JP7481898B2 - スラリーレオロジー改質剤 - Google Patents

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Description

本発明は、スラリーレオロジー改質剤に関する。
液体と固体、例えば水と粉体の混合物であるスラリーは、目的や用途に応じて、粘性等のレオロジーを適正に調整することが望まれる。
スラリーのレオロジーを制御するには、液体と固体の比率を調節したり、pH調整剤などにより粒子の分散状態を変えたり、あるいは、吸水性ポリマーを添加して余剰水量を制御したりする等の技術や、水溶性高分子化合物をスラリー系に添加して高分子の絡み合いによる増粘作用を利用する技術が使われてきた。水溶性高分子化合物は、安価かつ容易に増粘させることができるため、非常に広範囲に用いられているが、水に均一かつ迅速に溶解させることは一般に容易でなく、ママコを形成したり、溶解に長時間を要したりするという課題があった。また、溶解時間の短縮を目的に、予め濃厚な水溶性高分子化合物の水溶液を調製しても、水溶液の粘度は高くなる傾向にあり、添加操作等の作業性に問題が生じることが多い。また、電解質を高濃度で含むスラリーでは、高分子化合物の凝集等により、高い粘度にすることが困難な場合もある。
このような背景から、特許文献1には、カチオン性界面活性剤のような第1の所定の水溶性低分子化合物と、アニオン性芳香族化合物のような第2の所定の水溶性低分子化合物とを含有するスラリーレオロジー改質剤が開示されている。
また、特許文献2には、炭素数10から26の炭化水素基を少なくとも1つ有する4級カチオン基と芳香族アニオン基とを含む4級塩型カチオン性化合物を含有するレオロジー改質剤が開示されている。
特許文献3には、4級カチオン基と芳香族アニオン基とを含む特定の4級塩型カチオン性化合物と、アニオン性芳香族化合物とを、特定のカチオン基/(アニオン基+アニオン性芳香族化合物)モル比で含有するレオロジー改質剤が開示されている。
特開2003-313536号公報 特開2004-124007号公報 特開2010-65189号公報
液体と固体の混合物であるスラリーは、相分離を起こさないことが望ましい。例えば、建材や地盤改良などに用いられるコンクリート、モルタルなどの水硬性スラリーでは、ブリーディングの抑制が求められる。ブリーディングとは、水硬性スラリーの混錬の際に使用した水が、分離して浮き上がる現象をいう。
本発明は、スラリーのレオロジー改質効果に優れ、且つ相分離を抑制できるスラリーレオロジー改質剤を提供する。
本発明は、(A)アニオン性芳香族化合物〔以下、(A)成分という〕と、(B)4級塩型カチオン性化合物〔以下、(B)成分という〕と、(C)硫酸ナトリウム〔以下、(C)成分という〕とを含有するスラリーレオロジー改質剤であって、
(A)成分に対する(C)成分の質量比が0.7質量%以上1500質量%以下である、
スラリーレオロジー改質剤に関する。
本発明によれば、スラリーのレオロジー改質効果に優れ、且つブリーディングなどの相分離を抑制できるスラリーレオロジー改質剤が提供される。
本発明では、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを、所定条件で組み合わせて用いることで、スラリーの相分離を抑制できる。その理由は必ずしも明らかではないが、次のように推察している。本発明では(A)成分と(B)成分により紐状ミセルが形成される。紐状ミセルは水を増粘させるが、スラリー中の粉体には作用しにくいため、スラリーから発生するブリーディング水は、増粘させられなかった余剰の水と考えられる。また、紐状ミセルは、系を増粘させると同時に水中不分離性を発現させるため、この余剰の水は系中に取り込まれにくく、そのままブリーディングとして残存してしまうことがある。他方、(C)成分の硫酸ナトリウムは他の化合物と比べても水と容易に水和物を形成するため余剰の水を捕捉しやすい。水和した硫酸ナトリウムは紐状ミセルの網目よりも大きな構造となるため、紐状ミセル中から抜け出ることはできない。そのため、増粘しきれなかった水が生じても、硫酸ナトリウムがそれを捕捉して水和し、更に水和した硫酸ナトリウムが、紐状ミセルによってスラリー中に包み込むように取り込まれ一体となったことで、スラリーの相分離を抑制できたものと考えられる。
(A)成分は、アニオン性芳香族化合物である。
(A)成分としては、スルホン酸基やカルボキシル基等のアニオン性基と、ベンゼン環等の芳香族基とを有する化合物が挙げられる。(A)成分としては、具体的には、パラトルエンスルホン酸、サリチル酸、安息香酸、メタキシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等が挙げられる。これらの(A)成分は塩の形態であってもよい。塩は、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などが挙げられ、アルカリ金属塩が好ましい。(A)成分としては、パラトルエンスルホン酸、メタキシレンスルホン酸、サリチル酸及びこれらの塩から選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
(B)成分は、4級塩型カチオン性化合物である。
