JP2023132716A - 評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】肌と動作体との間に生じる力学的物理量の強度が変化したタイミングや変化パターンに基づいて評価を行う評価方法を提供する。【解決手段】評価方法は、肌と動作体との間に生じる力学的物理量の時系列データを取得し、力学的物理量の時系列データの波形のパターン傾向が時間変化する特異点を特定し、特異点での特徴量を求め、求められた特徴量に基づいて、肌の状態、剤、手技または環境を評価する。【選択図】図3

Description

本発明は、肌の状態、剤、手技、または環境を評価する評価方法に関する。
肌等に塗布された化粧料に動作体を接触させながら動作体を動かすことにより生じる振動を検出し、検出した振動の周波数スペクトルの経時的変化に基づき化粧料の使用触感を評価する評価方法がある(特許文献1)。
また、肌等に接触子を接触させながら接触子を動かし、接触子に設けられたセンサにより振動を検出し、検出した振動情報の違い(振動強度の違い)によって肌等の状態を評価する評価方法がある(特許文献2)。
さらに、本出願人は先に出願した特願2022-020264号において、皮膚等に塗布された化粧料に動作体を接触させながら動作体を動かすことにより発生する力学的物理量を計測し、計測した力学的物理量に対し時間に関する特徴量を抽出し、抽出した特徴量により、皮膚表面または塗布された化粧料の触感を評価する評価方法がある。
国際公開第2019/039466号 特開2019-095263号公報
特許文献1は、振動の強度の時間変化を数値化しているにすぎず、触感が変化したタイミングや変化パターンに基づいて評価を行うことができていなかった。
特許文献2は、検出した振動情報の違い(振動強度の違い)に基づき評価を行っているのみのため、振動強度が変化したタイミングや変化パターンに基づいて評価を行うことができていなかった。
さらに、上記した特願2022-020264号は、接触動作の1周期内での特徴量が変化したタイミングに基づいて評価を行っているのみのため、時間経過とともに生じる変化タイミングに基づいて評価を行うことが望まれていた。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、肌と動作体との間に生じる力学的物理量の時系列データにおいて時間経過とともに生じる変化タイミングに基づいて肌の状態、剤、手技、または環境を評価する評価方法に関するものである。
本発明は、所定の剤、手技または環境が適用された肌が時系列で変化していく様子を解析する工程を含む方法であって、前記肌に接触させた動作体を繰り返し動作させて前記肌と前記動作体との間に生じる力学的物理量の時系列データを取得し、取得された前記時系列データにおいて繰り返される波形のパターンの傾向が時間変化する特異点を特定し、特定された前記特異点における、または前記特異点を始点もしくは終点とする局所時間内における波形の特徴を表す特徴量を求め、求められた前記特徴量に基づいて、前記肌の状態、前記剤、前記手技または前記環境を評価する評価方法に関する。
また、本発明は、所定の剤、手技または環境が適用された肌が時系列で変化していく様子を解析し評価する評価システムであって、前記肌に接触させた動作体を繰り返し動作させて前記肌と前記動作体との間に生じる力学的物理量の時系列データを取得する取得部と、取得された前記時系列データにおいて繰り返される波形のパターンの傾向が時間変化する特異点を特定する特定部と、特定された前記特異点における、または前記特異点を始点もしくは終点とする局所時間内における波形の特徴を表す特徴量を求める算出部と、求められた前記特徴量に基づいて、前記肌の状態、前記剤、前記手技または前記環境を評価する評価部と、を備える評価システムに関する。
本発明により提供される方法によれば、肌と動作体との間に生じる力学的物理量の時系列データにおいて時間経過とともに生じる変化タイミングを定量的かつ網羅的に評価することができ、高精度に肌の状態、または肌に適用される剤、手技、もしくは環境を評価することが可能となる。
評価者の皮膚表面にセンサを装着した指を接触させるイメージ図である。 時系列波形信号を示す図である。 本実施形態の評価方法(本方法)を示すフローチャートである。 解析方法1の概要を示す図である。 解析方法1を用いてクリームPの原信号を解析した結果を示す図である。 解析方法1を用いてクリームQの原信号を解析した結果を示す図である。 解析方法1を用いて解析した結果に基づく評価内容を示す図である。 解析方法1を用いて解析した結果に基づく評価内容を示す図である。 解析方法1を用いて解析した結果に基づく評価内容を示す図である。 解析方法2の概要を示す図である。 解析方法2を用いてクリームPの原信号を解析した結果を示す図である。 解析方法2を用いてクリームQの原信号を解析した結果を示す図である。 解析方法3の概要を示す図である。 解析方法3を用いてクリームPの原信号およびクリームQの原信号を解析した結果(歪度)を示す図である。 解析方法3を用いてクリームPの原信号およびクリームQの原信号を解析した結果(尖度)を示す図である。 解析方法1を用いて解析した結果に基づく評価内容(類似度評価)を示す図である。 評価システム200のブロック図である。
以下、本発明の好ましい実施形態の例について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態の図面は、いずれも本発明の技術思想、構成及び動作を説明するためのものであり、その構成を具体的に限定するものではない。また、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
<概要>
本実施形態における評価方法の概要について説明する。
本実施形態の評価方法(以下、本方法と表示する場合がある)は、所定の剤、手技または環境が適用された肌が時系列で変化していく様子を解析する工程を含む方法であって、前記肌に接触させた動作体を繰り返し動作させて前記肌と前記動作体との間に生じる力学的物理量の時系列データを取得し、取得された前記時系列データにおいて繰り返される波形のパターンの傾向が時間変化する特異点を特定し、特定された前記特異点における、または前記特異点を始点もしくは終点とする局所時間内における波形の特徴を表す特徴量を求め、求められた前記特徴量に基づいて、前記肌の状態、前記剤、前記手技または前記環境を評価することを特徴とする。
これまでの技術、例えば、特許文献1では、肌等に塗布された化粧料に動作体を接触させながら動作体を動かすことにより生じる振動を検出し、検出した周波数スペクトルの経時的変化に基づき化粧料の使用触感を評価していたが、周波数スペクトルが変化したタイミングや変化パターンに基づく評価を行えなかったため、例えば、使用触感が変化したタイミングの評価を行えず、十分な評価を行えていなかった。また、例えば、特許文献2では、肌等に接触子を接触させながら接触子を動かし、接触子に設けられたセンサにより振動を検出し、検出した振動情報の違い(振動強度の違い)によって肌等の状態を評価していたが、振動強度が変化したタイミングや変化パターンに基づいて評価を行うことができていなかったため、例えば、使用触感が変化したタイミングの評価を行えず、十分な評価を行えていなかった。
そこで、本方法においては、肌に接触させた動作体を繰り返し動作させて肌と動作体との間に生じる力学的物理量の時系列データを取得し、繰り返される波形のパターンが変化する特異点を特定し、特異点における波形の特徴を表す特徴量を求め、求められた特徴量に基づいて、前記肌の状態、前記剤、前記手技または前記環境を評価する。
以下、本方法について更に詳細に説明する。
図1に本方法における肌と動作体との間に生じる力学的物理量の時系列データの取得方法を示す。
「肌」とは、ヒトの皮膚表面や人工皮膚の表面である。また皮膚表面とは素肌の皮膚のほか、後述する所定の剤が素肌の上に塗布された皮膚の表面も含む。すなわち皮膚表面に指や手のひら等を接触させるとは、指や手のひら等が素肌に直接接触する場合のほか、皮膚に塗布された所定の剤の塗布膜を介して素肌に間接的に指や手のひら等で接触する場合を含む。ヒトの皮膚表面の位置、すなわち、体の部位は問わない。所定の剤の触感を評価する場合は、皮膚表面に例えばイボやにきび跡のような凹凸がない部分を評価対象とすることが好ましい。これは、皮膚表面に指を接触した際の触感が所定の剤によるものなのか、皮膚表面の形状によるものなのか評価し難いためである。ただし、例えば、凹凸のある皮膚に所定の剤を塗布したことにより凹凸がカバーされたかどうか(皮膚表面がフラットになったかどうか)を触感により評価したい場合は、これに限らない。評価したい条件に合わせ、評価対象の皮膚表面を決定することが望ましい。また、人工皮膚とは、人工的に皮膚の表面を模擬したものであり、ヒトの皮膚に似た性状を有するものである。本実施形態では、特段の記載がない限り、「肌」とは、図1に示すヒトの腕の肌(人の腕の皮膚表面)とする。
