JP7489801B2 - 什器とこれに使用する転倒防止装置及びベースユニット - Google Patents

什器とこれに使用する転倒防止装置及びベースユニット Download PDF

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Description

本願発明は、什器及びこれに使用する転倒防止装置、ベースユニットに関するものである。ここで、什器としては、キャビネットや棚(ラック)のような家具が代表例として挙げられるが、他に、複合機や冷蔵庫等の電気(電子)製品、商品等の陳列装置、美術品などの展示装置、パソコン用サーバ、分電盤など、床上に載置されるものであって地震に際して転倒するおそれがあるもの全般を広く含んでいる。
地震に際してキャビネット類の転倒を防止する手段は、多々提案されている。転倒防止手段には、キャビネット類の揺れは許容しつつその程度を緩和させる考え方と、地震があってもキャビネット類が独立して動かないようにする考え方とがある(地震時に建物は動くのでキャビネット類も地面に対しては揺れ動くが、建物に対して相対動させないという考え方である。)。
前者の方法の例として、特許文献1に開示されているように、キャビネット類を床に対して相対動させる免震装置がある。他方、キャビネット類が独自に動くことを防止する手段としては、特許文献2に開示されているように、キャビネット類が載る台に、キャビネットの手前に突出する前向きの転倒防止板(アウトリガー)を設けたものがある。特許文献2の変形例として、特許文献3には、転倒防止板をアクセスフロアの内部に配置することが開示されている。
特開2007-37990号公報 実公平4-24990号公報 特許第3541362号公報
特許文献1の手段は、理論的には優れていると解されるが、構造が著しく複雑になるという問題がある。また、特許文献2の場合は、アウトリガーがキャビネットの手前に大きく突出するため、人がつまずきやすくなる問題や美観が悪化する問題がある(カーペット類で覆っても、アウトリガーの箇所は高さが高くなるため、問題の解消には至っていない。)。また、特許文献3のように転倒防止板をアクセスフロアに内蔵すると、つまずきや美観の問題は解消できるが、施工に多大の手間がかかる問題や、アクセスフロアでない床には適用できずに汎用性に劣るといった問題がある。
ところで、床上に載置される什器のレイアウトに関し、例えば前後一対のキャビネットが背面合わせに配置されるなど、2つの什器が隣り合って配置されることはよくある。そして、隣り合う什器は連結具を介して強固に連結されて一体化されることが多い。これにより、一体物として接地面積が大きくなるので地震に際して転倒の可能性が多少は減少する。
しかしながら、連結された2つの什器が一体となって揺動するので、地震の揺れによって傾斜姿勢になって接地面積が小さくなったときの移動量が大きく、また、何ら対策をしない状態では依然として転倒する可能性がある。また、複数の什器に対して、特許文献1~3の手段を適用すると、上記問題点がより顕著になる。
本願発明はこのような現状を契機として成されたものであり、隣り合って配置される什器に適用可能で、構造が簡単で施工も容易で実用性・汎用性に優れた什器転倒防止技術を提供することを目的とするものである。
本願発明は、床上載置式の什器とこれに使用する転倒防止装置及びベースユニットを含んでおり、その典型的な構成を特許請求の範囲の各請求項で特定している。
本願発明の什器用転倒防止装置は、床と什器の間に設置され、前記什器の転倒を防止する装置であって、隣り合って配置される一対の什器が載置連結される連結部と、揺れに際して、前記各什器が並び方向に沿って互いに独立して揺動することを許容する揺動許容部と、一方の什器の荷重で他方の什器の揺動を抑制する揺動抑制部と、を備えるものである。
本願発明の什器用転倒防止装置によれば、連結部に連結した一対の什器を互いに独立して揺動させることで、これらの什器がそれぞれ揺動して傾斜姿勢になったときに什器の接地箇所が2箇所(一方の什器の接地個所と他方の什器の接地個所)になるので、これらの什器の移動量を抑制できる。さらに、一対の什器がそれぞれ傾斜姿勢になったときには、一方の什器の荷重で揺動抑制部を下向きに押さえつけることで、連結部に連結された他方の什器の揺動を抑制することで、什器の転倒を防止できる。また、床や壁に固定しなくてもよいので施工が容易である。また、連結部が什器の外側にはみ出さない構造にできるので、美感の悪化や人が躓くのを防止できる。
本願発明の什器用転倒防止装置において、前記連結部、前記揺動抑制部及び前記揺動許容部は、前記一対の什器の下方にまたがって配置される板状部材に形成されており、前記連結部は、前記什器の下方に位置する前記板状部材の部位に前記一対の什器ごとに設けられ、前記揺動抑制部は、前記一対の什器の下方にまたがる前記板状部材の部位で構成され、前記板状部材は、前記揺動抑制部と前記連結部とを分離するための第1スリットと、一方の什器が連結される前記連結部と他方の什器が連結される前記連結部とを分離するための第2スリットとを備え、前記揺動許容部は、前記板状部材における前記連結部の周囲部位で構成されるようにしてもよい。
このような態様によれば、連結部及び揺動抑制部を設けた板状部材にスリットを形成して揺動許容部を設けることで、連結部及び揺動許容部が揺動抑制部に対して変位するように板状部材が変形することで什器の揺動を許容できる。これにより、簡単な構造で一対の什器を互いに独立して揺動可能となり、低コストかつ施工が容易な什器用転倒防止装置を実現できる。
本願発明の什器用転倒防止装置において、前記一対の什器のうち第1什器が載る第1板状部材と、第2什器が載る第2板状部材とを備え、前記連結部は、前記第1什器と前記第1板状部材とを連結する第1連結部と、前記第2什器と前記第2板状部材とを連結する第2連結部とを備え、前記揺動抑制部は、前記第2什器の下方に張り出した前記第1板状部材の第1張出し部と、前記第1什器の下方に張り出した前記第2板状部材の第2張出し部とで構成され、前記揺動許容部は、前記第1板状部材における前記第1連結部の周囲部位で構成される第1揺動許容部と、前記第2板状部材における前記第2連結部の周囲部位で構成される第2揺動許容部とで構成されるようにしてもよい。
このような態様によれば、転倒防止装置は互いに分離した第1板状部材と第2板状部材とで構成されているので、簡単な構造で一対の什器を確実に互いに独立して揺動可能になる。また、第1什器が第2什器側へ揺動(傾斜)するとき、第2什器側へ張り出した第1板状部材の第1張出し部が揺動を制限する一方、第1什器が第2什器とは逆側へ揺動するとき、第1板状部材の第1張出し部が第2什器の下部にひっかかって揺動を制限するので、転倒抑制効果が高い。第2什器に対しては、第2板状部材が同様に機能する。したがって、この態様の転倒防止装置は、2つの板状部材からなる簡単な構造で一対の什器を互いに独立して揺動可能であり、低コストかつ施工が容易な什器用転倒防止装置を実現できる。
さらに、前記揺動許容部は、前記第1什器と前記第2什器とを相対的に上下動可能に連結する連結具を備えているようにしてもよい。
このような態様によれば、第1及び第2什器が分離するのを防止しつつ、第1及び第2什器を互いに独立して揺動させることができ、什器の転倒をより確実に防止できる。
