JP7512682B2 - 複合繊維 - Google Patents

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本発明は、2種類のポリマーの接合により複合化された芯成分と鞘成分とからなる芯鞘複合繊維に関するものである。
ポリエステルやポリアミドなどからなる合成繊維は優れた力学特性や寸法安定性を有しているため、衣料用途から産業資材用途まで幅広く利用されている。近年の生活様式の変化や健康志向の高まりに伴い、人々が繊維製品に求める特性は多様化し、特に人間が身につける衣料用テキスタイルでは、優れた高機能な快適素材が求められ続けている。
特に近年においては、衣服用テキスタイルにおける基本特性として、着用時の束縛感の抑制や動作の追従性が求められ、衣服が伸び縮みし、動作の際にストレスを感じないストレッチテキスタイルの提案が見られる。
布帛にストレッチを付与する方法もこれまでに種々提案され、織編物中にゴム弾性をもつポリウレタン系の繊維を混用する場合や、繊維に仮撚加工を施し、加撚/解撚トルクを発現させた繊維を用いることによって、原糸にストレッチ性を付与する方法がある。
しかしながら、このような弾性糸を用いる場合や仮撚り加工糸の場合、織編物とした際にストレッチ性能は発現するものの、ストレッチ性が強く発生しすぎて締め付け感が強かったり、布帛自体が縮むことで繊維の動きが制限され柔軟性に欠け厚ぼったい感じの布帛となったりと、軽量感やソフトストレッチな快適素材としては不足するものであった。
そこで、柔軟性を高めるために弾性糸や仮撚加工糸を用いず、ストレッチ性能が得られる素材とするための方法として、サイドバイサイド複合や偏心芯鞘複合を利用した潜在捲縮発現性繊維が種々提案されている。潜在捲縮発現性繊維とは熱処理により捲縮が発現する、あるいは熱処理前より微細な捲縮が発現する能力を有する繊維のことを言い、機械的に繊維に屈曲を記憶させた仮撚加工糸等の加工糸とは区別されるものである。
例えば、特許文献1には、粘度差のある2成分のポリマーによる偏心芯鞘複合繊維が提案されている。
この偏心芯鞘複合繊維を用いれば、熱処理後に繊維が高収縮成分側に大きく湾曲することになるため、これが連続することで3次元的なスパイラル構造をとる。このため、該構造がバネのように伸び縮みすることで、布帛に十分なストレッチ性能を有し、貼り合わせ界面での剥離を抑制し、耐摩耗性が向上した潜在捲縮複合繊維を得ることが出来る。さらには、A成分がB成分で完全に覆われていることで、ストレッチ性と耐摩耗性を備え、かつシボやスジの無い均一でなめらかな外観を有した布帛が提案されている。
また、細繊度の潜在捲縮発現性繊維を得るための提案として、海島複合繊維の技術を応用した提案として、特許文献2および特許文献3のような提案がある。これらは、偏心芯鞘型複合繊維や貼り合わせ型複合繊維の周りを海成分で覆うことで、柔らかい細い潜在捲縮発現性繊維を得る目的の提案である。これらの提案では、原糸の段階では太い繊維で捲縮が発現しておらず、製編や製織後に海成分を除去することで、細繊度の偏心芯鞘型複合繊維や貼り合わせ型複合繊維を得ることが出来、位相のずれた細かなランダムな捲縮が発現し、布帛品位に優れるものであった。
WO2018/110523(特許請求の範囲) 特開2008-274446号公報(特許請求の範囲) WO2015/129519(特許請求の範囲)
特許文献1においては繊維同士が密着しており繊維間空隙が乏しいため、繊維1本1本が十分に捲縮を発現できない上、隣同士の繊維がまとまりスパイラルを形成し、スジ等の布帛品位への影響が懸念される。さらには、繊維間空隙が乏しいため、布帛の膨らみ感が不足し、ペーパーライクな布帛となり、軽量感としては劣る場合がある。
ストレッチ素材について、軽量感を与える手段として細繊度による布帛の薄地化があるが、繊維が細くなることで繊維の剛性が低下し、軽量感や柔軟性が得られる。しかしながら、ストレッチ性能も低下すると共に柔軟性が高くなりすぎる傾向があり、纏わり付くなどの不快な触感を呈することもある。これを解決するために、糸に撚りを掛ける撚糸をほどこす技術があるが、それにより柔軟性が不足する場合があり、反発感と軽量感を兼ね備えた心地よい触感が得られるストレッチ素材は得られない。
また、特許文献2および特許文献3は、海島複合繊維において、海成分除去過程で繊維間にある海成分が徐々に無くなり、繊維同士の距離が縮みながら捲縮が発現する。このように、繊維同士の距離が小さいことと捲縮糸が細いことにより、得られた布帛は、ストレッチ性能があるものの緻密な構造をとり、膨らみ感を追求する素材には適さない場合があった。
このように、従来提案されている技術では、昨今のストレッチ素材に求められている着用時の束縛感の抑制(ソフトストレッチ)や動作の追従性(柔軟性)などの高機能性と、薄手の素材であっても軽量感や膨らみ感による柔らかな風合いといった良好な触感の両立は困難であった。このようにカジュアル用途から激しい動きのあるスポーツ用途まで幅広く対応が可能で、かつ締め付け感が適度なストレッチ性能と嵩高でありながら、反発感があり心地よい触感を備えた快適性衣料に適したストレッチ素材が求められていた。
本発明の目的は、以下の手段によって達成される。
(1)芯成分が貼り合わせ型または薄皮偏心芯鞘型に接合された2種類の異なるポリマーからなり、鞘成分が易溶出ポリマーからなることを特徴とする芯鞘複合繊維。
(2)該芯成分を構成する2種類のポリマーの複合比が10/90から90/10であることを特徴とする前記(1)に記載の芯鞘複合繊維。
(3)該芯成分を構成する2種類のポリマーの溶融粘度差が10Pa・s以上であり、芯成分ポリマー粘度Iと易溶出ポリマー粘度Sとの比S/Iが0.1から2.0であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の芯鞘複合繊維。
(4)前記(1)~(3)のいずれか1項に記載の芯鞘複合繊維から鞘成分が除去されたことを特徴とする複合繊維。
(5)前記(1)~(4)のいずれか1項に記載の繊維を少なくとも一部に含んだ繊維製品。
である。
本発明によれば、捲縮形態の中に大小のサイズの異なる空隙が発現することにより、軽量感やふくらみ感による柔らかで、心地よい触感を備えたストレッチ素材といった快適衣料用テキスタイルに適した複合繊維を提供できる。
本発明の芯鞘複合繊維の一例の横断面の概略図である。 本発明の芯鞘複合繊維の他の例の横断面の概略図である。 嵩高度を測定するための装置の斜視図である。 嵩高度の測定方法を示す見取り図であり、(f)は正面図、(g)は側面図である。 本発明の複合繊維の異型度測定方法を説明するための一例である。 本発明の芯鞘複合繊維の製造方法を説明するための説明図であり、複合口金の形態の一例であって、複合口金を構成する主要部分の正断面図である。 本発明の芯鞘複合繊維の製造方法を説明するための説明図であり、分配プレートの一部の横断面図である。 本発明の芯鞘複合繊維の製造方法を説明するための説明図であり、吐出プレートの横断面図である。 最終分配プレートにおける分配孔配置の一実施形態の一部拡大図である。
