[第1実施形態]
本発明に係る第1実施形態を図1~図5に基づいて説明する。なお、以下においては、説明の便宜上、図1~図3,図6~図8,図11,図12における上側を「上」とし、図1~図3,図6~図8,図11,図12における下側を「下」として説明する。
第1実施形態の緩衝器11は、車両に用いられるものである。具体的に、緩衝器11は自動車のサスペンション装置に設けられるものである。緩衝器11は、図1に示すように、いわゆる複筒型の油圧緩衝器である。緩衝器11は、作動流体としての油液(図示略)が封入されるシリンダ12を備えている。シリンダ12は内筒13と外筒14とを有している。内筒13は円筒状である。外筒14は内径が内筒13の外径よりも大径の有底円筒状である。外筒14は内筒13を径方向外側で覆うように配置されている。外筒14は内筒13と中心軸線を一致させて配置されている。内筒13と外筒14との間はリザーバ室15となっている。緩衝器11は、カバー21とメインブラケット22とスプリングシート23とを有している。カバー21は、外筒14の上部開口側に取り付けられて、外筒14の上部開口側を覆っている。メインブラケット22及びスプリングシート23は、何れも外筒14の外周側に固定されている。
外筒14は、胴部25とシリンダ底部26とを有している。胴部25は円筒状である。シリンダ底部26は、胴部25の下端部に設けられて、胴部25の下端部を閉塞している。胴部25とシリンダ底部26とは一体成形されている。
緩衝器11はピストン30を備えている。ピストン30は、シリンダ12の内筒13内に挿入されている。ピストン30は、内筒13に対して摺動可能である。ピストン30は、内筒13内を第1室31と第2室32との2つの室に画成している。第1室31は内筒13内においてピストン30よりも上側にある。第2室32は内筒13内においてピストン30よりも下側にある。何れも内筒13内にある第1室31内及び第2室32内には作動流体としての油液が封入されている。内筒13と外筒14との間のリザーバ室15内には作動流体としての油液とガスとが封入されている。
緩衝器11はピストンロッド41を備えている。ピストンロッド41は、一端側がシリンダ12の内筒13内に配置されてピストン30に連結されている。ピストンロッド41は、他端側がシリンダ12の外部へ延びている。ピストン30とピストンロッド41とは一体に移動する。緩衝器11において、ピストンロッド41がシリンダ12からの突出量を増やす方向に移動する行程を伸び行程とする。緩衝器11において、ピストンロッド41がシリンダ12からの突出量を減らす方向に移動する行程を縮み行程とする。ピストンロッド41の伸び行程において、ピストン30は第1室31側へ移動する。ピストンロッド41の縮み行程において、ピストン30は第2室32側へ移動する。
緩衝器11はロッドガイド42とシール部材43と摩擦部材44とを備えている。ロッドガイド42は、内筒13の上端開口側の部分と外筒14の上端開口側の部分とに嵌合されている。シール部材43は、外筒14のロッドガイド42よりも上側の部分に嵌合されている。摩擦部材44はロッドガイド42とシール部材43との間に設けられている。摩擦部材44はロッドガイド42に嵌合されている。ロッドガイド42、シール部材43及び摩擦部材44は、何れも円環状である。ピストンロッド41は、これらロッドガイド42、摩擦部材44及びシール部材43のそれぞれの内周側に挿入されている。ピストンロッド41は、ロッドガイド42、摩擦部材44及びシール部材43のそれぞれに対して摺動可能である。ピストンロッド41は、シール部材43からシリンダ12の外部に延びている。
ロッドガイド42は、ピストンロッド41を、その径方向の移動を規制しつつ軸方向に移動可能に支持する。ロッドガイド42は、ピストンロッド41の軸方向の移動を案内する。シール部材43は、その外周部が外筒14に密着する。シール部材43は、その内周部がピストンロッド41の外周部に接触する。シール部材43の内周部をピストンロッド41が摺動する。シール部材43は内筒13内の油液が外部に漏洩するのを防止する。シール部材43は、何れもリザーバ室15内にある油液及び高圧ガスが外部に漏洩するのを防止する。摩擦部材44は、その内周部がピストンロッド41の外周部に接触する。摩擦部材44の内周部をピストンロッド41が摺動する。摩擦部材44は、ピストンロッド41の移動時に、ピストンロッド41に摩擦抵抗を発生させる。
ロッドガイド42は、その外周部が、下部よりも上部が大径となる段差状をなしている。ロッドガイド42は、小径の下部において内筒13の上端の内周部に嵌合する。ロッドガイド42は、大径の上部において外筒14の上部の内周部に嵌合する。
緩衝器11はベースバルブ45を備えている。ベースバルブ45は、外筒14のシリンダ底部26上に設置されている。ベースバルブ45は、第2室32とリザーバ室15とを画成する。内筒13の下端の内周部は、このベースバルブ45に嵌合されている。外筒14の上端部は、その径方向における内方に加締められている。この加締め部分とロッドガイド42とがシール部材43を挟持している。
ピストンロッド41は、主軸部51と取付軸部52とを有している。取付軸部52は、その外径が主軸部51の外径よりも小径である。主軸部51の取付軸部52側の端部は軸段部53となっている。軸段部53は主軸部51の軸直交方向に広がっている。取付軸部52の外周部には、その軸方向における主軸部51とは反対側にオネジ54が形成されている。ピストンロッド41は、取付軸部52がシリンダ12内に配置されている。
緩衝器11は、極微低速減衰力発生部61及び周波数感応部62(可変流量機構)を備えている。ピストンロッド41の取付軸部52に、極微低速減衰力発生部61、ピストン30、周波数感応部62等が取り付けられている。
緩衝器11は、ストッパ部材65、一対の緩衝体66及びコイルスプリング67を備えている。ストッパ部材65、一対の緩衝体66及びコイルスプリング67は、何れも円環状である。ストッパ部材65、一対の緩衝体66及びコイルスプリング67は、何れも主軸部51の軸方向におけるロッドガイド42よりも軸段部53側の部分に設けられている。ストッパ部材65は、内周側にピストンロッド41が嵌合されている。この状態で、ストッパ部材65は、加締められて主軸部51に固定されている。ストッパ部材65よりもロッドガイド42側に、ストッパ部材65側から順に、一方の緩衝体66、コイルスプリング67及び他方の緩衝体66が配置されている。一対の緩衝体66及びコイルスプリング67のそれぞれの内周側にピストンロッド41が挿入されている。
緩衝器11は、車両への取り付け時に、例えばピストンロッド41のシリンダ12からの突出部分が上部に配置されて車体により支持され、シリンダ12側のメインブラケット22が下部に配置されて車輪側に連結される。これとは逆に、シリンダ12側が車体により支持され、ピストンロッド41が車輪側に連結されるようにしても良い。
図2に示すように、ピストン30はピストン本体71と摺動部材72と有している。ピストン本体71は円環状であり金属製である。ピストン本体71はピストンロッド41の取付軸部52に嵌合する。摺動部材72は円環状であり合成樹脂製である。摺動部材72はピストン本体71の外周面にピストン本体71と一体になるように装着されている。ピストン30は、その摺動部材72が内筒13に接して内筒13内を摺動する。
ピストン本体71は、複数(図2及び図3では断面とした関係上一カ所のみ図示)の通路穴81と、環状凹部82と、複数(図2及び図3では断面とした関係上一カ所のみ図示)の通路穴83と、環状凹部84とを有している。
複数の通路穴81は、ピストン本体71の周方向において、それぞれ間に一カ所の通路穴83を挟んで等ピッチで配置されている。複数の通路穴81は、第1室31側の端部が、第2室32側の端部よりもピストン本体71の径方向における外側に配置されている。環状凹部82は、ピストン本体71の第2室32側の端部に設けられている。環状凹部82は円環状である。環状凹部82は、複数の通路穴81の第2室32側の開口部同士を連通させている。複数の通路穴81及び環状凹部82は、第1室31と第2室32とを連通可能である。
複数の通路穴83は、ピストン本体71の周方向において、それぞれ間に一カ所の通路穴81を挟んで等ピッチで配置されている。複数の通路穴83は、第2室32側の端部が、第1室31側の端部よりもピストン本体71の径方向における外側に配置されている。環状凹部84は、ピストン本体71の第1室31側の端部に設けられている。環状凹部84は円環状である。環状凹部84は、複数の通路穴83の第1室31側の開口部同士を連通させる。複数の通路穴83及び環状凹部84は、第2室32と第1室31とを連通可能である。
複数の通路穴81及び環状凹部82に対して第1減衰力機構91が設けられている。第1減衰力機構91は、複数の通路穴81内の通路及び環状凹部82内の通路を開閉して減衰力を発生させる。第1減衰力機構91は、ピストンロッド41に取り付けられている。第1減衰力機構91は、ピストン30の軸方向における一端側である第2室32側に配置されている。これにより、複数の通路穴81内の通路及び環状凹部82内の通路は、ピストン30の第1室31側への移動時に第1室31から第2室32に向けて油液が流れ出す第1通路95となる。第1通路95は、ピストンロッド41の伸び行程において第1室31から第2室32に向けて油液が流れ出す伸び側の通路である。第1通路95に設けられた第1減衰力機構91は、第1通路95の油液の流れを制御することにより減衰力を発生させる伸び側の減衰力発生機構である。
複数の通路穴83及び環状凹部84に対して第1減衰力機構92が設けられている。第1減衰力機構92は、複数の通路穴83内の通路及び環状凹部84内の通路を開閉して減衰力を発生させる。第1減衰力機構92は、ピストンロッド41に取り付けられている。第1減衰力機構92は、ピストン30の軸方向における他端側である第1室31側に配置されている。これにより、複数の通路穴83内の通路及び環状凹部84内の通路は、ピストン30の第2室32側への移動時に第2室32から第1室31に向けて油液が流れ出す第1通路96となる。第1通路96は、ピストンロッド41の縮み行程において第2室32から第1室31に向けて油液が流れ出す縮み側の通路である。第1通路96に設けられた第1減衰力機構92は、第1通路96内の通路の油液の流れを制御することにより減衰力を発生させる縮み側の減衰力発生機構である。
以上により、第1通路95,96が、ピストン30の移動により第1室31と第2室32との間を油液が流れるように連通させることになる。第1通路95は、ピストンロッド41及びピストン30が伸び側に移動するときに油液が通過する。第1通路96は、ピストンロッド41及びピストン30が縮み側に移動するときに油液が通過する。
ピストン本体71は、略円板形状をなしている。ピストン本体71には嵌合穴101が形成されている。嵌合穴101は、ピストン本体71の径方向の中央に形成されている。嵌合穴101は、ピストン本体71をピストン本体71の軸方向に貫通している。嵌合穴101には、ピストンロッド41の取付軸部52が嵌合する。
ピストン本体71は、内側シート部104とバルブシート部105と内側シート部106とバルブシート部107とを有している。内側シート部104及びバルブシート部105は、何れもピストン本体71の軸方向における第2室32側の端部に設けられている。内側シート部104は、ピストン本体71の嵌合穴101と環状凹部82との間に配置されている。内側シート部104は円環状である。バルブシート部105は、環状凹部82よりもピストン本体71の径方向における外側に配置されている。バルブシート部105は円環状である。バルブシート部105は第1減衰力機構91の一部である。内側シート部104とバルブシート部105との間が環状凹部82となっている。
内側シート部106及びバルブシート部107は、何れもピストン本体71の軸方向における第1室31側の端部に設けられている。内側シート部106は、ピストン本体71の嵌合穴101と環状凹部84との間に配置されている。内側シート部106は円環状である。バルブシート部107は、環状凹部84よりもピストン本体71の径方向における外側に配置されている。バルブシート部107は円環状である。バルブシート部107は第1減衰力機構92の一部である。内側シート部106とバルブシート部107との間が環状凹部84となっている。
ピストン本体71には、その径方向において、バルブシート部105よりも外側に、縮み側の第1通路96の第2室32側の開口が配置されている。ピストン本体71には、その径方向において、バルブシート部107よりも外側に伸び側の第1通路95の第1室31側の開口が配置されている。
ピストン30の軸方向における第2室32側にはメインバルブ111が設けられている。メインバルブ111はピストン30のバルブシート部105とで伸び側の第1減衰力機構91を構成する。メインバルブ111は、複数枚の有孔円板状のディスクが重ねられて構成されている。メインバルブ111は、その径方向の内側に取付軸部52を嵌合させている。メインバルブ111は、バルブシート部105に当接することで伸び側の第1通路95を閉塞する。メインバルブ111は、バルブシート部105から離れることで伸び側の第1通路95を開放する。メインバルブ111には、バルブシート部105に当接した状態でも伸び側の第1通路95を第2室32に連通させる固定オリフィス112が形成されている。固定オリフィス112も伸び側の第1通路95を構成する。伸び側の第1減衰力機構91は、メインバルブ111でこの第1通路95を開閉して油液の流動を抑制することにより減衰力を発生させる。第1減衰力機構91は固定オリフィス112を含んでいる。
メインバルブ111の軸方向におけるピストン30とは反対側には介在ディスク114が設けられている。介在ディスク114は、有孔円板状であり、その径方向の内側に取付軸部52を嵌合させている。介在ディスク114は、その外径がメインバルブ111の外径よりも小径である。介在ディスク114のメインバルブ111とは反対側には変形抑制部115が設けられている。変形抑制部115は、開方向に変形するメインバルブ111に当接する。これにより、変形抑制部115は、メインバルブ111の開方向の変形を抑制する。変形抑制部115は円環状である。変形抑制部115は、複数枚の有孔円板状のディスクが重ねられて構成されている。変形抑制部115は、その径方向内側に取付軸部52を嵌合させている。
ピストン30の軸方向における第1室31側にはメインバルブ121が設けられている。メインバルブ121はピストン30のバルブシート部107とで縮み側の第1減衰力機構92を構成する。メインバルブ121は、複数枚の有孔円板状のディスクが重ねられて構成されている。メインバルブ121は、その径方向の内側に取付軸部52を嵌合させている。メインバルブ121は、バルブシート部107に当接することで縮み側の第1通路96を閉塞する。メインバルブ121は、バルブシート部107から離れることで縮み側の第1通路96を開放する。メインバルブ121には、バルブシート部107に当接した状態でも縮み側の第1通路96を第1室31に連通させる固定オリフィス122が形成されている。固定オリフィス122も縮み側の第1通路96を構成する。縮み側の第1減衰力機構92は、メインバルブ121でこの第1通路96を開閉して油液の流動を抑制することにより減衰力を発生させる。第1減衰力機構92は固定オリフィス122を含んでいる。
図3に示すように、メインバルブ121の軸方向におけるピストン30とは反対側には、介在ディスク130が設けられている。介在ディスク130は、有孔円板状であり、その径方向の内側に取付軸部52を嵌合させている。介在ディスク130は、その外径がメインバルブ121の外径よりも小径である。
極微低速減衰力発生部61は、ピストンロッド41の軸段部53と介在ディスク130との間に設けられている。極微低速減衰力発生部61は、ピストンロッド41の軸方向において、介在ディスク130側から順に、キャップ部材131と、バネ部材135と、ディスク136と、極微低速バルブ137と、外周側にOリング138が設けられた弁座部材139と、極微低速バルブ140と、ディスク141と、バネ部材142とが積み重ねられている。極微低速減衰力発生部61のバネ部材142と軸段部53との間には、変形抑制部145が設けられている。
キャップ部材131は有底筒状の一体成形品である。キャップ部材131は、例えば金属板を塑性加工することにより形成されている。キャップ部材131は、底部151と筒状部152とを有している。底部151は有孔円板状である。キャップ部材131は、底部151がその径方向の内側にピストンロッド41の取付軸部52を嵌合させている。筒状部152は円筒状である。筒状部152は、底部151の外周縁部から、底部151の軸方向一側に延びている。キャップ部材131は、筒状部152が底部151から介在ディスク130とは反対側に延びている。キャップ部材131は、底部151が介在ディスク130に当接する。キャップ部材131は、開方向に変形するメインバルブ121に底部151が当接する。これにより、キャップ部材131は、メインバルブ121の開方向の変形を抑制する。
バネ部材135は、基板部161と複数のバネ板部162とを有している。基板部161は有孔円板状である。基板部161はその径方向における内側に取付軸部52を嵌合させている。複数のバネ板部162は、基板部161の外周部に設けられている。複数のバネ板部162は、基板部161の周方向に等間隔で配置されている。複数のバネ板部162は、基板部161から基板部161の径方向の外方に延びている。バネ板部162は、延出先端側ほど基板部161から基板部161の軸方向に離れるように基板部161に対して傾斜している。バネ部材135は、基板部161がキャップ部材131の底部151に当接する。バネ部材135は、基板部161からバネ板部162が基板部161の軸方向において底部151から離れるように底部151に設けられている。
ディスク136は有孔円板状である。ディスク136は、外径が、バネ部材135の基板部161の外径よりも小径である。ディスク136は、その径方向の内側にピストンロッド41の取付軸部52を嵌合させている。ディスク136は、バネ部材135の基板部161に当接する。
極微低速バルブ137は一枚の有孔円板状のディスクである。極微低速バルブ137は、その径方向の内側にピストンロッド41の取付軸部52を嵌合させている。極微低速バルブ137は、ディスク136と、バネ部材135の複数のバネ板部162とに当接する。極微低速バルブ137は、弁座部材139に当接する。
弁座部材139は有孔円板状である。弁座部材139には、その軸方向に貫通する貫通孔171が形成されている。貫通孔171は、弁座部材139の径方向における中央に形成されている。貫通孔171は、小径穴部172と大径穴部173とを有している。大径穴部173は、小径穴部172よりも大径である。大径穴部173は弁座部材139の軸方向における中央から一側に配置されている。小径穴部172は弁座部材139の軸方向における他側に配置されている。弁座部材139は、その小径穴部172にピストンロッド41の取付軸部52が嵌合される。
弁座部材139は内側シート部181とバルブシート部182と内側シート部183とバルブシート部184と本体部185とを有している。内側シート部181及びバルブシート部182は、何れも弁座部材139の軸方向における大径穴部173側の端部に形成されている。内側シート部181は、大径穴部173を囲むように配置されている。内側シート部181は円環状である。バルブシート部182は、内側シート部181から内側シート部181の径方向における外方に広がっている。
内側シート部183及びバルブシート部184は、何れも弁座部材139の軸方向における小径穴部172側の端部に形成されている。内側シート部183は、小径穴部172を囲むように配置されている。内側シート部183は円環状である。バルブシート部184は、内側シート部183から内側シート部183の径方向における外方に広がっている。
本体部185は、弁座部材139の軸方向における内側シート部181及びバルブシート部182と、内側シート部183及びバルブシート部184との間の部分である。本体部185は有孔円板状である。
内側シート部181は、本体部185の軸方向の大径穴部173側の内周縁部から、本体部185の軸方向に沿って突出している。内側シート部181は、本体部185の中心軸線を中心とする円環状である。バルブシート部182は、内側シート部181の径方向における外側で本体部185の軸方向に沿って本体部185から内側シート部181と同側に突出している。内側シート部181は本体部185とは反対側の先端面が平坦面である。バルブシート部182も本体部185とは反対側の先端面が平坦面である。内側シート部181の先端面及びバルブシート部182の先端面は本体部185の軸直交方向に広がっている。内側シート部181の先端面及びバルブシート部182の先端面は同一平面に配置されている。
内側シート部183は、本体部185の軸方向の小径穴部172側の内周縁部から、本体部185の軸方向に沿って内側シート部181とは反対側に突出している。内側シート部183は、本体部185の中心軸線を中心とする円環状である。バルブシート部184は、内側シート部183の径方向における外側で本体部185の軸方向に沿って本体部185から内側シート部183と同側に突出している。内側シート部183は本体部185とは反対側の先端面が平坦面である。バルブシート部184も本体部185とは反対側の先端面が平坦面である。内側シート部183の先端面及びバルブシート部184の先端面は本体部185の軸直交方向に広がっている。内側シート部183の先端面及びバルブシート部184の先端面は同一平面に配置されている。
バルブシート部182は、円形ではない異形シートである。バルブシート部182は、複数のバルブシート構成部201を有している。これらのバルブシート構成部201は同形状である。これらのバルブシート構成部201は、本体部185の周方向に等間隔で配置されている。これらのバルブシート構成部201は、内側シート部181から内側シート部181の径方向外側に放射状に広がっている。
