JP7484935B2 - 近赤外線カットフィルタおよび撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、近赤外線カットフィルタおよび撮像装置に関する。
車載カメラなどの撮像装置は、周囲の景色等のセンシングのため、固体撮像素子(イメージセンサ)を備える。ただし、固体撮像素子は、人間の視感に比べて、赤外光に対してより強い感度を示す。このため、固体撮像素子による画像を人間の視感度に近づけるため、撮像装置には、さらに近赤外線カットフィルタが設置される。
一般に、そのような近赤外線カットフィルタとして、反射タイプおよび吸収タイプの近赤外線カットフィルタが知られている。
このうち、反射タイプの近赤外線カットフィルタは、透明基板の一方の表面に、誘電体多層膜(反射膜)を備える。誘電体多層膜は、光の干渉現象を利用して、近赤外線カットフィルタに入射される紫外線および赤外線を反射する機能を有する。従って、そのような近赤外線カットフィルタを使用することにより、固体撮像素子によりセンシングされる画像(光)を、人間の視感に近づけることができる(例えば特許文献1)。
一方、吸収タイプの近赤外線カットフィルタは、近赤外線吸収機能を有する透明基板を備える。フィルタに入射される近赤外線は、透明基板によって吸収される。従って、この場合も、固体撮像素子でセンシングされる画像(光)を人間の視感に近づけることができる(例えば特許文献2)。
特開2004-163869号公報 特開2018ー106171号公報
反射タイプの近赤外線カットフィルタを適用した撮像装置では、フィルタを通過して固体撮像素子に入射された光が固体撮像素子で反射された後、フィルタで再反射され、固体撮像素子に再入射される現象が生じ得る。
このような現象は、ゴーストおよびフレアの発生につながり得る。特に、周囲が暗い環境、すなわち光量が少ない環境では、僅かの迷光が生じただけでもゴーストおよびフレアが発生しやすくなる場合がある。
特に、近年は、撮像装置のセンシング機能の高精度化が進められており、この問題は、今後より顕著になることが予想される。
一方、吸収タイプの近赤外線カットフィルタを適用した撮像装置では、固体撮像素子に到達する可視光の光量、特に赤色光の光量が不足する場合がある。これは、透明基板に含まれる吸収材によって、フィルタに入射された光のうち、近赤外線に加えて赤色光までもが吸収されてしまうためである。
例えば、撮像装置が車載カメラの場合、このような挙動は、道路標識、交通信号、および車のテールランプから発せられる赤色光に対するセンシング機能の低下につながり得る。
このように、高精度な撮像装置への適用を考慮した場合、従来の近赤外線カットフィルタは、反射タイプおよび吸収タイプのいずれにおいても、未だ性能に改善の余地がある。
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、撮像装置に適用した際に、可視光の光量、特に赤色光の光量の低下を有意に抑制したまま、ゴーストおよびフレアの発生を有意に軽減することが可能な、近赤外線カットフィルタを提供することを目的とする。また、本発明では、そのような近赤外線カットフィルタを備える撮像装置を提供することを目的とする。
本発明では、近赤外線カットフィルタであって、
相互に対向する第1の表面および第2の表面を有する透明基板と、
前記透明基板の前記第1の表面の側に配置された誘電体多層膜と、
を有し、
前記誘電体多層膜は、波長700nm~750nmの範囲の光を反射し、
当該近赤外線カットフィルタは、
平均透過率Tが20%以下であり、平均反射率Rが80%以下であり、平均透過率Tが65%以上であり、
ここで、前記平均透過率TおよびTは、それぞれ、当該近赤外線カットフィルタにおいて、前記透明基板の前記第2の表面の側から、法線方向に光を入射させた際に測定される、波長範囲700nm~750nmおよび波長範囲600nm~680nmにおける平均正透過率を表し、
前記平均反射率Rは、当該近赤外線カットフィルタにおいて、前記透明基板の前記第2の表面の側から、法線方向に対して5°の角度で光を入射させた際に測定される、波長範囲700nm~750nmにおける平均正反射率を表す、近赤外線カットフィルタが提供される。
また、本発明では、撮像装置であって、
近赤外線カットフィルタと、
該近赤外線カットフィルタを介して入射される入射光から電気信号を発生させる固体撮像素子と、
を備え、
前記近赤外線カットフィルタは、前述の特徴を有する近赤外線カットフィルタであり、前記第2の表面の側が前記固体撮像素子と対面するようにして配置される、撮像装置が提供される。
本発明では、撮像装置に適用した際に、可視光の光量、特に赤色光の光量の低下を有意に抑制したまま、ゴーストおよびフレアの発生を有意に軽減することが可能な、近赤外線カットフィルタを提供することができる。また、本発明では、そのような近赤外線カットフィルタを備える撮像装置を提供することができる。
