JP2019095263A - ヒトの肌又は化粧料の評価方法 - Google Patents
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Description
非特許文献1には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルムを受感材として用いた皮膚粗さ計測用センサのプローブ部を用いて皮膚表面を測定することで、表面形態の異なる皮膚を識別可能であることが開示されている。本プローブ部は、円筒状のアルミニウムパイプをスポンジゴムで覆い、その上にPVDFフィルムを設け、それをセロファンフィルム及びガーゼで覆った構造を持つ。
非特許文献2には、力覚呈示装置のグリップ先端に人工指を取り付け、グリップ位置を自動制御して、実物体に対して触知覚操作を行ったときの目標位置と実際位置との差で指先が物体に接触しているか否か、指先にかかる力の方向などを推定することが開示されている。
非特許文献3には、PVDFフィルムを受感材として用いた示指装着型センサを皮膚表面上で滑らせ、PVDF出力とひずみゲージ出力を計測することで、皮膚表面の粗さ及び硬さを評価することが開示されている。本センサは、ステンレススチールをベースとし、スポンジゴム、PVDFフィルム、セロファンフィルムを順に配置し、最外部に人間の指紋を模したガーゼを貼り付けた構造を有する。
非特許文献4には、PVDFフィルムを用いた皮膚振動計測センサが開示されている。このセンサは測定者の指に装着されて用いられ、皮膚を伝搬した振動をPVDFフィルムで検出することで、対象との力学的相互作用により皮膚で生じた振動が計測される。
本発明は、ヒトの肌又はヒトの肌を模して作成された面である対象面の状態に基づいてヒトの肌又は化粧料を定量評価する技術に関する。
本発明の態様は、ヒトの肌又は化粧料の評価方法に関する。本評価方法は、ヒトの肌又はヒトの肌を模して作成された面である対象面に面接触可能な接触面を表面の一部に有する接触子と、該接触子における、該接触面から振動伝搬部位を介して離間した部位に設けられた振動センサとを用いて、該対象面に該接触面を接触させて該接触子を該対象面に沿って摺動させる工程と、前記摺動時に前記振動センサで検出される振動情報を取得する情報取得工程と、前記取得された振動情報に基づいて前記対象面の状態を評価する評価工程と、を含む。
なお、本発明の別態様は、例えば、上述のヒトの肌又は化粧料の評価方法に用いられるヒトの肌又は化粧料の評価装置である。また、他の態様は、上述のヒトの肌又は化粧料の評価方法を実行する装置(情報処理装置、コンピュータ)に関するものであり、その評価方法をコンピュータに実行させるプログラムに関するものであり、このようなプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体に関するものである。この記録媒体は、非一時的な有形の媒体を含む。
第一実施形態に係るヒトの肌又は化粧料の評価方法(以下、本方法と表記する)について主に図1を用いて説明する。図1は、第一実施形態に係るヒトの肌又は化粧料の評価方法を示すフローチャートである。
第一実施形態で評価される化粧料には、化粧水、乳液や日焼け止めなどのようなベース化粧料(スキンケア品を含む)、洗浄料、ファンデーションのようなメイクアップ化粧料など、ヒトの皮膚に塗布、噴霧、パックされる様々な化粧料が含まれる。
接触子は、対象面(被評価面)と接触させるための接触面を表面の一部に有している。接触子は担体と表記することもできる。接触子の形状は、対象面と面接触可能な接触面を表面の一部に有していれば、棒状、板状など任意である。接触面は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。また、接触子は、ユーザビリティ性を高めるために持ち運び可能であることが望ましいが、据え付けられていてもよい。
工程(S01)では、人力により接触子を摺動させてもよいし、アクチュエータ等により自動で(電気的に)接触子を摺動させてもよい。
工程(S03)は、例えば、後述の評価装置1のようなデバイス又はコンピュータにより実行される。
