JP2022161710A - 肌または化粧料の評価装置 - Google Patents

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由浩 田中
Yoshihiro Tanaka
果歩 白川
Kaho Shirakawa
崇訓 五十嵐
Takanori Igarashi
雅俊 橋本
Masatoshi Hashimoto
悦子 度会
Etsuko Doai
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【課題】ヒトの肌、ヒトの肌を摸した模擬肌または剤の評価装置に関する技術を提供する。【解決手段】肌または剤の評価装置は、ヒト手指の可撓性を摸した可撓性を有する接触子を備え、前記接触子の外側表面であって被検体に接触させる接触面と、前記接触子の内側に設けられ前記接触面を介して前記被検体から受ける力を計測する力センサを設ける。【選択図】図1

Description

本発明は、肌または化粧料の評価装置技術に関する。
ヒトの肌、ヒトの肌を摸した模擬肌または化粧料の評価を行う装置として、ヒトの手指を摸して作成された人工指を摺動させた際に生じる振動情報を用いてヒトの肌または化粧料の評価を行うものがある(例えば、特許文献1)。
特開2019-095263号公報
特許文献1の場合、人工指の表面に生じる振動情報しか取得できず、この情報のみによりヒトの肌の触感または化粧料の触感に関わる物性の評価を行っているため、評価で得られる結果は限定的であった。また、振動は法線力(押し付け力)によっても変化するため、法線力を計測することが効果的であるが、人工指に力センサが内蔵されていないため、振動と法線力を同時に計測することや、一定の法線力で計測することが難しい場合があった。
さらに、摩擦力も触感に重要であるが、計測できなかった。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ヒト手指の可撓性を摸した可撓性を有する接触子と、接触子の外側表面であって被検体に接触させる接触面と、接触子の内側に設けられ接触面を介して被検体から受ける力を計測する力センサと、を備える肌または剤の評価装置技術に関する。本明細書において、肌の評価とは、非医療目的で、被験者の肌やヒトの肌を模した模擬肌の評価を行うことを意味し、専門家以外の者であっても可能な評価を含む。
本発明は、ヒト手指の可撓性を摸した可撓性を有する接触子と、前記接触子の外側表面であって被検体に接触させる接触面と、前記接触子の内側に設けられ前記接触面を介して前記被検体から受ける力を計測する力センサと、を備える肌または剤の評価装置に関する。
また、本発明は、ヒト手指の可撓性を摸した可撓性を有する接触子の外側表面である接触面を被検体または所定の剤を塗布した被検体に接触させ、当該接触面に生じる接触面第1情報と当該接触面を介して前記接触子の内部に生じる内部第1情報とを取得する第1取得工程と、前記接触子と可撓性が異なる他の前記接触子の接触面を前記被検体または前記所定の剤を塗布した被検体に接触させ、当該接触面に生じる接触面第2情報と当該接触面を介して前記接触子の内部に生じる内部第2情報を取得する第2取得工程と、前記取得した内部第1情報に基づき前記接触面の表面に生じる第1特徴量を算出する第1算出工程と、前記取得した内部第2情報に基づき前記接触面の表面に生じる第2特徴量を算出する第2算出工程と、前記第1特徴量と前記接触面第1情報とに基づき前記被検体の肌の触感または前記剤の特性を評価する第1評価工程と、前記第2特徴量と前記接触面第2情報とに基づき前記被検体の肌の触感または前記剤の特性を評価する第2評価工程と、を含む肌または剤の評価方法に関する。
また、本発明は、ヒト手指の可撓性を摸した可撓性を有する接触子と、前記接触子の外側表面であって被検体に接触させる接触面と、前記接触子の内側に設けられ前記接触面を介して前記被検体から受ける力を計測する力センサと、を設け、前記力センサで計測した値を取得する取得手段と、前記取得手段で取得した値に基づき、前記被検体または剤の評価を行う評価手段を備える肌または剤の評価システムに関する。
本発明により提供される技術によれば、被験者のヒトの肌の触感または剤の評価を行える装置を提供することが可能となる。
本装置を示す図である。 力センサ40を示す図であり、(a)は接触子100を指に装着した際の断面イメージ図、(b)は下層30に対し力センサ40を設ける位置を示した図、(c)は力センサ40を示す図である。 は、接触面11の形状を示す図であり、(a)は(c)に示す凹溝13を切り出した位置を示す図、(b)は(c)に示す凹溝13を形成する位置を示す図、(c)は凹溝13の形状を示す図である。 本方法を示すフローチャートである。 6軸力センサを用いて接触子100の接触面11に生じる力を計測するイメージ図である。 力センサ40による計測値から算出した推定値と6軸力センサによる実測値を比較したグラフであり、(a)はFxの値について示すグラフ、(b)はFzの値について示すグラフである。 力センサ40による計測値から算出した推定値と6軸力センサによる実測値との誤差を示したグラフである。 接触子100(S)による測定結果を示すグラフである。 接触子100(H)による測定結果を示すグラフである。 接触子100(A)による測定結果を示すグラフである。 接触子100(N)による測定結果を示すグラフである。 接触子100(A)による別の測定結果を示すグラフである。 接触子100(N)による別の測定結果を示すグラフである。 接触子100による測定結果を示すグラフである。 ヒトの肌、ヒトの肌を摸した肌または剤の評価システム400のブロック図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、各図面において同様の構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
<ヒトの肌、ヒトの肌を摸した模擬肌または剤の評価装置>
