JP2019219257A - 皮膚外用剤の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 皮膚外用剤の使用時に得られる実感でなく、最終的にユーザーが感じる皮膚外用剤の価値を客観的に評価する新たな方法を提供することを目的とする【解決手段】 同一種類の複数の皮膚外用剤を対象物に塗布した際に対象物に対して働く水平方向の力を測定して得られる時間プロファイルから、前記皮膚外用剤の肌への塗布により得られる主観評価と関連づけられる、測定対象とする周波数領域を決定し、当該周波数領域における対象物に対して働く水平方向の力のパワーなどの評価指数を振動インデックスとして肌に塗布される皮膚外用剤を評価する。【選択図】図6

Description

本発明は皮膚外用剤の評価方法に関する。
皮膚外用剤の1種である化粧料の評価方法のひとつとして、本願発明者らは、特許文献1において、化粧料を使用した際に得られる使用実感と、化粧料の感性価値、つまりユーザーの感性に働きかけ、感動や共感を得ることによって顕在化する価値評価を指標とする化粧料の評価方法を提案している。この評価方法においては、化粧料を実際に使用した際の評価だけでなく、「肌に負担がない」、「心地よい」、「使い続ける意欲がわく」といった単なる使用感ではない化粧料に対する価値も併せて考慮される。
このような評価方法では、かつてから使用されてきた使用感触だけでなく、ユーザーの感性からの評価も加えられるので、単一の化粧料を単回使用する場合だけの評価だけでなく、単一の化粧料を反復して使用する場合や、ふきとり化粧水の使用後にスキンケア化粧料を使用する場合など種類の異なる化粧料を一連の行為として使用する場合の評価を行うこともできる。
ところで、化粧料の使用実感の評価において、塗布に関する触感が評価指標の一つとして取り上げられる場合がある。例えば、特許文献1に開示された評価方法においても、ふきとり化粧水の使用実感のための評価語として「肌あたりがなめらかである」とか「肌あたりが良い」とかいった語で構成される因子である「ふきとり感触」が取り上げられる場合がある。また、同様に「老化角質がとれる」とか「ふきとり感がある」とかいった語で構成される因子である「ふきとり後感」が取り上げられる場合がある。このような「ふきとり感触」や「ふきとり後感」といったふきとりに関する評価又は評価語は、ふきとりという動作に基づく。したがって「ふきとり感触」や「ふきとり後感」に関する評価はふきとり動作時の摩擦力に依存するものと考えられる。
ヒトが指先で感じる触感と摩擦力の関係について、各種素材の表面を指でなぞった時にどのように感じるかという評価を行った事例が非特許文献1に示されている。ここでは、素材表面を指でなぞった際の摩擦力をサンプリングし、サンプリングした振動特性とその際の触感の関係を重回帰分析することで、どのような振動特性が「さらさら感」や「すべすべ感」、「ゴツゴツ感」といった触感に対して大きな影響を与えているのかを導き出している。
特開2018−040597号公報
山崎陽一ら、「触感と摩擦力の経時的特徴の関係」、電気学会研究会資料、p17−22、2017年3月27日
ところで、評価因子「ふきとり感触」の評価語である「肌あたりがなめらかである」とか「肌あたりが良い」などの印象は、肌に対する摩擦感からは肌への摩擦は柔らか、つまり摩擦が弱い一方、評価因子「ふきとり後感」の評価語である「ふきとり感がある」などの印象は肌に対する摩擦感からは肌への摩擦がある程度強いと考えられる。すなわち、平均摩擦力や動摩擦係数など定性的な物理量で摩擦力を評価した場合には両者は相反する感覚であり、摩擦力を測定することをもってしてこれらのふきとり感触やふきとり後感を両立して評価できるものではないと考えられた。このことは、本願実施例において述べるように、ふきとり化粧水を用いた主観評価と平均動摩擦係数の関係からも裏付けられた。
また、非特許文献1の評価方法では素材表面を指でなぞったときの摩擦力を測定しているが、この方法では指の腹が感じ取る印象を評価しているに過ぎない。ところが、肌に塗布される化粧料を評価する場合、例えば、ふきとり化粧水の評価における「ふきとり感触」や「ふきとり後感」は、指だけで感じられるものではなく、頬で感じられる感触が主であると考えられる。また、ふきとり化粧水のように指で直接塗布されるものではなくコットンなどを介して塗布される化粧料においては、コットンなどの化粧用具を使ったいわば間接的に感じられる評価と、指の腹で直接的に感じられる評価は同列に評価できるものではなく、この場合には化粧料の使用感はほとんど頬で評価されていると言える。それだけでなく、化粧料を肌に塗布した場合には極めて薄い膜が肌表面に形成されるにすぎない。このため、非特許文献1のように目視において一見しただけで判別できるような素材表面を評価するのと同じ評価が可能であるとは考えにくい。
本願発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであって、化粧料の使用時に得られる実感(例えば感触)や、最終的にユーザーが感じる化粧料の主観的価値評価ではなく、それらに変わり得る客観的に評価する新たな方法を提供することを目的とする。そして、得られた評価価値から、化粧料の開発目標を設定する方法を提供することも目的とする。
本願に係る発明は、化粧料を対象物に塗布した際に観測される主観評価と関連づけられる振動インデックスを指標として、化粧料を評価することにある。
