JP6727454B2 - 反射防止膜、光学素子および光学系 - Google Patents

反射防止膜、光学素子および光学系 Download PDF

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Description

本開示は、反射防止膜、反射防止膜を備えた光学素子および光学素子を備えた光学系に関する。
可視光に対し、非常に低い反射率を示す反射防止膜として、可視光の波長よりも短いピッチの微細凹凸構造あるいは多数の孔が形成されてなるポーラス構造を最上層に備えた構成が知られている。微細凹凸構造やポーラス構造などの構造層を低屈折率層として最上層に有する反射防止膜を用いれば可視光域の広い波長帯域において0.2%以下の超低反射率を得ることができる。しかしながら、これらは表面に微細な構造をもつために、機械的強度が小さく、拭き取りなどの外力に非常に弱いという欠点がある。そのため、カメラレンズなどとして用いられる組レンズの最表面(第1レンズ表面および最終レンズ後面)などのユーザが触れる箇所には構造層を備えた超低反射率コートを施すことができなかった。
一方、表面に構造層を備えていない反射防止膜として、複数の誘電体膜の積層体中に金属層を含む反射防止膜が特開2007−41438号公報(以下において、特許文献1という。)および特開2007−206146号公報(以下において、特許文献2という。)等に提案されている。
特許文献1には、基材と、高屈折率層および金属層が交互に設けられた積層体層と、低屈折率層と防汚層とからなる導電性反射防止積層体が開示されている。
また、特許文献2には、トリアセチルロースフィルム基材上に、ハードコート層を備え、そのハードコート層上に高屈折率金属酸化物層と金属薄膜層とを1〜5回の範囲で繰り返し積層してなる導電性多層膜を有する反射防止フィルムが開示されている。
特許文献1において、積層体層は、高屈折率層と金属層とが交互に設けられ、かつ最上層および最下層が高屈折率層であれば、3層構造に限らず、5層構造または7層以上の構造でも良い旨記載されている。しかしながら、表面に低屈折率層を設けることにより充分に可視反射防止性能が得られるため、また、薄膜化の観点から3層構造が好ましい、すなわち、金属層が1層の構成が好ましいと記載されている。
特許文献2においては、金属層は1〜5層が好ましいと記載があるが、実施例においては金属層が1層の構成についてのみ言及している。
本発明者らは、金属層を備えた反射防止構造を検討する過程において、金属層を1層のみ備えた構成の場合、垂直入射光に対しては低反射率が得られるが、斜め入射光、特に30°以上の入射角になると反射率が急激に上がってしまうという問題を見出した。
本発明は、上記事情に鑑み、斜め入射光に対する反射率も抑制された反射防止膜、反射防止膜を備えた光学素子、および光学系を提供することを目的とする。
本開示による反射防止膜は、屈折率整合層と、膜厚6nm以下の銀を主成分とする銀含有金属層とが、基材上に交互に2対以上積層され、
屈折率整合層のうち、基材に隣接して設けられる第1の屈折率整合層は、相対的に高い屈折率を有する高屈折率層と、相対的に低い屈折率を有する低屈折率層とが交互に積層された積層構造を有し、相対的に高い屈折率と、相対的に低い屈折率との比が1.1以上である。
本開示による反射防止膜においては、高屈折率層は、波長540nmにおける屈折率が1.7以上であり、低屈折率層は、波長540nmにおける屈折率が1.6以下であることが好ましい。
本開示による反射防止膜においては、銀含有金属層の膜厚が1nm以上5nm以下であることが好ましい。
本開示による反射防止膜においては、銀含有金属層もしくは銀含有金属層に隣接する領域にGe、AuまたはAlを含むことが好ましい。
本開示による反射防止膜においては、第1の屈折率整合層は4層以上からなる積層構造であることが好ましい。
本開示による反射防止膜においては、屈折率整合層の光学膜厚が反射防止する波長の1/100以上であることが好ましい。
本開示による反射防止膜においては、銀含有金属層のうち、基材に最も近い側に配置された第1の銀含有金属層の膜厚をd1、第1の銀含有金属層の次に基材に近い側に配置された第2の銀含有金属層の膜厚をd2とした場合、d1≧d2であることが好ましい。
本開示による光学素子は、基材と、基材上に設けられた本開示による反射防止膜とを備えている。
本開示による光学系は、本開示による光学素子を備えている。
本開示による反射防止膜は、屈折率整合層と膜厚6nm以下の銀を主成分とする銀含有金属層とが、基材上に交互に2対以上積層され、屈折率整合層のうち、基材に隣接して設けられる第1の屈折率整合層は、相対的に高い屈折率を有する高屈折率層と、相対的に低い屈折率を有する低屈折率層とが交互に積層された積層構造を有し、相対的に高い屈折率と、相対的に低い屈折率との比が1.1以上である。係る構成により、垂直入射光に対する反射率のみならず、斜め入射光に対する反射率も抑制することができる。