また、本願発明の什器用転倒防止装置において、前記連結部及び前記揺動抑制部は、前記一対の什器の下方にまたがって配置される板状部材に形成されており、前記連結部は、前記什器の下方に位置する前記板状部材の部位に前記一対の什器ごとに設けられ、前記揺動抑制部は、前記一対の什器の下方にまたがる前記板状部材の部位で構成され、前記揺動許容部は、前記什器を前記連結部に対して上下動可能に保持する上下動許容部により、前記什器の揺動を許容しているようにしてもよい。
このような態様によれば、簡単な構造で一対の什器を互いに独立して揺動可能であり、低コストかつ施工が容易な什器用転倒防止装置を実現できる。
さらに、少なくとも前記什器が傾斜姿勢状態のときに、前記什器を下向きに付勢する弾性部材を備えているようにしてもよい。
このような態様によれば、弾性部材で什器の揺動を吸収でき、什器の転倒をより確実に防止できる。
本願発明の什器用ベースユニットは、什器本体が載るベースと、前記ベースが載る什器用転倒防止装置とを備えており、前記什器用転倒防止装置は、隣り合って配置される一対の什器が載置連結される連結部と、揺れに際して、前記各什器が並び方向に沿って互いに独立して揺動することを許容する揺動許容部と、一方の什器の荷重で他方の什器の揺動を抑制する揺動抑制部と、を備えているものである。
本願発明の什器用ベースユニットによれば、本願発明の什器用転倒防止装置の構成を備えているので、構造が簡単で施工も容易で実用性・汎用性に優れた転倒防止機能を有する什器用ベースユニットを提供できる。
本願発明の什器は、本願発明の什器用転倒防止装置又は本願発明の什器用ベースユニットを備えているものである。
本願発明の什器によれば、本願発明の什器用転倒防止装置の構成を備えているので、構造が簡単で施工も容易で実用性・汎用性に優れた転倒防止機能を有する什器を提供できる。
なお、本願発明では、什器が転倒防止装置の他に緩衝装置などの他の機能を有することは排除しない。転倒防止装置を補助する装置を併有させることは、什器の地震対策として好ましい。
本願発明の什器用転倒防止装置、什器用ベースユニット及び什器は、隣り合って配置される什器に適用可能で、構造が簡単で施工も容易で実用性・汎用性に優れた什器用転倒防止装置、什器用ベースユニット及び什器を提供できる。
第1実施形態の概略分離斜視図である。 同実施形態の転倒防止装置を示す平面図である。 同実施形態のベース及び転倒防止装置を示す平面図である。 同実施形態のベース及び転倒防止装置を示す側面図である。 同実施形態の要部の縦断側面図である。 同実施形態の要部の分離斜視図である。 同実施形態の一部部材の分離平面図である。 同実施形態の連結部を示す縦断正面図である。 同実施形態の転倒防止作用を説明するための概略側面図である。 (A)は第2実施形態の平面図、(B)は第3実施形態の平面図である。 第4実施形態の概略分離斜視図である。 同実施形態の転倒防止装置を示す平面図である。 同実施形態のベース、転倒防止装置及び連結具を示す側面図である。 同実施形態のベース及び転倒防止装置を示す側面図である。 同実施形態の転倒防止作用を説明するための概略側面図である。 (A)は第5実施形態の平面図、(B)は第6実施形態の平面図である。 連結具の他の形態を示す図である。 連結具のさらに他の形態を示す図である。 第7実施形態の概略分離斜視図である。 同実施形態のベース及び転倒防止装置を示す平面図である。 同実施形態のベース及び転倒防止装置を示す側面図である。 同実施形態の要部の縦断側面図である。 同実施形態の転倒防止作用を説明するための概略側面図である。 第8実施形態の要部を示す分離斜視図である。 第9実施形態の要部を示す分離斜視図である。 第10実施形態の概略分離斜視図である。 同実施形態のベース及び転倒防止装置を示す側面図である。
(1).第1実施形態の概要
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、図1~図9に示す第1実施形態を説明する。本実施形態は、平面視横長の長方形に形成されたスチール製のキャビネット1が前後に背面合わせで配置された構成の転倒防止に適用している。
キャビネット1は、前向きに開口したキャビネット本体2と、その開口部を開閉する水平回動自在な観音開き式の扉3と、キャビネット本体2が載るスチール板製のベース4とを備えている。キャビネット1は高さに比べて奥行きが遥かに小さいため、地震に際して手前又は奥側に転倒しやすい。そこで、転倒防止装置6が使用されている。
転倒防止装置6は、床面Fと前後一対のキャビネット1との間に設置され、キャビネット1の転倒を防止するものである。転倒防止装置6は、隣り合って配置されるキャビネット1が載置連結される連結部33と、揺れに際して、これらのキャビネット1を、キャビネット1が並ぶ方向に沿って互いに独立して揺動を許容させる揺動許容部39と、一方のキャビネット1の荷重で他方のキャビネット1の揺動を抑制する揺動抑制部73とを備える。
連結部33、揺動抑制部73及び揺動許容部39は、前後一対のキャビネット1の下方にまたがって配置される板状部材7に形成されている。板状部材7は例えば鋼板製である。連結部33は、キャビネット1の下方に位置する板状部材7の部位に前後一対のキャビネット1ごとに設けられている。本実施形態では、板状部材7には1つのキャビネット1に対して2つの連結部33が設けられている。すなわち、板状部材7には合計4つの連結部33が設けられている。本実施形態では、板状部材7は床面Fに固定されずに載置されている。
連結部33は、鋼板製で左右横長の金具で構成され、板状部材7に溶接によって固着されており、キャビネット1の下部を構成するベース4の後ろ寄り部位の左右2箇所に連結される。すなわち、4つの連結部33は、板状部材7の左右縁部寄り部位の前後中央位置に、前後に並んで2つずつ配置されている。
例えば図6及び図8に示すように、連結部33に、ベース4の後ろ寄り部位に連結された逆M形の連結部材22がボルト25で固定される。したがって、連結部33には、連結部材22を固定するためのタップ穴35が空いている。なお、連結部33は、固定用の金具を使用せずに、板状部材7に形成されたタップ穴で構成されてもよい。
図2に示すように、揺動抑制部73は、前後一対のキャビネット1の下方にまたがる板状部材7の部位で構成されている。板状部材7には、前後一対のキャビネット1の下方にまたがって配置される揺動抑制部73と、揺動抑制部73と連結部33との間に形成された第1スリット71と、一方のキャビネット1が連結される連結部33と他方のキャビネット1が連結される連結部33とを分離する第2スリット72とを備えている。
揺動抑制部73は、板状部材7の中央部に前後方向に延びて設けられている。第1スリット71は、揺動抑制部73と連結部33とを分離するためのスリットであり、揺動抑制部73を挟んで左右一対に設けられ、前後方向に延びて形成されている。第2スリット72は、一方のキャビネット1が連結される連結部33と他方のキャビネット1が連結される連結部33とを分離するためのものであり、板状部材7の左右縁部の中央部から前後2つの連結部33の間を通って左右方向に延びて形成され、第1スリット71の前後中央部に繋がっている。第2スリット72は左右一対に設けられている。揺動許容部39は、板状部材7における連結部33の周囲部位で構成される。
