JP7473714B2 - 構造部材及び構造部材の製造方法 - Google Patents
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Description
(1) 少なくとも一つが押出方向に沿って複数列の中空部を有する複数の押出材パネルと、前記押出材パネルの縁部同士が突き合わされて摩擦撹拌接合された継手部とを有する構造部材であって、
前記継手部は、
前記押出材パネルの厚さ方向の総肉厚が15mm以下であり、
前記押出材パネルの表面側に形成された第1撹拌接合部と、
前記押出材パネルの裏面側に形成された第2撹拌接合部と、
前記押出材パネルの前記表面側及び前記裏面側に前記縁部に沿ってそれぞれ形成されたショルダー撹拌面と、
を有し、
前記ショルダー撹拌面の長手方向と前記厚さ方向とに直交する幅方向の長さをWtf、前記押出材パネル内で隣り合う前記中空部同士の間に形成されるリブの前記幅方向の長さをWrとしたとき、
前記押出材パネルの前記縁部から、前記縁部に最も近くに配置された前記中空部の前記縁部側の端部までの前記幅方向の長さLは、
L≧Wtf/2+Wr
である構造部材。
(2) 少なくとも一つが押出方向に沿って複数列の中空部を有する複数の押出材パネルを、該押出材パネルの縁部同士を突き合わせて摩擦撹拌接合する構造部材の製造方法であって、
ベースに前記複数の押出材パネルを平坦状に並べて配置させる第1配置工程と、
前記押出材パネル同士を前記平坦状に並べた面内で互いに近接する方向に押圧して前記縁部同士を突き合わせる第1押圧工程と、
前記ベースの前記押出材パネルを挟んだ他方の側から押さえ治具を前記押出材パネルに当接させ、前記押出材パネルを前記ベースへ押し付ける第1押し付け工程と、
複数の前記押出材パネルが互いに突き合わされた前記縁部同士間の接合線に沿って、前記押出材パネルの前記押さえ治具側の片面から摩擦撹拌接合する第1接合工程と、
片面が摩擦撹拌接合された前記押出材パネルから前記押さえ治具を退避させ、前記押出材パネルを、表裏を反転させて再び前記ベース上に配置させる第2配置工程と、
前記押出材パネルを前記面内で互いに近接する方向に押圧して前記端部同士を突き合わせる第2押圧工程と、
前記ベースの前記押出材パネルを挟んだ他方の側から前記押さえ治具を再び前記押出材パネルに当接させ、前記押出材パネルを前記ベースへ押し付ける第2押し付け工程と、
前記接合線に沿って、前記押出材パネルの前記押さえ治具側の片面から摩擦撹拌接合する第2接合工程と、
を含む、構造部材の製造方法。
図1は、本構成例に係る構造部材100の斜視図である。図2は、本構成例に係る構造部材100の側面図である。
図1及び図2に示すように、本構成例に係る構造部材100は、板状に形成された構造体であり、複数(本例では一例として2つ)の押出材パネル11から構成される。構造部材100は、押出材パネル11の押出方向に沿った側面同士を互いに接合して構成されている。ここで例示する押出材パネル11の形状は、いずれも平面視で長方形である。以下、押出材パネル11の板厚方向をZ方向、押出方向と平行で長方形の一辺に沿う方向をY方向、その一辺に直交する長方形の他辺に沿う、Y方向及びZ方向に直交する方向をX方向として説明する。
図4は、構造部材100の継手部31における斜視図である。図5は、構造部材100の継手部31における側面図である。
図6A及び図6Bは、第1配置工程及び第1押圧工程を説明するためのベース上に配置された押出材パネルの斜視図である。図7A及び図7Bは、第1押し付け工程を説明するためのベース上に配置された押出材パネルの斜視図である。
