以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
実施形態に係る双腕ロボット100について説明する。図1は、双腕ロボット100の正面図である。図2は、双腕ロボット100の平面図である。尚、図2では、双腕ロボット100が作業システム1000に組み込まれた状態が図示されている。
双腕ロボット(以下、単に「ロボット」とも称する)100は、第1ロボットアーム1と、第1ロボットアーム1に連結された第1エンドエフェクタ3と、第2ロボットアーム4と、第2ロボットアーム4に連結された第2エンドエフェクタ6と、制御部7(図6参照)とを備えている。
<ロボットアーム>
第1ロボットアーム1及び第2ロボットアーム4は、多関節型のロボットアームである。より具体的には、第1ロボットアーム1及び第2ロボットアーム4は、水平多関節型のロボットアームである。第1ロボットアーム1及び第2ロボットアーム4は、協調して動作を実行する。
以下、説明の便宜上、互いに直交するX,Y,Z軸を設定する。Z軸は、上下方向に延びている。図3は、双腕ロボット100の左側面図である。図4は、双腕ロボット100の右側面図である。尚、図3,4では、基台8の一部を省略している。第1ロボットアーム1及び第2ロボットアーム4の状態は、図1~4のそれぞれで異なっている。第1リスト2及び第2リスト5の状態は、図1,2で異なっている。
第1ロボットアーム1は、第1リンク11と第2リンク12と第1リスト2とを有している。第2ロボットアーム4は、第1リンク41と第2リンク42と第2リスト5とを有している。以下、各リンクにおいて長手方向の一端部を第1端部と称し、長手方向において第1端部と反対側の端部を第2端部と称する。
第1ロボットアーム1に関し、第1リンク11の第1端部11aは、Z軸方向に延びる第1軸A1回りに回転可能に基台8に連結されている。第2リンク12の第1端部12aは、Z軸方向に延びる第2軸A2回りに回転可能に第1リンク11の第2端部11bに連結されている。第1リンク11の第2端部11bの上に第2リンク12の第1端部12aが配置されている。
第2ロボットアーム4に関し、第1リンク41の第1端部41aは、第1軸A1回りに回転可能に基台8に連結されている。つまり、第1リンク41は、第1リンク11と同軸状に基台8に連結されている。第1リンク41の第1端部41aは、第1リンク11の第1端部11aの上に配置されている。第2リンク42の第1端部42aは、Z軸方向に延びる第2軸B2回りに回転可能に第2リンク41の第2端部41bに連結されている。第1リンク41の第2端部41bの下に第2リンク42の第1端部42aが配置されている。
ロボット100は、第1リンク11を駆動する第1モータ13と、第2リンク12を駆動する第2モータ14と、第1リンク41を駆動する第3モータ43と、第2リンク42を駆動する第4モータ44とを有している(図6参照)。例えば、第1モータ13、第2モータ14、第3モータ43及び第4モータ44は、サーボモータである。サーボモータは、モータの回転位置を検出するエンコーダを備えている。ロボット100は、図示を省略するが、各モータの駆動力を対応するリンクに伝達する伝達機構を有している。例えば、伝達機構は、ギヤ列とプーリ及びベルトとの組み合わせである。
第1エンドエフェクタ3は、第1ロボットアーム1の先端部、具体的には、第1リスト2に連結されている。第1リスト2は、第1エンドエフェクタ3を、Z軸方向に延びる第3軸A3に沿って直動させると共に、Z軸方向に延びる第4軸A4回りに回転させる。この例では、第3軸A3と第4軸A4とは、同軸である。
第2エンドエフェクタ6は、第2ロボットアーム4の先端部、具体的には、第2リスト5に連結されている。第2リスト5は、第2エンドエフェクタ6を、Z軸方向に延びる第3軸B3に沿って直動させると共に、Z軸方向に延びる第4軸B4回りに回転させる。この例では、第3軸B3と第4軸B4とは、同軸である。
<第1リスト>
第1リスト2は、第1接続部21と、第1リンク22と、第2リンク23と、第2接続部24とを有している。第1接続部21は、第2リンク12の第2端部12bに固定的に取り付けられている。第1リンク22は、XY平面と平行に延びる第1連動軸C1回りに回転可能に第1接続部21に連結されている。第2リンク23は、第1連動軸C1と平行な第2連動軸C2回りに回転可能に第1リンク22に連結されている。第2接続部24は、第1連動軸C1と平行な第3連動軸C3回りに回転可能に第2リンク23に連結されている。
第1接続部21には、図3に示すように、第5モータ25が設けられている。第1リスト2には、第5モータ25の駆動力を第1リンク22、第2リンク23及び第2接続部24のそれぞれに伝達する伝達機構(図示省略)が設けられている。例えば、伝達機構は、ギヤ列である。第1リンク22、第2リンク23及び第2接続部24は、1つの第5モータ25の駆動力によって連動して動作する。伝達機構は、第1リンク22、第2リンク23及び第2接続部24のそれぞれの回転角が一定の関係を維持するように、第1リンク22、第2リンク23及び第2接続部24を回転させる。具体的には、第2接続部24が姿勢を維持したまま、Z軸方向に延びる第3軸A3の方向にのみ移動するように、第1リンク22、第2リンク23及び第2接続部24は互いに連動して回転する。つまり、第1リスト2は、実質的には、第2接続部24を第3軸A3に沿って直動させる。
第2接続部24には、Z軸方向に延びる第4軸A4回りに回転可能に第1エンドエフェクタ3が連結される。第2接続部24には、第6モータ27と、第6モータ27の駆動力を第1エンドエフェクタ3に伝達する伝達機構(図示省略)とが設けられている。第1エンドエフェクタ3は、第6モータ27によって第4軸A4回りに回転させられる。
<第2リスト>
第2リスト5は、実質的に第1リスト2と同様の構成をしている。第2リスト5は、第1接続部51と、第1リンク52と、第2リンク53と、第2接続部54とを有している。第1接続部51は、第1接続部21に対応し、第1リンク52は、第1リンク22に対応し、第2リンク53は、第2リンク23に対応し、第2接続部54は、第2接続部24に対応する。
第1接続部51は、第2リンク42の第2端部42bに固定的に取り付けられている。第1リンク52は、XY平面と平行に延びる第1連動軸D1回りに回転可能に第1接続部51に連結されている。第2リンク53は、第1連動軸D1と平行な第2連動軸D2回りに回転可能に第1リンク52に連結されている。第2接続部54は、第1連動軸D1と平行な第3連動軸D3回りに回転可能に第2リンク53に連結されている。
第1接続部51には、図4に示すように、第7モータ55が設けられている。第2リスト5には、第7モータ55の駆動力を第1リンク52、第2リンク53及び第2接続部54のそれぞれに伝達する伝達機構(図示省略)が設けられている。第1リンク52、第2リンク53及び第2接続部54は、1つの第7モータ55の駆動力によって連動して動作する。伝達機構は、第1リンク52、第2リンク53及び第2接続部54のそれぞれの回転角が一定の関係を維持するように、第1リンク52、第2リンク53及び第2接続部54を回転させる。具体的には、第2接続部54が姿勢を維持したまま、Z軸方向に延びる第3軸B3の方向にのみ移動するように、第1リンク52、第2リンク53及び第2接続部54は互いに連動して回転する。つまり、第2リスト5は、実質的には、第2接続部54を第3軸B3に沿って直動させる。
第2接続部54には、Z軸方向に延びる第4軸B4回りに回転可能に第2エンドエフェクタ6が連結される。第2接続部54には、第8モータ57と、第8モータ57の駆動力を第2エンドエフェクタ6に伝達する伝達機構(図示省略)とが設けられている。第2エンドエフェクタ6は、第8モータ57によって第4軸B4回りに回転させられる。
<第1エンドエフェクタ>
図5は、第1エンドエフェクタ3及び第2エンドエフェクタ6の斜視図である。第1エンドエフェクタ3は、図3,5に示すように、第1リスト2の第2接続部24に回転可能に連結されたベース30と、ベース30に設けられた吸着部31と、ベース30に設けられたハンド36とを有している。
ベース30は、第1プレート30aと第2プレート30bとを有している。第1プレート30aと第2プレート30bとは、互いに垂直に連結されている。第1プレート30aは、第4軸A4回りに回転可能に第2接続部24に連結される。第1プレート30aは、第4軸A4と直交する面、即ち、水平面内で延びている。第2プレート30bは、第4軸A4に対して平行に拡がっている。
吸着部31は、ブラケット32と、複数(例えば、3個)の吸着パッド33とを有している。
ブラケット32は、水平方向に延びる第1回転軸E1回りに回転可能にベース30に連結されている。ブラケット32は、第1プレート32aと第2プレート32bと第3プレート32cを有している。第1プレート32aと第2プレート32b及び第3プレート32cとは、互いに垂直に連結されている。第1プレート32aは、第1回転軸E1と直交する状態でベース30、具体的には、第2プレート30bに連結されている。第2プレート32b及び第3プレート32cは、第1回転軸E1に対して平行に拡がっている。
ベース30には、ブラケット32を回転させる第9モータ34が設けられている。ブラケット32は、第9モータ34によって第1回転軸E1回りに回転駆動される。
