JP2023035000A - バッテリーケース及びバッテリーケースの製造方法 - Google Patents

バッテリーケース及びバッテリーケースの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】軽量かつ低コストなバッテリーケース及びバッテリーケースの製造方法を提供する。【解決手段】バッテリーケース10は、矩形状の枠状部11と、枠状部11の内部を仕切るように、枠状部11の互いに平行な一対の壁面に向かって延びる少なくとも1本のクロスメンバと、を備える。枠状部11はアルミニウム製又はアルミニウム合金製であり、クロスメンバ20は鋼製であり、枠状部11の壁面には鋼板30が溶接により接合され、鋼板30には枠状部11の壁面に臨む第一孔31を有し、鋼板30と枠状部11の壁面とは第一孔31にて溶接により接合され、第一孔31はアルミニウム又はアルミニウム合金の溶接金属WAで埋められており、鋼板30とクロスメンバ20の長手方向の一端部とは溶接により接合される。【選択図】図2

Description

本発明は、バッテリーケース及びバッテリーケースの製造方法に関する。
近年、電力により駆動する車両(電気自動車、ハイブリッド自動車等を含む)の開発が、進展している。このような車両に搭載する電池システムは、一般的に、多数のバッテリ(電池、電池セル)を所定のフレーム等により構成したバッテリーケースに収納した構造を有している。
バッテリーを収納するバッテリーケースには、バッテリーを衝突などによる衝撃から保護するため強度が必要とされる。また、排気ガス等による地球環境問題に対する燃費の向上の観点から、バッテリーケースの軽量化も要求される。
例えば、図31に示すように、一般的なバッテリーケース100は、4本のフレーム部材102によって構成される矩形状の枠状部101と、枠状部101の下面に配置される板状の床状部103と、強度強化のために両端部が枠状部101に接合される複数のクロスメンバ104と、を有する。フレーム部材102及びクロスメンバ104としては、軽量かつ高剛性であることから、アルミニウム材の押出成型品が多用される。
特許文献1の自動車の車体フレームにおいては、アルミニウム材製の閉断面構造を有するサイドフレームと、アルミニウム材製の閉断面構造を有するクロスメンバとを、締結部材を介して締結することで、フレーム部材の結合強度の低下を防止することが記載されている。具体的に、締結部材は、平板状の基部と、基部に対して垂直方向に延びる一対の支持部と、を有するπ字状の押出形材からなるアルミニウム材製である。基部はサイドフレームの側面にボルトにより締結され、一対の支持部はクロスメンバの端部を挟持し、クロスメンバと支持部とが溶接部で溶接されている。
特開2007-269123号公報
このように、枠状部101を構成するフレーム部材102やクロスメンバ104を全てアルミニウム製とした場合、軽量化は可能となるものの、鋼や鉄等の材料を用いた場合に比べて高コストとなる。一方、フレーム部材102やクロスメンバ104を全て鋼製とした場合、低コスト化できるが、重量が増加してしまう。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、軽量かつ低コストなバッテリーケース及びバッテリーケースの製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、バッテリーケースに係る下記[1]の構成により達成される。
[1]
矩形状の枠状部と、
前記枠状部の内部を仕切るように、前記枠状部の互いに平行な一対の壁面に向かって延びる少なくとも1本のクロスメンバと、
を備え、
前記枠状部は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製であり、
前記クロスメンバは、鋼製であり、
前記枠状部の前記壁面には、鋼板が溶接により接合されるバッテリーケースであって、
前記鋼板は、前記壁面に臨む第一孔を有し、
前記鋼板と前記壁面とは、前記第一孔にて溶接により接合され、
前記第一孔は、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶接金属で埋められており、
前記鋼板と、前記クロスメンバの長手方向の一端部とは、溶接により接合される
ことを特徴とするバッテリーケース。
また、本発明の上記目的は、バッテリーケースの製造方法に係る下記[2]の構成により達成される。
[2]
矩形状の枠状部と、
前記枠状部の内部を仕切るように、前記枠状部の互いに平行な一対の壁面に向かって延びる少なくとも1本のクロスメンバと、
を備え、
前記枠状部は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製であり、
前記クロスメンバは、鋼製であり、
前記枠状部の前記壁面に、鋼板を溶接により接合するバッテリーケースの製造方法であって、
前記鋼板は、前記壁面に臨む第一孔を有し、
、前記第一孔をアルミニウム又はアルミニウム合金の溶接金属で埋めることで、前記鋼板と前記壁面とを接合し、
前記鋼板と、前記クロスメンバの長手方向の一端部とを、溶接により接合する
ことを特徴とするバッテリーケースの製造方法。
本発明によれば、軽量かつ低コストなバッテリーケース及びバッテリーケースの製造方法を提供できる。
図1は、第1実施形態に係るバッテリーケースの斜視図である。 図2(a)~(e)は、バッテリーケースの製造方法を説明するための図である。 図3は、鋼板と第一フレーム部材との溶接方法を説明するための図である。 図4は、鋼板及び第一フレーム部材の接合箇所の断面図である。 図5は、クロスメンバ及び床状部の接合箇所の断面図である。 図6(a)~(d)は、第一実施形態の第一変形例に係るバッテリーケースの製造方法を説明するための図である。 図7(a)~(e)は、第二実施形態に係るバッテリーケースの製造方法を説明するための図である。 図8(a)~(e)は、第二実施形態の第一変形例に係るバッテリーケースの製造方法を説明するための図である。 図9(a)~(e)は、第二実施形態の第二変形例に係るバッテリーケースの製造方法を説明するための図である。 図10(a)~(g)は、第二実施形態の第三変形例に係るバッテリーケースの製造方法を説明するための図である。 図11(a)~(g)は、第二実施形態の第四変形例に係るバッテリーケースの製造方法を説明するための図である。 図12(a)~(e)は、第二実施形態の第五変形例に係るバッテリーケースの製造方法を説明するための図である。 図13(a)~(e)は、第三実施形態に係るバッテリーケースの製造方法を説明するための図である。 図14は、図13(e)のXIV-XIV断面図である。 図15(a)~(d)は、第三実施形態の第一変形例に係るバッテリーケースの製造方法を説明するための図である。 図16(a)~(e)は、第三実施形態の第二変形例に係るバッテリーケースの製造方法を説明するための図である。 図17は、図16(e)のXVII-XVII断面図である。 図18(a)~(e)は、鋼板の変形例を示す図である。 図19(a)~(d)は、第三実施形態の第三変形例に係るバッテリーケースの製造方法を説明するための図である。 図20(a)~(e)は、第三実施形態の第四変形例に係るバッテリーケースの製造方法を説明するための図である。 図21(a)~(d)は、第三実施形態の第五変形例に係るバッテリーケースの製造方法を説明するための図である。 図22(a)~(e)は、第四実施形態に係るバッテリーケースの製造方法を説明するための図である。 図23は、図22(e)のXXIII-XXIII断面図である。 図24(a)~(e)は、第四実施形態の第一変形例に係るバッテリーケースの製造方法を説明するための図である。 図25(a)~(e)は、第四実施形態の第二変形例に係るバッテリーケースの製造方法を説明するための図である。 図26(a)~(e)は、第五実施形態に係るバッテリーケースの製造方法を説明するための図である。 図27(a)~(e)は、第五実施形態の変形例に係るバッテリーケースの製造方法を説明するための図である。 図28は、図27(e)のXXVIII-XXVIII断面図である。 図29Aは、鋼板の製造方法の一例を示す斜視図である。 図29Bは、鋼板の製造方法の一例を示す斜視図である。 図30Aは、鋼板の例を示す斜視図である。 図30Bは、鋼板の例を示す斜視図である。 図30Cは、鋼板の例を示す斜視図である。 図30Dは、鋼板の例を示す斜視図である。 図30Eは、鋼板の例を示す斜視図である。 図30Fは、鋼板の例を示す斜視図である。 図30Gは、鋼板の例を示す斜視図である。 図31は、従来のバッテリーケースの斜視図である。
以下、本発明に係るバッテリーケース及びバッテリーケースの製造方法の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第一実施形態)
図1は、第1実施形態に係るバッテリーケース10の斜視図である。図1に示すように、本実施形態のバッテリーケース10は、複数の第一、第二フレーム部材12,13によって構成される矩形状の枠状部11と、枠状部11の内部に配置される少なくとも1本(本実施形態では、2本)のクロスメンバ20と、バッテリーケース10の底面を構成するように枠状部11と連結される床状部40と、を備える。
枠状部11を構成する複数の第一、第二フレーム部材12,13と、床状部40とは、いずれもアルミニウム又はアルミニウム合金(以下、アルミニウム材とも言う)製である。クロスメンバ20は、鋼製である。このように、バッテリーケース10の構成部材のうち、枠状部11及び床状部40をアルミニウム材製とする一方、クロスメンバ20を鋼製とすることで、軽量化と低コスト化が両立できる。
枠状部11は、互いに平行に配置される一対の第一フレーム部材12と、該一対の第一フレーム部材12の両端部に、両端部がそれぞれ接合された一対の第二フレーム部材13と、によって、平面視矩形状に形成されている。
図2(a)~(e)は、バッテリーケース10の製造方法を説明するための図である。具体的に、図2(b)に示すように、第二フレーム部材13の端面が、第一フレーム部材12の端部の側面12aに突き合わされた状態で、第二フレーム部材13の端面の縁部と第一フレーム部材12の側面12aとで形成される隅部がアーク溶接で線溶接されることで、第一フレーム部材12と第二フレーム部材13とが接合される。したがって、枠状部11の互いに平行な一対の壁面は、対向する一対の第一フレーム部材12の一対の側面12aによって構成される。
なお、第一フレーム部材12と第二フレーム部材13との溶接は、消耗電極(溶接ワイヤ)としてアルミニウム又はアルミニウム合金を用いたMIG溶接装置50(以後、「アルミニウムMIG溶接装置」とも呼ぶ)によって行われる。したがって、第一フレーム部材12と第二フレーム部材13とは、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶接金属WA(以後、「アルミニウム溶接金属」とも呼ぶ)によって接合される。
また、本実施形態では、第一フレーム部材12と第二フレーム部材13とは、板材からなる床状部40の上に配置されている。そして、図2(b)に示すように、第一フレーム部材12及び第二フレーム部材13の下面と床状部40の上面とで形成される隅部も、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接される。したがって、これらの溶接箇所にも、アルミニウム溶接金属WAが形成される。
なお、第一フレーム部材12と第二フレーム部材13の下面には、床状部40に沿って延びるフランジ(不図示)が形成されてもよく、第一、第二フレーム部材12,13のフランジと床状部40とが、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接されてもよい。
各クロスメンバ20は、バッテリーケース10の強度を向上させるための部材であり、4本の第一、第二フレーム部材12、13で区画された枠状部11の内部を仕切るように、枠状部11の互いに平行な一対の壁面(一対の第一フレーム部材12の互いに対向する側面12a)に向かって延びている
図2(d)に示すように、クロスメンバ20の長手方向(図中の左右方向)の長さは第二フレーム部材13の長手方向の長さよりも僅かに短く、クロスメンバ20の長手方向の両端部と一対の第一フレーム部材12の側面12aとの間には、鋼板30が配置される。
鋼板30は、第一フレーム部材12の側面12aに沿って延びる鋼製の板状部材であり、当該側面12aに溶接により接合されている。鋼板30には、クロスメンバ20が接合される箇所を避けた位置に、複数の第一孔31が形成される。本実施形態においては、複数の第一孔31は、鋼板30の厚さ方向(図中の左右方向)と高さ方向(図中の上下方向)とに直交する幅方向(図中の右上左下方向)両側部に、第一孔31が六個ずつ形成される。そして、後述するように、鋼板30の幅方向両側に形成された第一孔31の間、すなわち鋼板30の幅方向中間部には、クロスメンバ20が接合される。第一孔31は、鋼板30を厚さ方向に貫く貫通孔であり、第一フレーム部材12の側面12aに臨む。第一孔31は、鋼板30を側面12aに溶接により接合するための孔となる。
鋼板30は鋼製であるのに対し、第一フレーム部材12はアルミニウム材製であるため、通常のアーク溶接で異材である両者を接合しようとした場合、鋼とアルミニウム材との接合界面に生成される金属間化合物が問題となる。Fe(鋼)とAl(アルミニウム材)との金属間化合物(AlFeやAlFe等)は脆い性質を持つため、溶接部に割れが発生してしまう可能性がある。
また、バッテリーケース10は、サイズが大きいため、多くの異種金属接合法が必要とするC型クランプが物理的に入りにくく、C型クランプを使用しない異種金属接合法が必要となる。
また、バッテリーケースは水の浸入を極めて嫌うので、ボルトやネジ、リベットが挿入される貫通孔を枠状部11や床状部40に設ける必要がある接合法は使用できない。