以下、本発明について望ましい実施形態と共に記述する。
本発明の芯鞘複合繊維は、繊維形成可能ポリマーからなっている複合繊維であり、芯成分が貼り合わせ型または薄皮偏心芯鞘型に接合された2種類以上の異なるポリマーで形成し、前記と異なる易溶出ポリマーにてそれらを取り囲んでいる芯鞘複合繊維であることを特徴とする。
本発明で言う繊維形成可能ポリマーとは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PPT)などのポリエステル、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリ乳酸、熱可塑性ポリウレタン、ポリフェニレンサルファイドなどの溶融成形可能なポリマーおよびそれらの共重合体が挙げられる。
特に、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが好ましく用いられ、中でもポリエステルは力学特性等も兼ね備えるため、より好ましい。ここで言うポリエステルとは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートや、それらにジカルボン酸成分、ジオール成分あるいはオキシカルボン酸成分が共重合されたもの、あるいはそれらのポリエステルをブレンドしたものが挙げられる。また、生分解性ポリエステルとして知られるポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリε-カプロラクタム等の脂肪族ポリエステルでもよい。
本発明の芯鞘複合繊維は、製糸後に種々の高次加工を経て、最終製品にされるものである。このため、これ等の工程での処理温度等を踏まえると、用いる繊維形成可能ポリマーは融点が165℃以上の耐熱性が良好なポリマーであることが好適であり、中でもポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリエステル系ポリマーやポリアミド系ポリマーが好ましい。
また、これらの繊維形成可能ポリマーには本発明の目的を損なわない範囲で酸化チタン、シリカ、酸化バリウムなどの無機物質、カーボンブラック、染料や顔料などの着色剤、難燃剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、あるいは紫外線吸収剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
環境問題に注目が集まる中、本発明においても植物由来のバイオポリマーやリサイクルポリマーを用いることは環境負荷低減の観点からも好適なことであり、上記した本発明に用いられるポリマーは、ケミカルリサイクル、マテリアルリサイクルおよびサーマルリサイクルのいずれの手法で再資源化されたリサイクルポリマーを用いることができる。バイオポリマーやリサイクルポリマーを用いる場合にも、ポリエステル系樹脂はそのポリマー特性として、本発明の特徴を顕著化することができ、リサイクルポリエステルは本発明に好適に用いることができる。
本発明の芯鞘複合繊維においては、芯成分が貼り合わせ型または薄皮偏心芯鞘型に接合された2種類の異なるポリマーからなっていることが必要である。この芯成分は、ポリマー特性が異なる2種類以上のポリマーが実質的に分離せず接合された状態で存在するものであり、2種類の成分が左右に配置された貼り合わせ型や一般的な複合繊維で見られる一方の成分を他方の成分が被覆した芯鞘型の芯成分が偏っている偏心芯鞘型など、2種類のポリマーが接合したいずれの複合形態とすることも可能である。
本発明の芯成分が形成する2種類のポリマーが実質的に分離せず接合された状態とは、芯成分用ポリマーAと芯成分用ポリマーBが接合面を持って接着した状態にあることを意味する。このため、芯成分を被覆する鞘成分ポリマーを除去したあとにおいても、ポリマーAとポリマーBが剥離することなく一体となって存在している状態となる。
本発明の芯鞘複合繊維の2種類の異なるポリマーが接合した芯成分を形成するポリマーとして、加熱処理を施した際に収縮差を生じるポリマーの組み合わせが好適であり、組み合わせるポリマーの溶融粘度差が10Pa・s以上となる分子量または組成が異なるポリマーの組み合わせが好適である。
本発明で言う溶融粘度とは、チップ状のポリマーを真空乾燥機によって、水分率を200ppm以下とし、歪速度を段階的に変更して測定し、測定温度を紡糸温度と同様にした場合の歪速度1216s-1における値である。複合糸を構成するポリマーの溶融粘度が10Pa・s以上異なると言うことは、例えば、紡糸線において、溶融粘度の高いポリマー成分に応力が集中することとなるため、芯鞘型断面や海島型断面の場合には、主要ポリマーに応力が集中し、優れた力学特性を発現したり、貼り合わせ型断面等の場合には、組み合わせた成分の配向により顕著な差が生まれたりすることとなり、好適な捲縮を発現させることが可能となる。捲縮発現等を考慮すると、組み合わせるポリマーの溶融粘度差はより大きいことが好適であり、溶融粘度差が50~400Pa・sであることが好ましい範囲として挙げられる。この観点を推し進めると、溶融粘度差を高めることが好適となるが、特性発現と制御できる紡糸線での伸長変形差を考えると本発明においては、組み合わせるポリマーの溶融粘度差が100~300Pa・sであることが特に好ましい範囲となる。
本発明の目的を達成するために好適な芯成分用ポリマーとしては、先に挙げた繊維形成可能ポリマーの分子量を変更して図1の1にA成分として高分子量ポリマーを、また図1の2にB成分として低分子量ポリマーを使用する、あるいはA成分をホモポリマーとし、B成分を共重合ポリマーとして使用することもできる。また、ポリマー組成が異なる組み合わせについても、例えば、A成分/B成分でポリブチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート、熱可塑性ポリウレタン/ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート/ポリブチレンテレフタレートなどの種々の組み合わせが挙げられ、これ等の組み合わせにおいては、スパイラル構造による良好な嵩高性を得ることができる。
本発明の芯鞘複合繊維は、製編や製織後などの高次加工を施した後に、芯成分を取り囲んでいる鞘成分の易溶出ポリマーを除去することで、本発明の複合繊維となり、繊維同士の間に好適な空隙を形成するものである。すなわち、布帛に仕立てられた本発明の複合繊維は、布帛の組織等に基づいて、繊維同士が交差することにより、一定間隔をもって拘束されることになる。従来の潜在捲縮発現性繊維においては、ここで熱処理を施すことにより、繊維が収縮し、捲縮を発現することとなるが、繊維同士の拘束が強く、得られる嵩高性や軽量感などは限定的になる場合があった。一方、本発明の複合繊維においては、熱処理前後で易溶出ポリマーを溶出することにより、繊維1本1本が自由に動くことが出来るようになり、更にこの溶出後の繊維が、捲縮を発現することにより、繊維1本1本が自由に捲縮を発現し、嵩高な糸束となる。このため、仕上げ加工が完了した布帛においては、構成する繊維が嵩高くなり、柔軟な触感と、捲縮による反発感を両立した快適衣料に適したテキスタイルになるのである。