各バルブシート構成部201の内側には通路凹部205が形成されている。通路凹部205は、バルブシート構成部201と内側シート部181の一部とで囲まれて形成されている。通路凹部205は、バルブシート構成部201の突出側の先端面から本体部185の軸方向に凹んでいる。通路凹部205の底面は本体部185に形成されている。すべてのバルブシート構成部201の内側に通路凹部205が形成されている。通路凹部205の内側位置には、本体部185を軸方向に貫通する通路孔206が形成されている。通路孔206は、本体部185の中心軸線に平行である。すべての通路凹部205の底面に通路孔206が形成されている。
バルブシート部184も、円形ではない異形シートである。バルブシート部184は、複数のバルブシート構成部211を有している。これらのバルブシート構成部211は同形状である。これらのバルブシート構成部211は、本体部185の周方向に等間隔で配置されている。これらのバルブシート構成部211は、内側シート部183から内側シート部183の径方向外側に放射状に広がっている。バルブシート構成部211は、バルブシート構成部201と同形状となっている。
各バルブシート構成部211の内側には通路凹部215が形成されている。通路凹部215は、バルブシート構成部211と内側シート部183の一部とで囲まれて形成されている。通路凹部215は、バルブシート構成部211の突出側の先端面から本体部185の軸方向に凹んでいる。通路凹部215の底面は本体部185に形成されている。すべてのバルブシート構成部211の内側に通路凹部215が形成されている。通路凹部215の内側位置には、本体部185を軸方向に貫通する通路孔216が形成されている。通路孔216は、本体部185の中心軸線に平行である。すべての通路凹部215の底面に通路孔216が形成されている。
ここで、複数のバルブシート構成部201の本体部185の周方向における配置ピッチと、複数のバルブシート構成部211の本体部185の周方向における配置ピッチとは同じである。バルブシート構成部201及びバルブシート構成部211は、互いに本体部185の周方向に半ピッチ分ずれて配置されている。そして、通路孔206は、本体部185の周方向に隣り合うバルブシート構成部211とバルブシート構成部211との間に配置されている。よって、通路孔206は、バルブシート部184の範囲の外側に配置されている。通路孔216は、本体部185の周方向に隣り合うバルブシート構成部201とバルブシート構成部201との間に配置されている。よって、通路孔216は、バルブシート部182の範囲の外側に配置されている。
弁座部材139には、内側シート部181に、内側シート部181を径方向に横断する通路溝220が形成されている。通路溝220は、本体部185の周方向において隣り合うバルブシート構成部201とバルブシート構成部201との間に開口している。通路溝220は大径穴部173に開口している。通路溝220は、弁座部材139の周方向に等間隔で複数(図2では断面とした関係上一カ所のみ図示)設けられている。
通路凹部215内の通路と通路孔216内の通路とが、部材通路221を形成している。部材通路221は本体部185の周方向に間隔をあけて複数設けられている。通路凹部205内の通路と通路孔206内の通路とが、部材通路222を形成している。部材通路222は本体部185の周方向に間隔をあけて複数設けられている。複数の通路溝220内の通路と大径穴部173内の通路とが、部材通路223を形成している。部材通路221,222,223は何れも弁座部材139に設けられている。
弁座部材139には、本体部185の外周部の軸方向の中央位置にシール溝225が形成されている。シール溝225は本体部185の外周面から径方向の内方に凹んでいる。シール溝225は円環状である。このシール溝225内にOリング138が配置されている。弁座部材139は、内側シート部181及びバルブシート部182を、キャップ部材131の底部151側に向けた状態で、外周部においてキャップ部材131の筒状部152に嵌合されている。この状態でOリング138はキャップ部材131の筒状部152と弁座部材139との隙間をシールする。
キャップ部材131、Oリング138及び弁座部材139はキャップ室226を形成している。キャップ室226は、キャップ部材131の底部151と弁座部材139との間に設けられている。キャップ室226は部材通路221,223に常時連通している。キャップ室226内に、バネ部材135、ディスク136及び極微低速バルブ137が設けられている。
極微低速バルブ137は、弁座部材139のバルブシート部182の外径と同等の外径となっている。極微低速バルブ137は、内側シート部181に常時当接している。極微低速バルブ137は、バルブシート部182に離着座可能となっている。極微低速バルブ137はバルブシート部182に対し離着座することで部材通路222を開閉する。極微低速バルブ137はバルブシート部182に着座すると、部材通路222を閉塞する。極微低速バルブ137はバルブシート部182から離座すると、部材通路222を開放する。バネ部材135は、そのバネ力で極微低速バルブ137をバルブシート部182に押し付ける。閉状態の極微低速バルブ137は、部材通路222とキャップ室226との間を仕切る。開状態の極微低速バルブ137は、部材通路222とキャップ室226とを連通させる。よって、開状態の極微低速バルブ137は、部材通路222とキャップ室226と部材通路223とを連通させる。
極微低速バルブ140は一枚の有孔円板状のディスクである。極微低速バルブ140は、その径方向の内側にピストンロッド41の取付軸部52を嵌合させている。極微低速バルブ140は、弁座部材139のバルブシート部184の外径と同等の外径となっている。極微低速バルブ140は、内側シート部183に常時当接している。極微低速バルブ140は、バルブシート部184に離着座可能となっている。極微低速バルブ140はバルブシート部184に対し離着座することで、部材通路221を開閉する。極微低速バルブ140はバルブシート部184に着座すると、部材通路221を閉塞する。極微低速バルブ140はバルブシート部184から離座すると、部材通路221を開放する。極微低速バルブ140は、極微低速バルブ137と同形状の共通部品にすることができる。
ディスク141は、有孔円板状である。ディスク141は、その径方向の内側にピストンロッド41の取付軸部52を嵌合させている。ディスク141は極微低速バルブ140に当接する。ディスク141の外径は、極微低速バルブ140の外径よりも小径である。ディスク141は、ディスク136と同形状の共通部品にすることができる。
バネ部材142は、基板部231と複数のバネ板部232とを有している。基板部231は有孔円板状である。基板部231はその径方向における内側に取付軸部52を嵌合させている。基板部231は、外径がディスク141の外径よりも大径である。複数のバネ板部232は、基板部231の外周部に設けられている。複数のバネ板部232は、基板部231の周方向に等間隔で配置されている。複数のバネ板部232は、基板部231から基板部231の径方向における外方に延びている。バネ板部232は、延出先端側ほど基板部231から基板部231の軸方向に離れるように基板部231に対して傾斜している。バネ部材142は、基板部231においてディスク141に当接し、基板部231からバネ板部232が基板部231の軸方向において極微低速バルブ140側に延出するように取付軸部52に取り付けられている。バネ部材142は、複数のバネ板部232が極微低速バルブ140に当接する。バネ部材142は、そのバネ力で極微低速バルブ140を弁座部材139のバルブシート部184に押し付ける。バネ部材142は、バネ部材135と同形状の共通部品にすることができる。
極微低速減衰力発生部61は、第1室31及び第2室32のうちの一方である第1室31に配置されている。その際に、弁座部材139は、バルブシート部184が第1室31側に配置される。極微低速減衰力発生部61は、部材通路222が第1室31に常時連通する。閉状態の極微低速バルブ140は、部材通路221と第1室31との間を仕切る。
軸段部53と極微低速減衰力発生部61のバネ部材142との間に変形抑制部145が設けられている。変形抑制部145は、極微低速バルブ140の開方向の変形時に極微低速バルブ140に当接する。これにより、変形抑制部145は、極微低速バルブ140の開方向の変形を抑制する。変形抑制部145は円環状である。変形抑制部145は複数枚の有孔円板状のディスクが重ねられて構成されている。変形抑制部145は取付軸部52を内側に嵌合させている。
ピストンロッド41の取付軸部52にはロッド通路235が形成されている。ロッド通路235は、軸方向穴241と径方向穴242とによって形成されている。軸方向穴241は、取付軸部52の軸方向に直線状に延びており、取付軸部52の径方向の中央位置に形成されている。図2に示すように、軸方向穴241は、取付軸部52の軸方向における主軸部51とは反対側の端面から主軸部51側の所定位置まで形成されている。
径方向穴242は、取付軸部52の径方向に直線状に延びている。径方向穴242は、軸方向穴241と直交しており、軸方向穴241に連通する。径方向穴242は、取付軸部52を径方向に貫通している。径方向穴242は、取付軸部52の軸方向において、オネジ54と軸段部53との間に形成されている。ロッド通路235は、径方向穴242においてピストンロッド41の取付軸部52の外径側に開口している。図3に示すように、極微低速減衰力発生部61は、ピストンロッド41の軸方向において大径穴部173が径方向穴242と位置を合わせている。よって、部材通路223がロッド通路235に常時連通する。ロッド通路235は、部材通路223を介してキャップ室226及び部材通路221にも常時連通する。
図2に示すように、変形抑制部115の軸方向におけるメインバルブ111とは反対側には、ナット251が設けられている。ナット251は、取付軸部52のオネジ54に螺合されている。ナット251の軸方向における変形抑制部115とは反対側に周波数感応部62が設けられている。周波数感応部62も、取付軸部52のオネジ54に螺合されている。ピストンロッド41のロッド通路235は、周波数感応部62に連通している。
周波数感応部62は、ハウジング261とフリーピストン262とOリング263とOリング264とを有している。ハウジング261は、蓋部材267とハウジング本体268とを有している。蓋部材267、ハウジング本体268及びフリーピストン262は、何れも金属製である。Oリング263及びOリング264は、何れもゴム製の弾性体である。
蓋部材267は、蓋内筒部281と蓋基板部282と蓋外筒部283とを有している。蓋内筒部281は円筒状である。蓋内筒部281の内周部には、メネジ285が形成されている。周波数感応部62は、蓋部材267のメネジ285が取付軸部52のオネジ54に螺合される。蓋基板部282は、蓋内筒部281の軸方向の一端部から径方向外側に広がっている。蓋基板部282は円板状である。蓋外筒部283は、蓋基板部282の外周側から蓋基板部282の軸方向において蓋内筒部281と同側に延びている。
ハウジング本体268は、主体部291と内側環状突起292と延出部293と係合部294とを有している。主体部291は円筒状である。内側環状突起292は、主体部291の軸方向における一端部から主体部291の径方向における内方に突出する。内側環状突起292は円環状である。延出部293は、主体部291の軸方向における内側環状突起292とは反対側の端部から内側環状突起292とは反対の方向に延出する。延出部293は、その外径が主体部291と同等であり、その内径が主体部291よりも大径である。係合部294は、延出部293の軸方向における主体部291とは反対側の端部から径方向内方に延出する。ハウジング本体268の係合部294が形成される前の延出部293に、蓋部材267が蓋基板部282において嵌合される。その後、係合部294が加締めにより形成される。これにより、ハウジング本体268と蓋部材267とが一体化されてハウジング261となる。
フリーピストン262はハウジング261内に設けられている。フリーピストン262はハウジング261に対してハウジング261の軸方向に摺動可能である。フリーピストン262は、筒状部301と底板部302と外側環状突起303とを有している。筒状部301は円筒状である。底板部302は、筒状部301の軸方向の一端部を閉塞する。外側環状突起303は、筒状部301の軸方向の中間位置から筒状部301の径方向における外方に突出する。外側環状突起303は円環状である。外側環状突起303の軸方向の中央位置には、筒状部301及び外側環状突起303を径方向に貫通する通路穴305が形成されている。通路穴305は、フリーピストン262の周方向に等間隔で複数形成されている。フリーピストン262は、外側環状突起303においてハウジング本体268の主体部291内を摺動する。フリーピストン262は、フリーピストン262の軸方向に沿ってハウジング261内で移動する。
Oリング263は、フリーピストン262の外側環状突起303と蓋部材267の蓋外筒部283との間に設けられている。Oリング264は、フリーピストン262の外側環状突起303とハウジング本体268の内側環状突起292との間に設けられている。フリーピストン262がハウジング261に対して軸方向の蓋部材267側に移動する。すると、フリーピストン262は、その外側環状突起303が蓋部材267の蓋外筒部283とでOリング263を挟んで弾性変形させる。また、フリーピストン262がハウジング261に対して軸方向の蓋部材267とは反対側に移動する。すると、フリーピストン262は、その外側環状突起303がハウジング本体268の内側環状突起292とでOリング264を挟んで弾性変形させる。
周波数感応部62は、蓋部材267とフリーピストン262とOリング263との間が可変室311(第3室)となっている。可変室311は、フリーピストン262の通路穴305内の通路を含んでいる。可変室311は、ハウジング261とフリーピストン262の外周部とOリング263,264とで囲まれた室を含んでいる。可変室311は、ロッド通路235に常時連通する。可変室311は、フリーピストン262が、その軸方向において蓋基板部282から離れる方向に移動すると、容積が拡大する。可変室311は、フリーピストン262が、その軸方向において蓋基板部282に近づく方向に移動すると、容積が縮小する。
周波数感応部62は、フリーピストン262とOリング264とハウジング本体268の内側環状突起292側の部分との間が可変室312(第3室)となっている。可変室312は、フリーピストン262が蓋基板部282に近づく方向に移動することで容積が増えるハウジング本体268の内側環状突起292側の部分を含んでいる。可変室312は第2室32に常時連通する。可変室312は、フリーピストン262が、その軸方向において蓋基板部282に近づく方向に移動すると、容積が拡大する。可変室312は、フリーピストン262が、その軸方向において蓋基板部282から離れる方向に移動すると、容積が縮小する。可変室311と可変室312とはOリング264で連通が遮断されている。
極微低速減衰力発生部61は、バルブシート部182と極微低速バルブ137とが第2減衰力機構321を構成している。第2減衰力機構321は、ピストンロッド41に取り付けられている。部材通路222と、開弁時に極微低速バルブ137及びバルブシート部182の間に生じる通路と、キャップ室226と、部材通路223と、ロッド通路235と、可変室311と、可変室312とが第2通路322を構成している。第2減衰力機構321は、第2通路322に設けられている。第2減衰力機構321は、弁座部材139の軸方向における第1室31とは反対側に配置されている。これにより、第2通路322は、ピストン30の第1室31側への移動時に第1室31から第2室32に向けて油液が流れ出す通路である。第2通路322は、ピストンロッド41の伸び行程において第1室31から第2室32に向けて油液が流れ出す伸び側の通路である。第2通路322に設けられた第2減衰力機構321は、第2通路322の油液の流れを制御することにより減衰力を発生させる伸び側の減衰力発生機構である。
伸び側の第2通路322は、同じく伸び側の第1通路95と並列に設けられている。伸び側の第1通路95に設けられた第1減衰力機構91のメインバルブ111は、伸び側の第2通路322に設けられた第2減衰力機構321の極微低速バルブ137よりも剛性が高い。よって、メインバルブ111は極微低速バルブ137よりも開弁圧が高い。これにより、第2減衰力機構321は、第1減衰力機構91の作動前に作動して減衰力を発生させる。伸び側の第2通路322に、第2減衰力機構321と周波数感応部62とが直列に設けられている。
極微低速減衰力発生部61は、バルブシート部184と極微低速バルブ140とが第2減衰力機構323を構成している。第2減衰力機構323は、ピストンロッド41に取り付けられている。可変室312と、可変室311と、ロッド通路235と、部材通路223と、キャップ室226と、部材通路221と、開弁時に極微低速バルブ140及びバルブシート部184の間に生じる通路とが、第2通路324を構成している。第2減衰力機構323は、第2通路324に設けられている。第2減衰力機構323は、第1室31に臨んでいる。これにより、第2通路324は、ピストン30の第2室32側への移動時に第2室32から第1室31に向けて油液が流れ出す通路である。第2通路324は、ピストンロッド41の縮み行程において第2室32から第1室31に向けて油液が流れ出す縮み側の通路である。第2通路324に設けられた第2減衰力機構323は、第2通路324の油液の流れを制御することにより減衰力を発生させる縮み側の減衰力発生機構である。
縮み側の第2通路324は、同じく縮み側の第1通路96と並列に設けられている。縮み側の第1通路96に設けられた第1減衰力機構92のメインバルブ121は、縮み側の第2通路324に設けられた第2減衰力機構323の極微低速バルブ140よりも剛性が高い。よって、メインバルブ121は極微低速バルブ140よりも開弁圧が高い。これにより、第2減衰力機構323は、第1減衰力機構92の作動前に作動して減衰力を発生させる。縮み側の第2通路324に、周波数感応部62と第2減衰力機構323とが直列に設けられている。
周波数感応部62は、第2通路322に設けられて第1減衰力機構91へ流れる油液の流量を変化させる。周波数感応部62は、第2通路324に設けられて第1減衰力機構92へ流れる油液の流量を変化させる。周波数感応部62は、ピストンロッド41が動作する周波数によって減衰力を変化させる周波数感応型減衰力機構である。
緩衝器11のピストン30の周辺部分の油圧回路図は、図4に示すようになる。図4に示すように、緩衝器11には、第1室31と第2室32とを結んで第1通路95と第1通路96とが設けられている。第1通路95には、何れも第1減衰力機構91を構成するメインバルブ111及び固定オリフィス112が並列に設けられている。第1通路96には、何れも第1減衰力機構92を構成するメインバルブ121及び固定オリフィス122が並列に設けられている。緩衝器11には、第1室31と第2室32とを結んで第1通路95,96と並列に第2通路322と第2通路324とが設けられている。第2通路322に第2減衰力機構321を構成する極微低速バルブ137が設けられている。第2通路324に第2減衰力機構323を構成する極微低速バルブ140が設けられている。第2通路322,324の第2減衰力機構321,323と第2室32との間の共通部分に、周波数感応部62が設けられている。周波数感応部62は、可変室311が第2減衰力機構321,323に、可変室312が第2室32に連通する。
図1に示すように、内筒13と外筒14のシリンダ底部26との間には、上記したベースバルブ45が設けられている。このベースバルブ45は、ベースバルブ部材331と、ディスクバルブ332と、ディスクバルブ333と、取付ピン334とを有している。ベースバルブ部材331は第2室32とリザーバ室15とを仕切る。ディスクバルブ332は、ベースバルブ部材331の下側つまりリザーバ室15側に設けられる。ディスクバルブ333は、ベースバルブ部材331の上側つまり第2室32側に設けられる。取付ピン334は、ベースバルブ部材331にディスクバルブ332及びディスクバルブ333を取り付ける。
ベースバルブ部材331は、円環状であり、径方向の中央に取付ピン334が嵌合される。ベースバルブ部材331には、複数の通路穴335と複数の通路穴336とが形成されている。複数の通路穴335は、第2室32とリザーバ室15との間で油液を流通させる。複数の通路穴336は、リザーバ室15と第2室32との間で油液を流通させる。複数の通路穴336は、ベースバルブ部材331の径方向において通路穴335よりも外側に配置されている。
リザーバ室15側のディスクバルブ332は、第2室32から通路穴335を介するリザーバ室15への油液の流れを許容する一方でリザーバ室15から第2室32への通路穴335を介する油液の流れを抑制する。ディスクバルブ333は、リザーバ室15から通路穴336を介する第2室32への油液の流れを許容する一方で第2室32からリザーバ室15への通路穴336を介する油液の流れを抑制する。
ディスクバルブ332は、ベースバルブ部材331とによって、ピストンロッド41の縮み行程において開弁して第2室32からリザーバ室15に油液を流すとともに減衰力を発生させる縮み側の減衰バルブ機構337を構成している。ディスクバルブ333は、ベースバルブ部材331とによって、ピストンロッド41の伸び行程において開弁してリザーバ室15から第2室32内に油液を流すサクションバルブ機構338を構成している。なお、サクションバルブ機構338は、主としてピストンロッド41のシリンダ12からの伸び出しにより生じる油液の不足分を補うようにリザーバ室15から第2室32に実質的に減衰力を発生させることなく油液を流す機能を果たす。
図2に示す第1減衰力機構91のメインバルブ111は、第2減衰力機構321の極微低速バルブ137よりも剛性が高く開弁圧が高い。よって、伸び行程において、ピストン30の移動速度であるピストン速度が所定値よりも低速の極微低速領域では第1減衰力機構91は閉弁した状態で第2減衰力機構321が開弁する。また、ピストン速度がこの所定値以上の通常速度領域では、第1減衰力機構91及び第2減衰力機構321が共に開弁する。極微低速バルブ137は、ピストン速度が極微低速の領域で開弁して減衰力を発生させる。