図3は、鋼板30と第一フレーム部材12との溶接方法を説明するための図である。本実施形態においては、図3に示すように、第一孔31を有する鋼板30を第一フレーム部材12の側面12aに重ね、アルミニウムMIG溶接装置50によってスポット溶接を行い、鋼板30の第一孔31を介して溶込みを得る。以降、アルミニウムMIG溶接装置50を用いて、鋼製部材に設けられた貫通孔を介して、鋼製部材とアルミニウム材製部材とのスポット溶接を行う方法を「異材MIGスポット溶接」と呼ぶ。なお、シールドガスGとしては、アルゴンやヘリウム等の公知の不活性ガスが用いられる。鋼板30を溶かさない程度の低電流で溶接が行われ、アルミニウム溶接金属WAと第一フレーム部材12との間で溶込みを得るため、上述のような金属間化合物による問題は生じない。また、従来の異種金属接合法のように、C型クランプは不要であり、第一フレーム部材12に貫通孔を設ける必要がなくバッテリーケース10への水の浸入も防止できる。
図4は、鋼板30及び第一フレーム部材12の接合箇所の断面図である。図4に示すように、鋼板30と第一フレーム部材12との溶接後、第一孔31はアルミニウム溶接金属WAで埋められている。そして、アルミニウム溶接金属WAは、鋼板30をその厚さ方向に延びて第一フレーム部材12に到達する軸部WA1と、軸部WA1のうち鋼板30の外部に突出した先端部から外周側に膨出した頭部WA2と、軸部WA1のうち第一フレーム部材12の内部に突出した基端部から外周側に膨出した鍔部WA3と、を有するリベット形状となる。頭部WA1と鍔部WA3とによって鋼板30及び第一フレーム部材12が挟み込まれて固定される。
このようにして、鋼板30と第一フレーム部材12の側面12aとが、複数の第一孔31にて異材MIGスポット溶接により接合される。なお、第一孔31の数や配置等は特に限定されない。
また、図2(c)~(d)に示すように、クロスメンバ20は、高さ方向(図中の上下方向)の下端部に開口を有する断面逆U字形状であり、長手方向(図中の左右方向)の両端部にも開口を有する。そして、クロスメンバ20の高さ方向の下端部には、床状部40に沿って延びる一対のフランジ部21,21が設けられている。一対のフランジ部21,21は、クロスメンバ20の長手方向全長にわたって、上記高さ方向及び長手方向と直交する幅方向(図中、右上左下方向)に延びている。このように、クロスメンバ20は、上面26と、上面26の幅方向両端から下方に延びる一対の側面24と、それぞれの側面24の下端から垂直に延びるフランジ部21と、を有する。
フランジ部21には、当該フランジ部21を上下方向に貫通し、床状部40に臨む第三孔22が複数形成される。本実施形態の複数の第三孔22は、クロスメンバ20の長手方向において等間隔に配置されているが、第三孔22の数や配置等は特に限定されるものではない。
そして、クロスメンバ20は鋼製であるのに対し床状部40はアルミニウム材製であるので、上述の鋼板30と第一フレーム部材12との溶接と同様に、アルミニウムMIG溶接装置50を用いて異材MIGスポット溶接を行う。図5は、クロスメンバ20及び床状部40の接合箇所の断面図である。図5に示すように、フランジ部21と床状部40との溶接後、第三孔22はアルミニウム溶接金属WAで埋められている。そして、アルミニウム溶接金属WAは、フランジ部21をその厚さ方向に延びて床状部40に到達する軸部WA1と、軸部WA1のうちフランジ部21の外部に突出した先端部から外周側に膨出した頭部WA2と、軸部WA1のうち床状部40の外部に突出した基端部から外周側に膨出した鍔部WA3と、を有するリベット形状となる。頭部WA1と鍔部WA3とによってフランジ部21及び床状部40が挟み込まれて固定される。
このようにして、クロスメンバ20と床状部40とが、複数の第三孔22にて異材MIGスポット溶接により接合される。
クロスメンバ20の長手方向の両端部と、一対の第一フレーム部材12の側面12aに接合された鋼板30とは、溶接により接合される。具体的には、図2(e)に示すように、クロスメンバ20の長手方向の一端部が、鋼板30に突き合わされ、クロスメンバ20の長手方向の一端部の縁部と鋼板30とで形成される隅部が、アーク溶接で線溶接される。クロスメンバ20の長手方向の他端部についても、同様に、鋼板30に溶接によって接合される。
クロスメンバ20と鋼板30との溶接は、消耗電極(溶接ワイヤ)として鋼を用いた、MAG溶接装置60(以後、「鋼MAG溶接装置」とも呼ぶ)によって行われる。したがって、クロスメンバ20と鋼板30とは、鋼の溶接金属WS(以後、「鋼溶接金属」とも呼ぶ)によって接合される。
枠状部11と複数のクロスメンバ20で仕切られたバッテリーケース10の各区画には、不図示のバッテリーが収容される。
また、本実施形態では、第一、第二フレーム部材12,13は、厚みが2~5mm程度のアルミニウム材の中空押出形材からなり、使用するアルミニウム合金の種類は、強度が優れており、かつ、より薄肉化が可能である点で、JIS乃至AAでいう5000系、6000系、7000系などのアルミニウム合金が適用される。アルミニウム合金の中空押出形材は、DC鋳造法や連続鋳造法などの鋳造、均質化熱処理、熱間押出、溶体化及び焼入れ処理、そして必要により人工時効処理などの調質処理を適宜組み合わせて行う、通常の形材製造工程によって製造される。なお、第一、第二フレーム部材12,13をアルミニウム材による押出成形により製造することにより、軽量化を図ることができる。
また、クロスメンバ20は、一般炭素鋼あるいは高強度鋼の板を曲げ成形してΩ状にする、あるいは円形鋼管をつぶし成形して口状に製造することができる。さらには例えば、Π字断面の中にリブ板を溶接して加える、あるいはS字やB字に曲げて合わせ部分を溶接して”日”字にする、などもできる。また、鋼板は防食目的で亜鉛など各種めっきや電着塗装などの表面処理を施すこともできる。
次に、本実施形態のバッテリーケースの製造方法について説明する。
本実施形態のバッテリーケースの製造方法においては、先ず、図2(a)~(b)に示すように、アルミニウムMIG溶接装置50によって、第一孔31を介して鋼板30を第一フレーム部材12の側面12aに溶接する。続けて、共通の溶接装置であるアルミニウムMIG溶接装置50によって、第一、第二フレーム部材12,13同士を溶接することで枠状部11を形成する。さらに、共通の溶接装置であるアルミニウムMIG溶接装置50によって、枠状部11を床状部40に溶接する。なお、アルミニウムMIG溶接装置50による、鋼板30と第一フレーム部材12の側面12aとの溶接、第一フレーム部材12と第二フレーム部材13との溶接、及び枠状部11と床状部40との溶接の順序は、特に限定されない。
次いで、図2(c)~(d)に示すように、クロスメンバ20を床状部40上で鋼板30に突き当てて位置決めした状態で、アルミニウムMIG溶接装置50によって、クロスメンバ20のフランジ部21を床状部40に溶接する。
さらに、図2(e)に示すように、鋼MAG溶接装置60によって、クロスメンバ20の長手方向の端部を鋼板30に溶接する。
このような工程により、バッテリーケース10が製造される。なお、各溶接工程の順序は、適宜変更して構わないが、共通の溶接装置であるアルミニウムMIG溶接装置50を用いて行う溶接工程は、連続して行う方が作業時間短縮となってよい。
以上説明したように、本実施形態のバッテリーケース10によれば、枠状部11はアルミニウム製又はアルミニウム合金製であり、クロスメンバ20は鋼製であり、第一フレーム部材12の側面12a(枠状部11の壁面)には鋼板30が溶接により接合され、鋼板30とクロスメンバ20の長手方向の一端部とは溶接により接合される。したがって、バッテリーケース10の構成部材のうち、枠状部11はアルミニウム材製である一方、クロスメンバ20は鋼製であるので、軽量化と低コスト化を両立可能である。また、鋼板30を枠状部11の壁面に溶接によって接合した上で、さらに、クロスメンバ20を鋼板30に溶接によって接合するので、鋼板30を介してクロスメンバ20を枠状部11に強固に固定することができる。
また、鋼板30には第一フレーム部材12の側面12aに臨む第一孔31が形成され、鋼板30と側面12aとは第一孔31にて溶接により接合される。したがって、鋼製である鋼板30とアルミニウム材製の第一フレーム部材12とを、第一孔31を介して溶接によって確実に接合できる。なお、従来の異種金属接合法のように、C型クランプは不要であり、枠状部11に貫通孔を設ける必要がなくバッテリーケース10への水の浸入も防止できる。
また、第一孔31はアルミニウム溶接金属WAで埋められているので、鋼製である鋼板30とアルミニウム材製の第一フレーム部材12とを、第一孔31を介して溶接によって確実に接合できる。
また、バッテリーケース10は、枠状部11と連結され床面を構成する床状部40をさらに有し、床状部40は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製であり、クロスメンバ20と床状部40とは、溶接により接合される。したがって、バッテリーケース10の構成部材のうち、枠状部11及び床状部40はアルミニウム材製である一方、クロスメンバ20は鋼製であるので、軽量化と低コスト化を両立可能である。さらに、クロスメンバ20と床状部40とは溶接によって強固に接合される。
クロスメンバ20は、床状部40に沿って延びるフランジ部21を有し、フランジ部21には、床状部40に臨む第三孔22が形成され、フランジ部21と床状部40とは、第三孔22にて溶接により接合されている。したがって、鋼製であるクロスメンバ20とアルミニウム材製の床状部40とを、第三孔22を介して溶接によって確実に接合できる。従来の異種金属接合法のように、C型クランプは不要であり、床状部40に貫通孔を設ける必要がなくバッテリーケース10への水の浸入も防止できる。
また、第三孔22はアルミニウム溶接金属WAで埋められているので、鋼製であるクロスメンバ20とアルミニウム材製の床状部40とを、第三孔22を介して溶接によって確実に接合できる。
(第一実施形態の第一変形例)
図6(a)~(d)は、第一実施形態の第一変形例に係るバッテリーケース10の製造方法を説明するための図である。図2(a)~(e)に示した第一実施形態に係るバッテリーケース10の製造方法においては、鋼板30を第一フレーム部材12の側面12aに溶接によって接合した後に、クロスメンバ20を当該鋼板30に溶接によって接合していた。しかしながら、図6(a)~(d)に示す第一変形例のように、クロスメンバ20と鋼板30とを溶接によって接合して予め一体化した上で、鋼板30を第一フレーム部材12の側面12aに溶接によって接合しても構わない。以下、第一変形例のバッテリーケース10の製造方法について具体的に説明する。
図6(a)に示すように、アルミニウムMIG溶接装置50によって、第一、第二フレーム部材12,13同士を溶接することで枠状部11を形成する。さらに、共通の溶接装置であるアルミニウムMIG溶接装置50によって、枠状部11を床状部40に溶接する。
次に、図6(b)に示すように、鋼MAG溶接装置60によって、クロスメンバ20の長手方向の端部を鋼板30に溶接する。これにより、クロスメンバ20と鋼板30とが一体化する。
なお、図6(a)に示した溶接工程と、図6(b)に示した溶接工程と、の順序は特に限定されない。
次に、図6(c)~(d)に示すように、クロスメンバ20と接合一体化した鋼板30を床状部40上で第一フレーム部材12の側面12aに突き当てて位置決めした状態で、アルミニウムMIG溶接装置50によって、クロスメンバ20のフランジ部21を床状部40に溶接する。また、共通のアルミニウムMIG溶接装置50によって、第一孔31を介して鋼板30を第一フレーム部材12の側面12aに溶接する。
このような工程により、バッテリーケース10が製造される。なお、各溶接工程の順序は、適宜変更して構わない。
(第二実施形態)
図7(a)~(e)は、第二実施形態に係るバッテリーケース10の製造方法を説明するための図である。図7(a)に示すように、第一フレーム部材12の側面12aの高さ方向の上部及び下部には、第一リブ14及び第二リブ15が設けられる。第一リブ14及び第二リブ15は、第一フレーム部材12の側面12aに、第一フレーム部材12の長手方向(図中、右上左下方向)に延びるように形成されている。
第一リブ14は、側面12aから垂直にクロスメンバ20に向かって延びる第一基部14aと、第一基部14aの先端から下方に突出する第一突出部14bと、を有する。そして、側面12aと第一基部14aと第一突出部14bとの間には、断面逆U字形状の第一溝部16が画成される。
第二リブ15は、側面12aから垂直にクロスメンバ20に向かって延びる第二基部15aと、第二基部15aの先端から上方に突出する第二突出部15bと、を有する。そして、側面12aと第二基部15aと第二突出部15bとの間には、断面U字形状の第二溝部17が画成される。
上記高さ方向において、第一突出部14bと第二突出部15bとは空隙Sを介して対向しており、当該空隙Sを介して鋼板30とクロスメンバ20との接合が可能となる。
本実施形態においては、図7(a)に示すように、鋼板30は、第一溝部16及び第二溝部17に、第一フレーム部材12の長手方向(図中、右上左下方向)に挿入される。なお、鋼板30が第一溝部16及び第二溝部17に挿入された状態で、鋼板30の複数の第一孔31は、空隙Sを介して枠状部11の内側に露出している。そして、図7(b)に示すように、アルミニウムMIG溶接装置50によって、第一孔31を介して鋼板30が第一フレーム部材12の側面12aに溶接される。
また、第一リブ14及び第二リブ15は、側面12aのうち、第一フレーム部材12の長手方向(図中、右上左下方向)の端部を除いた箇所に形成されている。これにより、側面12aと第一リブ14及び第二リブ15との間には、段部12b,12cが形成される。このような段部12b,12cは、第一リブ14及び第二リブ15を側面12aの全長に設けた上で、当該第一リブ14及び第二リブ15の端部を切り欠くことによって形成されてもよい。
