JP7477354B2 - 感触評価方法 - Google Patents

感触評価方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7477354B2
JP7477354B2 JP2020079263A JP2020079263A JP7477354B2 JP 7477354 B2 JP7477354 B2 JP 7477354B2 JP 2020079263 A JP2020079263 A JP 2020079263A JP 2020079263 A JP2020079263 A JP 2020079263A JP 7477354 B2 JP7477354 B2 JP 7477354B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
skin
frequency band
feel
vibration
vibration intensity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020079263A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021173691A (ja
Inventor
由浩 田中
雅俊 橋本
崇訓 五十嵐
悦子 度会
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2020079263A priority Critical patent/JP7477354B2/ja
Publication of JP2021173691A publication Critical patent/JP2021173691A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7477354B2 publication Critical patent/JP7477354B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)
  • Investigating Strength Of Materials By Application Of Mechanical Stress (AREA)

Description

本発明は、感触評価方法及び感触評価装置に関する。
化粧剤の使用感を評価する、あるいはスキンケア剤の効果を評価するため、皮膚の感触(手触り)を評価することがなされている。皮膚の感触は、多くの場合官能評価によって行われるが、評価者に因らない客観的な評価を得るための技術が公知になっている。このような技術としては、例えば、特許文献1に記載の化粧料の使用感触を評価する方法がある。特許文献1には、化粧料を被塗布面に塗布し、塗布された化粧料に動作体を接触させながら動かすことによって発生する振動の周波数スペクトルを取得し、その経時的な変化を使って化粧剤の使用感を評価することが記載されている。
また、特許文献2には、化粧料を所定の基材に塗布し、この基材に塗布された化粧料の表面を擦ることによって発生する摩擦音を使って化粧料の塗布感触を測定することが記載されている。
上記の特許文献1、特許文献2に記載の発明は、いずれも化粧料を評価するものであって、化粧料の塗布が完了した後の被塗布面(基材)の感触を評価するものである。
国際公開第2019/39466号 特開2018-151258号公報
しかしながら、化粧料の使用感(使い心地)は、化粧剤の塗布の開始から塗布終了までの間、つまり塗布の過程において被塗布面から手指やスポンジ等の塗布体に伝わる感触の影響を受ける。上記の特許文献1、特許文献2に記載の発明は、化粧剤を塗布している過程において得られる感触を測定するものではなく、塗布終了後の化粧料の感触を評価するものであって、塗布の過程における使用感を評価することはできない。
さらに、素肌を好適な状態にするスキンケア用の剤の効果を検証するためには、化粧剤の塗布中の感触および素肌の感触に関して、スキンケア剤を使用する前と継続的に使用した後(以下、「連用」とも記す)を比較することが有効であり、そのためには、感触の細かな変化を評価する必要があり、感触評価に高い精度が求められる。また、上記の特許文献1、特許文献2には、化粧剤を塗布していない素肌の感触を検出することは記載されていない。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、化粧剤の塗布中の使用感及び素肌の感触、もしくはスキンケア剤の連用前と連用後における化粧剤の塗布中の使用感及び素肌の感触を評価可能な感触評価方法及び感触評価装置に関する。
本発明の感触評価方法は、医療行為を除く肌診断、化粧剤の設計、開発及び推奨の少なくとも一つのために用いられる感触評価方法であって、皮膚の表面を摩擦する摩擦体を皮膚に接触させて移動させ、前記皮膚に前記化粧剤を塗布する化粧剤塗布工程と、前記化粧剤塗布工程における塗布の開始から前記化粧剤が塗り広げられる塗布終了までの少なくとも一部の間に、前記摩擦体の振動に係る振動強度を取得する振動強度取得工程と、を含み、前記振動強度のうち、第一周波数を下限とする周波数帯域の少なくとも一部である第一周波数帯域の第一周波数強度と、前記第一周波数帯域と異なる周波数帯域を含む第二周波数帯域の前記振動強度である第二周波数強度と、の比に基づいて、前記皮膚、前記化粧剤及び前記摩擦体の少なくとも一つに係る感触に関する感触指標を求める。
本発明は、化粧剤の塗布中の使用感及び素肌の感触、もしくはスキンケア剤の連用前と連用後における化粧剤の塗布中の使用感及び素肌の感触を評価可能な感触評価方法及び感触評価装置を提供することができる。
ファンデーションを皮膚に塗布した際の感触評価(滑らかさ)において、官能評価の数値と振動強度との関係を示す図である。 (a)はスキンケア剤の連用前と連用後のそれぞれにおいて、ファンデーションを皮膚に塗布した際の感触評価(滑らかさ)を示す官能評価の数値と振動強度との関係を示す図である。(b)は(a)の縦軸の数値が正であるものと負であるものとを比較した結果を示すグラフである。 第一実施形態の感触評価方法を実行する感触評価装置を説明するためのブロック図である。 図3に示す感触評価装置の振動センサ及び本体で実行される感触評価方法を説明するためのフローチャートである。 図3に示す振動センサによって測定された振動の波形を例示する図である。 (a)は、第一実施形態においてスキンケア剤の連用前と連用後のそれぞれにおいてファンデーションを皮膚に塗布した際の感触を官能評価した結果と振動強度比との関係を示す図である。(b)は、図6(a)に示す縦軸の数値が正であるものと負であるものとを比較した結果を示すグラフである。 (a)、(b)、(c)及び(d)は、いずれも図2に示す演算部によって算出された振動強度比の経時変化を例示する図である。 (a)は、スキンケア剤の連用の前連用後のそれぞれにおいて皮膚の感触を官能評価した結果と振動強度比との関係を示す図である。(b)は、(a)の結果を検証するための比較例を示すグラフである。