従来の反射タイプの近赤外線カットフィルタにおける透過特性の一例を示した図である。特に、図1は、比較例(例11)に係る近赤外線カットフィルタにおける透過率の波長依存性を示したグラフである。 従来の反射タイプの近赤外線カットフィルタにおける反射特性の一例を示した図である。特に、図2は、比較例(例11)に係る近赤外線カットフィルタにおける反射率の波長依存性を示したグラフである。 従来の吸収タイプの近赤外線カットフィルタにおける透過特性の一例を示した図である。特に、図3は、比較例(例12)に係る近赤外線カットフィルタにおける透過率の波長依存性を示したグラフである。 従来の吸収タイプの近赤外線カットフィルタにおける反射特性の一例を示した図である。特に、図4は、比較例(例12)に係る近赤外線カットフィルタにおける反射率の波長依存性を示したグラフである。 本発明の一実施形態による近赤外線カットフィルタの一構成例を模式的に示した断面図である。 本発明の一実施形態による近赤外線カットフィルタを備える撮像装置を模式的に示した断面図である。 各例に使用されたガラスA~ガラスDの透過率特性をまとめて示したグラフである。 実施例(例1)に係る近赤外線カットフィルタにおける透過率の波長依存性を示したグラフである。 実施例(例1)に係る近赤外線カットフィルタにおける反射率の波長依存性を示したグラフである。 実施例(例2)に係る近赤外線カットフィルタにおける透過率の波長依存性を示したグラフである。 実施例(例2)に係る近赤外線カットフィルタにおける反射率の波長依存性を示したグラフである。 実施例(例3)に係る近赤外線カットフィルタにおける透過率の波長依存性を示したグラフである。 実施例(例3)に係る近赤外線カットフィルタにおける反射率の波長依存性を示したグラフである。 実施例(例4)に係る近赤外線カットフィルタにおける透過率の波長依存性を示したグラフである。 実施例(例4)に係る近赤外線カットフィルタにおける反射率の波長依存性を示したグラフである。 比較例(例13)に係る近赤外線カットフィルタにおける透過率の波長依存性を示したグラフである。 比較例(例13)に係る近赤外線カットフィルタにおける反射率の波長依存性を示したグラフである。 比較例(例14)に係る近赤外線カットフィルタにおける透過率の波長依存性を示したグラフである。 比較例(例14)に係る近赤外線カットフィルタにおける反射率の波長依存性を示したグラフである。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
(従来の近赤外線カットフィルタ)
まず、従来の近赤外線カットフィルタの構成およびその問題について簡単に説明する。
前述のように、従来より、撮像装置に適用される近赤外線カットフィルタとして、反射タイプおよび吸収タイプの近赤外線カットフィルタが知られている。
反射タイプの近赤外線カットフィルタ(以下、「反射型フィルタ」と称する)は、透明基板の一方の表面に、紫外線および赤外線(近赤外線を含む)を反射する誘電体多層膜(反射膜)を有する。
図1および図2には、そのような反射型フィルタにおける光学特性の一例を示す。
図1には、反射型フィルタの透過特性を示し、図2には、反射型フィルタの反射特性を示す。なお、これらの図は、反射膜とは反対の側、すなわち固体撮像素子が設置される側から光を入射した際に得られる挙動を示している。
図2から、反射型フィルタでは、700nm~750nmの波長範囲に大きな反射が生じることがわかる。
このような反射挙動を有する反射型フィルタを撮像装置に適用した場合、外界から反射型フィルタを経て固体撮像素子に到達した光は、該固体撮像素子で反射され反射型フィルタに戻った後、再度反射型フィルタにより、固体撮像素子に向かって反射される。そのため、固体撮像素子には複数回光が入射される。このような複数回の光入射は、撮像装置により画像を撮像した際に、ゴーストおよびフレアの生じる原因となり得る。
一方、吸収タイプの近赤外線カットフィルタ(以下、「吸収型フィルタ」と称する)では、透明基板として、近赤外線を吸収する基板が使用される。なお、吸収タイプの近赤外線カットフィルタにおいても、誘電体多層膜(反射膜)が設置される場合がある。
図3および図4には、吸収型フィルタにおける光学特性の一例を示す。
図3には、吸収型フィルタの透過特性を示し、図4には、吸収型フィルタの反射特性を示す。なお、これらの図は、反射膜とは反対の側、すなわち固体撮像素子が設置される側から光を入射した際に得られる挙動を示している。
図3から、吸収型フィルタでは、650nm~700nmの波長範囲において、透過率が大きく低下することがわかる。また、吸収型フィルタでは、波長550nmから透過率が低下し始めるため、可視光の総透過量が低下する傾向にある。
このような透過挙動を有する吸収型フィルタを撮像装置に適用した場合、固体撮像素子に到達する赤色の光量が低下するとともに、可視光全体の光量も低下してしまうという問題がある。
このように、従来の近赤外線カットフィルタでは、撮像装置への適用を考慮した場合、反射型フィルタおよび吸収型フィルタのいずれにおいても問題が生じ得る。
これに対して、本発明の一実施形態では、近赤外線カットフィルタであって、
相互に対向する第1の表面および第2の表面を有する透明基板と、
前記透明基板の前記第1の表面の側に配置された誘電体多層膜と、
を有し、
