JP7468624B2 - 光学部材 - Google Patents

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    • G02B1/18Coatings for keeping optical surfaces clean, e.g. hydrophobic or photo-catalytic films

Description

本発明は、光学部材に関する。
光学部材は、例えば、透光性部材と、透光性部材を被覆する反射防止膜とを備える。反射防止膜は、光学部材の反射率を低減する。近年、光学部材には、防曇性が要求されている。防曇性を有する光学部材として、透光性部材と、透光性部材を被覆する反射防止膜と、反射防止膜を被覆する親水膜とを備える光学部材が検討されている。親水膜を備える光学部材は、表面に水が付着した場合に、水が水滴を形成せずに濡れ広がる。そのため、親水膜を備える光学部材は、防曇性に優れる。
親水膜を備える光学部材として、例えば、ガラスレンズの表面に、少なくとも、下地膜及び親水性膜の順に積層された親水性反射防止膜を有する親水性反射防止膜付きレンズが提案されている(特許文献1)。前記下地膜は、ZrO2、MgF2、Ta25、Nb25、及びY23から選択される単層、又は、ZrO2、MgF2、Ta25、Nb25、Y23、TiO2、及びTi35から選択される1種以上の材料を50%以上含む混合層で形成され、膜厚が1nm以上30nm以下である。前記親水性膜は、前記下地膜の表面に、TiO2及びTi35の少なくとも一方からなる酸化チタン、又はTiNからなる窒化チタンの単層、或いは前記酸化チタン及び前記窒化チタンの少なくとも一方を50%以上含む混合層で形成され、膜厚が1nm以上30nm以下である。
日本国公開公報:特開2018-197171号公報
しかしながら、特許文献1に記載の親水性反射防止膜付きレンズでは、優れた親水性と、反射率の低さとを両立することが困難である。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、親水性に優れ、かつ反射率が低い光学部材を提供することにある。
本発明の例示的な光学部材は、透光性部材と、前記透光性部材を被覆する反射防止膜とを備える。前記反射防止膜は、厚さ方向に沿って交互に積層される低屈折率層及び高屈折率層を有する。前記低屈折率層及び前記高屈折率層の中で最も外側に位置する第1層は、前記低屈折率層である。前記第1層は、光触媒粒子を含有する単層であるか、又は光触媒粒子を含有するA層と、前記A層の内側に積層されるB層とを有する多層である。
例示的な本発明は、親水性に優れ、かつ反射率が低い光学部材を提供できる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る光学部材の一例の模式図である。 図2は、図1の光学部材において、第1層の一例を示す模式的拡大図である。 図3は、図1の光学部材において、図2とは別の第1層の一例を示す模式的拡大図である。 図4は、本発明の第1実施形態に係る光学部材の変形例1の模式図である。 図5は、実施例1の光学部材の分光反射率を示すグラフである。 図6は、実施例2の光学部材の分光反射率を示すグラフである。 図7は、実施例3の光学部材の分光反射率を示すグラフである。 図8は、実施例4の光学部材の分光反射率を示すグラフである。 図9は、実施例5の光学部材の分光反射率を示すグラフである。 図10は、比較例1の光学部材の分光反射率を示すグラフである。 図11は、比較例2の光学部材の分光反射率を示すグラフである。 図12は、実施例でシミュレートしたA層の屈折率と光学部材の反射率との関係を示すグラフである。
以下、図面を適宜参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。図中の寸法、形状及び構成要素間の大小関係は、実際の寸法、形状及び構成要素間の大小関係とは必ずしも同一ではない。特に、図中の反射防止膜及び透光性部材の膜厚の比及び曲率は、実物と大きく異なる場合がある。
本明細書において、光学部材の各部位の「膜厚」は、光学部材の光軸方向における長さを示す。反射防止膜の「外側」とは、透光性部材の表面から遠い側を示す。反射防止膜の「内側」とは、透光性部材の表面に近い側を示す。
本明細書において、「屈折率」とは、d線(波長588nmの光)に対する屈折率(Nd)を示す。
<光学部材>



