JP7507527B1 - 樹状細胞活性化用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】健康な人が日常生活において気軽に摂取できる樹状細胞活性化用組成物を提供する。
【解決手段】大麦若葉を含有することを特徴とする、樹状細胞活性化用組成物とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、大麦若葉を含有することを特徴とする樹状細胞活性化用組成物に関する。
樹状細胞(DCまたはDCs:Dendritic cells)は、樹枝状の突起を持つという形態的な特徴を有する抗原提示細胞であり、重要かつ多彩な役割を担うことが知られている。樹状細胞には、通常型樹状細胞(conventional dendritic cells:cDCまたはcDCs)と形質細胞様樹状細胞(plasmacytoid dendritic cells:pDCまたはpDCs)がある。cDCは、直接または間接的に、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)やヘルパーT細胞、キラーT細胞、マクロファージ、B細胞などの細胞を活性化させて、ウイルスや細菌を排除する。また、キラーT細胞やNK細胞ががん細胞を選択的に排除すること(特許文献1、非特許文献1)や、活性化されたNK細胞より分泌されるインターフェロン-γが慢性創傷の治癒効果を奏すること(特許文献2)、マクロファージが真皮層に落ち込んだメラニンや老化細胞を除去して美白や皮膚組織の抗老化効果を奏すること(特許文献3、特許文献4)も知られている。そのため、cDCを活性化することにより、免疫機能の維持、抗ウイルス作用、抗がん作用、慢性創傷の治癒促進作用、美白作用、皮膚の抗老化作用といった効果が発揮される。さらに、樹状細胞は胚の着床に必須であり、欠失すると不妊になることが知られている(非特許文献2)ため、cDCの活性化が不妊治療に役立つ可能性も期待される。
一方、pDCはウイルス感染防御に重要なサイトカインであるインターフェロン-αの高い産生能を示し、NK細胞やヘルパーT細胞、キラーT細胞、マクロファージ、B細胞などの細胞を活性化させる機能を有する。そのため、cDCと同様、pDCを活性化することにより、免疫機能の維持、抗ウイルス作用、抗がん作用、慢性創傷の治癒促進作用、美白作用、皮膚の抗老化作用といった効果が発揮される。
このように、樹状細胞を活性化させることができれば、様々な効果が発揮されるため、樹状細胞を活性化する方法の開発が求められてきた。近年では、樹状細胞を体外で培養し、増やしてから患者の体内に戻す「樹状細胞ワクチン療法」が開発されている(非特許文献3)。しかしながら、「樹状細胞ワクチン療法」はがんの治療を目的とするため、健康な人が、日常生活における免疫機能の維持や、美白、皮膚の老化防止といった目的で行うことはできない。そのため、健康な人が日常生活において気軽に摂取できる樹状細胞活性化用組成物の開発が求められてきた。
特許第5742050号公報 特許第4616291号公報 特開2005-281205号公報 特開2021-195305号公報
医療法人社団 神樹会 新横浜かとうクリニックのホームページ,「活性リンパ球(キラーT細胞)の仕組みとは」,URL:https://katoclinic.info/clinic-treatment/lak/system/,2023年10月6日検索 The Journal of Clinical Investigation, 2008, Dec ; 118(12) : 3954-65 九州厚生会クリニックのホームページ,樹状細胞ワクチン療法,URL:https://kyushukouseikai.or.jp/dc/,2023年10月6日検索
本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、大麦若葉を用いた新たな機能を備えた組成物を提供することにある。
本発明者らは、樹状細胞活性化作用を有する素材を開発する過程において、大麦若葉が優れた樹状細胞活性化作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]
大麦若葉を含有することを特徴とする、樹状細胞活性化用組成物。
[2]
大麦若葉由来食物繊維が有効成分であることを特徴とする、樹状細胞活性化用組成物。
[3]
免疫機能の維持に用いられることを特徴とする、[1]又は[2]のいずれかに記載の樹状細胞活性化用組成物。
[4]
機能性表示食品であることを特徴とする、[1]又は[2]のいずれかに記載の樹状細胞活性化用組成物。
[5]
前記樹状細胞がcDC(通常型樹状細胞)であることを特徴とする、[1]又は[2]のいずれかに記載の樹状細胞活性化用組成物。
[6]
前記大麦若葉が大麦若葉末であることを特徴とする、[1]又は[2]のいずれかに記載の樹状細胞活性化用組成物。
[7]
大麦若葉末を含有する機能性表示食品であって、
大麦若葉由来食物繊維がcDC(通常型樹状細胞)に働きかけ、健康な人の免疫機能の維持に役立つ旨を表示した機能性表示食品。
[8]
大麦若葉末を含有する機能性表示食品であって、
大麦若葉由来食物繊維がcDC(通常型樹状細胞)に働きかける旨を表示した機能性表示食品。
[9]
健康な人の免疫機能の維持に役立てるために用いられることを特徴とする、[8]に記載の機能性表示食品。
[10]
大麦若葉の1日当たりの摂取量が0.25g以上であることを特徴とする、[1]に記載の樹状細胞活性化用組成物。
[11]
大麦若葉由来食物繊維の1日当たりの摂取量が0.125g以上であることを特徴とする、[2]に記載の樹状細胞活性化用組成物。