前記誘電体多層膜は、波長700nm~750nmの範囲の光を反射し、
当該近赤外線カットフィルタは、
平均透過率Tが20%以下であり、平均反射率Rが80%以下であり、平均透過率Tが65%以上であり、
ここで、前記平均透過率TおよびTは、それぞれ、当該近赤外線カットフィルタにおいて、前記透明基板の前記第2の表面の側から、法線方向に光を入射させた際に測定される、波長範囲700nm~750nmおよび波長範囲600nm~680nmにおける平均正透過率を表し、
前記平均反射率Rは、当該近赤外線カットフィルタにおいて、前記透明基板の前記第2の表面の側から、法線方向に対して5°の角度で光を入射させた際に測定される、波長範囲700nm~750nmにおける平均正反射率を表す、近赤外線カットフィルタが提供される。
本発明の一実施形態による近赤外線カットフィルタでは、前述のように測定される平均透過率Tが20%以下である。
従って、本発明の一実施形態による近赤外線カットフィルタは、近赤外線を適正に遮断することができ、イメージセンサのような固体撮像素子を有する撮像装置に適正に適用できる。
本発明の一実施形態による近赤外線カットフィルタにおいて、平均透過率Tは、17%以下であることが好ましく、14%以下であることがより好ましく、11%以下であることがさらに好ましい。なお、平均透過率Tの下限は、成膜コストの観点から、1×10-7%以上であることが好ましく、1×10-6%以上がより好ましく、1×10-5%以上がさらに好ましい。ただし、平均透過率Tは、0%であってもよい。
また、本発明の一実施形態による近赤外線カットフィルタでは、前述のように測定される平均反射率Rが80%以下である。
このような近赤外線カットフィルタを撮像装置に適用した場合、外界から近赤外線カットフィルタを経て固体撮像素子に到達した光が該固体撮像素子で反射されても、該反射光が近赤外線カットフィルタで再度反射されることを有意に抑制できる。
従って、本発明の一実施形態による近赤外線カットフィルタでは、撮像装置に適用した際に、ゴーストおよびフレアの発生を有意に軽減できる。
本発明の一実施形態による近赤外線カットフィルタにおいて、平均反射率Rは、70%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましく、50%以下であることがさらに好ましい。
さらに、本発明の一実施形態による近赤外線カットフィルタでは、前述のように測定される平均透過率Tが65%以上である。
このような近赤外線カットフィルタを撮像装置に適用した場合、固体撮像素子に到達する赤色の光量が低下したり、可視光全体の光量が低下するという問題を、有意に抑制できる。
本発明の一実施形態による近赤外線カットフィルタにおいて、平均透過率Tは、70%~100%の範囲であることが好ましく、75%~100%の範囲であることがより好ましく、80%~100%の範囲であることがさらに好ましい。
以上の結果、本発明の一実施形態では、可視光の光量、特に赤色光の低下を有意に抑制したまま、ゴーストおよびフレアを有意に軽減できる近赤外線カットフィルタを提供することが可能となる。
本発明の一実施形態による近赤外線カットフィルタは、車載カメラのみならず、デジタルカメラ、ビデオカメラ、およびカメラ付き携帯電話など、各種固体撮像素子を備える撮像装置用のフィルタとして、好適に用いることができる。
(本発明の一実施形態による近赤外線カットフィルタ)
次に、図5を参照して、本発明の一実施形態による近赤外線カットフィルタについてより具体的に説明する。
図5には、本発明の一実施形態による近赤外線カットフィルタ(以下、「第1の光学フィルタ」と称する)の断面を模式的に示す。
図5に示すように、第1の光学フィルタ100は、透明基板110と、第1の誘電体多層膜130と、第2の誘電体多層膜150とを有する。
透明基板110は、相互に対向する第1の表面112および第2の表面114を有する。第1の誘電体多層膜130は、透明基板110の第1の表面112の側に配置される。また、第2の誘電体多層膜150は、透明基板110の第2の表面114の側に配置される。
第1の光学フィルタ100は、第1の側102および第2の側104を有する。第1の側102は、第1の誘電体多層膜130が設置された側、すなわち透明基板110の第1の表面112の側に対応し、第2の側104は、第2の誘電体多層膜150が設置された側、すなわち透明基板110の第2の表面114の側に対応する。
第1の誘電体多層膜130は、第1の光学フィルタ100の第1の側102から入射される紫外線および赤外線を反射する機能を有する。特に、第1の誘電体多層膜130は、700nm~750nmの波長範囲の光を反射する特性を有する。
第1の誘電体多層膜130の構成は後述するが、第1の誘電体多層膜130は、従来の近赤外線カットフィルタに使用されている反射膜であってもよい。
一方、第2の誘電体多層膜150は、第1の光学フィルタ100の第1の側102から入射される光の反射を抑制する、反射防止膜として機能する。第2の誘電体多層膜150の構成は後述するが、第2の誘電体多層膜150は、従来の近赤外線カットフィルタに使用されている反射防止膜であってもよい。