(B)成分としては、炭素数10から26の炭化水素基を少なくとも1つ有する4級塩型カチオン性化合物が挙げられる。更に(B)成分としては、炭素数10から26の炭化水素基を1つ有する4級塩型カチオン性化合物が挙げられる。前記炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基が挙げられ、アルキル基が好ましい。前記炭化水素基の炭素数は、好ましくは12以上、より好ましくは14以上、そして、好ましくは24以下、より好ましくは22以下である。
(B)成分は、分子量が、例えば1000以下、更に500以下であってよい。
(B)成分は、4級アンモニウム塩であってよい。
(B)成分は、カチオン性界面活性剤、更に4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤から選択されてよい。
(B)成分としては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
(式中、Rは炭素数10以上26以下の炭化水素基、R、R及びRは、それぞれ、水酸基を有していてもよい炭素数1以上3以下の炭化水素基、Xはアニオン性基を表す。)
一般式(1)中、Rは炭素数10以上26以下の炭化水素基である。Rの炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基が挙げられ、アルキル基が好ましい。Rの炭化水素基の炭素数は、好ましくは12以上、より好ましくは14以上、そして、好ましくは24以下、より好ましくは22以下である。
一般式(1)中、R、R及びRは、それぞれ、水酸基を有していてもよい炭素数1以上3以下の炭化水素基である。R、R及びRの炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基が挙げられ、アルキル基が好ましい。R、R及びRの炭化水素基の炭素数は、1又は2が好ましい。R、R及びRの炭素数は、それぞれ、1又は2が好ましい。
一般式(1)中、Xはアニオン性基を表す。Xとしては、ハロゲンイオン、硫酸イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、酢酸イオン、水酸化物イオン、アニオン性芳香族化合物由来のアニオン性基などが挙げられ、ハロゲンイオン、更に塩化物イオンが好ましい。
(C)成分は、硫酸ナトリウムである。(C)成分の硫酸ナトリウムは、無水物でも水和物でもどちらでもよい。
本発明のスラリーレオロジー改質剤は、ブリーディングなどの相分離を抑制する観点から、(A)成分に対する(C)成分の質量比が0.7質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、更に好ましくは4質量%以上、そして、1500質量%以下、好ましくは1200質量%以下、より好ましくは1000質量%以下、更に好ましくは800質量%以下、より更に好ましくは700質量%以下、より更に好ましくは600質量%以下である。この質量比(質量%)は、〔(C)成分の含有量/(A)成分の含有量〕×100で算出される。なお、本発明では、(C)成分の量は、無水物に換算した量を採用する。従って、この質量比の算出にも(C)成分は無水物換算の量を用いる。
また、本発明のスラリーレオロジー改質剤は、(A)成分と(B)成分のモル比である(B)/(A)が、好ましくは1.1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上、そして、好ましくは20以下、より好ましくは13.3以下、更に好ましくは3.3以下であってよい。
本発明のスラリーレオロジー改質剤中の(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下である。本発明のスラリーレオロジー改質剤の固形分中の(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計の固形分の比率は50質量%以上が好ましく、更に75質量%以上が好ましい。本発明のスラリーレオロジー改質剤は、液体状(水溶液等)、固体状(粉末状等)の何れでもよい。
本発明のスラリーレオロジー改質剤は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する1剤型の製剤(液体状、粉末状等)とすることができる。
本発明のスラリーレオロジー改質剤は、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分とを配合してなるスラリーレオロジー改質剤であって、(A)成分に対する(C)成分の質量比が0.7質量%以上1500質量%以下である、スラリーレオロジー改質剤であってよい。
本発明により、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分とを混合するスラリーレオロジー改質剤の製造方法であって、(A)成分に対する(C)成分の質量比が0.7質量%以上1500質量%以下である、スラリーレオロジー改質剤の製造方法が提供される。このスラリーレオロジー改質剤の製造方法には、本発明のスラリーレオロジー改質剤で述べた事項を適宜適用することができる。