第1減衰力機構92のメインバルブ121は、第2減衰力機構323の極微低速バルブ140よりも剛性が高く開弁圧が高い。よって、縮み行程において、ピストン30の移動速度であるピストン速度が所定値よりも低速の極微低速領域では第1減衰力機構92は閉弁した状態で第2減衰力機構323が開弁する。また、ピストン速度がこの所定値以上の通常速度領域では、第1減衰力機構92及び第2減衰力機構323が共に開弁する。極微低速バルブ140は、ピストン速度が極微低速の領域で開弁して減衰力を発生させる極極微低速バルブである。
何れもピストンロッド41に設けられた第1減衰力機構91,92、第2減衰力機構321,323及び周波数感応部62の作動について図2及び図5を参照しつつ説明する。
<ピストン周波数が低周波数の場合の伸び行程>
まず、ピストン30の周波数であるピストン周波数が所定の周波数よりも低い低周波数の場合の伸び行程について説明する。図5に、ピストン周波数が低周波数の場合の伸び行程の減衰力特性Z1を示す。
{ピストン速度vが第1値v1よりも低い第1ピストン速度(0<v<v1)の場合}
この場合、第1室31から油液が、第1通路95,96の固定オリフィス112,122を介して第2室32に流れる。このとき、第1室31からの油液は第2通路322,324を介して第2室32に流れることはない。すると、固定オリフィス112,122の絞られた流路で油液が流れることになるため、第1減衰力特性X1が発生する。第1減衰力特性X1は、第1減衰力機構91のメインバルブ111が作動する前であって、第2減衰力機構321の極微低速バルブ137が作動する前に発生する特性である。
{ピストン速度vが第1値v1以上で第2値v2よりも低い第2ピストン速度(v1≦v<v2)の場合}
この場合、第1室31から油液が、固定オリフィス112,122での流れに加えて、第2減衰力機構321の極微低速バルブ137を開きながら第2通路322を介して周波数感応部62に流れる。その際に、固定オリフィス112,122及び第2減衰力機構321が減衰力を発生させる。また、このとき、周波数感応部62の可変室311に油液が入るが、ピストン周波数が低周波数での伸び行程では、可変室311に入る油液のボリュームが大きい。このため、フリーピストン262のハウジング261に対する移動量が大きくなる。よって、フリーピストン262が外側環状突起303とハウジング本体268の内側環状突起292との間でOリング264を弾性変形させる。すると、固定オリフィス112,122及び作動状態の第2減衰力機構321が発生させる減衰力に加えて、作動状態の周波数感応部62が減衰力を発生させる。これにより、第2減衰力特性X2が発生する。第2減衰力特性X2は、固定オリフィス112,122と、第2ピストン速度(v1≦v<v2)における第2減衰力機構321の作動と、第2ピストン速度(v1≦v<v2)における周波数感応部62の作動と、により発生する特性である。ここで、第2減衰力特性X2は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X1よりも低くなる。
{ピストン速度vが第2値v2以上で第3値v3よりも低い第3ピストン速度(v2≦v<v3)の場合}
この場合、第1室31から第2減衰力機構321の極微低速バルブ137を開きながら第2通路322を介して可変室311に流れる油液のボリュームが第2ピストン速度(v1≦v<v2)のときよりも大きくなる。よって、フリーピストン262のハウジング261に対する移動量も大きい。このため、フリーピストン262がOリング264を、第2ピストン速度(v1≦v<v2)のときよりも大きく弾性変形させる。すると、フリーピストン262がOリング264の第2ピストン速度(v1≦v<v2)のときよりも大きい抵抗によって、第2通路322を介して可変室311に流れる油液の抵抗となる。すると、固定オリフィス112,122及び作動状態の第2減衰力機構321が発生させる減衰力に加えて、周波数感応部62が第2ピストン速度(v1≦v<v2)のときよりも大きい減衰力を発生させる。その結果、第3減衰力特性X3が発生する。第3減衰力特性X3は、固定オリフィス112,122と、第2減衰力機構321の作動と、第3ピストン速度(v2≦v<v3)における周波数感応部62の作動と、により発生する特性である。第3減衰力特性X3は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X1よりも低く且つ第2減衰力特性X2よりも高くなる。
{ピストン速度vが第3値v3以上の第4ピストン速度(v3≦v)の場合}
この場合、第1室31から第2減衰力機構321の極微低速バルブ137を開きながら第2通路322を介して可変室311に流れる油液のボリュームが第3ピストン速度(v2≦v<v3)のときよりも大きくなる。よって、フリーピストン262のハウジング261に対する移動量も大きい。このため、フリーピストン262がOリング264を、第3ピストン速度(v2≦v<v3)のときよりも大きく弾性変形させる。フリーピストン262は、場合によっては、Oリング264を限界まで弾性変形させてハウジング261に対して停止する。すると、周波数感応部62による第2通路322の油液の流れへの抵抗力が高まり、第1室31からの油液は、第1通路96の固定オリフィス122での流れに加えて、第1通路95から伸び側の第1減衰力機構91のメインバルブ111を開いて第2室32に流れることになる。その際に、作動状態の第2減衰力機構321及び周波数感応部62が発生させる減衰力に加えて、作動状態の第1減衰力機構91が減衰力を発生させる。すると、第4減衰力特性X4が発生する。第4減衰力特性X4は、主に第1減衰力機構91のメインバルブ111の作動により発生する特性である。第1減衰力機構91は、第3ピストン速度(v2≦v<v3)よりも速い第4ピストン速度(v3≦v)においてメインバルブ111が開弁する。ここで、第4減衰力特性X4は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1~第3減衰力特性X1~X3の何れよりも低くなる。可変室311は、第1減衰力機構91の作動前に作動し、油液が流入すると共に体積が変化する。
<ピストン周波数が高周波数の場合の伸び行程>
次に、ピストン周波数が上記した所定の周波数以上の高周波数の場合の伸び行程について説明する。図5に、ピストン周波数が高周波数の場合の伸び行程の減衰力特性Z2を示す。
{ピストン速度が第5値v5よりも低い第1ピストン速度(0≦v<v5)の場合}
この場合、第1室31から油液が、第1通路95,96の固定オリフィス112,122を介して第2室32に流れる。このとき、第1室31からの油液は第2通路322,324を介して第2室32に流れることはない。すると、固定オリフィス112,122の絞られた流路で油液が流れることになるため、第1減衰力特性X5が発生する。第1減衰力特性X5は、第1減衰力機構91のメインバルブ111が作動する前であって第2減衰力機構321の極微低速バルブ137が作動する前に発生する特性である。
{ピストン速度vが第5値v5以上で第6値v6よりも低い第2ピストン速度(v5≦v<v6)の場合}
この場合、第1室31から油液が、固定オリフィス112,122での流れに加えて、第2減衰力機構321の極微低速バルブ137を開きながら第2通路322を介して周波数感応部62に流れる。その際に、固定オリフィス112,122及び作動状態の第2減衰力機構321が減衰力を発生させる。また、このとき、周波数感応部62の可変室311に油液が入るが、ピストン周波数が高周波数での伸び行程では、可変室311に入る油液のボリュームが低周波数のときよりも小さい。このため、フリーピストン262のハウジング261に対する移動量も低周波数のときより小さい。よって、周波数感応部62が発生させる減衰力は低周波数のときよりも小さい。すると、主に固定オリフィス112,122及び作動状態の第2減衰力機構321が減衰力が発生を発生させる。これにより、第2減衰力特性X6が発生する。第2減衰力特性X6は、固定オリフィス112,122と、第1ピストン速度(0≦v<v5)よりも速い第2ピストン速度(v5≦v<v6)における第2減衰力機構321の作動と、により発生する特性である。ここで、第2減衰力特性X6は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X5よりも低くなる。また、ピストン周波数が高周波数での伸び行程では、第2通路322を介して可変室311に入る油液のボリュームが低周波数のときよりも小さく、フリーピストン262のハウジング261に対する移動量が小さい。このため、可変室311で第1室31から流れ出す油液を円滑に吸収することができる。よって、第2減衰力特性X6は、ピストン周波数が低周波数のときの第2減衰力特性X2よりも、同じピストン速度での減衰力が下がりソフトになる。
{ピストン速度が第6値v6以上で第7値v7よりも低い第3ピストン速度(v6≦v<v7)の場合}
この場合、第1室31から第2減衰力機構321の極微低速バルブ137を開きながら第2通路322を介して可変室311に流れる油液のボリュームが第2ピストン速度(v5≦v<v6)のときよりも大きくなる。よって、フリーピストン262のハウジング261に対する移動量も大きい。すると、フリーピストン262がOリング264の抵抗で、第2通路322を介して可変室311に流れる油液の抵抗となる。これにより、固定オリフィス112,122及び作動状態の第2減衰力機構321が発生させる減衰力に加えて、周波数感応部62が減衰力を発生させる。すると、第3減衰力特性X7が発生する。第3減衰力特性X7は、第2ピストン速度(v5≦v<v6)よりも速い第3ピストン速度(v6≦v<v7)において主に周波数感応部62の作動により発生する特性である。第3減衰力特性X7は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X5よりも低く且つ第2減衰力特性X6よりも高くなる。但し、ピストン周波数が高周波数での伸び行程では、可変室311に入る油液のボリュームが低周波数のときよりも小さい。このため、フリーピストン262のハウジング261に対する移動量も低周波数のときより小さい。よって、周波数感応部62が発生させる減衰力は低周波数のときよりも小さい。従って、第3減衰力特性X7はピストン周波数が低周波数のときの第3減衰力特性X3よりも同じピストン速度での減衰力が下がりソフトになる。
{ピストン速度vが第7値v7以上の第4ピストン速度(v7≦v)の場合}
この場合、第1室31から第2減衰力機構321の極微低速バルブ137を開きながら第2通路322を介して可変室311に流れる油液のボリュームが第3ピストン速度(v6≦v<v7)のときよりも大きくなる。よって、フリーピストン262のハウジング261に対する移動量も大きい。このため、フリーピストン262がOリング264を、第3ピストン速度(v6≦v<v7)のときよりも大きく弾性変形させる。すると、周波数感応部62による第2通路322の油液の流れへの抵抗力が高まる。よって、第1室31からの油液は、第1通路96の固定オリフィス122での流れに加えて、第1通路95から伸び側の第1減衰力機構91のメインバルブ111を開いて第2室32に流れることになる。その際に、作動状態の第2減衰力機構321及び周波数感応部62が発生させる減衰力に加えて、作動状態の第1減衰力機構91が減衰力を発生させる。すると、第4減衰力特性X8が発生する。第4減衰力特性X8は、主に第1減衰力機構91のメインバルブ111の作動により発生する特性である。第1減衰力機構91は、第3ピストン速度(v6≦v<v7)よりも速い第4ピストン速度(v7≦v)においてメインバルブ111が開弁する。ここで、第4減衰力特性X8は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1~第3減衰力特性X5~X7の何れよりも低くなる。但し、ピストン周波数が高周波数での伸び行程では、可変室311に入る油液のボリュームが低周波数のときよりも小さいため、フリーピストン262のハウジング261に対する移動量も低周波数のときより小さい。よって、周波数感応部62が発生させる減衰力は低周波数のときよりも小さい。その結果、第3減衰力特性X8はピストン周波数が低周波数のときの第3減衰力特性X4よりも同じピストン速度での減衰力が下がりソフトになる。可変室311は、第1減衰力機構91の作動前に作動し、油液が流入すると共に体積が変化する。
<ピストン周波数が低周波数の場合の縮み行程>
ピストン周波数が所定の周波数よりも低い低周波数の場合の縮み行程について説明する。
{ピストン速度vが第1値v11よりも低い第1ピストン速度(0<v<v11)の場合}
この場合、第2室32から油液が、第1通路95,96の固定オリフィス112,122を介して第1室31に流れる。このとき、第2室32からの油液は第2通路322,324を介して第1室31に流れることはない。すると、固定オリフィス112,122の絞られた流路で油液が流れることになるため、第1減衰力特性X11が発生する。第1減衰力特性X11は、第1減衰力機構92のメインバルブ121が作動する前であって第2減衰力機構323の極微低速バルブ140が作動する前に発生する特性である。
{ピストン速度vが第1値v11以上で第2値v12よりも低い第2ピストン速度(v11≦v<v12)の場合}
この場合、第2室32から油液が、固定オリフィス112,122で流れる。その際に、固定オリフィス112,122が減衰力を発生させる。それと共に、第2室32の油液が、周波数感応部62の可変室312を拡大させてフリーピストン262をハウジング261に対して可変室311を狭める方向に移動させる。すると、可変室311の油液が第2減衰力機構323の極微低速バルブ140を開きながら第2通路324を介して第1室31に流れる。その際に、第2減衰力機構323が減衰力を発生させる。このとき、周波数感応部62の可変室311から油液が出るが、ピストン周波数が低周波数での伸び行程では、可変室311から出る油液のボリュームが大きい。このため、フリーピストン262のハウジング261に対する移動量が大きくなる。すると、フリーピストン262が外側環状突起303と蓋部材267の蓋外筒部283との間でOリング263を弾性変形させる。よって、固定オリフィス112,122及び作動状態の第2減衰力機構323が発生させる減衰力に加えて、周波数感応部62が減衰力を発生させる。これにより、第2減衰力特性X12が発生する。第2減衰力特性X12は、固定オリフィス112,122と、第2ピストン速度(v11≦v<v12)における第2減衰力機構323の作動と、第2ピストン速度(v11≦v<v12)における周波数感応部62の作動と、により発生する特性である。ここで、第2減衰力特性X12は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X11よりも低くなる。
{ピストン速度vが第2値v12以上で第3値v13よりも低い第3ピストン速度(v12≦v<v13)の場合}
この場合、フリーピストン262の移動によって可変室311から第2減衰力機構323の極微低速バルブ140を開きながら第2通路324を介して第1室31に流れる油液のボリュームが第2ピストン速度(v11≦v<v12)のときよりも大きくなる。よって、フリーピストン262のハウジング261に対する移動量も大きい。このため、フリーピストン262がOリング263を、第2ピストン速度(v11≦v<v12)のときよりも大きく弾性変形させる。すると、フリーピストン262がOリング263の第2ピストン速度(v11≦v<v12)のときよりも大きい抵抗によって、可変室311から第2通路324を介して第1室31に流れる油液の抵抗となる。すると、固定オリフィス112,122及び作動状態の第2減衰力機構323が発生させる減衰力に加えて、周波数感応部62が第2ピストン速度(v11≦v<v12)のときよりも大きい減衰力を発生させる。すると、第3減衰力特性X13が発生する。第3減衰力特性X13は、固定オリフィス112,122と、第2減衰力機構323の作動と、第3ピストン速度(v12≦v<v13)における周波数感応部62の作動と、により発生する特性である。第3減衰力特性X13は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X11よりも低く且つ第2減衰力特性X12よりも高くなる。
{ピストン速度vが第3値v13以上の第4ピストン速度(v13≦v)の場合}
この場合、フリーピストン262の移動によって可変室311から第2減衰力機構323の極微低速バルブ140を開きながら第2通路324を介して第1室31に流す油液のボリュームが第3ピストン速度(v12≦v<v13)のときよりも大きくなる。よって、フリーピストン262のハウジング261に対する移動量も大きい。このため、フリーピストン262がOリング263を、第3ピストン速度(v12≦v<v13)のときよりも大きく弾性変形させる。フリーピストン262は、場合によっては、Oリング263を限界まで弾性変形させてハウジング261に対して停止する。すると、周波数感応部62による第2通路322の油液の流れへの抵抗力が高まり、第2室32からの油液は、第1通路95の固定オリフィス112での流れに加えて、第1通路96から縮み側の第1減衰力機構92のメインバルブ121を開いて第1室31に流れることになる。その際に、作動状態の第2減衰力機構323及び周波数感応部62が発生させる減衰力に加えて、作動状態の第1減衰力機構92が減衰力を発生させる。すると、第4減衰力特性X14が発生する。第4減衰力特性X14は、主に第1減衰力機構92のメインバルブ121の作動により発生する特性である。第1減衰力機構92は、第3ピストン速度(v12≦v<v13)よりも速い第4ピストン速度(v13≦v)においてメインバルブ121が開弁する。ここで、第4減衰力特性X14は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1~第3減衰力特性X11~X13の何れよりも低くなる。可変室312は、第1減衰力機構92の作動前に作動し、油液が流入すると共に体積が変化する。
<ピストン周波数が高周波数の場合の縮み行程>
次に、ピストン周波数が上記した所定の周波数以上の高周波数の場合の縮み行程について説明する。
{ピストン速度が第5値v15よりも低い第1ピストン速度(0≦v<v15)の場合}
この場合、第2室32から油液が、第1通路95,96の固定オリフィス112,122を介して第1室31に流れる。このとき、第2室32からの油液は第2通路322,324を介して第1室31に流れることはない。すると、固定オリフィス112,122の絞られた流路で油液が流れることになるため、第1減衰力特性X15が発生する。第1減衰力特性X15は、第1減衰力機構92のメインバルブ121が作動する前であって第2減衰力機構323の極微低速バルブ140が作動する前に発生する特性である。
{ピストン速度vが第5値v15以上で第6値v16よりも低い第2ピストン速度(v15≦v<v16)の場合}
この場合、第2室32から油液が、固定オリフィス112,122で流れる。その際に、固定オリフィス112,122が減衰力を発生させる。それと共に、第2室32の油液が、周波数感応部62の可変室312を拡大させてフリーピストン262をハウジング261に対して可変室311を狭める方向に移動させる。すると、可変室312が拡大して第2室32の油液を受け入れる。それと共に、可変室311の油液が第2減衰力機構323の極微低速バルブ140を開きながら第2通路324を介して第1室31に流れる。その際に、第2減衰力機構323が減衰力を発生させる。このとき、周波数感応部62の可変室311から油液が出るが、ピストン周波数が高周波数での伸び行程では、可変室311から出る油液のボリュームが低周波数のときよりも小さい。このため、フリーピストン262のハウジング261に対する移動量も低周波数のときより小さい。よって、周波数感応部62が発生させる減衰力は低周波数のときよりも小さい。すると、主に固定オリフィス112,122及び作動状態の第2減衰力機構323が減衰力が発生を発生させる。これにより、第2減衰力特性X16が発生する。第2減衰力特性X16は、固定オリフィス112,122と、第1ピストン速度(0≦v<v15)よりも速い第2ピストン速度(v15≦v<v16)における第2減衰力機構321の作動と、により発生する特性である。ここで、第2減衰力特性X16は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X15よりも低くなる。また、ピストン周波数が高周波数での縮み行程では、第2通路324を介して可変室311から出る油液のボリュームが低周波数のときよりも小さく、フリーピストン262のハウジング261に対する移動量が小さい。このため、可変室312で第2室32の油圧を円滑に吸収することができる。よって、第2減衰力特性X16は、ピストン周波数が低周波数のときの第2減衰力特性X12よりも、同じピストン速度での減衰力が下がりソフトになる。
{ピストン速度が第6値v16以上で第7値v17よりも低い第3ピストン速度(v16≦v<v17)の場合}
この場合、可変室311から第2減衰力機構323の極微低速バルブ140を開きながら第2通路324を介して第1室31に流れる油液のボリュームが第2ピストン速度(v15≦v<v16)のときよりも大きくなる。よって、フリーピストン262のハウジング261に対する移動量も大きい。すると、フリーピストン262がOリング263の抵抗で、第2通路324を介して第1室31に流れる油液の抵抗となる。これにより、固定オリフィス112,122及び作動状態の第2減衰力機構323が発生させる減衰力に加えて、周波数感応部62が減衰力を発生させる。すると、第3減衰力特性X17が発生する。第3減衰力特性X17は、第2ピストン速度(v15≦v<v16)よりも速い第3ピストン速度(v16≦v<v17)において主に周波数感応部62により発生する特性である。第3減衰力特性X17は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X15よりも低く且つ第2減衰力特性X16よりも高くなる。但し、ピストン周波数が高周波数での伸び行程では、可変室311から出る油液のボリュームが低周波数のときよりも小さいため、フリーピストン262のハウジング261に対する移動量も低周波数のときより小さい。よって、周波数感応部62が発生させる減衰力は低周波数のときよりも小さくなる。従って、第3減衰力特性X17はピストン周波数が低周波数のときの第3減衰力特性X13よりも同じピストン速度での減衰力が下がりソフトになる。
