以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る、フロート及び通気孔密封フロート構造について説明をする。なお、以下の説明において、「上流」及び「下流」とは、排水・空気等の流体の流れを規定し、「上方」及び「下方」とは、高さ方向の向きを規定する。また、「軸方向」とは、フロートの中心軸O1が延在する方向をいう。また、「軸方向視」とは、軸方向から視ることをいい、「平面視」ともいう。また、「軸方向断面視」とは、中心軸O1(軸方向)を含む断面で視ることをいう。また、「軸直方向」とは、軸方向に対して直交する方向をいい、「径方向」ともいう。さらに、「周方向」とは、フロートの中心軸O1の周りの方向をいう。
図1には、本発明に従うフロートおよび通気孔密封フロート構造を適用可能な排水システムの一例を概略的に示す。図1中、符号100は、前記排水システムの一例としての、サイホン排水システムである。
図1に例示するサイホン排水システム100は、水回り機器110からの排水を排水するためのシステムである。この例において、サイホン排水システム100は、水回り機器110と、接続管120と、排水トラップ130と、直管140と、横引き管150と、竪管160と、立て管170と、を備えている。この例において、立て管170は、合流継手170aを介して竪管160に接続されている。
また、図1のサイホン排水システム100において、水回り機器110のための排水管は、接続管120と、排水トラップ130と、直管140と、横引き管150と、竪管160とで構成されている。この例において、水回り機器110は、台所の流し台である。また、この例において、水回り機器110の排水口にはディスポーザー111が設けられている。ただし、水回り機器110は、排水を行うものであれば特に種類は限定されない。水回り機器110は、食洗機、洗面台、洗濯機、ユニットバス等の風呂に備えられる浴槽及び洗い場、トイレ等とすることができる。
具体的には、水回り機器110は、住居内において、床パネル210上に配置されている。この例では、水回り機器110には、接続管120を介して排水トラップ130が接続されている。この例では、排水トラップ130は、S字形の排水トラップである。排水トラップ130は、排水流路が上流側から下流側に向かって下降する第1下降部131と、排水流路が上流側から下流側に向かって上向きに折り返す第1折り返し部132と、排水流路が下流側から上流側に向かって上昇する上昇部133と、排水流路が上流側から下流側に向かって下向きに折り返す第2折り返し部134と、排水流路が上流側から下流側に向かって下降する第2下降部135と、を有している。この例では、第1下降部131、第1折り返し部132、上昇部133、第2折り返し部134及び第2下降部135は、一体に形成されている。また、この例では、第2下降部135は、直管140と一体に形成されている。
この例において、直管140は、排水流路が上流側から下流側に向かって下降し、床パネル210の下で床スラブ220付近まで排水を導く。横引き管150は、従来の勾配排水に用いられている配管よりも細い管からなる。また、横引き管150は、直管140の下流側に接続され、水平方向に延びている。横引き管150は、床スラブ220上に、略水平(略無勾配)に設置されている。竪管160は、横引き管150の下流側に接続され、流路が上流側から下流側に向かって垂直に下降している。この例では、竪管160は、床スラブ220の配管用穴230を貫通している。
この例において、立て管170は、横引き管150及び竪管160よりも大径の管体である。立て管170は、建築物を上下に貫通している。立て管170には、水回り機器110からの排水のための竪管160以外にも、図示しない他の水回り機器からの排水流路が接続されている。この例では、立て管170の下流側は、図示しない浄化槽に接続されている。
また、図1のサイホン排水システム100は、サイホン排水管200を備えている。サイホン排水管200は、水回り機器110のための前記排水管のうちの、少なくとも、排水トラップ130の上昇部133よりも下流側に設けられた配管である。具体的には、サイホン排水管200は、直管140と、横引き管150と、竪管160とを含む。また、サイホン排水管200は、排水トラップ130の第2折り返し部134および第2下降部135を含んでもよい。図1の例では、サイホン排水管200は、接続管120と、排水トラップ130と、直管140と、横引き管150と、竪管160と、により構成されている。サイホン排水管200は、当該サイホン排水管200内の排水が満水になった状態で、当該排水を横引き管150から竪管160に流出させると、当該排水を下方へ流下させることによりサイホン力を発生させることができる。即ち、サイホン排水管200内の排水は、当該サイホン排水管200内に発生したサイホン力により引っ張られることによって、竪管160から迅速に排出させることができる。
また、図1の例では、排水トラップ130の第1折り返し部132は、貯留部132aを備えている。貯留部132aは、排水を溜めて置くことが可能なトラップを形成している。排水トラップ130の貯留部132aには通常、封水としての排水が十分に溜まった状態になっている。即ち、排水トラップ130の内部では、貯留部132aに溜まった前記封水によって上流側と下流側との空間(流路)が遮断されている。これにより、排水トラップ130は、当該排水トラップ130よりも上流側への、臭気、害虫等の侵入を防ぐことができる。
また、図1のサイホン排水システム100は、通気装置ADを備えている。この例において、通気装置ADは、通気弁180と、溢水抑制具190と、を備えている。
