JP2018070568A - 非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤及び非アルコール性脂肪性肝疾患予防用食品 - Google Patents

非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤及び非アルコール性脂肪性肝疾患予防用食品 Download PDF

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菜央子 大湖
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Abstract

【課題】新規な非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤及び非アルコール性脂肪性肝疾患予防用食品を提供する。【解決手段】本発明は、ユーグレナ由来物質を有効成分として含有する非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤である。前記ユーグレナ由来物質は、ユーグレナ藻体又はパラミロンである。非アルコール性脂肪肝炎治療又は予防剤として使用される。肝線維化抑制剤として使用される。また、本発明は、ユーグレナ由来物質を有効成分として含有する非アルコール性脂肪性肝疾患予防用食品である。【選択図】図4

Description

本発明は、新規な非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤及び非アルコール性脂肪性肝疾患予防用食品に関する。
脂肪性肝疾患(脂肪肝)とは、肝細胞に中性脂肪(TG)が沈着して、肝障害をきたす疾患の総称である。明らかな飲酒歴がない脂肪性肝疾患は、非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease: NAFLD)と呼ばれている。NAFLDは、予後良好な単純性脂肪肝と、肝硬変、肝癌へと進行する可能性のある非アルコール性脂肪肝炎 (nonalcoholic steatohepatitis: NASH)に分かれる(非特許文献1)。
日本における肝癌は、C型肝炎などウイルス性肝疾患が大部分を占めていたが、最近では非ウイルス性の症例が増加しており、その多くはNASHなど脂肪性肝炎に起因すると考えられている。NASHは少なくとも成人の1%と推定され、線維化の進行などにより症状が深刻になると肝硬変,肝細胞癌や合併症を引き起こし、肝臓癌や肝移植のケースに発展する。そこで、最近になって、NASHの予防,治療法の検討が行われるようになってきた。
NASH及びNAFLDの治療薬として、例えば、多糖類、パパイヤおよび海藻を、乳酸菌と酵母とで共棲発酵してなる発酵エキスを有効成分とする、非アルコール性脂肪性肝疾患および/または非アルコール性脂肪肝炎の治療薬(特許文献1)や、マルチトールを有効成分として含有する肝機能改善剤(特許文献2)等が提案されている。
しかし、現在のところ、NASHの治療法として確立されたものはなく、食事・運動療法による体重減少等の生活習慣の改善が基本となっている。食事・運動療法が無効のときには、薬物療法や鉄を減らす除鉄療法も行われるが、確立された薬物療法がないのが実情である。
食事・運動療法では、2〜3kgの体重減少で組織学的にも改善するが、患者は体重の増減を繰り返しがちで、体重が減ると単純性脂肪肝に改善し、逆に増えるとNASHへ進展して、風船様腫大やMallory-Denk小体の出現などの進行と改善を繰り返す症例も少なくない。治療は、長期戦となり、なかなか改善や完治に至らない症例が多いのが現状である。
一方で、食糧、飼料、燃料等としての利用が有望視されている生物資源として、ユーグレナ(属名:Euglena,和名:ミドリムシ)が注目されている。
ユーグレナは、ビタミン,ミネラル,アミノ酸,不飽和脂肪酸など、人間が生きていくために必要な栄養素の大半に該当する59種類もの栄養素を備え、多種類の栄養素をバランスよく摂取するためのサプリメントとしての利用や、種々の理由から必要な栄養素をバランスよく摂取し難い地域での食糧供給源としての利用の可能性が提案されている。
ユーグレナは、食物連鎖の最底辺に位置し、捕食者により捕食されることや、光、温度条件、撹拌速度などの培養条件が他の微生物に比べて難しいなどの理由から、大量培養が難しいとされてきたが、近年、本発明者らの鋭意研究によって、大量培養技術が確立され、ユーグレナ及びユーグレナから抽出されるパラミロンの大量供給の途が開かれた。
ユーグレナは、鞭毛運動をする動物的性質をもちながら、同時に植物として葉緑体を持ち光合成を行うユニークな生物であり、ユーグレナ自体やユーグレナ由来の物質に、多くの機能性があることが期待されている。
そのため、大量供給可能となったユーグレナ及びパラミロン等のユーグレナ由来物質の機能や、機能性発現のメカニズムの解明、ひいては、これらの物質の利用法等の開発が望まれている。