本実施形態の肌または剤の評価装置200(以下、本装置と表示する場合がある)は、ヒト手指の可撓性を摸した可撓性を有する接触子100、接触子100の外側表面であって被検体に接触させる接触面11、および、接触子100の内側に設けられ接触面11を介して被検体から受ける力を計測する力センサ40を含む。接触子100は、ヒト手指の可撓性を摸した可撓性を有する部材である。接触面11は、接触子100の外側表面であって被検体に接触させる部位である。力センサ40は、接触子100の内側に設けられ接触面11を介して被検体から受ける力を計測するセンサである。
本発明者らは、これまでの技術、例えば、特許文献1では、人工指の摺動動作という動きにより生じる振動情報しか取得できていなかった。また、取得できる情報は、摺動動作により生じる人工指から伝搬される振動情報のみであったため、限られた情報であった。この人工指から伝搬される振動情報を用いてヒトの肌または化粧料の触感や触感に関わる物性の評価を行っていたため、限られた評価結果であった。特に、肌を触った際に生じる触覚には、肌表面の形状や触ることによる摩擦の大きさが影響することを把握していたが、これらのことを触感の評価に用いることができておらず、改善の余地があるとの見識に至った。
そこで、本装置においては、接触子100の外側表面であって被検体に接触させる部位である接触面11を介して被検体から受ける複数方向の力を接触子100の内側に設けた力センサ40で取得するようにした。
以下、本装置について図1を用いて更に詳細に説明する。
図1は評価装置200の全体を示す図である。本実施形態では、図1に示すように、評価装置200は、主としてヒト手指の可撓性を摸した可撓性を有する接触子100で構成される。接触子100には、当該接触子100の外側表面であって被検体に接触させる接触面11を有する接触部12が設けられる。接触部12は、接触面11を含む上層10(外側接触部ともいう)と接触面11と反対側に設けられる中間層20(内側接触部ともいう)とを備える。接触部12の接触面11と反対側に設けられる中間層20より内側には下層30(コア部ともいう)を設ける。すなわち、接触子100は、上層(表面層)10、中間層20、下層30の多層構造で構成されている。接触子100は3層構造に限られず、上層10と中間層20とが1つの層で構成された2層構造でもよく、また、4層以上で構成されてもよい。接触子100の内側である下層30の内側、すなわち、接触部12との反対側に、接触面11を介して被検体から受ける力を計測する力センサ40を設ける。接触子100には、接触面11に生じる振動を計測する振動センサ50も設ける。本実施形態では、振動センサ50は、接触子100に巻き付けて設けるものとした。なお、振動センサ50は、接触面11に生じる振動を計測可能であれば、その具体的な構成は限定されない。振動センサ50は、例えば、圧電体、ひずみゲージ、加速度センサなどで実現可能である。振動センサは、振動伝搬部位を介して伝搬される振動を検出するため、検出領域の広いシート状又はフィルム状であることが好ましい。
接触子100は、ヒト手指の可撓性を摸した可撓性の材料で構成されている。ここで、ヒト手指の可撓性を摸したとは、ヒト手指の柔らかさ硬さなどの特性に近い可撓性を有するものにすることであり、軟質ゴムやゲルなどのエラストマーで作成されていることである。柔らかさ硬さなどの特性をヒト手指に近いものにするために、接触子100の上層(表面層)10の材料はシリコーン、中間層20の材料はウレタンゲルを採用しているが、これに限らず、上層10および中間層20を同一の材料で構成しても異なる材料で構成してもよく、材料としては、シリコーン、ウレタンゲル、ゴムなど可撓性の材料であればよい。ヒト手指の指腹の硬軟は個人差もあり、本実施形態では、中間層20の硬軟レベルを異ならせたものを複数種類設けるため、中間層20は硬さを調整しやすい材料が好ましい。可撓性が相互に異なる複数の中間層20(内側接触部)を下層30(コア部ともいう)に対して着脱可能に構成することで、様々なヒト手指の硬軟を想定した接触子100による計測を容易に行うことができる。なお、本実施形態では中間層20の可撓性が異なるように形成したが、接触面11が設けられる上層10の可撓性が異なるように形成してもよい。
また、可撓性が相互に異なる複数の接触部12をコア部(下層30)に対して着脱可能に構成するとは、上記した他に、上層10(外側接触部)と中間層20(内側接触部)が一体化しており下層30(コア部)に対して着脱可能に構成するもの、中間層20(内側接触部)が下層30(コア部)に一体化しており上層10(外側接触部)が中間層20(内側接触部)に対して着脱可能に構成するもの、上層10(外側接触部)および中間層20(内側接触部)がそれぞれ個別に着脱可能に構成されているもの、何れの場合も含むものとする。それぞれの構成には以下の効果もある。上層10(外側接触部)と中間層20(内側接触部)が一体化していることにより、下層30に対し容易に着脱可能となる。中間層20(内側接触部)が下層30(コア部)に一体化しており上層10(外側接触部)が中間層20(内側接触部)に対して着脱可能に構成することにより、上層10が間接的に下層30に対して着脱可能にでき、また、上層10の一部領域のみの硬軟を変更することも容易に行えるため、様々な硬軟の接触子100を容易に形成できる。上層10(外側接触部)および中間層20(内側接触部)がそれぞれ個別に着脱可能に構成することにより、上層10と中間層20の組合せも変更できるため、さらに、様々な硬軟の接触子100を容易に形成できる。また、上層10とは別に可撓性が相互に異なる部材を上層10に対し着脱可能としてもよい。部材同士の加工のし易さ、部材の着脱のし易さ、使用者への着脱時の操作性などを考慮し、どのように着脱可能に構成するかを決定すればよい。
指紋による表面形状は、指紋を摸した凹溝13を接触子100の表面に形成する。また、下層30の材料はASA樹脂を採用しているがこれに限らない。下層30は、力センサ40を保護する役割があり、また、本実施形態では、ヒト手指を摸した形状としているため、耐候性、剛性、硬度、加工性、耐衝撃性、曲げ疲労性など考慮した材料が好ましい。
接触子100の外側表面であって被検体に接触させる接触面11とは、接触子100の外側表面、特に、ヒトが被検体の触感を確認する際には指腹で触ることを考慮し、ヒト手指を摸した接触子100の指腹に相当する部分に接触面11を設けることが好ましい。
