JP7478455B2 - 酸化グラフェンの還元方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化グラフェンを表面波プラズマの環境に置くことにより、酸化グラフェンを還元して導電率を向上させる方法に関する。
酸化グラフェンを還元して還元性グラフェンを得る方法として、特許文献1、2、及び非特許文献1に記載の方法が知られている。特許文献1に開示の方法は、酸化グラフェンに交流電圧を印加しながら紫外線を照射する方法である。また、特許文献2に開示の方法は、多孔質グラフェン酸化物に酸化グラフェンの吸収ピークを含む波長200nmから400nm、パルス幅10μsから50msの光を照射して還元する方法である。非特許文献1に開示の方法は、プラズマにより酸化グラフェンを還元する方法である。
特許第5806618号 特許第5555035号 S.H.B. Vinoth Kumar, R. Muydinov, B. Szyszka, Plasma assisted reduction of graphene oxide films, Nanomaterials 11 (2021) 1 37
特許文献1、2の方法は、何れも光照射により酸化グラフェンを還元する方法である。しかしながら、大面積での還元や抵抗率の十分な低下は得られていない。また、非特許文献1では、ICPにより生成されたプラズマを低圧環境でDCで加速してビームプラズマにして酸化グラフェンに照射しるすことにより、還元することを開示している。しかし、導電性低減が十分でなく、還元酸化グラフェンの膜表面に損傷を与えるという問題がある。また、大気圧グロー放電プラズマ、RFプラズマ、電子ビームプラズマ、誘電体バリア放電プラズマなどの各種のプラズマを用いる還元方法は知られているが、マイクロ波励起表面波プラズマを用いて酸化グラフェンを還元することは、全く知られていない。
そこで本発明の目的は、酸化グラフェンを効率良く還元して、損傷を与えることなくシート抵抗を大きく低下させる方法を実現することである。
本発明は酸化グラフェンを還元する方法であって、酸化グラフェンを、マイクロ波励起された表面波プラズマの雰囲気に置き、酸化グラフェンは、基板の両面に形成された膜であり、基板の裏面の酸化グラフェン膜も還元され、酸化グラフェンの還元後のシート抵抗は1.075kΩ/□以下であることを特徴とする酸化グラフェンの還元方法である。
また、他の発明は酸化グラフェンを還元する方法であって、酸化グラフェンを、マイクロ波励起された表面波プラズマの雰囲気に置き、酸化グラフェンは基板に支持されていない自立した柔軟屈曲性の酸化グラフェンであり、酸化グラフェンの還元後のシート抵抗は134Ω/□以下であることを特徴とする酸化グラフェンの還元方法である。
本発明において、酸化グラフェンが置かれる雰囲気は、全プラズマ領域のうち、電子温度がより低く電子密度がより高いバルク領域であることが望ましい。この領域で還元処理することで、グラフェンに損傷を与えることなく、効果的に抵抗率を低減できる。マイクロ波を放射する導波管と基板との間の距離を調整することで、酸化グラフェンをプラズマのバルク領域に位置させるようにしても良い。
表面波プラズマを生成するガスは、酸化グラフェンを還元できるガスであれば任意である。特に、表面波プラズマを生成するガスは、水素とアルゴンとの混合ガス、酸化炭素とアルゴンとの混合ガス、窒素と水素とアルゴンとの混合ガスのうち少なくとも一つの混合ガスであることが望ましい。
表面波プラズマの酸化グラフェンへの照射は室温において実行されることが望ましい。また、酸化グラフェンは、基板の両面に形成された膜であり、基板の裏面の酸化グラフェン膜も還元されるようにしても良い。基板はポリエチレンテレフタラート(以下、「PET」と記す)(polyethylene terephthalate)等のポリエステルを用いることができる。この他、樹脂、紙、繊維、セラミクス、ガラス、半導体、金属など用いることができる。本発明によると基板の裏面側の酸化グラフェンも表面側の酸化グラフェンと同程度に還元できシート抵抗も同程度に低下させることができる。
酸化グラフェンは基板に支持されていない自立した柔軟屈曲性の酸化グラフェンとすることができる。基板は微孔性の紙であり、自立した柔軟屈曲性の酸化グラフェンは、該紙から剥離させた酸化グラフェンとすることができる。これにより柔軟屈曲性の電子部品や電極などを実現することが可能となる。また、基板上に被覆した酸化グラフェンの還元後のシート抵抗は1.075kΩ/□以下とすることができる。さらに、自立した柔軟屈曲性の酸化グラフェンの場合には、134Ω/□以下とすることができる。