また、反発感を得るため、および、高次工程の通過性、加工性を良好にする目的で撚糸をほどこす場合があるが、従来の場合は糸束がまとまり繊維間空隙が少なくなる。ところが、本発明の複合繊維は芯成分を取り囲んでいる易溶出ポリマーを除去することで、繊維同士の間に優れた空隙を形成するものである。このように撚糸の糸束形態を維持したまま、糸束内に空隙を形成することにより、繊維1本1本が自由に動くことが出来るため優れた柔軟性が得られ、嵩高でありながらも撚糸による反発感も同時に得られ、快適衣料に適した複合繊維である。
ここで言う易溶出ポリマーとは、溶出処理に用いる溶剤に対して難溶解性を基準とした際に、溶解速度比(易溶解性/難溶解性)が100以上であることを意味する。高次加工における溶出処理の簡略化や時間短縮を考慮すると、この溶解速度比は大きいことが好適であり、本発明においては、溶解速度比が1000以上であることが好ましく、更に好ましくは10000以上とすることである。係る範囲においては、溶出処理を短時間で終了することができるため、工程速度を高めることに加えて、難溶解成分を不要に劣化させることなく、より品位の高い布帛を得ることができる。
本発明に用いる易溶出ポリマーとは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリ乳酸、熱可塑性ポリウレタン、ポリフェニレンサルファイドなどの溶融成形可能なポリマーおよびそれらの共重合体から選択される。特に、溶出工程を簡便化するという観点では、水系溶剤あるいは熱水などに易溶出性を示す共重合ポリエステル、ポリ乳酸、ポリビニルアルコールなどが好ましく、特に、ポリエチレングリコール、ナトリウムスルホイソフタル酸が単独あるいは組み合わされて共重合したポリエステルやポリ乳酸を用いることが取扱性および低濃度の水系溶剤に簡単に溶解するという観点から好ましい。
また、本発明者らの検討では、水系溶剤に対する溶解性および溶解の際に発生する廃液処理の簡易化という観点では、ポリ乳酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸が3mol%から20mol%が共重合されたポリエステルおよび前述した5-ナトリウムスルホイソフタル酸に加えて重量平均分子量500から3000のポリエチレングリコールが5wt%から15wt%の範囲で共重合されたポリエステルが特に好ましい。特に、前述した5-ナトリウムスルホイソフタル酸単独および5-ナトリウムスルホイソフタル酸に加えてポリエチレングリコールが共重合されたポリエステルにおいては、結晶性を維持しながらもアルカリ水溶液などの水系溶剤に対して易溶解性を示すため、加熱下で擦過が付与される仮撚り加工などにおいても、複合繊維間の融着等が起こらず高次加工通過性という観点から好適である。
本発明の芯鞘複合繊維は、紡糸工程や延伸工程といった製糸工程において複合繊維が一体となって伸長変形する。このため、そのポリマーの剛性に応じて、伸長変形によって生じる応力が内部エネルギーとなって芯成分や鞘成分に蓄積されることとなる。鞘成分を有しない通常の繊維の場合には、例えば、繊維構造が十分形成されていない未延伸繊維の場合には、繊維を巻き取った後で変形が緩和するなどして、内部エネルギーが発散されるものであった。一方、本発明の場合には、鞘成分を有しているため、基本的にこの鞘成分の挙動に応じて変形が拘束されることとなる。このため、巻き取り等して放置した際にも内部エネルギーが複合繊維の芯成分に十分蓄積された状態が維持されていることとなる。よって、鞘成分を除去した場合、芯成分は蓄積された内部エネルギーが解放されることで、異なる2種類のポリマーが貼り合わされた貼り合わせ型や偏心芯鞘型の場合、ポリマー間で内部エネルギーの蓄積量が異なるため、収縮差が生じ、3次元的なスパイラル構造の捲縮が発現する。
このように、仮撚り等の追加の高次加工を施すことなく、一般的にポリエステル系布帛で行われる減量加工や海島複合繊維での脱海処理のみで、布帛にストレッチ性能を付与することが出来るのである。
本発明の複合繊維は、製編や製織後などの高次加工を施した後に、芯成分を取り囲んでいる鞘成分である易溶出ポリマーを除去することで、繊維同士の間に優れた空隙を形成するものである。その際に、繊維同士の間に空隙が存在していることで周りの繊維と干渉せずに捲縮発現することが出来るため位相のずれた優れた捲縮となり、嵩高い布帛が得られる。さらには、繊維同士の優れた空隙のおかげで繊維の拘束度合いが低く、各々の繊維が柔軟に動くことが出来るため、これまでに無い柔らかな風合いとなるのである。
また、本発明の芯鞘複合繊維を用いた布帛において、布帛形成後(鞘溶出前)に布帛に適度な熱処理を施し、弱い捲縮を発現させる。次いで鞘成分を溶出する工程およびその後工程の熱処理により、さらに捲縮を発現させることも出来る。これは、捲縮が発現した布帛の状態で鞘成分を溶出することにより、繊維間空隙がさらに大きくなり、その広がった空間で捲縮が自在に発現することが可能となり、細かな位相のずれた捲縮の発現が嵩高性をより高め柔らかな触感とすることが出来るのである。
本発明の芯鞘複合繊維において、捲縮が5山/cm以上の捲縮山数を有することが好ましい。
係る範囲とすれば、繊維間での排除体積効果によって、繊維1本1本の間にμmオーダーの繊維間空隙を形成することが可能となる。さらに10山/cm以上とすれば、繊維間での排除体積効果がより高まることで、μmオーダーの繊維間空隙のサイズを大きくすることができ、軽量性のある柔軟な風合いを発現できることから、より好適な範囲として挙げられる。一方、捲縮山数が多くしていくと、捲縮形態による立体障害効果が排除体積効果を上回ることで繊維間の絡み合いが生じてしまい、柔軟性が損なわれる場合があることから、捲縮山数の上限としては100山/cmとなる。
本発明の複合繊維は、上記した繊維間の空隙が存在していることで嵩高度が20以上となっていることが好ましい。
本発明で言う嵩高度とは、単位重量当たりの糸束の占める体積であり、以下のような方法で測定する。
すなわち、図3に示すような嵩高度を測定する装置において、試料台4の上面に2本の切り込み9を設け、その外側縁部間の間隔を6mmとし、この切り込みに巾2.5cmのPETフィルム5を掛け渡し、その下に指針付き金具6および荷重7を結合する。金具6の指針は、試料を装着しない場合に目盛8のゼロ位を示すようにセットする。試料は周長1mの検尺機を用いて表示繊度50000dtex、糸長50cmになるようにする。例えば50dtexの糸ならば50000÷50÷2=500なので、500mの糸を検尺機(周長1m)で500回巻して表示繊度50000dtexのカセを作る。次いで得られたカセ10を図4の正面図(f)および断面図(g)に示すようにPETフィルム5と試料台4との間に差し入れ、縮んでいる試料を引張り、カセ長25cmになるようにカセを固定する。荷重7は指針付き金具6と合計して50gになるようにし、指針の示すL(cm)を読みとる。測定は3回行い、平均のL値から次式によって嵩高度Mを算出する。