「動作体」とは、肌に対して接触させる物体であり、例えば、接触させた指20、手のひら、肌ケア用品、メイクアップ用品、マッサージ器、または測定治具が挙げられる。指20、手のひら、肌ケア用品、メイクアップ用品、マッサージ器、または測定治具には、図1に示すセンサ30が装着されている。肌に対して接触させる指20は、指20のどの位置でもよいが、指腹で触感を確認することが多いため、指腹が好ましい。肌の触感を確認する際には、1本の指だけでなく複数本の指でもよく、また、指だけでなく手のひら全体を接触させて確認することもあるため、手のひらを肌表面に対して接触させてもよい。また、測定治具とは、指と同様に肌表面に対して接触させる治具である。測定治具のうち肌表面に接触させる部分の構造は限定されないが、当該部分を人工皮膚で構成することで、人が指や手のひらで肌表面を触ったときに近い物理量を測定することが可能となる。
「所定の剤」とは、肌(皮膚表面)に塗布される液体、または粉体等の固体をいう。皮膚外用剤、化粧料、シート状のスキンケア化粧料、洗浄料が挙げられ、たとえば、ローション、乳液、クリーム、美容液、マッサージ、パック、リップクリーム、アイケアシート、口元シート、パックマスク、シート状ローション、シート状メイク落とし等のスキンケア化粧料;ファンデーション、化粧下地、液状ファンデーション、油性ファンデーション、パウダーファンデーション、コンシーラー、コントロールカラー、アイシャドウ、頬紅、口紅、リップグロス、リップライナー、ボディのデコルテ用等のメイクアップ化粧料;日やけ止め乳液、日やけ止めジェル、日焼け止めクリームなどの紫外線防御化粧料、洗浄料;洗顔料、クレンジング、ボディソープ、シェービングフォームが挙げられ、特にこれらに限定されるものではない。
「手技」としては、スキンケア手技(洗浄)、くすみやニキビ跡を改善する手技や小じわやくぼみを改善する手技などの美容施術が挙げられる。ただし、ここでいう施術は非医療施術をいう。
「環境」としては、肌(皮膚表面)が存在する場所、状態であり、室内/室外、湿度、温度、日光や照明に照らされているか否か、風が当たっているか否かなどが挙げられ、日常生活における環境や非日常生活における環境(例えば、サウナやヨガスタジオのような高温多湿環境、冷蔵倉庫のような低温環境、撮影スタジオのような高照明環境など)のいずれの場合も含まれる。
「所定の剤、手技または環境が適用された肌」とは、上記した所定の剤が適用(塗布)された肌、上記した手技が適用された肌、または上記した環境が適用された(環境下に存在する)肌であり、手技が適用された肌および環境が適用された肌は、素肌でも所定の剤が塗布された肌のいずれでもよい。
「肌が時系列で変化していく様子」とは、所定の剤の塗布、手技の適用、または肌が存在する場所の影響により、肌の触感が時系列で変化していく様子である。触感としては「べたつき」、「さっぱり」、「しっとり」、「ねっとり」、「うるおい」、「乾燥」、「はり」、「弾力」、「硬軟」、「すいつき」、「もちもち」、「ふっくら」、「滑らか」、「ぬるぬる」、「すべすべ」、「油っぽい」、「コク」、「なじみ」、「密着」、「かさかさ」、「ごわごわ」、「つっぱり」、などが挙げられる。なお、ここでいう触感は、肌(皮膚表面)に指や手のひらなどの動作体(以下、「指等」)を接触させることにより、肌の受容器または指等の受容器を通じて感じる触感であり、冷たさや温かさなど熱的な感覚が変化することは評価対象とはしない。ここで、「べたつき」とは、皮膚表面に指等を接触させた際に、べたべたと指等に粘着してくっつく感じを指している。「さっぱり」とは、皮膚表面に指等を接触させた際に、くっつく感じがなく、スムーズで清々した感じを指している。「しっとり」とは、皮膚表面に指等を接触させた際に、少し湿ったなめらかな感じを指している。「ねっとり」とは、皮膚表面に指等を接触させた際に、少し指等が付着するような感じを指している。「うるおい」とは、皮膚表面に指等を接触させた際に、適度な湿り気がある感じを指している。「乾燥」とは、皮膚表面に指等を接触させた際に、かさかさした感じを指している。「はり」とは、皮膚表面に指等を接触させた際に、皮膚がぴんと硬直した感じを指している。「弾力」とは、皮膚表面に指等を接触させた際に、しずむ感じがなく跳ね返す感じを指している。「硬軟」とは、皮膚表面に指を接触させた際に、皮膚の変形度合いが生じる程度の感じを指している。「すいつき」とは、皮膚表面に指等を接触させた際に、指等が密着するような感じを指している。「もちもち」とは、皮膚表面に指等を接触させた際に、指等が少し密着し跳ね返される感じを指している。「ふっくら」とは、皮膚表面に指等を接触させた際に、やや弾力性があってくっつく感じがなく、清々した感じを指している。「滑らか」とは、皮膚表面に指等を接触させた際に、ひっかかりなく動く感じ、特に剤を塗布した場合、指等が自然に動く感じを指している。「ぬるぬる」とは、皮膚表面に指等を接触させた際に指がすべりやすい感じ、特に剤を塗布した場合、剤の粘着感によりすべりやすい感じを指している。「すべすべ」とは、皮膚表面に指等を接触させた際に皮膚の柔らかさと指等がひっかかりなく動く感じを指している。「油っぽい」とは、皮膚表面に指等を接触させた際にまとわりついた感じを指している。「コク」とは、皮膚表面に指等を接触させた際、特に剤を塗布する際に、指が剤の質感を感じる感じ、塗り広げる際の質感、塗り広げる際の重さ感を指している。「なじみ」とは、皮膚表面に指等を接触させた際に、指等に違和感のない感じ、特に剤を塗布した場合に、肌になじんだ感じを指している。「密着」とは、肌に剤を塗布した場合に、肌に密着した感じを指している。「ごわごわ」とは、皮膚表面に指等を接触させた際に、指等ががさついた感じを指している。
「肌に接触させた動作体を繰り返し動作させて」とは、肌に対して動作体を連続的に接触させる動作を継続すること、または肌に対して動作体を間欠的に接触させる動作を繰り返すことをいう。具体的には、肌に対して指を外向き略垂直方向に繰り返し移動動作(タッピング動作)を行うこと、肌に対して指を水平方向に摺動させる移動動作を繰り返し行うことなどであり、摺動させる移動動作の場合、一方向に繰り返し移動動作する、往復することで繰り返し移動動作する、円を描くように繰り返し移動動作するなど、何れの態様でもよい。
「肌と動作体との間に生じる力学的物理量」とは、肌に接触させた動作体(例えば、指)を繰り返し動作させることにより肌と動作体との間に生じる、力学に関する物理量である。たとえば、動作体が肌から受ける弾性力もしくは摩擦力の大きさ、皮膚の変位に起因して生じる電流量もしくは電圧値、動作体が受ける圧力、動作体に生じる歪み、または、振動する動作体の振動量(振幅)もしくは振動数などが例示される。本方法において評価する触感は、べたつき、さっぱり、しっとりのように、皮膚表面に指や手のひらなどを接触させることによる触感であり、冷たさや温かさなどの熱的な感覚は評価対象でないため、取得する物理量には熱的な特徴のみを示す物理量は含まないものとする。
「繰り返される波形のパターンの傾向」とは、動作体を複数回繰り返し動作させることにより当該複数回に亘って周期的に取得される個々の波形の形状(パターン)の大局的な特徴である。そして「当該傾向が時間変化する特異点」とは、取得した波形のパターンの大局的な特徴が変化する点である。「波形のパターンにおける強度」とは、個々の波形もしくは複数の波形から求められる力学的物理量の大きさ、またはかかる力学的物理量の値を演算したものである。上記の特異点としては、具体的には、力学的物理量の大きさの傾向が変化する点、感覚量が変化する点が挙げられる。より具体的には、時系列データの第一期間毎の傾向を示す第一指標線および第一期間と異なる第二期間毎の傾向を示す第二指標線が交差した点(第一特異点)、時系列データの第三期間毎の傾向を示す第三指標線を中心に、上下少なくともいずれか一方の所定範囲のばらつきを示す標準偏差線と当該時系列データが交差した点(第二特異点)、時系列データの第四期間毎の歪度または尖度を抽出し、抽出した歪度または尖度を時間微分したときに所定値以上の変化があった点(第三特異点)などが挙げられる。
このように、特異点は、波形のパターンにおける強度が変化する点であり、力学的物理量の強さ、大きさ、量が変化する点や感覚の強さ、大きさ、量が変化する点である。