本願発明によると、化粧料などの皮膚外用剤を対象物に塗布した際に観測される振動インデックスという客観的な指標を用いて皮膚外用剤を評価できる。また、振動インデックスを評価指標とすることで、使用テストを行うことなく肌に塗布した際の感触に優れた皮膚外用剤の設計が可能になる。
図1は各ふきとり化粧水の因子得点散布図である。 図2は摩擦力測定に用いた人工皮膚の模式図であって、(A)はその一部を破断した平面図、(B)はその一部を破断した側面図である。 図3は平均動摩擦係数とふきとり触感との関係を示す図であって、(A)はふきとり感触との関係を示す図、(B)はふきとり後感との関係を示す図である。 図4は触運動量計測装置の概略構成図である。 図5はふきとり化粧水のパワースペクトル(偏差)を示す一例である。 図6はふきとり化粧水の振動特性を表す基底関数を示した図である。 図7は試作品のふきとり化粧水を特定の測定周波数領域におけるパワー積算値で評価した際の散布図である。
本願に係る発明は、肌に塗布される皮膚外用剤の評価方法であって、皮膚外用剤を対象物に塗布した際に観測される振動インデックスを指標とする評価方法である。
本願発明における振動インデックスは、皮膚外用剤を肌に塗布した際に得られる主観評価と関連づけられる指標である。振動インデックスは肌に塗布した際に観測される周波数と関連づけられた評価指数であり、例えば、皮膚外用剤を対象物に塗布した際に観測される対象物に対して水平方向に働く力から求められる。さらに、振動インデックスは主観評価と関連付けられる1又は2以上の周波数領域における評価指数として求められる。
本評価方法が適用可能な皮膚外用剤の種類は、粘膜を含む肌に塗布されるものであればよく、その使用目的や機能は限定されず、例えばそれは化粧料であり、医薬品であり、いわゆる日常品でもあり得る。また、化粧料であれば、肌に直に塗布される化粧水のような化粧料であるか、化粧水を塗布した後にその上に塗布される乳液のような二次的に使用される化粧料であるかなどは問わない。化粧料は、例えばクレンジングオイル、クレンジングクリームなどの洗顔料であり、ふきとり化粧水や保湿化粧水、乳液、美容液、クリームなどの基礎化粧料であり、ファンデーションなどのベースメーク化粧料であり、口紅などのポイントメーク化粧料であり、トニック、スカルプローションなどの頭髪料であり、口唇などの粘膜を含む肌に塗布され、いわゆる塗り心地が使用者の価値評価に繋がるものであれば特に制約されない。
振動インデックスは皮膚外用剤を肌に塗布した際に得られる印象と関連づけられるものであるので、肌に塗布する状態と近似した状態で測定された結果から取得されることが好ましいが、振動インデックスは肌に塗布した際に得られる印象と関連づけられればよいので、その振動インデックスを求める際に用いられる塗布の対象物は、ヒトの肌でなくてもよく、ヒトの肌を模した人工皮膚や動物の皮膚、人工皮革、動摩擦力などを測定するために用いられる一般的な測定板でもあり得る。肌に塗布した際に得られる印象に近づけるためには、好ましくは人工皮膚や人工皮革である。人工皮膚や人工皮革も特に限定されることもなく、例えば本明細書の実施例に記載された人工皮膚や特開2006−233367号公報に記載された人工皮革が例示される。
振動インデックスを例えば化粧料を対象物に塗布した際に観測される対象物に対して水平方向に働く力から求めるためには、水平方向に働く力を測定した時間プロファイルが参照される。時間プロファイルは、測定された水平方向の力、すなわち摩擦力の大きさを一定時間継続して測定して得られるデータを意味し、時間プロファイルには波の特性(振動的特性)が記録される。時間プロファイルは、一回の測定ごとに求められ、これをデータ処理することで、周波数とパワーが関連づけられたパワースペクトルが求められる。図5はパワースペクトルの一例を示す図であって、図5に示されるように周波数ごとの振幅の大きさ(パワー)で示される。なお、ここにおけるパワーは振動インデックスを測定する際に必要となる周波数領域の決定に用いられた全化粧料のパワーの平均との偏差で示されている。測定する時間も塗布開始時からから塗布終了時までの間であればその全体の時間を測定しても、その一部の時間を測定してもよく、好ましくは塗布開始直後の一定時間及び塗布終了直前の一定時間を除いた間が好ましい。この間は安定した塗布動作が行われていると考えられるからである。
時間プロファイルを測定する装置は対象物に対して水平方向に働く力を測定して時間プロファイルを得ることができる装置であれば特に制約されない。例えば非特許文献1に記載された装置や、摩擦試験機を改変した装置などが利用できる。このとき、水平方向に働く力の測定間隔は解析精度などを考慮しつつ適宜決定され得るが、概ね1〜10Hz程度、好ましくは2〜4Hz程度の周波数単位でパワースペクトルに変換可能な水平方向に働く力を測定できる装置が用いられる。
時間プロファイルの測定に際し、対象物に対してヒトの指(指の腹)により直接的に塗布することにしてもよく、皮膚外用剤の種類によっては、パフやコットン、刷毛などの化粧用具(塗布用具)を用いて間接的に塗布してもよい。また、動摩擦係数を測定するのと同様に一定の力で機械的に塗布してもよい。なお、本願発明において塗布は対象物に皮膚外用剤を塗る場合だけでなく、拭う動作も含めた広義の意味で用いられる。例えば、ふきとり化粧水のような場合にはコットンを用いて肌を拭うので、この動作も塗布として捉えられる。それ以外にも、クレンジングオイルのように塗布された化粧料を単に拭き取るのに使用される皮膚外用剤も対象となる。