本発明の実施形態に係る反射防止膜および光学素子の概略構成を示す断面模式図である。 銀膜を0〜5層含む反射防止膜についての垂直入射光に対する反射率の波長依存性を示す図である。 銀膜を0〜5層含む反射防止膜についての斜め入射光に対する反射率の波長依存性を示す図である。 銀膜を0〜6層の範囲で備えた反射防止膜についての透過率の波長依存性を示す図である。 ランベルト−ベールの法則で導出した各種膜厚の銀膜の透過率の波長依存性を示す図である。 本発明の一実施形態の光学素子を備えた組レンズからなる光学系の構成例を示す図である。 実施例1の反射防止膜の反射率の波長依存性を示す図である。 実施例1の反射防止膜の透過率の波長依存性を示す図である。 実施例2の反射防止膜の反射率の波長依存性を示す図である。 実施例2の反射防止膜の透過率の波長依存性を示す図である。 比較例1の反射防止膜の反射率の波長依存性を示す図である。 比較例1の反射防止膜の透過率の波長依存性を示す図である。 比較例2の反射防止膜の反射率の波長依存性を示す図である。 比較例2の反射防止膜の透過率の波長依存性を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る反射防止膜1を備えた光学素子5の概略構成を示す断面模式図である。
図1に示すように、本実施形態の反射防止膜1は、基材2上に第1の屈折率整合層10第1の銀含有金属層20A、第2の屈折率整合層30、第2の銀含有金属層20B、第3の屈折率整合層32、第3の銀含有金属層20C、および第4の屈折率整合層40を備えている。銀含有金属層とは、銀を主成分とする金属層をいう。本明細書において「銀を主成分とする」とは銀を50原子%以上含むことを意味する。各銀含有金属層20A、20B、20Cの膜厚はいずれも6nm以下である。すなわち、反射防止膜1は、屈折率整合層と、膜厚6nm以下の銀を主成分とする銀含有金属層とが、基材上に交互に2対以上積層されている。そして、光学素子5は、基材2とその一表面に形成された反射防止膜1とからなる。
本実施形態において、基本的に反射防止の対象とする光は可視領域(波長400nmから800nm)の光であり、基材2としては、可視領域で透明基材を用いる。基材2の形状は、特に限定なく、平板、凹レンズまたは凸レンズなど、主として光学装置において用いられる透明な光学部材、可撓性の透明フィルムなどである。基材の材料としては、ガラスやプラスチックなどを用いることができる。
複数層の屈折率整合層10、30、32および40のうち、基材2に隣接して設けられる第1の屈折率整合層10は、相対的に高い屈折率を有する高屈折率層11と、相対的に低い屈折率を有する低屈折率層12とが交互に積層された積層構造を有し、相対的に高い屈折率と、相対的に低い屈折率との比が1.1以上である。また、「相対的に高い屈折率を有する」、「相対的に低い屈折率を有する」とは、高屈折率層と低屈折率層との相対的な関係をいい、高屈折率層が低屈折率層よりも高い屈折率を有し、低屈折率層が高屈折率層よりも低い屈折率を有することを意味する。
図1に示す本実施形態の構成では、第1の屈折率整合層10は、高屈折率層11と低屈折率層12とが、基材2側からこの順に積層されているが、積層順はこの順に限るものではない。すなわち、基材2側から、低屈折率層12、高屈折率層11の順に積層されていてもよい高屈折率層11と低屈折率層12との積層構造の層数は限定されないが、少なくとも2層以上からなり、望ましくは4層以上、より望ましくは7層以上である。
高屈折率層11は、波長540nmにおける屈折率が1.7以上であることが好ましく、屈折率が1.9以上であることがより好ましい。低屈折率層12は、波長540nmにおける屈折率が1.6以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。なお、低屈折率層12の屈折率は基材2の屈折率よりも低く、高屈折率層11の屈折率は基材2の屈折率よりも高いことが好ましい。以下において、特に断らない限り、屈折率は波長540nmにおける屈折率をいう。
高屈折率層11同士、または低屈折率層12同士は、同一の材料から構成されていなくても構わないが、同一材料であることが、材料コストおよび成膜コスト等を抑制する観点から好ましい。
高屈折率層の材料としては、例えば、Al(アルミニウム)、Ti(チタン),Ta(タンタル),Zr(ジルコニウム),Nb(ニオブ),Mg(マグネシウム)およびLa(ランタン)のうちのいずれかの酸化物、Al窒化物、Al酸窒化物、Si(シリコン)窒化物、Si酸窒化物、およびそれらの混合物が挙げられる。
低屈折率層の材料としては、例えば、Si酸化物、Si酸窒化物、Mgフッ化物、およびそれらの混合物、並びに、Si酸化物、Si酸窒化物、Mgフッ化物、またはそれらの混合物とAl酸化物との混合物が挙げられる。
第1の屈折率整合層10には、上記の高屈折率層11および低屈折率層12のみならず、さらに屈折率整合機能を高めるために、両層11および12とは屈折率が異なる第3の層をさらに備えていてもよい。第3の層の材料としては、第1の材料および第2の材料に挙げた各種材料のうち適切なものを利用することができる。
交互に積層される高屈折率層および低屈折率層の膜厚は100nm程度以下で適宜設定すればよい。各層毎に異なる膜厚でよい。
