電基板の表面に埋め込まれたすだれ状電極と
    を含み、
    記すだれ状電極は、Ag,Mo,Cu及びNiの少なくとも1つを含み、前記圧電基板の表面から、前記弾性表面波の波長/メタライゼーション比が0.09~0.3の範囲にある深さまで埋め込まれているデバイス。
  11. 高次モードの弾性表面波を利用するデバイスであって、
    LiNbO 結晶を含む圧電基板と、
    前記圧電基板の表面に埋め込まれたすだれ状電極と
    を含み、
    記すだれ状電極は、Pt,Au,W,Ta及びHfの少なくとも1つを含み、前記圧電基板の表面から、前記弾性表面波の波長/メタライゼーション比が0.115~0.3の範囲にある深さまで埋め込まれているデバイス。
  12. 前記圧電基板は、オイラー角が(0°±20°、112°~140°、0°±5°)の範囲にあり、又はこれと結晶学的に等価なオイラー角である請求項1乃至のいずれか1項に記載のデバイス。
  13. 前記圧電基板は、オイラー角が(0°±10°、120°~132°、0°±5°)の範囲にあり、又はこれと結晶学的に等価なオイラー角である請求項1乃至のいずれか1項に記載のデバイス。
  14. 前記圧電基板は、オイラー角が(0°±25°、78°~153°、0°±5°)の範囲にあり、又はこれと結晶学的に等価なオイラー角である請求項乃至11のいずれか1項に記載のデバイス。
  15. 前記圧電基板は、オイラー角が(0°±20°、87°~143°、0°±5°)の範囲にあり、又はこれと結晶学的に等価なオイラー角である請求項乃至11のいずれか1項に記載のデバイス。
  16. 高次モードの弾性表面波を利用するデバイスであって、
    LiTaO 結晶又はLiNbO 結晶を含む圧電基板と、
    前記圧電基板の表面に埋め込まれたすだれ状電極と、
    前記圧電基板の前記すだれ状電極が設けられた表面とは反対側の面に接するよう設けられた支持基板
    を含み、
    前記支持基板の横波音速又は等価的な横波音速が2000~3000m/s又は6000~8000m/sの範囲にあり、前記圧電基板の厚みは0.2波長から20波長の範囲にあるデバイス。
  17. 高次モードの弾性表面波を利用するデバイスであって、
    LiTaO 結晶又はLiNbO 結晶を含む圧電基板と、
    前記圧電基板の表面に埋め込まれたすだれ状電極と、
    前記圧電基板の前記すだれ状電極が設けられた表面とは反対側の面に接するよう設けられた支持基板
    を含み、
    前記支持基板の横波音速又は等価的な横波音速が3000~6000m/sの範囲にあり、前記圧電基板の厚みは2波長から20波長の範囲にあるデバイス。
  18. 高次モードの弾性表面波を利用するデバイスであって、
    LiTaO 結晶又はLiNbO 結晶を含む圧電基板と、
    前記圧電基板の表面に埋め込まれたすだれ状電極と、
    前記圧電基板の前記すだれ状電極が設けられた表面とは反対側の面に接するよう設けられた支持基板
    を含み、
    前記支持基板の線膨張係数は10.4×10-6/℃以下であり、αを線膨張係数として、前記支持基板/前記圧電基板の厚みの比は、下記の(1)式で規定されたTRの値以上であるデバイス。
    TR=α×0.55×10 + 2.18 (1)
  19. 前記すだれ状電極は、前記圧電基板の表面と同一面ではないように形成される、請求項1乃至18のいずれか1項に記載のデバイス。
  20. 前記圧電基板に接するよう設けられた薄膜又は基板を含む、請求項1乃至19のいずれか1項に記載のデバイス。
  21. 支持基板及び/又は多層膜をさらに含み、
    前記支持基板及び/又は前記多層膜は前記圧電基板の前記すだれ状電極が設けられた表面とは反対側の面に設けられる、請求項1乃至15のいずれか1項に記載のデバイス。
  22. 前記支持基板は、金属以外の材料を含む、請求項21に記載のデバイス。
  23. 前記支持基板は、Si、水晶、サファイア、ガラス、石英、ゲルマニウム及びアルミナの少なくとも1つを含む、請求項22に記載のデバイス。
  24. 前記多層膜は、音響インピーダンスが異なる複数の層を積層した音響多層膜を含む、請求項21乃至23のいずれか1項に記載のデバイス。
  25. 前記すだれ状電極のメタライゼーション比は、0.45以上である請求項1乃至24のいずれか1項に記載のデバイス。
  26. 前記すだれ状電極のメタライゼーション比は、0.63以上である請求項1乃至24のいずれか1項に記載のデバイス。
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