本発明の実施形態に係る光学部材は、透光性部材と、透光性部材を被覆する反射防止膜とを備える。反射防止膜は、厚さ方向に沿って交互に積層される低屈折率層及び高屈折率層を有する。低屈折率層及び高屈折率層の中で最も外側に位置する第1層は、低屈折率層である。第1層は、光触媒粒子を含有する単層であるか、又は光触媒粒子を含有するA層と、A層の内側に積層されるB層とを有する多層である。
本実施形態に係る光学部材は、例えば、1又は複数の光学部材を備える光学ユニット(特に、屋外で使用される光学ユニット)に用いる光学部材として好適である。本実施形態に係る光学部材は、光学ユニットの備える1又は複数のレンズのうち最も物体側に位置する光学部材(以下、第1光学部材と記載することがある)として特に好適である。本実施形態に係る光学部材は、第1光学部材として使用される場合、通常、反射防止膜側の面を物体側に向けた状態で使用される。本実施形態に係る光学部材は、車両の周囲をモニタするための車載カメラのレンズユニット用レンズとして特に好適である。
まず、上述の親水膜を備える公知の光学部材が、優れた親水性と反射率の低さとを十分に両立することが困難であることを説明する。その理由は、親水膜の存在が反射防止膜の機能を低下させるためである。詳しくは、一般的な反射防止膜は、厚さ方向に沿って交互に積層される低屈折率層及び高屈折率層を有する。反射防止膜の有する低屈折率層及び高屈折率層の中で最も外側に位置する第1層は、通常、低屈折率層である。一般的な反射防止膜は、上述の多層構造によって干渉作用を発生させることで、光学部材の反射率を低減する。一方、反射防止膜上に親水膜を形成した場合、親水膜の屈折率の影響により、反射防止膜が設計通りに干渉作用を発生しない。その結果、親水膜が反射防止膜の機能を低下させる。公知の光学部材においては、例えば、親水膜を極めて薄くすることで、親水性の向上と反射率の低減との両立を図ることが検討されている。しかし、親水膜を極めて薄くしても、光学部材の反射率を十分に低減することは難しい。また、極めて薄い親水膜は、耐摩耗性が低いため、親水膜としての実用性が低い。
本発明者は、光触媒粒子を含有する層(以下、光触媒層と記載することがある)は、親水性に優れ、かつ反射防止膜の低屈折率層と比較的近い屈折率に調整可能であることに着目した。そして、本発明者は、反射防止膜上に親水膜を形成するのではなく、反射防止膜の第1層の少なくとも一部を光触媒層で置き換えることで、光学部材の親水性が向上し、かつ反射率が低減すると判断した。本発明は、以上の知見に基づく。即ち、本実施形態に係る光学部材が備える反射防止膜は、第1層の一部又は全部が、光触媒層である。光触媒層は、親水膜として機能することで、本実施形態に係る光学部材の親水性を向上させる。また、光触媒層は、反射防止膜の一部として機能することで、本実施形態に係る光学部材の反射率を低減できる。更に、本実施形態に係る光学部材は、光触媒層の膜厚を過度に薄くする必要はない。以上から、本実施形態に係る光学部材は、親水性に優れ、かつ反射率が低い。
本実施形態に係る光学部材の波長480nm以上780nm以下の光に対する最大反射率としては、1.5%以下が好ましく、1.0%以下がより好ましい。本実施形態に係る光学部材は、上述の最大反射率が低いほど、ゴースト現象と呼ばれる画像不良及びフレア現象と呼ばれる画像不良の発生を抑制できる。特に、上述の最大反射率が低いほど、ゴースト現象の発生を効果的に抑制できる。上述の最大反射率が1.5%以下であると、ゴースト現象の発生を抑制できる。上述の最大反射率が1.0%以下であると、ゴースト現象の発生をより効果的に抑制できる。なお、波長480nm以上780nm以下の光は、可視光領域の光に相当する。
本明細書において、「反射防止膜」とは、光学部材の波長480nm以上780nm以下の光に対する最大反射率を1.5%以下に調整する機能を有する膜を示す。
以下、図1を参照して、本実施形態に係る光学部材の一例を説明する。図1は、本実施形態に係る光学部材の一例である光学部材1の模式図である。光学部材1は、透光性部材2と、透光性部材2を被覆する反射防止膜3とを備える。反射防止膜3は、厚さ方向に沿って交互に積層される低屈折率層4及び高屈折率層5を有する。低屈折率層4及び高屈折率層5の中で最も外側(図1では上側)に位置する第1層41は、低屈折率層4である。
[透光性部材]



透光性部材2は透光性を有する。即ち、透光性部材2は光を透過させる。透光性部材2は、透明であってもよく、半透明であってもよい。透光性部材2は、例えば、主成分としてガラス又は樹脂を含有する。
透光性部材2は、例えば、レンズ(具体的には、例えば、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズ、凸メニスカスレンズ及び凹メニスカスレンズ)としての機能を有する。なお、本明細書において、透光性部材2がレンズである場合、透光性部材2のレンズ面は、球面であっても非球面であってもよい。透光性部材2のレンズ面の曲率半径としては、10mm以上15mm以下が好ましい。
[反射防止膜]



