JP7470102B2 - 質量分析システム、および質量分析装置の性能を判定する方法 - Google Patents

質量分析システム、および質量分析装置の性能を判定する方法 Download PDF

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Description

本開示は、質量分析システム、および質量分析装置の性能を判定する方法に関する。
質量分析装置は、試料をイオン化し、イオンを質量電荷比に応じて分析するための装置である。一般的に、質量分析装置は、試料をイオン化するイオン源、イオンを質量電荷比に応じて分離する質量分析部、質量分析部を通過したイオンの量を検出する検出部によって構成される。
当該検出部は、電子増倍管や光電子増倍管を用いて構成される。これらの増倍管は、一般的には複数のダイノードとアノードを含んでいる。電子増倍管は荷電粒子を、光電子増倍管は光子を、第一ダイノードに衝突させて電子に変換し、生成された電子を後続のダイノードで増幅する。増幅された電子をアノードに収集し、その電流または電圧値を測定することにより測定対象の粒子の存在量を測定することができる。一般的に、電子増倍管はダイノードがむき出し(密閉されていない)となっているが、光電子増倍管は真空管内に部品が密封されている。したがって、電子増倍管は光電子増倍管より寿命が短い。電子増倍管は、荷電粒子が衝突したり汚れたりすることで劣化していくからである。一方、光電子増倍管は、電子増倍管より寿命が長い。しかし、光電子増倍管を使用する場合は、イオンを光子に変換するためにシンチレータを併用する必要がある。シンチレータとは、粒子が衝突すると蛍光する物質の総称である。シンチレータには、例えば、有機結晶や有機液体、無機結晶など様々な形態の物質が用いられる。シンチレータは、電子増倍管と同様にむき出し(密閉されていない)なので、電子増倍管と同様の理由で劣化していく。このように、検出器が劣化すると測定強度が低下し、質量分析装置の性能に大きな影響を与える。検出器が劣化した場合は、例えば電子増倍管または光電子増倍管のゲインを調整する、新しい検出器と交換するなどの方法によって性能を回復させる必要がある。
しかし、測定強度の低下は装置の他の部分の汚れが原因である場合が多いため、単純に測定強度が低下しただけでは検出器が劣化しているか判定することができない。検出器が劣化しているか判定するためには、質量分析装置から検出器を取り外し、例えば顕微鏡による観察によって劣化しているか判定する必要がある。このように検出器を取り外して調べるのは時間がかかり、かつ煩雑な作業となるため、迅速かつ簡単に検出器の性能を判断する方法や基準を設ける必要がある。
検出器を迅速かつ簡単に性能判定する技術として、例えば、特許文献1には、出力信号の偏差/強度比を調べることにより、出力信号強度の低下が検出器自体の劣化によるものか否かを適切に判定することが記載されている。
特開2000-57990号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術を用いたとしても、質量分析装置の検出器以外の部分の汚れと検出器の汚れ(劣化)が組み合わさっている場合には、どちらの劣化か判断することができず、検出器の劣化を見逃す可能性がある。また、汚れが飽和した状態では揺らぎが生じない場合もあるため、誤って検出器が劣化していると判定する可能性がある。
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、質量分析装置における検出器単体の劣化を判定する技術を提供する。
上記課題を解決するために、本開示による質量分析システムは、測定試料をイオン化するイオン源と、前記イオン源で生成されたイオンを質量電荷比に応じて分析する質量分析部と、前記質量分析部を通過したイオンを検出する検出器と、を含む質量分析装置と、
前記検出器から出力される電気信号におけるパルスの強度や面積に基づいて第1測定値を計算する第1変換器と、
前記電気信号のパルスの数を数えることにより第2測定値を求める第2変換器と、
前記第1測定値の前記第2測定値に対する比率を示すA/P比を計算する計算部と、
前記A/P比の値に基づいて、前記検出器の性能を判定する判定部と、
少なくとも前記判定部による判定結果の出力を制御する制御部と、を備える。
本開示に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、本開示の態様は、要素及び多様な要素の組み合わせ及び以降の詳細な記述と添付される請求の範囲の様態により達成され実現される。
本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
本開示によれば、検出器以外の部分の汚れの有無にかかわらず、質量分析装置の検出器の性能を正確かつ迅速に判定することができる。
本実施形態(各実施形態で共通)による質量分析システムの概略構成例を示す図である。 アナログ方式による信号処理の例を示す図である。 パルスカウント方式による信号処理の例を示す図である。 試料濃度に対する測定値の関係を示す図である。 検出器103が劣化した場合の波形の例を示す図である。 濃度Cの試料を測定した場合の測定値とA/P比との関係を示す表である。 図2の質量分析システム10において検出器103の性能(劣化の有無)を判定する処理を説明するためのフローチャート例である。 GUIの結果表示画面の例を示す図である。 第2の実施形態による質量分析装置の性能判定処理(性能確認処理)を説明するためのフローチャート例である。 第3の実施形態による、検出器103の性能判定処理(性能確認処理)を説明するためのフローチャート例である。 第4の実施形態によるA/P比および測定値収集処理を説明するためのフローチャート例である。