[概要]
以下、本発明の具体的な説明に先立って概要を説明する。
化粧剤の使用感や素肌の感触を官能評価することが知られている。官能評価は、被検者の皮膚に対してスポンジや指を接触させながら滑らせて、その感触を、例えば、「滑らか」であると感じる程度を検査者に問うこと等によって行われる。また、感触を客観的に評価するため、感触を物理量によって測定することが行われている。
上記において、化粧剤は、メイクアップ化粧料、スキンケア品を含むベース化粧料、洗浄料をいう。メイクアップ化粧料にはファンデーション等が含まれる。スキンケア品には化粧水、乳液や日焼け止め等が含まれる。さらに、化粧剤は、皮膚に塗布されるものに限定されず、噴霧や皮膚をパックするものであってもよい。「滑らか」の感触は、スポンジや指が皮膚の上で引っ掛る感触がない、あるいは相対的に少ないことを指す。
測定に使用される物理量としては、例えば化粧剤の塗布中の指に伝わる振動に係るパラメータが考えられる。振動は、例えば、指に装着されるウェアラブルの振動センサや振動センサを備えた人工指によって直接測定することができる。また、振動は、音、指に加わる力や加速度の形でも測定できる。音の測定は、指の近傍に取り付けられたマイクによって行うことができる。力は、例えば圧電素子等によって測定でき、加速度は公知の加速度センサによって測定することができる。指に加わる振動は、複数の周波数成分の振動の重なりとして捕らえられる。本明細書では、測定された振動波形をフーリエ変換等して周波数成分を抽出し、この周波数成分をエネルギーとして表すパワースペクトルを得ている。本明細書では、このパワースペクトルの密度を「振動強度」と記す。
官能評価で人が感じる皮膚の感触と客観的な振動強度とを対応つけることにより、皮膚表面を擦った際の振動を測定して皮膚表面の感触の指標を得ることが考えられる。本発明者らは、36人(n=36)の被検者について検査者が頬にスポンジで化粧剤を塗布し、その感触を測定すると同時に検査者の指に取り付けられた振動センサで振動を測定した。そして、得られた信号を解析して振動強度を求めた。
図1は、スポンジにファンデーションをのせ、皮膚に塗布した際の感触評価(滑らかさ)において、縦軸に官能評価の数値を示し、横軸に振動強度(Power Spectral Density:PSD[V/Hz])を示した結果である。官能評価は1から5の数値で皮膚の滑らかさを評価するものであり、以下のように数値が大きいほど滑らかの程度が大きいことを示している。
1・・・滑らかであるとは思わない
2・・・滑らかであるとはやや思わない
3・・・どちらともいえない
4・・・滑らかであるとやや思う
5・・・滑らかであると思う
横軸の振動強度は、300Hz以上、500Hz以下の周波数の振動強度の総和である。
スキンケア剤の効果を検証する際には、化粧剤の塗布中の感触について、スキンケア剤の使用前と使用後のそれぞれについて、比較することが有効である。そこで本発明者らは、スキンケア剤を複数の日に亘る比較的長期に継続使用(以下、「連用」とも記す)した場合の、連用の前後における化粧剤の感触を比較した。なお、ここでの複数の日は一週間である。
図2(a)は、スキンケア剤の連用前と連用後のそれぞれにおいて、スポンジにファンデーションをのせ、皮膚に塗布した際の滑らかさの評価結果と振動強度との関係を示す図である。図2(a)の縦軸は、上記1から5で示す滑らかさの官能評価の数値の連用前と連用後との差分(連用後の官能評価の数値-連用前の官能評価の数値)を示している。図2(a)の横軸は、振動強度の連用前と連用後との差分(連用後の振動強度-連用前の振動強度)を示している。図2(a)中の各プロットが示す振動強度と滑らかさの官能評価の結果は、同一の被検者のものである。なお、ここでの振動強度は図1と同様に、300Hz以上、500Hz以下の周波数の振動強度の総和である。
したがって、図2(a)の縦軸の数値が正であれば、連用後に化粧剤の感触が「滑らかである」と感じる程度が高く変化したことを示している。そのため、数値そのものが示す評価結果は図1に示すものと異なっている。また、同様に、図2(a)の横軸の数値が負であれば、連用後にスポンジを用いてファンデーションを塗布した際の振動強度が小さく変化したことを示している。そのため、図2(a)の横軸の数値は、図1に示す横軸の振動強度そのものの数値とは相違している。図2(a)は、官能評価の結果と、スポンジを用いてファンデーションを塗布した際の振動強度という客観的な数値との相関性を示すものである。
図2(a)によれば、スキンケア剤の連用の前後において、スポンジを用いてファンデーションを塗布する過程で皮膚から伝わる振動強度の変化と滑らかさの官能評価の数値の変化との間に明確な相関性が見られない。
図2(b)は、図2(a)の縦軸の数値が正であるものと負であるものとを比較した結果を示すグラフである。図2(b)の縦軸は、連用の後に測定された振動強度と連用の前に測定された振動強度との差分の平均値を示している。「低下_平均」に対応する棒グラフは、滑らかさの官能評価の数値がスキンケア剤の連用前より連用後で小さくなった被検者(図2(a)の縦軸の数値が負)の振動強度の差分の平均値を示している。「増加_平均」に対応する棒グラフは、滑らかさの官能評価の数値がスキンケア剤の連用前より連用後で大きくなった被検者(図2(a)の縦軸の数値が正)の振動強度の差分の平均値を示している。なお、図2(b)においては、連用の前後で滑らかさの官能評価の結果が変化しなかった被検者(図2(a)の縦軸の数値が0)のデータは除いてある。図2(b)において、平均値の差の検定を行ったところ、「低下_平均」と「増加_平均」の間で、振動強度の差分の数値には有意な差がなかった。このような結果は、振動強度のみを用いることでは、スキンケア剤連用による皮膚の状態の変化に伴う感触の細かな変化を評価することは困難であり、感触評価の精度が不十分であることを示している。
本発明の第一実施形態及び第二実施形態は、上記の点を考慮し、化粧剤の塗布の有無に関わらず、摩擦体を被検者の皮膚に接触させて滑らせている間に皮膚と摩擦体との間に生じる振動を取得し、この結果から化粧剤及び皮膚の感触を客観的に高い精度で評価するものである。
<第一実施形態>
本発明者らは、上記の結果について検討し、第一実施形態の感触評価方法を見出した。第一実施形態の感触評価方法は、医療行為を除く肌診断、化粧剤の設計、開発及び推奨の少なくとも一つのために用いられる感触評価方法である。そして、皮膚の表面を摩擦する摩擦体を皮膚に接触させて移動させ、皮膚に化粧剤を塗布する化粧剤塗布工程と、化粧剤塗布工程における塗布の開始から化粧剤が塗り広げられる塗布終了までの少なくとも一部の間に、摩擦体の振動に係る振動強度を取得する振動強度取得工程と、を含んでいる。また、第一実施形態の感触評価方法では、上記の振動強度のうち、第一周波数を下限とする周波数帯域の少なくとも一部である第一周波数帯域における第一周波数強度と、第一周波数帯域と異なる周波数帯域を含む第二周波数帯域における振動強度である第二周波数強度との比に基づいて、皮膚、化粧剤及び摩擦体の少なくとも一つに係る感触に関する感触指標を求めるものである。