反射防止膜3は、光の反射を抑制する。具体的には、光学部材1は、反射防止膜3を備えることにより、反射防止膜3から透光性部材2に進入しようとする光が反射防止膜3側の面で反射することを抑制する。
反射防止膜3は、多層構造を有する。詳しくは、反射防止膜3は、厚さ方向に沿って交互に積層される低屈折率層4及び高屈折率層5を有する。低屈折率層4及び高屈折率層5の屈折率は、反射防止膜3が反射防止効果を発揮できる組み合わせである限り限定されない。低屈折率層4の屈折率は、例えば、2.00以下である。高屈折率層5の屈折率は、例えば、2.00超である。低屈折率層4及び高屈折率層5の中で最も外側に位置する第1層41は、低屈折率層4である。低屈折率層4及び高屈折率層5の中で最も内側に位置する層は、低屈折率層4である。
低屈折率層4及び高屈折率層5の各層は、それぞれ、単層構造を有してもよく、多層構造を有してもよい。多層構造を有する低屈折率層4、及び多層構造を有する高屈折率層5について説明する。例えば、屈折率が2.00以下の層が2層以上連続して積層している場合、この2層以上の層をまとめて1層の低屈折率層4と見做す。同様に、屈折率が2.00超の層が2層以上連続して積層している場合、この2層以上の層をまとめて1層の高屈折率層5と見做す。
反射防止膜3の合計膜厚としては、200nm以上700nm以下が好ましく、300nm以上450nm以下がより好ましい。反射防止膜3の合計膜厚が200nm未満の場合、十分な反射防止効果が得られない傾向がある。反射防止膜3の合計膜厚が700nm超の場合、光学部材1の生産性が低下する傾向がある。また、合計膜厚700nm超の場合、光学部材1の生産コストの増加を招く傾向がある。
低屈折率層4の1層の膜厚としては、例えば、10.0nm以上190.0nm以下である。高屈折率層5の1層の膜厚としては、例えば、3.0nm以上90.0nm以下である。
低屈折率層4及び高屈折率層5の合計層数は、通常、奇数(例えば、3層、5層、7層、9層、11層又は13層)である。低屈折率層4及び高屈折率層5の合計層数としては、7層、9層又は11層が好ましい。
低屈折率層4の屈折率としては、透光性部材2の屈折率未満であればよい。例えば、低屈折率層4の屈折率としては、1.30以上1.90以下が好ましく、1.40以上1.60以下がより好ましい。低屈折率層4の屈折率が1.30以上1.90以下であることにより、光学部材1の反射率がより低下する。
高屈折率層5の屈折率としては、透光性部材2の屈折率超であればよい。例えば、高屈折率層5の屈折率としては、2.40以上3.00以下が好ましく、2.40以上2.60以下がより好ましい。高屈折率層5の屈折率が2.40以上3.00以下であることにより、光学部材1の反射率がより低下する。
なお、上述した低屈折率層4及び高屈折率層5の屈折率は、あくまで例示であり、これに限定されない。低屈折率層4及び高屈折率層5の屈折率は、透光性部材2の屈折率に対して最適な値を設定すればよい。
以下、図2及び図3を参照して、図1の光学部材1の第1層41の詳細を説明する。
図2は、図1の光学部材1において、第1層41の一例を示す模式的拡大図である。第1層41は、光触媒粒子を含有するA層6と、A層6の内側に積層されるB層7とを有する多層である。図2において、A層6は、光触媒層であるため、光学部材1の親水性を向上させる。また、A層6及びB層7は、一体となり、低屈折率層4に要求される光学的役割を果たす。
B層7は、光触媒粒子を実質的に含有しないことが好ましい。ここで、「光触媒粒子を実質的に含有しない」とは、B層7の断面を電子顕微鏡で観察した際に光触媒粒子が確認されないことを示す。具体的には、B層7における光触媒粒子の含有割合としては、1.0質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。
図3は、図1の光学部材1において、図2とは別の第1層41の一例を示す模式的拡大図である。図3に示す第1層41は、光触媒粒子を含有する単層である。図3において、第1層41は、光触媒層であるため、光学部材1の親水性を向上させる。また、第1層41は、低屈折率層4に要求される光学的役割を単独で果たす。
上述の通り、反射防止膜3の第1層41の少なくとも一部を光触媒層で置き換えることで、光学部材1の親水性が向上し、かつ反射率を低減できる。図2に示す第1層41は、公知の光学部材において反射防止膜の第1層の一部を光触媒層(A層6)で置き換えた層に相当する。図3に示す第1層41は、公知の光学部材において反射防止膜の第1層の全部を光触媒層で置き換えた層に相当する。
図2に示すように、第1層41が光触媒層を有する多層である場合、A層6の膜厚としては、25nm以上120nm以下が好ましく、30nm以上50nm以下がより好ましい。A層6の膜厚が25nm以上であることにより、光触媒層の耐摩耗性が向上する。その結果、光学部材1を長期間使用した場合においても、光触媒層が摩耗することによる親水性の低下を抑制できる。A層6の膜厚が120nm以下であることにより、光学部材1の反射率がより低下する。また、図3に示すように、第1層41が光触媒層からなる単層である場合、第1層41の膜厚としては、25nm以上120nm以下が好ましく、100nm以上120nm以下がより好ましい。第1層41の膜厚が25nm以上であることにより、光触媒層の耐摩耗性が向上する。その結果、光学部材1を長期間使用した場合においても、光触媒層が摩耗することによる親水性の低下を抑制できる。第1層41の膜厚が120nm以下であることにより、光学部材1の反射率がより低下する。