この場合、工程(S05)は、後述の評価装置1のようなデバイス又はコンピュータにより実行されてもよいし、人により行われてもよい。前者の場合、例えば、すべすべ度、しっとり度などのような肌の触感の定量情報、きめ細かさ、粗さといった肌の表面性状の定量情報などが出力される。後者の場合、例えば、対象面に関する振動情報と共に、評価者がその振動情報と比較すべき他の情報がデバイス又はコンピュータから出力される。比較すべき他の情報は予め印刷媒体などに出力されていてもよい。
また、評価工程において、得られた振動情報を、例えばコンピュータにスピーカなどをつないで音として出力したり、バイブレータをつないで振動情報として出力することで、人の聴覚や触覚を介して評価することもできる。
これにより、対象面がヒトの肌の表面とされている場合には、ヒトの肌そのものを評価することもできるし、対象面(ヒトの肌表面)の状態の評価結果に基づいて、そのヒトの肌に適用された化粧料を評価することもできる。また、対象面がヒトの肌を模して作成された面とされている場合には、対象面の状態の評価結果に基づいて、対象面に適用された化粧料を評価することができる。
また、ヒトの触感では、対象に触れた際の手指の変形に伴い伝搬する振動を知覚に利用している可能性が指摘されている。この知見によれば、第一実施形態で得られる振動情報は、ヒトの触感に対応する情報ということもできる。このため、第一実施形態によれば、対象面に触れた際に知覚される触感に対応する指標で、対象面の状態を評価し、ひいては、ヒトの肌又は対象面に適用された化粧料を高精度に評価できる。
次に、第二実施形態に係る化粧料評価方法について図2を用いて詳述する。図2は、第二実施形態に係る化粧料評価方法を示すフローチャートである。
第二実施形態に係る化粧料評価方法(以降、本評価方法と表記する場合もある)は、上述した接触子及び振動センサを備える評価装置を用いて実行され、図2に示されるように、工程(S11)から工程(S17)を含む。
接触子の接触面を対象面に押し付ける力及び摺動速度は、肌の触感を得るために人が肌に触れる際の力及び速度に近いことが好ましい。これにより、ヒトの触感に近似する指標で評価することができるからである。本評価方法では、ヒトの手指に模した接触子をヒトの手指と手指の間に固定した状態で対象面に接触させかつ摺動させることで、人が肌に触れる際の押し付け力及び摺動速度を実現する。接触子の具体的な装着形態などは後述する。
ここでの「性状」とは、接触子の形状、大きさ、剛性(可撓性)、接触面の表面形状(例えば、指紋の形状や深さなど)などである。一部の性状が異なる接触子では、少なくとも接触面若しくは振動伝搬部位の一方又は両方の性状が異なることが好ましい。
例えば、工程(S12)において未だ用いられていない接触子が残っていれば、接触子を交換すると判定してもよい。もちろん、準備された複数種の接触子のうちの一部の接触子のみが利用されてもよい。
また、本評価方法では、手動で接触子の交換作業が行われるが、接触子が自動で交換されてもよい。
以降、交換された接触子を用いて工程(S12)及び工程(S13)が実行され、性状の異なる接触子ごとに振動情報が取得される。
工程(S17)は、工程(S16)での評価結果に基づいて、対象化粧料(共通の化粧料)を評価する工程である。工程(S17)では、例えば、化粧料の良し悪し、化粧料の適性度合などが評価される。
このような作用効果は、ヒトの属性ごとの手指の性状に適合した接触子が準備できなかったとしても得ることができる。例えば、ヒトの手指に相当する剛性範囲内で相互に異なる剛性をそれぞれ有する接触子が用いられてもよい。
評価装置1は、ヒトの肌又は化粧料を評価する装置であり、図2に示されるように、主な構成として、プローブ2、振動測定装置4、及び出力装置5を有する。
振動測定装置4は、振動センサからの出力に基づいて振動情報を生成することができれば、その具体的な測定原理や内部構成は限定されない。例えば、振動測定装置4は、振動センサからの出力線と接続されており、各種ノイズを除去するフィルタ(バンドパスフィルタ等)、増幅器、AD変換器などを有していてもよい。振動測定装置4は、例えば、オシロスコープやデータロガー等と呼ばれる測定機器であってもよい。
