JP7496416B2 - 光配向性ポリマー、バインダー組成物、バインダー層、光学積層体、光学積層体の製造方法、画像表示装置 - Google Patents

光配向性ポリマー、バインダー組成物、バインダー層、光学積層体、光学積層体の製造方法、画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、光配向性ポリマー、バインダー組成物、バインダー層、光学積層体、光学積層体の製造方法、および、画像表示装置に関する。
光学補償シートおよび位相差フィルムなどの光学フィルムは、画像着色解消および視野角拡大などの点から、様々な画像表示装置で用いられている。
光学フィルムとしては延伸複屈折フィルムが使用されていたが、近年、延伸複屈折フィルムに代えて、液晶化合物を用いて形成される光学異方性層が提案されている。
このような光学異方性層を形成する際には、液晶化合物を配向させるために、光配向処理を施して得られる光配向膜が用いられる場合がある。
例えば、特許文献1には、光、熱、酸および塩基からなる群から選択される少なくとも1種の作用により分解して極性基を生じる開裂基を含む繰り返し単位を有する所定の光配向性ポリマーを用いてバインダー層を形成し、その上層に光学異方性層を設ける態様が記載されている([請求項1]、[請求項7]~[請求項9]など参照)。
国際公開第2018/216812号
昨今、液晶化合物を用いて形成される光学異方性層においては、液晶化合物の配向性(以下、「液晶配向性」とも略す。)のより一層の向上が求められている。
本発明者らは、特許文献1に記載されている光配向性ポリマーについて検討を行ったところ、この光配向性ポリマーを用いて形成される層の上層に設けられる光学異方性層の液晶配向性は、従来の要求レベルは満たすものの、昨今のより高い要求レベルを満たすためには更なる改善が必要であることを知見した。
そこで、本発明は、上層に設けられる光学異方性層の液晶配向性を良好とすることができる光配向性ポリマー、バインダー組成物、バインダー層、光学積層体、光学積層体の製造方法および画像表示装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、光配向性基を含む繰り返し単位と、特定の架橋性基を生じる開裂基を含む繰り返し単位とを有する光配向性ポリマーを配合すると、上層に設けられる光学異方性層の液晶配向性が良好となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1] 光配向性基を含む繰り返し単位Aと、
光、熱、酸および塩基からなる群から選択される少なくとも1種の作用により分解して架橋性基を生じる開裂基を含む繰り返し単位Dとを有し、
上記架橋性基が、自己架橋性の架橋性基、または、水酸基、アミノ基、カルボキシ基もしくはアミド基と反応して化学結合を形成する架橋性基であり、
上記繰り返し単位Dが、側鎖に上記開裂基を有し、上記側鎖の上記開裂基よりも末端側にフッ素原子またはケイ素原子を有する、光配向性ポリマー。
[2] 上記繰り返し単位Dが、下記式(1)で表される基を含む、[1]に記載の光配向性ポリマー。

上記式(1)中、
D1は、水素原子またはアルキル基を表す。
は、r+1価の連結基を表す。
Mは、フッ素原子またはケイ素原子を含む基を表す。
rは、1~4の整数を表し、2~4の整数である場合、複数のMは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
*は、結合位置を表す。
[3] 上記繰り返し単位Dが、下記式(D)で表される繰り返し単位である、[2]に記載の光配向性ポリマー。

上記式(D)中、
D2は、水素原子または置換基を表す。
上記式(D)中のRD1、L、Mおよびrの定義は、上記式(1)中のRD1、L、Mおよびrのそれぞれの定義と同じである。
[4] 更に、下記式(2)で表される基を含む繰り返し単位Bを有する、[1]~[3]のいずれかに記載の光配向性ポリマー。

上記式(2)中、
は、n+1価の炭素数1以上の脂肪族炭化水素基を表し、上記脂肪族炭化水素基を構成する-CH-の一部または全部が-CO-または-O-で置換されていてもよい。
Xは、下記式(B1)~(B3)のいずれかで表される開裂基を表す。
Yは、フッ素原子またはケイ素原子を含む基を表す。
nは、1以上の整数を表し、2以上の整数である場合、複数のXは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のYは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
*は、結合位置を表す。

上記式(B1)~(B3)中、*は、結合位置を表す。
上記式(B1)中、RB1は、それぞれ独立に置換基を表し、2個のRB1が互いに結合して環を形成してもよい。
上記式(B2)中、RB2は、それぞれ独立に置換基を表し、2個のRB2が互いに結合して環を形成してもよい。
上記式(B3)中、RB3は、置換基を表し、mは、0~3の整数を表す。mが2または3である場合、複数のRB3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
[5] 上記繰り返し単位Bが、下記式(B)で表される繰り返し単位である、[4]に記載の光配向性ポリマー。

上記式(B)中、Rは、水素原子または置換基を表し、Aは、-O-または-NR-を表し、Rは、水素原子または置換基を表す。
上記式(B)中のL、X、Yおよびnの定義は、上記式(2)中のL、X、Yおよびnのそれぞれの定義と同じである。
[6] 上記式(2)で表される基が、下記式(B4)~(B8)のいずれかで表される基を表す、[4]または[5]に記載の光配向性ポリマー。

上記式(B4)~(B8)中、*は、結合位置を表し、Lの定義は、上記式(2)中のLの定義と同じであり、LB2は、単結合または2価の連結基を表し、Cfは、フッ素原子含有アルキル基を表す。
上記式(B4)中、RB1の定義は、上記式(B1)中のRB1の定義と同じである。
上記式(B5)および(B6)中、RB2の定義は、上記式(B2)中のRB2の定義と同じである。
上記式(B7)および(B8)中、RB3およびmの定義は、上記式(B3)中のRB3およびmのそれぞれの定義と同じである。
[7] 上記式(2)で表される基が、下記式(B9)~(B16)のいずれかで表される基を表す、[4]~[6]のいずれかに記載の光配向性ポリマー。

上記式(B9)~(B16)中、*は、結合位置を表し、Cfは、フッ素原子含有アルキル基を表す。
上記式(B9)および(B10)中、Lの定義は、上記式(2)中のLの定義と同じであり、nは、0~10の整数を表し、LB21は、単結合または炭素数1~10の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
上記式(B11)~(B13)中、Lの定義は、上記式(2)中のLの定義と同じであり、RB2の定義は、上記式(B2)中のRB2の定義と同じであり、LB21は、単結合または炭素数1~10の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
上記式(B14)~(B16)中、LB2は、単結合または2価の連結基を表し、LB3は、単結合または炭素数1~10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、RB2の定義は、上記式(B2)中のRB2の定義と同じである。
[8] 上記繰り返し単位Aが、下記式(A)で表される繰り返し単位である、[1]~[7]のいずれかに記載の光配向性ポリマー。

上記式(A)中、
A1は、水素原子または置換基を表す。
A1は、単結合または2価の連結基を表す。
A2、RA3、RA4、RA5およびRA6は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。RA2、RA3、RA4、RA5およびRA6のうち、隣接する2つの基が結合して環を形成していてもよい。
[9] 更に、架橋性基を含む繰り返し単位Cを有する、[1]~[8]のいずれかに記載の光配向性ポリマー。
[10] 上記繰り返し単位Cが、下記式(C)で表される繰り返し単位である、[9]に記載の光配向性ポリマー。

上記式(C)中、
C1は、水素原子または置換基を表す。
C1は、単結合または2価の連結基を表す。
C2は、m+1価の連結基を表す。
Zは、架橋性基を表す。
mは、1以上の整数を表し、2以上の整数である場合、複数のZは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
[11] 上記架橋性基が、下記式(C1)~(C4)のいずれかで表される基を表す、[9]または[10]に記載の光配向性ポリマー。

