JP7489297B2 - 光学結像装置の製造方法及び光反射素子形成体 - Google Patents
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Description
また、特許文献2に記載の光学結像装置は、平行な土手によって形成される断面四角形の溝が一面に形成された透明な凹凸板材の各溝の対向する平行な側面に光反射部を形成して光制御パネルを製造し、2枚の光制御パネルの光反射部同士を平面視して直交又は交差させた状態で向い合わせて構成したものである。
特許文献2に記載の光学結像装置においては、光制御パネルの基材となる凹凸板材をインジェクション成形によって製造する場合、型枠の寸法精度によっては、光反射部が形成される溝の側面の垂直度が悪くなり(側面が傾き)、平行な光反射部を形成することが困難となって、製品のバラツキが多くなり、品質の低下を招き易いという課題があった。特に、大面積の凹凸板材を製造しようとすると、寸法精度の低下が顕著になるため、光学結像装置(光制御パネル)の大型化にも限界があった。また、インジェクション成形時に、凹凸板材の土手の高さを高くする(即ち、溝の深さを深くする)と、脱型が困難となるため、溝のアスペクト比を大きくすることが難しく、明るい結像が得られ難いという課題もあった。
該積層体を蒸着炉に入れて金属蒸着を行い、又は該積層体にメッキ処理を行い、少なくとも前記透明板材の積層方向に隣り合う前記突出部の対向面に光反射層を形成する第2工程と、
前記透明板材の積層方向に隣り合う前記突出部の隙間に、前記透明板材の屈折率の0.9~1.1倍の屈折率を有する透明樹脂を充填し、複数の前記突出部を前記透明樹脂で一体化して光反射素子形成部を形成する第3工程と、
該光反射素子形成部を前記透明板材の表面と直交し、該透明板材の長手方向に沿う切断面で所定長さに切断し、該切断面を平面化処理して、該切断面に垂直な複数の前記光反射層が平行に配置された光反射素子を製造する第4工程と、
2枚の前記光反射素子を、該各光反射素子の前記光反射層同士が平面視して直交するように配置する第5工程とを有する。
該積層体を蒸着炉に入れて金属蒸着を行い、又は該積層体にメッキ処理を行い、少なくとも前記透明板材と前記間隔調整板の積層方向に隣り合う前記突出部の対向面に光反射層を形成する第2工程と、
前記透明板材と前記間隔調整板の積層方向に隣り合う前記突出部の隙間に、前記透明板材の屈折率の0.9~1.1倍の屈折率を有する透明樹脂を充填し、複数の前記突出部を前記透明樹脂で一体化して光反射素子形成部を形成する第3工程と、
該光反射素子形成部を前記透明板材の表面と直交し、該透明板材の長手方向に沿う切断面で所定長さに切断し、該切断面を平面化処理して、該切断面に垂直な複数の前記光反射層が平行に配置された光反射素子を製造する第4工程と、
2枚の前記光反射素子を、該各光反射素子の前記光反射層同士が平面視して直交するように配置する第5工程とを有する。
少なくとも前記透明板材の積層方向に隣り合う前記突出部の対向面に形成された光反射層と、
前記透明板材の積層方向に隣り合う前記突出部の隙間に前記透明板材の屈折率の0.9~1.1倍の屈折率を有する透明樹脂がそれぞれ充填されて固化した樹脂充填部とを備え、
複数の前記突出部と複数の前記樹脂充填部が一体化されて光反射素子形成部が形成されている。
少なくとも前記透明板材と前記間隔調整板の積層方向に隣り合う前記突出部の対向面に形成された光反射層と、
前記透明板材と前記間隔調整板の積層方向に隣り合う前記突出部の隙間に前記透明板材の屈折率の0.9~1.1倍の屈折率を有する透明樹脂がそれぞれ充填されて固化した樹脂充填部とを備え、
複数の前記突出部と複数の前記樹脂充填部が一体化されて光反射素子形成部が形成されている。
まず、本発明の第1の実施の形態に係る光学結像装置の製造方法により製造される図1(A)、(B)の光学結像装置10について説明する。
