JP7504602B2 - 光学フィルムおよびその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、折り曲げ耐性に優れ、表面硬度にも優れたディスプレイ用カバーシートとして利用可能な光学フィルムおよびその用途に関する。
近年、スマートフォンの高機能化が著しく進展しており、フォルダブルスマートフォンもそのひとつとして提案されている。フォルダブルスマートフォンは、一枚の画面を折り畳んだり拡げたりすることができ、一枚の端末でスマートフォンにもタブレットにもなり、スマートフォンの携帯性とタブレットの大画面性とを両立出来るメリットを有している。しかし、実用化するまでには多くの技術的課題を有している。
フォルダブルスマートフォンのディスプレイは、折り畳みを可能にするため、ガラス基板を用いる液晶ディスプレイ(LCD)ではなく、オールプラスチック化が可能な有機ELディスプレイ(OLED)が採用されている。また、OLEDの透明電極には、折り曲げに弱く断線しやすい酸化インジウムスズ(ITO)ではなく、銅メッシュなどのメタルメッシュが検討されている。さらに、低温ポリシリコンTFT(Thin Film Transistor)を形成する基板には、ガラス基板に代えてポリイミド基板が用いられており、OLEDの封止には、ガラス封止に代えて薄膜封止層とバリアフィルムが併用されている。
OLEDの上には、タッチセンサ、円偏光板、サングラスリーダブル用λ/4位相差板、カバーシートなどのフィルム材料が積層され、各フィルムの間にはOCA(Optical Clear Adhesive)やPSA(Pressure Sensitive Adhesive)などの粘着剤層が介在している。また、カバーシート上にはハードコートなどの表面処理層が形成される。タッチセンサは、アウトセルタイプではポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にメタルメッシュの電極が形成され、オンセルタイプではOLEDの薄膜封止層上にメタルメッシュの電極が形成される。フォルダブルスマートフォンが実用化されるためには、これらすべてのフィルムおよび薄膜層が本来の各機能を果たしたうえで、これまでになかった折り曲げ耐性(繰り返し折り曲げても破損や折れ筋の発生が抑制される折り曲げ耐久性や、折り曲げて長時間放置しても折れ癖(変形)が抑制される折り曲げ安定性)を兼ね備えていなければならない。
なかでも、カバーシートは、最表面に使用されるため、表面硬度や耐摩耗性に厳しい性能が要求されるが、表面硬度と折り曲げ耐性とはトレードオフの関係にあるため、両特性を両立させることは容易ではない。折り曲げ耐性は、フィルムの弾性率および膜厚に関係しており、弾性率を低くするほど折り曲げ耐性は高く(折り曲げによる破損や変形が生じにくく)なり、膜厚を薄くするほど折り曲げ耐性は高くなるが、一方で弾性率を低くしたり、膜厚を薄くしたりするほど、表面硬度は低下する傾向がある。カバーシートのフィルム材料としては、折り曲げ耐性に優れる種々の透明ポリイミドが提案されている(特許文献1~4)。
一方、高い硬度と柔軟性とを両立できる材料としては、9,9-ビス(アリール)フルオレン構造とオキシアルキレン鎖とを有するエポキシアクリレート硬化物が提案されている(特許文献5)。
特開2018-28073号公報 特開2019-052287号公報 WO2017/191830号 特開2019-051718号公報 特開2017-186513号公報
しかし、特許文献1~4の透明ポリイミドでは、いずれも表面硬度が不十分であり、カバーシートとして使用するためにはハードコート処理が必要である。さらに、硬度を上げるため、ハードコート層の厚みが厚くなり、硬化収縮によるカールが大きくなるという問題も有している。また、折り曲げ耐性は、繰り返しの折り曲げによる耐久性だけではなく、折り曲げた状態で長時間保持された場合に折れ癖がないことも要求される。透明ポリイミドは、繰り返しの折り曲げによる耐久性は高いが、ハードコート層を有する透明ポリイミドは折れ癖が見られ、改善する必要がある。
一方、特許文献5では、同文献に記載の硬化物の用途として、フォルダブル端末のカバーシートは何ら想定されておらず、しかも、そのような用途に要求される物性値等については何らの示唆もなされていない。
従って、本発明の目的は、折り曲げ耐性と表面硬度とを両立できる光学フィルムおよびその用途を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、特定の芳香族炭化水素骨格を有するエポキシアクリレートの硬化物で形成されたフィルムが、折り曲げ耐性に優れ、かつ表面硬度にも優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。特に、前記芳香族炭化水素骨格として、剛直な9,9-ビス(アリール)フルオレン骨格と適当な長さの柔軟なオキシエチレン鎖とを有する構造を選択すると、高い柔軟性と表面硬度とを両立でき、さらにこの硬化物で形成されたフィルムは透明性が高い上に、位相差も小さく、カバーシートとして使用しても虹むらや光漏れがなく、偏光サングラス越しの視認性にも優れることも見出した。
本発明の好適な形態の一つは、繰り返し折り曲げて使用される画像表示装置の表示部に組み込まれる光学フィルムであって、下記式(1)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートを含む硬化性組成物の硬化物で形成されている。
Figure 0007504602000001
[式中、
Xは、下記式(2)の群から選択される連結基を示し、
Figure 0007504602000002
(式中、
3aおよびR3bは、互いに同一でまたは異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、C1-9アルキル基、C1-5アルコキシ基、C4-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、C2-5アルケニル基またはC7-17アラルキル基を示し、R3aとR3bとは結合して炭素環または複素環を形成してもよく、
sは1以上の整数を示す)
環Z1aおよび環Z1bは、互いに同一でまたは異なって、アレーン環を示し、
1aおよびR1bは、互いに同一でまたは異なって、置換基を示し、m1およびm2は、互いに同一でまたは異なって、0以上の整数を示し、
1aおよびA1bは、互いに同一でまたは異なって、直鎖状または分岐鎖状アルキレン基を示し、n1およびn2は、互いに同一でまたは異なって、1以上の整数を示し、
2aおよびR2bは、互いに同一でまたは異なって、水素原子またはメチル基を示す]
さらに本発明の好適な態様の一つは、前記エポキシ(メタ)アクリレートが、下記式(1a)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートである。
Figure 0007504602000003
(式中、
は、置換基を示し、kは、0~8の整数を示し、
環Z1aおよび環Z1b、A1aおよびA1b、n1およびn2、R1aおよびR1b、m1およびm2、R2aおよびR2bは前記に同じ)
さらに本発明の好適な態様の一つは、前記式(1)において、環Z1aおよび環Z1bが、互いに同一でまたは異なって、ベンゼン環またはナフタレン環を示し、R1aおよびR1bは、互いに同一でまたは異なって、C1-4アルキル基またはC6-10アリール基を示し、n1+n2が2~30の整数を示す。
さらに本発明の好適な態様の一つは、前記エポキシ(メタ)アクリレートが、下記式(1b)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートである。
Figure 0007504602000004
(式中、n1+n2が3~20の整数を示す)
さらに本発明の好適な態様の一つは、前記式(1a)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートの割合が、前記式(1)で表されるエポキシ(メタ)アクリレート中70~100モル%である。
さらに本発明の好適な態様の一つは、前記硬化性組成物が紫外線吸収剤をさらに含む。
さらに本発明の好適な態様の一つは、前記硬化物が光硬化物である。
さらに本発明の好適な態様の一つは、前記光学フィルムの面内位相差Ro(550)が50nm以下であり、厚み方向の位相差Rth(589)が100nm以下である。
さらに本発明の好適な態様の一つは、前記光学フィルムの全光線透過率が85%以上であり、かつ380nmにおける分光線透過率が8%以下である。
さらに本発明の好適な態様の一つは、前記光学フィルムがディスプレイ用カバーシートである。
さらに本発明の好適な態様の一つは、前記光学フィルムが偏光板保護フィルムである。
さらに本発明の好適な態様の一つは、前記光学フィルムの平均厚みが20~200μmである。
さらに本発明の好適な態様の一つは、前記光学フィルムとポリビニルアルコール偏光子とを接着剤で貼り合わせた偏光板である。
さらに本発明の好適な態様の一つは、前記光学フィルムが紫外線吸収剤を含み、かつ前記接着剤が紫外線吸収剤を含まない。
さらに本発明の好適な態様の一つは、前記光学フィルムを備えた画像表示装置である。
さらに本発明の好適な態様の一つは、前記画像表示装置が有機ELディスプレイを含む。
さらに本発明の好適な態様の一つは、前記画像表示装置がフォルダブル携帯情報端末である。
さらに本発明の好適な態様の一つは、繰り返し折り曲げて使用される画像表示装置の表示部の表面に、前記光学フィルムを載置し、前記光学フィルムをカバーシートとして使用する方法である。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、置換基の炭素原子の数をC、C、C10などで示すことがある。例えば、「Cアルキル基」は炭素数が1のアルキル基を意味し、「C6-10アリール基」は炭素数が6~10のアリール基を意味する。
本発明では、光学フィルムが特定の芳香族炭化水素骨格を有するエポキシアクリレートの硬化物で形成されているため、折り曲げ耐性に優れ、かつ表面硬度にも優れている。特に、前記芳香族炭化水素骨格として、剛直な9,9-ビス(アリール)フルオレン骨格と適当な長さの柔軟なオキシアルキレン鎖とを有する構造を選択することにより、高い柔軟性と表面硬度とを両立でき、透明性が高い上に、位相差も小さく、カバーシートとして使用しても虹むらや光漏れがなく、偏光サングラス越しの視認性にも優れる。特に、光学フィルムが紫外線吸収剤を含む場合、偏光板保護フィルムとして有効であり、薄肉であっても、紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制でき、薄肉化と紫外線吸収能とを両立でき、偏光子との接着性も向上できる。
図1は、本発明の好適な態様の一つである光学フィルムの製造工程の模式図である。 図2は、折り曲げ安定性試験における光学フィルムの折り曲げ方法を説明するための模式図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
[エポキシ(メタ)アクリレート]
本発明の好適な態様の一つでは、硬化性組成物は、前記式(1)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートを含む。
前記式(1)において、Xの連結基の-(CH)-におけるsは1以上の整数であればよいが、好ましくは1~10、さらに好ましくは1~6、より好ましくは2~4である。
連結基Xのうち、R3aおよびR3bがシクロヘキサン環やシクロデカン環などの脂肪族炭化水素環や芳香族炭化水素環などの炭素環を形成した連結基が好ましく、光学特性の点から、R3aおよびR3bが芳香族炭素環を形成した連結基がさらに好ましく、R3aおよびR3bがフルオレン環を形成した連結基が最も好ましい。
前記式(1)において、環Z1aおよび環Z1bで表される芳香族炭化水素環(またはアレーン環)としては、ベンゼン環などの単環式芳香族炭化水素環(単環式アレーン環)、多環式芳香族炭化水素環(多環式アレーン環)に大別される。多環式芳香族炭化水素環としては、縮合多環式芳香族炭化水素環(縮合多環式アレーン環)、環集合芳香族炭化水素環(環集合アレーン環)などが挙げられる。
縮合多環式アレーン環としては、縮合二環式アレーン環、縮合三環式アレーン環などの縮合二ないし四環式アレーン環などが挙げられる。縮合二環式アレーン環としては、ナフタレン環などの縮合二環式C10-16アレーン環などが挙げられる。縮合三環式アレーン環としては、アントラセン環、フェナントレン環などが挙げられる。
環集合アレーン環としては、ビC6-12アレーン環などのビアレーン環、テルC6-12アレーン環などのテルアレーン環などが挙げられる。ビC6-12アレーン環としては、ビフェニル環;ビナフチル環;1-フェニルナフタレン環、2-フェニルナフタレン環などのフェニルナフタレン環などが挙げられる。テルC6-12アレーン環としては、テルフェニレン環などが挙げられる。
