JP7513702B2 - 含フッ素重合体、組成物、光学フィルム、液晶フィルム、ハードコートフィルム、偏光板 - Google Patents

含フッ素重合体、組成物、光学フィルム、液晶フィルム、ハードコートフィルム、偏光板 Download PDF

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本発明は、含フッ素重合体、組成物、光学フィルム、液晶フィルム、ハードコートフィルム、偏光板に関する。
ポリマー材料は、近年、多分野でますます利用されている。それに伴い、それぞれの分野に応じて、マトリクスとしてのポリマーの性状とともに、その表面や界面の特性が重要となっている。
光学補償シートおよび位相差フィルム等の光学フィルムは、画像着色解消または視野角拡大等のために、様々な画像表示装置で用いられている。光学フィルムとしては延伸複屈折フィルムが使用されていたが、近年、延伸複屈折フィルムに代えて、液晶化合物からなる光学異方性層を有するフィルム(液晶フィルム)を使用することが提案されている。
例えば、ムラを生じることなく、表示品位の高い画像を表示するために、所定のフルオロ脂肪族基含有共重合体を含有する光学異方性層を有する光学フィルムを使用することが提案されている(特許文献1)。
一方で、近年では光学フィルムに求められる機能がますます高度化している。光学的機能を有する層を組み合わせて種々の光学積層体を構成することも提案されており、これらの層を組み合わせるにあたっては、塗布厚みムラ、欠陥、ハジキ状故障等を生じさせない要求がさらに高まっている。
特開2004-198511号公報
液晶化合物を用いて形成される光学異方性層においては、液晶化合物を均一に配向させ配向欠陥を生じさせないようにする要求がある(以下、このような要求を満たすことを、配向性に優れるともいう)。また、ムラや欠陥のない均質性に対する要求がある。
そこで、本発明は、配向性と均質性に優れる膜を形成することができる含フッ素重合体、上記含フッ素重合体を含有する組成物、ならびに、上記組成物から形成される層を有する光学フィルム、液晶フィルム、ハードコートフィルムおよび偏光板を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、所定の含フッ素重合体を含む組成物を用いて光学フィルムを作製することで、本発明の課題が達成されることを見出した。
すなわち、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1] 下記一般式(I)で表される繰り返し単位を含む含フッ素重合体。
一般式(I)中、Lは、単結合または2価の連結基を表し、Rは、水素原子、フッ素原子、塩素原子または炭素数1~20のアルキル基を表し、Rは、
(a)下記式(1)、(2)または(3)で示される基、
(b)パーフルオロポリエーテル基、
(c)プロトンドナー性官能基とプロトンアクセプター性官能基の水素結合を有し、少なくともひとつの炭素原子がフッ素原子を置換基として有する炭素数1~20のアルキル基、
の少なくとも1つを含む基である。
[2] さらに下記一般式(II)で表される繰り返し単位を含む、[1]に記載の含フッ素重合体。
一般式(II)中、Rは水素原子、フッ素原子、塩素原子、または炭素数1~20のアルキル基を表し、Rは置換基を有していてもよい芳香環を表し、Lは単結合または2価の連結基を表す。
[3] さらに下記一般式(III)で表される繰り返し単位を含む、[1]または[2]に記載の含フッ素重合体。
一般式(III)中、Rは水素原子、フッ素原子、塩素原子、または炭素数1~20のアルキル基を表し、Lは単結合または2価の連結基を表し、Qはカチオン重合性基およびラジカル重合性基からなる群から選択される重合性基を含む基を表す。
[4] さらに下記一般式(IV)で表される繰り返し単位を有する、[1]~[3]のいずれかに記載の含フッ素重合体。
一般式(IV)中、Rは水素原子、フッ素原子、塩素原子、または炭素数1~20のアルキル基を表し、UおよびUは、それぞれ独立に、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NHCOO-、または、-NH-を表す。RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換のヘテロアリール基を表し、RおよびRは、連結基を介して互いに連結していてもよい。Lは、単結合、または2価の連結基を表す。
[5] さらに棒状液晶化合物および円盤状液晶化合物からなる群から選択される少なくとも1種の液晶化合物に由来するメソゲン基および2個以上の重合性基を有する化合物をラジカル重合させてなる部分構造を含み、分岐状である、[1]~[4]のいずれかに記載の含フッ素重合体。
[6] 上記棒状液晶化合物に由来するメソゲン基および2個以上の重合性基を有する化合物が、下記一般式(X)で表される化合物である、[5]に記載の含フッ素重合体。
一般式(X)中、QX1およびQX2はそれぞれ独立に重合性基を表し、LX1およびLX4はそれぞれ独立に2価の連結基を表し、LX2およびLX3はそれぞれ独立に単結合または2価の連結基を表し、CyX1、CyX2およびCyX3はそれぞれ独立に2価の環状基を表し、nxは0~3の整数を表す。
[7] 上記円盤状液晶化合物に由来するメソゲン基および2個以上の重合性基を有する化合物が、下記一般式(I-X)で表される化合物である、[5]に記載の含フッ素重合体。
一般式(I-X)中、Y11、Y12およびY13はそれぞれ独立に、置換されていてもよいメチンまたは窒素原子を表し、L、LおよびLはそれぞれ独立に、単結合または2価の連結基を表し、H、HおよびHはそれぞれ独立に、下記一般式(I-A)で表される基または下記一般式(I-B)で表される基を表し、R、RおよびRはそれぞれ独立に、下記一般式(I-R)で表される基を表す。
一般式(I-A)中、YAおよびYAはそれぞれ独立に、置換基を有してもよいメチンまたは窒素原子を表し、XAは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、*は、上記一般式(I-X)におけるL~L側と結合する位置を表し、**は、上記一般式(I-X)におけるR~R側と結合する位置を表す。
一般式(I-B)中、YBおよびYBはそれぞれ独立に、置換基を有してもよいメチンまたは窒素原子を表し、XBは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、*は上記一般式(I-X)におけるL~L側と結合する位置を表し、**は上記一般式(I-X)におけるR~R側と結合する位置を表す。
一般式(I-R)中、*は一般式(I-X)におけるH~H側と結合する位置を表し、Lr1は単結合または2価の連結基を表し、Qは少なくとも1種類の環状構造を有する2価の基を表し、n1は、0~4の整数を表し、Lr2およびLr3はそれぞれ独立に2価の連結基を表し、Qは重合性基または水素原子を表す。ただし、一般式(I-X)中、複数存在するQの少なくとも2つは重合性基を表す。
[8] [1]~[7]のいずれかに記載の含フッ素重合体を含有する組成物。
[9] さらに重合性液晶化合物を含有し、
上記重合性液晶化合物の含有量が、上記組成物の全質量に対して40質量%以上である、[8]に記載の組成物。
[10] [8]または[9]に記載の組成物から形成される層を有する光学フィルム。
[11] [8]または[9]に記載の組成物から形成される層を有する液晶フィルム。
[12] [8]または[9]に記載の組成物から形成される層を有するハードコートフィルム。
[13] [8]または[9]に記載の組成物から形成される層を有する偏光板。
本発明によれば、配向性と均質性に優れる膜を形成することができる含フッ素重合体、上記含フッ素重合体を含有する組成物、ならびに、上記組成物から形成される層を有する光学フィルム、ハードコートフィルムおよび偏光板を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、表記される2価の基(例えば、-CO-O-)の結合方向は特に制限されず、例えば、後述する一般式(W)中のD1が-CO-O-である場合、Ar側に結合している位置を*1、G1側に結合している位置を*2とすると、D1は、*1-CO-O-*2であってもよく、*1-O-CO-*2であってもよい。
本明細書において、(メタ)アクリレートはアクリレートおよびメタクリレートを表す。また(メタ)アクリル酸はアクリル酸およびメタクリル酸を表す。(メタ)アクリロイル基とは、メタクリロイル基またはアクリロイル基を表す。
本明細書中における基(原子団)の表記について、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基と共に置換基を有する基をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。また、本明細書中における「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。
また、本明細書において、「置換基を有していてもよい」というときの置換基の種類、置換基の位置、および、置換基の数は特に限定されない。置換基の数は例えば、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上であってもよい。置換基の例としては水素原子を除く1価の非金属原子団を挙げられ、例えば、以下の置換基群Tから選択できる。
(置換基T)
置換基Tとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、および、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、および、tert-ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基およびp-トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、および、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、および、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、および、メトキサリル基等のアシル基;メチルスルファニル基およびtert-ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基;フェニルスルファニル基およびp-トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基;アルキル基;シクロアルキル基;アリール基;ヘテロアリール基;水酸基;カルボキシ基;ホルミル基;スルホ基;シアノ基;アルキルアミノカルボニル基;アリールアミノカルボニル基;スルホンアミド基;シリル基;アミノ基;モノアルキルアミノ基;ジアルキルアミノ基;アリールアミノ基;ならびに、これらの組み合わせが挙げられる。
本発明の含フッ素重合体を含む膜が均質性を有し、液晶フィルムとした際には配向性にも優れる理由について、詳細には明らかになっていないが、本発明者らは以下のように推察している。
本発明の含フッ素重合体に含まれる一般式(I)で表される繰り返し単位は、分岐構造、柔軟なエーテル部位、または、水素結合部位を有するので、本発明の含フッ素重合体を含む組成物中のマトリクス樹脂形成成分(硬化性成分)等との相溶性、有機溶媒への溶解性に優れる。これにより、本発明の含フッ素重合体を含む組成物中での含フッ素重合体の凝集が生じにくくなり、液晶化合物の配向性が良好になったと推測される。
また、本発明の含フッ素重合体を含む組成物を用いて膜を形成した場合、一般式(I)で表される繰り返し単位の作用によって、本発明の含フッ素重合体が膜表面に移行しやすくなる。このような含フッ素重合体を組成物中に添加することで、組成物の表面張力が低下するので、基材に対する組成物のぬれ性(均質塗工性)が向上して、ムラおよび欠陥の少ない均質性に優れた膜が得られたと考えている。
[含フッ素重合体]
本発明の含フッ素重合体は、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を含む含フッ素重合体である。
一般式(I)中、Lは、単結合または2価の連結基を表す。
は水素原子、フッ素原子、塩素原子または炭素数1~20のアルキル基を表す。
は、
(a)下記式(1)、(2)または(3)で示される基、
(b)パーフルオロポリエーテル基、
(c)プロトンドナー性官能基とプロトンアクセプター性官能基の水素結合を有し、少なくともひとつの炭素原子がフッ素原子を置換基として有する炭素数1~20のアルキル基、
の少なくとも1つを含む基である。
一般式(I)中、Rは水素原子、フッ素原子、または、炭素数1~4のアルキル基であることが好ましく、水素原子またはメチル基であることがより好ましい。
一般式(I)中、Lは単結合または2価の連結基であり、-O-、-C(O)-O-、-C(O)-NH-、-O-C(O)-を有する基であることが好ましい。
<(a)下記式(1)、(2)または(3)で示される基を含む繰り返し単位>
一般式(I)のRが上記式(1)、(2)または(3)で示される基を含む場合、式(1)は、下記式(V)で表されることも好ましい。
一般式(V)中、Rfは上記式(1)、(2)または(3)で示される基である。
は、上述の式(1)のRと同義であり、水素原子またはメチル基であることが好ましい。
1Bは、炭素数が2~50の2価の基である。R1Bで表される炭素数が2~50の2価の基としては、ヘテロ原子を含んでいてもよく、芳香族基、ヘテロ芳香族基、ヘテロ環基、脂肪族基、脂環式基であってもよい。
1Bの具体例としては、以下の基が挙げられる。
-(CHn1- (n1=2~50)
-X-Y-(CHn2- (n2=2~43)
-X-(CHn3- (n3=1~44)
-CHCH(OCHCHn4- (n4=1~24)
-XCO(OCHCHn5- (n5=1~21)
上記式中、Xは、炭素数1~3のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基)、炭素数1~4のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基など)、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)からなる群から選ばれる置換基を1~3個有していてもよい、フェニレン、ビフェニレンまたはナフチレンを示す。Yは、-O-C(O)-、-C(O)-O-、-C(O)NH-または-NHC(O)-を示す。
Xは、1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、1,4-フェニレンが好ましく、1,4-フェニレンが特に好ましい。
特に好ましいR1Bで表される炭素数が2~50の2価の基としては、具体的に以下の構造の2価の基が挙げられる。
-(CHn1- (n1=2~10)
-COCO(CHn2- (n2=2~10)
-C(CHn3- (n3=1~10)
-CHCH(OCHCHn4- (n4=1~10)
-CCO(OCHCHn5- (n5=1~10)
<(b)パーフルオロポリエーテル基を含有する繰り返し単位>
上記一般式(I)中、Rはパーフルオロポリエーテル基を有することも好ましい。パーフルオロポリエーテル基とは、複数のフッ化炭素基がエーテル結合で結合された2価の基である。パーフルオロポリエーテル基は、複数のパーフルオロアルキレン基がエーテル結合で結合された2価の基であることが好ましい。
パーフルオロポリエーテル基は、直鎖構造であっても分岐構造であっても環状構造であってもよいが、直鎖構造または分岐構造であることが好ましく、直鎖構造であることがより好ましい。
一般式(I)のRがパーフルオロポリエーテル基を含む基である場合、式(I)で表される繰り返し単位は、下記一般式(I-b)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(I-b)中、Lは一般式(I)におけるものと同じ意味を表す。
11は水素原子、フッ素原子、塩素原子または炭素数1~20のアルキル基を表す。
RfおよびRfはそれぞれ独立に、フッ素原子またはパーフルオロアルキル基を表す。Rfが複数存在する場合、それぞれ同じでも異なっていてもよい。Rfが複数存在する場合、それぞれ同じでも異なっていてもよい。
uは1以上の整数を表す。pは1以上の整数を表す。
12は水素原子または置換基を表し、上記置換基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、パーフルオロアルキル基(好ましくは炭素数1~10)、アルキル基(好ましくは炭素数1~10)、ヒドロキシアルキル基(好ましくは炭素数1~10)、下記式(b-12)で表される単位、等が挙げられる。
式(b-12)中、R1XおよびL1Xはそれぞれ、式(I)のRおよびLと同義である。*は、式(I-b)の([CRfRfO)の酸素原子との結合位置を表す。
一般式(I-b)中、uは1以上の整数を表し、1~10を表すことが好ましく、1~6を表すことがより好ましく、1~3を表すことがさらに好ましい。
一般式(I-b)中、pは1以上の整数を表し、1~100を表すことが好ましく、1~80を表すことがより好ましく、1~60を表すことがさらに好ましい。
なお、p個の[CRfRfOはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
<(c)プロトンドナー性官能基とプロトンアクセプター性官能基の水素結合を有し、少なくとも1つの炭素原子がフッ素原子を置換基として有する炭素数1~20のアルキル基を含有する繰り返し単位>
上記一般式(I)中、Rが、プロトンドナー性官能基とプロトンアクセプター性官能基の水素結合を有し、少なくともひとつの炭素原子がフッ素原子を置換基として有する炭素数1~20のアルキル基(以下、「特定アルキル基c」ともいう。)を有することも好ましい。
上記一般式(I)中のRが特定アルキル基cである場合、式(I)で表される繰り返し単位は、下記一般式(I-c1)で表される繰り返し単位、または、下記一般式(I-c2)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
上記一般式(I-c1)中、Rは、上述の式(1)のRと同義であり、水素原子またはメチル基であることが好ましい。
上記一般式(I-c1)中、XC1 は、プロトンアクセプター性官能基を有する基を表す。プロトンアクセプター性官能基としては、第4級アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン等が挙げられる。XC1 の具体例としては、-C(O)-NH-LC1-XC11 、-C(O)-O-LC1-XC11 、および、-XC12 が挙げられる。LC1は、炭素数1~5のアルキレン基を表す。XC11 は、第4級アンモニウムカチオンを表す。XC12 は、ピリジニウムカチオンを表す。
上記一般式(I-c1)中、YC1 は、プロトンドナー性官能基、および、フルオロアルキル基を有する基を表す。プロトンドナー性官能基としては、-C(O)O、-S(O)等が挙げられる。YC1 の具体例としては、RC1-C(O)O、および、RC1-S(O)が挙げられる。RC1は、炭素数2~15のフルオロアルキル基、炭素数2~15のフルオロアルキル基の1個以上の炭素原子が-O-および-C(O)-の少なくとも一方で置換された基、または、これらの基を置換基として有するフェニル基、を表す。
上記一般式(I-c2)中、Rは、上述の式(1)のRと同義であり、水素原子またはメチル基であることが好ましい。
上記一般式(I-c2)中、YC2 は、プロトンドナー性官能基を有する基を表す。プロトンドナー性官能基としては、-C(O)O、-S(O)等が挙げられる。YC2 の具体例としては、-C(O)-NH-LC2-YC21 、-C(O)-O-LC2-YC21 が挙げられる。LC2は、炭素数1~5のアルキレン基を表す。YC21 は、-C(O)Oまたは-S(O)を表す。
上記一般式(I-c2)中、XC2 は、プロトンアクセプター性官能基(例えば、第4級アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン等)、および、フルオロアルキル基を有する基を表す。XC2 の具体例としては、RC2-XC21 が挙げられる。RC2は、炭素数2~15のフルオロアルキル基、または、炭素数2~15のフルオロアルキル基の1個以上の炭素原子が-O-および-C(O)-の少なくとも一方で置換された基、または、これらの基を置換基として有するフェニル基、を表す。XC21 は、第4級アンモニウムカチオンを表す。
一般式(I)中のRが特定アルキル基cである繰り返し単位の製造方法としては、プロトンアクセプター性官能基を有する繰り返し単位に、後述のプロトンドナー性官能基を有する化合物を反応させる方法、および、プロトンドナー性官能基を有する繰り返し単位に、後述のプロトンアクセプター性官能基を有する化合物を反応させる方法、が挙げられる。
プロトンドナー性官能基を有する化合物およびプロトンアクセプター性官能基を有する化合物は、下記一般式(1-1)~(1~3)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
(HB-X1)m-X3-(X2-RL)n (1-1)
(HB)-(X2-RL)n (1-2)
(HB-X1)m-(RL) (1-3)
上記式(1-1)および上記式(1-3)中、mは、1~5の整数を表し、上記式(1-1)および上記式(1-2)中、nは、1~5の整数を表す。ただし、上記式(1-1)中、mおよびnの合計は、2~6の整数を表す。
また、上記式(1-1)~(1-3)中、HBは、上述した水素結合可能な官能基(すなわち、プロトンドナー性官能基及びプロトンアクセプター性官能基)を表し、mが2~5の整数である場合、複数のHBは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