皮膚及び化粧剤の感触の評価は、医療行為を除く肌診断、化粧剤の設計、開発及び推奨の少なくとも一つの目的のために活用することができる。ここで、肌診断とは、肌の状態や肌の感触の評価、肌の感触に関する因子を評価するものを指す。化粧剤の設計とは、化粧剤の生成のプロセスや材料の選択、さらにはその成分比等を決定することをいう。化粧剤の開発とは、化粧剤を生成し、実験、評価して人に適用可能な状態に向けて品質を高めることをいう。推奨とは、肌の診断結果、化粧剤の用途や品質、成分等に基づいて適正な化粧剤、化粧剤の使用方法や塗布方法、スキンケアや洗浄、メイクアップといった化粧の仕方を使用者に提案することをいう。
上記の「皮膚」は、生体の皮膚または皮膚を模した模擬肌(レプリカや人工皮革等)を指す。生体としては、人であってもよいし、人以外の動物であってもよい。また、人の皮膚に適用する場合、皮膚は顔の皮膚であってもよいし、他の箇所の皮膚であってもよい。なお、皮膚は化粧剤が塗布される以前の状態であってもよいし、化粧剤が塗布される過程の表面に化粧剤がある状態であってもよい。さらに、化粧剤の塗布が完了して一部が表面に浸透している状態であってもよい。
また、上記のように、化粧剤は、皮膚の状態を好ましい状態に変化させる目的で塗布される剤である。ここで、皮膚の状態は、例えば、皮膚における水分や油分、乾燥、表面の凹凸の状態をいう。本実施形態でいう化粧剤は、このような状態を変化させることにより、皮膚を健康にして美観を高める目的で塗布される。このような化粧剤としては、例えば、クリームや化粧水、保湿剤といった基礎化粧品が含まれる。また、皮膚の状態は、皮膚の色味や艶、光沢の状態をも指す。化粧品は、このような状態を変化させることによって顔等の印象を変化させる目的で塗布される。このような化粧剤としては、例えば、口紅、アイシャドー、アイブロウ、頬紅といったメイクアップ用の化粧剤が含まれる。
摩擦体は、指や人工指、スポンジ、パフ、ブラシ、コットン等の化粧剤を塗布するための部材であり、皮膚表面との間に摩擦力を生じるものであればよい。第一実施形態では、摩擦体としてスポンジを用いるものとする。第一実施形態において、パフは表面が起毛したものを指し、スポンジは多孔性のものを指すものとする。
振動強度は、皮膚によってスポンジに伝わる振動と化粧剤によってスポンジに伝わる振動が混在した総合的な振動の強度である。化粧剤が塗り広げられる塗布終了までの間とは、化粧剤をスポンジにのせる、または、化粧剤を皮膚の表面に乗せた後、この化粧剤を塗り広げる検査者が塗布終了と判断するまでの間をいう。検査者は、化粧剤が塗布される塗布対象者であってもよいし、他の者であってよい。
第一実施形態でいう「摩擦体(スポンジ)に伝わる振動」は、スポンジを移動させることによるスポンジの揺れではなく、移動の間に皮膚との摩擦によりスポンジ及びスポンジを持つ手指に生じる振動である。振動強度は、例えば、パワースペクトル密度(Power Spectral Density:PSD)によって表される。振動の取得は、振動センサ、圧電素子、加速度計、マイク等によって行うことができる。
感触は、指がスポンジを介して感じる皮膚の感触であって、皮膚表面の微細な凹凸によって指に伝わる振動や摩擦力の大きさ、さらには指が皮膚を押圧する際の押し込み力や、この押し込み力に反発する弾性力を指す。
感触指標は、上記した感触の特徴量を示すものであればよい。感触指標は、振動に基づく数値であってもよいし、数値に限定されず、例えば、振動強度の相対的な大小や経時変化を表す波形であってもよい。また、感触指標は、「ざらざら」、「かさかさ」、「すべすべ」といった文言であってもよいし、「A」や「D」、さらには「20歳代レベル」、「50歳代レベル」といったランクであってもよい。
さらに、第一実施形態の感触評価方法は、スポンジが皮膚に接触してから離れるまでの間に取得される振動強度を解析する解析工程をさらに含むようにしてもよい。ここで、「解析」は、取得された第一周波数、第二周波数の振動強度比に基づく演算を行い、その有意性を見出す処理を行うことを指す。このような解析は、例えば、振動強度比と、振動強度比が取得された皮膚の官能評価の結果とを対応付けるものであってもよい。
このような処理は、例えば、同一の被検者に対して官能評価と振動強度の計測とを実行し、振動強度の比をとって得た値と官能評価の結果とを対応付けるものであってもよい。振動強度比と官能評価の結果との間に充分な相関性が認められることにより、第一実施形態は、振動強度から皮膚の感触を客観的に推定する感触推定データを作成することができる。
図3は、第一実施形態の感触評価方法を実行する感触評価装置を説明するためのブロック図である。
第一実施形態の感触評価装置1は、図3に示すように、被検者の指fに取り付けられた振動センサ10と、本体2と、情報提示部3とによって構成されている。振動センサ10は、振動強度取得部として機能する。振動は、皮膚の表面を摩擦するスポンジを皮膚に接触させて移動させ、皮膚に化粧剤を塗布する過程において、塗布の開始から化粧剤が塗り広げられる塗布終了までの少なくとも一部の間に取得されるスポンジの振動vである。第一実施形態の振動強度は、振動vに基づいて算出されるパワースペクトル密度である。
本体2は、振動センサ10で測定された振動に係る振動強度を取得する入力部24を有している。また、本体2は、振動強度のうち、第一周波数帯域における第一周波数強度と、第二周波数帯域における振動強度との比に基づいて感触指標を求める抽出フィルタ21及び演算部22を有している。抽出フィルタ21及び演算部22は、振動強度取得部として機能する。
抽出フィルタ21は、例えば、フーリエ変換(Fourier Transform)、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform)、短時間フーリエ変換(Short-time Fourier Transform)、ウェーブレット変換(Wavelet Transform)、最大エントロピー法などの波形解析のいずれかを行うフィルタである。このような抽出フィルタ21は、計測された振動強度を周波数帯域ごとに分離する機能を有している。
演算部22は、抽出フィルタ21を通過して第一周波数帯域、第二周波数帯域に分離された信号の周波数強度を演算処理するCPU(Central Processing Unit)、CPUで行われる処理に必要なデータを保存する、あるいは処理のワークメモリに使用されるメモリ装置等によって構成される。第一実施形態の演算部22は、第一周波数帯域の第一周波数強度と、第二周波数帯域の第二周波数強度との比を求める。そして、算出された比に基づく情報を情報提示部3の表示部31、振動部32及びブザー33のいずれかに出力する。