光学結像装置10は、平面視して正方形(長方形でもよい)の第1、第2の光反射素子11、12が、それぞれの光反射層13同士が平面視して直交するように配置された(例えば、85~95度、好ましくは88~92度の範囲で交差配置された状態を含む)ものである。第1、第2の光反射素子11、12の一辺(各辺)の長さは、例えば、500~3000mm(より好ましくは、700~2500mm、更に好ましくは1000~2000mm)程度が実用的であるが、これに限定されるものではない。ここで、第1、第2の光反射素子11、12は、基本構造が同一であるため、第1、第2の光反射素子11、12に共通の構成要素には同一の符号を付して、以下では、第1の光反射素子11の構造を中心に説明し、第2の光反射素子12の構造については、説明を一部省略する。なお、図1(A)、(B)においては、下側に配置された第1の光反射素子11の下面を入光面11aとし、上側に配置された第2の光反射素子12の上面を出光面12aとしているが、入光面と出光面は入れ替わってもよい。
また、第1の光反射素子11と第2の光反射素子12は、透明接着剤(例えば、紫外線等の光を照射することにより硬化する光硬化型の他、熱硬化型、ホットメルト型(熱可塑性)、二液混合型又は常温硬化型等の接着剤)で接合されて一体化されているが、図1(A)、(B)では、接着層を省略している。接着層の厚さは、5mm以下が好ましいが、これに限定されるものではない。なお、第1の光反射素子11と第2の光反射素子12は、隙間なく重ね合わされた(密着した)状態で外周が保持(固定)されていてもよい。
透明板部14(後述する透明板材20)の屈折率η1と、透明樹脂部16(後述する樹脂充填部27)及び上記の透明接着剤の屈折率η2は、同一であるか、近似していることが好ましい。具体的には、例えば、η2=(0.9~1.1)×η1の範囲、好ましくはη2=(0.95~1.05)×η1の範囲、更に好ましくはη2=(0.98~1.02)×η1の範囲を満たすものが好適に用いられる。
なお、図1(A)、(B)では、第1の光反射素子11及び第2の光反射素子12の各光反射層13の左側から光L1、L2が入射しているので、各光反射層13の左側の面が光反射面17として機能しているが、光反射層13は、透明板部14の対向面15に鏡面処理(例えば、金属蒸着(スパッタリング及びイオンプレーティング等を含む広い概念)又はメッキ処理)を行うことにより形成された金属膜(金属皮膜)であるため、各光反射層13の右側から入射する光に対しては、各光反射層13の右側の面を光反射面として機能させることができる。金属膜を形成する金属としては、例えば、Al(アルミニウム)、Ag(銀)、Ni(ニッケル)、Ti(チタン)、Cr(クロム)等の高反射率を有する金属が用いられる。
図2(A)、(B)、図3(A)、(B)に示す本発明の第1の実施の形態に係る光学結像装置の製造方法は、先に説明した、歪が少なく、鮮明な結像が得られる光学結像装置10を簡素な製造工程で、比較的安価に量産することができ、光学結像装置10の大型化及び高品質化を実現するものである。
図2(A)、(B)に示すように、平面視して長方形状に形成された複数のガラス製の透明板材20を各透明板材20の短手方向の一側及び他側に交互にずらして積層し、固着して、隣り合う透明板材20が重なり合った積層部20aと、積層された各透明板材20の短手方向の一側及び他側を積層部20aの外側に交互に突出させた複数の突出部21とを有する積層体22を形成する。ここで、各透明板材20の厚みtが、前述の光学結像装置10の各透明板部14の厚みt1(図1(A)、(B)参照)に相当し、積層体22全体(積層部20a)の高さから透明板材20の1枚分の厚みtを引いた寸法H(透明板材20の積層枚数をnとするとH=(n-1)t)及び透明板材20の長手方向の長さLが、前述の第1、第2の光反射素子11、12の一辺(各辺)の長さに相当するので、これらの関係から、透明板材20の積層枚数を適宜、決定することができる。なお、第1、第2の光反射素子11、12が平面視して正方形に形成される場合は、積層体22の積層方向の寸法Hと透明板材20の長手方向の長さLは等しい。