上記式(C1)~(C4)中、*は、結合位置を表す。
上記式(C3)中、RC2は、水素原子、メチル基、または、エチル基を表す。
上記式(C4)中、RC3は、水素原子またはメチル基を表す。
[12] 重量平均分子量が10000~500000である、[1]~[11]のいずれかに記載の光配向性ポリマー。
[13] [1]~[12]のいずれかに記載の光配向性ポリマー、バインダー、および、光酸発生剤を含む、バインダー組成物。
[14] [13]に記載のバインダー組成物を用いて形成され、その表面が配向制御能を有する、バインダー層。
[15] [14]に記載のバインダー層と、
上記バインダー層上に配置される光学異方性層と、を有する光学積層体。
[16] [13]に記載のバインダー組成物を用いて得られる塗膜に対して、上記光酸発生剤から酸を発生させ、その後、光配向処理を施して、バインダー層を形成する工程と、
上記バインダー層上に、重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物を塗布して、光学異方性層を形成する工程と、を有する光学積層体の製造方法。
[17] [14]に記載のバインダー層または[15]に記載の光学積層体を有する、画像表示装置。
本発明によれば、上層に設けられる光学異方性層の液晶配向性を良好とすることができる光配向性ポリマー、バインダー組成物、バインダー層、光学積層体、光学積層体の製造方法および画像表示装置を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、各成分は、各成分に該当する物質を1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上の物質を併用する場合、その成分についての含有量とは、特段の断りが無い限り、併用した物質の合計の含有量を指す。
また、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」または「メタクリル」を表す表記である。
また、本明細書において表記される2価の基(例えば、-O-CO-)の結合方向は特に限定されず、例えば、「L-L-L」の結合においてLが-O-CO-である場合、L側に結合している位置を*1、L側に結合している位置を*2とすると、Lは*1-O-CO-*2であってもよく、*1-CO-O-*2であってもよい。
[光配向性ポリマー]
本発明の光配向性ポリマーは、光配向性基を含む繰り返し単位Aと、光、熱、酸および塩基からなる群から選択される少なくとも1種の作用により分解して架橋性基を生じる開裂基を含む繰り返し単位Dと、を有する光配向性の共重合体である。
また、本発明の光配向性ポリマーにおいては、上記架橋性基が、自己架橋性の架橋性基、または、水酸基、アミノ基、カルボキシ基もしくはアミド基と反応して化学結合を形成する架橋性基である。
更に、本発明の光配向性ポリマーにおいては、上記繰り返し単位Dが、側鎖に上記開裂基を有し、上記側鎖の上記開裂基よりも末端側にフッ素原子またはケイ素原子を有する繰り返し単位である。
本発明においては、上記繰り返し単位Aと、上記繰り返し単位Dとを有する光配向性ポリマーを配合すると、上層に設けられる光学異方性層の液晶配向性(以下、単に「液晶配向性」と略す。)が良好となる。
これは、詳細には明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
まず、本発明の光配向性ポリマーを含有する組成物を塗布し、バインダー層などの層を形成すると、フッ素原子またはケイ素原子を側鎖に有する本発明の光配向性ポリマーは、層の空気界面側に偏在することになる。
その後、空気界面側に偏在した本発明の光配向性ポリマーに対して、光、熱、酸および塩基からなる群から選択される少なくとも1種を作用させ、側鎖に含まれる開裂基を分解すると、開裂基よりも側鎖の末端側に存在するフッ素原子またはケイ素原子を含む置換基が脱離するだけでなく、残基として架橋性基を生じることになる。
そのため、本発明の光配向性ポリマーは、特許文献1に記載されている光配向性ポリマーと比較して、残基としての架橋性基の存在によって溶剤耐性が向上し、その結果、配向緩和が抑制されるため、上層に設けられる光学異方性層の液晶配向性が良好になったと考えられる。
〔繰り返し単位A(光配向性基)〕
本発明の光配向性ポリマーは、光配向性基を含む繰り返し単位Aを有する。
光配向性基とは、異方性を有する光(例えば、平面偏光など)の照射により、再配列または異方的な化学反応が誘起される光配向機能を有する基をいい、配向の均一性に優れ、熱的安定性および化学的安定性も良好となる点から、光の作用により二量化および異性化の少なくとも一方が生じる光配向性基が好ましい。
光の作用により二量化する光配向性基としては、例えば、桂皮酸誘導体、クマリン誘導体、カルコン誘導体、マレイミド誘導体、および、ベンゾフェノン誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の誘導体の骨格を有する基などが好適に挙げられる。
一方、光の作用により異性化する光配向性基としては、例えば、アゾベンゼン化合物、スチルベン化合物、スピロピラン化合物、桂皮酸化合物、および、ヒドラゾノ-β-ケトエステル化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物の骨格を有する基などが好適に挙げられる。
光配向性基としては、桂皮酸誘導体、クマリン誘導体、カルコン誘導体およびマレイミド誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の誘導体の骨格を有する基、または、アゾベンゼン化合物、スチルベン化合物およびスピロピラン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物の骨格を有する基が好ましく、桂皮酸誘導体骨格、または、クマリン誘導体骨格を有する基がより好ましい。
光配向性基を含む繰り返し単位Aの主鎖の構造は特に限定されず、公知の構造が挙げられ、例えば、(メタ)アクリル系、スチレン系、シロキサン系、シクロオレフィン系、メチルペンテン系、アミド系、および、芳香族エステル系からなる群から選択される骨格が好ましい。
これらのうち、(メタ)アクリル系、シロキサン系、および、シクロオレフィン系からなる群から選択される骨格がより好ましく、(メタ)アクリル系骨格がさらに好ましい。
光配向性基を含む繰り返し単位Aとしては、液晶配向性がより良好となる理由から、下記式(A)で表される繰り返し単位が好ましい。
上記式(A)中、RA1は、水素原子または置換基を表す。
また、LA1は、単結合または2価の連結基を表す。
また、RA2、RA3、RA4、RA5およびRA6は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。RA2、RA3、RA4、RA5およびRA6のうち、隣接する2つの基が結合して環を形成していてもよい。
上記式(A)中、RA1は、水素原子または置換基を表す。
A1の一態様が表す置換基の種類は特に限定されず、公知の置換基が挙げられる。
置換基としては、例えば、1価の脂肪族炭化水素基、および、1価の芳香族炭化水素基が挙げられ、より具体的には、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、芳香族ヘテロ環チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(例えば、ヘテロアリール基)、シリル基、および、これらを組み合わせた基が挙げられる。なお、上記置換基は、さらに置換基で置換されていてもよい。
なかでも、RA1の一態様が表す置換基としては、炭素数1~6で表されるアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
上記式(A)中、LA1は、単結合または2価の連結基を表す。
A1の一態様が表す2価の連結基としては、例えば、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、2価の複素環基、-O-、-S-、-N(Q)-、-CO-、または、これらを組み合わせた基が挙げられる。Qは、水素原子または置換基を表す。
2価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1~10(好ましくは、1~5)のアルキレン基、炭素数1~10のアルケニレン基、および、炭素数1~10のアルキニレン基などの2価の脂肪族炭化水素基;アリーレン基などの2価の芳香族炭化水素基;が挙げられる。
2価の複素環基としては、例えば、2価の芳香族複素環基が挙げられ、具体的には、ピリジレン基(ピリジン-ジイル基)、ピリダジン-ジイル基、イミダゾール-ジイル基、チエニレン(チオフェン-ジイル基)、キノリレン基(キノリン-ジイル基)などが挙げられる。
また、これらを組み合わせた基としては、上述した、2価の炭化水素基、2価の複素環基、-O-、-S-、-N(Q)-、および、-CO-からなる群から選択される少なくとも2種以上を組み合わせた基が挙げられ、例えば、-O-2価の炭化水素基-、-(O-2価の炭化水素基)-O-(pは、1以上の整数を表す)、-2価の炭化水素基-O-CO-、および、-CO-NH-2価の炭化水素基-O-などが挙げられる。
なかでも、LA1の一態様が表す2価の連結基としては、液晶配向性がより良好となる理由から、置換基を有していてもよい炭素数1~10の直鎖状のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数3~10の分岐鎖状のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数3~10の環状のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリーレン基、-O-、-CO-、および、-N(Q)-からなる群から選択される少なくとも2以上の基を組み合わせた2価の連結基であることが好ましい。Qは、水素原子または置換基を表す。
アルキレン基およびアリーレン基が有していてもよい置換基、並びに、Qで表される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、シアノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、および、水酸基が挙げられる。
なかでも、液晶配向性がより良好となる理由から、上記式(A)のLA1としては、置換基を有していてもよい炭素数1~10の直鎖状のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数3~10の環状のアルキレン基、および、置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリーレン基のいずれかを少なくとも含む2価の連結基が好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1~10の直鎖状のアルキレン基、または、置換基を有していてもよい炭素数3~10の環状のアルキレン基を少なくとも含む2価の連結基がより好ましく、無置換の炭素数2~6の直鎖状のアルキレン基、または、無置換のtrans-1,4-シクロヘキシレンを含む2価の連結基がさらに好ましい。
なお、置換基を有していてもよい炭素数1~10の直鎖状のアルキレン基を少なくとも含む2価の連結基と、置換基を有していてもよい炭素数3~10の環状のアルキレン基を少なくとも含む2価の連結基とを比較すると、置換基を有していてもよい炭素数3~10の環状のアルキレン基を少なくとも含む2価の連結基の場合により効果が優れる。
上記式(A)中、RA2、RA3、RA4、RA5およびRA6は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。上記置換基の種類は特に限定されず、公知の置換基が挙げられ、上記RA1の一態様が表す置換基で例示した基が挙げられる。
A2、RA3、RA4、RA5およびRA6のうち、隣接する2つの基が結合して環を形成していてもよい。
A2、RA3、RA4、RA5およびRA6としては、液晶配向性がより良好となる理由から、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1~20の直鎖状のアルキル基、炭素数3~20の分岐鎖状もしくは環状のアルキル基、炭素数1~20の直鎖状のハロゲン化アルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数6~20のアリール基、炭素数6~20のアリールオキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、または、下記式(4)で表される基が好ましい。なお、上記置換基は、-(CHna-、または、-O-(CHna-で表される連結基を含んでいてもよい。naは、1~10の整数を表す。
ここで、上記式(4)中、*は結合位置を表す。
A7は、1価の有機基を表す。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、および、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子または塩素原子が好ましい。
直鎖状のアルキル基としては、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、および、n-プロピル基が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数3~6のアルキル基が好ましく、例えば、イソプロピル基、および、tert-ブチル基が挙げられる。
環状のアルキル基としては、炭素数3~6のアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、および、シクロヘキシル基が挙げられる。
炭素数1~20の直鎖状のハロゲン化アルキル基としては、炭素数1~4のフルオロアルキル基が好ましく、例えば、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、および、パーフルオロブチル基が挙げられ、トリフルオロメチル基が好ましい。
炭素数1~20のアルコキシ基としては、炭素数1~18のアルコキシ基が好ましく、炭素数3~18のアルコキシ基がより好ましく、炭素数6~18のアルコキシ基がさらに好ましい。例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-ブトキシ基、メトキシエトキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、および、n-テトラデシルオキシ基が挙げられる。
炭素数6~20のアリール基としては、炭素数6~12のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、α-メチルフェニル基、および、ナフチル基が挙げられる。
炭素数6~20のアリールオキシ基としては、炭素数6~12のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェニルオキシ基、および、2-ナフチルオキシ基が挙げられる。
アミノ基としては、例えば、第1級アミノ基(-NH);メチルアミノ基などの第2級アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、および、含窒素複素環化合物(例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンなど)の窒素原子を結合手とした基などの第3級アミノ基;が挙げられる。
上記式(4)中のRA7が表す1価の有機基としては、例えば、炭素数1~20のアルキル基が挙げられ、炭素数1~20の直鎖状または炭素数3~20の環状のアルキル基が好適に挙げられる。
炭素数1~20の直鎖状のアルキル基としては、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、および、n-プロピル基が挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましい。
炭素数3~20の環状のアルキル基としては、炭素数3~6のアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、および、シクロヘキシル基が挙げられ、シクロヘキシル基が好ましい。
なお、上記式(4)中のRA7が表す1価の有機基としては、上述した直鎖状のアルキル基および環状のアルキル基を直接または単結合を介して複数組み合わせたものであってもよい。
光配向性基が液晶化合物と相互作用しやすくなり、液晶配向性が良好となる点から、上記式(A)中のRA2、RA3、RA4、RA5およびRA6のうち、少なくともRA4が上述した置換基(好ましくは、炭素数1~20のアルコキシ基)を表していることが好ましく、さらに、得られる光配向性ポリマーの直線性が向上し、液晶化合物と相互作用しやすくなり、液晶配向性がより良好となる理由から、RA2、RA3、RA5およびRA6がいずれも水素原子を表すことがより好ましい。
光配向性基の反応効率が向上する点から、上記式(A)のRA4が電子供与性の置換基であることが好ましい。
ここで、電子供与性の置換基(電子供与性基)とは、ハメット値(Hammett置換基定数σp)が0以下の置換基のことをいい、例えば、上述した置換基のうち、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、および、アルコキシ基が挙げられる。
これらのうち、液晶配向性がより良好となる点から、アルコキシ基が好ましく、炭素数4~18のアルコキシ基がより好ましく、炭素数6~18のアルコキシ基がさらに好ましく、炭素数8~18のアルコキシ基が特に好ましい。
光配向性基を含む繰り返し単位Aの具体例としては、以下が挙げられる。