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った具体的な実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
以後の説明では「テーブル」形式によって本実施形態における測定値とA/P比について説明するが、これは必ずしもテーブルによるデータ構造で表現されていなくても良く、リスト、DB、キュー等のデータ構造やそれ以外で表現されていても良い。そのため、データ構造に依存しないことを示すために「テーブル」、「リスト」、「DB」、「キュー」等について単に「情報」と呼ぶことができる。
(1)第1の実施形態
<質量分析装置の校正>
図1は、本実施形態による質量分析システム10の概略構成例を示す図である。図1に示されるように、質量分析システム10は、測定試料をイオン化するイオン源101、イオン源101で生成されたイオンを質量電荷比に応じて分析する質量分析部102、および質量分析部102を通過したイオンを検出する検出器103を含む質量分析装置104と、検出器103から出力された電気信号におけるパルスの強度や面積に基づいて測定値を計算するアナログ演算部(第1変換器)105と、検出器103から出力された電気信号のパルスの数をカウントすることで測定値を求めるパルスカウント部(第2変換器)106と、パルスカウント部106から得られた測定値とアナログ演算部105によって得られた測定値との比率(A/P比)を計算する計算部107と、A/P比に基づいて検出器103の性能を判定する判定部108と、各構成部品の動作を制御する制御部(コントローラ)109と、A/P比や判定結果などをGUIに表示する表示装置110と、を備えている。
イオン源101は、例えば、シリンジや液体クロマトグラフによって供給される測定試料(ターゲットサンプル)を化学的・物理的に様々な手法でイオン化する。例えば、イオン化する手法として、電子イオン化法、化学イオン化法、エレクトロスプレーイオン化法、大気圧化学イオン化法、マトリクス支援レーザー脱離イオン化法などが挙げられる。また、誘導結合プラズマ質量分析装置のようにプラズマを用いてイオン化する方法もある。
イオン源101でイオン化された測定試料は、化学的または物理的な作用によって質量分析部102に取り込まれる。例えば、質量分析部102のイオン取り込み口付近に設けた電極に適切な電圧を印加することによりイオン化された測定試料が取り込まれる。そして、質量分析部102に取り込まれたイオンは、電気的・磁気的に質量電荷比に応じて分離される。例えば、磁場によってイオンの軌道を曲げる磁場型、断面が双極面となるように加工された電極に高周波交流電圧と直流電圧を印加することでイオンを分離する四重極型、イオンの飛行時間を検出する飛行時間型などがある。
質量分析部102で分離されたイオンは、最終的に検出器103で検出される。質量分析装置104の検出器103には、一般的には電子増倍管または光電子増倍管が使用される。電子増倍管は荷電粒子を電子に変換して増幅し、光電子増倍管は光子を電子に変換して増幅する増倍管である。光電子増倍管を使用する場合は、シンチレータを介して荷電粒子を光子に変換することが多い。なお、ここで述べている荷電粒子とは、質量分析部102を通過したイオンでも良いし、質量分析部102を通過したイオンをコンバージョンダイノードに衝突させて発生させた粒子でも良い。
検出器103で増幅された電子は、電気信号(電流または電圧)として検出することができる。電気信号の処理の方式にはパルスカウント方式とアナログ方式がある。本実施形態では、アナログ方式の処理機能を有している構成要素をアナログ演算部(第1変換器)105、パルスカウント方式の処理機能を有している構成要素をパルスカウント部(第2変換器)106と呼ぶこととする。アナログ演算部(第1変換器)105およびパルスカウント部(第2変換器)106はともに検出器103に接続されており、同時に処理することが可能な構成となっている。
アナログ方式では、一定時間の間に検出したパルスの強度や面積を計算することでイオンの存在量を求める。図2は、アナログ方式による信号処理の例を示す図である。まず、アナログ演算部(第1変換器)105は、横軸を時間、縦軸を電気信号とした波形図に現れるパルスの高さまたは面積を読み取る。高さや面積は、例えば、アナログ波形であるパルスをアナログ/デジタル変換器(ADC)でデジタル波形に変換し、その値を読み取るまたは積算することによって計算する。そして、計算部107は、計算した強度や面積を、あらかじめ求めておいた測定対象のイオン1個あたりの強度または面積で除することでイオンの数を計算する。
パルスカウント方式では、一定時間の間に検出されたパルスの個数を数えることでイオンの存在量を求める。図3は、パルスカウント方式による信号処理の例を示す図である。パルスカウント部(第2変換器)106は、横軸を時間、縦軸を電気信号(電流値または電位差)とした波形図に現れるパルスのうち、あらかじめ定めた閾値以上のパルスを「1」、閾値未満のパルスを「0」と処理することで、一定時間の間にパルスが何個現れるかを数える。パルスカウント部(第2変換器)106では、この一連の処理の前後、あるいは途中にアンプによる信号増幅処理やノイズ除去などの機能があっても良い。