以下に、上記した感触評価装置1において行われる処理を、本体2で行うものと情報提示部3で行われるものとに分けて説明する。
[本体]
図4は、図3に示す感触評価装置のうちの振動センサ10及び本体2で実行される感触評価方法を説明するためのフローチャートである。図4に示すように、第一実施形態の感触評価方法は、化粧剤塗布工程(ステップS101)、振動強度取得工程(ステップS104)及び解析処理工程(ステップS105)を含んでいる。第一実施形態は、ステップS105の解析処理によって感触指標を求めている。
第一実施形態の感触評価方法では、スポンジが被検者に化粧剤を塗布する(ステップS101)。この過程でスポンジを介して指fに伝わる振動vは、振動センサ10に計測される(ステップS102)。
図5は、振動センサ10によって測定された振動vの波形を例示する図である。第一実施形態では、スポンジに化粧剤を付着させて、皮膚に繰り返し接触させながら移動させることによって化粧剤を皮膚に塗布している。スポンジが皮膚に接触を開始してから次に離れるまでの期間を一ストロークとし、この間にスポンジや指を皮膚上で移動させる動作をストローク動作と記す。図5に示す波形は、ストロークsa、sb、scの三つのストロークの間に取得されたものである。
演算部22は、振動vの計測が終了したか否か判断する(ステップS103)。計測終了の判断は、例えば、計測信号が予め設定された時間入力されないことによって行われるものであってもよいし、検査者が本体2に対して信号を送るものであってもよい。測定が終了していない場合(ステップS103:No)、終了するまで振動波形の計測が継続する。そして、計測が終了すると(ステップS103:Yes)、計測された振動vが抽出フィルタ21に送られる。
抽出フィルタ21は、入力部24によって入力された振動vを第一周波数帯域と第二周波数帯域とに分離する。第一実施形態では、第二周波数帯域を200Hz以上、500Hz以下の少なくとも一部の範囲に設定する。なお、第一周波数帯域と第二周波数帯域とは、互いに異なる周波数帯域を含めばよく、一致するものでなければよい。分離されたそれぞれの周波数帯域の振動vは、演算部22に入力される。
演算部22は、第一周波数帯域の振動の強度を算出する。また、第二周波数帯域の振動の強度を算出する(ステップS104)。また、演算部22は、第二周波数帯域の振動の強度を分子とし、第一周波数帯域の振動の強度を分母として振動強度比を算出し、振動強度を解析する(ステップS105)。
なお、第一実施形態は、注目すべき周波数帯域を分子とし、他の周波数帯域を分母として上記の比を算出しているが、周波数帯域の分子、分母はこのような例に限定されるものではない。
また、第一実施形態は、上記のように第二周波数が200Hz以上、500Hz以下とし、第一周波数帯域を200Hz未満に設定する。このような場合、例えば、第二周波数を200Hz以上、500Hz以下、第一周波数を10Hz以上、100Hz以下に設定することができる。さらに、第一実施形態は、第一周波数帯域が第二周波数帯域を内包するように設定してもよい。このような場合、例えば、第二周波数を200Hz以上、500Hz以下、第一周波数を10Hz以上、1000Hz以下に設定することができる。
上記周波数帯域の設定は、人の感覚器において振動の刺激に敏感なパチニ小体が刺激に対して敏感になる周波数のピークが200Hzから500Hzの間にあることと、メルケル細胞等の他の感覚器の感度のピークが200Hz以下の周波数にあることによる。すなわち、振動を周波数帯域で分離し、分離された振動の強度の比をとることは、複数の周波数が混在する振動が皮膚に生じたとき、スポンジを介して指fが最も敏感に感じる周波数の振動を正規化して高精度に取得するものである。
また、第一実施形態は、第二周波数を200Hz未満に設定することができる。また、このとき、第一周波数帯域が第二周波数帯域を内包するように設定してもよい。このような場合、例えば、第二周波数を10Hz以上、100Hz以下、第一周波数を10Hz以上、500Hz以下に設定することができる。このような周波数帯域の設定によれば、パチニ小体以外の感覚器によって検出される振動に注目した特徴量の抽出ができる。
また、ステップS105の解析工程は、スポンジが皮膚に接触してから離れるまでの間に取得される振動強度を解析する。
このとき、第一実施形態は、スポンジが皮膚に接触してから次に離れるまでの一ストロークの間に取得される振動強度の平均に係る情報を解析してもよい。一ストロークの間に取得される振動強度は、例えば、図5に示すストロークsa、sb、scのそれぞれに対応するサンプリングタイムta、tb、tcごとに入力された振動の強度である。このようにすれば、ストローク動作が行われていない間の振動強度は解析の対象にならず、一ストロークごとの振動vを演算部22の解析対象とすることができる。
また、ステップS105においては、一ストロークが複数回行われる間に取得される振動強度の平均に係る情報を解析するようにしてもよい。複数のストロークの間に取得される振動の強度は、例えば、図5に示すサンプリングタイムta、tb、tcの全てを含む総期間Tに間断なく入力される振動vの強度である。このようにすれば、複数回ストローク動作が行われる間に取得された振動vの強度が演算部22によって得られる。
さらに、ステップS105の解析工程は、スポンジが皮膚に接触してから次に離れるまでの動作を一ストロークとし、一ストロークの間に複数回取得された振動強度、または一ストロークが複数回行われる間に、ストロークの回数よりも多い回数取得された振動強度を時系列に解析するものであってもよい。一ストロークの間に複数回取得された振動の強度は、例えば、図5に示す例えばストロークsaの間にストロークsaよりも十分に短い時間間隔(例えば0.128秒)t1、t2・・・tnで繰り返し入力された振動vの強度であってもよい。
また、一ストロークが複数回行われる間に、このストロークの回数よりも多い回数取得された振動強度は、例えば、図5に示す三つのストロークsa、sb、scを含む総期間Tの間に、三回よりも多い回数入力された振動の強度であってもよい。
以上の処理の後、演算部22によって算出された振動強度比は、演算部22に内蔵された、あるいは外付けのメモリに保存される(ステップS106)。
また、ステップS106の保存工程において、演算部22は、ステップ105の解析工程において算出された振動強度比を、化粧剤の塗布中における官能評価の結果に対応つけて蓄積する。このとき、算出された振動強度比は、この振動強度比を測定した同一の被検者で行われた官能評価の結果に対応つけて保存される。
