JP2019095263A - ヒトの肌又は化粧料の評価方法 - Google Patents

ヒトの肌又は化粧料の評価方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019095263A
JP2019095263A JP2017223835A JP2017223835A JP2019095263A JP 2019095263 A JP2019095263 A JP 2019095263A JP 2017223835 A JP2017223835 A JP 2017223835A JP 2017223835 A JP2017223835 A JP 2017223835A JP 2019095263 A JP2019095263 A JP 2019095263A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
contact
vibration
human skin
cosmetics
finger
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017223835A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6968671B2 (ja
Inventor
田中 由浩
Yoshihiro Tanaka
由浩 田中
崇訓 五十嵐
Takanori Igarashi
崇訓 五十嵐
雅俊 橋本
Masatoshi Hashimoto
雅俊 橋本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2017223835A priority Critical patent/JP6968671B2/ja
Publication of JP2019095263A publication Critical patent/JP2019095263A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6968671B2 publication Critical patent/JP6968671B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)

Abstract

【課題】ヒトの肌又はヒトの肌を模して作成された面である対象面の状態に基づいてヒトの肌又は化粧料を定量評価する技術に関する。【解決手段】ヒトの肌又は化粧料の評価方法は、対象面に面接触可能な接触面を表面の一部に有する接触子と、該接触子における、該接触面から振動伝搬部位を介して離間した部位に設けられた振動センサとを用いて、対象面に該接触面を接触させて該接触子を該対象面に沿って摺動させる工程(S01)と、前記摺動時に前記振動センサで検出される振動情報を取得する情報取得工程(S03)と、前記取得された振動情報に基づいて前記対象面の状態を評価する評価工程(S05)と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、ヒトの肌又はヒトの肌を模して作成された面の触感、性状といった状態を評価する技術に関する。
特許文献1には、人の指が肌或いは物質に触れたときの感触を定量的に解析して評価する装置が開示されている。本装置は、被測定物の所定面に所定圧力を負荷して摺動させたときの接触子に加わる摩擦力及び加速度を測定し、その接触子が被測定物の所定面上を摺動したときの被測定物の所定面に作用する摩擦力及び加速度を測定する。これにより、モノに触れる指先の感触である押圧特性と、指で触られた肌の感触である受圧特性を同時に測定及び表示することができる。
非特許文献1には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルムを受感材として用いた皮膚粗さ計測用センサのプローブ部を用いて皮膚表面を測定することで、表面形態の異なる皮膚を識別可能であることが開示されている。本プローブ部は、円筒状のアルミニウムパイプをスポンジゴムで覆い、その上にPVDFフィルムを設け、それをセロファンフィルム及びガーゼで覆った構造を持つ。
非特許文献2には、力覚呈示装置のグリップ先端に人工指を取り付け、グリップ位置を自動制御して、実物体に対して触知覚操作を行ったときの目標位置と実際位置との差で指先が物体に接触しているか否か、指先にかかる力の方向などを推定することが開示されている。
非特許文献3には、PVDFフィルムを受感材として用いた示指装着型センサを皮膚表面上で滑らせ、PVDF出力とひずみゲージ出力を計測することで、皮膚表面の粗さ及び硬さを評価することが開示されている。本センサは、ステンレススチールをベースとし、スポンジゴム、PVDFフィルム、セロファンフィルムを順に配置し、最外部に人間の指紋を模したガーゼを貼り付けた構造を有する。
非特許文献4には、PVDFフィルムを用いた皮膚振動計測センサが開示されている。このセンサは測定者の指に装着されて用いられ、皮膚を伝搬した振動をPVDFフィルムで検出することで、対象との力学的相互作用により皮膚で生じた振動が計測される。
特開2016−38317号公報
田中真美,"触覚センサの開発(感性計測と医療への応用)",日本AEM学会誌,Vol.7,No.4(1999),p.359−p.366 脇田航他,"人工指による触知覚解析に基づく硬軟感および摩擦感推定法",IEEJ Transactions on Electronics,Information and Systems, Vol.136 No.8 2016, pp.1085−1091 田中真美他,"皮膚性状計測用センサの開発研究",日本機械学会論文集(C編),69巻685号,2003−9,p.157−164 田中由浩,他3名,"PVDFフィルムを用いたウェアラブル触覚センサによる皮膚振動モニタに関する基礎検討",信学技報114(483),63−66,2015−3−2,一般社団法人電子情報通信学会
しかしながら、上述の各手法は対象面の表面性状又は触感を定量評価するうえで改善の余地をそれぞれ残している。
本発明は、ヒトの肌又はヒトの肌を模して作成された面である対象面の状態に基づいてヒトの肌又は化粧料を定量評価する技術に関する。
本発明の態様では、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
本発明の態様は、ヒトの肌又は化粧料の評価方法に関する。本評価方法は、ヒトの肌又はヒトの肌を模して作成された面である対象面に面接触可能な接触面を表面の一部に有する接触子と、該接触子における、該接触面から振動伝搬部位を介して離間した部位に設けられた振動センサとを用いて、該対象面に該接触面を接触させて該接触子を該対象面に沿って摺動させる工程と、前記摺動時に前記振動センサで検出される振動情報を取得する情報取得工程と、前記取得された振動情報に基づいて前記対象面の状態を評価する評価工程と、を含む。
なお、本発明の別態様は、例えば、上述のヒトの肌又は化粧料の評価方法に用いられるヒトの肌又は化粧料の評価装置である。また、他の態様は、上述のヒトの肌又は化粧料の評価方法を実行する装置(情報処理装置、コンピュータ)に関するものであり、その評価方法をコンピュータに実行させるプログラムに関するものであり、このようなプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体に関するものである。この記録媒体は、非一時的な有形の媒体を含む。