そして、図7(b)に示すように、第二フレーム部材13の端面が、第一フレーム部材12の側面12a及び段部12b,12cに突き合わされた状態で、第二フレーム部材13の端面の縁部と第一フレーム部材12の側面12aとで形成される隅部が、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接されることで、第一フレーム部材12と第二フレーム部材13とが接合される。
また、第一フレーム部材12の第二リブ15及び第二フレーム部材13の下面と床状部40の上面とで形成される隅部も、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接される。
図7(c)に示すように、クロスメンバ20の長手方向の端部には、第一リブ14の第一突出部14bと第二リブ15の第二突出部15bとの間の空隙S(図7(a)参照)の間において、鋼板30に向かって突出する凸部23が形成される。そして、図7(c)~(d)に示すように、クロスメンバ20が床状部40上に配置された状態で、凸部23が空隙Sを埋めるように鋼板30に突き合わされる。ここで、クロスメンバ20の凸部23の高さ寸法を空隙Sよりも大きく設定し、凸部23と、第一及び第二リブ14,15の第一及び第二突出部14b,15bとが、嵌合固定されることが好ましい。これにより、クロスメンバ20と第一フレーム部材12との固定力が向上する。
そして、図7(d)に示すように、クロスメンバ20と床状部40とが、複数の第三孔22にてアルミニウムMIG溶接装置50によって異材MIGスポット溶接により接合される。
さらに、図7(e)に示すように、クロスメンバ20の凸部23の縁部と鋼板30とで形成される隅部が、鋼MAG溶接装置60によって線溶接される。
このような工程により、バッテリーケース10が製造される。なお、各溶接工程の順序は、適宜変更して構わない。
本実施形態のバッテリーケース10によれば、鋼板30は第一溝部16及び第二溝部17に挿入されて配置される。したがって、第一フレーム部材12の側面12aに溶接された鋼板30が剥離してしまうことを防止できる。
また、クロスメンバ20の長手方向の一端部には、第一突出部14bと第二突出部15bとの間において、鋼板30に向かって突出する凸部23が形成され、凸部23と鋼板30とは、溶接により接合される。したがって、第一リブ14及び第二リブ15が設けられた場合であっても、凸部23を介してクロスメンバ20と鋼板30とを溶接によって接合できる。
(第二実施形態の第一変形例)
図8(a)~(e)は、第二実施形態の第一変形例に係るバッテリーケース10の製造方法を説明するための図である。図7(a)~(e)に示した第二実施形態に係るバッテリーケース10の製造方法においては、鋼板30を第一フレーム部材12の側面12aに溶接によって接合した後に、クロスメンバ20を当該鋼板30に溶接によって接合していた。しかしながら、図7(a)~(e)に示す第一変形例のように、クロスメンバ20と鋼板30とを溶接によって接合して予め一体化した上で、鋼板30を第一フレーム部材12の側面12aに溶接によって接合しても構わない。以下、第一変形例のバッテリーケース10の製造方法について具体的に説明する。
図8(a)に示すように、鋼MAG溶接装置60によって、クロスメンバ20の凸部23を鋼板30に溶接する。これにより、クロスメンバ20と鋼板30とが一体化する。そして、図8(b)に示すように、クロスメンバ20と接合一体化した鋼板30を、第一溝部16及び第二溝部17に挿入する。
次に、図8(c)~(d)に示すように、第二フレーム部材13の端面が第一フレーム部材12の側面12a及び段部12b,12cに突き合わされた状態で、第二フレーム部材13の端面の縁部と第一フレーム部材12の側面12aとで形成される隅部が、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接される。また、第一フレーム部材12の第二リブ15及び第二フレーム部材13の下面と床状部40の上面とで形成される隅部も、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接される。
次に、図8(e)に示すように、アルミニウムMIG溶接装置50によって、第三孔22を介してクロスメンバ20のフランジ部21を床状部40に溶接する。また、共通のアルミニウムMIG溶接装置50によって、第一孔31を介して鋼板30を第一フレーム部材12の側面12aに溶接する。
このような工程により、バッテリーケース10が製造される。なお、各溶接工程の順序は、適宜変更して構わない。
(第二実施形態の第二変形例)
図9(a)~(e)は、第二実施形態の第二変形例に係るバッテリーケース10の製造方法を説明するための図である。図7(a)~(e)に示した第二実施形態に係るバッテリーケース10においては、クロスメンバ20の長手方向の端部に、第一リブ14の第一突出部14bと第二リブ15の第二突出部15bとの間において鋼板30に向かって突出する凸部23が形成されていた。本変形例においては、クロスメンバ20に凸部23が形成されず、鋼板30に、第一リブ14の第一突出部14bと第二リブ15の第二突出部15bとの間において、クロスメンバ20に向かって突出する突起部32が形成される。以下、第二変形例のバッテリーケース10の製造方法について具体的に説明する。
図9(a)に示すように、突起部32は、鋼板30の幅方向両側に6個ずつ形成された第一孔31の間に、すなわち鋼板30の幅方向中間部に、形成されている。突起部32の高さは、第一突出部14bと第二突出部15bとの間の空隙Sの寸法と略等しいか僅かに小さい。そして、鋼板30は第一溝部16及び第二溝部17に、第一フレーム部材12の長手方向(図中、右上左下方向)に挿入される。
なお、鋼板30が第一溝部16及び第二溝部17に挿入された状態で、鋼板30の複数の第一孔31は、空隙Sを介して枠状部11の内側に露出している。また、鋼板30の突起部32のクロスメンバ20と当接する当接面は、第一突出部14b及び第二突出部15bのクロスメンバ20と当接する当接面と、面一となっている。
そして、図9(b)に示すように、アルミニウムMIG溶接装置50によって、第一孔31を介して鋼板30が第一フレーム部材12の側面12aに異材MIGスポット溶接される。
また、第二フレーム部材13の端面が、第一フレーム部材12の側面12a及び段部12b,12cに突き合わされた状態で、第二フレーム部材13の端面の縁部と第一フレーム部材12の側面12aとで形成される隅部が、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接される。
また、第一フレーム部材12の第二リブ15及び第二フレーム部材13の下面と床状部40の上面とで形成される隅部も、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接される。
次いで、図9(c)~(d)に示すように、クロスメンバ20が床状部40上に配置された状態で、クロスメンバ20の両端面が、鋼板30の突起部32の当接面並びに第一突出部14b及び第二突出部15bの当接面と突き合わされる。そして、クロスメンバ20と床状部40とが、複数の第三孔22にてアルミニウムMIG溶接装置50によって異材MIGスポット溶接により接合される。
さらに、図9(e)に示すように、クロスメンバ20の長手方向の端部と鋼板30の突起部32とで形成される隅部が、鋼MAG溶接装置60によって線溶接される。
このような工程により、バッテリーケース10が製造される。なお、各溶接工程の順序は、適宜変更して構わない。
本実施形態のバッテリーケース10によれば、鋼板30には、第一突出部14bと第二突出部15bとの間において、クロスメンバ20に向かって突出する突起部32が形成され、突起部32とクロスメンバ20の長手方向と一端部とは、溶接により接合される。したがって、第一リブ14及び第二リブ15が設けられた場合であっても、突起部32を介してクロスメンバ20と鋼板30とを溶接によって接合できる。
なお、本変形例においても、第一変形例(図8(a)~(e)参照)のように、クロスメンバ20と鋼板30とを溶接によって接合して予め一体化した上で、鋼板30を第一及び第二溝部16,17に挿入し、鋼板30を第一フレーム部材12の側面12aに溶接によって接合しても構わない。
(第二実施形態の第三変形例)
図10(a)~(g)は、第二実施形態の第三変形例に係るバッテリーケース10の製造方法を説明するための図である。本変形例の製造方法においては、図10(b)~(c)に示すように、鋼板30に向けて塑性変形させた第一突出部14b及び第二突出部15bによって、鋼板30が第一溝部16及び第二溝部17に固定される点で、第二実施形態(図7(a)~(e)参照)と異なる。
本変形例においては、図10(a)に示すように、先ず、鋼板30が第一溝部16及び第二溝部17に挿入される。図10(b)~(c)には、第一突出部14b及び第二突出部15bを塑性変形させる前後における、第一フレーム部材12及び鋼板30の断面図が示されている。図10(b)に示すように、鋼板30の厚みは、第一溝部16及び第二溝部の幅(側面12aと第一突出部14b及び第二突出部15bとの間の幅)よりも僅かに短く設定され、鋼板30の円滑な挿入が確保されている。したがって、鋼板30と、側面12a又は第一突出部14b及び第二突出部15bと、の間には、ギャップHが生じる。
当該ギャップHをなくすため、図10(c)に示すように、ハンマー70等の塑性変形装置によって、第一突出部14b及び第二突出部15bを鋼板30に向けて塑性変形させることによって、第一突出部14b及び第二突出部15bを鋼板30に当接させる。これにより、鋼板30は、第一フレーム部材12の側面12aと、第一突出部14b及び第二突出部15bと、の間に挟持され、第一溝部16及び第二溝部17に固定される。
以降の図10(d)~(g)に示す工程は、図7(b)~(e)を参照して説明した工程と同様であるので、その説明を省略する。
以上説明したように、本実施形態のバッテリーケース10によれば、鋼板30に向けて塑性変形させた第一突出部14b及び第二突出部15bによって、鋼板30が第一溝部16及び第二溝部17に固定されるので、鋼板30が第一溝部16及び第二溝部17において移動してしまうことを防止でき、鋼板30を第一フレーム部材12に確実に固定できる。
なお、第一変形例(図8(a)~(e)参照)のように、クロスメンバ20と鋼板30とを溶接によって接合して予め一体化した上で、鋼板30を第一フレーム部材12の側面12aに溶接によって接合しても構わない。また、第二変形例(図9(a)~(e)参照)のように、クロスメンバ20に凸部23が形成されず、鋼板30に、第一リブ14の第一突出部14bと第二リブ15の第二突出部15bとの間において、クロスメンバ20に向かって突出する突起部32が形成されるようにしても構わない。
(第二実施形態の第四変形例)
図11(a)~(g)は、第二実施形態の第六変形例に係るバッテリーケース10の製造方法を説明するための図である。本変形例の製造方法においては、第一突出部14b及び第二突出部15bに鋼板30に臨む第二孔18が形成され、第二孔18を介して鋼板30に向かって締結された締結部材によって鋼板30は第一溝部16及び第二溝部17に固定される点で、第二実施形態(図7(a)~(e)参照)と異なる。
図11(a)に示すように、第二孔18は、第一突出部14b及び第二突出部15bにそれぞれに、第一フレーム部材12の長手方向(図中、右上左下方向)に離れて二個ずつ、合計八個形成されている。なお、第二孔18の数や位置は特に限定されないが、第二孔18は、クロスメンバ20が鋼板30と接合された際(図11(g)参照)に、クロスメンバ20と重ならない位置に形成される。図示の例においては、鋼板30の第一孔31と上下方向に整列する位置に配置される。また、第二孔18は、ボルト71を螺合するための雌ネジ溝が形成されたネジ孔である。
本変形例においては、図11(a)に示すように、先ず、鋼板30が第一溝部16及び第二溝部17に挿入される。図11(b)~(c)には、締結部材としてのボルト71を第二孔18を介して鋼板30に締結する前後における、第一フレーム部材12及び鋼板30の断面図が示されている。図11(b)に示すように、鋼板30の厚みは、第一溝部16及び第二溝部の幅(側面12aと第一突出部14b及び第二突出部15bとの間の幅)よりも僅かに短く設定され、鋼板30の円滑な挿入が確保されている。したがって、鋼板30と、側面12a又は第一突出部14b及び第二突出部15bと、の間には、ギャップHが生じる。
当該ギャップHが生じたとしても鋼板30を確実に位置決めするため、図11(c)に示すように、ボルト71を第二孔18に挿入し、鋼板30に向かって締結する。これにより、鋼板30は、第一フレーム部材12の側面12aと、ボルト71と、の間に挟持され、第一溝部16及び第二溝部17に固定される。
以降の図11(d)~(g)に示す工程は、図7(b)~(e)を参照して説明した工程と同様であるので、その説明を省略する。
以上説明したように、本実施形態のバッテリーケース10によれば、第一突出部14b及び第二突出部15bに鋼板30に臨む第二孔18が形成され、第二孔18を介して鋼板30に向かって締結された締結部材によって鋼板30は第一溝部16及び第二溝部17に固定されるので、鋼板30が第一溝部16及び第二溝部17において移動してしまうことを防止でき、鋼板30を第一フレーム部材12に確実に固定できる。
なお、第一変形例(図8(a)~(e)参照)のように、クロスメンバ20と鋼板30とを溶接によって接合して予め一体化した上で、鋼板30を第一フレーム部材12の側面12aに溶接によって接合しても構わない。また、第二変形例(図9(a)~(e)参照)のように、クロスメンバ20に凸部23が形成されず、鋼板30に、第一リブ14の第一突出部14bと第二リブ15の第二突出部15bとの間において、クロスメンバ20に向かって突出する突起部32が形成されるようにしても構わない。