本発明者らは、先に述べた図2(a)の横軸を振動強度比で表して、感触評価結果を示した。図6(a)は、第一実施形態においてスキンケア剤の連用前と連用後のそれぞれにおいて、スポンジを用いてファンデーションを塗布した際の滑らかさを官能評価した結果を示す図である。図6(a)の縦軸は滑らかさの官能評価の結果の差分を示している。滑らかさの官能評価の結果を示す数値は、図1、図2(a)と同様に「1」から「5」に向かう順番で「滑らかである」と感じる程度が高くなっている。このため、連用の後が、連用の前よりも化粧剤の塗布の過程で滑らかであると評価される場合、縦軸の数値は正になる。図6(a)の横軸は、スキンケア剤の連用前に測定されたスポンジを用いてファンデーションを塗布した際の振動強度比と、連用後に測定されたスポンジを用いてファンデーションを塗布した際の振動強度比との差分(連用後の振動強度比-連用前の振動強度比)を示している。連用後の振動強度比が連用前より小さくなる場合、横軸の数値は負になる。なお、図6(a)に示す結果は、第一周波数帯域を10Hzから50Hz、第二周波数帯域を300Hzから500Hzとして得たものである。
図6(a)によれば、連用後にスポンジを用いてファンデーションを塗布した際の「滑らかさ」が増加した被検者においては、ファンデーションを塗布した際の振動強度比が小さくなって、負の方向に向かうことが分かる。また、図6(a)によれば、連用後にファンデーションを塗布した際の「滑らかさ」が低下した被検者では、測定された振動強度比が大きくなって正の方向に向かうことが分かる。このようなことから、図6(a)においては、滑らかさの官能評価の変化と測定によって得られたスポンジを用いてファンデーションを塗布した際の振動強度比の変化とが負の相関性を有することが明らかである。
図6(b)は、図6(a)の縦軸の数値が正であるものと負であるものとを比較した結果を示すグラフである。図6(b)の縦軸は、連用の後に測定された振動強度比と連用の前に測定された振動強度比との差分の平均値を示している。横軸の「低下_平均」に対応する棒グラフは、滑らかさの官能評価の数値が連用後に小さくなった被検者(図6(a)の縦軸の数値が負)の振動強度比の差分を平均した値である。横軸の「増加_平均」(図6(a)の縦軸の数値が正)に対応する棒グラフは、官能評価の数値が連用後に大きくなった被検者の振動強度比の差分を平均した値である。なお、図6(b)においては、連用の前後で官能評価の結果が変化しなかった被検者(図6(a)の縦軸の数値が0)のデータは除いてある。図6(b)において、平均値の差の検定を行ったところ、「低下_平均」と「増加_平均」の間で、振動強度比の差分の数値には有意な差があった。このような結果は、振動強度の比を用いることで、スキンケア剤連用による皮膚の状態の変化に伴う感触の細かな変化を精度よく評価できることを示している。
そして、このような図6の結果によれば、測定された振動強度比から官能評価の結果を推定できるようになる。なお、図6に示す結果は、サンプリングタイムを図5に示す各サンプリングタイムta、tb、tcに取得された振動vの平均値を使って得たものである。第一実施形態では、さらに総期間Tとして取得された振動v、あるいはサンプリングタイムt1、t2・・・tnに取得された振動vを使って振動強度比を算出することができる。サンプリングタイムを変更することにより、第一実施形態は、振動強度比と官能評価の結果との相関性をさらに高めることができる。また、第一実施形態は、さらに多くの被検者について官能評価と振動強度比の測定とを実行し、サンプル数nを増やすことによって両者の相関性をより高めて感触推定データの精度を向上させることができる。
[情報提示部]
次に、以上の処理によって保存された振動強度比の提示について説明する。
表示部31に振動強度比を出力して提示するものとしては、演算部22によって取得された振動強度比を時系列に波形で表示することが考えられる。
図7(a)、図7(b)、図7(c)及び図7(d)は、いずれも演算部22によって算出された振動強度比の経時変化を例示する図であって、振動強度比を縦軸に、時間を横軸にとったグラフである。なお、図7(a)から図7(d)のいずれにあっても、上段の画像は、下段に示すグラフに対応したスポンジのストローク動作を示すものである。したがって、第一実施形態の表示部31は、少なくとも下段のグラフが表示されるものであればよい。また、表示部31はグラフに限定されず、振動強度比の経時的な変化に応じて変化する視覚エフェクトのような視覚情報でもよい。
スポンジSは、被検者の頬の前方から後方に向かって皮膚に接触しながら移動した後に停止する。そして、停止位置において皮膚から離れ、皮膚に接触することなく前方に移動して再び接触しながら後方に向かう。このとき、図7(a)から図7(d)が示すように、指fに伝わる振動強度比は、スポンジSが後方の停止位置近くにおいて高まることが分かる。
このような第一実施形態によれば、化粧剤の塗布終了後の皮膚や化粧剤の感触ではなく、化粧剤の塗布中にスポンジSを介して指fが感じる、所謂使い心地や使用性も評価することができる。
また、情報提示部3によって行われる感触提示工程は、第一周波数強度と第二周波数強度との比を演算処理し、皮膚が摩擦体に与える感触に関する情報を提示するものであってもよい。
上記の感触提示を行う場合、出力部25は、ステップS106において保存された振動強度比を振動部32及びブザー33の少なくとも一方に出力する。ここでいう演算処理は、例えば、出力された振動強度比と振動vの波形(波形と相関を有するパラメータ)との乗算、振動強度比の増幅、さらには閾値以下の振動強度比の消去等をいう。また、演算処理は、例えば、振動強度比を予め定められているルールに基づいて重み付けする処理等をいう。
振動部32は、例えば、演算処理後の振動強度比の大小に基づく強度で振動する不図示の振動体を有するものであってもよい。このような構成によれば、被提示者は振動体に指等を接触させて皮膚及び化粧剤に係る振動を実感することができる。
ブザー33は、例えば、演算処理後の振動強度比の大小に基づく大きさのブザー音を出力するものであってもよい。また、第一実施形態では、振動部32の振動やブザー33のブザー音を振動強度比の経時的な変化に応じて経時的に変化させてもよい。
このような構成によれば、被提示者はブザー音の大小によって皮膚及び化粧剤に係る振動の大小を実感することができる。
なお、以上説明した第一実施形態では、本体2において振動強度の比をとって保存し、これを情報提示部3が演算処理する例を挙げている。しかし、第一実施形態は、このような構成に限定されるものでなく、本体2の側で振動強度比を演算処理した後に情報提示部3に出力してもよい。また、第一実施形態の本体2は、振動強度比の大きさ及びその経時的な変化に応じて振動するように振動部32を制御するドライバを備えるものであってもよい。さらに、本体2は、振動強度比の大きさ及びその経時的な変化を表すブザー音を出力するようにブザー33を制御するドライバを備えるものであってもよい。
また、以上説明した第一実施形態では、図4に示すステップS103の測定が完了した後に演算を開始している。しかし、第一実施形態は、このような処理に限定されるものでなく、測定と並行して振動強度を解析し、測定とリアルタイムで解析結果を提示するものであってもよい。