通気弁180は、サイホン排水管200内への外気の流通及び遮断を可能する逆止弁である。図1のサイホン排水システム100において、通気弁180は、排水トラップ130の貯留部132aの下流側に設けられている。この例では、通気弁180は、溢水抑制具190を介して、第2折り返し部134の上部に接続されている。通気弁180は、サイホン排水管200の内部に大きな負圧が生じたときに開くことで、外気をサイホン排水管200内に取り入れる。これにより、サイホン排水管200の内部に大きな負圧が生じても、通気弁180から空気を取り込むことができるので、第1折り返し部132の貯留部132aにおける封水が下流側(ここでは、上昇部133側)へ引き込まれていくことがない。従って、サイホン排水管200に通気弁180を接続すれば、封水切れ(破封)が生じることを防ぐことができる(封水状態を維持することができる)。その一方、通気弁180は、サイホン排水管200の内部に大きな負圧が生じていないときは閉じることで、サイホン排水管200内への外気の取り入れを抑制する。これにより、多量の排水が流れない通常の場合、サイホン排水管200内の排水は、当該サイホン排水管200内に生じたサイホン力によって、竪管160から排出させることができる。
しかしながら、通気弁180をサイホン排水管200に対して直結させた場合には、多量の排水がサイホン排水管200内に流れると、当該排水がサイホン排水管200内を溢れることによって、通気弁180に入り込むことが考えられる。特に、通気弁180に異物等が挟み込まれる等して、当該通気弁180が開口したまま動作不良を起こすと、当該通気弁180から排水トラップ130内の排水が溢れ出る虞があった。
そこで、図1のサイホン排水システム100では、サイホン排水管200と、通気弁180とが、溢水抑制具190を介して接続されている。この例では、通気弁180および溢水抑制具190が一体的な通気装置ADとしてユニット化されている。この例では、通気装置ADは、本発明の一実施形態に係る通気孔密封フロート構造を備えている。さらに、本実施形態に係る通気孔密封フロート構造は、本発明の一実施形態に係るフロート1を備えている。
図2は、本発明の一実施形態に係る通気孔密封フロート構造を備えた、通気装置ADを示す平面図である。また、図3は、通気装置ADを示す側面図である。図中、符号O1は、フロート1の中心軸である。この例では、通気装置ADの中心軸は、フロート1の中心軸O1と同軸である。
図3に示すように、通気装置ADは、通気弁180と、溢水抑制具190と、を備えている。通気装置ADにおいて、通気弁180と、溢水抑制具190とは、軸方向に並んで配置されている。通気装置ADは、溢水抑制具190によって、サイホン排水管200に接続される。通気装置ADがサイホン排水管200に接続されているとき、通気弁180は、溢水抑制具190よりも上方に位置している。図2を参照すれば、この例において、通気弁180は、軸方向視において、円形の通気弁である。
更に、図4は、図2の通気装置ADを図2のA-A断面で示す断面図であって、当該通気装置ADに内蔵されたフロート1が動作する前の状態を示す断面図である。図5は、通気装置ADを図2のB-B断面で示す断面図であって、フロート1が動作する前の状態を示す断面図である。さらに、図6は、通気装置ADを図2のA-A断面で示す断面図であって、フロート1が通気孔A1を密封した状態を示す断面図である。
例えば、図4を参照すれば、通気弁180は、逆止弁181を備えている。逆止弁181は、サイホン排水管200内の圧力が所定の圧力以下になるまでは閉じている。これにより、サイホン排水管200内への外気の流入は抑制される。また、逆止弁181は、サイホン排水管200内の圧力が所定の圧力以下になると開く。これにより、逆止弁181は、サイホン排水管200内に生じる負圧が大きくなると開いて、サイホン排水管200内に外気を取り入れることができる。
通気弁180は、通気孔A1を通して溢水抑制具190に通じている。この例では、通気孔A1は、環状のシール部材10に形成されている貫通孔である。シール部材10は、弾性材料によって形成されていることが好ましい。前記弾性材料としては、例えば、ゴム、エラストマが挙げられる。シール部材10の具体例としては、ゴムパッキン、Oリングが挙げられる。この例では、シール部材10は、通気弁180と溢水抑制具190との間に挟持されている。
溢水抑制具190は、サイホン排水管200に接続可能な筒部材20を備えている。この例において、筒部材20は、排水トラップ130に接続可能な下端部20aと、通気弁180に接続可能な上端部20bとを備えている。この例では、筒部材20の中心軸は、フロート1の中心軸O1と同軸である。
この例では、筒部材20の下端部20aは、筒部材20の内周面の一部として形作られた「めねじ」を有している。これにより、筒部材20は、サイホン排水管200に対してねじ付けることによって、当該サイホン排水管200の上方に固定させることができる。また、この例では、筒部材20の上端部20bは、筒部材20の外周面の一部として形作られた「おねじ」を有している。これにより、筒部材20は、通気弁180に対してねじ付けることによって、当該通気弁180の下方に固定させることができる。また、この例では、筒部材20の上端部20bの内周面は、シール部材10によって密封されている。
また、この例では、筒部材20は、大径部21と、小径部22とを備えている。この例では、大径部21と、小径部22とは、一体に形成されている。また、この例では、筒部材20の下端部20aは、大径部21によって形成されている。また、この例では、筒部材20の上端部20bは、小径部22の上端部によって形成されている。
また、この例では、図5に示すように、筒部材20は、フロート1との間にクリアランスC1が形成されるように、フロート1を収納する。この例では、筒部材20の内周面には、軸方向に延在している複数のレール23が設けられている。レール23は、それぞれ、筒部材20の内周面の周方向に間隔を置いて配置されている。また、この例では、複数のレール23は、軸方向視において、互いに直角に配置された、4つのレール23である。この例では、4つのレール23は、周方向に等しい間隔で配置されている。ただし、レール23の間隔は、等しい間隔である必要はなく、適宜設定することができる。また、レール23は、2つ以上とすることできる。レール23は、フロート1が軸方向にスライドするように、当該フロート1を案内する。レール23は、周方向に間隔を置いて配置されることによって、図5に示すように、フロート1と筒部材20の内周面との間に、周方向に間隔を置いて、レール23によって仕切られた複数のクリアランスC1を形成する。なお、この例では、図5に示すように、レール23は、筒部材20の小径部22の内周面22fに形成されている。
