JP7493602B2 - 臨床サンプルからグリコシル化エクソソームを分離することに用いられるレクチン-高分子担体カップリング複合体 - Google Patents

臨床サンプルからグリコシル化エクソソームを分離することに用いられるレクチン-高分子担体カップリング複合体 Download PDF

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本願発明では、中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202010060063.1で、発明の名称が「臨床サンプルからグリコシル化エクソソームを分離することに用いられるレクチン-高分子担体カップリング複合体」である中国特許出願の優先権が主張され、当該出願が援用により全体として本明細書に組み込まれる。
本願発明は、バイオ医薬品及び生物分離に関連する技術分野に属し、臨床サンプルからグリコシル化エクソソームを分離することに用いられるレクチン-高分子担体カップリング複合体に関する。
エクソソームは多胞体が原形質膜に融合する時に放出される生理活性を有する小胞であり、直径が約30~150nmで、細胞間コミュニケーションの重要なメディエーターの1つである。生理学的に健常なヒトにおいて、エクソソームは細胞間でDNA、タンパク質、mRNA、miRNAなどのさまざまな生理活性物質を輸送し、細胞間コミュニケーション、細胞の移動、腫瘍細胞の成長などのさまざまな過程に関与して、細胞間の物質と情報の伝達を行うことができる。文献研究により、ほぼ全てのタイプの細胞がエクソソームを分泌し、血液、唾液、尿、脳脊髄液、貯留液、乳汁などの体液からエクソソームが抽出されることが判明した。
エクソソームは腫瘍、慢性感染性疾患、自己免疫疾患など多くの疾患に関係しており、生体に病変が生じると、細胞から分泌されるエクソソームの成分、含有量、特性などはいずれも変わる可能性がある。グリコシル化エクソソームは腫瘍を含めさまざまな疾患の発生、進行に重要な役割を果たし、エクソソーム検出の研究は疾患の発生と進行の効果的な監視につながると思われる。サンプルでエクソソームの含有量が低いため、エクソソームの分離と濃縮はエクソソームの研究に特に重要なことである。
従来のエクソソームの分離方法はさまざまで、主に、超遠心分離や密度勾配遠心分離、免疫磁気ビーズ法などである。このうち、超遠心分離と密度勾配遠心分離はエクソソームと他の生物学的成分との密度のわずかな差により分離するもので、当該方法は特殊な装置を必要とし、大量のサンプルが必要であり、時間がかかるだけでなく、臨床サンプルによって特性が異なるため、当該方法の分離効果は安定性が悪く、さらに、超遠心分離で小胞が損傷しやすいため後の実験に影響がある。免疫磁気ビーズ法の原理は、エクソソームの表面の特異的タンパク質、例えば、CD9/CD63/CD81などが、対応する抗体をコーティングされた免疫磁気ビーズと結合して、磁気分離を行うことであるが、免疫磁気ビーズの体積が小さく、粒径はナノレベルでエクソソームの直径以下であるため、免疫磁気ビーズとエクソソームの結合は立体障害が大きく、エクソソームとの結合が不充分であるため、分離効率が芳しくない。また、免疫磁気ビーズ法で分離したエクソソームは溶離時に酸性溶離液を使用するため、エクソソームの形態が不完全である。
そこで、濃縮サンプルからグリコシル化エクソソームを正確に、効率的に分離するために使用できる組成物、分離装置及び分離方法について研究し、これを確立する必要がある。
本願発明では従来技術の欠点に対し、臨床サンプルからグリコシル化エクソソームを分離することに用いられるレクチン-高分子担体カップリング複合体が提供され、さらに、当該レクチン-高分子担体カップリング複合体を含むグリコシル化エクソソーム分離組成物、並びに当該レクチン-高分子担体カップリング複合体を用いてグリコシル化エクソソームを分離する方法及び使用が提供される。本願発明に係るレクチン-高分子担体カップリング複合体は臨床サンプルからグリコシル化エクソソームを正確に分離することができ、分離効率が高く、分離後のエクソソームは形態が完全で、破裂したもの又は断片化したものはないため、そのままグリコシル化エクソソームの液体の検出に用い、又はそのまま関連の免疫学的検出を行い、又はそのままエクソソームから関連の核酸を抽出して遺伝子測定分析を行うことができる。本願発明に係るグリコシル化エクソソーム分離方法で、エクソソームの外面の豊富な糖鎖がレクチンと結合できるという原理を利用して、効果的な遠心洗浄と効果的な溶離でグリコシル化エクソソームを分離することができ、簡易かつ迅速であり、再現性に優れ、分離後のエクソソームは形態が完全で、破裂したもの又は断片化したものはないため、疾患の発生、進行などにおける検出、監視、診断にこれを使用する。
本願発明では、高分子担体と、高分子担体の外側にカップリングしたレクチンとからなる臨床サンプルからグリコシル化エクソソームを分離することに用いられるレクチン-高分子担体カップリング複合体が提供され、
レクチンは、パラミツ由来レクチン、ピーナッツ由来レクチン、エンドウ由来レクチン(VVA及び/又はVVL)、ナタマメ由来レクチン、レンズマメ由来レクチン、小麦胚芽レクチン、ダイズ由来レクチン、インゲンマメ由来レクチン、カタツムリ由来レクチン(HAA及び/又はHPA)の任意の1つ、2つ又はそれ以上を含み、
高分子担体は、デキストランミクロスフェア、アガロースミクロスフェア、樹脂又はエポキシ樹脂ミクロスフェア、ポリスチレンミクロスフェアの任意の1つ、2つ又はそれ以上を含む。
レクチン-高分子担体カップリング複合体のいくつかの実施形態において、高分子担体の粒径分布範囲は1~200μmであり、好ましくは10~200μmであり、より好ましくは30~150μmである。
レクチン-高分子担体カップリング複合体のいくつかの実施形態において、レクチン-高分子担体カップリング複合体で、1mLの高分子担体当たり1~20mg、好ましくは5~15mg、より好ましくは10~15mgのレクチンがカップリングされている。
レクチン-高分子担体カップリング複合体のいくつかの実施形態において、臨床サンプルは、血清、血漿、唾液、組織又は細胞培養上清、尿、脳脊髄液、リンパ液の任意の1つを含む。
レクチン-高分子担体カップリング複合体のいくつかの実施形態において、レクチンは、パラミツ由来レクチン、ピーナッツ由来レクチン、エンドウ由来レクチン(VVA及び/又はVVL)、ナタマメ由来レクチン、レンズマメ由来レクチン、小麦胚芽レクチン、ダイズ由来レクチン、インゲンマメ由来レクチンの任意の1つ、2つ又はそれ以上を含む。
レクチン-高分子担体カップリング複合体のいくつかの実施形態において、グリコシル化エクソソームは、N-グリコシル化エクソソーム、O-グリコシル化エクソソーム、フコシル化エクソソームの任意の1つ、2つ又はそれ以上を含む。
レクチン-高分子担体カップリング複合体のいくつかの実施形態において、レクチン-高分子担体カップリング複合体が保存液に保存され、最終のレクチン-高分子担体カップリング複合体保存液におけるレクチン-高分子担体カップリング複合体の保存濃度(体積比)は10~60%であり、好ましくは当該比が30~50%であり、より好ましくは40~50%である。レクチン-高分子担体カップリング複合体保存液の体積とは、保存液に分散したレクチン-高分子カップリング複合体と、保存液との総体積を指す。
レクチン-高分子担体カップリング複合体のいくつかの実施形態において、レクチン-高分子担体カップリング複合体保存液が親和性吸着遠心分離管を含む分離装置に分注されている。親和性吸着遠心分離管は、上部の遠心分離管及び外側の保護スリーブ管の2つの部分を含む。上部の遠心分離管の直径は外側の保護スリーブ管の直径より小さく、上部の遠心分離管は外側の保護スリーブ管内に套設され且つその上部の外側には、上部の遠心分離管の開口部が外側の保護スリーブ管を超えるよう支持するための隆起した環状の縁部又は支柱がある。上部の遠心分離管は、遠心分離管蓋と、遠心分離管壁と、遠心分離管壁に固定して接続される濾過膜底部とを含み、濾過膜底部で使用される濾過膜の孔径はレクチン-高分子担体カップリング複合体の粒径より小さく、且つエクソソームの粒径より大きく、レクチン-高分子担体カップリング複合体保存液が上部の遠心分離管に保存されて、グリコシル化エクソソーム分離装置が構成され、濾過膜の孔径は、150~1000nmであることが好ましい。