接触子100の内側に設ける接触面11を介して被検体から受ける力を計測する力センサ40は、接触面11の裏側に相当する位置に設けられることが好ましい。これは、接触子100の接触面11で被検体を触ったときに被検体から受ける力が生じる方向、強さなど接触面11を介して被検体から受ける力を計測するように構成したいからである。力センサ40は、力によって歪み(変位)が生じ、それに応じた抵抗変化などを捉えることが可能なセンサを用いる。力センサ40としては、ひずみゲージ式、静電容量式、感圧導電性、圧電効果、ピエゾ抵抗効果、光、音響、磁場、接触抵抗など、どのような構成でもよい。本実施形態では、力センサ40は多軸センサを用いることとした。そして、接触子100に力センサ40と振動センサ50を設けたことにより、同時に両方のセンサで検知でき、複合的な評価に用いることが可能となる。
図1に示すように、接触子100は中空構造であり、ヒトの手指に着脱可能としている。このようにすることで、実際にヒトが手指で被検体を触るときと同様の触り方(被検体にかける力や被検体を触るときの動きなど)をし易くなるため、ヒトが手指で被検体を触るときと同様の力を計測することが可能となる。接触子100を中空構造とはせず、例えば、操作棒に接触子100を一体に構成するようにしてもよい。このようにすることで、例えば、接触子100を所定の装置に設置し、当該接触子を所定の速さ、所定の力で被検体を触るように動かして計測することもできる。
次に、図2(a)、図2(b)および図2(c)を用いて、力センサ40について説明する。
本実施形態で設ける力センサ40は、図2(c)に示すような形状の力センサ40(多軸センサ)とする。図2(a)は接触子100を指に装着した際の断面イメージ図であり、接触子100、力センサ40、および、ヒトの手指の位置関係を示している。図2(a)から明らかなように、下層30に埋め込まれた力センサ40は、接触子100をヒトの手指に装着するとヒトの手指の指腹に接触する位置に設けられる。したがって、接触子100をヒトの手指に装着した場合、当該ヒトの手指の指腹部に力センサ40が接触することとなる。図2(b)は、下層30に対し力センサ40を設ける位置を示している。図2(b)に示すように、下層30に力センサ40を埋め込むように設ける。
このように力センサ40を設けた接触子100の接触面11で被検体を触ると、接触面11を介して被検体から受ける力を力センサ40で計測することができる。力センサ40は、多軸センサを用いているため、接触子100を被検体に対して摺る動作によって生じる力や被検体に対して押したり離したりする動作によって生じる力を計測できる。
次に、図3(a)、図3(b)および図3(c)を用いて接触子100の接触面11の表面形状について説明する。接触子100の接触面11の表面には、ヒト手指の指紋を摸して複数の凹溝13を形成する。図3(a)の点線部分を拡大したものを図3(c)に示す。また、図3(b)に接触子100の接触面11の2点鎖線の範囲に図3(c)に示す凹溝13を形成することとする。図3(c)に示す凹溝13の有無、または深さや間隔が相互に異なる複数の上層10(外側接触部)を中間層20(内側接触部)に対して着脱可能に形成する。このように構成することで、様々なヒト手指の表面形状を想定した接触子100による計測を容易に行うことができる。特に、本実施形態では、中間層20の可撓性が異なるように形成したため、上層10(外側接触部)の接触面11の表面形状を異ならせ着脱可能とすることで、接触子100の可撓性の違いと接触子100の接触面11の表面形状の違いとの組合せを容易に変えられるため、計測条件にあった接触子100を容易に構成することができる。なお、本実施形態では接触面11が設けられる上層10に凹溝13を形成したが、上層10とは別に凹溝13を形成した部材を上層10に対し着脱可能としてもよい。また、凹溝13の形状は、図3(c)に示すような縦方向の溝以外に、横方向、楕円、渦巻きなどどのような形状の凹溝でもよい。
次に、接触子100の接触面11の表面性状について説明する。ここでいう表面性状とは、特に対象物と人工指の接触時に生じる力学的特性に関わる特徴を指し、例えばすべり性や粘着性などのことをいう。
本実施形態では、一方の接触子100(N)は、接触面11を上層10のシリコーン材料そのままのもの、他方の接触子100(A)は、接触面11に上層10のシリコーン材料の上にニトロセルロースを塗布したものである。接触面11にニトロセルロースを塗布する範囲としては、図3(b)に示した凹溝13を形成する範囲(二点鎖線内)と同程度でよい。ニトロセルロースを塗布することにより100(N)のものに比べて接触面11の滑りがよくなっている。このように、接触子100の接触面11の表面性状が相互に異なる複数の上層10(外側接触部)を中間層20(内側接触部)に対して着脱可能に構成することで、様々なヒト手指の表面質感を想定した接触子100による計測を容易に行うことができる。特に、本実施形態では、中間層20の可撓性が異なるように形成したため、上層10(外側接触部)の接触面11の表面性状を異ならせ、着脱可能とすることで、接触子100の可撓性の違いと接触子100の接触面11の表面形状の違いとの組合せを容易に変えられるため、計測条件にあった接触子100を容易に構成することができる。なお、本実施形態では接触面11が設けられる上層10にニトロセルロースを塗布したが、上層10とは別にニトロセルロースを塗布した部材を上層10に対し着脱可能としてもよい。また、本実施形態では接触面11の表面性状を変えるのにニトロセルロースを塗布したがあくまでも例示であり、接触面11の表面性状を変えられればこれに限らない。
<ヒトの肌、ヒトの肌を摸した模擬肌または剤の評価方法>
次に、本装置を用いた肌または剤の評価方法(以下、本方法と表示する場合がある)について説明する。
ヒト手指の可撓性を摸した可能性を有する接触子100の外側表面である接触面11を接触させる被検体または所定の剤を塗布した被検体とは、接触子100が触れることができるものであればどのようなものでもよいが、本実施形態では、ヒトの肌や人工肌とする。また、肌とは素肌のほか、後述する所定の剤が素肌の上に塗布された肌も含む。すなわち肌に接触子100を接触させるとは、接触子100が素肌に直接接触する場合のほか、肌に塗布された所定の剤の塗布膜を介して素肌に間接的に接触子100で接触する場合を含む。ヒトの肌の位置、すなわち、体の部位は問わない。