また、この例では、筒部材20は、遮蔽部(第1遮蔽部)24を備えている。遮蔽部24は、フロート1の下方に配置されているとともに、筒部材20との間に開口A2を形成するように、固定片25を介して筒部材20に固定されている。この例では、図4に示すように、固定片25は、レール23と一体に形成されている。この例では、固定片25は、レール23よりも軸直方向内側に突出している。遮蔽部24は、固定片25によってレール23を介して筒部材20に固定されている。これにより、図5に示すように、筒部材20と遮蔽部24との間には、周方向に間隔を置いて、レール23および固定片25によって仕切られた複数の開口A2が形成されている。ただし、固定片25は、レール23とすることができる。この場合、遮蔽部24は、レール23に直結される。なお、この例では、遮蔽部24の中心軸は、フロート1の中心軸O1と同軸である。
また、この例では、図5に示すように、遮蔽部24は、軸方向断面視において、軸方向上側に向かうに従って凸の湾曲形状部を有している。この例では、遮蔽部24は、軸方向断面視で、ドーム状に形作られている。この例では、遮蔽部24は、軸方向に延びる筒体部24aと、当該筒体部24aの上端面に繋がる湾曲形状部24bとを有している。
また、この例では、遮蔽部24の下側遮蔽面f241は、図5に示すように、軸方向断面視で、筒体部24aの下側(内周側)遮蔽面f241aと、湾曲形状部24bの下側遮蔽面f241bとによって形成されている。この例では、図4に示すように、筒体部24aは、固定片25の上部側端面f25から軸方向に長さ(高さ)L24だけ軸方向上側に延びている。この例では、図4に示すように、筒体部24aの下側遮蔽面f241aの断面形状は、軸方向断面視において、空気の流れ方向(軸方向)に延びる直線である。また、この例では、湾曲形状部24bの下側遮蔽面f241bの断面形状は、図4に示すように、軸方向断面視で、中心点P24を中心とした半径R24aの半円形の曲線である。また、この例では、中心点P24は、図4に示すように、軸方向断面視で、固定片25の上部側端面f25から軸方向に長さL24だけ離れた位置であって、中心軸O1上の位置にある。即ち、この例では、中心点P24は、図4に示すように、軸方向断面視で、筒体部24aと湾曲形状部24bとの境界の高さ位置の、中心軸O1上にある。
また、この例では、図5に示すように、軸方向断面視で、遮蔽部24の上側遮蔽面f242は、筒体部24aの上側(外周側)遮蔽面f242aと、湾曲形状部24bの上側遮蔽面f242bとによって形成されている。この例では、図4に示すように、軸方向断面視で、筒体部24aの上側遮蔽面f242aの断面形状は、空気の流れ方向(軸方向)に延びる直線である。また、この例では、湾曲形状部24bの上側遮蔽面f242bの断面形状は、図4に示すように、軸方向断面視で、中心点P24を中心とした半径R24bの半円形の曲線である。ただし、遮蔽部24は、湾曲形状部24bのみで構成することができる。
図4に示すように、フロート1は、配管内において、通気孔A1に対して軸方向に並んで配置可能なフロートである。この例では、フロート1は、通気孔A1の下方に配置されている。また、この例では、前記配管は、通気装置ADである。より具体的には、前記配管は、溢水抑制具190の筒部材20である。
フロート1は、液体に浮かせることができる部材である。この例では、フロート1は、溢水抑制具190の筒部材20内において、通気孔A1の下方に配置されている。溢水抑制具190の筒部材20内には通常、排水が溢れていない。このため、例えば、図4に示すように、フロート1は通常、通気孔A1の下方に、当該通気孔A1から軸方向に間隔を置いて配置されている。これによって、通気装置AD内の通気性を担保している。フロート1は、水よりも比重の軽い材料で形成することが好ましい。この場合、フロート1は、浮かせ易くなる。こうした材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)が挙げられる。
フロート1は、柱状基台2と、柱状凸部3と、を備えている。柱状基台2は、通気孔A1が形成された部分との接触によって当該通気孔A1を密封可能なシール面f1を有している。また、柱状凸部3は、柱状基台2のシール面f1から突出しているとともに通気孔A1に進入可能である。この例では、柱状基台2のシール面f1は、当該柱状基台2の上面である。また、この例では、通気孔A1が形成された部分は、シール部材10である。
図7は、本発明の一実施形態に係るフロート1を示す平面図である。図8は、フロート1を示す側面図である。図9は、フロート1を示す底面図である。図10は、フロート1を図2のA-A断面で示す断面図である。図11は、フロート1を図2のB-B断面で示す断面図である。
図7を参照すれば、柱状基台2のシール面f1は、柱状凸部3を取り囲む環状面である。図7に示すように、本実施形態において、柱状基台2と柱状凸部3とは、軸方向視(平面視)において、円形である。本実施形態において、柱状基台2は、直径φ2の円形である。また、本実施形態において、柱状凸部3は、直径φ3の円形である。柱状凸部3の直径φ3は、柱状基台2の直径φ2よりも小さい。φ2は、例えば、27mmとすることができる。また、φ3は、例えば、16mmとすることができる。ただし、本発明によれば、柱状基台2は、軸方向視において、多角形とすることができる。この場合、柱状基台2の直径φ2は、前記多角形の外接円の直径とすることができる。また、本発明によれば、柱状凸部3も、軸方向視において、多角形とすることができる。この場合、柱状凸部3の直径φ3も、前記多角形の外接円の直径とすることができる。ただし、それぞれの具体的な直径のサイズは、配管の規格、使用状態等に応じて、適宜設定することができる。