本発明の光配向性ポリマー中における繰り返し単位Aの含有量は特に限定されず、液晶配向性がより良好となる理由から、光配向性ポリマーの全繰り返し単位に対して、5~50質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましい。
〔繰り返し単位D(開裂基)〕
本発明の光配向性ポリマーは、光、熱、酸および塩基からなる群から選択される少なくとも1種の作用により分解して架橋性基を生じる開裂基を含む繰り返し単位Dを有する。
また、上記繰り返し単位Dは、側鎖に上記開裂基を有し、上記側鎖の上記開裂基よりも末端側にフッ素原子またはケイ素原子を有する繰り返し単位である。
また、上記架橋性基は、自己架橋性の架橋性基、または、水酸基(-OH)、アミノ基(-NHR)、カルボキシ基(-OC=O)もしくはアミド基(-NHC=O)と反応して化学結合を形成する架橋性基である。
ここで、「自己架橋性の架橋性基」とは、互いに結合して架橋構造を形成することができる基のことをいうが、同一の構造を有する基同士が結合して架橋構造を形成する場合だけでなく、異なる構造を有する基同士が結合して架橋構造を形成する場合も含む。
本発明においては、開裂速度の観点から、上記開裂基が、アミド結合とメチレン基とエーテル結合とをこの順で有する部分構造を含む基であることが好ましい。
上記部分構造は、酸の作用によって、メチレン基とエーテル結合との間の結合が分解し、エーテル結合が脱離した架橋基(以下、本段落において「架橋基A」と略す。)と、アミド結合とメチレン基との間の結合が分解し、メチレン基およびエーテル結合が脱離した架橋基(以下、本段落において「架橋基B」と略す。)が生じることになる。
ここで、架橋基Aと架橋基Bとは、互いに結合して架橋構造を形成することができるため、これらは自己架橋性の架橋性基であると言える。
また、架橋基Aは、アルコールと反応して化学結合を形成することもできるため、架橋基Aは、水酸基と反応して化学結合を形成する架橋性基であると言える。
本発明においては、合成適性の観点から、上記繰り返し単位Dが、下記式(1)で表される基を含むことが好ましい。
上記式(1)中、RD1は、水素原子またはアルキル基を表す。
また、Lは、r+1価の連結基を表す。
また、Mは、フッ素原子またはケイ素原子を含む基を表す。
また、rは、1~4の整数を表し、2~4の整数である場合、複数のMは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
*は、結合位置を表す。
上記式(1)中、RD1は、水素原子またはアルキル基を表す。
D1の一態様が表すアルキル基としては、例えば、炭素数1~18の直鎖状のアルキル基、炭素数3~18の分岐鎖状または環状のアルキル基が好ましく、炭素数1~4の直鎖状アルキル基がより好ましく、メチル基またはエチル基がさらに好ましい。
上記式(1)中、Lは、r+1価の連結基を表す。
r+1価の連結基としては、液晶配向性がより良好となる理由から、置換基を有していてもよい炭素数1~24のr+1価の炭化水素基であって、炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよい炭化水素基が好ましく、炭素数1~10の酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい脂肪族炭化水素基がより好ましい。
r+1価の連結基に含まれる炭素数は特に限定されず、液晶配向性がより良好となる理由から、1~24が好ましく、1~10がより好ましい。
r+1価の連結基としては、2価の連結基が好ましい。2価の連結基としては、例えば、上記式(A)中のLA1の一態様が表す2価の連結基で例示したものと同様のものが挙げられる。
上記式(1)中、Mは、フッ素原子またはケイ素原子を含む基を表す。
フッ素原子またはケイ素原子を含む基に含まれるフッ素原子およびケイ素原子の合計数は特に限定されず、液晶配向性がより良好となる理由から、1~30が好ましく、5~25がより好ましく、10~20がさらに好ましい。
フッ素原子またはケイ素原子を含む基は、いわゆる有機基(炭素原子を含む基)であることが好ましい。フッ素原子およびケイ素原子を含む基に含まれる炭素数は特に限定されず、液晶配向性がより良好となる理由から、1~30が好ましく、3~20がより好ましく、5~10がさらに好ましい。
フッ素原子またはケイ素原子を含む基としては、例えば、後述するフッ素原子含有アルキル基を含む基、および、ポリジアルキルシロキサン鎖を含む基が挙げられる。
フッ素原子またはケイ素原子を含む基としては、液晶配向性がより良好となる理由から、式(3)で表される基が好ましい。
式(3) *-LD2-Cf
D2は、単結合または2価の連結基を表す。
D2の一態様が表す2価の連結基としては、例えば、上記式(A)中のLA1の一態様が表す2価の連結基で例示したものと同様のものが挙げられる。
なかでも、LD2の一態様が表す2価の連結基としては、置換基を有していてもよい炭素数1~10の直鎖状のアルキレン基、炭素数3~10の分岐鎖状または環状のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリーレン基、-O-、-CO-、-N(Q)-、または、これらを組み合わせた基が好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1~10の直鎖状のアルキレン基、炭素数3~10の分岐鎖状または環状のアルキレン基がより好ましい。
直鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、および、デシレン基が挙げられる。
また、分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、ジメチルメチレン基、メチルエチレン基、2,2-ジメチルプロピレン基、および、2-エチル-2-メチルプロピレン基が挙げられる。
また、環状のアルキレン基としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、および、シクロヘキシレン基が挙げられる。
なお、2価の炭化水素基(アルキレン基、アリーレン基)が有していてもよい置換基およびQで表される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、シアノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、および、水酸基が挙げられる。
Cfは、フッ素原子含有アルキル基を表す。フッ素原子含有アルキル基とは、フッ素原子を含むアルキル基を表し、パーフルオロアルキル基が好ましい。
フッ素原子含有アルキル基の炭素数は特に限定されず、液晶配向性がより良好となる理由から、1~30が好ましく、3~20がより好ましく、5~10がさらに好ましい。
フッ素原子含有アルキル基に含まれるフッ素原子の数は特に限定されず、液晶配向性がより良好となる理由から、1~30が好ましく、5~25がより好ましく、10~20がさらに好ましい。
上記式(1)中、rは、1~4の整数を表す。なかでも、合成適性の観点から、1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
本発明においては、合成適性の観点から、上記繰り返し単位Dが、下記式(D)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
上記式(D)中、RD2は、水素原子または置換基を表す。
また、上記式(D)中のRD1、L、Mおよびrの定義は、上記式(1)中のRD1、L、Mおよびrのそれぞれの定義と同じである。
ここで、RD2の一態様が表す置換基としては、上記式(A)中のRA1の一態様が表す置換基で例示した基が挙げられる。なかでも、アルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
開裂基を含む繰り返し単位Dの具体例としては、以下が挙げられる。なお、下記式D-18およびD-19中、Rは、炭素数1~20の直鎖状のアルキル基または炭素数3~10の分岐鎖状のアルキル基を表し、nは、0~10の整数を表す。



本発明の光配向性ポリマー中における繰り返し単位Dの含有量は特に限定されず、液晶配向性がより良好となる理由から、光配向性ポリマーの全繰り返し単位に対して、5~95質量%が好ましく、20~90質量%がより好ましい。
〔繰り返し単位B(開裂基)〕
本発明の光配向性ポリマーは、下記式(2)で表される基を含む繰り返し単位Bを有していることが好ましい。下記式(2)で表される基に含まれる開裂基の開裂後に生じる極性基が、上述した繰り返し単位Dと反応することより開裂速度が向上するため、より広い作製条件で下層および上層を形成した場合であっても、上層塗布性および液晶配向性が良好となる。
ここで、下記式(2)で表される基には、後述するように所定の開裂基が含まれており、酸の作用によって開裂して、フッ素原子またはケイ素原子を含む基の脱離を生じさせると共に、極性基を生じる。
上記式(2)中、Lは、n+1価の炭素数1以上の脂肪族炭化水素基を表し、上記脂肪族炭化水素基を構成する-CH-の一部または全部が-CO-または-O-で置換されていてもよい。
また、Xは、後述する式(B1)~(B3)のいずれかで表される開裂基を表す。
また、Yは、フッ素原子またはケイ素原子を含む基を表す。
また、nは、1以上の整数を表し、2以上の整数である場合、複数のXは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のYは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
また、*は、結合位置を表す。
上記式(2)中、Lは、n+1価の炭素数1以上の脂肪族炭化水素基を表し、脂肪族炭化水素基を構成する-CH-の一部または全部が-CO-または-O-で置換されていてもよい。
脂肪族炭化水素基中の炭素数は1以上であり、液晶配向性がより良好となる理由から、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1~3がさらに好ましい。
脂肪族炭化水素基はn+1価であり、例えば、nが1の場合は2価の脂肪族炭化水素基(いわゆるアルキレン基)を、nが2の場合は3価の脂肪族炭化水素基を、nが3の場合は4価の脂肪族炭化水素基を表す。
脂肪族炭化水素基は、直鎖状でも、分岐鎖状でもよい。また、脂肪族炭化水素基は環状構造を有していてもよい。なかでも、液晶配向性がより良好となる理由から、直鎖状が好ましい。
また、「脂肪族炭化水素基を構成する-CH-の一部または全部が-CO-または-O-で置換されていてもよい」とは、例えば、脂肪族炭化水素基が2価の脂肪族炭化水素基(アルキレン基)である場合、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基など)を構成する-CH-の一部または全部が-CO-または-O-で置換されていてもよいことを意味する。すなわち、n+1価の炭素数1以上の脂肪族炭化水素基としては、例えば、-CO-、-O-CO-O-、-CH-O-、-CH-CH-O-、-CH-CH-O-CO-、-CH-CH-O-CO-O-なども含まれる。
上記式(2)中、Xは、下記式(B1)~(B3)のいずれかで表される開裂基を表し、下記式(B1)、(B2a)および(B3)のいずれかで表される開裂基を表すことが好ましい。
これらの開裂基は、酸の作用により分解して極性基を生じる開裂基である。
ここで、「極性基」とは、ヘテロ原子またはハロゲン原子を少なくとも1原子以上有する基をいい、具体的には、例えば、水酸基、カルボニル基、カルボキシ基、アミノ基、ニトロ基、アンモニウム基、シアノ基などが挙げられる。なかでも、水酸基、カルボニル基、カルボキシ基が好ましい。
また、「極性基を生じる開裂基」とは、開裂によって上述した極性基を生じる基をいうが、本発明においては、ラジカル開裂後に酸素分子と反応し、極性基を生成する基も含む。