{ピストン速度vが第3値v17以上の第4ピストン速度(v17≦v)の場合}
この場合、フリーピストン262によって可変室311から第2減衰力機構323の極微低速バルブ140を開きながら第2通路324を介して第1室31に流れる油液のボリュームが第3ピストン速度(v16≦v<v17)のときよりも大きくなる。よって、フリーピストン262のハウジング261に対する移動量も大きい。このため、フリーピストン262がOリング263を第3ピストン速度(v16≦v<v17)のときよりも大きく弾性変形させる。すると、周波数感応部62による第2通路324の油液の流れへの抵抗力が高まり、第2室32からの油液は、第1通路95の固定オリフィス112での流れに加えて、第1通路96から縮み側の第1減衰力機構92のメインバルブ121を開いて第1室31に流れることになる。その際に、作動状態の第2減衰力機構323及び周波数感応部62が発生させる減衰力に加えて、作動状態の第1減衰力機構92のメインバルブ121が減衰力を発生させる。すると、第4減衰力特性X18が発生する。第4減衰力特性X18は、主に第1減衰力機構92のメインバルブ121より発生する特性である。このように第1減衰力機構92は、第3ピストン速度(v16≦v<v17)よりも速い第4ピストン速度(v17≦v)においてメインバルブ121が開弁する。ここで、第4減衰力特性X18は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1~第3減衰力特性X15~X17の何れよりも低くなる。但し、ピストン周波数が高周波数での伸び行程では、可変室311から出る油液のボリュームが低周波数のときよりも小さい。このため、フリーピストン262のハウジング261に対する移動量も低周波数のときより小さい。よって、周波数感応部62が発生させる減衰力は低周波数のときよりも小さい。よって、第3減衰力特性X18はピストン周波数が低周波数のときの第3減衰力特性X14よりも同じピストン速度での減衰力が下がりソフトになる。可変室312は、第1減衰力機構92の作動前に作動し、油液が流入すると共に体積が変化する。
上記した特許文献1には、ピストン周波数に応じて減衰力機構へ流れる油液の流量を変化させることによって減衰力を調整する緩衝器が記載されている。この緩衝器は、ピストン周波数に応じてフリーピストンをハウジング内で移動させる構造になっている。このような構造の比較例1の緩衝器の場合、アキュムレータの機能があり体積補償される構造である。このため、図5に破線Y1で示すピストン周波数が低周波の場合及び破線Y2で示すピストン周波数が高周波の場合の両方において、ピストン速度が低速時の減衰力が通常の緩衝器よりも低くなってしまう。このようにピストン速度が低速時の減衰力の立ち上がりに遅れが生じると、この緩衝器を使用した車両において、緩衝器の作動初期の減衰力不足により走行時にふらつきを生じる可能性がある。
第1実施形態の緩衝器11は、第1減衰力機構91,92が設けられた第1通路95,96に対して、並列に第2通路322,324を設けている。第2通路322,324に、第1減衰力機構91,92へ流れる油液の流量を変化させる周波数感応部62を設けている。そして、第1減衰力機構91の作動前に作動して減衰力を発生させる第2減衰力機構321を周波数感応部62と直列に配置して第2通路322に設けている。また、第1減衰力機構92の作動前に作動して減衰力を発生させる第2減衰力機構323を周波数感応部62と直列に配置して第2通路324に設けている。これにより、第2減衰力機構321,323が、ピストン速度の低速時においても減衰力を良好に立ち上げることになる。従って、緩衝器11は、その作動初期の減衰力不足により車両に生じる走行時のふらつきを抑制することができる。
具体的に、図5に実線Z1で示す緩衝器11のピストン周波数が低周波数のときの減衰力特性は、破線Y1で示す比較例1(特許文献1)のピストン周波数が低周波数のときの減衰力特性と比べて、ピストン速度が低速のときの減衰力の立ち上がりが改善されることが判る。また、実線Z2で示す緩衝器11のピストン周波数が高周波数のときの減衰力特性も、破線Y2で示す比較例1のピストン周波数が高周波数のときの減衰力特性と比べて、ピストン速度が低速のときの減衰力の立ち上がりが改善されることが判る。
ここで、緩衝器11は、第1減衰力機構91,92へ流れる油液の流量を変化させる機構が、ピストンロッド41が作動する周波数によって減衰力を変化させる周波数感応部62である。よって、このような周波数感応部62を有する構造において、ピストン速度の低速時においても減衰力を良好に立ち上げることができる。
また、第1減衰力機構91,92へ流れる油液の流量を変化させる周波数感応部62が、第1減衰力機構91,92の作動前に作動し、油液が流入すると共に体積が変化する可変室311,312を有する。よって、簡素な構造で第1減衰力機構91,92へ流れる油液の流量を変化させることができる。
緩衝器11は、ピストン周波数が低周波数の伸び行程において、第1減衰力特性X1~第4減衰力特性X4を有する。第1減衰力特性X1は、第1ピストン速度(0<v<v1)において、第1減衰力機構91のメインバルブ111が作動する前であって第2減衰力機構321の極微低速バルブ137が作動する前に発生する特性である。第2減衰力特性X2は、第1ピストン速度(0<v<v1)よりも速い第2ピストン速度(v1≦v<v2)における第2減衰力機構321の作動により発生する特性である。第3減衰力特性X3は、第2ピストン速度(v1≦v<v2)よりも速い第3ピストン速度(v2≦v<v3)において、作動状態の第2減衰力機構321及び周波数感応部62により発生する特性である。第4減衰力特性X4は、第3ピストン速度(v2≦v<v3)よりも速い第4ピストン速度(v3≦v)における第1減衰力機構91の作動により発生する特性である。緩衝器11は、第1減衰力特性X1~第3減衰力特性X3によって、ピストン周波数が低周波数の伸び行程において、その作動初期の減衰力不足により車両に生じる走行時のふらつきを抑制することができる。
緩衝器11は、ピストン周波数が高周波数の伸び行程において、第1減衰力特性X5~第4減衰力特性X8を有する。第1減衰力特性X5は、第1ピストン速度(0<v<v5)において、第1減衰力機構91のメインバルブ111が作動する前であって第2減衰力機構321の極微低速バルブ137が作動する前に発生する特性である。第2減衰力特性X6は、第1ピストン速度(0<v<v5)よりも速い第2ピストン速度(v5≦v<v6)における第2減衰力機構321の作動により発生する特性である。第3減衰力特性X7は、第2ピストン速度(v5≦v<v6)よりも速い第3ピストン速度(v6≦v<v7)において、作動状態の第2減衰力機構321及び周波数感応部62により発生する特性である。第4減衰力特性X8は、第3ピストン速度(v6≦v<v7)よりも速い第4ピストン速度(v7≦v)における第1減衰力機構91の作動により発生する特性である。緩衝器11は、第1減衰力特性X5~第3減衰力特性X7によって、ピストン周波数が高周波数の伸び行程において、その作動初期の減衰力不足により車両に生じる走行時のふらつきを抑制することができる。
緩衝器11は、ピストン周波数が低周波数の縮み行程において、第1減衰力特性X11~第4減衰力特性X14を有する。第1減衰力特性X11は、第1ピストン速度(0<v<v11)において、第1減衰力機構92のメインバルブ121が作動する前であって第2減衰力機構323の極微低速バルブ140が作動する前に発生する特性である。第2減衰力特性X12は、第1ピストン速度(0<v<v11)よりも速い第2ピストン速度(v11≦v<v12)における第2減衰力機構323の作動により発生する特性である。第3減衰力特性X13は、第2ピストン速度(v11≦v<v12)よりも速い第3ピストン速度(v12≦v<v13)において、作動状態の第2減衰力機構323及び周波数感応部62により発生する特性である。第4減衰力特性X14は、第3ピストン速度(v12≦v<v13)よりも速い第4ピストン速度(v13≦v)における第1減衰力機構92の作動により発生する特性である。緩衝器11は、第1減衰力特性X11~第3減衰力特性X13によって、ピストン周波数が低周波数の縮み行程において、その作動初期の減衰力不足により車両に生じる走行時のふらつきを抑制することができる。
緩衝器11は、ピストン周波数が高周波数の縮み行程において、第1減衰力特性X15~第4減衰力特性X18を有する。第1減衰力特性X15は、第1ピストン速度(0<v<v15)において、第1減衰力機構92のメインバルブ121が作動する前であって第2減衰力機構323の極微低速バルブ140が作動する前に発生する特性である。第2減衰力特性X16は、第1ピストン速度(0<v<v15)よりも速い第2ピストン速度(v15≦v<v16)における第2減衰力機構323の作動により発生する特性である。第3減衰力特性X17は、第2ピストン速度(v15≦v<v16)よりも速い第3ピストン速度(v16≦v<v17)において、作動状態の第2減衰力機構323及び周波数感応部62により発生する特性である。第4減衰力特性X18は、第3ピストン速度(v15≦v<v16)よりも速い第4ピストン速度(v17≦v)における第1減衰力機構92の作動により発生する特性である。緩衝器11は、第1減衰力特性X15~第3減衰力特性X17によって、ピストン周波数が高周波数の縮み行程において、その作動初期の減衰力不足により車両に生じる走行時のふらつきを抑制することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を主に図6~図10に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図6に示すように、第2実施形態の緩衝器11Aは、ピストンロッド41Aがピストンロッド41と一部異なっている。ピストンロッド41Aは、ロッド本体401と、ガイド部材402と、ワシャ403と、ナット404と、シールリング405とを有している。
ロッド本体401は、軸状であり、径方向の中央に軸方向に貫通する貫通孔411が形成されている。ロッド本体401は、その軸方向の一端側がシリンダ12の内筒13内に挿入されている。ロッド本体401は、その軸方向の他端側が、第1実施形態と同様のロッドガイド42、シール部材43及び摩擦部材44(何れも図1参照)を通ってシリンダ12の外部へ延びている。ロッド本体401の内筒13内に配置される一端側の外周部には、オネジ412及びシール溝413が形成されている。シール溝413は、ロッド本体401の軸方向においてオネジ412よりも内筒13内の奥側に配置される端部の外周部に形成されている。シール溝413は、円環状である。
ガイド部材402は、軸状であり、本体部421と内フランジ部422とを有している。本体部421は中空の円筒状である。内フランジ部422は、本体部421の軸方向における中間位置から径方向内方に広がっている。内フランジ部422は円環状である。本体部421は、外周部に大径部425と小径部426とを有している。大径部425は、その外径が小径部426の外径よりも大径である。大径部425は、本体部421の軸方向における一端側に設けられている。小径部426は、本体部421の軸方向における中間部から他端側まで延びている。内フランジ部422は、本体部421の軸方向において小径部426と位置を重ね合わせている。大径部425の軸方向における小径部426側の端部は軸段部427となっている。軸段部427は、本体部421の軸直交方向に広がっている。
本体部421には、その軸方向における大径部425側の端部の内周部にメネジ431が形成されている。本体部421には、小径部426の軸方向における大径部425とは反対側の端部の外周部にオネジ432が形成されている。ガイド部材402のメネジ431に、ロッド本体401のオネジ412が螺合される。その際にロッド本体401は、その軸方向におけるオネジ412よりもシール溝413側の部分がガイド部材402に嵌合する。ロッド本体401は、内フランジ部422に当接するまでガイド部材402に螺合される。シールリング405はOリングである。シールリング405はロッド本体401のシール溝413に収容されている。シールリング405はロッド本体401とガイド部材402との隙間をシールする。ワシャ403は、ガイド部材402の軸方向における大径部425の小径部426とは反対側に配置されている。ワシャ403の内側には、ロッド本体401が挿入されている。ナット404は、ワシャ403の軸方向におけるガイド部材402とは反対側に配置されている。ナット404はロッド本体401のオネジ412に螺合されている。ナット404とワシャ403とが当接し、ワシャ403とロッド本体401とが当接する。ナット404及びワシャ403は、ロッド本体401に対してガイド部材402が緩むのを規制する。
ガイド部材402の本体部421には、その軸方向における小径部426の位置にガイドポート435とガイドポート436と通路孔437とが形成されている。ガイドポート435,436及び通路孔437は、何れも本体部421を本体部421の径方向に貫通している。ガイドポート435,436及び通路孔437は、何れも本体部421の軸方向において内フランジ部422とオネジ432との間に配置されている。ガイドポート436は、ガイドポート435よりも本体部421の軸方向におけるオネジ432側に配置されている。通路孔437は、ガイドポート436よりも本体部421の軸方向におけるオネジ432側に配置されている。図示は略すが、ガイドポート435は、本体部421の周方向における一側ほど本体部421の軸方向における幅が狭くなる形状である(例えば特開2013-204772号公報参照)。ガイドポート436も、本体部421の周方向における一側ほど本体部421の軸方向における幅が狭くなる形状である(例えば特開2013-204772号公報参照)。
緩衝器11Aは、シールブシュ441と、ワシャ442と、ピン部材443と、シャッタ部材444と、ブシュ445と、図示略のアクチュエータと有している。シールブシュ441は円環状であり、ガイド部材402の軸方向における内フランジ部422よりもオネジ432側の内周部に嵌合されている。シールブシュ441は、内フランジ部422に当接する。ワシャ442は、円環状であり、シールブシュ441の軸方向における内フランジ部422とは反対側に配置される。ピン部材443は、図示略のアクチュエータから延びていて、ロッド本体401の内側、ガイド部材402の内フランジ部422の内側、シールブシュ441の内側及びワシャ442の内側に挿入される。シールブシュ441はピン部材443とガイド部材402との間をシールする。
シャッタ部材444は、ガイド部材402内の軸方向におけるワシャ442とは反対側に配置される。ピン部材443は、図示略のアクチュエータとは反対側の端部がワシャ442よりもシールブシュ441とは反対側まで突出している。この端部にシャッタ部材444が固定されている。図7に示すように、シャッタ部材444は、有底円筒状であり、底部451と内側筒状部452と外側筒状部453とを有している。底部451は有孔円板状である。内側筒状部452は円筒状であり、底部451の内周縁部から底部451の軸方向に沿って一側に延びている。外側筒状部453は円筒状であり、底部451の外周縁部から底部451の軸方向に沿って一側に延びている。内側筒状部452及び外側筒状部453は底部451から底部451の軸方向における同側に延びている。外側筒状部453は内側筒状部452よりも軸方向の長さが長い。シャッタ部材444は、その軸方向において底部451が内側筒状部452及び外側筒状部453よりもワシャ442側となるように配置される。ピン部材443は、シャッタ部材444の底部451の内側及び内側筒状部452の内側に挿入されている。ピン部材443の軸方向における図示略のアクチュエータとは反対側の端部が、内側筒状部452の軸方向における底部451とは反対側の端部に固定されている。シャッタ部材444はピン部材443と一体に回転する。
シャッタ部材444の底部451には、その径方向における内側筒状部452と外側筒状部453との間に貫通穴456が形成されている。貫通穴456は、底部451をその軸方向に貫通している。底部451には貫通穴456が底部451の周方向に間隔をあけて複数形成されている。シャッタ部材444の外側筒状部453にはシャッタポート461とシャッタポート462とが形成されている。シャッタポート461,462は、何れも外側筒状部453を外側筒状部453の径方向に貫通している。シャッタポート461は、外側筒状部453の軸方向においてシャッタポート462よりも底部451側に配置されている。シャッタポート461は、ガイド部材402及びシャッタ部材444の軸方向における位置をガイドポート435と合わせている。シャッタポート462は、ガイド部材402及びシャッタ部材444の軸方向における位置をガイドポート436と合わせている。ブシュ445は、図6に示すようにガイド部材402の軸方向におけるガイドポート436と通路孔437との間に嵌合されている。ブシュ445は、ガイド部材402に固定されている。ブシュ445は、ガイド部材402におけるシャッタ部材444と通路孔437との間に固定されている。
緩衝器11Aは、ガイド部材402の小径部426に、ガイド部材402の軸方向における軸段部427側から順に、変形抑制部471、介在部472、サブバルブ473、第2ピストン474、サブバルブ475、介在部476、変形抑制部477、通路形成部材478、ケース部材479及び変形抑制部480が嵌合されている。
図7に示すように、ケース部材479は、底部491とテーパ部492と筒状部493とを有している。底部491は有孔円板状である。ケース部材479は、底部491がガイド部材402の小径部426に嵌合する。テーパ部492は底部491の外周縁部から底部491の軸方向における一側に拡径しながら延びている。筒状部493は、テーパ部492の底部491とは反対側の端縁部からテーパ部492の軸方向において底部491とは反対側に延びている。ケース部材479は、その軸方向において底部491がテーパ部492及び筒状部493よりも軸段部427とは反対側に位置する向きとされている。
第2ピストン474は第2ピストン本体501とシール部材502と有している。第2ピストン本体501は円環状であり金属製である。第2ピストン本体501はガイド部材402の小径部426に嵌合する。第2ピストン本体501には外周部にシール溝505が形成されている。シール溝505は円環状である。シール部材502はOリングである。シール部材502はシール溝505に収容されている。第2ピストン本体501はケース部材479の筒状部493に嵌合される。その際に、シール部材502が第2ピストン本体501と筒状部493との間をシールする。これにより、ケース部材479と第2ピストン474との間にケース室508が画成されている。
第2ピストン本体501は、複数(図6及び図7では断面とした関係上一カ所のみ図示)の通路穴511と、環状凹部512と、複数(図6及び図7では断面とした関係上一カ所のみ図示)の通路穴513と、環状凹部514とを有している。
図7に示すように、複数の通路穴511は、第2ピストン本体501の周方向において、それぞれ間に一カ所の通路穴513を挟んで等ピッチで配置されている。複数の通路穴511は、第2ピストン本体501の軸方向におけるケース室508とは反対側の端部が、ケース室508側の端部よりも第2ピストン本体501の径方向における外側に配置されている。環状凹部512は、第2ピストン本体501の軸方向におけるケース室508側の端部に設けられている。環状凹部512は円環状である。環状凹部512は、第2ピストン本体501の軸方向における複数の通路穴511のケース室508側の開口部同士を連通させる。
複数の通路穴513は、第2ピストン本体501の周方向において、それぞれ間に一カ所の通路穴511を挟んで等ピッチで配置されている。複数の通路穴513は、第2ピストン本体501の軸方向におけるケース室508側の端部が、ケース室508とは反対側の端部よりも第2ピストン本体501の径方向における外側に配置されている。環状凹部514は、第2ピストン本体501の軸方向におけるケース室508とは反対側の端部に設けられている。環状凹部514は円環状である。環状凹部514は、第2ピストン本体501の軸方向における複数の通路穴513のケース室508とは反対側の開口部同士を連通させる。
複数の通路穴511及び環状凹部512に対して第3減衰力機構521が設けられている。第3減衰力機構521は、複数の通路穴511内の通路及び環状凹部512内の通路を開閉して減衰力を発生させる。第3減衰力機構521は、ガイド部材402に取り付けられている。第3減衰力機構521は、第2ピストン474の軸方向におけるケース室508側に配置されている。複数の通路穴511内の通路及び環状凹部512内の通路は、第1室31からケース室508に向けて油液が流れ出す第2ピストン通路522を構成する。第2ピストン通路522はピストンロッド41Aの伸び行程において第1室31からケース室508に向けて油液が流れ出す伸び側の通路である。第3減衰力機構521は、第2ピストン通路522に設けられている。第3減衰力機構521は、伸び側の第2ピストン通路522を開閉する伸び側の減衰力発生機構である。
複数の通路穴513及び環状凹部514に対して第3減衰力機構523が設けられている。第3減衰力機構523は、複数の通路穴513内の通路及び環状凹部514内の通路を開閉して減衰力を発生させる。第3減衰力機構523は、ガイド部材402に取り付けられている。第3減衰力機構523は、第2ピストン474の軸方向におけるケース室508とは反対側に配置されている。複数の通路穴513内の通路及び環状凹部514内の通路は、ケース室508から第1室31に向けて油液が流れ出す第2ピストン通路524を構成する。第2ピストン通路524はピストンロッド41Aの縮み行程においてケース室508から第1室31に向けて油液が流れ出す縮み側の通路である。第3減衰力機構523は、第2ピストン通路524に設けられている。第3減衰力機構523は、第2ピストン通路524を開閉する縮み側の減衰力発生機構である。