上記態様によれば、ヒトの肌又はヒトの肌を模して作成された面である対象面の状態に基づいてヒトの肌又は化粧料を定量評価する技術を提供することができる。
第一実施形態に係るヒトの肌又は化粧料の評価方法を示すフローチャートである。 第二実施形態に係る化粧料評価方法を示すフローチャートである。 評価装置の主な構成を概念的に示すブロック図である。 プローブの構成を示す図である。 プローブの利用例を示す図である。 変形例に係る化粧料評価方法を示すフローチャートである。 変形例に係るプローブの構成を示す図である。 図8(a)は細かく浅い凹溝群が設けられている指モデル4の振動情報を示す図であり、図8(b)は凹溝群が設けられていない指モデル5の振動情報を示す図である。 図9(a)は細かく浅い凹溝群が設けられている指モデル4の振動情報を示す図であり、図9(b)は粗く浅い凹溝群が設けられている指モデル2の振動情報を示す図である。 図10(a)は相対的に剛性の小さい指モデル5の振動情報を示す図であり、図10(b)は相対的に剛性の大きい指モデル6の振動情報を示す図である。 図11(a)は指モデル(接触子)を用いて得られた振動情報を示す図であり、図11(b)は人差し指を用いて得られた振動情報を示す図である。 皮膚に塗布された化粧料の違いに伴う振動情報の違いを示す図である。
以下、本発明の好ましい実施形態の例(以降、本実施形態と表記する)について説明する。なお、以下に挙げる各実施形態はそれぞれ例示であり、本発明は以下の各実施形態の構成に限定されない。
[第一実施形態]
第一実施形態に係るヒトの肌又は化粧料の評価方法(以下、本方法と表記する)について主に図1を用いて説明する。図1は、第一実施形態に係るヒトの肌又は化粧料の評価方法を示すフローチャートである。
第一実施形態で評価される化粧料には、化粧水、乳液や日焼け止めなどのようなベース化粧料(スキンケア品を含む)、洗浄料、ファンデーションのようなメイクアップ化粧料など、ヒトの皮膚に塗布、噴霧、パックされる様々な化粧料が含まれる。
本方法は、接触子とその接触子に設けられた振動センサとを用いる。
接触子は、対象面(被評価面)と接触させるための接触面を表面の一部に有している。接触子は担体と表記することもできる。接触子の形状は、対象面と面接触可能な接触面を表面の一部に有していれば、棒状、板状など任意である。接触面は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。また、接触子は、ユーザビリティ性を高めるために持ち運び可能であることが望ましいが、据え付けられていてもよい。
当該対象面は、ヒトの肌の表面又はヒトの肌を模して作成された面である。即ち、ヒトの皮膚表面が対象面とされてもよいし、バイオスキンといったヒトの肌を模して作成された物の表面が対象面とされてもよい。当該対象面は、後述の摺動工程を実行する際に化粧料が塗布された状態となっていてもよいし、何も塗られていない状態(そのときには内部に浸透するなどして対象面上には何も存在していない状態を含む)となっていてもよい。但し、本方法の評価対象がヒトの肌である場合には、言うまでもなく、当該対象面はヒトの肌の表面となる。
振動センサは、接触子におけるその接触面から振動伝搬部位を介して離間した部位に設けられている。接触子が棒状体である場合には、振動センサは、接触子の軸方向に接触面から離間していてもよいし、接触面から接触子の内部方向に離間していてもよいし、接触面から周回方向に離間していてもよい。また、接触子が板状体である場合には、振動センサは、接触面に沿って接触面から離間していてもよいし、厚み方向に接触面から離間していてもよい。もちろん、複数の振動センサが接触子に設けられており、各振動センサがそれぞれ接触面から離間した位置に設けられていてもよい。
振動センサは、接触面から振動伝搬部位を介して伝搬される振動を検出する。振動センサは、振動を検出可能であれば、その具体的構成は限定されない。振動センサは、例えば、圧電体、ひずみゲージ、加速度センサなどで実現可能である。振動センサは、振動伝搬部位を介して伝搬される振動を検出するため、検出領域の広いシート状又はフィルム状であることが好ましい。
本方法は、図1に示されるように、このような接触子及び振動センサを用いて対象面に当該接触子の接触面を接触させて当該接触子を対象面に沿って摺動する工程(S01)と、この摺動時に振動センサで検出される振動情報を取得する工程(S03)と、取得された振動情報に基づいて対象面の状態を評価する工程(S05)とを含む。
工程(S01)では、人力により接触子を摺動させてもよいし、アクチュエータ等により自動で(電気的に)接触子を摺動させてもよい。
工程(S03)における「振動センサで検出される振動情報」とは、振動センサで検出された振動に関する情報又は検出された振動に基づく情報であり、工程(S03)で取得される振動情報の形態については何ら限定されない。工程(S03)で取得される振動情報は、振動センサの出力から得られる振動波形データ(振動時系列データ)であってもよいし、そのような振動波形データに対して周波数解析などの処理を施して得られる振動パワースペクトルデータであってもよい。また、工程(S03)で取得される振動情報は、そのような振動に関するデータから抽出される振動の特徴情報であってもよいし、振動と対象面の表面性状との相関から得られる表面性状に関する情報や振動と触感との相関関係から得られる触感に関する情報であってもよい。
工程(S03)は、例えば、後述の評価装置1のようなデバイス又はコンピュータにより実行される。
工程(S05)の具体的な評価手法については、振動情報に基づく対象面の状態評価であれば、特に限定されない。例えば、ざらざら、すべすべ、しっとりといった様々な触感又は表面性状に対応する振動情報を予め取得しておき、その振動情報と対象面から得られた振動情報との比較により対象面の状態(例えば、触感又は表面性状)を相対的に評価することができる。また、或る化粧料を利用している被験者の肌表面を対象面としてその対象面から取得された振動情報と好きな歌手や女優などの有名人の肌から取得された振動情報とを比較することで、被験者の肌状態をその有名人との触感の近さで評価することもできる。
本方法の評価対象がヒトの肌である場合(工程(S07);NO)、工程(S05)において対象面としてのヒトの肌の状態が評価され、本方法は終了する。
この場合、工程(S05)は、後述の評価装置1のようなデバイス又はコンピュータにより実行されてもよいし、人により行われてもよい。前者の場合、例えば、すべすべ度、しっとり度などのような肌の触感の定量情報、きめ細かさ、粗さといった肌の表面性状の定量情報などが出力される。後者の場合、例えば、対象面に関する振動情報と共に、評価者がその振動情報と比較すべき他の情報がデバイス又はコンピュータから出力される。比較すべき他の情報は予め印刷媒体などに出力されていてもよい。
また、評価工程において、得られた振動情報を、例えばコンピュータにスピーカなどをつないで音として出力したり、バイブレータをつないで振動情報として出力することで、人の聴覚や触覚を介して評価することもできる。
本方法の評価対象が化粧料である場合(工程(S07);YES)、工程(S05)では、対象面としてのヒトの肌又はヒトの肌を模して作成された面の状態が評価され、その結果に基づいて、工程(S09)において、対象面に適用された化粧料が評価される。また、この場合、工程(S01)の実行前(直前)に対象面に対象化粧料が塗布されてもよいし、工程(S01)の実行時には対象面下に浸透し対象面上には対象化粧料が存在しない状態となるように、本方法の実行前に対象面に対象化粧料が塗布されてもよい。また、数か月、数週間、数日といった所定期間、継続的に対象面に対象化粧料が塗布されてもよい。