また、「柱状」とは、上下方向に高さを有していることの意味に用いられている。図8を参照すれば、柱状基台2の高さは、h2である。また、柱状凸部3の高さは、h3である。フロート1の全高hは、h2+h3である。h2は、例えば、7mmとすることができる。また、h3は、6mmとすることができる。ただし、それぞれの具体的な高さは、配管の規格、使用状態等に応じて、適宜設定することができる。
図8を参照すれば、本実施形態において、柱状凸部3の根元部分3aは、柱状基台2のシール面f1に連なっている。柱状凸部3の突端3bは、柱状凸部3の根元部分3aと軸方向において反対側に位置し、フロート1の上面を形成している。図8に示すように、本実施形態において、柱状凸部3の突端3bは、平面である。
また、柱状基台2の下面f2は、柱状基台2のシール面f1と軸方向において反対側に位置し、フロート1の下面を形成している。
図9を参照すれば、柱状基台2の下面f2は、窪みCを有している。窪みCは、柱状基台2の一部が当該柱状基台2の下面f2から肉抜きされた部分である。図10に示すように、本実施形態において、窪みCは、フロート1の外形に沿って形成された窪み面f21によって形成されている。本実施形態において、窪み面f21は、フロート1の厚さtが同一の厚さになるように、形成されていることが好ましい。厚さtは、例えば、2mmとすることができる。ただし、具体的な厚さは、配管の規格、使用状態等に応じて、適宜設定することができる。また、図9を参照すれば、本実施形態では、柱状基台2の下面f2は、窪みCとともに、当該窪みCを周方向に取り囲む環状平面f22を有している。
加えて、本実施形態において、柱状基台2の下面f2は、窪みCにリブ4を有している。本実施形態において、リブ4は、図9に示すように、軸方向視において、中心軸O1を中心に放射状に延在している。本実施形態において、柱状基台2の下面f2は、図9に示すように、軸方向視において、互いに直角な4つのリブ4を有している。この例では、リブ4の軸直方向内側端は、中心軸O1で、互いに連なっている。また、この例では、リブ4の軸直方向外側端は、環状平面f22に連なっている。ただし、本発明によれば、リブ4の間隔は、等しい間隔である必要はなく、適宜設定することができる。また、リブ4は、少なくとも1つとすることができる。1つのリブ4の場合、例えば、軸方向視において、中心軸O1を通るとともに2つの軸直方向外側端が環状平面f22に連なる、一文字形のリブとすることができる。
また、本実施形態において、リブ4は、下面f41を有している。本実施形態において、リブ4の下面f41の軸直方向外側端は、環状平面f22に連なっている。さらに、本実施形態において、リブ4は、切欠部4cを有している。切欠部4cは、リブ4の下面f41の軸直方向内側端に連なっているリブ4の切欠面f42によって形成されている。本実施形態では、リブ4の切欠面f42は、図11に示すように、中心軸O1上に頂点を有するドーム状の湾曲形状部を形作っている。具体的には、切欠面f42は、図11に示すように、軸方向断面視において、軸方向上側に向かって半径R42の凸形状の輪郭形状に形作られている。本実施形態では、半径R42は、遮蔽部24の上側遮断面f242のうちの、半径R24bと等しい。即ち、本実施形態では、リブ4の切欠面f42は、溢水抑制具190の遮蔽部24の湾曲形状部24bに合せた形状に形作られている。
また、本実施形態において、柱状凸部3の根元部分3aは、軸方向断面視において、軸直方向内側に向かって凸のR形状の輪郭形状を有している。図11に示すように、柱状凸部3の根元部分3aは、軸直方向内側に向かって半径R3aの凸形状の輪郭形状で、柱状基台2のシール面f1に連なっている。半径R3aは、例えば、3mmとすることができる。ただし、具体的な半径のサイズは、配管の規格、使用状態等に応じて、適宜設定することができる。
また、本実施形態において、柱状凸部3の突端外縁3eは、面取りされた形状である。図7に示すように、突端外縁3eは、柱状凸部3の突端3bを周方向に取り囲む軸直方向(径方向)外縁である。本実施形態において、図11に示すように、突端外縁3eは、軸方向断面視において、半径R3eで面取りされている。半径R3eは、例えば、0.5mmとすることができる。ただし、具体的な半径のサイズは、配管の規格、使用状態等に応じて、適宜設定することができる。
図12は、通気装置ADに採用可能なシール部材10を示す平面図である。図13は、シール部材10を示す側面図である。図14は、シール部材10を図12のC-C断面で示す断面図である。
本発明によれば、シール部材10は、フロート1との接触部分が当該フロート1のシール部材10との接触部分と対応する形状に形作られていることが好ましい。この例では、例えば、図4を参照すれば、シール部材10は、溢水抑制具190に取り付けられている。シール部材10は、上述のとおり、通気弁180と溢水抑制具190との間を密封する。
図12に示すように、この例では、通気孔A1は、シール部材10に形成された貫通孔である。この例では、シール部材10は、軸方向視において、環状の円形である。また、この例では、シール部材10の中心軸は、フロート1の中心軸O1と同軸である。
この例では、シール部材10は、軸方向シール部11を備えている。軸方向シール部11は、通気弁180と溢水抑制具190の筒部材20との軸方向の間を密封する。軸方向シール部11の軸直方向内側には、通気孔A1が開口している。この例では、軸方向シール部11の中心軸は、フロート1の中心軸O1と同軸である。
また、この例では、軸方向シール部11の軸方向上端には、中心軸O1の周りを周方向に延在する環状シール面f111が形成されている。また、軸方向シール部11には、通気孔A1との間に環状シール面f111を形成するように、嵌合突起13が形成されている。この例では、嵌合突起13は、中心軸O1の周りを周方向に延在する環状突起である。図4に示すように、嵌合突起13は、通気弁180に形成された凹部に嵌合させることができる。環状シール面f111は、図4に示すように、通気弁180との間を密封する。なお、この例では、嵌合突起13の中心軸は、フロート1の中心軸O1と同軸である。
