JP7492697B2 - 高剛性低熱膨張合金用の粉末 - Google Patents

高剛性低熱膨張合金用の粉末 Download PDF

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Description

本発明は、剛性が高く、かつ熱膨張しにくい合金のための粉末に関する。
鉄鋼材料は、安価である。さらに鉄鋼材料は、量産可能である。従って、鉄鋼材料は、各種構造部材に広く使用されている。鉄鋼材料の組成に関する種々の提案が、なされている。
特開2016-102262公報には、鉄合金からなるマトリックスと、このマトリクスに分散する高剛性粒子とを含む焼結合金が開示されている。特開2004-35948公報には、鉄基合金のマトリックスと、このマトリクスに分散するセラミックス粒子とを含む高強度高剛性鋼が開示されている。
熱膨張を嫌う用途に、Fe-36%Ni合金が用いられている。Fe-36%Ni合金では、磁気変態点以下の温度で体積歪を伴う磁気異常(自発磁化歪)が発生しうる。この体積歪が、格子振動による熱膨張を打ち消す。この打ち消しにより、Fe-36%Ni合金の低熱膨張性が発揮される。
特開2016-102262公報 特開2004-35948公報
従来のFe-36%Ni合金のヤング率は、低い。従って、高剛性が要求される分野には、Fe-36%Ni合金は不向きである。熱処理によってFe-36%Ni合金の剛性を高める試みが、なされている。しかし、熱処理は合金の組織の粗大化を招く。粗大化により、粒界脆化と耐力の低下が生じる。鍛造方法の改善によってFe-36%Ni合金の剛性を高める試みが、なされている。しかし、高剛性な鍛造品を得る有効な手段は、未だ確立されていない。
本発明の目的は、低熱膨張性及び高剛性に優れた成形体が得られうる粉末の提供にある。
本発明に係る高剛性低熱膨張合金用の粉末は、第一粉末P1と第二粉末P2との混合物である。この第一粉末P1の材質は、Fe基合金である。このFe基合金は、
(1)30質量%以上38質量%以下のNi
(2)0.0質量%以上7.0質量%以下のCo
(3)0.0質量%以上0.30質量%以下のC
(4)0.0質量%以上0.60質量%以下のSi
(5)0.0質量%以上0.80質量%以下のMn
及び
(6)0.0質量%以上1.20質量%以下のCr
を含む。残部は、Fe及び不可避的不純物である。第二粉末P2は、セラミックス粉末である。第一粉末P1及び第二粉末P2の合計量に対する、第二粉末P2の量の比率は、5体積%以上30体積%以下である。
好ましくは、Cの含有率は、0.10質量%以下である。好ましくは、Siの含有率は、0.30質量%以下である。好ましくは、Mnの含有率は、0.50質量%以下である。好ましくは、Crの含有率は、0.50質量%以下である。
好ましくは、第二粉末P2は、酸化物粉末、炭化物粉末、ホウ化物及び窒化物粉末からなる群から選択された1種又は2種以上である。
好ましくは、第二粉末P2は、SiO粉末、Al粉末、Y粉末、WC粉末、TiB粉末及びWB粉末からなる群から選択された1種又は2種以上である。
好ましくは、高剛性低熱膨張合金用の粉末の、平均粒子径D50とタップ密度TDとの比(D50/TD)は、0.2以上20以下である。
好ましくは、第一粉末P1の平均粒子径D501と、第二粉末P2の平均粒子径D502との比(D501/D502)は、0.4以上3000以下である。
他の観点によれば、本発明に係る高剛性低熱膨張合金は、第一粉末P1と第二粉末P2との混合物から得られる。この第一粉末P1の材質は、Fe基合金である。このFe基合金は、
(1)30質量%以上38質量%以下のNi
(2)0.0質量%以上7.0質量%以下のCo
(3)0.0質量%以上0.30質量%以下のC
(4)0.0質量%以上0.60質量%以下のSi
(5)0.0質量%以上0.80質量%以下のMn
及び
(6)0.0質量%以上1.20質量%以下のCr