吸着パッド33は、第2プレート32bに設けられている。吸着パッド33は、第2プレート32bのうち第1回転軸E1とは反対側の面に設けられている。第2プレート32bからそれぞれの吸着パッド33までの距離は、互いに等しい。
吸着パッド33は、配管及び電磁弁35(図6参照)を介して負圧源(図示省略)と接続されている。負圧源は、空気を吸引して、吸着パッド33に吸引力を発生させる。電磁弁35によって配管の開通及び遮断が切り替えられ、その結果、吸着パッド33による吸着及び吸着解除が切り替えられる。
ハンド36は、一対の指37と、一対の指37を駆動するアクチュエータ(図示省略)とを有している。一対の指37は、互いに平行に且つ第1回転軸E1と平行に延びている。一対の指37は、互いに接近及び離間する方向に摺動可能にガイド39に支持されている。一対の指37は、互いに平行な状態を維持したまま、互いに離間したり、互いに接近したりするようにガイド39によって案内される。
アクチュエータは、例えば、エアシリンダである。アクチュエータは、配管及び電磁弁310(図6参照)を介してエアコンプレッサ(図示省略)に接続されている。エアコンプレッサは、空気を圧送することによってアクチュエータを駆動する。アクチュエータが一対の指37を移動させる方向は、電磁弁310によって切り替えられる。つまり、一対の指37が互いに離間する方向に移動するか、互いに接近する方向に移動するかが電磁弁310によって切り替えられる。
第1エンドエフェクタ3は、第1ビジョンセンサ311をさらに有している。第1ビジョンセンサ311は、ベース30に設けられている。第1ビジョンセンサ311は、Z軸方向の下向きに設置され、第1ビジョンセンサ311よりも下方の対象物を撮像する。
このように構成にされた第1エンドエフェクタ3は、吸着部31によってワークを保持し、保持したワークを第1回転軸E1回りに回転させることできる。また、第1エンドエフェクタ3は、ハンド36によって別のツールを保持し、ツールを用いた作業を行うことができる。このときも、第1エンドエフェクタ3は、ツールを第1回転軸E1回りに回転させることができる。
<第2エンドエフェクタ>
第2エンドエフェクタ6は、図4,5に示すように、第2リスト5の第2接続部54に回転可能に連結されたベース60と、ベース60に設けられた第1吸着部61と、ベース60に設けられた第2吸着部66とを有している。
ベース60は、第1プレート60aと第2プレート60bとを有している。第1プレート60aと第2プレート60bとは、互いに垂直に連結されている。第1プレート60aは、第4軸B4回りに回転可能に第2接続部54に連結される。第1プレート60aは、第4軸B4と直交する面、即ち、水平面内で延びている。第2プレート60bは、第4軸B4に対して平行に拡がっている。
第1吸着部61は、ブラケット62と、複数(例えば、3個)の第1吸着パッド63とを有している。
ブラケット62は、水平方向に延びる第2回転軸E2回りに回転可能にベース60に連結されている。ブラケット62は、第1プレート62aと第2プレート62bと第3プレート62cとを有している。第2プレート62bと第3プレート62cとは、互いに平行に配置されている。第1プレート62aと第2プレート62b及び第3プレート62cとは、互いに垂直に連結されている。第1プレート62aは、第2回転軸E2と直交する状態でベース60、具体的には、第2プレート60bに連結されている。第2プレート62b及び第3プレート62cは、第2回転軸E2に対して平行に拡がっている。
ベース60には、ブラケット62を回転させる第10モータ64が設けられている。ブラケット62は、第10モータ64によって第2回転軸E2回りに回転駆動される。
第1吸着パッド63は、第2プレート62bに設けられている。第1吸着パッド63は、第2プレート62bのうち第2回転軸E2とは反対側の面に設けられている。第2プレート62bからそれぞれの第1吸着パッド63の先端までの距離は、互いに等しい。
第1吸着パッド63は、配管及び電磁弁65(図6参照)を介して負圧源(図示省略)と接続されている。負圧源は、空気を吸引して、第1吸着パッド63に吸引力を発生させる。電磁弁65によって配管の開通及び遮断が切り替えられ、その結果、第1吸着パッド63による吸着及び吸着解除が切り替えられる。
第2吸着部66は、ブラケット62と、複数(例えば、4個)の第2吸着パッド67とを有している。つまり、第2吸着部66は、ブラケット62を第1吸着部61と共有している。
第2吸着パッド67は、第3プレート62cに設けられている。第2吸着パッド67は、第3プレート62cのうち第2回転軸E2とは反対側の面に設けられている。つまり、第1吸着パッド63と第2吸着パッド67とは、第2回転軸E2を基準にそれぞれ反対向きに設けられている。第3プレート62cからそれぞれの第2吸着パッド67の先端までの距離は、互いに等しい。
第2吸着パッド67は、配管及び電磁弁68(図6参照)を介して負圧源(図示省略)と接続されている。負圧源は、空気を吸引して、第2吸着パッド67に吸引力を発生させる。電磁弁68によって配管の開通及び遮断が切り替えられ、その結果、第2吸着パッド67による吸着及び吸着解除が切り替えられる。
第2エンドエフェクタ6は、第2ビジョンセンサ69をさらに有している。第2ビジョンセンサ69は、ベース60に設けられている。第2ビジョンセンサ69は、Z軸方向の下向きに設置され、第2ビジョンセンサ69よりも下方の対象物を撮像する。
このように構成にされた第2エンドエフェクタ6は、第1吸着部61及び第2吸着部66を第2回転軸E2回りに回転させることによって、使用する吸着部を切り替えることができる。また、第2エンドエフェクタ6は、第1吸着部61又は第2吸着部66によって保持したワークを第2回転軸E2回りに回転させることできる。
<制御部>
図6は、制御部7のブロック図である。制御部7は、演算部71と、記憶部72と、サーボ制御部73とを有している。演算部71は、CPU等のプロセッサで形成されている。記憶部72は、ROM、RAM等で形成されている。サーボ制御部73は、CPU等のプロセッサで形成されている。
記憶部72には、ロボットコントローラとしての基本プログラム、各種データ等の情報が記憶されている。演算部71は、記憶部72に記憶された基本プログラム等のソフトウェアを読み出して実行することにより、ロボット100の各種動作を制御する。
演算部71は、第1ビジョンセンサ311及び第2ビジョンセンサ69へ制御信号を出力する。第1ビジョンセンサ311及び第2ビジョンセンサ69の出力信号は、演算部71に入力される。演算部71は、第1ビジョンセンサ311及び第2ビジョンセンサ69に対象物を撮像させ、その撮像結果に基づいて対象物の位置及び形状を演算する。また、演算部71は、電磁弁35、電磁弁310、電磁弁65及び電磁弁68へ制御信号を出力する。例えば、演算部71は、吸着部31等の吸着及び吸着解除を制御したり、ハンド36の一対の指37の離間及び接近を制御したりする。さらに、演算部71は、ロボット100の制御指令を生成し、制御指令をサーボ制御部73に出力する。例えば、演算部71は、サーボ制御部73を介して、第1ロボットアーム1及び第2ロボットアーム4を制御する。
サーボ制御部73に、第1モータ13、第2モータ14、第3モータ43、第4モータ44、第5モータ25、第6モータ27、第7モータ55、第8モータ57、第9モータ34及び第10モータ64のそれぞれに駆動電流を供給すると共に、それぞれからエンコーダの検出信号を受信する。例えば、サーボ制御部73は、演算部71からの制御指令に基づいて対応するモータに駆動電流を出力する。このとき、サーボ制御部73は、各エンコーダの検出信号に基づいて駆動電流を制御する。
<ロボットの動作>
続いて、ロボット100が組み込まれた作業システム1000について説明する。
作業システム1000においては、ワークWに折り曲げ処理が行われ、折り曲げ処理後のワークWが反転され、反転されたワークWが次の工程のための治具プレート94に設置される。ワークWは、FPC(Flexible Printed Circuits:フレキシブルプリント基板)である。FPCは、可撓性を有するシート状のワークの一例である。
作業システム1000は、図2に示すように、ロボット100と、折り曲げ装置91と、反転ステーション92と、設置ステーション93とを備えている。ロボット100は、折り曲げ装置91から折り曲げ処理後のワークWを取り出し、反転ステーション92へ搬送する取出作業を実行する。次に、ロボット100は、反転ステーション92においてワークWを反転させる反転作業を実行する。続いて、ロボット100は、反転されたワークWを設置ステーション93へ搬送し、治具プレート94にワークWを設置する設置作業を実行する。設置ステーション93の近傍には、複数の治具プレート94積み重ねられたプレート置き場95が配置されている。反転ステーション92は、ベースの一例である。治具プレート94は、治具の一例である。
図7は、ワークWの一例を示す平面図である。ワークWは、所定の長手方向の延びた形状、例えば、短冊状に形成されたワーク本体w0と、ワーク本体w0に設けられた第1突片w1と、ワーク本体w0に設けられた第2突片w2とを有している。ワーク本体w0(即ち、ワークW)の長手方向における一端部を第1端部w11と称し、他端部を第2端部w12と称する。以下、特段の断りが無い限り、「長手方向」とは、ワーク本体w0及びワークWの長手方向を意味し、「幅方向」とは、ワーク本体w0及びワークWの幅方向を意味する。