工程(S09)についても、後述の評価装置1のようなデバイス又はコンピュータにより実行されてもよいし、人により行われてもよい。前者の場合、例えば、上述のような対象面の触感又は表面性状の定量情報に基づいて、化粧料の良し悪し、化粧料の適性度合、化粧料の触感などデバイス等により実行された評価の結果を示す情報が出力される。後者の場合、例えば、工程(S05)で出力された対象面の状態情報に基づいて、評価者が化粧料の適性度合などを評価してもよい。
上述したとおり、第一実施形態では、接触子の接触面とヒトの肌の表面又はヒトの肌を模して作成された面である対象面とを面接触させた状態で接触子を対象面に沿って摺動させることで、接触面から振動伝搬部位を介して伝搬される振動が振動センサにより検出され、その検出された振動の情報に基づいて対象面の状態が評価される。
これにより、対象面がヒトの肌の表面とされている場合には、ヒトの肌そのものを評価することもできるし、対象面(ヒトの肌表面)の状態の評価結果に基づいて、そのヒトの肌に適用された化粧料を評価することもできる。また、対象面がヒトの肌を模して作成された面とされている場合には、対象面の状態の評価結果に基づいて、対象面に適用された化粧料を評価することができる。
第一実施形態で取得される振動情報は、振動センサに直接的に加えられる力よりは、接触子(振動伝搬部位)を伝わって振動センサに間接的に及ぶ力を主な成分とする情報である。上述の特許文献及び非特許文献で開示される手法のように、振動センサに直接的に加えられる力の振動情報では、接触子を対象面に押し付ける力や摺動の早さなどに依存して誤差が生じ易いところ、第一実施形態によれば、そのような誤差を抑制し、対象面の状態(表面性状や触感等)を高精度に示す振動情報を得ることができる。
また、ヒトの触感では、対象に触れた際の手指の変形に伴い伝搬する振動を知覚に利用している可能性が指摘されている。この知見によれば、第一実施形態で得られる振動情報は、ヒトの触感に対応する情報ということもできる。このため、第一実施形態によれば、対象面に触れた際に知覚される触感に対応する指標で、対象面の状態を評価し、ひいては、ヒトの肌又は対象面に適用された化粧料を高精度に評価できる。
[第二実施形態]
次に、第二実施形態に係る化粧料評価方法について図2を用いて詳述する。図2は、第二実施形態に係る化粧料評価方法を示すフローチャートである。
第二実施形態に係る化粧料評価方法(以降、本評価方法と表記する場合もある)は、上述した接触子及び振動センサを備える評価装置を用いて実行され、図2に示されるように、工程(S11)から工程(S17)を含む。
工程(S11)は、対象面に評価対象となる化粧料(対象化粧料)を塗布する工程である。ここでは、対象面としてヒトの肌の表面(例えば、頬)を用いる例が示される。但し、対象面は、バイオスキンなどのようなヒトの肌を模して作成された面であってもよい。また、対象化粧料は、ベース化粧料、メイクアップ化粧料など任意である。例えば、工程(S11)では被験者の頬に対象化粧料が塗布される。
工程(S12)は、評価装置を用いる工程である。具体的には、工程(S12)では、対象面に接触子の接触面を接触させて接触子を対象面に沿って摺動させる。
接触子の接触面を対象面に押し付ける力及び摺動速度は、肌の触感を得るために人が肌に触れる際の力及び速度に近いことが好ましい。これにより、ヒトの触感に近似する指標で評価することができるからである。本評価方法では、ヒトの手指に模した接触子をヒトの手指と手指の間に固定した状態で対象面に接触させかつ摺動させることで、人が肌に触れる際の押し付け力及び摺動速度を実現する。接触子の具体的な装着形態などは後述する。
工程(S13)は、工程(S12)の摺動時に振動センサで検出される振動情報を取得する工程である。本評価方法では、振動センサによる検出値がコンピュータで逐次受信され、検出値の時系列データが振動情報としてコンピュータで格納される。このとき、コンピュータでは、検出値と時刻情報とが関連付けられて格納されてもよい。
工程(S14)では、工程(S12)において用いた接触子を交換するか否かが判定される。本評価方法では、交換用に複数種の接触子が準備される。各接触子は一部又は全部の性状が相互に異なる。
ここでの「性状」とは、接触子の形状、大きさ、剛性(可撓性)、接触面の表面形状(例えば、指紋の形状や深さなど)などである。一部の性状が異なる接触子では、少なくとも接触面若しくは振動伝搬部位の一方又は両方の性状が異なることが好ましい。
例えば、工程(S12)において未だ用いられていない接触子が残っていれば、接触子を交換すると判定してもよい。もちろん、準備された複数種の接触子のうちの一部の接触子のみが利用されてもよい。
工程(S15)は、工程(S14)での判定結果に基づいて接触子を交換する工程である。本評価方法では、振動センサが接触子に対して着脱可能な構造を有しているため、接触子全体が交換される。但し、工程(S15)では接触子の一部が交換されてもよい。即ち、工程(S15)は、接触子の一部又は全部を異なる性状の接触子に交換する交換工程と呼ぶことができる。
また、本評価方法では、手動で接触子の交換作業が行われるが、接触子が自動で交換されてもよい。
以降、交換された接触子を用いて工程(S12)及び工程(S13)が実行され、性状の異なる接触子ごとに振動情報が取得される。
工程(S16)は、工程(S13)で取得された振動情報に基づいて対象面(ヒトの肌の表面)の状態を評価する工程である。具体的には、交換する接触子がなくなると(S14;NO)、工程(S13)で取得された接触子ごとの振動情報に基づいて対象面の状態が評価される(S16)。工程(S16)では、例えば、接触子ごとに、粗い、細かい、滑らかといった表面性状の程度が評価されてもよいし、すべすべ、しっとりといった触感の程度が評価されてもよい。
工程(S17)は、工程(S16)での評価結果に基づいて、対象化粧料(共通の化粧料)を評価する工程である。工程(S17)では、例えば、化粧料の良し悪し、化粧料の適性度合などが評価される。
本評価方法では、例えば、年齢層、性別などのヒトの属性ごとにその属性の手指の性状に対応する複数種の接触子を用いることができる。男性と女性或いは若年層と高齢層とでは、手指の剛性や大きさなどが異なるため、男性の手指に対応する剛性の接触子及び女性の手指に対応する剛性の接触子、或いは、10代の手指に対応する剛性の接触子及び60代の手指に対応する剛性の接触子を準備することができる。
このような複数種の接触子を用いてそれぞれ得られた振動情報は、ヒトの属性ごとの触感に対応する振動情報ということができる。このため、接触子ごとの振動情報を比較して共通の化粧料を評価することで、対象面に対する触感がヒトの属性ごとに差が出るのかといった評価をすることができる。ヒトの属性ごとの差が小さくかつ振動情報が好ましい触感を示している場合には、対象化粧料は万人受けすると評価することができる。
このような作用効果は、ヒトの属性ごとの手指の性状に適合した接触子が準備できなかったとしても得ることができる。例えば、ヒトの手指に相当する剛性範囲内で相互に異なる剛性をそれぞれ有する接触子が用いられてもよい。
次に、第一実施形態及び第二実施形態で用いられる評価装置について図3、図4、及び図5を用いて説明する。図3は、評価装置1の主な構成を概念的に示すブロック図である。図4は、プローブ2の構成を示す図である。図5は、プローブ2の利用例を示す図である。