図2に示す第1層41の好ましい膜厚の詳細について説明する。第1層41の好ましい膜厚は、反射防止膜3の合計膜厚によって異なる。そのため、以下においては、第1層41の好ましい膜厚について、反射防止膜3の合計膜厚に対する比率で示す。また、第1層41の好ましい膜厚は、反射防止膜3の合計層数によっても異なる。そのため、以下においては、第1層41の好ましい膜厚について、反射防止膜3の合計層数が7層の場合、9層の場合、及び11層の場合に分けして説明する。
具体的には、第1層41が多層であり、反射防止膜3の合計膜厚に対するA層6の膜厚の比率をTAとし、反射防止膜3の合計膜厚に対するB層7の膜厚の比率をTBとする。低屈折率層4及び高屈折率層5の合計層数が7層である場合、TAは6.7%以上31.6%以下であり、かつTBは0.2%以上24.9%以下であることが好ましく、TAは7.0%以上12.0%以下であり、かつTBは18.0%以上24.0%以下であることがより好ましい。低屈折率層4及び高屈折率層5の合計層数が9層である場合、TAは5.7%以上27.2%以下であり、かつTBは0.2%以上20.7%以下であることが好ましく、TAは6.0%以上11.0%以下であり、かつTBは12.0%以上20.0%以下であることがより好ましい。低屈折率層4及び高屈折率層5の合計層数が11層である場合、TAは5.1%以上21.4%以下であり、かつTBは0.2%以上16.3%以下であることが好ましく、TAは5.5%以上10.0%以下であり、かつTBは10.0%以上16.0%以下であることがより好ましい。TA及びTBが上述の数値範囲内であることにより、光学部材1の親水性がより向上し、かつ反射率がより低下する。
図2に示すように、第1層41は多層であることが好ましい。その理由を以下に説明する。反射防止膜3を形成する際は、生産性の観点から、光触媒層以外の他の層を真空一貫プロセス(例えば、蒸着法及びスパッタリング法)で形成した後、光触媒層をウェットプロセスで形成することが好ましい。この方法で反射防止膜3を形成する場合、光触媒層と、光触媒層以外の他の層とは、製法の違いに起因して、層間密着性を十分に確保することがやや困難となる傾向がある。更に、光触媒層及び高屈折率層5は、材料の相違に起因して、やや親和性が低い傾向がある。そのため、図3に示すように、第1層41が光触媒層からなる単層であり、光触媒層(第1層41)及び高屈折率層5が直接接している場合、第1層41及び高屈折率層5の層間密着性がやや低下する傾向がある。これに対して、図2に示すように、第1層41が多層である場合、光触媒層(A層6)及び高屈折率層5は、B層7を介して積層するため、直接接していない。そのため、図2に示すように、第1層41が多層である場合、第1層41及び高屈折率層5の層間密着性を向上できる。但し、図3に示すように、第1層41が光触媒層からなる単層である場合、光触媒層(第1層41)を最大限に厚くできるため、光触媒層の耐摩耗性が向上するというメリットがある。
また、図2に示すように、第1層41が多層である場合、A層6の屈折率が1.30以上1.90以下であり、B層7の屈折率が1.40以上1.50以下であることが好ましく、A層6の屈折率が1.40以上1.50以下であり、B層7の屈折率が1.40以上1.50以下であることがより好ましい。A層6の屈折率及びB層7の屈折率が上述の数値範囲内であることにより、光学部材1の反射率がより低下する。なお、A層6の屈折率は、例えば、光触媒粒子の含有割合と、光触媒粒子以外の成分(例えば、バインダ)の種類によって調整することができる。詳しくは、光触媒粒子は、屈折率がやや大きい傾向がある。例えば、アナターゼ型酸化チタンの屈折率は、2.52程度である。そのため、A層6の屈折率を上述の数値範囲内に調整するためには、光触媒層における光触媒粒子の含有割合を比較的小さくし、かつバインダとして屈折率の比較的低い材料を用いることが好ましい。
また、図2に示すように、第1層41が多層である場合、B層7は、SiO2を含有することが好ましい。SiO2を含有するB層7は、光触媒層(A層6)及び高屈折率層5の両方と優れた層間密着性を発揮する。そのため、B層7がSiO2を含有することで、第1層41及び高屈折率層5の層間密着性をより向上できる。
反射防止膜3の表面の純水に対する静的接触角としては、30.0°以下が好ましく、20.0°以下がより好ましく、10.0°以下が更に好ましい。以下、純水に対する静的接触角を、単に「接触角」と記載することがある。なお、反射防止膜3の表面の接触角は、温度23℃±3℃、相対湿度50%±3%の環境で測定した値である。
(光触媒層)