「NASH/NAFLDの診療ガイド2010」、[online]、平成26年10月15日、一般社団法人 日本肝臓学会、[平成28年10月25日検索]、インターネット〈URL:http://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/jsh_guidlines/NASH・NAFLD2010〉
特許第5571650号公報 特開2014−129324号公報
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、新規な非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤及び非アルコール性脂肪性肝疾患予防用食品を提供することにある。
本発明の他の目的は、ユーグレナ由来物質の新規な利用方法となる非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤及び非アルコール性脂肪性肝疾患予防用食品を提供することにある。
前記課題は、本発明によれば、ユーグレナ由来物質を有効成分として含有する非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤により解決される。
上記構成により、非アルコール性脂肪性肝疾患又は非アルコール性脂肪肝炎患者や、非アルコール性脂肪性肝疾患又は非アルコール性脂肪肝炎を発症する可能性のあるヒト、動物にユーグレナ由来物質を投与すると、ユーグレナ由来物質が生体内において、非アルコール性脂肪肝炎の特徴の一つである肝線維化を阻害する作用を果たすため、非アルコール性脂肪肝炎の進行を抑制できる。更に、線維化が進行することによって非アルコール性脂肪肝炎が肝硬変及び肝臓癌に進展することを阻害できる。非アルコール性脂肪性肝疾患の約10%が進行性の非アルコール性脂肪肝炎であると言われており、本発明は、線維化の進行を抑制する作用を通じて、非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤として用いることができる。
このとき、前記ユーグレナ由来物質は、ユーグレナ藻体又はパラミロンであってもよい。
このように、本発明の非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤として、食品としても認可されているユーグレナ藻体又はパラミロンを用いるため、長期間の投与又は摂取が可能であり、食事・運動療法が中心で、治療が長期化しがちな非アルコール性脂肪性肝疾患の治療又は予防に適した治療又は予防剤を提供できる。
また、非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤は、非アルコール性脂肪肝炎治療又は予防剤又は肝線維化抑制剤として使用されてもよい。
このように、本発明の非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤は、肝線維化抑制剤として作用するため、非アルコール性脂肪性肝疾患の約10%を占める非アルコール性脂肪肝炎の特徴の一つである線維化が進行することを抑制し、非アルコール性脂肪肝炎の進行を抑制できる。更に、線維化が進行することによって非アルコール性脂肪肝炎が肝硬変及び肝臓癌に進展することを阻害できる。
非アルコール性脂肪性肝疾患及び非アルコール性脂肪肝炎に罹患していないヒト、動物に対しても、本発明の非アルコール性脂肪性肝疾患予防剤を用いることができる。例えば、家族歴や、肥満,糖尿病,高血圧,脂質異常症などの生活習慣病に罹患している、睡眠時無呼吸症候群に罹患している、ある種の薬の服用履歴がある、あるいは十二指腸や膵臓の手術後に起こる栄養吸収障害が起こっている等の情報に基づいて、非アルコール性脂肪肝炎に罹患する可能性が高い状態にあると判断された場合に、投与されることにより、非アルコール性脂肪性肝疾患予防剤として用いることができる。
また、前記課題は、本発明によれば、ユーグレナ由来物質を有効成分として含有する非アルコール性脂肪性肝疾患予防用食品により解決される。
このように構成しているので、非アルコール性脂肪性肝疾患及び非アルコール性脂肪肝炎に罹患していないヒト、動物であっても摂取することができる。例えば、家族歴や、肥満,糖尿病,高血圧,脂質異常症などの生活習慣病に罹患している、睡眠時無呼吸症候群に罹患している、ある種の薬の服用履歴がある、あるいは十二指腸や膵臓の手術後に起こる栄養吸収障害が起こっている等の情報に基づいて、非アルコール性脂肪肝炎に罹患する可能性が高い状態にあると判断された場合に、摂取することにより、非アルコール性脂肪性肝疾患予防用食品として用いることができる。
本発明によれば、非アルコール性脂肪性肝疾患又は非アルコール性脂肪肝炎患者や、非アルコール性脂肪性肝疾患又は非アルコール性脂肪肝炎を発症する可能性のあるヒト、動物にユーグレナ由来物質を投与すると、ユーグレナ由来物質が生体内において、非アルコール性脂肪肝炎の特徴の一つである肝線維化を阻害する作用を果たすため、非アルコール性脂肪肝炎の進行を抑制できる。更に、線維化が進行することによって非アルコール性脂肪肝炎が肝硬変及び肝臓癌に進展することを阻害できる。非アルコール性脂肪性肝疾患の約10%が進行性の非アルコール性脂肪肝炎であると言われており、本発明は、線維化の進行を抑制する作用を通じて、非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤として用いることができる。