(第二実施形態の第五変形例)
図12(a)~(e)は、第二実施形態の第九変形例に係るバッテリーケース10の製造方法を説明するための図である。本変形例の製造方法においては、第一突出部14b及び第二突出部15bに鋼板30に臨む第二孔18が形成され、第一突出部14b及び第二突出部15bと鋼板30とが第二孔18にて溶接によって接合されることにより、鋼板30が第一溝部16及び第二溝部17に固定される点で、第二実施形態(図7(a)~(e)参照)と異なる。
図12(a)に示すように、第二孔18は、第一突出部14b及び第二突出部15bにそれぞれに、第一フレーム部材12の長手方向(図中、右上左下方向)に離れて二個ずつ、合計八個形成されている。なお、第二孔18の数や位置は特に限定されないが、第二孔18は、クロスメンバ20が鋼板30と接合された際(図12(e)参照)に、クロスメンバ20と重ならない位置に形成される。図示の例においては、鋼板30の第一孔31と上下方向に整列する位置に配置される。
本変形例においては、図12(a)に示すように、先ず、鋼板30が第一溝部16及び第二溝部17に挿入される。そして、図12(b)に示すように、アルミニウムMIG溶接装置50によって、第一孔31を介して鋼板30が第一フレーム部材12の側面12aに溶接される。
第二フレーム部材13の端面が、第一フレーム部材12の側面12a及び段部12b,12cに突き合わされた状態で、第二フレーム部材13の端面の縁部と第一フレーム部材12の側面12aとで形成される隅部が、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接されることで、第一フレーム部材12と第二フレーム部材13とが接合される。
また、第一フレーム部材12の第二リブ15及び第二フレーム部材13の下面と床状部40の上面とで形成される隅部も、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接される。
次いで、図12(c)~(d)に示すように、クロスメンバ20が床状部40上に配置された状態で、凸部23が第一突出部14bと第二突出部15bとの間の空隙Sを埋めるように鋼板30に突き合わされる。そして、クロスメンバ20のフランジ部21と床状部40とが、複数の第三孔22にてアルミニウムMIG溶接装置50によって異材MIGスポット溶接により接合される。
そして、図12(e)に示すように、クロスメンバ20の凸部23の縁部と鋼板30とで形成される隅部が、鋼MAG溶接装置60によって線溶接される。
さらに、第一フレーム部材12の第一突出部14b及び第二突出部15bと鋼板30とが第二孔18にて溶接によって接合されるのであるが、第一フレーム部材12はアルミニウム材製であるのに対し、鋼板30は鋼製であるため、通常のアーク溶接を適用することは好ましくない。そこで、本変形例においては、以下に説明する異材接合用アークスポット溶接が適用される。
先ず、第一突出部14b及び第二突出部15bに設けられた第二孔18に接合補助部材80が挿入される。接合補助部材80は、第二孔18に挿入される中空軸状の挿入部81と、第一突出部14b及び第二突出部15bのクロスメンバ20側の面に配置されるフランジ形状の非挿入部83と、を持った段付きの外形形状を有する。また、接合補助部材80には、挿入部81及び非挿入部83を貫通する中空部85が形成される。なお、非挿入部83の外形形状は、図12(e)に示すような円形に限定されず、任意の形状とすることができる。また、中空部85の形状も、円形に限定されず、任意の形状とすることができる。鋼製の接合補助部材80の材質は、純鉄および鉄合金であれば、特に制限されるものでなく、例えば、軟鋼、炭素鋼、ステンレス鋼などがあげられる。
さらに、接合補助部材80の中空部85には、異材アークスポット溶接装置90によってフィラー材(溶接材料)が溶融した、鉄合金、または、Ni合金の溶接金属が充填される。これにより、中空部85には、溶接金属と、溶融された鋼板30及び接合補助部材80の一部と、によって溶融部が形成される。これにより、第一突出部14b及び第二突出部15bと鋼板30とが接合される。
なお、図示の例においては、第二孔18が第一突出部14b及び第二突出部15bに事前に形成された上で、当該第二孔18に接合補助部材80を挿入していた。しかしながら、接合補助部材80自体をポンチとして、第一突出部14b及び第二突出部15bが配置された下台座に対して、接合補助部材80が固定された上台座を接近させ、打抜き加工を施すことで、第一突出部14b及び第二突出部15bに第二孔18を設ける工程と、接合補助部材80を第二孔18に挿入する工程と、を同時に行なっても構わない。
本変形例のバッテリーケース10によれば、第一突出部14b及び第二突出部15bに鋼板30に臨む第二孔18が形成され、第一突出部14b及び第二突出部15bと鋼板30とが第二孔18にて溶接によって接合されることにより、鋼板30が第一溝部16及び第二溝部17に固定されるので、鋼板30が第一溝部16及び第二溝部17において移動してしまうことを防止でき、鋼板30を第一フレーム部材12に確実に固定できる。
なお、第一変形例(図8(a)~(e)参照)のように、クロスメンバ20と鋼板30とを溶接によって接合して予め一体化した上で、鋼板30を第一フレーム部材12の側面12aに溶接によって接合しても構わない。また、第二変形例(図9(a)~(e)参照)のように、クロスメンバ20に凸部23が形成されず、鋼板30に、第一リブ14の第一突出部14bと第二リブ15の第二突出部15bとの間において、クロスメンバ20に向かって突出する突起部32が形成されるようにしても構わない。
(第三実施形態)
上述のバッテリーケース1においては、第一フレーム部材12の側面12a(枠状部11の壁面)には鋼板30が溶接により接合され、鋼板30とクロスメンバ20の長手方向の一端部とが溶接により接合される。しかしながら、バッテリーケース1は自動車部品としては比較的大きなサイズの構造物であり、また第一フレーム部材12の素材であるアルミニウム材の押出成形品は寸法精度が必ずしも高くないため、不可避的に生じる精度誤差が大きな変位となることがある。このため、第一フレーム部材12の側面12aに接合された鋼板30と、クロスメンバ20と、の間に隙間が生じ、それぞれの部材の単純な突合せ構造では溶接不可能となるおそれがある。
したがって、本実施形態では、第一フレーム部材12の側面12aに接合された鋼板30とクロスメンバ20との突き合わせ部において生じる可能性のある隙間に対し、フレキシブルに対応して接合でき、軽量かつ高剛性なバッテリーケース1、及び当該バッテリーケース1の製造方法について説明する。
図13(a)~(e)は、第三実施形態に係るバッテリーケース10の製造方法を説明するための図である。本実施形態では、クロスメンバ20の長さを、クロスメンバ20の長手方向において互いに対向する一対の第一突出部14b又は一対の第二突出部15bの間の長さよりも短く設計して、第一突出部14b及び第二突出部15bとクロスメンバ20の長手方向の端部との間に隙間Aを形成している。そして、この隙間Aには、鋼板30に形成されたブラケット部33が配置される。当該ブラケット部33は、クロスメンバ20の長手方向の一端部に接合され、且つ、クロスメンバ20との接合位置を調整可能である。すなわち、クロスメンバ20と第一フレーム部材12とは、鋼板30のブラケット部33を介して連結されている。
鋼板30のブラケット部33は、鋼板30の幅方向両側に6個ずつ形成された第一孔31の間に、すなわち鋼板30の幅方向中間部に、形成されている。ブラケット部33は、第一フレーム部材12の側面12aと垂直に延びる平板状である。ブラケット部33の高さは、第一突出部14bと第二突出部15bとの間の空隙Sの寸法と略等しいか僅かに小さい。図13(a)~(b)に示すように、鋼板30が第一溝部16及び第二溝部17に挿入された状態で、ブラケット部33は、第一突出部14b及び第二突出部15bよりもクロスメンバ20側に突出する。
上述の通り、クロスメンバ20は、下端部に開口を有する断面逆U字形状であり、長手方向(図中の左右方向)の両端部にも開口を有する。そして、クロスメンバ20の高さ方向の下端部には、床状部40に沿って延びる一対のフランジ部21,21が設けられている。このように、クロスメンバ20は、上面26と、上面26の幅方向両端から下方に延びる一対の側面24と、それぞれの側面24の下端から垂直に延びるフランジ部21と、を有する。
図14は、図13(e)のXIV-XIV断面図である。図13(c)~(e)及び図14に示すように、ブラケット部33は、クロスメンバ20に内挿されて、クロスメンバ20に対して長手方向に進退可能に形成されている。すなわち、ブラケット部33は、クロスメンバ20の内面と当接可能な外面33aを有し、クロスメンバ20の内部を相対的に摺動可能である。また、クロスメンバ20の両側面24の端部側には、クロスメンバ20の長手方向に直交する長孔である矩形の開口部25が形成されている。したがって、ブラケット部33がクロスメンバ20の内部に配置された場合、開口部25を介してブラケット部33の外面33aが露出する。
そして、開口部25から臨むブラケット部の外面33aと、開口部25の第一フレーム部材12側の縁部25aとを、鋼MAG溶接装置60によって線溶接して接合する。
このようにして、第一フレーム部材12の側面12aと鋼板30とが接合されると共に鋼板30のブラケット部3とクロスメンバ20とが接合されることで、第一フレーム部材12とクロスメンバ20とが連結される。したがって、第一突出部14b及び第二突出部15bとクロスメンバ20の長手方向の端部との間に隙間Aが変化した場合であっても、クロスメンバ20とブラケット部33とが重なり合う長さを変えた状態でクロスメンバ20とブラケット部33を接合することで、隙間Aを埋めることができ、バッテリーケース10の強度を向上させることができる。
次に、本実施形態のバッテリーケースの製造方法について説明する。
先ず、図13(a)に示すように、鋼板30は、第一溝部16及び第二溝部17に、第一フレーム部材12の長手方向(図中、右上左下方向)に挿入される。
次に、図13(b)に示すように、第一フレーム部材12の側面12aと鋼板30とが、第一孔31を介して、アルミニウムMIG溶接装置50によって異材MIGスポット溶接されることで接合される。また、第一フレーム部材12と第二フレーム部材13とが、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接されることで接合される。また、第一フレーム部材12の第二リブ15及び第二フレーム部材13の下面と床状部40の上面とで形成される隅部も、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接されて接合される。
さらに、図13(c)に示すように、鋼板30のブラケット部33に向かってクロスメンバ20を挿入し、クロスメンバ20を床状部40上の所望の位置に配置する。次いで、図13(d)に示すように、クロスメンバ20のフランジ部21と床状部40とが、第三孔22を介して、アルミニウムMIG溶接装置50によって異材MIGスポット溶接されることで接合される。
そして、図13(e)及び図14に示すように、クロスメンバ20の開口部25から臨むブラケット部33の外面33aと、開口部25の第一フレーム部材12側の縁部25aと、を鋼MAG溶接装置60によって線溶接して鋼溶接金属WSを形成する。このように、開口部25の第一フレーム部材12側の縁部25aを溶接することで、開口部25の第一フレーム部材12とは反対側の縁部を溶接する場合と比較して、第一フレーム部材12が溶接トーチと干渉して、溶接作業の障害となることがなく、溶接作業が容易になる。
なお、開口部25におけるブラケット部33とクロスメンバ20の接合方法としては、開口部25を塞ぐように、すなわち、開口部25の周縁部に跨るように溶接ビードを形成して、開口部25を鋼溶接金属WSで埋めて接合してもよい。これにより、クロスメンバ20の長手方向に作用する力に対する抵抗力がより向上する。
以上説明したように本実施形態のバッテリーケース10によれば、フレーム部材12の寸法精度によって、クロスメンバ20が連結される位置における一対の第一フレーム部材12の側面12a間の寸法が異なっていたとしても、第一フレーム部材12の側面12aに接合された鋼板30にクロスメンバ20を接合できない等の不具合を解消することができる。そして、ブラケット部33を用いてクロスメンバ20とフレーム部材12の側面12aに接合された鋼板30とを確実に連結することができ、バッテリーケース1の強度を向上することができる。
また、本実施形態のバッテリーケース10によれば、クロスメンバ20の端部には、その内部に配置されたブラケット部33の外面33aに臨む開口部25が形成されており、ブラケット部33とクロスメンバ20とは、開口部25にて溶接により接合されているため、溶接トーチが第一フレーム部材12と干渉することなく、ブラケット部33とクロスメンバ20とを溶接することができる。
なお、本実施形態のバッテリーケース10においては、第一フレーム部材12は第一及び第二リブ14,15を備えていたが、第一フレーム部材12が第一及び第二リブ14,15を備えない場合にも適用可能である。また、図10(b)~(c)に示したように第一及び第二リブ14,15を鋼板30に向けて塑性変形させてもよく、図11(b)~(c)や図12(b)~(c)に示したように第一フレーム部材12が第一及び第二リブ14,15に形成された第二孔18を介して締結または溶接を行っても構わない。
また、ブラケット部33の形状は適宜変更可能である。
(第三実施形態の第一変形例)
