JP7486371B2 - 複合材 - Google Patents
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即ち、特許文献1に開示された複合材としての木-鋼ハイブリッド構造材は、木質部材の脆性的破壊を防止する目的のために接合部に釘の代わりとなる針状突起を用いた構成であり、針状突起に力が加われば当該針状突起が変形してしまって大きな力を伝達できないため、鋼製部材に伝達される力が当該針状突起を介して木質部材に有効に伝達されず、鋼製部材(凹凸面部材)に伝達される力を木質部材(木製部材(被接合部材))に有効に負担させることができない。
また、特許文献1に開示された複合材としての木-鋼ハイブリッド構造材によれば、木質部材の内部に針状突起が食い込んで、木質部材の内部において針状突起と接触する面には応力が繰り返して伝わるため、木質部材の内部において針状突起による局所的なめり込みが進行しやすくなることから、鋼製部材に伝達される力が当該針状突起を介して木質部材に有効に伝達されず、鋼製部材(凹凸面部材)に伝達される力を木質部材(被接合部材)に有効に負担させることができない。
このように、特許文献1に開示された複合材では、鋼製部材の表面(板面)に形成された先端鋭利な鋼の小片からなる針状突起を介して鋼製部材と木質部材とが接合された構成であるため、鋼製部材に力が加わった場合、針状突起が変形しやすくかつ針状突起により木質部材の内部に局所的な繰り返し応力が加わる。
即ち、特許文献1に開示された複合材の接合に用いられる針状突起付き鋼製部材(プレート)は、本来、木質部材にドリフトピンを打ち込む際の木質部材の割裂を防止するための部材であり、板厚も薄く、開口も多いため、より大きな力を伝達するには適さない。
つまり、特許文献1に開示された針状突起付き鋼製部材は、薄板の多数の箇所を切り起こして薄板の表面に多数の針状突起が設けられた構成であるため、開口が多い薄板となり、また、針状突起は、先端鋭利な鋼の小片で構成される。このため、鋼製部材に力が加わった場合、板全体、あるいは、針状突起が変形したり、当該針状突起が木質部材の内部に局所的なめり込みを進行させやすいために、木質部材が損傷しやすくなり、鋼製部材に加わった力が針状突起を介して木質部材に有効に伝達されない。
以上のように、特許文献1に開示された複合材のような鋼製部材と木質部材との接合構造では、凹凸面部材としての鋼製部材に伝達される力を被接合部材としての木質部材に有効に負担させることができないという課題があった。
本発明は、凹凸面部材に伝達される力を当該凹凸面部材の凹凸面に接合される被接合部材に有効に負担させることができる複合材を提供するものである。
また、凹凸面部材が金属であり、被接合部材が木材であることを特徴とする。
本発明に係る複合材によれば、凹凸面部材に伝達される力を当該凹凸面部材の凹凸面に接合された被接合部材に有効に負担させることができる複合材を提供できる。
図1乃至図3に示すように、実施形態1に係る複合材1は、凹凸面部材2と、当該凹凸面部材2の凹凸面3に接合された被接合部材4とを備えた構成である。
被接合部材4は、例えば、CLT(Cross
Laminated Timber(直交集成板))又は集成材又はLVL(Laminated Veneer
Lumber(単層積層材))又は無垢材等の木により形成される。
尚、CLTとは、農林水産省告示第3079号に規定されたように、「ひき板又は小角材(これらをその繊維方向を互いにほぼ平行にして長さ方向に接合接着して調整したものを含む。)をその繊維方向を互いにほぼ平行にして幅方向に並べ又は接着したものを、主としてその繊維方向を互いにほぼ直角にして積層接着し3層以上の構造を持たせた一般材」である。
即ち、一般的に、CLTは、張り合わせる板の繊維方向が直交するように複数の板を張り合わせて構成された木材であり、直交集成板と呼ばれている。
また、一般的に、集成材は、張り合わせる板の繊維方向が並行方向となるように複数の板を張り合わせて構成された木材である。
また、一般的に、LVLは、複数の単板(ベニヤ)を、単板の繊維方向に平行に積層して接着した木材である。