本実施形態では、第1スリット71及び第2スリット72は、略T字形に形成され、前後方向に並ぶ2つの連結部33が固着された板状部材7の箇所を、前後に分離するとともに揺動抑制部73とも分離しており、板状部材7の連結部33の周囲部位に揺動抑制部73に対する変形代をもたせて揺動許容部39を形成している。これにより、板状部材7は、地震の揺れに際して、キャビネット1の揺動によって連結部33に上向き又は下向きの力が加わったときに、連結部33及び揺動許容部39が揺動抑制部73に対して上下に変位するように変形可能に構成されている。
図3に示すように、転倒防止装置6は、平面視で、板状部材7が背面合わせに配置された前後一対のキャビネット1とほぼ重なる大きさであり、前後縁部及び左右縁部ともキャビネット1の外側(ベース4の外側)にははみ出していない。本実施形態では、板状部材7の前後縁部は、キャビネット1の前部よりも前後内側に位置している。板状部材7の左右縁部は、キャビネット1の左右縁部と同じ位置であるか、又はキャビネット1の左右縁部よりも左右内側に位置するように設けられている。
図2及び図6等に示すように、連結部33には、板状部材7の前後中央側に向けて突出した突部33aが形成されている。突部33aは、アジャスタボルト23を安定的に載せるために設けられている。すなわち、キャビネット1を安定的に支持するためには、アジャスタボルト23はできるだけベース4の外周寄りに配置するのが好ましく、連結部33の面積をできるだけ小さくしつつアジャスタボルト23を安定的に支持するために、突部33aが設けられている。なお、連結部33の平面形状はこれに限定されず、例えば略四角形であってもよい。
また、本実施形態では、連結部33に前後一対のタップ穴35が設けられ、連結部材22にタップ穴35の位置に対応して前後のボルト挿通孔31が設けられている。連結部材22を連結部33にボルト25にて連結するに際して、どちらのタップ穴35を使用してもよい。なお、例えば図7に示すように、連結部33にタップ穴35が左右一つずつ設けられていてもよいし、連結部材22にボルト挿通孔31が左右一つずつ設けられているようにしてもよい。
図8に示すように、キャビネット1の下部後ろ寄り部位を支持する左右のアジャスタボルト23は、連結部材22の上向き膨出部に下方から挿通されている。見方を変えて述べると、アジャスタボルト23の頭の配置空間を形成するため、連結部材22に上向き膨出部が形成されている。ベース4の後ろ寄り部位は、連結部材22及びアジャスタボルト23を介して板状部材7に固着された連結部33に離反不能に連結されている。アジャスタボルト23を回転させると、ベース4の後部を高さ調節できる。
また、ベース4の前寄り部位は、左右のアジャスタボルト23を介して板状部材7の前後縁部寄り部位の上に載置されている。これらのアジャスタボルト23を回転させると、ベース4の前部を高さ調節できる。
なお、アジャスタボルト23に、その座面に重なるばね座金やゴムリングを嵌め込んでおいて、地震の揺れに際して、アジャスタボルト23の頭が連結部33と連結部材22との間でガタ付かないように保持しておくことも可能である。
本実施形態では、板状部材7の前後縁部に、前後外向きに開口した切り開き部36が形成されている。切り開き部36は左右中間部に形成されているが、左右複数箇所に形成することも可能である。切り開き部36の深さ(奥行き)は、板状部材7の前後長さ寸法の6分の1程度になっているが、左右幅及び深さとも任意に設定できる。
切り開き部36を形成すると、二重床の内部から引き出したケーブルを、外部に露出させることなくキャビネット1の内部に引き出すことができる。また、板状部材7がねじれ変形しやすくなるため、板状部材7の破損を防止できる利点もある。図2に示すように、切り開き部36に代えて又はこれに加えて、円形等の窓穴38を空けておくことによっても、ケーブル類の引出しを行える。窓穴38を、左右に複数形成することも可能であるし、板状部材7の前後中央部寄りの位置に、前後のキャビネット1ごとに、又は前後のキャビネット1の下方にまたがるようにして、形成することも可能である。
(2).ベースユニットの詳細
図1及び図3等に示すように、ベース4の基本的な構造は従来と同様であり、左右のサイドフレーム16とこれを連結するフロントフレーム17及びリアフレーム18とを有している。各フレーム16,17,18は、上下の水平片19,20とその先端に設けた垂直片19a,20aを有する溝形に形成されている。
下水平片20は上水平片19よりも幅狭になっている。また、フロントフレーム17の上水平片19はリアフレーム18の上水平片19よりも幅広になっているが、両者は同じ幅であってもよい。
ベース4の左右両側寄り部位に、前後長手の補助フレーム21が配置されている。補助フレーム21は上向きに開口したコ字形の形態であり、前後両端はフロントフレーム17及びリアフレーム18に溶接等で固定されている。
図5及び図8に明示するように、補助フレーム21の下端はベース4の下端よりも上に位置している。補助フレーム21の後端部に、左右長手の連結部材22がナット筒32を介してアジャスタボルト23で連結されている。他方、補助フレーム21の前端部には、ナット筒32を介してアジャスタボルト23が連結されている。
補助フレーム21の後端部に連結された連結部材22の下面は、転倒防止装置6の連結部33にボルト25で固定される。連結部材22は、補助フレーム21の左右両側に張り出したフラップ部を有する正面視略M字形の形態であり、左右のフラップ部がボルト25で連結部33を構成する金具に固定されている。連結部材22は、ベース4の素材板よりも薄い鋼板で構成されており、地震に際してキャビネット1が揺れたときに変形(弾性変形及び塑性変形)する剛性を有している。
なお、連結部33に対してアジャスタボルト23及び連結部材22を使用せずに、補助フレーム21を連結部33に直接固定することも可能である。また、アジャスタボルト23及び連結部材22をベース4の下水平片20に連結することも可能であるし、ベース4の下水平片20を連結部33に固定することも可能である。
(3).第1実施形態のまとめ
図1において、施工手順の一例を示している。まず、転倒防止装置6を所定の位置に配置する。次いで、キャビネット1を板状部材7の上に載せる。この場合、まずベース4を板状部材7に載せてから、ベース4にキャビネット本体2を嵌め込む。なお、図8に示すように、キャビネット本体2は底板2aを有しており、底板2aに、ベース4の内部に入り込む下向き片2cを設けている。キャビネット本体2は、下向き片2cがベース4に嵌め込まれた上で、底板2aがビスでベース4に固定される。
図9では、地震に際しての前後のキャビネット1の揺れ動きと板状部材7の変形態様とを表示している。転倒防止装置6の板状部材7に連結された前後のキャビネット1は、それぞれ独立して、床面Fの揺れによって前後方向に揺れ動く。例えば、図9に示すように、地震の揺れによって床面Fが紙面右側へ移動すると、一方のキャビネット1(図9では左側のキャビネット)が前傾姿勢になり、他方のキャビネット1が後傾姿勢になる。
一方のキャビネット1が前傾姿勢になるとき、キャビネット1の前下部(前側のアジャスタボルト23もしくはベース4のフロントフレーム17)を支点として前向き回動する。上述のように、キャビネット1は、下部の後ろ寄り部位が転倒防止装置6の連結部33に連結されており、板状部材7には連結部33が設けられた揺動許容部39と揺動抑制部73との間に第1スリット71が形成されていることから、前向き回動するキャビネット1が連結された連結部33及び揺動許容部39が揺動抑制部73に対して持ち上がるように板状部材7が変形する。