本発明のスラリーレオロジー改質剤は、液体の改質剤や、粉末の改質剤を製造する場合の液体の中間体などのハンドリングを改善させるために、溶剤や(B)成分以外の界面活性剤を含有することができる。溶剤としてメタノール、エタノール、2-プロパノール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられ、界面活性剤としてノニオン性界面活性剤等が挙げられる。また、ジエチルグルタル酸、グルタル酸、イタコン酸、ピメリン酸、アゼライン酸等のジカルボン酸を配合することも出来る。
本発明のスラリーレオロジー改質剤は、粉末状で入手、使用することが可能である。粉末化により取り扱いを容易にすることができ、その場合、各種粉体や粉末状の添加剤と予め混合して使用することも可能となる。粉末状のスラリーレオロジー改質剤は、ドラムドライヤー、ベヌレート乾燥機、コニカルドライヤー、熱風乾燥機、真空乾燥機等の装置を用いて揮発分を除き、必要であれば更に粉砕するなどして得ることができる。
本発明のスラリーレオロジー改質剤を、増粘させたいスラリーに添加することで当該スラリーの粘度を上げ、且つ相分離を抑制することができる。
本発明により、粉体と、水と、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分とを混合するスラリーの製造方法であって、(C)成分を、(A)成分に対する(C)成分の質量比が0.7質量%以上1500質量%以下となるように混合する、スラリーの製造方法が提供される。
また、本発明により、スラリーに、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分とを添加するスラリーの製造方法であって、(C)成分を、(A)成分に対する(C)成分の質量比が0.7質量%以上1500質量%以下となるように添加する、スラリーの製造方法が提供される。
また、本発明により、スラリーに、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分とを添加するスラリーの分離抑制方法、更にスラリーのブリーディング抑制方法であって、(C)成分を、(A)成分に対する(C)成分の質量比が0.7質量%以上1500質量%以下となるように添加する、方法が提供される。
これらの質量比(質量%)は、本発明のスラリーレオロジー改質剤での(A)成分に対する(C)成分の質量比を、混合量又は添加量に置き換えて算出される。これらの質量比の好ましい範囲は、本発明のスラリーレオロジー改質剤での(A)成分に対する(C)成分の質量比と同じである。
これらのスラリーの製造方法には、本発明のスラリーレオロジー改質剤で述べた事項を適宜適用することができる。
本発明のスラリーレオロジー改質剤は、水を含有するスラリーに好適に用いられる。本発明のスラリーレオロジー改質剤は、スラリーの水に対して、(A)成分と(B)成分の合計の添加量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは5質量%以下となるようにスラリーに添加される。
例えば、本発明により、水を含有するスラリーの水相中における(A)成分と(B)成分の合計の含有量が0.1質量%以上10質量%以下となるように、本発明のスラリーレオロジー改質剤をスラリーに添加する、スラリーの製造方法が提供される。
また、例えば、本発明により、水を含有するスラリーの水相中における(A)成分と(B)成分の合計の含有量が0.1質量%以上10質量%以下となるように、本発明のスラリーレオロジー改質剤をスラリーに添加する、スラリーのレオロジー制御方法が提供される。この場合、スラリーの制御は、増粘を目的とすることが好ましい。
このスラリーの製造方法やこのスラリーのレオロジー制御方法には、本発明のスラリーレオロジー改質剤で述べた事項を適宜適用することができる。
本発明のスラリーレオロジー改質剤は、スラリー中でレオロジー改質剤自体が会合体を形成し増粘させる機能を有するので、スラリー中に存在する粉体の種類の影響を受けにくく、また、イオン強度の高い水溶液でも増粘できる点から、水を含有するスラリーに適用することが有用であり、水硬性粉体と水とを含有するスラリーにより好適である。
本発明のスラリーレオロジー改質剤は、例えば、水粉体比(水/粉体、質量%)が10%以上1000%以下のスラリーに適用できる。このスラリーを製造する際の粉体としては、水和反応により硬化する物性を有するセメントや石こうといった水硬性粉体を用いることができる。例えばセメントとしては、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、対硫酸塩及びそれぞれの低アルカリ形)、ビーライトセメント(例えば低熱ポルトランドセメント(太平洋セメント製)ハイフローセメント(太平洋セメント製))、各種混合セメント(高炉セメント、シリカフュームセメント、フライアッシュセメント)、エコセメント(太平洋セメント製)などのセメントが挙げられる。また、フィラーも用いることができ、例えば炭酸カルシウム(石粉)、フライアッシュ、高炉スラグ、シリカフューム、ベントナイト、クレー(含水珪酸アルミニウムを主成分とする天然鉱物:カオリナイト、ハロサイト等)が挙げられる。これらの粉体は単独でも、混合されたものでもよい。更に、必要に応じてこれらの粉体に骨材として砂や砂利、及びこれらの混合物が添加されてもよい。また、酸化チタン等の上記以外の無機酸化物系粉体のスラリーや土に適用することもできる。