所定の剤の触感を評価する場合は、肌に例えばイボやにきび跡のような凹凸がない部分を評価対象とすることが好ましい。これは、肌に接触子100を接触した際の触感が所定の剤によるものなのか、肌の形状によるものなのか評価し難いためである。ただし、例えば、凹凸のある肌に所定の剤を塗布したことにより凹凸がカバーされたかどうか(肌表面がフラットになったかどうか)を触感により評価したい場合は、これに限らない。評価したい条件に合わせ、評価対象の肌表面を決定することが望ましい。また、人工肌とは、人工的に肌の表面を模擬したものであり、ヒトの肌に似た性状を有するものである。本実施形態では、特段の記載がない限り、肌とは、ヒトの顔の肌、とくに、頬付近とする。
所定の剤とは、皮膚に塗布する皮膚外用剤、化粧料、シート状のスキンケア化粧料が挙げられ、たとえば、ローション、乳液、クリーム、美容液、マッサージ、パック、リップクリーム、アイケアシート、口元シート、パックマスク、シート状ローション、シート状メイク落とし等のスキンケア化粧料;石鹸、クレンジングなどの洗浄料;ファンデーション、化粧下地、液状ファンデーション、油性ファンデーション、パウダーファンデーション、コンシーラー、コントロールカラー、アイシャドウ、頬紅、口紅、リップグロス、リップライナー、ボディのデコルテ用等のメイクアップ化粧料;日やけ止め乳液、日やけ止めジェル、日焼け止めクリームなどの紫外線防御化粧料が挙げられ、特にこれらに限定されるものではない。
ヒト手指の可撓性を摸した可撓性を有する接触子100の外側表面である接触面11を被検体または所定の剤を塗布した被検体に接触させるとは、接触子100の外側表面である接触面11で被検体(肌)を触ることである。本実施形態では、図1に示すように、利用者は当該利用者の手指に接触子100を装着する。手指に装着した接触子100の外側表面である接触面11を介して被検体、例えば、当該利用者の顔の肌を触る。顔の肌表面を摺動したり、軽く押したり離したりする動作によって接触面11を顔の肌に接触させる。顔の肌について評価する場合は、通常、利用者が自身の顔の肌を触るときと同様の動作で触ることが好ましい。
接触面11に生じる接触面第1情報とは、接触面11を被検体に接触させた際に接触面11に力学的に生じる力の量であり、弾性力の大きさ、皮膚の変位に起因して生じる電流量、電圧値、振動量などが例示される。本実施形態では、接触面11に生じる力のうち、特に、接触子100を摺動させる際に接触面11の表面形状(例えば、指紋)が被検体の表面形状に影響し生じる力の量である。本実施形態では、接触子100を摺動させることにより生じる振動を振動センサ50で取得する。なお、接触面第2情報についても同様である。
接触面11を介して生じる内部第1情報とは、接触面11を被検体に接触させた際に接触面11を介して被検体から受ける力の量であり、弾性力の大きさ、皮膚の変位に起因して生じる電流量、電圧値、振動量などが例示される。本実施形態では、接触面11を介して被検体から受ける力のうち、特に、接触子100を摺動させる際の接触面11の引っかかりや滑りに影響し生じる力の量である。本実施形態では、接触子100を摺動させる際に生じる力を力センサ40で取得する。なお、内部第2情報についても同様である。
可撓性が異なるヒト手指を摸した可撓性の接触子100とは、上述したように、中間層20の硬軟レベルを異ならせたものを複数種類設けたうちの1つである。本実施形態では接触子100(S)と、当該接触子100(S)より可撓性が硬い接触子100(H)を用いて計測を行う。
本実施形態において、接触面第1情報および内部第1情報は、接触子100(S)を被検体に接触させて取得した情報であり、接触面第2情報および内部第2情報は、接触子100(H)を被検体に接触させて取得した情報である。
取得した内部第1情報に基づき前記接触面11の表面に生じる第1特徴量を算出するとは、取得した内部第1情報は接触面11内部に設けた力センサ40で計測された値であるため、内部第1情報を用いて、接触面11の表面に生じている力学的に生じる力の量(第1特徴量)を推定することである。本実施形態では、第1算出工程において、接触面11の表面に生じている摩擦力を推定する。また、本実施形態では、力センサ40は多軸センサを用いるため、接触面11に対して水平方向の力(以下、Fxと表示する場合がある)および垂直方向の力(以下、Fzと表示する場合がある)を推定する。また、第1特徴量には、推定した接触面11に対して水平方向の力(Fx)および垂直方向の力(Fz)から演算して算出された値も含まれる。なお、第2特徴量についても同様である。
第1特徴量と接触面第1情報とに基づき被検体の肌の触感または剤の特性を評価するとは、接触面第1情報を示す第1軸と、第1特徴量を示す第2軸とを含む座標系にプロットしたグラフを出力すること、接触子100を用いて予め複数種類の被検体の触感を計測したデータと比較することなど、第1特徴量と接触面第1情報とを用いて評価することである。なお、第2特徴量と接触面第2情報とに基づきについて被検体の肌の触感または剤の特性を評価する場合も同様である。
被検体の肌の触感とは、被検体の肌を接触子100で触ったときの感覚のことであり、例えば、べたつき感、さっぱり感、しっとり感、ねっとり感、うるおい感、乾燥(かさつき)感、はり感、弾力感、硬軟感、すいつき感、もちもち感、ふっくら感、なめらか感、密着感、コク感、肌なじみ感、凹凸感などであるが、皮膚表面に接触させた接触子100を摺動したり、押したり(押し当てたり)、離したりすることで生じる触感であればこれに限るものではない。ここで、「べたつき感」とは、皮膚表面に指を接触させた際に、べたべたと指に粘着してくっつく感じを指している。「さっぱり感」とは、肌表面に指を接触させた際に、くっつく感じがなく、スムーズで清々した感じを指している。「しっとり感」とは、肌表面に指を接触させた際に、少し湿ったなめらかな感じを指している。「ねっとり感」とは、肌表面に指を接触させた際に、少し指が付着するような感じを指している。「うるおい感」とは、肌表面に指を接触させた際に、適度な湿り気がある感じを指している。