試験1で摘出した肝臓サンプルの各葉の配置を示す説明図である。 試験1において、摘出した肝臓サンプルの外側左葉の切断箇所を示す説明図である。 試験1において、本発明の実施例2のパラミロン及び対比例1,2の対照物質を投与したラットの肝臓のヘマトキシリン・エオシン染色像の写真である。 試験1において、本発明の実施例1のユーグレナ,実施例2のパラミロン及び対比例1,2の対照物質を投与したラットの肝臓のシリウスレッド染色像の写真である。 試験1における本発明の実施例1のユーグレナ,実施例2のパラミロン及び対比例1,2の対照物質を投与したラットの肝臓のシリウスレッド陽性面積率の算出結果を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
本発明は、ユーグレナ由来物質を有効成分とする非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤及び非アルコール性脂肪性肝疾患予防用食品である。
<非アルコール性脂肪性疾患及び非アルコール性脂肪肝炎>
脂肪性肝疾患とは、幹細胞に中性脂肪(TG)が沈着して、肝障害をきたす疾患の総称である。
非アルコール性脂肪性肝疾患(以下、「NAFLD」という。)は、組織学的に大滴性の脂肪変性を基盤に発症し、非アルコール性脂肪肝(nonalcoholic fatty liver,(NAFL)),非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis,以下、「NASH」という。)に分類される。
NAFLDは、組織診断あるいは画像診断で脂肪肝を認め、アルコール性肝障害など他の肝疾患を除外した病態である。純アルコールで男性30g/日,女性20g/日以上の飲酒量でアルコール性肝障害を発症しうるので、NAFLDの飲酒量はそれ未満となる。
一般に、肝臓に肝組織の10%以上の脂肪沈着があり血清トランスアミナーゼ(ALT/AST)値が上昇している病態がNAFLDと考えられている。
NASHは、肝組織で診断され、脂肪変性に壊死・炎症や線維化を伴う脂肪肝炎(steatohepatitis)を呈する。脂肪変性,炎症性細胞浸潤,肝細胞傷害(風船様変性)が特徴である。
また、肝細胞の風船様腫大や Mallory−Denk小体の出現,炎症性細胞浸潤,線維化という特徴的な肝組織像がある,NAFLDの進行性の病態が、NASHであると考えられている。
NAFLD及びNASH発症のメカニズムは解明されていないが、二つのヒット理論(two hits theory)が広く受け入れられている。
two hits theoryとは、正常肝であったところに、肥満,糖尿病,高脂血症などのインスリン抵抗性によって肝臓に脂肪が蓄積して脂肪肝になるfirst hitと、次に脂質過酸化、サイトカイン、鉄などの酸化ストレスがNASHを起こすsecond hitが起こるとする説である。
つまり、まず、first hitにおいて、メタボリックシンドロームの発症メカニズムと同様、過栄養や運動不足により内臓脂肪が蓄積する。そして、内臓脂肪からの遊離脂肪酸の分泌亢進と、アディポネクチンの分泌低下やTNF-αの分泌亢進などを来たす。遊離脂肪酸は門脈を介して肝臓の組織に到達しそこで中性脂肪として蓄積され、脂肪肝の形成に直接的に関与する。さらに、この遊離脂肪酸やあるいはアディポサイトカインの分泌異常によりインスリン抵抗性が惹起され、肝臓への脂肪蓄積がさらに促進される。ここまでの病態でとどまっているのが単純性脂肪肝である。
そして、second hitにおいて、さらにアディポサイトカインの分泌異常やインスリン抵抗性などにより、過剰な酸化ストレスが発生する。second hitを経て、肝臓における炎症や肝細胞障害、肝の線維化などが起こっている状態にまで進んだものがNASHである。
このように、肝細胞への脂肪の沈着がfirst hitであり、さらに酸化ストレスや炎症性サイトカインなどの肝細胞障害要因をsecond hitと呼んでいる。
ここで、「インスリン抵抗性」とは、肝臓や筋肉、脂肪細胞などでインスリンが正常に働かなくなった状態のことをいう。インスリン抵抗性があると、食事で高くなった血糖値を感知して、すい臓からインスリンが分泌されても、筋肉や肝臓が血液中のブドウ糖を取り込まないため、血糖値が下がらず、糖尿病の発病につながる。
NASHは、炎症や線維化を起こすが、線維化が進むと肝臓が硬くなり肝硬変になる。NASHを発症すると、10年でおよそ2割が肝硬変になるという報告があり、肝硬変になると、やがて肝癌を発症することもある。
肝線維化は、NASHに限らず、C型肝炎などウイルス性肝炎やアルコール性肝炎においても起こるものであり、C型肝炎などウイルス性肝炎やアルコール性肝炎において肝線維化が起こって、肝硬変や肝癌を発症することもある。