なお、アナログ演算部(第1変換器)105には、この一連の処理の前後、あるいは途中にアンプによる信号増幅処理やノイズ除去などの機能もあっても良い。また、アナログ演算部(第1変換器)105は、パルスカウント部(第2変換器)106と共有のアンプなどを備えていても良い。
<試料濃度と測定値との関係>
図4は、試料濃度に対する測定値の関係を示す図である。試料濃度が低い時(濃度C以下)は電流量が小さいため、アナログ方式による測定が不可能またはS/N比が悪い測定となる。図4において、濃度Cよりも小さい濃度のときには、アナログ方式による測定特性の形状がS/N比の悪化により鈍っていることが分かる。
より濃度が大きくなると、アナログ方式・パルスカウント方式の双方による測定が可能な領域となる(例えば濃度C)。
さらに濃度が大きくなると(濃度C以上)、イオンが高頻度で検出器103に到達するため、パルスカウント方式で数えられるイオンの個数の限界値を超える。つまり、パルスの出現頻度(隣接するパルス間の時間間隔)がディジタルクロックの幅よりも小さい場合には、適切にパルス数をカウントすることができないため、パルスカウント方式による測定特定の形状が鈍っている(測定値が飽和している)。
図4に示されるように、アナログ方式による測定値とパルスカウント方式による測定値との比率をA/P比と定義すると、濃度C~Cの領域ではA/P比は試料濃度に依らず一定であることが分かる。
<劣化した波形の例>
図5は、検出器103が劣化した場合の波形の例を示す図である。検出器103が劣化すると、例えば電子増倍管のゲインが低下したり、シンチレータのイオンを光子に変換する効率が低下したりする。そのため、図5のBに示されるように、劣化していない状態の検出器103によって検出された電気信号(図5のA)と比べて、検出器103が劣化した場合の電気信号の強度が弱くなり、パルス面積が小さくなる。劣化後のパルス面積は小さくなるが、パルスカウントの閾値を超える電気信号の数自体は劣化前と同一であることも分かる。
<測定値とA/P比との関係>
図6は、濃度Cの試料を測定した場合の測定値とA/P比との関係を示す表である。図6では、パルスカウント方式ではパルスの数を測定値とする。アナログ方式では、イオン1個あたりのパルス面積(基準面積)が“100”であるものとして測定値を計算するものとする。
No.1の結果は、検出器103が劣化しておらず、質量分析装置104の他の部分にも汚れがない場合の例を示している。No.1ではパルスカウント方式による測定値、アナログ方式による測定値はともに“2”であり、A/P比は“1”となる。
No.2の結果は、検出器103が劣化し、検出器103以外の部分の汚れがない場合の例を示している。この場合、パルスカウント方式による測定値はNo.1と同じで“2”である。一方、検出器103の劣化によりイオン1個に相当するパルス面積が低下するため、アナログ方式による測定値は“1”に低下する。したがって、A/P比は0.5に低下する。
No.3の結果は、検出器103の劣化がなく、検出器103以外の部分の汚れがある場合の例を示している。この場合、イオンが検出器103に到達する頻度が低下するため、パルスカウント方式による測定値は“1”となる。一方、アナログ方式では、イオン1個に相当するパルス面積は変化しないため、測定値はパルスカウント方式と同じ“1”となる。よって、A/P比は“1”となり、No.1と同じ値となる。しかし、パルス数が、No.1の結果(時系列で前の結果:例えば、初期値)よりも少ないため、検出器103以外の部分の汚れ(装置の汚れ)があると判断することができる。
No.4の結果は、検出器103の劣化があり、かつ検出器103以外の部分の汚れもある場合の例を示している。この場合はNo.3と同様にイオンが検出器103に到達する頻度が低下するため、パルスカウント方式による測定値は“1”となる。一方、アナログ方式では、イオン1個に相当するパルス面積が低下するため、測定値は“0.5”となる。この場合はA/P比は“0.5”となる。そして、パルス数が、No.1の結果(時系列で前の結果:例えば、初期値)よりも少ないため、検出器103以外の部分の汚れ(装置の汚れ)もあると判断することができる。
このように、A/P比は、検出器103以外の部分の汚れの有無に関わらず検出器103の性能を判定することができる値である。したがって、A/P比を監視すれば検出器103が劣化したか正確に判定することができる。また、A/P比の測定は検出器103を質量分析装置104から取り外す煩雑な作業を伴わないため、迅速に検出器103の性能を判定することができる。
図1に示す構成例では、計算部107がA/P比を計算する機能を有し、判定部108が検出器103の性能を判定する機能を有する。計算部107や判定部108は、制御部(コントローラ)109と併せて回路基板上における電気的な処理でもプログラムによるソフトウェア的な処理でも良い。つまり、図示しないプロセッサ(例えばCPU)が図示しないメモリからプログラムを読み込んで展開し、計算部107および判定部108を構成するようにしてもよい。また、例えば、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)が機能の一部として計算部107や判定部108を有していても良い。
制御部(コントローラ)109は、質量分析装置104、アナログ演算部(第1変換器)105、パルスカウント部(第2変換器)106、計算部107、および判定部108の動作を制御する。制御部(コントローラ)109は、例えばGUIが有していても良い。
<検出器の性能判定処理>