光触媒層(図2に示すA層6又は図3に示す第1層41)の組成について説明する。光触媒層は、光触媒粒子を含有する。光触媒層は、バインダを更に含有することが好ましい。
(光触媒粒子)



光触媒粒子は、光触媒を含有する粒子である。光触媒粒子のうち少なくとも一部は、二次粒子を構成していてもよい。光触媒粒子は、光触媒を含有する限り、光触媒以外の成分を更に含有していてもよい。光触媒以外の成分としては、例えば、電子捕捉効果を有する成分が挙げられる。電子捕捉効果を有する物質としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、鉄、ニッケル、コバルト、亜鉛及び酸化銅が挙げられる。光触媒粒子における光触媒の含有割合としては、90質量%以上が好ましく、99質量%以上がより好ましく、100質量%が更に好ましい。
光触媒粒子が含有する光触媒としては、例えば、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、リン酸ガリウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム及び三硫化モリブデンが挙げられる。光触媒粒子は、酸化チタンを含有することが好ましい。光触媒粒子が酸化チタンを含有することで、光触媒層の親水性がより向上する。
酸化チタンとしては、例えば、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン及びブルッカイト型酸化チタンが挙げられる。酸化チタンとしては、光触媒活性の観点から、アナターゼ型酸化チタンが好ましい。
光触媒粒子の一次粒子の平均粒径としては、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上18nm以下がより好ましい。光触媒粒子の一次粒子の平均粒径が1nm以上20nm以下であることにより、光学部材1の透光性が向上する。
光触媒粒子の二次粒子の平均粒径としては、10nm以上90nm以下が好ましく、10nm以上50nm以下がより好ましい。光触媒粒子の二次粒子の平均粒径が10nm以上であることにより、光触媒層の親水性がより向上する。光触媒粒子の二次粒子の平均粒径が90nm以下であることにより、光触媒層の透光性が向上する。
(バインダ)



バインダは、無機バインダ及び有機バインダの何れであってもよい。無機バインダとしては、例えば、シリカ、シリケート、リン酸チタニア及びペルオキソチタンが挙げられる。有機バインダとしては、例えば、樹脂が挙げられる。光触媒粒子の光触媒活性によってバインダが分解されることを抑制する観点から、バインダとしては、無機バインダが好ましく、シリカ又はシリケートがより好ましい。
(他の層)



反射防止膜3の光触媒層以外の他の層について説明する。具体的には、図2に示すように、第1層41が多層である場合、B層7、第1層41以外の低屈折率層4及び高屈折率層5が光触媒層以外の他の層である。図3に示すように、第1層41が光触媒層からなる単層である場合、第1層41以外の低屈折率層4及び高屈折率層5が光触媒層以外の他の層である。反射防止膜3の光触媒層以外の他の層は、公知の反射防止膜と同様とすることができる。反射防止膜3の光触媒層以外の他の層は、例えば、蒸着膜又はスパッタリング膜である。反射防止膜3の光触媒層以外の他の層は、金属又は金属酸化物を含有する。なお、本明細書において、「金属」は、半導体(例えば、ケイ素化合物)を含む。
反射防止膜3の光触媒層以外の他の層の成分としては、例えば、SiO2、MgF2、ZrO2、Al23、TiO2、Ti35、Ta25及びNb25が挙げられる。詳しくは、光触媒層以外の低屈折率層4の成分としては、例えば、SiO2、Al23及びMgF2が挙げられる。光触媒層以外の低屈折率層4の成分としては、SiO2が好ましい。高屈折率層5の成分としては、例えば、ZrO2、TiO2、Ti35、Ta25及びNb25が挙げられる。高屈折率層5の成分としては、Ti35が好ましい。詳しくは、光触媒層以外の低屈折率層4及び高屈折率層5は、上述の成分のうち1種以上(好ましくは、1種又は2種)を、95質量%以上の含有割合で含有することが好ましい。
<変形例1>



次に、図4を参照して、光学部材1の変形例1に係る光学部材101を説明する。光学部材101は、透光性部材102と、透光性部材102を被覆する反射防止膜103とを備える。反射防止膜103は、厚さ方向に沿って交互に積層される低屈折率層104及び高屈折率層105を有する。低屈折率層104及び高屈折率層105の中で最も外側(図4では上側)に位置する第1層141は、低屈折率層104である。低屈折率層104及び高屈折率層105の中で最も内側(図4では下側)に位置する層は、高屈折率層105である。
図4の光学部材101は、図1の光学部材1と比較し、低屈折率層104及び高屈折率層105の合計層数が偶数(例えば、4層、6層、8層、10層、12層又は14層)であり、かつ低屈折率層104及び高屈折率層105の中で最も内側に位置する層が高屈折率層105であるという点のみが相違する。図4の光学部材101は、図1の光学部材1の反射防止膜3の最も内側に、高屈折率層5を追加することで形成される光学部材に相当する。そのため、光学部材1と重複する説明については省略する。このように、本発明の光学部材において、反射防止膜の最も内側に位置する層は、光学部材に要求される光学特性に応じて、図1に示すように低屈折率層であってもよく、図4に示すように高屈折率層であってもよい。
<その他の変形例>