レクチン-高分子担体カップリング複合体のいくつかの実施形態において、上部の遠心分離管に分注されているレクチン-高分子担体カップリング複合体保存液におけるレクチン-高分子担体カップリング複合体の体積は上部の遠心分離管の体積の1/2~1/4を占める。
本願発明の別の態様では、さらに、グリコシル化エクソソーム分離組成物が提供され、グリコシル化エクソソーム分離組成物は、レクチン-高分子担体カップリング複合体を含み、分離過程で非特異的に結合した、グリコシル化していないエクソソーム及び他の不純物を洗浄し除去するための洗浄液及び/又はレクチン-高分子担体カップリング複合体に特異的に結合したグリコシル化エクソソームを溶離するための溶離液をさらに含む。ここで組成物とは混合してまとまったものではなく、同時に1つの薬物キットに存在するものを意味する。
グリコシル化エクソソーム分離組成物のいくつかの実施形態において、洗浄液は金属塩イオン不含の洗浄緩衝液又は精製水であり、任意選択で、分離過程で非特異的にカップリングしたグリコシル化していないエクソソーム及び他の不純物を洗浄し除去するための金属塩イオン不含の洗浄緩衝液である。
グリコシル化エクソソーム分離組成物のいくつかの実施形態において、溶離液は糖類を溶解したホウ酸塩緩衝液であり、任意選択で、マンノースを溶解したホウ酸塩緩衝液であり、さらに、任意選択で、pHは6.5±0.2で、レクチン-高分子担体カップリング複合体にカップリングしたグリコシル化エクソソームを溶離するために用いられ、溶離後のエクソソームは外観と形態が完全で、破裂したもの又は断片化したものはない。
本願発明の別の態様では、さらに、レクチン-高分子担体カップリング複合体を用いてグリコシル化エクソソームを分離する分離ステップを含むグリコシル化エクソソーム分離方法が提供され、分離ステップは、
臨床サンプルを前処理するステップと、
前処理後のサンプルを得、任意選択で、洗浄液と均一に混合して希釈したものを、被検出サンプルとするステップと、
レクチン-高分子担体カップリング複合体保存液から保存液の部分を完全に除去して、レクチン-高分子担体カップリング複合体を残すステップと、
被検出サンプルを、保存液を除去したレクチン-高分子担体カップリング複合体に加え、室温下で静置しながらインキュベートして、サンプルを除去するステップと、
洗浄液を使用してグリコシル化エクソソームが結合してあるレクチン-高分子担体カップリング複合体を洗浄し、分離過程で非特異的にカップリングしたグリコシル化していないエクソソーム及び他の不純物を洗浄し除去するために、洗浄液を除去するステップと、
溶離液を使用して、洗浄後のレクチン-高分子担体カップリング複合体を溶離し、室温下で静置して、溶離上清を収集し、これが分離後のグリコシル化エクソソーム溶液であるステップと、を含む。
グリコシル化エクソソーム分離方法のいくつかの実施形態において、被検出サンプルとレクチン-高分子担体カップリング複合体の比は1:1~3であり、
且つ/又は、1回で加える洗浄液の体積とグリコシル化エクソソームが結合してあるレクチン-高分子担体カップリング複合体の体積の比は1~3:1であり、
且つ/又は、洗浄液での洗浄ステップを1~3回繰り返し、
且つ/又は、加える溶離液の体積と洗浄後のレクチン-高分子担体カップリング複合体の体積の比は0.5~2:1であり、好ましくは0.5~1:1である。
グリコシル化エクソソーム分離方法のいくつかの実施形態において、レクチン-高分子担体カップリング複合体保存液からの保存液の部分の完全除去、サンプルの除去、洗浄液の除去、及び/又は、溶離上清の収集は、3000rpm以下の速度で、室温下で20秒遠心分離することにより行う。
グリコシル化エクソソーム分離方法のいくつかの実施形態において、室温下で静置しながら10~30分、好ましくは10~15分インキュベートする。
グリコシル化エクソソーム分離方法のいくつかの実施形態において、サンプルを前処理するための方法は、
血清、血漿、唾液、脳脊髄液又はリンパ液サンプルの場合は、サンプルを3000g以下の速度で10~15分遠心分離して、サンプルから細胞破片、沈殿した不純物を除去し、遠心分離後の上清を得、使用に備えるステップと、
組織又は細胞培養上清、尿サンプルの場合は、サンプルを3000g以下の速度で10~15分遠心分離して、サンプルから細胞破片、沈殿した不純物を除去し、次に、上清を限外濾過遠心管で10~1000倍濃縮し、使用に備えるステップと、を含む。
グリコシル化エクソソーム分離方法のいくつかの実施形態において、洗浄液は金属塩イオン不含の洗浄緩衝液又は精製水であり、任意選択で金属塩イオン不含の洗浄緩衝液であり、さらに、任意選択でpH7.6±0.2の金属塩イオン不含の洗浄緩衝液である。
グリコシル化エクソソーム分離方法のいくつかの実施形態において、溶離液は糖類を溶解したホウ酸塩緩衝液であり、任意選択で、マンニトールを溶解したホウ酸塩緩衝液であり、さらに、任意選択でpH6.5±0.2のホウ酸塩-マンノース緩衝液である。
グリコシル化エクソソーム分離方法のいくつかの実施形態において、インキュベート条件は、室温下で1~30分、好ましくは5~20分、より好ましくは10~15分インキュベートすることである。
グリコシル化エクソソーム分離方法のいくつかの実施形態において、レクチン-高分子担体カップリング複合体及び分離装置を用いてグリコシル化エクソソームを分離する分離ステップを含み、分離ステップは、
臨床サンプルを前処理するステップと、
前処理後のサンプルを得、任意選択で、洗浄液と均一に混合して希釈したものを、被検出サンプルとするステップと、
レクチン-高分子担体カップリング複合体を入れた親和性吸着遠心分離管でレクチン-高分子担体カップリング複合体保存液から保存液の部分を完全に除去して、レクチン-高分子担体カップリング複合体を残し、新しい外側のスリーブ管と交換するステップと、
被検出サンプルを、保存液を除去した上部の遠心分離管に加え、室温下で静置しながらインキュベートして、サンプルを除去するステップと、
分離過程で非特異的にカップリングしたグリコシル化していないエクソソーム及び他の不純物を洗浄し除去するために、上部の遠心分離管に洗浄液を加え、親和性吸着遠心分離管を遠心分離した後に上部の遠心分離管を取り出して、新しい外側のスリーブ管に入れ、元の外側のスリーブ管及びその中の液体を全部捨てるステップであって、当該ステップを1~3回行うステップと、
上部の遠心分離管に溶離液を加えて、洗浄後のレクチン-高分子担体カップリング複合体を溶離し、室温下で静置して、外側のスリーブ管から溶離上清を収集し、これが分離後のグリコシル化エクソソーム溶液であり、溶離分離後のグリコシル化エクソソームは形態が完全で、破裂したもの又は断片化したものはないステップと、を含む。
本願発明では、さらに、方法で分離したエクソソームの使用が提供され、前記使用は、グリコシル化エクソソームの液体の検出、エクソソームの免疫学的検出、エクソソームからの核酸抽出後のヌクレオチド断片の測定分析を含む。
1.本願発明のレクチン-高分子担体カップリング複合体で分離したエクソソームは全てグリコシル化エクソソームであり、形態が完全で、破裂したものがないため、そのままグリコシル化エクソソームの液体の検出、エクソソームの免疫学的検出、又は核酸抽出後のヌクレオチド配列測定分析などに用いることができ、さらに、適切な装置と組み合わせてグリコシル化エクソソームの自動分離を実現できる。
2.本願発明のレクチン-高分子担体カップリング複合体で使用する高分子担体の粒径は、一般に免疫検出分野で使用する高分子担体の粒径の10~1000倍であり、単一の高分子担体の表面積がより大きいため、レクチンの高分子担体に結合する時の立体障害が低減され、より多くのレクチンに結合することが可能となり、これに対し、同じ総体積を有する従来の高分子担体はより大きな比表面積を有するが、立体障害が大きいため、カップリングしたレクチンが少なく、本願発明のレクチン-高分子担体カップリング複合体で、1mLの高分子担体当たり1~20mgのレクチンを結合でき、関連の研究では体積の小さい高分子担体を使用する場合に、1mLの高分子担体当たりカップリングしたレクチンの数量がngレベルで、結合効率が低いことが判明した。また、当該粒径がエクソソーム自体の直径をはるかに超えているため、レクチンとグリコシル化エクソソームの結合の立体障害を低減することができ、レクチンとグリコシル化エクソソームの結合に役立ち、エクソソームの分離効率を大幅に向上させる。