本発明のスラリーレオロジー改質剤と、水硬性粉体と、水とを含有する水硬性スラリーでは、スラリーの水相に対する(A)成分と(B)成分の合計の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。また、本発明のスラリーレオロジー改質剤と、水硬性粉体と、水とを含有する水硬性スラリーでは、(A)成分と(B)成分の合計と水硬性粉体との質量比である水硬性粉体/〔(A)+(B)〕が、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、そして、好ましくは100000以下、より好ましくは10000以下である。また、本発明のスラリーレオロジー改質剤と、水硬性粉体と、水とを含有する水硬性スラリーは、例えば、水/水硬性粉体比(水/水硬性粉体、質量%)が、20%以上、更に30%以上、そして、1000%以下、更に600%以下であってよい。本発明のスラリーレオロジー改質剤は、このような水硬性スラリーに適用できる。
本発明のスラリーレオロジー改質剤を水硬性スラリーに適用しても、粉体の硬化を妨げず良好な硬化体が得られる。本発明のスラリーレオロジー改質剤はコンクリート構造体やコンクリート製品等に適用できる。水硬性スラリーとしては、水硬性粉体と水とを含有する水硬性組成物、例えばコンクリート、モルタル、セメントミルク等が挙げられる。水硬性スラリーは、例えば、水/水硬性粉体比が、20%以上、更に30%以上、そして、1000%以下、更に600%以下であってよい。本発明のスラリーレオロジー改質剤は、このような水/水硬性粉体の水硬性スラリーに適用できる。なかでも、本発明のスラリーレオロジー改質剤は、地盤改良工法、柱列式連続壁、注入工法などのグラウチングに使用されるグラウト材、ボーリング用セメントミルク、セルフレベリング材、軽量盛土、ひび割れ補修材、軽量モルタル、高流動コンクリート、繊維補強コンクリート、杭周固定液、水中盛土、空隙充填材、ポーラスコンクリート、エアーグラウト材、ECL用コンクリート、PCグラウト、コンクリート流動化剤、リバウンド低減剤、押出成形用増粘剤等に好適に使用できる。
<用いた成分>
表1に、実施例、比較例で用いた成分を示した。
<実施例1及び比較例1>
(1)水硬性組成物の調製
(1-1)比較例1-1
セメント(普通ポルトランドセメント、太平洋セメント製と住友大阪セメント製を質量比50/50で混合した物、以下同じ。)400gと水400gとを混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらに1.0gのA-1及び1.0gのB-1を添加して1分間混錬することで、比較例1-1の水硬性組成物を調製した。
(1-2)比較例1-2
セメント(普通ポルトランドセメント、太平洋セメント製と住友大阪セメント製を質量比50/50で混合した物、以下同じ。)400g、水399.63g及びC-1の水による100倍(質量比)希釈物(以下、C-1希釈物という)0.37gを混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-1(1.0g)及びB-1(1.0g)を添加して1分間混錬することで、比較例1-2の水硬性組成物を調製した。なお、C-1希釈物を用いる場合、表2の水の量(g)は、水とC-1希釈物との合計量を示し、その水の量を基準に(A)成分の質量比と(B)成分の質量比を示した(以下同じ)。
(1-3)比較例1-3
セメント400g、水400g及びC-1(29.6g)を混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-1(1.0g)及びB-1(1.0g)を添加して1分間混錬することで、比較例1-3の水硬性組成物を調製した。
(1-4)実施例1-1
セメント400g、水399.23g及びC-1希釈物0.77gを混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-1(1.0g)及びB-1(1.0g)を添加して1分間混錬することで、実施例1-1の水硬性組成物を調製した。
(1-5)実施例1-2
セメント400g、水398.52g及びC-1希釈物1.48gを混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-1(1.0g)及びB-1(1.0g)を添加して1分間混錬することで、実施例1-2の水硬性組成物を調製した。
(1-6)実施例1-3
セメント400g、水396g及びC-1希釈物4.0gを混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-1(1.0g)及びB-1(1.0g)を添加して1分間混錬することで、実施例1-3の水硬性組成物を調製した。
(1-7)実施例1-4
セメント400g、水385g及びC-1希釈物15gを混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-1(1.0g)及びB-1(1.0g)を添加して1分間混錬することで、実施例1-4の水硬性組成物を調製した。
(1-8)実施例1-5
