JP2016109785A - 反射鏡及びそれを用いた光学機器及びoa機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】広い可視光領域(400〜700 nm)の波長範囲において、入射角0〜70°という広い角度範囲で高い反射率を有する反射鏡を提供する。【解決手段】基板と、基板上に順に形成された下地層、反射層及び増反射層とを有する反射鏡において、下地層は酸化アルミニウムを含む膜を含み、反射層は銀又は銀合金からなり、増反射層は酸化アルミニウムを含む屈折率1.61〜1.75の中間屈折率膜及び屈折率1.35以下の超低屈折率膜を含むことを特徴とする反射鏡。【選択図】図1
Description
本発明は、反射鏡及びそれを用いた光学機器及びOA機器に関する。
従来より、カメラ、双眼鏡、顕微鏡等の光学機器や、複写機、プロジェクタ等のOA機器に反射鏡が用いられている。反射鏡を用いた光学機器の一例として、反射鏡を備えたデジタル一眼レフカメラを図15に示す。図15に示すデジタル一眼レフカメラ1では、撮像レンズ2を透過した光束はハーフミラー3により分割され、透過光は撮像素子4に、反射光はファインダー光学系5のピント板6にほぼ垂直に入射し、ペンタプリズム7の内部で反射した後に接眼光学系8に導かれる。ペンタプリズム7の内部で光を反射するために、ペンタプリズム7のピント板6側の面と対向する面及び接眼光学系8側の面と対向する面に反射鏡10がそれぞれ設けられている。
このように光学機器やOA機器に用いられる反射鏡としては、基板に真空蒸着法やスパッタリング法によって銀を蒸着し、その蒸着膜を反射膜とした反射鏡が既に知られている。しかし、従来の銀反射膜を用いた反射鏡の場合、450〜700 nmの可視光領域における光の反射率が向上するが、可視光の短波長域である450 nm以下で反射率が急激に低下するという問題があった。この反射鏡に垂直に光を入射(0°入射)させたときの分光反射率と、反射鏡10の垂線に対して70°の入射角を有する光を入射(70°入射)させたときの分光反射率とを、それぞれシミュレーションにより求めた結果を図6に示す。図6に示すように、入射角0°でも70°でも波長450 nm以下における反射率が97%以下と低かった。
特許第4125158号(引用文献1)は、樹脂基板上に下地層、反射膜、保護層を設けてなる反射鏡であって、下地層はTiO2膜とAl2O3膜の交互層で樹脂基板と反射膜に接する膜はTiO2膜であり、反射膜は銀膜、保護層はTiO2膜とAl2O3膜の交互層で形成されている反射鏡を開示している。
しかし引用文献1の反射鏡は、Al2O3が屈折率1.65程度の中間的な屈折率を有するため、TiO2のような高屈折率膜(通常は屈折率2.2以上)との交互層による光の干渉効果を弱めてしまい、広い可視光領域(400〜700 nm)の波長範囲において、入射角0〜70°の広い角度範囲での反射率が十分でない。
従って、本発明の目的は、広い可視光領域(400〜700 nm)の波長範囲において、入射角0〜70°という広い角度範囲で高い反射率を有する反射鏡を提供することである。
また本発明の別の目的は、かかる反射鏡を備えた光学機器及びOA機器を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、基板上に順に形成された下地層、反射層及び増反射層とを有する反射鏡において、前記下地層に酸化アルミニウムを含む膜を含め、前記反射層を銀又は銀合金からなる膜とし、前記増反射層に酸化アルミニウムを含む屈折率1.61〜1.75の中間屈折率膜及び屈折率1.35以下の超低屈折率膜を含めることにより、広い可視光領域(400〜700 nm)の波長範囲において、入射角0〜70°という広い角度範囲で高い反射率を得られることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の反射鏡は、基板と、前記基板上に順に形成された下地層、反射層及び増反射層とを有し、前記下地層は酸化アルミニウムを含む膜を含み、前記反射層は銀又は銀合金からなり、前記増反射層は酸化アルミニウムを含む屈折率1.61〜1.75の中間屈折率膜及び屈折率1.35以下の超低屈折率膜を含むことを特徴とする。