「波形の特徴を表す特徴量」とは、個々の波形または複数の波形の形状や大きさにかかる特徴を表す量的な指標である。たとえば、力学的物理量の変化量、変化量の変化パターン、パターンが変化するまでの継続時間、パターンの形状(傾き、強度)などが挙げられ、具体的には、第二特異点における時系列データと標準偏差線の値との差分データに基づく強度(第二特徴量)、第三特異点における、歪度または尖度を時間微分したときの変化量(第三特徴量)、第一特異点を始点もしくは終点とする局所時間内における第一指標線と第二指標線との差分データのパターン、ピークトップ、乖離量、継続時間、傾斜、形状、パターン強度、またはパターン緩急(第一特徴量)等が挙げられる。
「求められた特徴量に基づいて、肌の状態、剤、手技または環境を評価する」とは、肌の状態の評価としては、触感、もしくは触感の変化を、剤の評価としては、肌になじむまでの時間、肌に与える触感、もしくは肌に与える触感の変化を生み出す物性の評価を、手技の評価としては、手技を行うことによる肌に与える触感、もしくは肌に与える触感の変化をもたらした手技内容の評価を、環境の評価としては、肌の触感、もしくは肌の触感の変化を評価した際の環境の評価を指している。また、評価するとは、抽出した特徴量を単軸または多軸にプロットし、プロットした位置により定量的に評価することだけでなく、抽出した特徴量を所定の基準値と比較評価することや、評価の目的とする感覚量との相関関係を検量線などを用いて評価することなども含まれる。
<力学的物理量の時系列データの取得方法>
図1に示すように、本実施形態では、肌はヒトの腕の肌(人の腕の皮膚表面)とし、動作体は人の腕に対して接触させた指20とする。図1に示すように、指20にはセンサ30が装着されている。指20、特に指腹(以下、指腹の場合も指という)で腕の表面(皮膚表面)を触り、触った指20を移動させると指皮膚に振動や変形が生じ、センサ30はこの振動や変形を検知し、電気信号として演算装置10に出力する。触感の違いにより指皮膚に生じる振動や変形が異なるため、触感の違いにより出力される電気信号も異なる。この出力される電気信号が本発明の「力学的な物理量」に相当し、当該電気信号を経時的に取得している。センサ30は、指20で触ったことにより生じる力学的な物理量を取得できればよく、例えば、肌に接触させた指20を離すことにより生じる加速度や力を取得可能なセンサ(多軸センサ、力センサ)でもよい。経時的に物理量を取得するとは、当該物理量を示すアナログ情報(本実施形態では電気信号)をセンサ30が所定時間に亘って連続的に取得する態様のほか、ミリ秒オーダーまたはサブミリ秒オーダーなどの短時間の間隔ごとに多数回に亘ってセンサ30が当該物理量をデジタル情報として取得する態様を含む。センサ30が当該物理量をアナログ情報として連続的に取得した場合、演算装置10は当該アナログ情報をミリ秒オーダーまたはサブミリ秒オーダーなどの所定の短時間の間隔ごとにサンプリングして離散化するとよい。
本実施形態では、図1に示したように、センサ30を装着した指20を肌(皮膚表面)に接触させ、肌に対して指20を略水平方向に摺動させる移動動作を繰り返し行う。繰り返し行う移動動作は、一方向に繰り返し移動動作する、往復することで繰り返し移動動作する、円を描くように繰り返し移動動作するなど、何れの態様でもよい。
なお、測定治具を用いて計測する際には、図1の指20に替えて測定治具(図示しない)にセンサ30を設け、当該測定治具を肌(皮膚表面)に対して接触させ、肌(皮膚表面)に対して測定治具を水平方向に摺動するように動かすことにより、発生する物理量を同様に測定することが可能となる。また、測定治具を肌に接触させ動かすことにより測定する場合は、動かし方が均一となるように、測定治具の動きを所定の装置(図示しない)を用いて制御してもよい。
以下に示す、解析方法1から3で用いる振動波形データの条件について説明する。
・使用した剤
塗布時の触感の変化が異なる2種類のクリーム(クリームPとクリームQ)を用いた。
「クリームP」:軽い感触で、ぬるつきが長めに続き、ゆるやかになじむクリームである。全体的な印象は単調な変化感である。
「クリームQ」:塗布序盤にコクやなめらかさを感じた後、肌になじむ感触が早く訪れるクリームである。全体的な印象は明瞭な変化感である。
図2に、各クリームの振動波形と感覚量と、を示す。
・振動波形の計測方法
振動センサを評価者の指20に装着し、各クリームを前腕内側に滴下し、塗布開始から塗布終了(なじみ終わり)までを計測した。塗布終了は、評価者がクリームが肌になじみ終わったと感じた時点とした。塗布開始時から逐次評価者に触感を答えてもらい、それを感覚量とした。
・原信号
10-500Hz帯域の振動の振幅値(二乗平均平方根:RMS)の信号データを作成し、原信号とした。本実施形態では、周波数解析を行い、RMSの処理を施した信号データを原信号としたがこのような処理を施さなくてもよく、評価対象や取得したデータを考慮して、設定すればよい。
<評価方法の概要>
図3に、本評価方法の概要を示す。
本評価方法は、力学的物理量を取得する工程(ステップS100)、特異点の特定および特徴量の算出を行う工程(ステップS110)、および肌の状態、剤、手技、または環境を評価する工程(ステップS120)からなる。本実施形態では、図3に示す評価方法を用いて、所定の剤として、クリームPを滴下し塗布した肌と、クリームPとは塗布時の触感の変化が異なるクリームQを滴下し塗布した肌とのそれぞれについて、肌の状態および剤の評価を行った。本実施形態では、所定の剤を滴下した肌(皮膚表面)に指20を繰り返し動作させて肌と指20との間に生じる力学的物理量の時系列データを取得するようにしたが、素肌に指20を繰り返し動作させて肌と指20との間に生じる力学的物理量の時系列データを取得し、肌の状態の評価を行うことも可能である。評価対象(評価目的)に応じて、指20を接触させる肌の条件を決定すればよい。
工程(ステップS100)は、力学的物理量の時系列データを取得する工程である。取得方法は、上述した通りである。
図2(1)は、肌にクリームPを滴下し、肌に対し指20を接触させ、繰り返し動作を行ったときに取得した振動波形信号であり、本発明の「力学的物理量の時系列データ」である。横軸は経過時間、縦軸は物理量を示している。経過時間0秒のタイミング(図中の塗布開始が相当)から肌に対し指20を接触させ繰り返し動作を行い、約120秒経過するタイミング(図中の塗布終了が相当)まで繰り返し動作を行う。塗布終了は、評価者が滴下したクリームが肌になじみ終わったと感じたときとする。
図2(2)は、肌にクリームQを滴下し、肌に対し指20を接触させ、繰り返し動作を行ったときに取得した振動波形信号であり、本発明の「力学的物理量の時系列データ」である。横軸は経過時間、縦軸は物理量を示している。経過時間0秒のタイミング(図中の塗布開始が相当)から肌に対し指を接触させ、繰り返し動作を行い、約70秒経過するタイミング(図中の塗布終了が相当)まで繰り返し動作を行う。塗布終了は、評価者が滴下したクリームが肌になじみ終わったと感じたときとする。
図2に示した「感覚量」は、肌に対し指20を接触させ、繰り返し動作を行っているときに被験者が肌に感じる触感を表している。図2(1)の感覚量は、クリームP塗布開始時には、軽い触り心地、みずみずしい触感であり、繰り返し動作を行うに連れ、ぬるぬるとした触感に変化し、その後、ぬるぬるした触感が収まり、肌になじんだ感覚に変化し始め、クリームPを塗布した肌全体にクリームPがなじんだ感覚となる。クリームPを塗布した肌全体にクリームPがなじんだ感覚となった時点で塗布を終了する。図2(2)の感覚量は、クリームQ塗布開始時には、適度な重さのコク感があり、その後なめらかな感覚になり、密着感やなじみ始めた感覚に変化し、クリームQを塗布した肌全体にクリームQがなじんだ感覚となった時点で塗布を終了する。
ここで、振動強度と触感には次の関係がある。
・振動強度の増加:指を動作させている際に、指が重くなる状態であったり、指と肌の接触で振動が生じやすい状態と関係がある。
・振動強度の減少:指を動作させている際に、指が軽くなる状態であったり、指と肌の接触で振動が生じにくい状態と関係がある。
そこで、力学的物理量の時系列データを解析することで、図2に示したようなクリームを肌に塗布する場合に時間経過とともに変化する触感について、触感が変化するタイミングおよび変化パターンを定量的かつ網羅的に評価することができる。
工程(ステップS110)は、取得した力学的物理量の時系列データにおいて繰り返される波形のパターンの傾向が時間変化する特異点の特定および特徴量を求める工程である。所定のアルゴリズムを用いて、力学的物理量の時系列データを解析することにより、特異点の特定および特徴量を求める。
工程(ステップS120)は、特定された特異点および特徴量に基づいて肌の状態、剤、手技、または環境を評価する工程である。
本実施形態では、3種類の解析方法を用いて、それぞれ、特異点および特徴量を求め、肌の状態および剤の評価を行う。それぞれの解析方法および評価方法について説明する。