また、上記式(1-1)~(1-3)中、X1およびX2はそれぞれ独立に、単結合または2価の連結基を表し、mが2~5の整数である場合、複数のX1は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、nが2~5の整数である場合、複数のX2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。なお、上記式(1-2)中、HBおよびX2は、HBとX2の一部とで環を形成していてもよく、上記式(1-3)中、RLおよびX1は、RLとX1の一部とで環を形成していてもよい。
上記式(1-1)~(1-3)中のX1およびX2の一態様が示す2価の連結基としては、例えば、置換基を有していてもよい炭素数1~10の直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリーレン基、エーテル基(-O-)、カルボニル基(-C(=O)-)、および、置換基を有していてもよいイミノ基(-NH-)からなる群から選択される少なくとも1以上の基が挙げられる。
ここで、アルキレン基、アリーレン基およびイミノ基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基などが挙げられる。アルキル基としては、例えば、炭素数1~18の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基が好ましく、炭素数1~8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、シクロヘキシル基等)がより好ましく、炭素数1~4のアルキル基であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であるのが特に好ましい。アルコキシ基としては、例えば、炭素数1~18のアルコキシ基が好ましく、炭素数1~8のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-ブトキシ基、メトキシエトキシ基等)がより好ましく、炭素数1~4のアルコキシ基であることがさらに好ましく、メトキシ基またはエトキシ基であるのが特に好ましい。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、なかでも、フッ素原子、塩素原子であるのが好ましい。
炭素数1~10の直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基について、直鎖状のアルキレン基としては、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、デシレン基などが挙げられる。また、分岐状のアルキレン基としては、具体的には、例えば、ジメチルメチレン基、メチルエチレン基、2,2-ジメチルプロピレン基、2-エチル-2-メチルプロピレン基などが挙げられる。また、環状のアルキレン基としては、具体的には、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基、シクロデシレン基、アダマンタン-ジイル基、ノルボルナン-ジイル基、exo-テトラヒドロジシクロペンタジエン-ジイル基などが挙げられる。
炭素数6~12のアリーレン基としては、具体的には、例えば、フェニレン基、キシリレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、2,2’-メチレンビスフェニル基などが挙げられ、なかでも、フェニレン基が好ましい。
また、上記式(1-1)中、X3は、単結合または2~6価の連結基を表す。ここで、X3の一態様が示す2価の連結基としては、上記式(1-1)~(1-3)中のX1およびX2の一態様が示す2価の連結基として説明したものが挙げられる。また、X3の一態様が示す3~6価の連結基としては、例えば、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環などのシクロアルキレン環;ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナンスロリン環等の芳香族炭化水素環;フラン環、ピロール環、チオフェン環、ピリジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環等の芳香族複素環;などの環構造において、環を形成している炭素原子に結合している水素原子を3~6個除いた構造が挙げられる。これらの環構造のなかでも、ベンゼン環(例えば、ベンゼン-1,2,4-イル基など)が好ましい。
また、上記式(1-1)~(1-3)中、RLは、フッ素原子を含む置換基または炭素数6以上のアルキル基を表し、nが2~5の整数である場合、複数のRLは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。ここで、フッ素原子を含む1価の置換基としては、例えば、少なくとも1つの炭素原子がフッ素原子を置換基として有する、炭素数1~20のアルキル基または炭素数2~20のアルケニル基が挙げられる。
上記式(1-1)~(1-3)のいずれかで表される化合物のうち、プロトンドナー性官能基を有する化合物としては、具体的には、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
また、上記式(1-1)~(1-3)のいずれかで表される化合物のうち、プロトンアクセプター性官能基を有する化合物としては、具体的には、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
<一般式(II)で表される繰り返し単位>
本発明の含フッ素重合体は、さらに下記一般式(II)で表される繰り返し単位を有することも好ましい。
一般式(II)中、Rは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、または、炭素数1~20のアルキル基を表す。Rは、本発明の効果がより優れる点から、水素原子または炭素数1~5のアルキル基が好ましい。
は、置換基を有していてもよい芳香環を表す。芳香環基としては、例えば、ベンゼン環基、ナフタレン環基、アントラセン環基、および、フェナンスロリン環基等の芳香族炭化水素環基;フラン環基、ピロール環基、チオフェン環基、ピリジン環基、チアゾール環基、および、ベンゾチアゾール環基等の芳香族複素環基;が挙げられる。なかでも、ベンゼン環基(例えば、1,4-フェニル基等)が好ましい。これらの基を重合体中に含むことで、例えば後述する液晶組成物とした際の相溶性を向上させることができる。また、芳香環が有していてもよい置換基としては、例えば、上述した置換基Tや後述する置換基群Yにおいて例示するものが挙げられる。
は、単結合または2価の連結基を表す。Lは、本発明の効果がより優れる点から、-C(O)-O-L21-が好ましい。L21は、炭素数1~10のアルキレン基、または、(L22O)m10で表される基(式中、L22は、炭素数1~4のアルキレン基を表す。m10は、1~10の整数を表す。)が挙げられる。
<一般式(III)で表される繰り返し単位>
本発明の含フッ素重合体は、さらに下記一般式(III)で表される繰り返し単位を有することも好ましい。
一般式(III)中、Rは水素原子、フッ素原子、塩素原子、または炭素数1~20のアルキル基を表す。Rは、本発明の効果がより優れる点から、水素原子または炭素数1~5のアルキル基が好ましい。
は単結合または2価の連結基を表す。Lは、本発明の効果がより優れる点から、-C(O)-O-L21-が好ましい。L21は、置換基を有していてもよい炭素数1~5のアルキレン基を表す。
はカチオン重合性基およびラジカル重合性基からなる群から選択される重合性基を含む基を表す。
がカチオン重合性基を含む基を表す場合、カチオン重合性基としては、特に限定されず、例えば、脂環式エーテル基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル基、ビニルオキシ基などを挙げることができる。
カチオン重合性基としては、脂環式エーテル基またはビニルオキシ基が好ましく、エポキシ基、オキセタニル基またはビニルオキシ基がより好ましく、エポキシ基またはオキセタニル基がさらに好ましく、エポキシ基が特に好ましい。エポキシ基としては脂環式エポキシ基であることが特に好ましい。なお、上記した各基は置換基を有していてもよい。
がラジカル重合性基を含む基を表す場合、ラジカル重合性基としては、特に限定されず、例えば、重合性炭素-炭素二重結合を含む基が挙げられ、具体的には、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、スチリル基、アリル基などが挙げられ、(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましい。なお、上記した各基は置換基を有していてもよい。これらの基を含むことで、例えば後述する液晶フィルムにおいて複数の液晶組成物層を積層する形態とした際の層間の密着性を向上させることができる。
<一般式(IV)で表される繰り返し単位>
本発明の含フッ素重合体は、さらに下記一般式(IV)で表される繰り返し単位を有することも好ましい。
一般式(IV)中、Rは、水素原子または炭素数1~20のアルキル基を表し、なかでも、水素原子または炭素数1~10のアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1~4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基がさらに好ましい。
およびUは、それぞれ独立に、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NHCOO-、-NH-を表し、-O-または-NH-が好ましく、-O-がさらに好ましい。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、あるいは、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換のヘテロアリール基を表し、RおよびRは、これらの組み合わせからなる連結基を介して互いに連結していてもよい。
およびRが示す、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基としては、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基が挙げられる。
アルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、イソヘキシル基、2-メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-ノルボルニル基等の直鎖状、分枝状、または環状のアルキル基が挙げられる。
アルケニル基としては、具体的には、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、1-ブテニル基、1-メチル-1-プロペニル基、1-シクロペンテニル基、1-シクロヘキセニル基等の直鎖状、分枝状、または環状のアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基としては、具体的には、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、1-ブチニル基、1-オクチニル基等が挙げられる。
およびRが示す、置換もしくは無置換のアリール基としては、例えば、1個から4個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と不飽和五員環とが縮合環を形成したものを挙げることができ、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、ピレニル基等が挙げられる。
およびRが示す、置換もしくは無置換のヘテロアリール基としては、例えば、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個以上含む複素芳香環上の水素原子を1個除し、ヘテロアリール基としたものが挙げられる。
窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個以上含む複素芳香環としては、具体的には、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、
チアゾール、チアジアゾール、インドール、カルバゾール、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チアナフテン、ジベンゾチオフェン、インダゾールベンズイミダゾール、アントラニル、ベンズイソオキサゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、プリン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、キノリン、アクリジン、イソキノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキザリン、ナフチリジン、フェナントロリン、プテリジン等が挙げられる。
(置換基群Y)
およびRが有していてもよい置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、例えば、以下の置換基群Yから選ばれる。
ハロゲン原子(-F、-Br、-Cl、-I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N-アルキルアミノ基、N,N-ジアルキルアミノ基、N-アリールアミノ基、N,N-ジアリールアミノ基、N-アルキル-N-アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N-アルキルカルバモイルオキシ基、N-アリールカルバモイルオキシ基、N,N-ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N-ジアリールカルバモイルオキシ基、N-アルキル-N-アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N-アルキルアシルアミノ基、N-アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N'-アルキルウレイド基、N',N'-ジアルキルウレイド基、N'-アリールウレイド基、N',N'-ジアリールウレイド基、N'-アルキル-N'-アリールウレイド基、N-アルキルウレイド基、N-アリールウレイド基、N'-アルキル-N-アルキルウレイド基、N'-アルキル-N-アリールウレイド基、N',N'-ジアルキル-N-アルキルウレイド基、N',N'-ジアルキル-N-アリールウレイド基、N'-アリール-N-アルキルウレイド基、N'-アリール-N-アリールウレイド基、N',N'-ジアリール-N-アルキルウレイド基、N',N'-ジアリール-N-アリールウレイド基、N'-アルキル-N'-アリール-N-アルキルウレイド基、N'-アルキル-N'-アリール-N-アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N-アルキル-N-アルコキシカルボニルアミノ基、N-アルキル-N-アリーロキシカルボニルアミノ基、N-アリール-N-アルコキシカルボニルアミノ基、N-アリール-N-アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシ基およびその共役塩基基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N-アルキルカルバモイル基、N,N-ジアルキルカルバモイル基、N-アリールカルバモイル基、N,N-ジアリールカルバモイル基、N-アルキル-N-アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(-SOH)およびその共役塩基基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N-アルキルスルフィナモイル基、N,N-ジアルキルスルフィナモイル基、N-アリールスルフィナモイル基、N,N-ジアリールスルフィナモイル基、N-アルキル-N-アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N-アルキルスルファモイル基、N,N-ジアルキルスルファモイル基、N-アリールスルファモイル基、N,N-ジアリールスルファモイル基、N-アルキル-N-アリールスルファモイル基、N-アシルスルファモイル基およびその共役塩基基、N-アルキルスルホニルスルファモイル基(-SONHSO(alkyl))およびその共役塩基基、N-アリールスルホニルスルファモイル基(-SONHSO(aryl))およびその共役塩基基、N-アルキルスルホニルカルバモイル基(-CONHSO(alkyl))およびその共役塩基基、N-アリールスルホニルカルバモイル基(-CONHSO(aryl))およびその共役塩基基、アルコキシシリル基(-Si(Oalkyl))、アリーロキシシリル基(-Si(Oaryl))、ヒドロキシシリル基(-Si(OH))およびその共役塩基基、ホスホノ基(-PO)およびその共役塩基基、ジアルキルホスホノ基(-PO(alkyl))、ジアリールホスホノ基(-PO(aryl))、アルキルアリールホスホノ基(-PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(-POH(alkyl))およびその共役塩基基、モノアリールホスホノ基(-POH(aryl))およびその共役塩基基、ホスホノオキシ基(-OPOH2)およびその共役塩基基、ジアルキルホスホノオキシ基(-OPO(alkyl)2)、ジアリールホスホノオキシ基(-OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(-OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(-OPOH(alkyl))およびその共役塩基基、モノアリールホスホノオキシ基(-OPOH(aryl))およびその共役塩基基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基およびアルキニル基、また、これらの置換基は、可能であるならば置換基同士、または置換している炭化水素基と結合して環を形成してもよい。
上記式(IV)中のRおよびRは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基が好ましく、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基がより好ましく、水素原子、またはアルキレン連結基で互いに連結されていることがさらに好ましい。
は、単結合、または、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-CONR-、-NRCOO-、-CRN-、置換もしくは無置換の2価の脂肪族基、置換もしくは無置換の2価の芳香族基、および、これらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基を表し、Rは、水素原子または炭素数1~20のアルキル基を表す。
は、-O-、-COO-、-OCO-、-CONR-、-NRCOO-、置換もしくは無置換の2価の脂肪族基、置換もしくは無置換の2価の芳香族基、および、これらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基が好ましい。
が置換もしくは無置換の2価の芳香族基を含む場合には、芳香族環の数は1~3が好ましく、1~2がより好ましく、1であることがさらに好ましい。この範囲とすることで、形成される光学異方性層の配向性を良好にできる。
上記式(IV)で表される繰り返し単位を形成する単量体としては、具体的には、例えば、下記式3-1~3-26で表される単量体が挙げられる。
<液晶化合物に由来する構造>
本発明の含フッ素重合体は、液晶化合物に由来する構造を有することが好ましい。
液晶化合物に由来する構造としては、棒状液晶化合物および円盤状液晶化合物からなる群から選択される少なくとも1種の液晶化合物に由来するメソゲン基および2個以上の重合性基を有する化合物をラジカル重合させてなる部分構造が挙げられる。本発明の含フッ素重合体がこのような部分構造を有する場合、含フッ素重合体は分岐状となる。すなわち、上記液晶化合物に由来する重合性基が分岐点となるためである。
上記部分構造は、液晶化合物に由来する構造を有する繰り返し単位として、本発明の含フッ素重合体中に導入されていることが好ましい。
上記部分構造には、液晶化合物に由来するメソゲン構造が含まれている。そのため、本発明の含フッ素重合体が上記部分構造を含む場合、液晶組成物中における重合性液晶化合物と含フッ素重合体との相溶性が向上する。これにより、基材に対する液晶組成物の濡れ性がより向上して、液晶組成物の塗布時におけるハジキを抑制できるので、より均質な膜が得られる。特に、液晶組成物中の重合性液晶化合物の含有量が高い場合には、この効果がより顕著に発現する。
ここで、重合体が「分岐状である」とは、三次元架橋構造を有し、重合開始剤断片が末端に少なくとも1つ組み込まれていることを意味する。重合体を重合させる際に用いる重合開始剤構造によって重合開始剤断片は異なるが、NMR(核磁気共鳴)スペクトル測定やIR(赤外)スペクトル測定、質量分析測定、あるいは元素分析測定などの方法により、重合体に重合体断片が組み込まれていることが確認できる。
棒状液晶化合物としては、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、WO95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1-272551号、同6-16616号、同7-110469号、同11-80081号、および特開2001-329873号などに記載の化合物を用いることができる。
また、棒状液晶化合物に由来するメソゲン基として下記一般式(X)にて表される化合物を由来とする構造を含むことが好ましい。
