JP7485234B1 - 高周波焼入れ用鋼 - Google Patents

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Abstract

高周波焼入れ部品の製造工程において冷間鍛造前の焼鈍と高周波焼入れ前の調質熱処理と省略可能な、冷間鍛造性に優れた高周波焼入れ用鋼を提供する。高周波焼入れ用鋼は、成分組成として、C:0.36~0.55質量%、Si:0.10質量%以下、Mn:0.15~0.45質量%、P:0.050質量%以下、S:0.050質量%以下、Al:0.010~0.090質量%、Mo:0.05~0.35質量%、Ti:0.010~0.200質量%、B:0.0005~0.0100質量%及びN:0.0150質量%以下を含み、残部はFe及び不純物であり、フェライト組織及びパーライト組織の合計分率が80%以上であり、フェライト組織の分率が40%以上である。

Description

本開示は、高周波焼入れ用鋼に関する。
一般に、自動車等に用いられる機械構造用部品は、熱間鍛造又は冷間鍛造にて成形後、切削を施して最終形状に整えられる。とくに、冷間鍛造は寸法精度に優れるため鍛造後の切削量が低減できる利点がある。そのため、近年、冷間鍛造品の適用例が増大している。
例えば、特許第5679440号(特許文献1)では、セメンタイトの球状化組織を規定し冷間鍛造性に優れ高周波焼入れ後のねじり強度に優れた高周波焼入れ用鋼が開示されている。また、特開2020-100896号公報(特許文献2)では、合金元素のバランスを規定し、焼きならし後の高周波焼入れで優れた硬度、面疲労強度が得られる高周波焼入れ用鋼及び高周波焼入れ部品が開示されている。
特許第5679440号 特開2020-100896号公報
機械構造用部品は、部品形状に成形後の最終熱処理として高周波焼入れが施される場合がある。かような部品のほとんどは、冷間鍛造前の軟化焼鈍や高周波焼入れ前の調質熱処理(焼入れ焼戻し)を経ることが一般的である。近年の部品価格競争の激化ならびにカーボンニュートラル(CO排出抑制)の機運の高まりを受け、部品製造工程において熱処理を省略可能な鋼材のニーズが増大している。
特許文献1に開示された高周波焼入れ用鋼では、冷間鍛造前に球状化焼鈍が必要である。また、特許文献2に開示された高周波焼入れ用鋼では、高周波焼入れ前の調質熱処理が必要である。このように、従来技術にあっては、熱処理費用の追加による部品製造コストの増大が課題であった。
本開示は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、高周波焼入れ部品の製造工程において冷間鍛造前の焼鈍と高周波焼入れ前の調質熱処理とを省略可能な、冷間鍛造性に優れた高周波焼入れ用鋼の提供を目的とする。
上記目的を達成するための、本開示に係る高周波焼入れ用鋼は以下のとおりである。
(1) 成分組成として、
C:0.36~0.55質量%、
Si:0.10質量%以下、
Mn:0.15~0.45質量%、
P:0.050質量%以下、
S:0.050質量%以下、
Al:0.010~0.090質量%、
Mo:0.05~0.35質量%、
Ti:0.010~0.200質量%、
B:0.0005~0.0100質量%及び
N:0.0150質量%以下
を含み、残部はFe及び不純物であり、
フェライト組織及びパーライト組織の合計分率が80%以上であり、フェライト組織の分率が40%以上である高周波焼入れ用鋼。
(2)前記成分組成として、さらに、
Cr:0.65質量%以下、
Cu:1質量%以下及び
Ni:1質量%以下
のうちから選ばれる1種以上を含有する前記(1)に記載の高周波焼入れ用鋼。
(3)前記成分組成として、さらに、
Se:0.3質量%以下、
Ca:0.05質量%以下、
Pb:0.3質量%以下、
Bi:0.3質量%以下、
Mg:0.05質量%以下、
Zr:0.2質量%以下、