評価装置1は、ヒトの肌又は化粧料を評価する装置であり、図2に示されるように、主な構成として、プローブ2、振動測定装置4、及び出力装置5を有する。
振動測定装置4は、プローブ2の振動センサ(後述の圧電フィルム233)からの出力を受け、その出力に基づいて振動情報を生成する。振動測定装置4により生成される振動情報は、振動センサ(圧電フィルム233)で検出された振動に関する情報又は検出された振動に基づく情報であり、「振動センサで検出される振動情報」として上述したとおりである。
振動測定装置4は、振動センサからの出力に基づいて振動情報を生成することができれば、その具体的な測定原理や内部構成は限定されない。例えば、振動測定装置4は、振動センサからの出力線と接続されており、各種ノイズを除去するフィルタ(バンドパスフィルタ等)、増幅器、AD変換器などを有していてもよい。振動測定装置4は、例えば、オシロスコープやデータロガー等と呼ばれる測定機器であってもよい。
出力装置5は、振動測定装置4により生成された振動情報を出力する。出力装置5は、振動情報を何らかの形で出力することができれば、その出力形態等は限定されない。例えば、出力装置5は、オシロスコープの表示部、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイのような表示装置、プリンタなどである。
振動測定装置4及び出力装置5の両方又は出力装置5は、振動センサ(圧電フィルム233)で検出される振動情報に基づいて対象面の表面性状又は触感に関する情報を出力する出力処理部に相当する。
また、出力装置として、スピーカなどの音響出力手段、バイブレータを備えた起振手段などを用いることもでき、このような装置を用いた場合は、人の聴覚や触覚を介して振動情報の評価などをする。
プローブ2は、図3に示されるように、接触子21、センサ部23、接触子操作部25等を有する。
接触子21は、対象面に面接触可能な接触面211を表面の一部に有しており、接触面211と振動センサ(後述の圧電フィルム233)との間に振動伝搬部位213を有している。
接触子21は、図3に例示されるように、ヒトの手指を模した形状を有していることが望ましい。但し、接触子21の形状はヒトの手指の形状に近似しなくとも、円柱状、円錐状、角柱状などのように棒状であればよく、好ましくは、先細りの形状、即ち先端の断面半径が根元のそれよりも小さくなっている形状を有していることが好ましい。
また、接触面211には、ヒトの手指の指紋を模した指紋パターンが形成されていることが好ましい。これにより、ヒトの触感に影響する振動に近似する振動の情報を得ることができるからである。但し、接触面211に設けられる指紋パターンは、二以上の凹溝を有していればよく、その粗さ及び深さについては任意であり、凹溝が連なり形成される凹溝線についても指紋のように円弧状でなくても直線状をなしていればよい。
また、接触子21は、少なくとも接触面211又は振動伝搬部位213のいずれか一方又は両方がヒトの手指を模した可撓性を有することが好ましい。例えば、接触面211又は振動伝搬部位213のいずれか一方又は両方は、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂などの可撓性を有する軟質樹脂材料で形成される。もちろん、接触子21における接触面211及び振動伝搬部位213以外の部位もそのような可撓性を有する素材で形成されてもよいし、接触子21の全部がそのような素材で形成されてもよい。接触子21がこのようにヒトの手指に模した可撓性を有することで、ヒトの触感に対応する振動情報を得ることができる。
接触子21の基端部(模擬した手指の根元側の端部)には接触子操作部25が設けられている。接触子操作部25は、接触子21の基端部から軸方向に延設されている。図4に例示されるとおり、プローブ2が手指と手指との間に挟んで利用される場合、接触子操作部25が手の甲と当接することで、プローブを手指間により強く固定することができる。
図4の例では、接触面211が手の平側に配置され、接触子操作部25が手の甲に当接するように、操作者における人差し指と中指との間にプローブ2を挟み、プローブ2は人差し指と中指と共に、面ファスナ(マジックテープ(登録商標)等)を有する締結ベルト27で固定されている。
このようにしてプローブ2を手指と手指との間に固定した状態で、操作者が対象面としての被験者の頬をそれら手指で触感を得るべく撫でることで、操作者がその頬から触感を得る際の押し付け力及び摺動速度でプローブ2を摺動させることができ、触感に対応する振動情報を高精度に得ることができる。
接触子21には更にセンサ部23が設けられている。具体的には、センサ部23が、接触子21における接触面211と重ならない位置に着脱可能に巻装されている。
センサ部23は、振動センサとして圧電フィルム233を有している。例えば、圧電フィルムにはPVDFフィルムが用いられる。圧電フィルム233には出力線239が接続されており、出力線239の他端は振動測定装置4に接続されている。また、圧電フィルム233は、セロファンフィルムのようなカバーフィルム235で被覆され、保護されている。
カバーフィルム235で覆われた圧電フィルム233は、その両端でセンサベルト部231と面ファスナ部232と連結されており、センサベルト部231及び面ファスナ部232と共に一連の帯状をなしている。
センサベルト部231は、裏面に面ファスナ(図示せず)を有している。
面ファスナ部232は、圧電フィルム233と連結している端部とは逆の端部で、挿通部237と連結されている。
挿通部237は挿通孔238を有しており、その挿通孔238にセンサベルト部231の端部が挿通される。
センサ部23は、このような構造により接触子21に巻装される。即ち、センサ部23は、一連の帯状をなすセンサベルト部231、圧電フィルム233及び面ファスナ部232を接触子21の周囲に巻き、センサベルト部231の端部を挿通孔238に挿通させて、センサベルト部231の裏面の面ファスナ部(図示せず)と面ファスナ部232の上面とを係止させることで、接触子21に装着される。このため、センサベルト部231、面ファスナ部232及び挿通部237は、接触子21に対して振動センサ(圧電フィルム233)を着脱可能とする着脱部と呼ぶことができる。
これにより、少なくとも接触面211の可撓性が異なる複数の接触子21(接触子操作部25を含む)を準備して、センサ部23を着脱させながら接触子21を交換しながら利用することができる。
このようにセンサ部23を接触子21に巻装させることで、圧電フィルム233が、接触子21における接触面211から振動伝搬部位213を介して離間した部位(模擬した手指の第一関節部よりも根元側)に設けられることになる。つまり、ここでの振動センサは、接触子21が模擬する手指の第一関節部よりも根元側に設けられた圧電フィルム233である。そして、接触子21における第一関節部よりも手指の先端側には振動センサ(圧電フィルム233)が設けられていない表面領域があり、その領域に、接触面211及び振動伝搬部位213が含まれる。
接触面211と圧電フィルム233(振動センサ)とが、このように接触子21の長手方向に振動伝搬部位213を介して離間した位置関係を有することで、圧電フィルム233は、接触面211から接触子21の表面周辺を伝搬する振動を検出することができる。これは、人が触感を得るときに知覚する振動に近似するため、触感に対応する振動情報を得ることができる。