第1突片w1は、ワーク本体w0のうち長手方向における中間部分に2つ設けられている。尚、長手方向の中間部分とは、長手方向の両端部を除く部分を意味し、長手方向の中央のみを意味するものではない。第1突片w1は、ワーク本体w0に片持ち状に連結され、長手方向に延びている。長手方向おける第1突片w1の端部のうち、第1端部w11に近い方の端部が自由端となっている。2つの第1突片w1は、幅方向に並んで設けられている。
第2突片w2は、第1端部w11に2つ設けられている。
作業システム1000において処理される前の状態においては、第1突片w1及び第2突片w2は、ワーク本体w0に対して屈曲又は湾曲していない。第2突片w2は、折り曲げ処理によって、破線で示すように、ワーク本体w0と重なるように折り曲げられる。
ワークWのうち長手方向及び幅方向に平行な2つの面をそれぞれ、第1シート面s1及び第2シート面s2と称する。
折り曲げ装置91は、第2突片w2を折り曲げる折り曲げ処理をワークWに対して施す。折り曲げ処理後のワークWは、第1シート面s1を上にした状態で折り曲げ装置91内に載置されている。
<取出作業>
取出作業において、ロボット100は、折り曲げ処理が施されたワークWを折り曲げ装置91から取り出す。制御部7は、第1ロボットアーム1、第1エンドエフェクタ3、第2ロボットアーム4及び第2エンドエフェクタ6に取出動作を実行させる。取出動作では、第1エンドエフェクタ3は、吸着部31を下方に向け、第2エンドエフェクタ6は、第1吸着部61を下方に向ける。第1ロボットアーム1及び第2ロボットアーム4は、第1ビジョンセンサ311及び第2ビジョンセンサ69をそれぞれワークWの第1端部w11及び第2端部w12の上方に移動させる。第1ビジョンセンサ311及び第2ビジョンセンサ69は、ワークWを撮像し、制御部7は、ワークWの位置及び形状を取得する。取得されたワークWの位置及び形状に基づいて、第1ロボットアーム1及び第2ロボットアーム4は、吸着部31及び第1吸着部61をワークWの所定の吸着部分に位置するように移動させる。吸着部31及び第1吸着部61は、ワークWを吸着して、保持する。第1ロボットアーム1及び第2ロボットアーム4は、ワークWを反転ステーション92へ搬送する。吸着部31及び第1吸着部61は、反転ステーション92上でワークWの吸着を解除する。これにより、ワークWが第1シート面s1を上に向けた状態で反転ステーション92に載置される。
以下、第1シート面s1が上方を向き且つ第2シート面s2が下方を向く状態を第1状態と称し、第1シート面s1が下方を向き且つ第2シート面s2が上方を向く状態を第2状態と称する。すなわち、取出作業の完了時には、ワークWは、第1状態で反転ステーション92に載置されている。
図2は、取出作業が完了した状態を示している。ワークWは、長手方向がX方向と一致する状態で反転ステーション92に載置されている。このとき、設置ステーション93には、治具プレート94が載置されていない。複数の治具プレート94が、プレート置き場95に積み重ねられている。
<反転作業>
続いて、ロボット100は、ワークWを反転させる反転作業を実行する。ロボット100は、ワークWを所定の反転方向に反転させる。ここで、「反転方向に反転させる」とは、ワークWのうち反転方向に並ぶ2つの端部の配置を入れ替えるようにワークWを反転させることを意味する。この例では、ワークWの長手方向が反転方向と一致する。つまり、ワークWのうち長手方向における第1端部w11及び第2端部w12の配置を入れ替えるようにワークWが反転させられる。反転方向において、反転前のワークWの第1端部w11の側を「反転方向の第1側」と称し、反転前のワークWの第2端部w12の側を「反転方向の第2側」と称する。また、「第1端部w11及び第2端部w12の配置を入れ替える」とは、第1端部w11が反転方向において第2端部w12のどちら側に配置されているかを入れ替えることを意味し、配置後の第1端部w11の位置が配置前の第2端部w12の位置と一致することまでは意味しない。
制御部7は、第1エンドエフェクタ3がワークWを保持する保持動作を実行させる。図8は、保持動作におけるロボット100の平面図である。図9は、保持動作におけるワークW及び第1エンドエフェクタ3の状態を示す、ロボット100の正面から見た模式図である。尚、図8では、折り曲げ装置91の図示を省略している。以下の平面図においても同様である。
保持動作では、第1回転軸E1が第1シート面s1及び第2シート面s2と平行な状態で第1エンドエフェクタ3が第1状態のワークWを保持する。詳しくは、ワークWを反転方向(即ち、長手方向)に二等分した場合の第1端部w11を含む部分である第1部分w21を第1エンドエフェクタ3が保持する。尚、第1部分w21と反対側の部分、即ち、第2端部w12を含む半分を第2部分w22と称する。第1エンドエフェクタ3は、第1回転軸E1がワークWの幅方向と平行な状態で第1部分w21を保持する。
まず、第1ロボットアーム1は、第1ビジョンセンサ311をワークWの第1端部w11の上方に移動させる。第1ビジョンセンサ311は、ワークWの第1端部w11を撮像し、制御部7は、第1端部w11の位置及び形状を取得する。制御部7は、取得された第1端部w11の位置及び形状に基づいて、第1ロボットアーム1及び第1エンドエフェクタ3を制御する。
第1ロボットアーム1は、第1エンドエフェクタ3、詳しくは、吸着部31を第1端部w11に移動させる。このとき、吸着部31は、下方を向いている。吸着部31は、ワークWの第1シート面s1を吸着する。これにより、第1エンドエフェクタ3は、第1端部w11、即ち、第1部分w21を吸着して保持する。
続いて、制御部7は、第1ロボットアーム1に上昇動作を実行させる。図10は、上昇動作の完了時におけるワークW及び第1エンドエフェクタ3の状態を示す、ロボット100の正面から見た模式図である。図中の一点鎖線は、第1エンドエフェクタ3の第1回転軸E1の軌跡Tである。以下の図面においても同様である。
上昇動作において、第1ロボットアーム1は、第2シート面s2を反転ステーション92から離間させるように第1エンドエフェクタ3を上昇させる。このとき、第1エンドエフェクタ3は、第1回転軸E1に直交する平面(即ち、ZX平面)内で移動する。尚、反転作業における以下の各動作においても、第1エンドエフェクタ3は、第1回転軸E1に直交する平面内で移動する。
詳しくは、第1ロボットアーム1は、第1エンドエフェクタ3をワークWを保持した位置から略鉛直方向へ上昇させる。第1エンドエフェクタ3の上昇は、第2シート面s2の略全面が反転ステーション92から離間するまで継続される。この上昇に伴って、第2端部w12は、反転方向の第1側へ移動する。
このとき、第1エンドエフェクタ3は、保持動作のときの姿勢を維持している。すなわち、吸着部31は、下方を向いている。ワークWのうち第1エンドエフェクタ3に保持された部分(以下、「保持部分」と称する)は、略水平な状態となっている。ワークWは、第1シート面s1を反転方向の第2側に向けて、第1エンドエフェクタ3に吊り下げられた状態となる。
続いて、制御部7は、第1ロボットアーム1に予備動作を実行させる。図11は、予備動作時のワークW及び第1エンドエフェクタ3の状態を示す、ロボット100の正面から見た模式図である。
予備動作では、第1ロボットアーム1は、反転方向の第1側へ第1エンドエフェクタ3を所定量だけ移動させる。反転方向の第1側への第1エンドエフェクタ3の移動は、厳密な水平移動(即ち、XY平面内での移動)に限定されず、水平方向への移動成分を含む移動であればよい。すなわち、この第1エンドエフェクタ3の移動は、反転方向の第1側への斜め上方又は斜め下方への直線的又は曲線的な移動を含む。この例では、第1エンドエフェクタ3は、水平方向へ移動する。
上昇動作完了時には、ワークWは、第2端部w12が自由端となった状態で、第1エンドエフェクタ3によって吊り下げられている。ワークWは可撓性を有するので、第2端部w12は、図11に示すように、反転方向の第1側への第1エンドエフェクタ3の移動から少し遅れて反転方向の第1側へ移動する。
この予備動作によって、第1部分w21が第2部分w22よりも反転方向の第2側に位置する状態とすることができる。第1エンドエフェクタ3に吊り下げられたワークWの第1シート面s1は、反転方向の第2側を向いている。そのため、ワークWの大部分、特にワークWの中間部分では、第1シート面s1が斜め下方を向く。
次に、制御部7は、第1ロボットアーム1に下降動作を実行させる。図12は、下降動作の序盤のワークW及び第1エンドエフェクタ3の状態を示す、ロボット100の正面から見た模式図である。図13は、下降動作終盤のロボット100の平面図である。図14は、下降動作完了時のワークW及び第1エンドエフェクタ3の状態を示す、ロボット100の正面から見た模式図である。
下降動作では、第1ロボットアーム1は、第1シート面s1が下方を向く状態で第1エンドエフェクタ3を下降させる。ここで、「第1シート面s1が下方を向く状態」は、第1シート面s1の法線が鉛直下方、即ち、真下を向く場合だけでなく、斜め下方を向く場合も含む。