上記式(B1)~(B3)および(B2a)中、*は、結合位置を表す。
上記式(B1)中、RB1は、それぞれ独立に置換基を表し、2個のRB1が互いに結合して環を形成してもよい。
上記式(B2)および(B2a)中、RB2は、それぞれ独立に置換基を表し、2個のRB2が互いに結合して環を形成してもよい。
上記式(B3)中、RB3は、置換基を表し、mは、0~3の整数を表す。mが2または3である場合、複数のRB3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記式(B1)中、RB1は、それぞれ独立に置換基を表し、2個のRB1が互いに結合して環を形成してもよい。
B1で表される置換基の種類は特に限定されず、公知の置換基が挙げられる。
置換基としては、上記式(A)中のRA1の一態様が表す置換基で例示した基が挙げられる。
本発明においては、開裂基の分解過程で、より安定して生じやすい中間体を経由できることで分解速度が向上し、上層塗布性がより良好となる理由から、RB1で表される置換基としては、環状の置換基であることが好ましく、炭素数3以上の環状脂肪族(脂環式)炭化水素基、または、炭素数6以上の芳香族炭化水素基であることがより好ましい。
また、同様の理由から、2個のRB1が互いに結合して環を形成していることが好ましい。
ここで、炭素数3以上の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、メチルシクロヘキシル基、および、エチルシクロヘキシル基などの単環式飽和炭化水素基;シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、シクロデセニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロオクタジエニル基、および、シクロデカジエン基などの単環式不飽和炭化水素基;ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、トリシクロ[3.3.1.13,7]デシル基、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデシル基、および、アダマンチル基などの多環式飽和炭化水素基;が挙げられる。
また、炭素数6以上の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、ナフチル基、および、ビフェニル基などが挙げられ、炭素数6~12のアリール基(特にフェニル基)が好ましい。
上記式(B2)および(B2a)中、RB2は、それぞれ独立に置換基を表し、2個のRB2が互いに結合して環を形成してもよい。
B2で表される置換基の種類は特に限定されず、公知の置換基が挙げられ、上記式(A)中のRA1の一態様が表す置換基で例示した基が挙げられる。
本発明においては、上層塗布性がより良好となる理由から、RB2で表される置換基としては、炭素数1以上の脂肪族炭化水素基、または、炭素数6以上の芳香族炭化水素基であることがより好ましい。
ここで、炭素数1以上の脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数1~18のアルキル基が好ましく、炭素数1~8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、および、t-ブチル基)がより好ましく、炭素数1~4のアルキル基がさらに好ましい。
また、炭素数6以上の芳香族炭化水素基としては、上記RB1の好適例として例示した基が挙げられる。
上記式(B3)中、RB3は、置換基を表し、mは、0~3の整数を表す。mが2または3である場合、複数のRB3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
B3で表される置換基の種類は特に限定されず、公知の置換基が挙げられ、上記式(A)中のRA1の一態様が表す置換基で例示した基や、フッ素原子含有アルキル基が挙げられる。
また、mは、0~2の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、0であることがさらに好ましい。
上記式(2)中、Yは、フッ素原子またはケイ素原子を含む基を表す。
フッ素原子またはケイ素原子を含む基に含まれるフッ素原子およびケイ素原子の合計数は特に限定されず、液晶配向性がより良好となる理由から、1~30が好ましく、5~25がより好ましく、10~20がさらに好ましい。
フッ素原子またはケイ素原子を含む基は、いわゆる有機基(炭素原子を含む基)であることが好ましい。フッ素原子およびケイ素原子を含む基に含まれる炭素数は特に限定されず、液晶配向性がより良好となる理由から、1~30が好ましく、3~20がより好ましく、5~10がさらに好ましい。
フッ素原子またはケイ素原子を含む基としては、例えば、後述するフッ素原子含有アルキル基を含む基、および、ポリジアルキルシロキサン鎖を含む基が挙げられる。
フッ素原子またはケイ素原子を含む基としては、液晶配向性がより良好となる理由から、上記式(3)で表される基と同様のものが挙げられる。
上記式(2)中、nは、1以上の整数を表す。なかでも、液晶配向性がより良好となる理由から、1~10の整数が好ましく、1~5の整数がより好ましく、1~3の整数がさらに好ましい。
上記式(2)で表される基としては、液晶配向性がより良好となる理由から、下記式(B4)~(B8)のいずれかで表される基が好ましい。
上記式(B4)~(B8)中、*は、結合位置を表し、Lの定義は、上記式(2)中のLの定義と同じであり、LB2は、単結合または2価の連結基を表し、Cfは、フッ素原子含有アルキル基を表す。
上記式(B4)中、RB1の定義は、上記式(B1)中のRB1の定義と同じである。
上記式(B5)および(B6)中、RB2の定義は、上記式(B2)中のRB2の定義と同じである。
上記式(B7)および(B8)中、RB3およびmの定義は、上記式(B3)中のRB3およびmのそれぞれの定義と同じである。
ここで、LB2の一態様が示す2価の連結基としては、例えば、上記式(A)中のLA1の一態様が表す2価の連結基で例示したものと同様のものが挙げられる。
また、Cfの定義および例示は、上記式(3)中のCfの定義および例示と同じである。
上記式(2)で表される基としては、液晶配向性がより良好となる理由から、下記式(B9)~(B16)のいずれかで表される基が好ましい。
上記式(B9)~(B16)中、*は、結合位置を表し、Cfは、フッ素原子含有アルキル基を表す。
上記式(B9)および(B10)中、Lの定義は、上記式(2)中のLの定義と同じであり、nは、0~10の整数を表し、LB21は、単結合または炭素数1~10の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
上記式(B11)~(B13)中、Lの定義は、上記式(2)中のLの定義と同じであり、RB2の定義は、上記式(B2)中のRB2の定義と同じであり、LB21は、単結合または炭素数1~10の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
上記式(B14)~(B16)中、LB2は、単結合または2価の連結基を表し、LB3は、単結合または炭素数1~10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、RB2の定義は、上記式(B2)中のRB2の定義と同じである。
上記式(B9)および(B10)中、LおよびCfの定義および例示は、それぞれ上述した通りである。また、nは、0~10の整数を表し、0~7の整数を表すことが好ましく、0~5の整数を表すことがより好ましく、0~3の整数を表すことがさらに好ましい。また、LB21は、単結合または炭素数1~10の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
ここで、LB21で表される炭素数1~10の2価の脂肪族炭化水素基は、直鎖状でも、分岐鎖状でもよい。また、炭素数1以上の2価の脂肪族炭化水素基は環状構造を有していてもよい。
2価の脂肪族炭化水素基の具体例としては、直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基、および、環状のアルキレン基が挙げられる。
直鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、および、デシレン基が挙げられる。
また、分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、ジメチルメチレン基、メチルエチレン基、2,2-ジメチルプロピレン基、および、2-エチル-2-メチルプロピレン基が挙げられる。
また、環状のアルキレン基としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基、シクロデシレン基、アダマンタン-ジイル基、ノルボルナン-ジイル基、および、exo-テトラヒドロジシクロペンタジエン-ジイル基が挙げられる。
上記式(B11)~(B13)中、L、RB2、LB21およびCfの定義および例示は、それぞれ上述した通りである。
上記式(B14)~(B16)中、RB2、LB2およびCfの定義および例示は、それぞれ上述した通りである。また、LB3は、単結合または炭素数1~10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、その具体例は、LB21で例示したものと同様である。
上記式(2)で表される基を含む繰り返し単位の主鎖の構造は特に限定されず、公知の構造が挙げられ、例えば、(メタ)アクリル系、スチレン系、シロキサン系、シクロオレフィン系、メチルペンテン系、アミド系、および、芳香族エステル系からなる群から選択される骨格が好ましい。
これらのうち、(メタ)アクリル系、シロキサン系、および、シクロオレフィン系からなる群から選択される骨格がより好ましく、(メタ)アクリル系骨格がさらに好ましい。
上記式(2)で表される基を含む繰り返し単位としては、液晶配向性がより良好となる理由から、下記式(B)で表される繰り返し単位が好ましい。
上記式(B)中、Rは、水素原子または置換基を表し、Aは、-O-または-NR-を表し、Rは、水素原子または置換基を表す。
上記式(B)中のL、X、Yおよびnの定義は、上記式(2)中のL、X、Yおよびnのそれぞれの定義と同じである。
ここで、Rで表される置換基の種類は特に限定されず、公知の置換基が挙げられ、上記式(A)中のRA1の一態様が表す置換基で例示した基が挙げられる。なかでも、アルキル基が好ましい。
また、Rで表される置換基の種類は特に限定されず、公知の置換基が挙げられ、上記式(A)中のRA1の一態様が表す置換基で例示した基が挙げられる。なかでも、アルキル基が好ましい。
上記式(2)で表される基を含む繰り返し単位の具体例としては、以下が挙げられる。
