振動測定装置4及び出力装置5の両方又は出力装置5は、振動センサ(圧電フィルム233)で検出される振動情報に基づいて対象面の表面性状又は触感に関する情報を出力する出力処理部に相当する。
また、出力装置として、スピーカなどの音響出力手段、バイブレータを備えた起振手段などを用いることもでき、このような装置を用いた場合は、人の聴覚や触覚を介して振動情報の評価などをする。
接触子21は、対象面に面接触可能な接触面211を表面の一部に有しており、接触面211と振動センサ(後述の圧電フィルム233)との間に振動伝搬部位213を有している。
接触子21は、図3に例示されるように、ヒトの手指を模した形状を有していることが望ましい。但し、接触子21の形状はヒトの手指の形状に近似しなくとも、円柱状、円錐状、角柱状などのように棒状であればよく、好ましくは、先細りの形状、即ち先端の断面半径が根元のそれよりも小さくなっている形状を有していることが好ましい。
また、接触面211には、ヒトの手指の指紋を模した指紋パターンが形成されていることが好ましい。これにより、ヒトの触感に影響する振動に近似する振動の情報を得ることができるからである。但し、接触面211に設けられる指紋パターンは、二以上の凹溝を有していればよく、その粗さ及び深さについては任意であり、凹溝が連なり形成される凹溝線についても指紋のように円弧状でなくても直線状をなしていればよい。
図4の例では、接触面211が手の平側に配置され、接触子操作部25が手の甲に当接するように、操作者における人差し指と中指との間にプローブ2を挟み、プローブ2は人差し指と中指と共に、面ファスナ(マジックテープ(登録商標)等)を有する締結ベルト27で固定されている。
このようにしてプローブ2を手指と手指との間に固定した状態で、操作者が対象面としての被験者の頬をそれら手指で触感を得るべく撫でることで、操作者がその頬から触感を得る際の押し付け力及び摺動速度でプローブ2を摺動させることができ、触感に対応する振動情報を高精度に得ることができる。
センサ部23は、振動センサとして圧電フィルム233を有している。例えば、圧電フィルムにはPVDFフィルムが用いられる。圧電フィルム233には出力線239が接続されており、出力線239の他端は振動測定装置4に接続されている。また、圧電フィルム233は、セロファンフィルムのようなカバーフィルム235で被覆され、保護されている。
カバーフィルム235で覆われた圧電フィルム233は、その両端でセンサベルト部231と面ファスナ部232と連結されており、センサベルト部231及び面ファスナ部232と共に一連の帯状をなしている。
センサベルト部231は、裏面に面ファスナ(図示せず)を有している。
面ファスナ部232は、圧電フィルム233と連結している端部とは逆の端部で、挿通部237と連結されている。
挿通部237は挿通孔238を有しており、その挿通孔238にセンサベルト部231の端部が挿通される。
これにより、少なくとも接触面211の可撓性が異なる複数の接触子21(接触子操作部25を含む)を準備して、センサ部23を着脱させながら接触子21を交換しながら利用することができる。
接触面211と圧電フィルム233(振動センサ)とが、このように接触子21の長手方向に振動伝搬部位213を介して離間した位置関係を有することで、圧電フィルム233は、接触面211から接触子21の表面周辺を伝搬する振動を検出することができる。これは、人が触感を得るときに知覚する振動に近似するため、触感に対応する振動情報を得ることができる。
また、図3及び図4の例では、圧電フィルム233は、接触子21の周方向の全周のうち模擬した手指の腹側の半周に亘る、長手方向の長さを有している。即ち、接触子21における接触面211と同じ手指の腹側に圧電フィルム233が配置されるため、圧電フィルム233は振動を的確に捉えることができる。但し、振動センサ(圧電フィルム233)の長手方向の長さは、このような例のみに限定されず、接触子21の周方向の全周に亘る長さとされてもよいし、半周でなくとも手指の腹側から背中側に至る周回長さとされてもよい。また、振動センサ(圧電フィルム233)は、接触面211から接触子21の周方向に離間するように配置されてもよい。この場合、模擬した手指の周方向の接触面211を除く全部又は一部に(手指の側面のみ若しくは手指の背中側のみ又はそれらの両方に)振動センサ(圧電フィルム233)が配置されてもよい。