また、図3及び図4の例では、圧電フィルム233は、接触子21の周方向の全周のうち模擬した手指の腹側の半周に亘る、長手方向の長さを有している。即ち、接触子21における接触面211と同じ手指の腹側に圧電フィルム233が配置されるため、圧電フィルム233は振動を的確に捉えることができる。但し、振動センサ(圧電フィルム233)の長手方向の長さは、このような例のみに限定されず、接触子21の周方向の全周に亘る長さとされてもよいし、半周でなくとも手指の腹側から背中側に至る周回長さとされてもよい。また、振動センサ(圧電フィルム233)は、接触面211から接触子21の周方向に離間するように配置されてもよい。この場合、模擬した手指の周方向の接触面211を除く全部又は一部に(手指の側面のみ若しくは手指の背中側のみ又はそれらの両方に)振動センサ(圧電フィルム233)が配置されてもよい。
[変形例]
第二実施形態では、接触子21の交換前後の振動情報に基づいて共通の化粧料が評価されたが、振動情報に基づく化粧料の評価手法は上述の例に限定されない。
図6は、変形例に係る化粧料評価方法(以降、本変形方法と表記する場合もある)を示すフローチャートである。
本変形方法においても、上述の評価装置1を用いて実行可能である。本変形方法は、図6に示されるとおり、工程(S21)から工程(S27)を含む。
本変形方法においても、交換用に複数種の接触子21が準備される。各接触子21は一部又は全部の性状が相互に異なる。各接触子21において、少なくとも接触面211又は振動伝搬部位213のいずれか一方又は両方の性状がそれぞれ異なることが望ましい。
本変形方法では、対象者又は対象属性グループの手指の皮膚性状に対応する接触子21が利用される。
具体的には、まず、工程(S21)により、対象面に対象化粧料が塗布される。工程(S21)については上述の工程(S11)と同様である。
工程(S22)及び工程(S23)では、図4に例示されるようにセンサ部23が装着されている接触子21が対象者又は対象属性グループの手指の皮膚性状に対応する接触子21に交換される。既に、対象者又は対象属性グループの手指の皮膚性状に対応する接触子21にセンサ部23が装着されている場合には、交換不要とされる。
ここで対象属性グループとは、ヒトの属性で分類されたグループであり、例えば、或る年齢層のグループ、或る性別のグループなどである。
続いて、工程(S23)で交換された接触子21を用いて工程(S24)が実行され、工程(S25)及び工程(S26)が実行される。即ち、工程(S25)では、接触子21の交換後の振動情報が取得され、工程(S26)では、工程(S25)で取得された振動情報に基づいて、対象面の状態が評価される。
工程(S25)で取得される振動情報は、対象者又は対象属性グループの手指の皮膚性状に対応する接触子21で生じた振動に基づくため、対象者又は対象属性グループの触感に対応するといえる。このため、工程(S26)で行われる評価は、対象者又は対象属性グループの触感に基づく対象面の状態評価であるといえる。
最後に、工程(S27)において、工程(S26)での評価結果に基づいて対象化粧料が評価される。工程(S26)での評価結果は、上述した通り、対象者又は対象属性グループの触感に基づく評価結果であるといえるため、工程(S27)で行われる評価は、対象者又は対象属性グループの触感に基づく化粧料の評価であるといえる。
従って、本変形方法によれば、実際に対象面に触れさせることなく、対象者又は対象属性グループが知覚するであろう触感に基づく化粧料の評価を行うことができる。
他の変形例として、工程(S23)では、対象面の表面性状のうち評価対象とすべき特定性状に対応する接触子21に交換されてもよい。このようにすれば、交換後の接触子21の特定性状により、或る特定の触感を強調する振動情報を得ることができ、結果として、その特定の触感を主とする評価指標に基づく化粧料の評価を行うことができる。例えば、剛性の大きい接触面211を持つ接触子21に交換することで、かさかさ感を強調する振動情報を得ることができ、結果として、かさかさ感を主とする評価指標により化粧料の評価を行うことができる。
また、図2に示される方法及び図6に示される変形方法は、化粧料の評価ではなく、ヒトの肌の評価に用いることもできる。この場合、工程(S17)及び工程(S27)は不要となり、工程(S11)及び工程(S21)は実行されてもされなくてもよい。
この場合でも、接触子ごとの振動情報を比較して対象面としての被験者の肌を評価することで、被験者の肌に対する触感が触るヒトの属性ごとに差が出るのかといった評価をすることができる。また、対象者又は対象属性グループが知覚するであろう触感に基づく被験者の肌評価を行うこともできる。
評価装置1についても種々変形可能である。
例えば、図5の例では、ヒトの手指と手指との間にプローブ2を挟んで利用したが、接触子操作部25を手指でつまんで動かすことで、接触子21の接触面211を対象面に沿って摺動させることもできる。
また、接触子21は、中空部と、接触子21の基端側からその中空部にヒトの手指を挿入可能な挿入口とを有していてもよい。これにより、接触子21に手指を嵌めて利用することができる。この構造においても、人が触感を得るために対象面を触る際と同様の押し付け力及び摺動速度で、接触子21の接触面211を対象面に沿って摺動させることができる。
図7は、変形例に係るプローブ2の構成を示す図である。
本変形例では、接触面211が設けられた第一部分接触子31と、振動センサ(圧電フィルム233)が設けられた第二部分接触子32とが着脱自在に形成されている。具体的には、第一部分接触子31が手指の先端側を模しており、第二部分接触子32が手指の基端側(根元側)を模している。そして、第一部分接触子31の基端面に設けられた突起部311が第二部分接触子32の先端面に設けられた嵌合孔(図示せず)に嵌合され、突起部311の壁面と嵌合孔の内周面との間の摩擦力で双方が係止される。
本変形例では、圧電フィルム233は、第二部分接触子32に対して着脱可能とされなくてもよいため、カバーフィルム235に被覆された状態で第二部分接触子32に貼付されてもよい。
本変形例では、少なくとも接触面211の性状が相互に異なる複数の第一部分接触子31が準備されればよい。これにより、圧電フィルム233が設けられた第二部分接触子32に対して第一部分接触子31が交換自在となる。
突起部311及び嵌合孔は、接触面211を含む接触子の一部である部分接触子(第一部分接触子31)であって接触面211の可撓性が相互に異なる複数の部分接触子(第一部分接触子31)を振動センサ(圧電フィルム233)が設けられた部位を含む接触子の一部(第二部分接触子32)に対して着脱可能とする着脱部と表記することができる。
また、図3に示される評価装置1は、プローブ2と振動測定装置4とが別体で構成されたが、プローブ2内に振動測定装置4が内蔵されてもよい。また、振動測定装置4は、振動センサの出力から振動波形データを生成する装置と、その振動波形データの格納やその振動波形データに適用される各種処理を実行するコンピュータ(情報処理装置)とに分離して実現されてもよい。
また、上述の説明で用いた複数のフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、各工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。例えば、図2において、振動情報の取得工程(S13)は、対象面の状態を評価する工程(S16)の直前にのみ実行されてもよい。即ち、振動情報が接触子ごとに区分けされて、一括で取得されてもよい。