[12]
樹状細胞活性化用組成物の製造のための大麦若葉の使用。
[13]
個体に大麦若葉を経口摂取させるステップを含む、当該個体の生体内における樹状細胞を活性化する方法。
[14]
大麦若葉を有効成分とすることを特徴とする、ナチュラルキラー細胞活性化用組成物、ヘルパーT細胞活性化用組成物、キラーT細胞活性化用組成物、B細胞活性化用組成物またはマクロファージ活性化用組成物。
[15]
ナチュラルキラー細胞活性化用組成物、ヘルパーT細胞活性化用組成物、キラーT細胞活性化用組成物、B細胞活性化用組成物またはマクロファージ活性化用組成物の製造のための大麦若葉の使用。
[16]
個体に大麦若葉を経口摂取させるステップを含む、当該個体の生体内におけるナチュラルキラー細胞、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、B細胞またはマクロファージを活性化する方法。
[17]
大麦若葉を有効成分とする、インターロイキン-12の分泌促進用組成物またはインターフェロン-γの分泌促進用組成物。
[18]
インターロイキン-12の分泌促進用組成物またはインターフェロン-γの分泌促進用組成物の製造のための大麦若葉の使用。
[19]
個体に大麦若葉を経口摂取させるステップを含む、当該個体の生体内におけるインターロイキン-12またはインターフェロン-γの分泌を促進する方法。
本発明の組成物は、樹状細胞を活性化することにより、インターロイキン-12やインターフェロン-γといったサイトカインの分泌を促進し、ナチュラルキラー細胞、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、B細胞及びマクロファージを活性化することができる。それにより、免疫機能の維持を図ることができ、さらに、抗ウイルス作用や抗がん作用、慢性創傷の治癒促進作用、美白作用、皮膚の抗老化作用といった効果を発揮することができる。
1.大麦若葉
本発明は、大麦若葉を含有することを特徴とする。大麦(Hordeum vulgare L.)は、中央アジア原産とされ、イネ科に属する一年生又は越年生草本であり、穂形により、二条大麦や六条大麦等に大別される。大麦は穀物として実(種子)が利用されることが多いが、本発明においては若葉を利用する。両者を比較すると、大麦の実は澱粉(糖質)を主体とするのに対して、大麦若葉は食物繊維やタンパク質を主体としており、成分組成が全く異なる。本発明の大麦若葉に用いる大麦品種としては、通常入手可能なものであれば特に限定されず、二条大麦や六条大麦等のいずれの品種の大麦若葉を用いてもよい。なお、大麦若葉とは、出穂開始前の大麦の葉のことを意味し、本発明においては若葉と共に茎を含んでいてもよい。
大麦若葉としては、例えば、粉砕物、搾汁、抽出物、抽出残渣等を用いることができる。粉砕物としては、乾燥粉末(大麦若葉末)、細片化物及びその乾燥物(乾燥細片化物)等を挙げることができる。搾汁や抽出物としては液状であってもよいが、搾汁末が好ましい。大麦若葉の搾汁末としては、例えば、若葉の搾汁を低温濃縮して固形分を濃縮し、当該濃縮液を凍結乾燥又は噴霧乾燥することによって得たものを用いることができる。抽出物としては、例えば、水(温水、熱水)、エタノール、含水エタノールを用いることができる。抽出残渣としては、例えば、大麦若葉末を水に懸濁後、攪拌・振盪してから、遠心分離することによって得られる沈殿物を用いることができる。抽出残渣は、搾汁や抽出物を得る過程においては除去される画分であるが、大麦若葉由来食物繊維を豊富に含むため、本発明の効果を享受できる。本発明に用いる大麦若葉としては、大麦若葉由来食物繊維を含むことで本発明の効果をより高く享受でき、かつ、安価で製造することが可能である点から、粉砕物が好ましく、粉砕物の中でも乾燥粉末(大麦若葉末)が特に好ましい。
なお、乳酸菌等の微生物によって大麦若葉を発酵した大麦若葉発酵物は、本発明の大麦若葉に含まれない。発酵した場合には、微生物によってタンパク質や糖などが分解され、成分が化学変化する。発酵後の大麦若葉は、発酵前と成分組成の全く異なる別の物に変化しており、発酵前の大麦若葉と比較して同等性がないため、本発明の大麦若葉には該当しない。
大麦若葉末を用いる場合、例えば、大麦若葉の水分含量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥した大麦若葉を用いることができる。
本発明で用いる大麦若葉末は、メディアン径が5μm以上50μm以下であることが好ましく、8μm以上30μm以下であることがより好ましい。メディアン径は、粉体の粒度分布の累積50%となる粒径を意味し、具体的には、レーザー回析散乱光式粒度分布測定装置であるセイシン企業社製のLMS-300又はLMS-350を用いて測定される粒度分布の累積50%(×50)の粒径である。
また、本発明で用いる大麦若葉は、本発明の効果をより享受できる点から、食物繊維を、10質量%以上含んでいることが好ましく、20質量%以上含んでいることがより好ましく、30質量%以上含んでいることがさらに好ましい。その上限は、例えば、80質量%であってもよい。ここでいう食物繊維は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の合計量である。食物繊維の量はプロスキー法で測定する。
また、本発明で用いる大麦若葉は、本発明の効果をより享受できる点から、不溶性食物繊維を、5質量%以上含んでいることが好ましく、10質量%以上含んでいることがより好ましく、20質量%以上含んでいることがさらに好ましい。その上限は、例えば、70質量%であってもよい。不溶性食物繊維の量はプロスキー変法で測定する。