第1の屈折率整合層10は、最も第1の銀含有金属層20A側に、銀含有金属層形成時の下地として機能する金属層用下地層14を備えることが好ましい。
金属層用下地層14は、銀含有金属層の形成面に成膜される後述のアンカー金属層を構成するアンカー金属を引き付けるファンデルワールス力の指標であるHamaker定数が7.3×10-20J以上の材料から構成されることが好ましい。
なお、Hamaker定数は、van Ossの理論に基づき、以下のようにして求めることができる。表面エネルギーγをγ=γLW+2(γγ1/2 としてLifshitz vdW(van der Waals)項(γLW)とドナー項(γ)とアクセプター項(γ)の3成分に分けて算出する。水、ジヨードメタンおよびエチレングリコールの3液の接触角を測定し、薄膜の表面エネルギーにおけるLifshitz vdW項(γLW)を算出する。そして、Hamaker定数A11を、A11=24πD γLWより算出する。なお、「分子間力と表面力(第3版)」朝倉書店J.N.イスラエルアチヴィリ 著/大島広行 訳を参照してD=0.165nmを採用(経験則より)する。
上記Hamaker定数が7.3×10−20J以上を金属層用下地層14の材料としては、例えば、Si、Nb、Hf(ハフニウム),Al,Nb,Zr,Ta(タンタル),Mg,La,Y(イットリウム),またはTiの酸化物、窒化物、酸窒化物あるいは炭化物、およびそれらの混合物などが挙げられる。具体的な構成材料としては、MgO(A11=7.3×10−20J)、Ta(A11=9.5×10−20J)、Al(A11=9.6×10−20J)、TiO(A11=10×10−20J)、HfO(A11=11.2×10−20J)、ZrO(A11=11.8×10−20)、SiN(A11=9.5×10−20J)およびNb(A11=12×10−20J)等があげられる。かっこ内はHamaker定数A11である。
屈折率整合層のうち、銀含有金属層と銀含有金属層との間に配置される屈折率整合層(以下において、中間屈折率整合層という。)は少なくとも1種以上の材料からなる薄膜層であり、単層であっても良いし、複数層の積層構造であっても良い。本実施形態においては、第2および第3の屈折率整合層30、32が、この中間屈折率整合層に相当する。中間屈折率整合層を構成する材料としては、例えば、Al,Si,Ti,Ta,Zr,Nb,Mg,La,およびHfのいずれかの酸化物、Al窒化物、Si窒化物、Al酸窒化物、Si酸窒化物、Mgフッ化物およびそれらの混合物が挙げられる。中間屈折率整合層においては、その中間屈折率整合層中の、表面側の銀含有金属層に最も近い層として、上述の金属層用下地層を備えていることが好ましい。
中間屈折率整合層は、波長540nmにおける屈折率が1.9以上であることが好ましい。また、中間屈折率整合層は、光学膜厚が反射防止すべき波長の1/100以上であることが好ましい。なお、中間屈折率整合層が複数層から構成されている場合には、両層の平均の屈折率および合計の光学膜厚が上記条件を満たすことが好ましい。
屈折率整合層のうち、最表面側に配置される屈折率整合層(以下において、最表面側屈折率整合層という。)は、単層であってもよいし、複数層からなってもよいが、波長540nmにおける屈折率が1.5以下の低屈折率層であることが好ましい。本実施形態においては、第4の屈折率整合層40が、この最表面側屈折率整合層に相当する。最表面側屈折率整合層を構成する材料としては、Mgのフッ化物およびSi酸化物、並びにそれらとAl酸化物との混合物などが挙げられる。
上記の各屈折率整合層はスパッタリング法、電子線蒸着法および化学気相成長法などの気相成膜法を用いて成膜することができる。
銀含有金属層20A、20B、20Cは、既述の通り、膜厚が6nm以下であり、銀を主成分とする。なお、特に区別する必要がある場合を除き、以下において、銀含有金属層20とする。銀含有金属層20は、銀の含有量が50原子%以上であればよいが、85原子%以上が銀であることが好ましく、95原子%以上が銀であることがより好ましい。なお、銀膜も銀含有金属層の一形態である。銀含有金属層20には、銀以外にPd(パラジウム),Cu(銅),Au(金),Nd(ネオジウム),Sm(サマリウム),Bi(ビスマス),Pt(白金),Sn(錫),Al,Zn(亜鉛),Mg,In(インジウム),Ga(ガリウム)およびPb(鉛)のうちの少なくとも1種を含有していてもよい。
図1に示す本実施形態においては銀含有金属層20を3層備えているが、銀含有金属層20は2層以上であればよい。但し、透明性の観点から、5層以下が好ましく、3層以下がより好ましい。
湿度などに対する耐久性を向上させる観点から、銀含有金属層20に標準電極電位が銀よりも大きい元素を少なくとも1種類以上含むことが特に好ましい。具体的には、AuおよびPtなどが挙げられる。
銀含有金属層20の膜厚は6nm以下であればよいが、1nm以上5nm以下であることがより好ましい。