これらの芳香族炭化水素環のうち、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環などのC6-12アレーン環が好ましく、折り曲げ耐性と表面硬度とを両立できる点から、C6-10アレーン環がさらに好ましく、ベンゼン環が最も好ましい。環Z1aと環Z1bとは、異なる環であってもよいが、通常、同一の環である。
前記式(1)において、R1aおよびR1bで表される置換基としては、エポキシ基に対する非反応性の置換基であれば特に限定されないが、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、アシル基、ニトロ基、シアノ基などが挙げられる。
前記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が含まれる。炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1-10アルキル基、好ましくは直鎖状または分岐鎖状C1-6アルキル基、さらに好ましくは直鎖状または分岐鎖状C1-4アルキル基などが挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのC5-10シクロアルキル基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基、アルキルフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基などのC6-12アリール基などが挙げられる。アルキルフェニル基としては、メチルフェニル基(トリル基)、ジメチルフェニル基(キシリル基)などが挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基などのC6-10アリール-C1-4アルキル基などが挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基などの直鎖状または分岐鎖状C1-10アルコキシ基などが挙げられる。シクロアルキルオキシ基としては、シクロヘキシルオキシ基などのC5-10シクロアルキルオキシ基などが挙げられる。アリールオキシ基としては、フェノキシ基などのC6-10アリールオキシ基などが挙げられる。アラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ基などのC6-10アリール-C1-4アルキルオキシ基などが挙げられる。アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基などのC1-10アルキルチオ基などが挙げられる。シクロアルキルチオ基としては、シクロヘキシルチオ基などのC5-10シクロアルキルチオ基などが挙げられる。アリールチオ基としては、チオフェノキシ基などのC6-10アリールチオ基などが挙げられる。アラルキルチオ基としては、ベンジルチオ基などのC6-10アリール-C1-4アルキルチオ基などが例示できる。アシル基としては、アセチル基などのC1-6アシル基などが挙げられる。
これらの置換基のうち、代表的には、ハロゲン原子;アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基などの炭化水素基;アルコキシ基;アシル基;ニトロ基;シアノ基;置換アミノ基などが挙げられる。好ましいR1aおよびR1bとしては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基などが挙げられ、アルキル基としては、メチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1-6アルキル基などが挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基などのC5-8シクロアルキル基などが挙げられ、アリール基としては、フェニル基などのC6-14アリール基などが挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基などの直鎖状または分岐鎖状C1-4アルコキシ基などが挙げられる。特に、アルキル基として、メチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1-4アルキル基が挙げられる。置換基R1aと置換基R1bとは、異なる置換基であってもよいが、通常、同一の置換基である。
1aおよびR1bの置換数m1およびm2は、0以上の整数であればよく、環Z1aおよび環Z1bの種類に応じて適宜選択でき、それぞれ、例えば0~8の整数であってもよく、好ましい置換数m1およびm2は、以下段階的に、0~4の整数、0~3の整数、0~2の整数、0または1であり、0が最も好ましい。置換数m1とm2とは、異なる置換数であってもよいが、通常、同一の置換数である。また、置換数m1およびm2が2以上である場合、2以上のR1aまたはR1bの種類は、同一または異なっていてもよい。特に、m1およびm2が1である場合、環Z1aおよび環Z1bがベンゼン環、ナフタレン環またはビフェニル環、R1aおよびR1bがメチル基であるのが好ましい。また、R1aおよびR1bの置換位置は特に制限されず、環Z1aおよび環Z1bと、エーテル結合(-O-)および連結基Xとの結合位置以外の位置に置換していればよい。
前記式(1)において、アルキレン基A1aおよびA1bとしては、エチレン基、プロピレン基(1,2-プロパンジイル基)、トリメチレン基、1,2-ブタンジイル基、テトラメチレン基などの直鎖状または分岐鎖状C2-6アルキレン基などが挙げられる。これらのうち、直鎖状または分岐鎖状C2-4アルキレン基が好ましく、直鎖状または分岐鎖状C2-3アルキレン基がさらに好ましく、エチレン基が最も好ましい。
オキシアルキレン基(OA1a)およびオキシアルキレン基(OA1b)の繰り返し数(付加モル数)n1およびn2は、それぞれ1以上の整数であればよく、例えば1~20であってもよく、好ましい繰り返し数n1およびn2は、以下段階的に、1~15、1~10、2~9、2~8、2~7の整数であり、最も好ましくは3~6の整数である。また、n1とn2とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。さらに、n1またはn2が2以上の場合、2以上のオキシアルキレン基(OA1a)またはオキシアルキレン基(OA1b)は、それぞれ同一または異なっていてもよい。また、オキシアルキレン基(OA1a)とオキシアルキレン基(OA1b)とは、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、「繰り返し数(付加モル数)」は、平均値(算術平均値、相加平均値)または平均付加モル数であってもよく、好ましい態様は、好ましい整数の範囲と同様である。
環Z1aおよび環Z1bがベンゼン環などの単環式芳香族炭化水素環またはビフェニル環などの環集合芳香族炭化水素環である場合、n1+n2は、例えば、2~30程度の整数の範囲から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、3~25、4~20、5~18、6~16、7~15、8~14、9~13の整数であり、最も好ましくは10~12である。これらのn1+n2の範囲は、環Z1aおよび環Z1bがベンゼン環である場合の範囲であってもよい。
一方、環Z1aおよび環Z1bがナフタレン環などの縮合多環式芳香族炭化水素環である場合、硬化物が剛直になり易く、柔軟性が低下しやすい観点から、n1+n2は3以上の整数であってもよく、好ましくは4以上の整数、さらに好ましくは5以上の整数、最も好ましくは6以上の整数である。環Z1aおよび環Z1bがナフタレン環などの縮合多環式芳香族炭化水素環である場合、n1+n2は、3~30程度の整数の範囲から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、4~25、5~20、6~18、7~15、8~13の整数であってもよく、最も好ましくは10~15の整数である。
n1+n2は、前述の如く、整数であってもよいが、前記式(1)で表される化合物の分子集合体の平均値(または平均付加モル数)であってもよい。n1+n2は、例えば2~30程度の範囲から選択でき、環Z1aおよび環Z1bの種類に関わらず、2.5~25程度の範囲から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、3~20、5~18、6~17、7~16、7.5~15、8~14、9~13、9.5~12.5、10~12であり、最も好ましくは10.5~11.5である。
n1+n2の値が小さすぎると、硬化物の架橋密度が高くなり易く、さらに、オキシアルキレン基による柔軟性も発現し難くなるため、表面硬度と折り曲げ耐性とをバランスよく両立できない虞がある。逆にn1+n2の値が大きすぎると、硬化物の架橋密度が著しく低下して、表面硬度と折り曲げ耐性とをバランスよく両立できず、さらに単位量(単位質量)当たりの環Z1aおよび環Z1b含有骨格の含有量(連結基Xを介してアレーン環が結合した骨格の含有モル数)も低下するため、前記骨格に由来する低複屈折、高耐熱性などの優れた特性が低下するおそれがある。
特に、後述するように、前記骨格が連結基Xとしてフルオレン環で連結された9,9-ビス(アリール)フルオレン骨格である場合は、高度な低複屈折や耐熱性を有している上に、n1+n2の値が比較的大きくても、高い硬度と柔軟性(折り曲げ耐性)とをバランス良く両立した硬化物が得られる。前記骨格が9,9-ビス(アリール)フルオレン骨格であるエポキシ(メタ)アクリレートのn1+n2は、3~20程度の整数から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、4~18、4~17、5~16、7~15、8~14、9~13の整数であり、最も好ましくは10~12の整数である。特に、8~14、好ましくは9~13、さらに好ましくは10~12の整数であれば、側鎖が比較的長いにも拘わらず、高い硬度を示す。
オキシアルキレン基含有基の置換位置は特に制限されず、環Z1aおよび環Z1bの適当な位置に置換できる。例えば、環Z1aおよび環Z1bがベンゼン環であるとき、置換位置は、2~6位のいずれであってもよく、2位、3位、4位などが挙げられ、好ましくは3位、4位、最も好ましくは4位である。また、環Z1aおよび環Z1bがナフタレン環である場合には、置換位置は、ナフチル基の5~8位である場合が多く、例えば、連結基Xに対してナフタレン環の1位または2位が置換し(1-ナフチルまたは2-ナフチルの関係で置換し)、この置換位置に対して、1,5位、1,6位、2,6位の関係が好ましく、2,6位の関係でが最も好ましい。また、環Z1aおよび環Z1bがビフェニル環である場合、連結基Xに結合したアレーン環またはこのアレーン環に隣接するアレーン環に置換していてもよい。例えば、ビフェニル環の3位または4位が連結基Xに結合していてもよく、ビフェニル環の3位が連結基Xに結合しているとき、オキシアルキレン基含有基の置換位置は、2位、4~6位、および2’~6’位のいずれであってもよく、通常、4位、5位、6位、3’位、4’位であり、4位、6位、4’位が好ましく、6位が最も好ましい。
基R2aおよびR2bは、水素原子およびメチル基のいずれであってもよいが、反応性の観点から水素原子が好ましい。基R2aと基R2bとは、互いに異なっていてもよいが、通常、同一である。
前記式(1)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートは、表面硬度と折り曲げ耐性とを両立でき、かつ位相差がなく、画像表示装置の視認性にも優れる点から、前記式(1a)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートであるのが好ましく、前記式(1b)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートが最も好ましい。
前記式(1a)において、環Z1aおよび環Z1b、A1aおよびA1b、n1およびn2、R1aおよびR1b、m1およびm2、R2aおよびR2bについては、好ましい態様も含め、前記式(1)と同様である。
なお、フルオレンの9位に結合する環Z1aおよび環Z1bの置換位置は、前述の通りであるが、例えば、環Z1aおよび環Z1bがベンゼン環である場合、2~6位のいずれであってもよく、2位、3位、4位などが挙げられ、好ましくは3位、4位、最も好ましくは前記式(1b)のように4位である。