また、図13を参照すれば、この例では、軸方向シール部11の軸方向下端には、中心軸O1の周りを周方向に延在する環状シール面f112が形成されている。環状シール面f112は、図4に示すように、溢水抑制具190の筒部材20の上端を密封する。
また、この例では、図13に示すように、シール部材10は、リップ部12を備えている。リップ部12は、軸方向シール部11と一体に形成されている。この例では、リップ部12は、軸方向に延在する筒部で構成されている。この例では、リップ部12は、軸方向視において、環状の円形である。リップ部12の上側端は、軸方向シール部11に連なっている。また、この例では、リップ部12の下側端12eは、軸方向下側に向かうに従って軸直方向外側に向かって湾曲している。なお、この例では、リップ部12の中心軸は、フロート1の中心軸O1と同軸である。
図14に示すように、この例では、シール部材10の内周面f10は、軸方向断面視において、軸方向に延在するストレート面f11と、下側に向かうに従って軸直方向外側に向かって湾曲するシール下面f12とによって形成されている。シール下面f12は、フロート1と接触可能なシール面である。
ストレート面f11は、軸方向視において、中心軸O1を中心とする直径φ11の円形である。この例では、直径φ11は、通気孔A1の最小直径である。直径φ11は、柱状凸部3の直径φ3よりも大きい。φ11は、例えば、20mmとすることができる。ただし、具体的な半径のサイズは、配管の規格、使用状態等に応じて、適宜設定することができる。
シール下面f12は、ストレート面f11の軸方向下端と連なる。シール下面f12は、軸方向断面視において、軸直方向内側に向かって凸のR形状の輪郭形状を有している。この例では、シール下面f12は、図14に示すように、軸直方向内側に向かって半径R12の凸形状の輪郭形状に形作られている。本実施形態では、半径R12は、柱状凸部3の根元部分3aと同様、半径R3aと等しい。即ち、この例では、シール部材10のシール下面f12は、軸方向断面視において、フロート1との接触部分が当該フロート1の柱状凸部3の根元部分3aと対応する形状に形作られている。ただし、具体的な半径のサイズは、配管の規格、使用状態等に応じて、適宜設定することができる。
次に、図面を参照して、本発明の一実施形態に係るフロート1の動作について説明する。
例えば、図4を参照すれば、フロート1は通常、溢水抑制具190のレール23に案内された状態で遮蔽部24に着座している。また、図5を参照すれば、フロート1は、筒部材20の間にクリアランスC1を形成している。また、遮蔽部24は、筒部材20との間に開口A2を形成している。このため、通気弁180と溢水抑制具190との間の通気孔A1は、クリアランスC1および開口A2を通して、排水トラップ130に通じている。これにより、通気弁180は、サイホン排水管200内の圧力に応じて、外気の流通及び遮断を可能とする。
これに対し、サイホン排水管200内に多量の排水が流れた場合、溢水抑制具190に内蔵されたフロート1は、筒部材20内に排水が溢れると、当該筒部材20内に溢れた排水の浮力を受けて遮蔽部24から浮き上がる。即ち、フロート1は、筒部材20内に溢れた排水の水位が上昇すると、その水位の上昇とともに上昇する。しかしながら、フロート1が筒部材20内を上昇する間も、フロート1が通気孔A1を密封するまで、当該通気孔A1を通しての空気の流通は可能である。これによって、筒部材20内に排水が溢れた場合でも、通気弁180の機能が確保される。
そして、フロート1が筒部材20内に溢れた排水によって当該筒部材20内をさらに上昇すると、図6に示すように、当該フロート1の柱状基台2のシール面f1が、通気孔A1が形成されたシール部材10と接触する。これによって、フロート1は、通気孔A1が溢水抑制具190と通じないように、当該通気孔A1を密封することができる。しかも、このとき、フロート1は、筒部材20内に溢れた排水上に浮いているため、当該排水の水位は、通気孔A1の高さまで達していない。これによって、図6に示すように、フロート1は、筒部材20内に溢れた排水の水位が通気孔A1に達する前に、当該通気孔A1を密封することができる。即ち、フロート1は、筒部材20内に溢れた排水が当該筒部材20内をさらに上昇してきても通気弁180に流れ込まないようにすることができる。
したがって、本実施形態に係るフロート1によれば、サイホン排水管200内の通気性を担保しつつ、通気弁180からの溢水を抑制することができる。
ところで、フロートが受ける浮力の大きさが大きくなる程、通気孔A1に対する密封力は大きくなる。したがって、通気孔A1に対する密封性の向上を考慮すれば、フロートが受ける浮力は大きいことが好ましい。前記浮力の大きさは、フロートの体積が増える程、大きくなる。
そこで、フロートの体積を大きく確保することを目的に、当該フロートを球形とすることが考えられる。
しかしながら、フロートが球形である場合、浮力を得るための体積を確保するためには、フロートのサイズが大きくなってしまう。このことは、配管内の限られたスペースに配置するには不向きである。
これに対し、本実施形態に係るフロート1によれば、柱状基台2から柱状凸部3を突出させていることから、当該柱状凸部3の分だけ、浮力を得るための体積を大きく確保することができる。
また、フロートが球形の場合、当該フロートが筒部材20内に溢れた排水の水位ができるだけ高い位置で通気孔A1を密封するように、前記フロートと通気孔A1との間に大きなクリアランスC2(図6参照)を確保しようとしても、大きなクリアランスを確保できない。仮に、球形のフロートと通気孔A1との間に大きなクリアランスを確保すれば、当該フロートが通気孔A1の奥深くに嵌り込んで抜けなくなる(自重で落ちなくなる)ことが懸念される。このため、球形のフロート部材の場合、通気性の確保が難しい。