M(cc/g)=フィルム中の体積V/フィルム中の糸重量W
V(cc)=L/π×2.5
W(g)=50000×(マルチフィラメント本数)×(0.025/10000) 。
この嵩高度は単位重量当たりの糸束の占める体積の指標であり、値が高ければその繊維は嵩高く、膨らみがある状態であると見ることができ、その糸束として構成する繊維間に多くの空隙を有していることを意味する。
ここで言う嵩高度が20以上であれば、繊維が嵩高性を有しており、布帛を構成する繊維が比較的自由に移動することができるため、その布帛は優れた嵩高性と柔軟な触感を有したものなり、本発明の目的を好適に達成するものである。
従来技術の場合は、原糸の段階でまたは、布帛形成段階で熱が付与された際に強い捲縮が発生し、繊維間の空隙が狭められ高密度化する。その結果、布帛の柔軟性や軽量感が損なわれる場合がある。ところが、本発明の複合繊維では、布帛形成時の熱付与においては、強い捲縮は発生せずに高密度化することが無く布帛形成をすることが出来、その後に繊維がある程度拘束された状態で溶出処理をすることで繊維間空隙が生まれると共に捲縮発生することにより、しなやかな柔らかい風合いを得られることは本発明の特筆すべき特徴である。
以上の観点から、本発明において、柔軟性と軽量感に寄与する嵩高度は高いほど好適であると考えることができ、嵩高度は30以上であることが好ましい。また、空気はその伝熱低さが一般的に知られており、より多くの空気を含む素材は保温性にも優れることになる。本発明の繊維からなる布帛にも多くの空気層を含むため、保温性にも優れたものであり、この観点から言えば嵩高度は40以上であることがより好ましく、少し厚手でも柔らかで軽量感のある素材としてウィンドブレーカーやダウンジャケットの側地等として好適に活用できる素材になる。
本発明の芯鞘複合繊維を少なくとも一部に用いて製編織された織編物は、経方向または緯方向の少なくともいずれか一方が、1.5kgf(14.7N)荷重時の伸長率が15%以上であることが好ましい。これは本発明の芯鞘複合繊維を溶出処理することにより得られる捲縮が持つ高いストレッチ性により発揮する性能であるが、15%以上であることでスポーツ用途だけでなく、スラックスやビジネスシャツ、カジュアルシャツ、ジャケットなどにおいても、動きを阻害しにくい織編物を得られる。さらに好ましくは、伸長率が25%以上である。伸長率を大きくしたい場合、所望に応じて編物など適宜選定すればよい。伸長率が高すぎると回復率が低下するため、伸長率の上限としては100%以下であることが好ましい。
また、芯鞘複合繊維を少なくとも一部に用いた織編物は、その経方向または緯方向の少なくともいずれか一方における1.5kgf(14.7N)荷重時の伸長回復率は75%以上であることが好ましい。伸長回復率を75%以上とすることで、織編物でのワライ現象が少なくなり、膝抜けや肘抜けが発生しにくい織編物となる。
本発明の芯鞘複合繊維の、貼り合わせ型または薄皮偏心芯鞘型に接合された2種類の異なるポリマーからなる芯成分において、断面形状は、真円断面に加えて、短軸と長軸の比(扁平率)が1.0より大きい扁平断面はもとより、三角形、四角形、六角形、八角形などの多角形断面、一部に凹凸部を持ったダルマ断面、Y型断面、十字断面、星型断面等の様々な断面形状をとることができ、これらの断面形状によって、布帛の表面特性や力学特性の制御が可能となる。ここで、本発明の目的であるストレッチ性、柔軟性、膨らみ感のある嵩高い布帛を得るという観点から、本発明の複合繊維の芯成分の異形度は1.0から2.0であることが好ましい。ここで言う異形度とは、以下のように求めるものである。すなわち、溶出操作後の複合繊維について、10本以上の繊維が観察できる倍率として画像を撮影する。この2次元的に撮影された画像から繊維軸に対して垂直方向の断面を切断面とし、このときの2種類以上の異なるポリマーが接合した芯成分に外接する真円の径を外接円径(図5-B)とし、この切断面に2点以上で最も多く内接する真円の径を内接円径(図5-A)とする。異形度とは、異形度=外接円径÷内接円径から、小数点第2位までを求め、小数点第2位以下を四捨五入したものであり、以上の操作を撮影した10画像について、それぞれの画像で測定した値の単純な数平均値を求め、本発明の複合繊維の2種類以上の異なるポリマーが接合した芯成分の異形度とした。ちなみに、本発明で言う異形度では、1.0が真円に相当し、その数値の増加はその繊維の断面がより変形していることを意味している。
本発明の複合繊維の単糸繊度は、0.5dtex~5.0dtexの範囲が好ましい。より好ましくは0.8dtex~2.3dtexである。本発明の芯鞘複合繊維は、溶出後に繊維間に優れた空隙を形成するものであり、この範囲の単糸繊度であれば繊維間空隙を有効に利用し、布帛に柔軟性、膨らみ感を与えることが出来るのである。なお、単糸繊度が小さくなる場合は、繊維の剛性も小さくなり、柔軟性やソフト性も一層付与することが出来る。また、本発明の複合繊維の捲縮性能による微細な3次元スパイラル構造と相まって、布帛外観がなめらかで繊細な風合いを有したこれまでにないストレッチ素材となるのである。
本発明の複合繊維を繊維製品とする場合、基本的には、繊維に対して溶出操作をすることとなるが、本発明の複合繊維においては、該繊維の断面において難溶出成分(芯成分)の面積比率を50%~90%とすることが好ましい。係る範囲であれば、例えば、織物とした場合でも、繊維間の空隙が適度となり、他の繊維と混繊するなどする必要なく使用することが可能となる。また、溶出処理時間を短縮するという観点では、溶出成分の面積比率を低くすることが好適であり、この観点では、難溶出成分の面積比率が70%~90%であることがより好ましく、80%~90%が特に好ましい。
本発明の芯鞘複合繊維においては、芯成分の面積比率が90%を超えたものとすることも可能であるが、実質的に鞘成分が空隙を安定的に形成できる範囲として、比率の上限値は90%であることが好ましい。
ここで、本発明の芯鞘複合繊維を製糸する場合には、断面形状の制御に優れるという観点で、後述する複合口金を用いる方法とすることが好ましく、本発明の目的を達成できる特殊な芯鞘複合形状を得るために有効である。従来公知の複合口金でも原理的には製糸可能といえるが、本発明の重要な要件である2種類以上の異なるポリマーが接合して芯成分を形成し、前記と異なる易溶出ポリマーにてそれらを取り囲んでいる芯鞘複合形態を安定的に制御するには緻密で非常に複雑な構造を有した口金を採用する必要がある。
すなわち、従来公知の複合口金技術では、芯成分の接合状態が偏ったり、芯部が偏心したりと制御が不安定になり、高次加工通過性や溶出後の特異的な空隙形成が困難になるため、後述の複合口金が好適に用いられる。