以上、本実施形態に係る光学部材について、図面を参照しつつ説明した。しかし、本実施形態に係る光学部材は、図1に示す光学部材1及び図4に示す光学部材101に限定されない。
具体的には、反射防止膜は、透光性部材の一方の面のみを被覆していてもよく、透光性部材の両面を被覆していてもよい。反射防止膜が透光性部材の両面を被覆している場合、一対の反射防止膜のうち、少なくとも一方の反射防止膜は、上述で説明した通り、第1層の少なくとも一部が光触媒層で置き換えられている。この場合、他方の反射防止膜は、第1層の少なくとも一部が光触媒層で置き換えられていてもよく、公知の反射防止膜であってもよい。
また、光学部材は、透光性部材及び反射防止膜以外の他の部材(例えば、保護膜)を更に備えてもよい。反射防止膜は、図1及び図4に示すように、光学部材の最外層であることが好ましい。しかし、反射防止膜は、反射防止効果を発揮できる限り、他の膜(例えば、保護膜)によって被覆されていてもよい。
[光学部材の製造方法]



以下、本実施形態に係る光学部材の製造方法の一例について説明する。光学部材の製造方法は、透光性部材上に、光触媒層以外の他の層を形成する第1工程と、第1工程で得られた積層体に光触媒層形成用塗布液を塗布することで光触媒層を形成する第2工程とを備える。ここで、第1層が多層である場合、光触媒層以外の他の層とは、B層、第1層以外の低屈折率層、及び高屈折率層である。第1層が光触媒層からなる単層である場合、光触媒層以外の他の層とは、第1層以外の低屈折率層、及び高屈折率層である。第1工程において、光触媒層以外の他の層を形成する方法としては、例えば、公知の蒸着法及びスパッタリング法が挙げられる。
第2工程では、第1工程で得られた積層体に対して、1回の塗布で光触媒層を形成してもよく、2回以上(例えば、2回)の塗布で光触媒層を形成してもよい。1回の塗布で光触媒層を形成する場合、第2工程では、光触媒粒子と、バインダ原料と、溶剤とを含有する光触媒層形成用塗布液を塗布する。また、2回の塗布で光触媒層を形成する場合、第2工程では、例えば、光触媒粒子及び溶剤を含有する第1光触媒層形成用塗布液を塗布した後、バインダ原料及び溶剤を含有する第2光触媒層形成用塗布液を更に塗布する。このように、第2工程において2回の塗布で光触媒層を形成することで、光触媒粒子のうち少なくとも一部がバインダにより部分的又は完全に被覆される。その結果、形成される光学部材の光触媒層の耐摩耗性がより向上する。
光触媒層形成用塗布液の塗布方法としては、ウェットプロセスが好ましい。ウェットプロセスとしては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、バーコート法、ディップコート法、スプレーコート法及びこれらのうち2種以上を組み合わせた方法(例えば、ディップスピンコート法)が挙げられる。ウェットプロセスとしては、スピンコート法、ディップコート法又はディップスピンコート法が好ましい。
光触媒層形成用塗布液をスピンコート法又はディップスピンコート法で塗布する場合、回転速度としては、500rpm以上10000rpm以下が好ましい。光触媒層形成用塗布液の固形分濃度としては、1.0質量%以上10.0質量%以下が好ましい。
溶剤としては、水系溶剤が好ましい。水系溶剤は、水及び添加物を含有する。添加物としては、例えば、有機酸、アルコール化合物及びアンモニアが挙げられる。水系溶剤における添加物の含有割合としては、0質量%超20質量%以下が好ましい。有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、クエン酸及びリンゴ酸が挙げられる。アルコール化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール及びブタノールが挙げられる。
光触媒層形成用塗布液の塗布後、光触媒層形成用塗布液を塗布した上述の積層体を加熱処理することが好ましい。加熱処理により、光触媒層形成用塗布液中の揮発性成分の除去が促進される。加熱条件としては、例えば、処理温度60℃以上200℃以下、処理時間10分以上10時間以下とすることができる。
なお、第2工程では、光触媒層形成用塗布液を塗布する前に、上述の積層体の表面を処理する表面処理工程を更に備えることが好ましい。表面処理は、例えば、プラズマ処理、電子ビーム処理、コロナ処理及びフレーム処理が挙げられる。プラズマ処理としては、例えば、高周波放電プラズマ処理又は大気圧グロー放電プラズマ処理が挙げられる。これらの表面処理は、複数を組み合わせて用いることもできる。
第2工程で用いる積層体は、公知の光学部材(例えば、市販の光学部材)から製造できる。例えば、第2工程で用いる積層体は、反射防止膜を備える公知の光学部材について、反射防止膜の第1層(最も外側に位置する低屈折率層)の一部又は全部を除去する第3工程によって製造できる。第3工程において、反射防止膜の第1層を除去する方法としては、例えば、研磨処理、アッシング処理(例えば、酸素プラズマアッシング処理及びアルゴンプラズマアッシング処理)及び薬品処理が挙げられる。第2工程において形成する光触媒層の膜厚は、第3工程において除去する反射防止膜の第1層の膜厚と略同一であることが好ましい。
<検討1:層構造>