振動インデックスに結び付けられる測定周波数領域は、時間プロファイルから算出したパワースペクトルと主観評価を関連づけることによって決定される。このために、まず同一種類の複数の皮膚外用剤について得られた複数のパワースペクトルについて統計的解析を行うことで、当該種の皮膚外用剤を塗布した際に生じる振動の特性を表すいくつかの主成分因子が求められる。用いられる統計的解析は、例えば多変量解析の一つである主成分分析であり得る。主成分分析では、パワースペクトルとして得られた周波数と各周波数におけるパワーが用いられ、その結果、重み付けが異なる複数の主成分因子が得られる。得られた各主成分因子には、周波数単位で因子負荷量が付与される。つまり、各主成分因子は周波数と因子負荷量の関係で示される関数(基底関数)として表すことができる。図6は主成分分析で得られた各基底関数を示すグラフを示す一例であって、この例では8つの主成分因子(PCA1〜PCA8)が得られ、各主成分因子に対応する基底関数(F1〜F8)はそれぞれ周波数と因子負荷量の関係で示されている。また、各基底関数に対しては重み付け係数が付与され、主成分因子に対応する基底関数とそれぞれの基底関数に対して重み付けする重み付け係数は、用いられた全ての皮膚外用剤のパワースペクトルの特性を表現する。
主成分分析においては、因子負荷量が大きな値を示す周波数領域が主成分因子として表される。この点に関して、基底関数をグラフに表した図6からも各基底関数において因子負荷量が高い周波数領域が存在することが確認される。そして、各基底関数のうち因子負荷量が大きな値を示す周波数領域は基底関数を代表する領域であると言える。一方、得られた主成分因子は測定対象となった全皮膚外用剤のパワースペクトルの特性、つまり、測定された皮膚外用剤の振動特性を表すものであって、主成分因子と主観評価との間には何らかの関係があると言える。そこで、主観評価との関連づけは、主成分因子として把握される因子負荷量の大きな周波数領域と行なう。
主成分分析においては、測定対象となった個々の皮膚外用剤、例えば、処方が異なる10個の同種皮膚外用剤を対象にした場合には、その個々の皮膚外用剤、つまり10の皮膚外用剤毎に主成分因子ごとの主成分得点も算出される。この主成分得点は、各主成分因子に対して個々の皮膚外用剤が与える影響度の大きさを示しているものである。従って、主観評価との関連づけは、主成分因子に対応する周波数領域における主成分得点との間で行われる。
主観評価は、皮膚外用剤を肌に塗布した際に得られる印象であって、塗り心地に関する評価である。主観評価は特許文献1に記載したように、化粧水を肌に塗布した際に感じられる評価語に基づいてなされる。主観評価は、評価対象となる皮膚外用剤の種類によって適宜選択、決定され得る。塗り心地に関する評価は、例えば、ふきとり化粧水に関して、ふきとり触感に関する評価であり得る。より具体的に言えば、特許文献1に示されるように、皮膚外用剤がふきとり化粧水であれば、「肌あたりがなめらかである」とか「肌あたりが良い」とかいった「ふきとり感触」に関する因子でまとめられる評価であり、「老化角質がとれる」とか「ふきとり感がある」とかいった「ふきとり後感」に関する因子でまとめられる評価でもあり得る。主観評価に用いられる評価語は必ずしも特許文献1に記載された評価語でなくてもよく、使用者から得られる任意の表現に従って決定してもよい。
一つの主成分因子は、因子「ふきとり感触」に関する評価又は因子「ふきとり後感」に関する評価のいずれか一つの評価に関連づけられるだけでなく、2つ以上の評価に関連づけることもできる。さらに、統計的にまとめられた因子と関連づけることなく、特許文献1で示されているような一つ又は二つ以上の評価語との関連を用いることもできる。
関連づけを求める方法は特に制約されるものではなく、両者の相関関係が求められる方法であればよい。主観評価は個々の皮膚外用剤について行われ、個々の皮膚外用剤において上記因子に対してそれぞれいわゆる因子得点が算出される。因子得点は、例えば特許文献1に記載されたように、評価語に基づく主観評価を因子分析することで求められる。ここで得られた主観評価による因子得点は目的変数であり、主成分得点は説明変数として扱われる。通常、目的変数及び説明変数は共に複数個であるために、重回帰分析が利用される。もっとも、目的変数が一つ、すなわち一つの主観評価(因子)を目的として設定する場合には、単回帰分析を行って主成分因子を選択することもできる。
関連があるかどうかは、いわゆる重回帰分析や単回帰分析において得られた回帰係数によって決定される。回帰係数が算出される関係にある主成分因子が選択され、好ましくは回帰係数が大きな関係にある主成分因子、望ましくは統計的に有意差が認められる主成分因子が主観評価と関連があるとされる。このとき、正の関係、負の関係のいずれの関係にある主成分因子でもよい。このようにして、皮膚外用剤を塗布した際に得られる主観評価と関連のある主成分因子、つまり特徴的な周波数領域が決定される。