また、他方のキャビネット1が後傾姿勢になるとき、ベース4の後ろ寄り部位が連結部33に固定され、ベース4の前寄り部位は板状部材7に固定されていないことから、キャビネット1の下後部(連結部33もしくはベース4のリアフレーム18)を支点として後向き回動する。このとき、ベース4の後ろ寄り部位の構成部材(例えば連結部材22)が変形して、キャビネット1の後ろ向き回動が許容される。後傾姿勢になったキャビネット1のベース4のリアフレーム18は揺動抑制部73を下向きに付勢する。
すなわち、転倒防止装置6に連結された前後のキャビネット1は、地震の揺れによって傾斜姿勢になったときにこれらのキャビネット1の接地箇所が2箇所(一方のキャビネット1の前下部と他方のキャビネット1の後ろ下部)になる。ところで、前後のキャビネットを強固に連結して一体的に揺動させる技術では、前後のキャビネットが一体的に傾斜姿勢になり、接地個所が1箇所になる。したがって、転倒防止装置6は、地震の揺れに際して、キャビネット1が傾斜姿勢になったときにキャビネット1と床面Fとの間の摩擦(本実施形態では板状部材7と床面Fとの間の摩擦)を上記技術に比べて大きくすることができ、キャビネット1の移動量を低減できる。
さらに、前向き回動するキャビネット1が連結された連結部33及び揺動許容部39が揺動抑制部73に対して持ち上がるように板状部材7が変形(弾性変形もしくは塑性変形又はその両方)することで、キャビネット1の揺れを吸収できる。また、板状部材7の揺動抑制部73は、地震の揺れによって後傾姿勢になったキャビネット1(図9では右側のキャビネット)の荷重で下向きに押さえつけられるので、板状部材7の浮き上がりが抑制される。これにより、前傾姿勢になったキャビネット1(図9では左側のキャビネット)の前向き回動を制限できる。
また、一方のキャビネット1の下方に位置する板状部材7の部分(板状部材7の前後端寄り部位及び揺動抑制部73)は、他方のキャビネット1に対して後ろ側に突出していることから、キャビネット1の後向き回動を抑制する。このように、転倒防止装置6は、キャビネット1の揺動を吸収及び抑制できるので、キャビネット1の転倒を防止できる。
また、転倒防止装置6は、床や壁に固定しなくてもよいので施工が容易である。また、板状部材7が前後一対のキャビネット1の外側にはみ出さない構造にできるので、美感の悪化や人が躓くのを防止できる。このように、転倒防止装置6は、簡単な構造で一対のキャビネット1を互いに独立して揺動可能であるとともに、低コストかつ施工が容易な構成を実現できる。
なお、本実施形態の転倒防止装置6では、キャビネット1の後ろ下部が連結部材22及び連結部33にて板状部材7に連結されているが、キャビネット1の前下部についても、後ろ下部と同様に、連結部材22及び連結部33で板状部材7に連結されるようにしてもよい。この場合、地震の揺れによってキャビネット1が後向き回動するときに板状部材7の前縁部が持ち上がるが、揺動抑制部73が曲げ変形することで、後傾姿勢のキャビネット1の接地を確保できる。
(4).第2~第3実施形態
図10では他の実施形態を示している。図10(A)に示す第2実施形態では、背面合わせに配置された前後のキャビネット1に対応した転倒防止装置6を左右に分離している。このように分離方式を採用すると、横幅が相違する家具に1種類の転倒防止装置6で対応できる利点がある。また、第2実施形態は、板状部材7の面積を小さくできるので、製造コストを低減できるとともに、板状部材7の運搬及び保管が容易になるというメリットもある。さらに、本実施形態のように分離方式を採用すると、キャビネット1の底部の一部(板状部材7に対向していない部分)が床面Fに対向するから、二重床の内部から引き出したケーブルを、外部に露出させることなくキャビネット1の内部に容易に引き出すことができる。
図10(B)に示す第3実施形態では、板状部材7に前後の連結部33を挟んで左右の第1スリット71を形成し、第1スリット71の左右外側にも揺動抑制部73を形成している。前後の連結部33を挟む左右の第1スリット71の前後中央部は、前後の連結部33の間を通って左右方向に延びる第2スリット72でつながっている。すなわち、前後の連結部33の周囲には、第1及び第2スリット71,72によってH字形のスリットが形成されている。本実施形態では、左右の第1スリット71で挟まれた連結部33の周囲部位が揺動許容部39を構成する。
本実施形態では、揺動抑制部73が板状部材7の左右中央部のみならず、左右縁部にも形成されていることから、地震の揺れによって後傾姿勢になったキャビネット1の後ろ下部の左右縁部位で板状部材7の左右の揺動抑制部73を下向きに付勢できる。これにより、他方のキャビネット1(前傾姿勢のキャビネット1)のねじれ揺動を低減でき、キャビネット1の転倒及び移動をより確実に低減できる。
なお、上記第1~第3実施形態では、1つのキャビネット1に対して2つの連結部33を設けているが、連結部33の個数及び位置はこれに限定されない。例えば、板状部材7に、前後のキャビネット1に対して、キャビネット1の後ろ下部の中央位置に対応して連結部33を1つずつ設け、第3実施形態のようにスリットをH字形に設けて、前後の連結部33の周囲部位に揺動許容部39をそれぞれ形成してもよい。
また、転倒防止装置6の板状部材7の前後方向長さを短くし、キャビネット1の前部を支持するアジャスタボルト23(図4及び図5参照)が床面F上に配置されるようにすることも可能である。この構成でも、地震に際しては、一方のキャビネット1が前傾姿勢になると同時に他方のキャビネット1が後傾姿勢になって揺動抑制部73を下向きに付勢し、前傾姿勢のキャビネット1が固定された連結部33が揺動抑制部73に対して持ち上がるように板状部材7が変形して揺れを吸収するとともに、前後2つのキャビネット1の接地箇所が2箇所(前傾姿勢のキャビネット1の前下部と、後傾姿勢のキャビネット1の後ろ下部)になるので、これらのキャビネット1の移動量を低減できる。また、前傾姿勢のキャビネット1の下方に位置する板状部材7の部分が後傾姿勢のキャビネット1の後向き揺動を抑制するとともに、後傾姿勢のキャビネット1の下方に位置する板状部材7の部分が前傾姿勢のキャビネット1の前向き揺動を抑制するので、キャビネット1の転倒を防止できる。
(5).第4実施形態(図11~図15)の概要
次に、第4実施形態を説明する。この実施形態も基本態様は第1実施形態と同じである。第1実施形態と同じ要素は同じ符号を付して、特に必要がない限り説明は省略する。
図11~図14に示すように、転倒防止装置6における板状部材7は、前後一対のキャビネット1A,1Bのうち一方のキャビネット1A(第1什器)に連結された第1板状部材7Aと、他方のキャビネット1B(第2什器)に連結された第2板状部材7Bとに分割されている。
すなわち、本実施形態の転倒防止装置6は、キャビネット1Aが載る第1板状部材7Aと、キャビネット1Bが載る第2板状部材7Bとを備えている。本実施形態では、第1板状部材7Aと第2板状部材7Bは、同じ形状を有し、後部の左右縁部寄り部位に左右の連結部33A,33Bを構成する金具が固着されている。第1板状部材7Aに設けた第1連結部33Aは、キャビネット1Aと第1板状部材7Aとを連結し、第2板状部材7Bに設けた第2連結部33Bは、キャビネット1Bと第2板状部材7Bとを連結している。