式中、QX1およびQX2はそれぞれ独立に重合性基を表し、LX1、およびLX4はそれぞれ独立に2価の連結基を表し、LX2およびLX3はそれぞれ独立に単結合または2価の連結基を表し、CyX1、CyX2およびCyX3はそれぞれ独立に2価の環状基を表し、nxは0~3の整数を表す。
以下にさらに一般式(X)で表される棒状液晶化合物について説明する。
式中、QX1およびQX2はそれぞれ独立に重合性基である。重合性基の重合反応は、付加重合あることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応が可能な官能基であることが好ましい。重合性基の例として、下記式(M-1)~(M-6)が挙げられる。
式(M-3)および(M-4)中、Rは、水素原子または炭素数1~20のアルキル基を表し、炭素数1~7のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
上記式(M-1)~(M-6)の中でも、(M-1)または(M-2)が好ましく、(M-1)がより好ましい。
X1およびLX4はそれぞれ独立に2価の連結基である。LX1およびLX4はそれぞれ独立に、-O-、-S-、-CO-、-NRx1-、-C=N-、2価の鎖状基、2価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基であることが好ましい。Rx1は、水素原子または炭素数が1~7のアルキル基である。組み合わせからなる2価の連結基の例を以下に示す。ここで、左側がQ(QX1またはQX2)に、右側がCy(CyX1またはCyX3)に結合する。
Lx-1:-C(=O)O-2価の鎖状基-O-
Lx-2:-C(=O)O-2価の鎖状基-OC(=O)-
Lx-3:-C(=O)O-2価の鎖状基-OC(=O)O-
Lx-4:-C(=O)O-2価の鎖状基-O-2価の環状基-
Lx-5:-C(=O)O-2価の鎖状基-O-2価の環状基-C(=O)O-
Lx-6:-C(=O)O-2価の鎖状基-O-2価の環状基-OC(=O)-
Lx-7:-C(=O)O-2価の鎖状基-O-2価の環状基-2価の鎖状基-
Lx-8:-C(=O)O-2価の鎖状基-O-2価の環状基-2価の鎖状基-C(=O)O-
Lx-9:-C(=O)O-2価の鎖状基-O-2価の環状基-2価の鎖状基-OC(=O)-
Lx-10:-C(=O)O-2価の鎖状基-OC(=O)-2価の環状基-
Lx-11:-C(=O)O-2価の鎖状基-OC(=O)-2価の環状基-C(=O)O-
Lx-12:-C(=O)O-2価の鎖状基-OC(=O)-2価の環状基-OC(=O)-
Lx-13:-C(=O)O-2価の鎖状基-OC(=O)-2価の環状基-2価の鎖状基-
Lx-14:-C(=O)O-2価の鎖状基-OC(=O)-2価の環状基-2価の鎖状基-C(=O)O-
Lx-15:-C(=O)O-2価の鎖状基-OC(=O)-2価の環状基-2価の鎖状基-OC(=O)-
Lx-16:-C(=O)O-2価の鎖状基-OC(=O)O-2価の環状基-
Lx-17:-C(=O)O-2価の鎖状基-OC(=O)O-2価の環状基-C(=O)O-
Lx-18:-C(=O)O-2価の鎖状基-OC(=O)O-2価の環状基-OC(=O)-
Lx-19:-C(=O)O-2価の鎖状基-OC(=O)O-2価の環状基-2価の鎖状基-
Lx-20:-C(=O)O-2価の鎖状基-OC(=O)O-2価の環状基-2価の鎖状基-C(=O)O-
Lx-21:-C(=O)O-2価の鎖状基-OC(=O)O-2価の環状基-2価の鎖状基-OC(=O)-
2価の鎖状基は、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基を意味する。アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基およびアルケニレン基がさらに好ましい。
アルキレン基は、分岐を有していてもよい。アルキレン基の炭素数は1~12であることが好ましく、2~10であることがさらに好ましく、2~8であることが最も好ましい。
置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素数は2~12であることが好ましく、2~10であることがさらに好ましく、2~8であることが最も好ましい。
置換アルケニレン基のアルケニレン部分は、上記アルケニレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
アルキニレン基は、分岐を有していてもよい。アルキニレン基の炭素数は2~12であることが好ましく、2~10であることがさらに好ましく、2~8であることが最も好ましい。
置換アルキニレン基のアルキニレン部分は、上記アルキニレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
2価の鎖状基の具体例としては、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、2-メチル-テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、2-ブテニレン、2-ブチニレンなどが上げられる。
2価の環状基の定義および例は、後述するCyX1、CyX2およびCyX3の定義および例と同様である。
X2またはLX3はそれぞれ独立に単結合または2価の連結基である。LX2およびLX3はそれぞれ独立に、-O-、-S-、-CO-、-NRx2-、-CH=N-、2価の鎖状基、2価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基または単結合であることが好ましい。上記Rx2は、水素原子または炭素数が1~7のアルキル基であり、水素原子または炭素数1~4のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基、またはエチル基であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。2価の鎖状基、および2価の環状基についてはLX1およびLX4における定義と同義である。
X2またはLX3として好ましい2価の連結基としては、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-OC(=O)NRx2-、-COS-、-SCO-、-CONRx2-、-NRx2CO-、-(CRxaxbjx-、-CH=CH-C(=O)O-、-CH=N-、-CH=N-N=CH-、等が挙げられる。
ここで、RxaおよびRxbは、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基(例えば炭素数1~3のアルキル基、好ましくはメチル基)を表し、jxは1以上の整数を表し、1~3の範囲の整数であることが好ましい。
一般式(X)で表される化合物において、nxは0、1、2または3を表す。nxが2または3の場合、複数存在するLX3は同じであっても異なっていてもよく、複数存在するCyX2も同じであっても異なっていてもよい。nxは1または2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。
一般式(X)で表される化合物において、CyX1、CyX2およびCyX3は、それぞれ独立に、2価の環状基である。2価の環状基に含まれる環は、5員環、6員環、または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。環状基に含まれる環は、縮合環であっても良い。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。
環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環およびピリミジン環が含まれる。
ベンゼン環を有する環状基としては、1,4-フェニレンが好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン-1,5-ジイルおよびナフタレン-2,6-ジイルが好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4-シクロへキシレンであることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン-2,5-ジイルが好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン-2,5-ジイルが好ましい。
環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数が1~5のアルキル基、炭素数が1~5のハロゲン置換アルキル基、炭素数が1~5のアルコキシ基、炭素数が1~5のアルキルチオ基、炭素数が2~6のアシルオキシ基、炭素数が2~6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素数が2~6のアルキル置換カルバモイル基および炭素数が2~6のアシルアミノ基が含まれる。
一般式(X)にて表される化合物を由来とする構造としては、下記一般式(X-I)で表される化合物および下記一般式(X-II)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが最も好ましい。
一般式(X-I)および一般式(X-II)中、R101~R104は、それぞれ独立に重合性基を表し、X101およびY101はそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、ハロゲン基、フッ化アルキル基、またはアルデヒド基を表す。ハロゲン基としては塩素原子、臭素原子が挙げられる。
101~R104の定義はQX1およびQx4の定義と同義であるが、-(CH)ny-O(O=)C-CH=C(Rxcxd)で表される基であることが好ましい。ここで、RxcおよびRxdは、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基(例えば炭素数1~3のアルキル基、好ましくはメチル基)を表し、nyは2~8の整数であることが好ましい。
結晶析出を抑止する観点から、一般式(X-I)または(X-II)において、X101およびY101がメチル基を表すことが好ましい。液晶としての性質を示す観点から、nyは4~8の整数であることが好ましい。
以下に、一般式(X)にて表される化合物の例を示す。本発明はこれらに限定されるものではない。
円盤状液晶化合物に由来するメソゲン基として、下記一般式(I-X)にて表される化合物を由来とする構造を含むことも好ましい。
一般式(I-X)中、Y11、Y12およびY13はそれぞれ独立に、置換基を有してもよいメチンまたは窒素原子を表し、L、LおよびLはそれぞれ独立に、単結合または2価の連結基を表し、H、HおよびHはそれぞれ独立に、一般式(I-A)または(I-B)で表される基を表す。
一般式(I-A)中、YAおよびYAはそれぞれ独立に、置換基を有してもよいメチンまたは窒素原子を表し、XAは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、*は上記一般式(I-X)におけるL1~L側と結合する位置を表し、**は上記一般式(I-X)におけるR~R側と結合する位置を表す。
一般式(I-B)中、YBおよびYBは、それぞれ独立に置換基を有してもよいメチンまたは窒素原子を表し、XBは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、*は上記一般式(I-X)におけるL~L側と結合する位置を表し、**は上記一般式(I-X)におけるR~R側と結合する位置を表す。
、RおよびRは、それぞれ独立に下記一般式(I-R)を表す。
一般式(I-R)中、*は、一般式(I-X)におけるH~H側と結合する位置を表し、Lr1は単結合または2価の連結基を表し、Qは少なくとも1種類の環状構造を有する2価の基(環状基)を表し、n1は、0~4の整数を表し、Lr2およびLr3は2価の連結基をそれぞれ独立に表し、Qは重合性基または水素原子を表す。ただし、一般式(I-X)中、複数存在するQのうち少なくとも2つは重合性基を表す。
一般式(I-X)中、Y11、Y12およびY13は、それぞれ独立に置換基を有してもよいメチンまたは窒素原子を表し、置換基を有してもよいメチンが好ましく、メチンは無置換であることがより好ましい。
メチンが有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子およびシアノ基を好ましい例として挙げることができる。これらの置換基の中では、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基がさらに好ましく、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数2~12のアルコキシカルボニル基、炭素数2~12のアシルオキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基がより好ましい。
、LおよびLは、それぞれ独立に単結合または2価の連結基を表す。
、LおよびLが2価の連結基の場合、それぞれ独立に、-O-、-S-、-C(=O)-、-NR-、-CH=CH-、-C≡C-、2価の環状基およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基であることが好ましい。上記Rは、水素原子または炭素数1~7のアルキル基であり、水素原子または炭素数1~4のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基、またはエチル基であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
、LおよびLにおける2価の環状基とは、少なくとも1種類の環状構造を有する2価の連結基(以下、環状基と呼ぶことがある)である。環状基は5員環、6員環、または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。環状基に含まれる環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環としては、ベンゼン環およびナフタレン環が好ましい例として挙げられる。脂肪族環としては、シクロヘキサン環が好ましい例として挙げられる。複素環としては、硫黄原子、窒素原子または酸素原子を少なくともひとつ含む環が好ましく、ピリジン環、ピリミジン環およびオキサジアゾール環が好ましい例として挙げられる。環状基は、芳香族環および複素環がより好ましい。なお、本発明における2価の環状基は、環状構造のみ(但し、置換基を含む)からなる2価の連結基であることがより好ましい(以下、同じ)。
、LおよびLで表される2価の環状基のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4-フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン-1,5-ジイル基およびナフタレン-2,6-ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4-シクロへキシレン基であることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン-2,5-ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン-2,5-ジイル基が好ましい。オキサジアゾール環を有する環状基としては、1,2,4-オキサジアゾール-3,5-ジイル基が好ましい。
、LおよびLで表される2価の環状基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子、塩素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~16のアルキル基、炭素数2~16のアルケニル基、炭素数2~16のアルキニル基、炭素数1~16のハロゲン置換アルキル基、炭素数1~16のアルコキシ基、炭素数2~16のアシル基、炭素数1~16のアルキルチオ基、炭素数2~16のアシルオキシ基、炭素数2~16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素数2~16のアルキル基で置換されたカルバモイル基および炭素数2~16のアシルアミノ基が含まれる。
、LおよびLとしては、単結合、*-O-C(=O)-、*-C(=O)-O-、*-CH=CH-、*-C≡C-、*-2価の環状基-、*-O-C(=O)-2価の環状基-、*-C(=O)-O-2価の環状基-、*-CH=CH-2価の環状基-、*-C≡C-2価の環状基-、*-2価の環状基-O-C(=O)-、*-2価の環状基-C(=O)-O-、*-2価の環状基-CH=CH-および*-2価の環状基-C≡C-が好ましい。特に、単結合、*-CH=CH-、*-C≡C-、*-CH=CH-2価の環状基-および*-C≡C-2価の環状基-が好ましく、単結合が最も好ましい。ここで、*は一般式(I-X)中のY11、Y12およびY13を含む6員環側に結合する位置を表す。
一般式(I-X)中、H、HおよびHは、それぞれ独立に一般式(I-A)または(I-B)の基を表す。
、RおよびRは、それぞれ独立に下記一般式(I-R)を表す。
一般式(I-R)中、*は、一般式(I-X)におけるH~H側と結合する位置を表す。Lr1は単結合または2価の連結基を表す。Qは少なくとも1種類の環状構造を有する2価の基(環状基)を表す。
r1は単結合または2価の連結基を表す。Lr1が2価の連結基の場合、-O-、-S-、-C(=O)-、-NR-、-CH=CH-および-C≡C-ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基であることが好ましい。上記Rは水素原子または炭素数1~7のアルキル基であり、水素原子または炭素数1~4のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基、またはメチル基であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
r1は単結合、***-O-CO-、***-CO-O-、***-CH=CH-および***-C≡C-(ここで、***は一般式(I-R)中の*側を表す)のいずれかが好ましく、単結合がより好ましい。
は少なくとも1種類の環状構造を有する2価の基(環状基)を表す。このような環状基としては、5員環、6員環、または7員環を有する環状基が好ましく、5員環または6員環を有する環状基がより好ましく、6員環を有する環状基がさらに好ましい。上記環状基に含まれる環状構造は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環が好ましい例として挙げられる。脂肪族環としては、シクロヘキサン環が好ましい例として挙げられる。複素環としては、窒素原子または酸素原子を少なくともひとつ有するものが好ましく、ピリジン環およびピリミジン環、オキサジアゾール環が好ましい例として挙げられる。
上記Qのうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4-フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン-1,4-ジイル基、ナフタレン-1,5-ジイル基、ナフタレン-1,6-ジイル基、ナフタレン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイルナフタレン-2,7-ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4-シクロへキシレン基であることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン-2,5-ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン-2,5-ジイル基が好ましい。オキサジアゾール環としては、1,2,4-オキサジアゾール-3,5-ジイル基が好ましい。これらの中でも、特に、1,4-フェニレン基、ナフタレン-2,6-ジイル基および1,4-シクロへキシレン基、1,2,4-オキサジアゾール-3,5-ジイル基が好ましい。
は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~16のアルキル基、炭素数2~16のアルケニル基、炭素数2~16のアルキニル基、炭素数1~16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素数1~16のアルコキシ基、炭素数2~16のアシル基、炭素数1~16のアルキルチオ基、炭素数2~16のアシルオキシ基、炭素数2~16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素数2~16のアルキル置換カルバモイル基および炭素数2~16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素数が1~3のアルキル基、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
n1は、0~4の整数を表す。n1としては、1~3の整数が好ましく、1または2がさらに好ましい。
r2は、**-O-、**-O-C(=O)-、**-C(=O)-O-、**-O-C(=O)-O-、**-S-、**-NH-、**-SO-、**-CH-、**-CH=CH-または**-C≡C-が好ましい。**はQと結合する位置を表す。
r2は、より好ましくは、**-O-、**-O-C(=O)-、**-C(=O)-O-、**-O-C(=O)-O-、**-CH-、**-CH=CH-、**-C≡C-であり、より好ましくは、**-O-、**-O-C(=O)-、**-O-C(=O)-O-、**-CH-である。