なお、第2の誘電体多層膜150は、省略されてもよい。
また、透明基板110は、近赤外線を吸収する機能を有する。
例えば、透明基板110は、
波長範囲600nm~680nmにおける平均透過率が70%以上であり、
波長範囲700nm~750nmにおける平均透過率が90%以下であってもよい。
第1の光学フィルタ100は、前述のように測定される平均透過率Tが20%以下であり、平均反射率Rが80%以下であり、平均透過率Tが65%以上であるという特徴を有する。
従って、このような第1の光学フィルタ100を撮像装置の近赤外線カットフィルタとして適用した場合、固体撮像素子に到達する光量、特に赤色光の光量の低下を有意に抑制したまま、ゴーストおよびフレアを有意に軽減することができる。
(本発明の一実施形態による近赤外線カットフィルタの構成部材)
次に、本発明の一実施形態による近赤外線カットフィルタに含まれる各構成部材について、より詳しく説明する。
なお、ここでは、明確化のため、本発明の一実施形態による近赤外線カットフィルタとして、前述の第1の光学フィルタ100を例に、その構成部材について説明する。従って、各構成部材を参照する際には、図5に示した参照符号を使用する。
(透明基板110)
透明基板110は、以下の特性を有することが好ましい:
波長範囲600nm~680nmにおける平均透過率が70%以上、および
波長範囲700nm~750nmにおける平均透過率が90%以下。
透明基板110の波長範囲600nm~680nmにおける平均透過率は、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。また、透明基板110の波長範囲700nm~750nmにおける平均透過率は、85%以下であることがより好ましく、80%以下であることがさらに好ましい。
また、透明基板110は、波長範囲400nm~600nmにおける平均透過率が80%以上であってもよい。
透明基板110は、ガラスで構成されてもよい。
例えば、透明基板110は、酸化物基準の表示で、P、Al、R’O(ただし、R’OはMgO、CaO、SrO、BaO、およびZnOから選ばれるいずれか1つ以上を表す)、およびFeを含むガラスで構成されてもよい。
このうち、Pは、ガラスを形成する主成分(ガラス形成酸化物)であり、Pの添加により、近赤外領域の吸収効果を高めることができる。
Alは、ガラスを形成する主成分(ガラス形成酸化物)であり、Alの添加により、ガラスの耐候性を高めることができる。
R’O(ただし、R’OはMgO、CaO、SrO、BaO、およびZnOから選ばれるいずれか1つ以上を表す)は、ガラスの溶融温度を低くしたり、ガラスの液相温度を低くしたり、ガラスを安定化させたり、ガラスの強度を高めたりする効果を有する。
Feは、近赤外線吸収のために添加される。Feの含有量は、0.1%以上35%以下が好ましい。Feの含有量が0.1%未満であると、ガラスの厚さを薄くした際に、近赤外線吸収の効果が十分に得られなくなる。逆に、Feの含有量が35%を超えると、可視光の透過率が低下するため好ましくない。
Feの含有量は、好ましくは2.0%~35%であり、より好ましくは4.0%~35%であり、さらに好ましくは5.0%~35%である。
なお、本願において、Feの含有量は、全てのFe(鉄)成分の合計をFeに換算した値である。
また、ガラスは、フッ素を実質的に含有しないことが好ましい。フッ素は、ガラスの耐候性を上げるために有効な成分ではあるが、環境負荷物質であるためである。
なお、本願において、「(元素を)実質的に含有しない」とは、そのような元素を原料中に意図的に添加していないことを意味する。従って、ガラス中には、そのような元素が、原料中の不可避的不純物として、および/または製造過程で混入する不可避的不純物として存在していてもよい。
例えば、透明基板110は、酸化物基準のモル%表示で、25%~75%のP、2.5%~22%のAl、0%~35%のΣRO(ただし、ΣROは、LiO、NaO、およびKOの合計を表す)、0.1%~35%のΣR’O(ただし、ΣR’Oは、MgO、CaO、SrO、BaO、およびZnOの合計を表す)、および0.1%~35%のFeを含んでもよい。
あるいは、透明基板110は、近赤外線を吸収する成分(吸収成分)を含む樹脂シートであってもよい。
また、透明基板110は、ガラス基板と、該ガラス基板の上に設置された樹脂膜とを含む複合基板であってもよい。この場合、樹脂膜として、近赤外線を吸収する吸収成分を含む樹脂を使用することにより、吸収成分を含まないガラス基板が使用できる。
樹脂膜に含まれる吸収成分は、スクアリリウムなどの有機顔料、および/または銅錯体などの無機顔料であってもよい。
透明基板110の厚さは、例えば、0.05mm~5mmの範囲であり、0.1mm~3mmの範囲であることが好ましく、0.2mm~1mmの範囲であることがより好ましい。
(第1の誘電体多層膜130)
第1の誘電体多層膜130は、紫外線および赤外線を反射する機能を有する。特に、第1の誘電体多層膜130は、波長700nm~750nmの範囲の光を反射する機能を有する。