を含む。残部は、Fe及び不可避的不純物である。第二粉末P2は、セラミックス粉末である。第一粉末P1及び第二粉末P2の合計量に対する、第二粉末P2の量の比率は、5体積%以上30体積%以下である。この合金の線熱膨張係数は、3.0×10-6/℃以下である。この合金のヤング率は、140GPa以上である。
さらに他の観点によれば、本発明に係る高剛性低熱膨張成形体は、第一粉末P1と第二粉末P2との混合物から得られる。この第一粉末P1の材質は、Fe基合金である。このFe基合金は、
(1)30質量%以上38質量%以下のNi
(2)0.0質量%以上7.0質量%以下のCo
(3)0.0質量%以上0.30質量%以下のC
(4)0.0質量%以上0.60質量%以下のSi
(5)0.0質量%以上0.80質量%以下のMn
及び
(6)0.0質量%以上1.20質量%以下のCr
を含む。残部は、Fe及び不可避的不純物である。第二粉末P2は、セラミックス粉末である。第一粉末P1及び第二粉末P2の合計量に対する、第二粉末P2の量の比率は、5体積%以上30体積%以下である。この成形体の線熱膨張係数は、3.0×10-6/℃以下である。この成形体のヤング率は、140GPa以上である。
本発明に係る高剛性低熱膨張合金用の粉末Pが加熱されて成形体が得られても、第一粉末P1と第二粉末P2との反応は、ほとんど生じない。この成形体は、第二粉末P2に由来する微細セラミックスが、第一粉末P1に由来するマトリクスに分散した組織を有する。この成形体では、マトリクスが低熱膨張性に寄与する。この成形体では、微細セラミックスが高剛性に寄与する。
本発明に係る高剛性低熱膨張合金用の粉末Pは、多数の粒子の集合である。この粉末Pは、第一粉末P1と第二粉末P2との混合物である。第一粉末P1は、多数の粒子の集合である。第二粉末P2は、多数の粒子の集合である。粉末Pが、第一粉末P1及び第二粉末P2以外の成分を含有してもよい。この粉末Pを原料として、その材質が高剛性低熱膨張合金である成形体が得られる。
[第一粉末P1]
第一粉末P1の材質は、Fe基合金である。このFe基合金は、
Ni:30質量%以上38質量%以下
及び
Co:0.0質量%以上7質量%以下
を含有する。この合金は、C、Si、Mn及びCrの内の1種又は2種以上を含みうる。好ましくは、残部はFe及び不可避的不純物である。このFe合金は、いわゆるインバー(商品名)である。
第一粉末P1の材質が、Cを含みSi、Mn及びCrを実質的に含まないFe基合金であってもよい。第一粉末P1の材質が、Siを含みC、Mn及びCrを実質的に含まないFe基合金であってもよい。第一粉末P1の材質が、Mnを含みC、Si及びCrを実質的に含まないFe基合金であってもよい。第一粉末P1の材質が、Crを含みC、Si及びMnを実質的に含まないFe基合金であってもよい。
第一粉末P1の材質が、C及びSiを含みMn及びCrを実質的に含まないFe基合金であってもよい。第一粉末P1の材質が、C及びMnを含みSi及びCrを実質的に含まないFe基合金であってもよい。第一粉末P1の材質が、C及びCrを含みSi及びMnを実質的に含まないFe基合金であってもよい。第一粉末P1の材質が、Si及びMnを含みC及びCrを実質的に含まないFe基合金であってもよい。第一粉末P1の材質が、Si及びCrを含みC及びMnを実質的に含まないFe基合金であってもよい。第一粉末P1の材質が、Mn及びCrを含みC及びSiを実質的に含まないFe基合金であってもよい。
第一粉末P1の材質が、C、Si及びMnを含みCrを実質的に含まないFe基合金であってもよい。第一粉末P1の材質が、C、Si及びCrを含みMnを実質的に含まないFe基合金であってもよい。第一粉末P1の材質が、C、Mn及びCrを含みSiを実質的に含まないFe基合金であってもよい。第一粉末P1の材質が、Si、Mn及びCrを含みCを実質的に含まないFe基合金であってもよい。
第一粉末P1の材質が、C、Si、Mn及びCrを含むFe基合金であってもよい。