(イ)解析方法1について
解析方法1について図4に示す。
図4(1)は、取得した時系列波形信号のRMS値である。図2に示した取得した時系列波形信号も本発明の「力学的物理量の時系列データ」であるが、本実施形態では、時系列波形信号のRMS値も「力学的物理量の時系列データ(原信号ともいう)」とする。図4は、クリームQの力学的物理量の時系列データを示している。
図4(2)は、原信号の波形に対し、異なる2つの期間の単純移動平均を算出する。本実施形態では、第一期間(例えば、6[s])と第一期間とは異なる期間である第二期間(例えば、10[s])の単純移動平均を算出する。図4(2)の太線は、第一期間(6[s])の移動平均線を示し、細線は第二期間(10[s])の移動平均線を示している。なお、第一期間と第二期間は、評価対象、評価条件などを考慮して好ましい値を決定すればよい。単純移動平均の期間が短いほど、原信号の変動が顕著に表れ、期間が長いと原信号の変動の方向性が表れる。2つの移動平均線から次のことが解析できる。
a)2つの移動平均線の位置関係から、原信号の増減パターンを解析
第一期間(6[s])の移動平均線が第二期間(10[s])の移動平均線より上に乖離していく場合は、増加パターンであり(図4(2)の右上がり実線)、第一期間(6[s])の移動平均線が第二期間(10[s])の移動平均線より下に乖離していく場合は、減少パターン(図4(2)右下がり点線)である。
b)2つの移動平均線の乖離の程度から、原信号の変化の大小を解析
2つの移動平均線の乖離が大きいほど原信号の変化が大きく、2つの移動平均線の乖離が小さいほど原信号の変化が小さい。
c)2つの移動平均線の乖離の傾斜から、原信号の変化の緩急を解析
2つの移動平均線の乖離の傾斜が急なほど原信号の変化が急であり、2つの移動平均線の乖離の傾斜が緩やかなほど原信号の変化が緩やかである。
これらの解析は移動平均線の差分を算出することで行え、原信号の変化点(特異点ともいう)および変化パターンの特徴を求めることが可能となる。
図5に、クリームPについて、原信号から変化点および変化パターンの特徴を求める過程を示す。
図5(1)は、クリームPを滴下した肌に対し指20を接触させ、繰り返し動作を行ったときに取得した力学的物理量の時系列データ(原信号)を示している。
図5(2)は、第一期間(6[s])と第二期間(10[s])との2つの移動平均線を示している。
図5(3)は、2つの移動平均線の差分データを示している。
図5(4)は、図5(3)のデータを視認し易いように、正の値を黒で、負の値をグレーで示している。図5(4)の正の値、すなわち黒の部分は増加パターンを示し、負の値、すなわちグレーの部分は減少パターンを示している。このように、2つの移動平均線の差分をとることで、変化点および変化パターンの特徴を明確に求めることが可能となる。
図6に、クリームQについて、原信号から変化点(特異点ともいう)および変化パターンの特徴を求める過程を示す。図6(1)から図6(4)については、図5と同様であるため、説明は省略する。
このように、2つの移動平均線の差分をとることで、変化点および変化パターンの特徴を明確に求めることが可能となる。また、図5と図6より、クリームPとクリームQとでは、変化点および変化パターンが異なることが明確に把握できる。
次に、解析方法1で求めた変化点および変化パターンに基づき行った評価内容について図7から図9に基づき説明する。
図7(1)は、図5(4)に示したクリームPの2つの移動平均線の差分データを正の値と負の値とで色分けしたデータである。正の値もしくは負の値が所定時間(本実施形態では4[s]以上)継続したパターンに符号を付している。所定時間継続しているパターンは変化が明確なパターンといえるためである。なお、所定時間は、評価対象、評価条件などを考慮して決定すればよい。1、2、6、および9は減少パターンであり、3、4、5、7および8は増加パターンである。
図7(2)は、図6(4)に示したクリームQの2つの移動平均線の差分データを正の値と負の値とで色分けしたデータである。正の値もしくは負の値が所定時間(本実施形態では4[s]以上)継続したパターンに符号を付している。所定時間継続しているパターンは変化が明確なパターンといえるためである。なお、所定時間は、評価対象、評価条件などを考慮して決定すればよい。1、4、および6は減少パターンであり、2、3、5、および7は増加パターンである。
ここで、図7(1)の「5の増加パターン」と「6の減少パターン」を用いて、指標化した値(特徴量ともいう)について説明する。
1)パターン
差分データが正の値か負の値かによって、増加パターンか減少パターンか求めることができる。
2)ピークトップ
5の増加パターンの場合、5の増加パターンの中で最も正の値の部分であり、6の減少パターンの場合、6の減少パターンの中で最も負の値の部分であり、パターンの勢いが最大の点である。
3)乖離量
パターンの面積が相当し、パターンの強度に関する特徴量である。
4)継続時間
パターンが継続した時間であり、パターンの強度に関する特徴量である。
5)傾斜
パターンの傾斜であり、パターンの緩急に関する特徴量である。例えば、傾斜が急な増加パターンであれば、急な増加パターンであり、傾斜が緩やかな増加パターンであれば、緩やかな増加パターンである。
6)形状
上記1)から5)を用いてパターンの形状により各パターンの特徴を求める。
7)パターンの強度
上述した3)乖離量を4)継続時間で割ることにより、「パターンの強度」を求めることができる。
8)パターンの緩急
上述した2)ピークトップとなったタイミング(時間)が4)継続時間に対しどのようなタイミングであるかにより、「パターンの緩急」を求めることができる。例えば、継続時間に対してピークトップの時間位置は、パターンが急なほど左側によって位置し、パターンが緩やかなほど右側によって位置する。また、例えば、5の増加パターンをヒストグラムの形状とみなした場合、継続時間に対する平均値の時間位置は、パターンが急なほど左側によって位置し、パターンが緩やかなほど右側によって位置する。同様に、5の増加パターンをヒストグラムの形状とみなした場合、パターンが急なほど右側に歪んだヒストグラム形状であるため歪度が正の値となり、パターンが緩やかなほど左側に歪んだヒストグラム形状であるため歪度が負の値となる。
図7(3)は、上述のように求めたパターンの強度とパターンの緩急について表したグラフである。
図7(3)に示すグラフは、横軸(第一軸)にパターンの緩急(歪度)を示し、縦軸(第二軸)にパターンの強度(乖離量/継続時間)を示す。横軸に対し正値になるほどパターンが急であることを示し、負値になるほどパターンが緩やかであることを示す。また、縦軸に対し、正値は増加パターン、負値は減少パターンであり、強度の絶対値が大きいほどパターンの強度が強く、強度の絶対値が小さいほどパターンの強度が弱いことを示す。
クリームPのパターンを丸印、クリームQのパターンを黒三角印としてプロットしている。
図2に示した各クリームの感覚量、および図7(3)のグラフを用いて、コク(塗り広げる際の重さ)となじみについてその感覚が生じたときのパターンについて比較すると次のことが評価できる。
「コク(塗り広げる際の重さ)」:クリームPは1の減少パターン(P-1を付した丸印)、クリームQは1の減少パターン(Q-1を付した黒三角印)がコク(塗り広げる際の重さ)を感じるポイントである。P-1およびQ-1ともに第四象限(減少パターン)にプロットされていることより、コクはクリームを最初に塗り広げる際に指に力が入った状態(振動強度が大きい状態)から、クリームが崩れ始めて指が軽くなった状態(振動強度が小さくなった状態)に変わる際の現象であることが表れている。P-1はQ-1に比べて右下にプロットされており、クリームを塗り広げる際に振動強度の減少が大きく(強く)、急な変化であることを意味している。このことより、クリームPの塗り広げる際の重さの特徴である、クリームが崩れてすぐ軽くなり、コクが感じられないことが表れている。Q-1はP-1に比べ、左上にプロットされており、クリームを塗り広げる際に振動強度の減少が小さく(弱く)、緩やかな変化であることを意味している。このことから、クリームQの塗り広げる際の重さの特徴である、クリームが軽くなりすぎず、重さが維持されていてコクが感じられることが表れている。
「なじみ」:クリームPは5の増加パターン(P-5を付した丸印)、クリームQは3の増加パターン(Q-3を付した黒三角印)がなじみはじめるポイントである。P-5は第二象限(増加パターン)、Q-3は第一象限(増加パターン)にプロットされていることより、クリームが肌になじむ際に指が重くなって振動強度が大きくなる現象であることが表れている。P-5は第二象限に位置することから、振動強度の増加が緩やかな変化であることを意味している。このことから、クリームPのなじみの特徴である、緩やかに指が重くなってなじむことが表れている。Q-3は、第一象限に位置することから、P-5に比べて振動強度の増加が急な変化であることを意味している。このことから、クリームQのなじみの特徴である、急に指が重くなり、肌になじむ感触が早くおとずれることが表れている。このように、P-5とQ-3のパターンの特徴を定量化することにより、なじみの特徴差を明確に評価できる。