前記式(1a)において、Rで表される置換基としては、エポキシ基に対する非反応性の置換基であれば特に限定されないが、アルキル基やアリール基などの炭化水素基、シアノ基、ハロゲン原子などが挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1-6アルキル基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基などのC6-10アリール基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。これらの置換基は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
これらの置換基のうち、アルキル基、シアノ基、ハロゲン原子が好ましく、直鎖状または分岐鎖状C1-4アルキル基が特に好ましい。さらに、直鎖状または分岐鎖状C1-4アルキル基の中でも、直鎖状または分岐鎖状C1-3アルキル基が好ましく、メチル基などのC1-2アルキル基が特に好ましい。
の置換数kは、0~8の整数であり、好ましい範囲としては、以下段階的に、0~6の整数、0~4の整数、0~2の整数であり、0が最も好ましい。なお、kが2以上の場合、それぞれのRの種類は、互いに同一または異なっていてもよい。また、kが2以上である場合、同一のまたは異なるベンゼン環に置換する2以上のRの種類は、互いに同一または異なっていてもよい。また、Rの置換位置は特に制限されず、例えば、フルオレン環の2位ないし7位のいずれであってもよく、通常、2位、3位および7位のいずれかである。
前記式(1a)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートのうち、代表的な化合物としては、例えば、前記式(1a)において、環Z1aおよび環Z1bがベンゼン環、n1=n2=1である化合物、すなわち、9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)アルコキシフェニル]フルオレン類;前記式(1a)において、環Z1aおよび環Z1bがベンゼン環またはナフタレン環、n1およびn2が2~10である化合物、すなわち、9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ポリアルコキシフェニル]フルオレン類;9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ポリアルコキシナフチル]フルオレン類などが挙げられる。
9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)アルコキシフェニル]フルオレン類としては、前記式(1a)において、環Z1aおよび環Z1bが置換または未置換のベンゼン環、k=0、A1aおよびA1bがC2-4アルキレン基、n1=n2=1である化合物、例えば、(1a-1)9,9-ビス[4-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)C2-4アルコキシフェニル]フルオレン;(1a-2)9,9-ビス[4-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)-3-メチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ)-3-メチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)-3-イソプロピルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)-3-イソブチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)-3-t-ブチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)-3,5-ジメチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)-3-t-ブチル-6-メチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)-2,5-ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)C2-4アルコキシ-モノまたはジC1-4アルキルフェニル]フルオレン;(1a-3)9,9-ビス[4-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)-3-シクロヘキシルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ)-3-シクロヘキシルフェニル]フルオレンなどの9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)C2-4アルコキシ-C5-10シクロアルキルフェニル]フルオレン;(1a-4)9,9-ビス[4-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)-3-フェニルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ)-3-フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)C2-4アルコキシ-C6-10アリールフェニル]フルオレンなどが挙げられる。
9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ポリアルコキシフェニル]フルオレン類としては、前記式(1a)において、環Z1aおよび環Z1bが置換または未置換のベンゼン環、k=0、A1aおよびA1bがC2-4アルキレン基、n1およびn2がそれぞれ2~10である化合物、すなわち、前記(1a-1)~(1a-4)の化合物に対応して、n1およびn2がそれぞれ2~10である化合物、例えば、(1a-5)9,9-ビス[4-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)エトキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ)プロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ジないしデカC2-4アルコキシフェニル]フルオレン;(1a-6)9,9-ビス[4-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)エトキシ)-3-メチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ)プロポキシ)-3-メチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-3-イソプロピルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)エトキシ)-3,5-ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ジないしデカC2-4アルコキシ-モノまたはジC1-4アルキルフェニル]フルオレン;(1a-7)9,9-ビス[4-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)エトキシ)-3-シクロヘキシルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ)プロポキシ)-3-シクロヘキシルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-3-シクロヘキシルフェニル]フルオレンなどの9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ジないしデカC2-4アルコキシ-C5-10シクロアルキルフェニル]フルオレン;(1a-8)9,9-ビス[4-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)エトキシ)-3-フェニルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ)プロポキシ)-3-フェニルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-3-フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ジないしデカC2-4アルコキシ-C6-10アリールフェニル]フルオレンなどが挙げられる。
9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ポリアルコキシナフチル]フルオレン類としては、前記式(1a)において、環Z1aおよび環Z1bが置換または未置換のナフタレン環、k=0、A1aおよびA1bがC2-4アルキレン基、n1およn2がそれぞれ2~10である化合物、例えば、(1a-9)9,9-ビス[6-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)エトキシ)-2-ナフチル]フルオレン、9,9-ビス[6-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ)プロポキシ)-2-ナフチル]フルオレン、9,9-ビス[6-(2-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)-2-ナフチル]フルオレン、9,9-ビス[5-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)エトキシ)-1-ナフチル]フルオレンなどの9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ジないしデカC2-4アルコキシナフチル]フルオレンなどが挙げられる。
これらのエポキシ(メタ)アクリレートは、単独でまたは2種以上組み合わせて分子集合体を形成してもよい。好ましいエポキシ(メタ)アクリレートとしては、前記式(1a)において、環Z1aおよび環Z1bがベンゼン環またはナフタレン環、n1およびn2がそれぞれ2~10である化合物、すなわち、9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ポリアルコキシフェニル]フルオレン類;9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ポリアルコキシナフチル]フルオレン類が挙げられる。
これらのエポキシ(メタ)アクリレートのなかでも、前記(1a-5)9,9-ビス[4-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)エトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ジないしデカC2-4アルコキシフェニル]フルオレン;(1a-6)9,9-ビス[4-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)エトキシ)-3-メチルフェニル]フルオレンなどの9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ジないしデカC2-4アルコキシ-モノまたはジC1-4アルキルフェニル]フルオレン;(1a-8)9,9-ビス[4-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)エトキシ)-3-フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ジないしデカC2-4アルコキシ-C6-10アリールフェニル]フルオレン;(1a-9)9,9-ビス[6-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)エトキシ)-2-ナフチル]フルオレン、9,9-ビス[5-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)エトキシ-1-ナフチル]フルオレンなどの9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ジないしデカC2-4アルコキシナフチル]フルオレンが好ましい。
さらに、前記エポキシ(メタ)アクリレートのなかでも、前記式(1a)において、環Z1aおよび環Z1bがベンゼン環、R1aおよびR1bがアルキル基、m1およびm2が0~2である化合物、すなわち、前記(1a-5)9,9-ビス[4-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)エトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ジないしデカC2-4アルコキシフェニル]フルオレン;(1a-6)9,9-ビス[4-(2-(2-(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エトキシ)エトキシ)-3-メチルフェニル]フルオレンなどの9,9-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ジないしデカC2-4アルコキシ-モノまたはジC1-4アルキルフェニル]フルオレンが好ましい。