このFe基合金において、Cの含有率は0.10質量%以下が好ましく、Siの含有率は0.30質量%以下が好ましく、Mnの含有率は0.50質量%以下が好ましく、Crの含有率は0.50質量%以下が好ましい。
このFe基合金における各元素の役割が、以下説明される。
[ニッケル(Ni)]
Niは、Feと結合する。この結合は、磁気変態点以下の温度にて自発磁化歪みを発生させる。この歪みは、体積歪みを伴う。この歪みが、格子振動による熱膨張及び熱収縮を、打ち消す。このメカニズムにより、成形体が、低熱膨張という特性を発揮する。低熱膨張性の観点から、Niの含有率は30質量%以上38質量%以下が好ましく、31質量%以上36質量%以下が特に好ましい。
[コバルト(Co)]
Coは、Fe及びNiと結合する。この結合は、磁気変態点以下の温度にて自発磁化歪みを発生させる。この歪みは、体積歪みを伴う。この歪みが、格子振動による熱膨張及び熱収縮を、打ち消す。このメカニズムにより、成形体が、低熱膨張という特性を発揮する。低熱膨張性の観点から、Coの含有率は7.0質量%以下が好ましく、2.0質量%以上7.0質量%以下が特に好ましい。Coは、必須の元素ではない。従って、Coの含有率が実質的にゼロであってもよい。
[炭素(C)]
Cは、Feのγ相に侵入する。この侵入により、Feの格子が歪み、成形体の低熱膨張性が阻害される。低熱膨張性の観点から、Cの含有率は0.30質量%以下が好ましく、0.10質量%以下がより好ましく、0.08質量%以下が特に好ましい。低熱膨張性の観点から理想的なCの含有率は、ゼロである。このFe基合金には、0.01質量%程度のCが、不可避的不純物として含まれうる。なお、溶解・精錬工程を経て得られるFe基合金では、0.001質量%未満であるCの含有率の達成は、容易ではない。
[ケイ素(Si)]
Siは、Feのγ相に侵入する。この侵入により、Feの格子が歪み、成形体の低熱膨張性が阻害される。低熱膨張性の観点から、Siの含有率は0.60質量%以下が好ましく、0.30質量%以下がより好ましく、0.20質量%以下が特に好ましい。低熱膨張性の観点から理想的なSiの含有率は、ゼロである。このFe基合金には、0.005質量%程度のSiが、不可避的不純物として含まれうる。なおSiは、溶解・精錬工程における脱酸に寄与しうる。この観点からは、Siの含有率は0.01質量%以上が好ましい。
[マンガン(Mn)]
Mnは、Feのγ相に侵入する。この侵入により、Feの格子が歪み、成形体の低熱膨張性が阻害される。低熱膨張性の観点から、Mnの含有率は0.80質量%以下が好ましく、0.50質量%以下がより好ましく、0.30質量%以下が特に好ましい。低熱膨張性の観点から理想的なMnの含有率は、ゼロである。このFe基合金には、0.01質量%程度のMnが、不可避的不純物として含まれうる。なおMnは、成形体のヤング率を高めうる。ヤング率の観点からは、Mnの含有率は0.02質量%以上が好ましい。
[クロム(Cr)]
Crは、Feのγ相に侵入する。この侵入により、Feの格子が歪み、成形体の低熱膨張性が阻害される。低熱膨張性の観点から、Crの含有率は1.20質量%以下が好ましく、0.50質量%以下がより好ましく、0.30質量%以下が特に好ましい。低熱膨張性の観点から理想的なCrの含有率は、ゼロである。このFe基合金には、0.01質量%程度のCrが、不可避的不純物として含まれうる。なおCrは、成形体のヤング率を高めうる。ヤング率の観点からは、Crの含有率は0.02質量%以上が好ましい。
[第二粉末P2]
第二粉末P2は、セラミックス粉末である。本発明に係る粉末Pから、焼結、積層造形等の工程を経て、成形体が得られる。これらの工程では、粉末Pが加熱される。この加熱によっても、第二粉末P2は、第一粉末P1との化学的な反応をほとんど起こさない。成形体において、第二粉末P2に由来する微細セラミックスが、第一粉末P1に由来するマトリクスの粒界に分散する。この成形体の組織は、析出強化組織に類似する。この成形体では、微細セラミックスが塑性変形を抑制する。この成形体は、高剛性である。この成形体では、析出相がほとんど存在しないので剛性に劣るという、Fe-36%Ni合金の欠点を、微細セラミックスが補う。