本発明によると、表面に損傷を与えることなく、シート抵抗を効率良く低下させた還元酸化グラフェンを得ることができる。
本発明の実施例で用いられる還元装置を示した構成図。 ガラス板で両端が担持された自立性グラフェン膜が還元された状態を示す写真。 (a)は酸化グラフェンの担持方法を示した概念図であり、(b)は還元前、還元後のグラフェンの表面状態を示した写真。 実施例1に係る酸化グラフェン及び還元酸化グラフェンのXPSスペクトルである。(a)は還元前のグラフェンのC1sスペクトル、(b)は還元前のグラフェンのO1sスペクトル、(c)は還元後のグラフェンのC1sスペクトル、(d)は還元後のグラフェンのO1sペクトル。 実施例2に係り、混合ガスを変化させた時の還元後の酸化フクラフェンのXPSスペクトルである。(a)は還元酸化グラフェンのXPSによるC1sスペクトル、(b)は還元酸化グラフェンのO1sスペクトル、(c)は還元酸化グラフェンのN1sスペクトル。 実施例3に係る混合ガスを用いて還元した時の還元後の酸化グラフェンのXPXスペクトルである。(a)はC1sスペクトル、(b)はO1sスペクトル。 実施例4に係る還元酸化グラフェンのラマン散乱スペクトルである。(a)はPET基板の前面に形成した還元後のグラフェンのラマン散乱スペクトル、(b)はそのグラフェンのSEM像、(c)はPET基板の下面に形成した還元後のグラフェンのラマン散乱スペクトル、(d)はそのグラフェンのSEM像。 (a)は実施例5に係る自立性の還元酸化グラフェンのラマン散乱スペクトル、(b)、(c)は表面のSEM象、(d)は断面のSEM象である。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
図1は、酸化グラフェン膜にプラズマを照射する装置を示している。本実施例では、第1にアルゴン(Ar)と水素(H2 )との混合ガス、第2にアルゴン(Ar)と窒素(N2 )と水素(H2 )との混合ガス、第3にアルゴン(Ar)と二酸化炭素(CO2 )との混合ガスの3種類の混合ガスを、それぞれ用いて酸化グラフェンの還元を行った。
図1.Aに示されるように、還元装置100は、プラズマ発生容器1と、その上部に配設された導波管2とを有する。プラズマ発生容器1と導波管2との間には、石英から成るプラズマ励振板3が設けられている。プラズマ励振板3のプラズマ発生容器1側に面した面には多数の微小な凹部30が形成されている。この凹部30に電界が集中することにより、凹部30がプラズマの発生起点となり、低電力でのプラズマの発生が容易になる。また、プラズマ発生容器1の内部及びプラズマ励振板3をマイクロ波で励振するために導波管2の下部にスロットアンテナ4が設けられている。導波管2には2.45GHzのマイクロ波が供給され、スロットアンテナ4を介して、プラズマ発生容器1の内部及びプラズマ励振板3に電磁波が供給される。
プラズマ発生容器1の内部には、酸化グラフェン5を設置するサセプタ6が設けられている。サセプタ6はプラズマ励振板3に対する距離(高さ)の調整が可能な制御台7の上に設置されている。プラズマを生成する原料ガスは、マスフローコントローラにより供給量が調整されて、プラズマ発生容器1の右側に設けられた導入口11からプラズマ発生容器1内に導入される。プラズマ発生容器1の左側には、ガスを外部へ排出する排出口12が設けられている。プラズマ発生容器1の内部は、図示しない真空ポンプにより5×10-3Pa程度に減圧できるようになっている。酸化グラフェン5には酸化グラフェン膜で被覆されたPET基板が用いられた。基板にはPETの他、樹脂、紙、繊維、セラミクス、ガラス、半導体、金属などを用いても良い。
また、供給するマイクロ波の周波数は2.45MHz、電力は1.5kWとした。プラズマ発生容器1の内部の圧力は混合ガスを導入した後は、14-20Paとした。この装置は、マイクロ波励起表面波プラズマ発生装置である。プラズマ発生容器1の内部の圧力は、1~500Paの範囲で調整できる。また、温度は室温とした。
酸化グラフェン5は、PET(ボリエチレンテレフタレート,polyethylen terephthalate )の他、柔軟屈曲性材料、樹脂、高分子材料、陶器、ガラス、紙などの基板に被覆したものを用いることができる。酸化グラフェン5は基板のプラズマが照射される側の前面(上面)だけに形成したものと、裏面(下面)だけ形成したものと、基板の両面に形成したものとの3種類準備した。