本発明の光配向性ポリマー中における任意の繰り返し単位Bの含有量は特に限定されず、液晶配向性がより良好となる理由から、光配向性ポリマーの全繰り返し単位に対して、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上が特に好ましく、95質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましく、50質量%以下が特に好ましく、30質量%以下が最も好ましい。
〔繰り返し単位C(架橋性基)〕
本発明の光配向性ポリマーは、溶剤耐性向上による配向緩和の抑制効果によって液晶配向性がより良好となる理由から、架橋性基を含む繰り返し単位Cを有していることが好ましい。
架橋性基の種類は特に限定されず、公知の架橋性基が挙げられる。なかでも、バインダー層上に配置される上層との密着性に優れる点で、カチオン重合性基、または、ラジカル重合性基が好ましい。
カチオン重合性基としては、例えば、エポキシ基、エポキシシクロヘキシル基、および、オキセタニル基が挙げられ、下記式(C1)~(C3)のいずれかで表される基が好ましい。
下記式(C1)~式(C3)中の*は、結合位置を表す。
上記式(C3)中、RC2は、水素原子、メチル基、または、エチル基を表す。
ラジカル重合性基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、スチリル基、および、アリル基が挙げられ、下記式(C4)で表される基が好ましい。
下記式(C4)中の*は、結合位置を表す。
上記式(C4)中、RC3は、水素原子またはメチル基を表す。
架橋性基を含む繰り返し単位Cの主鎖の構造は特に限定されず、公知の構造が挙げられ、例えば、(メタ)アクリル系、スチレン系、シロキサン系、シクロオレフィン系、メチルペンテン系、アミド系、および、芳香族エステル系からなる群から選択される骨格が好ましい。
これらのうち、(メタ)アクリル系、シロキサン系、および、シクロオレフィン系からなる群から選択される骨格がより好ましく、(メタ)アクリル系骨格がさらに好ましい。
架橋性基を含む繰り返し単位Cとしては、液晶配向性がより良好となる理由から、下記式(C)で表される繰り返し単位が好ましい。
上記式(C)中、RC1は、水素原子または置換基を表す。
また、LC1は、単結合または2価の連結基を表す。
また、LC2は、m+1価の連結基を表す。
また、Zは、架橋性基を表す。
また、mは、1以上の整数を表し、2以上の整数である場合、複数のZは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記式(C)中、RC1は、水素原子または置換基を表す。
C1で表される置換基の種類は特に限定されず、公知の置換基が挙げられ、上記式(A)中のRA1の一態様が表す置換基で例示した基が挙げられる。なかでも、炭素数1~6で表されるアルキル基が好ましい。
上記式(C)中、LC1は、単結合または2価の連結基を表す。
C1の一態様が表す2価の連結基としては、例えば、上記式(A)中のLA1の一態様が表す2価の連結基で例示したものと同様のものが挙げられる。
なかでも、LC1の一態様が表す2価の連結基としては、液晶配向性がより良好となる理由から、置換基を有していてもよい炭素数1~10の直鎖状のアルキレン基、炭素数3~10の分岐鎖状または環状のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリーレン基、-O-、-CO-、および、-N(Q)-からなる群から選択される少なくとも2以上の基を組み合わせた2価の連結基であることが好ましい。Qは、水素原子または置換基を表す。
上記各基の定義は、上述したLA1で表される2価の連結基で説明した各基の定義と同じである。
C2は、m+1価の連結基を表す。
m+1価の連結基としては、液晶配向性がより良好となる理由から、置換基を有していてもよい炭素数1~24のm+1価の炭化水素基であって、炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよい炭化水素基が好ましく、炭素数1~10の酸素原子または窒素原子を含んでいてもよい脂肪族炭化水素基がより好ましい。
m+1価の連結基に含まれる炭素数は特に限定されず、液晶配向性がより良好となる理由から、1~24が好ましく、1~10がより好ましい。
m+1価の連結基としては、2価の連結基が好ましい。2価の連結基としては、例えば、上記式(A)中のLA1の一態様が表す2価の連結基で例示したものと同様のものが挙げられる。
Zは、架橋性基を表す。架橋性基の定義は、上述した通りである。
mは、1以上の整数を表す。なかでも、液晶配向性がより良好となる理由から、1~5の整数が好ましく、1~3の整数がより好ましく、1がさらに好ましい。
架橋性基を含む繰り返し単位の具体例としては、以下が挙げられる。
本発明の光配向性ポリマー中における任意の繰り返し単位Cの含有量は特に限定されず、液晶配向性がより良好となる理由から、光配向性ポリマーの全繰り返し単位に対して、10~60質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましい。
本発明の光配向性ポリマーは、上記以外の他の繰り返し単位を有していてもよい。
上記以外の他の繰り返し単位を形成するモノマー(ラジカル重合性単量体)としては、例えば、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、アクリルアミド化合物、アクリロニトリル、マレイン酸無水物、スチレン化合物、および、ビニル化合物が挙げられる。
本発明の光配向性ポリマーの合成法は特に限定されず、例えば、上述した繰り返し単位Aを形成するモノマー、上述した繰り返し単位Dを形成するモノマー、および、任意の他の繰り返し単位を形成するモノマーを混合し、有機溶剤中で、ラジカル重合開始剤を用いて重合することにより合成できる。
本発明の光配向性ポリマーの重量平均分子量(Mw)は特に限定されず、液晶配向性がより良好となる理由から、10000~500000が好ましく、10000~300000がより好ましく、30000~150000がさらに好ましい。
ここで、本発明における重量平均分子量および数平均分子量は、以下に示す条件でゲル浸透クロマトグラフ(GPC)法により測定された値である。
・溶媒(溶離液):THF(テトラヒドロフラン)
・装置名:TOSOH HLC-8320GPC
・カラム:TOSOH TSKgel Super HZM-H(4.6mm×15cm)を3本接続して使用
・カラム温度:40℃
・試料濃度:0.1質量%
・流速:1.0ml/min
・校正曲線:TOSOH製TSK標準ポリスチレン Mw=2800000~1050(Mw/Mn=1.03~1.06)までの7サンプルによる校正曲線を使用
[バインダー組成物]
本発明のバインダー組成物は、本発明の光配向性ポリマーと、バインダーと、光酸発生剤とを含む組成物である。
ここで、本発明のバインダー組成物中に含まれる光配向性ポリマーの含有量は、後述するバインダー100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましく、0.5~5質量部がより好ましい。
また、本発明のバインダー組成物中に含まれる光酸発生剤の含有量は、後述するバインダー100質量部に対して、0.5~50質量部が好ましく、2.5~25質量部がより好ましい。
〔バインダー〕
本発明のバインダー組成物に含まれるバインダーの種類は特に限定されず、それ自体は重合反応性のない樹脂のみから構成されるような単に乾燥固化する樹脂(以下、「樹脂バインダー」ともいう。)であってもよく、重合性化合物であってもよい。
<樹脂バインダー>
樹脂バインダーとしては、例えば、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アイオノマー樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、アクリロニトリルアクリレートスチレン共重合樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、アクリロニトリル塩化ポリエチレンスチレン共重合樹脂、エチレン酢ビ樹脂、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、酢酸セルロース樹脂、フッ素樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン、ポリスチレンマレイン酸共重合樹脂、ポリスチレンアクリル酸共重合樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート樹脂、ブチラール樹脂、ホルマール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、および、これらの共重合樹脂が挙げられる。
<重合性化合物>
重合性化合物としては、例えば、エポキシ系モノマー、(メタ)アクリル系モノマー、オキセタニル系モノマーが挙げられ、エポキシ系モノマーまたは(メタ)アクリル系モノマーが好ましい。
また、重合性化合物として、重合性液晶化合物やウレタンアクリレートモノマーを用いてもよい。
エポキシ系モノマーであるエポキシ基含有モノマーとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、および、複素環型エポキシ樹脂が挙げられる。
(メタ)アクリル系モノマーである、アクリレート系モノマーおよびメタクリレート系モノマーとしては、3官能モノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンPO(プロピレンオキサイド)変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンEO(エチレンオキサイド)変性トリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、および、ペンタエリスリトールトリアクリレートが挙げられる。また、4官能以上のモノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、および、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートが挙げられる。
重合性液晶化合物は特に限定されず、例えば、ホメオトロピック配向、ホモジニアス配向、ハイブリッド配向およびコレステリック配向のいずれかの配向が可能な化合物が挙げられる。
ここで、一般的に、液晶化合物はその形状から、棒状タイプと円盤状タイプとに分類できる。さらに、それぞれ低分子と高分子タイプとがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、いずれの液晶化合物を用いることもできるが、棒状液晶化合物またはディスコティック液晶化合物(円盤状液晶化合物)が好ましい。また、モノマーであるか、重合度が100未満の比較的低分子量な液晶化合物が好ましい。
また、重合性液晶化合物が有する重合性基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、および、ビニル基が挙げられる。
このような重合性液晶化合物を重合させることにより、液晶化合物の配向を固定することができる。なお、液晶化合物が重合によって固定された後においては、もはや液晶性を示す必要はない。
棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11-513019号公報の請求項1または特開2005-289980号公報の段落[0026]~[0098]に記載のものを好ましく、ディスコティック液晶化合物としては、例えば、特開2007-108732号公報の段落[0020]~[0067]または特開2010-244038号公報の段落[0013]~[0108]に記載のものを好ましい
上記重合性液晶化合物として、逆波長分散性の液晶化合物を用いることができる。
ここで、本明細書において「逆波長分散性」の液晶化合物とは、これを用いて作製された位相差フィルムの特定波長(可視光範囲)における面内のレターデーション(Re)値を測定した際に、測定波長が大きくなるにつれてRe値が同等または高くなるものをいう。
逆波長分散性の液晶化合物は、上記のように逆波長分散性のフィルムを形成できるものであれば特に限定されず、例えば、特開2008-297210号公報に記載の一般式(I)で表される化合物(特に、段落[0034]~[0039]に記載の化合物)、特開2010-084032号公報に記載の一般式(1)で表される化合物(特に、段落[0067]~[0073]に記載の化合物)、および、特開2016-081035号公報に記載の一般式(1)で表される化合物(特に、段落[0043]~[0055]に記載の化合物)が挙げられる。
さらに、特開2011-006360号公報の段落[0027]~[0100]、特開2011-006361号公報の段落[0028]~[0125]、特開2012-207765号公報の段落[0034]~[0298]、特開2012-077055号公報の段落[0016]~[0345]、WO12/141245号公報の段落[0017]~[0072]、WO12/147904号公報の段落[0021]~[0088]、WO14/147904号公報の段落[0028]~[0115]に記載の化合物が挙げられる。
〔光酸発生剤〕
本発明のバインダー組成物は、光酸発生剤を含む。
光酸発生剤は特に限定されず、波長300nm以上、好ましくは波長300~450nmの活性光線に感応し、酸を発生する化合物が好ましい。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光酸発生剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応し、酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく用いることができる。
光酸発生剤としては、pKaが4以下の酸を発生する光酸発生剤が好ましく、pKaが3以下の酸を発生する光酸発生剤がより好ましく、2以下の酸を発生する光酸発生剤がさらに好ましい。なお、本発明において、pKaは、基本的に25℃の水中におけるpKaを指す。水中で測定できないものは、測定に適する溶剤に変更し測定したものを指す。具体的には、化学便覧などに記載のpKaが参考にできる。pKaが3以下の酸としては、スルホン酸またはホスホン酸が好ましく、スルホン酸がより好ましい。
光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、トリクロロメチル-s-トリアジン類、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、第四級アンモニウム塩類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、および、オキシムスルホネート化合物が挙げられる。なかでも、オニウム塩化合物、イミドスルホネート化合物、または、オキシムスルホネート化合物が好ましく、オニウム塩化合物、または、オキシムスルホネート化合物がより好ましい。光酸発生剤は、1種単独または2種類以上を組み合わせて使用できる。
本発明のバインダー組成物は、上述した、光配向性ポリマー、バインダー、および、光酸発生剤以外の他の成分を含んでいてもよい。
〔重合開始剤〕
本発明のバインダー組成物は、バインダーとして重合性化合物を用いた場合には、重合開始剤を含むことが好ましい。
重合開始剤は特に限定されず、重合反応の形式に応じて、熱重合開始剤および光重合開始剤が挙げられる。
重合開始剤としては、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、α-カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60-105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)、オキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)、および、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63-040799号公報、特公平5-029234号公報、特開平10-095788号公報、および、特開平10-029997号公報記載)が挙げられる。
〔溶媒〕
本発明のバインダー組成物は、バインダー層を形成する作業性の点から、溶媒を含むのが好ましい。
溶媒としては、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、2-ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、および、シクロヘキサノン)、エーテル類(例えば、ジオキサン、および、テトラヒドロフラン)、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサン)、脂環式炭化水素類(例えば、シクロヘキサン)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン、および、トリメチルベンゼン)、ハロゲン化炭素類(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、および、クロロトルエン)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、および、酢酸ブチル)、水、アルコール類(例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、および、シクロヘキサノール)、セロソルブ類(例えば、メチルセロソルブ、および、エチルセロソルブ)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)、アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、および、ジメチルアセトアミド)が挙げられる。