第二粉末P2は、第一粉末P1との反応性が高い化合物を含有しない。好ましいセラミックス粉末は、酸化物粉末、炭化物粉末、ホウ化物又は窒化物粉末である。好ましいセラミックス粉末の具体例として、SiO粉末、Al粉末、Y粉末、WC粉末、TiB粉末及びWB粉末が例示される。2種以上のセラミックス粉末が、併用されてもよい。
[第一粉末P1と第二粉末P2との混合比]
第一粉末P1及び第二粉末P2の合計量に対する、第二粉末P2の量の比率は、5体積%以上30体積%以下が好ましい。この比率が5体積%以上である粉末Pにより、十分な量の微細セラミックスが分散した成形体が得られる。この成形体は、高剛性である。この観点から、この比率は7体積%以上がより好ましく、10体積%以上が特に好ましい。この比率が30体積%以下である粉末Pにより、セラミックス同士の凝集が抑制される。この成形体は、高剛性である。この観点から、この比率は20体積%以下がより好ましく、15体積%以下が特に好ましい。
第一粉末P1及び第二粉末P2の合計量に対する第二粉末P2の量の比率が、X体積%である粉末Pでは、第一粉末P1と第二粉末P2との体積比は、((100-X):X)である。Fe基合金及びセラミックスの密度が用いられ、上記体積比に基づき、質量比が算出される。この質量比に基づき、第一粉末P1と第二粉末P2とが混合される。算出に用いられる密度の一例が、以下に示される。
Fe基合金:8.24g/cm
SiO:2.20g/cm
Al:3.95g/cm
:5.01g/cm
WC:15.63g/cm
TiB:4.52g/cm
WB:15.73g/cm
ZrO:5.68g/cm
AlN:3.26g/cm
Si:3.17g/cm
C:2.52g/cm
SiC:3.21g/cm
ZrB:6.08g/cm
[比(D50/TD)]
粉末Pにおける平均粒子径D50とタップ密度TDとの比(D50/TD)は、0.2以上20以下が好ましい。比(D50/TD)が0.2以上である粉末Pは、流動性に優れる。この粉末Pから、高密度な成形体が得られうる。この観点から、比(D50/TD)は1.0以上がより好ましく、2.0以上が特に好ましい。比(D50/TD)が20以下である粉末Pは、焼結、積層造形等の工程における、粒子の溶融性に優れる。この粉末Pから、欠陥の少ない成形体が得られうる。この観点から、比(D50/TD)は16以下がより好ましく、13以下が特に好ましい。
平均粒子径D50は、粉体の全体積が100%とされて累積カーブが求められたとき、その累積カーブが50%となる点の粒子径である。粒子径は、日機装社のレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置「マイクロトラックMT3000」により測定されうる。この装置のセル内に、粉末Pが純水と共に流し込まれ、粒子の光散乱情報に基づいて、粒径が検出される。
平均粒子径D50は、5μm以上200μm以下が好ましい。平均粒子径D50がこの範囲内である粉末Pから、高品質な成形体が得られうる。この観点から、平均粒子径D50は10μm以上150μm以下がより好ましく、15μm以上120μm以下が特に好ましい。
タップ密度TDは、0.25Mg/m以上1000Mg/m以下が好ましい。タップ密度TDがこの範囲内である粉末Pから、高品質な成形体が得られうる。この観点から、タップ密度TDは0.6Mg/m以上150Mg/m以下がより好ましく、1.0Mg/m以上60Mg/m以下が特に好ましい。
タップ密度TDは、「JIS Z 2512」の規定に準拠して測定される。測定では、約50gの粉末Pが、容積100cmのシリンダーに充填される。測定条件は、以下の通りである。
落下高さ:10mm
タップ回数:200
[比(D501/D502)]