第2ピストン本体501は、略円板形状をなしている。第2ピストン本体501には貫通穴531が形成されている。貫通穴531は、第2ピストン本体501の径方向の中央に形成されている。貫通穴531は、第2ピストン本体501を第2ピストン本体501の軸方向に貫通している。貫通穴531は、大径穴部532と小径穴部533とを有している。大径穴部532は小径穴部533よりも大径である。大径穴部532は小径穴部533よりも第2ピストン本体501の軸方向におけるケース室508側に配置されている。貫通穴531には、小径穴部533にガイド部材402の小径部426が嵌合する。
第2ピストン本体501は、内側シート部541とバルブシート部542と内側シート部543とバルブシート部544とを有している。内側シート部541及びバルブシート部542は、何れも第2ピストン本体501の軸方向における大径穴部532側の端部に設けられている。内側シート部541は、第2ピストン本体501の大径穴部532と環状凹部512との間に配置されている。内側シート部541は円環状である。内側シート部541には内側シート部541を径方向に横断する通路溝547が形成されている。バルブシート部542は、環状凹部512よりも第2ピストン本体501の径方向における外側に配置されている。バルブシート部542は円環状である。バルブシート部542は伸び側の第3減衰力機構521の一部である。内側シート部541とバルブシート部542との間が環状凹部512となっている。通路溝547内の通路は、大径穴部532内の通路と第2ピストン通路522とを常時連通させる。
内側シート部543及びバルブシート部544は、何れも第2ピストン本体501の軸方向における大径穴部532とは反対側の端部に設けられている。内側シート部543は、第2ピストン本体501の小径穴部533と環状凹部514との間に配置されている。内側シート部543は円環状である。バルブシート部544は、環状凹部514よりも第2ピストン本体501の径方向における外側に配置されている。バルブシート部544は円環状である。バルブシート部544は縮み側の第3減衰力機構523の一部である。内側シート部543とバルブシート部544との間が環状凹部514となっている。
第2ピストン本体501には、その径方向において、バルブシート部542よりも外側に、第2ピストン通路524のケース室508側の開口が配置されている。第2ピストン本体501には、その径方向において、バルブシート部544よりも外側に第2ピストン通路522のケース室508とは反対側の開口が配置されている。
第2ピストン474のケース室508側にサブバルブ475が設けられている。サブバルブ475は第2ピストン474のバルブシート部542とで伸び側の第3減衰力機構521を構成する。サブバルブ475は、複数枚の有孔円板状のディスクが重ねられて構成されている。サブバルブ475は、その径方向の内側にガイド部材402の小径部426を嵌合させている。サブバルブ475は、バルブシート部542に当接することで第2ピストン通路522を閉塞する。サブバルブ475は、バルブシート部542から離れることで第2ピストン通路522を開放する。サブバルブ475には、バルブシート部542に当接した状態でも第2ピストン通路522をケース室508に連通させる固定オリフィス551が形成されている。固定オリフィス551も伸び側の第2ピストン通路522を構成する。伸び側の第3減衰力機構521は、サブバルブ475で第2ピストン通路522を開閉して油液の流れを制御することにより減衰力を発生させる。第3減衰力機構521は固定オリフィス551を含んでいる。
サブバルブ475の第2ピストン474とは反対側に介在部476が設けられている。介在部476は、複数枚の有孔円板状のディスクが重ねられて構成されている。介在部476は、その径方向の内側にガイド部材402の小径部426を嵌合させている。介在部476は、その外径がサブバルブ475の外径よりも小径である。
介在部476のサブバルブ475とは反対側に変形抑制部477が設けられている。変形抑制部477は、複数枚の有孔円板状のディスクが重ねられて構成されている。変形抑制部477は、その径方向の内側にガイド部材402の小径部426を嵌合させている。変形抑制部477は、その外径が、介在部476の外径よりも大径かつサブバルブ475の外径よりも小径である。
変形抑制部477の介在部476とは反対側に通路形成部材478が設けられている。通路形成部材478は、底部561と筒状部562とを有している。底部561は有孔円板状である。通路形成部材478は、底部561がガイド部材402の小径部426に嵌合する。筒状部562は底部561の外周縁部から底部561の軸方向における一側に延びている。筒状部562は円筒状である。筒状部562には、その軸方向における底部561とは反対側に通路溝565が形成されている。通路溝565は筒状部562を筒状部562の径方向に貫通している。通路形成部材478は、その軸方向において底部561が筒状部562よりも変形抑制部477側に位置するように配置されている。通路溝565は、ガイドポート436をケース室508に連通させる。変形抑制部477は、開方向に変形するサブバルブ475に当接する。これにより、変形抑制部477は、サブバルブ475の開方向の変形を通路形成部材478とで抑制する。通路形成部材478は、その軸方向における筒状部562の底部561とは反対側の端部がケース部材479の底部491に当接する。
第2ピストン474のケース室508とは反対側にサブバルブ473が設けられている。サブバルブ473は第2ピストン474のバルブシート部544とで縮み側の第3減衰力機構523を構成する。サブバルブ473は、複数枚の有孔円板状のディスクが重ねられて構成されている。サブバルブ473は、その径方向の内側にガイド部材402の小径部426を嵌合させている。サブバルブ473は、バルブシート部544に当接することで第2ピストン通路524を閉塞する。サブバルブ473は、バルブシート部544から離れることで第2ピストン通路524を開放する。サブバルブ473には、バルブシート部544に当接した状態でも第2ピストン通路524を第1室31に連通させる固定オリフィス571が形成されている。固定オリフィス571も縮み側の第2ピストン通路524を構成する。縮み側の第3減衰力機構523は、サブバルブ473でこの第2ピストン通路524を開閉して油液の流れを制御することにより減衰力を発生させる。第3減衰力機構523は固定オリフィス571を含んでいる。
サブバルブ473の軸方向における第2ピストン474とは反対側に介在部472が設けられている。介在部472は複数枚の有孔円板状のディスクが重ねられて構成されている。介在部472は、その径方向の内側にガイド部材402の小径部426を嵌合させている。介在部472は、その外径がサブバルブ473の外径よりも小径となっている。
介在部472の軸方向におけるサブバルブ473とは反対側に、変形抑制部471が設けられている。変形抑制部471は複数枚の有孔円板状のディスクが重ねられて構成されている。変形抑制部471は、その径方向の内側にガイド部材402の小径部426を嵌合させている。変形抑制部471は、その外径が、介在部472の外径よりも大径かつサブバルブ473の外径よりも小径となっている。変形抑制部471は、開方向に変形するサブバルブ473に当接する。これにより、変形抑制部471は、サブバルブ473の開方向の変形を抑制する。変形抑制部471は、ガイド部材402の軸段部427に当接する。
ケース部材479の底部491の軸方向における通路形成部材478とは反対側に変形抑制部480が設けられている。変形抑制部480は複数枚の有孔円板状のディスクが重ねられて構成されている。変形抑制部480は、その径方向の内側にガイド部材402の小径部426を嵌合させている。
図8に示すように、緩衝器11Aは、変形抑制部480の軸方向におけるケース部材479とは反対側に、何れも第1実施形態と同様の、介在ディスク130、メインバルブ121、ピストン30及びメインバルブ111が設けられている。介在ディスク130、メインバルブ121、ピストン30及びメインバルブ111は、いずも径方向の内側にガイド部材402の小径部426を嵌合させている。ガイド部材402の軸方向において、メインバルブ121はピストン30よりも変形抑制部480側に配置されている。変形抑制部480は、開方向に変形するメインバルブ121に当接する。これにより、変形抑制部480は、メインバルブ121の開方向の変形を抑制する。緩衝器11Aにおいても、第1減衰力機構91はピストン30の第2室32側に設けられている。また、第1減衰力機構92はピストン30の第1室31側に設けられている。
緩衝器11Aは、メインバルブ111の軸方向におけるピストン30とは反対側に、何れも第1実施形態と同様の介在ディスク114と極微低速減衰力発生部61とが設けられている。ここで、緩衝器11Aにおいては、極微低速減衰力発生部61が、第1実施形態とは軸方向に向きを反転させて設けられている。極微低速減衰力発生部61は、その径方向の内側にガイド部材402の小径部426を嵌合させている。
即ち、極微低速減衰力発生部61は、介在ディスク114側から順に、キャップ部材131と、バネ部材135と、ディスク136と、極微低速バルブ137と、外周側にOリング138が設けられた弁座部材139と、極微低速バルブ140と、ディスク141と、バネ部材142とを有している。極微低速減衰力発生部61の軸方向における介在ディスク114とは反対側に、第1実施形態と同様の変形抑制部145が設けられている。変形抑制部145の軸方向における極微低速減衰力発生部61とは反対側に袋ナット581が設けられている。
キャップ部材131は、底部151がその径方向の内側にガイド部材402の小径部426を嵌合させている。キャップ部材131は、筒状部152が底部151から介在ディスク114とは反対側に延びている。キャップ部材131は、底部151が介在ディスク114に当接する。キャップ部材131は、開方向に変形するメインバルブ111に底部151が当接する。これにより、キャップ部材131は、メインバルブ111の開方向の変形を抑制する。
緩衝器11Aにおいては、極微低速減衰力発生部61が、第1室31及び第2室32のうちの一方である第2室32に配置されている。その際に、弁座部材139は、バルブシート部184が第2室32側に配置される。極微低速減衰力発生部61は、部材通路222が第2室32に常時連通する。閉状態の極微低速バルブ140は、部材通路221と第2室32との間を仕切る。弁座部材139は、部材通路223がガイド部材402の通路孔437に連通している。
極微低速減衰力発生部61のバネ部材142よりも弁座部材139とは反対側に変形抑制部145が設けられている。変形抑制部145はガイド部材402の小径部426を内側に嵌合させている。変形抑制部145の軸方向における極微低速減衰力発生部61とは反対側に袋ナット581が設けられている。袋ナット581はガイド部材402のオネジ432に螺合されている。
図6に示すように、ピストンロッド41A内にはロッド通路585が形成されている。ロッド通路585は、ガイド部材402の軸方向におけるオネジ432側の部分の内側範囲を含んでいる。ロッド通路585は、ブシュ445の内側範囲を含んでいる。ロッド通路585は、シャッタ部材444の内側範囲を含んでいる。ロッド通路585は、通路孔437内の通路を含んでいる。ロッド通路585は極微低速減衰力発生部61の部材通路223に連通している。ロッド通路585は袋ナット581によって第2室32側の開庫部が閉じられている。このため、ロッド通路585と第2室32との間で直接油液が流れないようになっている。
図7に示すように、シャッタ部材444のシャッタポート462とガイド部材402のガイドポート436とが、ロッド通路585とケース室508とを連通可能な第1可変流量部591を構成している。第1可変流量部591は図示略のアクチュエータの駆動でピン部材443を介してシャッタ部材444がガイド部材402に対して回転することでシャッタポート462とガイドポート436との連通量が変化する。言い換えれば、第1可変流量部591は、ロッド通路585とケース室508との間の油液の流量を可変とする。
シャッタ部材444のシャッタポート461とガイド部材402のガイドポート435とが、ロッド通路585と第2ピストン通路522とを大径穴部532内の通路及び通路溝547内の通路を介して連通可能な第2可変流量部592を構成している。第2可変流量部592は図示略のアクチュエータの駆動でピン部材443を介してシャッタ部材444がガイド部材402に対して回転することでシャッタポート461とガイドポート435との連通量が変化する。言い換えれば、第2可変流量部592は、ロッド通路585と第2ピストン通路522との間の油液の流量を可変とする。第1可変流量部591及び第2可変流量部592は、可変流量機構593を構成している。第1可変流量部591及び第2可変流量部592は、図示略のアクチュエータにより油液の流量を制御する。
図7に示す第2ピストン通路522と、第3減衰力機構521のバルブシート部542とサブバルブ475との間の通路と、ケース室508と、第1可変流量部591と、ロッド通路585と、図8に示す部材通路223と、部材通路221と、第2減衰力機構323のバルブシート部184と極微低速バルブ140との間の通路とが、第2通路601を構成している。第2通路601は、図7に示す第2ピストン通路522から分岐する通路溝547内の通路と、大径穴部532内の通路と、ロッド通路585に合流する第2可変流量部592とを含んでいる。第2通路601において、バルブシート部542とサブバルブ475との間の通路と、ケース室508と、第1可変流量部591とを結ぶ通路は、通路溝547内の通路と、大径穴部532内の通路と、第2可変流量部592とを結ぶ通路に並列している。よって、可変流量機構593は、第2通路601内で並列に設けられた第1可変流量部591と第2可変流量部592とを有している。
第2通路601は、ピストン30の第1室31側への移動時に第1室31から第2室32に向けて油液が流れ出す通路である。第2通路601は、ピストンロッド41Aの伸び行程において第1室31から第2室32に向けて油液が流れ出す伸び側の通路である。図6に示すように、第3減衰力機構521と第2減衰力機構323とが、第2通路601に設けられている。第3減衰力機構521は、第2通路601の油液の流れを制御することにより減衰力を発生させる伸び側の減衰力発生機構である。第2減衰力機構323は、第2通路601の油液の流れを制御することにより減衰力を発生させる伸び側の減衰力発生機構である。
図8に示す部材通路222と、極微低速バルブ137とバルブシート部182との間の通路と、キャップ室226と、部材通路223と、通路孔437内の通路を含むロッド通路585と、図7に示す第1可変流量部591と、ケース室508と、第2ピストン通路524と、第3減衰力機構523のバルブシート部544とサブバルブ473との間の通路とが、第2通路602を構成している。第2通路602は、ロッド通路585から分岐する第2可変流量部592と、大径穴部532内の通路と、通路溝547内の通路と、第1室31に連通する第2ピストン通路522とを含んでいる。第2通路602において、第1可変流量部591と、ケース室508と、第2ピストン通路524と、バルブシート部544及びサブバルブ473の間の通路とを結ぶ通路は、第2可変流量部592と、大径穴部532内の通路と、通路溝547内の通路と、第2ピストン通路522とを結ぶ通路と並列している。よって、可変流量機構593は、第2通路602内で並列に設けられた第1可変流量部591と第2可変流量部592とを有している。
第2通路602は、ピストン30の第2室32側への移動時に第2室32から第1室31に向けて油液が流れ出す通路である。第2通路602は、ピストンロッド41の縮み行程において第2室32から第1室31に向けて油液が流れ出す縮み側の通路である。図6に示すように、第2減衰力機構321と第3減衰力機構523とが、第2通路602に設けられている。第2減衰力機構321は、第2通路602の油液の流れを制御することにより減衰力を発生させる縮み側の減衰力発生機構である。第3減衰力機構523は、第2通路602の油液の流れを制御することにより減衰力を発生させる縮み側の減衰力発生機構である。
伸び側の第2通路601は、同じく伸び側の第1通路95と並列に設けられている。伸び側の第1通路95に設けられた第1減衰力機構91のメインバルブ111は、伸び側の第2通路601に設けられた第2減衰力機構323の極微低速バルブ140よりも剛性が高い。よって、メインバルブ111は極微低速バルブ140よりも開弁圧が高い。これにより、第2減衰力機構323は、第1減衰力機構91の作動前に作動して減衰力を発生させる。第3減衰力機構521のサブバルブ475は、極微低速バルブ140よりも剛性が高く、メインバルブ111よりも剛性が低い。これにより、第3減衰力機構521は、第2減衰力機構323の作動後であって、第1減衰力機構91の作動前に作動して減衰力を発生させる。伸び側の第2通路601に、第3減衰力機構521と、第1可変流量部591と、第2減衰力機構323とが直列に配置されている。言い換えれば、第2通路601には、第2減衰力機構323及び第1可変流量部591と直列に配置され、油液の流れを制御することにより減衰力を発生させる第3減衰力機構521を有する。
縮み側の第2通路602は、同じく縮み側の第1通路96と並列に設けられている。縮み側の第1通路96に設けられた第1減衰力機構92のメインバルブ121は、縮み側の第2通路602に設けられた第2減衰力機構321の極微低速バルブ137よりも剛性が高い。よって、メインバルブ121は極微低速バルブ137よりも開弁圧が高い。これにより、第2減衰力機構321は、第1減衰力機構92の作動前に作動して減衰力を発生させる。第3減衰力機構523のサブバルブ473は、極微低速バルブ137よりも剛性が高く、メインバルブ121よりも剛性が低い。これにより、第3減衰力機構523は、第2減衰力機構321の作動後、第1減衰力機構92の作動前に作動して減衰力を発生させる。縮み側の第2通路602に、第2減衰力機構321と、第1可変流量部591と、第3減衰力機構523とが直列に配置されている。言い換えれば、第2通路602には、第2減衰力機構321及び第1可変流量部591と直列に配置され、油液の流れを制御することにより減衰力を発生させる第3減衰力機構523を有する。
緩衝器11Aのピストン30の周辺部分の油圧回路図は、図9に示すようになる。図9に示すように、緩衝器11Aには、第1室31と第2室32とを結んで第1通路95,96と並列に第2通路601と第2通路602とが設けられている。第2通路601には、第3減衰力機構521と第2減衰力機構323とが直列に設けられている。第2通路602には、第2減衰力機構321と第3減衰力機構523とが直列に設けられている。第2通路601,602の共通部分に第1可変流量部591が設けられている。第2通路601,602は、第2減衰力機構321,323と第1可変流量部591との間から分岐して第1室31に連通している。この部分に第2可変流量部592が設けられている。第1可変流量部591と第2可変流量部592とは並列に設けられている。
何れもピストンロッド41Aに設けられた第1減衰力機構91,92、第2減衰力機構321,323、第3減衰力機構521,523及び可変流量機構593の作動について図6及び図10を参照しつつ説明する。
<図示略のアクチュエータにより第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に全閉状態とされた場合の伸び行程>
{ピストン速度vが第1値v21よりも低い第1ピストン速度(0<v<v21)の場合}
この場合、第1室31から油液が、第1通路95,96の固定オリフィス112,122を介して第2室32に流れる。このとき、第1室31からの油液は第2通路601,602を介して第2室32に流れることはない。すると、固定オリフィス112,122の絞られた流路で油液が流れることになるため、図10に示すような第1減衰力特性X21が発生する。第1減衰力特性X21は、第1減衰力機構91のメインバルブ111が作動する前であり、第2減衰力機構323の極微低速バルブ140が作動する前であって、第3減衰力機構521のサブバルブ475が作動する前に発生する特性である。
{ピストン速度vが第1値v21以上の第2ピストン速度(v21≦v)の場合}
第1室31からの油液は、第1通路96の固定オリフィス122を介して第2室32に流れると共に第1通路95から伸び側の第1減衰力機構91のメインバルブ111を開いて第2室32に流れることになる。その際に、主に第1減衰力機構91が減衰力を発生させる。すると、第2減衰力特性X22が発生する。第2減衰力特性X22は、主に第1減衰力機構91のメインバルブ111の作動により発生する特性である。第1減衰力機構91は、第1ピストン速度(0<v<v21)よりも速い第2ピストン速度(v21≦v)においてメインバルブ111が開弁する。ここで、第2減衰力特性X22は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X21よりも低くなる。
<図示略のアクチュエータにより第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に全閉状態と全開状態との間の所定の中間開状態とされた場合の伸び行程>
{ピストン速度vが第1値v31よりも低い第1ピストン速度(0<v<v31)の場合}
この場合、第1室31から油液が、第1通路95,96の固定オリフィス112,122を介して第2室32に流れる。このとき、第1室31からの油液は第2通路601,602を介して第2室32に流れることはない。すると、固定オリフィス112,122の絞られた流路で油液が流れることになるため、第1減衰力特性X31が発生する。第1減衰力特性X31は、第1減衰力機構91のメインバルブ111が作動する前であり、第2減衰力機構323の極微低速バルブ140が作動する前であって、第3減衰力機構521のサブバルブ475が作動する前に発生する特性である。