図7は、図2の質量分析システム10において検出器103の性能(劣化の有無)を判定する処理を説明するためのフローチャート例である。当該検出器103の性能判定処理は、任意のタイミングで実行可能である。例えば、質量校正をする時、装置のクリーニングの前などがある。ここで、質量校正とは、装置に加える電気的・磁気的な作用の値と質量電荷比との関係を補正する作業である。一般的に試料濃度が高い測定試料を使用するので、A/P比の測定にも利用できる。また、質量校正は数カ月に1回、年に1回というように定期的に実施する作業である。質量校正の度にA/P比を測定すれば、手間をかけずに検出器103の経時的な状態変化を把握することができる。装置のクリーニングも質量校正と同様に定期的に実施する作業である。装置のクリーニング前にA/P比を測定すれば、検出器103が劣化していた場合、装置のクリーニングと同時に検出器103を交換することができる。以下、当該フローチャートに従って検出器性能判定処理について説明する。
(i)ステップ701
検出器103の性能確認の開始後、試料がアナログ方式とパルスカウント方式で測定される。つまり、アナログ演算部(第1変換器)105は、検出器103によって得られる電気信号の面積(一例)を求め(図2参照)、それを基準面積で除算することによりアナログ方式の測定値を算出する。一方、パルスカウント部(第2変換器)106は、所定の閾値(パルスカウントの閾値:図3参照)に基づいてパルスカウント方式の測定値を算出する。なお、試料は図5において試料濃度C~Cの範囲に相当するものを使用するのが良い。
ステップ701における各測定は、アナログ方式とパルスカウント方式を同時に実行しても、それぞれ個別に測定しても良い。個別に測定する場合は、回路中に物理的なスイッチを設けて測定方式を切り替えても良いし、ソフトウェアで測定方式を選択できる方式でも良い。ソフトウェアで選択する場合は制御部(コントローラ)109が測定方式を選択する機能を有していても良い。また、測定はナノ秒~秒単位の短い周期で実行しても、数十秒~数分の長い周期で実行しても良い。測定は複数回繰り返しても良い。
(ii)ステップ702
計算部107は、ステップ701で得られた2つの方式による結果(測定値)からA/P比(=アナログ方式の測定値/パルスカウント方式の測定値)を算出する。各方式の測定で得られたデータ点が複数ある場合は、例えば平均値でA/P比を計算しても良い。
(iii)ステップ703
判定部108は、ステップ702で算出したA/P比とあらかじめ定めたA/P比の基準範囲(合格範囲)を比較し、A/P比が基準範囲以内の値か否か判定する。A/P比が基準範囲以内の値である場合(ステップ703でYesの場合)、処理はステップ704に移行する。A/P比が基準範囲から外れる場合(ステップ703でNoの場合)、処理はステップ705に移行する。
ステップ703におけるA/P比の判定基準は、検出器103が新品の状態で定めておくことができる。検出器103が新品の時のA/P比を[A/P]とし、検出器103の使用開始からの時間tで図7のフローチャートに従った処理を実行し、その時のA/P比を[A/P]とする。基準範囲は、例えば[A/P]-[A/P]、[A/P]/[A/P]、([A/P]-[A/P])/Δtなど、[A/P]との差、比、[A/P]からの変化率などを定めると良い。また、前回測定値との差、比、変化率などでも良い。また、それまでにその装置で測定したイオンの累計量に対する変化率などでも良い。
つまり、検出器103の劣化が始まるとA/P比が小さくなってくる(1よりも小さくなる)ので、例えば、AP比の値がバラツキσ値(例えば、0.95)よりも大きいか否かで合否判定をすることができる。また、A/P比の変化率、つまり([A/P]t-[A/P]0)/Δtの値(つまり、傾き)が所定の設定値よりも大きいか否かによって合否を判定しても良い。また、A/P比の偏差は小さいが変化率(傾き)が大きい場合には早目に不合格と判定しても良い。
(iv)ステップ704
判定部108は、対象の検出器103の劣化は進んでいないとして、検出器103を合格と判定する。
(v)ステップ705
判定部108は、対象の検出器103の劣化は許容範囲を超えており、検出器103を不合格と判定する。
ステップ705によって検出器103の性能が不合格と判断された場合、制御部(コントローラ)109が検出器103のメンテナンス処理を実行しても良い。例えば、増倍管に印加する電圧を調整することでゲインを調整し、検出器103の見かけ上の性能を回復させても良い。ゲインを調整する処理は、制御部(コントローラ)109が自動的に指示して実行しても良い(例えば、ユーザーが予め調整値を設定しておき、不合格の結果をトリガーとして自動的にゲイン調整をする)。
また、GUI上に警告アラームを表示したり、「検出器を交換してください」というようなメッセージを表示したりしても良い。
<GUI構成例>
質量分析装置104のユーザーが検出器103の状態を把握できるように、ステップ710、ステップ702、ステップ703から705の結果は、GUI画面上に表示しても良い。図8は、GUIの結果表示画面の例を示す図である。
GUI画面は、一般的には、試料の測定条件、マススペクトルやマスクロマトグラムなどの視覚的な測定結果を表示する領域と、スペクトルやクロマトグラムのピーク情報(ピークの中心位置、半値幅、強度など)など数値的な測定結果を表示する領域と、を含んでいる。例えば、数値的な測定結果の欄にA/P比に関する情報を表示すればユーザーに検出器103の状態を伝えやすくなる。また、例えば、時間や測定したイオンの累計量に対するA/P比の変化がわかるグラフなど、A/P比の測定結果を表示する画面があっても良い。