粉末Pにおける、第一粉末P1の平均粒子径D501と、第二粉末P2の平均粒子径D502との比(D501/D502)は、0.4以上3000以下が好ましい。比(D501/D502)が0.4以上である粉末Pから、高剛性な成形体が得られうる。この観点から、比(D501/D502)は1.0以上がより好ましく、2.0以上が特に好ましい。比(D501/D502)が3000以下である粉末Pから、欠陥の少ない成形体が得られうる。この観点から、比(D501/D502)は2500以下がより好ましく、10以下が特に好ましい。
平均粒子径D501は、平均粒子径D50と同様の方法で、測定されうる。平均粒子径D502は、平均粒子径D50と同様の方法で、測定されうる。
[第一粉末P1の製造]
第一粉末P1の製造方法として、水アトマイズ法、単ロール急冷法、双ロール急冷法、ガスアトマイズ法、ディスクアトマイズ法及び遠心アトマイズ法が例示される。好ましい製造方法は、単ロール冷却法、ガスアトマイズ法及びディスクアトマイズ法である。粉末に、メカニカルミリング等が施されてもよい。ミリング方法として、ボールミル法、ビーズミル法、遊星ボールミル法、アトライタ法及び振動ボールミル法が例示される。
[第二粉末P2の製造]
第二粉末P2の製造方法として、第一粉末P1の製造方法と同様、水アトマイズ法、単ロール急冷法、双ロール急冷法、ガスアトマイズ法、ディスクアトマイズ法及び遠心アトマイズ法が例示される。SiO、Al及びYの好ましい製造反応として、溶融粉砕法、焼結粉砕法及び造粒焼結法が例示される。WCの好ましい製造反応として、炭化法が例示される。TiB及びWBの好ましい製造反応として、ホウ化反応が例示される。粉末に、メカニカルミリング等が施されてもよい。ミリング方法として、ボールミル法、ビーズミル法、遊星ボールミル法、アトライタ法及び振動ボールミル法が例示される。
[粉末Pの製造]
粉末Pは、第一粉末P1及び第二粉末P2の混合によって得られる。混合には、既知の撹拌法が採用されうる。混合に先立ち、第一粉末P1及び第二粉末P2のそれぞれに分級が施されてもよい。混合後の粉末に、分級が施されてもよい。
[焼結]
成形体の典型的な製造方法は、焼結である。焼結では、粉末Pが高温下で加圧される。既知の種々の焼結方法が、採用されうる。典型的な焼結方法は、熱間等方圧プレス(HIP)である。HIPの好ましい圧力は、50MPa以上300MPa以下である。HIPの好ましい温度は、1000℃以上1400℃以下である。
[積層造形法]
成形体の、他の典型的な製造方法は、三次元積層造形法(AM)である。この三次元積層造形法には、3Dプリンターが使用されうる。この積層造形法では、敷き詰められた粉末Pに、レーザービーム又は電子ビームが照射される。照射により、粒子が急速に加熱され、急速に溶融する。粒子はその後、急速に凝固する。この溶融と凝固とにより、粒子同士が結合する。照射は、粉末Pの一部に、選択的になされる。粉末Pの、照射がなされなかった部分は、溶融しない。照射がなされた部分のみにおいて、結合層が形成される。
結合層の上に、さらに粉末Pが敷き詰められる。この粉末Pに、レーザービーム又は電子ビームが照射される。照射により、粒子が急速に溶融する。粒子はその後、急速に凝固する。この溶融と凝固とにより、粉末P中の粒子同士が結合され、新たな結合層が形成される。新たな結合層は、既存の結合層とも結合される。
照射による結合が繰り返されることにより、結合層の集合体が徐々に成長する。この成長により、三次元形状を有する成形体が得られる。
[他の造形法]
冷間等方圧成形(CIP)、粉末押出(PE)、粉末圧延、溶射、射出成形等の手段により、成形他が得られてもよい。
[線熱膨張係数]
成形体の線熱膨張係数は、3.0×10-6/℃以下が好ましい。3.0×10-6/℃以下の熱膨張係数の範囲は、従来のFe-36%Ni合金の線熱膨張係数の範囲とほぼ同じである。この成形体は、温度変化に伴う体積変化を嫌う用途に、適している。線熱膨張係数は、2.0×10-6/℃以下がより好ましく、1.0×10-6/℃以下が特に好ましい。