食物繊維量や不溶性食物繊維量を上記範囲とするためには、大麦若葉の製造方法において、搾汁や抽出を行わず、大麦若葉を粉砕することによって大麦若葉末を調製すればよい。
2.樹状細胞
本発明において樹状細胞とは、通常型樹状細胞(conventional dendritic cells:cDCまたはcDCs)と形質細胞様樹状細胞(plasmacytoid dendritic cells:pDCまたはpDCs)を包含する概念である。本発明において樹状細胞の活性化とは、樹状細胞が有する何らかの機能が強化され、または樹状細胞において発現する遺伝子やタンパク質等の量が増幅されることを意味する。具体的には、例えば、樹状細胞の成熟化促進、抗原取り込み能増強、抗原提示能増強、T細胞活性化能、インターロイキン12等のサイトカイン産生増強等が挙げられる。本発明の樹状細胞活性化用組成物は、特に、cDC(通常型樹状細胞)の活性化に優れている。
cDCが活性化すると、MHC[Major Histocompatibility Complex;主要組織適合性複合体、の略。ヒトではHLA(Human Leukocyte Antigen;ヒト白血球抗原)と呼ばれる]の発現が亢進し、さらにインターロイキン12(Interleukin-12;IL-12)の産生が増強される。IL-12は分子量約70,000のタンパク質であり、ナイーブT細胞からヘルパーT細胞への分化誘導(T細胞活性化)や、NK細胞の活性化を担っている。IL-12によって活性化されたヘルパーT細胞はインターフェロン-γ(interferon gamma;IFN-γ)を産生する。
IFN-γは二量体のタンパク質であり、ヘルパーT細胞からの指令をキラーT細胞やB細胞に伝える役割を有する。この指令を受けることにより、キラーT細胞やB細胞は活性化され、ウイルスや細菌等の病原体を攻撃できる。さらに、IFN-γはマクロファージを活性化して、マクロファージが、体内に侵入した細菌や真皮層に落ち込んだメラニン、老化細胞等を食べて、消化・殺菌することを促進する。このように、cDCが活性化されると、インターロイキン-12の分泌が促進されてヘルパーT細胞が活性化し、ヘルパーT細胞からのインターフェロン-γの分泌が促進され、ナチュラルキラー細胞やキラーT細胞、B細胞、マクロファージが活性化される。
一方、pDCはウイルス感染防御に重要なサイトカインであるインターフェロン-α(interferon alpha;IFN-α)を産生する。IFN-αは様々な免疫細胞が働くシグナル物質であるため、IFN-αの産生により、ナチュラルキラー細胞やヘルパーT細胞、キラーT細胞、B細胞、マクロファージが活性化される。
上述した機序により、樹状細胞を活性化することで、ナチュラルキラー細胞、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、B細胞及びマクロファージが活性化され、免疫機能の維持、抗ウイルス作用、抗がん作用、慢性創傷の治癒促進作用、美白作用、皮膚の抗老化作用といった効果を奏する。
3.本発明の組成物
<樹状細胞活性化用組成物>
本発明の樹状細胞活性化用組成物は、大麦若葉を含有し、樹状細胞の活性化のために用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物(広告媒体)のいずれかに、樹状細胞の活性化の機能を表示したものが本発明の範囲に含まれる。本発明の樹状細胞活性化用組成物は、大麦若葉又は大麦若葉に由来する成分(大麦若葉由来食物繊維等)を有効成分として表示するものであってもよいが、製品の包装等に、大麦若葉又は大麦若葉に由来する成分(大麦若葉由来食物繊維等)が有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよい。なお、大麦若葉由来食物繊維を有効成分とする樹状細胞活性化用組成物としては、大麦若葉由来食物繊維を含有していればよく、分画した大麦若葉由来食物繊維を用いなくともよい。例えば、大麦若葉末(粉砕末)などのように、大麦若葉由来食物繊維を含有する大麦若葉を配合することで、大麦若葉由来食物繊維を有効成分とする樹状細胞活性化用組成物を得ることができる。また、一般的な食品であっても、用途を示唆して製造販売されるものは本発明の範囲に含まれる。例えば、摂取した人の個人的感想として、樹状細胞の活性化に言及する体験談をホームページ等に記載して販売される食品等についても、本発明の範囲に含まれる。また、大麦若葉による樹状細胞の活性化を示す論文等を機能性の科学的根拠とし、大麦若葉又は大麦若葉に由来する成分を機能性関与成分とする機能性表示食品であって、免疫機能の維持に関する機能性を届出表示とする機能性表示食品も本発明の範囲に含まれる。なお、本願において免疫の維持とは、免疫機能の低下抑制及び/又は免疫機能の向上(改善)を含む概念である。