図7に示したように、パターン毎の強度、緩急、形状などを解析し、指標化することで、各触感の特徴を評価することが可能となる。
このように、本評価方法は、第一特徴量(図7(1)のパターン、図7(2)の各パターンが相当)の継続時間が所定時間以上(例えば、4[s]以上が相当)のパターン(図7(1)の1から9の各パターン、図7(2)の1から7の各パターンが相当)について、第一特徴量のパターン緩急を示す第一軸(横軸)と、第一特徴量のパターン強度を示す第二軸(縦軸)と、を含む座標系に、第一特徴量のパターン緩急とパターン強度と、をプロットした第一グラフデータ(図7(3)のグラフが相当)を生成し、第一グラフデータに基づいて、肌の状態、および剤を評価することが可能となる。
図8は、図7での評価内容をさらに視覚的にわかりやすく表示したものである。
図8(1)は、図7(3)のグラフに対し、歪度を示す横軸を3分割し、歪度の低い方から高い方へ順に、白塗り、グレー塗り、黒塗りとすることで、緩急情報を可視化できる。また、パターンの強さを示す縦軸を6分割し、パターンの強さが強い減少パターンからパターンの強さが強い増加パターンへ順に、線間隔が広い左から右に下がる斜線、線間隔が中間の左から右に下がる斜線、線間隔が狭い左から右に下がる斜線、線間隔が狭い左から右に上がる斜線、線間隔が中間の左から右に上がる斜線、線間隔が広い左から右に上がる斜線とすることで、強度情報を可視化できる。
図8(2)は、それぞれ、図7(1)、(2)と同様の図である。
図8(3)は、横軸が時間を示しており、図8(2)に示したパターンに応じた緩急(歪度)およびパターン強度を示している。例えば、図8(2)のクリームPの1の減少パターンは、パターン強度が強く、急な減少パターンであるため、黒塗りの線間隔が広い左から右に下がる斜線で示している。クリームPの5の増加パターンは、パターン強度が強く、緩やかな増加パターンであるため、白塗りの線間隔が広い左から右に上がる斜線で示している。図8(2)のクリームQの1の減少パターンは、パターン強度が少し強く、あまり急ではない減少パターンであるため、グレー塗りの線間隔が中間の左から右に下がる斜線で示している。クリームQの3の増加パターンは、パターン強度が少し強く、急な増加パターンであるため、黒塗りの線間隔が中間の左から右に上がる斜線で示している。このように表すことで、パターンの変化および特徴を視覚的に把握しやすくなる。
図9(1)、(2)は、それぞれ、図7(1)、(2)と同様の図である。
図9(3)は、上述した乖離量および継続時間に基づいて求めた、増加パターン側への継続時間の偏りを示す横軸と、増加パターン側への乖離量の偏りを示す縦軸からなるグラフである。
増加パターン側への乖離量の偏りおよび増加パターン側への継続時間の偏りは次のように求める。
増加パターンの乖離量の総和(正の値)を求める(Daとする)
増加パターンの継続時間の総和を求める(Taとする)
減少パターンの乖離量の総和(負の値)を求める(Dbとする)
減少パターンの継続時間の総和を求める(Tbとする)
増加パターン側への乖離量の偏り=増加パターンの乖離量と減少パターンの乖離量の差分(Da+Db)÷全乖離量(Da-Db)
増加パターン側への継続時間の偏り=増加パターンの継続時間と減少パターンの継続時間の差分(Ta-Tb)÷全継続時間(Ta+Tb)
図9(3)に示したグラフの縦軸(乖離量の偏り)/横軸(継続時間の偏り)は、
クリームP:1.16 < クリームQ:1.87
である。
図9(3)から次のことが評価できる。
クリームQはクリームPに比べて、増加パターン側への継続時間の偏りが小さいが、乖離量の偏りが大きい。これは、グラフの縦軸(乖離量の偏り)/横軸(継続時間の偏り)の値がクリームQの方が高いことよりも、クリームQの方が塗布全体を通して、原信号が振幅の増加方向へ強い勢い(明確な変化感)をもっていることを示している。
図9に示したように、変化パターンの偏りを解析し、指標化することで全体的な印象を評価することが可能となる。
このように、本評価方法は、第一指標線(図5(2)の6[s]の移動平均線、図6(2)の6[s]の移動平均線が相当)と第二指標線(図5(2)の10[s]の移動平均線、図6(2)の10[s]の移動平均線が相当)との差分データのパターンは差分データが正値である増加パターン(例えば、図7(1)5の増加パターン、図7(2)3の増加パターンが相当)と差分データが負値である減少パターン(例えば、図7(1)1の減少パターン、図7(2)1の減少パターンが相当)を含み、第一特徴量(図7(1)のパターン、図7(2)の各パターンが相当)の継続時間が所定時間以上(例えば、4[s]が相当)のパターン(図7(1)の1から9の各パターン、図7(2)の1から7の各パターンが相当)について、増加パターンの総継続時間(Taが相当)、増加パターンの総乖離量(Daが相当)、減少パターンの総継続時間(Tbが相当)、および減少パターンの総乖離量(Dbが相当)を算出し、算出結果から継続時間の偏り(例えば、増加パターンの継続時間と減少パターンの継続時間の差分(Ta-Tb)÷全継続時間(Ta+Tb)が相当)および乖離量の偏り(例えば、増加パターン側への乖離量の偏り=増加パターンの乖離量と減少パターンの乖離量の差分(Da+Db)÷全乖離量(Da-Db)が相当)を求め、継続時間の偏りを示す第一軸(横軸が相当)と、乖離量の偏りを示す第二軸(縦軸が相当)と、を含む座標系に継続時間の偏りと乖離量の偏りと、をプロットした第二グラフデータ(図9(3)のグラフが相当)を生成し、第二グラフデータに基づいて、肌の状態、および剤を評価することが可能となる。
解析方法1では、特異点(変化点が相当)は、時系列データの第一期間毎(例えば、所定期間6[s]が相当)の傾向を示す第一指標線(例えば、図5(2)太線および図6(2)太線が相当)および前記第一期間と異なる第二期間毎(例えば、所定期間10[s]が相当)の傾向を示す第二指標線(例えば、図5(2)細線および図6(2)細線が相当)が交差した点である第一特異点であり、特徴量は、第一特異点を始点もしくは終点とする局所時間内における第一指標線と第二指標線との差分データのパターン、ピークトップ、乖離量、継続時間、傾斜、形状、パターン強度、またはパターン緩急の少なくとも1つである第一特徴量を用いて評価を行うことが可能である。
(ロ)解析方法2について
解析方法2について図10に示す。
図10(1)は、力学的物理量の時系列データ(原信号)(図10(1)の細線が相当)と、原信号の波形に対し、所定期間(第三期間)の単純移動平均を算出した移動平均線(図10(1)の太線が相当)と、移動平均線を中心に上方向のばらつきを示す標準偏差線(上側バンド)(図10(1)の点線が相当)と、移動平均線を中心に下方向のばらつきを示す標準偏差線(下側バンド)(図10(1)の一点鎖線が相当)を示している。本実施形態では、所定期間は6[s]としたが、評価対象、評価条件などを考慮して決定すればよい。
図10(2)を用いて、移動平均線と標準偏差線について説明する。
図10(2)に示すように、移動平均に対する標準偏差の所定範囲を超えた部分(異常点)を求める。ここで、正規分布と標準偏差とは、平均値±1σの範囲内に全体の約68%、平均値±2σの範囲内に全体の約95%、平均値±3σの範囲内に全体の約99%が含まれる。本実施形態では、標準偏差の所定範囲を±2σとし、±2σ範囲を超えた信号を異常信号として求めることとする。そして、±2σ範囲を超えた点を変化点として解析する。なお、本実施形態では標準偏差の所定範囲を±2σとしたがこの範囲に限る必要はなく、どのような範囲にするかは、評価対象、評価条件などを考慮して決定すればよい。
図11にクリームPについて、原信号から変化点(特異点)を求める過程を示す。
図11(1)は、クリームPをのせた肌に対し指を接触させ、繰り返し動作を行ったときに取得した力学的物理量の時系列データ(原信号)と、原信号の波形に対し、第三期間(6[s])の移動平均線と、移動平均線を中心に上方向のばらつきを示す標準偏差線(上側バンド)と、移動平均線を中心に下方向のばらつきを示す標準偏差線(下側バンド)と、を示している。
図11(2)は、原信号が上側バンドを超えた点を示しており、この上側バンドを超えた点を変化点とする。