線熱膨張係数は、熱膨張計(ディラトメーター)によって測定される。測定は、NETZSCH製の「DIL402C」によってなされうる。測定の条件は、以下の通りである。
試験片サイズ:φ5×20mm
雰囲気:Heガス
温度域:室温から100℃まで
荷重:5gf
モード:試験片の長手方向の膨張・収縮
[ヤング率]
成形体のヤング率は、140GPa以上が好ましい。ヤング率が140GPa以上である成形体は、従来のFe-36%Ni合金からなる成形体が用いられ得なかった用途にも、適している。ヤング率は、150GPa以上がより好ましく、160GPa以上が特に好ましい。
ヤング率は、超音波法によって測定される。測定は、RITEC製のバースト波音速測定装置「RAM-5000」によってなされうる。測定の条件は、以下の通りである。
試験片サイズ:φ16×5mm
雰囲気:Arガス
温度:室温(23℃)
測定では、試験片の一面から超音波パルスが入射され、試験片の両端面で多重反射させされる。これにより、超音波エコーが発生する。このエコー間の時間間隔と試験片両面間の距離とから、超音波の音速並びに縦波及び横波の速度が求められる。これらの測定値から、ヤング率が算出される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
真空中にて、アルミナ製坩堝で、所定の組成を有する原料を高周波誘導加熱で加熱し、溶解した。坩堝下にある直径が5mmのノズルから、溶湯を落下させた。この溶湯に、高圧アルゴンガスを噴霧し、粉末を得た。この粉末に分級を施し、下記の表1に示される組成番号1を有する第一粉末P1を得た。材質がSiOである第二粉末P2を、用意した。第一粉末P1と第二粉末P2とを混合し、実施例1の粉末Pを得た。この粉末Pにおける、第二粉末P2の含有率は、5.0体積%であった。
[実施例組成番号2-65及び比較例組成番号1-26]
組成を下記の表1-4に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例組成番号2-65及び比較例組成番号1-26の粉末を得た。
[成形]
各粉末を原料として、成形体を得た。成形方法は、熱間等方圧成形(HIP)、冷間等方圧成形(CIP)、粉末押出(PE)又は積層造形法(AM)であった。積層造形法は、3次元積層造形装置(EOS-M290)でなされた。これらの成形により、下記の表5-8に示された、実施例1-77及び比較例1-29の成形体を得た。
[測定]
成形体の線熱膨張係数及びヤング率を、前述の方法にて測定した。この結果が、下記の表5-8に示されている。表5-8において、線熱膨張係数の単位は、「×10-6/℃」である。
[格付け]
各成形体を、下記の基準に基づいて格付けした。
(評価1)
ヤング率:170GPa以上
線膨張係数:1.0×10-6/℃以下
50/TD:0.2-20
501/D502:0.4-3000
(評価2)
ヤング率:150GPa以上、170GPa未満
線膨張係数:1.0×10-6/℃以下
50/TD:0.2-20
501/D502:0.4-3000
(評価3)
ヤング率:140GPa以上、150GPa未満
線膨張係数:1.0×10-6/℃以下
50/TD:0.2-20
501/D502:0.4-3000
(評価4)
ヤング率:140GPa以上
線膨張係数:1.0×10-6/℃以上3.0×10-6/℃未満
50/TD:0.2-20
501/D502:0.4-3000
(評価5)
ヤング率:140GPa未満
線膨張係数:3.0×10-6/℃未満
50/TD:0.2-20
501/D502:0.4-3000
(評価6)
線膨張係数:3.0×10-6/℃以上
50/TD:0.2-20
501/D502:0.4-3000
(評価7)
組成が本発明の範囲を外れる。
この結果が、下記の表5-8に示されている。
Figure 0007492697000001
Figure 0007492697000002
Figure 0007492697000003