制御部7は、予備動作の実行後すぐに、第1ロボットアーム1に第1エンドエフェクタ3を下降させる。つまり、予備動作によるワークWの第2端部w12の変位が収まる前に、第1ロボットアーム1は、第1エンドエフェクタ3の下降を開始する。具体的には、第2端部w12が慣性によって反転方向の第1側へ移動しているとき、又は、第2端部w12が第1端部w11よりも反転方向の第1側に位置しているときに、第1エンドエフェクタ3の下降が開始される。
これにより、第1シート面s1が下方を向く状態で第1エンドエフェクタ3を下降させやすくなる。
さらに、第1ロボットアーム1は、第1エンドエフェクタ3を下降させる間に、第1エンドエフェクタ3を反転方向の第2側へ移動させる横移動動作を実行する。すなわち、第1ロボットアーム1は、下降動作においては、第1エンドエフェクタ3を反転方向の第2側の斜め下方へ移動させる。つまり、図12,14に示すように、第1エンドエフェクタ3は、斜め下方へ曲線的又は直線的な軌跡Tを描きながら移動する。
第1エンドエフェクタ3が反転方向の第2側へ移動(水平方向だけでなく、斜め下方への移動も含む)すると、ワークWは可撓性を有するので、第2端部w12が第1エンドエフェクタ3の動きに対して少し遅れる。つまり、第1部分w21が第2部分w22よりも反転方向の第2側に位置する状態、即ち、ワークWの大部分、特にワークWの中間部分の第1シート面s1が斜め下方を向く状態となる。このように、横移動動作によって第1シート面s1が下方を向く状態を実現することができる。この状態で第1エンドエフェクタ3を下降させることによって、第1シート面s1が下方を向く状態でワークWを反転ステーション92上に横たわらせることができる。
つまり、予備動作及び横移動動作の何れも、第1シート面s1が下方を向く状態の実現を促進することができる。この例では、予備動作及び横移動動作の両方が実行される。
下降動作は、図14に示すように、第1エンドエフェクタ3が反転ステーション92から所定距離だけ離間した位置(以下、「完了位置」という)へ下降するまで継続する。
さらに、制御部7は、下降動作中に回転動作を第1エンドエフェクタ3に実行させる。
詳しくは、回転動作では、第1エンドエフェクタ3は、第1回転軸E1回りにワークWの第1端部w11が立ち上がる方向へ回転する。下降動作の開始時には、ワークWの保持部分は、略水平な状態となっている。第1エンドエフェクタ3は、ワークWのうち第1端部w11又はその近傍を保持しているので、第1端部w11も、略水平な状態となっている。この状態から、第1エンドエフェクタ3は、第1回転軸E1回りに第1端部w11が立ち上がる方向へ回転する。例えば、第1エンドエフェクタ3は、下降動作中に略90度回転する。第1エンドエフェクタ3が完了位置に到達したときには、第1端部w11は、略鉛直方向へ立ち上がった状態となっている。
ここで、「第1回転軸E1回りにワークWの第1端部w11が立ち上がる方向」とは、第1エンドエフェクタ3の回転方向を特定するだけで、第1端部w11が立ち上がる状態になることを意味するものではない。つまり、第1回転軸E1回りの回転方向は、第1端部w11が立ち上がる方向と第1端部w11が垂れ下がる方向との2つの方向が存在する。「第1回転軸E1回りにワークWの第1端部w11が立ち上がる方向」とは、第1回転軸E1回りの2つの回転方向のうち、第1端部w11が立ち上がる方向、即ち、第1端部w11が上向きに移動する回転方向を意味している。第1エンドエフェクタ3がこの方向に回転する限り、第1端部w11が鉛直に立ち上がる前に第1エンドエフェクタ3の回転が停止してもよく、第1端部w11が鉛直に立ち上がった状態を超えて水平状態へ倒れていくまで第1エンドエフェクタ3の回転が継続してもよい。
この回転動作によって、下降動作時において第1シート面s1を下方に向けてワークWを円滑に反転ステーション92に横たわらせることができる。つまり、第1エンドエフェクタ3が保持動作を完了したときの姿勢のまま(即ち、第1エンドエフェクタ3が第1回転軸E1回りの回転角を変えずに)下降動作を行うと、ワークWのうち反転ステーション92に横たわる部分は、第1シート面s1を下向きにしているのに対し、ワークWの保持部分の第1シート面s1は、上向きとなる。そのため、ワークWが過度に湾曲してしまう。回転動作を実行することによって、ワークWの保持部分の第1シート面s1が上向きの状態から反転方向の第2側を向くように回転していく。この回転方向は、第1端部w11が第1シート面s1を下向きにして反転ステーション92へ横たわっていくときの回転方向である。つまり、第1端部w11の第1シート面s1が上向きの状態から下向きの状態となる反転が進行した状態となる。これにより、下降動作時のワークWの湾曲が低減される。
一方、第1ロボットアーム1及び第1エンドエフェクタ3が保持動作、上昇動作、予備動作及び下降動作を行っている間に、制御部7は、第2ロボットアーム4及び第2エンドエフェクタ6に治具プレート94を設置ステーション93へ配置させる。詳しくは、第2ロボットアーム4は、プレート置き場95から1つの治具プレート94を取り出し、取り出した治具プレート94をプレート置き場95に配置する。
具体的には、第2エンドエフェクタ6は、第2吸着部66を下方に向ける。第2ロボットアーム4は、図8に示すように、第2吸着部66をプレート置き場95の治具プレート94の所定の吸着部分に移動させる。第2吸着部66は、治具プレート94を吸着する。第2ロボットアーム4は、図13に示すように、治具プレート94を設置ステーション93へ搬送する。第2吸着部66は、治具プレート94の吸着を解除する。これにより、治具プレート94が設置ステーション93に配置される。
このように、第1ロボットアーム1及び第1エンドエフェクタ3が保持動作、上昇動作、予備動作及び下降動作を実行している間に、第2ロボットアーム4及び第2エンドエフェクタ6は、設置作業の準備として、設置ステーション93への治具プレート94の配置を行う。
反転作業における前述の下降動作の後、又は下降動作中(少なくとも、第2端部w12が第1シート面s1を下向きにして反転ステーション92に横たわった後)に、制御部7は、第2エンドエフェクタ6に押さえ動作を実行させる。押さえ動作では、第2エンドエフェクタ6は、ワークWのうち第1シート面s1が反転ステーション92に接触している部分を押さえつける。具体的には、設置ステーション93への治具プレート94の配置完了後、第2エンドエフェクタ6は、第1吸着部61を下方に向ける。第2ロボットアーム4は、第2ビジョンセンサ69をワークWの第2端部w12の上方に移動させる。第2ビジョンセンサ69は、ワークWの第2端部w12を撮像し、制御部7は、第2端部w12の位置及び形状を取得する。制御部7は、取得された第2端部w12の位置及び形状に基づいて第2ロボットアーム4を制御する。
第2ロボットアーム4は、第2エンドエフェクタ6、詳しくは、第1吸着部61を第2端部w12に移動させる。そして、第2ロボットアーム4は、図14に示すように、第1吸着部61の第1吸着パッド63によって第2端部w12、即ち、第2部分w22を上方から反転ステーション92へ押さえつける。これにより、反転ステーション92上におけるワークWの位置が決められる。
続いて、制御部7は、第1エンドエフェクタ3に解除動作を実行させる。図15は、解除動作完了時のワークW、第1エンドエフェクタ3及び第2エンドエフェクタ6の状態を示す、ロボット100の正面から見た模式図である。
解除動作では、第1エンドエフェクタ3は、下降動作完了後の状態からワークWの保持を解除する。具体的には、第1エンドエフェクタ3は、ワークWの吸着を解除する。
ワークWは、第1エンドエフェクタ3による吸着が解除されると、その自重により第1シート面s1を下向きにして反転ステーション92へ落下していく。このとき、第2端部w12が第2エンドエフェクタ6によって押さえつけられているため、落下時にワークWが反転ステーション92上で移動することが防止される。
尚、第1エンドエフェクタ3がワークWの保持を解除した後に、第1ロボットアーム1は、第1部分w21の落下を妨げないように、第1エンドエフェクタ3が第1回転軸E1回りに回転したり、第1ロボットアーム1が第1エンドエフェクタ3を移動させたりしてもよい。
これにより、ロボット100の反転作業が完了する。ワークWは、第1シート面s1が下方を向き且つ第2シート面s2が上方を向く第2状態になる。ワークWは、長手方向へ反転し、第1端部w11及び第2端部w12の長手方向における配置が入れ替わる。
このように、保持動作から下降動作を完了するまでの間(この例では下降動作中)に第1エンドエフェクタ3が回転動作を実行することによって、第1シート面s1を下向きにしてワークWを反転ステーション92に円滑に横たわらせることができる。
つまり、第1エンドエフェクタ3が回転動作を実行すると、ワークWの保持部分の第1シート面s1が上向きの状態から反転方向の第2側を向くように回転していく。これは保持部分が第1シート面s1を下向きにして反転するときの動きであり、つまりは、保持部分の反転が助長される。同時に、ワークWの湾曲も低減される。
さらに、第1エンドエフェクタ3が回転動作を実行することによって、解除動作時にワークWを反転ステーション92へ適切に、即ち、第1シート面s1を下向きにして落下させることができる。
詳しくは、ワークWの保持部分の第1シート面s1が上向きの状態で保持部分を下降動作の完了位置から落下させると、第1端部w11が第1シート面s1を下向きにして反転ステーション92上へ適切に落下しない虞がある。例えば、第1端部w11が、ワークWのうち既に反転している部分の上に落下し、ワークWが重なり合った状態となる虞がある。