溶媒を1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[バインダー層]
本発明のバインダー層は、上述した本発明のバインダー組成物を用いて形成され、その表面が配向制御能を有する層である。より具体的には、バインダー層は、バインダー組成物の塗膜中の光酸発生剤から酸を発生させた後、光配向処理を施して形成される層である。
つまり、バインダー層を形成する方法は、上記バインダー組成物を用いて得られる塗膜中の光酸発生剤から酸を発生させた後、塗膜に対して光配向処理を施して、バインダー層を形成する工程(工程1)を有することが好ましい。
なお、配向制御能を有するとは、バインダー層上に配置される液晶化合物を所定の方向に配向させる機能を有することを意味する。
バインダー組成物が重合性化合物を含む場合、上記工程1においては、上記バインダー組成物を用いて得られる塗膜に対して、硬化処理を施して、その後、塗膜中の光酸発生剤から酸を発生させる処理(以後、単に「酸発生処理」ともいう。)を実施した後、光配向処理を施して、バインダー層を形成することが好ましい。
なお、後述するように、硬化処理と、酸発生処理とは同時に実施してもよい。
以下、上記硬化処理を実施する方法について詳述する。
バインダー組成物の塗膜を形成する方法は特に限定されず、例えば、支持体上にバインダー組成物を塗布して、必要に応じて乾燥処理を施す方法が挙げられる。
支持体は、後段で詳述する。
また、支持体上には配向層が配置されていてもよい。
バインダー組成物を塗布する方法は特に限定されず、塗布方法としては、例えば、スピンコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、および、ダイコート法が挙げられる。
次に、バインダー組成物の塗膜に対して、硬化処理、および、塗膜中の光酸発生剤から酸を発生させる処理(以後、「酸発生処理」ともいう。)を実施する。
硬化処理としては、光照射処理または加熱処理が挙げられる。
また、硬化処理の条件は特に限定されないが、光照射による重合においては、紫外線を用いることが好ましい。照射量は、10mJ/cm~50J/cmが好ましく、20mJ/cm~5J/cmがより好ましく、30mJ/cm~3J/cmがさらに好ましく、50~1000mJ/cmが特に好ましい。また、重合反応を促進するため、加熱条件下で実施してもよい。
塗膜中の光酸発生剤から酸を発生させる処理とは、バインダー組成物中に含まれている光酸発生剤が感光する光を照射して、酸を発生させる処理である。本処理を実施することにより、開裂基での開裂が進行し、フッ素原子またはケイ素原子を含む基が脱離する。
上記処理で実施される光照射処理は、光酸発生剤が感光する処理であればよく、例えば、紫外線を照射する方法が挙げられる。光源としては、高圧水銀ランプおよびメタルハライドランプなどの紫外線を発光するランプを用いることが可能である。また、照射量は、10mJ/cm~50J/cmが好ましく、20mJ/cm~5J/cmがより好ましく、30mJ/cm~3J/cmがさらに好ましく、50~1000mJ/cmが特に好ましい。
上記硬化処理および酸発生処理は、硬化処理を実施した後、酸発生処理を実施してもよいし、硬化処理および酸発生処理を同時に実施してもよい。特に、バインダー組成物中の光酸発生剤および重合開始剤が同じ波長の光で感光する場合、同時に実施することが生産性の点から好ましい。
上記で形成されたバインダー組成物の塗膜(硬化処理が施された、バインダー組成物の硬化膜を含む)に対して、実施される光配向処理の方法は特に限定されず、公知の方法が挙げられる。
光配向処理としては、例えば、バインダー組成物の塗膜(硬化処理が施された、バインダー組成物の硬化膜を含む)に対して、偏光または塗膜表面に対して斜め方向から非偏光を照射する方法が挙げられる。
光配向処理において、照射する偏光は特に限定されず、例えば、直線偏光、円偏光、および、楕円偏光が挙げられ、直線偏光が好ましい。
また、非偏光を照射する「斜め方向」とは、塗膜表面の法線方向に対して極角θ(0<θ<90°)傾けた方向である限り、特に限定されず、目的に応じて適宜選択できるが、θが20~80°が好ましい。
偏光または非偏光における波長としては、光配向性基が感光する光であれば特に限定されず、例えば、紫外線、近紫外線、および、可視光線が挙げられ、250~450nmの近紫外線が好ましい。
また、偏光または非偏光を照射するための光源としては、例えば、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、および、メタルハライドランプが挙げられる。このような光源から得た紫外線または可視光線に対して、干渉フィルタまたは色フィルタなどを用いることで、照射する波長範囲を限定できる。また、これらの光源からの光に対して、偏光フィルタまたは偏光プリズムを用いることで、直線偏光を得ることができる。
偏光または非偏光の積算光量は特に限定されず、1~300mJ/cm2が好ましく、5~100mJ/cm2がより好ましい。
偏光または非偏光の照度は特に限定されず、0.1~300mW/cm2が好ましく、1~100mW/cm2がより好ましい。
なお、上記では、光配向処理を実施する前に、硬化処理および酸発生処理を実施する態様を述べたが、本発明はこの態様には限定されず、光配向処理の際に、同時に硬化処理および酸発生処理を実施してもよい。
バインダー層の厚みは特に限定されず、液晶配向性がより良好となる理由から、0.1~10μmが好ましく、0.3~3μmがより好ましい。
[光学積層体]
本発明の光学積層体は、本発明のバインダー層と、バインダー層上に設けられる光学異方性層とを有する。
本発明の光学積層体の好適な態様の一つとしては、バインダー層上に設けられる光学異方性層が重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物を用いて形成されており、また、バインダー層と光学異方性層とが互いに隣接して積層されている態様が挙げられる。
また、本発明の光学積層体は、バインダー層を支持する支持体を有していることが好ましい。
以下、本発明の光学積層体の好適態様について詳述する。
〔支持体〕
支持体としては、例えば、ガラス基板およびポリマーフィルムが挙げられる。
ポリマーフィルムの材料としては、セルロース系ポリマー;ポリメチルメタクリレート、ラクトン環含有重合体などのアクリル酸エステル重合体を有するアクリル系ポリマー;熱可塑性ノルボルネン系ポリマー;ポリカーボネート系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、および、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系ポリマー;ポリスチレン、アクリロニトリルスチレン共重合体などのスチレン系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、および、エチレン・プロピレン共重合体などのポリオレフィン系ポリマー;、塩化ビニル系ポリマー;ナイロン、芳香族ポリアミドなどのアミド系ポリマー;イミド系ポリマー;スルホン系ポリマー;ポリエーテルスルホン系ポリマー;ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー;ポリフェニレンスルフィド系ポリマー;塩化ビニリデン系ポリマー;ビニルアルコール系ポリマー;ビニルブチラール系ポリマー;アリレート系ポリマー;ポリオキシメチレン系ポリマー;エポキシ系ポリマー;またはこれらのポリマーを混合したポリマーが挙げられる。
支持体の厚みは特に限定されず、5~200μmが好ましく、10~100μmがより好ましく、20~90μmがさらに好ましい。
また、支持体は、剥離可能であることが好ましい。
〔バインダー層〕
バインダー層は、上述した本発明のバインダー層である。
〔光学異方性層〕
光学異方性層は、重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物を用いて形成されることが好ましい。
ここで、光学異方性層を形成するための重合性液晶組成物としては、例えば、本発明のバインダー組成物において任意成分として記載した重合性液晶化合物、重合開始剤および溶媒などを配合した組成物が挙げられる。
光学異方性層の厚みは特に限定されず、0.1~10μmが好ましく、0.5~5μmがより好ましい。
[光学積層体の製造方法]
本発明の光学積層体の製造方法は、上述した本発明の光学積層体の好適態様を作製する方法であり、上記バインダー組成物を用いて得られる塗膜中の光酸発生剤から酸を発生させた後、塗膜に対して光配向処理を施して、バインダー層を形成する工程(工程1)と、バインダー層上に、重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物を塗布して、光学異方性層を形成する工程(工程2)とを有する。
〔工程1〕
工程1は、上記バインダー組成物を用いて得られる塗膜中の光酸発生剤から酸を発生させた後、塗膜に対して光配向処理を施して、バインダー層を形成する工程である。
工程1の手順は、上述した通りである。
〔工程2〕
工程2は、バインダー層上に、重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物を塗布して、光学異方性層を形成する工程である。
重合性液晶組成物を塗布する方法は特に限定されず、工程1で例示される塗布方法が挙げられる。
光学異方性層を形成する方法としては、重合性液晶組成物の塗膜に対して加熱処理を施して、その後、硬化処理を施す方法が挙げられる。上記加熱処理により重合性液晶化合物を配向させることができる。
上記では加熱処理と硬化処理とを別々に実施したが、加熱条件下にて硬化処理を実施する方法でもよい。
なお、重合性液晶化合物の種類によって加熱処理を実施せずに配向する場合には、加熱処理は実施しなくてもよい。
塗膜を加熱した後、後述する硬化処理の前に、必要に応じて、塗膜を冷却してもよい。
加熱処理の条件は特に限定されず、重合性液晶化合物が配向する温度であればよい。加熱温度は、通常、30~100℃が好ましく、50~80℃がより好ましい。加熱時間は、0.5~20分間が好ましく、1~5分間がより好ましい。
硬化処理の方法は特に限定されず、光照射処理、および、加熱処理が挙げられ、光照射処理が好ましい。光照射処理の際の光としては、紫外線が好ましい。
光照射を行う際の条件は特に限定されず、照射量としては10mJ/cm~50J/cmが好ましく、20mJ/cm~5J/cmがより好ましく、30mJ/cm~3J/cmがさらに好ましい。
また、重合反応を促進するため、加熱条件下で実施してもよい。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、本発明の光学異方性層または本発明の光学積層体を有する、画像表示装置である。
本発明の画像表示装置に用いられる表示素子は特に限定されず、例えば、液晶セル、有機エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」と略す。)表示パネル、および、プラズマディスプレイパネルが挙げられる。
これらのうち、液晶セル、または、有機EL表示パネルが好ましく、液晶セルがより好ましい。すなわち、本発明の画像表示装置としては、表示素子として液晶セルを用いた液晶表示装置、または、表示素子として有機EL表示パネルを用いた有機EL表示装置が好ましい。
〔液晶表示装置〕
本発明の画像表示装置の一例である液晶表示装置は、上述した本発明の光学異方性層または本発明の光学積層体と、液晶セルとを有する液晶表示装置である。
液晶表示装置に利用される液晶セルは、VA(Vertical Alignment)モード、OCB(Optically Compensated Bend)モード、IPS(In-Plane-Switching)モード、FFS(Fringe-Field-Switching)モード、又はTN(Twisted Nematic)モードであることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
〔有機EL表示装置〕
本発明の画像表示装置の一例である有機EL表示装置としては、例えば、視認側から、偏光子、本発明の光学異方性層または本発明の光学積層体、および、有機EL表示パネルをこの順で有する態様が好適に挙げられる。
<偏光子>
上記偏光子は、光を特定の直線偏光に変換する機能を有する部材であれば特に限定されず、従来公知の吸収型偏光子および反射型偏光子を利用できる。
吸収型偏光子としては、ヨウ素系偏光子、二色性染料を利用した染料系偏光子、およびポリエン系偏光子が挙げられる。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子には、塗布型偏光子と延伸型偏光子とがあり、いずれも適用できる。
また、基材上にポリビニルアルコール層を形成した積層フィルムの状態で延伸および染色を施すことで偏光子を得る方法としては、特許第5048120号公報、特許第5143918号公報、特許第4691205号公報、特許第4751481号公報、および、特許第4751486号公報に記載される方法が挙げられる。
反射型偏光子としては、複屈折の異なる薄膜を積層した偏光子、ワイヤーグリッド型偏光子、および、選択反射域を有するコレステリック液晶と1/4波長板とを組み合わせた偏光子が挙げられる。
これらのうち、密着性がより優れる点で、ポリビニルアルコール系樹脂(-CH-CHOH-を繰り返し単位として含むポリマー。特に、ポリビニルアルコールおよびエチレン-ビニルアルコール共重合体からなる群から選択される少なくとも1つ)を含む偏光子が好ましい。
偏光子の厚みは特に限定されず、3~60μmが好ましく、5~30μmがより好ましく、5~15μmがさらに好ましい。
<有機EL表示パネル>
有機EL表示パネルは、陽極、陰極の一対の電極間に発光層または発光層を含む複数の有機化合物薄膜を形成した部材であり、発光層のほか正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、および、保護層などを有してもよく、またこれらの各層はそれぞれ他の機能を備えたものであってもよい。各層の形成にはそれぞれ種々の材料を用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、および、処理手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更できる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
〔モノマーmD-2の合成〕
100mLナスフラスコに、N-(メトキシメチル)メタクリルアミドを15.0g、2-(ペルフルオロブチル)エタノールを42.3g秤量し、ヘキサン50mLおよびトルエン50mLを加えた後、リン酸を0.6g加え、Dean-stark装置を取り付け、75℃で10時間加熱した。反応液を室温まで冷却した後、溶媒を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことにより、下記式mD-2で表されるモノマーmD-2を無色オイルとして35.0g得た(収率65.3%)。
なお、以下のモノマーmD-2は、下記式D-2で表される繰り返し単位を形成するモノマーに該当するものである。
〔モノマーmD-6の合成〕
2-(ペルフルオロブチル)エタノールに代えて、2-(ペルフルオロヘキシル)エタノールを用いた以外は、モノマーmD-2と同様の方法で、下記式mD-6で表されるモノマーmD-6を合成した。
なお、以下のモノマーmD-6は、下記式D-6で表される繰り返し単位を形成するモノマーに該当するものである。
〔モノマーmD-9の合成〕
2-(ペルフルオロブチル)エタノールに代えて、2-(ペルフルオロヘプチル)エタノールを用いた以外は、モノマーmD-2と同様の方法で、下記式mD-9で表されるモノマーmD-9を合成した。
なお、以下のモノマーmD-9は、下記式D-9で表される繰り返し単位を形成するモノマーに該当するものである。
〔モノマーmB-6の合成〕
100mLナスフラスコに、1,1-ジメトキシシクロヘキサン5.0g、2-ヒドロキシメタクリレート9.0g、1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクタノール25.0g、ピリジニウムパラトルエンスルホナート0.87g、および、トルエン30mLを量りとり、40℃で1時間撹拌した。
次いで、100mmHgの減圧下で、40℃で4時間攪拌した。
反応液を室温(23℃)まで冷却した後、飽和炭酸水素ナトリウム水で分液洗浄し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことにより、下記式mB-6で表されるモノマーmB-6を無色液体として8.0g得た(収率40%)。
なお、以下のモノマーmB-6は、下記式B-6で表される繰り返し単位を形成するモノマーに該当するものである。