具体的には、図1に示すように、凸部形成部材6は、複数の鉄筋等の金属棒材を縦横に直交させて格子状に形成された金属格子、又は、複数の針金等の金属線を縦横に直交させて格子状に形成された金属格子により構成される。
あるいは、凹凸面部材2の凹凸面3と被接合部材4の接合面41とをプレス機械等を用いて圧着させ、かつ、当該基材5と当該被接合部材4とを図外のボルトやビス等の機械的接合手段を用いて接合することにより、複合材1が製造される。
あるいは、凹凸面部材2の凹凸面3及び被接合部材4の接合面41のうちの少なくとも一方の面に接着剤を塗布した後に、凹凸面部材2の凹凸面3と被接合部材4の接合面41とをプレス機械等を用いて圧着させた後に、さらに、当該基材5と当該被接合部材4とを図外のボルトやビス等の機械的接合手段を用いて接合することにより、複合材1が製造される。
従って、力が凹凸面部材2の基材5から凸部形成部材6を介して被接合部材4に伝達される際、基材5に伝達される力が凸部形成部材6を介して被接合部材4に有効に伝達されるので、凹凸面部材2に伝達される力を被接合部材4に有効に負担させることができるようになる。
つまり、金属格子により構成された凸部形成部材6は、特許文献1の針状突起のような先端鋭利な鋼の小片ではなく、塊であるため、凹凸面部材2に力が加わった場合、凸部形成部材6が変形しにくく、かつ、当該凸部形成部材6が被接合部材4の内部に局所的なめり込みを進行させにくいため、被接合部材4が損傷しにくくなり、凹凸面部材2に加わった力が凸部形成部材6を介して被接合部材4に有効に伝達されるようになる。
即ち、実施形態1に係る複合材1のような凹凸面部材2と被接合部材4との接合構造では、凹凸面部材2に伝達される力を被接合部材4に有効に負担させることができるようになる。
例えば、凹凸面部材2の基材5が建物の躯体に連結され、当該建物の躯体から凹凸面部材2の基材5にせん断力等の力が伝達された場合、当該力が基材5から凸部形成部材6を介して被接合部材4に有効に伝達されるので、建物の躯体から凹凸面部材2に伝達される力を被接合部材4に有効に負担させることができるようになる。
即ち、凹凸面部材2に伝達される力を当該凹凸面部材2の凹凸面3に接合された被接合部材4に有効に負担させることができる複合材1を提供できるようになった。
実施形態1では、凸部形成部材6として金属格子を用いた例を示したが、凸部形成部材6として、個別の複数の金属塊、又は、個別の複数の金属棒材、又は、個別の複数の金属線材を用いても良い。
例えば、基材5の接合面51に、基材5の接合面51の一方方向(縦方向)、及び、基材5の接合面51の一方方向と直交する方向(横方向)に、所定の間隔を隔てて個別に複数の金属塊を取付けた構成の凸部形成部材6、即ち、基材5の接合面51に碁盤の目のように個別に複数の金属塊を取付けた構成の凸部形成部材6であってもよい。
また、基材5の接合面51の一方方向(縦方向)、又は、基材5の接合面51の一方方向と直交する方向(横方向)に、所定の間隔を隔てて、鉄筋等の複数の金属棒材、又は、針金等の複数の金属線材を取付けた構成の凸部形成部材6であってもよい。
接合面51を有した基材5は、木製部材であってもよい。
この場合、例えば凸部形成部材6に接着剤を塗布しておいて当該凸部形成部材6を当該木製部材により形成された基材5の接合面51にプレス機械等を用いて圧着させることによって凹凸面部材2を製造し、さらに、木製部材により形成された基材5の接合面51と木製部材により形成された被接合部材4の接合面41との間に凸部形成部材6を挟み込んだ状態で基材5の接合面51と被接合部材4の接合面41とをプレス機械等を用いて圧着させるとともに、基材5と被接合部材4とを、例えばボルトやビス等の機械的接合手段及び接着剤のうちの1つ以上を用いて接合させることにより、複合材1を製造すればよい。
例えば、個別の複数の塊としての複数の小片板を凸部形成部材6としても良い。
即ち、小片板の板面と基材5の接合面51とが接触した状態となるよう、基材5の接合面51上に互いに間隔を隔てて複数の小片板を設置し、ねじや接着剤等を用いてこれら複数の小片板を基材5に固定して形成された凹凸面部材2であってもよい。