回転動作が実行されることによって、下降動作の完了時には、保持部分は、第1シート面s1を上向きにした水平状態よりも立ち上がった状態となっている。つまり、保持部分の第1シート面s1が上向きの状態から下向きの状態となる反転が進行した状態となる。そのため、第1端部w11を完了位置から落下させる際に、保持部分が第1シート面s1を下向きにして反転ステーション92上へ横たわりやすくなる。
それに加えて、下降動作の前に第1ロボットアーム1が予備動作を実行することによって、下降動作において第1シート面s1を下向きにしてワークWが反転ステーション92に横たわりやすくなる。詳しくは、予備動作によって、第1シート面s1が斜め下方を向く状態を実現しやすくなる。この状態で第1エンドエフェクタ3を下降させることによって、第1シート面s1を下向きにしてワークWを反転ステーション92へ円滑に横たわらせることができる。
このような反転作業によれば、第1ロボットアーム1及び第1エンドエフェクタ3の簡便な動作でワークWを反転させることができる。例えば、ワークWを反転させる方法としては、1つのエンドエフェクタでワークを保持した後にワークを反転させ、別のエンドエフェクタでワークを持ち替える方法がある。しかし、ロボット100の反転作業は、第1エンドエフェクタ3がワークWを保持し、そのワークWを別のエンドエフェクタで持ち替えることなくワークWを反転させることができる。
また、ロボット100の反転作業では、第1エンドエフェクタ3はワークWを保持した後、180度回転しなくても、ワークWを反転させることができる。例えば、高い剛性を有するワークを反転させる場合には、ワークを保持したエンドエフェクタを180度回転させる必要がある。しかし、ロボット100の反転作業では、第1エンドエフェクタ3は、吸着部31が下方を向いた状態でワークWwを保持した後、反転作業中に概ね90度程度回転する。上昇動作及び下降動作においてワークWの可撓性を利用してワークWを湾曲させることによって、第1エンドエフェクタ3の小さな回転でワークWを反転させることができる。
あるいは、別の反転方法として、エンドエフェクタでシート面を保持してワークWを反転させた後、保持されたシート面を下に向けて反転ステーション92に載置する場合、ワークWを反転ステーション92に載置する際にエンドエフェクタが邪魔になる。そのため、別のエンドエフェクタでワークWを持ち替える等の何らかの工夫が必要になる。しかし、ロボット100の反転作業では、第1ロボットアーム1及び第1エンドエフェクタ3は、ワークWの可撓性を利用してワークWを湾曲させ、第1シート面s1の一部が反転ステーション92から離間し、第1シート面s1の残りの部分が反転ステーション92に接触した状態から、第1シート面s1の保持を解除してワークWを落下させることによって、ワークWを最終的に反転ステーション92上に横たわらせる。この構成によれば、ワークWを別のエンドエフェクタで持ち替えたり、反転ステーション92を第1エンドエフェクタ3との干渉を回避できるような形状に形成したりするなどの工夫をしなくても、第1エンドエフェクタ3が保持した第1シート面s1を下向きにしてワークWを反転ステーション92に簡単に横たわらせることができる。
<設置作業>
反転作業が完了すると、ロボット100は、ワークWを治具プレート94に設置する設置作業を実行する。
図16は、治具プレート94の平面図である。治具プレート94は、板状の部材である。治具プレート94は、一対の長辺と一対の短辺とを有する略方形の平面形状を有している。治具プレート94には、2つの開口94aが形成されている。開口94aは、治具プレート94を厚み方向に貫通している。2つの開口94aは、治具プレート94の幅方向に並んで形成されている。開口94aには、ワークWの第1突片w1が挿入される。治具プレート94は、一対の短辺に対応する第1端縁94b及び第2端縁94cを有している。第1端縁94bは、ワークWの第2突片w2が係合する係合部である。
まず、制御部7は、第1ロボットアーム1及び第2ロボットアーム4に搬送動作を実行させる。図17は、搬送動作におけるロボット100の平面図である。
搬送動作では、第2状態に反転したワークWを第1エンドエフェクタ3及び第2エンドエフェクタ6が保持した状態で第1ロボットアーム1及び第2ロボットアーム4がワークWを治具プレート94まで搬送する。具体的には、第2エンドエフェクタ6は、反転作業の完了後、ワークWの第2端部w12を押さえつけているので、そのまま第1吸着部61によってワークWを吸着する。
一方、第1ロボットアーム1は、第1ビジョンセンサ311をワークWの第1端部w11の上方に移動させる。第1ビジョンセンサ311は、ワークWの第1端部w11を撮像し、制御部7は、第1端部w11の位置及び形状を取得する。取得された第1端部w11の位置及び形状に基づいて、第1ロボットアーム1は、第1エンドエフェクタ3、詳しくは、吸着部31を第1端部w11に移動させる。そして、吸着部31は、ワークWを吸着する。
その後、第1ロボットアーム1及び第2ロボットアーム4は、吸着部31及び第1吸着部61によってワークWを保持した状態で、ワークWを設置ステーション93の治具プレート94へ搬送する。
ワークWは、ワークWの長手方向が治具プレート94の長手方向と一致する状態で治具プレート94に載置される。ワークWは、第1端部w11の端縁が治具プレート94の第1端縁94bと揃い、第2部分w22が治具プレート94の第2端縁94cを横切るように、治具プレート94に配置される。第1ロボットアーム1及び第2ロボットアーム4は、ワークWを治具プレート94上に載置する際に、ワークWの第2突片w2を治具プレート94の第1端縁94bに係合させる。第2突片w2は、ワーク本体w0から折れ曲がった状態となっている。第1ロボットアーム1及び第2ロボットアーム4は、第2端部w12を先頭にして、ワークWを第1端縁94bから治具プレート94の長手方向へ移動させることによって、第2突片w2を第1端縁94bに係合させる。尚、第2突片w2を第1端縁94bに係合させる方法は、これに限定されない。第2突片w2と第1端縁94bとの係合により、治具プレート94の長手方向へのワークWの移動が制限される。
次に、制御部7は、第2ロボットアーム4に離間動作を実行させる。図18は、離間動作におけるワークW及び第2エンドエフェクタ6の状態を示す、ワークWの幅方向に見た模式図である。図18では、ワークW及び治具プレート94は、図16のP-P線で切断された断面図で表されている。
離間動作では、第1突片w1が治具プレート94から離間するように第2ロボットアーム4が第2エンドエフェクタ6をワークWを保持する状態で上昇させる。この離間動作によって、第1突片w1と治具プレート94との間に空間が形成される。さらに、ワークWの第2端部w12が第1端部w11よりも上方に位置するので、第1突片w1は、自由端が最も下方に位置するように傾斜した状態となる。
それ加えて、制御部7は、離間動作中に第2エンドエフェクタ6に湾曲動作を実行させる。湾曲動作では、第2エンドエフェクタ6は、第2シート面s2を内側に且つ第1シート面s1を外側にしてワークWを湾曲させるように第2回転軸E2回りに回転する。このようなワークWの湾曲により、自由端が最も下方に位置するような第1突片w1の傾斜が促進される。第1突片w1は片持ち状に形成されているので、第1突片w1の自由端は、湾曲するワーク本体w0よりも下方に少し突出した状態となる。
続いて、制御部7は、第1ロボットアーム1及び第1エンドエフェクタ3に突き押し動作を実行させる。突き押し動作では、第1ロボットアーム1は、第1エンドエフェクタ3に第1突片w1を押させて、第1突片w1の自由端をワーク本体w0から下方へ突き出させる。第1エンドエフェクタ3は、突き押しツール96を介して第1突片w1を押す。図19は、突き押しツール96の斜視図である。図20は、突き出し動作におけるワークW、第1エンドエフェクタ3及び第2エンドエフェクタ6の状態を示す、ワークWの幅方向に見た模式図である。図20においても、ワークW及び治具プレート94は、図16のP-P線で切断された断面図で表されている。
突き押しツール96は、円筒状のグリップ96aと、グリップ96aに連結されたブラケット96bと、ブラケット96bに設けられた2本のピン96cとを有している。ブラケット96bは、断面L字状のプレートで形成されている。2本のピン96cは、互いに平行に延びている。また、2本のピン96cは、グリップ96aの径方向と略平行に延びている。2本のピン96cの間隔(軸心間の距離)は、2つの第1突片w1に対応している。突き押しツール96は、第1突片w1を押すためのツールの一例である。
制御部7は、離間動作及び湾曲動作中に、突き押し動作に備えて、第1エンドエフェクタ3に突き押しツール96を把持させる。具体的には、ハンド36は、一対の指37によって突き押しツール96のグリップ96aを把持する。
第1ロボットアーム1は、第1エンドエフェクタ3を移動させて、突き押しツール96の2本のピン96cによって、第1突片w1を第2シート面s2の側から第1シート面s1の側へ押し込む。これにより、第1突片w1の自由端を含む大部分がワーク本体w0から下方へ突き出た状態となる。第1突片w1の自由端は、治具プレート94の開口94aの上方に位置する。