前記式(1a)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートの割合が、前記式(1)で表されるエポキシ(メタ)アクリレート中50~100モル%であってもよく、好ましくは70~100モル%、さらに好ましくは80~100モル%、より好ましくは90~100モル%であり、100モル%が最も好ましい。
[エポキシ(メタ)アクリレートの製造方法]
前記式(1)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートの製造方法は、オキシアルキレン基付加数、すなわち、n1+n2を所定の範囲に調整可能な限り、特に限定されず、慣用の方法を利用できる。特に、前記式(1a)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートの製造方法は、例えば、下記式(3)で表されるエポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸成分とを反応させる方法(A)であってもよい。なお、前記式(3)で表されるエポキシ化合物は、特開2009-155256号公報に記載の方法などにより製造できる。
Figure 0007504602000005
(式中、環Z1aおよび環Z1b、A1aおよびA1b、n1およびn2、R1aおよびR1b、m1およびm2、R、kは前記に同じ)
また、下記式(4)で表される第1のヒドロキシ化合物と、グリシジル(メタ)アクリレートとを反応させる方法(B)、例えば、特開2004-83855号公報に記載の方法であってもよい。
Figure 0007504602000006
(式中、環Z1aおよび環Z1b、A1aおよびA1b、n1およびn2、R1aおよびR1b、m1およびm2、R、kは前記に同じ)
反応性などの観点から、通常、方法(A)で調製することが多い。なお、前記方法(A)で使用する前記式(3)で表されるエポキシ化合物は、市販品を使用してもよく、慣用の方法、例えば、前記式(4)で表される第1のヒドロキシ化合物と、エピクロロヒドリンやエピブロモヒドリンなどのエピハロヒドリンとを反応させる方法などにより調製してもよい。そのため、前記式(1a)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートを方法(A)または(B)のいずれの方法で調製する場合においても、前記式(4)で表される第1のヒドロキシ化合物のオキシアルキレン基付加数(n1+n2)を所定の範囲に制御することにより、前記式(3)で表されるエポキシ化合物および前記式(1a)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートにおけるオキシアルキレン基付加数(n1+n2)を調整してもよい。また、前記式(3)で表されるエポキシ化合物および前記式(4)で表される第1のヒドロキシ化合物は、それぞれ分子集合体であってもよく、それぞれのオキシアルキレン基付加数(n1+n2)も、前記式(1a)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートと同様に分子集合体の平均値であってもよい。
(前記式(4)で表される第1のヒドロキシ化合物)
前記式(4)において、環Z1aおよび環Z1b、A1aおよびA1b、n1およびn2、R1aおよびR1b、m1およびm2、R2aおよびR2b、R、kのそれぞれの好ましい態様などは、前記記載に同じである。前記式(4)で表される代表的な第1のヒドロキシ化合物としては、例えば、前記式(1a)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートの代表例として例示した化合物(1a-1)~(1a-9)に対応するヒドロキシ化合物、すなわち、3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル基を水素原子に置き換えた化合物が挙げられる。これらの化合物は、単独でまたは2種以上組み合わされて、分子集合体として含まれてもよい。
前記式(4)で表される第1のヒドロキシ化合物は、特に制限されず、市販品を使用してもよく、慣用の方法、例えば、下記式(5)で表される第2のヒドロキシ化合物と、前記式(4)におけるオキシアルキレン基OA1aおよびOA1bに対応するアルキレンオキシドまたはアルキレンカーボネートとを反応させる方法などにより調製してもよい。具体的な製造方法は、特許文献5(特開2017-186513号公報)に記載の方法などを利用できる。
Figure 0007504602000007
(式中、n3およびn4は、それぞれ0または1を示し、環Z1aおよび環Z1b、A1aおよびA1b、R1aおよびR1b、m1およびm2、R、kは前記に同じ)
(方法(A))
前記式(3)で表されるエポキシ化合物および方法(A)により、前記式(1a)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートを調製する具体的な製造方法については、特許文献5(特開2017-186513号公報)に記載の方法などを利用できる。
また、本発明では、オキシアルキレン基の付加数(n1+n2)を所定の範囲に調整しているため、比較的低粘度であり、取扱い性に優れている。温度25℃における前記式(1a)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートの粘度は5000~150000mPa・s程度の範囲から選択でき、例えば10000~60000mPa・s、好ましくは20000~50000mPa・s、さらに好ましくは30000~45000mPa・s、最も好ましくは35000~40000mPa・sである。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、粘度は、25℃において、TV-22形粘度計(コーンプレートタイプ、東機産業(株)製「TVE-22L」)を用い、測定粘度に応じたオプションロータ(01:1゜34’×R24、07:3゜×R7.7)にて、1~20rpm(粘度によって選択)で測定できる。
[硬化性組成物]
前記エポキシ(メタ)アクリレートは、単独で使用してもよいが、紫外線吸収剤、重合開始剤、他の重合性化合物、溶媒などの他の成分と混合して硬化性組成物を形成してもよい。
(紫外線吸収剤)
本発明の好適な態様の一つである硬化性組成物は、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。紫外線吸収剤としては、慣用の紫外線吸収剤を利用できる。
紫外線吸収剤を含む硬化性組成物は、優れた耐光性を有し、後述するように、偏光板の表面に積層して偏光子保護フィルムとして機能させるのが効果的である。偏光子保護フィルムは、ヨウ素の紫外線による劣化を防ぐため、波長380nm以下の紫外線を遮断する必要があり、詳しくは、380nmの分光線透過率で10%以下にする必要があるとされている。このような要求を満足させるためには、UVAと称される320~400nmに極大吸収波長を有する紫外線吸収剤の添加が効果的である。このような紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物などが挙げられる。
オキシベンゾフェノン系化合物としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン;2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ペンチルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシ-4’-メトキシベンゾフェノンなどのヒドロキシC1-18アルコキシベンゾフェノン;2-ヒドロキシ-4-シクロヘキシルオキシベンゾフェノンなどのヒドロキシシクロアルキルオキシベンゾフェノン;2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシ-4’-クロルベンゾフェノンなどのヒドロキシC1-18アルコキシハロベンゾフェノンが挙げられる。これらのオキシベンゾフェノン化合物は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。市販品としては、株式会社ADEKAのアデカスタブ1413、BASFジャパン株式会社のChimassorb81などを利用できる。これらのうち、均一な組成物を調製し易い点から、2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノンなどの炭素数2以上の直鎖アルキル基を有するオキシベンゾフェノン化合物が好ましい。炭素数2以上の直鎖アルキル基の炭素数は2~18程度の範囲から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、3~16、4~14、5~12、6~10であり、最も好ましくは7~9である。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、直鎖アルキル基は、分岐鎖アルキル基中に含まれる直鎖アルキル基(例えば、2-エチルヘキシル基中のエチル基、n-ブチル基)も含む意味で用いる。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-t-ブチル-フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-ドデシル-フェノールなどのベンゾトリアゾール-2-イル-C1-18アルキル-フェノール;2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-フェニルエチル)フェノールなどのベンゾトリアゾール-2-イル-ビス(フェニルC1-18アルキル)-フェノール;2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)-フェノールなどのベンゾトリアゾール-2-イル-ビス(C1-18アルキル-フェニルC1-18アルキル)-フェノール;2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノールなどのベンゾトリアゾール-2-イル-(C1-18アルキル-フェニルC1-18アルキル)-C1-18アルキル-フェノール;2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1,1-ジメチルエチル)-4-メチル-フェノールなどのハロベンゾトリアゾール-2-イル-C1-18アルキル-フェノール;2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]、2,2’-メチレン-ビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノール]などのメチレン-ビス(ベンゾトリアゾール-2-イル-C1-18アルキル-フェノール);2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-ドデシルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールなどの2-(ヒドロキシ-α-クミル-5-C1-18アルキル-フェニル)-2H-ベンゾトリアゾール;オクチル-3-[3-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネート、オクチル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネート、2-エチルヘキシル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネートなどのC1-18アルキル-[C1-18アルキル-ヒドロキシ-((ハロ)-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]C2-4アシレートなどが挙げられる。
これらのベンゾトリアゾール系化合物は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。ベンゾトリアゾール系化合物の市販品としては、BASFジャパン株式会社のチヌビンP、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン329、チヌビン360、チヌビン571、チヌビン99-2、チヌビン213、チヌビン900、チヌビン928、株式会社ADEKAのアデカスタブLA-31、Everlight Chemical社のEversorb89、Eversorb109、EversorbBL1Aなどを利用できる。