<非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤>
本発明の非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤は、ユーグレナ由来物質を有効成分とする非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤である。
「ユーグレナ由来物質」とは、ユーグレナ生細胞,ユーグレナの乾燥藻体のほか、ユーグレナ細胞から抽出されたパラミロン、パラミロン粉末や、パラミロンの加工品等が含まれる。
「ユーグレナ細胞」としては、ユーグレナ・グラシリス(E. gracilis)、特に、ユーグレナ・グラシリス(E. gracilis)Z株を用いることが望ましい。そのほか、ユーグレナ・グラシリス(E. gracilis)Z株の変異株SM−ZK株(葉緑体欠損株)や変種のvar. bacillaris、これらの種の葉緑体の変異株等の遺伝子変異株由来のβ−1,3−グルカナーゼ、Euglena intermedia、 Euglena piride、及びその他のユーグレナ類、例えばAstaia longaであっても良い。
ユーグレナ属は、池や沼などの淡水中に広く分布しており、これらから分離して使用しても良く、また、既に単離されている任意のユーグレナ属を使用してもよい。
本発明に係るユーグレナは、その全ての変異株を包含する。また、これらの変異株の中には、遺伝的方法、例えば組換え、形質導入、形質転換等により得られたものも含有される。
ユーグレナ細胞の培養において、培養液としては、例えば、窒素源,リン源,ミネラルなどの栄養塩類を添加した培養液、例えば、改変Cramer-Myers培地((NHHPO 1.0g/L,KHPO 1.0g/L,MgSO・7HO 0.2g/l,CaCl・2HO 0.02g/l,Fe(SO・7HO 3mg/l,MnCl・4HO 1.8mg/l,CoSO・7HO 1.5mg/l,ZnSO・7HO 0.4mg/l,NaMoO・2HO 0.2mg/l,CuSO・5HO 0.02g/l,チアミン塩酸塩(ビタミンB1) 0.1mg/l,シアノコバラミン(ビタミンB12)、(pH3.5))を用いることができる。なお、(NHHPOは、(NHSOやNHaqに変換することも可能である。また、そのほか、ユーグレナ 生理と生化学(北岡正三郎編、(株)学会出版センター)の記載に基づき調製される公知のHutner培地,Koren-Hutner培地を用いてもよい。
培養液のpHは好ましくは2以上、また、その上限は、好ましくは6以下、より好ましくは4.5以下である。pHを酸性側にすることにより、光合成微生物は他の微生物よりも優勢に生育することができるため、コンタミネーションを抑制できる。
ユーグレナ細胞の培養は、太陽光を直接利用するオープンポンド方式、集光装置で集光した太陽光を光ファイバー等で送り、培養槽で照射させ光合成に利用する集光方式等により行っても良い。
また、ユーグレナ細胞の培養は、例えば供給バッチ法を用いて行われ得るが、フラスコ培養や発酵槽を用いた培養、回分培養法、半回分培養法(流加培養法)、連続培養法(灌流培養法)等、いずれの液体培養法により行っても良い。
ユーグレナ細胞の分離は、例えば培養液の遠心分離,濾過又は単純な沈降によって行われる。
ユーグレナ由来物質として、遠心分離,濾過又は沈降等によって分離したユーグレナ生細胞をそのまま用いることができる。ユーグレナ生細胞は、培養槽から収穫後そのままの状態で使用することもできるが、水若しくは生理食塩水で洗浄するのが好ましい。また、藻体スラリーの状態で用いてもよい。
また、ユーグレナ生細胞を凍結乾燥処理やスプレー乾燥処理して得た乾燥藻体を用いてもよい。
更に、ユーグレナ生細胞を超音波照射処理や、ホモゲナイズ等の機械処理を行うことにより得た藻体の機械的処理物を用いてもよい。機械的処理物に乾燥処理を施した機械的処理物乾燥物を用いてもよい。
「パラミロン(paramylon)」とは、約700個のグルコースがβ−1,3−結合により重合した高分子体(β−1,3−グルカン)で多孔質であり、ユーグレナ属が含有する貯蔵多糖である。パラミロン粒子は、扁平な回転楕円体粒子であり、β−1,3−グルカン鎖がらせん状に絡まりあって形成されている。
パラミロンは、すべての種,変種のユーグレナ細胞内に顆粒として存在し、その個数,形状,粒子の均一性は、種により特徴がある。
パラミロンは、グルコースのみからなり、E. gracilis Zの野生株と葉緑体欠損株SM-ZKから得られたパラミロンの平均重合度は、グルコース単位で約700である。
パラミロンは、水,熱水には不溶性であるが、希アルカリ,濃い酸,ジメチルスルホキシド,ホルムアルデヒド,ギ酸に溶ける。
パラミロンの平均密度は、E. gracilis Zでは、1.53、E. gracilis var. bacillaris SM-L1では、1.63である。