なお、複数の銀含有金属層20の膜厚は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。複数の銀含有金属層20のうち、最も基材2側に配置される第1の銀含有金属層20Aの膜厚d1は、複数の銀含有金属層20のうち、最大膜厚であってもよいし、最少膜厚であってもよい。但し、薄膜成長の安定性の観点からは第1の銀含有金属層20Aの膜厚d1が次に成膜される第2の銀含有金属層20Bの膜厚d2よりも大きいことが好ましく、複数の銀含有金属層20のなかで最大であることが好ましい。
本発明の一実施形態の反射防止膜を構成する各層の成膜において、銀含有金属層およびその他の層に関し、nmオーダーの極薄い層を形成する場合には、凹凸膜あるいは海島状に部分的に形成されていない部分(海)が存在していてもよい。本明細書に記載の膜厚は基本的に各層の膜厚平均値を意味する。
銀含有金属層は、真空蒸着、プラズマスパッタ、電子サイクロトロンスパッタおよびイオンプレーティングなどの気相成膜法を用いて成膜することが好ましい。
銀含有金属層を気相成膜法により成膜する場合、銀は凝集しやすいため、一様な膜を形成するのが難しい。既述のように、他の金属を添加し、合金化することにより凝集を抑制することができる。また、銀含有金属層の形成面にアンカー金属層を形成しておくことも銀の凝集を抑制するために効果的である。この場合、アンカー金属層の材料としては、Bi,Pb,Sn,In,Mg,Nd,Zn,Ga,Ge(ゲルマニウム)およびSi,Al、Mn(マンガン)、CuおよびAuなどが挙げられる。特には、Ge,AuおよびAlが好ましい。
なお、アンカー金属層は0.2nmから2nm程度の膜厚で形成されることが好ましい。反射防止膜の製造工程において、アンカー金属層を構成する金属は、銀含有金属層中および銀含有金属層に隣接する領域に拡散する。銀含有金属層に隣接する領域とは、銀含有金属層の上下界面領域である。また、製造工程においてアンカー金属を酸化させることが好ましい。酸化処理としては、大気中でアニール処理を行う、水蒸気と酸素分子を含む環境下に曝露させるなどの手法が好ましい。
したがって、反射防止膜においては、銀含有金属層20中もしくは銀含有金属層20に隣接する領域中に、アンカー金属層として成膜されたアンカー金属が含有されていることが好ましく、この場合、アンカー金属酸化物として含有されていてもよい。
上記構成の本実施形態の反射防止膜1は、斜め入射光に対しても反射率を抑制した良好な反射防止性を有する。
ここで、本発明の一実施形態の反射防止膜の構成による効果をシミュレーションにより検証した結果について説明する。
図2は、銀膜を0層(0layer)〜5層(5layers)含む反射防止膜についての垂直入射光(入射角0°)に対する反射率の波長依存性を示す。図3は、銀膜を0層(0layer)〜5層(5layers)含む反射防止膜についての斜め入射光(入射角40°)に対する反射率の波長依存性を示す。
図2に示すように、入射角0°の入射光に対しては銀含有金属層が1層のみである場合にも2〜5層構造の場合と同等の低反射率が得られている。しかしながら、図3に示すように、入射角40°の入射光に対しては銀含有金属層が2層以上の構造で、1層のみの場合と比較して、反射率の上昇が抑制されていることが分かる。
一方で、反射防止膜中の銀含有金属層の合計膜厚が大きくなるほど、反射防止膜の透過率が低下する。反射防止膜の光学素子への適用に際しては、透過率が高いほど好ましい。
図4に6nm以下の銀膜を、0層から6層の範囲で備えた反射防止膜についての透過率の波長依存性を示す。図4においては、銀膜の合計膜厚を示している。また、図5に一般的な吸収膜の透過率を表すランベルト−ベールの法則で導出した各種膜厚の銀膜の透過率の波長依存性を示す。
一般的に、吸収のある膜の透過率は以下の式で表されるランベルト−ベールの法則に従っている。
T=exp(−4πkd/λ)
但し、Tは膜の透過率、kは膜の消衰係数、dは膜厚、λは光の波長である。
図4に示す結果によれば、各合計膜厚の銀膜を含む反射防止膜の透過率は、図5に示されるランベルト−ベールの法則から見積もられる同等の膜厚の銀膜についての透過率よりも大きな値になっている。反射防止膜内部における光干渉の結果、膜の内部における電界振幅が不均一となり銀膜の金属吸収による電界振幅の減衰の影響を受けにくくなっている。そのために、膜の内部における電界振幅を一定と仮定したランベルト−ベールの法則による値よりも吸収量が小さくなっていると考えられる。
銀膜がバルクな膜ではなく、銀膜同士の光学干渉が起こる光学膜とみなせるような条件であれば、一般的な知見であるランベルト−ベールの法則から見積もられる透過率よりも大きな透過率の反射防止膜が得られると考えられる。すなわち、本発明の一実施形態の反射防止膜の構成において、銀含有金属層と銀含有金属層との間に備えられる中間屈折率整合層の光学膜厚の合計値が、反射防止の対象とする波長の1/100以上、より好ましくは1/20以上あれば、複数の銀含有金属層同士の光学干渉が発生し、ランベルト−ベールの法則よりも透過率を向上させることができる。
以上に説明した本発明の一実施形態の反射防止膜は、カメラ用レンズなどの斜め入射光に対しても高い反射防止性能が求められる用途に好適である。例えば、特開2011−186417号公報等に記載の公知のズームレンズの最表面にも好適に用いることができる。