第二実施形態では、接触子21の交換前後の振動情報に基づいて共通の化粧料が評価されたが、振動情報に基づく化粧料の評価手法は上述の例に限定されない。
図6は、変形例に係る化粧料評価方法(以降、本変形方法と表記する場合もある)を示すフローチャートである。
本変形方法においても、上述の評価装置1を用いて実行可能である。本変形方法は、図6に示されるとおり、工程(S21)から工程(S27)を含む。
本変形方法では、対象者又は対象属性グループの手指の皮膚性状に対応する接触子21が利用される。
工程(S22)及び工程(S23)では、図4に例示されるようにセンサ部23が装着されている接触子21が対象者又は対象属性グループの手指の皮膚性状に対応する接触子21に交換される。既に、対象者又は対象属性グループの手指の皮膚性状に対応する接触子21にセンサ部23が装着されている場合には、交換不要とされる。
ここで対象属性グループとは、ヒトの属性で分類されたグループであり、例えば、或る年齢層のグループ、或る性別のグループなどである。
工程(S25)で取得される振動情報は、対象者又は対象属性グループの手指の皮膚性状に対応する接触子21で生じた振動に基づくため、対象者又は対象属性グループの触感に対応するといえる。このため、工程(S26)で行われる評価は、対象者又は対象属性グループの触感に基づく対象面の状態評価であるといえる。
従って、本変形方法によれば、実際に対象面に触れさせることなく、対象者又は対象属性グループが知覚するであろう触感に基づく化粧料の評価を行うことができる。
この場合でも、接触子ごとの振動情報を比較して対象面としての被験者の肌を評価することで、被験者の肌に対する触感が触るヒトの属性ごとに差が出るのかといった評価をすることができる。また、対象者又は対象属性グループが知覚するであろう触感に基づく被験者の肌評価を行うこともできる。
例えば、図5の例では、ヒトの手指と手指との間にプローブ2を挟んで利用したが、接触子操作部25を手指でつまんで動かすことで、接触子21の接触面211を対象面に沿って摺動させることもできる。
また、接触子21は、中空部と、接触子21の基端側からその中空部にヒトの手指を挿入可能な挿入口とを有していてもよい。これにより、接触子21に手指を嵌めて利用することができる。この構造においても、人が触感を得るために対象面を触る際と同様の押し付け力及び摺動速度で、接触子21の接触面211を対象面に沿って摺動させることができる。
本変形例では、接触面211が設けられた第一部分接触子31と、振動センサ(圧電フィルム233)が設けられた第二部分接触子32とが着脱自在に形成されている。具体的には、第一部分接触子31が手指の先端側を模しており、第二部分接触子32が手指の基端側(根元側)を模している。そして、第一部分接触子31の基端面に設けられた突起部311が第二部分接触子32の先端面に設けられた嵌合孔(図示せず)に嵌合され、突起部311の壁面と嵌合孔の内周面との間の摩擦力で双方が係止される。
本変形例では、圧電フィルム233は、第二部分接触子32に対して着脱可能とされなくてもよいため、カバーフィルム235に被覆された状態で第二部分接触子32に貼付されてもよい。
突起部311及び嵌合孔は、接触面211を含む接触子の一部である部分接触子(第一部分接触子31)であって接触面211の可撓性が相互に異なる複数の部分接触子(第一部分接触子31)を振動センサ(圧電フィルム233)が設けられた部位を含む接触子の一部(第二部分接触子32)に対して着脱可能とする着脱部と表記することができる。
また、上述の説明で用いた複数のフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、各工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。例えば、図2において、振動情報の取得工程(S13)は、対象面の状態を評価する工程(S16)の直前にのみ実行されてもよい。即ち、振動情報が接触子ごとに区分けされて、一括で取得されてもよい。