例えば、第1の誘電体多層膜130は、「高屈折率層」と「低屈折率層」との繰り返し構造を有してもよい。なお、「高屈折率層」とは、波長500nmにおける屈折率が2.0以上の層を意味し、「低屈折率層」とは、波長500nmにおける屈折率が1.6以下の層を意味する。
高屈折率層としては、例えば、酸化チタン、酸化タンタル、および酸化ニオブなどが挙げられる。低屈折率層としては、例えば、酸化ケイ素およびフッ化マグネシウムなどが挙げられる。例えば、波長500nmにおける酸化チタンの屈折率は、結晶状態にもよるが、一般に、2.3~2.8の範囲であり、酸化ケイ素の屈折率は、一般に1.4~1.5の範囲である。
高屈折率層と低屈折率層の繰り返し数(=層数/2)は、特に限られないが、例えば、2~50の範囲である。繰り返し数は、6~25の範囲であることが好ましい。
また、第1の誘電体多層膜130の総厚さ(物理膜厚)は、例えば、200nm~10μmの範囲であり、1μm~6μmの範囲であることが好ましい。
(第2の誘電体多層膜150)
第2の誘電体多層膜150は、反射防止膜として機能し、可視光の透過率を高める役割を有する。なお、第2の誘電体多層膜150は、紫外線や赤外線を反射する機能を有してもよい。
例えば、第2の誘電体多層膜150は、前述の高屈折率層と低屈折率層との繰り返し構造を有してもよい。
高屈折率層と低屈折率層の繰り返し数(=層数/2)は、特に限られないが、例えば、2~25の範囲である。繰り返し数は、2~20の範囲であることが好ましい。
また、第2の誘電体多層膜150の総厚さ(物理膜厚)は、例えば、200nm~5μmの範囲であり、200nm~4μmの範囲であることが好ましい。
(第1の光学フィルタ100)
第1の光学フィルタ100は、前述のように、平均透過率T≦20%、平均反射率R≦80%、平均透過率T≧65%を満たす。
第1の光学フィルタ100は、さらに、波長1000~1200nmの平均透過率(以下、「T」で表す)が5%以下であることが好ましい。この場合、第1の光学フィルタ100を透過する近赤外線領域の光量を、よりいっそう抑制できる。
平均透過率Tは、4%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、2%以下がさらに好ましい。平均透過率Tの下限は、成膜コストの観点から、1×10-7%以上であることが好ましく、1×10-6%以上がより好ましく、1×10-5%以上がさらに好ましい。ただし、平均透過率Tは、0%であってもよい。
また、第1の光学フィルタ100は、透明基板の第2の表面の側から入射される入射光の波長範囲900nm~1200nmにおける平均反射率(以下、「R」で表す)が30%以下であることが好ましい。この場合、固体撮像素子側で反射された光が第1の光学フィルタ100で反射され、再度固体撮像素子に入射するという問題をよりいっそう抑制することができる。
平均反射率Rは、27%以下が好ましく、24%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。
また、第1の光学フィルタ100は、透明基板の第2の表面の側から入射される入射光の波長750nmにおける透過率(以下、「T」で表す)が10%以下であることが好ましい。この場合、第1の光学フィルタ100から出射される近赤外線領域の光量をさらに抑制することができる。
透過率Tは、8%以下が好ましく、6%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。
透過率Tの下限は、成膜コストの観点から、1×10-7%以上であることが好ましく、1×10-6%以上であることがより好ましく、1×10-5%以上であることがさらに好ましい。ただし、透過率Tは、0%であってもよい。
なお、本願において、第1の光学フィルタ100の平均透過率Tおよび透過率Tは、いずれも、前述の平均透過率TおよびTと同様の測定方法で測定される値を表す。また、第1の光学フィルタ100の平均反射率Rは、前述の平均反射率Rと同様の測定方法で測定される値を表す。
(本発明の一実施形態による近赤外線カットフィルタの適用例)
次に、本発明の一実施形態による近赤外線カットフィルタの一適用例について説明する。なお、ここでは、前述の第1の光学フィルタ100を例に、その適用例について説明する。
図6には、本発明の一実施形態による近赤外線カットフィルタを備える撮像装置の構成を模式的に示す。
図6に示すように、撮像装置201は、レンズ260と、近赤外線カットフィルタとしての第1の光学フィルタ100と、固体撮像素子270とを有する。
レンズ260は、外光を第1の光学フィルタ100に集光する機能を有する。
固体撮像素子270は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサのようなイメージセンサであってもよい。
レンズ260は、第1の光学フィルタ100の第1の側102に配置される。一方、固体撮像素子270は、第1の光学フィルタ100の第2の側104に配置される。
撮像装置201により画像を撮影する際には、まず、レンズ260で集光された光(入射光)240が第1の光学フィルタ100に入射される。