3.本願発明のレクチン-高分子担体カップリング複合体は、エクソソーム含有量の少ない臨床サンプル、例えば、尿、組織又は細胞培養上清中のエクソソームにも優れた効果がある。エクソソーム含有量の多い臨床サンプル、例えば、血漿中のエクソソームを分離する場合、分離したグリコシル化エクソソームの濃度は1011~14個/mLに達している。
4.本願発明のレクチン-高分子担体カップリング複合体で使用するレクチンは、パラミツ由来レクチン、ピーナッツ由来レクチン、エンドウ由来レクチン(VVA及び/又はVVL)、ナタマメ由来レクチン、レンズマメ由来レクチン、小麦胚芽レクチン、ダイズ由来レクチン、インゲンマメ由来レクチンなどの植物由来レクチンであることが好ましく、植物由来レクチンを大量に取得することが一層容易であり、原料がより豊富である。
5.本願発明のレクチン-高分子担体カップリング複合体は、出荷時に特定の構造の親和性吸着遠心分離管に分注してグリコシル化エクソソーム分離装置を構成することができ、利用しやすいだけでなく、レクチン-高分子担体カップリング複合体の保存に役立ち、濾過膜の孔径はさまざまな保存液、洗浄液、溶離液が順調に通過するように選択され、特に、溶離液にマンノースが添加されているため、溶離液の粘度が高くなり、当該孔径下では溶離液の順調な通過が保証され、レクチン-高分子担体カップリング複合体が漏れないことも保証される。
6.本願発明のグリコシル化エクソソーム分離組成物で使用するのは金属塩イオン不含の洗浄緩衝液又は精製水であり、金属塩イオンはレクチンとグリコシル化エクソソームの親和性吸着に解離効果を有するため、レクチンとグリコシル化エクソソームの親和性吸着に影響があり、しかも金属塩イオンの濃度が高いほど、解離効果が強く、エクソソームの分離効果に影響を与え、エクソソームを分離できないこともある。
7.本願発明のグリコシル化エクソソーム分離組成物で使用する溶離液はホウ酸塩緩衝液であり、他の緩衝液に比べて、エクソソームに対してより優れた溶離効果を有し、溶離効率が高く、少ない溶離液だけで溶離が実現でき、溶離後のエクソソームは外観と形態が完全で、破裂したもの又は断片化したものはなく、また、使用量が少ないため、エクソソームの濃縮工程が同時に完了するも同然である。
8.本願発明のグリコシル化エクソソーム分離方法は、サンプルを前処理するための方法が実行しやすく、単に遠心分離及び/又は濃縮するだけで、本願発明に適するサンプルを効果的に得ることができ、サンプルの超高速遠心分離処理が不要で、サンプル中のグリコシル化エクソソームを最大限に保護することができる。
図1は、レクチン-高分子担体カップリング複合体の親和性吸着遠心分離管の概略図である。 図2は、4つの異なるサンプル(細胞培養上清、血漿、尿、脳脊髄液)から分離したグリコシル化エクソソームの電子顕微鏡下観察画像である。 図3は、血漿サンプル分離後のグリコシル化エクソソームのNTA解析図である。 図4は、4つの異なるサンプル(細胞培養上清、血漿、尿、脳脊髄液)のエクソソーム特異的膜タンパク質CD9、CD63、CD81抗体のウエスタンブロット(Western Blot)検出結果図である。 図5は、4つの異なるサンプル(細胞培養上清、血漿、尿、脳脊髄液)のエクソソーム特異的非膜タンパク質ALIX及びTSG101抗体のウエスタンブロット(Western Blot)検出結果図である。 図6は、4つの異なるサンプル(細胞培養上清、血漿、尿、脳脊髄液)のエクソソームカルネキシン(Calnexin)抗体のウエスタンブロット(Western Blot)検出結果図である。 図7は、5つの異なる洗浄緩衝液で、グリコシル化エクソソームを結合したレクチン-高分子担体カップリング複合体を洗浄した後、溶離して得た溶離液のエクソソーム特異的膜タンパク質CD9/CD63/CD81抗体のウエスタンブロット(Western Blot)検出結果図である。 図8は、3つの異なる溶離液で分離したグリコシル化エクソソーム溶液の電子顕微鏡検出結果図である。
次に、本願発明の一層の説明のために、本願発明のさまざまな例示的な実施形態を詳細に説明し、当該詳細な説明は本願発明に対する限定ではなく、本願発明の特定の態様、特性及び実施形態についてのより詳細な説明と理解される。
本願発明の範囲又は趣旨を逸脱することなく、本願発明の明細書の特定の実施形態にさまざまな改善と変形を行うことができ、これらは当業者に自明なものである。本明細書と実施例は例示的なものに過ぎない。
本明細書で使用する「含む」、「有する」などは、全て開放的な用語で、「…を含むが、これらに限定されない」を意味する。特に指定がない限り、次で使用するさまざまな試薬は全て市販の試薬で、そのうち使用する化学試薬は分析用純度以上のものである。
実施例1:レクチン-高分子担体カップリング複合体の製造
レクチン-高分子担体カップリング複合体は、高分子担体と、高分子担体の外側にカップリングしたレクチンとを含み、レクチンと高分子担体が特定の条件下で結合して得られるものであり、主に、サンプルからグリコシル化エクソソームを分離するために用いられ、分離したグリコシル化エクソソームは形態が完全である。
レクチンは、主に、パラミツ由来レクチン(Jacalin)、ピーナッツ由来レクチン(PNA)、エンドウ由来レクチン(VVA及び/又はVVL)、ナタマメ由来レクチン(ConA)、レンズマメ由来レクチン(LCA)、小麦胚芽レクチン(WGA)、ダイズ由来レクチン(SBA)、インゲンマメ由来レクチン(PVL)、カタツムリ由来レクチン(HAA及び/又はHPA)の任意の1つを選択し、又は2つ若しくはそれ以上のレクチンを組み合わせて使用し、主な理由は、異なるレクチンの組み合わせでさまざまなタイプのグリコシル化エクソソームの分離を実現できることであり、例えば、LCA、AALでフコシル化エクソソームを分離し、ConA、PVL、SBA、WGA、AALなどのレクチンでN-グリコシル化エクソソームを分離し、HAA、HPA、VVA、PNA、JacalinなどのレクチンでO-グリコシル化エクソソームを分離する。単一のレクチンは、主に、レクチンに対応する特定のグリコシル化エクソソームを分離するために用いられ、2つ又はそれ以上のレクチンを組み合わせて使用するのはさまざまな異なる形態のグリコシル化エクソソームを分離するために利用でき、又は2つ若しくはそれ以上のレクチンを組み合わせて使用するのは特定のグリコシル化エクソソームを相乗的に分離することができる。
本願発明の一層の説明として、以下の実施例では主にレンズマメ由来レクチン(LCA)(米国sigma社より購入)を使用して本願発明を一層説明する。
高分子担体とは、主に、高分子ミクロスフェアを指し、主に、デキストランミクロスフェア、アガロースミクロスフェア、樹脂又はエポキシ樹脂ミクロスフェア、ポリスチレンミクロスフェアの任意の1つを含み、又は2つ若しくはそれ以上の高分子担体を組み合わせて使用し、前記高分子担体の粒径分布範囲は1~200μmであり、好ましくは10~200μmであり、より好ましくは30~150μmである。高分子担体を生産する際は、同じロットで生産した高分子担体でも必ずしも粒径が均一であるとは限られないため、高分子担体の粒径は一般に平均粒径として説明され、本願発明のように粒径分布範囲としてもよく、粒径分布範囲で説明する場合はその具体的な分布が当該分布範囲内の正規分布に合致し又は実質的に合致すると見なしてもよい。本願発明の実施例のレクチン-高分子担体カップリング複合体で使用する高分子担体の粒径は、一般に免疫検出分野で使用する高分子担体の粒径の10~1000倍であり、単一の高分子担体の表面積がより大きいため、レクチンの高分子担体に結合する時の立体障害が低減され、より多くのレクチンに結合することが可能となり、これに対し、同じ総体積を有する従来の高分子担体はより大きな比表面積を有するが、立体障害が大きいため、カップリングしたレクチンが少なく、本願発明のレクチン-高分子担体カップリング複合体で、1mLの高分子担体当たり1~20mgのレクチンを結合でき、関連の研究では体積の小さい高分子担体を使用する場合に、1mLの高分子担体当たりカップリングしたレクチンの数量がngレベルで、結合効率が低いことが判明した。また、当該粒径がエクソソーム自体の直径をはるかに超えているため、レクチンとグリコシル化エクソソームの結合の立体障害を低減することができ、レクチンとグリコシル化エクソソームの結合に役立ち、エクソソームの分離効率を大幅に向上させる。