REM:0.01質量%以下及び
O:0.025質量%以下
のうちから選ばれる1種以上を含有する前記(1)又は(2)に記載の高周波焼入れ用鋼。
(4)前記成分組成として、さらに、
Nb:0.1質量%以下及び
V:0.3質量%以下
のうちから選ばれる1種以上を含有する前記(1)から(3)のいずれか一つに記載の高周波焼入れ用鋼。
(5)前記成分組成として、さらに、
Sn:0.1質量%以下及び
Sb:0.1質量%以下、
のうちから選ばれる1種以上を含有する前記(1)から(4)のいずれか一つに記載の高周波焼入れ用鋼。
本開示によれば、高周波焼入れ部品の製造工程において冷間鍛造前の焼鈍と高周波焼入れ前の調質熱処理とを省略可能な、冷間鍛造性に優れた高周波焼入れ用鋼を提供することができる。
高周波焼入れのパターンを示すグラフである。 焼戻しのパターンを示すグラフである。
本開示の実施形態に係る高周波焼入れ用鋼について説明する。まず、本実施形態に係る高周波焼入れ用鋼の概要を説明する。
本実施形態に係る高周波焼入れ用鋼は、成分組成として、C(炭素):0.36~0.55質量%、Si(ケイ素):0.10質量%以下、Mn(マンガン):0.15~0.45質量%、P(リン):0.050質量%以下、S(硫黄):0.050質量%以下、Al(アルミニウム):0.010~0.090質量%、Mo(モリブデン):0.05~0.35質量%、Ti(チタン):0.010~0.200質量%、B(ホウ素):0.0005~0.0100質量%及びN(窒素):0.0150質量%以下を含み、残部はFe(鉄)及び不純物である。本実施形態に係る高周波焼入れ用鋼では、フェライト組織及びパーライト組織の合計分率が80%以上であり、フェライト組織の分率が40%以上である。なお、以下の説明において、「a~b」(ただし、a及びbは数値で、a<bである)と記載した場合、「a以上b以下」の意味である。
本実施形態に係る高周波焼入れ用鋼は、高周波焼入れ部品の製造工程において冷間鍛造前の焼鈍と高周波焼入れ前の調質熱処理とを省略可能であり、また、冷間鍛造性に優れている。
本実施形態に係る高周波焼入れ用鋼の一例は、自動車等の機械構造用部品に用いられる高周波焼入れ用鋼、具体的には、棒鋼及び線材である。
本開示に係る高周波焼入れ鋼が用いられる部品は、自動車分野では、例えば、エンジンのクランクシャフト、カムシャフト、タイミングギア及びディーゼルコモンレール、駆動系のプロペラシャフト、ドライブシャフト及びCVJアウターレース、足回りのハブ、ステアリングピニオン、ウォーム及びボールジョイント、電装のローターシャフト及びモーターシャフト等が挙げられる。本開示に係る高周波焼入れ鋼が用いられる部品は、産業機械分野では、例えば、ボールねじのシャフト及び直動軸受のレール等が挙げられ、建設機械分野では、例えば、走行減速機のリングギア及び旋回輪の内外輪等が挙げられる。
以下、本実施形態に係る高周波焼入れ用鋼の成分組成について詳述する。
C:0.36~0.55質量%
Cは、高周波焼入れ後の硬化層強度を確保するため、少なくとも0.36質量%の添加が必要である。Cの添加量が0.55質量%を超えると、冷間鍛造性が低下するとともに高周波焼入れ時の焼割れが発生しやすくなる。なお、冷間鍛造性と高周波焼入れ後の強度バランスを向上させるためには、Cの添加量は0.36質量%以上0.55質量%以下であり、0.36質量%以上0.50質量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.36質量%以上0.40質量%以下の範囲である。
Si:0.10質量%以下
Siは、脱酸剤として有効であり、0.01%以上で添加することが好ましい。Siの添加量が0.10質量%を超えると冷間鍛造性を低下させる。Siの添加量は、0.10質量%以下、好ましくは、0.08質量%以下であり、さらに好ましくは0.07質量%以下である。