酸化グラフェンは日本触媒製を用いた。エタノールを溶媒とする酸化グラフェン溶液を製造した。酸化グラフェン粉末の濃度は、10mg/ml以上、100mg/ml以下の範囲とした。酸化グラフェン粉末融液を厚さ100μmのPET基板上に滴下又はスピンコートして膜を形成した。酸化グラフェン膜が被覆された基板は乾燥させるために室温から50℃の範囲に放置された。また、自立性酸化グラフェン膜を得るために、濾紙の上に酸化グラフェン粉末融液を膜状に塗布して、剥離させることにより自立性酸化グラフェン膜を製造した。
これらの酸化グラフェン膜で被覆されたPET基板は、プラズマ照射装置のサセプタ6の上に載置された。また、自立性酸化グラフェン膜は図1.Bのように、自立性酸化グラフェン膜の両端を2枚のガラスで挟持し、酸化グラフェン膜の裏面にもプラズマが照射されるようにした。
酸化グラフェン膜は、電子温度が低く電子濃度が高いバルク領域に置かれた。これによりプラズマによるグラフェン膜の損傷が回避された。プラズマ発生容器1の内部においてプラズマ励振板3付近では、電子温度と電子濃度が極めて高いが、サセプタ6の付近では電子温度が低く電子濃度が高いバルク領域が、表面波プラズマにより実現される。
反応室1の内圧を5×10-3Pa程度の低圧にした後、水素とアルゴン(混合比2:5)の混合ガスを反応室1に導入して内圧を14-20Paとした。その後に、マイクロ波を導入して酸化グラフェン膜の表面付近に表面波プラズマを形成した。プラズマ電力は1kW、処理時間は5分である。
同様に、アルゴン(Ar)と窒素(N2 )と水素(H2 )との混合ガス(第2混合ガス)、アルゴン(Ar)と二酸化炭素(CO2 )との混合ガス(第3混合ガス)を用いて同様な酸化グラフェン膜の還元処理を行った。還元処理後のグラフェン膜をX線光電子分光法(XPS)分析、走査型電子顕微鏡(SEM)像解析、ラマン散乱分析を行った。また、シート抵抗を測定した。
図2(a)はPET基板に酸化グラフェン膜を前面(上面)に被覆した場合(A)、両面に被覆した場合(B)、自立性酸化グラフェン膜(C)の状態を示している。図2(b)は被覆した状態の表面写真である。PET基板の両面に被覆した場合にも表面波プラズマ処理により還元が行われていた。還元処理によりシート抵抗は、1.0750KΩ/□(最低値650Ω/□)が得られた。自立性酸化グラフェン膜の場合には、還元処理により134Ω/□(最低値104Ω/□)のシート抵抗が得られた。
還元したグラフェン膜の表面のSEM像、XPSスペクトル、ラマンスペクトルが測定された。PET上の片面に被覆された酸化グラフェン膜、両面に被覆された酸化グラフェン膜共に、加熱することなく、室温(25-30℃)でマイクロ波励起表面波プラズマの雰囲気のバルク領域に置かれた。プラズマの照射後には、PET基板では10-20℃の温度上昇が測定された。
図3は雑音除去して平滑化されたXPSスペクトルを示している。図3(a)、(b)は表面波プラズマによる還元処理する前の酸化グラフェン膜のXPSスペクトル、図3(c)、(d)はH2 とArとの混合ガスの表面波プラズマにより還元された還元酸化グラフェン膜のXPXスペクトルである。図3(a)、(c)はC1s、(b)、(d)はO1sのXPXスペクトルを示している。
図3(a)においては、284.0、284.24、286.33、287.47,288.41eVにピークが存在する。これらのピークは、それぞれ、Csp2 、Csp3 、C-O、C=O、C(O)OH結合の存在を表している。還元前の酸化グラフェンには高濃度の酸素が存在していることを示している。図3(b)においては、532.09、530.49eVにピークが存在する。各ピークはC-O、C=O結合の存在を示している。酸素濃度は31.5at%であった。
図3(c)においては、283.95、285.54、287.28eVにピークが存在する。これらのピークは、Csp2 、C-O、C=O結合の存在を示している。図3(a)と(c)とを対比すれば、明らかに表面波プラズマ処理によりC-O、C=O結合エネルギーが低減されていることが分かる。sp2 ピークが大きくなっていることから、炭素が還元されて、炭素が酸素から分離回復されていることが分かる。
図3(d)においては、532.18、531.37、530.48eVにピークが存在する。これらのピークは炭素の五員環、C=O、C-O結合を表している。表面波プラズマ処理により、O1sピークは還元により還元前より明らかに小さくなっている。定量解析により酸素濃度は13at%であった。表面波プラズマ処理により酸素濃度は還元前に比べて18.5at%だけ減少されることができた。