パラミロンは、粉末図形法を用いたX線解析によれば、3本の直鎖状β−1,3−グルカンが右巻きの縄のようにねじれあったゆるやかならせん構造をとっている。このグルカン分子がいくつか集まってパラミロン顆粒を形成する。パラミロン顆粒は結晶構造部分が非常に多く約90%を占め、多糖類の中で最も結晶構造率の高い化合物である(ユーグレナ 生理と生化学,北岡正三郎編,学会出版センター)。
なお、パラミロン((株)ユーグレナ製)の粒度分布は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置で測定したときのメジアン径が、1.5〜2.5μmである。
パラミロン粒子は、培養されたユーグレナ細胞から任意の適切な方法で単離及び微粒子状に精製され、通常、粉末体として提供されている。
例えば、パラミロン粒子は、(1)任意の適切な培地中でのユーグレナ細胞の培養;(2)当該培地からのユーグレナ細胞の分離;(3)分離されたユーグレナ細胞からのパラミロンの単離;(4)単離されたパラミロンの精製;および必要に応じて(5)冷却及びその後の凍結乾燥によって得ることができる。
パラミロンの単離は、例えば、大部分が生物分解される種類の非イオン性又は陰イオン性の界面活性剤を用いて行われる。パラミロンの精製は、実質的には単離と同時に行われる。
なお、ユーグレナからのパラミロンの単離および精製は周知であり、例えば、E. Ziegler, "Die naturlichen und kunstlichen Aromen" Heidelberg, Germany, 1982, Chapter 4.3 "Gefriertrocken"、DE 43 28 329、又は特表2003-529538号公報に記載されている。
パラミロンの加工品としては、公知の種々の方法によりパラミロンを化学的又は物理的に処理して得た水溶性パラミロン、硫酸化パラミロン等や、パラミロン誘導体も含まれる。
本発明のユーグレナ由来物質は、肝線維化発症を抑制することを通じて、NAFLD及びNASHを抑制する作用を有する。
従って、ユーグレナ由来物質は、アディポサイトカインの分泌異常やインスリン抵抗性などにより、過剰な参加ストレスが発生するsecond hitを阻害又は抑制することを通じて、肝線維化発症を抑制し、その結果、NASHの発症を抑制していると考えられる。
さらに、ユーグレナ由来物質は、肝線維化発症抑制を通じてNASHの発症を抑制することにより、NASHから進展する肝硬変、肝癌の発症も抑制する。
本発明のユーグレナ由来物質を有効成分として含む非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤は、NAFLD又はNASH患者、NAFLD又はNASHに罹患したヒト以外の動物に投与されることで、NAFLD又はNASHの治療剤として用いることができる。
また、NAFLD又はNASHに罹患する前のヒト、NAFLD又はNASHに罹患する可能性が高いヒト、これらヒト以外の動物を対象としたNAFLD又はNASHの予防剤として用いることもできる。
NAFLD又はNASHに罹患する可能性が高いヒトとしては、NASHの発症の原因と考えられている疾患を罹患している患者、又は状態にある者が含まれる。例えば、BMI(Body mass index)が25以上の肥満者や、肥満,糖尿病,高血圧,脂質異常症などの生活習慣病の患者、睡眠時無呼吸症候群の患者やある種の薬を服用した者、あるいは十二指腸や膵臓の手術後に起こる栄養吸収障害が起こっている者等である。また、遺伝的な体質が、NASH発症に影響することが分かっており、家族や親族にNASH患者がいる者も含まれる。
また、本発明のユーグレナ由来物質は、ユーグレナ由来物質を有効成分として含有する非アルコール性脂肪肝炎予防又は治療剤,肝線維化抑制又は予防剤,NASHから進展する肝硬変の抑制又は予防剤,NASHから進展する肝癌の抑制又は予防剤に用いることもできる。
本実施形態の非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤は、医薬組成物として利用することができる。
(医薬組成物)
本実施形態の非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤は、医薬の分野では、NAFLD,NASH,肝線維化の抑制作用を有効に発揮できる量のユーグレナ由来物質と共に、薬学的に許容される担体や添加剤を配合することにより、当該作用を有する医薬組成物が提供される。当該医薬組成物は、医薬品であっても医薬部外品であってもよい。
当該医薬組成物は、内用的に適用されても、また外用的に適用されても良い。従って、当該医薬組成物は、内服剤、静脈注射、皮下注射、皮内注射、筋肉注射及び/又は腹腔内注射等の注射剤、経粘膜適用剤、経皮適用剤等の製剤形態で使用することができる。
当該医薬組成物の剤型としては、適用の形態により、適当に設定できるが、例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、粉末剤、散剤などの固形製剤、液剤、懸濁剤などの液状製剤、軟膏剤、またはゲル剤等の半固形剤が挙げられる。
(食品組成物及び飼料)
また、本発明のユーグレナ由来物質は、食品にも用いることが可能である。