これらのベンゾトリアゾール系化合物のうち、均一な組成物を調製し易い点から、オクチル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネートなどの炭素数2以上の直鎖アルキル基を有するベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。炭素数2以上の直鎖アルキル基の炭素数は2~18程度の範囲から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、3~16、4~14、5~12、6~10であり、最も好ましくは7~9である。
トリアジン系化合物としては、例えば、2-(4-ヘキシルオキシ-2-ヒドロキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2’-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンなどの(ヒドロキシ-C1-18アルコキシ-ヒドロキシフェニル)ビス(ジC1-18アルキル-フェニル)-1,3,5-トリアジン;、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブトキシ-フェニル)-6-(2,4-ジブトキシ-フェニル)-1,3,5-トリアジンなどのビス(ヒドロキシ-C1-18アルコキシ-フェニル)-(ジC1-18アルコキシ-フェニル)-1,3,5-トリアジン;2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジンなどのトリス(ヒドロキシ-C1-18アルコキシ-C1-18アルキル-フェニル)-1,3,5-トリアジンなどが挙げられる。これらのトリアジン化合物は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。市販品としては、BASFジャパン株式会社のチヌビン405、チヌビン460、株式会社ADEKAのアデカスタブCA-F70などを利用できる。これらのうち、均一な組成物を調製し易い点から、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジンなどの炭素数2以上の直鎖アルキル基を有するオキシベンゾフェノン化合物が好ましい。炭素数2以上の直鎖アルキル基の炭素数は2~18程度の範囲から選択でき、好ましい範囲としては、以下段階的に、3~16、4~14、5~12、6~10であり、最も好ましくは7~9である。
これらの紫外線吸収剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの紫外線吸収剤のうち、ベンゾトリアゾール系化合物が好ましく、均一な組成物を調製し易い点から、炭素数4以上の直鎖アルキル基を有するベンゾトリアゾール系化合物がさらに好ましい。なかでも、C4-12アルキル-[C2-16アルキル-ヒドロキシ-(ハロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]C2-4アシレートが好ましく、C4-10アルキル-[分岐鎖C3-12アルキル-ヒドロキシ-(ハロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]C3-4アシレートが特に好ましい。
紫外線吸収剤の種類および添加量は、紫外線吸収剤の吸収スペクトルとモル吸光係数および硬化性樹脂組成物との相溶性によって、最適な範囲に設定することができる。具体的には、作成した硬化フィルムの全光線透過率(JIS K7361)、380nmでの分光線透過率(JIS K7105)、ヘイズ(JIS K7136)、黄色度(YI)(JIS K7373)の評価結果に基づいて決めることができる。以下の値に限定されないが、全光線透過率は、85%以上が好ましく、88%以上がより好ましく、89%以上が特に好ましい。380nmでの分光線透過率は、低い値であるほど好ましく、例えば20%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、8%以下が特に好ましい。ヘイズは、低い値であるほど好ましく、例えば1%以下がより好ましく、い。YIは1以下が評価基準である。極大吸収波長は380nmに近い方がよいが、400nmに近くなると、黄色の着色が強くなり好ましくない。380nmにおいて分光線透過率10%以下にするためには、380nmにおけるモル吸光係数があまり低いと、添加量が多くなり、不溶分がヘイズになったり、ブリードアウトしたりするので好ましくない。
紫外線吸収剤の割合は、硬化性組成物中の(メタ)アクリロイル基含有成分の総量(例えば、前記式(1)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートおよび後述する他の重合性化合物の総量など)100質量部に対して、例えば0.1~10質量部、好ましくは0.5~8質量部、さらに好ましくは0.8~5質量部、最も好ましくは1~3質量部である。特に、少量の添加でも紫外線遮断能を向上でき、光学特性や機械的特性などの諸特性に優れる点から、紫外線吸収剤の割合は、硬化性組成物中の(メタ)アクリロイル基含有成分の総量に対して、例えば0.6~3質量部、好ましくは0.7~2質量部、さらに好ましくは0.8~1.5質量部、より好ましくは0.9~1.2質量部、最も好ましくは0.9~1.1質量部である。紫外線吸収剤の割合が少なすぎると、耐光性の向上効果が発現しない虞があり、逆に多すぎると、硬化物の機械的特性が低下する虞がある。
(重合開始剤)
本発明の好適な態様の一つである硬化性組成物は、熱重合開始剤および/または光重合開始剤を含んでいてもよい。熱重合開始剤には、有機過酸化物、アソ化合物などが含まれる。有機過酸化物としては、ジ-t-ブチルパーオキシドなどのジアルキルパーオキシド類;ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシドなどのジアシルパーオキシド類;t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、過酢酸t-ブチルなどの過酸(または過酸エステル)類;ケトンパーオキシド類;パーオキシカーボネート類;パーオキシケタール類などが挙げられる。アゾ化合物としては、2,2-アゾビス(イソブチロニトリル)などのアゾニトリル化合物;アゾアミド化合物;アゾアミジン化合物などが挙げられる。これらの熱重合開始剤は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
光重合開始剤(または光ラジカル重合開始剤)としては、ベンゾインなどのベンゾイン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類;アセトフェノン、3-ヒドロキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンなどのアセトフェノン類;2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モリフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オンなどのアミノアセトフェノン類;アントラキノン、アントラキノン-2-スルホン酸塩、2-エチルアントラキノンなどのアントラキノン類;チオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4-ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体などの2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体類;キサントン類;2,4,6-トリハロメチルトリアジン類;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9,9’-アクリジニル)ヘプタンなどのアクリジン誘導体;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシドなどのアシルホスフィンオキシド類などが挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
硬化性組成物が400nmより短波長の紫外線を吸収する紫外線吸収剤を含む場合、可視光を利用して効率良く光硬化させるために、光重合開始剤は、400~450nmにスレショールド(閾値または極大吸収波長)を有する光重合開始剤(長波長域に吸収波長を有する光重合開始剤)を含むのが好ましく、長波長域に吸収波長を有する光重合開始剤と、400nm未満にスレショールドを有する光重合開始剤(短波長域に吸収波長を有する光重合開始剤)との組み合わせが特に好ましい。
長波長域に吸収波長を有する光重合開始剤(長波長光重合開始剤)としては、前記光重合開始剤のうち、アミノアセトフェノン類(α―アミノアセトフェノン化合物)、アシルホスフィンオキシド類などが挙げられる。アミノアセトフェノン類の市販品としては、例えば、BASFジャパン株式会社のIRGACURE369、同379、同907などを利用できる。アシルホスフィンオキシド類の市販品としては、例えば、BASFジャパン株式会社のIRGACURE819、1800、DAROCUR TPOなどを利用できる。これらのうち、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシドなどのアシルホスフィンオキシド化合物が好ましい。
短波長域に吸収波長を有する光重合開始剤(短波長光重合開始剤)としては、前記光重合開始剤のうち、アミノアセトフェノン類およびアシルホスフィンオキシド類以外の光重合開始剤などが挙げられる。前記光重開始剤のうち、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン類が好ましい。アセトフェノン類の市販品としては、例えば、BASFジャパン株式会社のIRGACURE184などを利用できる。
重合開始剤(熱および/または光重合開始剤)の割合は、硬化性組成物中の(メタ)アクリロイル基含有成分の総量(例えば、前記式(1)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートおよび後述する他の重合性化合物の総量など)100質量部に対して、例えば0.1~15質量部、好ましくは0.5~10質量部、さらに好ましくは1~8質量部、最も好ましくは2~5質量部である。これらの重合開始剤のうち、少なくとも光重合開始剤を含むのが好ましい。
短波長光重合開始剤と長波長光重合開始剤とを組み合わせる場合、長波長光重合開始剤の割合は、短波長光重合開始剤100質量部に対して1質量部以上であってもよく、例えば1~200質量部、好ましくは5~150質量部、さらに好ましくは10~100質量部、最も好ましくは20~50質量部である。長波長光重合開始剤の割合が少なすぎると、硬化性組成物が紫外線吸収剤を含む場合、光硬化性が低下する虞がある。
また、光重合開始剤は、光増感剤と組み合わせてもよい。光増感剤は、第3級アミン類などの慣用の光増感剤であってもよい。第3級アミン類としては、トリアルキルアミン;トリエタノールアミンなどのトリアルカノールアミン;N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチル、N,N-ジメチルアミノ安息香酸アミルなどのジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル;4,4-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン;4-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4-メトキシ-4′-ジメチルアミノベンゾフェノンなどのジアルキルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。これらの光増感剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。硬化性組成物が400nmより短波長の紫外線を吸収する紫外線吸収剤を含む場合、光増感剤は400~450nmに吸収波長を有する光増感剤が好ましい。
光増感剤の割合は、光重合開始剤100質量部に対して、例えば1~200質量部、好ましくは5~150質量部、さらに好ましくは10~100質量部である。
(その他の重合性化合物)
本発明の好適な態様の一つである硬化性組成物には、さらに、分子中に1個以上の重合性官能基を有する重合性化合物を含んでいてもよく、これによって感度(または硬化性)、流動性、耐薬品性、耐熱性または機械的強度などを向上してもよい。他の重合性化合物は、ビニル基を有する重合性化合物などであってもよいが、(メタ)アクリロイル基を有する単官能性または多官能性(メタ)アクリレートであることが多い。