前記レクチンと高分子担体が結合して、レクチン-高分子担体カップリング複合体が形成され、高分子担体によって浸漬、結合、洗浄、保存などのステップを調整することで、いずれもレクチンに結合する効果を得られるが、当然ながらレクチンによって最適な高分子担体が違う可能性がある。レクチン-高分子担体カップリング複合体の製造で高分子担体(mL)とレクチン(mg)の比は1:1~1:20であり、好ましくは1:5~1:15であり、より好ましくは1:10~1:15である。
製造したレクチン-高分子担体カップリング複合体を保存液に保存し、最終のレクチン-高分子担体カップリング複合体保存液におけるレクチン-高分子担体カップリング複合体の保存濃度(体積比)は10~60%であり、好ましくは当該比が30~50%であり、より好ましくは40~50%である。レクチン-高分子担体カップリング複合体保存液が親和性吸着遠心分離管の上部の遠心分離管に分注されている。前記親和性吸着遠心分離管は、上部の遠心分離管及び外側の保護スリーブ管の2つの部分を含む。前記上部の遠心分離管の直径は外側の保護スリーブ管の直径より小さく、前記上部の遠心分離管は外側の保護スリーブ管内に套設され且つその上部の外側には、上部の遠心分離管の開口部が外側の保護スリーブ管を超えるよう支持するための隆起した環状の縁部又は支柱がある。前記上部の遠心分離管は、遠心分離管蓋と、遠心分離管壁と、遠心分離管壁に固定して接続される濾過膜底部とを含み、濾過膜底部で使用される濾過膜の孔径はレクチン-高分子担体カップリング複合体の粒径より小さく、且つエクソソームの粒径より大きく、濾過膜の孔径は、150~1000nmであることが好ましく、レクチン-高分子担体カップリング複合体を入れて、グリコシル化エクソソーム分離装置を構成するために用いられる。
本願発明の一層の説明として、以下の実施例ではいずれも粒径分布範囲を30~150μmとするアガロースミクロスフェアで説明し、前記アガロースミクロスフェアは市販の臭化水素活性化アガロースミクロスフェア(Pharmacia社又はsigma社より購入)であり、前記アガロースミクロスフェアは、アガロース4B(sephrose 4B)、アガロース6B(sephrose 6B)、アガロースFF(sephrose FF)、アガロースCL-4B(sephrose CL-4B)、アガロースCL-6B(sephrose CL-6B)であることがより好ましく、以下の実施例ではいずれもアガロース4B(sephrose 4B)ミクロスフェアを例に説明する。
レクチン-高分子担体カップリング複合体、即ちLCA-アガロースミクロスフェアカップリング複合体の製造プロセスは、詳しくは次のとおりである。
(1)活性化アガロース4Bを1g秤量し、pH2~3の1mM HCl溶液を200mL以上加え、均一に混合して完全に膨潤したまで浸漬し、pH2~3の1mM HCl溶液でホウケイ酸ガラス漏斗において15分以上洗浄し、洗浄が終了した後、使用に備え、完全に膨潤したアガロース4Bを収集し、完全に膨潤したアガロース4Bは約3~5mLであった。
(2)0.1~1.0M 炭酸塩緩衝液15mLに、レンズマメ由来レクチンを加え、次にステップaで収集した完全に膨潤したアガロース4Bを加え、そのうち完全に膨潤したアガロース4Bの体積(mL)とレンズマメ由来レクチン(LCA、mg)の比は1:1~1:20であり(即ち、完全に膨潤したアガロース4B 1mL当たり1~20mgのレンズマメ由来レクチンが混合されている)、室温下で均一に混合させ反応時間は0.5~5時間であり、上清を除去した。本願発明の一層の説明として、本実施例で使用する炭酸塩緩衝液の濃度は0.1Mで、完全に膨潤したアガロース4Bの体積(mL)とレンズマメ由来レクチン(LCA、mg)の比は1:10で、即ち、15mLの炭酸塩緩衝液に5mLの完全に膨潤したアガロース4Bと50mgのLCAが加えられ、室温下で均一に混合させ反応時間は3時間であった。
(3)100mLの0.1M 炭酸塩緩衝液を加え、均一に混合して上清を除去した。次に、200mLの精製水を加え、均一に混合して上清を除去した。
(4)完全に膨潤したアガロース4Bの体積の10倍以上の0.1mol/L pH4.0の酢酸塩緩衝液(0.5mol/L NaCl含有)、次に0.1mol/L pH8.0のTris-HCl緩衝液(0.5mol/L NaCl含有)で少なくとも3回繰り返し洗浄した。
(5)0.1mol/L pH8.0のTris-HCl緩衝液を加えて1回洗浄し、洗浄後の完全に膨潤したアガロース4Bを収集し、Tris-HCl緩衝液を加えて、10~60%のLCA-アガロースミクロスフェア保存液を調製しておき、好ましくは30~50%のLCA-アガロースミクロスフェア保存液を調製し、本願発明の一層の説明として、本実施例ではいずれも体積比50%のLCA-アガロースミクロスフェア保存液を調製した。
(6)ステップ(5)の50%のLCA-アガロースミクロスフェア保存液を均一に混合した後、親和性吸着遠心分離管を含む分離装置に均一に分注して、グリコシル化エクソソーム分離装置を構成し、静置して密封させ、使用に備えて2~8℃下で保存した。親和性吸着遠心分離管は、上部の遠心分離管及び外側の保護スリーブ管の2つの部分を含む。前記上部の遠心分離管は直径が外側のスリーブ管より小さく、且つその上部には、上部の遠心分離管の開口部が外側のスリーブ管を超えるよう支持するための隆起した環状の縁部又は支柱がある。前記上部の遠心分離管は、遠心分離管蓋と、遠心分離管壁と、遠心分離管壁に固定して接続される濾過膜底部とを含み、前記濾過膜底部で使用される濾過膜の孔径はレクチン-高分子担体カップリング複合体の粒径より小さく、且つエクソソームの粒径より大きく、前記レクチン-高分子担体カップリング複合体保存液が上部の遠心分離管に保存され、任意選択で濾過膜の孔径は、150~1000nmであることが好ましい。親和性吸着遠心分離管の上部の遠心分離管のサイズは遠心装置のサイズに応じて具体的に設定することができ、レクチン-高分子担体カップリング複合体の体積は上部の遠心分離管の体積の1/2~1/4を占め、例えば、体積1.5~2mLの上部の遠心分離管を選択し、管内に0.5mLのレクチン-高分子担体カップリング複合体を含むレクチン-高分子担体カップリング複合体保存液が分注されており、親和性吸着遠心分離管の概略図については図1を詳しく参照する。レクチン-高分子担体カップリング複合体保存液における保存液が濾過膜から外側の保護スリーブ管に入り、失われずに外側の保護スリーブ管に残る。また、上部の遠心分離管が外側の保護スリーブ管に套設された構造とレクチン-高分子担体カップリング複合体保存液における体積濃度の設定により、レクチン-高分子担体カップリング複合体が十分な保存液に接触し、乾燥して活性を失うことはない。
実施例2:グリコシル化エクソソーム分離組成物の製造
本願発明では、実施例1のLCA-アガロースミクロスフェア保存液が分注された親和性吸着遠心分離管、即ちグリコシル化エクソソーム分離装置と、洗浄液、溶離液とを含むグリコシル化エクソソーム分離組成物が提供され、それぞれが個別に包装され、同時に1つの薬物キット又は試薬キットに存在する。
前記洗浄液は金属塩イオン不含の洗浄緩衝液又は精製水であり、任意選択で金属塩イオン不含の洗浄緩衝液である。例えば、主な成分は10~200mM金属塩イオン不含のTris-HCl緩衝液を含み、pHは7.6±0.2である。本実施例では、洗浄液は金属塩イオン不含の洗浄緩衝液であり、主な成分は100mM金属塩イオン不含のTris-HCl緩衝液を含み、pHは7.6±0.2であり、分離過程で非特異的にカップリングしたグリコシル化されていないエクソソーム及び他の不純物を洗浄し除去するために用いられる。