上述した実施形態の反射防止膜1を備えた組レンズからなる光学系の実施形態を説明する。
図6(A),(B),(C)は、本発明の撮像光学系の一実施形態であるズームレンズの構成例を示している。図6(A)は広角端(最短焦点距離状態)での光学系配置、図6(B)は中間域(中間焦点距離状態)での光学系配置、図6(C)は望遠端(最長焦点距離状態)での光学系配置に各々対応している。
このズームレンズは、光軸Z1に沿って物体側から順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5とを備えている。光学的な開口絞りS1は、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間で、第3レンズ群G3の物体側近傍に配設されていることが好ましい。各レンズ群G1〜G5は1枚または複数のレンズLijを備えている。符合Lijは第iレンズ群中の最も物体側のレンズを1番目として結像側に向かうに従い順次増加するようにして符号を付したj番目のレンズを示す。
このズームレンズは、例えばビデオカメラ、およびデジタルスチルカメラ等の撮影機器のほか、情報携帯端末にも搭載可能である。このズームレンズの像側には、搭載されるカメラの撮影部の構成に応じた部材が配置される。例えば、このズームレンズの結像面(撮像面)には、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子100が配置される。最終レンズ群(第5レンズ群G5)と撮像素子100との間には、レンズを装着するカメラ側の構成に応じて、種々の光学部材GCが配置されていても良い。
このズームレンズは、少なくとも第1レンズ群G1、第3レンズ群G3、および第4レンズ群G4を光軸Z1に沿って移動させて、各群間隔を変化させることにより変倍を行うようになされている。また第4レンズ群G4を合焦時に移動させるようにしても良い。第5レンズ群G5は、変倍および合焦の際に常時固定であることが好ましい。開口絞りS1は、例えば第3レンズ群G3と共に移動するようになっている。より詳しくは、広角端から中間域へ、さらに望遠端へと変倍させるに従い、各レンズ群および開口絞りS1は、例えば図6(A)の状態から図6(B)の状態へ、さらに図6(C)の状態へと、図に実線で示した軌跡を描くように移動する。
このズームレンズの最表面は、第1レンズ群G1のレンズL11の外側面(物体側面)および最終レンズ群である第5レンズ群G5のレンズL51に反射防止膜1が備えられている。なお、他のレンズ面にも同様に反射防止膜1を備えていてもよい。
なお、本実施形態の反射防止膜1は凹凸構造を表面に備えた反射防止膜と比較して、機械的強度が大きいので、ユーザが触れる可能性のあるズームレンズの最表面に備えることができ、非常に反射防止性能の高いズームレンズを構成することができる。
また、微細凹凸構造を備えた反射防止膜においては、凹凸構造ゆえに屈折率揺らぎが存在し、その屈折率揺らぎにより散乱が生じるおそれがあるが、凹凸構造を有していない本発明の一実施形態の反射防止膜は屈折率揺らぎがほとんど存在しないため、散乱もほとんど生じない。カメラレンズにおける反射防止膜において、散乱はフレアを発生し画像のコントラストを低下させることから、本発明の一実施形態の反射防止膜を備えることにより散乱を抑制し、結果として画像のコントラストの低下を抑制することができる。
以下、本発明の実施例および比較例について説明する。
−実施例および比較例の反射防止膜の作製方法−
25mm角の基材上に、各実施例および比較例の反射防止膜を形成した。
[実施例1]
基材としてFDS90(HOYA株式会社製)からなるガラス基材を用いた。基材上に、まず、Nbからなる高屈折率層とSiOからなる低屈折率層をこの順に交互に成膜して6層積層構造の第1の屈折率整合層を形成した。NbとSiOの屈折率の比は1.61である。
次いでアンカー金属層としてGe膜を0.7nm成膜し、その上に銀膜を成膜した。銀膜が本発明の銀含有金属層に相当する。表1において、アンカー金属層と銀含有金属層とを金属層Ge/Agとして表記している。なお、表1における金属層の膜厚はGe膜と銀膜との合計膜厚である。金属層の成膜後には、大気中にて300℃で5分のアニール処理を行った。さらに、Nbからなる第2の屈折率整合層(中間屈折率整合層)を成膜し、Ge膜0.7nm、銀膜を順次積層成膜し、上記と同様のアニール処理を行い、最後にSiOからなる第3の屈折率整合層(最表面側屈折率整合層)を成膜した。ここで、第1、第2および第3の屈折率整合層はRF(Radio Frequency)スパッタリング法により、Ge膜、銀膜はDC(Direct Current)スパッタリング法により成膜した。各層の膜厚は表1に示す通りとした。なお、表1において、各層の屈折率および膜厚は、設計値であり、表に記載の屈折率および膜厚となる条件でそれぞれ成膜を行った。実施例2〜14および比較例においても同様とする。なお、表中の膜厚は全て物理膜厚である。