図8に示す参考例では、それぞれの押出材パネル11の上部に、平板状の押さえ治具47が2つずつ配置されている。一方の押さえ治具47は、中空部13Cの上部に配置され、他方の押さえ治具47は、X方向の幅の中央がリブ15の真上となる位置に配置されている。これらの押さえ治具47は、いずれもX方向の両端がリブ15にかからない、即ち、押出材パネル11の厚さ方向にリブ15と重ならない位置に配置されている。さらに、押出材パネル11の互いに突き合わされた縁部寄りに配置された押さえ治具49は、中空部13A上に配置されている。
ポートホール押出しは、オス型とメス型との2つのダイスを組み合わせてセットし、材料(ビレット)を押しつけて押出しする方式であり、オス型のエントリーポートから材料が分割されて供給され、メス型と組合せて形成されるチャンバーに充填される。その結果、分割された材料が圧力と塑性変形で再度一体化(固相接合)して中空材が形成される。その一体化されたつなぎ目には、上記した押出し成形による材料同士の接合界面を有する溶着部が形成される。
(1) 少なくとも一つが押出方向に沿って複数列の中空部を有する複数の押出材パネルと、前記押出材パネルの縁部同士が突き合わされて摩擦撹拌接合された継手部とを有する構造部材であって、
前記継手部は、
前記押出材パネルの厚さ方向の総肉厚が15mm以下であり、
前記押出材パネルの表面側に形成された第1撹拌接合部と、
前記押出材パネルの裏面側に形成された第2撹拌接合部と、
前記押出材パネルの前記表面側及び前記裏面側に前記縁部に沿ってそれぞれ形成されたショルダー撹拌面と、
を有し、
前記ショルダー撹拌面の長手方向と前記厚さ方向とに直交する幅方向の長さをWtf、
前記押出材パネル内で隣り合う前記中空部同士の間に形成されるリブの前記幅方向の長さをWrとしたとき、
前記押出材パネルの前記縁部から、前記縁部に最も近くに配置された前記中空部の前記縁部側の端部までの前記幅方向の長さLは、
L≧Wtf/2+Wr
である構造部材。
この構造部材によれば、表面側の第1摩擦撹拌接合部と裏面側の第2摩擦撹拌接合部とを有する継手部において、押出材パネル同士が表裏でバランスよく安定した接合強度で接合された高品質な構造部材を提供できる。また、継手部は、総肉厚が15mm以下であり、中空部を有する押出材パネルにおける継手部側の縁部が、ショルダー撹拌面の幅の半分と中空部同士の間のリブの厚さとの合計寸法以上の長さ寸法の中実部を有する。したがって、継手部及びその周辺における十分な強度が確保された構造部材が得られる。
この構造部材によれば、第1摩擦撹拌接合部及び第2摩擦撹拌接合部の厚さが2mm以上、5mm以下とされているので、継手部における接合強度を表裏で十分に確保できる。
この構造部材によれば、リブの厚さが中空部の厚さの半分以上とされているので、中空部を有する押出材パネル自体の強度も十分に確保できる。
前記厚さ方向に関して、前記押出材パネルの前記表面側の面から前記溶着部の界面までの範囲に前記第1撹拌接合部が形成され、前記裏面側の面から前記溶着部の界面までの範囲に前記第2撹拌接合部が形成され、前記第1撹拌接合部と前記第2撹拌接合部とは、前記溶着部の界面を跨がらずに形成されている、(1)から(3)のいずれか1つに記載の構造部材。
この構造部材によれば、溶着部を変形させることなく第1撹拌接合部及び第2撹拌接合部が形成されるため、不連続部である溶着部が塑性変形することがなく、接合不完全部(ボイド)や割れの発生を抑制できる。
この構造部材によれば、ポートホール押出しにより中空形材を安定して形成できる。
ベースに前記複数の押出材パネルを平坦状に並べて配置させる第1配置工程と、
前記押出材パネル同士を前記平坦状に並べた面内で互いに近接する方向に押圧して前記縁部同士を突き合わせる第1押圧工程と、
前記ベースの前記押出材パネルを挟んだ他方の側から押さえ治具を前記押出材パネルに当接させ、前記押出材パネルを前記ベースへ押し付ける第1押し付け工程と、