r2が水素原子を含む基であるときは、この水素原子は置換基で置換されていてもよい。このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数2~6のアシル基、炭素数1~6のアルキルチオ基、炭素数2~6のアシルオキシ基、炭素数2~6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素数2~6のアルキルで置換されたカルバモイル基および炭素数2~6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基がより好ましい。
r3は、-O-、-S-、-C(=O)-、-SO-、-NH-、-CH-、-CH=CH-および-C≡C-ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基が好ましい。ここで、-NH-、-CH-、-CH=CH-の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数2~6のアシル基、炭素数1~6のアルキルチオ基、炭素数2~6のアシルオキシ基、炭素数2~6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素数2~6のアルキルで置換されたカルバモイル基および炭素数2~6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基がより好ましい。これらの置換基に置換されることにより、本発明の液晶化合物から液晶性組成物を調製する際に、使用する溶媒に対する溶解性を向上させることができる。
r3は、-O-、-C(=O)-、-CH-、-CH=CH-および-C≡C-ならびにこれらの組み合わせからなる群より選ばれることが好ましい。Lr3は、炭素原子を1~20個含有することが好ましく、炭素原子を2~14個を含有することがより好ましい。さらに、Lr3は、-CH-を1~16個含有することが好ましく、-CH-を2~12個含有することがさらに好ましい。
は重合性基または水素原子を表し、一般式(I-X)中、複数存在するQのうち少なくとも2つは重合性基を表す。また、複数存在するQが全て重合性基であることが好ましい。Qの定義はQX1およびQx4の定義と同義であり、好ましい範囲も同一である。
一般式(I-X)の化合物の中でも、下記一般式(I’)で表される化合物がより好ましい。
一般式(I’)中、Y11、Y12およびY13は一般式(I-X)中のY11、Y12およびY13と同義であり、R11、R12およびR13は、それぞれ独立に下記一般式(I’-A)、下記一般式(I’-B)または下記一般式(I’-C)を表す。
一般式(I’-A)中、A11、A12、A13、A14、A15およびA16は、それぞれ独立に置換基を有してもよいメチンまたは窒素原子を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、L11およびL12はそれぞれ独立に2価の連結基を表し、Q11は重合性基または水素原子を表す。
一般式(I’-B)中、A21、A22、A23、A24、A25およびA26は、それぞれ独立に置換基を有してもよいメチンまたは窒素原子を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、L21およびL22はそれぞれ独立に2価の連結基を表し、Q21は重合性基または水素原子を表す。
一般式(I’-C)中、A31、A32、A33、A34、A35およびA36は、それぞれ独立に置換基を有してもよいメチンまたは窒素原子を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、L31およびL32はそれぞれ独立に2価の連結基を表し、Q31は重合性基または水素原子を表す。
ただし、Q11、Q21およびQ31のうち少なくとも2つは重合性基を表す。
一般式(I’)中、Y11、Y12およびY13は一般式(I-X)中のY11、Y12およびY13と同義であり、好ましい範囲も同一である。
11、R12およびR13は、それぞれ独立に下記一般式(I’-A)、下記一般式(I’-B)または下記一般式(I’-C)を表す。固有複屈折の波長分散性を小さくしようとする場合、一般式(I’-A)または一般式(I’-C)が好ましく、一般式(I’-A)がより好ましい。R11、R12およびR13は、R11=R12=R13であることが好ましい。
一般式(I’-A)中、A11、A12、A13、A14、A15およびA16は、それぞれ独立に置換基を有してもよいメチンまたは窒素原子を表す。
11およびA12は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が窒素原子であることがより好ましい。
13、A14、A15およびA16は、それらのうち、少なくとも3つが置換基を有してもよいメチンであることが好ましく、すべて置換基を有してもよいメチンであることがより好ましい。更に、このメチンは無置換であることが好ましい。
11、A12、A13、A14、A15またはA16が置換基を有してもよいメチンの場合の置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~16のアルキル基、炭素数2~16のアルケニル基、炭素数2~16のアルキニル基、炭素数1~16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素数1~16のアルコキシ基、炭素数2~16のアシル基、炭素数1~16のアルキルチオ基、炭素数2~16のアシルオキシ基、炭素数2~16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素数2~16のアルキル置換カルバモイル基および炭素数2~16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素数が1~3のアルキル基、トリフルオロメチル基が更に好ましい。
は、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、酸素原子が好ましい。
一般式(I’-B)中、A21、A22、A23、A24、A25およびA26は、それぞれ独立に置換基を有してもよいメチンまたは窒素原子を表す。
21およびA22は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が窒素原子であることがより好ましい。
23、A24、A25およびA26は、それらのうち、少なくとも3つが置換基を有してもよいメチンであることが好ましく、すべて置換基を有してもよいメチンであることがより好ましい。更に、このメチンは無置換であることが好ましい。
21、A22、A23、A24、A25またはA26が置換基を有してもよいメチンの場合の置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~16のアルキル基、炭素数2~16のアルケニル基、炭素数2~16のアルキニル基、炭素数1~16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素数1~16のアルコキシ基、炭素数2~16のアシル基、炭素数1~16のアルキルチオ基、炭素数2~16のアシルオキシ基、炭素数2~16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素数2~16のアルキル置換カルバモイル基および炭素数2~16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素数が1~3のアルキル基、トリフルオロメチル基が更に好ましい。
は、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、酸素原子が好ましい。
一般式(I’-C)中、A31、A32、A33、A34、A35およびA36は、それぞれ独立に置換基を有してもよいメチンまたは窒素原子を表す。
31およびA32は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が窒素原子であることがより好ましい。
33、A34、A35およびA36は、少なくとも3つが置換基を有してもよいメチンであることが好ましく、すべて置換基を有してもよいメチンであることがより好ましい。更に、このメチンは無置換であることが好ましい。
31、A32、A33、A34、A35またはA36が置換基を有してもよいメチンの場合、メチンは置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~16のアルキル基、炭素数2~16のアルケニル基、炭素数2~16のアルキニル基、炭素数1~16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素数1~16のアルコキシ基、炭素数2~16のアシル基、炭素数1~16のアルキルチオ基、炭素数2~16のアシルオキシ基、炭素数2~16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素数2~16のアルキル置換カルバモイル基および炭素数2~16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素数が1~3のアルキル基、トリフルオロメチル基が更に好ましい。
は、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、酸素原子が好ましい。
一般式(I’-A)中のL11、一般式(I’-B)中のL21、一般式(I’-C)中のL31はそれぞれ独立して、-O-、-C(=O)-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-S-、-NH-、-SO-、-CH-、-CH=CH-または-C≡C-が好ましい。より好ましくは、-O-、-C(=O)-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-CH-、-CH=CH-、-C≡C-であり、より好ましくは、-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-C≡C-である。特に、小さい固有複屈折の波長分散性が期待できる、一般式(I’-A)中のL11は、-O-、-C(=O)-O-、-C≡C-が特に好ましく、この中でも-C(=O)-O-が、より高温でディスコティックネマチック相を発現できるため、好ましい。上述の基が水素原子を含む基であるときは、この水素原子は置換基で置き換わってもよい。このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数2~6のアシル基、炭素数1~6のアルキルチオ基、炭素数2~6のアシルオキシ基、炭素数2~6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素数2~6のアルキルで置換されたカルバモイル基および炭素数2~6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基がより好ましい。
一般式(I’-A)中のL12、一般式(I’-B)中のL22、一般式(I’-C)中のL32はそれぞれ独立して、-O-、-S-、-C(=O)-、-SO-、-NH-、-CH-、-CH=CH-および-C≡C-並びにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基が好ましい。ここで、-NH-、-CH-、-CH=CH-の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、カルボキシ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数2~6のアシル基、炭素数1~6のアルキルチオ基、炭素数2~6のアシルオキシ基、炭素数2~6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素数2~6のアルキルで置換されたカルバモイル基および炭素数2~6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~6のアルキル基がより好ましく、特にハロゲン原子、メチル基、エチル基が好ましい。
12、L22、L32はそれぞれ独立して、-O-、-C(=O)-、-CH-、-CH=CH-および-C≡C-並びにこれらの組み合わせからなる群より選ばれることが好ましい。
12、L22、L32はそれぞれ独立して、炭素数1~20であることが好ましく、炭素数2~14であることがより好ましい。炭素数2~14が好ましく、-CH-を1~16個有することがより好ましく、-CH-を2~12個有することが更に好ましい。
12、L22、L32を構成する炭素数は、液晶の相転移温度と化合物の溶媒への溶解性に影響を及ぼす。一般的に炭素数は多くなるほど、ディスコティックネマチック相(N相)から等方性液体への転移温度が低下する傾向にある。また、溶媒への溶解性は、一般的に炭素数は多くなるほど向上する傾向にある。
一般式(I’-A)中のQ11、一般式(I’-B)中のQ21、一般式(I’-C)中のQ31はそれぞれ独立して重合性基または水素原子を表し、少なくとも2つは重合性基を表す。また、Q11、Q21、Q31は全て重合性基であることが好ましい。重合性基の例については、一般式(X)中のQX1またはQX2で表される重合基と同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(I-X)で表される化合物の具体例には、特開2010-244038号の段落[0068]~[0077]に記載の例示化合物、および、特開2007-2220号公報の段落[0040]~[0063]に記載の例示化合物が含まれる。但し、これらの化合物に限定されるものではない。
上記化合物は、種々の方法により合成することができ、例えば、特開2007-2220号公報の[0064]~[0070]に記載の方法により合成することができる。
ディスコティック液晶化合物は、液晶相として、カラムナー相およびディスコティックネマチック相(N相)を示すことが好ましく、これらの液晶相の中では、良好なモノドメイン性を示すディスコティックネマチック相(N相)が好ましい。
円盤状液晶化合物として下記一般式(1)で表される化合物を由来とする構造を含むことも好ましい。
式中、D41は円盤状コアを表し、L41は2価の連結基を表し、Q41は重合性基を表し、n41は2~12のいずれかの整数を表す。
上記式の円盤状コア(D41)の例を以下に示す。Lは2価の連結基を表し、Qは重合性基を表す。
上記一般式(1)において、2価の連結基(L41)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、-CO-、-NH-、-O-、-S-およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基であることが好ましい。2価の連結基(L41)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、-CO-、-NH-、-O-および-S-からなる群より選ばれる2価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることがさらに好ましい。2価の連結基(L41)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、-CO-および-O-からなる群より選ばれる2価の基を少なくとも2つ組み合わせた基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素数は、1~12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素数は、2~12であることが好ましい。アリーレン基の炭素数は、6~10であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよい。2価の連結基(L41)の例を以下に示す。*が円盤状コア(D41)に結合し、**が重合性基(Q41)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基を意味し、ARはアリーレン基を意味する。
41-1:*-AL-CO-O-AL-**
41-2:*-AL-CO-O-AL-O-**
41-3:*-AL-CO-O-AL-O-AL-**
41-4:*-AL-CO-O-AL-O-CO-**
41-5:*-CO-AR-O-AL-**
41-6:*-CO-AR-O-AL-O-**
41-7:*-CO-AR-O-AL-O-CO-**
41-8:*-CO-NH-AL-**
41-9:*-NH-AL-O-**
41-10:*-NH-AL-O-CO-**
41-11:*-O-AL-**
41-12:*-O-AL-O-**
41-13:*-O-AL-O-CO-**
41-14:*-O-AL-O-CO-NH-AL-**
41-15:*-O-AL-S-AL-**
41-16:*-O-CO-AL-AR-O-AL-O-CO-**
41-17:*-O-CO-AR-O-AL-CO-**
41-18:*-O-CO-AR-O-AL-O-CO-**
41-19:*-O-CO-AR-O-AL-O-AL-O-CO-**
41-20:*-O-CO-AR-O-AL-O-AL-O-AL-O-CO-**
41-21:*-S-AL-**
41-22:*-S-AL-O-**
41-23:*-S-AL-O-CO-**
41-24:*-S-AL-S-AL-**
41-25:*-S-AR-AL-**
41は重合性基を表し、一般式(X)中のQX1またはQX2が表す重合基と同義である。なお、n41が2以上の場合に複数存在するL41とQ41の組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
一般式(1)にて表される化合物を由来とする構造としては、特開平7-306317号公報記載の一般式(1)~(3)にて表されるトリフェニレン誘導体、特開平7-309813号公報記載の一般式(I)で表されるトリフェニレン誘導体、および特開2001-100028号公報記載の一般式(I)で表されるトリフェニレン誘導体が好ましい。トリフェニレン誘導体の中でも、トリフェニレン構造と重合性基との間に連結基を有する下記の化合物が最も好ましい。
本発明の含フッ素重合体は、上記以外の液晶化合物に由来する構造を有していてもよい。具体的には、本発明の含フッ素重合体は、後述する「組成物」の項における重合性液晶化合物に由来する部分構造を有していてもよい。上記部分構造は、液晶化合物に由来する構造を有する繰り返し単位として、本発明の含フッ素重合体中に導入されていることが好ましい。
上記部分構造には、液晶化合物に由来するメソゲン構造が含まれている。そのため、本発明の含フッ素重合体が上記部分構造を含む場合、液晶組成物中における重合性液晶化合物と含フッ素重合体との相溶性が向上する。これにより、基材に対する液晶組成物の濡れ性がより向上して、液晶組成物の塗布時におけるハジキを抑制できるので、より均質な膜が得られる。特に、液晶組成物中の重合性液晶化合物の含有量が高い場合には、この効果がより顕著に発現する。
<他の繰り返し単位>
本発明の含フッ素重合体は、上記以外の繰り返し単位をさらに含んでいてもよい。このような繰り返し単位としては、例えば、下記式(VI)で表される繰り返し単位があげられる。
式(VI)中、Rt1は、水素原子またはメチル基を表す。Lt1は、炭素数1~4のアルキレン基を表す。tは、0~20の整数を表す。
本発明の含フッ素重合体は、各繰り返し単位を得るためのモノマーを、公知の方法によって重合して得られる。本発明の含フッ素重合体の製造時において、繰り返し単位(I)を得るためのモノマーは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。同様に、繰り返し単位(I)以外の上記繰り返し単位を得るためのモノマーについても、1種のみを使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の含フッ素重合体の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記例示化合物A-1~A-16のRfは、上記一般式(1)、(2)または(3)で表される基である。
Figure 0007513702000061
Figure 0007513702000062
Figure 0007513702000063
本発明の含フッ素重合体において、一般式(I)で表される繰り返し単位の含有量は、含フッ素重合体の全質量に対して、2~100質量%が好ましく、3~90質量%がより好ましく、5~80質量%がさらに好ましい。
本発明の含フッ素重合体が一般式(II)で表される繰り返し単位を含む場合、一般式(II)で繰り返し単位の含有量は、含フッ素重合体の全質量に対して、1~95質量%が好ましく、5~95質量%がより好ましく、10~90質量%がさらに好ましい。
本発明の含フッ素重合体が一般式(III)で表される繰り返し単位を含む場合、一般式(III)で繰り返し単位の含有量は、含フッ素重合体の全質量に対して、0.1~95質量%が好ましく、0.5~95質量%がより好ましく、1~90質量%がさらに好ましい。
本発明の含フッ素重合体が一般式(IV)で表される繰り返し単位を含む場合、一般式(IV)で繰り返し単位の含有量は、含フッ素重合体の全質量に対して、0.1~90質量%が好ましく、0.5~80質量%がより好ましく、1~70質量%がさらに好ましい。
本発明の含フッ素重合体が、棒状液晶化合物および円盤状液晶化合物から選ばれる少なくとも1種の液晶化合物に由来するメソゲン基および2個以上の重合性基を有する化合物をラジカル重合させてなる部分構造を含む場合、この部分構造を含む繰り返し単位の含有量は、含フッ素重合体の全質量に対して、1~95質量%が好ましく、5~95質量%がより好ましく、10~90質量%がさらに好ましい。
本発明の含フッ素重合体が2種以上のモノマーを用いて得られた共重合体である場合、本発明の含フッ素重合体は、ブロック構造、グラフト構造、ブランチ構造若しくはスター構造を有することも好ましい。