次に振動インデックスと関連づけられる測定周波数領域が、統計的解析によって決定された特徴的な周波数領域を元にして設定される。この際、測定周波数領域は主成分因子として把握される特徴的な周波数領域と同じ周波数領域であることが好ましい。また、主観評価と関連のある主成分因子においては、時間プロファイルの測定時における測定誤差などのために、図6の基底関数F1に示すように、特徴的な周波数領域が一つの連続した周波数領域とはならず、因子負荷量が高い連続する周波数領域が2箇所以上に見られる場合がある。その場合、因子負荷量が小さくなった周波数領域を含めて、2箇所以上の連続する周波数領域を一つの連続した周波数領域を測定周波数領域としてもよく、2箇所以上の連続する周波数領域のうち、大きな割合をしめる周波数領域を測定周波数領域として設定してもよいが、好ましくは因子負荷量が大きい周波数領域を測定周波数領域とする。従って、統計的解析においては因子負荷量が大きな周波数領域のみが同じ主成分因子に属するとされるが、本願発明においては、因子負荷量が小さく他の主成分因子として把握される周波数領域、例えば図6の例においては、例えば60〜64Hzの周波数領域(62Hzの周波数)や、104〜120Hzの周波数領域も、振動インデックスを求めるために対象とされる測定周波数領域(主観評価と対応する測定周波数領域)として扱われ得る。しかしながら、測定周波数領域は、主観評価と関連づけられている主成分因子として把握される特徴的な周波数領域を越えて設定されるものではない。言い換えると、測定周波数領域は特徴的な周波数領域の最小値及び最大値よりも広がることはない。また、狭い周波数領域の因子負荷量が非常に大きいなど、狭い周波数領域が特徴的な周波数領域を代表していると考えられるような場合には、特徴的な周波数領域の一部が測定周波数領域に設定され得る。
皮膚外用剤を対象物に塗布した際に観測される振動インデックスは、主観評価に関連づけられる評価指数である。上記で述べたように主観評価は、皮膚外用剤を対象物に塗布した際に測定される振動特性を統計的に解析して選択された1又は2以上の主成分因子と相関するので、当該皮膚外用剤を対象物に塗布した際に観測される評価指数が好ましく用いられる。評価指数は主観評価と正の関係で大きくなる指数であることが望ましい。すなわち、評価指数を上げることで主観評価を上げることに結び付けられるからである。もちろん、負の関係で大きくなる指数であってもよく、評価指数を上げることで好ましくない主観評価を下げることに結び付けられるからである。評価指数は数値化された指数であって、皮膚外用剤を対象物に塗布した際に観測することで得ることができればよい。評価指数は、例えば、評価対象となるある一つの皮膚外用剤を塗布した際に対象物に対して働く水平方向の力の時間プロファイルから得られる指数であり得る。時間プロファイルからは前記したように周波数とパワーの関係が示されたパワースペクトルが得られるので、例えばパワースペクトルから得られたパワーの絶対値が振動インデックスである評価指数として用いられる。振動インデックスである評価指数は、パワースペクトルから得られたパワーでもあり得る。当該パワーは、パワースペクトルから得られたパワーの積分値であり、パワースペクトル内の最大値であり、最大値と最小値の差でもあり得る。また、振動インデックスは、最大値と最小値の比でもあり、時間的な変動を表す微分値でもあり、基準品との対比におけるパワーの相対値(偏差)や相対比でもあり得る。このような振動インデックスを使うことで、主観評価をその都度行うことなく、主観評価を反映若しくは主観評価と近似した評価を行うことができる。
振動インデックスを求める際に対象となる測定周波数領域は対象となる皮膚外用剤によって異なり、皮膚外用剤の種類毎に設定し得る。また、主観評価の対象(因子)によっても測定周波数領域は変わり得る。例えば、特許文献1で示されたように「肌あたりがなめらかである」とか「肌あたりが良い」とかいった「ふきとり感触」を主観評価として、ふきとり皮膚外用剤の価値判断を行う場合には、本願発明の実施例(表3参照)によれば、184〜220Hz又は160〜184Hz、好ましくは偏回帰係数がより大きな184〜220Hzにおけるパワーの積分値を指標にすればよい。また、「ふきとり感がある」とかいった「ふきとり後感」を主観評価として、価値判断を行う場合には、本願発明の実施例によれば220〜252Hzにおけるパワーの積分値を指標にすればよい。また、「ふきとり感触」と負の関係となる場合では、主成分因子PCA1に対応する4つの周波数領域のすべてを測定周波数領域としてもよく、また因子負荷量が小さい60〜64Hzを含めた連続する領域である0〜104Hzを測定周波数領域としても、連続する0〜132Hzを測定周波数領域とすることもできる。前記の主観評価と異なる主観評価をする場合には、これらとは異なる測定周波数領域であり、あるいは同じ周波数領域であるかも知れない。
皮膚外用剤を評価する場合には、上記方法により予め求められた特定の測定周波数領域を使って評価する方法と、評価の都度ごとに測定周波数領域を特定しながら評価する方法がある。後者の場合には上記方法と同様にして測定周波数領域を特定できる。
予め求められた測定周波数領域を使って皮膚外用剤を評価する場合、1の皮膚外用剤、好ましくは複数の皮膚外用剤について主観評価と対応する測定周波数領域が定められており、当該測定周波数領域において評価に用いられる振動インデックスが求められる。この場合、振動インデックスの算出、例えば時間プロファイルから得られるパワーを評価指数とする場合、時間プロファイルの測定には、測定周波数領域を決定する際に用いられた力の測定方法と、評価する場合に用いられる測定方法が異なってもよい。例えば、測定周波数領域の決定には、上記のように対象物に対して水平方向(塗布方向)の力と垂直方向の力を測定できる装置を用いる一方、実際の評価の際には、それとは異なる測定装置、例えば、摩擦試験機を用いて測定してもよい。主観評価に対応する測定周波数領域を使って振動インデックスが決定されているからである。
皮膚外用剤の評価には、複数の皮膚外用剤全体からみた個々の皮膚外用剤の位置付けを行う場合や、基準品との差を調べる場合がある。例えば前者では、皮膚外用剤全体の平均からのパワー偏差を評価指数として用いればよく、後者では基準品との偏差を評価指数として用いることができる。