その後、制御部7は、第2ロボットアーム4及び第2エンドエフェクタ6に挿入動作を実行させる。図21は、挿入動作におけるワークW、第1エンドエフェクタ3及び第2エンドエフェクタ6の状態を示す、ワークWの幅方向に見た模式図である。図21においても、ワークW及び治具プレート94は、図16のP-P線で切断された断面図で表されている。
挿入動作では、第2ロボットアーム4は、治具プレート94の開口94aに第1突片w1の自由端が挿入されるように、第2エンドエフェクタ6を下降させる。先の突き出し動作によって、第1突片w1の自由端は治具プレート94の開口94aの上方に配置されている。そのため、第1突片w1が下降すると、第1突片w1の自由端は、開口94aに挿入される。
第2ロボットアーム4は、ワークWの第2端部w12が治具プレート94上に載置されるまで、第2エンドエフェクタ6を下降させる。このとき、第2エンドエフェクタ6は、湾曲したワークWが平坦な状態に戻るように、第2回転軸E2回りに回転する。また、第2エンドエフェクタ6の下降に伴って第1突片w1も下降していくので、第1エンドエフェクタ3も第1突片w1の押し込みを維持するように下降する。
図22は、治具プレート94に設置されたワークWの平面図である。挿入動作の完了時には、第1突片w1が開口94aに挿入されると共に、ワークWが平坦な状態で治具プレート94上に載置される。これにより、設置作業が完了する。
治具プレート94に設置されたワークWは、治具プレート94と共に次の工程へ搬送される。
このような設置作業によれば、ワークWの可撓性を利用して、第1突片w1を押し込むことによって、ワークWの下方へ突き出させることができる。第1突片w1を下方へ突き出させることによって、ワークWを下降させることで第1突片w1を治具プレート94の開口94へ容易に挿入することができる。
さらに、第1突片w1を突き押す際には、第2エンドエフェクタ6が回転してワークWを湾曲させることによって、第1突片w1の傾斜角を大きくすることができ、これにより、少しの押し込み量によって、第1突片w1の自由端を下向きにすることができる。
以上のように、ロボット100は、第1シート面s1が上方を向き且つ第2シート面s2が下方を向く第1状態で反転ステーション92(ベース)上に載置された可撓性を有するシート状のワークWを、所定の反転方向の第1側に位置する第1端部w11と反転方向の第2側に位置する第2端部w12との配置を入れ替えるように反転させて、第1シート面s1が下方を向き且つ第2シート面s2が上方を向く第2状態にする。ロボット100は、第1ロボットアーム1と、所定の第1回転軸E1回りに回転可能に第1ロボットアーム1に連結された第1エンドエフェクタ3と、第1ロボットアーム1及び第1エンドエフェクタ3を制御する制御部7とを備え、制御部7は、第1回転軸E1が第1シート面s1及び第2シート面s2と平行な状態で第1エンドエフェクタ3が第1状態のワークWのうちワークWを反転方向に二等分した場合の第1端部w11を含む部分である第1部分w21を保持する保持動作と、保持動作の後に、第2シート面s2を反転ステーション92から離間させるように第1ロボットアーム1が第1エンドエフェクタ3を上昇させる上昇動作と、上昇動作の後に、第1シート面s1が下方を向く状態で、第1ロボットアーム1が第1エンドエフェクタ3を下降させる下降動作と、保持動作の後から下降動作を完了するまでの間に、第1端部w11が立ち上がる方向へ第1エンドエフェクタ3が第1回転軸E1回りに回転する回転動作とを実行させることによってワークWを第2状態に反転させる。
この構成によれば、第1エンドエフェクタ3がワークWの第1部分w21を保持した状態で第1ロボットアーム1が第1エンドエフェクタ3を上昇させることによって、ワークWは第1シート面s1を反転方向の第2側に向けた状態で第1エンドエフェクタ3に吊り下げられた状態となる。第1ロボットアーム1は、この状態から第1シート面s1が下方を向く状態で第1エンドエフェクタ3を下降させる。保持動作の完了時において、第1エンドエフェクタ3によるワークWの保持部分の第1シート面s1は、上方を向いている。回転動作によって第1端部w11が立ち上がる方向へ第1エンドエフェクタ3が回転すると、保持部分の第1シート面s1は、反転方向の第2側へ向かうように向きを変えていく。これは、保持部分が第1シート面s1を下向きに反転するときの動きと同じである。下降動作を完了するまでに回転動作を行うことによって、ワークWの湾曲を低減しつつ、第1シート面s1を下方に向けてワークWを反転ステーション92に円滑に横たわらせていくことができる。その結果、ワークWをどこかに一旦置いて持ち直したり、ワークWを別のエンドエフェクタで持ち替えたりすることなく、ワークWを簡便な動作で反転させることができる。
また、制御部7は、下降動作の間に、第1ロボットアーム1が第1エンドエフェクタ3を反転方向の第2側へ移動させる横移動動作を実行させる。
この構成によれば、第1シート面s1が下方を向く状態を実現しやすくなる。詳しくは、ワークWは上昇動作によって第1エンドエフェクタ3に吊り下げられた状態となる。この状態から第1エンドエフェクタ3が反転方向の第2側へ移動すると、ワークWの可撓性により、第2端部w12が第1エンドエフェクタ3の動きに対して少し遅れ、第1部分w21が第2部分w22よりも反転方向の第2側に位置する状態となる。その結果、ワークWの大部分、特に、ワークWの中間部分では、第1シート面s1が下方を向く。
さらに、制御部7は、上昇動作の後であって下降動作の前に、第1ロボットアーム1が第1エンドエフェクタ3を反転方向の第1側へ移動させる予備動作を実行させる。
この構成によれば、予備動作によってワークWの第2端部w12に反転方向の第1側への慣性力を与えて、下降動作の開始時に第2端部w12を第1端部w11よりも反転方向の第1側に位置させることができる。その結果、下降動作の開始時に第1シート面s1が斜め下方を向く状態を実現しやすくなる。
また、回転動作は、少なくとも下降動作中に実行される。
この構成によれば、回転動作時にワークWに生じる湾曲を低減することができる。下降動作においては、ワークWは、第1部分w21が第1エンドエフェクタ3に保持された状態で第2端部w12から反転ステーション92に横たわっていくので、ワークWに湾曲が生じる。このときに、回転動作が実行されることによって、ワークWの湾曲を低減しつつ、第1シート面s1を下方に向けてワークWを反転ステーション92に円滑に横たわらせていくことができる。
さらに、下降動作において、第1ロボットアーム1は、第1エンドエフェクタ3を反転ステーション92から離間した完了位置(所定の位置)まで下降させ、制御部7は、下降動作の後に、第1エンドエフェクタ3がワークWの保持を解除する解除動作を実行させる。
この構成によれば、下降動作の後、第1エンドエフェクタ3は、完了位置からワークWの保持部分を反転ステーション92に落下させる。これにより、最終的に、反転されたワークWが反転ステーション92に横たわる。ワークWは可撓性を有するので、ワークWを或る程度の位置まで下降させて、そこから落下させることで、ワークWを反転ステーション92に横たわらせることができる。これにより、ワークWの全てが反転ステーション92に横たわるまで、第1エンドエフェクタ3によってワークWを搬送する必要がないので、第1エンドエフェクタ3と反転ステーション92との干渉等を考慮する必要がなくなる。その結果、簡易な動作でワークWを反転させることができる。
また、ワークWは、所定の長手方向に延びる形状をしており、第1端部w11は、ワークWのうち長手方向における一端部であり、第2端部w12は、ワークWのうち長手方向における他端部である。
この構成によれば、ワークWは、長手方向に反転させられる。
また、ロボット100は、第2ロボットアーム4と、第2ロボットアーム4に連結された第2エンドエフェクタ6とをさらに備え、制御部7は、解除動作の前に、第2エンドエフェクタ6がワークWのうち第1シート面s1が反転ステーション92に接触している部分を押さえつける押さえ動作を実行させる。
前述の解除動作によれば、ワークWを落下させる際に、ワークWが反転ステーション92上を摺動する可能性がある。そこで、第1エンドエフェクタ3がワークWの保持を解除する前に、第2エンドエフェクタ6によってワークWのうち第1シート面s1が反転ステーション92に接触している部分を押さえつける。これにより、ワークWの摺動が防止される。その結果、ワークWを落下させる場合のワークWの位置決めを行うことができる。
また、ロボット100は、第2ロボットアーム4と、所定の第2回転軸E2回りに回転可能に前記第2ロボットアーム4に連結された第2エンドエフェクタ6とをさらに備え、ワークWは、ワーク本体w0と、ワーク本体w0に片持ち状に連結された第1突片w1とを有し、制御部7は、第2状態に反転したワークWを第1エンドエフェクタ3及び第2エンドエフェクタ6が保持した状態で第1ロボットアーム1及び第2ロボットアーム4がワークWを治具プレート94(治具)まで搬送する搬送動作と、第1突片w1が治具プレート94から離間するように第2ロボットアーム4(第1ロボットアーム及び第2ロボットアームの一方のロボットアーム)が第2エンドエフェクタ6(第1エンドエフェクタ及び前記第2エンドエフェクタのうちの対応するエンドエフェクタ)をワークWを保持する状態で上昇させる離間動作と、第1ロボットアーム1(第1ロボットアーム及び第2ロボットアームの他方のロボットアーム)が第1エンドエフェクタ3(第1エンドエフェクタ及び第2エンドエフェクタのうち対応するエンドエフェクタ)に第1突片w1を押させて、第1突片w1の自由端をワーク本体w0から下方へ突き出させる突き押し動作と、第2ロボットアーム4が、治具プレート94に形成された開口94aに第1突片w1の自由端が挿入されるように、第2エンドエフェクタ6を下降させる挿入動作とを実行させる。