これに対し、本実施形態に係るフロート1によれば、通気孔A1の密封は、柱状基台2のシール面f1との接触によって行われるため、通気孔A1に進入可能な柱状凸部3の直径φ3を小さくすることによって、通気孔A1との間に大きなクリアランスC2を確保することができる。また、本実施形態において、柱状凸部3は、柱状基台2から突出しているため、直径φ3を小さくしても、フロート1が通気孔A1に嵌り込んで抜けなくなる(自重で落ちなくなる)ことがない。
したがって、本実施形態に係るフロート1は、球形のフロートに比べて、サイホン排水管200内の通気性を担保しつつ、当該サイホン排水管200内からの溢水を抑制することができる。
また、例えば、図7を参照すれば、本実施形態に係るフロート1において、柱状基台2と柱状凸部3とは、軸方向視において、円形である。この場合、軸方向視において、フロート1の外形形状が中心軸O1の周りで周方向の方向性を持たないことから、フロート1の取り扱いが容易である。具体例としては、配管内への組付けが容易である。また、通気孔A1の周りを均等に密封することができる。また、フロート1によれば、当該フロート1の中心軸O1の周りの方向性を考慮して組み付けを行う必要が無い。この場合、フロート1の組付けミスを軽減させることができる。
また、例えば、図11に示すように、本実施形態に係るフロート1において、柱状凸部3の根元部分3aは、軸方向断面視において、軸直方向内側に向かって凸のR形状の輪郭形状を有している。この例では、フロート1の柱状凸部3の根元部分3aが、シール部材10のリップ部12の輪郭形状と一致するため、シール面積を大きく確保することができる。この場合、柱状凸部3の根元部分3aを、シール部材10に対して、広い範囲で面接触させることができる。このため、フロート1が均等に浮き上がらなくても、柱状凸部3の根元部分3aが、シール部材10に対して周方向に片当たりし難くなる。これにより、フロート1は、通気孔A1を均等に密封することができる。したがって、この場合、密封性能(止水性能)が向上するため、配管内からの溢水をより確実に抑制することができる。
また、例えば、図11を参照すれば、本実施形態に係るフロート1において、柱状凸部3の突端外縁3eは、面取りされた形状である。この場合、図6に示すように、柱状凸部3は、当該柱状凸部3の突端外縁3eにおいて、通気孔A1との間に、より大きなクリアランスC2を確保することができる。これにより、配管内により多くの空気を流通させることができるから、当該配管内の通気性をより確実に担保することができる。また、この場合、柱状凸部3が貫通孔A1に対して挿入し易くなるようにできる。
また、例えば、図10を参照すれば、本実施形態に係るフロート1において、柱状基台2の下面f2は、窪みCを有している。この場合、フロート1の軽量化を図ることができる。
また、本実施形態に係るフロート1において、柱状基台2の下面f2は、窪みCにリブ4を有している。この場合、フロート1の軽量化を図りつつ、リブ4の分だけフロート1の体積をより大きく確保することができる。即ち、この場合、フロート1の軽量化を図りつつ、より大きな浮力を確保することができる。したがって、この場合、フロート1の軽量化を図りつつ、配管内からの溢水をより確実に抑制することができる。
また、この例では、通気装置ADは、本発明の一実施形態に係る通気孔密封フロート構造を備えている。例えば、図5を参照すれば、前記通気孔密封フロート構造は、環状のシール部分と、シール部分の下方に配置された、フロート1と、フロート1の柱状基台2との間にクリアランスC1が形成されるように、フロート1が収納されている筒部分と、を備えている。本実施形態において、通気孔A1は、前記シール部分に形成されている貫通孔である。本実施形態において、通気孔A1が形成された部分は、シール部材10である。また、本実施形態において、前記筒部分は、筒部材20である。本実施形態に係る通気孔密封フロート構造によれば、サイホン排水管200内の通気性を担保しつつ、通気弁180からの溢水を抑制することができる。
特に、本発明によれば、通気孔A1が形成された部分は、例えば、配管の内部に形成された絞りを形成する部分等とすることができる。本実施形態に係る通気孔密封フロート構造において、通気孔A1が形成された部分は、シール部材10である。この場合、通気弁180からの溢水をより確実に抑制することができる。
また、本実施形態に係る通気孔密封フロート構造において、シール部材10は、フロート1との接触部分が当該フロート1のシール部材10との接触部分と対応する形状に形作られている。この例では、フロート1の柱状凸部3の根元部分3aが、シール部材10のリップ部12の輪郭形状と一致するため、シール面積を大きく確保することができる。この場合、フロート1とシール部材10とを、広い範囲で面接触させることができる。このため、フロート1が均等に浮き上がらなくても、フロート1が、シール部材10に対して周方向に片当たりし難くなる。これにより、フロート1は、通気孔A1を均等に密封することができる。したがって、この場合、密封性能(止水性能)が向上するため、配管内からの溢水をより確実に抑制することができる。
また、例えば、図1を参照すれば、本実施形態に係る通気孔密封フロート構造において、通気弁180は、溢水抑制具190を介して、排水トラップ130の第2折り返し部134に接続されている。この場合、通気弁180は、筒部材20の高さ分だけ、排水トラップ130の第2折り返し部134よりも高い位置にある。また、通気弁180は、筒部材20を介して排水トラップ130に接続されていることから、サイホン排水管200は、通気弁180を介して外気に通じさせることができる。したがって、この場合、サイホン排水管200内の通気性を担保しつつ、当該サイホン排水管200内からの溢水をさらに抑制することができる。