以下の方法により、反射防止膜の層構造が異なる3種類の光学部材を作製し、それぞれの性能を評価した。これにより、反射防止膜の好適な層構造について検討した。なお、実施例において、反射防止膜の「第N層(Nは、1以上の整数)」は、反射防止膜の低屈折率層及び高屈折率層のうち、外側から数えて第N番目の層であることを示す。
[実施例1]



以下の方法により、実施例1の光学部材を製造した。基材として、レンズ(HOYA株式会社製「TAFD-5G」、組成:ガラス、直径12.9mm、屈折率:1.835)を用意した。このレンズは、一方の面が凸面(曲率半径12mm)、他方の面が凹面(曲率半径3.07mm)であった。
このレンズの凸面上に、下記表1に示す層構造を有する反射防止膜を形成した。なお、下記表1に示す反射防止膜において、低屈折率層及び高屈折率層の合計層数は、9層であった。このうち、第1層、第3層、第5層、第7層及び第9層は、低屈折率層であった。第2層、第4層、第6層及び第8層は、高屈折率層であった。下記表1及び後述する下記表2~4において、「OS-50」は、Ti35(メルト品)を示す。
まず、真空蒸着法を用い、レンズの凸面上に、反射防止膜のうち光触媒層以外の他の層を、第9層、第8層、第7層、第6層、第5層、第4層、第3層、第2層及び第1層のB層の順番に形成した。得られた積層体の凸面(第1層のB層側の面)に表面処理を行った。表面処理としては、プラズマ表面改質装置を用いたプラズマ処理を行った。
別途、酸化チタン粒子の水分散体(石原産業株式会社製「STS-01」、酸化チタン粒子の平均粒径:7nm、酸化チタン粒子濃度:30質量%)1mLに、イソプロピルアルコール29mLを添加し、混合液Aを得た。次に、酸化チタン粒子及びバインダ原料(シリケートオリゴマー)を含有するコーティング剤(石原産業株式会社製「ST-K211」、溶媒:水及びエタノール、固形分濃度:0.2質量%)と、混合液Aとを、質量比1:1で混合し、これを光触媒層形成用塗布液とした。
上述の積層体の凸面に、上述の光触媒層形成用塗布液を塗布した。詳しくは、積層体の光軸上に光触媒層形成用塗布液を40μL滴下した。次に、スピンコーター(ミカサ株式会社製「MS-B100」)を用い、積層体を回転速度5000rpmで回転させた。この際、積層体の回転軸は、透光性部材の光軸と一致させた。塗布後、80℃、30分間の加熱処理を行った。これにより、光触媒層を形成した。得られた実施例1の光学部材は、後述の通り、最大反射率が1.5%以下であった。そのため、実施例1の光学部材において、光触媒層は、反射防止膜の一部(第1層のA層)として機能していると判断した。
[実施例2~5]



反射防止膜の層構造を、下記表1~表3に示す通りに変更した以外は、実施例1の光学部材と同様の方法により、実施例2~5の光学部材を製造した。得られた実施例2~5の光学部材は、後述の通り、最大反射率が1.5%以下であった。そのため、実施例2~5の光学部材において、光触媒層は、反射防止膜の一部(第1層のA層)として機能していると判断した。実施例2~5の光学部材において、低屈折率層及び高屈折率層の合計層数は、それぞれ、9層、11層、13層又は7層であった。このうち、奇数層は、低屈折率層であった。偶数層は、高屈折率層であった。なお、下記表2において、「-」は、該当する層が存在しないことを示す。
Figure 0007468624000001
Figure 0007468624000002
Figure 0007468624000003
[比較例1及び2]



以下の点を変更した以外は、実施例1と同様の方法により、比較例1及び2の光学部材を製造した。比較例1及び2の光学部材の反射防止膜の層構造を下記表4に示す。
比較例1の光学部材の製造では、光触媒層の形成を省略し、かつ第1層のB層の膜厚を118.0nmに変更した。比較例1の光学部材は、透光性部材と、透光性部材を被覆する反射防止膜とを備える公知の光学部材に相当する。
比較例2の光学部材の製造では、光触媒層の膜厚を28.0nmに変更し、かつ第1層のB層の膜厚を104.1nmに変更した。比較例2の光学部材は、後述の通り、最大反射率が1.5%超であった。そのため、比較例2の光学部材において、光触媒層は、反射防止膜の一部として機能していないと判断した。比較例2の光学部材は、透光性部材と、透光性部材を被覆する反射防止膜と、反射防止膜を被覆する親水膜とを備える公知の光学部材に相当する。
Figure 0007468624000004
実施例1~5及び比較例1~2の光学部材について、反射防止膜の合計層数、反射防止膜の合計膜厚、TA及びTBを以下の表5にまとめて示す。
Figure 0007468624000005
<評価>



以下の方法により、各光学部材の接触角、平均反射率及び最大反射率を測定した。測定結果を下記表6に示す。なお、各測定は、いずれも温度23℃±3℃、相対湿度50%±3%の環境下で行った。
[接触角]