本発明者らは複合繊維の製造方法について鋭意検討し、図6に例示するような複合口金を用いた方法が、本発明の目的を達成するには好適であることを見出したのである。
本発明の芯鞘複合繊維を製造するのに適した複合口金を図6に例示している。図6は、上から計量プレート11、分配プレート12および吐出プレート13の大きく3種類の部材が積層されたものであり、ポリマーA(図6 14-1)、ポリマーB(図6 14-2)、ポリマーC(図6 14-3)といった3種類のポリマーを用いるものを例示している。本発明の製造方法では、必要に応じて、3種類以上のポリマーを用いて製糸しても良く、3種類以上のポリマーを複合化することを想定すると、やはり図6に例示したような微細流路を利用した複合口金を用いることが好ましい。
図6に例示した口金部材では、計量プレート11が各吐出孔および各ポリマー成分の分配孔当たりのポリマーの量を計量し流入させ、分配プレート12が繊維の断面形状を制御する。次いで、吐出プレート13によって、分配プレート12で形成された複合ポリマー流が圧縮され、吐出されるという役割を担っている。複合口金の説明が錯綜するのを避けるため、図示されていないが、計量プレートより上に積層する部材に関しては、紡糸機および紡糸パックに合わせて、流路を形成した部材を用いればよい。ちなみに、計量プレート11を既存の流路部材に合わせて設計することで、既存の紡糸パックおよびその部材がそのまま活用することができる。このため、特に該複合口金のために紡糸機を専用化する必要はない。
また、実際には流路-計量プレート間あるいは計量プレート11-分配プレート12間に複数枚の流路プレートを積層すると良い。これは、口金断面方向および繊維の断面方向に効率よく、ポリマーが移送される流路を設け、分配プレート12に導入される構成とすることが目的である。吐出プレート13により吐出された複合ポリマー流は、従来の溶融紡糸法に従い、冷却固化後、油剤を付与され、規定の周速になったローラーで引き取られて、本発明の芯鞘複合繊維となる。
本発明の芯鞘複合繊維を達成するためには、このような新規な複合口金を採用することに加えて、芯成分用ポリマー(ポリマーAあるいはポリマーB)の溶融粘度Iと鞘成分用ポリマーの溶融粘度Sとの溶融粘度比(S/I)が0.1から2.0であることが好ましい。ここで言う溶融粘度とは、チップ状のポリマーを真空乾燥機によって、水分率200ppm以下とし、キャピラリーレオメーターによって、測定できる溶融粘度を指し、紡糸温度での同せん断速度の際の溶融粘度を意味する。また、芯成分用ポリマーの溶融粘度とは、2種類以上の芯成分用ポリマーのうち最も高い溶融粘度を本発明で言う芯成分用ポリマーの溶融粘度とする。
本発明において芯成分の断面形態は、基本的に分配孔の配置により制御されるものの、各ポリマーが合流し、複合ポリマー流を形成した後に縮小孔18によって断面方向に大幅に縮小されることとなる。このため、その時の溶融粘度比、すなわち、溶融ポリマーの剛性比が断面の形成に影響を与える場合がある。このため、本発明においては、S/Iが0.1から1.0とすることがより好ましい。特に係る範囲においては、ポリマーの剛性は芯成分が高く、鞘成分が低いこととなり、製糸工程や高次加工工程における伸長変形において、応力が芯成分に優先的に付与されることとなる。このため、芯成分が高配向となり、繊維構造がしっかりと形成されるため、溶剤により鞘成分を溶解する際に芯成分が不用意に処理されて劣化することを予防することができる。さらに、繊維構造が十分に配向した芯成分は溶出後にも、良好な力学特性を有することとなり、加えて、本発明の複合繊維においては、実質的に力学特性を芯成分が担っているため、複合繊維の力学特性の発現という観点からも好適なのである。このように力学特性がより高まるということは、比較的高い張力のかかる高次加工工程の通過性や品位という観点からも、注目すべき点である。
また、特に貼り合わせ型や偏心芯鞘型を有した芯成分を製造する場合には、前述した通りその3次元的なスパイラル構造の発現が製糸工程や高次加工工程での内部エネルギーの蓄積に依るところが大きく、その訴求点を高めるという意味合いからも、S/Iが0.1から1.0とすることが良い。スパイラル構造の発現という観点においては、S/Iが小さいほど良いということになるが、複合ポリマー流の吐出安定性などの紡糸性までを考慮すると、S/Iが0.3から0.8とすることが特に好ましい範囲である。
なお、以上のポリマーの溶融粘度に関しては、同種のポリマーであっても、分子量や共重合成分を調整することで、比較的自由に制御できるため、溶融粘度をポリマー組み合わせや紡糸条件設定の指標にしている。
溶融紡糸を選択する場合、ポリマーの融点は165℃以上であると耐熱性が良好であり好ましい。また、酸化チタン、シリカ、酸化バリウムなどの無機物質、カーボンブラック、染料や顔料などの着色剤、難燃剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、あるいは紫外線吸収剤などの各種添加剤をポリマー中に含んでいてもよい。
本発明の芯鞘複合繊維は、2種類の異なるポリマーが接合して芯成分を形成している複合形態を有していることを特徴としており、その芯成分におけるポリマーAとポリマーBの比率は、吐出量を基準に重量比でポリマーA/ポリマーB=10/90から90/10までの範囲で選択することが好ましい。この島成分における比率は、目的とする力学特性および複合繊維に付与する特性に応じて選択するものであり、係る範囲内であれば、本発明の目的とする2種類以上のポリマーの特性を有した複合繊維を製造することが可能である。
本発明におけるポリマーの吐出量は、安定性を維持しつつ溶融吐出できる範囲として、吐出孔当たり0.1g/min/holeから20.0g/min/holeを挙げることができる。この際、吐出の安定性を確保できる吐出孔における圧力損失を考慮することが好ましい。ここで言う圧力損失は、0.1MPa~40MPaを目安にポリマーの溶融粘度、吐出孔径、吐出孔長との関係から吐出量を係る範囲より決定することが好ましい。
吐出導入孔および縮小孔を経て複合ポリマー流は、分配孔の配置の通りの断面形態を維持して、吐出孔から紡糸線に吐出される。この吐出孔は、複合ポリマー流の流量、すなわち吐出量を再度計量する点と紡糸線上のドラフト(=引取速度/吐出線速度)を制御する目的がある。吐出孔の孔径および孔長は、ポリマーの粘度および吐出量を考慮して決定するのが好適である。本発明の芯鞘複合繊維を製造する際には、吐出孔径Dは0.1~2.0mm、L/D(吐出孔長/吐出孔径)は0.1~5.0の範囲で選択することが好適である。
吐出孔から溶融吐出された糸条は、冷却固化され、油剤等を付与することにより収束し、周速が規定されたローラーによって引き取られる。ここで、この引取速度は、吐出量および目的とする繊維径から決定するものであるが、本発明では、繊維を安定に製造するという観点から、100m/minから7000m/minが好ましい範囲として挙げられる。この紡糸された繊維は、熱安定性や力学特性を向上させるという観点から、延伸を行うことが好ましく、紡糸した繊維を一旦巻き取った後に延伸を施すことも良いし、巻き取ることなく紡糸に引き続いて延伸を行っても良い。