本発明の含フッ素重合体の重量平均分子量(Mw)は、1000~100000が好ましく、1500~90000がより好ましく、2000~80000がさらに好ましい。
本発明の含フッ素重合体の数平均分子量(Mn)は、500~40000が好ましく、600~35000がより好ましく、600~30000がさらに好ましい。
本発明の含フッ素重合体の分散度(Mw/Mn)は、1.00~12.00が好ましく、1.00~11.00がより好ましく、1.00~10.00がさらに好ましい。
なお、重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により下記の条件で測定された値である。
[溶離液] テトラヒドロフラン(THF)
[装置名] EcoSEC HLC-8320GPC(東ソー社製)
[カラム] TSKgel SuperHZM-H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー社製)
[カラム温度] 40℃
[流速] 0.35ml/min
[組成物]
次に、本発明の含フッ素重合体を含有する組成物(以下、「本発明の組成物」とも略す。)について説明する。本発明の組成物は、含フッ素重合体以外の成分を含有してもよく、含フッ素重合体以外に、膜形成用の化合物と溶剤を含有することが好ましい。特に、膜形成用の化合物として、重合性液晶化合物を含有することで、光学異方性層形成用組成物(塗布液)として用いることができる。
本発明の組成物の好適態様の一つである液晶組成物は、少なくとも本発明の含フッ素重合体、および、重合性液晶化合物を含む。
以下、液晶組成物に含まれる成分について説明する。
<含フッ素重合体>
液晶組成物は、本発明の含フッ素重合体を含む。
本発明の含フッ素重合体の含有量は、液晶組成物の全質量に対して、0.003~10質量%が好ましく、0.005~5質量%がより好ましく、0.01~3質量%がさらに好ましい。本発明の含フッ素重合体の含有量が0.003質量%以上であれば、均質性により優れた膜が得られる。本発明の含フッ素重合体の含有量が10質量%以下であれば、膜に含まれる液晶成分の配向性がより優れる。
(重合性液晶化合物)
液晶組成物は、重合性液晶化合物を含む。
重合性液晶化合物とは、重合性基を少なくとも1つ以上有する液晶化合物である。
一般的に、液晶化合物はその形状から、棒状タイプと円盤状タイプとに分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプとがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。
重合性液晶化合物は、重合性基を有する限り、いずれの液晶化合物を用いることもでき、中でも、棒状の重合性液晶化合物または円盤状の重合性液晶化合物を用いるのが好ましく、棒状の重合性液晶化合物を用いるのがより好ましい。
なお、液晶組成物が、重合性液晶化合物以外の液晶化合物を含んでいてもよい。
重合性液晶化合物は1分子中に重合性基を2以上有するのが好ましい。また、2種以上の重合性液晶化合物を使用する場合、少なくとも1種の重合性液晶化合物が、1分子中に2以上の重合性基を有しているのが好ましい。
なお、液晶化合物が重合によって固定された後においてはもはや液晶性を示す必要はないが、こうして形成された層は便宜上液晶層と称することがある。液晶層は、配向した液晶化合物が、その配向状態を保ったまま固定された層であるのが好ましい。
重合性液晶化合物が有する、重合性基の種類は特に制限されず、付加重合反応が可能な官能基が好ましく、重合性エチレン性不飽和基または環重合性基が好ましい。より具体的には、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基、エポキシ基、または、オキセタン基が好ましく、重合反応が高速である点で、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
棒状の重合性液晶化合物としては、例えば、特表平11-513019号公報の請求項1に記載の化合物、および、特開2005-289980号公報の段落[0026]~[0098]に記載の化合物が挙げられる。円盤状の重合性液晶化合物としては、例えば、特開2007-108732号公報の段落[0020]~[0067]に記載の化合物、および、特開2010-244038号公報の段落[0013]~[0108]に記載の化合物が挙げられる。
また、棒状の重合性液晶化合物としては、スメクチック相を発現できる液晶化合物が挙げられ、例えば、特開2016-51178号公報、特開2008-214269号公報、特開2008-19240号公報、および、特開2006-276821号公報に記載の化合物が挙げられる。
また、棒状の重合性液晶化合物として、波長330~380nmの範囲に極大吸収波長を有する重合性液晶化合物が好ましい。
また、棒状の重合性液晶化合物は、逆波長分散性の重合性液晶化合物であるのが好ましい。
ここで、本明細書において「逆波長分散性」の重合性液晶化合物とは、これを用いて作製された位相差フィルム(光学異方性層等)の特定波長(可視光範囲)における面内のレターデーション値(Re)を測定した際に、測定波長が大きくなるにつれてReが同等または高くなるものをいう。
具体的には、下記式を満たす光学異方性層を形成することができる重合性液晶化合物が好ましい。
Re(450)/Re(550)<1.00
ここで、上記式中、Re(450)は、光学異方性層の波長450nmにおける面内レターデーションを表し、Re(550)は、光学異方性層の波長550nmにおける面内レターデーションを表す。面内レターデーションの値は、AxoScan OPMF-1(オプトサイエンス社製)を用い、測定波長の光を用いて測定することができる。
一般式(A1)~(A7)
重合性液晶化合物は、一般式(A1)~(A7)で表される基からなる群から選択される基を有する化合物であるのが好ましい。このような基を有することで、重合性液晶化合物に、逆波長分散性を導入しやすい。
一般式(A1)~(A7)中、*1、*2および*は、結合位置を表す。
一般式(A1)中、Qは、NまたはCHを表し、Qは、-S-、-O-、または、-N(J)-を表し、Jは、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、Yは、置換基を有してもよい、炭素数6~12の芳香族炭化水素基、または、炭素数3~12の芳香族複素環基を表す。
が示す炭素数1~6のアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、および、n-ヘキシル基等が挙げられる。
が示す炭素数6~12の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、および、ナフチル基等のアリール基が挙げられる。
が示す炭素数3~12の芳香族複素環基としては、例えば、チエニル基、チアゾリル基、フリル基、および、ピリジル基等のヘテロアリール基が挙げられる。
また、Yが有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、および、ハロゲン原子等が挙げられる。
アルキル基としては、例えば、炭素数1~18の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基が好ましく、炭素数1~8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、および、シクロヘキシル基等)がより好ましく、炭素数1~4のアルキル基がさらに好ましく、メチル基またはエチル基が特に好ましい。
アルコキシ基としては、例えば、炭素数1~18のアルコキシ基が好ましく、炭素数1~8のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-ブトキシ基、および、メトキシエトキシ基等)がより好ましく、炭素数1~4のアルコキシ基がさらに好ましく、メトキシ基またはエトキシ基が特に好ましい。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、および、ヨウ素原子等が挙げられ、中でも、フッ素原子、または、塩素原子が好ましい。
また、上記一般式(A1)~(A7)中、Z、ZおよびZは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数3~20の一価の脂環式炭化水素基、炭素数6~20の一価の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-NJ、または、-SJを表し、J~Jは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、ZおよびZは、互いに結合して芳香環を形成してもよい。
炭素数1~20の一価の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1~15のアルキル基が好ましく、炭素数1~8のアルキル基がより好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ペンチル基(1,1-ジメチルプロピル基)、tert-ブチル基、または、1,1-ジメチル-3,3-ジメチル-ブチル基がさらに好ましく、メチル基、エチル基、または、tert-ブチル基が特に好ましい。
炭素数3~20の一価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、メチルシクロヘキシル基、および、エチルシクロヘキシル基等の単環式飽和炭化水素基;シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、シクロデセニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロオクタジエニル基、および、シクロデカジエン等の単環式不飽和炭化水素基;ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、トリシクロ[3.3.1.13,7]デシル基、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデシル基、および、アダマンチル基等の多環式飽和炭化水素基;等が挙げられる。
炭素数6~20の一価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、ナフチル基、および、ビフェニル基等が挙げられ、炭素数6~12のアリール基(特にフェニル基)が好ましい。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、および、ヨウ素原子等が挙げられ、中でも、フッ素原子、塩素原子、または、臭素原子が好ましい。
一方、J~Jが示す炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、および、n-ヘキシル基等が挙げられる。
また、ZおよびZは、上述した通り、互いに結合して芳香環を形成してもよく、例えば、上記式(A1)中のZおよびZが互いに結合して芳香環を形成した場合の構造としては、例えば、下記式(Ar-1a)で表される基が挙げられる。なお、下記式(Ar-1a)中、*は、結合位置を表し、Q、QおよびYは、上記式(A1)において説明したものと同様のものが挙げられる。
また、上記一般式(A2)および(A3)中、AおよびAは、それぞれ独立に、-O-、-N(J)-、-S-、および、-CO-からなる群から選択される基を表し、Jは、水素原子または置換基を表す。
が示す置換基としては、上記一般式(A1)中のYが有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
また、上記一般式(A2)中、Xは、水素原子または置換基が結合していてもよい、第14~16族の非金属原子を表す。
Xが示す第14~16族の非金属原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、水素原子または置換基が結合した窒素原子〔=N-RN1,RN1は水素原子または置換基を表す。〕、水素原子または置換基が結合した炭素原子〔=C-(RC1,RC1は水素原子または置換基を表す。〕が挙げられる。
置換基としては、具体的には、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキル置換アルコキシ基、環状アルキル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基など)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アルキルカルボニル基、スルホ基、水酸基等が挙げられる。
また、上記一般式(A3)中、DおよびDは、それぞれ独立に、単結合、-CO-O-、-C(=S)O-、-CJ-、-CJ-CJ-、-O-CJ-、-CJ-O-CJ-、-CO-O-CJ-、-O-CO-CJ-、-CJ-O-CO-CJ-、-CJ-CO-O-CJ-、-NJ-CJ-、または、-CO-NJ-を表す。J、J、JおよびJは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または、炭素数1~4のアルキル基を表す。
また、上記一般式(A3)中、SPおよびSPは、それぞれ独立に、単結合、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、または、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基を構成する-CH-の1個以上が-O-、-S-、-NH-、-N(Q)-、もしくは、-CO-に置換された二価の連結基を表し、Qは、置換基を表す。置換基としては、上記一般式(A1)中のYが有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
ここで、SPおよびSPの一態様が示す炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、メチルヘキシレン基、へプチレン基などが好適に挙げられる。
また、上記一般式(A3)中、EおよびEは、それぞれ独立に一価の有機基を表す。
およびEが示す1価の有機基としては、例えば、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などを挙げることができる。
アルキル基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよいが、直鎖状が好ましい。アルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~10が更に好ましい。
また、アリール基は、単環であっても多環であってもよいが単環が好ましい。アリール基の炭素数は、6~25が好ましく、6~10がより好ましい。
また、ヘテロアリール基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子、酸素原子が好ましい。ヘテロアリール基の炭素数は6~18が好ましく、6~12がより好ましい。
また、アルキル基、アリール基およびヘテロアリール基は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、上記式(Ar-1)中のYが有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
また、上記一般式(A4)~(A7)中、Axは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する、炭素数2~30の有機基を表す。
また、上記一般式(A4)~(A7)中、Ayは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基、または、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選択される少なくとも1つの芳香環を有する、炭素数2~30の有機基を表す。
ここで、AxおよびAyにおける芳香環は、置換基を有していてもよく、AxとAyとが結合して環を形成していてもよい。
また、Qは、水素原子、または、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。
AxおよびAyとしては、国際公開第2014/010325号の[0039]~[0095]段落に記載されたものが挙げられる。
また、Qが示す炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、および、n-ヘキシル基等が挙げられ、置換基としては、上記一般式(A1)中のYが有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
一般式(W)
中でも、重合性液晶化合物は、一般式(W)で表される逆波長分散性の重合性液晶化合物が好ましい。
-SP-A-D-G-D-Ar-D-G-D-A-SP-E
・・(W)
上記一般式(W)中、Arは、上述した一般式(A1)~(A7)で表される基からなる群から選択されるいずれかの基を表す。なお、この場合、下記一般式(A1)~(A7)中、*1はDとの結合位置を表し、*2はDとの結合位置を表すのが好ましい。
上記一般式(W)中、D、D、DおよびDは、それぞれ独立に、単結合、-CO-O-、-C(=S)O-、-CJ-、-CJ-CJ-、-O-CJ-、-CJ-O-CJ-、-CO-O-CJ-、-O-CO-CJ-、-CJ-O-CO-CJ-、-CJ-CO-O-CJ-、-NJ-CJ-、または、-CO-NJ-を表す。J、J、JおよびJは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または、炭素数1~4のアルキル基を表す。
また、上記一般式(W)中、GおよびGは、それぞれ独立に、炭素数5~8の二価の脂環式炭化水素基を表し、脂環式炭化水素基を構成する-CH-の1個以上が-O-、-S-または-NH-で置換されていてもよい。
また、上記一般式(W)中、AおよびAは、それぞれ独立に、炭素数6以上の芳香環基、または、炭素数6以上のシクロアルキレン環基を表す。
また、上記一般式(W)中、SPおよびSPは、それぞれ独立に、単結合、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、または、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基を構成する-CH-の1個以上が-O-、-S-、-NH-、-N(Q)-、もしくは、-CO-に置換された二価の連結基を表し、Qは、置換基を表す。
また、上記一般式(W)中、EおよびEは、それぞれ独立に一価の有機基を表し、EおよびEの少なくとも一方は重合性基を表す。ただし、Arが、上述の一般式(A3)で表される基である場合は、EおよびEならびに上述の一般式(A3)中のEおよびEの少なくとも1つが重合性基を表す。
上記一般式(W)中、GおよびGは、それぞれ独立に、炭素数5~8の二価の脂環式炭化水素基を表す。
およびGが示す炭素数5~8の二価の脂環式炭化水素基としては、5員環または6員環であることが好ましい。また、脂環式炭化水素基は、飽和でも不飽和でもよいが飽和脂環式炭化水素基が好ましい。GおよびGで表される二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、特開2012-21068号公報の段落[0078]の記載を参酌でき、この内容は本願明細書に組み込まれる。
上記一般式(W)中、AおよびAは、それぞれ独立に、炭素数6以上の芳香環基または炭素数6以上のシクロアルキレン環基を表す。
およびAが示す炭素数6以上の芳香環基としては、例えば、ベンゼン環基、ナフタレン環基、アントラセン環基、および、フェナンスロリン環基等の芳香族炭化水素環基;フラン環基、ピロール環基、チオフェン環基、ピリジン環基、チアゾール環基、および、ベンゾチアゾール環基等の芳香族複素環基;が挙げられる。なかでも、ベンゼン環基(例えば、1,4-フェニル基等)が好ましい。
また、AおよびAが示す炭素数6以上のシクロアルキレン環基としては、例えば、シクロヘキサン環基、および、シクロヘキセン環基等が挙げられ、なかでも、シクロヘキサン環(例えば、シクロヘキサン-1,4-ジイル基等)が好ましい。
上記一般式(W)中、SPおよびSPは、それぞれ独立に、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基を表す。
SPおよびSPが示す炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、または、ブチレン基が好ましい。
上記一般式(W)中、EおよびEは、それぞれ独立に1価の有機基を表し、EおよびEの少なくとも一方は重合性基を表す。
ここで、EおよびEが示す1価の有機基としては、上記式(A3)中のEおよびEにおいて説明したものと同様のものが挙げられる。
また、EおよびEの少なくとも一方が示す重合性基は、特に限定されないが、ラジカル重合またはカチオン重合可能な重合性基が好ましい。
ラジカル重合性基としては、一般に知られているラジカル重合性基を用いることができ、アクリロイル基またはメタクリロイル基が好ましい。この場合、重合速度はアクリロイル基が一般的に速いことが知られており、生産性向上の観点からアクリロイル基が好ましいが、メタクリロイル基も高複屈折性液晶の重合性基として同様に使用できる。
カチオン重合性基としては、一般に知られているカチオン重合性基を用いることができ、具体的には、脂環式エーテル基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル基、および、ビニルオキシ基等が挙げられる。中でも、脂環式エーテル基、または、ビニルオキシ基が好ましく、エポキシ基、オキセタン基、または、ビニルオキシ基がより好ましい。
特に好ましい重合性基の例としては、下記式(P-1)~(P-20)のいずれかで表される重合性基が挙げられる。
上記式(W)中、耐久性がより良好となる理由から、上記式(I)中のEおよびEが、いずれも重合性基であることが好ましく、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基であることがより好ましい。