セメント400g、水400g及びC-1(1.6g)を混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-1(1.0g)及びB-1(1.0g)を添加して1分間混錬することで、実施例1-5の水硬性組成物を調製した。
(1-9)実施例1-6
セメント400g、水400g及びC-1(5.9g)を混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-1(1.0g)及びB-1(1.0g)を添加して1分間混錬することで、実施例1-6の水硬性組成物を調製した。
(1-10)実施例1-7
セメント400g、水400g及びC-1(14.8g)を混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-1(1.0g)及びB-1(1.0g)を添加して1分間混錬することで、実施例1-7の水硬性組成物を調製した。
(2)ブリーディング率
「2010年制定コンクリート標準示方書[規準編]土木学会規準及び関連規準」に記載の「PCグラウトのブリーディング率及び膨張率試験方法(ポリエチレン袋方法)(JSCE-F 532-1999)」に従って、3時間後のブリーディング量を測定し、実施例又は比較例のブリーディング率を算出した。
また、(C)成分を添加しない比較例を基準として、以下の式によりブリーディング減少率を算出した。ブリーディング減少率の値が大きいほどブリーディング抑制効果に優れている。
ブリーディング減少率(%)=〔1-(実施例又は比較例のブリーディング率)/(基準のブリーディング率〕×100
結果を表2に示す。
本試験では、ブリーディング量の測定に20mlのメスシリンダーを用いた。JIS規格R3505より20mlのメスシリンダーの許容誤差はクラスAでは±0.2mL、クラスBでは±0.4mLである。一目盛りは0.2mlであり、許容誤差は±0.2mlである。本測定ではAクラスのメスシリンダーを使用したため、ブリーディング量に0.4mL以上の差があれば有意差と見ることができる。例えば、比較例1-2は、ブリーディング量が、基準である比較例1-1((C)成分を添加していないもの)に対して、0.2ml減っているが、これはメスシリンダーの誤差以内であり有意差と断定できないため、ブリーディング率、ブリーディング減少率ともに比較例1-1と同じとした。一方、実施例1-1から1-7は、いずれも比較例1-1に対してブリーディング量が1mL以上低減しており、明らかな有意差と言えることから、そのブリーディング量の値に基づいてブリーディング率、ブリーディング減少率を算出した。なお、実施例1-2と実施例1-3のように、リーディング量の測定値が±0.2mLにあるものは、比較例1-1に近い方(ブリーディング減少率としては小さくなり不利となる条件の方)の値を採用して同じブリーディング減少率を示した。
<実施例2及び比較例2>
以下の方法で水硬性組成物を調製し、実施例1と同様にブリーディング率及びブリーディング減少率を算出した。ただし、ブリーディング減少率の基準は、同じ試験群で(C)成分を添加しない比較例とした。結果を表3に示す。
(1)比較例2-1
セメント400g及び水400gを混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-1(1.9g)及びB-1(3.2g)を添加して1分間混錬することで、比較例2-1の水硬性組成物を調製した。
(2)実施例2-1
セメント400g、水400g及びC-1(5.92g)を混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-1(1.9g)及びB-1(3.2g)を添加して1分間混錬することで、実施例2-1の水硬性組成物を調製した。
(3)比較例2-2
セメント400g及び水400gを混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-1(1.1g)及びB-2(1.6g)を添加して1分間混錬することで、比較例2-2の水硬性組成物を調製した。
(4)実施例2-2
セメント400g、水400g及びC-1(5.92g)を混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-1(1.1g)及びB-2(1.6g)を添加して1分間混錬することで、実施例2-2の水硬性組成物を調製した。
(5)比較例2-3
セメント400g及び水400gを混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-1(1.1g)及びB-3(1.6g)を添加して1分間混錬することで、比較例2-3の水硬性組成物を調製した。
(6)実施例2-3
セメント400g、水400g及びC-1(5.92g)を混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-1(1.1g)及びB-3(1.6g)を添加して1分間混錬することで、実施例2-3の水硬性組成物を調製した。
(7)比較例2-4
セメント400g及び水400gを混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-2(1.1g)及びB-1(1.2g)を添加して1分間混錬することで、比較例2-4の水硬性組成物を調製した。
(8)実施例2-4