以下に実施例を挙げ、上述の内容を更に詳細に説明する。但し、以下の実施例の記載は、上述の内容に何ら限定を加えるものではない。
本実施例では、上述の作用効果を検証すべく、性状がそれぞれ異なる6種の接触子21が用意された。以降、用意された6種の接触子21を指モデル1から6と表記する。
指モデル1、2、3、4及び5は、全体として、指モデル6よりも柔らかい素材で成形された。即ち、指モデル1、2、3、4及び5の剛性は等しく、指モデル6の剛性よりも小さく設定された。
また、指モデル1、2、3及び4には接触面211として、指モデルの素材よりも硬いシリコンで生成され、凹溝群が施された指紋シートが貼付されている。各指紋シートに施された凹溝群は、指紋シートごとに深さと粗さとの組合せが異なるように形成されている。
各指モデルの性状をまとめると以下のとおりである。
指モデル1:剛性小、指紋有り(粗く深い)
指モデル2:剛性小、指紋有り(粗く浅い)
指モデル3:剛性小、指紋有り(細かく深い)
指モデル4:剛性小、指紋有り(細かく浅い)
指モデル5:剛性小、指紋無し
指モデル6:剛性大、指紋無し
一方で、ヒトの肌を模した3種のバイオスキンが評価対象として用意された。具体的には、乾燥状態のヒトの肌を模したバイオスキン(以降、乾燥肌モデルと表記する)、しっとり状態のヒトの肌を模したバイオスキン(以降、しっとり肌モデルと表記する)、及びそれらの中間状態のバイオスキン(以降、標準肌モデルと表記する)が用意された。そして、それら3種のバイオスキンの触感が異なることは、評価者により確認されている。
その上で、上述の6種の接触子21を交換しながらプローブ2を3種の各バイオスキンの表面に沿ってそれぞれ摺動させて、振動情報が取得された。このとき、評価者は、接触子操作部25を手指でつまんで、次のような計測条件が統一されるように、プローブ2を摺動させた。
計測条件=押し付け力:0.3N、摺動速度:約75mm/秒
このようにして取得された振動情報が図8、図9及び図10に示されている。
図8は、接触面211に設けられた凹溝群の有無による振動情報の違いを示す図であり、図8(a)は、細かく浅い凹溝群が設けられている指モデル4の振動情報を示し、図8(b)は、凹溝群が設けられていない指モデル5の振動情報を示す。図8(a)及び図8(b)の各グラフでは、横軸に乾燥肌モデル(dry)、標準肌モデル(normal)、しっとり肌モデル(wet)が示されており、縦軸に振動強度の値域及び平均値が示されている。
図8(a)によれば、乾燥肌モデルの振動強度が高く、しっとり肌モデルの振動強度が低く、標準肌モデルの振動強度はその中間となっていることが確認できる。
即ち、図8(a)により、凹溝群が接触面211に設けられた接触子21により、肌モデル(バイオスキン)における表面性状及び表面の触感の違いを定量的に評価可能であることが確認される。
更に、図8(a)と図8(b)との比較によれば、取得される振動強度は、凹溝群が設けられている指モデルのほうが凹溝群が設けられていない指モデルに比べて、全体的に大きいことが分かる。これにより、高感度に振動情報を取得する上では、接触面211に凹溝群を設けることが望ましいといえる。
図9は、接触面211に設けられた凹溝群の粗さ(粗い細かい)による振動情報の違いを示す図であり、図9(a)は、細かく浅い凹溝群が設けられている指モデル4の振動情報を示し、図9(b)は、粗く浅い凹溝群が設けられている指モデル2の振動情報を示す。図9(a)及び図9(b)の各グラフでは、横軸に振動周波数(Hz)が示され、縦軸にパワースペクトル密度(dB/Hz)が示されている。なお、対象面として標準肌モデルが用いられた。
図9(a)と図9(b)との比較により、接触面211に設けられた凹溝群が細かいと、高周波振動が得られ易いことが分かる。
これにより、接触面211に施された凹溝群の粗さの違い、即ち接触面211の表面形状の違いにより、得られる振動特性に違いが生じることが確認される。
図10は、接触子21の剛性による振動情報の違いを示す図であり、図10(a)は、相対的に剛性の小さい指モデル5の振動情報を示し、図10(b)は、相対的に剛性の大きい指モデル6の振動情報を示す。図10(a)及び図10(b)の各グラフでは、横軸に乾燥肌モデル(dry)、標準肌モデル(normal)、しっとり肌モデル(wet)が示されており、縦軸に振動強度の値域及び平均値が示されている。
図10(a)と図10(b)との比較により、柔らかい接触子21のほうが、硬い接触子21に比べて、乾燥肌モデルと標準肌モデルとの振動強度の差が大きく、硬い接触子21のほうが、柔らかい接触子21に比べて、標準肌モデルとしっとり肌モデルとの振動強度の差が大きくなっていることが分かる。
これにより、接触子21の剛性の違いによって、特定の表面性状又は触感を強調的に評価し得ることが確認される。
更に、本実施例では、ヒトの前腕の皮膚表面についても上述の指モデル(接触子21)を有するプローブ2を用いて評価可能であることが検証された。このとき、比較例として、評価者の人差し指にセンサ部23を装着し、その人差し指を当該皮膚表面に当て摺動させることでも、振動情報が取得された。
図11(a)は、指モデル(接触子21)を用いて得られた振動情報を示し、図11(b)は、人差し指を用いて得られた振動情報を示す。図11(a)及び図11(b)には、対象面としての皮膚表面の同一箇所を指モデル又は人差し指で4回撫でたその一回分の振動情報がそれぞれ示されている。また、図11では、横軸に振動周波数(Hz)が示され、縦軸にパワースペクトル密度(dB/Hz)が示されている。
図11(a)と図11(b)との比較により、指モデル(接触子21)は、ヒトの手指に比べて、100Hz未満の低周波振動を得難いことが分かる。しかしながら、人間の振動感度は200Hzから500Hzの周波数帯で高いことが知られており、肌の状態や肌の触感の評価においても、かかる周波数帯の重要度が高い一方、そのような100Hz未満の低周波振動の重要度は低いと考えられる。本実施例では、100Hz以上の振動については、指モデル(接触子21)においてもヒトの手指とほとんど差がなく取得できている。
これにより、指モデル(接触子21)を用いて得られる振動情報によっても、対象面の表面性状又は触感を高精度に評価できることが実証されている。
加えて、本実施例では、上述の指モデル(接触子21)を有するプローブ2を用いて、化粧料を塗布した皮膚表面の触感の違いについても評価可能であることが検証された。
図12は、皮膚に塗布された化粧料の違いに伴う振動情報の違いを示す図である。具体的には、触感の異なる3種類の化粧料が塗布されたヒトの前腕の皮膚表面を指モデル3で撫でた際の振動情報が取得された。図12では、3種類の化粧料は、化粧料「A」、化粧料「B」、化粧料「C」として表記されており、縦軸に振動強度の値域及び平均値が示されている。
図12によれば、化粧料Aの振動強度が高く、化粧料Cの振動強度が低い傾向が分かる。
これにより、指モデル(接触子21)を用いて得られる振動情報によって、塗布された化粧料に伴う対象面の触感の違いをも評価できることが実証されている。
1 評価装置
2 プローブ
4 振動測定装置
5 出力装置
21 接触子
23 センサ部
25 接触子操作部
31 第一部分接触子
32 第二部分接触子
211 接触面
213 振動伝搬部位
231 センサベルト部
232 面ファスナ部
233 圧電フィルム(振動センサ)
235 カバーフィルム
237 挿通部
238 挿通孔
239 出力線
311 突起部