Mn:0.15~0.45質量%
Mnは、焼入れ性を向上させる効果を有し、高周波焼入れ後の強度を確保するためには少なくとも0.15質量%の添加が必要である。Mnの添加量が0.45質量%を超えると、冷間鍛造性が低下する。Mnの添加量は、0.15質量%以上0.45質量%以下、好ましくは0.20質量%以上0.40質量%以下であり、さらに好ましくは0.20質量%以上0.35質量%以下である。
P:0.050質量%以下
Pは、鋼の靭性を低下させるため、その添加量を低減させることが望ましいが、極端な低P化は製鋼工程のコスト増大を招く。このコストの観点からは、Pの添加量は0.002質量%以上とすることが好ましい。機械構造部品用途としては、Pの添加量は0.050質量%以下であればよい。Pの添加量は、好ましくは0.030質量%以下であり、さらに好ましくは0.015質量%以下である。
S:0.050質量%以下
Sは、硫化物系介在物として存在し、被削性の向上に有効な元素である。Sの添加量は、0.050質量%以下である。0.050質量%を超えるSの添加は、冷間鍛造時の変形抵抗増大はないが、割れの発生率を増大させる。なお、被削性の向上が必要な場合、Sは0.005質量%以上添加してもよく、Sの添加量は0.005質量%以上0.050質量%以下の範囲が好適である。Sの添加量は、更に好ましくは0.010質量%以上0.035質量%以下である。
Al:0.010~0.090質量%
Alは、脱酸に有効な元素である。また、Nと結合し微細な窒化物を形成することで結晶粒径を微細化させる作用がある。これらの効果を得るためには、Alの添加量は0.010質量%以上の添加が必要である。一方、0.090質量%を超えてAlを添加しても、上記の効果は飽和するのみである。Alの添加量は、0.010質量%以上0.090質量%以下、好ましくは0.015質量%以上0.050質量%以下であり、さらに好ましくは0.015質量%以上0.035質量%以下である。
Mo:0.05~0.35質量%
Moは、焼入れ性を向上させる効果を有し、高周波焼入れ後の強度を確保するためには少なくとも0.05質量%の添加が必要である。一方、Moの添加量が0.35質量%を超えると、冷間鍛造性が低下する。Moの添加量は、0.05質量%以上0.35質量%以下、好ましくは0.07質量%以上0.30質量%以下であり、さらに好ましくは0.07質量%以上0.25質量%以下である。
Ti:0.010~0.200質量%
Tiは、Nと結合し窒化物を形成することで鋼中の固溶Nを低減させる効果がある。また、TiはBよりも窒化物を形成する傾向が強いため、Bの窒化物形成が抑制され、固溶Bを増大させることにより鋼の焼入れ性を向上させることができる。この効果を得るためには、少なくとも0.010質量%のTiの添加が必要である。一方、0.200質量%を超えてTiを添加すると、窒化物が粗大化して疲労破壊の原因となる。Tiの添加量は、0.010質量%以上0.200質量%以下、好ましくは0.010質量%以上0.050質量%以下であり、さらに好ましくは0.012質量%以上0.035質量%以下である。
B:0.0005~0.0100質量%
Bは、鋼中に固溶することで鋼の焼入れ性を向上させる効果を有する。とくに、Si、Mn、Crなどと比較して変形抵抗を増大させずに焼入れ性の増大をはかることが可能であり、優れた冷間鍛造性と十分な焼入れ性を両立させるためにはBの添加が必要不可欠である。この効果を得るためには、少なくとも0.0005質量%のBの添加が必要である。一方、Bの添加量が0.0100質量%を超えると、連続鋳造後の割れが発生しやすくなり歩留り低下を引き起こす。Bの添加量は、0.0005質量%以上0.0100質量%以下、好ましくは、0.0005質量%以上0.0050質量%以下の範囲である。さらに好ましくは0.0010質量%以上0.0035質量%以下である。
N:0.0150質量%以下