<第1の実施形態のまとめ>
第1の実施形態によれば、アナログ方式の測定値およびパルスカウント方式の測定値からA/P比を算出し、その値に基づいて検出器103の合否判定を行っている。このようにすることにより、検出器以外の部分の汚れの有無に左右されず、検出器103単体における性能劣化の有無を判断することができるようになる。
(2)第2の実施形態
第2の実施形態は、A/P比の測定(検出器103の性能判定処理)と同時に、質量分析装置104の汚れを判定する処理を実行する質量分析システムに関する。なお、第1の実施形態による質量分析システム10の構成は、第2の実施形態にも適用することができる。
<質量分析装置の性能判定処理>
図9は、第2の実施形態による質量分析装置の性能判定処理(性能確認処理)を説明するためのフローチャート例である。ここでは、検出器103の合否判定の他、検出器103以外の部分の汚れ(性能劣化)の判定処理が含まれている。検出器103の合否判定については第1の実施形態(図7のステップ701から705)と同様である。つまり、質量分析装置104の性能確認の開始後、任意の試料を測定し(ステップ701)、計算部107によってA/P比を計算する(ステップ702)。そして、判定部108によって検出器103の性能を判定する(ステップ703から705)。
第2の実施形態では、ステップ702から705の処理と並行して測定値から質量分析装置104の汚れの有無の判定処理が実行される(ステップ901)。判定後、質量分析装置104の性能確認が終了する。
ステップ901は、ステップ701で測定したデータから検出器103以外の装置の汚れを判定する処理である。A/P比ではなく、測定値から汚れの有無(検出器103以外の部分の性能劣化の有無)が判定される。例えば、判定部108は、制御部(コントローラ)109の制御の下、同じ種類と濃度、同じ測定条件で測定した過去の測定値とステップ701の測定結果(測定値)とを比較する。検出器103の劣化の影響を受けないパルスカウント方式の測定値で比較するようにしてもよい。また、アナログ方式の測定値を過去に測定したA/P比で補正して比較しても良い。判定部108は、上記比較の結果、測定値が減少傾向である場合(例えば、初期測定値からどの程度減少しているか:当該減少値が所定の閾値を超えたか否かで判断することができる)や、任意に定めた基準範囲を外れていた場合(例えば、測定値の時間的変化率が所定値を超えたか否かで判断することができる)に質量分析装置104が汚れている(質量分析装置104に性能劣化がある)と判定する。また、制御部109は、判定結果を、A/P比と同様に表示装置110の表示画面(GUI画面)に表示するようにしても良い。
なお、このような質量分析装置104の性能判定処理(図9)は、例えば、質量校正のタイミングで実施することができる。一般的に、質量校正に使用する試料、濃度、測定条件は常に同じである。したがって、質量校正時は検出器103の性能も、質量分析装置104の汚れも判定しやすいタイミングである。
<第2の実施形態のまとめ>
第2の実施形態によれば、例えば、A/P比による検出器103の性能判定と共に、パルスカウント方式の測定値を時系列で比較する処理を実行することにより、検出器103の性能と同時に質量分析装置104の汚れも確認することができ、少ない時間で複数の不具合要因を確認することができるようになる。
(3)第3の実施形態
第3の実施形態は、判定部108において、複数の判定基準に従って検出器の性能(劣化状況)を判定する質量分析システムに関する。なお、第1の実施形態による質量分析システム10の構成は、第2の実施形態にも適用することができる。
<検出器の性能判定処理>
図10は、第3の実施形態による、検出器103の性能判定処理(性能確認処理)を説明するためのフローチャート例である。
(i)ステップ1001
検出器103の性能確認の開始後、試料がアナログ方式とパルスカウント方式で測定される。つまり、アナログ演算部(第1変換器)105は、検出器103によって得られる電気信号の面積(一例)を求め(図2参照)、それを基準面積で除算することによりアナログ方式の測定値を算出する。一方、パルスカウント部(第2変換器)106は、所定の閾値(パルスカウントの閾値:図3参照)に基づいてパルスカウント方式の測定値を算出する。なお、試料は図5において試料濃度C~Cの範囲に相当するものを使用するのが良い。
ステップ1001における各測定は、ステップ701(図7参照)と同様に、アナログ方式とパルスカウント方式を同時に実行しても、それぞれ個別に測定しても良い。個別に測定する場合は、回路中に物理的なスイッチを設けて測定方式を切り替えても良いし、ソフトウェアで測定方式を選択できる方式でも良い。ソフトウェアで選択する場合は制御部(コントローラ)109が測定方式を選択する機能を有していても良い。また、測定はナノ秒~秒単位の短い周期で実行しても、数十秒~数分の長い周期で実行しても良い。測定は複数回繰り返しても良い。
(ii)ステップ1002
計算部107は、ステップ701で得られた2つの方式による結果(測定値)からA/P比(=アナログ方式の測定値/パルスカウント方式の測定値)を算出する。各方式の測定で得られたデータ点が複数ある場合は、例えば平均値でA/P比を計算しても良い。
(iii)ステップ1003