図11(3)は、図11(2)に示した上側バンドを超えた点を累積値で示した図である。累積値で表すことで、変化点のタイミングおよび強度を視覚的に把握しやすくなる。なお、図11(2)では、上側バンドを超えた点について求めたが、下側バンドを超えた点について求めても、同様の評価を行うことが可能である。
図12にクリームQについて、原信号から変化点(特異点)を求める過程を示す。図12(1)から図12(3)については、図11と同様であるため、説明は省略する。
このように、移動平均線に対し、標準偏差の所定範囲を超えた部分を変化点(特異点ともいう)として明確に求めることが可能となる。また、図11と図12より、クリームPとクリームQとでは、変化点が異なることが明確に把握できる。さらに、解析方法1で求められた変化点付近で変化点が抽出されたことにより、触感変化を捉えることができる。
図11、図12から明らかなように、解析方法2を用いても変化点を明確に抽出できる。また、変化点は解析方法1での変化点付近で抽出されていることより、触感変化の兆候を捉えることが可能である。
このように、本評価方法は、経過時間を示す第一軸(横軸が相当)と、第二特徴量(第二特異点における時系列データと標準偏差線の値との差分データの強度が相当)の累積値を示す第二軸(縦軸)と、を含む座標系に、経過時間と累積値と、をプロットした第三グラフデータ(図11(3)のグラフ、図12(3)のグラフが相当)を生成し、第三グラフデータに基づいて、肌の状態、および剤を評価することが可能となる。
次に、解析方法2で求めた変化点に基づき行った評価内容について説明する。
解析方法2で求めた変化点から単位時間当たりの変化点強度を次のように求める。
単位時間あたりの変化点強度:各変化点の強度(原信号-上側バンド)の総和/塗布時間
表1に単位時間当たりの変化点強度を示す。
Figure 2023132716000002
表1に示したように、クリームQはクリームPに比べ、単位時間あたりの変化点強度が大きい。このことより、クリームQの方が明確な変化感であること示している。このように、塗布開始~塗布終了までの全体的な触感の特徴差を明確に評価することが可能である。
解析方法2では、特異点(変化点が相当)は、時系列データ(例えば、原信号が相当)の第三期間毎(例えば、所定期間6[s]が相当)の傾向を示す第三指標線(例えば、図11(1)および図12(1)の移動平均線が相当)を中心に、上下少なくともいずれか一方の所定範囲のばらつきを示す標準偏差線(例えば、図11(1)および図12(1)の上側バンドまたは下側バンドが相当)と当該時系列データが交差した点である第二特異点(例えば、図11(1)の上側バンドを超えた点、図12(1)の上側バンドを超えた点が相当)であり、特徴量は、第二特異点における時系列データと標準偏差線の値との差分データに基づく強度である第二特徴量(例えば、単位時間あたりの変化点強度:各変化点の強度(原信号-上側バンド)の総和/塗布時間が相当)であり、第二特徴量を用いて評価を行うことが可能である。
(ハ)解析方法3について
解析方法3について、図13に示す。
図13(1)は、力学的物理量の時系列データ(原信号)(図13(1)の細線が相当)と、原信号の波形に対し、所定期間(第四期間)毎の歪度を算出したデータ(本実施形態では、「移動歪度」と呼ぶこととする)(図13(1)の太線が相当)を示している。本実施形態では、所定期間は6[s]としたが、評価対象、評価条件などを考慮して決定すればよい。
図13(2)は、図13(1)の移動歪度を微分したデータ(図13(2)の太線が相当)を示している。移動歪度を微分したデータのスパイク信号は、大きな変化が生じたタイミングであるため、変化点として特定し、当該変化点について解析を行う。
図14(1)に、クリームPを滴下した肌に対し指を接触させ、繰り返し動作を行ったときに取得した力学的物理量の時系列データ(原信号)と、原信号の波形に対し、所定期間毎の歪度を算出した移動歪度を微分したデータを示す。歪度の微分データのスパイク信号を変化点とする。
図14(2)に、クリームQを滴下した肌に対し指を接触させ、繰り返し動作を行ったときに取得した力学的物理量の時系列データ(原信号)と、原信号の波形に対し、所定期間毎の歪度を算出した移動歪度を微分したデータを示す。歪度の微分データのスパイク信号を変化点とする。
このように、移動歪度を微分したデータによるスパイク信号に基づき、変化点を明確に抽出できる。さらに、解析方法1で求められた変化点付近で変化点が抽出されたことにより、触感変化を捉えることができる。
図15(1)に、クリームPを滴下した肌に対し指を接触させ、繰り返し動作を行ったときに取得した力学的物理量の時系列データ(原信号)と、原信号の波形に対し、所定期間毎の尖度を算出した移動尖度を微分したデータを示す。尖度の微分データのスパイク信号を変化点とする。
図15(2)に、クリームQを滴下した肌に対し指を接触させ、繰り返し動作を行ったときに取得した力学的物理量の時系列データ(原信号)と、原信号の波形に対し、所定期間毎の尖度を算出した移動尖度を微分したデータを示す。尖度の微分データのスパイク信号を変化点とする。
このように、尖度を微分したデータによるスパイク信号に基づき、変化点を明確に抽出できる。さらに、解析方法1で求められた変化点付近で変化点が抽出されたことにより、触感変化を捉えることができる。
次に、解析方法3で求めた変化点に基づき行った評価内容について説明する。
解析方法3で求めた変化点から単位時間当たりの変化点強度を次のように求める。
「単位時間あたりの変化点強度」:閾値以上のスパイク信号の強度の総和/塗布時間
本実施形態では閾値を平均+1.65σよりも大きいスパイク信号(上位5%)を用いて、スパイク信号の強度の総和を求めたが、評価対象、評価条件などを考慮して閾値を決定することが好ましい。
表2に単位時間当たりの変化強度を示す。
Figure 2023132716000003
表2より、クリームQはクリームPに比べ、単位時間当たりの変化点強度が大きい。このことより、クリームQの方が明確な変化感であること示している。このように、塗布開始~塗布終了までの全体的な触感の特徴差を明確に評価することが可能である。
このように、表2では、動作体を動作させた時間(例えば、塗布時間が相当)と、当該時間における所定値以上(本実施形態では、閾値(平均+1.65σ)以上)の第三特徴量の総第三特徴量(例えば、閾値以上のスパイク信号の強度の総和が相当)に基づき第三特異点における単位時間当たりの強度を算出し、算出結果に基づいて、肌の状態、または剤の評価を行うことが可能である。
解析方法3では、特異点(変化点が相当)は、時系列データ(例えば、原信号が相当)の第四期間毎(例えば、所定期間6[s]が相当)の歪度(例えば、移動歪度が相当)または尖度(例えば、移動尖度が相当)を抽出し、抽出した歪度または尖度を時間微分(例えば、図14(1)、図14(2)、図15(1)、図15(2)が相当)したときに所定値以上の変化があった点である第三特異点(例えば、図14(1)、図14(2)、図15(1)、図15(2)でのスパイク信号が相当)であり、特徴量は、第三特異点における、歪度または前記尖度を時間微分したときの変化量である第三特徴量(例えば、単位時間あたりの変化点強度:閾値以上のスパイク信号の強度の総和/塗布時間が相当)であり、第三特徴量を用いて評価を行うことが可能である。
このように、解析方法1から3の何れの方法を用いた場合でも、塗布開始からほぼ同じ時間経過した付近で変化点を特定することが可能であった。上述では、解析方法1から3それぞれを用いた評価結果を説明したが、解析方法1と2、解析方法1と3、解析方法2と3、もしくは解析方法1から3を用いて評価を行ってもよい。
<剤間の類似度の評価>
次に、剤間の類似度の評価方法について説明する。剤間の類似度の評価とは、それぞれの剤の変化点および変化パターンを比較することにより、剤のタイプが似ているか、触感が似た剤であるかなどを評価することである。
以下に、計測方法、評価に用いたデータについて示す。
・振動波形の計測方法
同一の評価者の肌(図1と同様)に、異なる3種類のクリーム(基準クリームR、比較クリームS、比較クリームT)を1種類ずつ滴下し、塗布開始~塗布終了(なじみ終わり)までをそれぞれ計測する。
・評価に用いたデータ
10-500Hz帯域の振動の振幅値(二乗平均平方根:RMS)の原信号を作成する。原信号に対し、解析方法1を用いて変化点および変化パターンを求める。
図16に、図16(1)基準クリームR、図16(2)比較クリームS、図16(3)比較クリームTについて、解析方法1を用いて作成した2つの移動平均線の差分データを示す。本実施形態では、2つの移動平均は6[s]と10[s]の移動平均線である。各グラフの縦軸:乖離率は次の通り求める。
乖離率=差分値÷10[s]の移動平均線の値×100