Claims (10)

  1. ヒトの肌又はヒトの肌を模して作成された面である対象面に面接触可能な接触面を表面の一部に有する接触子と、該接触子における、該接触面から振動伝搬部位を介して離間した部位に設けられた振動センサとを用いて、該対象面に該接触面を接触させて該接触子を該対象面に沿って摺動させる工程と、
    前記摺動時に前記振動センサで検出される振動情報を取得する情報取得工程と、
    前記取得された振動情報に基づいて前記対象面の状態を評価する評価工程と、
    を含むヒトの肌又は化粧料の評価方法。
  2. 前記摺動させる工程の前に、前記対象面に化粧料を塗布する工程を更に含む、
    請求項1に記載のヒトの肌又は化粧料の評価方法。
  3. 前記接触子の一部又は全部を異なる性状の接触子に交換する交換工程を更に含む、
    請求項1又は2に記載のヒトの肌又は化粧料の評価方法。
  4. 前記情報取得工程では、前記接触子の交換前後の振動情報をそれぞれ取得し、
    前記評価工程では、前記交換前後の振動情報に基づいて前記対象面の状態を評価する、
    請求項3に記載のヒトの肌又は化粧料の評価方法。
  5. 前記交換工程では、前記接触子の一部又は全部を、対象者又は対象属性グループの手指の皮膚性状に対応する接触子に交換し、
    前記情報取得工程では、前記接触子の交換後の振動情報を取得し、
    前記評価工程では、前記取得された振動情報に基づいて、前記対象面の状態を評価する、
    請求項3に記載のヒトの肌又は化粧料の評価方法。
  6. 前記接触子はヒトの手指を模した形状をなしており、
    前記接触子の前記接触面にはヒトの手指の指紋を模した凹溝が設けられており、
    前記振動センサは、前記手指の第一関節部よりも根元側に設けられた圧電フィルムである、
    請求項1から5のいずれか一項に記載のヒトの肌又は化粧料の評価方法。
  7. ヒトの肌又はヒトの肌を模して作成された面である対象面に面接触可能であり、ヒトの手指を模した可撓性を持つ接触面を表面の一部に有する可搬性の接触子と、
    前記接触子における、前記接触面から振動伝搬部位を介して離間した部位に設けられた振動センサと、
    を備えるヒトの肌又は化粧料の評価装置。
  8. 前記振動センサで検出される振動情報に基づいて前記対象面の表面性状又は触感に関する情報を出力する出力処理部、
    を更に備える請求項7に記載のヒトの肌又は化粧料の評価装置。
  9. 前記接触面の可撓性が相互に異なる複数の前記接触子に対して前記振動センサを着脱可能とする着脱部、又は、前記接触面を含む前記接触子の一部である部分接触子であって前記接触面の可撓性が相互に異なる複数の部分接触子を前記振動センサが設けられた部位を含む前記接触子の一部に対して着脱可能とする着脱部、
    を更に備える請求項7又は8に記載のヒトの肌又は化粧料の評価装置。
  10. 前記接触子はヒトの手指を模した形状をなしており、
    前記接触子の前記接触面にはヒトの手指の指紋を模した凹溝が設けられており、
    前記振動センサは、前記手指の第一関節部よりも根元側に設けられた圧電フィルムである、
    請求項7から9のいずれか一項に記載のヒトの肌又は化粧料の評価装置。
JP2017223835A 2017-11-21 2017-11-21 ヒトの肌又は化粧料の評価方法 Active JP6968671B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017223835A JP6968671B2 (ja) 2017-11-21 2017-11-21 ヒトの肌又は化粧料の評価方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017223835A JP6968671B2 (ja) 2017-11-21 2017-11-21 ヒトの肌又は化粧料の評価方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019095263A true JP2019095263A (ja) 2019-06-20
JP6968671B2 JP6968671B2 (ja) 2021-11-17