図12に示すように、第1及び第2板状部材7A,7Bは、平面視で、キャビネット1A又は1Bの後ろ縁部よりも後側へ突出した張出し部77A,77Bを備えている。また、板状部材7A,7Bは、後ろ縁部に、他方の板状部材7B又は7Aの張出し部77B,77Aが嵌る切欠き部78A,78Bをそれぞれ備えている。本実施形態の転倒防止装置6の揺動抑制部は、第1板状部材7Aの第1張出し部77Aと、第2板状部材7Bの第2張出し部77Bとで構成されている。
第1板状部材7Aにキャビネット1Aが載置及び固定され、第2板状部材7Bにキャビネット1Bが載置及び固定され、これらのキャビネット1A,1Bが背面合わせで配置される。この状態で、板状部材7A,7Bは、それらの後ろ縁部同士が前後に近接配置されるとともに、第1板状部材7Aの第1張出し部77Aが第2板状部材7Bの第2切欠き部78Bに嵌り込んでキャビネット1Bの下方に配置される一方、第2板状部材7Bの第2張出し部77Bが第1板状部材7Aの第1切欠き部78Aに嵌り込んでキャビネット1Aの下方に配置される。
本実施形態において、揺動許容部は、第1板状部材7Aにおける第1連結部33Aの周囲部位で構成される第1揺動許容部39Aと、第2板状部材7Bにおける第2連結部33Bの周囲部位で構成される第2揺動許容部39Bとで構成されている。詳細は後述するが、板状部材7A,7Bは、地震の揺れなどに際してキャビネット1の揺動によって連結部33A,33Bに上向き又は下向きの力が加わったときに、張出し部77A、77Bが曲げ変形することで、連結部33A,33B及び揺動許容部39A,39Bが、張出し部77A、77Bに対して上下に変位するように変形可能に構成されている。なお、本実施形態において、前後一対のキャビネット1の互いに独立した揺動を許容させる揺動許容部は、互いに分離した第1板状部材7Aと第2板状部材7Bとで構成されている、とも言える。
図11及び図13に示すように、キャビネット1A,1Bは、例えばそれらの上部同士が左右一対の連結具81にて、上下方向及び左右方向に互いに相対移動可能に連結されている。連結具81は、前後一対のL形のベース金具82と、前後のベース金具82の起立面部同士を連結する連結体83とを備えている。前後のベース金具82の水平面部はキャビネット1A,1Bのキャビネット本体2の上面に接着層84を介して取り付けられており、キャビネット1A,1Bの上部同士が連結具81を介して連結されている。連結体83は、例えば粘弾性体で構成され、ベース金具82の起立面に粘着するとともに、前後のベース金具82を互いに相対移動可能に連結している。
図15は、地震に際しての前後のキャビネット1A,1Bの揺れ動きを表示している。転倒防止装置6の板状部材7A,7Bに連結された前後のキャビネット1A,1Bは、それぞれ独立して、床面Fの揺れによって前後方向に揺れ動く。例えば、図15に示すように、地震の揺れによって床面Fが紙面右側へ移動すると、キャビネット1Aが前傾姿勢になる一方、他方のキャビネット1Bは後傾姿勢になる。
キャビネット1Aがその前下部(もしくは第1板状部材7Aの前縁部)を支点として前向き回動すると、キャビネット1Aが連結された第1板状部材7Aの後部が持ち上がり、キャビネット1Bの下方に延出している第1板状部材7Aの第1張出し部77Aがキャビネット1Bのベース4につっかえ、キャビネット1Aの前向き回動が抑制される。このとき、第1板状部材7Aに設けられた第1連結部33Aがキャビネット1Aの後ろ下部とともに浮き上がるのに対し、第1板状部材7Aの第1張出し部77Aはキャビネット1Bの荷重によって下向きに付勢されるので、第1張出し部77Aが第1連結部33Aに対して下向きに変位するように第1板状部材7Aが変形する。
他方、キャビネット1Bの後向き回動については、キャビネット1Bが連結された第2板状部材7Bの第2張出し部77Bがキャビネット1Bに対して後ろ側に突出しているので、キャビネット1Bの後向き回動が抑制される。図15に示すように、後向き回動するキャビネット1Bに連結された第2板状部材7Bの前縁部が持ち上がり、後傾姿勢のキャビネット1Bの荷重によって第2板状部材7Bの第2張出し部77Bの基端部側が変形する。なお、キャビネット1Bの前下部が浮き上がるとき、キャビネット1Bの後ろ下部と第2板状部材7Bの第2連結部33Bとを連結する連結部材22が変形し、キャビネット1Bの前側のアジャスタボルト23が第2板状部材7Bの前縁部寄りの部位から浮き上がることも有り得る。
前後のキャビネット1A,1Bが地震の揺れによって前後に揺動するとき、本実施形態では、キャビネット1A,1Bが連結具81にて連結されているので、キャビネット1A,1Bの分離を抑制できる。なお、連結具81は、図15に示すように連結体83が変形することでキャビネット1A,1Bを相対的に上下動可能に連結しているので、キャビネット1A,1Bは地震の揺れによってそれぞれ独立して揺動する。
このように、本実施形態の転倒防止装置6に連結された前後のキャビネット1A,1Bは、地震の揺れによって傾斜姿勢になったときに、一方のキャビネット1A又は1Bの前下部(もしくは板状部材7A又は7Bの前縁部)と、他方のキャビネット1B又は1Aの後ろ下部(もしくは板状部材7B又は7Aの張出し部77B,77A)とが床面Fに接地するようになる。したがって、本実施形態の転倒防止装置6は、地震の揺れに際して、キャビネット1A,1Bが傾斜姿勢になったときに床面に対して2箇所で接地して床面Fとの間の摩擦(本実施形態では板状部材7A,7Bと床面Fとの間の摩擦)を大きくすることができ、キャビネット1の移動量を低減できる。
また、板状部材7A,7Bの張出し部77A,77Bの基端部寄り部位が変形(弾性変形もしくは塑性変形又はその両方)することでキャビネット1A,1Bの揺れを吸収できるので、キャビネット1A,1Bの前向き又は後向き回動を抑制し、キャビネット1の転倒を防止できる。
また、本実施形態の転倒防止装置6は、上記第1~第3実施形態と同様に、床や壁に固定しなくてもよいので施工が容易であるとともに、キャビネット1A,1Bの外側にはみ出さない構造にできるので、美感の悪化や人が躓くのを防止できる。
なお、本実施形態において、キャビネット1A,1Bの前下部についても、後ろ下部と同様に、連結部材22及び連結部33A,33Bで板状部材7A又は7Bに連結されるようにしてもよい。この場合、キャビネット1A,1Bを板状部材7A又は7Bに強固に連結でき、キャビネット1A,1Bからの板状部材7A,7Bの離脱を抑制できる。なお、板状部材7A,7Bに連結部材22のボルト挿通孔31に対応するタップ穴を設けて、連結部33の金具を使用せずに連結部材22と板状部材7A又は7Bとをボルトにて連結してもよい。
(6).第5~第6実施形態
図16では他の実施形態を示している。図16(A)に示す第5実施形態では、第1及び第2板状部材7A,7Bは、それぞれ、張出し部77A,77Bの左右方向における片寄りを低減するように離間して設けた2つの張出し部77A,77Bと、他方の板状部材7B,7Aの張出し部77B,77Aが嵌る2つの切欠き部78A,78Bとを備えている。第1及び第2板状部材7A,7Bは、同一平面形状を有している。
図16(B)に示す第6実施形態では、第1及び第2板状部材7A,7Bにおける左右方向での張出し部77A,77Bの片寄りを解消すべく、一方の平板部(例えば第1板状部材7A)の後ろ縁部の左右中央位置に第1張出し部77Aを設け、他方の平板部(例えば第2板状部材7B)の後ろ縁部に互いに離間した2つの第2張出し部77Bを左右対称に設けている。第1板状部材7Aには第2板状部材7Bの2つの第2張出し部77Bに対応して左右2つの第1切欠き部78Aが形成され、第2板状部材7Bには第1板状部材7Aの第1張出し部77Aに対応して後ろ縁部の左右中央位置に第2切欠き部78Bが形成されている。第1及び第2板状部材7A,7Bの平面形状は互いに異なっている。