次に、解析方法1で求めた変化点および変化パターンに基づき行った評価内容について説明する。各クリーム間の類似度を評価するため、次のように類似度を算出する。
・2つの移動平均線の差分データからベクトルを作成する。
・基準クリームRと比較クリームSおよび比較クリームTとのベクトル間の類似度を算出する。ベクトル間の類似度は、例えば、内積計算から求まるベクトル間の角度(cosθ)やユークリッド距離を用いて算出する。
ここで、ベクトル作成について2つの方法を説明する。
a)指標値を成分とするベクトル
解析方法1を用いた評価方法で説明した方法により、増加パターン側への乖離量の偏りと増加パターン側への継続時間の偏りと、を求める。
増加パターンの乖離量の総和(正の値)を求める(Daとする)
増加パターンの継続時間の総和を求める(Taとする)
減少パターンの乖離量の総和(負の値)を求める(Dbとする)
減少パターンの継続時間の総和を求める(Tbとする)
増加パターン側への乖離量の偏り=増加パターンの乖離量と減少パターンの乖離量の差分(Da+Db)÷全乖離量(Da-Db)
増加パターン側への継続時間の偏り=増加パターンの継続時間と減少パターンの継続時間の差分(Ta-Tb)÷全継続時間(Ta+Tb)
b)移動平均線の差分値を成分とするベクトル
なお、a)、b)何れの方法の場合にも周波数帯を複数用いたベクトルの作成も可能である。
表3に、a)の方法により求めたベクトル成分を示す。
Figure 2023132716000004
表3に示した指標値を成分とするベクトル間の角度(cosθ)から類似度を算出した結果を示す。
基準クリームRに対する類似度(cosθ)は、比較クリームSは0.97であり、比較クリームTは0.091であった。したがって、比較クリームSの方が比較クリームTより基準クリームRに類似度が高いと評価できる。
このようにクリーム間の類似度を評価することで、クリームをタイプ別に分類することが可能となり、ユーザへのプロモーションに活用することもできる。
また、同一のクリームを複数人の評価者に塗布したデータでの類似度を評価することもできる。このような類似度を評価することで、例えば、なじみの早いタイプの肌/遅いタイプの肌のように、肌タイプを分類することも可能となり、評価者間の触感の感じ方の類似度または相違度の評価に活用することもできる。
<評価システムについて>
図17を用いて、評価システム200について説明する。
本実施形態における評価システム200は、動作体110、取得部120、特定部130、算出部140、および評価部150で構成される。また、各種の処理を実行可能な情報処理端末100を備え、当該情報処理端末100に、特定部130、算出部140、および評価部150は備えられている。情報処理端末100は、キーボード、ポインティングデバイスなどの入力装置、演算処理装置、記憶部等を備えている。また、情報処理端末100には、表示部160(表示装置)を備えていることが好ましいが、情報処理端末100の外部に設けられ、ネットワークで接続されていてもよい。
動作体110は、肌の表面に接触させる指20、手のひらまたは測定治具である。
取得部120は、図1に示した指20に装着したセンサ30を用いて、指20を動かすことにより生じた力学的な物理量を経時的に取得する手段である。センサ30で取得された力学的な物理量(電気信号)は、ネットワーク回線、媒体などを経由して情報処理端末100で取得できるように構成されている。
特定部130は、取得部120で取得した力学的物理量の時系列データにおいて繰り返される波形のパターンの傾向が時間変化する特異点を特定する。特定する特異点は、解析方法1から3で上述したものと同様である。
算出部140は、特定された特異点における、または特異点を始点もしくは終点とする局所時間内における波形の特徴を表す特徴量を求める。求める特徴量は、解析方法1から3で上述したものと同様である。
評価部150は、算出部140で算出した特徴量を用いて、肌の状態、剤、手技または環境を評価する。評価内容は上述したものと同様である。評価部150による評価結果は、表示部160を用いて、評価者が把握しやすいようにすることが好ましい。
表示部160は、評価部150による評価結果、例えば、図5から図9、図11、図12、図14、および図15に示したグラフを表示する。
さらに、評価部150による評価結果に基づき所定の音声を音声出力部(図示しない)から出力するように、演算処理装置で制御してもよい。具体的には、図5(4)、図6(4)のグラフ(評価内容)に対し、例えば、増加パターンと減少パターンとで異なる音声とし、強度の強弱に合わせて異なる音量で、また、緩急に合わせて異なる高低の音声を出力するようにしてもよい。このようにすることで、被験者は急な高低の違いにより、緩急の違いを把握でき、また、音量の違いにより強度の違いを把握することができる。このように、算出した特徴量から予め定めた音量または/および音の種類に変換するようにし、当該音声を出力することで、被験者が特徴量の変化を把握できるようにしてもよい。なお、他の評価結果(他のグラフ)についても同様に、算出した特徴量から予め定めた音量または/および音の種類に変換するようにし、当該音声を出力するようにしてもよい。
センサ30で取得した力学的な物理量(電気信号)をネットワーク回線、媒体などを経由して情報処理端末100で取得できるように構成されているのと同様に、評価結果をネットワーク回線、媒体などを経由して、情報処理端末100とは異なる他の情報処理端末(図示しない)で取得できるようにしてもよい。このように、情報処理端末100とは異なる場所にいるユーザ(被験者)がセンサ30を用いて取得した力学的な物理量(電気信号)を情報処理端末100へ送信し、情報処理端末で特徴量を算出し、評価した評価結果をネットワーク回線、媒体などを経由して他の情報処理端末へ送信するようにしてもよい。このようにすることでユーザが容易に肌の状態、剤、手技または環境を評価することができる。
<変形例>
本実施形態では、周波数解析を行い、RMSの処理を施した信号データを原信号としたがこのような処理を施さなくてもよい。また、周波数解析は、時系列波形信号を取得する際に所定のフィルタを通過した信号を用いるようにして、任意の周波数(帯)を抽出したり、任意の周波数(帯)の信号強度を変調してもよいし、周波数(帯)を選択せず信号強度を変調してもよいし、解析する際に、フーリエ変換やウェーブレット変換など所定の演算を行うことで、周波数帯ごとの時系列データを解析・評価に用いるようにしてもよい。周波数解析を行い、例えば、振動覚(パチ二小体)の感度が高い周波数を用いて解析・評価を行ってもよい。
本実施形態では、解析方法1での2つの移動平均は、単純移動平均(SMA)を用いたが、例えば、直近の変動を強く反映する指数平滑移動平均(EMA)、加重移動平均(WMA)などでもよい。評価対象、評価条件などを考慮して好ましい演算を用いればよい。また、第一期間毎および第二期間毎の傾向を把握するために移動平均を用いたが、移動平均に限らず、傾向を把握できれば標準偏差や分散などでもよい。
解析方法1では、ピークトップとなったタイミング(時間)が、継続時間に対しどのようなタイミングであるかにより、「パターンの緩急」を求めたがこれに限らない。例えば、継続時間に対し、乖離量の半値幅である時間の位置によって指標を求めてもよい。
解析方法1では、継続時間の偏りおよび乖離量の偏りを求める際に、増加パターンの総乖離量として、増加パターンの乖離量の総和、増加パターンの総継続時間として、増加パターンの継続時間の総和、減少パターンの総乖離量として、減少パターンの乖離量の総和、減少パターンの総継続時間として、減少パターンの継続時間の総和を求めたがこれに限らない。例えば、各パターンのデータに対し、ノイズ除去を施した後に総継続時間および総乖離量を求めてもよい。
解析方法1では、第一指標線と第二指標線との差分データを用いて各特徴量を求めて評価したが、これに限らない。例えば、第一指標線と第二指標線との位置(第一指標線が第二指標線より横軸の0に近い方に位置し、第一指標線が第二指標線より縦軸において大きい値に近い方に位置する場合は増加パターン)に基づいて特徴量を求めてもよい。
解析方法2では、時系列データと標準偏差線の値との差分データを用いて各特徴量を求めて評価したが、これに限らない。例えば、時系列データと標準偏差線との位置に基づいて特徴量を求めてもよい。
本評価方法による剤の評価結果は、例えば、早くなじむクリームを開発できているか、適度な重さを感じるクリームを開発できているか、といったように開発した剤が開発目的を達成できているかを定量的に評価することが可能となる。
本実施形態では、肌に所定の剤を滴下し、塗布開始から塗布終了までの時系列データを解析・評価したがこれに限らない。例えば、所定の剤を塗布した後、所定時間経過した後の時系列データを取得し、解析・評価してもよい。このようにすることで、塗布開始から塗布終了までの評価と所定時間経過した後の時系列データに基づく解析・評価と比較することで、時間経過に伴う肌の状態および剤の影響(効果)を評価することが可能となる。