本実施例は混合ガスに、H2 とArとN2 の混合ガスの表面波プラズマを用いてPET基板上の酸化グラフェン膜を還元処理をした例である。図4は、H2 、Ar、N2 の混合ガスの表面波プラズマにより還元処理された還元酸化グラフェンの雑音除去して平滑化されたXPSスペクトルである。他の条件は実施例1と同一である。図4(a)はC1sスペクトルであり、284.39.285.64、287.39,288.65eVにピークが存在する。図3(a)の還元前のXPSスペクトルと比較すれば、表面波プラズマによる還元後には、酸素結合に関するC1sスペツトルは、大きく減少していることが分かる。図4(b)はO1sスペクトルであり、530.48、531.37、532.65eVにピークが存在する。
図4(c)はN1sスペクトルであり、N原子が表面波プラズマ処理によりグラフェン膜に取り込まれていることが分かる。図4(c)において、還元処理後には、398.67、399.83、401.48eVにピークが存在し、ぞれぞれ、ピリジン窒素、ピロリック窒素、グラファイト窒素のスペクトルを示している。定量分析によると、還元酸化グラファイトに含まれる炭素、窒素、酸素は、70.0at%、8.6at%、21.4at%であった。このことから、酸化グラフェンを表面波プラズマ処理して得られる還元グラフェンは、窒素がドープされていることが分かる。他のドーパントも他のガスを用いることで、同様に表面波プラズマ処理により還元グラフェンに添加されることが理解される。
本実施例は、混合ガスとしてアルゴンガスと二酸化炭素ガスの混合ガスを用いた例である。図5は、PET基板上の酸化グラフェンを表面波プラズマで還元した酸化グラフェンに対する雑音除去され平滑化されたXPSスペクトルを表している。図5(a)はC1sスペクトルを表し、284.42、285.72、287.36、288.64eVにピークが存在する。図5(b)はO1sスペクトルを表している。図5(b)において、530.48、531.37、532.65eVにピークが存在する。酸素の還元が行われていることが分かる。しかし、酸素濃度は23.8at%と他の実施例1、2に比べて高かった。このように、表面波プラズマによる還元処理において、ガスの種類は重要であることが分かる。
本実施例は、PTE基板の両面に酸化グラフェン膜を被覆してアルゴンガスと水素ガスの混合ガスの表面波プラズマで還元処理した例である。図6(a)、(b)は、それぞれ、PET基板の前面(上面)に形成した還元酸化グラフェン膜のラマンスペクトル、SEM像である。図6(c)、(d)は、それぞれ、PTE基板の裏面(下面)に形成した還元酸化グラフェン膜のラマンスペクトル、SEM像である。
図6(a)において、ラマンスペツトルは、Dバンド、グラファイトGバンドが、それぞれ、1349cm-1、1599.5cm-1に表れている。DバンドはA1g対象性を有するk点におけるフォノン散乱による。GバンドはグラファイトのE2gモードであり、sp2 結合炭素原子の振動に関連するモードである。他の2つピークは、2698cm-1、2920cm-1に観測された。それぞれ、2D、D+G結合モードである。還元酸化グラフェンでは、還元前の酸化グラフェンに比べてラマンスペクトルにおいて、IG /ID 比が若干大きくなったが、酸化グラフェンと還元性グラフェンとで大差はなかった。
図6(c)において、1347cm-1、1594.7cm-1で、それぞれ、Dバンド、Gバンドが観測された。他の2つピークは、2704cm-1、2922cm-1に観測された。それぞれ、2D、D+G結合モードである。
図6(b)、(d)のSEM像を対比すれば、PET基板の前面(上面)の還元酸化グラフェン膜と、PET基板の裏面(下面)の還元酸化グラフェン膜の表面モホロジィは同様であることが分かる。両膜の厚さは5μmであった。基板の裏面上の還元酸化グラフェン膜も前面上の還元酸化グラフェン膜とラマンスペクトルとSEM像で差異がないことは、表面波プラズマ照射装置の上側から見て基板によっ影になる部分に形成された酸化グラフェン膜も十分に還元でき、両者には特性上差異がないことを意味する。このことから、プラズマ照射に対して影となる部分が存在する屈曲した柔軟性材料であっても、表面に酸化グラフェン膜を形成して表面波プラズマを照射することで、特性が良好な還元酸化グラフェン膜が形成されることが分かる。