{ピストン速度vが第1値v31以上で第2値v32よりも低い第2ピストン速度(v31≦v<v32)の場合}
この場合、第1室31からの油液は、第1通路95,96の固定オリフィス112,122を介して第2室32に流れる。それと共に、第1室31からの油液は、固定オリフィス571及び第2ピストン通路524を介してケース室508に流れ、第1可変流量部591を介してロッド通路585に流れる。それと共に、第1室31からの油液は、第2通路601の第2ピストン通路522及び固定オリフィス551を介してケース室508に流れ、第1可変流量部591を介してロッド通路585に流れる。それと共に、第1室31からの油液は、第2ピストン通路522、通路溝547内の通路、大径穴部532内の通路及び第2可変流量部592を介してロッド通路585に流れる。そして、第1室31からの油液は、ロッド通路585から部材通路223,221を通り、第2減衰力機構323の極微低速バルブ140を開きながら第2室32に流れる。その際に、固定オリフィス112,122,551,571と、第1可変流量部591と、第2可変流量部592と、作動状態の第2減衰力機構323とが減衰力を発生させる。これにより、第2減衰力特性X32が発生する。第2減衰力特性X32は、固定オリフィス112,122,551,571と、第1可変流量部591と、第2可変流量部592と、第2ピストン速度(v31≦v<v32)における第2減衰力機構323の作動と、により発生する特性である。ここで、第2減衰力特性X32は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X31よりも低くなる。
{ピストン速度vが第2値v32以上で第3値v33よりも低い第3ピストン速度(v32≦v<v33)の場合}
この場合、第1室31からの油液は、第1通路95,96の固定オリフィス112,122を介して第2室32に流れる。それと共に、第1室31からの油液は、固定オリフィス571及び第2ピストン通路524を介してケース室508に流れ、第1可変流量部591を介してロッド通路585に流れる。それと共に、第1室31からの油液は、第2ピストン通路522から第3減衰力機構521のサブバルブ475を開きながらケース室508に流れ、第1可変流量部591を介してロッド通路585に流れる。それと共に、第1室31からの油液は、第2ピストン通路522、通路溝547内の通路、大径穴部532内の通路及び第2可変流量部592を介してロッド通路585に流れる。そして、第1室31からの油液は、ロッド通路585から部材通路223,221を通り、第2減衰力機構323の極微低速バルブ140を開きながら第2室32に流れる。その際に、固定オリフィス112,122,571と、第1可変流量部591と、第2可変流量部592と、作動状態の第3減衰力機構521と、作動状態の第2減衰力機構323とが減衰力を発生させる。これにより、第3減衰力特性X33が発生する。第3減衰力特性X33は、固定オリフィス112,122,571と、第1可変流量部591と、第2可変流量部592と、第3減衰力機構521の作動と、第2減衰力機構323の作動と、により発生する特性である。ここで、第3減衰力特性X33は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X31よりも低く且つ第2減衰力特性X32よりも高くなる。
{ピストン速度vが第3値v33以上の第4ピストン速度(v33≦v)の場合}
この場合、第1室31からの油液は、第3ピストン速度(v32≦v<v33)での流れに加えて、第1通路95から伸び側の第1減衰力機構91のメインバルブ111を開いて第2室32に流れることになる。その際に、固定オリフィス122,571、第1可変流量部591、第2可変流量部592、第3減衰力機構521及び第2減衰力機構323が発生させる減衰力に加えて、第1減衰力機構91が減衰力を発生させる。すると、第4減衰力特性X34が発生する。第4減衰力特性X34は、主に第1減衰力機構91のメインバルブ111の作動により発生する特性である。第1減衰力機構91は、第3ピストン速度(v32≦v<v33)よりも速い第4ピストン速度(v33≦v)においてメインバルブ111が開弁する。ここで、第4減衰力特性X34は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1~第3減衰力特性X31~X33の何れよりも低くなる。第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に所定の中間開状態の場合の伸び行程では、第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に全閉状態の場合の伸び行程よりも全体的に減衰力が下がってソフトになる。
<図示略のアクチュエータにより第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に全開状態とされた場合の伸び行程>
{ピストン速度vが第1値v41よりも低い第1ピストン速度(0<v<v41)の場合}
この場合、緩衝器11Aは、第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に所定の中間開状態とされた場合の伸び行程における第1ピストン速度(0<v<v31)の場合とほぼ同様に、第1室31から第2室32に油液を流す。すると、固定オリフィス112,122の絞られた流路で油液が流れることになるため、第1減衰力特性X41が発生する。第1減衰力特性X41は、第1減衰力機構91のメインバルブ111が作動する前であり、第2減衰力機構323の極微低速バルブ140が作動する前であって、第3減衰力機構521のサブバルブ475が作動する前に発生する特性である。
{ピストン速度vが第1値v41以上で第2値v42よりも低い第2ピストン速度(v41≦v<v42)の場合}
この場合、緩衝器11Aは、第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に所定の中間開状態とされた場合の伸び行程における第2ピストン速度(v31≦v<v32)の場合とほぼ同様に、第1室31から第2室32に油液を流す。その際に、固定オリフィス112,122,551,571と、第1可変流量部591と、第2可変流量部592と、作動状態の第2減衰力機構323とが減衰力を発生させる。これにより、第2減衰力特性X42が発生する。第2減衰力特性X42は、固定オリフィス112,122,551,571と、第1可変流量部591と、第2可変流量部592と、第2ピストン速度(v41≦v<v42)における第2減衰力機構323の作動と、により発生する特性である。ここで、第2減衰力特性X42は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X41よりも低くなる。
{ピストン速度vが第2値v42以上で第3値v43よりも低い第3ピストン速度(v42≦v<v43)の場合}
この場合、緩衝器11Aは、第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に所定の中間開状態とされた場合の伸び行程における第3ピストン速度(v32≦v<v33)の場合とほぼ同様に、第1室31から第2室32に油液を流す。その際に、固定オリフィス112,122,571と、第1可変流量部591と、第2可変流量部592と、第3減衰力機構521と、第2減衰力機構321と、が減衰力を発生させる。すると、第3減衰力特性X43が発生する。第3減衰力特性X43は、固定オリフィス112,122,571と、第1可変流量部591と、第2可変流量部592と、第3減衰力機構521の作動と、第2減衰力機構321の作動と、により発生する特性である。第3減衰力特性X43は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X41よりも低く且つ第2減衰力特性X42よりも高くなる。
{ピストン速度vが第3値v43以上の第4ピストン速度(v43≦v)の場合}
この場合、緩衝器11Aは、第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に所定の中間開状態とされた場合の伸び行程における第4ピストン速度(v33≦v)の場合とほぼ同様に、第1室31から第2室32に油液を流す。その際に、固定オリフィス122,571、第1可変流量部591、第2可変流量部592、第3減衰力機構521及び第2減衰力機構323が発生させる減衰力に加えて、第1減衰力機構91が減衰力を発生させる。すると、第4減衰力特性X44が発生する。第4減衰力特性X44は、主に第1減衰力機構91のメインバルブ111の作動により発生する特性である。第1減衰力機構91は、第3ピストン速度(v42≦v<v43)よりも速い第4ピストン速度(v43≦v)においてメインバルブ111が開弁する。ここで、第4減衰力特性X44は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1~第3減衰力特性X41~X43の何れよりも低くなる。第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に全開状態の場合の伸び行程では、第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に所定の中間開状態の場合の伸び行程よりも全体的に減衰力が下がってソフトになる。
<図示略のアクチュエータにより第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に全閉状態とされた場合の縮み行程>
{ピストン速度vが第1値v61よりも低い第1ピストン速度(0<v<v61)の場合}
この場合、第2室32から油液が、第1通路95,96の固定オリフィス112,122を介して第1室31に流れる。このとき、第2室32からの油液は第2通路601,602を介して第1室31に流れることはない。すると、固定オリフィス112,122の絞られた流路で油液が流れることになるため、第1減衰力特性X51が発生する。第1減衰力特性X51は、第1減衰力機構92のメインバルブ121が作動する前であり、第2減衰力機構321の極微低速バルブ137が作動する前であって、第3減衰力機構523のサブバルブ473が作動する前に発生する特性である。
{ピストン速度vが第1値v51以上の第2ピストン速度(v51≦v)の場合}
第2室32からの油液は、第1通路95の固定オリフィス112を介して第1室31に流れると共に、第1通路96から縮み側の第1減衰力機構92のメインバルブ121を開いて第1室31に流れることになる。その際に、主に第1減衰力機構92が減衰力を発生させる。すると、第2減衰力特性X52が発生する。第2減衰力特性X52は、主に第1減衰力機構92のメインバルブ121の作動により発生する特性である。第1減衰力機構92は、第1ピストン速度(0<v<v51)よりも速い第2ピストン速度(v51≦v)においてメインバルブ121が開弁する。ここで、第2減衰力特性X52は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X51よりも低くなる。
<図示略のアクチュエータにより第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に全閉状態と全開状態との間の所定の中間開状態とされた場合の縮み行程>
{ピストン速度vが第1値v61よりも低い第1ピストン速度(0<v<v61)の場合}
この場合、第2室32から油液が、第1通路95,96の固定オリフィス112,122を介して第1室31に流れる。このとき、第2室32からの油液は第2通路601,602を介して第1室31に流れることはない。すると、固定オリフィス112,122の絞られた流路で油液が流れることになるため、第1減衰力特性X61が発生する。第1減衰力特性X61は、第1減衰力機構92のメインバルブ121が作動する前であり、第2減衰力機構321の極微低速バルブ137が作動する前であって、第3減衰力機構523のサブバルブ473が作動する前に発生する特性である。
{ピストン速度vが第1値v61以上で第2値v62よりも低い第2ピストン速度(v61≦v<v62)の場合}
この場合、第2室32からの油液は、第1通路95,96の固定オリフィス112,122を介して第1室31に流れる。それと共に、第2室32からの油液は、部材通路222から、第2減衰力機構321の極微低速バルブ137を開きながら、部材通路223を介してロッド通路585に導入される。ロッド通路585に導入された油液は、第1可変流量部591を介してケース室508に導入される。ケース室508に導入された油液は、固定オリフィス551を含む第2ピストン通路522から第1室31に流れる。それと共に、ケース室508に導入された油液は、固定オリフィス571を含む第2ピストン通路524から第1室31に流れる。ロッド通路585に導入された油液は、第2可変流量部592から大径穴部532内の通路、通路溝547内の通路及び第2ピストン通路522を介して第1室31に流れる。その際に、固定オリフィス112,122,551,571と、第1可変流量部591と、第2可変流量部592と、作動状態の第2減衰力機構321とが減衰力を発生させる。これにより、第2減衰力特性X62が発生する。第2減衰力特性X62は、固定オリフィス112,122,551,571と、第1可変流量部591と、第2可変流量部592と、第2ピストン速度(v61≦v<v62)における第2減衰力機構321の作動と、により発生する特性である。ここで、第2減衰力特性X62は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X61よりも低くなる。
{ピストン速度vが第2値v62以上で第3値v63よりも低い第3ピストン速度(v62≦v<v63)の場合}
この場合、第2室32からの油液は、第1通路95,96の固定オリフィス112,122を介して第1室31に流れる。それと共に、第2室32からの油液は、部材通路222から第2減衰力機構321の極微低速バルブ137を開きながら、部材通路223を介してロッド通路585に導入される。ロッド通路585に導入された油液は、第1可変流量部591を介してケース室508に導入される。ケース室508に導入された油液は、固定オリフィス551を含む第2ピストン通路522から第1室31に流れると共に第3減衰力機構523のサブバルブ473を開きながら第2ピストン通路524から第1室31に流れる。ロッド通路585に導入された油液は、第2可変流量部592から大径穴部532内の通路、通路溝547内の通路及び第2ピストン通路522を介して第1室31に流れる。その際に、固定オリフィス112,122,551と、第1可変流量部591と、第2可変流量部592と、作動状態の第2減衰力機構321と、作動状態の第3減衰力機構523とが減衰力を発生させる。これにより、第3減衰力特性X63が発生する。第3減衰力特性X63は、固定オリフィス112,122,551と、第1可変流量部591と、第2可変流量部592と、第2減衰力機構323の作動と、第3減衰力機構523の作動と、により発生する特性である。第3減衰力特性X63は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X61よりも低く且つ第2減衰力特性X62よりも高くなる。
{ピストン速度vが第3値v63以上の第4ピストン速度(v63≦v)の場合}
この場合、第2室32からの油液は、第3ピストン速度(v62≦v<v63)での流れに加えて、第1通路96から縮み側の第1減衰力機構92のメインバルブ121を開いて第1室31に流れることになる。その際に、固定オリフィス112,122,551と、第1可変流量部591と、第2可変流量部592と、作動状態の第2減衰力機構321と、作動状態の第3減衰力機構523とが発生させる減衰力に加えて、作動状態の第1減衰力機構92が減衰力を発生させる。すると、第4減衰力特性X64が発生する。第4減衰力特性X64は、主に第1減衰力機構92のメインバルブ121の作動により発生する特性である。第1減衰力機構92は、第3ピストン速度(v62≦v<v63)よりも速い第4ピストン速度(v63≦v)においてメインバルブ121が開弁する。ここで、第4減衰力特性X64は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1~第3減衰力特性X61~X63の何れよりも低くなる。第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に所定の中間開状態の場合の縮み行程では、第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に全閉状態の場合の縮み行程よりも全体的に減衰力が下がってソフトになる。
<図示略のアクチュエータにより第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に全開状態とされた場合の縮み行程>
{ピストン速度vが第1値v71よりも低い第1ピストン速度(0<v<v71)の場合}
この場合、緩衝器11Aは、第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に所定の中間開状態とされた場合の縮み行程における第1ピストン速度(0<v<v61)の場合とほぼ同様に、第2室32から第1室31に油液を流す。すると、固定オリフィス112,122の絞られた流路で油液が流れることになるため、第1減衰力特性X71が発生する。第1減衰力特性X71は、第1減衰力機構92のメインバルブ121が作動する前であり、第2減衰力機構321の極微低速バルブ137が作動する前であって、第3減衰力機構523のサブバルブ473が作動する前に発生する特性である。
{ピストン速度vが第1値v71以上で第2値v72よりも低い第2ピストン速度(v71≦v<v72)の場合}
この場合、緩衝器11Aは、第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に所定の中間開状態とされた場合の縮み行程における第2ピストン速度(v61≦v<v62)の場合とほぼ同様に、第2室32から第1室31に油液を流す。その際に、固定オリフィス112,122,551,571と、第1可変流量部591と、第2可変流量部592と、作動状態の第2減衰力機構323とが減衰力を発生させる。これにより、第2減衰力特性X72が発生する。第2減衰力特性X72は、固定オリフィス112,122,551,571と、第1可変流量部591と、第2可変流量部592と、第2ピストン速度(v71≦v<v72)における第2減衰力機構321の作動と、により発生する特性である。ここで、第2減衰力特性X72は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X71よりも低くなる。
{ピストン速度vが第2値v72以上で第3値v73よりも低い第3ピストン速度(v72≦v<v73)の場合}
この場合、緩衝器11Aは、第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に所定の中間開状態とされた場合の縮み行程における第3ピストン速度(v62≦v<v63)の場合とほぼ同様に、第2室32から第1室31に油液を流す。その際に、固定オリフィス112,122,551と、第1可変流量部591と、第2可変流量部592と、作動状態の第2減衰力機構321と、作動状態の第3減衰力機構523とが減衰力を発生させる。これにより、第3減衰力特性X73が発生する。第3減衰力特性X73は、固定オリフィス112,122,551と、第1可変流量部591と、第2可変流量部592と、第2減衰力機構323の作動と、第3減衰力機構523の作動と、により発生する特性である。第3減衰力特性X73は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X71よりも低く且つ第2減衰力特性X72よりも高くなる。
{ピストン速度vが第3値v73以上の第4ピストン速度(v73≦v)の場合}
この場合、緩衝器11Aは、第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に所定の中間開状態とされた場合の縮み行程における第4ピストン速度(v63≦v)の場合とほぼ同様に、第2室32から第1室31に油液を流す。その際に、第1可変流量部591と、第2可変流量部592と、作動状態の第2減衰力機構321と、作動状態の第3減衰力機構523とが発生させる減衰力に加えて、作動状態にある第1減衰力機構92が減衰力を発生させる。すると、第4減衰力特性X74が発生する。第4減衰力特性X74は、主に第1減衰力機構92のメインバルブ121の作動により発生する特性である。第1減衰力機構92は、第3ピストン速度(v72≦v<v73)よりも速い第4ピストン速度(v73≦v)においてメインバルブ121が開弁する。ここで、第4減衰力特性X74は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1~第3減衰力特性X71~X73の何れよりも低くなる。第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に全開状態の場合の縮み行程では、第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に所定の中間開状態の場合の縮み行程よりも全体的に減衰力が下がってソフトになる。
ここで、第2実施形態の緩衝器11Aにおいて、極微低速減衰力発生部61が設けられておらず、ロッド通路585が第2室32に直接連通している比較例2の緩衝器(例えば、特開2013-204772号公報参照)の場合、図10に破線Y11で示す第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に所定の中間開状態の場合及び破線Y12で示す第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に全開状態の場合の両方において、ピストン速度が低速時の減衰力が通常の緩衝器よりも低くなってしまう。このようにピストン速度が低速時の減衰力の立ち上がりに遅れが生じると、この緩衝器を使用した車両において、走行時にふらつきを生じる可能性がある。