上記一般式(W)で表される液晶化合物の好ましい例を以下に示すが、これらの液晶化合物に限定されるものではない。なお、下記式中の1,4-シクロヘキシレン基は、いずれもトランス-1,4-シクロヘキシレン基である。
なお、上記式中、「*」は結合位置を表す。
なお、上記式II-2-8およびII-2-9中のアクリロイルオキシ基に隣接する基は、プロピレン基(メチル基がエチレン基に置換した基)を表し、メチル基の位置が異なる位置異性体の混合物を表す。
また、上記式(W)で表される化合物としては、下記式(1)~(22)で表される化合物が好適に挙げられ、具体的には、下記式(1)~(22)中のK(側鎖構造)として、下記表1~表3に示す側鎖構造を有する化合物がそれぞれ挙げられる。
なお、下記表1~表3中、Kの側鎖構造に示される「*」は、芳香環との結合位置を表す。
また、下記表2中の2-2および下記表3中の3-2で表される側鎖構造において、それぞれアクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基に隣接する基は、プロピレン基(メチル基がエチレン基に置換した基)を表し、メチル基の位置が異なる位置異性体の混合物を表す。
重合性液晶化合物は1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。重合性液晶化合物の結晶化を抑制し、良好な溶解性と液晶性とを実現する観点からは、2種以上を使用するのが好ましい。また、上記で述べた以外の重合性液晶化合物を使用してもよい。
重合性液晶化合物としては、液晶便覧(液晶便覧編集委員会編、丸善(株)2000年10月30日発行)に掲載された重合性液晶化合物、および、公知の重合性液晶化合物を使用してもよい。
重合性液晶化合物の含有量は、液晶組成物の全質量に対して、20質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。本発明の含フッ素重合体が液晶化合物に由来する部分構造を含む場合、液晶組成物中の重合性液晶化合物の含有量が40質量%以上という高い割合で含まれていても、塗布時のハジキが抑制されるという効果を有する。
重合性液晶化合物の含有量の上限は、液晶組成物の全質量に対して、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。
重合性液晶化合物の含有量は、液晶組成物の固形分の全質量に対して、50~99.99質量%が好ましく、65~99.5質量%がより好ましく、70~99質量%がさらに好ましい。
重合性液晶化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
重合性液晶化合物を2種以上使用する場合は、その合計含有量が、上記範囲内であるのが好ましい。
液晶組成物の固形分とは、光学異方性層を形成し得る成分であり、溶媒は含まれない。なお、上記成分の性状が液体状であっても、光学異方性層を形成し得る場合は、固形分として計算する。
また、重合性液晶化合物として、逆波長分散性である重合性液晶化合物(好ましくは、一般式(W)で表される重合性液晶化合物)を使用している場合、その含有量は、光学異方性層に逆波長分散性を付与する観点から、液晶組成物中の液晶化合物の全質量に対して、50~100質量%が好ましく、65~95質量%がより好ましく、70~90質量%がさらに好ましい。
逆波長分散性である重合性液晶化合物(好ましくは、一般式(W)で表される重合性液晶化合物)は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。逆波長分散性である重合性液晶化合物を2種以上使用する場合は、その合計含有量が、上記範囲内であるのが好ましい。
なお、上記液晶化合物の全質量とは、液晶組成物中の液晶性を示す化合物の合計質量であり、液晶組成物が非重合性の液晶化合物をも含む場合は、重合性液晶化合物のみならず、非重合性の液晶化合物の質量をも加えて得られる質量である。
<重合開始剤>
液晶組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。
使用される重合開始剤は、重合反応の形式に応じて選択され、例えば、熱重合開始剤、および、光重合開始剤が挙げられる。
光重合開始剤としては、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、トリアジン化合物、オキシムエステル類、および、オニウム塩類等が挙げられる。必要に応じ、増感剤および/または連鎖移動剤と組み合わせることができる。
液晶組成物が重合開始剤を含有する場合、重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物と後述の非液晶性の重合性モノマーとの合計含有量に対して、0.01~20質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。
重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。重合開始剤を2種以上使用する場合は、その合計含有量が、上記範囲内であるのが好ましい。
<非液晶性の重合性モノマー>
液晶組成物は、塗工膜の均一性および膜の強度の観点から、非液晶性の重合性モノマーを含んでいてもよい。
非液晶性の重合性モノマーとしては、ラジカル重合性またはカチオン重合性の化合物が挙げられる。例えば、多官能性ラジカル重合性モノマーを使用でき、上記の重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3-シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4-ジビニルベンゼン、4-ビニル安息香酸-2-アクリロイルエチルエステル、1,4-ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられ、特に多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましい。
液晶組成物が非液晶性の重合性モノマーを含有する場合、非液晶性の重合性モノマーの含有量は、重合性液晶化合物の全質量に対して、1~50質量%が好ましく、2~30質量%がより好ましい。
非液晶性の重合性モノマーは、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
非液晶性の重合性モノマーを2種以上使用する場合は、その合計含有量が、上記範囲内であるのが好ましい。
<有機溶媒>
液晶組成物は、有機溶媒を含んでいてもよい。有機溶媒としては、上述した重合性液晶化合物を完全に溶解し得るものが好ましく、重合性液晶化合物の重合反応に不活性な溶剤が好ましい。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、および、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、および、乳酸エチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、および、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン、および、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶剤;トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤;テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、および、ジメトキシエタン等のエーテル溶剤;クロロホルムおよびクロロベンゼン等の塩素含有溶剤;等が挙げられる。
液晶組成物中の有機溶媒の含有量は、固形分の溶解性、液粘度、塗布液のポットライフ、塗布機および塗布方式の適性、塗布膜の均一性および膜厚制御、ならびに、配向制御の観点等から適宜調節できる。
液晶組成物が有機溶媒を含有する場合、液晶組成物中の有機溶媒の含有量は、例えば、液晶組成物の固形分濃度が、13~50質量%となる量が好ましく、15~40質量%となる量がより好ましい。
有機溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。有機溶媒を2種以上使用する場合は、その合計含有量が、上記範囲内であるのが好ましい。
<その他の成分>
液晶組成物は、上述した以外のその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分として、例えば、光学異方性層の配向性の調整等の観点から、界面活性剤およびカイラル剤等を使用してもよい。
また、液晶組成物の粘度、相転移温度、配向均一性の調整、光学異方性層の膜物性、および、光学特性の調整等の観点から、サブ液晶化合物(非重合性の液晶化合物)を使用してもよい。サブ液晶化合物は、低分子液晶化合物であってもよい。また、サブ液晶化合物は、主鎖型液晶高分子または側鎖型液晶高分子であってもよい。
液晶組成物のポットライフ付与、および、光学異方性層の耐久性向上等の観点から、重合禁止剤、酸化防止剤、および、紫外線吸収剤等を使用してもよい。
さらなる機能付与、液物性の調整、および、膜物性の調整等の観点から、可塑剤、レターデーション調整剤、二色性色素、蛍光色素、フォトクロミック色素、サーモクロミック色素、光異性化材料、光二量化材料、ナノ粒子、および、チキソ剤等を添加してもよい。
[光学フィルム]
本発明の光学フィルムは、上述した本発明の組成物から形成される層を有する光学フィルムである。
このような光学フィルムとしては、例えば、反射防止フィルム、輝度向上フィルム、防眩フィルム、拡散フィルム、集光フィルムなどが挙げられ、中でも、反射防止フィルムとして用いることが好ましい。
また、反射防止フィルムを形成する組成物としては、例えば、粒子、バインダー樹脂形成用化合物、および、溶媒を含む公知の反射防止層形成用組成物(例えば、特開2017-187584号公報の段落[0050]~[0072]に記載された反射防止層形成用組成物など)に、上述した本発明の含フッ素重合体を含有させた組成物などが好適に挙げられる。
[液晶フィルム]
本発明の液晶フィルムは、上述した液晶組成物から形成される層(光学異方性層)を有する光学フィルムである。
<形成方法>
上述した液晶組成物を用いた光学異方性層の形成方法は特に限定されず、例えば、支持体上に直接、液晶組成物を塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜に対して加熱および/または冷却等の配向形成処理、および、硬化処理(紫外線の照射(光照射処理)または加熱処理)を施すことにより光学異方性層を有する液晶フィルムを形成できる。また、後述する配向膜上に、液晶組成物を塗布して、上述したのと同様の処理をして光学異方性層を形成してもよい。
液晶組成物の塗布は、公知の方法(例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、および、ダイコーティング法)により実施できる。
本発明においては、上記光学異方性層の厚みは特に限定されないが、0.1~10μmが好ましく、0.5~5μmがより好ましい。
(光学異方性層の配向性、光学特性)
光学異方性層は、水平配向、垂直配向、傾斜配向、ハイブリッド配向、ランダムホモジニアス配向、および、コレステリック配向等種々の配向状態で配向させることができ、重合性液晶化合物の光学異方性と配向状態を適切に選択することにより種々の光学特性を付与できる。
例えば、好ましい一つの様態として、光学異方性層をポジティブAプレートとしてもよい。ポジティブAプレートを得るには、棒状の重合性液晶化合物を水平配向させることにより得ることができる。さらに、その面内レターデーションRe(550)を100~160nm(好ましくは120~150nm)とすると、正の一軸性λ/4プレートとして好適に使用できる。また、Re(550)を250~300nmの範囲とすることで、正の一軸性λ/2プレートとして使用できる。ここで、Re(550)は、光学異方性層の波長550nmにおける面内レターデーションを表す。面内レターデーションの値は、AxoScan OPMF-1(オプトサイエンス社製)を用いて測定することができる。
また好ましい一つの様態として、光学異方性層をポジティブCプレートとしてもよい。
ポジティブCプレートを得るには、棒状の重合性液晶化合物を垂直配向させることにより得ることができる。その厚さ方向レターデーションRth(550)は、例えば、20~200nmであり、種々の光学補償機能および/または視野角向上機能等を付与する観点から、50~120nmが好ましい。
その他にも、光学異方性層は、ネガティブAプレートまたはネガティブCプレートであってもよい。また、液晶層をコレステリック配向させることにより、旋光性および波長選択反射性等を付与することもできる。
なお、本明細書において、Aプレートは以下のように定義される。
Aプレートは、ポジティブAプレート(正のAプレート)とネガティブAプレート(負のAプレート)との2種があり、フィルム面内の遅相軸方向(面内での屈折率が最大となる方向)の屈折率をnx、面内の遅相軸と面内で直交する方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnzとしたとき、ポジティブAプレートは式(A1)の関係を満たすものであり、ネガティブAプレートは式(A2)の関係を満たすものである。なお、ポジティブAプレートはRthが正の値を示し、ネガティブAプレートはRthが負の値を示す。
式(A1) nx>ny≒nz
式(A2) ny<nx≒nz
なお、上記「≒」とは、両者が完全に同一である場合だけでなく、両者が実質的に同一である場合も包含する。「実質的に同一」とは、例えば、(ny-nz)×d(ただし、dはフィルムの厚みである)が、-10~10nm、好ましくは-5~5nmの場合も「ny≒nz」に含まれ、(nx-nz)×dが、-10~10nm、好ましくは-5~5nmの場合も「nx≒nz」に含まれる。
Cプレートは、ポジティブCプレート(正のCプレート)とネガティブCプレート(負のCプレート)との2種があり、ポジティブCプレートは式(C1)の関係を満たすものであり、ネガティブCプレートは式(C2)の関係を満たすものである。なお、ポジティブCプレートはRthが負の値を示し、ネガティブCプレートはRthが正の値を示す。
式(C1) nz>nx≒ny
式(C2) nz<nx≒ny
なお、上記「≒」とは、両者が完全に同一である場合だけでなく、両者が実質的に同一である場合も包含する。「実質的に同一」とは、例えば、(nx-ny)×d(ただし、dはフィルムの厚みである)が、0~10nm、好ましくは0~5nmの場合も「nx≒ny」に含まれる。
また、液晶組成物に使用する重合性液晶化合物およびその他の成分等を調整することで、光学異方性の波長分散性を適宜調整できる。
光学異方性層は、逆波長分散性を示すのが好ましい。具体例としては、光学異方性層が、一軸性の位相差層として、下記式(II)を満たすのが好ましい。
Δn(450)/Δn(550)<1.00 ・・・(II)
ここで、式(II)中、Δn(450)は、光学異方性層の波長450nmにおける屈折率最大方向とその直交方向の屈折率差を表し、Δn(550)は、光学異方性層の波長550nmにおける屈折率最大方向とその直交方向の屈折率差を表す。
(支持体)
本発明の液晶フィルムは、上述したように、支持体を有することが好ましい。支持体としては特に制限はなく、公知の種々の材料を用いることができる。中でも、連続生産を可能とする点で、長尺状のポリマーフィルムが好ましい。
ポリマーフィルムとしては、ポリプロピレン、および、ノルボルネン系ポリマー等のポリオレフィン-環状オレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、および、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリメチルメタクリレート等のポリメタクリル酸エステル-ポリアクリル酸エステル;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、および、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;ならびに、これらの共重合体等をフィルム化したポリマーフィルムが挙げられる。これらのポリマーフィルムは、引張弾性率、曲げ弾性率、平行光線透過率、ヘイズ、光学異方性、光学等方性、易剥離性、および、易接着性等の観点に基づいて適宜選択できる。
本発明において、配向が均一な光学異方性層を得る観点から、液晶組成物を直接支持体に塗布して光学異方性層を形成する場合における、支持体の塗布側表面は平滑であるのが好ましく、その表面粗さRaは3~50nmであるのが好ましい。
また、支持体上に後述の配向層を設け、液晶組成物を配向層に塗布して光学異方性層を形成する場合は、配向層の表面が平滑であればよく、その表面粗さRaは3~50nmであるのが好ましい。後述する中間層等を設けて、これらの表面粗さを調整することも可能である。
また、長尺状のポリマーフィルムを用いるにあたっては、製造した液晶フィルムを巻き取った巻回体の状態におけるフィルム表面同士の形状転写およびブロッキング現象を防ぐ観点から、支持体における液晶組成物の塗布面とは逆側の表面に、アンチブロッキング処理またはマット処理等を行うことができる。また、フィルム端部にナーリングを設けても良い。
また、支持体は、剥離可能に設けられているのも好ましい。つまり、液晶フィルム中において、支持体は隣接する層から剥離可能に配置されるのも好ましい。この際、支持体上に光学異方性層を直接配置している場合は支持体と光学異方性層との界面にて剥離できるのが好ましい。また、支持体と光学異方性層との間に後述する配向層および/またはその他の層(中間層)が配置されている場合は、支持体と光学異方性層との間の任意の界面もしくは層内で剥離できるのが好ましい。
(配向層)
本発明の液晶フィルムは、必要に応じ、配向層を有してもよい。配向性がより優れる光学異方性層を得やすいという観点からは支持体上に配向層を設け、さらに配向層上に上述の光学異方性層を設けるのが好ましい。つまり本発明の液晶フィルムは、支持体と光学異方性層との間に光配向層を有するのが好ましい。
配向層には、公知の種々の配向層を用いることができ、例えば、ポリマー等の有機化合物からなるラビング膜(ラビング配向膜)、無機化合物の斜方蒸着膜、マイクログルーブを有する膜、および、有機化合物(例えば、ω-トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、または、ステアリン酸メチル等)を用いてラングミュア・ブロジェット法で形成したLB膜(ラングミュア・ブロジェット膜)を累積させた膜等が挙げられる。
異物に起因する配向欠陥を未然に防ぐ観点から、配向層としては、光配向膜からなる光配向層も好ましい。
ラビング配向膜としては、例えば、ポリイミド、ポリビニルアルコール、特開平9-152509号公報に記載された重合性基を有するポリマー等の塗膜、ならびに、特開2005-97377号公報、特開2005-99228号公報、および、特開2005-128503号公報記載の配向膜等が挙げられる。
本発明に利用可能な光配向膜の形成に用いられる光配向膜形成用組成物としては、多数の文献等に記載がある。例えば、WO08/056597号公報、特開2008-76839号公報、および、特開2009-109831号公報に記載のアゾ化合物を利用した材料;特開2012-155308号公報、特開2014-26261号公報、特開2014-123091号公報、および、特開2015-26050号公報に記載の光配向性ポリオルガノシロキサン複合材料;特開2012-234146に記載の桂皮酸基含有セルロースエステル材料;特開2012-145660号公報、および、特開2013-238717号公報に記載の光フリース転位反応もしくはその類似反応を利用した材料;特開2016-71286号公報、特表2013-518296号公報、特表2014-533376号公報、特表2016-535158号公報、WO10/150748号公報、WO11/126022号公報、WO13/054784号公報、WO14/104320号公報、および、WO16/002722号公報に記載の光二量化可能な化合物(例えば、シンナメート化合物、カルコン化合物、および/または、クマリン化合物を各種ポリマーにペンダントさせた材料)等を、光配向膜形成用組成物に使用できる。
中でも、光配向に要する照射エネルギーおよび配向規制力等の観点から、アゾ基の光異性化反応を用いる光配向膜、または、シンナメート化合物の光反応を用いる光配向膜が好ましい。
配向膜を形成するために使用する配向膜形成用組成物(好ましくは光配向膜形成用組成物)には、必要に応じ、架橋剤、バインダー、可塑剤、増感剤、架橋触媒、密着力調整剤、および、レベリング剤等を添加できる。
配向層の膜厚としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10~1000nmが好ましく、10~300nmがより好ましい。配向層の表面粗さは先述したとおりである。
(その他の層:中間層)
本発明の液晶フィルムは、必要に応じさらにその他の層を含むことができる。例えば、平滑化層、易接着層、易剥離層、遮光層、着色層、蛍光層、酸素バリア層、および、水蒸気バリア層等が挙げられる。このような層の機能を1つ以上有する層を中間層と総称する。中間層は、上述したような機能以外の機能を有する層であってもよい。
中間層を、例えば、支持体と光学異方性層との間、および/または、支持体と上述の配向層との間等に設けて、種々の機能を発現させることができる。
[液晶フィルムの製造方法]
本発明の液晶フィルムは、例えば、支持体上に、各層を形成するための組成物(液晶組成物等)を順次積層塗布していくことで作製できる。
好ましい一つの様態として、下記工程(1)~(4)を順に有する態様が挙げられる。
(1)支持体上に配向膜形成用組成物を塗布して、塗膜を得る工程(塗布工程)
(2)塗膜にラビング処理または光配向処理を施して配向規制力を付与し、上記塗膜を配向層とする工程(配向規制力付与工程)