第1及び第2板状部材7A,7Bにおいて、例えば図12に示した第4実施形態のように張出し部77A,77Bが左右方向で大きく片寄って配置されていると、地震の揺れによってキャビネット1A,1Bが前後方向に傾斜姿勢になるときに板状部材7A,7Bにおける張出し部77A,77Bの左右方向片寄りに起因して、キャビネット1A,1Bに水平旋回(水平回動)する方向に力が働く。これにより、互いに独立して揺動可能なキャビネット1A,1Bは、それぞれねじれ姿勢で揺動して、最悪の場合、キャビネット1A,1Bの下部同士が大きく分離し、転倒防止装置6による転倒防止効果が低減する可能性がある。
そこで、図16に示した第5及び第6実施形態のように、第1及び第2板状部材7A,7Bにおける張出し部77A,77Bの左右方向片寄りを低減する又は解消することで、キャビネット1A,1Bに水平旋回を低減でき、キャビネット1A,1Bの下部同士の分離を抑制できる。
なお、図11~図15に示した第4実施例と、図16に示した第5及び第6実施形態について、図10(A)に示した第2実施形態と同様に、第1及び第2板状部材7A,7Bのそれぞれを左右に分割してもよい。また、第1及び第2板状部材7A,7Bの前後方向長さを短くして、キャビネット1A,1Bの前下部が床面Fに支持されるようにしてもよい。
(7).連結具の他の態様
図17は、キャビネット1A,1Bの上部同士を連結する連結具の他の態様を示す図であり、(A)は取付け状態を示す概略斜視図、(B),(C)は連結金具の斜視図、(D)組み立てた連結具の斜視図、(E),(F)は前後の連結金具が上下にずれた状態を示す斜視図である。図17(A)に示すように、連結具85は、キャビネット1A,1Bを上下方向及び左右方向に相対的に移動可能に連結するものであり、キャビネット1A,1Bの上面後ろ縁部の左右2箇所にそれぞれ取り付けられる。連結具85は、前後一対の同一形状の連結金具86で構成されている。
図17(B),(C)に示すように、連結金具86は、例えば板金製であり、キャビネット1A又は1Bの上面に取り付く取付け面部87と、取付け面部87の一辺の左右一縁部寄りの部位から下垂する略L字形の連結面部88とを備える。図17(D)に示すように、前後の連結金具86は、取付け面部87を上側にして、連結面部88の横向き延出部88aが他方の連結金具86の取付け面部87の下方に位置するように、連結面部88の内側面(取付け面部87側の面)同士を対向させて組み合わせられる。図17(E),(F)に示すように、組み立てられた連結具85は、前後の連結金具86が互いに上下方向(及び左右方向)相対移動可能で、かつ上下方向及び前後方向に抜け不能になっている。
連結具85は、背面合わせに配置されたキャビネット1A,1Bの背面同士の間に連結面部88が配置された状態で、連結金具86の取付け面部87に形成されたねじ挿通孔87aに上方から挿通されるねじ(図示省略)にてキャビネット1A,1Bの上面に固定される。連結具85によって、前後のキャビネット1A,1Bの上部は、上下方向及び左右方向に相対的に移動可能に連結される。
図18は、連結具のさらに他の態様を示す図であり、(A)は取付け状態を示す概略斜視図、(B)は分離した状態で示す側面図である。図18(A)に示すように、連結具90は、キャビネット1A,1Bを相対的に移動可能な範囲を制限しながら連結するものであり、キャビネット1A,1Bの上面後ろ縁部の左右2箇所にそれぞれ取り付けられる。連結具90は、前後一対の同一形状の連結金具91で構成されている。
図18(A),(B)に示すように、連結金具91は、例えば板金製であり、略コ字形の形態を有し、キャビネット1A又は1Bの上面に取り付く下面部91aと、下面部91aの前後一端部から上向きに立ち上がった起立面部91bと、起立面部91bの上端から下面部91aに対向して延出した上面部91cとを備える。
前後の連結金具91は、起立面部91bを背面合わせ状に配置され、前後の起立面部91bに例えばゴム製の環状の規制部材92が遊嵌される。連結金具91は、上面部91cの先端寄り部位及び下面部91aの先端部寄り部位に設けた上下のボルト挿通孔に上方から挿通されるボルト93と、下面部91aの前後中央部位に設けたボルト挿通孔に上方から挿通されるボルト96とが、キャビネット本体2の上面部内面に固着したナット94,97にねじ込まれることで、キャビネット本体2の上面に連結される。連結金具91の下面部91aとキャビネット本体2の上面との間には、例えば樹脂製シート状の緩衝部材98が介在される。なお、下面部91aの先端部は、ボルト93の中途部に螺合するナット95で下向きに付勢されている。
連結具90は、背面合わせに配置されたキャビネット1A,1Bの上面部に固着した前後の連結金具91を環状の規制部材92を介して連結することで、キャビネット1A,1Bの上部同士を相対的に移動可能に連結するとともに、規制部材92によってキャビネット1A,1Bの上部同士の相対移動の範囲を制限している。
(8).第7実施形態(図19~図23)の概要
次に、第7実施形態を説明する。この実施形態も基本態様は第1実施形態と同じである。第1実施形態と同じ要素は同じ符号を付して、特に必要がない限り説明は省略する。
図19及び図20に示すように、第7実施形態の転倒防止装置6の板状部材7は左右に分離されている。左右の板状部材7は、平面視で略長方形の形態を有し、背面合わせ状に前後に配置された2つのキャビネット1のベース4の下方で左右に振り分けて配置される。具体的には、左右の板状部材7は、キャビネット1の左右縁部寄り位置の下方に前後方向に延びて配置される。
図20に示すように、左右の板状部材7は、平面視でキャビネット1の外側(ベース4の外側)にはみ出さないように配置されている。板状部材7の前後両端部のうち、一方の端部は一方のベース4の前下部近傍に配置され、他方の端部は他方のベース4の前下部近傍に配置される。
図19~図23に示すように、本実施形態では、ベース4の補助フレーム21の前端部にも連結部材22がアジャスタボルト23で連結されている。すなわち、ベース4において、補助フレーム21の前後両端部にナット筒32を介して連結部材22が連結されている。
左右の板状部材7には、連結部材22の左右のボルト挿通孔31に対応する位置にタップ穴41が形成された連結部33が設けられている。本実施形態では、左右の板状部材7のそれぞれにおいて、タップ穴41は、前後のキャビネット1の前側の連結部材22に対応する前後端部寄りの位置と、キャビネット1の後側の連結部材22に対応する中央部寄りの位置に、左右一対ずつ形成されている。すなわち、左右の板状部材7のそれぞれにおいて、左右一対のタップ穴41を有する連結部33が前後方向に並んで4箇所ずつ設けられている。
図21~図23に示すように、キャビネット1は、上方から連結部材22のボルト挿通孔31を挿通してタップ穴41にねじ込まれるボルト42,43で板状部材7に連結されている。キャビネット1の前側の連結部材22は、板状部材7の前後端部寄りの位置のタップ穴41にねじ込まれるボルト42で板状部材7の前後端部寄り部位に連結されている。