凹凸面部材は、接合面と当該接合面に形成された複数の凹部とで構成された凹凸面を備えた構成の凹凸面部材であってもよい。
即ち、以下のように製造された凹凸面部材であってもよい。
例えば、図4に示すように、接合面51に、サンドブラスト処理、切削処理、プレス処理等の凹凸面形成処理方法(表面処理方法)によって、複数の凹部52,52…を形成し、当該複数の凹部52,52…と接合面51とにより凹凸面3Aが構成されるように製造された凹凸面部材2Aである。
あるいは、凹凸面部材2Aの凹凸面3Aと被接合部材4の接合面41とをプレス機械等を用いて圧着させ、かつ、当該凹凸面部材2Aと当該被接合部材4とを図外のボルトやビス等の機械的接合手段を用いて接合することにより、複合材1が製造される。
あるいは、凹凸面部材2Aの凹凸面3A及び被接合部材4の接合面41のうちの少なくとも一方の面に接着剤を塗布した後に、凹凸面部材2Aの凹凸面3Aと被接合部材4の接合面41とをプレス機械等を用いて圧着させた後に、さらに、当該凹凸面部材2Aと当該被接合部材4とを図外のボルトやビス等の機械的接合手段を用いて接合することにより、複合材1が製造される。
従って、凹凸面部材2Aが建物の躯体に連結され、当該建物の躯体から凹凸面部材2Aにせん断力等の力が伝達された場合、当該力が凹凸面部材2Aから凹凸面3Aを介して被接合部材4に有効に伝達されるので、建物の躯体から凹凸面部材2Aに伝達される力を被接合部材4に有効に負担させることができるようになる。
つまり、凹凸面部材2Aに力が加わった場合、凹凸面部材2Aの凹凸面3Aが変形しにくく、かつ、当該凹凸面3Aが被接合部材4の内部に局所的なめり込みを進行させにくいため、被接合部材4が損傷しにくくなり、凹凸面部材2に加わった力が凹凸面3Aを介して被接合部材4に有効に伝達されるようになる。
即ち、実施形態4に係る複合材1のような凹凸面部材2Aと被接合部材4との接合構造では、凹凸面部材2Aに伝達される力を被接合部材4に有効に負担させることができるようになる。
実施形態4で説明した凹凸面部材2Aは、木製部材であってもよい。
この場合、例えば木製部材により形成された凹凸面部材2Aの凹凸面3Aと木製部材により形成された被接合部材4の接合面41とをプレス機械等を用いて圧着させるとともに、凹凸面部材2Aと被接合部材4とを、例えばボルトやビス等の機械的接合手段及び接着剤のうちの1つ以上を用いて接合させることにより、複合材1を製造すればよい。尚、接着剤を用いる場合には、凹凸面部材2Aの凹凸面3A及び被接合部材4の接合面41のうちの少なくとも一方の面に予め接着剤を塗布しておく。
例えば、被接合部材4が金属部材であってもよい。
即ち、凹凸面部材2を構成する基材5及び凸部形成部材6と、当該凹凸面部材2の凹凸面3に接合される被接合部材4とがすべて金属部材であってもよい。
また、凹凸面部材2Aと、当該凹凸面部材2Aの凹凸面3Aに接合される被接合部材4とがすべて金属部材であってもよい。
この場合、凹凸面部材2の基材5と被接合部材4とを図外のボルトやビス等の機械的接合手段を用いて接合された複合材、あるいは、凹凸面部材2Aと被接合部材4とを図外のボルトやビス等の機械的接合手段を用いて接合された複合材とすることで、凹凸面部材2,2Aに伝達される力が凸部形成部材6,凹凸面3Aを介して被接合部材4に有効に伝達されるようになり、凹凸面部材2,2Aに伝達される力を被接合部材4に有効に負担させることができる複合材を提供できるようになる。
51 接合面、52 凹部。
Claims (2)
- 接合面を有した基材と、当該基材の接合面に取付けられた凸部形成部材とを備え、接合面と凸部形成部材とで構成された凹凸面を備えた凹凸面部材と、当該凹凸面部材の凹凸面に接合された被接合部材とを備えて構成された複合材であって、
凹凸面部材の凸部形成部材が被接合部材にめり込んだ状態となるように凹凸面部材と被接合部材とが圧着接合されたことを特徴とする複合材。 - 凹凸面部材が金属であり、被接合部材が木材であることを特徴とする請求項1に記載の複合材。
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