具体的に、いわゆる健康食品においては、「樹状細胞を活性化させる」、「cDCを活性化させる」、「pDCを活性化させる」、「樹状細胞を活性化させるのを助ける」、「cDCを活性化させるのを助ける」、「pDCを活性化させるのを助ける」、「樹状細胞を活性化させるのに役立つ」、「cDCを活性化させるのに役立つ」、「pDCを活性化させるのに役立つ」、「樹状細胞を活発化させる」、「cDCを活発化させる」、「pDCを活発化させる」、「樹状細胞を活発化させるのを助ける」、「cDCを活発化させるのを助ける」、「pDCを活発化させるのを助ける」、「樹状細胞を活発化させるのに役立つ」、「cDCを活発化させるのに役立つ」、「pDCを活発化させるのに役立つ」、「樹状細胞に働きかける」、「cDCに働きかける」、「pDCに働きかける」、「樹状細胞の働きを助ける」、「cDCの働きを助ける」、「pDCの働きを助ける」、「樹状細胞に働きかけ、健康な人の免疫機能の維持に役立つ」、「cDC(通常型樹状細胞)に働きかけ、健康な人の免疫機能の維持に役立つ」、「pDC(形質細胞様樹状細胞)に働きかけ、健康な人の免疫機能の維持に役立つ」、「樹状細胞の働きを助けて、健康な人の免疫機能の維持に役立つ」、「cDC(通常型樹状細胞)に作用することで、健康な人の免疫機能の維持に役立つ」、「pDC(形質細胞様樹状細胞)に作用することで、健康な人の免疫機能の維持に役立つ」、「樹状細胞の働きを作用することで、健康な人の免疫機能の維持に役立つ」、「cDC(通常型樹状細胞)の働きを助けて、健康な人の免疫機能の維持に役立つ」、「pDC(形質細胞様樹状細胞)の働きを助けて、健康な人の免疫機能の維持に役立つ」、「樹状細胞に働きかけ、健康な人の免疫機能の維持を助ける、「cDC(通常型樹状細胞)に働きかけ、健康な人の免疫機能の維持を助ける」、「pDC(形質細胞様樹状細胞)に働きかけ、健康な人の免疫機能の維持を助ける」、「樹状細胞に働きかけ、免疫機能の維持に役立つ」、「cDC(通常型樹状細胞)に働きかけ、免疫機能の維持に役立つ」、「pDC(形質細胞様樹状細胞)に働きかけ、免疫機能の維持に役立つ」、「樹状細胞の働きを助けて、免疫機能の維持に役立つ」、「cDC(通常型樹状細胞)に作用することで、免疫機能の維持に役立つ」、「pDC(形質細胞様樹状細胞)に作用することで、免疫機能の維持に役立つ」、「樹状細胞の働きを作用することで、免疫機能の維持に役立つ」、「cDC(通常型樹状細胞)の働きを助けて、免疫機能の維持に役立つ」、「pDC(形質細胞様樹状細胞)の働きを助けて、免疫機能の維持に役立つ」、「樹状細胞に働きかけ、免疫機能の維持を助ける、「cDC(通常型樹状細胞)に働きかけ、免疫機能の維持を助ける」、「pDC(形質細胞様樹状細胞)に働きかけ、免疫機能の維持を助ける」、等を表示したものを例示することができる。
上述したように、本発明の樹状細胞活性化用組成物は、インターロイキン-12等の分泌を促進することや、ナチュラルキラー細胞等を活性化することにより、免疫機能の維持、抗ウイルス作用、抗がん作用、慢性創傷の治癒促進作用、美白作用、皮膚の抗老化作用といった効果を奏する。そのため、本発明の樹状細胞活性化用組成物を、免疫機能の維持や、抗ウイルス、抗がん、慢性創傷の治癒促進、美白、皮膚の抗老化の目的で用いることができる。
本発明の組成物によれば、樹状細胞を活性化することにより、インターロイキン-12の分泌促進や活性化したヘルパーT細胞からのインターフェロン-γの分泌が促進される。そのため、本発明の組成物を、インターロイキン-12の分泌促進用組成物やインターフェロン-γの分泌促進用組成物として用いることができる。また、本発明の組成物によれば、樹状細胞を活性化することにより、ナチュラルキラー細胞、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、B細胞及びマクロファージが活性化される。そのため、本発明の組成物を、ナチュラルキラー細胞活性化用組成物、ヘルパーT細胞活性化用組成物、キラーT細胞活性化用組成物、B細胞活性化用組成物、マクロファージ活性化用組成物として用いることができる。
<組成物の剤形等>
本発明の組成物は、経口組成物として用いることができる。経口組成物の形態としては、特に制限されるものではなく、例えば、飲食品、医薬部外品、医薬品等が挙げられるが、大麦若葉を日常的に摂取して日々の栄養を補給する観点から、飲食品として用いることが好ましい。飲食品組成物の形態としては、特に制限されるものではなく、例えば、機能性表示食品、特定保健用食品、健康食品、一般的な飲食品等が挙げられるが、本発明の効果を消費者に理解してもらいやすい観点から、機能性表示食品、特定保健用食品が好ましく、機能性表示食品が最も好ましい。
本発明の組成物の形態としては、例えば、粉末状、顆粒状、液状、錠状、カプセル状等を挙げることができる。ゼリー、クッキー等の形態であってもよい。上述したように、本発明の大麦若葉は発酵物ではなく、良好な呈味を有するため、呈味を感じる形態で摂取するのに適している。そのため、粉末状、顆粒状、液状、錠状の形態が好ましく、粉末状、顆粒状、液状が特に好ましい。
本発明の組成物における大麦若葉の含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。例えば、本発明の組成物中に、乾燥質量換算で、大麦若葉を0.01~100質量%含有させることができ、0.1~100質量%含有させることが好ましく、1~100質量%含有させることがより好ましい。
本発明の組成物における大麦若葉由来食物繊維の含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。例えば、本発明の組成物中に、乾燥質量換算で、大麦若葉由来食物繊維を0.01~80質量%含有させることができ、0.1~75質量%含有させることが好ましく、1~70質量%含有させることがより好ましい。
本発明における大麦若葉の摂取量としては特に制限はないが、本発明の効果をより享受できる点から、大麦若葉の摂取量が、成人の1日当たり、0.25g以上となるように摂取することが好ましく、0.5g以上となるように摂取することがより好ましく、1.0g以上となるように摂取することが特に好ましい。その上限は、例えば、30gであり、好ましくは20gであり、より好ましくは10gである。