次に、透明板材20の積層方向に隣り合う突出部21の隙間26に、透明板材20の屈折率の0.9~1.1倍の屈折率を有する透明樹脂をそれぞれ充填して硬化(固化)させることにより樹脂充填部27が形成される。これにより、複数の突出部21と複数の樹脂充填部27が一体化して光反射素子形成部28が形成され、光反射素子形成体30が得られる。従って、光反射素子形成体30は、平面視して長方形状に形成された複数の透明板材20が、各透明板材20の短手方向の一側及び他側に交互にずらされて積層され、固着されて、隣り合う透明板材20が重なり合った積層部20aと、積層された各透明板材20の短手方向の一側及び他側が積層部20aの外側に交互に突出した複数の突出部21とが形成された積層体22と、少なくとも透明板材20の積層方向に隣り合う突出部21の対向面15に形成された光反射層13と、透明板材20の積層方向に隣り合う突出部21の隙間26に透明板材20の屈折率η1の0.9~1.1倍の屈折率η2を有する透明樹脂がそれぞれ充填されて固化した樹脂充填部27とを備え、複数の突出部21と複数の樹脂充填部27が一体化されて光反射素子形成部28が形成されたものとなる。
ここで、隙間26への透明樹脂の充填は、例えば、透明板材20の長尺方向の両端面で積層体22を覆うように、ガラス又は樹脂等で形成された板材(カバー材)を配置し、透明樹脂が充填される隙間26を上向き(透明板材20を縦向き)にして、脱気状態で行うことにより、隙間26に確実に透明樹脂を充填することができる。なお、板材は、透明樹脂が硬化して樹脂充填部27が形成された後、除去することができる(以上、第3工程)。
なお、光学結像装置10の入光面11a及び出光面12a(図1参照)をガラス又は樹脂で形成された板状の透明カバーで覆うことにより、第1、第2の光反射素子11、12を保護してもよい。このとき、透明カバー及び透明カバーを第1、第2の光反射素子11、12に接合するための透明接着剤の屈折率は、それぞれ透明板部14(透明板材20)の屈折率η1と同一であるか、近似している(例えば、η1の0.9~1.1倍、好ましくは0.95~1.05倍、更に好ましくは0.98~1.02倍)ものが好適に用いられる(以上、第5工程)。
図5(A)、(B)に示す第2の実施の形態に係る光学結像装置の製造方法が、第1の実施の形態と異なる点は、第1工程において、平面視して長方形状に形成された透明板材20と、平面視して長方形状に形成され短手方向の長さが透明板材20の短手方向の長さよりも短く、透明板材20と同等の厚さを有する間隔調整板33をそれぞれ複数用意し、透明板材20と間隔調整板33を交互に積層し、固着して、隣り合う透明板材20と間隔調整板33が重なり合った積層部34と、積層された各透明板材20の短手方向の一側を積層部34の外側に突出させた複数の突出部21とを有する積層体を形成している点である。これにより、第3工程で得られる光反射素子形成体35は、平面視して長方形状に形成された透明板材20と、平面視して長方形状に形成され短手方向の長さが透明板材20の短手方向の長さよりも短く、透明板材20と同等の厚さを有する間隔調整板33が交互に積層され、固着されて、隣り合う透明板材20と間隔調整板33が重なり合った積層部34と、積層された各透明板材20の短手方向の一側が積層部34の外側に突出した複数の突出部21とが形成された積層体と、少なくとも透明板材20と間隔調整板33の積層方向に隣り合う突出部21の対向面15に形成された光反射層13と、透明板材20と間隔調整板33の積層方向に隣り合う突出部21の隙間26に透明板材20の屈折率η1の0.9~1.1倍の屈折率η2を有する透明樹脂がそれぞれ充填されて固化した樹脂充填部27とを備え、複数の突出部21と複数の樹脂充填部27が一体化されて光反射素子形成部28が形成されたものとなる。
なお、第1工程において、透明板材20と間隔調整板33は、第1の実施の形態と同様に接着層を介して接合されることが好ましいが、接着層は、少なくとも第3工程において、複数の突出部21と複数の樹脂充填部27が一体化されて光反射素子形成部28が形成されるまで、透明板材20と間隔調整板33との接合状態を維持できるものであればよく、第4工程で、光反射素子形成部28から光反射素子を切出した後は、透明板材20と間隔調整板33が剥離してもよい。例えば、UV照射により粘着力が低下するUV剥離テープ又は加熱により発泡して粘着力が低下する熱発泡粘着フィルム等を用いて接着層を形成すれば、透明板材20と間隔調整板33を容易に剥離することができ、間隔調整板33を繰り返し使用することができる。