この構成によれば、ワークWの可撓性を利用して、第1突片w1をワーク本体w0から下方へ突出させることによって、ワークWを治具プレート94に設置する際に第1突片w1を開口94aに挿入させることができる。このとき、離間動作によって治具プレート94と第1突片w1との間に空間が形成されるので、第1突片w1を下方へ突出させるための空間を確保することができる。このように簡便な動作で、ワークWの第1突片w1を治具プレート94の開口94aに挿入することができる。
さらに、第2ロボットアーム4は、離間動作において、第1突片w1の自由端よりも第1突片w1のうちワーク本体w0に連結された端部が上方に位置するように、第2エンドエフェクタ6を上昇させる。
この構成によれば、離間動作において第2エンドエフェクタ6がワークWを部分的に持ち上げる際に、第1突片w1の自由端よりも第1突片w1のうちワーク本体w0に連結された部分が上方に位置するようにワークWが持ち上げられる。これにより、第1突片w1は、ワークWが持ち上げられるだけで、その自重により自由端が垂れ下がった状態となる。その結果、突き押し動作において第1突片w1の自由端がワーク本体w0から下方へ突き出るように第1突片w1を押す量、即ち、第1エンドエフェクタ3の移動量を低減することができる。
それに加えて、制御部7は、突き出し動作の前に、離間動作においてワークWを保持する第2エンドエフェクタ6が第2回転軸E2(第1回転軸及び第2回転軸のうちの対応する回転軸)回りに回転することによって、第2シート面s2を内側に且つ第1シート面s1を外側にしてワークWを湾曲させる湾曲動作を実行させる。
この構成によれば、湾曲動作によって、第1突片w1の自由端が自然とワーク本体w0よりも下方へ突き出た状態となる。詳しくは、第1突片w1は、片持ち状に設けられている。そのため、第1突片w1は、ワークWが湾曲しても、ワークWと同様には湾曲せず、ワークWのうち第1突片w1が連結される部分の接線方向へ延びる状態となる。ワークWは、上方を向く第2シート面s2を内側にして且つ下方を向く第1シート面s1を外側にして湾曲する。その結果、第1突片w1の自由端は、第1シート面s1の外側、即ち、第1シート面s1よりも下方に位置することになる。この湾曲動作を、前述の第1突片w1の自由端よりも第1突片w1のうちワーク本体w0に連結された部分が上方に位置するようにワークを持ち上げる動作と組み合わせることによって、第1突片w1の自由端がワーク本体w0から下方へ自然と突き出る量を増大させることができる。その結果、突き押し動作において第1突片w1の自由端がワーク本体w0から下方へ突き出るように第1突片w1を押す量、即ち、第1エンドエフェクタ3の移動量をより一層低減することができる。
また、突き出し動作において、第1突片w1を押す第1エンドエフェクタ3は、第1突片w1を押すための突き押しツール96(ツール)を把持し、突き押しツール96によって第1突片w1を押す。
この構成によれば、第1エンドエフェクタ3は、突き押し動作時には突き押しツール96を把持し、それ以外のときには突き押しツール96の把持を解除することができる。そのため、第1エンドエフェクタ3は、突き押し動作に適したツール、即ち、突き押しツール96を用いて突き押し動作を実行することができる。一方、突き押し動作以外のときには、第1エンドエフェクタ3は突き押しツール96の把持を解除できるので、突き押しツール96が突き押し動作以外の動作を阻害することを回避することができる。
また、ワークWは、ワーク本体w0から折れ曲がった第2突片w2をさらに有し、搬送動作において、第1ロボットアーム1及び第2ロボットアーム4は、治具プレート94に設けられた係合部94bに第2突片w2を係合させる。
この構成によれば、離間動作時等にワークWの位置がずれることを防止することができる。その結果、挿入動作において第1突片w1の自由端を開口94aに適切に挿入することができる。
<変形例>
続いて、ロボット100の変形例に係る反転作業について説明する。変形例に係る反転作業では、第1ロボットアーム1及び第1エンドエフェクタ3の動作が前述の説明と異なる。
まず、制御部7は、第1エンドエフェクタ3がワークWを保持する保持動作を実行させる。保持動作は、前述の保持動作と同様である。
続いて、制御部7は、第1ロボットアーム1及び第1エンドエフェクタ3に上昇動作を実行させる。図23は、変形例に係る反転作業の上昇動作の序盤におけるワークW及び第1エンドエフェクタ3の状態を示す、ロボット100の正面から見た模式図である。図24は、上昇動作の終盤におけるワークW及び第1エンドエフェクタ3の状態を示す、ロボット100の正面から見た模式図である。図25は、上昇動作の完了時におけるワークW及び第1エンドエフェクタ3の状態を示す、ロボット100の正面から見た模式図である。
上昇動作において、第1ロボットアーム1は、第2シート面s2を反転ステーション92から離間させるように第1エンドエフェクタ3を上昇させる。それに加えて、上昇動作中に、第1エンドエフェクタ3は、第1端部w11が立ち上がる方向へ第1回転軸E1回りに回転する回転動作を実行する。
詳しくは、第1ロボットアーム1は、第1エンドエフェクタ3を上昇させる。例えば、第1エンドエフェクタ3は、鉛直方向よりも、反転方向の第2側の斜め上方へ上昇する。このとき、第1エンドエフェクタ3は、湾曲する軌跡Tを描きながら上昇する。尚、第1エンドエフェクタ3は、鉛直方向(即ち、真上の方向)に上昇してもよい。
それと並行して、第1エンドエフェクタ3が回転動作を実行する。これにより、ワークWは、第1シート面s1を内側に且つ第2シート面s2を外側にして湾曲する。
第1エンドエフェクタ3の上昇及び回転によって、ワークWは、第1端部w11の側からめくれ上がっていく。つまり、第2シート面s2は、第1端部w11から第2端部w12へ向かって徐々に反転ステーション92から離間していく。
第1エンドエフェクタ3の上昇は、第2シート面s2の略全面が反転ステーション92から離間するまで継続される。また、第1エンドエフェクタ3の回転は、ワークWの保持部分の第1シート面s1及び第2シート面s2が鉛直方向と略平行となるまで(即ち、吸着部31が略水平方向を向くまで)継続される。
このような第1エンドエフェクタ3の上昇及び回転によって、上昇動作の終盤には、ワークWのうち下方に位置する端部(この例では、第2端部w12)の第2シート面s2と反転ステーション92とのなす角(以下、「第1角」と称する)αを90度近くまで大きくすることができる。第1角αが大きくなると、第2端部w12を反転方向の第2側へ倒しやすくなる。つまり、後に続く下降動作に円滑に移行することができる。
尚、第1エンドエフェクタ3の上昇及び回転は、これに限定されない。例えば、第1エンドエフェクタ3の上昇は、第2シート面s2の略全面が反転ステーション92から離間した後も継続してもよいし、第2端部w12の第2シート面s2が反転ステーション92から完全には離間していない状態で停止してもよい。第1エンドエフェクタ3の回転は、吸着部31が水平方向を超えて斜め上方を向くまで継続してもよい。
制御部7は、上昇動作中に、第1ロボットアーム1に横移動動作を実行させる。横移動動作では、第1ロボットアーム1は、第1エンドエフェクタ3を反転方向の第2側へ移動させる。この例では、上昇動作の序盤から横移動動作が実行されている。
第1エンドエフェクタ3は、上昇動作と横移動動作との組み合わせによって、反転方向の第2側の斜め上方へ移動する。横移動動作によって、第2端部w12の第1シート面s1と反転ステーション92とのなす角(以下、「第2角」と称する)βが90度以上の状態(図24に示す状態)から第2角βが90度未満の状態(図25に示す状態)に切り替えられる。これにより、ワークWは、第1シート面s1を外側に且つ第2シート面s2を内側にして湾曲した状態となる。
第1エンドエフェクタ3の回転によって、上昇動作の終盤においては第1角αが大きくなっているので、横移動動作によってワークWを第2角βが90度未満の状態に容易にすることができる。
続いて、制御部7は、第1ロボットアーム1に下降動作を実行させる。図26は、下降動作完了時のワークW、第1エンドエフェクタ3及び第2エンドエフェクタ6の状態を示す、ロボット100の正面から見た模式図である。
下降動作では、第1ロボットアーム1は、第1シート面s1が下方を向く状態で第1エンドエフェクタ3を下降させる。
前述の上昇動作中の横移動動作によって、ワークWは、第2端部w12の第2角βが90度未満の状態、即ち、第2端部w12の第2シート面s1が斜め下方を向く状態となっている。制御部7は、ワークWの第2角βが90度未満の状態となった以降に、第1ロボットアーム1を上昇動作から下降動作に移行させる。これにより、第1シート面s1が下方を向く状態で第1エンドエフェクタ3が下降していく。尚、制御部7は、下降動作中も横移動動作を継続させる。その結果、第1エンドエフェクタ3は、斜め下方へ曲線的又は直線的な軌跡Tを描きながら移動する。