振動インデックスは新しい処方設計の指標としても用いることができる。例えば、上記の例では、「肌あたりがなめらかである」とか「肌あたりが良い」とかいった「ふきとり感触」に優れた皮膚外用剤を設計したい場合には、上記の例では、184〜220Hz又は160〜184Hzにおけるパワーの積算値や当該周波数領域におけるパワーの積算値を評価指数として、これを上げるような処方設計を行う。「ふきとり効果がよい」とかいった「ふきとり後感」に優れた皮膚外用剤を設計したい場合には、220〜252Hz又は0〜96Hz若しくは0〜104Hzにおけるパワーの絶対値を評価指数にして、これを上げるような処方設計を行えばよい。もちろん、これら2つの主観評価を上げる場合には、184〜220Hz又は160〜184Hzにおける評価指数(パワーの絶対値)と220〜252Hz又は0〜104Hzにおける評価指数(パワーの絶対値)の双方を上げるような処方設計を行う。一方で0〜104Hzにおいては、負の回帰係数が得られているので、この領域におけるパワーの積算値を下げるような処方設計を行ってもよい。これ以外の主観評価を改善したい場合には、改善したい主観評価と関連性が見られる測定周波数領域を見いだし、この測定周波数領域におけるパワーを指標として処方を設計することで、望まれる主観評価に優れたよい皮膚外用剤を設計できる。
このように振動インデックスという新たな指標を用いることで、従来行われていたようなモニターによる使用テストを行うことなく、主観的な評価に近づきつつなおかつ客観的な評価を行うことができる。
本願発明に係る製造方法は上記設計方法で得られた処方に従って皮膚外用剤を製造する方法である。このとき、上記で得られた振動インデックスを変動させる成分の1又は2以上を配合することで皮膚外用剤を製造できる。振動インデックスを変動させる成分は、上記で得られた振動インデックスを指標にして、当該成分を含む処方で製造した皮膚外用剤(試験品)と当該成分を含まない処方で製造した皮膚外用剤(対照品)で比較することで得られる。このとき振動インデックスを変動させる成分(被検成分)は、振動インデックスを高める成分であり、振動インデックスを低める成分でもあり得る。好ましくは、振動インデックスを高める成分が好ましく、当該成分を配合することで当該振動インデックスに関連した主観評価が高まることが期待される。また、試験品及び対照品は、振動インデックスに影響を与えない成分で被検成分の配合量の差を調整することが望まれるが、試験品及び対照品に用いられる処方は皮膚外用剤として使用し得る処方であれば、極めて基礎的な成分からなる処方でも差し支えない。皮膚外用剤の製法は、通常の皮膚外傷剤の製法は何ら変わるところがなく、前記成分を含めて常法に従って製造できる。
上記説明においては、時間プロファイルの取得後にパワースペクトルに変換することで得られたパワーに基づいて、測定周波数領域の設定や振動インデックスを求めているが、時間プロファイルから得られる位相を指標にして、測定周波数領域を設定し、あるいは振動インデックスを求めることで、皮膚外用剤を評価することもできる。
位相は、時間プロファイルに含まれる波の特性を周波数毎に複素数(a+bi:ここでaは実数、bは虚数を表す)のベクトルで表した際の方向を示す値(角度)であり、arctan(a/b)で求められる。得られた時間プロファイルに対して離散フーリエ変換を行えば、力の時間プロファイルに含まれる波の特性は周波数毎に複素数で表すことができ、当該複素数を2次元ベクトルとして把握した場合には、当該ベクトルの大きさはパワーに相当する。つまり、水平方向の力を測定することで得られた時間プロファイルに含まれる波の特性は、周波数毎のベクトルの大きさ又はベクトルの方向として把握される。従って、パワーの代わりに位相で把握し、上記方法に準じて主成分分析を行うことで主成分得点の高い周波数領域(主成分因子)を求め、当該周波数領域と主観評価を関連づけることで測定周波数領域を求めることができる。そして、評価対象となる皮膚外用剤についても同様に時間プロファイルを取得したのち、周波数間の位相の差などを振動インデックスとして評価することもできる。このようにパワーに基づくだけでなく位相に基づいても振動インデックスを求めることができる。このように、主観評価とパワーに基づく指標若しくは位相に基づく指標と関連づけられる振動インデックスを指標として皮膚外用剤を評価することができる。
〔ふきとり触感と摩擦力の関係について〕
まず、主観評価によるふきとり触感と摩擦力の関係を評価することにした。
(ふきとり触感についての主観評価)
最初に特許文献1で記載された方法と同様にして、pH、粘性、粘度が異なる12種類のふきとり化粧水について主観的な評価を行った。イオン交換水のみを化粧水(化粧水A)とした例も含め、水性成分、油性成分、界面活性剤などの組成を替えることで、pHが4.8〜8.8、粘性が液状、微粘性、乳液状の何れか、粘度が3.2〜2300mPa・Sとなる12種類のふきとり化粧水(化粧水A〜化粧水L)を作製した。
日常的にふきとり化粧水を使用している30名の女性使用者(24〜56歳)に、朝晩1日2回の使用をした後に、表1に示す評価語が列記された評価語表に基づいて、ふきとり化粧水の使用感触(特許文献1におけるシーン1)を評価してもらった。この評価語は特許文献1の表2に記載されているふきとり化粧水の使用実感(S1)と同じ評価語である。実際の評価に際し、女性使用者には、ふきとり化粧水12種類の使用順序及び評価語表に記載された評価語の位置がランダムに並び替えられた評価語表が割り当てられた。各ふきとり化粧水について、評価語ごとに7段階(非常に当てはまらない:評点1、当てはまらない:評点2、やや当てはまらない:評点3、どちらでもない:評点4、やや当てはまる:評点5、当てはまる:評点6、非常に当てはまる:評点7)で評価してもらった。