指モデル1、2、3、4及び5は、全体として、指モデル6よりも柔らかい素材で成形された。即ち、指モデル1、2、3、4及び5の剛性は等しく、指モデル6の剛性よりも小さく設定された。
また、指モデル1、2、3及び4には接触面211として、指モデルの素材よりも硬いシリコンで生成され、凹溝群が施された指紋シートが貼付されている。各指紋シートに施された凹溝群は、指紋シートごとに深さと粗さとの組合せが異なるように形成されている。
各指モデルの性状をまとめると以下のとおりである。
指モデル1:剛性小、指紋有り(粗く深い)
指モデル2:剛性小、指紋有り(粗く浅い)
指モデル3:剛性小、指紋有り(細かく深い)
指モデル4:剛性小、指紋有り(細かく浅い)
指モデル5:剛性小、指紋無し
指モデル6:剛性大、指紋無し
その上で、上述の6種の接触子21を交換しながらプローブ2を3種の各バイオスキンの表面に沿ってそれぞれ摺動させて、振動情報が取得された。このとき、評価者は、接触子操作部25を手指でつまんで、次のような計測条件が統一されるように、プローブ2を摺動させた。
計測条件=押し付け力:0.3N、摺動速度:約75mm/秒
図8は、接触面211に設けられた凹溝群の有無による振動情報の違いを示す図であり、図8(a)は、細かく浅い凹溝群が設けられている指モデル4の振動情報を示し、図8(b)は、凹溝群が設けられていない指モデル5の振動情報を示す。図8(a)及び図8(b)の各グラフでは、横軸に乾燥肌モデル(dry)、標準肌モデル(normal)、しっとり肌モデル(wet)が示されており、縦軸に振動強度の値域及び平均値が示されている。
即ち、図8(a)により、凹溝群が接触面211に設けられた接触子21により、肌モデル(バイオスキン)における表面性状及び表面の触感の違いを定量的に評価可能であることが確認される。
更に、図8(a)と図8(b)との比較によれば、取得される振動強度は、凹溝群が設けられている指モデルのほうが凹溝群が設けられていない指モデルに比べて、全体的に大きいことが分かる。これにより、高感度に振動情報を取得する上では、接触面211に凹溝群を設けることが望ましいといえる。
図9(a)と図9(b)との比較により、接触面211に設けられた凹溝群が細かいと、高周波振動が得られ易いことが分かる。
これにより、接触面211に施された凹溝群の粗さの違い、即ち接触面211の表面形状の違いにより、得られる振動特性に違いが生じることが確認される。
図10(a)と図10(b)との比較により、柔らかい接触子21のほうが、硬い接触子21に比べて、乾燥肌モデルと標準肌モデルとの振動強度の差が大きく、硬い接触子21のほうが、柔らかい接触子21に比べて、標準肌モデルとしっとり肌モデルとの振動強度の差が大きくなっていることが分かる。
これにより、接触子21の剛性の違いによって、特定の表面性状又は触感を強調的に評価し得ることが確認される。
図11(a)は、指モデル(接触子21)を用いて得られた振動情報を示し、図11(b)は、人差し指を用いて得られた振動情報を示す。図11(a)及び図11(b)には、対象面としての皮膚表面の同一箇所を指モデル又は人差し指で4回撫でたその一回分の振動情報がそれぞれ示されている。また、図11では、横軸に振動周波数(Hz)が示され、縦軸にパワースペクトル密度(dB/Hz)が示されている。
図11(a)と図11(b)との比較により、指モデル(接触子21)は、ヒトの手指に比べて、100Hz未満の低周波振動を得難いことが分かる。しかしながら、人間の振動感度は200Hzから500Hzの周波数帯で高いことが知られており、肌の状態や肌の触感の評価においても、かかる周波数帯の重要度が高い一方、そのような100Hz未満の低周波振動の重要度は低いと考えられる。本実施例では、100Hz以上の振動については、指モデル(接触子21)においてもヒトの手指とほとんど差がなく取得できている。
これにより、指モデル(接触子21)を用いて得られる振動情報によっても、対象面の表面性状又は触感を高精度に評価できることが実証されている。