Nは、Al、Ti、Bと結合し窒化物を形成する。Nの添加量は、0.0150質量%以下である。Nの添加量が0.0150質量%を超えると、BN(窒化ホウ素)の生成が顕著になり、固溶Bが減少することで鋼の焼入れ性が低下してしまう。また、過度な低N化は製鋼工程のコスト増大を招くため、好ましいNの添加量の範囲は0.0010質量%以上0.0150質量%以下である。Nの添加量は、さらに好ましくは0.0015質量%以上0.0080質量%以下であり、最適は0.0020質量%以上0.0065質量%以下である。
本実施形態に係る高周波焼入れ用鋼では、成分組成の残部がFe及び不純物である。本実施形態において、不純物とは、鋼材を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ又は製造環境などから混入されるものである。不純物は、本実施形態に係る高周波焼入れ用鋼の特性に悪影響を与えない範囲で許容される。
本実施形態に係る高周波焼入れ用鋼は、以下に示す任意成分をさらに含んでもよい。
Cr:0.65質量%以下
Cr(クロム)は、焼入れ性を向上させる効果を有し、高周波焼入れ後の強度向上が必要な場合に、好ましくは0.05質量%以上で添加してもよい。ただし、Crは炭化物中に濃化し炭化物の熱的安定性を増大させる作用が強く、0.65質量%を超えて添加すると、高周波焼入れの加熱時に炭化物が未溶解となる結果、鋼中の固溶炭素が低減し、高周波焼入れ後の強度が低下する弊害がある。従って、Crの添加量は、0.65質量%以下の範囲であれば高周波焼入れの条件次第で適宜添加してもよいが、前述の弊害を安定的に回避しなければならない適用用途においては、Crの添加量を0.35質量%以下とするとよい。Crの添加量は、さらに望ましくは0.25質量%以下である。
Cu:1質量%以下
Ni:1質量%以下
Cu(銅)及びNi(ニッケル)は、焼入れ性を向上させる効果を有し、高周波焼入れ後の強度向上が必要な場合に、好ましくは0.01質量%以上で添加してもよい。ただし、CuやNiをそれぞれ1質量%を超えて添加すると、冷間鍛造性が低下する。これらのCu及びNi添加量はそれぞれ、1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.35質量%以下である。
Se:0.3質量%以下、Ca:0.05質量%以下、Pb:0.3質量%以下、Bi:0.3質量%以下、Mg:0.05質量%以下、Zr:0.2質量%以下、REM:0.01質量%以下、O:0.025質量%以下
Se(セレン)、Ca(カルシウム)、Pb(鉛)、Bi(ビスマス)、Mg(マグネシウム)、Zr(亜鉛)、REM(希土類金属)及びO(酸素)は、いずれも被削性を向上させる効果があり必要に応じて上記の範囲内で添加してもよいが、上記の範囲を超えて添加してもその効果は飽和する。
Nb:0.1質量%以下
V:0.3質量%以下
Nb(ニオブ)及びV(バナジウム)は、Cと結合して微細な炭化物を生成することで、鋼を析出強化させる作用がある。この効果を得るために、これらNb及びVはそれぞれ、好ましくは0.005質量%以上で添加してもよい。Nbの添加量は0.1質量%以下とするとよい。Vの添加量は0.3質量%以下とするとよい。これらを超えるNb及びVの添加は、連続鋳造性を低下させ歩留りの低下を招く。
Sn:0.1質量%以下
Sb:0.1質量%以下
Sb(アンチモン)及びSn(錫)は、ショットブラストや酸洗といった脱スケール処理において、スケールが除去しやすくなる効果があり、この効果を得るため、好ましくは0.003質量%以上で添加してもよい。Sb及びSnの添加量は0.1質量%以下とするとよい。しかし、Sb及びSnは0.1質量%を超えて添加しても、脱スケール性向上効果は飽和する。
以上、本開示の成分について説明したが、鋼材を軟質化させ冷間鍛造性を向上させるため、ミクロ組織を制御することも必要である。
フェライト組織の分率が40%以上