また、本発明における大麦若葉由来食物繊維の摂取量としては特に制限はないが、本発明の効果をより享受できる点から、大麦若葉由来食物繊維の摂取量が、成人の1日当たり、0.125g以上となるように摂取することが好ましく、0.25g以上となるように摂取することがより好ましく、0.5g以上となるように摂取することが特に好ましい。その上限は、例えば、15gであり、好ましくは10gであり、より好ましくは5gである。
本発明の組成物は、大麦若葉や大麦若葉由来食物繊維の1日の摂取量が上記摂取量となるように適宜設計すればよく、1回で上記摂取量を摂取する態様であってもよいし、複数回に分けて上記摂取量を摂取する態様であってもよい。すなわち、例えば、1つの容器に、又は2~4の複数の容器に分けて、1日分として収容することができる。
本発明の組成物は、必要に応じて、大麦若葉以外の他の成分を添加して、公知の方法によって製造することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の形態をとることができる。
試験1.大麦若葉による樹状細胞活性化の評価
大麦若葉による樹状細胞の活性化作用を評価するため、以下に記載する試験により、マウス由来の骨髄細胞から分化させた樹状細胞を用いて、樹状細胞から分泌されるサイトカインの遺伝子量を評価した。
試験1(A).TNF-α遺伝子発現の評価
サイトカインとして、腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor-α;TNF-α)を指標とした。TNF-αは異物の侵襲時にcDC及びpDCから速やかに分泌される強力な生体反応のメディエーターの1つであり、樹状細胞活性化の指標となる。
<被験物質>
(大麦若葉末)
原料として、背丈が約30cmで刈り取った大麦の地上部(葉及び茎)を用いた。水洗いして付着した泥を除去し、5cm程度の大きさに切断した後、95℃の熱湯で約100秒間、1回のみブランチング処理し、冷水で冷却した。得られた大麦若葉を乾燥機中で温風にて乾燥させ、約1mmの大きさに粗粉砕処理した。さらに、ジェットミル粉砕機を用いて微粉砕し、大麦若葉末(メディアン径約20μm、水分量5質量%以下、大麦若葉由来食物繊維40質量%)を製造した。
(大麦若葉末以外の被験物質)
大麦若葉末以外の被験物質としては、以下のものを使用した。
大麦若葉搾汁末:大麦若葉の搾汁液をデキストリンと混合して乾燥させた粉末を用いた(大麦若葉由来食物繊維2質量%)。
セルロース:市販されるセルロースを用いた。
ビタミンD3:試薬として市販されるビタミンD3を用いた。
βグルカン(大麦種子由来):試薬として市販されるβグルカン(大麦種子由来の精製物;純度98%)を用いた。
<試験方法>
C57BL/6Jマウス(8週齢)を解剖後、大腿骨及び脛骨より骨髄単核細胞を採取し、分化誘導培地(10%ウシ胎児血清、100μM 2-メルカプトエタノール、100ng/mL Flt3 リガンドを含むRPMI1640培地)を用いて培養した。具体的には、前記細胞を96ウェルプレートに3×105cells/wellとなるように100 μL/wellで播種し、3~4日ごとに培地交換を行いながら、37℃の5%CO2インキュベーター(アステック製「CO2インキュベーター」)で7日間培養することにより、骨髄由来樹状細胞(cDC及びpDCの両方を含む)に分化させた。
各wellより培地を除去した後、被験物質の合計濃度が10 μg/mL(大麦若葉搾汁末については、デキストリンを除いた大麦若葉搾汁成分の濃度が10 μg/mL)となるように調製した0.5%DMSO含有分化誘導培地を、それぞれ100μL/wellずつ添加し、72時間培養した。各被験物質の割合については表1に示す。
その後、各wellより培地を除去し、RNeasy Mini Kit(QIAGEN製)を用いてRNAを回収した。得られたRNAより、One Step TB Green(登録商標) PrimeScript(商標) RT-PCR Kit II<Perfect Real Time>(TaKaRa製)を用い、リアルタイムPCR法によって、TNF-αの遺伝子発現量(mRNA発現量)を測定した。なお、プライマーは、Mm_Il12B_1_SG QuantiTect Primer Assay 、Mm_Tnf 1_SG QuantiTect Primer Assay (QIAGEN製) を使用した。
<試験結果>
被験物質を添加しないコントロールの値(TNF-α/β-actin)を1として、実施例及び比較例のTNF-α遺伝子発現量(相対値)を評価した。結果を表1に示す。大麦若葉を含有する実施例1及び2では、コントロールに比べて、TNF-α遺伝子発現量が増加していた。TNF-αは樹状細胞活性化の指標となるため、大麦若葉は樹状細胞を活性化させることが示唆された。
特に、大麦若葉末を含有する実施例1では、TNF-αの遺伝子発現促進がより顕著に認められた。免疫賦活作用が知られている食物繊維(セルロース)やビタミンDでは、TNF-αの遺伝子発現は促進されなかった(比較例1及び2)。このことから、免疫賦活作用を有する成分が、必ずしも樹状細胞を活性化するわけではないことが確認された。
試験1(B).IL-12遺伝子発現の評価
サイトカインとして、IL-12(インターロイキン12)を指標とした。上述したとおり、IL-12はcDC(通常型樹状細胞)より分泌されるサイトカインであり、樹状細胞活性化の指標となる。
<被験物質>
試験1(A)と同じ大麦若葉末を用いた。
<試験方法>