セメント400g、水400g及びC-1(5.92g)を混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-2(1.1g)及びB-1(1.2g)を添加して1分間混錬することで、実施例2-4の水硬性組成物を調製した。
(9)比較例2-5
セメント400g及び水400gを混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-2(1.1g)及びB-2(6.0g)を添加して1分間混錬することで、比較例2-5の水硬性組成物を調製した。
(10)実施例2-5
セメント400g、水400g及びC-1(5.92g)を混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-2(1.1g)及びB-2(6.0g)を添加して1分間混錬することで、実施例2-5の水硬性組成物を調製した。
(11)比較例2-6
セメント400g及び水400gを混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-2(1.5g)及びB-3(2.4g)を添加して1分間混錬することで、比較例2-6の水硬性組成物を調製した。
(12)実施例2-6
セメント400g、水400g及びC-1(5.92g)を混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-2(1.5g)及びB-3(2.4g)を添加して1分間混錬することで、実施例2-6の水硬性組成物を調製した。
(13)比較例2-7
セメント400g及び水400gを混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-3(0.8g)及びB-1(3.2g)を添加して1分間混錬することで、比較例2-7の水硬性組成物を調製した。
(14)実施例2-7
セメント400g、水400g及びC-1(5.92g)を混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-3(0.8g)及びB-1(3.2g)を添加して1分間混錬することで、実施例2-7の水硬性組成物を調製した。
(15)比較例2-8
セメント400g及び水400gを混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-3(0.6g)及びB-2(2.4g)を添加して1分間混錬することで、比較例2-8の水硬性組成物を調製した。
(16)実施例2-8
セメント400g、水400g及びC-1(5.92g)を混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-3(0.6g)及びB-2(2.4g)を添加して1分間混錬することで、実施例2-8の水硬性組成物を調製した。
(17)比較例2-9
セメント400g及び水400gを混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-3(0.8g)及びB-2(3.2g)を添加して1分間混錬することで、比較例2-9の水硬性組成物を調製した。
(18)実施例2-9
セメント400g、水400g及びC-1(5.92g)を混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。さらにA-3(0.8g)及びB-2(3.2g)を添加して1分間混錬することで、実施例2-9の水硬性組成物を調製した。

Claims (4)

  1. (A)アニオン性芳香族化合物〔以下、(A)成分という〕と、(B)4級塩型カチオン性化合物〔以下、(B)成分という〕と、(C)硫酸ナトリウム〔以下、(C)成分という〕とを含有するスラリーレオロジー改質剤であって、
    (A)成分が、パラトルエンスルホン酸、メタキシレンスルホン酸、サリチル酸及びこれらの塩から選ばれる1種以上の化合物であり、
    (A)成分に対する(C)成分の質量比が0.7質量%以上1500質量%以下である、
    スラリーレオロジー改質剤。
  2. (B)成分が、炭素数10から26の炭化水素基を少なくとも1つ有する4級塩型カチオン性化合物である、請求項1に記載のスラリーレオロジー改質剤。
  3. (B)成分が、下記一般式(1)で表される化合物である、請求項1又は2に記載のスラリーレオロジー改質剤。

    (式中、Rは炭素数10以上26以下の炭化水素基、R、R及びRは、それぞれ、水酸基を有していてもよい炭素数1以上3以下の炭化水素基、Xはアニオン性基を表す。)
  4. 粉体と水とを混合してスラリーを製造する際に、(A)アニオン性芳香族化合物〔以下、(A)成分という〕と、(B)4級塩型カチオン性化合物〔以下、(B)成分という〕と、(C)硫酸ナトリウム〔以下、(C)成分という〕とを混合する、スラリーのブリーディング抑制方法であって、
    (A)成分が、パラトルエンスルホン酸、メタキシレンスルホン酸、サリチル酸及びこれらの塩から選ばれる1種以上の化合物であり、
    (C)成分を、(A)成分に対する(C)成分の質量比が0.7質量%以上1500質量%以下となるように混合する、
    スラリーのブリーディング抑制方法。
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