「乾燥(かさつき)感」とは、肌表面に指を接触させた際に、かさかさした感じを指している。「はり感」とは、肌表面に指を接触させた際に、肌がぴんと硬直した感じを指している。「弾力感」とは、肌表面に指を接触させた際に、しずむ感じがなく跳ね返す感じを指している。「硬軟感」とは、肌表面に指を接触させた際に、肌の変形度合いが生じる程度の感じを指している。「すいつき感」とは、肌表面に指を接触させた際に、指が密着するような感じを指している。「もちもち感」とは、肌表面に指を接触させた際に、指が少し密着し跳ね返される感じを指している。「ふっくら感」とは、肌表面に指を接触させた際に、やや弾力性があってくっつく感じがなく、清々した感じを指している。「なめらか感」とは、肌表面に指を接触させた際に、指がなめらかに動く感じを指している。「密着感」とは、肌に化粧料を塗布する際に、肌に化粧料が肌に密着した感じを指している。「コク感」とは、皮膚に化粧料を塗布する際に、手で重さを感じながらのび広がる感じを指している。「肌なじみ感」とは、肌に化粧料を塗布する際に、肌になじんだ感じを指している。「凹凸感」とは、肌表面に指を接触させた際の表面の形状感を指している。
剤の評価とは、肌表面に所定の剤を塗布した際の剤自体の触感や触感を生み出す剤の物性を評価することである。剤自体の触感としては、べたつき感、さっぱり感、しっとり感、ねっとり感、うるおい感、乾燥(かさつき)感、はり感、弾力感、硬軟感、すいつき感、もちもち感、ふっくら感、なめらか感、密着感、コク感、肌なじみ感などである。なお、各触感については上記した通りである。触感を生み出す剤の物性としては、肌表面の粘着性や水分量、肌表面または皮膚内部組織の弾性、粘弾性などである。「粘着性」とは、肌表面がねばりつくことであり、所定の剤や皮脂・汗、汚れなどにより生じる。「水分量」とは、肌表面に存在する水分であり、所定の剤や汗などにより生じる。また、肌内部組織(例えば、真皮)に含まれる水分の量を指している。「弾性」とは、皮膚の硬さであり肌内部組織(例えば、コラーゲン)に影響する。「粘弾性」とは、肌に力を加えたときにどのような速度で変形が進行するかを指すものであり、例えば、肌内部組織(角層やその他)の成分特徴や構造などの影響を受ける。
次に、図4を用いて、本方法の処理の流れを説明する。なお、以下に示す処理の流れはあくまでも一例であり、処理の順序はこれに限られない。
ステップS100は、接触子100(S)を被検体である顔の肌に接触させ、力センサ40によって取得された内部第1情報と振動センサ50によって取得された接触面第1情報とを取得する工程である。ここで、内部第1情報と接触面第1情報とは、接触子100の接触面11によって被検体を触ったときに同時に取得した情報とする。
ステップS110は、取得した内部第1情報に基づき接触面11の表面に生じる第1特徴量を算出する工程である。本実施形態では、Fx(せん断力)、Fz(法線力)、および、摩擦係数を第1特徴量として算出する。
ステップS120は、第1特徴量と接触面第1情報とに基づき被検体の肌の触感または剤の特性を評価する工程である。本実施形態では、接触面第1情報を示す第1軸と、第1特徴量のうち、Fxの値およびFzの値から算出した摩擦係数を示す第2軸とを含む座標系にプロットしたグラフを出力する。
ステップS130は、接触子100(H)を被検体である顔の肌に接触させ、力センサ40によって取得された内部第2情報と振動センサ50によって取得された接触面第2情報とを取得する工程である。ここで、内部第2情報と接触面第2情報とは、接触子100の接触面11によって被検体を触ったときに同時に取得した情報とする。なお、上述した通り、接触子100(H)は、ステップS110で用いた接触子100(S)よりも可撓性が硬い接触子100である。
ステップS140は、取得した内部第2情報に基づき接触面11の表面に生じる第2特徴量を算出する工程である。本実施形態では、Fx(せん断力)、Fz(法線力)、および、摩擦係数を第2特徴量として算出する。
ステップS150は、第2特徴量と接触面第2情報とに基づき被検体の肌の触感または剤の特性を評価する工程である。本実施形態では、接触面第2情報を示す第1軸と、第2特徴量のうち、Fxの値およびFzの値から算出した摩擦係数を示す第2軸とを含む座標系にプロットしたグラフを出力する。
内部第1情報から算出するFxの値およびFzの値について説明する。
本実施形態では、上述したように、内部第1情報は接触子100内部に埋め込んだ力センサ40によって検出された値である。したがって、力センサ40によって検出された値は、接触面11に生じる力そのものの値ではない。そこで、接触面11に生じる力を推定し、当該推定した値を用いて接触子100で触った被検体の肌の触感や剤の物性の評価を行うこととする。
接触面11に生じる力は、例えば、力センサ40によって検出された値(内部第1情報が相当)から統計的手段により、または、統計的推定により行う推定処理(第1推定処理が相当)により算出する。このとき、力センサ40によって検出された値は、接触子100の接触面11を1回接触させて取得した値でもよいが、1回接触させて取得した値だけではばらつきが大きいため、複数回接触させた値の方が好ましい。
以下に単回帰式や重回帰式を用いて接触面11に生じる力を推定した方法について記載するが、この他にも、ランダムフォレスト、サポートベクター回帰(Support Vector Regression)や、Recurrent Neural Network(RNN)、Long Short Term Memory(LSTM)のようなディープラーニングの手段などでもよく、推定処理の手段は限定されない。
接触子100で被検体を所定方向に摺動させたデータを複数回取得し、取得したデータから最小二乗法により回帰式を導出した。ここで、複数回取得とは、1被験者から複数回取得したデータでもよいし、複数の被験者から1回ずつ取得したデータでもよいし、複数の被験者から複数回ずつ取得したデータでもよい。データが多いほどばらつきが抑えられるため、多い方が好ましい。また、1被験者から複数回取得する場合、所定間隔で取得することが想定されるが、この場合の所定間隔とは、複数回連続してタップする動作のような間隔であり、秒単位または秒未満である。回帰式は、Fx成分、Fy成分、Fz成分それぞれ1つを用いて算出した単回帰式と、Fx成分、Fy成分、Fz成分全てを用いて算出した重回帰式とを導出した。