8週齢のC57BL/6Jマウスの大腿骨および脛骨から骨髄単核細胞を回収し、分化誘導培地(10%ウシ胎児血清、100 μM 2-メルカプトエタノール、100 ng/mL Flt3リガンド、100 units/mLペニシリン、100 μg/mLストレプトマイシンを含むRPMI1640培地)で培養し、骨髄由来樹状細胞を誘導した。7日間培養後、終濃度10 μg/mlの大麦若葉末を含む分化誘導培地またはコントロールとして大麦若葉末を含まない分化誘導培地を添加した。72時間培養後、RNeasy Mini Kit(QIAGEN)を用いてRNAを回収し、One Step TB Green(登録商標) PrimeScript RT-PCR Kit II (Perfect Real Time)(TaKaRa)を用いてリアルタイムPCRを行い、IL-12のmRNA発現量を評価した。内在性コントロールとしてβ-actin のmRNA発現量を用いた。プライマーは、Mm_Il12B_1_SG QuantiTect Primer Assay 、Mm_Actb_1_SG QuantiTect Primer Assay (QIAGEN) を使用した。
<試験結果>
被験物質を添加しないコントロールの値(IL-12/β-actin)を1として、IL-12遺伝子発現量(相対値)を評価した。結果を表2に示す。コントロールに比べて、大麦若葉末を添加した群ではIL-12遺伝子の発現量が増加しており、樹状細胞が活性化されていることを確認できた。
試験2.大麦若葉由来食物繊維による樹状細胞活性化の評価
試験1(A)に示した結果では、大麦若葉末(大麦若葉の粉砕末)は、大麦若葉の水溶性成分を濃縮した大麦若葉搾汁末よりも高い樹状細胞の活性化作用を示していた。この結果から、大麦若葉を搾汁する過程で除去された大麦若葉由来食物繊維が、樹状細胞活性化に寄与している可能性があると推察した。このことを確認するため、以下の試験により、大麦若葉由来食物繊維による樹状細胞活性化作用を評価した。
試験2(A).樹状細胞におけるIL-12の遺伝子発現量の評価
大麦若葉由来食物繊維による樹状細胞の活性化作用を評価するため、以下に記載する試験により、樹状細胞から分泌されるサイトカインの遺伝子量を評価した。サイトカインとしては、IL-12(インターロイキン12)を指標とした。
<被験物質>
試験1に記載した方法によって得られた大麦若葉末より、大麦若葉由来食物繊維を分画して被験物質とした。
<試験方法>
C57BL/6Jマウス(7週齢)の大腿骨および脛骨から骨髄単核細胞を回収し、分化誘導培地(10%ウシ胎児血清、55μM2-メルカプトエタノール、20ng/mL GM-CSF、1%ペニシリン、10mMHEPESを含むRPMI1640培地)で培養し、骨髄由来樹状細胞を誘導した。37℃の5%CO2インキュベーターで6日間培養後、大麦若葉由来食物繊維を含む被験物質添加用培地(10%ウシ胎児血清、55μM2-メルカプトエタノール、1%ペニシリン、10mMHEPESを含むRPMI1640培地)、大麦若葉由来食物繊維を含まない被験物質添加用培地(コントロール)、ザイモサンを含む被験物質添加用培地(ポジティブコントロール)を調製した。各被験物質の濃度については表3に示すとおりである。5時間培養後、RNeasy Mini Kit(QIAGEN)を用いてRNAを回収し、One Step TB Green(登録商標) PrimeScript(商標) RT-PCR Kit II (Perfect Real Time)(TaKaRa製)を用いてリアルタイムPCRを行い、IL-12の遺伝子発現量(mRNA発現量)を評価した。内在性コントロールとしてRn18sのmRNA発現量を用いた。プライマーは、Mm_Il12B_1_SG QuantiTect Primer Assay 、Mm_Rn18S_3_SG QuantiTect Primer Assay (QIAGEN製) を使用した。
<試験結果>
被験物質を添加しないコントロールの値(IL-12/Rn18s)を1として、実施例及び対照例のIL-12遺伝子発現量(相対値)を評価した。結果を表3に示す。大麦若葉由来食物繊維ではIL-12遺伝子発現量が増加しており、公知の樹状細胞活性化剤であるザイモサンに比べても顕著に発現量が多かった。この結果により、樹状細胞活性化において、大麦若葉の有効成分として大麦若葉由来食物繊維が寄与することが示唆された。
試験2(B).樹状細胞におけるIL-12産生量の評価
IL-12について、遺伝子とタンパク質の発現量の相関を確認するため、試験2(A)で調製した大麦若葉由来食物繊維を用いて、以下に記載する試験により、樹状細胞から分泌されるIL-12量(タンパク質としての量)を評価した。
<試験方法>
試験2(A)と同様の方法により、C57BL/6Jマウス(8週齢)より採取した骨髄単核細胞を用いて、樹状細胞を分化させた。37℃の5%CO2インキュベーターで6日間培養後、表4に記載の終濃度となるように大麦若葉由来食物繊維を含む被験物質添加用培地と大麦若葉由来食物繊維を含まない被験物質添加用培地(コントロール)を調製した。48時間培養後、培養上清を回収し、Mouse IL-12p40 SimpleStep ELISA Kit(abcam製)を用いて、IL-12量を評価した。
<試験結果>
測定されたIL-12の濃度を表4に示す。IL-12濃度を比較すると、コントロールが17.2pg/mLであったのに対して、実施例6-8は、それぞれ、75.7pg/mL(コントロールの4.4倍)、140.7pg/mL(コントロールの8.2倍)、255.2pg/mL(コントロールの14.8倍)であった。この結果により、IL-12の遺伝子とタンパク質の発現量に相関があること、及び、大麦若葉由来食物繊維が樹状細胞を活性化した結果、IL-12産生量が増加することが示唆された。
試験3.大麦若葉によるナチュラルキラー細胞活性化の評価