[実施例2]
実施例1の製造作製において、第3の屈折率整合層として電子線蒸着法によりMgFを成膜した点以外は同様にして実施例2の反射防止膜を作製した。各層の膜厚を表2に示す。

[実施例3]
実施例2の作製方法において、ECR(Electron Cyclotron Resonance)スパッタリング法により、Siからなる高屈折率層とSiOからなる低屈折率層を、基材側から低屈折率層、高屈折率層、低屈折率層…の順に交互に成膜して5層積層構造の第1の屈折率整合層を形成した以外は、同様にして実施例3の反射防止膜を作製した。各層の膜厚を表3に示す。SiとSiOの屈折率の比は1.34である。

[実施例4]
実施例2の作製方法において、基材としてB270(登録商標:SCHOTT AG社)からなるガラス基材を用いた。また、電子線蒸着法により、MgOからなる高屈折率層とSiOからなる低屈折率層を交互に成膜して第1の屈折率整合層を形成し、電子線蒸着法によりMgOからなる第2の屈折率整合層を成膜した。その他は、実施例2と同様にして実施例4の反射防止膜を作製した。各層の膜厚を表4に示す。MgOとSiOの屈折率の比は1.19である。

[実施例5]
実施例2の作製方法において、電子線蒸着法により、Taからなる高屈折率層とLaFからなる低屈折率層を、低屈折率層、高屈折率層…の順に交互に積層して第1の屈折率整合層を形成し、電子線蒸着法によりTaからなる第2の屈折率整合層を成膜した以外は、同様にして実施例5の反射防止膜を作製した。各層の膜厚を表5に示す。TaとLaFの屈折率の比は1.35である。

[実施例6]
実施例2の作製方法において、MgOからなる高屈折率層とLaFからなる低屈折率層を、高屈折率層、低屈折率層、高屈折率層の順に交互に積層して3層構造の第1の屈折率整合層を形成した以外は同様にして、実施例6の反射防止膜を作製した。各層の膜厚を表6に示す。MgOとLaFの屈折率の比は1.10である。

[実施例7]
FDS90からなるガラス基材上に、まず、Nbからなる高屈折率層とSiOからなる低屈折率層を、低屈折率層、高屈折率層の順に交互に成膜して5層積層構造の第1の屈折率整合層を形成した。次いでアンカー金属層としてGe膜を0.7nm成膜し、その上にAu膜を0.2nm成膜し、さらに銀膜を成膜した。銀膜が本発明の銀含有金属層に相当する。表7において、Ge膜、Au膜、銀膜とを金属層Ge/Au/Agとして表記している。なお、表7における金属層の膜厚はGe膜、Au膜および銀膜の合計膜厚である。金属層の成膜後には、大気中にて300℃で5分のアニール処理を行った。さらに、Nbからなる第2の屈折率整合層(中間屈折率整合層)を成膜し、上記と同様にしてGe膜0.7nm、Au膜0.2nm、銀膜を順次積層成膜し、上記と同様のアニール処理を行った。最後にMgFからなる第3の屈折率整合層(最表面側屈折率整合層)を成膜した。ここで、第1および第2の屈折率整合層はRFスパッタリング法により、Ge膜、Au膜および銀膜はDCスパッタリング法により成膜し、第3の屈折率整合層は電子線蒸着法により成膜した。各層の膜厚は表7に示す通りとした。