ワークWは、第1シート面s1を外側に且つ第2シート面s2を内側にして湾曲した状態で、第2部分w22から第1部分w21の順に第1シート面s1が反転ステーション92に横たわっていく。
下降動作中も横移動動作を継続することによって、反転ステーション92における第2部分w22の位置をあまり移動させずに、ワークWを反転ステーション92上に横たわらせることができる。
第1エンドエフェクタ3が反転ステーション92から完了位置まで下降すると、制御部7は、下降動作を終了させる。
ここで、第1ロボットアーム1及び第1エンドエフェクタ3が保持動作、上昇動作及び下降動作を行っている間に、制御部7は、前述の如く、第2ロボットアーム4及び第2エンドエフェクタ6に治具プレート94を設置ステーション93へ配置させる。
反転作業における前述の下降動作の後、制御部7は、第2エンドエフェクタ6に押さえ動作を実行させる。押さえ動作は、前述の押さえ動作と同様である。
続いて、制御部7は、第1エンドエフェクタ3に解除動作を実行させる。解除動作は、前述の解除動作と同様である。
これにより、ロボット100の反転作業が完了する。ワークWは、第1シート面s1が下方を向き且つ第2シート面s2が上方を向く第2状態になる。ワークWは、長手方向に反転し、第1端部w11及び第2端部w12の長手方向における配置が入れ替わる。
このように、ワークWを上昇させる際に第1シート面s1を内側に且つ第2シート面s2を外側にしてワークWを湾曲させることによって、ワークWの第2シート面s2を反転ステーション92に対して垂直又は垂直に近い角度に起き上がらせるようにワークWを持ち上げることができる。これにより、後続する下降動作、又は、横移動動作において第2角βが90度未満となるようにワークWを第1シート面s1側へ倒しやすくなる。つまり、ワークWの可撓性を考慮して、ワークWの持ち上げ時に第1エンドエフェクタ3を回転させることによって、ワークWの反転を円滑に行うことができる。
このような反転作業によれば、第1エンドエフェクタ3がワークWを保持し、そのワークWを別のエンドエフェクタで持ち替えることなくワークWを反転させることができる。また、ロボット100の反転作業では、第1エンドエフェクタ3はワークWを保持した後、180度回転しなくても、ワークWを反転させることができる。さらに、ロボット100の反転作業では、反転ステーション92を第1エンドエフェクタ3との干渉を回避できるような形状に形成するなどの工夫をしなくても、第1エンドエフェクタ3が保持した第1シート面s1を下向きにしてワークWを反転ステーション92に簡単に横たわらせることができる。その結果、第1ロボットアーム1及び第1エンドエフェクタ3の簡便な動作でワークWを反転させることができる。
以上のように、変形例においても、ロボット100は、第1シート面s1が上方を向き且つ第2シート面s2が下方を向く第1状態で反転ステーション92(ベース)上に載置された可撓性を有するシート状のワークWを、所定の反転方向の第1側に位置する第1端部w11と反転方向の第2側に位置する第2端部w12との配置を入れ替えるように反転させて、第1シート面s1が下方を向き且つ第2シート面s2が上方を向く第2状態にする。ロボット100は、第1ロボットアーム1と、所定の第1回転軸E1回りに回転可能に第1ロボットアーム1に連結された第1エンドエフェクタ3と、第1ロボットアーム1及び第1エンドエフェクタ3を制御する制御部7とを備え、制御部7は、第1回転軸E1が第1シート面s1及び第2シート面s2と平行な状態で第1エンドエフェクタ3が第1状態のうちワークWを反転方向に二等分した場合の第1端部w11を含む部分である第1部分w21を保持する保持動作と、保持動作の後に、第2シート面s2を反転ステーション92から離間させるように第1ロボットアーム1が第1エンドエフェクタ3を上昇させる上昇動作と、上昇動作の後に、第1シート面s1が下方を向く状態で、第1ロボットアーム1が第1エンドエフェクタ3を下降させる下降動作と、保持動作の後から下降動作を完了するまでの間に、第1端部w11が立ち上がる方向へ第1エンドエフェクタ3が第1回転軸E1回りに回転する回転動作とを実行させることによってワークWを第2状態に反転させる。
そして、回転動作は、少なくとも上昇動作中に実行される。
この構成によれば、上昇動作において、ワークWを保持する第1エンドエフェクタ3を第1ロボットアーム1が上昇させる際に第1端部w11が立ち上がる方向へ第1エンドエフェクタ3が第1回転軸E1回りに回転することによって、ワークWの第2シート面s2を反転ステーション92に対して垂直又は垂直に近い角度に起き上がらせるようにワークWを持ち上げることができる。特に、可撓性を有するものの、曲がりにくい、即ち、剛性が高いワークWの場合には有効となる。これにより、第1シート面s1が下を向くように第1エンドエフェクタ3を下降させる下降動作に円滑に移行することができる。その結果、ワークWをどこかに一旦置いて持ち直したり、ワークWを別のエンドエフェクタで持ち替えたりすることなく、ワークWを簡便な動作で反転させることができる。
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
例えば、ワークWは、FPCに限定されない。ワークWは、可撓性を有するシート状であれば、任意のワークを採用することができる。例えば、ワークWは、フィルム又は紙葉類であってもよい。
ワークWの形状は、任意である。ワークWは、第1突片w1及び第2突片w2の少なくとも一方を有していなくてもよい。
ロボット100において設置作業は必須ではない。ロボット100は、反転作業だけを行ってもよい。
ロボット100は、長手方向を有するワークWをその長手方向に反転させているが、短手方向(即ち、幅方向)に反転させてもよい。
ロボット100は、双腕ロボットに限定されない。1本のロボットアームを備えたロボット2台で、前述の作業を行ってもよい。あるいは、反転作業だけであれば、1本のロボットアームを備えた1台のロボットで実行することもできる。
反転作業においては、少なくとも保持動作、上昇動作、下降動作及び回転動作が実行されればよい。予備動作及び/又は横移動動作は、省略することができる。例えば、上昇動作においては、ワークWの第1端部w11の上昇に伴って、第2端部w12が反転方向の第1側へ移動する。ワークWが反転ステーション92から離間したときには、第2端部w12が慣性によって反転方向の第1側へ移動し得る。これにより、第1部分w21が第2部分w22よりも反転方向の第2側に位置する状態、即ち、第1シート面s1が下方を向く状態が実現され得る。そのような場合には、そのような場合には、予備動作及び横移動動作を省略して、第1エンドエフェクタ3を鉛直下方に下降させるだけでも、第1シート面s1が下方を向く状態でワークWを反転ステーション92に横たわらせることができる。
同様に、上昇動作中に回転動作が実行される場合には、ワークWが反転ステーション92から離間するときに回転動作が実行されることによって、第2端部w12が慣性により反転方向の第1側へ移動し得る。このような場合にも、予備動作及び横移動動作を省略して、第1エンドエフェクタ3を鉛直下方に下降させるだけでも、第1シート面s1が下方を向く状態でワークWを反転ステーション92に横たわらせることができる。
回転動作における第1エンドエフェクタ3の回転角度は、90度に限定されない。回転動作において、第1エンドエフェクタ3は、保持状態から略45度だけ回転してもよいし、略135度まで回転してもよい。つまり、第1エンドエフェクタ3は、第1端部w12が第1シート面s1を下向きに反転していく方向へ回転する限り、その回転角度は任意に設定され得る。
また、押さえ動作は、省略してもよい。例えば、解除動作時における反転ステーション92上でのワークWの移動が許容される場合には、押さえ動作は不要である。また、解除動作時にワークWの移動を制限するストッパ等が反転ステーション92等に設けられている場合には、押さえ動作を省略しても、ワークWの移動を抑制できる。
実施形態の反転作業において、下降動作中に回転動作が実行されているが、これに限定されない。回転動作は、保持動作の後から下降動作を完了するまでの間に実行されればよい。例えば、回転動作は、上昇動作及び予備動作の少なくとも一方において実行されてもよい。また、回転動作は、上昇動作から予備動作に亘って、又は、上昇動作から下降動作に亘って行われてもよい。
変形例の反転作業においては、上昇動作の終盤から下降動作に亘って横移動動作が行われているが、これに限定されない。例えば、上昇動作時には横移動動作を行わず、上昇動作の後、第1エンドエフェクタ3を上昇させることなく横移動動作を行ってもよい。あるいは、上昇動作と下降動作との間に、第1エンドエフェクタ3を水平方向へ移動させる横移動動作を上昇動作及び下降動作と切り離して実行してもよい。
設置作業において、第1エンドエフェクタ3は、突き押しツール96を把持して突き押し動作を実行している。第1エンドエフェクタ3は、突き押しツール96が常に設けられていてもよい。
第1ロボットアーム1及び第1エンドエフェクタ3の動作と、第2ロボットアーム4及び第2エンドエフェクタ6の動作とを入れ替えてもよい。例えば、反転作業における上昇動作を第2ロボットアーム4が行ってもよい。