判定部108は、ステップ1002で算出したA/P比の値が予め設定した合格基準値(第1基準値)以上か否か(「第1基準値より大きいか否か」でもよい)判断する。前述のように、検出器103の劣化が始まると、アナログ方式の測定値が減少し始め、よって、A/P比の値が1より小さくなる。そこで、合格基準値を例えば0.9に設定し、検出器103を今後継続的に使用しても問題ないか判断する。A/P比の値が合格基準値以上である(合格基準値より大きい)場合(ステップ1003でYesの場合)、処理はステップ1004に移行する。A/P比の値が合格基準値未満である(合格基準値以下である)場合(ステップ1003でNoの場合)、処理はステップ1005に移行する。
(iv)ステップ1004
判定部108は、判定対象の検出器103について、性能の劣化は進んでおらず合格である(継続的に使用しても問題ない)と判定する。そして、制御部(コントローラ)109は、例えば、「検出器継続使用OK」とGUI画面上に表示するように判定結果の情報を表示装置110に出力する。
なお、A/P比の値は合格基準値以上であったが、A/P比の変化率(前回との値との差分/時間)が所定値以上であった場合には、今回の性能判定では合格であったが、次回以降の性能判定処理時には検出器の性能劣化が検知される可能性があることを注意喚起するようなメッセージをGUI画面上に出力するようにしてもよい。
(v)ステップ1005
判定部108は、ステップ1002で算出したA/P比の値が予め設定した不合格基準値(第2基準値)以下か否か(「第2基準値未満か否か」でもよい)判断する。ここで、不合格基準値(第2基準値)は、合格基準値(第1基準値)よりも大きい値である。つまり、第3の実施形態は、2つの基準(3つ以上でもよい)に基づいて、A/P比が合格とする範囲内か、不合格とする範囲内か、不合格と合格の間の範囲であるか判定するものである。A/P比の値が不合格基準値以下である(不合格基準値未満である)場合(ステップ1005でNoの場合)、処理はステップ1006に移行する。A/P比の値が不合格基準値より大きい(不合格基準値以上である)場合(ステップ1005でYesの場合)、処理はステップ1007に移行する。
(vi)ステップ1006
判定部108は、対象の検出器103について、このまま継続して使用はできないが交換するまで劣化は進んでいないと判定(不合格と合格の間の範囲であると判定)する。そして、制御部(コントローラ)109は、例えば「検出器劣化進行中」とGUI画面上に表示するように判定結果の情報を表示装置110に出力する。
この場合、検出器103を交換するのではなく、検出器103への印加電圧を調整することにより、検出器103の機能を回復することができる(検出器103のメンテナンス)。調整時の印加電圧の値は予め設定しておけばよい。
(vii)ステップ1007
判定部108は、対象の検出器103について、このまま継続して使用はできず交換が必要な状態まで劣化は進んでいると判定(不合格であると判定)する。そして、制御部(コントローラ)109は、例えば「検出器交換要」とGUI画面上に表示するように判定結果の情報を表示装置110に出力する。
なお、判定基準(合格基準値および不合格基準値)は、前述したように、A/P比の初期値または前回測定値との差、比、時間に対する変化率、測定したイオンの累計量に対する変化率などを1つ以上用いて設定することができる。
<第3の実施形態のまとめ>
第3の実施形態によれば、複数の判定基準を設け、それぞれに対応する判定結果に基づいて、段階的に検出器103の性能劣化を判定する。このようにすることにより、検出器103の状態をより詳しく知ることができる。例えば、図10の例では検出器劣化進行中の判定が出た時に、検出器103のメンテナンスに必要な道具や部品を備える時間的な余裕が生じる。
なお、3つ以上の複数基準を設ける場合、検出器103の劣化が未だ軽い場合、不合格(検出器103の交換)までは行かないが検出器103の劣化がかなり進んでいる場合のように、さらに細分化された性能判定を実現することができる。
(4)第4の実施形態
第4の実施形態は、任意の測定中にA/P比を計算し、情報として蓄積する(A/P比および測定値収集処理を実行する)質量分析システムに関する。ここで、任意の測定とは、例えば、液体クロマトグラフやガスクロマトグラフと組み合わせてLC-MS測定、GC-MS測定をする時でも、質量校正をする時でも良いという意味である。なお、第1の実施形態による質量分析システム10の構成は、第2の実施形態にも適用することができる。
<A/P比および測定値収集処理の詳細>
図11は、第4の実施形態によるA/P比および測定値収集処理を説明するためのフローチャート例である。
(i)ステップ1101
検出器103の性能確認の開始後、試料がアナログ方式とパルスカウント方式で測定される。つまり、アナログ演算部(第1変換器)105は、検出器103によって得られる電気信号の面積(一例)を求め(図2参照)、それを基準面積で除算することによりアナログ方式の測定値を算出する。一方、パルスカウント部(第2変換器)106は、所定の閾値(パルスカウントの閾値:図3参照)に基づいてパルスカウント方式の測定値を算出する。なお、試料は図5において試料濃度C1~C3の範囲に相当するものを使用するのが良い。
ステップ1101における各測定は、ステップ701(図7参照)と同様に、アナログ方式とパルスカウント方式を同時に実行しても、それぞれ個別に測定しても良い。個別に測定する場合は、回路中に物理的なスイッチを設けて測定方式を切り替えても良いし、ソフトウェアで測定方式を選択できる方式でも良い。ソフトウェアで選択する場合は制御部(コントローラ)109が測定方式を選択する機能を有していても良い。また、測定はナノ秒~秒単位の短い周期で実行しても、数十秒~数分の長い周期で実行しても良い。測定は複数回繰り返しても良い。
(ii)ステップ1102