本実施形態では、触感の評価を行うことにより肌の状態の評価、および、剤の評価について説明したが、本評価方法を用いて手技、または環境の評価を行うことができる。
本実施形態において、「手技」とは、洗浄、マッサージのようなスキンケア手技、くすみやニキビ跡の改善のための手技、小じわやくぼみを改善する手技などである。これらの手技を行い始めてから終了するまでの振動波形データを取得し解析することで、手技の評価を行える。例えば、洗浄(水のみ)の場合、洗い始めと洗い終わりでは、肌(皮膚表面)の汚れや皮脂の量に変化が生じるため、その変化点および変化パターンを評価できる。また、手技を行う際に所定の剤を用いれば、剤の評価にも該当し、手技を行う際の肌の触感の評価にも該当する。また、洗浄を冷水で行った場合、ぬるま湯で行った場合のように洗浄に用いた水の条件、すなわち、環境の評価にも該当する。
本実施形態において、「環境」とは、肌(皮膚表面)が存在する場所、状態の環境であり、室内/室外、湿度、温度、日光や照明に照らされているか否か、風が当たっているか否かなどである。例えば、湿度の異なる2つの空間を準備し、一方の空間に肌があるときから動作体の動作を開始し、動作を継続しながらもう一方の空間に肌を移動させ継続して取得した振動波形データを取得し解析することで、環境の評価を行え、合わせて肌の触感の評価も行える。このように、本評価方法は、肌の状態、剤、手技または環境について評価を行うことが可能となる。
本実施形態では、動作体にセンサ30を装着するようにしたが、これに限らず、肌にセンサ30を装着するようにしてもよい。このようにしても肌と動作体との間に生じる力学的物理量の時系列データを取得できるため、例えば、センサ30を装着しにくい動作体(例えば、綿棒のように細いもの)の場合でも肌の状態、剤、手技または環境について評価を行うことが可能となる。
解析方法1を用いて解析した結果に基づく評価内容を示した図8では、歪度を示す横軸を3分割したが、分割数はこれに限らず、例えば、さらに細かく段階分けしてもよい。また、歪度の低い方から高い方へ順に、白塗り、グレー塗り、黒塗りとすることで、緩急情報を表現したが、どのような色で表現してもよい。また、分割ごとに色を異ならせたが、例えば、歪度の値に応じて色を連続的に異ならせる、または、色の濃さを連続的に異ならせるようにしてもよい。また、緩急情報を色の違いで表現したが、図形の違い(塗りつぶしパターンの違い)によって表現してもよい。同様に、パターンの強さを示す縦軸を6分割したが、分割数はこれに限らず、例えば、さらに細かくまたは大まかに段階分けしてもよい。また、パターンの強さが強い減少パターンからパターンの強さが強い増加パターンへ順に、線間隔が広い左から右に下がる斜線、線間隔が中間の左から右に下がる斜線、線間隔が狭い左から右に下がる斜線、線間隔が狭い左から右に上がる斜線、線間隔が中間の左から右に上がる斜線、線間隔が広い左から右に上がる斜線とすることで強度情報を表現したが、斜線の間隔および種類はどのようなものでもよく、また、図形の違い(塗りつぶしパターンの違い)、色の違い、色の濃さの違いで表現してもよい。色の違い、色の濃さで表現する場合は、分割ごとに異ならせるほか、例えば、強度の値に応じて色を連続的に異ならせる、または、色の濃さを連続的に異ならせるようにしてもよい。分割数、色の種類、塗りつぶしパターンの種類などは、評価対象、評価条件などを考慮して、視覚的に把握しやすい表現方法を設定すればよい。
10 演算装置
20 指
30 センサ
100 情報処理端末
110 動作体
120 取得部
130 特定部
140 算出部
150 評価部
160 表示部
200 評価システム

Claims (10)

  1. 所定の剤、手技または環境が適用された肌が時系列で変化していく様子を解析する工程を含む方法であって、
    前記肌に接触させた動作体を繰り返し動作させて前記肌と前記動作体との間に生じる力学的物理量の時系列データを取得し、
    取得された前記時系列データにおいて繰り返される波形のパターンの傾向が時間変化する特異点を特定し、
    特定された前記特異点における、または前記特異点を始点もしくは終点とする局所時間内における波形の特徴を表す特徴量を求め、
    求められた前記特徴量に基づいて、前記肌の状態、前記剤、前記手技または前記環境を評価する評価方法。
  2. 前記特異点は、前記波形のパターンにおける強度が変化する点である請求項1に記載された評価方法。
  3. 前記特異点は、
    前記時系列データの第一期間毎の傾向を示す第一指標線および前記第一期間と異なる第二期間毎の傾向を示す第二指標線が交差した点である第一特異点であり、
    前記特徴量は、
    前記第一特異点を始点もしくは終点とする局所時間内における前記第一指標線と前記第二指標線との差分データのパターン、ピークトップ、乖離量、継続時間、傾斜、形状、パターン強度、またはパターン緩急の少なくとも1つである第一特徴量である請求項1または2に記載された評価方法。
  4. 前記特異点は、
    前記時系列データの第三期間毎の傾向を示す第三指標線を中心に、上下少なくともいずれか一方の所定範囲のばらつきを示す標準偏差線と当該時系列データが交差した点である第二特異点であり、
    前記特徴量は、
    前記第二特異点における前記時系列データと前記標準偏差線の値との差分データに基づく強度である第二特徴量である請求項1から3何れか一項に記載された評価方法。
  5. 前記特異点は、
    前記時系列データの第四期間毎の歪度または尖度を抽出し、抽出した前記歪度または前記尖度を時間微分したときに所定値以上の変化があった点である第三特異点であり、
    前記特徴量は、
    前記第三特異点における、前記歪度または前記尖度を時間微分したときの変化量である第三特徴量である請求項1から4何れか一項に記載された評価方法。
  6. 前記第一特徴量の継続時間が所定時間以上のパターンについて、前記第一特徴量の前記パターン緩急を示す第一軸と、前記第一特徴量の前記パターン強度を示す第二軸と、を含む座標系に、前記第一特徴量の前記傾斜と前記乖離量と、をプロットした第一グラフデータを生成し、
    前記第一グラフデータに基づいて、前記肌の状態、前記剤、前記手技または前記環境を評価する請求項3に記載された評価方法。
  7. 前記第一指標線と前記第二指標線との差分データのパターンは前記差分データが正値である増加パターンと前記差分データが負値である減少パターンを含み、
    前記第一特徴量の継続時間が所定時間以上のパターンについて、前記増加パターンの総継続時間、前記増加パターンの総乖離量、前記減少パターンの総継続時間、および前記減少パターンの総乖離量を算出し、算出結果から前記継続時間の偏りおよび前記乖離量の偏りを求め、
    前記継続時間の偏りを示す第一軸と、前記乖離量の偏りを示す第二軸と、を含む座標系に前記継続時間の偏りと前記乖離量の偏りと、をプロットした第二グラフデータを生成し、
    前記第二グラフデータに基づいて、前記肌の状態、前記剤、前記手技または前記環境を評価する請求項3に記載された評価方法。
  8. 経過時間を示す第一軸と、前記第二特徴量の累積値を示す第二軸と、を含む座標系に、前記経過時間と前記累積値と、をプロットした第三グラフデータを生成し、
    前記第三グラフデータに基づいて、前記肌の状態、前記剤、前記手技または前記環境を評価する請求項4に記載された評価方法。
  9. 前記動作体を動作させた時間と、当該時間における所定値以上の前記第三特徴量の総第三特徴量に基づき前記第三特異点における単位時間当たりの強度を算出し、算出結果に基づいて、前記肌の状態、前記剤、前記手技または前記環境を評価する請求項5に記載された評価方法。
  10. 所定の剤、手技または環境が適用された肌が時系列で変化していく様子を解析し評価する評価システムであって、
    前記肌に接触させた動作体を繰り返し動作させて前記肌と前記動作体との間に生じる力学的物理量の時系列データを取得する取得部と、
    取得された前記時系列データにおいて繰り返される波形のパターンの傾向が時間変化する特異点を特定する特定部と、
    特定された前記特異点における、または前記特異点を始点もしくは終点とする局所時間内における波形の特徴を表す特徴量を求める算出部と、
    求められた前記特徴量に基づいて、前記肌の状態、前記剤、前記手技または前記環境を評価する評価部と、を備える評価システム。
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