この延伸条件としては、例えば、一対以上のローラーからなる延伸機において、一般に溶融紡糸可能な熱可塑性を示すポリマーからなる繊維であれば、ガラス転移温度以上融点以下の温度に設定された第1ローラーと結晶化温度相当とした第2ローラーの周速比によって、繊維軸方向に無理なく引き伸ばされ、且つ熱セットされて巻き取られる。また、ガラス転移を示さないポリマーの場合には、繊維の動的粘弾性測定(tanδ)を行い、得られるtanδの高温側のピーク温度以上の温度を予備加熱温度として選択すればよい。ここで、延伸倍率を高め、力学特性を向上させるという観点から、この延伸工程を多段で施すことも好適な手段である。
本発明の複合繊維を得るためには、易溶解成分を溶解可能な溶剤などに本発明の芯鞘複合繊維を浸漬して鞘成分を除去すればよい。易溶解成分が、5-ナトリウムスルホイソフタル酸やポリエチレングリコールなどが共重合された共重合ポリエチレンテレフタレートやポリ乳酸の場合には、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液を用いることができる。本発明の芯鞘複合繊維をアルカリ水溶液にて処理する方法としては、例えば、繊維構造体(布帛形態含む)とした後で、アルカリ水溶液に浸漬させればよい。この時、アルカリ水溶液は50℃以上に加熱すると、加水分解の速度を早めることができるため、好ましい。また、流体染色機などを利用すれば、一度に大量に処理することができるため、生産性もよく、工業的な観点から好ましい。
以上のように、本発明の芯鞘複合繊維の製造方法を一般の溶融紡糸法に基づいて説明したが、メルトブロー法、スパンボンド法でも製造可能であることは言うまでもなく、さらには、湿式および乾湿式などの溶液紡糸法などによって製造することも可能である。
本発明の芯鞘複合繊維は、吐出されたポリマーを未延伸糸として一旦巻き取った後に延伸する二工程法のほか、紡糸および延伸工程を連続して行う直接紡糸延伸法や高速製糸法など、いずれのプロセスにおいても製造できる。また、半延伸糸として巻き取った後に延伸する工程でもよく、必要に応じて仮撚りなどの糸加工を行うこともできる。特に仮撚り加工を行うことで、断面形状が多様化し、繊維間の空隙確保する上でも有利である。
本発明における複合繊維は、高次加工における工程通過性や実質的な使用を考えると、一定以上の靭性を持つことが好適であり、繊維の強度と伸度を指標とすることができる。ここで言う、強度とは、JIS L 1013(2010年)に示される条件で繊維の荷重-伸長曲線を求め、破断時の荷重値を初期繊度で割った値であり、伸度とは、破断時の伸長を初期試長で割った値である。ここで、初期繊度とは、繊維の単位長さの重量を複数回測定した単純な平均値から、10,000m当たりの重量を算出した値を意味する。
本発明の芯鞘複合繊維および複合繊維の強度は、0.5~10.0cN/dtex、伸度は5~700%であることが好ましい。本発明の複合繊維において、強度の実現可能な上限値は10.0cN/dtexであり、伸度の実現可能な上限値は700%である。また、本発明の複合繊維をインナーやアウターなどの一般衣料用途に用いる場合には、強度を1.0~4.0cN/dtex、伸度を20~40%とすることが好ましい。また、使用環境が過酷であるスポーツ衣料用途などでは、強度を3.0~5.0cN/dtex、伸度を10~40%とすることが好ましい。
以上のように本発明においては、その強度および伸度を目的とする用途等に応じて、製造工程の条件を制御することにより、調整することが好適である。
本発明の芯鞘複合繊維は、繊維巻き取りパッケージやトウ、カットファイバー、わた、ファイバーボール、コード、パイル、織編、不織布など多様な中間体とし、脱海処理するなどして捲縮のある複合繊維を発生させ、ストレッチ性能のある様々な繊維製品とすることが可能である。
以下実施例を挙げて、本発明の複合繊維について具体的に説明する。実施例および比較例については、下記評価を行った。
A.ポリマーの溶融粘度
チップ状のポリマーを真空乾燥機によって、水分率200ppm以下とし、東洋精機製キャピログラフ1Bによって、歪速度1216s-1の溶融粘度を測定した。なお、実施例および比較例では、測定温度は紡糸温度と同等とし、窒素雰囲気下で加熱炉にサンプルを投入してから測定開始まで5分として溶融粘度を測定している。
B.繊度
採取した複合繊維は、温度25℃湿度55%RHの雰囲気下で単位長さ当たりの重量を測定し、その値から10000mに相当する重量を算出する。これを10回繰り返して測定し、その単純平均値の小数点以下を四捨五入した値を繊度とした。
C.繊維の力学特性(強度、伸度)
芯鞘複合繊維または複合繊維をオリエンテック社製引張試験機 テンシロン UCT-100型を用い、試料長20cm、引張速度100%/minの条件で応力-歪曲線を測定する。破断時の荷重を読みとり、その荷重を初期繊度で除することで強度を算出し、破断時の歪を読みとり、試料長で除した値を100倍することで、破断伸度を算出した。いずれの値も、この操作を水準毎に5回繰り返し、得られた結果の単純平均値を求め、強度は小数点第2位、伸度は小数点以下を四捨五入した値とした。
D.異形度
芯鞘複合繊維の鞘成分を溶解除去し、繊維軸方向の任意の位置で切断し、その繊維断面をHITACHI製 走査型電子顕微鏡(SEM)にて、各断面形状の単糸が10本以上観察できる倍率として撮影し、各断面の切断面に内接する真円の径(図5の破線A)を内接円径、外接する真円の径(図5の破線B)を外接円径として、異形度=外接円径/内接円径から算出した。この操作を各断面について10ヶ所行い、得られた結果の平均値を各断面の異形度とした。
E.糸束の嵩高度M
図3は糸束の嵩高度Mを測定する装置の斜視図であり、図4はこの装置による測定方法を説明するための見取り図である。試料台4の上面に2本の切り込み9を設け、その外側縁部間の間隔を6mmとし、この切り込みに巾2.5cmのPETフィルム5を掛け渡し、その下に指針付き金具6および荷重7を結合する。金具6の指針は、試料を装着しない場合に目盛8のゼロ位を示しようにセットする。試料は周長1mの検尺機を用いて表示繊度50000dtex、糸長50cmになるようにする。次いで得られたカセ10を図4の正面図(f)および断面図(g)に示すようにPETフィルム5と試料台4との間に差し入れ、縮んでいる試料を引張り、カセ長25cmになるようにカセを固定する。荷重7は指針付き金具6と合計して50gになるようにし、指針の示すL(cm)を読みとる。測定は3回行い、平均のL値から次式によって嵩高度Mを算出する。上記複合繊維をアルカリ溶液により易溶解性分を溶解除去し、同様の手法により嵩高度を算出することで、布帛形成時の嵩高度を評価した。
M(cc/g)=フィルム中の体積V/フィルム中の糸重量W
V(cc)=L/π×2.5
W(g)=50000×(繊維本数)×(0.025/10000) 。
F.編地の軽量感