図15(a)~(d)は、第三実施形態の第一変形例に係るバッテリーケース10の製造方法を説明するための図である。本変形例では、図15(a)に示すように、鋼板30のブラケット部33をクロスメンバ20の内部に挿入することで鋼板30とブラケット部33とを仮組みする。このように、クロスメンバ20の少なくとも一端部に、鋼板30のブラケット部33を組み付けた状態で、鋼板30を第一及び第二溝部16,17に挿入する。これにより、枠状部11に対して、ブラケット部33が組付けられたクロスメンバ20が配置される。このとき、ブラケット部33はクロスメンバ20に遊嵌しており、ブラケット部33とクロスメンバ20とは、互いに進退自在となっている。
次に、図15(b)に示すように、クロスメンバ20をブラケット部33に案内されながら移動させ、床状部40上の所望の位置に配置する。そして、クロスメンバ20の開口部25から臨むブラケット部33の外面33aと、開口部25と、を鋼MAG溶接装置によって溶接して接合する。
さらに、図15(c)に示すように、第一フレーム部材12と第二フレーム部材13とが、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接されることで接合される。また、第一フレーム部材12の第二リブ15及び第二フレーム部材13の下面と床状部40の上面とで形成される隅部も、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接されて接合される。
そして、図15(d)に示すように、クロスメンバ20のフランジ部21と床状部40とが、第三孔22を介して、アルミニウムMIG溶接装置50によって異材MIGスポット溶接されることで接合される。また、第一フレーム部材12の側面12aと鋼板30とが、第一孔31を介して、アルミニウムMIG溶接装置50によって異材MIGスポット溶接されることで接合される。
(第三実施形態の第二変形例)
図16(a)~(e)は、第三実施形態の第二変形例に係るバッテリーケース10の製造方法を説明するための図である。本変形例においては、鋼板30は、鋼板30の幅方向両側に6個ずつ形成された第一孔31の間に二つのブラケット部33が形成されている。二つのブラケット部33は、互いに鋼板の幅方向に離間しており、それぞれ第一フレーム部材12の側面12aと垂直に延びる平板状である。二つのブラケット部33はそれぞれ、鋼板30の幅方向に向かって互いに対向する内面33bを有し、これら互いに対向する内面33bの間にクロスメンバ20が挟持される。
先ず、図16(a)に示すように、上記の鋼板30が、第一溝部16及び第二溝部17に、第一フレーム部材12の長手方向(図中、右上左下方向)に挿入される。ここで、各ブラケット部33の高さは、第一突出部14bと第二突出部15bとの間の空隙Sの寸法と略等しいか僅かに小さい。そして、鋼板30が第一溝部16及び第二溝部17に挿入された状態で、各ブラケット部33は、第一突出部14b及び第二突出部15bよりもクロスメンバ20側に突出する。
次に、図16(b)に示すように、第一フレーム部材12の側面12aと鋼板30とが、第一孔31を介して、アルミニウムMIG溶接装置50によって異材MIGスポット溶接されることで接合される。また、第一フレーム部材12と第二フレーム部材13とが、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接されることで接合される。また、第一フレーム部材12の第二リブ15及び第二フレーム部材13の下面と床状部40の上面とで形成される隅部も、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接されて接合される。
さらに、図16(c)に示すように、鋼板30の一対のブラケット部33の内面33b間に向かってクロスメンバ20を挿入し、クロスメンバ20を床状部40上の所望の位置に配置する。すなわち、ブラケット部33は、クロスメンバ20の一対の側面(外面)24)と当接可能な内面33bを有し、クロスメンバ20の一対の側面(外面)24を相対的に摺動可能である。
次いで、図16(d)に示すように、クロスメンバ20のフランジ部21と床状部40とが、第三孔22を介して、アルミニウムMIG溶接装置50によって異材MIGスポット溶接されることで接合される。
図17は、図16(e)のXVII-XVII断面図である。図16(e)及び図17に示すように、ブラケット部33とクロスメンバ20の側面24(外面)とで形成される隅部を鋼MAG溶接装置60によって線溶接して鋼溶接金属WSを形成する。このようにして、鋼板30とクロスメンバ20とがブラケット部33を介して接合される。
以上説明したように本実施形態のバッテリーケース10によれば、フレーム部材12の寸法精度によって、クロスメンバ20が連結される位置における一対の第一フレーム部材12の側面12a間の寸法が異なっていたとしても、フレーム部材12の側面12aに接合された鋼板30にクロスメンバ20を接合できない等の不具合を解消することができる。そして、ブラケット部33を用いてクロスメンバ20とフレーム部材12の側面12aに接合された鋼板30とを確実に連結することができ、バッテリーケース1の強度を向上することができる。
図18(a)~(e)には、鋼板30の変形例が示されている。図18(a)~(e)に示すように、鋼板30は、幅方向に分割された二つの鋼板片30aから構成されても構わない。この場合、それぞれの鋼板片30aが、複数の第一孔31とブラケット部33とを有する。そして、一対の鋼板片30aのブラケット部33の間にクロスメンバ20が挿入され、それぞれのブラケット部33とクロスメンバ20の側面24とが溶接されて接合される。
(第三実施形態の第三変形例)
図19(a)~(d)は、第三実施形態の第三変形例に係るバッテリーケース10の製造方法を説明するための図である。本変形例では、図19(a)に示すように、クロスメンバ20を第二変形例の鋼板30の一対のブラケット部33を間に挿入することで鋼板30とブラケット部33とを仮組みした状態で、鋼板30を第一及び第二溝部16,17に挿入する。このとき、クロスメンバ20は一対のブラケット部33の間に遊嵌しており、クロスメンバ20と一対のブラケット部33は、互いに進退自在となっている。
次に、図19(b)に示すように、クロスメンバ20を一対のブラケット部33に案内されながら移動させ、床状部40上の所望の位置に配置する。そして、ブラケット部33とクロスメンバ20の側面24とで形成される隅部を、鋼MAG溶接装置60によって溶接して接合する。
さらに、図19(c)に示すように、第一フレーム部材12と第二フレーム部材13とが、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接されることで接合される。また、第一フレーム部材12の第二リブ15及び第二フレーム部材13の下面と床状部40の上面とで形成される隅部も、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接されて接合される。
そして、図19(d)に示すように、クロスメンバ20のフランジ部21と床状部40とが、第三孔22を介して、アルミニウムMIG溶接装置50によって異材MIGスポット溶接されることで接合される。また、第一フレーム部材12の側面12aと鋼板30とが、第一孔31を介して、アルミニウムMIG溶接装置50によって異材MIGスポット溶接されることで接合される。
なお、本変形例においても、図18に示した二つの鋼板片30aからなる鋼板30を適用可能である。
(第三実施形態の第四変形例)
図20(a)~(e)は、第三実施形態の第二変形例に係るバッテリーケース10の製造方法を説明するための図である。本変形例においては、鋼板30は、鋼板30の幅方向両側に6個ずつ形成された第一孔31の間にブラケット部33が形成されている。ブラケット部33は、下端に開口を有する逆U字形状である。ブラケット部33は、クロスメンバ20の長手方向の両端部にも開口を有する。
先ず、図20(a)に示すように、上記の鋼板30が、第一溝部16及び第二溝部17に、第一フレーム部材12の長手方向(図中、右上左下方向)に挿入される。ここで、ブラケット部33の高さは、第一突出部14bと第二突出部15bとの間の空隙Sの寸法と略等しいか僅かに小さい。そして、鋼板30が第一溝部16及び第二溝部17に挿入された状態で、ブラケット部33は、第一突出部14b及び第二突出部15bよりもクロスメンバ20側に突出する。
次に、図20(b)に示すように、第一フレーム部材12の側面12aと鋼板30とが、第一孔31を介して、アルミニウムMIG溶接装置50によって異材MIGスポット溶接されることで接合される。また、第一フレーム部材12と第二フレーム部材13とが、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接されることで接合される。また、第一フレーム部材12の第二リブ15及び第二フレーム部材13の下面と床状部40の上面とで形成される隅部も、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接されて接合される。
さらに、図20(c)に示すように、鋼板30の一対のブラケット部33の内面33b間に向かってクロスメンバ20を挿入し、クロスメンバ20を床状部40上の所望の位置に配置する。すなわち、ブラケット部33は、クロスメンバ20の一対の側面(外面)24及び上面26と当接可能な内面33bを有し、クロスメンバ20の一対の側面(外面)24及び上面26を相対的に摺動可能である。
次いで、図20(d)に示すように、クロスメンバ20のフランジ部21と床状部40とが、第三孔22を介して、アルミニウムMIG溶接装置50によって異材MIGスポット溶接されることで接合される。
さらに、図20(e)に示すように、ブラケット部33とクロスメンバ20の一対の側面24とで形成される隅部を鋼MAG溶接装置60によって線溶接して鋼溶接金属WSを形成する。このようにして、鋼板30とクロスメンバ20とがブラケット部33を介して接合される。
(第三実施形態の第五変形例)
図21(a)~(d)は、第三実施形態の第五変形例に係るバッテリーケース10の製造方法を説明するための図である。本変形例では、図21(a)に示すように、クロスメンバ20を第四変形例(図20(a)~(e)参照)の鋼板30のブラケット部33内に挿入することで鋼板30とブラケット部33とを仮組みした状態で、鋼板30を第一及び第二溝部16,17に挿入する。このとき、クロスメンバ20はブラケット部33に遊嵌しており、クロスメンバ20とブラケット部33は、互いに進退自在となっている。
次に、図21(b)に示すように、クロスメンバ20をブラケット部33に案内されながら移動させ、床状部40上の所望の位置に配置する。そして、ブラケット部33とクロスメンバ20の側面24とで形成される隅部を、鋼MAG溶接装置60によって溶接して接合する。
さらに、図21(c)に示すように、第一フレーム部材12と第二フレーム部材13とが、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接されることで接合される。また、第一フレーム部材12の第二リブ15及び第二フレーム部材13の下面と床状部40の上面とで形成される隅部も、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接されて接合される。
そして、図21(d)に示すように、クロスメンバ20のフランジ部21と床状部40とが、第三孔22を介して、アルミニウムMIG溶接装置50によって異材MIGスポット溶接されることで接合される。また、第一フレーム部材12の側面12aと鋼板30とが、第一孔31を介して、アルミニウムMIG溶接装置50によって異材MIGスポット溶接されることで接合される。
(各種ブラケットの製造方法)
続いて、ブラケット部33を備える各種形状の鋼板30の製造方法について説明する。図29A~図29Bは、鋼板30の製造方法の一例を示す斜視図である。例えば、図16(a)~(e)に示すπ字形の鋼板30は、図29A及び図29Bに示すように、1枚の鋼製の板36の一方の面に、ブラケット部33となる2枚の鋼製の板37を垂直に溶接して形成される。鋼板30の製造方法としては、このような板同士を溶接する方法の他、板からの切り出し、鋳造、3Dプリンタ、ロール圧延、切削や穴あけのような機械加工が適用できる。
また、図13(a)~(e)及び図30Aに示す鋼板30は、図30B~図30Gに示すような類似形状に変形して構わない。すなわち、板同士の直交部に面取りを形成する変形や、中抜きを形成する変形は、本願の目的が達成可能である限り適宜行って構わない。
(第四実施形態)
図22(a)~(e)は、第四実施形態に係るバッテリーケース10の製造方法を説明するための図である。本実施形態は、第三実施形態と同様に、クロスメンバ20が連結される位置における一対の第一フレーム部材12の側面12a間の寸法が異なっていたとしても、第一フレーム部材12の側面12aに接合された鋼板30にクロスメンバ20を接合できない等の不具合を解消することを目的とする。ただし、第三実施形態においては、鋼板30に形成されたブラケット部33を用いて鋼板30とクロスメンバ20とを連結していたが、本実施形態においては、鋼板30とクロスメンバ20との間に配置された鋼製のくさび形部材75を用いて鋼板30とクロスメンバ20とを連結する。以下、本実施形態のバッテリーケース10の製造方法を説明する。
図22(a)に示すように、鋼板30の幅方向中間部には突起部32が形成されている。突起部32は、鋼板30の幅方向両側に6個ずつ形成された第一孔31の間に、配置されている。突起部32の高さは、第一突出部14bと第二突出部15bとの間の空隙Sの寸法と略等しいか僅かに小さい。そして、鋼板30は第一溝部16及び第二溝部17に、第一フレーム部材12の長手方向(図中、右上左下方向)に挿入される。
なお、鋼板30が第一溝部16及び第二溝部17に挿入された状態で、鋼板30の複数の第一孔31は、空隙Sを介して枠状部11の内側に露出している。また、鋼板30の突起部32のくさび形部材75と当接する当接面は、第一突出部14b及び第二突出部15bのくさび形部材75と当接する当接面と、面一となっている。