Figure 0007492697000004
Figure 0007492697000005
Figure 0007492697000006
Figure 0007492697000007
Figure 0007492697000008
表5-8から明らかな通り、各実施例の粉末は、諸性能に優れている。この結果から、本発明の優位性は明かである。
本発明に係る粉末は、種々の方法で得られる成形体に適している。

Claims (7)

  1. 第一粉末P1と第二粉末P2との混合物であり、
    上記第一粉末P1の材質がFe基合金であり、
    上記Fe基合金が、
    (1)30質量%以上38質量%以下のNi
    (2)0.0質量%以上7.0質量%以下のCo
    (3)0.0質量%以上0.30質量%以下のC
    (4)0.0質量%以上0.60質量%以下のSi
    (5)0.0質量%以上0.80質量%以下のMn
    及び
    (6)0.0質量%以上1.20質量%以下のCr
    を含み、残部がFe及び不可避的不純物であり、
    上記第二粉末P2が、セラミックス粉末であり、
    上記第一粉末P1及び上記第二粉末P2の合計量に対する、上記第二粉末P2の量の比率が、5体積%以上30体積%以下であり、
    上記第一粉末P1の平均粒子径D501と、上記第二粉末P2の平均粒子径D502との比(D501/D502)が、0.4以上10以下である高剛性低熱膨張合金用の粉末。
  2. 上記Fe基合金において、Cの含有率が0.10質量%以下であり、Siの含有率が0.30質量%以下であり、Mnの含有率が0.50質量%以下であり、Crの含有率が0.50質量%以下である請求項1に記載の高剛性低熱膨張合金用の粉末。
  3. 上記第二粉末P2が、酸化物粉末、炭化物粉末、ホウ化物粉末及び窒化物粉末からなる群から選択された1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の高剛性低熱膨張合金用の粉末。
  4. 上記第二粉末P2が、SiO粉末、Al粉末、Y粉末、WC粉末、TiB粉末及びWB粉末からなる群から選択された1種又は2種以上である請求項3に記載の高剛性低熱膨張合金用の粉末。
  5. 平均粒子径D50とタップ密度TDとの比(D50/TD)が0.2以上20以下である請求項1から4のいずれかに記載の高剛性低熱膨張合金用の粉末。
  6. (A)第一粉末P1と第二粉末P2との混合物であり、
    上記第一粉末P1の材質がFe基合金であり、
    上記Fe基合金が、
    (1)30質量%以上38質量%以下のNi
    (2)0.0質量%以上7.0質量%以下のCo
    (3)0.0質量%以上0.30質量%以下のC
    (4)0.0質量%以上0.60質量%以下のSi
    (5)0.0質量%以上0.80質量%以下のMn
    及び
    (6)0.0質量%以上1.20質量%以下のCr
    を含み、残部がFe及び不可避的不純物であり、
    上記第二粉末P2が、セラミックス粉末であり、
    上記第一粉末P1及び上記第二粉末P2の合計量に対する、上記第二粉末P2の量の比率が、5体積%以上30体積%以下であり、
    上記第一粉末P1の平均粒子径D 50 1と、上記第二粉末P2の平均粒子径D 50 2との比(D 50 1/D 50 2)が、0.4以上10以下である粉末を、準備する工程、
    並びに
    (B)上記粉末に成形を施す工程
    を含む、線熱膨張係数が3.0×10-6/℃以下でありヤング率が140GPa以上である高剛性低熱膨張成形体の、製造方法
  7. 上記工程(B)において、上記粉末に、焼結、三次元積層造形、冷間等方圧成形、粉末押出、粉末圧延、溶射又は射出成形が施される、請求項6に記載の製造方法
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