複数の前記押出材パネルが互いに突き合わされた前記縁部同士間の接合線に沿って、前記押出材パネルの前記押さえ治具側の片面から摩擦撹拌接合する第1接合工程と、
片面が摩擦撹拌接合された前記押出材パネルから前記押さえ治具を退避させ、前記押出材パネルを、表裏を反転させて再び前記ベース上に配置させる第2配置工程と、
前記押出材パネルを前記面内で互いに近接する方向に押圧して前記端部同士を突き合わせる第2押圧工程と、
前記ベースの前記押出材パネルを挟んだ他方の側から前記押さえ治具を再び前記押出材パネルに当接させ、前記押出材パネルを前記ベースへ押し付ける第2押し付け工程と、
前記接合線に沿って、前記押出材パネルの前記押さえ治具側の片面から摩擦撹拌接合する第2接合工程と、
を含む、構造部材の製造方法。
この構造部材の製造方法によれば、摩擦撹拌接合させる際に、押出材パネル同士を互いに近接する方向へ押圧し、押出材パネルをベースへ押し付けるので、接合箇所を境として生じる反りを抑えることができる。しかも、表裏から摩擦撹拌接合させることにより、接合箇所を境として生じる反りを相殺させることができる。これにより、反りが抑えられて押出材パネル同士が接合された高品質な構造部材が得られる。
この構造部材の製造方法によれば、押さえ治具によって押出材パネルをベースに押し付ける際の押出材パネルの変形を抑えることができる。
この構造部材の製造方法によれば、押さえ治具によって押出材パネルを接合方向の全長にわたって押し付けるので、押出材パネル同士を全長にわたって良好に接合させることができる。
前記押出材パネルの厚さ方向に関して、前記押出材パネルの一方の面から前記溶着部の界面までの範囲に前記第1接合工程による第1撹拌接合部を形成し、前記押出材パネルの他方の面から前記溶着部の界面までの範囲に前記第2接合工程による第2撹拌接合部を形成し、前記第1撹拌接合部と前記第2撹拌接合部とを前記溶着部の界面を跨がずに形成する、(6)から(8)のいずれか1つに記載の構造部材の製造方法。
この構造部材の製造方法によれば、溶着部を変形させることなく第1撹拌接合部及び第2撹拌接合部が形成されるため、不連続部である溶着部が塑性変形することがなく、接合不完全部(ボイド)や割れの発生を抑制できる。
この構造部材の製造方法によれば、マシニングセンタ等の機械加工用の工作機械に摩擦撹拌ツールを装着させて摩擦撹拌接合を行った後に、リーマ等の切削工具を付け替えて機械加工を容易に行うことができる。
11a 凹状部分
11b 表側の面
11c 裏側の面
13A,13B,13C 中空部
15 リブ
17 中実部
31 継手部
33 第1撹拌接合部
35 第2撹拌接合部
37 ショルダー撹拌面
41 ベース
43 平滑面
47,49 押圧リブ(押さえ治具)
47a,49a 平面部
100 構造部材
D1 第1撹拌接合部の深さ
D2 第2撹拌接合部の深さ
L 中実部の幅
T2 中空部の厚さ
T3 総肉厚
Tr リブの幅
Tc 切削工具
Tf 摩擦撹拌ツール
Wtf ショルダー撹拌面の幅
WL 溶着部の界面
Wr リブの幅
Claims (9)
- 少なくとも一つが押出方向に沿って複数列の中空部を有する複数の押出材パネルと、前記押出材パネルの縁部同士が突き合わされて摩擦撹拌接合された継手部とを有する構造部材であって、
前記継手部は、
前記押出材パネルの厚さ方向の総肉厚が15mm以下であり、
前記押出材パネルの表面側に形成された第1撹拌接合部と、
前記押出材パネルの裏面側に形成された第2撹拌接合部と、
前記押出材パネルの前記表面側及び前記裏面側に前記縁部に沿ってそれぞれ形成されたショルダー撹拌面と、
を有し、
前記ショルダー撹拌面の長手方向と前記厚さ方向とに直交する幅方向の長さをWtf、前記押出材パネル内で隣り合う前記中空部同士の間に形成されるリブの前記幅方向の長さをWrとしたとき、