(3)配向層上に液晶組成物を塗布する工程
(4)重合性液晶化合物を配向させた後に配向状態を固定する工程
なお、工程(3)以降は、光学異方性層の形成方法として述べたとおりである。
<塗布工程>
塗布工程における塗布方法は特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、フレキソ印刷、および、インクジェット印刷等が挙げられる。配向膜形成用組成物の塗布の後に溶剤除去工程(乾燥工程)を伴うことが好ましく、さらにポストベーク工程を伴うことができる。
<配向規制力付与工程>
配向規制力付与工程は、配向膜形成用組成物を用いて形成された塗膜にラビング処理または光照射処理等を行う工程である。ラビング処理は従来公知の方法で行うことができる。
光配向膜形成用組成物を用いて形成された塗膜に対する光照射処理は、偏光を照射するのが好ましい。偏光は特に制限はなく、例えば、直線偏光、円偏光、および、楕円偏光等が挙げられ、中でも、直線偏光が好ましい。水平配向した液晶層を形成する観点では垂直方向から偏光照射するのが好ましく、傾斜配向またはチルトを与える観点からは斜め方向から偏光を照射するのが好ましい。
偏光または非偏光における波長としては、光配向膜形成用組成物から形成された塗膜に、重合性液晶化合物等に対する配向制御能を付与することができる限り、特に制限はない。使用される光の種類としては、例えば、紫外線、近紫外線、および、可視光線等が挙げられる。中でも、250~450nmの近紫外線が好ましい。
また、偏光または非偏光を照射するための光源としては、例えば、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、レーザー、および、LED(light emitting diode)等が挙げられる。必要に応じ、光源から得た紫外線や可視光線に対して、干渉フィルタまたは色フィルタ等を用いることで、照射する波長範囲を制限することができる。また、これらの光源からの光に対して、偏光フィルタまたは偏光プリズム等を用いることで、直線偏光を得ることができる。
偏光または非偏光の積算光量としては、光配向膜形成用組成物の塗膜に、重合性液晶化合物等に対する配向制御能を付与することができる限り、特に制限はなく、例えば、1~300mJ/cmが好ましく、3~100mJ/cmがより好ましい。
偏光または非偏光の照度としては、光配向膜形成用組成物の塗膜に、液晶化合物に対する配向制御能を付与することができる限り、特に制限はないが、0.1~300mW/cmが好ましく、1~100mW/cmがより好ましい。
[ハードコートフィルム]
本発明のハードコートフィルムは、上述した本発明の組成物から形成される層を有するハードコートフィルムである。
このようなハードコートフィルムを形成する組成物としては、硬化性組成物(例えば、特開2017-008143号公報、特開2018-192704号公報などに記載されたエポキシ基を含有するシロキサン構成単位を含むポリオルガノシルセスキオキサンを含有する硬化性組成物)に、上述した本発明の含フッ素重合体を含有させた組成物などが好適に挙げられる。
また、このようなハードコートフィルムは、例えば、セルロースエステル基材上に、上述した組成物を塗布し、乾燥させた後、紫外線を照射して塗布層を硬化させることにより製造することができる。
[偏光板]
本発明の偏光板は、上述した本発明の組成物から形成される層を有する偏光板である。
本発明の偏光板の構成としては、例えば、偏光子と、この偏光子の少なくとも一方の面に保護フィルムとして設けられた本発明のハードコートフィルムとを含むものが挙げられる。
また、本発明の偏光板の他の構成としては、偏光子と、この偏光子の一方の面に保護フィルムとして設けられた本発明のハードコートフィルムと、この偏光子の他方の面に設けられた光学異方性を有する光学補償フィルムとを含むものであってもよい。この場合の光学補償フィルムについては、上記光学異方性層と同様のものとすることができる。
本発明の偏光板は、上述した通り、偏光子およびその両面を保護する保護フィルムで構成されていることが好ましく、更にこの偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを貼合し、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成されていることがより好ましい。
プロテクトフィルムおよびセパレートフィルムは、偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。なお、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
本発明の偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。
例えば、得られたハードコートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法などが挙げられる。また、アルカリ処理の代わりに特開平6-94915号公報、特開平6-118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。また上記のような表面処理を行ってもよい。ハードコートフィルムの偏光子との貼合面はハードコート層を積層した面でもよい、ハードコート層を積層していない面であってもよい。
保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、および、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
[フッ素化アクリレートモノマーの合成]
<合成例a1>
滴下ロートを備えた三つ口フラスコ(3L)内に、2-ヒドロキシエチルアクリレート209.0g(1.8mol)、トリエチルアミン218.6g(2.16mol)、アセトニトリル1000gを入れた。滴下ロートにヘキサフルオロプロペントリマー973.0g(2.16mol)を入れフラスコ内の溶液中へ約60分かけて攪拌下で徐々に滴下した。滴下終了後、室温で攪拌をさらに3時間続行した。
反応混合物に1N塩酸2200gを加えて反応を停止させ、次いで、反応混合物を5Lのビーカー内へ移した後、水1Lを用いる洗浄処理を3回行った。水洗処理後の溶液を減圧下脱水することにより、次式(a-1)で表されるフッ素化アクリレート(a-1)を904.0g得た。
(式中、Rfは下記の一般式(1)または(2)である。)
合成例a1で用いた原料を変更し、フッ素化アクリレート(a-2)および(a-3)を得た。なお、式中のRfは上述の一般式(1)または(2)である。
<合成例b1>
滴下ロートを備えた三つ口フラスコ(1L)内に、2-ヒドロキシエチルアクリレート69.72g(0.6mol)、ネオスタンU-600(日東化成社製)0.957g、酢酸エチル100gを混合・攪拌し、内温を0~5℃に調整した。滴下ロートに、2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(ヘプタフルオロプロポキシ)-1-プロパノール(CHEMINOX PO-3-OH、ユニマテック社製)303.72g(0.63mol)を入れ、フラスコ内の溶液中へ約60分かけて攪拌下で徐々に滴下した。滴下終了後、室温で攪拌をさらに5時間続行し、メタノール8.00g添加した後、さらに1時間攪拌を行った。反応溶液をセライトろ過し、メトキシハイドロキノン144.6mgを添加し、溶液中の溶媒を減圧下留去することにより、次式(b-1)で表されるフッ素化アクリレート(b-1)を330.2g得た。
合成例b1で用いた原料を変更し、フッ素化アクリレート(b-2)~(b-4)を得た。
[含フッ素重合体の合成:(a)式(1)、(2)または(3)で示される基を含む繰り返し単位、または(b)パーフルオロポリエーテル基を含有する繰り返し単位]
<合成例1>
攪拌機、温度計、還流冷却管、および窒素ガス導入管を備えた300ミリリットル三口フラスコに、シクロヘキサノン25.0gを仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、フッ素化アクリレート(a-1)20.00g(36.6ミリモル)、エトキシ化-o-フェニルフェノールアクリレート(A-LEN-10、新中村化学工業社製)30.00g(111.8ミリモル)、シクロヘキサノン25.0gおよび「V-601」(富士フイルム和光純薬社製)0.342gからなる混合溶液を、180分で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、さらに1時間攪拌を続け、「V-601」0.342gとシクロヘキサノン1.00gからなる溶液を添加した直後から93℃まで昇温し、さらに2時間攪拌を続け、含フッ素重合体(Aa-1)のシクロヘキサノン溶液100.6gを得た。この重合体の重量平均分子量(Mw)は24,600(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(EcoSEC HLC-8320GPC(東ソー社製))により溶離液THF、流速0.35ml/min、温度40℃の測定条件にてポリスチレン換算で算出、使用カラムはTSKgel SuperHZM-H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー社製))であった。
<合成例2~13、17、18、20~22>
合成例1で用いたモノマー、組成比を、下記表4に示す構造の含フッ素重合体の繰り返し単位を形成するモノマーおよび組成比に変更したこと以外は、合成例1と同様の方法で、含フッ素重合体(Aa-2)~(Aa-8)、(Bb-1)~(Bb-10)を得た。
[含フッ素重合体の合成:(c)プロトンドナー性官能基とプロトンアクセプター性官能基の水素結合を有し、少なくともひとつの炭素原子がフッ素原子を置換基として有する炭素数1~20のアルキル基を含有する繰り返し単位]
<合成例14>
攪拌機、温度計、還流冷却管、および窒素ガス導入管を備えた300ミリリットル三口フラスコに、シクロヘキサノン25.0gを仕込んで、80℃まで昇温した。次いで、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド20.00g(128.0ミリモル)、フェノキシジエチレングリコールアクリレート(ライトアクリレート P2H-A、共栄社化学社製)30.0g(126.97ミリモル)および「V-601」(富士フイルム和光純薬社製)0.587g(2.5ミリモル)からなる混合溶液を、180分で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、さらに1時間攪拌を続け、「V-601」0.735gとシクロヘキサノン1.00gからなる溶液を添加した直後から93℃まで昇温し、さらに2時間攪拌後、40℃まで降温し、パーフルオロヘプタン酸46.60g(128.0ミリモル)とシクロヘキサノン108gからなる溶液を添加し、さらに2時間攪拌を行い、含フッ素重合体(Cc-1)のシクロヘキサノン溶液100.8gを得た。この含フッ素重合体の重量平均分子量(Mw)は20,500であった。
<合成例15、16、19、23>
分子量の変更の為の重合開始剤量調整に加え、合成例11で用いたモノマー、組成比を、下記表4に示す構造の含フッ素重合体の繰り返し単位を形成するモノマーおよび組成比に変更したこと以外は、同様にして、本発明の含フッ素重合体(Cc-2)、(Cc-3)、(Cc-4)、(Cc-5)を得た。
合成例1~23で合成した含フッ素重合体を示す。なお、構造式中のモノマー構成単位の添え字は重合体全体における質量%を表す。構造式中のRfは上述の一般式(1)または(2)を表す。
Figure 0007513702000093
Figure 0007513702000094
Figure 0007513702000095
[実施例1~23および比較例1~4]
<光配向膜形成用組成物の調製>
WO2016/002722号公報の実施例1に記載された硬化膜形成用組成物(光配向膜形成用組成物)を調製し、これを液晶フィルムの製造に用いた。
<液晶組成物の調製>
下記組成の液晶組成物を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
液晶組成物(実施例1~23、比較例1~4)
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・下記重合性液晶化合物L-3 43.00質量部
・下記重合性液晶化合物L-4 43.00質量部
・下記重合性液晶化合物A-1 14.00質量部
・下記重合開始剤S-1(オキシムエステル類) 0.50質量部
・本発明の含フッ素重合体 下記表5に示す添加量
・ハイソルブMTEM(東邦化学工業社製) 2.00質量部
・NKエステルA-200(新中村化学工業社製) 1.00質量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業社製)
6.00質量部
・メチルエチルケトン(溶媒) 160.00質量部
・シクロペンタノン(溶媒) 51.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
なお、下記重合性液晶化合物L-3およびL-4のアクリロイルオキシ基に隣接する基は、プロピレン基(メチル基がエチレン基に置換した基)を表し、下記重合性液晶化合物L-3およびL-4は、メチル基の位置が異なる位置異性体の混合物を表す。
重合性液晶化合物L-3
重合性液晶化合物L-4
重合性液晶化合物A-1
重合開始剤S-1
[セルロースアシレートフィルムの作製]
<コア層セルロースアシレートドープの作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して、各成分を溶解し、コア層セルロースアシレートドープとして用いるセルロースアセテート溶液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
コア層セルロースアシレートドープ
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・アセチル置換度2.88のセルロースアセテート 100質量部
・特開2015-227955号公報の実施例に
記載されたポリエステル化合物B 12質量部
・下記の化合物G 2質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 430質量部
・メタノール(第2溶剤) 64質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
化合物G
<外層セルロースアシレートドープの作製>
上記のコア層セルロースアシレートドープ90質量部に下記のマット剤溶液を10質量部加え、外層セルロースアシレートドープとして用いるセルロースアセテート溶液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液
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平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製) 2質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76質量部
メタノール(第2溶剤) 11質量部
上記のコア層セルロースアシレートドープ 1質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
<セルロースアシレートフィルム1の作製>
上記コア層セルロースアシレートドープと上記外層セルロースアシレートドープを平均孔径34μmのろ紙および平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過した後、上記コア層セルロースアシレートドープとその両側に外層セルロースアシレートドープとを3層同時に流延口から20℃のドラム上に流延した(バンド流延機)。溶剤含有率略20質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をテンタークリップで固定し、横方向に延伸倍率1.1倍で延伸しつつ乾燥した。その後、得られたフィルムを熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み40μmの光学フィルムを作製し、これをセルロースアシレートフィルム1とした。セルロースアシレートフィルム1のコア層は厚み36μm、コア層の両側に配置された外層はそれぞれ厚み2μmであった。得られたセルロースアシレートフィルム1の波長550nmにおける面内レターデーションは0nmであった。
得られたセルロースアシレートフィルム1を支持体とした。
[液晶フィルムの作製]
作製したセルロースアシレートフィルム1の片側の面に、先に調製した光配向膜形成用組成物をバーコーターで塗布した。
光配向膜形成用組成物を塗布後、得られたフィルムを120℃のホットプレート上で1分間乾燥して溶剤を除去し、厚さ0.3μmの光配向膜形成用組成物層を形成した。
得られた光配向膜形成用組成物層に偏光紫外線照射(10mJ/cm、超高圧水銀ランプ使用)することで、光配向層を形成した。
次いで、光配向層上に、先に調製した液晶組成物(実施例1~23、比較例1~4)をそれぞれバーコーターで塗布し、液晶組成物層を形成した。
形成した液晶組成物層をホットプレート上でいったん110℃まで加熱した後、60℃に冷却させて配向を安定化させた。
その後、60℃に保ち、窒素雰囲気下(酸素濃度100ppm)で紫外線照射(500mJ/cm、超高圧水銀ランプ使用)によって配向を固定化し、厚さ2.3μmの光学異方性層を形成し、液晶フィルムを作製した。得られた液晶フィルムの波長550nmにおける面内レターデーションは140nmであった。
<配向性の評価>
作製した液晶フィルムについて、偏光顕微鏡を用いて消光位から2度ずらした状態で観察した。観察した際に部分的な明暗差が存在していない状態を、液晶ダイレクタが均一に配向している(配向性に優れる)と評価した。
観察の結果を下記基準に照らして区分した。結果を下記表5に示す。
AA:液晶ダイレクタがキメ細かく整って配向し、表示性能が非常に優れる
A:液晶ダイレクタが均一に整って配向し、表示性能が優れる
B:液晶ダイレクタの乱れが部分的であり、面状が安定している
C:液晶ダイレクタが大幅に乱れて面状が安定せず、表示性能が非常に劣る
<液晶組成物層の干渉ムラの評価>
液晶フィルムの液晶組成物層と反対面の面(裏面)の反射を防止するため、裏面を黒色マーカーで塗りつぶした後に、拡散板が前面に取りつけられた3波長蛍光灯下で液晶フィルムのおもて面(液晶組成物層塗布面)を観察する。おもて面から液晶フィルムを目視で観察し、下記評価基準にて評価した。
A:干渉縞はなかった。
B:干渉縞はごく僅かにみられるが、気にならない。
C:干渉縞がところどころにみられるが、製品として許容されるものであった。
D:干渉縞が強く発生し、問題になる。
<液晶組成物層のブツ状欠陥の評価>
裏面側から蛍光灯を照射し、液晶組成物層塗布面(おもて面)側から透過目視面検、および液晶組成物層塗布面側から蛍光灯を照射した反射目視面検にて3m検査し、輝点状の欠陥を採取した。さらに、採取した欠陥を顕微鏡およびIR、顕微ラマン分光装置で分析して、欠陥部の組成が、正常部と同一であるものの数をカウントし、その値を3で割って1m当たりのブツ状欠陥の数を算出した。
A:ブツ状欠陥が1m当たりに換算し、0個であり、発生していない
B:ブツ状欠陥が1m当たりに換算し、1~5個発生しているものの、低頻度であり気にならない
C:ブツ状欠陥が1m当たりに換算し、6個以上発生しており、気になる
<ハジキの評価>
上述した評価(配向性、干渉ムラおよびブツ状欠陥)で用いた液晶組成物層の代わりに、以下の液晶組成物を用いて得られた液晶組成物層を用いた以外は、上述の液晶フィルムの製造と同様にして、ハジキの評価用の液晶フィルムを作製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
液晶組成物(実施例1~23、比較例1~4:ハジキの評価用)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・上記重合性液晶化合物L-3 43.00質量部
・上記重合性液晶化合物L-4 43.00質量部
・上記重合性液晶化合物A-1 14.00質量部
・上記重合開始剤S-1(オキシムエステル類) 0.50質量部
・本発明の含フッ素重合体 下記表5に示す添加量
・ハイソルブMTEM(東邦化学工業社製) 2.00質量部
・NKエステルA-200(新中村化学工業社製) 1.00質量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業社製)
6.00質量部
・メチルエチルケトン(溶媒) 85.00質量部
・シクロペンタノン(溶媒) 33.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
各実施例および比較例の液晶フィルム中の、各液晶組成物を用いて形成した層のハジキの個数を数えた。ここで、光配向層の表面中において液晶組成物層が形成されていない領域をハジキとした。その結果に基づいて以下の基準で評価した。評価基準AまたはBであれば、生産効率に優れ、好適に用いることができ、評価基準Aであることがより好ましい。
A:ハジキが0個
B:ハジキが1~3個
C:ハジキが4~9個
D:ハジキが10個以上
以上の結果を表5に示す。なお、表5中、サーフロンS243はAGCセイケミカル社製、メガファックF-444およびF-554はいずれもDIC社製の含フッ素系素材である。
表5に示す通り、本発明の含フッ素重合体を有する液晶フィルムは、配向性に優れ、かつ、干渉ムラ、ブツ状欠陥およびハジキの少ない、均質性の高い膜であることが確認された(実施例1~実施例23)。
実施例1~実施例23の対比から、液晶化合物に由来する繰り返し単位を有する含フッ素重合体を用いて形成された液晶フィルムは、ハジキをより抑制できることが示された(実施例20~23)。