さらに、以上説明した第一実施形態では、感触評価を「滑らか」の感触によって行っている。ただし、第一実施形態は、滑らかの感触を評価することに限定されず、化粧剤の「のび」、「しっとり」、「すべすべ」、「油っぽさ」、「べたつき」、「コク」、「なじみの良さ」等の感触で評価を行うものであってもよい。
以上説明した第一実施形態は、化粧剤の塗布の開始から化粧剤が塗り広げられる塗布終了までの少なくとも一部の間の振動強度を取得するため、化粧剤の塗布中の振動強度を評価の対象にすることができる。また、振動強度は化粧剤塗布中の指に伝わる感触を示すので、第一実施形態は化粧剤の塗布中の感触を評価することができる。そして、第一実施形態は、周波数帯域の異なる第一周波数と第二周波数それぞれの強度の比をとり、この振動強度比に基づいて感触指標を求めるので、注目する周波数の振動強度を正規化し、他の周波数の振動強度の影響を小さくすることができる。このような第一実施形態は、化粧剤の塗布中の感触を高い精度で評価することが可能である。
このため、第一実施形態は、スキンケア剤を連用することの効果を官能評価によらず検証することに有効である。また、第一実施形態は、スキンケア剤の連用の前後に適用されることに限定されるものでなく、食事や睡眠といった生活態度と素肌及び化粧剤の感触の状態の関係を官能評価によらず調査することについても有効である。振動強度比の測定は、官能評価よりも客観的かつ簡易に行うことができるため、第一実施形態は、短時間でスポンジや指等を通して感じる素肌及び化粧剤の感触を高精度に推定することができるものとなる。
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態を説明する。第二実施形態の感触評価方法は、指(摩擦体)を皮膚に接触させて移動させている間の少なくとも一部において振動強度を取得する振動強度取得工程と、振動強度の第一周波数強度と第二周波数強度との比に基づいて、皮膚または指に係る感触指標を求めるものである。このような第二実施形態は、化粧剤を塗布することなく指等の摩擦体を皮膚に接触させて感触指標を求めるので、素肌の感触を評価することができる。
なお、第二実施形態と第一実施形態の違いは、第一実施形態が、化粧剤塗布工程を含むのに対し、第二実施形態は、化粧剤塗布工程を含まないことである。
第二実施形態においては、第一実施形態と同様に、被検者がスキンケア剤を連用し、連用前と連用後のそれぞれにおいて、検査者が指で皮膚を擦った際の滑らかさの官能評価と振動強度の測定とを行った。第二実施形態では、滑らかさの官能評価は、図1の縦軸と同様に1から5で示す数値で評価した。測定された振動強度は、特定の周波数帯域によって分別し、比を計算することにより振動強度比とした。それらの値を基に、スキンケア剤を連用する前後の振動強度比の差分と、滑らかさの官能評価結果との相関性を求めている。
振動強度比は、300Hzから500Hzの周波数帯域を第二周波数帯域、10Hzから50Hzの周波数帯域を第一周波数帯域とするものである。差分は、連用の後に測定された振動強度比から連用の前に測定された振動強度比を差し引いたものである。なお、ここでは、振動強度比に限定されるものでなく、さらに振動波形と相関を有するパラメータを乗じたものであってもよい。
また、第二実施形態では、上記の相関性と比較するため、測定された振動強度の連用する前後の差分と、滑らかさの官能評価との結果との相関性を求めている。以下、この関係を「比較例」とも記す。
図8(a)は、スキンケア剤の連用前と連用後のそれぞれにおいて、皮膚を指で擦った際の滑らかさを官能評価し、官能評価の結果と振動強度との関係から、官能評価結果の異なる被検者間で振動強度比を比較し、有意な差があるか否かを示すグラフである。また、第二実施形態を説明するための図である。図8(a)の縦軸は、振動強度比に振動波形と相関を有するパラメータ(10Hz以上、1000Hz以下の振動強度の総和)を乗じたもの(以降、「振動強度比に基づく指標」)であり、連用の前後の差分の平均値を示している。
図8(a)中の「低下_平均」に対応する棒グラフは、滑らかさの官能評価の数値が連用の前後で小さくなった被検者の「振動強度比に基づく指標」の差分の平均値を示している。「増加_平均」に対応する棒グラフは、滑らかさの官能評価の数値が連用の前後で大きくなった被検者の「振動強度比に基づく指標」の差分の平均値を示している。滑らかさの官能評価の数値は大きいほど「滑らかである」と感じる程度が大きいので、官能評価の数値が小さくなることは連用後に連用前よりも滑らかであると感じなくなることを指す。また、滑らかさの官能評価の数値が大きくなることは連用後に連用前よりも滑らかであると感じるようになることを指す。
図8(a)に示す結果を得た実験の被検者は合計38名であって、官能評価の数値に変化がない被検者のデータは除かれている。「低下_平均」に属する被検者は11名であり、「増加_平均」に属する被検者は10名である。
図8(a)に示すように、「低下_平均」に属する被検者の「振動強度比に基づく指標」の差分は正の値を持ち、連用の後に測定された「振動強度比に基づく指標」は連用前に測定された「振動強度比に基づく指標」より大きくなっていることを示している。また、「増加_平均」に属する被検者の「振動強度比に基づく指標」の差分は負の値を持ち、連用の後に測定された「振動強度比に基づく指標」は連用前に測定された「振動強度比に基づく指標」より小さくなっていることを示している。図8(a)において、平均値の差の検定を行ったところ、「低下_平均」と「増加_平均」の間で、「振動強度比に基づく指標」の差分の数値には有意な差があることを示している。
このような結果は、官能評価の結果と「振動強度比に基づく指標」の測定結果とが一致し、両者に相関性があることを示している。
図8(b)は、上記の結果を検証するための比較例を示している。比較例は、図8(a)に示した結果を得た官能評価と振動強度の測定とで得たデータと同じデータを使い、縦軸を連用の前後で周波数300Hzから500Hzの振動強度の差分にしたものである。図8(b)に示すように、振動強度の差分をとる場合、「低下_平均」に属する被検者の振動強度の差分、「増加_平均」に属する被検者の振動強度の差分の両方が正の値を持ち、さらに、平均値の差の検定を行ったところ、両者に有意な差がないことから、図8(a)に示した関係よりも相関性が小さかった。このような結果は、図8(a)の「振動強度比に基づく指標」を用いることによって、スキンケア剤連用による皮膚の状態の変化に伴う皮膚の感触の細かな変化を高い精度で評価できることを示している。
1・・・感触評価装置
2・・・本体
3・・・情報提示部
10・・・振動センサ
21・・・抽出フィルタ
22・・・演算部
24・・・入力部
25・・・出力部
31・・・表示部
32・・・振動部
33・・・ブザー
S・・・スポンジ
f・・・指
v・・・振動