単官能性(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;メトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレートなどのアリール(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのアリールオキシアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレートなどのアラルキル(メタ)アクリレート;フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアリールオキシ((ポリ)アルコキシ)アルキル(メタ)アクリレート;ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルキルアリールオキシアルキル(メタ)アクリレート;ノニルフェノキシ(ポリ)エトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルキルアリールオキシ(ポリ)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート;2-(o-フェニルフェノキシ)エチル(メタ)アクリレートなどのアリールアリールオキシアルキル(メタ)アクリレート;フェニルフェノキシ(ポリ)エトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアリールアリールオキシ(ポリ)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート;メチルチオ(メタ)アクリレートなどのアルキルチオ(メタ)アクリレート;フェニルチオ(メタ)アクリレートなどのアリールチオ(メタ)アクリレート;ベンジルチオ(メタ)アクリレートなどのアラルキルチオ(メタ)アクリレート;フェニルチオエチル(メタ)アクリレートなどのアリールチオアルキル(メタ)アクリレート;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド;ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体のモノ(メタ)アクリレートなどのビスフェノール類またはそのアルキレンオキシド付加体のモノ(メタ)アクリレート;9-(メタ)アクリロイルオキシメチルフルオレンなどのフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能性(メタ)アクリレートは、二官能性(メタ)アクリレート、三官能性以上の(メタ)アクリレートに大別できる。二官能性(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)C2-4アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールA(またはそのアルキレンオキシド付加体)のジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)エトキシ)フェニル]フルオレンなどが挙げられる。三官能性以上の(メタ)アクリレートとしては、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのトリないしヘキサオールのトリないしヘキサ(メタ)アクリレート];ウレタン(メタ)アクリレート;フルオレン骨格を有する3ないし6官能(メタ)アクリレート[例えば、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシ(ポリ)エトキシ)フェニル]フルオレンなど]などが挙げられる。
これらの単官能性および多官能性(メタ)アクリレートは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することもできる。
これらの重合性化合物の割合は、前記式(1)で表されるエポキシ(メタ)アクリレート100質量部に対して、例えば0~50質量部程度の範囲から選択でき、好ましくは0~30質量部、さらに好ましくは0~20質量部、最も好ましくは0~10質量部である。
(その他の添加剤)
また、前記硬化性組成物は、必要に応じて、溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、特に限定されず、アセトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトンなどのジアルキルケトン;シクロヘキサノンなどの環状ケトンジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどの鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル;メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;酢酸エチルなどのエステル類;アセトニトリルなどのニトリル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;スルホキシド類;ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタンなどハロゲン系炭化水素などが挙げられる。これらの溶媒は、単独でまたは2種以上組み合わせて混合溶媒として使用することもできる。
さらに、前記硬化性組成物は、本発明の効果を害さない限り、慣用の添加剤、例えば、着色剤、安定剤、重合禁止剤、充填剤、帯電防止剤、難燃剤、界面活性剤、可塑剤、消泡剤、カップリング剤などを含んでいてもよい。前記安定剤としては、熱安定剤、酸化防止剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。添加剤の割合は、前記式(1)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートおよび他の重合性化合物の総量100質量部に対して、例えば0.1~20質量部、好ましくは0.5~10質量部、さらに好ましくは1~5質量部である。
[硬化物]
前記硬化性組成物は、活性エネルギー(活性エネルギー線)を付与することで容易に硬化する。前記活性エネルギーは、熱エネルギーおよび/または光エネルギーが有用であり、目的などに応じて適宜選択できる。光エネルギーとしては、紫外線、電子線、X線などが挙げられる。
熱エネルギーを利用する場合、加熱温度としては、例えば50~250℃、好ましくは60~120℃、さらに好ましくは70~100℃である。加熱時間は、例えば、5分~12時間、好ましくは10分~8時間、さらに好ましくは30分~4時間である。
また、紫外線などの光エネルギーを利用する場合、光照射エネルギー量は、用途に応じて適宜選択でき、例えば50~10000mJ/cm、好ましくは70~8000mJ/cm、さらに好ましくは100~5000mJ/cm、最も好ましくは300~3000mJ/cmである。光源としては、ディープUVランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、ヘリウム-カドミウムレーザーやエキシマレーザーなどのレーザー光源などを使用できる。
なお、光照射により硬化する場合においても、反応性を向上させるため、ベーキング処理またはアフターベークなどの加熱処理を行ってもよい。加熱処理の温度および時間は、前記熱エネルギーを利用する場合と同じである。また、反応(または重合、架橋もしくは硬化)は、大気雰囲気または不活性ガス雰囲気で行ってもよく、常圧下、加圧下または減圧下で行ってもよい不活性ガス雰囲気としては、窒素雰囲気、ヘリウム、アルゴンなどの希ガス雰囲気などが挙げられる。
本発明の好適な態様の一つである硬化物は、柔軟性が高いオキシアルキレン基が導入されているにもかかわらず、意外にも硬度が高く、高い硬度および柔軟性という相反する特性をバランスよく両立している。その理由は定かではないが、導入したオキシアルキレン基と、エポキシ(メタ)アクリレートのヒドロキシル基との間で水素結合が形成されるためと推測される。通常、オキシアルキレン基を導入すると、硬化物は、屈曲し易い構造が組み込まれ、かつ架橋密度も低下するためか、硬化物の柔軟性は大きく向上する傾向にある。そのため、柔軟性と相反する特性である硬度は大きく低下する。しかし、前記式(1)で表されエポキシ(メタ)アクリレートでは、側鎖にヒドロキシル基((メタ)アクリロイル基に隣接するヒドロキシル基)を有し、かつオキシアルキレン基の付加数(n1+n2)が所定の範囲に調整されているためか、オキシアルキレン基が硬化物中でも比較的動き易く、オキシアルキレン基の酸素原子と、前記ヒドロキシル基とが水素結合を形成し易くなり、擬似的な架橋点を形成し、架橋密度および硬度が向上していると考えられる。しかも、架橋密度および硬度が向上すると、当初の柔軟性が失われるのが一般的であるが、本発明の好適な態様の一つの硬化物では、水素結合の結合エネルギーが比較的低く、ある程度以上の外力が作用すると容易に結合が解け(架橋密度が低下し)、オキシアルキレン基由来の柔軟性が発現し、外力が除かれると新たな水素結合を形成するためか、高い硬度と柔軟性とを両立できると推測される。
[光学フィルム]
以下に、本発明の好適な態様の一つである光学フィルム(前記硬化性組成物の硬化物で形成された硬化フィルム)の製造方法の実施形態について説明する。
図1は、本発明の好適な態様の一つである光学フィルムの製造工程の模式図である。光学フィルムの原料となる硬化性組成物は液状であるため、公知の塗工装置を用いることができる。図1に示すように、硬化性組成物3は、巻出装置1より巻き出された支持体フィルム2上に、塗工ヘッド4よりフィルム状に流延塗布される。流延塗布された硬化性組成物3は、紫外線照射装置5で所定の光量が照射されて硬化し、硬化したフィルム状硬化物(硬化フィルム)7は巻取装置6で支持体フィルム2から剥離され、硬化フィルム巻取装置8で巻き取られる。
前記硬化性組成物を流延塗布する方法は、本技術の属する技術分野で使用可能なものであれば特に制限されず、バーコーティング方式、ナイフコーティング方式、ロールコーティング方式、ブレードコーティング方式、ダイコーティング方式、マイクログラビアコーティング方式、コンマコーティング方式、スロットダイコーティング方式、リップコーティング方式、ソリューションキャスティング方式などを利用することができる。
前記硬化性組成物は、液状である必要があるが、溶剤を希釈剤として用い、粘度調整等をしたうえで用いることもできる。例えば、紫外線吸収剤の添加方法として、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール、メチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソランなどの有機溶媒またはこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解して溶液の状態で添加してもよい。ただし、その場合、溶剤の揮発除去工程を考慮すると時間を要し生産効率が低下すること、硬化フィルム内部に残留溶媒等が存在して成形フィルムの特性低下につながること等から、塗布される硬化性組成物中、溶剤の含有量は5質量%以下にとどめるのが好ましく、実質的に溶剤が含有されていない組成物を使用するのが特に好ましく、溶剤を含有しない組成物を使用するのが最も好ましい。
支持体フィルムは、表面平滑性、硬化性組成物との濡れ性、硬化物フィルムの剥離性、搬送性などを評価して選択される。支持体フィルムとしては、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アセチルセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、フッ化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂等のフィルムが使用できる。これらの中でも、表面平滑性に優れ他の諸特性のバランスのとれたポリエステル系樹脂、なかでもポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましい。
支持体フィルムの厚み(平均厚み)は、特に限定されないが、例えば10~400μmである。
硬化フィルムの端部は、しわや硬化収縮によるたわみが生じる場合があるため、スリッターにより適宜の幅でカット除去してもよい。
本発明の好適な態様の一つである光学フィルム(硬化フィルム)の鉛筆硬度は、例えばH以上、好ましくは2H以上、さらに好ましくは3H以上である。鉛筆硬度が低過ぎると、カバーシートとして利用した場合、耐摩耗性などの保護機能が低下する虞がある。なお、本明細書および特許請求の範囲において、鉛筆硬度は、JIS K5600-5-4に準拠した方法で測定でき、詳細には、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