第2実施形態の緩衝器11Aは、第1減衰力機構91,92が設けられた第1通路95,96に対して、並列に第2通路601,602を設けている。第2通路601,602に、第1減衰力機構91,92へ流れる油液の流量を変化させる可変流量機構593を設けている。そして、第1減衰力機構91の作動前に作動して減衰力を発生させる第2減衰力機構323を可変流量機構593と直列に配置して第2通路601に設けている。また、第1減衰力機構92の作動前に作動して減衰力を発生させる第2減衰力機構321を可変流量機構593と直列に配置して第2通路602に設けている。これにより、第2減衰力機構321,323が、ピストン速度の低速時においても減衰力を良好に立ち上げることになる。従って、緩衝器11Aは、その作動初期の減衰力不足により車両に生じる走行時のふらつきを抑制することができる。
具体的に、図10に実線Z11で示す緩衝器11Aの第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に所定の中間開状態の場合のときの減衰力特性は、破線Y11で示す比較例2の第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に所定の中間開状態の場合の減衰力特性と比べて、ピストン速度が低速のときの減衰力の立ち上がりが改善されることが判る。また、実線Z12で示す緩衝器11Aの第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に全開状態の場合の減衰力特性も、破線Y12で示す比較例2の第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に全開状態の場合の減衰力特性と比べて、ピストン速度が低速のときの減衰力の立ち上がりが改善されることが判る。
ここで、緩衝器11Aは、第1減衰力機構91,92へ流れる油液の流量を変化させる機構が、図示略のアクチュエータにより油液の流量を制御し、第2通路601,602内で並列に設けられた第1可変流量部591と第2可変流量部592とを有する。このような第1可変流量部591と第2可変流量部592とを有する構造において、第2通路601,602に、第2減衰力機構321,323及び第1可変流量部591と直列に配置され、油液の流れを制御することにより減衰力を発生させる第3減衰力機構521,523を有する。よって、第1可変流量部591と第2可変流量部592と第3減衰力機構521,523とを有する構造において、第2減衰力機構321,323を設けることによって、ピストン速度の低速時においても減衰力を良好に立ち上げることができる。
緩衝器11Aは、第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に所定の中間開状態の場合の伸び行程において、第1減衰力特性X31~第4減衰力特性X34を有する。第1減衰力特性X31は、第1ピストン速度(0<v<v31)において、第1減衰力機構91のメインバルブ111が作動する前であり、第2減衰力機構323の極微低速バルブ140が作動する前であって、第3減衰力機構521のサブバルブ475が作動する前に発生する特性である。第2減衰力特性X32は、第1ピストン速度(0<v<v31)よりも速い第2ピストン速度(v31≦v<v32)における第2減衰力機構323の作動と、可変流量機構593と、により発生する特性である。第3減衰力特性X33は、第2ピストン速度(v31≦v<v32)よりも速い第3ピストン速度(v32≦v<v33)における第3減衰力機構521の作動と、第2減衰力機構323の作動と、可変流量機構593と、により発生する特性である。第4減衰力特性X34は、第3ピストン速度(v32≦v<v33)よりも速い第4ピストン速度(v33≦v)における第1減衰力機構91の作動と、第2減衰力機構323の作動と、第3減衰力機構521の作動と、可変流量機構593と、により発生する特性である。緩衝器11Aは、第1減衰力特性X31~第3減衰力特性X33によって、第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に所定の中間開状態の場合の伸び行程において、その作動初期の減衰力不足により車両に生じる走行時のふらつきを抑制することができる。
緩衝器11Aは、第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に全開状態の場合の伸び行程において、第1減衰力特性X41~第4減衰力特性X44を有する。第1減衰力特性X41は、第1ピストン速度(0<v<v41)において、第1減衰力機構91のメインバルブ111が作動する前であり、第2減衰力機構323の極微低速バルブ140が作動する前であって、第3減衰力機構521のサブバルブ475が作動する前に発生する特性である。第2減衰力特性X42は、第1ピストン速度(0<v<v41)よりも速い第2ピストン速度(v41≦v<v42)における第2減衰力機構323の作動と、可変流量機構593と、により発生する特性である。第3減衰力特性X43は、第2ピストン速度(v41≦v<v42)よりも速い第3ピストン速度(v42≦v<v43)における第3減衰力機構521の作動と、第2減衰力機構323の作動と、可変流量機構593と、により発生する特性である。第4減衰力特性X44は、第3ピストン速度(v42≦v<v43)よりも速い第4ピストン速度(v43≦v)における第1減衰力機構91の作動と、第2減衰力機構323の作動と、第3減衰力機構521の作動と、可変流量機構593と、により発生する特性である。緩衝器11Aは、第1減衰力特性X41~第3減衰力特性X43によって、第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に全開状態の場合の伸び行程において、その作動初期の減衰力不足により車両に生じる走行時のふらつきを抑制することができる。
緩衝器11Aは、第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に所定の中間開状態の場合の縮み行程において、第1減衰力特性X61~第4減衰力特性X64を有する。第1減衰力特性X61は、第1ピストン速度(0<v<v61)において、第1減衰力機構92のメインバルブ121が作動する前であり、第2減衰力機構321の極微低速バルブ137が作動する前であって、第3減衰力機構523のサブバルブ473が作動する前に発生する特性である。第2減衰力特性X62は、第1ピストン速度(0<v<v61)よりも速い第2ピストン速度(v61≦v<v62)における第2減衰力機構321の作動と、可変流量機構593と、により発生する特性である。第3減衰力特性X63は、第2ピストン速度(v61≦v<v62)よりも速い第3ピストン速度(v62≦v<v63)における第3減衰力機構523の作動と、第2減衰力機構321の作動と、可変流量機構593と、により発生する特性である。第4減衰力特性X64は、第3ピストン速度(v62≦v<v63)よりも速い第4ピストン速度(v63≦v)における第1減衰力機構92の作動と、第2減衰力機構321の作動と、第3減衰力機構523の作動と、可変流量機構593と、により発生する特性である。緩衝器11Aは、第1減衰力特性X61~第3減衰力特性X63によって、第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に所定の中間開状態の場合の縮み行程において、その作動初期の減衰力不足により車両に生じる走行時のふらつきを抑制することができる。
緩衝器11Aは、第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に全開状態の場合の縮み行程において、第1減衰力特性X71~第4減衰力特性X74を有する。第1減衰力特性X71は、第1ピストン速度(0<v<v71)において、第1減衰力機構92のメインバルブ121が作動する前であり、第2減衰力機構321の極微低速バルブ137が作動する前であって、第3減衰力機構523のサブバルブ473が作動する前に発生する特性である。第2減衰力特性X72は、第1ピストン速度(0<v<v71)よりも速い第2ピストン速度(v71≦v<v72)における第2減衰力機構321の作動と、可変流量機構593と、により発生する特性である。第3減衰力特性X73は、第2ピストン速度(v71≦v<v72)よりも速い第3ピストン速度(v72≦v<v73)における第3減衰力機構523の作動と、第2減衰力機構321の作動と、可変流量機構593と、により発生する特性である。第4減衰力特性X74は、第3ピストン速度(v72≦v<v73)よりも速い第4ピストン速度(v73≦v)における第1減衰力機構92の作動と、第2減衰力機構321の作動と、第3減衰力機構523の作動と、可変流量機構593と、により発生する特性である。緩衝器11Aは、第1減衰力特性X71~第3減衰力特性X73によって、第1可変流量部591及び第2可変流量部592が共に全開状態の場合の縮み行程において、その作動初期の減衰力不足により車両に生じる走行時のふらつきを抑制することができる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態を主に図11~図13に基づいて第2実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第2実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図11に示すように、第3実施形態の緩衝器11Bは、ピストンロッド41Bがピストンロッド41Aとは一部異なっている。ピストンロッド41Bは、ガイド部材402Bが、ガイド部材402とは一部異なっている。
ガイド部材402Bは、本体部421に対してガイドポート435及び通路孔437が形成されていない点が相違する本体部421Bを有している。本体部421Bは、小径部426とは異なる小径部426Bを有している。小径部426Bには、その軸方向の中間位置に通路溝621が形成されている。通路溝621は小径部426Bの軸方向に延びている。通路溝621は小径部426Bの周方向に間隔をあけて複数設けられている。ガイドポート436Bは、その位置に通路溝621が形成されている点がガイドポート436とは異なっている。通路溝621は、小径部426Bの外周部を小径部426Bの中心軸線と平行な平面状に切り欠いて形成されている。通路溝621は、小径部426Bの軸方向においてガイドポート436Bの範囲からオネジ432側の所定位置まで延びている。
緩衝器11Bは、シャッタ部材444Bがシャッタ部材444とは一部異なっている。シャッタ部材444Bは、図12に示すように、外側筒状部453Bが外側筒状部453とは一部異なっている。外側筒状部453Bには、シャッタポート461,462のうちのシャッタポート461が形成されておらず、シャッタポート462のみが形成されている。
緩衝器11Bは、第2ピストン474Bが第2ピストン474とは一部異なっている。第2ピストン474Bは、第2ピストン本体501Bが第2ピストン本体501とは一部異なっている。第2ピストン本体501Bは、通路溝547が設けられていない点が内側シート部541とは異なる内側シート部541Bを有している。第2ピストン本体501Bは、貫通穴531Bが貫通穴531とは一部異なっている。貫通穴531Bは、大径穴部532が設けられておらず、軸方向の全体が小径穴部533と同径に形成されている。つまり、緩衝器11Bは、第2可変流量部592を有しておらず、第1可変流量部591と同様の可変流量機構593Bを有している。
緩衝器11Bは、第3減衰力機構521Bが第3減衰力機構521とは一部異なっている。第3減衰力機構521Bは、サブバルブ475Bがサブバルブ475とは一部異なっている。サブバルブ475Bには固定オリフィス551が設けられていない。緩衝器11Bは、第3減衰力機構523Bが第3減衰力機構523とは一部異なっている。第3減衰力機構523Bは、サブバルブ473Bがサブバルブ473とは一部異なっている。サブバルブ473Bには固定オリフィス571が設けられていない。
緩衝器11Bは、ケース部材479の底部491の軸方向における通路形成部材478とは反対側に第2実施形態と同様の極微低速減衰力発生部61が設けられている。極微低速減衰力発生部61は、径方向内側に小径部426Bを嵌合させている。極微低速減衰力発生部61は、その軸方向において、ケース部材479側から順に、キャップ部材131と、バネ部材135と、ディスク136と、極微低速バルブ137と、外周側にOリング138が設けられた弁座部材139と、極微低速バルブ140と、ディスク141と、バネ部材142とが重ねられている。緩衝器11Bは、極微低速減衰力発生部61の軸方向におけるケース部材479とは反対側に変形抑制ディスク145Bを有している。変形抑制ディスク145Bの軸方向における極微低速減衰力発生部61とは反対側に第2実施形態と同様の変形抑制部480が設けれている。変形抑制ディスク145Bは、有孔円板状であって、径方向内側に小径部426Bを嵌合させている。変形抑制ディスク145Bは、開方向に変形する極微低速バルブ140に当接する。これにより、変形抑制ディスク145Bは、極微低速バルブ140の開方向の変形を変形抑制部480とによって抑制する。
図11に示すように、緩衝器11Bには、変形抑制部480の軸方向における変形抑制ディスク145Bとは反対側に、変形抑制部480側から順に、何れも第2実施形態と同様の介在ディスク130と、メインバルブ121と、ピストン30と、メインバルブ111と、介在ディスク114とが設けられている。介在ディスク114の軸方向におけるメインバルブ111とは反対側に変形抑制部631が設けられている。変形抑制部631は円環状である。変形抑制部631は、径方向内側に小径部426Bを嵌合させている。変形抑制部631は、複数枚の有孔円板状のディスクが重ねられて構成されている。変形抑制部631は、開方向に変形するメインバルブ111に当接する。これにより、変形抑制部631は、メインバルブ111の開方向の変形を抑制する。変形抑制部631の軸方向におけるメインバルブ111とは反対側にナット581Bが設けられている。ナット581Bはガイド部材402Bのオネジ432に螺合されている。
緩衝器11Bにおいては、極微低速減衰力発生部61が、第1室31及び第2室32のうちの一方である第1室31に配置されている。その際に、弁座部材139は、図12に示すように、バルブシート部184が第1室31側に配置される。極微低速減衰力発生部61は、部材通路222が第1室31に常時連通する。閉状態の極微低速バルブ140は、部材通路221と第1室31との間を仕切る。弁座部材139は、部材通路223がガイド部材402Bの通路溝621内のオリフィス622に連通している。部材通路223はオリフィス622を介してケース室508に常時連通している。
図11に示すように、ピストンロッド41B内にはロッド通路585Bが形成されている。ロッド通路585Bは、ガイド部材402Bの軸方向におけるオネジ432側の部分の内側範囲を含んでいる。ロッド通路585Bは、ブシュ445の内側範囲を含んでいる。ロッド通路585Bは、シャッタ部材444Bの内側範囲を含んでいる。ロッド通路585Bは、その軸方向における大径部425とは反対側の端部が第2室32に開口している。このため、ロッド通路585Bと第2室32との間で直接油液が流れるようになっている。
図12に示すように、シャッタ部材444Bのシャッタポート462とガイド部材402Bのガイドポート436Bとが、ロッド通路585Bとケース室508とを連通可能な可変流量機構593Bを構成している。可変流量機構593Bは、図示略のアクチュエータの駆動でピン部材443を介してシャッタ部材444Bがガイド部材402Bに対して回転することでシャッタポート462とガイドポート436Bとの連通量が変化する。言い換えれば、可変流量機構593Bは、ロッド通路585Bとケース室508との間の油液の流量を可変とする。
第2ピストン通路522と、第3減衰力機構521Bのバルブシート部542とサブバルブ475Bとの間の通路と、ケース室508と、可変流量機構593Bと、ロッド通路585Bとが、第2通路601Bを構成している。第2通路601Bは、部材通路222と、極微低速バルブ137とバルブシート部182との間の通路と、キャップ室226と、部材通路223と、通路溝621内のオリフィス622とを含んでいる。第2通路601Bにおいて、第2ピストン通路522は、部材通路222と、極微低速バルブ137とバルブシート部182との間の通路と、キャップ室226と、部材通路223と、オリフィス622とを結ぶ通路に対して並列に設けられている。よって、第2通路601Bは、第2減衰力機構321と並列に設けられ、油液の流れを制御することにより減衰力を発生させる第3減衰力機構521Bを有する。
第2通路601Bは、ピストン30の第1室31側への移動時に第1室31から第2室32に向けて油液が流れ出す通路である。第2通路601Bは、ピストンロッド41Bの伸び行程において第1室31から第2室32に向けて油液が流れ出す伸び側の通路である。第3減衰力機構521Bと第2減衰力機構321とが、第2通路601Bに設けられている。第3減衰力機構521Bは、第2通路601Bの油液の流れを制御することにより減衰力を発生させる伸び側の減衰力発生機構である。第2減衰力機構321も、第2通路601Bの油液の流れを制御することにより減衰力を発生させる伸び側の減衰力発生機構である。
ロッド通路585Bと、可変流量機構593Bと、ケース室508と、第2ピストン通路524と、第3減衰力機構523Bのバルブシート部544とサブバルブ473Bとの間の通路とが、第2通路602Bを構成している。第2通路602Bは、通路溝621内のオリフィス622と、部材通路223と、キャップ室226と、部材通路221と、極微低速バルブ140とバルブシート部184との間の通路と、を含んでいる。第2通路602Bにおいて、第2ピストン通路524は、通路溝621内のオリフィス622と、部材通路223と、キャップ室226と、部材通路221と、極微低速バルブ140とバルブシート部184との間の通路とを結ぶ通路に対して並列に設けられている。よって、第2通路602Bは、第2減衰力機構323と並列に設けられ、油液の流れを制御することにより減衰力を発生させる第3減衰力機構523Bを有する。
第2通路602Bは、ピストン30の第2室32側への移動時に第2室32から第1室31に向けて油液が流れ出す通路である。第2通路602Bは、ピストンロッド41Bの縮み行程において第2室32から第1室31に向けて油液が流れ出す縮み側の通路である。第2減衰力機構323と第3減衰力機構523Bとが、第2通路602Bに設けられている。第3減衰力機構523Bは、第2通路602Bの油液の流れを制御することにより減衰力を発生させる縮み側の減衰力発生機構である。第2減衰力機構323も、第2通路602Bの油液の流れを制御することにより減衰力を発生させる縮み側の減衰力発生機構である。
図11に示すように、伸び側の第2通路601Bは、同じく伸び側の第1通路95と並列に設けられている。伸び側の第1通路95に設けられた第1減衰力機構91のメインバルブ111は、伸び側の第2通路601Bに設けられた第2減衰力機構321の極微低速バルブ137よりも剛性が高い。よって、メインバルブ111は極微低速バルブ137よりも開弁圧が高い。これにより、第2減衰力機構321は、第1減衰力機構91の作動前に作動して減衰力を発生させる。第3減衰力機構521Bのサブバルブ475Bは、極微低速バルブ137よりも剛性が高く、メインバルブ111よりも剛性が低い。これにより、第3減衰力機構521Bは、第2減衰力機構321の作動後、第1減衰力機構91の作動前に作動して減衰力を発生させる。伸び側の第2通路601Bには、第2減衰力機構321と直列に可変流量機構593Bが設けられている。第2通路601Bには、第3減衰力機構521Bと直列に可変流量機構593Bが設けられている。
縮み側の第2通路602Bは、同じく縮み側の第1通路96と並列に設けられている。縮み側の第1通路96に設けられた第1減衰力機構92のメインバルブ121は、縮み側の第2通路602Bに設けられた第2減衰力機構323の極微低速バルブ140よりも剛性が高い。よって、メインバルブ121は極微低速バルブ140よりも開弁圧が高い。これにより、第2減衰力機構323は、第1減衰力機構92の作動前に作動して減衰力を発生させる。第3減衰力機構523Bのサブバルブ473Bは、極微低速バルブ140よりも剛性が高く、メインバルブ121よりも剛性が低い。これにより、第3減衰力機構523Bは、第2減衰力機構323の作動後、第1減衰力機構92の作動前に作動して減衰力を発生させる。縮み側の第2通路602Bには、可変流量機構593Bと直列に第2減衰力機構323が設けられている。第2通路602Bには、可変流量機構593Bと直列に第3減衰力機構523Bが設けられている。
緩衝器11Bのピストン30の周辺部分の油圧回路図は、図13に示すようになる。図13に示すように、緩衝器11Bには、第1室31と第2室32とを結んで第1通路95,96と並列に第2通路601Bと第2通路602Bとが設けられている。第2通路601Bには、第3減衰力機構521Bと第2減衰力機構321とが並列に設けられている。第2通路602Bには、第2減衰力機構323と第3減衰力機構523Bとが並列に設けられている。第2通路601B,602Bの第2室32側の共通部分に可変流量機構593Bが設けられている。第2通路601B,602Bには、第2減衰力機構321,323と可変流量機構593Bとの間にオリフィス622が設けられている。
何れもピストンロッド41Bに設けられた第1減衰力機構91,92、第2減衰力機構321,323、第3減衰力機構521B,523B及び可変流量機構593Bの作動について図11を参照しつつ説明する。
<図示略のアクチュエータにより可変流量機構593Bが全閉状態とされた場合の伸び行程>
{ピストン速度vが第1値v81よりも低い第1ピストン速度(0<v<v81)の場合}