[実施例8]
実施例7の作製方法において、ECRスパッタリング法により、Siからなる高屈折率層とSiOからなる低屈折率層を、基材側から低屈折率層、高屈折率層、低屈折率層…の順に交互に成膜して5層積層構造の第1の屈折率整合層を形成した。その他は、実施例7と同様にして実施例8の反射防止膜を作製した。各層の膜厚を表8に示す。

[実施例9]
実施例2の作製方法において、アンカー金属層であるGe膜を形成しなかった以外は同様の方法で実施例9の反射防止膜を作製した。各層の膜厚を表9に示す。

[実施例10]
実施例2の作製方法において、第1の屈折率整合層を7層構造として、最も金属層側の層を高屈折率層のNbとした以外は、同様の方法で実施例10の反射防止膜を作製した。各層の膜厚を表10に示す。

[実施例11]
実施例2の作製方法において、第1の屈折率整合層の最も金属層側の層に、金属層用下地層であるHfOを形成した以外は、同様の方法で実施例11の反射防止膜を作製した。各層の膜厚を表11に示す。

[実施例12]
実施例2の作製方法において、第1の屈折率整合層の最も金属層側に、金属層用下地層であるAlを設けた。また、第2の屈折率整合層をNb単層からNb、Alの積層構造とし、この順に積層した。その他は、実施例2と同様の方法で実施例12の反射防止膜を作製した。各層の膜厚を表12に示す。

[実施例13]
実施例12の製造方法において、第1の屈折率整合層として、基材側から低屈折率層(SiO)、高屈折率層(Nb)、低屈折率層…の順に積層し5層の積層構造とした。その上に金属層用下地層であるAlを成膜した。また、第3の屈折率整合層としてRFスパッタリング法によりSiO層を成膜した。その他は、実施例12と同様の方法で実施例13の反射防止膜を作製した。各層の膜厚を表13に示す。

[実施例14]
実施例2の製造方法において、金属層を3層構造とし、第2、第3の屈折率制御層を中間屈折率制御層とし、第4の屈折率制御層を最表面側屈折率制御層として成膜した以外は同様の方法で実施例14の反射防止膜を作製した。各層の膜厚を表14に示す。

[比較例1]
実施例2の製造方法において、金属層を1層構造として、中間屈折率制御層を形成しなかった以外は同様の方法で比較例1の反射防止膜を作製した。各層の膜厚を表15に示す。

[比較例2]
FDS90からなるガラス基材上に、Substance H4(メルク社)からなる高屈折率層と、MgFのからなる低屈折率層とを、交互に5対積層して10層構造の誘電体多層膜構造の反射防止膜を比較例2として作製した。比較例2において、各層は電子線蒸着法により成膜した。各層の膜厚を表16に示す。

<実施例および比較例の評価方法>
−垂直入射光の反射率−
各実施例および比較例の反射防止膜に対する、入射角0°の垂直入射光の反射率は分光膜厚計FE−3000(大塚電子社)で測定した。
−斜め入射光の反射率−
各実施例および比較例の反射防止膜に対する、入射角30°、40°、45°、60°の斜め入射光の反射率はキセノンランプ光源SX−UI501XQ(ウシオ電機社)およびマルチチャンネル分光器PMA−11(浜松ホトニクス社)および偏光子SPF−50C−32(シグマ光機社)を用いて以下の手順で測定した。
基材上に反射防止膜が形成されてなる各サンプルを、設置角度を測定できる回転ステージ上に設置する。入射光の入射角度が所定の角度となるように設定した状態で、キセノンランプ光源からの白色光をレンズにより平行光として偏光子を通し、反射防止膜に照射する。この照射により生じるサンプルからの反射光を積分球により受光し、導光ファイバによりマルチチャンネル分光器PMA−11に入力する。以下の測定を偏光子の角度を調整することによりS偏光、P偏光それぞれについて同様に行い、S偏光とP偏光の反射率の平均値をその角度の反射率とした。
まず、得られた信号強度を、サンプルを設置していない状態で検出される信号強度で規格化することで試料の斜め入射光の反射率R測定を得る。
得られた反射率R測定から、裏面の基材片面の反射率R基材を以下の式に従い差し引くことで、反射防止膜の反射率R反射防止膜を得た。
但し、R反射防止膜:反射防止膜面の反射率、R測定:測定で得られた反射率、R基材:基材片面の反射率とした。
また、ここで、基材片面の反射率R基材は、反射防止膜が形成されていない状態の基材について上記同様の測定を行い、以下の式に従い得た。
−垂直透過光の透過率−
各サンプルの透過率T測定を斜め入射光の反射率測定と同様の装置を用いて取得した。入射角は垂直入射とし、測定で得られた透過率T測定から、裏面反射および多重反射の影響を以下の式に従い差し引くことで、反射防止膜の透過率T反射防止膜を算出した。