上記以外のモノマーは、上述した合成法および公知の方法(例えば、国際公開第2018/216812号に記載の方法)を参照して合成した。
なお、後述する実施例および比較例で使用した繰り返し単位の構造は、上述した繰り返し単位の具体例と対応している。
[実施例1(光配向性ポリマーの合成)]
冷却管、温度計および撹拌機を備えたフラスコに、溶媒として2-ブタノン(23質量部)、下記モノマーmA-18(2.75質量部)、下記モノマーmB-0(2.25質量部)、下記モノマーmC-4Cl(2.25質量部)、下記モノマーmD-6(2.75質量部)および、重合開始剤として2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(0.075質量部)を仕込み、フラスコ内に窒素を15mL/min流しながら、水浴加熱により7時間還流状態を維持したまま撹拌した。

反応終了後、室温まで放冷し、得られた重合体溶液を大過剰のメタノール中へ投入して重合体を沈殿させ、回収した沈殿物をろ別し、大量のメタノールで洗浄した後、40℃において6時間真空乾燥することにより、上述した繰り返し単位A-18、繰り返し単位B-0、繰り返し単位C-4Cl、および、繰り返し単位D-6を有する下記共重合体P-1cを得た。

続いて、冷却管、温度計、および撹拌機を備えたフラスコに、共重合体P-1c(3.3質量部)、4-メトキシフェノール(0.016質量部)、トリエチルアミン(3.75質量部)、および、ジメチルアセトアミド(4.95質量部)を仕込み、水浴加熱により60℃で4時間撹拌した。反応終了後、室温まで放冷し、得られた反応溶液を大過剰のメタノール/水(1/3)中へ投入して重合体を沈殿させ、回収した沈殿物をろ別し、大量のメタノール/水(1/3)で洗浄した後、40℃において12時間送風乾燥することにより、下記光配向性ポリマーP-1を得た。
[実施例2~11および比較例1~2(光配向性ポリマーの合成)]
実施例1で用いた各種モノマーに代えて、下記表1に記載された繰り返し単位を形成するモノマーを用い、下記表1に記載する含有量で配合した以外は、実施例1で合成した光配向性ポリマーP-1と同様の方法で、光配向性ポリマーを合成した。
合成した光配向性ポリマーについて、上述した方法で重量平均分子量を測定した。結果を下記表1に示す。
[実施例1(光学積層体の作製)]
支持体としてセルロースアシレートフィルム(ZRD40、富士フイルム(株)製)を用意した。
また、バインダー層形成用組成物として、下記棒状液晶化合物A(83質量部)、下記棒状液晶化合物C(15質量部)、下記棒状液晶化合物D(2質量部)、ウレタンアクリレート(EBECRYL1290,ダイセル・オルネクス(株)製)(4質量部)、光重合開始剤(IRGACURE OXE01、BASF社製)(4.0質量部)、下記光酸発生剤B(3.0質量部)、下記ポリマーA(2.0質量部)、および、上記光配向性ポリマーP-1(2.0質量部)をメチルイソブチルケトン(669質量部)に溶解して、バインダー層形成用組成物を調製した。
上記支持体上に、調製した上記のバインダー層形成用溶液を#3.0のワイヤーバーで塗布した。得られた塗膜を60℃で2分間加熱し、40℃に冷却した後に、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら365nmのUV-LEDを用いて、照射量500mJ/cmの紫外線を照射した。その後、得られたフィルムを110℃もしくは120℃もしくは135℃で1分間アニーリングすることで、バインダー層を形成した。なお、バインダー層の厚みは0.5μmであった。

光酸発生剤B
ポリマーA
〔照射工程(配向機能付与)〕
得られたバインダー層に、室温で、ワイヤーグリッド型偏光子を通したUV光(超高圧水銀ランプ;UL750;HOYA製)を7.9mJ/cm(波長:313nm)照射し、配向機能を付与した。
〔光学異方性層の形成〕
下記重合性液晶化合物A(65質量部)、下記重合性液晶化合物B(35質量部)、光重合開始剤(イルガキュア907、BASF社製)(3質量部)、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)(1質量部)、および、下記水平配向剤(0.3質量部)をメチルエチルケトン(193質量部)に溶解して、光学異方性層形成用溶液を調製した。
上記バインダー層上に、上記の光学異方性層形成用溶液をワイヤーバーコーター#7で塗布し、60℃で2分間加熱し、60℃に維持したまま、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量300mJ/cmの紫外線を照射して光学異方性層(厚み:2.5μm)を形成し、光学積層体を作製した。