そして、図22(b)に示すように、アルミニウムMIG溶接装置50によって、第一孔31を介して鋼板30が第一フレーム部材12の側面12aに異材MIGスポット溶接される。
また、第二フレーム部材13の端面が、第一フレーム部材12の側面12a及び段部12b,12cに突き合わされた状態で、第二フレーム部材13の端面の縁部と第一フレーム部材12の側面12aとで形成される隅部が、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接される。
また、第一フレーム部材12の第二リブ15及び第二フレーム部材13の下面と床状部40の上面とで形成される隅部も、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接される。
図22(c)に示すように、クロスメンバ20の長手方向の一端面27は、鋼板30の高さ方向に対して傾斜している。すなわち、クロスメンバ20の一端面27は、鋼板30の突起部32との隙間が、上面26から床状部40に(上方から下方に)向かうにしたがって小さくなるように傾斜する傾斜面である。
そして、クロスメンバ20の一端面27と、鋼板30の突起部32及び第一及び第二突出部14b,15bと、が隙間を介して離間するように、クロスメンバ20が床状部40上に配置される。次いで、クロスメンバ20の一端面27と、鋼板30の突起部32の当接面及び第一及び第二突出部14b,15bの当接面との間に、鋼製のくさび形部材75が上方から下方に向かって挿入される。
くさび形部材75は、嵌め合わされる部材に対応した形状とされている。本実施形態のくさび形部材75は、クロスメンバ20の一端面27と当接する第一側面75aと、鋼板30の突起部32の当接面及び第一及び第二突出部14b,15bの当接面と当接する第二側面75bと、を有する。第一側面75aは、クロスメンバ20の一端面27と同様に、上方から下方に向かうにしたがって鋼板30側に傾斜する傾斜面である。また、第二側面75bは、鋼板30の突起部32の当接面及び第一及び第二突出部14b,15bの当接面と同様に、平面形状である。このようにくさび形部材75は、上方から下方に向かうにしたがって、クロスメンバ20の長手方向における幅が小さくなるくさび形形状である。
また、くさび形部材75には、軽量化のため、くさび形部材75を幅方向(図中、右上左下方向)に貫く複数の貫通孔76が設けられている。図示の例では、貫通孔76は三個設けられているが、その個数は特に限定されず、設けられなくても構わない。すなわち、くさび形部材75は、中実又は内部に空間を持った断面形状を有する。この構成によれば、中実であれば強度を高くすることができ、また内部に空間を設ければ軽量化できる。
このように、クロスメンバ20の一端面27と、鋼板30の突起部32及び第一及び第二突出部14b,15bと、の間にくさび形部材75が上方から下方に向かって挿入されることにより、クロスメンバ20が一対の第一フレーム部材12間に固定される。
次いで、図22(d)に示すように、クロスメンバ20と床状部40とが、複数の第三孔22にてアルミニウムMIG溶接装置50によって異材MIGスポット溶接により接合される。
図23は、図22(e)のXXIII-XXIII断面図である。図22(e)及び図23に示すように、鋼MAG溶接装置60によって、クロスメンバ20の一端面27とくさび形部材75の第一側面75aとで形成される隅部が線溶接されるとともに、くさび形部材75の第二側面75bと鋼板30の突起部32とで形成される隅部が線溶接される。これにより、鋼板30とクロスメンバ20とが、くさび形部材75を介して強固に連結される。
このような工程により、バッテリーケース10が製造される。なお、各溶接工程の順序は、適宜変更して構わない。
以上説明したように本実施形態のバッテリーケース10によれば、フレーム部材12の寸法精度によって、クロスメンバ20が連結される位置における一対の第一フレーム部材12の側面12a間の寸法が異なっていたとしても、第一フレーム部材12の側面12aに接合された鋼板30にクロスメンバ20を接合できない等の不具合を解消することができる。そして、くさび形部材75を用いてクロスメンバ20とフレーム部材12の側面12aに接合された鋼板30とを確実に連結することができ、バッテリーケース1の強度を向上することができる。
また、くさび形部材75は、中実又は内部に空間を持った断面形状を有するので、中実であれば強度を高くすることができ、また内部に空間を設ければ軽量化できる。
(第四実施形態の第一変形例)
図24(a)~(e)は、第四実施形態の第一変形例に係るバッテリーケース10の製造方法を説明するための図である。第四実施形態(図22(a)~(e)参照)においては、第一フレーム部材12に第一及び第二リブ14,15が設けられていたため、鋼板30に突起部32が形成されていた。しかしながら、本実施形態のように第一フレーム部材12に第一及び第二リブ14,15が設けられてない場合は、鋼板30に突起部32を設けなくてよい。
この場合、先ず、図24(a)~(b)に示すように、アルミニウムMIG溶接装置50によって、第一孔31を介して鋼板30を第一フレーム部材12の側面12aに溶接する。
また、第二フレーム部材13の端面の縁部と第一フレーム部材12の側面12aとで形成される隅部が、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接される。また、第一フレーム部材12の第二リブ15及び第二フレーム部材13の下面と床状部40の上面とで形成される隅部も、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接される。
図24(c)に示すように、クロスメンバ20の一端面27と鋼板30とが、隙間を介して離間するように、クロスメンバ20が床状部40上に配置される。次いで、クロスメンバ20の一端面27と鋼板30との間に、鋼製のくさび形部材75が上方から下方に向かって挿入されて配置される。これにより、クロスメンバ20が一対の第一フレーム部材12間に固定される。
次いで、図24(d)に示すように、クロスメンバ20と床状部40とが、複数の第三孔22にてアルミニウムMIG溶接装置50によって異材MIGスポット溶接により接合される。
そして、図24(e)に示すように、鋼MAG溶接装置60によって、クロスメンバ20の一端面27とくさび形部材75の第一側面75aとで形成される隅部が線溶接されるとともに、くさび形部材75の第二側面75bと鋼板30とで形成される隅部が線溶接される。これにより、鋼板30とクロスメンバ20とが、くさび形部材75を介して強固に連結される。
このような工程により、バッテリーケース10が製造される。なお、各溶接工程の順序は、適宜変更して構わない。
(第四実施形態の第二変形例)
図25(a)~(e)は、第四実施形態の第二変形例に係るバッテリーケース10の製造方法を説明するための図である。第四実施形態の第一変形例においては、クロスメンバ20の一端面27と鋼板30との間に、鋼製のくさび形部材75が上方から下方に向かって挿入されて配置される(図24(c))。しかしながら、図25(c)に示すように、くさび形部材75は、クロスメンバ20の一端面27と鋼板30との間に、鋼板30の幅方向(図中、右上左下方向)に挿入されて配置されてもよい。
本変形例では、くさび形部材75を鋼板30の幅方向に挿入するため、くさび形部材75が鋼板30の第一孔31に埋められたアルミニウム溶接金属WAの余盛と干渉しないように、鋼板30が幅方向に延長され、これにより鋼板30の幅方向両側に形成される第一孔31間の距離が延長される。
図25(c)に示すように、クロスメンバ20の長手方向の一端面27は、鋼板30の幅方向すなわち第一フレーム部材12の側面12aの延在方向に対して傾斜している。すなわち、クロスメンバ20の一端面27は、鋼板30との隙間が、幅方向一方側から他方側(図中右上から左下)に向かうにしたがって小さくなるように傾斜する傾斜面である。
そして、クロスメンバ20の一端面27と、鋼板30と、が隙間を介して離間するように、クロスメンバ20が床状部40上に配置される。次いで、クロスメンバ20の一端面27と、鋼板30との間に、くさび形部材75が鋼板30の幅方向一方側から他方側(図中右上から左下)に向かって挿入される。
くさび形部材75は、嵌め合わされる部材に対応した形状とされている。本変形例のくさび形部材75は、クロスメンバ20の一端面27と当接する第一側面75aと、鋼板30と当接する第二側面75bと、を有する。第一側面75aは、クロスメンバ20の一端面27と同様に、鋼板30の幅方向一方側から他方側(図中右上から左下)に向かうにしたがって鋼板30側に傾斜する傾斜面である。また、第二側面75bは、鋼板30と同様に、平面形状である。このようにくさび形部材75は、鋼板30の幅方向一方側から他方側(図中右上から左下)に向かうにしたがって、クロスメンバ20の長手方向における幅が小さくなるくさび形形状である。
そして、くさび形部材75は、鋼板30の幅方向両側の第一孔31に埋められたアルミニウム溶接金属WAの余盛と干渉しないように、アルミニウム溶接金属WAよりも幅方向内側に入り込むように上方から下方に向かって移動させる。次いで、くさび形部材75は、クロスメンバ20の一端面27と鋼板30との間に、鋼板30の幅方向に向かって挿入される。これにより、クロスメンバ20が一対の第一フレーム部材12間に固定される。
次いで、図25(d)に示すように、クロスメンバ20と床状部40とが、複数の第三孔22にてアルミニウムMIG溶接装置50によって異材MIGスポット溶接により接合される。
そして、図25(e)に示すように、鋼MAG溶接装置60によって、クロスメンバ20の一端面27とくさび形部材75の第一側面75aとで形成される隅部が線溶接されるとともに、くさび形部材75の第二側面75bと鋼板30とで形成される隅部が線溶接される。これにより、鋼板30とクロスメンバ20とが、くさび形部材75を介して強固に連結される。
このような工程により、バッテリーケース10が製造される。なお、各溶接工程の順序は、適宜変更して構わない。また、クロスメンバ20の長手方向の両端面と鋼板30との間にそれぞれくさび形部材75を挿入する場合は、それぞれのくさび形部材75の挿入方向を同じにしても良く、逆にしても良い。
(第五実施形態)
図26(a)~(e)は、第五実施形態に係るバッテリーケース10の製造方法を説明するための図である。本変形例は、第三及び第四実施形態と同様に、クロスメンバ20が連結される位置における一対の第一フレーム部材12の側面12a間の寸法が異なっていたとしても、第一フレーム部材12の側面12aにクロスメンバ20を連結できない等の不具合を解消することを目的とする。
本実施形態においては、事前に厚さの異なる鋼板30を用意しておき、第一フレーム部材12とクロスメンバ20との間の隙間Aに対応する鋼板30を選択して、当該隙間に鋼板30が配置される。そして、鋼板30を介して第一フレーム部材12とクロスメンバ20とを連結する。以下、本実施形態のバッテリーケース10の製造方法を説明する。
図26(a)に示すように、本実施形態においては、第一及び第二リブ14,15を有さない第一フレーム部材12が用いられる。
先ず、図26(b)に示すように、第二フレーム部材13の端面の縁部と第一フレーム部材12の側面12aとで形成される隅部が、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接される。また、第一フレーム部材12の下面及び第二フレーム部材13の下面と床状部40の上面とで形成される隅部も、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接される。
次いで、クロスメンバ20のフランジ部21と床状部40とが、複数の第三孔22にてアルミニウムMIG溶接装置50によって異材MIGスポット溶接により接合される。ここで、クロスメンバ20の長手方向の長さは、第二フレーム部材13の長手方向の長さよりも短く、クロスメンバ20の長手方向の両端部と一対の第一フレーム部材12の側面12aとの間には、隙間Aが形成される。
図26(c)に示すように、事前に厚さの異なる複数の鋼板30を用意しておく。そして、図26(d)に示すように、第一フレーム部材12の側面12aとクロスメンバ20との間の隙間Aに対応する厚さを有する鋼板30を選択して、当該隙間Aに鋼板30を配置する。そして、アルミニウムMIG溶接装置50によって、第一孔31を介して鋼板30を第一フレーム部材12の側面12aに溶接する。
そして、図26(e)に示すように、鋼MAG溶接装置60によって、クロスメンバ20の一端部と鋼板30とで形成される隅部が線溶接される。これにより、第一フレーム部材12とクロスメンバ20とが、鋼板30を介して連結される。
このような工程により、バッテリーケース10が製造される。なお、各溶接工程の順序は、適宜変更して構わない。
以上説明したように本実施形態のバッテリーケース10によれば、フレーム部材12の寸法精度によって、クロスメンバ20が連結される位置における一対の第一フレーム部材12の側面12a間の寸法が異なっていたとしても、第一フレーム部材12の側面12aとクロスメンバ20との間の隙間Aに対応する厚さを有する鋼板30が選択配置されるので、第一フレーム部材12の側面12aにクロスメンバ20を連結できない等の不具合を解消することができる。
(第五実施形態の第一変形例)
図27(a)~(e)は、第五実施形態の変形例に係るバッテリーケース10の製造方法を説明するための図である。
図27(a)に示すように、本実施形態においては、第一及び第二リブ14,15を有する第一フレーム部材12が用いられる。そして、鋼板30は第一溝部16及び第二溝部17に挿入される。
次に、図27(b)に示すように、第二フレーム部材13の端部が第一フレーム部材12の段部12bに突き合わされる。また、クロスメンバ20の端部が第一及び第二リブ14,15に突き合わされる。