他方、キャビネット1の後側の連結部材22は、板状部材7の中央部寄りの位置のタップ穴41にねじ込まれるボルト43で、板状部材7の前後端部寄り部位に連結される。ボルト43は、ボルト42よりも長軸のものであり、頭部の径が連結部材22のボルト挿通孔31の穴径よりも大きく、かつ、軸径がボルト挿通孔31よりも小さい。そして、タップ穴41にねじ込まれたボルト43の頭部は、連結部材22のフラップ部(ボルト挿通孔31が形成される面部)とは間隔をあけて配置される。これにより、キャビネット1の後側の連結部材22は、板状部材7にボルト43を介して上下動可能かつ抜け不能に連結される。ボルト43は、キャビネット1を連結部33に対して上下動可能に保持する上下動許容部45を構成している。
後側の連結部材22のフラップ部とボルト43の頭部との間に、弾性部材44が配置されている。弾性部材44は、少なくともキャビネット1が前傾姿勢になる際にキャビネット1の後側の連結部材22を下向きに付勢可能なものであり、例えば、ボルト43の軸部が挿通された圧縮コイルばねで構成される。ここで、弾性部材44は、キャビネット1が傾斜していない状態で、圧縮状態で配置されてもよいし、非圧縮状態(自然長の状態)で配置されてもよい。なお、弾性部材44は、少なくともキャビネット1が傾斜姿勢になる際にキャビネット1(連結部材22)を下向きに付勢可能なものであれば材質や形状は問わず、例えばゴムワッシャなどであってもよい。また、弾性部材44の配置構成は、ボルト43の軸部が挿通された構成に限らず、例えばボルト43から離れた箇所に配置されるなど、少なくともキャビネット1が傾斜姿勢になる際にキャビネット1を下向きに付勢可能な構成であればよい。
本実施形態では、揺動許容部は、キャビネット1を連結部33に対して上下動可能に保持する上下動許容部45により、キャビネット1の揺動を許容している。上述のように、上下動許容部45は、キャビネット1の後ろ下部を支持する連結部33に設けたボルト43で構成される。前後のキャビネット1は、それぞれ、前下部がボルト42で板状部材7に連結され、後ろ下部がボルト43によって板状部材7に上下動可能に連結される。また、前後一対のキャビネット1の下方にまたがって配置される左右の板状部材7のそれぞれは、一方のキャビネット1の荷重で他方のキャビネット1の揺動を抑制する揺動抑制部を構成している。
すなわち、本実施形態の転倒防止装置6の連結部33及び揺動抑制部は、一対のキャビネット1の下方にまたがって配置される板状部材7に形成されている。そして、連結部33は、キャビネット1の下方に位置する板状部材7の部位に前後一対のキャビネット1ごとに設けられている。また、揺動抑制部は、前後一対のキャビネット1の下方にまたがる板状部材7の部位(本実施形態では板状部材7の全体)で構成されている。また、少なくともキャビネット1が前向き回動する際に連結部材22を下向きに付勢する弾性部材44も揺動抑制部を構成している。そして、揺動許容部を構成する上下動許容部45は、キャビネット1を連結部33に対して上下動可能に保持している。なお、この第7実施形態の板状部材7は、上記の第1~第6実施形態の板状部材7に比べて変形(弾性変形及び塑性変形)しにくい板厚(厚み)で構成されている。ただし、第7実施形態における板状部材7の厚みは、特に限定されず、第1~第6実施形態の板状部材7の厚みと同じであってもよいし、それよりも薄くてもよい。
図23では、地震に際しての前後のキャビネット1の揺れ動きを表示している。転倒防止装置6の板状部材7に連結された前後のキャビネット1は、それぞれ独立して、床面Fの揺れによって前後方向に揺れ動く。例えば、図23に示すように、地震の揺れによって床面Fが紙面右側へ移動すると、一方のキャビネット1(図23では左側のキャビネット)が前傾姿勢になる一方、他方のキャビネット1(図23では右側のキャビネット)は後側へほとんど傾斜しない(少し後傾姿勢になる)。
キャビネット1は、その前下部を支点として前向き回動するとき、弾性部材44が圧縮変形することで上下動可能な後側の連結部材22が板状部材7から浮き上がることで、前傾姿勢になり得る。ここで、後側の連結部材22の上向き可動範囲は、ボルト43及び弾性部材44で規制されるので、キャビネット1の前向き転倒が防止される。
一方のキャビネット1が前向き回動するとき、他方のキャビネット1は、板状部材7を下向きに付勢する状態にある。すなわち、本実施形態の転倒防止装置6に連結された前後のキャビネット1は、地震の揺れによって一方が傾斜姿勢になったときにこれらのキャビネット1の接地箇所が2箇所(一方のキャビネット1の前下部と他方のキャビネット1の下部)になる。したがって、転倒防止装置6は、地震の揺れに際して、キャビネット1と床面Fとの間の摩擦(板状部材7と床面Fとの間の摩擦)を大きくすることができ、キャビネット1の移動量を低減できる。
さらに、キャビネット1が前傾姿勢になるとき、後側の連結部材22とボルト43の頭部との間の弾性部材44が圧縮変形することで、キャビネット1の揺れを吸収できる。また、前傾姿勢になったキャビネット1の前向き回動は、他方のキャビネット1の荷重で板状部材7が下向きに押さえつけられることで、制限される。さらに、一方のキャビネット1の下方に位置する板状部材7の部分は、他方のキャビネット1に対して後ろ側に突出していることから、キャビネット1の後向き回動を抑制する。このように、転倒防止装置6は、キャビネット1の揺動を吸収及び抑制できるので、キャビネット1の転倒を防止できる。
また、本実施形態の転倒防止装置6は、床や壁に固定しなくてもよいので施工が容易である。また、板状部材7が前後一対のキャビネット1の外側にはみ出さない構造にできるので、美感の悪化や人が躓くのを防止できる。
なお、本実施形態の転倒防止装置6では、キャビネット1の前下部(前側の連結部材22)はボルト42にて板状部材7に連結されているが、キャビネット1の前下部についても、後ろ下部と同様に、連結部材22がボルト43にて板状部材7に上下動可能に連結されるようにしてもよい。この場合、キャビネット1の前下部が浮き上がる際にキャビネット1の前下部を下向きに付勢する弾性部材44をさらに備えてもよい。また、キャビネット1の前下部は、上記第1~第6実施形態と同様に、アジャスタボルト23で支持されて板状部材7に連結されないようにしてもよい。これらの場合、地震の揺れによって前側の連結部材22が板状部材7から浮き上がることでキャビネット1の後向き回動がある程度許容され、後傾姿勢になったキャビネット1の後ろ下部が板状部材7を下向きに押さえ付ける。したがって、地震の揺れで揺動する前後2つのキャビネット1の接地箇所が2箇所(前傾姿勢のキャビネット1の前下部と、後傾姿勢のキャビネット1の後ろ下部)になるので、これらのキャビネット1の移動量をより低減できる。
また、板状部材7とキャビネット1との連結に関し、上記第1~第3の実施形態と同様に、板状部材7に固着した連結部33(金具)を使用してもよい。また、左右の板状部材7は連結されて1枚の金属板で構成されていてもよい。
(9). その他
以上、本願発明の実施形態を図面と共に説明してきたが、本願発明は、他にも様々に具体化できる。例えば、対象になる什器はキャビネットには限らないのであり、技術分野の欄で触れたとおり、電気・電子機器、自販機、冷蔵庫、商品陳列棚なども対象になる。
また、什器の接地部は、必ずしもアジャスタボルトである必要はない。高さ調節機能を持たない下向き突起であってもよい。或いは、ベースの下面を水平部に広い面積で重ねる(ベタ重ねする)といったことも可能である。