第1の光学フィルタ100は、第1の側102に第1の誘電体多層膜130を有する。そのため、入射光に含まれる紫外線および赤外線の大部分は、第1の光学フィルタ100を通過することなく反射される。
一方、第1の誘電体多層膜130により反射されなかった入射光240は、第1の光学フィルタ100の内部に進入する。その後、入射光240は、透明基板110および第2の誘電体多層膜150を通過した光245となり、固体撮像素子270に到達する。
固体撮像素子270は、光245を光電変換し、電気信号を発生する。従って、撮像装置201では、この電気信号を利用することにより、周囲の景色などを撮像することができる。
ここで、撮像装置201において、第1の光学フィルタ100は、平均透過率Tが20%以下であり、平均透過率Tが65%以上であるという特徴を有する。従って、第1の光学フィルタ100は、600nm~680nmの波長範囲の光をあまり吸収せずに、700nm~750nmの波長範囲の光を吸収することができる。
なお、これを実現するため、例えば、第1の光学フィルタ100の透明基板110は、波長範囲600nm~680nmにおける平均透過率が70%以上であり、波長範囲700nm~750nmにおける平均透過率が90%以下であるという特徴を有してもよい。
この効果により、第1の光学フィルタ100から出射される光245は、従来の吸収タイプの近赤外線カットフィルタに比べて、有意に高い光量を有する。特に600nm~680nmの波長範囲において、光量の低下は有意に抑制されている。従って、撮像装置201では、固体撮像素子270に入射される光245において、可視光、特に赤色光の光量が低下するという従来の問題を有意に抑制できる。
なお、固体撮像素子270に到達した光245の一部は、第1の光学フィルタ100に向かって反射される。従って、この反射光が再度固体撮像素子270に入射されると、ゴーストおよびフレアが発生し得る。
しかしながら、第1の光学フィルタ100は、前述の平均反射率Rが80%以下に抑制されている。このため、第1の光学フィルタ100に到達した反射光が固体撮像素子270に向かって再反射される現象は、有意に抑制される。
その結果、撮像装置201では、固体撮像素子270に到達する光量、特に赤色光の光量の低下を有意に抑制したまま、ゴーストおよびフレアの発生を有意に軽減できる。また、これにより、撮像装置201におけるセンシングの精度を高めることができる。
このような撮像装置201は、例えば、車載カメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、およびカメラ付き携帯電話等に適用できる。
以上、第1の光学フィルタ100等を例に、本発明の一実施形態による近赤外線カットフィルタについて説明した。
しかしながら、上記記載は単なる一例であって、本発明の近赤外線カットフィルタがその他の構成を有し得ることは、当業者には明らかである。
例えば、第1の光学フィルタ100では、透明基板110の第1の表面112の側にのみ、第1の誘電体多層膜130が配置される。
しかしながら、これとは別に、透明基板110の両側に、反射膜としての第1の誘電体多層膜130が配置されてもよい。
その他にも各種変更が可能である。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、以下の記載において、例1~例4は実施例であり、例11~例14は比較例である。
以下の各例に示した構成を有する近赤外線カットフィルタのそれぞれについて、光学特性を評価した。光学特性は、市販の光学シミュレーションソフト(Software SPectra,Inc社のTFCalc)を用いて評価した。
なお、前述のように、以下の評価において、近赤外線カットフィルタにおける各透過率は、ガラス基板の第2の表面の側から法線方向に光を入射させた際に得られる正透過率を表す。また、近赤外線カットフィルタにおける各反射率は、近赤外線カットフィルタにおいて、ガラス基板の第2の表面の側から法線方向に対して5°の角度で光を入射させた際に得られる正反射率を表す。
(例1)
例1では、近赤外線カットフィルタは、ガラス基板の第1の表面に第1の誘電体多層膜(反射膜)が配置され、ガラス基板の第2の表面に第2の誘電体多層膜(反射防止膜)が配置された構成を有する。
ガラス基板には、酸化物基準のモル%表示で、以下の組成のもの(以下、「ガラスA」と称する)を使用した:
62.4%のP
16.8%のAl
1.8%のKO、
2.2%のBaO、
7.9%のZnO、
8.9%のFe
ガラス基板の厚さは、0.453mmである。
第1の誘電体多層膜は、低屈折率層と高屈折率層の繰り返し構造とした。低屈折率層は、酸化ケイ素(SiO)とし、高屈折率層は、酸化チタン(TiO)とした。層の数は42層とし、全体の厚さは、5.1μmとした。
第2の誘電体多層膜は、低屈折率層と高屈折率層の繰り返し構造とした。低屈折率層は、酸化ケイ素(SiO)とし、高屈折率層は、酸化チタン(TiO)とした。層の数は6層とし、全体の厚さは、0.2μmとした。
(例2)
例2では、近赤外線カットフィルタは、ガラス基板の第1の表面に第1の誘電体多層膜(反射膜)が配置され、ガラス基板の第2の表面に第2の誘電体多層膜(反射防止膜)が配置された構成を有する。