得られた評価結果に対し、最尤法とプロマックス回転による因子分析を行った。その結果、固有値が1.0以上である3因子を抽出し、その結果を表2に示した。その累積寄与率は66.8%であった。当該結果は、特許文献1で示された使用実感における因子分析における結果(特許文献1における表7)と実施参加者の属性やその手続が異なるのでその結果との一致係数(Tucker's coefficient of congruence)を求めたところ、因子「ふきとり感触」、因子「総合使用感」、因子「ふきとり後感」において、それぞれ0.85以上となって、特許文献1における共分散構造モデルと同一に評価できると確認された。
次に、12種類のふきとり化粧水の因子「ふきとり感触」、因子「ふきとり後感」の因子得点を布置した散布図を図1に示した。図中のAはイオン交換水であるが、「ふきとり感触」の得点が最も低い反面、「ふきとり後感」の得点は高かった。これは、化粧料成分を配合していない純粋な水であることから、ふきとり時に肌とコットンの間で抵抗を強く感じることが、逆に角層を取り除けている印象に繋がっていると考えられる。一方、化粧水Dは突出して粘度が高く、肌とコットンの間の抵抗が少ない反面、角層を取り除いた印象が得られていないと考えられ、因子「ふきとり感触」と因子「ふきとり後感」は基本的に相反するものと考えられた。
(動摩擦係数の測定)
主観評価に用いた12種類のふきとり化粧水について、表面性測定器(新東科学株式会社製:TYPE-14)を用いて、平均動摩擦係数(μK)を測定した。親指の曲率を模したR50mmの人工皮膚ホルダーに、直径30mmの円状にカットした拭き取り用コットン(ピュアタッチコットン:株式会社ナリス化粧品社製:310g/m)を挟み、コットンに化粧水1.5mlを滴下した。このホルダーを測定器のアームにセットし、水平荷重として100g重の分銅を置いた。測定器の移動台には下記で述べる人工皮膚をセットした。移動距離50mm、移動速度3,000mm/minにて往路測定を10回実施し、平均動摩擦係数(μK)を測定した。
図2は測定に用いた人工皮膚の概略図である。50mm×90mm×10mmの平板に皮溝皮丘の紋様を有する人工皮膚を3Dプリンターにより造形した。人工皮膚は、同図(A)に示すような紋様を有し、各文様は、1辺が0.6mmの正方形で、0.15mmの幅の皮溝(断面は底辺がやや狭まったほぼ矩形状である。)及び0.025mmの皮溝深さとなるように造形した。
(主観評価と動摩擦係数の関係)
得られた平均動摩擦係数(μK)と主観評価で得られた「ふきとり感触」の因子得点との相関関係及び平均動摩擦係数(μK)と主観評価で得られた「ふきとり後感」の因子得点との相関関係を求め、その結果を図3に示した。摩擦力(平均動摩擦係数)との関係からも、因子「ふきとり感触」と因子「ふきとり後感」は相反する傾向、すなわち、因子「ふきとり感触」と平均動摩擦係数は負の関係を示し、因子「ふきとり後感」と平均動摩擦係数は正の関係を示した。
〔ふきとり化粧水の振動特性〕
非特許文献1に記載された触運動量計測装置を用いて求められるふきとり動作時における水平方向の力の時間プロファイルからパワースペクトルを求め、12種類のふきとり化粧水全体の振動特性を調べた。
(時間プロファイルの計測)
主観評価実験に参加した女性の中から10名(21〜47歳)を選び、主観評価に用いた12種類のふきとり化粧水を対象にして、各人のふきとり動作時における時間プロファイルを計測した。
図4は時間プロファイルの計測に用いた触運動量計測装置の概略構成図である。触運動量計測装置は、摩擦した際の垂直方向及び水平方向の力をそれぞれ押込み反力及び摩擦力として計測する。このため、当該計測装置は、水平方向の力を捉える1対の垂直振動板が架台に対して平行に、水平方向の力を捉える1対の水平振動板が架台に対して垂直方向に備える。1対の水平振動板の一方側の側端部間には人工皮膚が配置される設置台が架台と平行に配置され、他端側の側端部には、それぞれ架台と平行に垂直振動板が片持ち状に備えられている。垂直振動板及び水平振動板にはそれぞれの振動板に加わった力を測定する2つずつのロードセルがそれぞれ配置されている。
上記で得られた人工皮膚を5cm×11cmサイズのアルミ板に貼り付け、設置台上にセットした。実験参加者はふきとり化粧水1.5mlを含ませたコットン(前記と同じ)を利き手にとり、人工皮膚を手前に向かって約100gfの押込み力で、約50mm/sの速度で10回ふきとった。なお、実験参加者がふきとり方法を習熟するため、実験開始前に練習試料でふきとり方法の教示を行った。
計測データのサンプリング周波数を1kHzとし、雑音除去のため6次のローパスフィルタ(カットオフ300Hz)を適用した。また、摩擦時の振動成分から特徴量の抽出を行うため、ウェーブレット解析により低域周波数成分除去(coif基底、カットオフ約8Hz)を実施した。
(振動特性の解析)
計測した摩擦力(水平方向の力)の時間プロファイルにWelch法(窓幅0.5s、重複率0.5)を適用し、パワースペクトル密度を推定した。その際、摩擦力を検知したポイントから300msec後を開始点とし、1000msec分を対象とした。解析では、主要な触覚受容器の感度を考慮して0〜252Hzの振動を解析領域とし、4Hz刻みで63個に分割した。同一試料において10回計測データの平均処理を行い、各人におけるパワーとした。