この場合、第1室31から油液が、第1通路95,96の固定オリフィス112,122を介して第2室32に流れる。このとき、第1室31からの油液は第2通路601B,602Bを介して第2室32に流れることはない。すると、固定オリフィス112,122の絞られた流路で油液が流れることになるため、第1減衰力特性X81が発生する。第1減衰力特性X81は、第1減衰力機構91のメインバルブ111が作動する前であり、第2減衰力機構321の極微低速バルブ137が作動する前であって、第3減衰力機構521Bのサブバルブ475Bが作動する前に発生する特性である。
{ピストン速度vが第1値v81以上の第2ピストン速度(v81≦v)の場合}
第1室31からの油液は、第1通路96の固定オリフィス122を介して第2室32に流れると共に第1通路95から伸び側の第1減衰力機構91のメインバルブ111を開いて第2室32に流れることになる。その際に、主に第1減衰力機構91が減衰力を発生させる。すると、第2減衰力特性X82が発生する。第2減衰力特性X82は、主に第1減衰力機構91のメインバルブ111の作動により発生する特性である。第1減衰力機構91は、第1ピストン速度(0<v<v81)よりも速い第2ピストン速度(v81≦v)においてメインバルブ111が開弁する。ここで、第2減衰力特性X82は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X81よりも低くなる。
<図示略のアクチュエータにより可変流量機構593Bが全閉状態と全開状態との間の所定の中間開状態とされた場合の伸び行程>
{ピストン速度vが第1値v91よりも低い第1ピストン速度(0<v<v91)の場合}
この場合、第1室31から油液が、第1通路95,96の固定オリフィス112,122を介して第2室32に流れる。このとき、第1室31からの油液は第2通路601B,602Bを介して第2室32に流れることはない。すると、固定オリフィス112,122の絞られた流路で油液が流れることになるため、第1減衰力特性X91が発生する。第1減衰力特性X91は、第1減衰力機構91のメインバルブ111が作動する前であり、第2減衰力機構321の極微低速バルブ137が作動する前であって、第3減衰力機構521Bのサブバルブ475Bが作動する前に発生する特性である。
{ピストン速度vが第1値v91以上で第2値v92よりも低い第2ピストン速度(v91≦v<v92)の場合}
この場合、第1室31からの油液は、第1通路95,96の固定オリフィス112,122を介して第2室32に流れる。それと共に、第1室31からの油液は、第2減衰力機構321の極微低速バルブ137を開きながらオリフィス622を介してケース室508に流れる。第1室31からの油液は、ケース室508から可変流量機構593B及びロッド通路585Bを介して第2室32に流れる。その際に、固定オリフィス112,122、第2減衰力機構321、オリフィス622及び可変流量機構593Bが減衰力を発生させる。これにより、第2減衰力特性X92が発生する。第2減衰力特性X92は、固定オリフィス112,122と、第2ピストン速度(v91≦v<v92)における第2減衰力機構321の作動と、オリフィス622と、可変流量機構593Bと、により発生する特性である。ここで、第2減衰力特性X92は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X91よりも低くなる。
{ピストン速度vが第2値v92以上で第3値v93よりも低い第3ピストン速度(v92≦v<v93)の場合}
この場合、第1室31からの油液は、第1通路95,96の固定オリフィス112,122を介して第2室32に流れる。それと共に、第1室31からの油液は、第2減衰力機構321の極微低速バルブ137を開きながらオリフィス622を介してケース室508に流れる。それと共に、第1室31からの油液は、第2ピストン通路522からサブバルブ475Bを開きながらケース室508に流れる。第1室31からの油液は、ケース室508から可変流量機構593B及びロッド通路585Bを介して第2室32に流れる。すると、第3減衰力特性X93が発生する。第3減衰力特性X93は、固定オリフィス112,122と、第2減衰力機構321の作動と、オリフィス622と、第3減衰力機構521Bの作動と、可変流量機構593Bと、により発生する特性である。第3減衰力特性X93は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X91よりも低く且つ第2減衰力特性X92よりも高くなる。
{ピストン速度vが第3値v93以上の第4ピストン速度(v93≦v)の場合}
この場合、第1室31からの油液は、第3ピストン速度(v92≦v<v93)での流れに加えて、第1通路95から伸び側の第1減衰力機構91のメインバルブ111を開いて第2室32に流れることになる。その際に、固定オリフィス122、第2減衰力機構323、オリフィス622、第3減衰力機構521B及び可変流量機構593Bが発生させる減衰力に加えて、第1減衰力機構91が減衰力を発生させる。すると、第4減衰力特性X94が発生する。第4減衰力特性X94は、主に第1減衰力機構91のメインバルブ111の作動により発生する特性である。第1減衰力機構91は、第3ピストン速度(v92≦v<v93)よりも速い第4ピストン速度(v93≦v)においてメインバルブ111が開弁する。ここで、第4減衰力特性X94は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1~第3減衰力特性X91~X93の何れよりも低くなる。可変流量機構593Bが所定の中間開状態の場合の伸び行程では、可変流量機構593Bが全閉状態の場合の伸び行程よりも全体的に減衰力が下がってソフトになる。
<図示略のアクチュエータにより可変流量機構593が全開状態とされた場合の伸び行程>
{ピストン速度vが第1値v101よりも低い第1ピストン速度(0<v<v101)の場合}
この場合、緩衝器11Bは、可変流量機構593Bが所定の中間開状態とされた場合の伸び行程における第1ピストン速度(0<v<v91)の場合とほぼ同様に、第1室31から第2室32に油液を流す。すると、固定オリフィス112,122の絞られた流路で油液が流れることになるため、第1減衰力特性X101が発生する。第1減衰力特性X101は、第1減衰力機構91のメインバルブ111が作動する前であり、第2減衰力機構321の極微低速バルブ137が作動する前であって、第3減衰力機構521Bのサブバルブ475Bが作動する前に発生する特性である。
{ピストン速度vが第1値v101以上で第2値v102よりも低い第2ピストン速度(v101≦v<v102)の場合}
この場合、緩衝器11Bは、可変流量機構593が所定の中間開状態とされた場合の伸び行程における第2ピストン速度(91≦v<v92)の場合とほぼ同様に、第1室31から第2室32に油液を流す。その際に、固定オリフィス112,122、第2減衰力機構321、オリフィス622及び可変流量機構593が減衰力を発生させる。これにより、第2減衰力特性X102が発生する。第2減衰力特性X102は、固定オリフィス112,122と、第2ピストン速度(v101≦v<v102)における第2減衰力機構321の作動と、オリフィス622と、可変流量機構593Bと、により発生する特性である。ここで、第2減衰力特性X102は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X101よりも低くなる。
{ピストン速度vが第2値v102以上で第3値v103よりも低い第3ピストン速度(v102≦v<v103)の場合}
この場合、緩衝器11Bは、可変流量機構593が所定の中間開状態とされた場合の伸び行程における第3ピストン速度(93≦v<v94)の場合とほぼ同様に、第1室31から第2室32に油液を流す。その際に、固定オリフィス112,122と、第2減衰力機構321の作動と、オリフィス622と、第3減衰力機構521Bの作動と、可変流量機構593Bと、により減衰力を発生させる。すると、第3減衰力特性X103が発生する。第3減衰力特性X103は、固定オリフィス112,122と、第2減衰力機構321の作動と、オリフィス622と、第3減衰力機構521Bの作動と、可変流量機構593Bと、により発生する特性である。第3減衰力特性X103は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X101よりも低く且つ第2減衰力特性X102よりも高くなる。
{ピストン速度vが第3値v103以上の第4ピストン速度(v103≦v)の場合}
この場合、緩衝器11Bは、可変流量機構593が所定の中間開状態とされた場合の伸び行程における第4ピストン速度(v94≦v)の場合とほぼ同様に、第1室31から第2室32に油液を流す。その際に、作動状態の第2減衰力機構323、オリフィス622、作動状態の第3減衰力機構521B及び可変流量機構593が発生させる減衰力に加えて、作動状態の第1減衰力機構91が減衰力を発生させる。すると、第4減衰力特性X104が発生する。第4減衰力特性X104は、主に第1減衰力機構91のメインバルブ111の作動により発生する特性である。第1減衰力機構91は、第3ピストン速度(v102≦v<v103)よりも速い第4ピストン速度(v103≦v)においてメインバルブ111が開弁する。ここで、第4減衰力特性X104は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1~第3減衰力特性X101~X103の何れよりも低くなる。可変流量機構593Bが全開状態の場合の伸び行程では、可変流量機構593Bが所定の中間開状態の場合の伸び行程よりも全体的に減衰力が下がってソフトになる。
なお、第3実施形態の緩衝器11Bの伸び行程の減衰力特性は、図10に示す第2実施形態の緩衝器11Aの伸び行程の減衰力特性とほぼ同様になる。
<図示略のアクチュエータにより可変流量機構593Bが全閉状態とされた場合の縮み行程>
{ピストン速度vが第1値v111よりも低い第1ピストン速度(0<v<v111)の場合}
この場合、第2室32から油液が、第1通路95,96の固定オリフィス112,122を介して第1室31に流れる。このとき、第2室32からの油液は第2通路601B,602Bを介して第1室31に流れることはない。すると、固定オリフィス112,122の絞られた流路で油液が流れることになるため、第1減衰力特性X111が発生する。第1減衰力特性X111は、第1減衰力機構92のメインバルブ121が作動する前であり、第2減衰力機構323の極微低速バルブ140が作動する前であって、第3減衰力機構523Bのサブバルブ473Bが作動する前に発生する特性である。
{ピストン速度vが第1値v111以上の第2ピストン速度(v111≦v)の場合}
第2室32からの油液は、第1通路95の固定オリフィス112を介して第1室31に流れると共に、第1通路96から縮み側の第1減衰力機構92のメインバルブ121を開いて第1室31に流れることになる。その際に、主に第1減衰力機構92が減衰力を発生させる。すると、第2減衰力特性X112が発生する。第2減衰力特性X112は、主に第1減衰力機構92のメインバルブ121の作動により発生する特性である。第1減衰力機構92は、第1ピストン速度(0<v<v111)よりも速い第2ピストン速度(v111≦v)においてメインバルブ121が開弁する。ここで、第2減衰力特性X112は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X111よりも低くなる。
<図示略のアクチュエータにより可変流量機構593Bが全閉状態と全開状態との間の所定の中間開状態とされた場合の縮み行程>
{ピストン速度vが第1値v121よりも低い第1ピストン速度(0<v<v121)の場合}
この場合、第2室32から油液が、第1通路95,96の固定オリフィス112,122を介して第1室31に流れる。このとき、第2室32からの油液は第2通路601B,602Bを介して第1室31に流れることはない。すると、固定オリフィス112,122の絞られた流路で油液が流れることになるため、第1減衰力特性X121が発生する。第1減衰力特性X121は、第1減衰力機構92のメインバルブ121が作動する前であり、第2減衰力機構323の極微低速バルブ140が作動する前であって、第3減衰力機構523Bのサブバルブ473Bが作動する前に発生する特性である。
{ピストン速度vが第1値v121以上で第2値v122よりも低い第2ピストン速度(v121≦v<v122)の場合}
この場合、第2室32からの油液は、第1通路95,96の固定オリフィス112,122を介して第1室31に流れる。それと共に、第2室32からの油液は、ロッド通路585Bから可変流量機構593Bを通ってケース室508に導入される。第2室32からの油液は、ケース室508からオリフィス622を通って第2減衰力機構323の極微低速バルブ140を開きながら第1室31に流れる。その際に、固定オリフィス112,122、可変流量機構593B、オリフィス622及び第2減衰力機構323が減衰力を発生させる。これにより、第2減衰力特性X122が発生する。第2減衰力特性X122は、固定オリフィス112,122と、可変流量機構593Bと、オリフィス622と、第2ピストン速度(121≦v<v122)における第2減衰力機構323の作動と、により発生する特性である。ここで、第2減衰力特性X122は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X121よりも低くなる。
{ピストン速度vが第2値v122以上で第3値v123よりも低い第3ピストン速度(v122≦v<v123)の場合}
この場合、第2室32からの油液は、第1通路95,96の固定オリフィス112,122を介して第1室31に流れる。それと共に、第2室32からの油液は、ロッド通路585Bから可変流量機構593Bを通ってケース室508に導入される。第2室32からの油液は、ケース室508からオリフィス622を通って第2減衰力機構323の極微低速バルブ140を開きながら第1室31に流れる。それと共に、第2室32からの油液は、ケース室508から第3減衰力機構523Bのサブバルブ473Bを開きながら第2ピストン通路524から第1室31に流れる。その際に、固定オリフィス112,122と、可変流量機構593Bと、オリフィス622と、作動状態の第2減衰力機構323と、作動状態の第3減衰力機構523Bとが減衰力を発生させる。これにより、第3減衰力特性X123が発生する。第3減衰力特性X123は、固定オリフィス112,122と、可変流量機構593Bと、オリフィス622と、第2減衰力機構323の作動と、第3減衰力機構523Bの作動と、により発生する特性である。第3減衰力特性X123は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X121よりも低くなってソフトになり且つ第2減衰力特性X122よりも高くなる。
{ピストン速度vが第3値v123以上の第4ピストン速度(v123≦v)の場合}
この場合、第2室32からの油液は、第3ピストン速度(v122≦v<v123)での流れに加えて、第1通路96から縮み側の第1減衰力機構92のメインバルブ121を開いて第1室31に流れることになる。その際に、可変流量機構593Bと、オリフィス622と、作動状態の第2減衰力機構323と、作動状態の第3減衰力機構523Bとが発生させる減衰力に加えて、作動状態の第1減衰力機構92が減衰力を発生させる。すると、第4減衰力特性X124が発生する。第4減衰力特性X124は、主に第1減衰力機構92のメインバルブ121の作動により発生する特性である。第1減衰力機構92は、第3ピストン速度(v122≦v<v123)よりも速い第4ピストン速度(v123≦v)においてメインバルブ121が開弁する。ここで、第4減衰力特性X124は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1~第3減衰力特性X121~X123の何れよりも低くなる。可変流量機構593Bが所定の中間開状態の場合の縮み行程では、可変流量機構593Bが全閉状態の場合の縮み行程よりも全体的に減衰力が下がってソフトになる。
<図示略のアクチュエータにより可変流量機構593Bが全開状態とされた場合の縮み行程>
{ピストン速度vが第1値v131よりも低い第1ピストン速度(0<v<v131)の場合}
この場合、緩衝器11Bは、可変流量機構593Bが所定の中間開状態とされた場合の縮み行程における第1ピストン速度(0<v<v121)の場合とほぼ同様に、第2室32から第1室31に油液を流す。すると、固定オリフィス112,122の絞られた流路で油液が流れることになるため、第1減衰力特性X131が発生する。第1減衰力特性X131は、第1減衰力機構92のメインバルブ121が作動する前であり、第2減衰力機構323の極微低速バルブ140が作動する前であって、第3減衰力機構523Bのサブバルブ473Bが作動する前に発生する特性である。
{ピストン速度vが第1値v131以上で第2値v132よりも低い第2ピストン速度(v131≦v<v132)の場合}
この場合、緩衝器11Bは、可変流量機構593Bが所定の中間開状態とされた場合の縮み行程における第2ピストン速度(v121≦v<v122)の場合とほぼ同様に、第2室32から第1室31に油液を流す。その際に、固定オリフィス112,122と、可変流量機構593Bと、オリフィス622と、作動状態の第2減衰力機構323とが減衰力を発生させる。これにより、第2減衰力特性X132が発生する。第2減衰力特性X132は、固定オリフィス112,122と、可変流量機構593Bと、オリフィス622と、第2ピストン速度(131≦v<v132)における第2減衰力機構323の作動と、により発生する特性である。ここで、第2減衰力特性X132は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X131よりも低くなる。
{ピストン速度vが第2値v132以上で第3値v133よりも低い第3ピストン速度(v132≦v<v133)の場合}
この場合、緩衝器11Bは、可変流量機構593Bが所定の中間開状態とされた場合の縮み行程における第3ピストン速度(v122≦v<v123)の場合とほぼ同様に、第2室32から第1室31に油液を流す。その際に、固定オリフィス112,122と、可変流量機構593Bと、オリフィス622と、作動状態の第2減衰力機構323と、作動状態の第3減衰力機構523Bとが減衰力を発生させる。これにより、第3減衰力特性X133が発生する。第3減衰力特性X133は、固定オリフィス112,122と、可変流量機構593Bと、オリフィス622と、第2減衰力機構323の作動と、第3減衰力機構523Bの作動と、により発生する特性である。第3減衰力特性X133は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1減衰力特性X131よりも低くなってソフトになり且つ第2減衰力特性X132よりも高くなる。
{ピストン速度vが第3値v133以上の第4ピストン速度(v133≦v)の場合}
この場合、緩衝器11Bは、可変流量機構593Bが所定の中間開状態とされた場合の縮み行程における第4ピストン速度(123≦v)の場合とほぼ同様に、第2室32から第1室31に油液を流す。その際に、可変流量機構593Bと、オリフィス622と、作動状態の第2減衰力機構323と、作動状態の第3減衰力機構523Bとが発生させる減衰力に加えて、作動状態の第1減衰力機構92が減衰力を発生させる。すると、第4減衰力特性X134が発生する。第4減衰力特性X134は、主に第1減衰力機構92のメインバルブ121の作動により発生する特性である。第1減衰力機構92は、第3ピストン速度(v132≦v<v133)よりも速い第4ピストン速度(v133≦v)においてメインバルブ121が開弁する。ここで、第4減衰力特性X134は、ピストン速度の上昇に対する減衰力の上昇の割合が、第1~第3減衰力特性X131~X133の何れよりも低くなってソフトになる。また、可変流量機構593Bが全開状態の場合の縮み行程では、可変流量機構593Bが所定の中間開状態の場合の縮み行程よりも全体的に減衰力が下がってソフトになる。
第3実施形態の緩衝器11Bは、第1減衰力機構91,92が設けられた第1通路95,96に対して、並列に第2通路601B,602Bを設けている。第2通路601B,602Bに、第1減衰力機構91,92へ流れる油液の流量を変化させる可変流量機構593Bを設けている。そして、第1減衰力機構91の作動前に作動して減衰力を発生させる第2減衰力機構321を可変流量機構593Bと直列に配置して第2通路601Bに設けている。また、第1減衰力機構92の作動前に作動して減衰力を発生させる第2減衰力機構323を可変流量機構593Bと直列に配置して第2通路602Bに設けている。これにより、第2減衰力機構321,323が、ピストン速度の低速時においても減衰力を良好に立ち上げることになる。しかも、第3減衰力機構521B,523Bの固定オリフィスを廃止しているため、ピストン速度の低速時においても減衰力を更に良好に立ち上げることになる。従って、緩衝器11Bは、その作動初期の減衰力不足により車両に生じる走行時のふらつきを抑制することができる。
ここで、緩衝器11Bは、第1減衰力機構91,92へ流れる油液の流量を変化させる機構が、図示略のアクチュエータにより油液の流量を制御する可変流量機構593Bである。そして、緩衝器11Bは、第2通路601Bに、第2減衰力機構321と並列に設けられ、油液の流れを制御することにより減衰力を発生させる第3減衰力機構521Bを有している。また、緩衝器11Bは、第2通路602Bに、第2減衰力機構323と並列に設けられ、油液の流れを制御することにより減衰力を発生させる第3減衰力機構523Bを有している。よって、可変流量機構593Bと第3減衰力機構521B,523Bとを有する構造において、第2減衰力機構321,323を設けることによって、ピストン速度の低速時においても減衰力を良好に立ち上げることができる。
以上においては、何れも複筒式の緩衝器11,11A,11Bを例にとり説明したが、上記構造は単筒式の緩衝器にも適用可能である。単筒式の緩衝器の場合、例えば、第2室32の第1室31とは反対側にフリーピストンを設け、フリーピストンの第2室32とは反対側にガス室を設けた構造となる。