本発明鋼で冷間鍛造前の焼鈍を省略可能とするためにはフェライト組織の分率を40%以上とする必要がある。フェライト組織の分率が40%以上であれば変形抵抗の低減が著しくなり焼鈍の省略が可能である。このためには熱間圧延における加熱温度は1050℃以下にするとよい。熱間圧延の加熱温度が低温化すると、オーステナイトが微細になり、その後のフェライト変態の核生成が促進されることでフェライトの分率が増大する。
フェライト組織及びパーライト組織の合計分率が80%以上
本開示に係る鋼におけるミクロ組織は、熱間圧延後の冷却速度に応じて、少なくともフェライトを含み、また、パーライト、ベイナイト及びマルテンサイトのいずれかを含み得る。この冷却速度が高い場合に生じる、ベイナイト及びマルテンサイトは比較的硬質な組織であるため、鋼材硬度ひいては変形抵抗を増大させるミクロ組織である。一方、冷却速度が低い場合に生じる、フェライト及びパーライトは比較的軟質な組織であるため、鋼材硬度ひいては変形抵抗を減少させるのに好適なミクロ組織である。そこで、本開示に係る鋼では、冷間鍛造性を向上させるために、フェライト組織及びパーライト組織の合計分率を80%以上とする。より好ましくは、90%以上である。勿論、100%であっても良い。
また、より硬化層を厚くしたい等、高周波加熱時のオーステナイト化を促進させる必要がある場合は、フェライト組織及びパーライト組織の合計分率を90%以上とし、かつ、パーライト中あるいはフェライト中のセメンタイトのアスペクト比を2以上とすることが好ましい。なぜなら、セメンタイトのアスペクト比が2以上であれば、セメンタイトの溶解速度が大きく、オーステナイト化を早期に生じさせることが可能になるためである。
なお、所望のミクロ組織を得るためには、熱間圧延後の冷却において、水冷(ミスト含む)、衝風冷却及びその他の冷却促進を行うことは推奨されない。但し、鋼材の温度が400℃以下まで低下した後であれば、水冷(ミスト含む)、衝風冷却及びその他の冷却促進を適用しても問題ない。冷却速度は、熱間圧延後1000~400℃の温度域において5.0℃/s以下とする。好ましくは3.0℃/s以下とし、最適は1.0℃/s以下である。また、400℃以下においては任意の冷却速度としてよい。
以下、実施例に従って、本開示の構成及び作用効果をより具体的に説明する。なお、本開示は下記の実施例によって制限を受けるものではなく、本開示の趣旨に適合し得る範囲内にて適宜変更することも可能であり、これらは何れも本開示の技術的範囲に含まれる。
表1に示す成分組成の鋼を、表2に示す加熱温度での熱間圧延によって直径30mmの丸棒に成形し、空冷(一部は水冷又は風冷)した後、丸棒の中心部より直径20mm高さ30mmの円柱を機械加工によって採取し冷間鍛造用の試験片とした。そして、No.1から41、No.44及びNo.45の鋼については、この冷間鍛造用の試験片を冷間鍛造した。この冷間鍛造として、高さ減少率30%の据込加工を行った。その後、図1及び図2に示すパターンに従って、高周波焼入れ焼戻しを行って、高周波焼入れ鋼とした。なお、後述するミクロ組織観察用の顕微鏡試験片は冷間鍛造用の試験片から採取した。なお、表1及び表2中、下線を示した部分は本開示の規定の範囲外であることを示す。
Figure 0007485234000001
Figure 0007485234000002
また、比較のため、No.42の鋼については、熱間圧延によって直径30mmの丸棒に成形し、空冷(一部は水冷又は風冷)した後、760℃で4時間保持後に炉冷する軟化焼鈍を施した。その後、丸棒の中心部より直径20mm高さ30mmの円柱を機械加工によって採取し冷間鍛造用の試験片とした。No.1から41、No.44及びNo.45の鋼の場合と同様の手順で冷間鍛造及び高周波焼入れ焼戻しを行った。