判定部108は、アナログ方式とパルスカウント方式の各測定値のいずれかについて、あらかじめ定めた閾値以上(「閾値よりも大きい」でもよい)であるか判定する。この時の閾値は試料濃度C~Cに相当する範囲で任意に設定することができる。ステップ1101で求めた測定値が任意の閾値以上である(閾値より大きい)場合(ステップ1102でYesの場合)、処理はステップ1104に移行する。当該測定値が任意の閾値未満である(閾値以下である)場合(ステップ1102でNoの場合)、処理はステップ1103に移行する。
なお、任意の閾値は、アナログ方式あるいはパルスカウント方式それぞれの方式に対応して設定することができる。当該閾値は、例えば、質量校正の場合には、イオンが十分に出ていないため、A/P比を算出すべき対象として適切ではない測定値を除去するための基準(例えば、図4の濃度Cに対応する測定値を用いることができる)である。
(iii)ステップ1103
制御部(コントローラ)109は、ステップ1101で取得した測定値のみをメモリやストレージデバイス等の記憶デバイス(図示せず)に保存する。保存対象の測定値は、アナログ方式あるいはパルスカウント方式の何れの方式の測定値であってもよい。ステップ1102で任意の閾値未満(以下)の測定値は捨ててしまうのではなく、イオンが出ていない場合、あるいはA/P比算出に適さないほど微量のイオンしか出ていない場合のゆらぎ(ノイズ)の情報として保存する。ゆらぎレベルと測定ピーク値との関係を知ることも実験上重要となるため、任意の閾値未満(以下)の測定値も保存することとしている。
(iv)ステップ1104
計算部107は、ステップ1101で得られた2つの方式による結果(測定値)からA/P比(=アナログ方式の測定値/パルスカウント方式の測定値)を算出する。各方式の測定で得られたデータ点が複数ある場合は、例えば平均値でA/P比を計算しても良い。
(v)ステップ1105
判定部108は、ステップ1104で算出したA/P比の値に基づいて、検出器103の性能(劣化の有無)を判定する。当該判定処理では、例えば、第3の実施形態で説明したように、複数の判定基準を設けても良い。判定基準の詳細については、第1から第3の実施形態で既に述べているのでここでは省略する。
A/P比の値が基準範囲内である場合(ステップ1105でYesの場合)、処理はステップ1106に移行する。A/P比の値が基準範囲外である場合(ステップ1105でNoの場合)、処理はステップ1107に移行する。
(vi)ステップ1106
判定部108は、使用中の検出器103について、このまま継続して使用可能である(合格)と判定する。
(vii)ステップ1107
判定部108は、使用中の検出器103について、このまま継続して使用はできず交換が必要な状態まで劣化は進んでいると判定(不合格であると判定)する。
(viii)ステップ1108
制御部(コントローラ)109は、検出器103の合否判定後、任意の方式(アナログ方式あるいはパルスカウント方式)の測定値とA/P比を保存する。A/P比と、何れかの方式の測定値を保持しておけば、保持していない他方の方式の測定値を演算によって求めることができる。このように保存したデータは、メンテナンス時に検出器103の性能劣化の原因を調査するために用いることができる。
<第4の実施形態のまとめ>
第4の実施形態によれば、任意の測定中にA/P比を計算する場合は、意図的に検出器103の性能を確認することなく、質量分析装置104を使用する度にA/P比のデータを蓄積する。また、LC-MSやGC-MS測定など数秒間しか試料のシグナルが測定できない場合は、処理1102によって、試料が到達した数秒間のデータのみでA/P比を計算するように調整可能である。したがって、信頼性の高いA/P比データのみで検出器103の性能を判定することができる。また、A/P比のデータ数が増えるため、統計的な理由から、A/P比の値や傾向などをより正確に判定することができる。さらに、A/P比の日内変化や日間変化の傾向も把握することができる。
<変形例>
本実施形態の機能は、ソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或は装置に提供し、そのシステム或は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU:プロセッサと称してもよい)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本実施形態を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
また、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータ上のメモリに書きこまれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータのCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。
さらに、各実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することにより、それをシステム又は装置のハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納し、使用時にそのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしても良い。