Claims (15)

  1. 医療行為を除く肌診断、化粧剤の設計、開発及び推奨の少なくとも一つのために用いられる感触評価方法であって、
    皮膚の表面を摩擦する摩擦体を皮膚に接触させて移動させ、前記皮膚に前記化粧剤を塗布する化粧剤塗布工程と、
    前記化粧剤塗布工程における塗布の開始から前記化粧剤が塗り広げられる塗布終了までの少なくとも一部の間に、前記摩擦体の振動に係る振動強度を取得する振動強度取得工程と、を含み、
    前記振動強度のうち、第一周波数を下限とする第一周波数帯域の第一周波数強度と、前記第一周波数帯域と異なる周波数帯域である第二周波数帯域の前記振動強度である第二周波数強度と、の比に基づいて、前記皮膚、前記化粧剤及び前記摩擦体の少なくとも一つに係る感触に関する感触指標を求め
    前記第一周波数帯域は、触覚の感覚器の感度が高い周波数帯域であり、前記第二周波数帯域は、前記触覚の感覚器と異なる触覚の感覚器の感度が高い周波数帯域である、感触評価方法。
  2. 医療行為を除く肌診断、化粧剤の設計、開発及び推奨の少なくとも一つのために用いられる感触評価方法であって、
    皮膚の表面を摩擦する摩擦体を前記皮膚に接触させて移動させている間の少なくとも一部において、前記摩擦体の振動に係る振動強度を取得する振動強度取得工程を含み、
    前記振動強度のうち、第一周波数を下限とする第一周波数帯域の第一周波数強度と、前記第一周波数帯域と異なる周波数帯域である第二周波数帯域の前記振動強度である第二周波数強度との比に基づいて、前記皮膚または前記摩擦体に係る感触に関する感触指標を求め
    前記第一周波数帯域は、触覚の感覚器の感度が高い周波数帯域であり、前記第二周波数帯域は、前記触覚の感覚器と異なる触覚の感覚器の感度が高い周波数帯域である、感触評価方法。
  3. 前記化粧剤の使用前と使用後の感触に関する感触指標を求める、請求項1または2に記載の感触評価方法。
  4. 前記皮膚は、生体の皮膚または皮膚を模した模擬肌である、請求項1から3のいずれか一項に記載の感触評価方法。
  5. 前記摩擦体が前記皮膚に接触してから離れるまでの間に取得される前記振動強度を解析する解析工程をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の感触評価方法。
  6. 前記解析工程においては、前記摩擦体が前記皮膚に接触してから次に離れるまでの動作を一ストロークとし、前記一ストロークの間に取得される前記振動強度の平均に係る情報、または前記一ストロークが複数回行われる間に取得される前記振動強度の平均に係る情報を解析する、請求項5に記載の感触評価方法。
  7. 前記解析工程においては、前記摩擦体が前記皮膚に接触してから次に離れるまでの動作を一ストロークとし、前記一ストロークの間に複数回取得された前記振動強度、または前記一ストロークが複数回行われる間に、ストロークの回数よりも多い回数取得された前記振動強度を時系列に解析する、請求項5に記載の感触評価方法。
  8. 前記第一周波数強度と前記第二周波数強度との比を演算処理し、前記皮膚が前記摩擦体に与える感触に関する情報を提示する感触提示工程をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の感触評価方法。
  9. 前記感触提示工程は、前記演算処理の結果に基づき振動体を振動させることを特徴とする請求項8に記載の感触評価方法。
  10. 前記第一周波数強度と前記第二周波数強度との比と、前記皮膚の官能評価の結果とを対応つけて保存し、感触推定データを生成する、請求項1からのいずれか一項に記載の感触評価方法。
  11. 前記第二周波数帯域が200Hz以上、500Hz以下の少なくとも一部の範囲にある、請求項1から10のいずれか一項に記載の感触評価方法。
  12. 前記第一周波数帯域が200Hz未満の範囲にある、請求項1から11のいずれか一項に記載の感触評価方法。
  13. 前記第一周波数帯域が200Hz未満の範囲にあり、
    前記第二周波数帯域が200Hz以上、500Hz以下の範囲にある、請求項1から10のいずれか一項に記載の感触評価方法。
  14. 医療行為を除く肌診断、化粧剤の設計、開発及び推奨の少なくとも一つのために用いられる感触評価装置であって、
    皮膚の表面を摩擦する摩擦体を皮膚に接触させて移動させ、前記皮膚に前記化粧剤を塗布する過程において、塗布の開始から前記化粧剤が塗り広げられる塗布終了までの少なくとも一部の間に、前記摩擦体の振動に係る振動強度を取得する振動強度取得部と、
    前記振動強度のうち、第一周波数を下限とする第一周波数帯域第一周波数強度と、前記第一周波数帯域と異なる周波数帯域である第二周波数帯域前記振動強度である第二周波数強度との比に基づいて、前記皮膚または前記摩擦体に係る感触に関する感触指標を求める感触情報取得部と、を備え
    前記第一周波数帯域は、触覚の感覚器の感度が高い周波数帯域であり、前記第二周波数帯域は、前記触覚の感覚器と異なる触覚の感覚器の感度が高い周波数帯域である、ことを特徴とする感触評価装置。
  15. 医療行為を除く肌診断、化粧剤の設計、開発及び推奨の少なくとも一つのために用いられる感触評価装置であって、
    皮膚の表面を摩擦する摩擦体を前記皮膚に接触させて移動させている間の少なくとも一部において、前記摩擦体の振動に係る振動強度を取得する振動強度取得部と、
    前記振動強度のうち、第一周波数を下限とする第一周波数帯域の第一周波数強度と、前記第一周波数帯域と異なる周波数帯域である第二周波数帯域の前記振動強度である第二周波数強度との比に基づいて、前記皮膚または前記摩擦体に係る感触に関する感触指標を求める感触情報取得部と、を備え、
    前記第一周波数帯域は、触覚の感覚器の感度が高い周波数帯域であり、前記第二周波数帯域は、前記触覚の感覚器と異なる触覚の感覚器の感度が高い周波数帯域である、ことを特徴とする感触評価装置。
JP2020079263A 2020-04-28 2020-04-28 感触評価方法 Active JP7477354B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020079263A JP7477354B2 (ja) 2020-04-28 2020-04-28 感触評価方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020079263A JP7477354B2 (ja) 2020-04-28 2020-04-28 感触評価方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021173691A JP2021173691A (ja) 2021-11-01
JP7477354B2 true JP7477354B2 (ja) 2024-05-01