ガラス基板には、酸化物基準のモル%表示で、以下の組成のもの(以下、「ガラスB」と称する)を使用した:
60.6%のP
15.8%のAl
2.6%のLiO、
2.6%のNaO、
1.7%のKO、
4.2%のMgO、
2.1%のBaO
7.4%のZnO、
3.1%のFe
ガラス基板の厚さは、0.453mmである。
第1の誘電体多層膜および第2の誘電体多層膜の構成は、例1と同様とした。
(例3)
例3では、近赤外線カットフィルタは、ガラス基板の第1の表面に第1の誘電体多層膜(反射膜)が配置された構成を有する。第2の誘電体多層膜は、設置しなかった。
ガラス基板には、前述のガラスAを使用した。ガラス基板の厚さは、0.453mmである。
第1の誘電体多層膜の構成は、例1と同様とした。
(例4)
例4では、近赤外線カットフィルタは、ガラス基板の第1の表面に第1の誘電体多層膜(反射膜)が配置された構成を有する。第2の誘電体多層膜は、設置しなかった。
ガラス基板には、前述のガラスBを使用した。ガラス基板の厚さは、0.453mmである。
第1の誘電体多層膜の構成は、例1と同様とした。
(例11)
例11では、近赤外線カットフィルタは、ガラス基板の第1の表面に第1の誘電体多層膜(反射膜)が配置され、ガラス基板の第2の表面に第2の誘電体多層膜(反射防止膜)が配置された構成を有する。
ガラス基板には、市販品(D263、Schott社製)(以下、「ガラスC」と称する)を使用した。このガラス基板は、近赤外線カット機能を有しない透明なガラスで構成される。ガラス基板の厚さは、0.57mmである。
第1の誘電体多層膜および第2の誘電体多層膜の構成は、例1と同様とした。
(例12)
例12では、近赤外線カットフィルタは、ガラス基板の第1の表面に第1の誘電体多層膜(反射膜)が配置され、ガラス基板の第2の表面に第2の誘電体多層膜(反射防止膜)が配置された構成を有する。
ガラス基板には、市販品(NF-50、AGCテクノグラス社製)(以下、「ガラスD」と称する)を使用した。ガラス基板の厚さは、0.57mmである。
第1の誘電体多層膜および第2の誘電体多層膜の構成は、例1と同様とした。
(例13)
例13では、近赤外線カットフィルタは、ガラス基板の第1および第2の表面の双方に、同じ第2の誘電体多層膜(反射防止膜)が配置された構成を有する。
ガラス基板には、前述のガラスAを使用した。ガラス基板の厚さは、0.453mmである。
ガラス基板の両側の第2の誘電体多層膜の構成は、例1の第2の誘電体多層膜と同様とした。
(例14)
例14では、近赤外線カットフィルタは、ガラス基板のみで構成され、第1および第2の誘電体多層膜は設置しなかった。
ガラス基板には、前述のガラスDを使用した。ガラス基板の厚さは、0.965mmである。
図7には、ガラスA~ガラスDにおける透過率の波長依存性をまとめて示す。なお、それぞれのガラスの厚さは、各例に記載したガラス基板の厚さとした。
各ガラスの透過率特性は、以下のとおりである。
ガラスA(板厚:0.453mm):波長範囲600nm~680nmにおける平均透過率 81.7、波長範囲700nm~750nmにおける平均透過率 61.1%
ガラスB(板厚:0.453mm):波長範囲600nm~680nmにおける平均透過率 88.2、波長範囲700nm~750nmにおける平均透過率 80.2%
ガラスC(板厚:0.57mm):波長範囲600nm~680nmにおける平均透過率 91.8、波長範囲700nm~750nmにおける平均透過率 91.9%
ガラスD(板厚:0.57mm):波長範囲600nm~680nmにおける平均透過率 52.8、波長範囲700nm~750nmにおける平均透過率 17.9%。
また、表1には、各例に係る近赤外線カットフィルタの構成をまとめて示した。
Figure 0007484935000001
(結果)
図8~図19には、各例に係る近赤外線カットフィルタにおいて得られた光学特性を示す。
このうち図8および図9には、それぞれ、例1に係る近赤外線カットフィルタにおける透過率および反射率の波長依存性を示す。また、図10および図11には、それぞれ、例2に係る近赤外線カットフィルタにおける透過率および反射率の波長依存性を示す。また、図12および図13には、それぞれ、例3に係る近赤外線カットフィルタにおける透過率および反射率の波長依存性を示す。また、図14および図15には、それぞれ、例4に係る近赤外線カットフィルタにおける透過率および反射率の波長依存性を示す。
また、図16および図17には、それぞれ、例13に係る近赤外線カットフィルタにおける透過率および反射率の波長依存性を示す。さらに、図18および図19には、それぞれ、例14に係る近赤外線カットフィルタにおける透過率および反射率の波長依存性を示す。
なお、例11に係る近赤外線カットフィルタにおける透過率および反射率の波長依存性は、前述の図1および図2に示されている。また、例12に係る近赤外線カットフィルタにおける透過率および反射率の波長依存性は、前述の図3および図4に示されている。