Claims (20)

  1. 下記一般式(I)で表される繰り返し単位、下記一般式(I-c1)で表される繰り返し単位、または、下記一般式(I-c2)で表される繰り返し単位と、
    下記一般式(IV)で表される繰り返し単位と、を含む含フッ素重合体。

    一般式(I)中、Lは、単結合または2価の連結基を表し、Rは、水素原子、フッ素原子、塩素原子または炭素数1~20のアルキル基を表し、Rは、
    (a)下記式(1)、(2)または(3)で示される基、
    (b)パーフルオロポリエーテル基、
    うち、いずれか1つを含む基である。


    一般式(IV)中、Rは水素原子、フッ素原子、塩素原子、または炭素数1~20のアルキル基を表し、UおよびUは、それぞれ独立に、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NHCOO-、または、-NH-を表す。RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換のヘテロアリール基を表し、RおよびRは、連結基を介して互いに連結していてもよい。Lは、単結合、または2価の連結基を表す。

    一般式(I-c1)中、R は、水素原子、フッ素原子、塩素原子または炭素数1~20のアルキル基を表し、X C1 は、プロトンアクセプター性官能基を有する基を表し、Y C1 は、プロトンドナー性官能基、および、フルオロアルキル基を有する基を表す。

    一般式(I-c2)中、R は、水素原子、フッ素原子、塩素原子または炭素数1~20のアルキル基を表し、Y C2 は、プロトンドナー性官能基を有する基を表し、X C2 は、プロトンアクセプター性官能基、および、フルオロアルキル基を有する基を表す。
  2. 下記一般式(I)で表される繰り返し単位、下記一般式(I-c1)で表される繰り返し単位、または、下記一般式(I-c2)で表される繰り返し単位を含み、
    さらに棒状液晶化合物および円盤状液晶化合物からなる群から選択される少なくとも1種の液晶化合物に由来するメソゲン基および2個以上の重合性基を有する化合物をラジカル重合させてなる部分構造を含み、分岐状である、含フッ素重合体。

    一般式(I)中、Lは、単結合または2価の連結基を表し、Rは、水素原子、フッ素原子、塩素原子または炭素数1~20のアルキル基を表し、Rは、
    (a)下記式(1)、(2)または(3)で示される基
    含む基である。


    一般式(I-c1)中、R は、水素原子、フッ素原子、塩素原子または炭素数1~20のアルキル基を表し、X C1 は、プロトンアクセプター性官能基を有する基を表し、Y C1 は、プロトンドナー性官能基、および、フルオロアルキル基を有する基を表す。

    一般式(I-c2)中、R は、水素原子、フッ素原子、塩素原子または炭素数1~20のアルキル基を表し、Y C2 は、プロトンドナー性官能基を有する基を表し、X C2 は、プロトンアクセプター性官能基、および、フルオロアルキル基を有する基を表す。
  3. 下記一般式(I)で表される繰り返し単位と、下記一般式(II)で表される繰り返し単位と、を含み、
    さらに棒状液晶化合物および円盤状液晶化合物からなる群から選択される少なくとも1種の液晶化合物に由来するメソゲン基および2個以上の重合性基を有する化合物をラジカル重合させてなる部分構造を含み、分岐状である、含フッ素重合体。

    一般式(I)中、Lは、単結合または2価の連結基を表し、Rは、水素原子、フッ素原子、塩素原子または炭素数1~20のアルキル基を表し、Rは、(b)パーフルオロポリエーテル基、を含む基である。

    一般式(II)中、Rは水素原子、フッ素原子、塩素原子、または炭素数1~20のアルキル基を表し、Rは置換基を有していてもよい芳香環を表し、Lは単結合または2価の連結基を表す。
  4. 下記一般式(I-c1)で表される繰り返し単位または下記一般式(I-c2)で表される繰り返し単位と、下記一般式(II)で表される繰り返し単位と、を含む含フッ素重合体。

    一般式(I-c1)中、R は、水素原子、フッ素原子、塩素原子または炭素数1~20のアルキル基を表し、X C1 は、プロトンアクセプター性官能基を有する基を表し、Y C1 は、プロトンドナー性官能基、および、フルオロアルキル基を有する基を表す。

    一般式(I-c2)中、R は、水素原子、フッ素原子、塩素原子または炭素数1~20のアルキル基を表し、Y C2 は、プロトンドナー性官能基を有する基を表し、X C2 は、プロトンアクセプター性官能基、および、フルオロアルキル基を有する基を表す。

    一般式(II)中、Rは水素原子、フッ素原子、塩素原子、または炭素数1~20のアルキル基を表し、Rは置換基を有していてもよい芳香環を表し、Lは単結合または2価の連結基を表す。
  5. 下記一般式(I-c1)で表される繰り返し単位または下記一般式(I-c2)で表される繰り返し単位と、下記一般式(III)で表される繰り返し単位と、を含む含フッ素重合体。

    一般式(I-c1)中、R は、水素原子、フッ素原子、塩素原子または炭素数1~20のアルキル基を表し、X C1 は、プロトンアクセプター性官能基を有する基を表し、Y C1 は、プロトンドナー性官能基、および、フルオロアルキル基を有する基を表す。

    一般式(I-c2)中、R は、水素原子、フッ素原子、塩素原子または炭素数1~20のアルキル基を表し、Y C2 は、プロトンドナー性官能基を有する基を表し、X C2 は、プロトンアクセプター性官能基、および、フルオロアルキル基を有する基を表す。

    一般式(III)中、Rは水素原子、フッ素原子、塩素原子、または炭素数1~20のアルキル基を表し、Lは単結合または2価の連結基を表し、Qはカチオン重合性基およびラジカル重合性基からなる群から選択される重合性基を含む基を表す。
  6. さらに下記一般式(II)で表される繰り返し単位を含む、請求項1、2及び5のいずれか1項に記載の含フッ素重合体。

    一般式(II)中、Rは水素原子、フッ素原子、塩素原子、または炭素数1~20のアルキル基を表し、Rは置換基を有していてもよい芳香環を表し、Lは単結合または2価の連結基を表す。
  7. さらに下記一般式(III)で表される繰り返し単位を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の含フッ素重合体。

    一般式(III)中、Rは水素原子、フッ素原子、塩素原子、または炭素数1~20のアルキル基を表し、Lは単結合または2価の連結基を表し、Qはカチオン重合性基およびラジカル重合性基からなる群から選択される重合性基を含む基を表す。
  8. さらに下記一般式(IV)で表される繰り返し単位を有する、請求項2~のいずれか1項に記載の含フッ素重合体。

    一般式(IV)中、Rは水素原子、フッ素原子、塩素原子、または炭素数1~20のアルキル基を表し、UおよびUは、それぞれ独立に、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NHCOO-、または、-NH-を表す。RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換のヘテロアリール基を表し、RおよびRは、連結基を介して互いに連結していてもよい。Lは、単結合、または2価の連結基を表す。
  9. さらに棒状液晶化合物および円盤状液晶化合物からなる群から選択される少なくとも1種の液晶化合物に由来するメソゲン基および2個以上の重合性基を有する化合物をラジカル重合させてなる部分構造を含み、分岐状である、請求項14、及び5のいずれか1項に記載の含フッ素重合体。
  10. 前記棒状液晶化合物に由来するメソゲン基および2個以上の重合性基を有する化合物が、下記一般式(X)で表される化合物である、請求項2、3及び9のいずれか1項に記載の含フッ素重合体。

    一般式(X)中、QX1およびQX2はそれぞれ独立に重合性基を表し、LX1およびLX4はそれぞれ独立に2価の連結基を表し、LX2およびLX3はそれぞれ独立に単結合または2価の連結基を表し、CyX1、CyX2およびCyX3はそれぞれ独立に2価の環状基を表し、nxは0~3の整数を表す。
  11. 前記円盤状液晶化合物に由来するメソゲン基および2個以上の重合性基を有する化合物が、下記一般式(I-X)で表される化合物である、請求項2、3及び9のいずれか1項に記載の含フッ素重合体。

    一般式(I-X)中、Y11、Y12およびY13はそれぞれ独立に、置換されていてもよいメチンまたは窒素原子を表し、L、LおよびLはそれぞれ独立に、単結合または2価の連結基を表し、H、HおよびHはそれぞれ独立に、下記一般式(I-A)で表される基または下記一般式(I-B)で表される基を表し、R、RおよびRはそれぞれ独立に、下記一般式(I-R)で表される基を表す。

    一般式(I-A)中、YAおよびYAはそれぞれ独立に、置換基を有してもよいメチンまたは窒素原子を表し、XAは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、*は、前記一般式(I-X)におけるL~L側と結合する位置を表し、**は、前記一般式(I-X)におけるR~R側と結合する位置を表す。

    一般式(I-B)中、YBおよびYBはそれぞれ独立に、置換基を有してもよいメチンまたは窒素原子を表し、XBは、酸素原子、硫黄原子、メチレンまたはイミノを表し、*は前記一般式(I-X)におけるL~L側と結合する位置を表し、**は前記一般式(I-X)におけるR~R側と結合する位置を表す。

    一般式(I-R)中、*は一般式(I-X)におけるH~H側と結合する位置を表し、Lr1は単結合または2価の連結基を表し、Qは少なくとも1種類の環状構造を有する2価の基を表し、n1は、0~4の整数を表し、Lr2およびLr3はそれぞれ独立に2価の連結基を表し、Qは重合性基または水素原子を表す。ただし、一般式(I-X)中、複数存在するQの少なくとも2つは重合性基を表す。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の含フッ素重合体を含有する組成物。
  13. さらに重合性液晶化合物を含有し、
    前記重合性液晶化合物の含有量が、前記組成物の全質量に対して40質量%以上である、請求項12に記載の組成物。
  14. 下記一般式(I)で表される繰り返し単位、下記一般式(I-c1)で表される繰り返し単位、または、下記一般式(I-c2)で表される繰り返し単位を含む含フッ素重合体と、重合性液晶化合物と、を含有する組成物であって、
    前記重合性液晶化合物の含有量が、前記組成物の全質量に対して40質量%以上である、組成物。

    一般式(I)中、Lは、単結合または2価の連結基を表し、Rは、水素原子、フッ素原子、塩素原子または炭素数1~20のアルキル基を表し、Rは、
    (a)下記式(1)、(2)または(3)で示される基
    含む基である。


    一般式(I-c1)中、R は、水素原子、フッ素原子、塩素原子または炭素数1~20のアルキル基を表し、X C1 は、プロトンアクセプター性官能基を有する基を表し、Y C1 は、プロトンドナー性官能基、および、フルオロアルキル基を有する基を表す。

    一般式(I-c2)中、R は、水素原子、フッ素原子、塩素原子または炭素数1~20のアルキル基を表し、Y C2 は、プロトンドナー性官能基を有する基を表し、X C2 は、プロトンアクセプター性官能基、および、フルオロアルキル基を有する基を表す。
  15. 下記一般式(I)で表される繰り返し単位および下記一般式(II)で表される繰り返し単位を含む含フッ素重合体と、重合性液晶化合物と、を含有する組成物であって、
    前記重合性液晶化合物の含有量が、前記組成物の全質量に対して40質量%以上である、組成物。

    一般式(I)中、Lは、単結合または2価の連結基を表し、Rは、水素原子、フッ素原子、塩素原子または炭素数1~20のアルキル基を表し、Rは、(b)パーフルオロポリエーテル基、を含む基である。

    一般式(II)中、Rは水素原子、フッ素原子、塩素原子、または炭素数1~20のアルキル基を表し、Rは置換基を有していてもよい芳香環を表し、Lは単結合または2価の連結基を表す。
  16. 下記一般式(I-b)で表される繰り返し単位を含む含フッ素重合体と、重合性液晶化合物と、を含有する組成物であって、
    前記重合性液晶化合物の含有量が、前記組成物の全質量に対して40質量%以上である、組成物。

    一般式(I-b)中、Lは-C(O)-O-、-C(O)-NH-、または、-O-C(O)-を有する2価の連結基であり、R11は水素原子、フッ素原子、塩素原子または炭素数1~20のアルキル基を表し、RfおよびRfはそれぞれ独立に、フッ素原子またはパーフルオロアルキル基を表し、Rfが複数存在する場合、それぞれ同じでも異なっていてもよく、Rfが複数存在する場合、それぞれ同じでも異なっていてもよく、R12が水素原子、フッ素原子、パーフルオロアルキル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、または、下記式(b-12)で表される単位を表し、uは1以上の整数を表し、pは1以上の整数を表す。

    式(b-12)中、R 1X は、水素原子、フッ素原子、塩素原子または炭素数1~20のアルキル基を表し、L 1X は、単結合または2価の連結基を表し、*は、一般式(I-b)の([CRf Rf O) の酸素原子との結合位置を表す。
  17. 請求項12~16のいずれか1項に記載の組成物から形成される層を有する光学フィルム。
  18. 請求項12~16のいずれか1項に記載の組成物から形成される層を有する液晶フィルム。
  19. 請求項12~16のいずれか1項に記載の組成物から形成される層を有するハードコートフィルム。
  20. 請求項12~16のいずれか1項に記載の組成物から形成される層を有する偏光板。
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