<単回帰式>
Figure 2022161710000002
Fは推定値、Sは力センサ40(多軸センサ)の信号、iはx軸、y軸、z軸の何れかを示す。
すなわち、上記単回帰式は、内部第1情報を用いて単回帰分析より取得した第1単回帰式であって、内部第1情報を説明変数とし、第1特徴量を目的変数とする。同様に、接触子100(H)の力センサ40から検出した内部第2情報を用いて単回帰分析より第2単回帰式を取得する。
<重回帰式>
Figure 2022161710000003
Fは推定値、Sは力センサ40(多軸センサ)の信号、i、jはx軸、y軸、z軸の何れかを示す。
すなわち、上記重回帰式は、内部第1情報を用いて重回帰分析より取得した第1重回帰式であって、内部第1情報を説明変数とし、第1特徴量を目的変数とする。同様に、接触子100(H)の力センサ40から検出した内部第2情報を用いて重回帰分析より第2重回帰式を取得する。
これらの回帰式によって推定される値が接触面11に生じる力とどの程度誤差があるか否かを以下の方法で検証した。
図5に示すように、6軸力センサ160に載せた被検体150を接触子100で摺動させて6軸力センサ160により接触面11に生じる力を検出する。このとき、6軸力センサ160によるデータと合わせて力センサ40のデータも検出する。このデータ取得を10回行い、そのうちの9組の力センサ40(多軸センサ)の値を用いて上記回帰式を導出し、Fxの値およびFzの値を推定した。
図6(a)は、Fxの値について、単回帰式で推定した値、重回帰式で推定した値、および、6軸力センサ160で検出された値をプロットしたグラフである。X軸は時間を示し、Y軸はFxの値を示す。図6(a)から明らかなように、Fxの値は、単回帰式で推定した値、重回帰式で推定した値ともに、6軸力センサ160で検出された値とあまり差はなかった。
図6(b)は、Fzの値について、単回帰式で推定した値、重回帰式で推定した値、および、6軸力センサ160で検出された値をプロットしたグラフである。X軸は時間を示し、Y軸はFxの値を示す。図6(b)から明らかなように、Fzの値についても単回帰式で推定した値、重回帰式で推定した値ともに、6軸力センサ160で検出された値とあまり差はでなかった。
次に、上記データ取得によって取得したデータのうち、9組の力センサ40(多軸センサ)の値について単回帰式および重回帰式により推定したFxの値、Fzの値と、6軸力センサ160による計測値とについて、二乗平方根誤差を算出した。図7のX軸は力の種類を示し、Y軸には二乗平方根誤差の値を示す。ここでは、接触子100の硬軟の異なる接触子100(S)と接触子100(H)との二種類ついて単回帰式による推定値と重回帰式による推定値との比較を行った。ここでは、6軸力センサ160の法線力が0.05Nを超えている摺動区間のデータを使用したが、使用するデータの範囲(区間)はこれに限らない。
図7からあきらかなようにFxの値、Fzの値ともに単回帰式で求めた推定値より重回帰式で求めた推定値のほうが6軸力センサとの誤差が少なく推定精度がよいことがわかる。これらの検証結果より、力センサ40による検出した値を用いて指定したFxの値およびFzの値は6軸力センサで検出された実測値とほぼかわらないといえる。
このように、接触子100内部に設けた力センサ40により検出された値により推測されたFxの値およびFzの値は、接触面11に生じる実測値Fxの値およびFzの値と近い値であるため、この推定値を用いてヒトの肌、ヒトの肌を摸した模擬肌または剤の評価を行うことは有効であると言える。
次に、表面性状の異なる複数の被検体(A~Fの6種類)を可撓性の異なる接触子100(S)および接触子(H)で接触し、被検体の触感の評価を行った。
表1に表面性状の異なる複数の被検体A~Fの粗さおよび硬度を示す。
Figure 2022161710000004
図8には、接触子100(S)で被検体を10回接触した際の値を示す。X軸は接触面11に生じる振動を振動センサ50で検出した振動強度を示す。Y軸は力センサ40により検出した値から、接触面11生じたと推定されるFxの値およびFzの値から算出した摩擦係数を示す。なお、摺動させた区間のうち、中心時間から前後0.15(秒)(すなわち、合わせて0.3(秒))間のデータを使用したが、使用するデータの範囲(区間)はこれに限らない。図9には、接触子100(H)で被検体を10回接触した際の値を示す。X軸は接触面11に生じる振動を振動センサ50で検出した振動強度を示す。Y軸は力センサ40により検出した値から、接触面11に生じたと推定されるFxの値およびFzの値から算出した摩擦係数(Fx/Fz)を示す。なお、摺動させた区間のうち、中心時間から前後0.15(秒)(すなわち、合わせて0.3(秒))間のデータを使用したが、使用するデータの範囲(区間)はこれに限らない。
図8および図9より以下のことがわかる。同時に計測された振動強度と摩擦係数とを用いて評価することで、異なる被検体を測り分けられることがわかる。具体的には、例えば、被検体Bおよび被検体Cのように、表面の粗さはあまり変わらないが、硬度が異なる被検体を測り分けたい場合は、硬めの接触子100(H)を用いればよい。また、被検体Eおよび被検体Fのように、表面の粗さが異なり、硬度があまり変わらない被検体を測り分けたい場合は、軟らかめの接触子100(S)を用いればよい。すなわち、接触子100の可撓性の硬軟によって複数種類の被検体の分離精度が異なることを利用することで、被検体の測り分けを行うことができる。これは、例えば、評価対象とする被検体に応じて接触子100の種類(硬軟)を選択することで、被検体の測り分けを行うことに活用できる。
次に、表面性状の異なる複数の被検体(A、D、Fの3種類)を表面性状の異なる接触子100(N)および接触子100(A)で接触し、被検体の触感の評価を行った。ここで、接触子100(N)は、接触面11に処理を施さない状態、すなわち、上層10の材料であるシリコーン素材であり、接触子100(A)は接触面11にニトロセルロースを塗布した状態である。したがって、接触子100(N)より接触子100(A)のほうが接触面11のすべり性がよいものとする。接触子100の表面性状の違いがどのように評価結果に影響するかを検証するために、接触子100の硬軟レベルは同一のものを使用した。