前記溶離液は糖類を溶解したホウ酸塩緩衝液であり、例えば、主な成分は10~20mMホウ酸塩緩衝液と、それに溶解した100~500mMマンノースとを含み、pHは6.5±0.2である。本実施例では、糖類を溶解したホウ酸塩緩衝液の主な成分は15mMホウ酸塩緩衝液と、それに溶解した300mMマンノースとを含み、pHは6.5±0.2であり、レクチン-高分子担体カップリング複合体に結合したグリコシル化エクソソームを溶離するために用いられ、溶離後のエクソソームは外観と形態が完全で、破裂したもの又は断片化したものはない。
実施例3:グリコシル化エクソソーム分離組成物の使用方法
本願発明では、さらに、前記グリコシル化エクソソーム分離組成物を用いる実験ステップを含むグリコシル化エクソソーム分離方法が提供され、以下を含む。
1.事前の準備
用具又は装置を用意する。遠心分離機であり、グリコシル化エクソソームの分離プロセスの遠心分離ステップに用いる。又は、当社若しくは子会社による自動アガロースミクロスフェア分離装置を使用し、主に、人力節約の目的のために、グリコシル化エクソソームの自動分離に用いられる。アガロースミクロスフェアによるグリコシル化エクソソームの自動分離は手動方式の自動化を実現するもので、手動分離と同等な又はより優れた効果を得られ、本実施例では、遠心分離機による手動分離で一層の説明を行う。
2.実験手順
(1)サンプルの前処理である。臨床サンプルの特性に応じてサンプルを前処理するための方法を調整した。
前記血清、血漿、唾液、脳脊髄液、リンパ液サンプルの場合は、サンプルを3000gで10~15分遠心分離してサンプルから細胞破片、沈殿物などの不純物を除去し、遠心分離後の上清を得、使用に備えた。一層の明瞭な説明のために、本実施例では10分の遠心分離とした。
前記組織又は細胞培養上清、尿サンプルの場合は、サンプルを3000gで10~15分遠心分離してサンプルから細胞破片、沈殿物などの不純物を除去し、次に、上清を限外濾過遠心管で10~1000倍濃縮し、濃縮後の上清を得、使用に備えた。一層の明瞭な説明のために、本実施例では10分の遠心分離とした。
(2)ステップ(1)の前処理済みのサンプル200~300μLを、洗浄液で希釈せずそのままレクチン-高分子担体カップリング複合体と混合してもよいし、1~2倍の体積の洗浄液と均一に混合して希釈した後にレクチン-高分子担体カップリング複合体と混合してもよく、希釈した方が、効果がより優れる。本実施例では、親和性吸着遠心分離管の上部の遠心分離管の体積は2.0mLで、中には1mL/管でレクチン-高分子担体カップリング複合体保存液が分注されており(0.5mL/管でレクチン-高分子担体カップリング複合体を含んでいる)、前処理を経たサンプルの体積は200μLとし、洗浄液の体積は300μLであり、均一に混合して希釈した後の体積は親和性吸着遠心分離管におけるレクチン-高分子担体カップリング複合体の体積と同じで、洗浄液で希釈したサンプルの体積は親和性吸着遠心分離管におけるレクチン-高分子担体カップリング複合体の体積を明らかに上回ってはならず、両者の体積が実質的に同じである場合に結合効果が最も優れる。
(3)レクチン-高分子担体カップリング複合体を入れた親和性吸着遠心分離管の上部の遠心分離管を取り出して、新しい外側のスリーブ管に入れ、3000rpmで室温下20秒遠心分離して、レクチン-高分子担体カップリング複合体保存液から保存液の部分を除去して、レクチン-高分子担体カップリング複合体を残し、新しい外側のスリーブ管と交換した。
(4)ステップ(2)の希釈済みのサンプル500μLを上部の遠心分離管に加え、室温下で静置しながら10~30分、好ましくは10~15分インキュベートし、その後、親和性吸着遠心分離管を3000rpmで室温下20秒遠心分離してサンプルを除去した。本実施例では、インキュベート時間は10分とした。
(5)分離過程で非特異的にカップリングしたグリコシル化していないエクソソーム及び他の不純物を洗浄し除去するために、500~1500μLの100mMでpH7.6±0.2の金属塩イオン不含の洗浄Tris-HCl緩衝液を上部の遠心分離管に加え、親和性吸着遠心分離管を3000rpmで室温下20秒遠心分離し、上部の遠心分離管を取り出して、新しい外側のスリーブ管に入れ、元の外側のスリーブ管及びその中の液体を全て捨てるステップ(5)を、1~3回繰り返した。本実施例では、塩イオン不含洗浄液の体積は1mLであった。
(6)親和性吸着遠心分離管におけるレクチン-高分子担体カップリング複合体と体積が同じでpHが6.5±0.2のホウ酸塩-マンノース緩衝液を溶離液として上部の遠心分離管に加え、溶離液には15mMホウ酸塩緩衝液と、それに溶解した300mMマンノースとが含まれており、洗浄後のレクチン-高分子担体カップリング複合体を溶離し、室温下で5~10分静置して、3000rpmで室温下20秒遠心分離した。外側のスリーブ管から溶離上清を収集し、これが分離後のグリコシル化エクソソーム溶液であり、溶離分離後のグリコシル化エクソソームは形態が完全で、破裂したもの又は断片化したものはない。本実施例では、溶離液の体積は500μLで、上部の遠心分離管に加え、遠心分離管蓋をかけ、室温下で5分静置して、3000rpmで室温下20秒遠心分離した。外側のスリーブ管から溶離上清を収集し、これが分離後のグリコシル化エクソソーム溶液であり、そのままで検出に用い又は使用に備えて-80±5℃で保存した。
実施例4:
本実施例では、主に、グリコシル化エクソソーム分離サンプルを一層説明し、本願発明で利用可能な被分離サンプルは、主に、血清、血漿、唾液、組織又は細胞培養上清、尿、脳脊髄液、リンパ液の任意の1つである。通常の1.5~2mLの上部の遠心分離管の場合は、1mL/管でレクチン-高分子担体カップリング複合体保存液が分注されてもよく(0.1~0.6mL/管で、例えば、0.5mLのレクチン-高分子担体カップリング複合体が含まれる)、600μLのレクチン-高分子担体カップリング複合体に対しては、前記血清、血漿、唾液、脳脊髄液、リンパ液、組織又は細胞培養上清、尿の前処理済みのサンプルの体積は50~600μLであり、好ましくは100~300μLで、より好ましくは200~300μLであり、当該サンプルはそのままで加えてもよいし洗浄液で希釈してから加えてもよい。サンプルを前処理する過程で、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、リンパ液サンプルは遠心分離するだけで、サンプルの遠心分離前とその後の体積は実質的に変わらないため、50~600μL、好ましくは100~300μL、より好ましくは200~300μLのサンプルを前処理するだけで所定の体積の前処理済みのサンプルを得られる。前記組織又は細胞培養上清、尿サンプルはサンプルを前処理する過程で、遠心分離ステップの他に、10~1000倍の濃縮が必要であり、十分な前処理済みのサンプルを得るためには、1~50mL、好ましくは10~50mL、より好ましくは30~50mLの前記組織又は細胞培養上清、尿サンプルに対し遠心と濃縮を含む前処理を行う必要があり、こうして50~600μL、好ましくは100~300μL、より好ましくは200~300μLの所定の体積の前処理済みのサンプルを得た。
分離サンプルの体積によって分離効果に少し影響があるが、いずれもグリコシル化エクソソーム分離の効果を得られ、本願発明を一層説明するために、本実施例では、実施例3の分離ステップに基づいて、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、リンパ液サンプルは200μLの前処理済みのサンプルとして説明し、組織又は細胞培養上清、尿サンプルの体積はいずれも50mLとし、濃縮後の体積は好ましくは200μLの前処理済みのサンプルとして説明する。
血清、血漿、唾液、組織又は細胞培養上清、尿、脳脊髄液、リンパ液などの被分離サンプルの特異性に基づいて、それぞれ細胞培養上清、血漿、尿、脳脊髄液などの4つのタイプのサンプルを選択して一層説明し、他のタイプのサンプルを置き換えても、同じ分離効果が得られる。
実施例3のステップに基づいて、本実施例の前処理済みの細胞培養上清、血漿、尿、脳脊髄液サンプル200μLからそれぞれグリコシル化エクソソームを分離し、それぞれ4つの異なるサンプルに由来するグリコシル化エクソソーム分離溶液を得て使用に備える。