また、以下の表2には、各例に係る近赤外線カットフィルタにおいて得られた評価結果をまとめて示す。
Figure 0007484935000002
これらの結果から、例1~例4に係る近赤外線カットフィルタでは、
平均透過率T≦20%、
平均反射率R≦80%、および
平均透過率T≧65%、
を全て満たすことがわかった。
また、例1~例4に係る近赤外線カットフィルタでは、
平均反射率R≦30%、
平均透過率T≦5%、および
透過率T≦10%、
を全て満たすことがわかった。
従って、例1~例4に係る近赤外線カットフィルタは、撮像装置に適用した際に、可視光の光量、特に赤色光の光量の低下を有意に抑制したまま、フレアおよびゴーストを有意に軽減できることが予想される。
本願は、2019年12月23日に出願した日本国特許出願第2019-231753号に基づく優先権を主張するものであり、同日本国出願の全内容を本願に参照により援用する。
100 第1の光学フィルタ
102 第1の側
104 第2の側
110 透明基板
112 第1の表面
114 第2の表面
130 第1の誘電体多層膜
150 第2の誘電体多層膜
201 撮像装置
240 光(入射光)
245 光
260 レンズ
270 固体撮像素子

Claims (8)

  1. 近赤外線カットフィルタであって、
    相互に対向する第1の表面および第2の表面を有する透明基板と、
    前記透明基板の前記第1の表面の側に配置された誘電体多層膜と、
    を有し、
    前記誘電体多層膜は、波長700nm~750nmの範囲の光を反射し、
    当該近赤外線カットフィルタは、
    平均透過率Tが20%以下であり、平均反射率Rが80%以下であり、平均透過率Tが65%以上であり、
    ここで、前記平均透過率TおよびTは、それぞれ、当該近赤外線カットフィルタにおいて、前記透明基板の前記第2の表面の側から、法線方向に光を入射させた際に測定される、波長範囲700nm~750nmおよび波長範囲600nm~680nmにおける平均正透過率を表し、
    前記平均反射率Rは、当該近赤外線カットフィルタにおいて、前記透明基板の前記第2の表面の側から、法線方向に対して5°の角度で光を入射させた際に測定される、波長範囲700nm~750nmにおける平均正反射率を表す、近赤外線カットフィルタ。
  2. 当該近赤外線カットフィルタにおいて、前記透明基板の前記第2の表面の側から、法線方向に光を入射させた際に測定される、波長範囲1000~1200nmにおける正透過率の平均として表される平均透過率Tは、5%以下である、請求項1に記載の近赤外線カットフィルタ。
  3. 当該近赤外線カットフィルタにおいて、前記透明基板の前記第2の表面の側から、法線方向に対して5°の角度で光を入射させた際に測定される、波長範囲900nm~1200nmにおける平均正反射率Rは、30%以下である、請求項1または請求項2に記載の近赤外線カットフィルタ。
  4. 当該近赤外線カットフィルタにおいて、前記透明基板の前記第2の表面の側から、法線方向に光を入射させた際に測定される、波長750nmにおける正透過率として表される透過率Tは、10%以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の近赤外線カットフィルタ。
  5. 前記透明基板は、
    波長範囲600nm~680nmにおける平均透過率が70%以上であり、
    波長範囲700nm~750nmにおける平均透過率が90%以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の近赤外線カットフィルタ。
  6. 前記透明基板は、ガラスで構成され、
    該ガラスは、酸化物基準のモル%表示で、P、Al、R’O(ただし、R’OはMgO、CaO、SrO、BaO、およびZnOから選ばれるいずれか1つ以上を表す)、およびFeを含み、実質的にFを含有しない、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の近赤外線カットフィルタ。
  7. 前記ガラスは、酸化物基準のモル%表示で、
    25%~75%のP
    2.5%~22%のAl
    0%~35%のΣRO(ただし、ΣROは、LiO、NaO、およびKOの合計を表す)、
    0.1%~35%のΣR’O(ただし、ΣR’Oは、MgO、CaO、SrO、BaO、およびZnOの合計を表す)、および
    0.1%~35%のFe
    を含む、請求項6に記載の近赤外線カットフィルタ。
  8. 撮像装置であって、
    近赤外線カットフィルタと、
    該近赤外線カットフィルタを介して入射される入射光から電気信号を発生させる固体撮像素子と、
    を備え、
    前記近赤外線カットフィルタは、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の近赤外線カットフィルタであり、前記第2の表面の側が前記固体撮像素子と対面するようにして配置される、撮像装置。
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