表1に示した複数の被検体A~Fのうち、被検体A、被検体D、および、被検体Fを用いて評価を行った。
図10には、接触子100(N)で被検体を10回接触した際の値を示す。X軸は接触面11に生じる振動を振動センサ50で検出した振動強度を示す。Y軸は力センサ40により検出した値から、接触面11に生じたと推定されるFxの値およびFzの値から算出した摩擦係数を示す。図11には、接触子100(A)で被検体を10回接触した際の値を示す。X軸は接触面11に生じる振動を振動センサ50で検出した振動強度を示す。Y軸は力センサ40により検出した値から、接触面11に生じたと推定されるFxの値およびFzの値から算出した摩擦係数を示す。
図10および図11より以下のことがわかる。同時に計測された振動強度と摩擦係数とを用いて評価することで、異なる被検体を測り分けられることがわかる。具体的には、例えば、被検体Fの分離精度を高める場合には、ニトロセルロースを塗布した接触子100(A)を用いるよい。また、被検体Aと被検体Dとを測り分けたい場合は、接触子100のすべり性の処理を行っていない接触子100(N)を用いればよい。すなわち、接触子100のすべり性によって複数種類の被検体の分離精度が異なることを利用することで、被検体の測り分けを行うことができる。これは、例えば、評価対象とする被検体に応じて接触子100の種類(すべり性)を選択することで、被検体の測り分けを行うことに活用できる。
次に、表面形状の異なる複数の被検体(肌形状レプリカ)を表面性状の異なる接触子100(N)および接触子100(A)で接触し、被検体の触感の評価を行った。本実施形態で用いた肌形状レプリカは、表面が比較的なめらかな肌形状レプリカと毛穴などの凹凸がより大きい肌形状レプリカである。そして、以下に示すように異なる性状の接触面11を備えた接触子100で触り比べをすることで、これら表面形状の異なる肌形状レプリカの測り分けを行うことが可能となる。
図12には、接触子100(N)で被検体を複数回(10回程度)接触した際の値を示す。X軸は接触面11に生じる振動を振動センサ50で検出した振動強度を示す。Y軸は6軸力センサ160により検出した値から、接触面11に生じたFxの値およびFzの値から算出した摩擦係数を示す。図13には、接触子100(A)で被検体を複数回(10回程度)接触した際の値を示す。X軸は接触面11に生じる振動を振動センサ50で検出した振動強度を示す。Y軸は6軸力センサ160により検出した値から、接触面11に生じたFxの値およびFzの値から算出した摩擦係数を示す。
図12および図13より以下のことがわかる。同時に計測された振動強度と摩擦係数とを用いて評価することで、異なる被検体を測り分けられることがわかる。具体的には、ニトロセルロースを塗布した接触子100(A)を用いると振動の分離精度が上がり、接触子100のすべり性の処理を行っていない接触子100(N)を用いると摩擦の分離精度が上がる(強調できる)。これは、例えば、評価対象とする被検体に応じて接触子100の種類(すべり性)を選択することで、被検体の測り分けを行うことに活用できる。
次に、硬軟の異なる複数の被検体(硬めのウレタンゴムと軟らかめのウレタンゴム)に接触子100を押しつけて、被検体の触感の評価を行った。被検体に用いた硬めのウレタンゴムは硬さ23、軟らかめのウレタンゴムは硬さ8のものとした。ここでは、力センサ40で検出され、推定したFzの値を用いて評価した。なお、ここでの推定値Fzの値は単回帰式により推定した値を用いたが、重回帰式により推定した値でもよい。また、推定したFzの値が0.05N超えている区間のデータを使用したが、使用するデータの範囲(区間)はこれに限らない。
図14には、接触子100を被検体に押しつけて推定した3回分のFzの値の平均および標準偏差を示す。X軸は被検体の種類を示し、Y軸は推定したFzの値を示す。図14から、接触子100の力センサ40で検出した値から推定したFzの値を用いると、被検体の硬軟を評価することができる。したがって、接触子100の力センサ40と同時に検出できる振動センサ50の値を用いて複合的に評価をすることで、多面的な評価を行うことが可能となると言える。
<肌または剤の評価システム>
次に、上述した評価装置200を備えた評価システム400について説明する。
図15に、評価装置200を備えた評価システム400のブロック図を示す。評価システム400は、評価装置200の他、評価装置で計測したセンサ情報を取得する取得手段310、取得した情報から特徴量を算出する算出手段320、算出した特徴量および取得したセンサ情報に基づき評価する評価手段330、および、評価結果を出力する出力手段340を備えた情報処理端末300が設けられる。情報処理端末300は、キーボード、ポインティングデバイスなどの入力装置、演算処理装置、記憶部等を備えている。そして、評価システム400で上述したヒトの肌、ヒトの肌を摸した模擬肌または剤の評価方法によりヒトの肌、ヒトの肌を摸した模擬肌または剤の評価を行う。
<変形例>
本発明の実施は、上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形、改良等が可能である。
本実施形態では、接触子100を指に装着して計測を行ったが、接触子100を指に装着せず、所定の計測棒に取り付け、ヒトの手指と手指との間に挟んで計測してもよい。また、所定の器具に計測棒を取り付け、一定の力、一定の速度で動かして計測してもよい。特に、一定の力、一定の速度で動かして計測することで、触り方による誤差を抑えた計測を行うことができる。
本実施形態では、素肌に対して計測を行ったが、顔の表面に所定の剤を塗布し、皮膚表面の触感を計測してもよい。また、所定の剤を染み込ませたパックシートのようなスキンケア剤を顔の表面にのせて(貼り付けて)その触感を計測してもよい。このようにすることで、顔の表面にのせて(貼り付けて)使用する剤の使用時の触感を評価することができる。