自動接触角計(協和界面科学株式会社製「DMo-601」)を用い、各光学部材の表面の純水に対する静的接触角を測定した。本実施例では、光学部材の接触角は、30°以下が良好と判定される。
[反射率]



反射率測定装置(オリンパス株式会社製「USPM-RU」)を用い、各光学部材について、波長480nm以上780nm以下の光に対する光学部材の最大反射率と、波長480nm以上500nm以下の入射光に対する平均反射率とを測定した。入射光は、反射防止膜側の面から入射させた。入射光の入射角は、0度とした。測定では、まず波長480nm以上780nm以下の範囲を含む分光反射率のグラフを作成した。実施例1~5及び比較例1~2の光学部材の分光反射率を図5~図11に示す。分光反射率のグラフに基づいて、波長480nm以上780nm以下の入射光に対する最大反射率と、波長480nm以上500nm以下の入射光に対する平均反射率とを求めた。本実施例では、光学部材の最大反射率及び平均反射率は、1.5%以下が良好であり、1.0%以下が特に良好と判定される。
Figure 0007468624000006
表6に示す通り、実施例1~5の光学部材は、接触角、平均反射率及び最大反射率が何れも良好であった。一方、比較例1の光学部材は、接触角が良好でなかった。比較例2の光学部材は、最大反射率及び平均反射率が良好でなかった。
<検討2:光触媒層の屈折率>



以下の方法により、反射防止膜の第1層のA層の好ましい屈折率について検討した。まず、シミュレーションソフト(FTG社製「FILMSTAR」)を用い、反射防止膜の第1層のA層の屈折率を増減させた場合に、波長480nm以上500nm以下の光に対する光学部材の平均反射率がどのように増減するかを解析した。解析において、第1層のA層の膜厚は、30nmに設定した。透光性部材の屈折率は、1.847に設定した。反射防止膜の他の層(第1層のB層及び第2層~第9層)の膜厚及び屈折率は、表1に示す第1層のB層及び第2層~第9層の膜厚及び屈折率と同一に設定した。入射光は、反射防止膜側の面から入射させるように設定した。入射光の入射角は、0度に設定した。解析結果を下記表7及び図12に示す。
Figure 0007468624000007
表7及び図12に示す通り、光触媒層の屈折率を2.00以下とすることで、光学部材の平均反射率が1.5%以下となることが判明した。また、光触媒層の屈折率を1.90未満とすることで、光学部材の平均反射率が1.0%以下となることが判明した。以上から、反射防止膜の第1層のA層の屈折率は、2.00以下が好ましく、1.90未満がより好ましいと判断される。なお、本検討で設計した光学部材の反射防止膜は、波長480nm以上780nm以下の光に対する反射率のピークが波長480nm以上500nm以下の位置に出現する。そのため、本検討において、波長480nm以上500nm以下の光に対する光学部材の平均反射率は、波長480nm以上780nm以下の光に対する光学部材の最大反射率とほぼ同じ数値になると見做すことができる。
本発明は、センサ又は撮影機器用の光学部材として好適である。
1、101 光学部材2、102 透光性部材3、103 反射防止膜4、104 低屈折率層41、141 第1層5、105 高屈折率層6 A層7 B層

Claims (5)

  1. 透光性部材と、
    前記透光性部材を被覆する反射防止膜と
    を備え、
    前記反射防止膜は、厚さ方向に沿って交互に積層される低屈折率層及び高屈折率層を有し、
    前記低屈折率層及び前記高屈折率層の中で最も外側に位置する第1層は、前記低屈折率層であり、
    前記第1層は光触媒粒子を含有するA層と、前記A層の内側に積層されるB層とを有する多層であり、
    前記B層は、SiO 2 を含有する、光学部材。
  2. 記A層の膜厚は25nm以上120nm以下である、請求項1に記載の光学部材。
  3. 記反射防止膜の合計膜厚に対する前記A層の膜厚の比率をTAとし、前記反射防止膜の合計膜厚に対する前記B層の膜厚の比率をTBとしたときに、
    前記低屈折率層及び前記高屈折率層の合計層数は7層であり、TAは6.7%以上31.6%以下であり、かつTBは0.2%以上24.9%以下であるか、
    前記低屈折率層及び前記高屈折率層の合計層数は9層であり、TAは5.7%以上27.2%以下であり、かつTBは0.2%以上20.7%以下であるか、又は
    前記低屈折率層及び前記高屈折率層の合計層数は11層であり、TAは5.1%以上21.4%以下であり、かつTBは0.2%以上16.3%以下である、請求項1又は2に記載の光学部材。
  4. 記A層の屈折率は、1.30以上1.90以下であり、
    前記B層の屈折率は、1.40以上1.50以下である、請求項1~3のいずれかに記載の光学部材。
  5. 波長480nm以上780nm以下の光に対する最大反射率は、1.0%以下である、請求項1からのいずれかに記載の光学部材。
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