上記実施の形態においては、第1、第2の光反射素子を構成する透明板部(透明板材)をガラスで形成した場合について説明したが、透明板部(透明板材)として、第3工程で充填される透明樹脂より融点が高く、硬質の材料で形成された透明の樹脂板を用いてもよい。また、上記実施の形態においては、1つの光反射素子形成部を3箇所同時に切断して、1つの光反射素子形成部から2枚の光反射素子を製造する場合について説明したが、光反射層及び透明樹脂部(樹脂充填部)を良好に形成できる範囲で突出部を長尺化し、1つの光反射素子形成部を4箇所以上同時に切断して、1つの光反射素子形成部から3枚以上の光反射素子を製造することもできる。
さらに、上記実施の形態においては、金属蒸着により光反射層を形成する場合について説明したが、メッキ処理により光反射層を形成することもできる。例えば、積層体をメッキ液にどぶ漬けしてメッキ処理することにより、本来、光反射層が形成される突出部の対向面以外に金属膜(金属皮膜)が形成されても、光学結像装置の結像に影響を与えることはなく、量産性に優れる。
Claims (4)
- 平面視して長方形状に形成された透明板材と、平面視して長方形状に形成され短手方向の長さが前記透明板材の短手方向の長さよりも短く、前記透明板材と同一の厚さを有する不透明な間隔調整板をそれぞれ複数用意し、前記透明板材と前記間隔調整板を交互に積層し、固着して、隣り合う前記透明板材と前記間隔調整板が重なり合った積層部と、積層された前記各透明板材の短手方向の一側を前記積層部の外側に突出させた複数の突出部とを有する積層体を形成する第1工程と、
該積層体を蒸着炉に入れて金属蒸着を行い、又は該積層体にメッキ処理を行い、少なくとも前記透明板材と前記間隔調整板の積層方向に隣り合う前記突出部の対向面に光反射層を形成する第2工程と、
前記透明板材と前記間隔調整板の積層方向に隣り合う前記突出部の隙間に、前記透明板材の屈折率の0.9~1.1倍の屈折率を有する透明樹脂を充填し、複数の前記突出部を前記透明樹脂で一体化して光反射素子形成部を形成する第3工程と、
該光反射素子形成部を前記透明板材の表面と直交し、該透明板材の長手方向に沿う切断面で所定長さに切断し、該切断面を平面化処理して、該切断面に垂直な複数の前記光反射層が平行に配置された光反射素子を製造する第4工程と、
2枚の前記光反射素子を、該各光反射素子の前記光反射層同士が平面視して直交するように配置する第5工程とを有することを特徴とする光学結像装置の製造方法。 - 平面視して長方形状に形成された透明板材と、平面視して長方形状に形成され短手方向の長さが前記透明板材の短手方向の長さよりも短く、前記透明板材と同一の厚さを有する透明又は不透明な間隔調整板をそれぞれ複数用意し、前記透明板材と前記間隔調整板を交互に積層し、固着して、隣り合う前記透明板材と前記間隔調整板が重なり合った積層部と、積層された前記各透明板材の短手方向の一側及び他側を前記積層部の外側に突出させた複数の突出部とを有する積層体を形成する第1工程と、
該積層体を蒸着炉に入れて金属蒸着を行い、又は該積層体にメッキ処理を行い、少なくとも前記透明板材と前記間隔調整板の積層方向に隣り合う前記突出部の対向面に光反射層を形成する第2工程と、
前記透明板材と前記間隔調整板の積層方向に隣り合う前記突出部の隙間に、前記透明板材の屈折率の0.9~1.1倍の屈折率を有する透明樹脂を充填し、複数の前記突出部を前記透明樹脂で一体化して光反射素子形成部を形成する第3工程と、
該光反射素子形成部を前記透明板材の表面と直交し、該透明板材の長手方向に沿う切断面で所定長さに切断し、該切断面を平面化処理して、該切断面に垂直な複数の前記光反射層が平行に配置された光反射素子を製造する第4工程と、
2枚の前記光反射素子を、該各光反射素子の前記光反射層同士が平面視して直交するように配置する第5工程とを有することを特徴とする光学結像装置の製造方法。 - 請求項1又は2記載の光学結像装置の製造方法において、前記第4工程では、1つの前記光反射素子形成部から少なくとも2枚の前記光反射素子を製造することを特徴とする光学結像装置の製造方法。
- 請求項3記載の光学結像装置の製造方法において、前記各光反射素子は、マルチブレードソー、マルチワイヤソー又はマルチバンドソーを用いて、1つの前記光反射素子形成部を少なくとも3箇所同時に切断することにより得られることを特徴とする光学結像装置の製造方法。
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