本実施形態では、可撓性の硬軟レベルの同じ接触子100の接触面11にニトロセルロースを塗布した場合と塗布しなかった場合とで計測した。しかし、これに限らず、接触子100の可撓性の硬軟レベルとニトロセルロースの塗布の有無との両方を異ならせて計測してもよい。このようにすることで、評価対象とする被検体に応じて接触子100の種類(硬軟および表面のすべり性)を選択することで、被検体の測り分けを行うことに活用できる。
本実施形態では、ヒトの手指の可撓性を摸した可撓性を有する接触子100としたが、太さ厚みなどの形状も摸してもよい。本装置の使用者を考慮し、ヒト手指の太さ厚みなどの形状は、成人の平均的な手指の太さ厚みを摸すことが好ましい。
本実施形態では、接触子100の内側に、接触面11を介して被検体から受ける力を計測する力センサ40を設けるようにした。しかし、これに加えて、例えば、接触子100の内側に慣性計測ユニット(IMUセンサ)も設け、慣性計測ユニットで検知した信号も含めて、Fxの値およびFzの値を算出(推定)するようにしてもよい。慣性計測ユニットからの検知信号を用いて接触子100の姿勢の影響を補正することで、Fxの値およびFzの値の推定精度を向上できるため、精度のよい評価を行うことが可能となる。
10 上層
11 接触面
12 接触部
13 凹溝
20 中間層
30 下層
40 力センサ
50 振動センサ
100 接触子
150 被検体
160 6軸力センサ
200 評価装置
300 情報処理端末
310 取得手段
320 算出手段
330 評価手段
340 出力手段
400 評価システム

Claims (16)

  1. ヒト手指の可撓性を摸した可撓性を有する接触子と、
    前記接触子の外側表面であって被検体に接触させる接触面と、
    前記接触子の内側に設けられ前記接触面を介して前記被検体から受ける力を計測する力センサと、を備える肌または剤の評価装置。
  2. 前記接触子は、
    前記接触面を有する接触部と、
    前記接触部の前記接触面と反対側に設けられたコア部と、を有する多層構造であり、
    前記コア部の前記接触部と反対側に前記力センサが設けられている請求項1に記載の肌または剤の評価装置。
  3. 可撓性が相互に異なる複数の接触部を前記コア部に対して着脱可能に構成されることを特徴とする請求項2に記載の肌または剤の評価装置。
  4. 前記接触部は、前記接触面を含む外側接触部と、前記コア部側の内側接触部と、を備えることを特徴とする請求項2または3に記載の肌または剤の評価装置。
  5. 前記接触面の表面形状が相互に異なる複数の前記外側接触部を前記内側接触部に対して着脱可能に構成されることを特徴とする請求項4に記載の肌または剤の評価装置。
  6. 前記接触面の表面性状が相互に異なる複数の前記外側接触部を前記内側接触部に対して着脱可能に構成されることを特徴とする請求項4または5に記載の肌または剤の評価装置。
  7. 前記接触子は、前記接触面に生じる振動を計測する振動センサを設ける請求項1から6いずれか1項に記載の肌または剤の評価装置。
  8. 前記接触子は、中空構造であり、ヒトの手指に着脱可能である請求項1から7いずれか1項に記載の肌または剤の評価装置。
  9. ヒト手指の可撓性を摸した可撓性を有する接触子の外側表面である接触面を被検体または所定の剤を塗布した被検体に接触させ、当該接触面に生じる接触面第1情報と当該接触面を介して前記接触子の内部に生じる内部第1情報とを取得する第1取得工程と、
    前記接触子と可撓性が異なる他の前記接触子の接触面を前記被検体または前記所定の剤を塗布した被検体に接触させ、当該接触面に生じる接触面第2情報と当該接触面を介して前記接触子の内部に生じる内部第2情報を取得する第2取得工程と、
    前記取得した内部第1情報に基づき前記接触面の表面に生じる第1特徴量を算出する第1算出工程と、
    前記取得した内部第2情報に基づき前記接触面の表面に生じる第2特徴量を算出する第2算出工程と、
    前記第1特徴量と前記接触面第1情報とに基づき前記被検体の肌の触感または前記剤の特性を評価する第1評価工程と、
    前記第2特徴量と前記接触面第2情報とに基づき前記被検体の肌の触感または前記剤の特性を評価する第2評価工程と、
    を含む肌または剤の評価方法。
  10. 前記接触面第1情報および前記接触面第2情報は前記接触面に生じる振動情報であることを特徴とする請求項9に記載の肌または剤の評価方法。
  11. 前記内部第1情報および前記内部第2情報は前記接触面を介して生じる力情報であることを特徴とする請求項9または10に記載の肌または剤の評価方法。
  12. 前記内部第1情報および前記内部第2情報は、それぞれ複数種類の力情報を含むことを特徴とする請求項11に記載の肌または剤の評価方法。
  13. 前記第1算出工程では、取得した前記内部第1情報を用いた第1推定処理により、第1の値を算出し、
    前記第2算出工程では、取得した前記内部第2情報を用いた第2推定処理により、第2の値を算出することを特徴とする請求項9から12いずれか1項に記載の肌または剤の評価方法。
  14. 前記第1推定処理では、複数取得した前記内部第1情報を用いた回帰分析により予め取得された第1回帰式であって前記内部第1情報を説明変数とし前記第1特徴量を目的変数とする回帰式を用いて第1の値を算出し、
    前記第2推定処理では、複数取得した前記内部第2情報を用いた回帰分析により予め取得された第2回帰式であって前記内部第2情報を説明変数とし前記第2特徴量を目的変数とする回帰式を用いて第2の値を算出することを特徴とする請求項13に記載の肌または剤の評価方法。
  15. 前記第1回帰式および前記第2回帰式が、それぞれ複数種類の力情報を用いた重回帰分析により取得された重回帰式である請求項14に記載の肌または剤の評価方法。
  16. ヒト手指の可撓性を摸した可撓性を有する接触子と、
    前記接触子の外側表面であって被検体に接触させる接触面と、
    前記接触子の内側に設けられ前記接触面を介して前記被検体から受ける力を計測する力センサと、を設け、
    前記力センサで計測した値を取得する取得手段と、
    前記取得手段で取得した値に基づき、前記被検体または剤の評価を行う評価手段を備える肌または剤の評価システム。
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