さらに、図27(c)に示すように、第二フレーム部材13の端面の縁部と第一フレーム部材12の側面12aとで形成される隅部が、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接される。また、第一フレーム部材12の第二リブ15及び第二フレーム部材13の下面と床状部40の上面とで形成される隅部が、アルミニウムMIG溶接装置50によって線溶接される。また、アルミニウムMIG溶接装置50によって、第一孔31を介して鋼板30が第一フレーム部材12の側面12aに溶接される。
次いで、クロスメンバ20のフランジ部21と床状部40とが、複数の第三孔22にてアルミニウムMIG溶接装置50によって異材MIGスポット溶接により接合される。ここで、クロスメンバ20の長手方向の両端部と鋼板30との間には、隙間Bが形成される。
図27(d)に示すように、事前に厚さの異なる複数の鋼製の板状部材35を用意しておく。そして、図27(d)に示すように、クロスメンバ20と鋼板30の間の隙間Bに対応する厚さを有する板状部材35を選択して、当該隙間Bに板状部材35を配置する。そして、
図28には、図27(e)のXXVIII-XXVIII断面図が示されている。図27(e)及び図28に示すように、鋼MAG溶接装置60によって、クロスメンバ20の一端部と板状部材35とで形成される隅部が線溶接されるとともに、板状部材35と鋼板30とで形成される隅部が線溶接される。これにより、鋼板30とクロスメンバ20とが、板状部材35を介して強固に連結される。
このような工程により、バッテリーケース10が製造される。なお、各溶接工程の順序は、適宜変更して構わない。
以上説明したように本実施形態のバッテリーケース10によれば、フレーム部材12の寸法精度によって、クロスメンバ20が連結される位置における一対の第一フレーム部材12の側面12a間の寸法が異なっていたとしても、鋼板30とクロスメンバ20との間の隙間Bに対応する厚さを有する板状部材35が選択配置されるので、第一フレーム部材12の側面12aにクロスメンバ20を連結できない等の不具合を解消することができる。
以上、各実施形態に係るバッテリーケースについて詳細に説明したが、本発明は、前述した各実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。例えば、第四実施形態または第五実施形態においても、図10(b)~(c)に示したように第一及び第二リブ14,15を鋼板30に向けて塑性変形させてもよく、図11(b)~(c)や図12(b)~(c)に示したように第一フレーム部材12が第一及び第二リブ14,15に形成された第二孔18を介して締結または溶接を行っても構わない。また、各実施形態及び各変形例における溶接工程の順序は、上述したものに限られず、適宜変更して構わない。
以上のとおり、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 矩形状の枠状部と、
前記枠状部の内部を仕切るように、前記枠状部の互いに平行な一対の壁面に向かって延びる少なくとも1本のクロスメンバと、
を備え、
前記枠状部は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製であり、
前記クロスメンバは、鋼製であり、
前記枠状部の前記壁面には、鋼板が溶接により接合されるバッテリーケースであって、
前記鋼板は、前記壁面に臨む第一孔を有し、
前記鋼板と前記壁面とは、前記第一孔にて溶接により接合され、
前記第一孔は、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶接金属で埋められており、
前記鋼板と、前記クロスメンバの長手方向の一端部とは、溶接により接合される
ことを特徴とするバッテリーケース。
この構成によれば、バッテリーケースの構成部材のうち、枠状部はアルミニウム材製である一方、クロスメンバは鋼製であるので、軽量化と低コスト化を両立可能である。また、鋼板を枠状部の壁面に溶接によって接合した上で、さらに、クロスメンバを鋼板に溶接によって接合するので、鋼板を介してクロスメンバを枠状部に強固に固定することができる。
また、鋼製である鋼板とアルミニウム材製の枠状部とを、第一孔を介して溶接によって確実に接合できる。
(2) 前記壁面の上部及び下部には、第一リブ及び第二リブが設けられ、
前記第一リブは、前記壁面から前記クロスメンバに向かって延びる第一基部と、前記第一基部の先端から下方に突出する第一突出部と、を有し、
前記壁面と前記第一基部と前記第一突出部との間には、第一溝部が画成され、
前記第二リブは、前記壁面から前記クロスメンバに向かって延びる第二基部と、前記第二基部の先端から上方に突出する第二突出部と、を有し、
前記壁面と前記第二基部と前記第二突出部との間には、第二溝部が画成され、
前記鋼板は、前記第一溝部及び前記第二溝部に配置される
(1)の何れか1つに記載のバッテリーケース。
この構成によれば、壁面に溶接された鋼板が剥離してしまうことを防止できる。
(3) 前記鋼板には、前記第一突出部と前記第二突出部との間において、前記クロスメンバに向かって突出する突起部が形成され、
前記突起部と、前記クロスメンバの前記長手方向の前記一端部とは、溶接により接合される
(2)に記載のバッテリーケース。
この構成によれば、第一リブ及び第二リブが設けられた場合であっても、突起部を介してクロスメンバと鋼板とを溶接によって接合できる。
(4) 前記クロスメンバの前記長手方向の前記一端部には、前記第一突出部と前記第二突出部との間において、前記鋼板に向かって突出する凸部が形成され、
前記凸部と、前記鋼板とは、溶接により接合される
(2)に記載のバッテリーケース。
この構成によれば、第一リブ及び第二リブが設けられた場合であっても、凸部を介してクロスメンバと鋼板とを溶接によって接合できる。
(5) 前記鋼板には、前記クロスメンバに向かって延びるブラケット部が形成され、
前記ブラケット部は、前記クロスメンバの内面と当接可能な外面を有し、前記クロスメンバの内部を相対的に摺動可能であり、
前記クロスメンバには、その内部に配置された前記ブラケット部の前記外面に臨む開口部が形成され、
前記ブラケット部と前記クロスメンバとは、前記開口部にて溶接により接合される
(1)または(2)に記載のバッテリーケース。
この構成によれば、枠状部の寸法精度によって、クロスメンバが連結される位置における一対の壁面間の寸法が異なっていたとしても、壁面に接合された鋼板にクロスメンバを接合できない等の不具合を解消することができる。そして、ブラケット部を用いてクロスメンバと壁面に接合された鋼板とを確実に連結することができ、バッテリーケースの強度を向上することができる。
(6) 前記鋼板には、前記クロスメンバに向かって延びるブラケット部が形成され、
前記ブラケット部は、前記クロスメンバの外面と当接可能な内面を有し、前記クロスメンバの外面を相対的に摺動可能であり、
前記ブラケット部と前記クロスメンバとは、溶接により接合される
(1)または(2)に記載のバッテリーケース。
この構成によれば、枠状部の寸法精度によって、クロスメンバが連結される位置における一対の壁面間の寸法が異なっていたとしても、壁面に接合された鋼板にクロスメンバを接合できない等の不具合を解消することができる。そして、ブラケット部を用いてクロスメンバと壁面に接合された鋼板とを確実に連結することができ、バッテリーケースの強度を向上することができる。
(7) 前記クロスメンバの前記長手方向の一端面は、前記鋼板の高さ方向または前記壁面の延在方向に対して傾斜しており、
前記クロスメンバの前記一端面と前記鋼板との間には、鋼製のくさび形部材が配置され、
前記くさび形部材は、前記クロスメンバと前記鋼板とにそれぞれ溶接により接合される
(1)~(3)の何れか1つに記載のバッテリーケース。
この構成によれば、枠状部の寸法精度によって、クロスメンバが連結される位置における一対の壁面間の寸法が異なっていたとしても、壁面に接合された鋼板にクロスメンバを接合できない等の不具合を解消することができる。そして、くさび形部材を用いてクロスメンバと壁面に接合された鋼板とを確実に連結することができ、バッテリーケースの強度を向上することができる。
(8) 前記枠状部と連結され、床面を構成する床状部をさらに有し、
前記床状部は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製であり、
前記クロスメンバと、前記床状部とは、溶接により接合される
(1)~(7)の何れか1つに記載のバッテリーケース。
この構成によれば、バッテリーケースの構成部材のうち、枠状部及び床状部はアルミニウム材製である一方、クロスメンバは鋼製であるので、軽量化と低コスト化を両立可能である。さらに、クロスメンバと床状部とは溶接によって強固に接合される。
(9) 前記クロスメンバは、前記床状部に沿って延びるフランジ部を有し、
前記フランジ部には、前記床状部に臨む第三孔が形成され、
前記フランジ部と前記床状部とは、前記第三孔にて溶接により接合されており、
前記第三孔は、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶接金属で埋められている
(8)に記載のバッテリーケース。
この構成によれば、鋼製であるクロスメンバとアルミニウム材製の床状部とを、第三孔を介して溶接によって確実に接合できる。
(10) 矩形状の枠状部と、
前記枠状部の内部を仕切るように、前記枠状部の互いに平行な一対の壁面に向かって延びる少なくとも1本のクロスメンバと、
を備え、
前記枠状部は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製であり、
前記クロスメンバは、鋼製であり、
前記枠状部の前記壁面に、鋼板を溶接により接合するバッテリーケースの製造方法であって、
前記鋼板は、前記壁面に臨む第一孔を有し、
、前記第一孔をアルミニウム又はアルミニウム合金の溶接金属で埋めることで、前記鋼板と前記壁面とを接合し、
前記鋼板と、前記クロスメンバの長手方向の一端部とを、溶接により接合する
ことを特徴とするバッテリーケースの製造方法。
この構成によれば、バッテリーケースの構成部材のうち、枠状部はアルミニウム材製である一方、クロスメンバは鋼製であるので、軽量化と低コスト化を両立可能である。また、鋼板を枠状部の壁面に溶接によって接合した上で、さらに、クロスメンバを鋼板に溶接によって接合するので、鋼板を介してクロスメンバを枠状部に強固に固定することができる。
(11) 前記壁面の上部及び下部には、第一リブ及び第二リブが設けられ、
前記第一リブは、前記壁面から前記クロスメンバに向かって延びる第一基部と、前記第一基部の先端から下方に突出する第一突出部と、を有し、
前記壁面と前記第一基部と前記第一突出部との間には、第一溝部が画成され、
前記第二リブは、前記壁面から前記クロスメンバに向かって延びる第二基部と、前記第二基部の先端から上方に突出する第二突出部と、を有し、
前記壁面と前記第二基部と前記第二突出部との間には、第二溝部が画成され、
前記鋼板を、前記第一溝部及び前記第二溝部に配置する
(10)に記載のバッテリーケースの製造方法。
この構成によれば、壁面に溶接された鋼板が剥離してしまうことを防止できる。
(12) 前記鋼板に向けて前記第一突出部及び前記第二突出部を塑性変形することによって、前記鋼板を前記第一溝部及び前記第二溝部に固定する
(11)に記載のバッテリーケースの製造方法。
この構成によれば、鋼板が第一溝部及び第二溝部において移動してしまうことを防止でき、鋼板を枠状部に確実に固定できる。
(13) 前記第一突出部及び前記第二突出部にはそれぞれ、前記鋼板に臨む第二孔が形成され、
前記第二孔を介して前記鋼板に向かって締結部材を締結することによって、前記鋼板を前記第一溝部及び前記第二溝部に固定する
(11)に記載のバッテリーケースの製造方法。
この構成によれば、鋼板が第一溝部及び第二溝部において移動してしまうことを防止でき、鋼板を枠状部に確実に固定できる。
(14) 前記第一突出部及び前記第二突出部にはそれぞれ、前記鋼板に臨む第二孔が形成され、
前記第一突出部及び前記第二突出部と前記鋼板とを前記第二孔にて溶接によって接合することにより、前記鋼板を前記第一溝部及び前記第二溝部に固定する
(11)に記載のバッテリーケースの製造方法。
この構成によれば、鋼板が第一溝部及び第二溝部において移動してしまうことを防止でき、鋼板を枠状部に確実に固定できる。
(15) 前記鋼板には、前記クロスメンバに向かって延びるブラケット部が形成され、
前記ブラケット部は、前記クロスメンバの内面と当接可能な外面を有し、前記クロスメンバの内部を相対的に摺動可能であり、
前記クロスメンバには、その内部に配置された前記ブラケット部の前記外面に臨む開口部が形成され、
前記ブラケット部と前記クロスメンバとを、前記開口部にて溶接により接合する
(10)~(14)の何れか1つに記載のバッテリーケースの製造方法。
この構成によれば、枠状部の寸法精度によって、クロスメンバが連結される位置における一対の壁面間の寸法が異なっていたとしても、壁面に接合された鋼板にクロスメンバを接合できない等の不具合を解消することができる。そして、ブラケット部を用いてクロスメンバと壁面に接合された鋼板とを確実に連結することができ、バッテリーケースの強度を向上することができる。
(16) 前記鋼板には、前記クロスメンバに向かって延びるブラケット部が形成され、
前記ブラケット部は、前記クロスメンバの外面と当接可能な内面を有し、前記クロスメンバの外面を相対的に摺動可能であり、
前記ブラケット部と前記クロスメンバとを、溶接により接合する
(10)~(14)の何れか1つに記載のバッテリーケースの製造方法。