本実施形態の非アルコール性脂肪性肝疾患予防用食品は、食品の分野では、NAFLD,NASH,肝線維化の抑制作用を有効に発揮できる有効な量のユーグレナ由来物質を食品素材として、各種食品に配合することにより、当該作用を有する食品組成物を提供することができる。
すなわち、本発明は、食品の分野において、NAFLD予防用,NASH予防用,肝線維化予防用,等と表示された食品の食品組成物を提供することができる。当該食品組成物としては、一般の食品のほか、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、病院患者用食品、サプリメント等が挙げられる。また、食品添加物として用いることもできる。
当該食品組成物としては、例えば、調味料、畜肉加工品、農産加工品、飲料(清涼飲料、アルコール飲料、炭酸飲料、乳飲料、果汁飲料、茶、コーヒー、栄養ドリンク等)、粉末飲料(粉末ジュース、粉末スープ等)、濃縮飲料、菓子類(キャンディ(のど飴)、クッキー、ビスケット、ガム、グミ、チョコレート等)、パン、シリアル等が挙げられる。また、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の場合、カプセル、トローチ、シロップ、顆粒、粉末等の形状であっても良い。
ここで特定保健用食品とは、生理学的機能等に影響を与える保健機能成分を含む食品であって、消費者庁長官の許可を得て特定の保健の用途に適する旨を表示可能なものである。本発明においては、特定の保健用途としてNAFLD,NASHを予防する、肝線維化を抑えて肝臓を正常に保つことを助けるなどと表示して販売される食品となる。
また栄養機能食品とは、栄養成分(ビタミン、ミネラル)の補給のために利用される食品であって、栄養成分の機能を表示するものである。栄養機能食品として販売するためには、一日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量が定められた上限値、下限値の範囲内にある必要があり、栄養機能表示だけでなく注意喚起表示等もする必要がある。
また機能性表示食品とは、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品である。販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報などが消費者庁長官へ届け出られたものである。
上記において本発明は、ユーグレナ由来物質を有効成分として含み、NAFLD,NASH患者、NAFLD,NASHを罹患したヒト以外の動物や、NAFLD,NASHを罹患する可能性の高いヒトやヒト以外の動物を対象としたNAFLD予防用,NASH予防用,肝線維化予防用,NASHから進展する肝硬変の予防用,NASHから進展する肝癌の予防用特定保健用食品や、NAFLD予防用,NASH予防用,肝線維化予防用,NASHから進展する肝硬変の予防用,NASHから進展する肝癌の予防用栄養機能食品、NAFLD予防用,NASH予防用,肝線維化予防用機能性表示食品,NAFLD予防用,NASH予防用,肝線維化予防用,NASHから進展する肝硬変の予防用,NASHから進展する肝癌の予防用飼料として用いることができる。
なお、本発明は、C型肝炎などウイルス性肝炎やアルコール性肝炎においても肝線維化を抑制することは、作用機序からみて当然である。本発明は、これらの肝炎における肝線維化を抑制,予防し、これらの肝炎から肝線維化により進展して発症する肝硬変及び肝癌の予防,治療剤や、予防,治療用食品,飼料として用いることができる。
以下、本発明を具体的実施例により詳細に説明するが、本発明の技術的範囲が、以下の実施例に制限されないことは当然である。
<実施例1>
ユーグレナ由来物質として、ユーグレナ・グラシリス粉末((株)ユーグレナ製)(以下、「ユーグレナ」という。)の必要量を秤量し、生理食塩水を加えて、乳鉢で懸濁液を調製した。
<実施例2>
ユーグレナ由来物質として、パラミロン粉末((株)ユーグレナ製)の必要量を秤量し、生理食塩水を加えて、乳鉢で懸濁液を調製した。
<対比例1>
ポジティブコントロール物質として、テルミサルタン(Telmisartan)錠1錠を乳鉢で破砕後、RO 水を徐々に加えながら、1 mg/mL の均一な懸濁液になるように調整した。
テルミサルタンは、主に高血圧の治療に使用されるアンジオテンシンII受容体拮抗薬である。
<対比例2>
また、ネガティブコントロールとして、実施例1,2で用いた溶媒である生理食塩水を対比例2とした。
<試験1>
本試験では、実施例1,2のユーグレナ由来物質及び対比例1のポジティブコントロール物質(テルミサルタン),対比例2のネガティブコントロールを、5週齢のNASHモデルマウス(STAM(登録商標)マウス)に27日間強制経口投与し、9週齢時に屠殺して解析を行い、抗NASH効果および抗線維化効果について検討した。
NASHモデルマウスは、糖尿病を背景に6週齢時に脂肪肝、8週齢時に脂肪性肝炎、9週齢時に肝線維化、その後20週齢時に肝癌を発症するヒトのNASHの進行と予後に類似した病理所見を示すモデルマウスである。