大麦若葉は樹状細胞を活性化してIL-12の分泌を促進させることで、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)を活性化すると考えられる。一方で、大麦若葉がNK細胞に対して直接的にも作用するかについては不明であった。このことを確認するため、以下に記載する試験により、NK細胞の細胞傷害活性(NK細胞が標的細胞を殺傷する活性のこと)を評価した。
<被験物質>
スピルリナについては、スピルリナの粉砕末を用いた。他の被験物質については、試験1(A)と同じものを用いた。
<試験方法>
C57BL/6Jマウス(8週齢)を解剖後、脾臓細胞を単離し、96ウェルプレートに前記の細胞を5×106 cells/wellとなるように10%ウシ胎児血清-RPMI1640培地で希釈した細胞懸濁液を100 μL/wellで播種した。播種した細胞に、被験物質の合計濃度が1μg/mL(大麦若葉搾汁末については、デキストリンを除いた大麦若葉搾汁成分の濃度が1 μg/mL)となるように調製した培地(0.5%DMSO-10%ウシ胎児血清-RPMI1640培地)を100 μL/wellで添加し、37℃の5%CO2インキュベーター(アステック製「CO2インキュベーター」)で18時間培養した。各被験物質の割合については表5に示す。
培養後、遠心分離機を用いてプレートを遠心(1000rpm、10分)した。上清を150μL除去し、1%BSA-RPMI1640を150μL添加した。これを再度繰り返した。その後、NK細胞感受性のYAC-1細胞(カルセイン染色したもの)を標的細胞として添加し、4時間培養した。
培養後、遠心分離機を用いてプレートを遠心(1000rpm、10分)して、上清を96wellブラックプレートに回収した。回収した上清について、マイクロプレートリーダー(モレキュラーデバイス製「SpectraMax i3x」を用いて、蛍光強度(励起波長490nm、蛍光波長515nm)を測定し、NK細胞傷害活性を評価した。
<試験結果>
コントロールの値を1としたNK細胞傷害活性(相対値)を表5に示す。NK細胞傷害活性の相対値が高いほど、NK細胞が活性化されていることを示す。大麦若葉を含有する実施例9及び10では、コントロールに比べて、NK細胞傷害活性が高かった。このことから、大麦若葉は、樹状細胞活性化によりIL-12の分泌を促進させてNK細胞を活性化するのみではなく、NK細胞に対して直接的にも作用してNK細胞を活性化させることが示唆された。なお、免疫賦活作用が知られている食物繊維(セルロース)やビタミンD、スピルリナを添加しても、NK細胞は活性化されなかった。
試験4.臨床試験による樹状細胞活性及びNK細胞活性の評価
大麦若葉をヒトが摂取した際に樹状細胞やNK細胞が活性化されるかを確認するため、以下に記載する臨床試験を実施した。
<試験方法>
1)試験食品
被験食品には、大麦若葉末(試験1に記載した方法により製造したもの)にマルトースを混合した粉末飲料を使用した。対照食品には、大麦若葉末を含まず、マルトースに着色料と香料を用いて被験食品と外観を区別できないよう調整した粉末飲料を使用した。被験食品および対照食品ともに1日当たりの摂取量を5.4gに設計し、2.7gずつ無地のアルミ袋に入れて被験者に配布し、被験者および介入実施者への盲検性を確保した。
試験食品の1日摂取量(2袋)あたりの熱量および栄養成分値を表6に示す。被験食品に含まれる大麦若葉由来食物繊維は1日摂取量(2袋)あたり0.7gであった。
2)被験者
有償ボランティアを公募し、以下の選択基準を満たし、かつ除外基準に抵触しない56名(男性19名、女性37名)を、試験責任医師が被験者として組み入れた。なお、被験者には試験開始前に試験に関する内容について十分な説明を行った後に、文書による同意を得た。
選択基準:(1)同意取得時の年齢が20歳以上、65歳未満の健常成人男女、(2)研究の目的・内容について十分な説明を受け、同意能力があり、よく理解した上で自発的に参加を志願し、書面で研究参加に同意した者
除外基準:(1)糖尿病、腎・肝疾患、心疾患等の重篤な疾患、甲状腺疾患、副腎疾患、その他代謝性疾患に罹患している者、治療中の者、既往歴がある者、(2)慢性疾患を有し、薬剤を常用している者、(3)消化吸収に影響を与える消化器疾患および消化器の手術歴がある者、(4)スクリーニング検査に行う血液検査から、研究対象者として不適当と判断された者、(5)直近2年間の冬に1度も上気道感染症の自覚症状がなかった者、(6)花粉症・アレルギー性鼻炎に罹患して薬剤を服用している者、(7)免疫に影響を及ぼす可能性があるサプリメント・健康食品(機能性表示食品を含む)の摂取を止めることができない者、(8)1日に純アルコール換算約60gを超える過度の飲酒習慣がある者、(9)喫煙者、(10)ランニング、サッカー等、激しい運動習慣がある者、(11)スクリーニング検査、各検査前日からの禁酒が出来ない者、(12)研究食品の成分に対してアレルギーを有するとの申告があった者、(13)薬物依存、アルコール依存の既往歴あるいは現病歴がある者、(14)交代勤務者または深夜勤務者、(15)海外旅行等、海外への渡航を予定している者、(16)妊娠中、授乳中の者、もしくは妊娠の意思がある者、(17)スクリーニング検査2週間以内に、免疫機能に影響を及ぼすと考えられる薬剤(抗アレルギー薬、抗生物質を含む)を使用した者、(18)スクリーニング検査4週間以内に、200 mLまたは3か月以内に400 mLを超える採血・成分献血をした者、(19)同意取得1ケ月以内に他の研究に参加していた者、参加の意思がある者、(20)その他、研究責任者が研究対象者として不適当と判断した者
3)試験方法
本試験は、前観察期間(1週間)、摂取期間(8週間)からなる合計9週間のプラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験(割付け比;1:1)として実施した。