但し、R’反射防止膜:反射防止膜面に基材側から光が入射した場合の反射率、R基材:基材片面の反射率とした。ここで、R’反射防止膜およびR基材は分光膜厚計FE−3000で測定した値を用いた。
<実施例および比較例の評価結果>
以上のようにして各実施例および比較例の反射防止膜について得られた反射率および透過率について、波長450nm〜650nmの平均値を評価値として比較した。その結果を表17に示す。

比較例に比べ、実施例では斜め入射光に対して反射率の上昇を抑制できている。特に、45°入射時の反射率は比較例に比べ、半分〜7割の値が得られている。
実施例1〜14は、いずれも斜め入射光に対する反射率の上昇の抑制効果があり、反射率はいずれもほぼ同等である。一方で、実施例9は他の実施例と比較して、透過率が低かった。実施例9以外では銀膜の成膜前にアンカー金属層(Ge膜)を成膜しており、このアンカー金属層の効果により銀膜が実施例9と比較して平坦に形成でき、光の吸収が抑制できたと考えられる。
上記実施例および比較例のうち、実施例1、2および比較例1、2のサンプルについて、複数の入射角に対する反射率の波長依存性および0°入射角に対する透過率の波長依存性をEssential Macleod(Thin Film Center社製)を用いたシミュレーションにより求めた結果を図7〜図14に示す。
図7は、実施例1のサンプルについての反射率の波長依存性、図8は、実施例1のサンプルについての透過率の波長依存性を示す。
図9は、実施例2のサンプルについての反射率の波長依存性、図10は、実施例2のサンプルについての透過率の波長依存性を示す。
図11は、比較例1のサンプルについての反射率の波長依存性、図12は、比較例1のサンプルについての透過率の波長依存性を示す。
図13は、比較例2のサンプルについての反射率の波長依存性、図14は、比較例2のサンプルについての透過率の波長依存性を示す。
透過率に関しては、銀含有金属層を備えていない比較例2が最大であり、銀含有金属層を1層のみ備えた比較例1よりも実施例1、2の方が低くなっている。一方、反射率は、銀含有金属層を備えることにより、非常に低い反射率が得られている。比較例1と実施例1、2から、入射角0°ではほぼ同等の反射率が得られるが、入射角40°、45°での反射率は実施例1、2で大幅に抑制されていることが明らかである。

Claims (9)

  1. 屈折率整合層と、膜厚6nm以下の銀を主成分とする銀含有金属層とが、基材上に交互に2対以上積層され、
    前記屈折率整合層のうち、前記基材に隣接して設けられる第1の屈折率整合層は、相対的に高い屈折率を有する高屈折率層と、相対的に低い屈折率を有する低屈折率層とが交互に積層された積層構造を有し、前記相対的に高い屈折率と、前記相対的に低い屈折率との比が1.1以上である反射防止膜。
  2. 前記高屈折率層は、波長540nmにおける屈折率が1.7以上であり、
    前記低屈折率層は、波長540nmにおける屈折率が1.6以下である請求項1に記載の反射防止膜。
  3. 前記銀含有金属層の膜厚が1nm以上5nm以下である請求項1または2に記載の反射防止膜。
  4. 前記銀含有金属層もしくは該銀含有金属層に隣接する領域にGe、AuまたはAlを含む請求項1から3いずれか1項に記載の反射防止膜。
  5. 前記第1の屈折率整合層は4層以上からなる積層構造である請求項1から4いずれか1項に記載の反射防止膜。
  6. 前記屈折率整合層の光学膜厚が反射防止する波長の1/100以上である請求項1から5のいずれか1項に記載の反射防止膜。
  7. 前記銀含有金属層のうち、前記基材に最も近い側に配置された第1の銀含有金属層の膜厚をd1、該第1の銀含有金属層の次に前記基材に近い側に配置された第2の銀含有金属層の膜厚をd2とした場合、d1≧d2である請求項1から6のいずれか1項に記載の反射防止膜。
  8. 基材と、
    該基材上に設けられた、請求項1から7いずれか1項に記載の反射防止膜とを備えた光学素子。
  9. 請求項8記載の光学素子を備えた光学系。
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