実施例5:
本実施例は、主に、グリコシル化エクソソームの形態及び粒径サイズを観察するために、実施例4で分離したグリコシル化エクソソームを透過型電子顕微鏡で検出するもので、主なステップは次のとおりである。
実施例4で分離したグリコシル化エクソソームサンプルを約5μL吸引して、銅メッシュに滴下し、4~5分静置して、濾紙で銅メッシュの縁部から余分な液体を吸い取り、ネガティブ染色液(0.5%酢酸ウラニル水溶液、pH4.5)を滴加して、銅メッシュにおいて1分間反応させ、濾紙で乾燥させて、2回洗浄し、自然乾燥させた後、Tecnai Spirit(120kV TEM)透過型電子顕微鏡で観察した。透過型電子顕微鏡で実施例4の4つの異なるサンプルから分離したグリコシル化エクソソームを観察したところ、エクソソームの形態が完全で、破裂したものはなく、粒径はいずれも30~150nmで、詳しくは図2の4つの異なるタイプのサンプルから分離したグリコシル化エクソソームの電子顕微鏡下観察画像を参照する。
実施例6:
本実施例は、主に、実施例4で分離したグリコシル化エクソソームに対しNanoSight NS300システムを用いてエクソソームの粒度及び粒径についてナノ粒子トラッキング解析(NTA)を行うもので、NTA解析は主に溶液状態下の測定(インサイチュ測定)で、高精度の粒度数分布測定により、約1:1.5倍の相対的粒径差の粒子を見分けることができ、エクソソーム粒子を本来に近い状態で測定することができ、測定データの信憑性と有効性が保証され、信頼性のあるエクソソーム濃度データを提供することで、エクソソームを電子顕微鏡で直接的に観察し測定する際は、一度に観察できる範囲が限られているため、得られた粒径分布データが代表的でないことが多いという従来の欠点を効果的に解消し、電子顕微鏡観察のための乾燥、固定、凍結などのさまざまな前処理でエクソソームが損傷したことを効果的に軽減することができる。
実施例5の4つの異なるタイプのサンプルの電子顕微鏡下の観察結果が一致することから、本実施例では血漿サンプルから分離したグリコシル化エクソソームを選択してNTA検出を行い、詳細なステップは次のとおりである。約10μLのサンプルを1mLに希釈し、NanoSightシリンジポンプでロードし、NanoSight NS300システムで自動的に解析したところ、グリコシル化エクソソームは比較的均一で、平均粒径はいずれも30~150nmで、エクソソームの平均粒径範囲に合致し、粒度はいずれも1011~14個/mLであった。詳しくは、血漿サンプル分離後のグリコシル化エクソソームのNTA解析図である図3を参照する。
実施例7:
本実施例は、主に、実施例4で分離したグリコシル化エクソソームに対してエクソソーム特異的膜タンパク質CD9/CD63/CD81、エクソソーム特異的非膜タンパク質ALIX及びTSG101、エクソソームカルネキシン(Calnexin)抗体のウエスタンブロット(Western Blot)検出及び同定を行うもので、主な検出ステップは次のとおりである。
(1)サンプル調製である。30μLのグリコシル化エクソソーム溶離液に等体積の5×SDS-PAGEロード緩衝液を加えて、100℃下で10分処理し、使用に備えた。
(2)SDS電気泳動である。ゲル(15%分離ゲル、5%濃縮ゲル)を調製し、1×電気泳動緩衝液を加え、10μL/ウェルでサンプルを加え、電気泳動条件は60V、120分と設定した。
(3)転写である。適切なサイズのPVDF膜を転写緩衝液に入れて、10分浸漬し、ゲルとPVDF膜及びスポンジパッドを、気泡が出ないようにぴったりと貼り合わせ、セミドライ式転写装置でタンパク質をPVDF膜に転写した(定電圧40V、定電流200mA、転写20分)。
(4)ブロッキングである。5%脱脂粉乳ブロッキング溶液で1時間ブロッキングし、TBSTで3回洗浄し、毎回5分とした。
(5)インキュベートである。それぞれ一次抗体(抗CD9、抗CD81、抗CD63、抗TSG101、抗Alix、抗カルネキシン(Calnexin)モノクローナル抗体、濃度1mg/mL、1:400希釈)を加えて1時間インキュベートし、TBSTで3回洗浄し、毎回5分とした。二次抗体(ヤギ抗マウスHRP 1mg/mL、1:5000希釈)を加えて1時間インキュベートし、TBSTで3回洗浄し、毎回5分とした。
(6)表示である。BeyoECL Moon(高感度ECL化学発光試薬キット)で発色させた後、検出した。
実施例4で分離した4つのグリコシル化エクソソームのウエスタンブロット(Western Blot)検出結果はそれぞれ次のとおりである。
(1)エクソソーム特異的膜タンパク質CD9、CD63、CD81抗体のウエスタンブロット(Western Blot)検出が全て陽性であることから、エクソソーム特異的膜タンパク質CD9、CD63、CD81があることが示される。詳しくは、エクソソーム特異的膜タンパク質CD9、CD63、CD81抗体のウエスタンブロット(Western Blot)検出結果図である図4を参照する。
(2)エクソソーム特異的非膜タンパク質ALIX及びTSG101抗体のウエスタンブロット(Western Blot)検出が全て陽性であることから、エクソソーム特異的非膜タンパク質ALIX及びTSG101があることが示される。詳しくは、エクソソーム特異的非膜タンパク質ALIX及びTSG101抗体のウエスタンブロット(Western Blot)検出結果図である図5を参照する。
(3)エクソソームサンプルのカルネキシン(Calnexin)抗体のウエスタンブロット(Western Blot)検出が全て陰性であった。詳しくは、エクソソームカルネキシン(Calnexin)抗体のウエスタンブロット(Western Blot)検出結果図である図6を参照する。カルネキシン(Calnexin)が細胞の小胞体に存在し、エクソソームになく、本実施例でサンプルから分離したグリコシル化エクソソームのカルネキシン(Calnexin)抗体のウエスタンブロット(Western Blot)検出が全て陰性であることから、分離後のグリコシル化エクソソームサンプルに細胞破片がないことが示される。
実施例8:
本実施例は、主に、異なる洗浄液に対し、特に、金属塩イオンを含む一般的な洗浄液、金属塩イオンを含まない一般的な洗浄液、精製水に対して、グリコシル化エクソソーム分離プロセスの洗浄効果及び分離効果を一層比較及び検証することにより、本願発明で選択した洗浄液の適合性を決定するものである。
実施例2、3のグリコシル化エクソソーム分離組成物で金属塩イオン不含の緩衝液洗浄液(Tris-HCl)を精製水、一般的な金属塩イオン含有洗浄液に置き換えた。一般的な金属塩イオン含有洗浄液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS緩衝液)、Tris-Triton-NaCl緩衝液、TBST緩衝液を含み、一般的な金属塩イオン含有洗浄液が殆ど界面活性剤、例えば、Tween-20、Triton X-100などを含み、界面活性剤がエクソソーム小胞の外膜造を損傷する可能性があるため、一般的な金属塩イオン含有洗浄液を調製する際は界面活性剤成分を含めなかった。
本実施例で一般的な金属塩イオン含有洗浄液はリン酸緩衝生理食塩水(PBS緩衝液)、Triton X-100不含Tris-Triton-NaCl緩衝液、Tween-20不含TBST緩衝液を選択した。
前記PBS緩衝液の成分は、リン酸二水素カリウム(KHPO):0.24g/L、リン酸水素二ナトリウム(NaHPO):1.44g/L、塩化ナトリウム(NaCl):8g/L、塩化カリウム(KCl):0.2g/Lで、pHは7.4±0.2であった。
前記Triton X-100不含Tris-Triton-NaCl緩衝液の成分は、50mM Tris-HCl、0.6M NaClで、pHは7.6±0.2であった。
前記Tween-20不含TBST緩衝液の成分は、10mM Tris-HCl、0.15M NaClで、pHは7.6±0.2であった。