本発明の芯鞘複合繊維を総繊度が100dtex以上となるようにし、28ゲージ編み機にて目標目付100g/m程度になるように筒編み地を作成し、それを開いて編地サンプルとした。次いで、アルカリ溶液による易溶解成分の溶解除去後の編地を手に持ち、熟練した検査者(5人)の触感によって編地の軽量感を、従来の貼り合わせ型の糸からなる編地との相対評価として官能評価で3段階評価した。軽量感を大きく感じる場合は「A」、軽量感を感じる場合は「B」、軽量感を感じない場合は「C」とした。
G.反発感
経糸方向のカバーファクター(CFA)が800、緯糸方向のカバーファクター(CFB)が1200となるように繊維本数を調整し、8枚サテン織物を作成した。ただし、ここで言うCFAおよびCFBとは、織物の経密度および緯密度をJIS L 1096(2010) 8.6.1に準じて2.54cmの区間にて測定し、CFA=経密度×(経糸の繊度)1/2、CFB=緯密度×(緯糸の繊度)1/2の式より求めた値である。得られた織物について精練、アルカリ処理、熱セットを行った布帛にて反発感を評価した。反発感は、カトーテック製純曲げ試験機(KES-FB2)の曲げ特性におけるヒステリシス曲線から求められるヒステリシス(2HB)と剛性(B)からその曲げ戻り性として、2HB/Bの値から反発感を求めることが出来る。この値は曲げ変形から回復変形過程におけるエネルギーロスを残留歪み量でとらえるものであり、反発感という官能評価との対応がとれ、2HB/Bの値で定量化できるのである。つまりこの値は、曲げ変形から回復変形過程における残留歪みとしてとらえることができる。この残留歪みが小さいほど反発感が良いというのである。
この2HB/Bの値と官能評価による反発感の関係を述べ、高い反発感が得られるとするのを0.32cm-1以下で◎、反発感はあるとするのを0.32cm-1以上0.4cm-1以下で○、そして反発感が不十分とするのを0.4cm-1以上で×として、3段階評価した。
H.捲縮山数(山/cm)
芯鞘複合繊維からなる布帛(G項の織物を130℃に加熱した水道水(浴比1:50)中にて処理して捲縮を発現させた物)において、塑性変形させないよう布帛から芯鞘複合繊維を抜き出し、芯鞘複合繊維の片方の末端を固定し、もう片方の末端へ1mg/dの荷重をかけて30秒間以上経過後に、マルチフィラメントの繊維軸方向へ2点間の距離が1cmとなる任意の箇所にマーキングを施した。その後、塑性変形させないよう芯鞘複合繊維から繊維を分繊し、予めつけておいたマーキングの間が元の1cmとなるように調整してスライドガラス上に固定し、このサンプルをキーエンス社製VHX-2000デジタルマイクロスコープにて、1cmのマーキングが観察できる倍率で画像を撮影した。撮影した画像においてマーキング間の捲縮山数を求めた。この動作を同じポリマーから構成される繊維10本について行った結果の単純な数平均を求め、小数点第1位で四捨五入した値を捲縮山数(山/cm)とした。
I.布帛の伸長率(織編物)
JISL1096(2010)に記載のA法(ストリップ法)に従い、緯方向の1.5kgf(14.7N)荷重時の伸長率を測定した。
J.布帛の伸長回復率(織編物)
JISL1096(2010)に記載のA法に従い、緯方向の1.5kgf(14.7N)荷重、除重時の伸長回復率を測定した。
実施例1
芯成分用ポリマーAとして、高粘度ポリエチレンテレフタレート(PET1 溶融粘度:170Pa・s)、芯成分用ポリマーBとして、低粘度ポリエチレンテレフタレート(PET2 溶融粘度:70Pa・s)とし、鞘成分Cとして、5-ナトリウムスルホイソフタル酸8.0モル%および分子量1000のポリエチレングリコール10wt%が共重合したポリエチレンテレフタレート(共重合PET1 溶融粘度:45Pa・s)を280℃で別々に溶融後、計量し、図6に示した本発明の複合口金が組み込まれた紡糸パックに流入させ、吐出孔から複合ポリマー流を吐出した。なお、吐出プレート直上の分配プレートは、芯成分用ポリマーA用分配孔(図9の20)、芯成分用ポリマーB用分配孔(図9の21)および鞘成分用ポリマーC用分配孔(図9の22)が図9(h)に示す配列パターンとなっており、1本の芯鞘複合繊維に丸断面貼り合わせ型の芯を生成し、芯鞘複合繊維となるものである。また、吐出プレートは、吐出導入孔長5mm、縮小孔の角度60°、吐出孔径0.5mm、吐出孔長/吐出孔径1.5のものを用いた。
芯A/芯B/鞘Cの複合比は、重量比で40/40/20(芯成分内では芯A/芯B=50/50)となるように吐出量で調整した(総吐出量34g/min)。溶融吐出した糸条を冷却固化した後油剤付与し、紡糸速度1500m/minで巻き取ることで未延伸繊維を得た。更に、未延伸繊維を80℃と130℃に加熱したローラ間で3.2倍延伸を行い(延伸速度800m/min)、芯鞘複合繊維を得た(62dtex-36フィラメント)。
なお、本発明の芯鞘複合繊維は、図1に示すような芯成分が円形貼り合わせ型を形成した芯鞘複合断面を形成するものであった。
実施例1で得た芯鞘複合繊維の力学特性は、強度3.5cN/dtex、伸度32%と高次加工を行うのに十分な力学特性を有しており、織物や編物に加工した場合でも、糸切れ等が全く発生しないものであった。
実施例1の芯鞘複合繊維を編物とした試験片(上記F項で作成した編地)を90℃に加熱した1wt%の水酸化ナトリウム水溶液にて、鞘成分を99wt%以上溶出した。この試験片を(株)キーエンス社製レーザーマイクロスコープVK-X200にて試験片の側面および断面を観察したところ、3次元的にスパイラル構造を発現した貼り合わせ型の繊維を観察することができ、繊維1本1本が独立して位相の異なる捲縮が発現し、さらに単繊維間に適度な空間を保持しており優れた嵩高性を有していることが確認できた。
さらにこの試験片をほどき、複合繊維の力学特性は、強度3.4cN/dtex、伸度43%であり、繊維製品として使用しても問題のないものであった。
次いでこの繊維の嵩高度を評価したところ、溶出後に発現した位相の異なる捲縮に加え、単繊維間の空隙により優れた嵩高性が得られており、嵩高度が54と優れるものであった。
上記で作成した溶出処理後の編物について軽量感に関する官能評価を行ったところ、「A」判定で本発明の目的である良好な軽量感が得られていた。
また、反発感についても高い反発感がえられており、評価も◎であった。
このように実施例1で得られる芯鞘複合繊維は、繊維間の空隙を安定的に形成することで位相のずれたランダムな捲縮で優れたストレッチ性を有するほか、薄手であっても膨らみ感があることで軽量感が得られる快適衣料に適した特性であり、比較例に示すような従来の複合糸では決して到達できないものであった。結果を表1に示す。
実施例2~4
芯成分用ポリマーAを、実施例2はPBT(溶融粘度:160Pa・s)、実施例3はPPT(溶融粘度:130Pa・s)、実施例4は共重合PET2(イソソフタル酸7.0mol%、2・2ビス{4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン4mol%共重合したポリエチレンテレフタレート、溶融粘度:110Pa・s)に変更した以外は実施例1に従った。いずれも繊維間空隙により、単繊維同士の位相がずれたランダムな捲縮が発現しており、薄手でも膨らみ感、軽量感共に優れる布帛が得られた。結果を表1に示す。