ふきとり化粧水ごとの差異を明確にするため、ふきとり化粧水ごとに全ふきとり化粧水(12種類×10人×10回)のパワーの平均からの偏差を求めた。この結果に対して、因子分析を適用し振動成分に関する特徴量の抽出を行った。因子分析では、主成分分析及びバリマックス回転を採用し、固有値が1.0以上である8因子を抽出した。抽出された8つの主成分因子(PCA1〜PCA8)によって説明できたとされる累積寄与率は76.6%であった。そして、8つの主成分因子から説明づけられる基底関数(F1〜F8)を図6に示した。基底関数は、12種類のふきとり化粧水全体の振動特性を示している。
(主成分因子とふきとり触感の関係)
次に得られた8つの主成分因子とふきとり触感との関連性について検討した。8つの主成分因子は化粧水全体の振動特性を表すものであるので、これらの主成分因子とふきとり触感の間で何らかの関係があると考えられた。そこで、8つの主成分因子における主成分得点とふきとり触感の関係を、主観評価で得られた因子「ふきとり感触」及び因子「ふきとり後感」の各因子得点を目的変数、各主成分因子の主成分得点を説明変数とした重回帰分析を実施した。ここでは、個々のふきとり化粧水の主観評価との関連性を求めるために、各ふきとり化粧水についての主成分得点と、各ふきとり化粧水についての因子得点が用いられた。重回帰分析は、変数減少法を用いて変数選択を行った。この結果を表3に示した。なお、表3においてかっこ書きで示された周波数領域は主成分因子に対応した周波数領域ではあるが、主観評価とは関係しなかった周波数領域を示している。
表3から分かるように、「ふきとり感触」は主成分因子PCA1、PCA3、PCA5と高い相関があり、「ふきとり後感」は主成分因子PCA1、PCA4と高い相関があった。これらの主成分因子のうちPCA1では「ふきとり感触」との間の標準偏回帰係数は負の値を示し、「ふきとり後感」との間のそれは正の値を示した。このことは、「ふきとり感触」と「ふきとり後感」とでは相反する傾向があり、平均動摩擦係数と同様の傾向を示した。一方、主成分因子PCA3、PCA5は「ふきとり感触」との間に、主成分因子PCA4は「ふきとり後感」との間で共に正の値を示したことから、これらは互いに独立した関係にあることが理解された。また、ふきとり化粧水においてはパワーを指標とすることで主観評価と関連づけられることも分かった。
この結果によると、「ふきとり感触」と「ふきとり後感」は相反して成立するものではなく、それらと正の関係性が認められた主成分因子PCA3又はPCA5の寄与を高めることで「ふきとり感触」を、またそれらと正の関係性が認められた主成分因子PCA4による寄与を高めることで「ふきとり後感」というこれまでの平均動摩擦係数の観点からでは両立し得なかったふきとり触感を高めた化粧料が得られることが示唆される。つまり主成分因子PCA3と関連する特徴的な周波数領域である184〜220Hz又は主成分因子PCA5と関連する特徴的な周波数領域である160〜184Hzにおける振動インデックス、及び主成分因子PCA4と関連する特徴的な周波数領域である220〜252Hzにおける振動インデックスを大きくすることで、「ふきとり感触」と「ふきとり後感」の双方を高めることができると考えられる。
〔試作したふきとり化粧水の評価〕
次に表4に示す高分子成分が異なる4種類のふきとり化粧水を試作した。試作した化粧水4種類と、基準品として実施例1において「ふきとり感触」と「ふきとり後感」の評価が相当ともに高かったふきとり化粧水Bについて、実施例1と同様にして水平方向の力を測定し、その時間プロファイルからパワーを算出した。そして、ふきとり化粧水Bのパワーを基準として、各試作化粧水について各偏差を求めた。このパワー偏差について、160〜220Hzと220〜252Hzの周波数領域を対象に、それぞれパワーの偏差の積算値を求め、これを振動インデックスとした。そして、各周波数領域のパワーの偏差の積算値を2軸の因子とし、各ふきとり化粧水をプロットした散布図を図7に示した。原点(0,0)は基準品の位置を示している(図示せず)。試作品1や試作品4では、試作品2や3に比べて「ふきとり後感」に対応する振動インデックスが大きく、高分子成分Aや高分子成分Dを配合することで「ふきとり後感」を高められることが期待される。一方、試作品2や試作品3では、「ふきとり感触」が対応する振動インデックスは高い反面、「ふきとり後感」の振動インデックスは小さく、高分子成分Bや高分子成分Cはふきとり触感に関しては望ましくない影響を与えると考えられる。
このように主観評価と関係の強い周波数領域のパワー積算値を指標とすることでふきとり後感やふきとり感触といったふきとり触感に関して客観的な評価を得ることができる。
本願発明によると、ふきとり化粧水のように肌に塗布する皮膚外用剤について新たな評価法並びに新しい皮膚外用剤の設計指標が提供される。

Claims (29)

  1. 肌に塗布される皮膚外用剤の評価方法であって、
    皮膚外用剤を対象物に塗布した際に観測される振動インデックスを指標とする評価方法。
  2. 前記振動インデックスは、皮膚外用剤の肌への塗布により得られる主観評価に関連づけられた請求項1に記載の評価方法。
  3. 前記振動インデックスは、特定された1又は2以上の測定周波数領域における評価指数である請求項1又は2に記載の評価方法。
  4. 前記評価指数は、前記対象物に対して働く水平方向の力から求められる値である請求項3に記載の評価方法。
  5. 前記評価指数は、前記測定周波数領域における前記対象物に対して働く水平方向の力から求められるパワーに基づく値である請求項3に記載の評価方法。