[実施例2~11および比較例1~2(光学積層体の作製)]
光配向性ポリマーP-1に代えて、光配向性ポリマーP-2~P-11およびH-1~H-2を用いた以外は、実施例1と同様の方法で光学積層体を作製した。
[評価]
〔液晶配向性〕
2枚の偏光板をクロスニコルに配置し、その間に得られた光学積層体を配置して光漏れの程度および偏光顕微鏡で面状を観察した。結果を下記表1に示す。
AA:光漏れがなく、液晶ダイレクタが均一に整って配向し、面状が非常に安定している。
A:光漏れがなく、液晶ダイレクタの乱れがなく、面状が安定している。
B:光漏れがなく、液晶ダイレクタの乱れがごくわずかであり、面状が安定している。
C:光漏れはないが、液晶ダイレクタが乱れて面状が安定していない。
D:光漏れが観察され、液晶ダイレクタが乱れて面状が安定していない。
〔開裂速度〕
バインダー層形成用組成物の表面エネルギーと、365nmのUV-LED照射後の加熱後(110℃/120℃/135℃でそれぞれ測定)のバインダー層の表面エネルギーの差異で開裂速度を評価した。評価基準は下記の通りである。なお、表面エネルギーは接触角計[“CA-X”型接触角計、協和界面科学(株)製]を用いて、下記方法で測定した。
<表面エネルギーの測定方法>
石英基板上に測定対象をスピンコートした。なお、溶媒を含有する場合は乾燥させて膜を作成した。続いて、接触角計を用い、乾燥状態(20℃/65%RH)で、液体として純水を使用して直径1.0mmの液滴を針先に作り、これを上記のスピンコート膜の表面に接触させてフィルム上に液滴を作った。フィルムと液体とが接する点における、液体表面に対する接線とフィルム表面がなす角で、液体を含む側の角度を接触角とし、測定した。また、水の代わりにヨウ化メチレンを用いて接触角を測定し、以下で定義される表面自由エネルギーを求め、以下の評価基準で評価した。結果を下記表1に示す。
ここで、表面自由エネルギー(γs:単位、mN/m)とは、D.K.Owens:J.Appl.Polym.Sci.,13,1741(1969)を参考に、反射防止フィルム上で実験的に求めた純水HOとヨウ化メチレンCHのそれぞれの接触角θH2O、θCH2I2から以下の連立方程式a,bより求めたγsとγsの和で表される値γs(=γs+γs)で定義した。
a.1+cosθH2O=2√γs(√γH2O /γH2O )+2√γs(√γH2O /γH2O
b.1+cosθCH2I2=2√γs(√γCH2I2 /γCH2I2 )+2√γs(√γCH2I2 /γCH2I2
γH2O =21.8、γH2O =51.0、γH2O =72.8
γCH2I2 =49.5、γCH2I2 =1.3、γCH2I2 =50.8
<評価基準>
AA:表面エネルギーの差異が20mN/m以上
A:表面エネルギーの差異が15mN/m以上20mN/m未満
B:表面エネルギーの差異が10mN/m以上15mN/m未満
C:表面エネルギーの差異が5mN/m以上10mN/m未満
D:表面エネルギーの差異が5mN/m未満
Figure 0007496416000071
上記表1に示す結果から、光、熱、酸および塩基からなる群から選択される少なくとも1種の作用により分解して架橋性基を生じる開裂基を含む繰り返し単位Dを有していない光配向性ポリマーを用いた場合には、液晶配向性が劣ることが分かった(比較例1および2)。
一方、光配向性基を含む繰り返し単位Aとともに、繰り返し単位Dを有する光配向性ポリマーを用いた場合には、液晶配向性が良好となることが分かった(実施例1~11)。
特に、実施例5と実施例8との対比から、光配向性ポリマーが上記式(2)で表される基を含む繰り返し単位Bを有していると、開裂速度が速くなることが分かった。
また、実施例3と実施例6との対比、および、実施例4と実施例7との対比から、光配向性ポリマーが、架橋性基を有する繰り返し単位Cを有していると、液晶配向性がより良好となることが分かった。

Claims (17)

  1. 光配向性基を含む繰り返し単位Aと、
    光、熱、酸および塩基からなる群から選択される少なくとも1種の作用により分解して架橋性基を生じる開裂基を含む繰り返し単位Dとを有し、
    前記架橋性基が、自己架橋性の架橋性基であり、
    前記繰り返し単位Dが、側鎖に前記開裂基を有し、前記側鎖の前記開裂基よりも末端側にフッ素原子またはケイ素原子を有する、光配向性ポリマー。
  2. 前記繰り返し単位Dが、下記式(1)で表される基を含む、請求項1に記載の光配向性ポリマー。
    前記式(1)中、
    D1は、水素原子またはアルキル基を表す。
    は、r+1価の連結基を表す。
    Mは、フッ素原子またはケイ素原子を含む基を表す。
    rは、1~4の整数を表し、2~4の整数である場合、複数のMは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    *は、結合位置を表す。
  3. 前記繰り返し単位Dが、下記式(D)で表される繰り返し単位である、請求項2に記載の光配向性ポリマー。
    前記式(D)中、
    D2は、水素原子または置換基を表す。
    前記式(D)中のRD1、L、Mおよびrの定義は、前記式(1)中のRD1、L、Mおよびrのそれぞれの定義と同じである。
  4. 更に、下記式(2)で表される基を含む繰り返し単位Bを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の光配向性ポリマー。
    前記式(2)中、
    は、n+1価の炭素数1以上の脂肪族炭化水素基を表し、前記脂肪族炭化水素基を構成する-CH-の一部または全部が-CO-または-O-で置換されていてもよい。
    Xは、下記式(B1)~(B3)のいずれかで表される開裂基を表す。
    Yは、フッ素原子またはケイ素原子を含む基を表す。
    nは、1以上の整数を表し、2以上の整数である場合、複数のXは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のYは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    *は、結合位置を表す。
    前記式(B1)~(B3)中、*は、結合位置を表す。
    前記式(B1)中、RB1は、それぞれ独立に置換基を表し、2個のRB1が互いに結合して環を形成してもよい。
    前記式(B2)中、RB2は、それぞれ独立に置換基を表し、2個のRB2が互いに結合して環を形成してもよい。
    前記式(B3)中、RB3は、置換基を表し、mは、0~3の整数を表す。mが2または3である場合、複数のRB3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
  5. 前記繰り返し単位Bが、下記式(B)で表される繰り返し単位である、請求項4に記載の光配向性ポリマー。
    前記式(B)中、Rは、水素原子または置換基を表し、Aは、-O-または-NR-を表し、Rは、水素原子または置換基を表す。
    前記式(B)中のL、X、Yおよびnの定義は、前記式(2)中のL、X、Yおよびnのそれぞれの定義と同じである。
  6. 前記式(2)で表される基が、下記式(B4)~(B8)のいずれかで表される基を表す、請求項4または5に記載の光配向性ポリマー。
    前記式(B4)~(B8)中、*は、結合位置を表し、Lの定義は、前記式(2)中のLの定義と同じであり、LB2は、単結合または2価の連結基を表し、Cfは、フッ素原子含有アルキル基を表す。
    前記式(B4)中、RB1の定義は、前記式(B1)中のRB1の定義と同じである。
    前記式(B5)および(B6)中、RB2の定義は、前記式(B2)中のRB2の定義と同じである。
    前記式(B7)および(B8)中、RB3およびmの定義は、前記式(B3)中のRB3およびmのそれぞれの定義と同じである。
  7. 前記式(2)で表される基が、下記式(B9)~(B16)のいずれかで表される基を表す、請求項4~6のいずれか1項に記載の光配向性ポリマー。
    前記式(B9)~(B16)中、*は、結合位置を表し、Cfは、フッ素原子含有アルキル基を表す。
    前記式(B9)および(B10)中、Lの定義は、前記式(2)中のLの定義と同じであり、nは、0~10の整数を表し、LB21は、単結合または炭素数1~10の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
    前記式(B11)~(B13)中、Lの定義は、前記式(2)中のLの定義と同じであり、RB2の定義は、前記式(B2)中のRB2の定義と同じであり、LB21は、単結合または炭素数1~10の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
    前記式(B14)~(B16)中、LB2は、単結合または2価の連結基を表し、LB3は、単結合または炭素数1~10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、RB2の定義は、前記式(B2)中のRB2の定義と同じである。
  8. 前記繰り返し単位Aが、下記式(A)で表される繰り返し単位である、請求項1~7のいずれか1項に記載の光配向性ポリマー。
    前記式(A)中、
    A1は、水素原子または置換基を表す。
    A1は、単結合または2価の連結基を表す。
    A2、RA3、RA4、RA5およびRA6は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。RA2、RA3、RA4、RA5およびRA6のうち、隣接する2つの基が結合して環を形成していてもよい。
  9. 更に、架橋性基を含む繰り返し単位Cを有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の光配向性ポリマー。
  10. 前記繰り返し単位Cが、下記式(C)で表される繰り返し単位である、請求項9に記載の光配向性ポリマー。
    前記式(C)中、
    C1は、水素原子または置換基を表す。
    C1は、単結合または2価の連結基を表す。
    C2は、m+1価の連結基を表す。
    Zは、架橋性基を表す。
    mは、1以上の整数を表し、2以上の整数である場合、複数のZは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
  11. 前記架橋性基が、下記式(C1)~(C4)のいずれかで表される基を表す、請求項9または10に記載の光配向性ポリマー。
    前記式(C1)~(C4)中、*は、結合位置を表す。
    前記式(C3)中、RC2は、水素原子、メチル基、または、エチル基を表す。
    前記式(C4)中、RC3は、水素原子またはメチル基を表す。
  12. 重量平均分子量が10000~500000である、請求項1~11のいずれか1項に記載の光配向性ポリマー。
  13. 請求項1~12のいずれか1項に記載の光配向性ポリマー、バインダー、および、光酸発生剤を含む、バインダー組成物。
  14. 請求項13に記載のバインダー組成物を用いて形成され、その表面が配向制御能を有する、バインダー層。
  15. 請求項14に記載のバインダー層と、
    前記バインダー層上に配置される光学異方性層と、を有する光学積層体。
  16. 請求項13に記載のバインダー組成物を用いて得られる塗膜に対して、前記光酸発生剤から酸を発生させ、その後、光配向処理を施して、バインダー層を形成する工程と、
    前記バインダー層上に、重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物を塗布して、光学異方性層を形成する工程と、を有する光学積層体の製造方法。
  17. 請求項14に記載のバインダー層または請求項15に記載の光学積層体を有する、画像表示装置。
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