また、例えば、図5を参照すれば、本実施形態に係る通気孔密封フロート構造において、筒部材20は、遮蔽部24を備えている。遮蔽部24は、フロート1の下方に配置されているとともに、筒部材20との間に開口A2を形成するように、固定片25を介して筒部材20に固定されている。この場合、遮蔽部24がサイホン排水管200内からの溢水を抑制するため、当該サイホン排水管200内からの溢水をより確実に抑制することができる。また、この場合、筒部材20と遮蔽部24との間に形成された開口A2は、通気性を確保する。したがって、この場合、通気性を担保しつつ、サイホン排水管200内からの溢水をさらに抑制することができる。
特に、本実施形態のように、遮蔽部24は、上方に向かって凸の湾曲形状部24bを備えている場合、湾曲形状部24bの下側遮蔽面f241の湾曲形状がサイホン排水管200内からの溢水を効率的に排水トラップ130に戻すことができるので、サイホン排水管200内からの溢水をさらに効果的に抑制することができる。特に、本実施形態では、遮蔽部24の上側遮蔽面f242は、筒体部24aの上側遮蔽面f242aを有している。この場合、遮蔽部24が筒体部24aの長さL24だけ高い分、ディスポーザー111の振動等により発生し得る跳ね水が通気弁180の内部に侵入することを防止する効果が得られる。なお、本実施形態において、遮蔽部24の湾曲形状部24bは、ドーム状に形作られているが、傘型等の、円錐状又は角錐状の形状、立方体状の形状に形作ることもできる。
ところで、上述の説明では、本実施形態に係る通気孔密封フロート構造は、通気装置ADに採用されているものとしている。この場合、この例のように、前記通気孔密封フロート構造は、通気装置ADを排水トラップ130に接続させるだけのアタッチメント式とすることができる。ただし、本実施形態に係る通気孔密封フロート構造は、フロート1と、シール部材10と、筒部材20とを備えた溢水抑制具190に採用しているものとすることができる。この場合、通気孔密封フロート構造は、排水トラップ130と、通気弁180との間に溢水抑制具190を接続するだけのアタッチメント式とすることができる。即ち、本実施形態に係る通気孔密封フロート構造は、少なくとも、フロート1、シール部材10および筒部材20を備える構造とすることができれば、通気装置ADまたは溢水抑制具190として組み付けることは必須要件ではない。更に、通気孔密封フロート構造は、少なくとも、フロート1と、通気孔A1が形成された部分(本実施形態では、シール部材10)とを備える構造とすることができる。即ち、通気孔A1が形成された部分を密封することを目的とすれば、フロート1は、配管内の様々な部分(位置)に配置することができる。
図15は、通気装置ADの他の例をA-A断面で示す断面図であって、当該通気装置ADに内蔵された、フロート1が動作する前の状態を示す断面図である。
図15の通気装置ADにおいて、溢水抑制具190は、さらに、第2遮蔽部30を備えている。第2遮蔽部30は、遮蔽部24よりも下方に位置している。第2遮蔽部30は、筒部材20の内部を、当該筒部材20の周方向に沿って遮蔽している。具体的には、第2遮蔽部30は、筒部材20の大径部21の軸直方向内側に位置している。溢水抑制具190では、第2遮蔽部30は、筒部材20の軸直方向内側を、環状に遮蔽している。
第2遮蔽部30は、溢水抑制具190を排水トラップ130に接続したとき、当該排水トラップ130からの排水等が筒部材20の内部に導入されることを阻止する遮蔽部として機能する。第2遮蔽部30に形成された開口A3は、溢水抑制具190を排水トラップ130に接続したとき、当該排水トラップ130からの空気を排出するための通気孔として機能する。
この例では、第2遮蔽部30は、筒部材20と別の部材として構成されている。この例では、第2遮蔽部30は、筒部材20の大径部21の内周面に固定されている。また、この例では、第2遮蔽部30の中心軸も、フロート1の中心軸O1と同軸である。第2遮蔽部30は、軸方向視において、環状の円形である。この例では、第2遮蔽部30に形成された開口A3は、軸方向視において、中心軸O1を中心とした直径φ30の円である。
この例では、図15に示すように、第2遮蔽部30は、軸方向断面視において、軸直方向内側に向かって凸のR形状の湾曲形状部を有している。具体的には、図15に示すように、第2遮蔽部30は、軸方向断面視において、環状部30aと、当該環状部30aの開口縁に繋がる筒状の湾曲形状部30bと、湾曲形状部30bの開口縁に繋がる筒状部30cとによって形成されている。湾曲形状部30bは、軸方向断面視において、軸直方向内側に向かって凸のR形状の輪郭形状を形作っている。
さらに、この例では、第2遮蔽部30の下側遮蔽面f301は、図15に示すように、軸方向断面視において、環状部30aの下側遮蔽面f301aと、湾曲形状部30bの下側遮蔽面f301bと、筒状部30cの下側(外周側)遮蔽面f301cとによって形成されている。この例では、環状部30aの下側遮蔽面f301aの断面形状は、図15に示すように、軸方向断面視において、空気の流れ方向に対して直交する方向(軸直方向)に延びる直線である。また、この例では、湾曲形状部30bの下側遮蔽面f301bの断面形状は、図15に示すように、軸方向断面視において、中心点P30を中心とした半径R30aの曲線である。また、この例では、筒状部30cの下側遮蔽面f301cの断面形状は、図15に示すように、軸方向断面視において、空気の流れ方向(軸方向)に延びる直線である。この例では、中心点P30は、図15に示すように、軸方向断面視において、環状部30aの下側遮蔽面f301aの(軸直方向)直線と筒状部30cの下側遮蔽面f301cの(軸方向)直線とが互いに接線になるように円を描いたときの、当該円の中心点としている。