Family

ID=78278294

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020079263A Active JP7477354B2 (ja) 2020-04-28 2020-04-28 感触評価方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7477354B2 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005147902A (ja) 2003-11-17 2005-06-09 Kanto Auto Works Ltd 表面触感計測装置
JP2016122363A (ja) 2014-12-25 2016-07-07 ダイキン工業株式会社 触感測定方法
JP2018151258A (ja) 2017-03-13 2018-09-27 株式会社 資生堂 化粧料の塗布感触を評価する方法、化粧料の塗布感触を評価する装置、及び化粧料を選択する方法
JP2019095263A (ja) 2017-11-21 2019-06-20 花王株式会社 ヒトの肌又は化粧料の評価方法
JP2019203886A (ja) 2018-05-17 2019-11-28 花王株式会社 触感評価方法および触感計測装置
JP2019219257A (ja) 2018-06-19 2019-12-26 株式会社ナリス化粧品 皮膚外用剤の評価方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005147902A (ja) 2003-11-17 2005-06-09 Kanto Auto Works Ltd 表面触感計測装置
JP2016122363A (ja) 2014-12-25 2016-07-07 ダイキン工業株式会社 触感測定方法
JP2018151258A (ja) 2017-03-13 2018-09-27 株式会社 資生堂 化粧料の塗布感触を評価する方法、化粧料の塗布感触を評価する装置、及び化粧料を選択する方法
JP2019095263A (ja) 2017-11-21 2019-06-20 花王株式会社 ヒトの肌又は化粧料の評価方法
JP2019203886A (ja) 2018-05-17 2019-11-28 花王株式会社 触感評価方法および触感計測装置
JP2019219257A (ja) 2018-06-19 2019-12-26 株式会社ナリス化粧品 皮膚外用剤の評価方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
齋藤 直輝 他,ファンデーション塗布動作時の摩擦および振動特性評価システム Development of Friction and Vibration Characteristics Evaluation System During Application of Cosmetic Foundation,ロボティクス・メカトロニクス 講演会2015 講演論文集 Proceedings of the 2015 JSME Conference on Robotics and Mechatronics ,一般社団法人日本機械学会

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021173691A (ja) 2021-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7335392B2 (ja) 化粧料の使用触感を評価する方法、及び化粧料の使用触感を評価する装置
AU2004289053B2 (en) Method and system for characterizing tactile perception
JP2023181560A (ja) 触感評価方法および触感計測装置
JP6968671B2 (ja) ヒトの肌又は化粧料の評価方法
JP6750932B2 (ja) 皮膚の触覚測定方法および化粧料の性能評価方法
JP6881159B2 (ja) 感触評価装置
JP7477354B2 (ja) 感触評価方法
JP2018151258A (ja) 化粧料の塗布感触を評価する方法、化粧料の塗布感触を評価する装置、及び化粧料を選択する方法
JP7455753B2 (ja) 肌評価方法、及び肌評価装置
JP2003024282A (ja) 皮膚の状態の評価方法
JP7264366B2 (ja) 皮膚外用剤の評価方法
JP7239982B2 (ja) 触覚評価システム、触覚評価方法及びプログラム
JP2020180934A (ja) 感触評価装置
JPWO2019235269A1 (ja) ストレス緩和性基剤又は化粧料の評価方法
JP7397685B2 (ja) 生体の肌が感じる触感の評価方法
JP2023132716A (ja) 評価方法
JP2022134105A (ja) 触感評価方法
JP2018015238A (ja) 肌の評価方法
WO2023112718A1 (ja) シワの評価方法、シワ評価システム、空洞化の評価方法、空洞化評価システム、コンピュータープログラム、シワの評価を行うための肌のセンシング方法、シワの評価に基づくレコメンデーション方法、および将来的な空洞化の状態および/またはシワの状態の予測方法
WO2022080285A1 (ja) 触感分類方法
JPH0947480A (ja) 快適さの測定法
JP7335098B2 (ja) 対象物の評価方法、及び対象物の評価装置
JP2021139633A (ja) 感触特性評価方法及び感触特性評価装置
JP2022161710A (ja) 肌または化粧料の評価装置
JP2021043923A (ja) 対象を評価する方法、及び対象を評価する装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230309

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240123

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240322

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240402

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240418

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7477354

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150