次に自立性還元酸化グラフェン膜について説明する。本実施例はアルゴンガスと水素ガスの混合ガスの表面波プラズマで自立性酸化グラフェンを還元処理した例である。図7(a)は自立性還元酸化グラフェン膜のラマンスペクトルである。Dバンドと、グラフェンGバンドが、それぞれ、1340.5cm-1,1580cm-1に表れている。他の2つピークは、2690.5cm-1、2920cm-1に観測された。それぞれ、2D、D+G結合モードである。ラマンスペクトルはPET基板上に形成した還元酸化グラフェン膜と同様であった。
図7(b)、(c)は自立性還元酸化グラフェン膜の表面のSEM像である。(c)には、層構造とポーラスとを有する微細構造が示されている。(d)は膜の厚さとポーラスの存在を示す自立性還元酸化グラフェン膜の断面のSEM像である。
自立性酸化グラフェン膜を表面波プラズマ処理した後の還元酸化グラフェン膜のシート抵抗は、平均で134Ω/□、最低値で104Ω/□であった。すなわち、表面波プラズマによる還元処理によりシート抵抗は134Ω/□以下にできることが分かる。
このように、表面波プラズマにより処理された還元酸化グラフェン膜は、低抵抗率を示すことから、様々なクリーンエネルギーデバイス、たとえば、超キャパシタ、燃料電池や金属-空気電池における触媒主電極、様々な他の電気化学装置、屈曲柔軟性電子機器の実用化にとって重要である。
[結論]
最も還元に効果的なガスは、ArとH2 との混合ガスであることが、XPSと導電率解析から分かった。PETの両面に形成した酸化グラフェン膜も同様に還元することができた。表面波プラズマ処理によりシート抵抗は10MΩ/□から平均で1.07560KΩ/□まで減少させることができる。すなわち、シート抵抗を1/104 以下に低下できることが分かった。。ArとH2 ガスに窒素ガスを含めることで、窒素ドーパントを9.1at%にドープすることができた。このことから、各種のドーパントも添加可能であることが分かった。また、ArとH2 とCO2 の混合ガスの表面波プラズマも酸化グラフェンを十分に還元することが可能であることが分かった。また、マイクロポーラス自立性還元酸化グラフェン膜は、平均で134Ω/□のシート抵抗を示した。このことから、自立性還元酸化グラフェン膜は本発明の表面波プラズマ処理により134Ω/□以下のシート抵抗にできることが分かった。
本発明は、導電率の高い、広面積の還元酸化グラフェンの効率の良い製法に用いることができる。
1:プラズマ発生容器
3:励振板
5:基板
7:制御台

Claims (6)

  1. 酸化グラフェンを還元する方法であって、
    酸化グラフェンを、マイクロ波励起された表面波プラズマの雰囲気に置き、
    前記酸化グラフェンは、基板の両面に形成された膜であり、基板の裏面の酸化グラフェン膜も還元され、
    前記酸化グラフェンの還元後のシート抵抗は1.075kΩ/□以下であることを特徴とする酸化グラフェンの還元方法。
  2. 酸化グラフェンを還元する方法であって、
    酸化グラフェンを、マイクロ波励起された表面波プラズマの雰囲気に置き、
    前記酸化グラフェンは基板に支持されていない自立した柔軟屈曲性の酸化グラフェンであり、
    前記酸化グラフェンの還元後のシート抵抗は134Ω/□以下であることを特徴とする酸化グラフェンの還元方法。
  3. 前記基板は微孔性の紙であり、自立した柔軟屈曲性の酸化グラフェンは、該紙から剥離させた酸化グラフェンであることを特徴とする請求項2記載の酸化グラフェンの還元方法。
  4. 前記酸化グラフェンが置かれる雰囲気は、全プラズマ領域のうち、電子温度がより低く電子密度がより高いバルク領域であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の酸化グラフェンの還元方法。
  5. 前記表面波プラズマは、水素とアルゴンとの混合ガス、酸化炭素とアルゴンとの混合ガス、窒素と水素とアルゴンとの混合ガスのうち少なくとも一つの混合ガスの表面波プラズマであることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の酸化グラフェンの還元方法。
  6. 前記表面波プラズマの前記酸化グラフェンへの照射は室温において実行されることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の酸化グラフェンの還元方法。
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