つまり、本試験のNASHモデルマウスには、実施例1,2のユーグレナ由来物質、対比例1のテルミサルタン、対比例2の生理食塩水を、脂肪肝発生前の5週齢から、脂肪肝発生,脂肪性肝炎発生を経て、肝が線維化する9週齢時まで、投与した。
●試験動物
まず、試験動物の調製を行った。
妊娠14日の雌SPFマウス(C57BL/6J、日本エスエルシー)18匹を、馴化飼育した。全動物を自然分娩させ、出生した雄をモデル動物作製に使用した。なお、離乳は生後4週齢とした。
8:00の分娩観察時に出産が観察されたマウスは観察日前日を、20:00の分娩観察時に出産が観察されたマウスは観察日当日を出生日とし、生後0日から起算した。離乳まで母動物に哺育させた。
2日齢時の雄にストレプトゾトシン(シグマアルドリッチジャパン(株))を生理食塩液(日本薬局方、(株)大塚製薬工場)にて10mg/mL濃度とし、20μL/head(200μg/head)で背部皮下に1回投与して、NASHモデルマウスを作製した。その後は離乳まで母動物に哺育させた。生後28±2日齢時に離乳し、それ以降は、高脂肪食〔High Fat Diet 32(放射線滅菌、日本クレア(株))〕で飼育した。
●飼育条件
マウスは、温度23 ± 3°C、相対湿度50 ± 20%、換気回数1 時間40回以上、照明1 日12 時間(08:00-20:00、分娩観察およびストレプトゾトシン投与操作並びに出生児の調整のための点灯を除く)の動物飼育室で飼育した。
動物入荷日から離乳までは、母児ともに固形飼料CE-2(放射線滅菌、日本クレア(株))を自由に摂取させた。離乳以降は、ストレプトゾトシンを投与した動物については、高脂肪食High Fat Diet 32 (放射線滅菌、日本クレア(株))を自由に摂取させた。飲料水は自由摂取とした。
●投与
試験開始日(投与開始日)の前日に、NASHモデルマウスを、平均体重が均等になるように体重層別化無作為抽出法によって、6匹/群、1ケージ当たり3匹になるよう群分けした。
マウスの各群に、実施例1のユーグレナ、実施例2のパラミロン、対比例1のポジティブコントロール物質と、対比例2のネガティブコントロール(溶媒のみ)を、強制経口投与した。投与期間は生後5週齢からの27日間、投与回数は、1日1回(7回/週)とした。
1回の投与量は、実施例1、2は3g/kg体重、対比例1は、10mg/kg体重とした。投与容量は10mL/kg体重とした。対比例2は、10mL/kg体重で同様に投与した。
●肝臓サンプル採取
9週齢時の計画剖検時に、腹部大動脈切断により放血死させ、図1の通り、肝臓を摘出し、外側左葉Bを図2のように6等分した。
図2の外側左葉の中心部の2片bをブアン固定液(シグマアルドリッチジャパン(株))に浸漬し、24時間室温にて固定後、パラフィン包埋を行った。作製したパラフィン切片は、ヘマトキシリン・エオシン染色およびシリウスレッド染色に使用した。
●ヘマトキシリン・エオシン染色(NAFLD Activity scoreの算出)
実施例2,対比例1及び2のパラフィン切片をキシレン、100%〜70%のアルコール系列およびRO水で脱パラフィン・親水化した後、リリー・マイヤーヘマトキシリン液(武藤化学(株))にて10分間浸漬した。RO水にて余分な染色液を洗い流し、流水にて10分間色出しした後、1%エオシンYエタノール水溶液(和光純薬(株))に5分間浸漬し、RO水に浸透した。染色した切片は、70%〜100%のアルコール系列およびキシレンにて脱水・透徹後、エンテランニュー(メルク(株))にて封入し観察に供した。標本は明視野顕微鏡(ライカ マイクロシステムズ、型番: DM1000)を用い観察した。
Kleiner等の報告(Kleiner DE et al.Hepatology 2005 41:1313)に従い、表1の通り、1個体あたり1切片の脂肪化(Steatosis、中心静脈を中心とした代表的な50倍の1視野について)、肝実質における炎症(Lobular inflammation、中心静脈を中心とした切片の代表的な200倍の1視野について)、肝細胞障害(Hepatocyte ballooning、中心静脈を中心とした切片の代表的な200倍の1視野について)についてそれぞれ写真を撮影し、撮影した画像を観察してスコア化した。
実施例2,対比例1及び2の、NAFLD Activity score の算出結果を表2に示す。このとき、n=6とした。
対比例2のネガティブコントロール群では、肝細胞の風船様変性、大滴性および小滴性の脂肪滴の沈着、リンパ球および好中球を含む炎症性細胞浸潤像が認められた。
対比例1のテルミサルタン投与群(ポジティブコントロール)において、対比例2のネガティブコントロール群と比較して、NAFLD Activity scoreは有意に低値を示しており、本実験系がNAFLD発症有無の試験系として適切であることが確認できた。
実施例2のパラミロン投与群は、ネガティブコントロール群と比較して、NAFLD Activity scoreが低下していた。
●シリウスレッド染色(Fibrosis areaの算出)