また、上記第1~第7の実施形態の構成を組み合わせることも可能である。例えば図24に示す第8実施形態のように、第1実施形態においてキャビネット1(連結部材22)と連結部33(金具)とを連結するボルト25(図4、図5及び図8参照)に替えて、上記第7実施形態と同様に、ボルト43を使用してもよい。すなわち、第8実施形態は、前後のキャビネット1の独立した揺動を許容する揺動許容部に関し、板状部材7の連結部33の周囲部位で構成される揺動許容部39に加えて、連結部33に設けたボルト43で構成される上下動許容部45をも備えている。また、第8実施形態は、弾性部材44で構成される揺動抑制部も備えている。
第8実施形態の転倒防止装置6は、キャビネット1が前傾姿勢になるときに、弾性部材44の圧縮変形と、揺動許容部39の上向き変位(板状部材7の変形)とによって、キャビネット1の揺れをより効果的に吸収できる。また、キャビネット1が後傾姿勢になるとき、弾性部材44の圧縮変形によってキャビネット1の揺れを吸収できる。また、第8実施形態は、キャビネット1が前後いずれの方向に揺動する場合でも、弾性部材44が圧縮変形することで、連結部材22が連結部33にボルト25で固着される構成(図4等参照)に比べて、連結部材22の変形を低減でき、耐久性が向上する。
なお、ボルト43で構成される上下動許容部45は、上記の第2~第6実施形態のいずれにも適用可能である。さらに、弾性部材44で構成される揺動抑制部も、上記の第2~第6実施形態のいずれにも適用可能である。例えば図25に示す第9実施形態のように、板状部材が第1板状部材7Aと第2板状部材7Bとに分割されている第4実施形態(図11~図15参照)において、上下動許容部45を構成するボルト43でキャビネット1(連結部材22)と連結部33(金具)とを連結してもよいし、さらに弾性部材44で構成される揺動抑制部を設けてもよい。
また、図26及び図27に示す第10実施形態のように、前後のキャビネット1の前下部の下方に位置する板状部材7の前後両側の端部12は、先端側ほど床面Fから離れるように上向きに傾斜しているようにしてもよい。ここで、前後の端部12は、前後のキャビネット1が並ぶ方向(前後方向)における板状部材7の両端部であり、左右方向に延びている。
本実施形態によれば、地震の揺れ等によってキャビネット及び転倒防止装置6が動くときに板状部材7の前後の端部12が床面Fに引っ掛かるのを防止してキャビネット1の揺動(傾斜)を抑制できるとともに、キャビネット1の転倒をより確実に防止できる。この実施形態は、床面Fが例えばカーペットなどの柔軟性があって摩擦が大きい素材で形成されている場合に特に有効である。
また、板状部材7の左右両側の端部についても、端部12と同様に、先端側ほど床面Fから離れるように上向きに傾斜しているように構成してもよい。これにより、キャビネット1及び転倒防止装置6が左右方向に動くときに、板状部材7の左右の端部の床面Fへのひっかかりを防止でき、キャビネット1の左右方向への傾斜を抑制して、キャビネット1の転倒をより確実に防止できる。なお、板状部材7の前後の端部12及び左右の端部の少なくともいずれが、先端側ほど床面Fから離れるように上向きに傾斜している構成は、上記の第1~第9実施形態のいずれにも適用可能である。
本願発明は、什器用転倒防止装置に具体化できる。したがって、産業上利用できる。
1,1A,1B キャビネット
4 ベース
6 転倒防止装置
7 板状部材
7A 第1板状部材
7B 第2板状部材
22 連結部材
33 連結部
33A 第1連結部
33B 第2連結部
39 揺動許容部
39A 第1揺動許容部
39B 第2揺動許容部
43 ボルト
44 弾性部材
45 上下動許容部
71 第1スリット
72 第2スリット
73 揺動抑制部
77A 第1張出し部(揺動抑制部)
77B 第2張出し部(揺動抑制部)
81,90 連結具
F 床面

Claims (8)

  1. 床と什器の間に設置され、前記什器の転倒を防止する装置であって、
    隣り合って配置される一対の什器が載置連結される連結部と、
    揺れに際して、前記各什器が並び方向に沿って互いに独立して揺動することを許容する揺動許容部と、
    一方の什器の荷重で他方の什器の揺動を抑制する揺動抑制部と、
    を備える、什器用転倒防止装置。
  2. 前記連結部、前記揺動抑制部及び前記揺動許容部は、前記一対の什器の下方にまたがって配置される板状部材に形成されており、
    前記連結部は、前記什器の下方に位置する前記板状部材の部位に前記一対の什器ごとに設けられ、
    前記揺動抑制部は、前記一対の什器の下方にまたがる前記板状部材の部位で構成され、
    前記板状部材は、前記揺動抑制部と前記連結部とを分離するための第1スリットと、一方の什器が連結される前記連結部と他方の什器が連結される前記連結部とを分離するための第2スリットとを備え、
    前記揺動許容部は、前記板状部材における前記連結部の周囲部位で構成される、
    請求項1に記載の什器用転倒防止装置。
  3. 前記一対の什器のうち第1什器が載る第1板状部材と、第2什器が載る第2板状部材とを備え、
    前記連結部は、前記第1什器と前記第1板状部材とを連結する第1連結部と、前記第2什器と前記第2板状部材とを連結する第2連結部とを備え、
    前記揺動抑制部は、前記第2什器の下方に張り出した前記第1板状部材の第1張出し部と、前記第1什器の下方に張り出した前記第2板状部材の第2張出し部とで構成され、
    前記揺動許容部は、前記第1板状部材における前記第1連結部の周囲部位で構成される第1揺動許容部と、前記第2板状部材における前記第2連結部の周囲部位で構成される第2揺動許容部とで構成される、
    請求項1に記載の什器用転倒防止装置。
  4. 前記揺動許容部は、前記第1什器と前記第2什器とを相対的に上下動可能に連結する連結具を備えている、請求項3に記載の什器用転倒防止装置。
  5. 前記連結部及び前記揺動抑制部は、前記一対の什器の下方にまたがって配置される板状部材に形成されており、
    前記連結部は、前記什器の下方に位置する前記板状部材の部位に前記一対の什器ごとに設けられ、
    前記揺動抑制部は、前記一対の什器の下方にまたがる前記板状部材の部位で構成され、
    前記揺動許容部は、前記什器を前記連結部に対して上下動可能に保持する上下動許容部により、前記什器の揺動を許容している、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の什器用転倒防止装置。
  6. 少なくとも前記什器が傾斜姿勢状態のときに、前記什器を下向きに付勢する弾性部材を備えている、
    請求項5に記載の什器用転倒防止装置。
  7. 什器本体が載るベースと、前記ベースが載る什器用転倒防止装置とを備えており、
    前記什器用転倒防止装置は、隣り合って配置される一対の什器が載置連結される連結部と、揺れに際して、前記各什器が並び方向に沿って互いに独立して揺動することを許容する揺動許容部と、一方の什器の荷重で他方の什器の揺動を抑制する揺動抑制部と、を備えている、
    什器用ベースユニット。
  8. 請求項1~6のいずれか一項に記載の什器用転倒防止装置、又は請求項7に記載の什器用ベースユニットを備えている、什器。
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