図12は、皮膚に塗布された化粧料の違いに伴う振動情報の違いを示す図である。具体的には、触感の異なる3種類の化粧料が塗布されたヒトの前腕の皮膚表面を指モデル3で撫でた際の振動情報が取得された。図12では、3種類の化粧料は、化粧料「A」、化粧料「B」、化粧料「C」として表記されており、縦軸に振動強度の値域及び平均値が示されている。
図12によれば、化粧料Aの振動強度が高く、化粧料Cの振動強度が低い傾向が分かる。
これにより、指モデル(接触子21)を用いて得られる振動情報によって、塗布された化粧料に伴う対象面の触感の違いをも評価できることが実証されている。
2 プローブ
4 振動測定装置
5 出力装置
21 接触子
23 センサ部
25 接触子操作部
31 第一部分接触子
32 第二部分接触子
211 接触面
213 振動伝搬部位
231 センサベルト部
232 面ファスナ部
233 圧電フィルム(振動センサ)
235 カバーフィルム
237 挿通部
238 挿通孔
239 出力線
311 突起部
Claims (10)
- ヒトの肌又はヒトの肌を模して作成された面である対象面に面接触可能な接触面を表面の一部に有する接触子と、該接触子における、該接触面から振動伝搬部位を介して離間した部位に設けられた振動センサとを用いて、該対象面に該接触面を接触させて該接触子を該対象面に沿って摺動させる工程と、
前記摺動時に前記振動センサで検出される振動情報を取得する情報取得工程と、
前記取得された振動情報に基づいて前記対象面の状態を評価する評価工程と、
を含むヒトの肌又は化粧料の評価方法。 - 前記摺動させる工程の前に、前記対象面に化粧料を塗布する工程を更に含む、
請求項1に記載のヒトの肌又は化粧料の評価方法。 - 前記接触子の一部又は全部を異なる性状の接触子に交換する交換工程を更に含む、
請求項1又は2に記載のヒトの肌又は化粧料の評価方法。 - 前記情報取得工程では、前記接触子の交換前後の振動情報をそれぞれ取得し、
前記評価工程では、前記交換前後の振動情報に基づいて前記対象面の状態を評価する、
請求項3に記載のヒトの肌又は化粧料の評価方法。 - 前記交換工程では、前記接触子の一部又は全部を、対象者又は対象属性グループの手指の皮膚性状に対応する接触子に交換し、
前記情報取得工程では、前記接触子の交換後の振動情報を取得し、
前記評価工程では、前記取得された振動情報に基づいて、前記対象面の状態を評価する、
請求項3に記載のヒトの肌又は化粧料の評価方法。 - 前記接触子はヒトの手指を模した形状をなしており、
前記接触子の前記接触面にはヒトの手指の指紋を模した凹溝が設けられており、
前記振動センサは、前記手指の第一関節部よりも根元側に設けられた圧電フィルムである、
請求項1から5のいずれか一項に記載のヒトの肌又は化粧料の評価方法。 - ヒトの肌又はヒトの肌を模して作成された面である対象面に面接触可能であり、ヒトの手指を模した可撓性を持つ接触面を表面の一部に有する可搬性の接触子と、
前記接触子における、前記接触面から振動伝搬部位を介して離間した部位に設けられた振動センサと、
を備えるヒトの肌又は化粧料の評価装置。 - 前記振動センサで検出される振動情報に基づいて前記対象面の表面性状又は触感に関する情報を出力する出力処理部、
を更に備える請求項7に記載のヒトの肌又は化粧料の評価装置。 - 前記接触面の可撓性が相互に異なる複数の前記接触子に対して前記振動センサを着脱可能とする着脱部、又は、前記接触面を含む前記接触子の一部である部分接触子であって前記接触面の可撓性が相互に異なる複数の部分接触子を前記振動センサが設けられた部位を含む前記接触子の一部に対して着脱可能とする着脱部、
を更に備える請求項7又は8に記載のヒトの肌又は化粧料の評価装置。 - 前記接触子はヒトの手指を模した形状をなしており、
前記接触子の前記接触面にはヒトの手指の指紋を模した凹溝が設けられており、
前記振動センサは、前記手指の第一関節部よりも根元側に設けられた圧電フィルムである、
請求項7から9のいずれか一項に記載のヒトの肌又は化粧料の評価装置。
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