前記押出材パネルの前記縁部から、前記縁部に最も近くに配置された前記中空部の前記縁部側の端部までの前記幅方向の長さLは、
L≧Wtf/2+Wr
であり、
前記押出材パネルは、前記厚さ方向の一部に、押出し成形による材料同士の接合界面を有する溶着部が形成された中空形材であり、
前記厚さ方向に関して、前記押出材パネルの前記表面側の面から前記溶着部の界面までの範囲に前記第1撹拌接合部が形成され、前記裏面側の面から前記溶着部の界面までの範囲に前記第2撹拌接合部が形成され、前記第1撹拌接合部と前記第2撹拌接合部とは、前記溶着部の界面を跨がらずに形成されている、
構造部材。 - 前記第1撹拌接合部及び前記第2撹拌接合部は、前記厚さ方向に関してそれぞれ2mm以上、5mm以下の厚さを有する、
請求項1に記載の構造部材。 - 前記押出材パネルは、アルミニウム又はアルミニウム合金である、
請求項1または2に記載の構造部材。 - 少なくとも一つが押出方向に沿って複数列の中空部を有する複数の押出材パネルを、該押出材パネルの縁部同士を突き合わせて摩擦撹拌接合する構造部材の製造方法であって、
ベースに前記複数の押出材パネルを平坦状に並べて配置させる第1配置工程と、
前記押出材パネル同士を前記平坦状に並べた面内で互いに近接する方向に押圧して前記縁部同士を突き合わせる第1押圧工程と、
前記ベースの前記押出材パネルを挟んだ他方の側から押さえ治具を前記押出材パネルに当接させ、前記押出材パネルを前記ベースへ押し付ける第1押し付け工程と、
複数の前記押出材パネルが互いに突き合わされた前記縁部同士間の接合線に沿って、前記押出材パネルの前記押さえ治具側の片面から摩擦撹拌接合する第1接合工程と、
片面が摩擦撹拌接合された前記押出材パネルから前記押さえ治具を退避させ、前記押出材パネルを、表裏を反転させて再び前記ベース上に配置させる第2配置工程と、
前記押出材パネルを前記面内で互いに近接する方向に押圧して前記端部同士を突き合わせる第2押圧工程と、
前記ベースの前記押出材パネルを挟んだ他方の側から前記押さえ治具を再び前記押出材パネルに当接させ、前記押出材パネルを前記ベースへ押し付ける第2押し付け工程と、
前記接合線に沿って、前記押出材パネルの前記押さえ治具側の片面から摩擦撹拌接合する第2接合工程と、
を含む、構造部材の製造方法。 - 前記押さえ治具は、前記押出材パネルの前記中空部の長手方向に延びて設けられ、前記第1押し付け工程及び前記第2押し付け工程において、前記押出材パネル内で隣り合う前記中空部同士の間に形成されるリブと前記押出材パネルの厚さ方向に重なるように配置する、
請求項4に記載の構造部材の製造方法。 - 前記第1押し付け工程及び前記第2押し付け工程において、前記押さえ治具によって前記押出材パネルを前記摩擦撹拌接合の接合線の全長にわたって前記ベースに押し付ける、請求項4に記載の構造部材の製造方法。
- 前記押出材パネルは、前記押出材パネルの厚さ方向の一部に、押出し成形による材料同士の接合界面を有する溶着部が形成された中空形材であり、
前記押出材パネルの厚さ方向に関して、前記押出材パネルの一方の面から前記溶着部の界面までの範囲に前記第1接合工程による第1撹拌接合部を形成し、前記押出材パネルの他方の面から前記溶着部の界面までの範囲に前記第2接合工程による第2撹拌接合部を形成し、前記第1撹拌接合部と前記第2撹拌接合部とを前記溶着部の界面を跨がずに形成する、
請求項4から6のいずれか1項に記載の構造部材の製造方法。 - 前記第2接合工程の後に、前記押出材パネルに機械加工を施す、
請求項4から6のいずれか1項に記載の構造部材の製造方法。 - 前記第2接合工程の後に、前記押出材パネルに機械加工を施す、
請求項7に記載の構造部材の製造方法。
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