この構成によれば、枠状部の寸法精度によって、クロスメンバが連結される位置における一対の壁面間の寸法が異なっていたとしても、壁面に接合された鋼板にクロスメンバを接合できない等の不具合を解消することができる。そして、ブラケット部を用いてクロスメンバと壁面に接合された鋼板とを確実に連結することができ、バッテリーケースの強度を向上することができる。
(17) 前記クロスメンバの少なくとも一端部に、前記鋼板の前記ブラケット部を組み付ける工程と、
前記枠状部に対して、前記ブラケット部が組付けられた前記クロスメンバを配置する工程と、
前記ブラケット部を、前記クロスメンバに溶接により接合する工程と、
前記鋼板を、前記枠状部の前記壁面に溶接により接合する工程と、
を備える、(15)または(16)に記載のバッテリーケースの製造方法。
この構成によれば、鋼板を介してクロスメンバを枠状部に強固に固定することができる。
(18) 前記枠状部の前記壁面に、前記鋼板を溶接により接合した後、前記鋼板と、前記クロスメンバの長手方向の一端部とを、溶接により接合する
(10)~(14)の何れか1つに記載のバッテリーケースの製造方法。
この構成によれば、鋼板を介してクロスメンバを枠状部に強固に固定することができる。
(19) 前記鋼板と、前記クロスメンバの長手方向の一端部とを、溶接により接合した後、前記枠状部の前記壁面に、前記鋼板を溶接により接合する
(10)~(14)の何れか1つに記載のバッテリーケースの製造方法。
この構成によれば、鋼板を介してクロスメンバを枠状部に強固に固定することができる。
(20) 前記クロスメンバの前記長手方向の一端面は、前記鋼板の高さ方向または前記壁面の延在方向に対して傾斜しており、
前記クロスメンバの前記一端面と前記鋼板との間には、鋼製のくさび形部材が配置され、
前記くさび形部材を、前記クロスメンバと前記鋼板とにそれぞれ溶接により接合する
(10)~(14)の何れか1つに記載のバッテリーケースの製造方法。
この構成によれば、枠状部の寸法精度によって、クロスメンバが連結される位置における一対の壁面間の寸法が異なっていたとしても、壁面に接合された鋼板にクロスメンバを接合できない等の不具合を解消することができる。そして、くさび形部材を用いてクロスメンバと壁面に接合された鋼板とを確実に連結することができ、バッテリーケースの強度を向上することができる。
(21) 前記枠状部の前記壁面と前記クロスメンバとの間の隙間に対応する厚さを有する前記鋼板を選択して、当該隙間に前記鋼板を配置する
(10)に記載のバッテリーケースの製造方法。
この構成によれば、枠状部の寸法精度によって、クロスメンバが連結される位置における一対の壁面間の寸法が異なっていたとしても、壁面とクロスメンバとの間の隙間に対応する厚さを有する鋼板が選択配置されるので、壁面にクロスメンバを連結できない等の不具合を解消することができる。
(22) 前記クロスメンバと前記鋼板の間の隙間に対応する厚さを有する板状部材を選択して、当該隙間に前記板状部材を配置する
(11)~(14)の何れか1つに記載のバッテリーケースの製造方法。
この構成によれば、枠状部の寸法精度によって、クロスメンバが連結される位置における一対の壁面間の寸法が異なっていたとしても、鋼板とクロスメンバとの間の隙間に対応する厚さを有する板状部材が選択配置されるので、壁面にクロスメンバを連結できない等の不具合を解消することができる。
10 バッテリーケース
11 枠状部
12 第一フレーム部材
12a 側面(壁面)
12b、12c 段部
13 第二フレーム部材
14 第一リブ
14a 第一基部
14b 第一突出部
15 第二リブ
15a 第二基部
15b 第二突出部
16 第一溝部
17 第二溝部
18 第二孔
20 クロスメンバ
21 フランジ部
22 第三孔
23 凸部
24 側面(外面)
25 開口部
25a 縁部
26 上面
27 一端面
30 鋼板
30a 鋼板片
31 第一孔
32 突起部
33 ブラケット部
33a 外面
33b 内面
35 板状部材
36,37 板
40 床状部
50 アルミニウムMIG溶接装置
60 鋼MAG溶接装置
70 ハンマー
71 ボルト(締結部材)
75 くさび形部材
75a 第一側面
75b 第二側面
76 貫通孔
80 接合補助部材
81 挿入部
83 非挿入部
85 中空部
90 異材アークスポット溶接装置
A,B 隙間
G シールドガス
H ギャップ
S 空隙
WA アルミニウム溶接金属
WA1 軸部
WA2 頭部
WA3 鍔部
WS 鋼溶接金属

Claims (22)

  1. 矩形状の枠状部と、
    前記枠状部の内部を仕切るように、前記枠状部の互いに平行な一対の壁面に向かって延びる少なくとも1本のクロスメンバと、
    を備え、
    前記枠状部は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製であり、
    前記クロスメンバは、鋼製であり、
    前記枠状部の前記壁面には、鋼板が溶接により接合されるバッテリーケースであって、
    前記鋼板は、前記壁面に臨む第一孔を有し、
    前記鋼板と前記壁面とは、前記第一孔にて溶接により接合され、
    前記第一孔は、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶接金属で埋められており、
    前記鋼板と、前記クロスメンバの長手方向の一端部とは、溶接により接合される
    ことを特徴とするバッテリーケース。
  2. 前記壁面の上部及び下部には、第一リブ及び第二リブが設けられ、
    前記第一リブは、前記壁面から前記クロスメンバに向かって延びる第一基部と、前記第一基部の先端から下方に突出する第一突出部と、を有し、
    前記壁面と前記第一基部と前記第一突出部との間には、第一溝部が画成され、
    前記第二リブは、前記壁面から前記クロスメンバに向かって延びる第二基部と、前記第二基部の先端から上方に突出する第二突出部と、を有し、
    前記壁面と前記第二基部と前記第二突出部との間には、第二溝部が画成され、
    前記鋼板は、前記第一溝部及び前記第二溝部に配置される
    請求項1に記載のバッテリーケース。
  3. 前記鋼板には、前記第一突出部と前記第二突出部との間において、前記クロスメンバに向かって突出する突起部が形成され、
    前記突起部と、前記クロスメンバの前記長手方向の前記一端部とは、溶接により接合される
    請求項2に記載のバッテリーケース。
  4. 前記クロスメンバの前記長手方向の前記一端部には、前記第一突出部と前記第二突出部との間において、前記鋼板に向かって突出する凸部が形成され、
    前記凸部と、前記鋼板とは、溶接により接合される
    請求項2に記載のバッテリーケース。
  5. 前記鋼板には、前記クロスメンバに向かって延びるブラケット部が形成され、
    前記ブラケット部は、前記クロスメンバの内面と当接可能な外面を有し、前記クロスメンバの内部を相対的に摺動可能であり、
    前記クロスメンバには、その内部に配置された前記ブラケット部の前記外面に臨む開口部が形成され、
    前記ブラケット部と前記クロスメンバとは、前記開口部にて溶接により接合される
    請求項1または2に記載のバッテリーケース。
  6. 前記鋼板には、前記クロスメンバに向かって延びるブラケット部が形成され、
    前記ブラケット部は、前記クロスメンバの外面と当接可能な内面を有し、前記クロスメンバの外面を相対的に摺動可能であり、
    前記ブラケット部と前記クロスメンバとは、溶接により接合される
    請求項1または2に記載のバッテリーケース。
  7. 前記クロスメンバの前記長手方向の一端面は、前記鋼板の高さ方向または前記壁面の延在方向に対して傾斜しており、
    前記クロスメンバの前記一端面と前記鋼板との間には、鋼製のくさび形部材が配置され、
    前記くさび形部材は、前記クロスメンバと前記鋼板とにそれぞれ溶接により接合される
    請求項1~3の何れか1項に記載のバッテリーケース。
  8. 前記枠状部と連結され、床面を構成する床状部をさらに有し、
    前記床状部は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製であり、
    前記クロスメンバと、前記床状部とは、溶接により接合される
    請求項1~7の何れか1項に記載のバッテリーケース。
  9. 前記クロスメンバは、前記床状部に沿って延びるフランジ部を有し、
    前記フランジ部には、前記床状部に臨む第三孔が形成され、
    前記フランジ部と前記床状部とは、前記第三孔にて溶接により接合されており、
    前記第三孔は、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶接金属で埋められている
    請求項8に記載のバッテリーケース。
  10. 矩形状の枠状部と、
    前記枠状部の内部を仕切るように、前記枠状部の互いに平行な一対の壁面に向かって延びる少なくとも1本のクロスメンバと、
    を備え、
    前記枠状部は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製であり、
    前記クロスメンバは、鋼製であり、
    前記枠状部の前記壁面に、鋼板を溶接により接合するバッテリーケースの製造方法であって、
    前記鋼板は、前記壁面に臨む第一孔を有し、
    、前記第一孔をアルミニウム又はアルミニウム合金の溶接金属で埋めることで、前記鋼板と前記壁面とを接合し、
    前記鋼板と、前記クロスメンバの長手方向の一端部とを、溶接により接合する
    ことを特徴とするバッテリーケースの製造方法。
  11. 前記壁面の上部及び下部には、第一リブ及び第二リブが設けられ、
    前記第一リブは、前記壁面から前記クロスメンバに向かって延びる第一基部と、前記第一基部の先端から下方に突出する第一突出部と、を有し、
    前記壁面と前記第一基部と前記第一突出部との間には、第一溝部が画成され、
    前記第二リブは、前記壁面から前記クロスメンバに向かって延びる第二基部と、前記第二基部の先端から上方に突出する第二突出部と、を有し、
    前記壁面と前記第二基部と前記第二突出部との間には、第二溝部が画成され、
    前記鋼板を、前記第一溝部及び前記第二溝部に配置する
    請求項10に記載のバッテリーケースの製造方法。
  12. 前記鋼板に向けて前記第一突出部及び前記第二突出部を塑性変形することによって、前記鋼板を前記第一溝部及び前記第二溝部に固定する
    請求項11に記載のバッテリーケースの製造方法。
  13. 前記第一突出部及び前記第二突出部にはそれぞれ、前記鋼板に臨む第二孔が形成され、
    前記第二孔を介して前記鋼板に向かって締結部材を締結することによって、前記鋼板を前記第一溝部及び前記第二溝部に固定する
    請求項11に記載のバッテリーケースの製造方法。
  14. 前記第一突出部及び前記第二突出部にはそれぞれ、前記鋼板に臨む第二孔が形成され、
    前記第一突出部及び前記第二突出部と前記鋼板とを前記第二孔にて溶接によって接合することにより、前記鋼板を前記第一溝部及び前記第二溝部に固定する
    請求項11に記載のバッテリーケースの製造方法。
  15. 前記鋼板には、前記クロスメンバに向かって延びるブラケット部が形成され、
    前記ブラケット部は、前記クロスメンバの内面と当接可能な外面を有し、前記クロスメンバの内部を相対的に摺動可能であり、
    前記クロスメンバには、その内部に配置された前記ブラケット部の前記外面に臨む開口部が形成され、
    前記ブラケット部と前記クロスメンバとを、前記開口部にて溶接により接合する
    請求項10~14の何れか1項に記載のバッテリーケースの製造方法。
  16. 前記鋼板には、前記クロスメンバに向かって延びるブラケット部が形成され、
    前記ブラケット部は、前記クロスメンバの外面と当接可能な内面を有し、前記クロスメンバの外面を相対的に摺動可能であり、
    前記ブラケット部と前記クロスメンバとを、溶接により接合する
    請求項10~14の何れか1項に記載のバッテリーケースの製造方法。
  17. 前記クロスメンバの少なくとも一端部に、前記鋼板の前記ブラケット部を組み付ける工程と、
    前記枠状部に対して、前記ブラケット部が組付けられた前記クロスメンバを配置する工程と、
    前記ブラケット部を、前記クロスメンバに溶接により接合する工程と、
    前記鋼板を、前記枠状部の前記壁面に溶接により接合する工程と、
    を備える、請求項15または16に記載のバッテリーケースの製造方法。
  18. 前記枠状部の前記壁面に、前記鋼板を溶接により接合した後、前記鋼板と、前記クロスメンバの長手方向の一端部とを、溶接により接合する
    請求項10~14の何れか1項に記載のバッテリーケースの製造方法。
  19. 前記鋼板と、前記クロスメンバの長手方向の一端部とを、溶接により接合した後、前記枠状部の前記壁面に、前記鋼板を溶接により接合する
    請求項10~14の何れか1項に記載のバッテリーケースの製造方法。
  20. 前記クロスメンバの前記長手方向の一端面は、前記鋼板の高さ方向または前記壁面の延在方向に対して傾斜しており、
    前記クロスメンバの前記一端面と前記鋼板との間には、鋼製のくさび形部材が配置され、
    前記くさび形部材を、前記クロスメンバと前記鋼板とにそれぞれ溶接により接合する
    請求項10~14の何れか1項に記載のバッテリーケースの製造方法。
  21. 前記枠状部の前記壁面と前記クロスメンバとの間の隙間に対応する厚さを有する前記鋼板を選択して、当該隙間に前記鋼板を配置する
    請求項10に記載のバッテリーケースの製造方法。
  22. 前記クロスメンバと前記鋼板の間の隙間に対応する厚さを有する板状部材を選択して、当該隙間に前記板状部材を配置する
    請求項11~14の何れか1項に記載のバッテリーケースの製造方法。
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