実施例5
実施例5は、実施例1の分配プレートの孔配置を変更して図2の(a)に示すような芯が偏心芯鞘となるようにした以外は実施例1に従い、結果を表1に示した。
実施例5は、捲縮が弱くなったためか嵩高度が小さくなり、膨らみ感が落ちた影響で実施例1より軽量感に乏しく布帛評価においてB判定であるが、高い反発感がえられており、快適衣料に適した特性を持っている。
実施例6
実施例6は、実施例4の分配プレートの孔配置を変更して図2の(a)に示すような芯が偏心芯鞘となるようにした以外は実施例4に従った。
芯複合形態を変更しても、膨らみ感・軽量感とも優れており、快適衣料に適した特性を持っている。結果を表1に示す。
実施例7
実施例7は、実施例4の分配プレートの孔配置を用い、吐出孔形状を扁平型として、図2の(c)に示すような楕円形状となるようにした以外は実施例4に従った。
捲縮形態が弱くなっているが、柔らかく反発感が得られる素材となっている。また、布帛を観察すると繊維に捻れが生じて繊維間空隙を確保することが出来、軽量感のある素材となっている。結果を表2に示す。
実施例8
実施例8は、実施例1の分配プレートの孔配置を変更して図2の(e)に示すような芯が略十字となるようにした以外は実施例1に従った。
捲縮形態が弱くなっているが、突起部分があることで、繊維間空隙を確保することが出来、軽量感および反発感のある素材となっている。結果を表2に示す。
実施例9
実施例9は、実施例4の分配プレートの孔配置を変更して図2の(e)に示すような芯が略十字となるようにした以外は実施例4に従った。
実施例7同様に捲縮形態が弱くなっているが、突起部分があることで、繊維間空隙を確保することが出来、軽量感のある素材となっている。結果を表2に示す。
実施例10~12
実施例10は、複合比を芯A/芯B/鞘C=45/45/10とし、実質芯成分の比率は芯A/芯B=5/5とし、鞘成分比率を変更した以外は、実施例6に従った。実施例11、実施例12の比率を表1の通りとした以外は実施例6に従った。
実施例10は、鞘比率が少なくなったことで、繊維間空隙が少なくなり布帛評価においてB判定であるが、快適衣料に適した特性を持っていた。
また、実施例11、12は繊維間空隙が多くなり膨らみ感・軽量感共に良好であった。結果を表2に示す。
実施例13
実施例13は、芯A/芯B/鞘Cの複合比を56/24/20とし、実質芯成分比率を芯成分A/芯成分B=7/3とした以外は実施例6に従った。
捲縮が弱くなったが、布帛評価においては膨らみ感・軽量感共に良好で有り、快適衣料に適した特性を持っている。結果を表3に示す。
実施例14
実施例14は、芯A/芯B/鞘Cの比率を56/24/20とし、芯成分Aを低粘度PET、芯成分Bを共重合PETとした以外は実施例6に従った。
実施例14においても、捲縮が弱くなったが、布帛評価においては膨らみ感・軽量感共に良好で有り、快適衣料に適した特性を持っていた。結果を表3に示す。
実施例15、16
実施例15は、総繊度を37dtexとして溶出後単糸繊度が0.9dtexに、実施例16は総繊度を118dtexとして溶出後単糸繊度が2.3dtexとなるようにした以外は、実施例6に従った。
実施例15において、布帛が薄くなり布帛の膨らみ感が劣っているが軽量感があった。また、実施例16においては、布帛の厚みが増し、軽量感が劣っていたが、膨らみ感があることから評価としてはB判定で良好であった。結果を表3に示す。
比較例1
比較例1は、特開2002-61031号公報の実施例9に従い楕円断面形状の貼り合わせ型の複合形態で、84dtex-36フィラメントの溶出部分がない繊維を得た。これで実施例1同様に編み地を作成し、溶出操作と同様な熱処理を加えた後、布帛評価を行ったところ、位相のずれた捲縮形態をしているが、繊維間空隙に乏しく、軽量感の得られない布帛であった。
比較例2
比較例2は、WO2018/110523の実施例1に従い、偏心芯鞘型の複合形態である、56dtex-72フィラメントの繊維を得た。これで実施例1同様に編み地を作成し、溶出操作と同様な熱処理を加えた後、布帛評価を行ったところ、従来品と同等で軽量感・反発感が得られない布帛であった。
比較例3
比較例3は、WO2015/129519の実施例2に従い、海島型複合形態で島成分が貼り合わせ型であり、104dtex-15フィラメントの繊維を得た。この繊維について、実施例1同様に編み地を作成し、溶出処理後に布帛評価を行った。結果は、捲縮が細かく、緻密になっており、どちらかと言えばごわごわした感覚の布帛となり軽量感・反発感が得られない布帛であった。
Figure 0007512682000001
Figure 0007512682000002
Figure 0007512682000003
A:内接円
B:外接円
1:芯鞘複合繊維のA成分
2:芯鞘複合繊維のB成分
3:芯鞘複合繊維のC成分(易溶出成分)
4:試料台
5:PETフィルム
6:指針付き金具
7:荷重
8:目盛
9:切り込み
10:糸カセ
11:計量プレート
12:分配プレート
13:吐出プレート
14:計量孔
14-1:ポリマーA用計量孔
14-2:ポリマーB用計量孔
14-3:ポリマーC用計量孔
15:分配溝
16:分配孔
17:吐出導入孔
18:縮小孔
19:吐出孔
20:芯成分用ポリマーA用分配孔
21:芯成分用ポリマーB用分配孔
22:鞘成分用ポリマーC用分配孔


Claims (5)

  1. 1つの芯成分が貼り合わせ型または薄皮偏心芯鞘型に接合された2種類の異なる難溶解性ポリマーからなり、鞘成分が易溶出ポリマーからなり、難溶解性ポリマーに対する易溶出ポリマーの溶剤に対する溶解速度比(易溶出ポリマー/難溶解性ポリマー)が100以上であることを特徴とする芯鞘複合繊維。
  2. 該芯成分を構成する2種類のポリマーの複合比が10/90から90/10であることを特徴とする請求項1に記載の芯鞘複合繊維。
  3. 該芯成分を構成する2種類のポリマーの溶融粘度差が10Pa・s以上であり、芯成分ポリマー粘度Iと易溶出ポリマー粘度Sとの比S/Iが0.1から2.0であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の芯鞘複合繊維。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の芯鞘複合繊維から鞘成分が除去された、異形度が1.0~2.0であり、反発感2HB/Bが0.4cm -1 未満であることを特徴とする複合繊維。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の繊維を少なくとも一部に含んだ繊維製品。
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