Family

ID=66971424

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017223835A Active JP6968671B2 (ja) 2017-11-21 2017-11-21 ヒトの肌又は化粧料の評価方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6968671B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020246233A1 (ja) * 2019-06-06 2020-12-10 株式会社資生堂 測定装置及び測定方法
JP2021039070A (ja) * 2019-09-05 2021-03-11 株式会社ファンケル クレンジングシートの官能評価の機器測定による評価方法
JP7477354B2 (ja) 2020-04-28 2024-05-01 花王株式会社 感触評価方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005147902A (ja) * 2003-11-17 2005-06-09 Kanto Auto Works Ltd 表面触感計測装置
US20160025615A1 (en) * 2014-07-22 2016-01-28 SynTouch, LLC Method and applications for measurement of object tactile properties based on how they likely feel to humans

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005147902A (ja) * 2003-11-17 2005-06-09 Kanto Auto Works Ltd 表面触感計測装置
US20160025615A1 (en) * 2014-07-22 2016-01-28 SynTouch, LLC Method and applications for measurement of object tactile properties based on how they likely feel to humans

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
日本バイナリー株式会社: "指型・生体模倣触覚センサBioTac", インターネット, JPN7021002257, 11 June 2021 (2021-06-11), JP, ISSN: 0004531278 *

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020246233A1 (ja) * 2019-06-06 2020-12-10 株式会社資生堂 測定装置及び測定方法
JP2021039070A (ja) * 2019-09-05 2021-03-11 株式会社ファンケル クレンジングシートの官能評価の機器測定による評価方法
JP7285178B2 (ja) 2019-09-05 2023-06-01 株式会社ファンケル クレンジングシートの官能評価の機器測定による評価方法
JP7477354B2 (ja) 2020-04-28 2024-05-01 花王株式会社 感触評価方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6968671B2 (ja) 2021-11-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Boyer et al. Non contact method for in vivo assessment of skin mechanical properties for assessing effect of ageing
AU2004289053B2 (en) Method and system for characterizing tactile perception
JP4722909B2 (ja) 摩擦音響センサ
Gandhi et al. Progress in vibrotactile threshold evaluation techniques: a review
Chen et al. Experimental research on the tactile perception from fingertip skin friction
Zahouani et al. Effect of human ageing on skin rheology and tribology
JP6968671B2 (ja) ヒトの肌又は化粧料の評価方法
JP2023181560A (ja) 触感評価方法および触感計測装置
Kirsch et al. Harnessing tactile waves to measure skin-to-skin interactions
Dunne et al. A system for wearable monitoring of seated posture in computer users
JP2018151258A (ja) 化粧料の塗布感触を評価する方法、化粧料の塗布感触を評価する装置、及び化粧料を選択する方法
US20110282246A1 (en) Acoustic systems and methods for evaluating skin texture
WO2020080137A1 (ja) 肌評価方法、及び肌評価装置
JP6832717B2 (ja) 肌状態評価方法
Shirakawa et al. Wearable artificial fingers with skin vibration and multi-axis force sensors
JP7477354B2 (ja) 感触評価方法
JP2022161710A (ja) 肌または化粧料の評価装置
JP5335219B2 (ja) 皮膚の肌理を評価する音響システムおよびシステムを用いて皮膚の肌理を測定する方法
TANAKA et al. MECHANISM OF HAPTIC PERCEPTION: INFLUENCE OF AMPLITUDE AND FREQUENCY FOR SMOOTHNESS
Tsuchimi et al. Development of a haptic sensor system for monitoring human skin conditions
JP6958119B2 (ja) 感触評価装置
JP6829611B2 (ja) 肌状態評価方法
JP2023132716A (ja) 評価方法
SE1551094A1 (en) Device and method for generating sensory stimuli for the evaluation of neuropathy
Kitamichi et al. Intersubjective Tactile Sharing Method Based on Human Skin Vibration Characteristics

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200909

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210618

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210622

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210817

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211005

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211027

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6968671

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151