また、ここで述べたプロセス及び技術は本質的に如何なる特定の装置に関連することはなく、コンポーネントの如何なる相応しい組み合わせによっても実装できる。さらに、汎用目的の多様なタイプのデバイスがここで記述した教授に従って使用可能である。ここで述べた方法のステップを実行するのに、専用の装置を構築するのが有益であることが判るかもしれない。また、実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。本開示は、具体例に関連して記述したが、これらは、すべての観点に於いて限定の為ではなく説明の為である。本分野にスキルのある者には、本開示を実施するのに相応しいハードウェア、ソフトウェア、及びファームウエアの多数の組み合わせがあることが解るであろう。例えば、記述したソフトウェアは、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
上述の各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていても良い。
本開示の技術的思想は、上記各実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本開示を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。
10 質量分析システム
101 イオン源
102 質量分析部
103 検出器
104 質量分析装置
105 アナログ演算部(第1変換器)
106 パルスカウント部(第2変換器)
107 計算部
108 判定部
109 制御部(コントローラ)

Claims (11)

  1. 測定試料をイオン化するイオン源と、前記イオン源で生成されたイオンを質量電荷比に応じて分析する質量分析部と、前記質量分析部を通過したイオンを検出する検出器と、を含む質量分析装置と、
    前記検出器から出力される電気信号におけるパルスの強度や面積に基づいて第1測定値を計算する第1変換器と、
    前記電気信号のパルスの数を数えることにより第2測定値を求める第2変換器と、
    前記第1測定値の前記第2測定値に対する比率を示すA/P比を計算する計算部と、
    前記A/P比の値に基づいて、前記検出器の性能を判定する判定部と、
    少なくとも前記判定部による判定結果の出力を制御する制御部と、を備え、
    前記判定部は、前記検出器の性能判定に加えて、前記第2測定値を時系列で比較することにより、前記質量分析装置における前記検出器以外の部分の汚れを判定する、質量分析システム。
  2. 請求項1において、
    前記検出器は、
    前記質量分析部を通過したイオンを光子に変換するシンチレータと、
    前記シンチレータから放出した光子を電子に変換して増幅する光電子増倍管と、
    を含む、質量分析システム。
  3. 請求項1において、
    前記検出器は、前記質量分析部を通過したイオン増幅する電子増倍管を含む、質量分析システム。
  4. 請求項1において、
    前記計算部は、前記第1測定値および前記第2測定値の時間平均値を用いて、前記A/P比を計算する、質量分析システム。
  5. 請求項1において、
    前記判定部は、前記A/P比の初期値または前回A/P比と今回A/P比との差、前記A/P比の初期値または前回A/P比と今回A/P比との比、あるいは前記A/P比の初期値または前回A/P比と今回A/P比との変化率を基準として前記検出器の性能を判定する、質量分析システム。
  6. 請求項1において、
    前記判定部は、前記A/P比と複数の判定基準のそれぞれとを比較することにより前記検出器の性能を判定する、質量分析システム。
  7. 請求項1において、
    前記制御部は、前記判定結果によって前記検出器の性能を確認し、警告アラームまたはメッセージを表示装置のGUI画面上に表示する、質量分析システム。
  8. 請求項1において、
    前記制御部は、さらに、前記判定結果によって前記検出器の性能を確認し、前記検出器のゲインを調整する処理を実行する質量分析システム。
  9. 請求項1において、
    前記制御部は、前記検出器の性能判定処理を任意の測定時に実行する、質量分析システム。
  10. 請求項9において、
    前記制御部は、前記検出器の性能判定処理を実行することにより得られる前記A/P比の値と、前記第1測定値あるいは前記第2測定値の少なくとも1つと、を記憶デバイスに保存する、質量分析システム。
  11. 測定試料の質量分析を行う質量分析装置に含まれる検出器の性能を判定する方法であって、
    イオン化された前記測定試料のイオンを質量電荷比に応じて分析する質量分析部を通過したイオンを検出器で検出することと、
    第1変換器で、前記検出器から出力される電気信号におけるパルスの強度や面積に基づいて第1測定値を計算することと、
    第2変換器で、前記電気信号のパルスの数を数えることにより第2測定値を求めることと、
    計算部で、前記第1測定値の前記第2測定値に対する比率を示すA/P比を計算することと、
    判定部で、前記A/P比の値に基づいて、前記検出器の性能を判定することと、
    前記判定部で、前記検出器の性能判定に加えて、前記第2測定値を時系列で比較することにより、前記質量分析装置における前記検出器以外の部分の汚れを判定することと、
    制御部で、少なくとも前記判定部による、前記検出器の性能および前記検出器以外の部分の汚れの判定結果の出力を制御することと、
    を含む、方法。
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