試験責任医師が選択基準および除外基準に従い組入れを行い、統計解析責任者が性別、年齢、cDC活性マーカーを調整因子としたブロックランダム化法(ブロックサイズ4)にて割振りを行った。割振りした2群を、試験に直接関係のないコントローラーが被験食品群と対照食品群に割り付けた。さらに、コントローラーは割付け結果を記載した表(キーコード)を作成および封緘し、解析対象者決定後にキーコードを開示するまで密封保管することで、盲検性を確保した。
試験期間中は、被験者に1日2袋(5.4g)の試験食品(被験食品群には被験食品、対照食品群には対照食品)を、適量の水またはお湯に溶かして摂取させた。
試験期間中は、試験開始前と同様の生活を送ること、サプリメント・健康食品の使用を避けること、乳酸菌・ビフィズス菌を含む食品を常用している方は摂取回数を変えないこと、過度のアルコールを摂取しないこと、他の試験への参加を避けること等を、試験期間を通じての注意事項として被験者に説明した。加えて、全検査前日からのアルコールの摂取を避けること、全検査前日は十分な睡眠をとること、全検査前日21時以降の水以外の飲食を避けること、全検査前日から検査終了までは激しい運動を避けることを、各検査における注意事項として説明した。なお、被験者は緊急の場合を除き、試験責任医師または試験分担医師の許可を得て医薬品を使用することとした。
4)検査項目
摂取前検査(以下、摂取前)、摂取8週間後検査(以下、摂取8週間後)の計2回にわたり、cDC活性および活性化NK細胞の測定を実施した。
cDC活性については、末梢血単核球(peripheral blood mononuclear cells; PBMC)中のcDC活性マーカーであるHLA-DRを測定することにより評価した。血液からPBMCを単離後、CD4、CD141、CD11cおよびHLA-DR抗体で染色し、フローサイトメーターを用いて測定した。CD4陽性細胞のうち、CD141、CD11c両陽性細胞をcDCとし、HLA-DRの平均蛍光強度(Mean Fluorescence Intensity;M.F.I.)を算出した。
活性化NK細胞については、NK細胞の活性マーカーであるCD69陽性細胞を測定することにより評価した。血液からPBMCを単離後、CD3、CD45、CD56およびCD69抗体で染色し、フローサイトメーターを用いて測定した。CD3陰性かつCD45、CD56及びCD69陽性細胞を活性化NK細胞 とし、リンパ球中の活性化NK細胞の割合を算出した。
5)解析対象者
本試験で組み入れられた被験者数は56名(男性19名、女性37名)で、ランダム化後の脱落例はなく56名で試験を開始した。試験期間中、4名が中止基準に該当すると試験責任医師が判断し脱落したため、試験を完了した被験者は52名であった。中止基準の該当理由と人数は以下の通りであった。試験食品以外の原因で体調不良となり試験継続が困難となった被験者1名(被験食品群)、被験者としての信頼性を損なう行為があったと判断された被験者1名(対照食品群)、検査日に来院しなかった被験者2名(被験食品群)。
試験終了後、棄却基準に該当した被験者が8名認められたため、44名(男性15名、女性29名)を解析対象とした。棄却基準の該当理由と人数は以下の通りであった。(1)試験中の注意事項への違反が認められた被験者7名(睡眠習慣の変化:被験食品群1名、対照食品群1名;生活リズム(就労環境)の変化:被験食品群1名、対照食品群4名)、(2)試験期間中に新たに疾病(花粉症)に罹患した被験者1名(被験食品群1名)。
<試験結果>
cDC活性マーカーであるHLA-DRの発現量と、活性化NK細胞割合の解析結果を表7に示す。HLA-DR発現量と活性化NK細胞割合のいずれについても、被験食品を摂取した群では、対照食品群と比較して、摂取8週間後における変化率が顕著に高かった。この結果により、大麦若葉をヒトが経口摂取することによって、樹状細胞及びNK細胞が活性化されることを確認できた。
試験5.粉末飲料の製造
下記成分からなる実施例11の粉末飲料を製造した。具体的には、各原料を混合後、造粒機を用いて流動層造粒を行い、顆粒状の粉末飲料を製造した。製造した粉末飲料を、1袋あたり3gとなるようにアルミニウムパウチに充填した。得られた粉末飲料については、80~150mL程度の水に懸濁して摂取すればよい。実施例11の粉末飲料を、1日当たり、1包(大麦若葉末として0.3g、大麦若葉由来食物繊維として0.135g)摂取することにより、樹状細胞が活性化され、本発明の効果を奏する。
[実施例11]
大麦若葉末(食物繊維45質量%含有) 10質量%
抹茶 4質量%
還元麦芽糖 86質量%
本発明の組成物は、大麦若葉を含有することにより優れた樹状細胞活性化作用を発揮するため、免疫機能の維持を図ることができ、さらに、抗ウイルス作用や抗がん作用、慢性創傷の治癒促進作用、美白作用、皮膚の抗老化作用といった効果を発揮することができる。樹状細胞活性化を目的とする飲食品等として用いることができるため、産業上の有用性は高い。

Claims (4)

  1. 大麦若葉を含有することを特徴とする、通常型樹状細胞(cDC)活性化用組成物。
  2. 大麦若葉由来食物繊維が有効成分であることを特徴とする、通常型樹状細胞(cDC)活性化用組成物。
  3. 免疫機能の維持に用いられることを特徴とする、請求項1又は2のいずれかに記載の通常型樹状細胞(cDC)活性化用組成物。
  4. 機能性表示食品であることを特徴とする、請求項1に記載の通常型樹状細胞(cDC)活性化用組成物。
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