  6. 前記評価指数は、前記測定周波数領域における前記対象物に対して働く水平方向の力から算出される一定時間内のパワーの積算値である請求項3に記載の評価方法。
  7. 前記測定周波数領域は、
    同一種類である複数の皮膚外用剤を対象物に塗布した際に対象物に対して働く水平方向の力の時間プロファイルを測定するステップと、
    当該時間プロファイルから、前記皮膚外用剤の肌への塗布により得られる主観評価と関連づけられる特徴的な周波数領域を決定するステップと、
    を含む方法によって定められる請求項3〜6の何れか1項に記載の評価方法。
  8. 前記特徴的な周波数領域は、前記時間プロファイルを特徴づける主成分因子から決定される請求項7に記載の評価方法。
  9. 前記測定周波数領域は、前記特徴的な周波数領域と同一の周波数領域であるか、前記特徴的な周波数領域を越えない範囲で、連続的に設定された周波数領域である請求項7又は8に記載の評価方法。
  10. 皮膚外用剤を直接的又は間接的に対象物に塗布して前記時間プロファイルを測定する請求項7〜9の何れか1項に記載の評価方法。
  11. 対象物に塗布した際、特定された1又は2以上の測定周波数領域における対象物に対して働く水平方向の力から算出されるパワーに基づく値を指標として、皮膚外用剤を評価することを特徴とする肌に塗布される皮膚外用剤の評価方法。
  12. 前記測定周波数領域は、
    同一種類である複数の皮膚外用剤を対象物に塗布した際に対象物に対して働く水平方向の力の時間プロファイルを測定するステップと、
    当該時間プロファイルから、前記皮膚外用剤の肌への塗布により得られる主観評価と関連づけられる特徴的な周波数領域を決定するステップと、
    を含む方法によって定められる請求項11に記載の評価方法。
  13. 前記特徴的な周波数領域は、前記時間プロファイルを特徴づける主成分因子から決定される請求項12に記載の評価方法。
  14. 前記測定周波数領域は、前記特徴的な周波数領域と同一の周波数領域であるか、前記特徴的な周波数領域を越えない範囲で、連続的に設定された周波数領域である請求項12又は13に記載の評価方法。
  15. 皮膚外用剤を直接的又は間接的に対象物に塗布して前記時間プロファイルを測定する請求項12〜14の何れか1項に記載の評価方法。
  16. 前記測定周波数領域は、160〜184Hz及び/又は184〜220Hzの周波数領域であるか、220〜252Hzの周波数領域であるか、又は両者の周波数領域である請求項3〜6及び11の何れか1項に記載の評価方法。
  17. 前記主観評価により得られる評価は、ふきとりに関する評価である請求項2〜16の何れか1項に記載の評価方法。
  18. 前記皮膚外用剤は、クレンジングクリーム、クレンジングオイル、ふきとり化粧水の何れかである請求項1〜17の何れか1項に記載の評価方法。
  19. 前記皮膚外用剤は直接的又は間接的に肌に塗布される請求項1〜18の何れか1項に記載の評価方法。
  20. 対象物に塗布した際、特定された1又は2以上の測定周波数領域における対象物に対して働く水平方向の力から求められる振動インデックスを指標として、皮膚外用剤の処方を設計することを特徴とする肌に塗布される皮膚外用剤の設計方法。
  21. 前記振動インデックスは、対象物に対して働く水平方向の力から求められるパワーに基づく値を指標として、皮膚外用剤の処方を設計することを特徴とする請求項20に記載の皮膚外用剤の設計方法。
  22. 前記測定周波数領域における前記対象物に対して働く水平方向の力から算出される一定時間内のパワーの積算値を指標とする請求項20に記載の設計方法。
  23. 前記測定周波数領域は、
    同一種類である複数の皮膚外用剤を対象物に塗布した際に対象物に対して働く水平方向の力の時間プロファイルを測定するステップと、
    当該時間プロファイルから、前記皮膚外用剤の肌への塗布により得られる主観評価と関連づけられる特徴的な周波数領域を決定するステップと、
    を含む方法によって定められる請求項20〜22の何れか1項に記載の設計方法。
  24. 前記特徴的な周波数領域は、前記時間プロファイルを特徴づける主成分因子から決定される請求項23に記載の設計方法。
  25. 前記測定周波数領域は、前記特徴的な周波数領域と同一の周波数領域であるか、前記特徴的な周波数領域を越えない範囲で、連続的に設定された周波数領域である請求項23又は24に記載の設計方法。
  26. 前記測定周波数領域は、160〜184Hz及び/又は184〜220Hzの周波数領域であるか、220〜252Hzの周波数領域であるか、又は両者の周波数領域である請求項20〜22の何れか1項に記載の設計方法。
  27. 請求項20〜26の何れか1項に記載の設計方法より得られた処方により、皮膚外用剤を製造する方法。
  28. 請求項1〜19の何れか1項に記載の評価方法に従って皮膚外用剤を評価した場合に振動インデックスを変動させる成分を配合して皮膚外用剤を製造する方法。
  29. 振動インデックスを変動させる成分であるかどうかを判断する方法であって、
    被検成分を配合して製造した試験用皮膚外用剤を請求項1〜19の何れか1項に記載の評価方法で評価した場合に得られる振動インデックスと、
    被検成分を配合せずに製造した対照用皮膚外用剤を同方法で評価した場合に得られる振動インデックスを対比して判断する方法。
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