前記光学フィルムは、折り曲げ安定性に優れており、折れ癖や折れ筋が付き難い。前記光学フィルムの折り曲げ安定性は、例えば2mm以下、好ましくは1mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下である。折り曲げ安定性が低過ぎると、折り曲げた状態で長時間放置すると、折れ癖などの変形が発生する虞がある。なお、本明細書および特許請求の範囲において、折り曲げ安定性は、特許文献4(特開2019-051718号公報)に開示された方法によって評価でき、詳細には、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
前記光学フィルムは、折り曲げ耐久性にも優れており、繰り返し折り曲げても折れ筋や破断の発生が抑制されている。前記光学フィルムの折り曲げ耐久性は、例えば10万回以上であってもよく、好ましくは30万回以上、さらに好ましくは50万回以上である。折り曲げ耐久性が低過ぎると、繰り返し折り曲げると、折れ筋が生じたり、破損する虞がある。本明細書および特許請求の範囲において、折り曲げ耐久性は、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
前記光学フィルムは、透明性に優れている。前記光学フィルムの全光線透過率は80%以上であってもよく、例えば80~100%、好ましくは83~99%、さらに好ましくは85~98%、最も好ましくは88~95%である。前記光学フィルムが紫外線吸収剤を含む場合、全光線透過率は85%以上、好ましくは87%以上であってもよく、さらに好ましくは88%以上、最も好ましくは89%以上である。なお、本明細書および特許請求の範囲において、全光線透過率は、JIS K7361-1に準拠して測定でき、詳細には、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
前記光学フィルムの波長380nmの分光線透過率は50%以上であってもよく、例えば50~100%、好ましくは60~95%、さらに好ましくは70~90%、最も好ましくは80~85%である。前記光学フィルムが紫外線吸収剤を含む場合、前記分光線透過率は50%以下であってもよく、例えば30%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくは8%以下である。なお、本明細書および特許請求の範囲において、分光線透過率は、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
前記光学フィルムの黄色度(YI)は10以下であってもよく、例えば0.1~10、好ましくは0.3~8、さらに好ましくは0.5~5、より好ましくは1~3.5、最も好ましくは1.5~2.5である。前記光学フィルムが紫外線吸収剤を含む場合、黄色度は、例えば10以下、好ましくは8以下、さらに好ましくは7以下、最も好ましくは6以下である。なお、本明細書および特許請求の範囲において、黄色度は、JIS K7373に準拠して測定でき、詳細には、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
前記光学フィルムのヘイズは10%以下であってもよく、例えば0.1~10%、好ましくは0.2~5%、さらに好ましくは0.3~3%、より好ましくは0.5~2%、最も好ましくは0.7~1.5%である。前記光学フィルムが紫外線吸収剤を含む場合、ヘイズは5%以下、好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下、最も好ましくは0.5%以下である。なお、本明細書および特許請求の範囲において、ヘイズは、JIS K7136に準拠して測定でき、詳細には、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
前記光学フィルムの20℃、波長589nmでの屈折率は、例えば1.6以下の範囲から選択でき、例えば1.52~1.6、好ましくは1.53~1.59、さらに好ましくは1.54~1.585、より好ましくは1.55~1.58、最も好ましくは1.56~1.57である。なお、本明細書および特許請求の範囲において、屈折率は、多波長アッベ屈折計を用いて測定でき、詳しくは、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
前記光学フィルムは、位相差(複屈折)も小さく、画像表示装置の視認性を損なうこともない。前記光学フィルムの面内位相差(または正面位相差)Roは、室温下、波長550nm、厚み50μmにおいて、0~10nmであり、好ましい範囲としては、以下段階的に、0~8nm、0.01~6nm、0.03~5nm、0.05~4nm、0.1~3nm、0.2~2nmであり、0.3~1nmが最も好ましい。前記光学フィルムが紫外線吸収剤を含む場合、前記Roは、例えば0~5nm、好ましくは0.01~3nm、さらに好ましくは0.03~1nm、最も好ましくは0.05~0.5nmである。面内位相差Roが大きすぎると、虹むらや光漏れが発生し、偏光サングラス越しの視認性が低下する虞がある。
前記光学フィルムの厚み方向位相差Rthは、室温下、波長589nm、厚み50μmにおいて、0~150nmであり、好ましい範囲としては、以下段階的に、1~100nm、5~80nm、10~70nm、12~60nm、15~50nmであり、20~30nmが最も好ましい。前記光学フィルムが紫外線吸収剤を含む場合、前記Rthは、例えば0~10nm、好ましくは0.01~5nm、さらに好ましくは0.05~3nm、最も好ましくは0.1~1nmである。厚み方向位相差Rthが大きすぎると、虹むらや光漏れが発生し、偏光サングラス越しの視認性が低下する虞がある。
前記光学フィルムの面内位相差Roおよび厚み方向位相差Rthは、それぞれ下記式により算出できる。
Ro=(nx-ny)×d
Rth=((nx+ny)/2-nz)×d
(式中、nxはフィルムの遅相軸方向の屈折率、nyはフィルムの進相軸方向の屈折率、nzはフィルム厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚みを示す)。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、面内位相差Roおよび厚み方向位相差Rthは、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
前記光学フィルムの厚み(平均厚み)は、特に限定されないが、例えば20~300μm、好ましくは30~250μm、さらに好ましくは50~200μm、より好ましくは70~150μm、最も好ましくは80~120μmである。前記光学フィルムの厚み(平均厚み)は20~200μm、好ましくは30~150μm、さらに好ましくは50~120μmの薄膜であってもよく、このような薄膜のフィルムは、前記光学フィルムが紫外線吸収剤を含み、かつ偏光板保護フィルムとして利用される場合に特に効果的である。光学フィルムが薄すぎると、耐摩耗性などの保護機能が低下する虞があり、逆に厚すぎると、折り曲げ耐性が低下する虞がある。
[ディスプレイ用カバーシート]
前記光学フィルムは、ディスプレイ用カバーシート(またはカバーフィルム)、特に、フォルダブルディスプレイ用カバーシートであってもよく、硬化性組成物が紫外線吸収剤を含む場合、偏光子偏光板の表面に積層して偏光子保護フィルムとして機能させるためのフォルダブルディスプレイ用カバーシート(偏光板保護フィルム)として利用するのが好ましい。紫外線吸収剤を含む硬化性組成物の硬化物で形成されたシートがこの用途に適している理由は以下の通りである。
通常、フォルダブルディスプレイ用カバーシートは、粘着剤で円偏光板に貼り合わされているが、円偏光板は、折り曲げに耐えるために、塗布によって形成された薄型のポリビニルアルコール(PVA)偏光子と薄膜のアクリル系保護フィルムとを接着剤で貼り合わせて形成している。アクリル系保護フィルムは、通常の偏光板保護フィルムとして使用される40μm程度の厚みでは折り曲げに耐えられないため、約半分の厚みで設計されている。偏光板保護フィルムには、偏光子(偏光フィルム)のヨウ素を紫外線から保護するため、紫外線吸収剤が添加されているが、厚みが薄くなると紫外線吸収剤のアクリル系樹脂への溶解度が低いため、ブリードアウトし易く、紫外線吸収に必要な量を添加することができなくなる。このため、不足する紫外線吸収剤の量を粘着剤に添加しているが、粘着力の低下になっている。さらに、フォルダブルカバーシートに偏光板の保護フィルムの機能を兼ね備えさせることによって、保護フィルムを無くして、薄型化を進め、折り曲げに強いフォルダブル用ディスプレイが検討されているが、薄型化と紫外線吸収能の両立、PVA偏光子との接着を全て充足するディスプレイは存在しないのが現状である。
これに対して、本発明の好適な態様の一つでは、紫外線吸収剤を含む硬化性組成物の硬化物で形成されているため、薄型化と紫外線吸収能とを両立でき、PVA偏光子との接着性も向上できる。
本発明の好適な態様の一つであるディスプレイ用カバーシートは、偏光板保護フィルムとしての機能を有するため、PVA偏光子と直接貼り合せることができる。偏光板保護フィルムは、通常、柔軟なPVAフィルムの支持体として機能する必要があるが、本発明の好適な態様の一つである前記カバーシートは、軟質フィルムであり、PVAの熱収縮による応力に耐える支持体としての剛性を備えていない。しかし、フォルダブルディスプレイでは、画像表示装置がOLEDであり、その円偏光板はコーティングされた薄膜PVA層がアクリル系の位相差フィルムと貼合された積層体で構成されており、PVAの収縮応力は、剛性のアクリル系位相差フィルムで緩和される。そのため、前記カバーシートは、接着力の強い接着剤でPVA層に貼り合せることで、円偏光板として一体化することができるため、PVAの収縮応力の影響が出ないように調整できる。
PVA層との貼り合せに使用される接着剤としては、活性エネルギー線硬化型の接着剤を用いることができる。この接着剤としては、光カチオン重合開始剤を含むエポキシ系樹脂組成物からなる接着剤などの光カチオン重合型接着剤;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル系樹脂組成物からなる接着剤などの光ラジカル重合型接着剤などが挙げられる。これらの接着剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用でき、光カチオン重合型接着剤と光ラジカル重合型接着剤との組み合わせであってもよい。本発明の好適な態様の一つであるディスプレイ用カバーシートは疎水性であるため、透湿度が低く、水分の乾燥に時間がかかる。そのため、前記接着剤としては、水分の乾燥が必要なPVA系の水性接着剤は好ましくない。そのため、前記接着剤のなかでも、疎水性接着剤が好ましい。また、前記接着剤は、乾燥工程や乾燥設備が不要になるため、有機溶剤を含まない接着剤が好ましい。
偏光板保護フィルムとして利用されるディスプレイ用カバーシートは、接着剤塗工装置で前記接着剤が塗布され、位相差フィルム上にPVA層をコーティングした偏光フィルムとニップロールで貼り合せたのち、紫外線照射装置で紫外線を該硬化フィルム側から照射して、接着剤を硬化させる方法などで製造できる。
接着性を向上させるために、偏光子および/またはディスプレイ用カバーシートに、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線処理、プライマー塗布処理、ケン化処理などの表面改質処理を施してもよい。
前記ディスプレイ用カバーシートと偏光子とを貼り合せた積層フィルムは、カバーシートと偏光板とが一体化した部材として、フォルダブルスマートフォンなどのフォルダブル端末に搭載することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下に、用いた原料および評価方法は以下の通りである。
[原料]
BPEF-5EOGA:特開2017-186513号公報の実施例に記載の方法で合成されたエポキシアクリレートであり、前記式(1b)において、n1+n2=7であるエポキシアクリレート
BPEF-9EOGA:特開2017-186513号公報の実施例に記載の方法で合成されたエポキシアクリレートであり、前記式(1b)において、n1+n2=11であるエポキシアクリレート
BNEF-13EOGA:特開2017-186513号公報の実施例に記載の方法で合成されたエポキシアクリレートであり、前記式(1a)において、Z1aおよびZ1bがナフタレン環であり、n1+n2=15であるエポキシアクリレート
BPEF-9EOA:9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(BPEF)1モルに対して、平均値で9モルのエチレンオキシドが付加した付加体のジアクリレート(大阪ガスケミカル(株)製)