パラフィン切片をキシレン、100%〜70%のアルコール系列およびRO水で脱パラフィン・親水化した後、0.03%ピクロ・シリウスレッド液(シリウスレッド:ワルデック社、Cat No.:1A-280)に60分間浸透した。0.5%酢酸溶液およびRO水に通した後、染色した切片は、70%〜100%のアルコール系列およびキシレンにて脱水・透徹後、エンテランニュー(メルク(株))にて封入し観察に供した。標本は明視野顕微鏡(ライカマイクロシステムズ)を用いて観察した。中心静脈を中心とした200倍の視野にて、1切片あたり5視野の写真をCCDカメラ(ライカマイクロシステムズ、型番:DFC295)を用いて撮影した。撮影した画像をもとに、ImageJ software(National Institute of Health)を用いて、各視野における撮影面積、シリウスレッド陽性面積、中心静脈内腔面積を計測した。
実施例1及び2,対比例1及び2の、シリウスレッド染色像を図4に、シリウスレッド陽性面積率の算出結果を表3及び図5に示す。このとき、n=6とした。
また、各群の平均値の差の検定をPrism6(Version 6.07, GraphPad Software 社)を用い、Bonferroni Multiple Comparison Test により、対比例1 vs. 実施例1、対比例1 vs. 対比例2の組み合わせに対して統計解析を行った。各群の平均はmean ± SD で表し、検定はそれぞれ有意水準5%で行った。
図4において、対比例2のネガティブコントロール(溶媒のみ)投与群では小葉間門脈周囲、小葉中間部の類洞壁および中心静脈壁にコラーゲンの沈着が認められた。
実施例1のユーグレナ投与群、実施例2のパラミロン投与群において、対比例2のネガティブコントロール群と比較して、シリウスレッド陽性面積率は有意に低値を示した。
本試験では、対比例1のテルミサルタン投与群では、NAFLD Activity scoreおよびシリウスレッド陽性面積率の有意な減少が確認され、NASH病態進行および線維化を抑制することが確認された。これらの結果は、本モデルに対しテルミサルタンを使用した過去のデータと一致し、同剤は本試験においてポジティブコントロール薬として機能したと判断された。
対比例2のネガティブコントロール群と比較して、実施例1のユーグレナ投与群、実施例2のパラミロン投与群においてシリウスレッド陽性面積率の有意な減少が認められ、抗線維化効果を有することが分かった。また、実施例2のパラミロン群では、NAFLD Activity scoreの減少が認められた。NAFLD Activity scoreの中でも特にLobular inflammation およびHepatocyte ballooningの改善を特徴とする病態進行抑制作用を有することが分かった。特に、Hepatocyte ballooning は、肝細胞壊死の一過程で、酸化ストレスによって誘導されることが報告されており(Fujii H et al. J. Atheroscler. Thromb. 2009;16:893)、NASH 病態の進行に関わることが報告されている(Rangwala F et al. J. Pathol. 2011; 224:401)。そのため、実施例2のパラミロンは抗酸化ストレス効果を有し、この作用により、Hepatocyte ballooningを改善されたことが推測される。さらに、Lobular inflammationの一部は、Hepatocyte ballooningの改善によるものであると推測される。
また、肝線維化の中心的な役割を担っている細胞として、肝星細胞があり、この細胞は活性化されることにより、コラーゲンを産生する。ユーグレナ、パラミロンは、肝星細胞の活性化抑制を介して、抗線維化効果を発揮している可能性が推測される。
以上のように、本試験において、パラミロンの抗NASHおよび抗線維化効果、ユーグレナの抗線維化効果が認められた。
A 内側右葉/左葉
B 外側左葉
C 右葉
D 尾状葉
E 残葉

Claims (5)

  1. ユーグレナ由来物質を有効成分として含有する非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤。
  2. 前記ユーグレナ由来物質は、ユーグレナ藻体又はパラミロンであることを特徴とする請求項1記載の非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤。
  3. 非アルコール性脂肪肝炎治療又は予防剤として使用されることを特徴とする請求項1又は2記載の非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤。
  4. 肝線維化抑制剤として使用されることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の非アルコール性脂肪性肝疾患治療又は予防剤。
  5. ユーグレナ由来物質を有効成分として含有する非アルコール性脂肪性肝疾患予防用食品。
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