また、この例では、第2遮蔽部30の上側遮蔽面f302は、図15に示すように、軸方向断面視において、環状部30aの上側遮蔽面f302aと、湾曲形状部30bの上側遮蔽面f302bと、筒状部30cの上側(内周側)遮蔽面f302cとによって形成されている。この例では、環状部30aの上側遮蔽面f302aの断面形状は、図15に示すように、軸方向断面視において、空気の流れ方向に対して直交する方向(軸直方向)に延びる直線である。また、この例では、湾曲形状部30bの上側遮蔽面f302bの断面形状は、図15に示すように、軸方向断面視において、中心点P30を中心とした半径R30bの曲線である。また、この例では、筒状部30cの上側遮蔽面f302cの断面形状は、図15に示すように、軸方向断面視において、空気の流れ方向(軸方向)に延びる直線である。なお、第2遮蔽部30は、湾曲形状部30bのみで構成することができる。
特に、この例では、第2遮蔽部30は、環状凸部30dを有している。この例では、環状凸部30dは、環状部30aから中心軸O1の周りを周方向に環状に起立している。この例では、第2遮蔽部30は、筒部材20の環状凹部20nに、例えば、圧入させることにより、筒部材20に対して固定することができる。或いは、第2遮蔽部30は、筒部材20の下側端に対して固定することなく、筒部材20と排水トラップ130との間で挟持することができる。
この例によれば、第2遮蔽部30が遮蔽部24に先立って、筒部材20の内部を、当該筒部材20の周方向に沿って遮蔽していることから、多量の排水が排水管に流れることで、当該排水が溢水抑制具109に入り込むようなときも、当該排水の上部側への流れ込みをさらに抑制することができる。また、この例では、第2遮蔽部30の内周側に形成された開口A3がサイホン排水管200との空気の流通を確保する。特に、この例のように、第2遮蔽部30が筒部材20の内部を、環状に遮蔽している場合、当該第2遮蔽部30が煙突のように機能することで、空気の出入りをし易くすることができる。また、第2遮蔽部30が環状の遮蔽部である場合、例えば、この例のように、第2遮蔽部30を別体で構成するときに、当該第2遮蔽部30を簡易に成形することができる。
なお、図15を参照すれば、この例のように、第2遮蔽部30の開口A3の開口径(φ30)は、遮蔽部24の最大外径(φ24)より小さいことが好ましい。この場合、排水トラップ130からの排水は上部へ流入し難くなる一方、当該排水トラップ130内の空気は流出させ易いという効果を得られる。
また、この例では、第2遮蔽部30の湾曲形状部30bは、軸方向断面視において、軸直方向内側に向かって凸のR形状の輪郭形状を形作っている。この場合、排水トラップ130から溢れた排水を当該排水トラップ130に対して第2遮蔽部30の湾曲形状部30bの下側遮蔽面f301に沿って効率的に戻すことができるので、排水トラップ130からの溢水を更に抑制することができる。
なお、溢水抑制具109は、軸方向視において、筒部材20の内部構造が中心軸O1を中心に対称な構造である。詳細には、溢水抑制具109は、フロート1、シール部材10、遮蔽部24、遮蔽部30、並びに、通気孔A1、開口A2及びA3が中心軸O1を中心に対称な構造である。この場合、排水トラップ130と通気弁180との接続時の構造的な位置合わせが容易になることで、簡易な作業で接続可能な溢水抑制具となる。なお、本発明によれば、溢水抑制具109の内部構造は、軸方向視において、中心軸O1を中心に非対称とすることも可能である。ただし、溢水抑制具を取り付ける際の取付方向を考慮すると、対称であることが好ましい。
また、この例では、第2遮蔽部30は、筒部材20と異なる部材として構成されている。筒部材20は、例えば、樹脂、金属、弾性体で形成することができる。また、第2遮蔽部30も、例えば、樹脂、金属、弾性体で形成することができる。この例では、第2遮蔽部30は、ゴム等の弾性体で形成している。この場合、第2遮蔽部30は、シール部材として機能させることができる。
また、筒部材20の外形形状は、軸方向視において、多角形である。この例では、筒部材20の外形形状は、八角形である。この場合、筒部材20は、通気弁180および排水トラップ130に対して容易にねじ付けることができる。但し、筒部材20の外形形状は、多角形に限定されることはない。本発明に従えば、筒部材20の外形形状は、軸方向視において、例えば、円形等、様々な形状とすることができる。
さらに、上述の例では、大径部21の内周面は、軸方向視において、円形である。また、上述の例では、小径部22の内周面も、軸方向視において、円形である。さらに、上述の例では、遮蔽部24、30の外形形状も、軸方向視において、円形である。ただし、これらの形状も、上述のとおり、多角形等の様々な形状とすることできる。
上述したところは、本発明のいくつかの実施形態について説明を行ったにすぎず、特許請求の範囲に従えば、様々な変更が可能となる。例えば、フロート1のリブ4は省略することができる。また、フロート1は、通気弁180と排水管との間に配置することが好ましいが、通気弁180を有しない通気口と排水管との間に配置することができる。更に、フロート1は、排水トラップ130上に配置されているが、サイホン排水管200内の空気を排出できる位置であれば、接続管120、排水トラップ130、直管140、横引き管150、竪管160のいずれかの任意の位置に配置することができる。また、フロート1を用いた通気孔密封フロート構造も同様である。
また、通気孔密封フロート構造において、遮蔽部24、30は、筒部材20の内部を、当該筒部材20の周方向に沿って遮蔽しているものであれば、周方向に沿って断続的に遮蔽しているものでもよい。即ち、遮蔽部24、30は、上述の遮蔽部に限定されるものではない。また、第2遮蔽部30は、筒部材20の内部における下側であって、少なくとも、排水時の流れが導入され得る上流側の位置にあることが望ましい。こうした第2遮蔽部30の具体例としては、軸方向視において、半円形状の遮蔽部が挙げられる。この場合、排水時の流れが導入され得る上流側を第2遮断部30によって遮蔽する一方、その下流側では、当該第2遮断部30と筒部材20の内周面との間に形成される隙間によって空気の流れが許容される。こうした環状ではない第2遮蔽部30は、筒部材20の内部構造が非対称の場合に有効である。
更に、上述した各例に採用された様々な構成は、互いに組み合わせて使用することができる。また、上述した各例に採用された様々な構成は、相互に適宜、置き換えることができる。