UV-3200B(エステル系):日本合成化学工業(株)製、二官能性ウレタンアクリレート
エポキシエステル3000A:共栄社化学(株)製、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物
紫外線吸収剤A:Eversorb109、Everlight Chemical社製、粘稠液体状
紫外線吸収剤B:EversorbBL1A、Everlight Chemical社製、粘稠液体状
光重合開始剤A:BASFジャパン(株)製、商品名「イルガキュア184」
光重合開始剤B:BASFジャパン(株)製、商品名「イルガキュア819」
支持体フィルム:東レ(株)製、商品名「PETルミラー」、膜厚100μm。
[鉛筆硬度]
JIS K5600-5-4に準拠(荷重750g)して、鉛筆硬度計(新東科学(株)製「HEIDON-14」)を用いて測定した。
[折り曲げ安定性]
折り曲げ試験機(YUASA SYSTEM(株)製「DMLHP-CS」)を用いて以下のようにして測定した。すなわち、図2(a)に示すように、まず、フィルム11を保持するための試験機10の一対のプレート12,13を各々のフィルム載置面12a,13aが同一平面となるように固定して、当該フィルム載置面12a,13aにフィルム(試験片)11を設置した。次いで、一対のプレート12,13間の互いに対向するプレート端部12b,13bを当該各プレート12,13の回転中心として両プレート12,13を相対移動させることにより、各フィルム載置面12a,13aがスペーサ(不図示)により規制された間隔Rを隔てて対向するように移動させた(以下、この移動操作を「閉じる操作」という)。この閉じる操作において、両プレート12,13は、図2(b)に示すように、各フィルム載置面12a,13aが最終的に対向して平行となるように移動させた。各フィルム載置面12a,13a間の間隔Rは4mmとなるように調整した。
閉じる操作により、一対のプレート12,13を図2(b)に示す状態とした上で、室温において24時間放置した後、試験機10からフィルム11を取り外し、折り曲げた内側の面が上になるようにして、平面にフィルム11を置いて1時間放置した後、フィルム11の端部が平面から浮いた高さを測定した。
[折り曲げ耐久性]
前記折り曲げ試験機10を用いて、前記折り曲げ安定性試験と同様の折り曲げ方法で閉じる操作を実施した後、一対のプレート12,13を、閉じる操作とは逆に相対移動させることにより、再び、図2(a)に示すように、各フィルム載置面12a,13aが同一平面となるように移動させた(以下、この移動操作を「開く操作」という)。さらに、この閉じる操作と開く操作の一連の操作を10万回または100万回繰り返し、フィルム11の表面における折れ筋、破断の有無を目視で観察することにより、フィルムに折れ筋が生じたり、破断して外観に異常が発生するまでの折り曲げ回数をカウントした。
[全光線透過率]
JIS K7361-1に準拠して、色差濁度計(日本電色(株)製「COH-400」)を用いて測定した。
[分光線透過率]
380nmにおける分光線透過率を、分光光度計((株)島津製作所製「UV-3600」)を用いて測定した。
[黄色度(YI)]
JIS K7373に準拠して、色差濁度計(日本電色(株)製「COH-400」)を用いて測定した。
[ヘイズ]
JIS K7136に準拠して、色差濁度計(日本電色(株)製「COH-400」)を用いて測定した。
[屈折率]
多波長アッベ屈折計((株)アタゴ製「DR-M4(循環式恒温水槽60-C3)」)を用いて、測定温度20℃で、接触液にブロモナフタレンを使用して、589nm(D線)の屈折率nDを測定した。
[位相差]
リタデーション測定装置(大塚電子(株)製「RETS-100」)を用いて、測定温度20℃で、フィルムのRo(550)およびRth(589)を測定した。レタデーションは膜厚50μm換算値である。なお、Ro(550)は、波長550nmの条件下で面内位相差であり、Rth(589)は、波長589nmの条件下で厚み方向位相差である。
[ブリードアウト]
紫外線吸収剤を添加して実施例について、得られた硬化フィルム表面についてブリードアウトの有無を目視で観察した。
(実施例1)
表1に示すように、BPEF-9EOGAを100質量部、光重合開始剤Aを3質量部加え70℃で1時間撹拌し混合し硬化性組成物を得た。バーコーターでPETフィルム上に塗布し、その後、紫外線照射装置(アイグラフィックス社製「ECS-151U」)によりUV照射(500mJ/cm)することにより硬化させ、PETフィルムから剥離し、厚さ100μmの硬化フィルムを作製した。得られた硬化フィルムの鉛筆硬度、折り曲げ安定性、折り曲げ耐久性、全光線透過率、分光線透過率、黄色度、ヘイズ、屈折率、レタデーションを測定した。測定結果を表2に示す。
(実施例2~5)
表1に示すように、硬化性組成物に対して、さらに紫外線吸収剤Aおよび光重合開始剤Bを同表に示す配合量で加える以外は、実施例1と同様にして硬化フィルムを作製した。なお、実施例3の硬化フィルムの膜厚は90μmとなった。
得られた硬化フィルムの諸特性を実施例1と同様にして測定した。その測定結果を表2に示す。
(実施例6~9)
表1に示すように、硬化性組成物に対して、さらに紫外線吸収剤Bおよび光重合開始剤Bを同表に示す配合量で加える以外は、実施例1と同様にして硬化フィルムを作製した。
得られた硬化フィルムの諸特性を実施例1と同様にして測定した。その測定結果を表2に示す。
(実施例10~11および比較例1~3)
表1に示すように、BPEF-9EOGAに代えて、BPEF-5EOGA、BNEF-13EOGA、BPEF-9EOA、UV-3200B(エステル系)またはエポキシエステル3000Aを使用する以外は、実施例1と同様にして硬化フィルムを作製した。なお、硬化フィルムの膜厚は、比較例1で90μm、比較例2で200μm、比較例3で120μmとなった。
得られた硬化フィルムの諸特性を実施例1と同様にして測定した。その測定結果を表2に示す。
Figure 0007504602000008
Figure 0007504602000009
表2の結果から明らかなように、実施例では、表面硬度が高く、折り曲げ安定性および耐久性に優れるともに、光学特性にも優れている。特に、実施例1~4、6~8および10~11は高い鉛筆硬度を示しており、なかでも実施例1と実施例10~11とを比較した結果は、エチレンオキシドの付加モル数が増加するにつれて鉛筆硬度が低下した特許文献5の実施例の結果からは予測できない意外な結果であった。また、紫外線吸収剤を配合した実施例では、BPEF-9EOGA100質量部に対して1~3質量部の割合が好ましく、特に、1質量部では、紫外線遮断能を向上しつつ、諸特性に優れるため、特に好ましい。
本発明の好適な態様の一つである光学フィルムは、繰り返し折り曲げて使用される画像表示装置の表示部に組み込まれる光学フィルムとして利用できる。特に、表面硬度と折り曲げ耐性とを兼ね備えているため、ハードコートを必要とせずに、または極薄のハードコートをするだけで表面硬度を発現できるため、前記表示部のカバーシートとして好適である。さらに、前記光学フィルムは、光学特性にも優れ、低レタデーションであるため、ディスプレイの視認性にも優れたカバーシートとして、フォルダブル携帯情報端末に特に好適に使用できる。前記携帯情報端末としては、スマートフォン、ノート型パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPCなどのモバイルPCなどが挙げられ、なかでも、フォルダブルスマートフォンとして好適である。
1…支持体フィルム巻出装置
2…支持体フィルム
3…硬化性組成物
4…塗工ヘッド
5…紫外線照射装置
6…支持体フィルム巻取装置
7…硬化フィルム
8…硬化フィルム巻取装置

Claims (16)

  1. 繰り返し折り曲げて使用される画像表示装置の表示部に組み込まれる光学フィルムであって、平均厚みが20~120μmであり、かつ下記式(1)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートおよび紫外線吸収剤を含む硬化性組成物の硬化物で形成されている光学フィルム。
    Figure 0007504602000010
    [式中、
    Xは、下記式(2)の群から選択される連結基を示し、
    Figure 0007504602000011
    (式中、
    3aおよびR3bは、互いに同一でまたは異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、C1-9アルキル基、C1-5アルコキシ基、C4-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、C2-5アルケニル基またはC7-17アラルキル基を示し、R3aとR3bとは結合して炭素環または複素環を形成してもよく、
    sは1以上の整数を示す)
    環Z1aおよび環Z1bは、互いに同一でまたは異なって、アレーン環を示し、
    1aおよびR1bは、互いに同一でまたは異なって、置換基を示し、m1およびm2は、互いに同一でまたは異なって、0以上の整数を示し、
    1aおよびA1bは、互いに同一でまたは異なって、直鎖状または分岐鎖状アルキレン基を示し、n1およびn2は、互いに同一でまたは異なって、1以上の整数を示し、
    2aおよびR2bは、互いに同一でまたは異なって、水素原子またはメチル基を示す]
  2. 前記エポキシ(メタ)アクリレートが、下記式(1a)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートである請求項1記載の光学フィルム。
    Figure 0007504602000012
    (式中、
    は、置換基を示し、kは、0~8の整数を示し、
    環Z1aおよび環Z1b、A1aおよびA1b、n1およびn2、R1aおよびR1b、m1およびm2、R2aおよびR2bは前記に同じ)
  3. 前記式(1)において、環Z1aおよび環Z1bが、互いに同一でまたは異なって、ベンゼン環またはナフタレン環を示し、R1aおよびR1bは、互いに同一でまたは異なって、C1-4アルキル基またはC6-10アリール基を示し、n1+n2が2~30の整数を示す請求項1または2記載の光学フィルム。
  4. 前記エポキシ(メタ)アクリレートが、下記式(1b)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートである請求項1~3のいずれか一項に記載の光学フィルム。
    Figure 0007504602000013
    (式中、n1+n2が3~20の整数を示す)
  5. 前記式(1a)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートの割合が、前記式(1)で表されるエポキシ(メタ)アクリレート中70~100モル%である請求項2~4のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  6. 前記硬化物が光硬化物である請求項1~5のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  7. 面内位相差Ro(550)が50nm以下であり、厚み方向の位相差Rth(589)が100nm以下である請求項1~6のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  8. 全光線透過率が85%以上であり、かつ380nmにおける分光線透過率が8%以下である請求項1~7のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  9. ディスプレイ用カバーシートである請求項1~8のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  10. 偏光板保護フィルムである請求項1~9のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  11. 請求項1~10のいずれか一項に記載の光学フィルムとポリビニルアルコール偏光子とを接着剤で貼り合わせた偏光板。
  12. 接着剤が紫外線吸収剤を含まない請求項11記載の偏光板。
  13. 請求項1~10のいずれか一項に記載の光学フィルムを備えた画像表示装置。
  14. 有機ELディスプレイを含む請求項13記載の画像表示装置。
  15. フォルダブル携帯情報端末である請求項13または14記載の画像表示装置。
  16. 繰り返し折り曲げて使用される画像表示装置の表示部の表面に、請求項1~10のいずれか一項に記載の光学フィルムを載置し、前記光学フィルムをカバーシートとして使用する方法。
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