また、No.43の鋼については、No.42と同様の手順で冷間鍛造を行った後、900℃で30分保持後に急冷し、次いで150℃で30分保持後に空冷する調質熱処理(高周波焼入れ焼戻し前の調質熱処理)を施した。そして、調質熱処理後のNo.43の鋼に、No.1から41、No.44及びNo.45の鋼の場合と同様の高周波焼入れ焼戻しを行った。
ここで、ミクロ組織の観察は、冷間鍛造用の試験片の円柱軸方向に垂直な断面を鏡面研磨後3%ナイタールでエッチングした後、光学顕微鏡にて行った。光学顕微鏡を介して撮影した画像を用い、画像解析ソフトウェアImage-Pro PLUSを用いてフェライトの組織の面積率とパーライトの組織の面積率とを求め、これら面積率に基づいて、これら組織の合計分率として評価した。
また、冷間鍛造性について、上記の高さ減少率30%の据込加工時における荷重を計測し、その計測値を、日本塑性加工学会の論文誌「塑性と加工」第22巻 第241号 1981年2月) 第139頁に記載の冷間据込み試験方法に準拠して変形抵抗値に換算し、比較評価した。この変形抵抗値が730MPa以下であれば、焼鈍を省略可能である。さらに、高周波焼入れ焼戻し後の強度は、処理後の試験片について、表面からの深さ0.1mmにおけるビッカース硬度(荷重300g)を任意の10点測定し、それらの平均値を比較評価した。以上の各評価結果を、併せて表2に示す。
鋼No.40~44は汎用されるJIS規格鋼のS38Cに該当する。表2に示す結果より、本開示に従う鋼(実施例の鋼、No.1~27)はいずれも冷間鍛造前の焼鈍を省略しても、焼鈍後S38C(No.42及びNo.43)と同程度の冷間鍛造性を有していると判る。加えて、本開示に従う鋼はいずれも、高周波焼入れ前の調質熱処理を省略しても、調質熱処理後S38C(No.43)と同程度の強度を有していると判る。また、鋼の合金組成と冷間鍛造前の焼鈍とが密接に関係することがわかる。従って、本開示に従えば、冷間鍛造前の焼鈍と、高周波焼入れ焼戻し前の調質熱処理の双方を同時に省略可能である。
以上のようにして、高周波焼入れ部品の製造工程において冷間鍛造前の焼鈍と高周波焼入れ前の調質熱処理とを省略可能な、冷間鍛造性に優れた高周波焼入れ用鋼を提供することができる。

Claims (2)

  1. 成分組成として、
    C:0.36~0.55質量%、
    Si:0.10質量%以下、
    Mn:0.15~0.45質量%、
    P:0.050質量%以下、
    S:0.050質量%以下、
    Al:0.010~0.090質量%、
    Mo:0.05~0.35質量%、
    Ti:0.010~0.200質量%、
    B:0.0005~0.0100質量%及び
    N:0.0150質量%以下
    を含み、残部はFe及び不純物からなり
    フェライト組織及びパーライト組織の合計分率が80%以上であり、フェライト組織の分率が40%以上である高周波焼入れ用鋼。
  2. 前記成分組成として、さらに、
    A群:
    Cu:1質量%以下、及び
    Ni:1質量%以下
    のうちから選ばれる1種以上、
    B群:
    Se:0.3質量%以下、
    Ca:0.05質量%以下、
    Pb:0.3質量%以下、
    Bi:0.3質量%以下、
    Mg:0.05質量%以下、
    Zr:0.2質量%以下、
    REM:0.01質量%以下、及び
    O:0.025質量%以下
    のうちから選ばれる1種以上、
    C群:
    Nb:0.1質量%以下、及び
    V:0.3質量%以下
    のうちから選ばれる1種以上、並びに
    D群:
    Sn:0.1質量%以下、及び
    Sb:0.1質量%以下
    のうちから選ばれる1種以上
    から選ばれる1群以上を含む、請求項1に記載の高周波焼入れ用鋼。
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