本実施例で5つの洗浄緩衝液はそれぞれ精製水、Tris-HCl緩衝液、PBS緩衝液、Triton X-100不含Tris-Triton-NaCl緩衝液、Tween-20不含TBST緩衝液で、順に1番洗浄液、2番洗浄液、3番洗浄液、4番洗浄液、5番洗浄液とマークした。実施例3の方法で本実施例の5つの洗浄液を用いてそれぞれ血漿サンプルからグリコシル化エクソソームを分離して、比較及び検証分析をし、洗浄液以外には、他の成分とステップが全て同じであり、他の詳細なプロセスは実施例1~4、及び実施例7のエクソソーム特異的膜タンパク質CD9/CD63/CD81抗体のウエスタンブロット(Western Blot)検出及び同定ステップを参照する。
本実施例で5つの異なる洗浄緩衝液で洗浄した後、溶離して分離したグリコシル化エクソソーム溶液のエクソソーム特異的膜タンパク質CD9/CD63/CD81抗体のウエスタンブロット(Western Blot)検出結果は、詳しくは図7を参照する。
本実施例の結果が示すように、金属塩イオン不含の緩衝液(1番洗浄液、2番洗浄液)でグリコシル化エクソソームをカップリングしたレクチン-高分子担体カップリング複合体を洗浄した後、溶離して得た溶離液のウエスタンブロット(Western Blot)検出結果は、エクソソーム特異的膜タンパク質CD9/CD63/CD81が全て陽性であることを示し、いずれも効果的にグリコシル化エクソソームを分離できることが示唆される。界面活性剤不含で一般的な金属塩イオン含有の一般的な洗浄緩衝液(3番、4番、5番洗浄液)でグリコシル化エクソソームをカップリングしたレクチン-高分子担体カップリング複合体を洗浄した後、溶離して得た溶離液のウエスタンブロット(Western Blot)検出結果は、エクソソーム特異的膜タンパク質CD9/CD63/CD81が全て陰性であることを示し、溶液に存在する金属塩イオンがグリコシル化エクソソーム分離の効果に影響を与え、本願発明のグリコシル化エクソソームに明らかな解離効果があることが示される。
実施例9:
本実施例は、主に、グリコシル化エクソソームに対する異なる一般的なタンパク質溶離液及び本願発明のホウ酸塩-マンノース緩衝液の分離効果について一層比較及び検証することにより、本願発明で選択した溶離液の適合性を決定するものである。
実施例2、3のグリコシル化エクソソーム分離組成物でホウ酸塩-マンノース緩衝液を通常のタンパク質溶離液、糖タンパク質溶離液に置き換え、具体的にはタンパク質抗体溶離緩衝液stripping buffer、糖タンパク質溶離液Glycoprotein Eluting Solution(米国Vectorlabs社)であった。
前記stripping bufferの成分は、62.5mmol/L Tris・HCl、2%SDS、100mmol/L β-2-メルカプトエタノールで、pHは6.8±0.2であった。
本実施例の3つの溶離液を用いてそれぞれ血漿サンプルからグリコシル化エクソソームを分離して、比較及び検証分析をし、溶離液以外には、他の成分とステップが全て同じであり、詳細なプロセスは実施例1~5を参照し、3つの溶離液でそれぞれ血漿サンプルから分離したグリコシル化エクソソームに対し電子顕微鏡下でエクソソームの形態と完全性を観察した。
本実施例において3つの異なる溶離液で分離したグリコシル化エクソソーム溶液のエクソソームの電子顕微鏡検出結果は、詳しくは図8を参照する。
本実施例の結果が示すように、本願発明の溶離液はサンプルからグリコシル化エクソソームを効果的に分離でき、しかもエクソソームの形態が完全で、破裂したものはなく、粒径がいずれも30~150nmであった。stripping bufferを溶離液としてエクソソームが観察されず、理由しては、stripping bufferを溶離液として溶離する過程でエクソソームの外膜が損傷されたため、完全なエクソソームが得られないことが考えられる。糖タンパク質溶離液Glycoprotein Eluting Solutionでは典型的なエクソソーム小胞が観察されず、擬似エクソソーム小胞だけが観察されたが、エクソソームの形態が不完全であることから、分離中にエクソソームが損傷されたため、後の測定分析には不利であるということが示される。
以上をまとめると、本願発明の内容を利用して異なるサンプルに由来するグリコシル化エクソソームを分離したところ、いずれも同じ効果が得られ、しかも分離したエクソソームが全てグリコシル化エクソソームであり、分離精製後のエクソソームの形態が完全で、破裂したものはなく、そのままでグリコシル化エクソソームの液体の検出、エクソソームの免疫学的検出、又は核酸抽出後の遺伝子測定分析などに用いることができる。さらに、後の精製ステップで純度のより高いエクソソームを得ることができる。
上記の記載で本願発明の好ましい実施例を示しそれを説明しているが、前述したとおり、本願発明は本明細書で開示される形態に限定されず、他の実施例を除外するのではなく、他のさまざまな組み合わせ、修正又は場合に適用でき、しかも本明細書に記載の構想を逸脱しない限り、上記の教示又は関連分野の技術若しくは知識によって変更できることが理解される。当業者が行う変更と変形が本願発明の趣旨と範囲から逸脱しなければ、本願発明に添付した特許請求の範囲に含まれる。
本願発明は、臨床サンプルからグリコシル化エクソソームを分離することに用いられるレクチン-高分子担体カップリング複合体に関し、前記レクチン-高分子担体カップリング複合体は、高分子担体と、高分子担体の外側にカップリングしたレクチンとを含む。本願発明に係るレクチン-高分子担体カップリング複合体は、簡易に、迅速に、かつ正確に臨床サンプルからグリコシル化エクソソームを分離することができ、分離効率が高く、再現性に優れ、分離後のエクソソームは形態が完全で、破裂したもの又は断片化したものはないため、そのままグリコシル化エクソソームの液体の検出に用い、又はそのまま関連の免疫学的検出を行い、又はそのままエクソソームから関連の核酸を抽出して遺伝子測定分析を行うことができる。

Claims (22)

  1. 高分子担体と、高分子担体の外側にカップリングしたレクチンとを含み、前記レクチンは、パラミツ由来レクチン、ピーナッツ由来レクチン、エンドウ由来レクチンVVA及び/又はVVL、ナタマメ由来レクチン、レンズマメ由来レクチン、小麦胚芽レクチン、ダイズ由来レクチン、インゲンマメ由来レクチン、カタツムリ由来レクチンHAA及び/又はHPAの任意の1つ、2つ又はそれ以上を含み、前記高分子担体は、デキストランミクロスフェア、アガロースミクロスフェア、樹脂ミクロスフェア、ポリスチレンミクロスフェアの任意の1つ、2つ又はそれ以上を含み、前記高分子担体の粒径分布範囲は1~200μmである臨床サンプルからグリコシル化エクソソームを分離することに用いられるレクチン-高分子担体カップリング複合体を含有する保存液が分注されている分離装置であって、前記分離装置が親和性吸着遠心分離管を含み、前記親和性吸着遠心分離管は、上部の遠心分離管及び外側の保護スリーブ管の2つの部分を含み、前記上部の遠心分離管の直径は外側の保護スリーブ管の直径より小さく、前記上部の遠心分離管は外側の保護スリーブ管内に嵌め込まれ且つその上部の外側には、上部の遠心分離管の開口部が外側の保護スリーブ管を超えるよう支持するための隆起した環状の縁部又は支柱があり、前記上部の遠心分離管は、遠心分離管蓋と、遠心分離管壁と、遠心分離管壁に固定して接続される濾過膜底部と、を含み、濾過膜底部で使用される濾過膜の孔径はレクチン-高分子担体カップリング複合体の粒径より小さく、且つエクソソームの粒径より大きく、前記レクチン-高分子担体カップリング複合体を含有する保存液が分注されている分離装置。
  2. 前記濾過膜の孔径は150~1000nmである請求項1に記載の分離装置。
  3. 高分子担体と、高分子担体の外側にカップリングしたレクチンとを含み、前記レクチンは、パラミツ由来レクチン、ピーナッツ由来レクチン、エンドウ由来レクチンVVA及び/又はVVL、ナタマメ由来レクチン、レンズマメ由来レクチン、小麦胚芽レクチン、ダイズ由来レクチン、インゲンマメ由来レクチン、カタツムリ由来レクチンHAA及び/又はHPAの任意の1つ、2つ又はそれ以上を含み、前記高分子担体は、デキストランミクロスフェア、アガロースミクロスフェア、樹脂ミクロスフェア、ポリスチレンミクロスフェアの任意の1つ、2つ又はそれ以上を含み、前記高分子担体の粒径分布範囲は1~200μmである臨床サンプルからグリコシル化エクソソームを分離することに用いられるレクチン-高分子担体カップリング複合体を含み、分離過程で非特異的に結合した、グリコシル化していないエクソソーム及び他の不純物を洗浄し除去するための洗浄液及び/又はレクチン-高分子担体カップリング複合体に特異的に結合したグリコシル化エクソソームを溶離するための溶離液をさらに含み、
    前記洗浄液は金属塩イオン不含の洗浄緩衝液又は精製水であり、
    且つ/又は、前記溶離液は糖類を溶解したホウ酸塩緩衝液であることを特徴とするグリコシル化エクソソーム分離組成物。
  4. 前記洗浄液は金属塩イオン不含の洗浄緩衝液であることを特徴とする請求項3に記載のグリコシル化エクソソーム分離組成物。
  5. 前記溶離液は、マンノースを溶解したホウ酸塩緩衝液であることを特徴とする請求項3に記載のグリコシル化エクソソーム分離組成物。
  6. 高分子担体と、高分子担体の外側にカップリングしたレクチンとを含み、前記レクチンは、パラミツ由来レクチン、ピーナッツ由来レクチン、エンドウ由来レクチンVVA及び/又はVVL、ナタマメ由来レクチン、レンズマメ由来レクチン、小麦胚芽レクチン、ダイズ由来レクチン、インゲンマメ由来レクチン、カタツムリ由来レクチンHAA及び/又はHPAの任意の1つ、2つ又はそれ以上を含み、前記高分子担体は、デキストランミクロスフェア、アガロースミクロスフェア、樹脂ミクロスフェア、ポリスチレンミクロスフェアの任意の1つ、2つ又はそれ以上を含み、前記高分子担体の粒径分布範囲は1~200μmである臨床サンプルからグリコシル化エクソソームを分離することに用いられるレクチン-高分子担体カップリング複合体用いてグリコシル化エクソソームを分離する分離ステップを含み、前記分離ステップは、
    臨床サンプルを前処理するステップと、
    前処理後のサンプルを得、被検出サンプルとするステップと、
    レクチン-高分子担体カップリング複合体を含有する保存液から保存液の部分を完全に除去して、レクチン-高分子担体カップリング複合体を残すステップと、
    被検出サンプルを、保存液を除去したレクチン-高分子担体カップリング複合体に加え、室温下で静置しながらインキュベートして、サンプルを除去するステップと、
    金属塩イオン不含の洗浄緩衝液又は精製水である洗浄液を使用してグリコシル化エクソソームが結合してあるレクチン-高分子担体カップリング複合体を洗浄し、分離過程で非特異的に結合したグリコシル化していないエクソソーム及び他の不純物を洗浄し除去するために、洗浄液を除去するステップと、
    溶離液を使用して、洗浄後のレクチン-高分子担体カップリング複合体を溶離し、室温下で静置して、溶離上清を収集し、これが分離後のグリコシル化エクソソーム溶液であるステップと、を含むことを特徴とするグリコシル化エクソソーム分離方法。
  7. 前記被検出サンプルが前処理後のサンプルを洗浄液と均一に混合して希釈したものであることを特徴とする請求項6に記載のグリコシル化エクソソーム分離方法。
  8. 被検出サンプルとレクチン-高分子担体カップリング複合体の体積比は1:1~3であることを特徴とする請求項6に記載のグリコシル化エクソソーム分離方法。
  9. 1回で加える洗浄液の体積とグリコシル化エクソソームがあるレクチン-高分子担体カップリング複合体の体積の比は1~3:1であることを特徴とする請求項6に記載のグリコシル化エクソソーム分離方法。
  10. 洗浄液での洗浄ステップを1~3回繰り返すことを特徴とする請求項6に記載のグリコシル化エクソソーム分離方法。
  11. 加える溶離液の体積と洗浄後のレクチン-高分子担体カップリング複合体の体積の比は0.5~2:1であることを特徴とする請求項6に記載のグリコシル化エクソソーム分離方法。
  12. 加える溶離液の体積と洗浄後のレクチン-高分子担体カップリング複合体の体積の比は0.5~1:1であることを特徴とする請求項6に記載のグリコシル化エクソソーム分離方法。
  13. レクチン-高分子担体カップリング複合体を含有する保存液から保存液の部分の完全除去、サンプルの除去、洗浄液の除去、及び/又は、溶離上清の収集は、3000rpm以下の速度で、室温下で20秒遠心分離することにより行うことを特徴とする請求項6に記載のグリコシル化エクソソーム分離方法。
  14. 被検出サンプルを、保存液を除去したレクチン-高分子担体カップリング複合体に加え、室温下で静置しながら10~30分、インキュベートすることを特徴とする請求項6に記載のグリコシル化エクソソーム分離方法。
  15. 被検出サンプルを、保存液を除去したレクチン-高分子担体カップリング複合体に加え、室温下で静置しながら10~15分、インキュベートすることを特徴とする請求項6に記載のグリコシル化エクソソーム分離方法。
  16. 前記洗浄液は金属塩イオン不含の洗浄緩衝液であることを特徴とする請求項6に記載のグリコシル化エクソソーム分離方法。
  17. 前記溶離液は糖類を溶解したホウ酸塩緩衝液であることを特徴とする請求項6に記載のグリコシル化エクソソーム分離方法。
  18. 前記溶離液は、マンノース含有ホウ酸塩緩衝液であることを特徴とする請求項6に記載のグリコシル化エクソソーム分離方法。
  19. サンプルを前処理するための方法は、
    血清、血漿、唾液、脳脊髄液又はリンパ液サンプルの場合は、サンプルを3000g以下の速度で10~15分遠心分離して、サンプルから細胞破片、沈殿した不純物を除去し、遠心分離後の上清を得、使用に備えるステップと、
    組織又は細胞培養上清、尿サンプルの場合は、サンプルを3000g以下の速度で10~15分遠心分離して、サンプルから細胞破片、沈殿した不純物を除去し、次に、上清を限外濾過遠心管で10~1000倍濃縮し、使用に備えるステップと、を含むことを特徴とする請求項6に記載のグリコシル化エクソソーム分離方法。
  20. 請求項3に記載のレクチン-高分子担体カップリング複合体を含有する保存液が分注されている分離装置を用いてグリコシル化エクソソームを分離する分離ステップは、
    臨床サンプルを前処理するステップと、
    前処理後のサンプルを得、被検出サンプルとするステップと、
    レクチン-高分子担体カップリング複合体を入れた親和性吸着遠心分離管でレクチン-高分子担体カップリング複合体を含有する保存液から保存液の部分を完全に除去して、レクチン-高分子担体カップリング複合体を残し、新しい外側のスリーブ管と交換するステップと、
    被検出サンプルを、保存液を除去した上部の遠心分離管に加え、室温下で静置しながらインキュベートして、サンプルを除去するステップと、
    分離過程で非特異的に結合したグリコシル化していないエクソソーム及び他の不純物を洗浄し除去するために、上部の遠心分離管に洗浄液を加え、親和性吸着遠心分離管を遠心分離した後に上部の遠心分離管を取り出して、新しい外側のスリーブ管に入れ、元の外側のスリーブ管及びその中の液体を全部捨てるステップであって、当該ステップを1~3回行うステップと、
    上部の遠心分離管に溶離液を加えて、洗浄後のレクチン-高分子担体カップリング複合体を溶離し、室温下で静置して、外側のスリーブ管から溶離上清を収集し、これが分離後のグリコシル化エクソソーム溶液であるステップと、を含むことを特徴とする請求項6に記載のグリコシル化エクソソーム分離方法。
  21. 前記被検出サンプルが前処理後のサンプルを洗浄液と均一に混合して希釈したものであることを特徴とする請求項20に記載のグリコシル化エクソソーム分離方法。
  22. グリコシル化エクソソームの液体の検出、エクソソームの免疫学的検出、エクソソームからの核酸抽出後のヌクレオチド断片の測定分析を含むことを特徴とする請求項6~21のいずれか1項に記載のグリコシル化エクソソーム分離方法で分離したエクソソームの使用。
JP2022543094A 2020-01-19 2021-01-05 臨床サンプルからグリコシル化エクソソームを分離することに用いられるレクチン-高分子担体カップリング複合体 Active JP7493602B2 (ja)

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