前記下地層に含まれる前記酸化アルミニウムを含む膜の物理膜厚は10〜200 nmであり、前記反射層の物理膜厚は100〜500 nmであり、前記増反射層に含まれる前記中間屈折率膜の物理膜厚は10 nm以上であり、前記超低屈折率膜の物理膜厚は21 nm以上であるのが好ましい。
前記下地層に含まれる前記酸化アルミニウムを含む膜及び前記増反射層に含まれる前記中間屈折率膜は酸化アルミニウム膜であり、前記超低屈折率膜はフッ化マグネシウムのナノ粒子膜、シリカエアロゲル膜、花弁状アルミナ膜及びフッ素樹脂膜のいずれかであるのが好ましい。
前記増反射層は四層構成からなり、前記反射層から順に前記中間屈折率膜、前記超低屈折率膜、屈折率1.85〜2.6の高屈折率膜及び屈折率1.351〜1.6の低屈折率膜が形成されているか、前記反射層から順に前記超低屈折率膜、前記中間屈折率膜、屈折率1.85〜2.6の高屈折率膜及び屈折率1.351〜1.6の低屈折率膜が形成されているのが好ましい。この場合、前記増反射層の前記中間屈折率膜の物理膜厚は10〜20 nmであり、前記超低屈折率膜の物理膜厚は21〜91 nmであり、前記高屈折率膜の物理膜厚は28〜68 nmであり、前記低屈折率膜の物理膜厚は59〜150 nmであるのが好ましい。
前記増反射層は五層構成からなり、反射層から順に前記中間屈折率膜、前記超低屈折率膜、屈折率1.85〜2.6の第一の高屈折率膜、屈折率1.351〜1.6の低屈折率膜及び屈折率1.85〜2.6の第二の高屈折率膜が形成されているか、反射層から順に前記超低屈折率膜、前記中間屈折率膜、屈折率1.85〜2.6の第一の高屈折率膜、屈折率1.351〜1.6の低屈折率膜及び屈折率1.85〜2.6の第二の高屈折率膜が形成されているのが好ましい。この場合、前記増反射層の前記中間屈折率膜の物理膜厚は10〜20 nmであり、前記超低屈折率膜の物理膜厚は21〜91 nmであり、前記第一の高屈折率膜の物理膜厚は28〜68 nmであり、前記低屈折率膜の物理膜厚は59〜99 nmであり、前記第二の高屈折率膜の物理膜厚は3〜23 nmであるのが好ましい。
前記高屈折率膜は酸化チタン膜、酸化ニオブ膜及び酸化タンタル膜のいずれかであり、前記低屈折率膜はフッ化マグネシウム膜、酸化シリコン膜、及び酸化シリコンと酸化アルミニウムの混合膜のいずれかであるのが好ましい。
本発明の光学機器及びOA機器は上記反射鏡を備えることを特徴とする。
[1] 反射鏡
本発明の一実施態様による反射鏡10を図1に示す。図1に示すように、反射鏡10は基板20と、基板20上に順に形成された下地層21、反射層22及び増反射層23とを有する。下地層21は酸化アルミニウムを含む膜を含み、反射層22は銀又は銀合金からなる膜であり、増反射層23は酸化アルミニウムを含む屈折率1.61〜1.75の中間屈折率膜及び屈折率1.35以下の超低屈折率膜を含む。
本発明の一実施態様による反射鏡10を図1に示す。図1に示すように、反射鏡10は基板20と、基板20上に順に形成された下地層21、反射層22及び増反射層23とを有する。下地層21は酸化アルミニウムを含む膜を含み、反射層22は銀又は銀合金からなる膜であり、増反射層23は酸化アルミニウムを含む屈折率1.61〜1.75の中間屈折率膜及び屈折率1.35以下の超低屈折率膜を含む。
(1) 基板
基板20の材料は、各光学機器に応じて公知のものが適宜使用可能であり、例えば青板ガラス、白板ガラス、S-FSL5(オハラ製)、S-BSL7(オハラ製)、S-LAL18(オハラ製)、S-LAH66(オハラ製)、S-TIH53(オハラ製)等のガラス基板、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ABS樹脂等の樹脂基板アクリル、ゼオネックス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の一般的な樹脂材料やガラスを用いることができる。
基板20の材料は、各光学機器に応じて公知のものが適宜使用可能であり、例えば青板ガラス、白板ガラス、S-FSL5(オハラ製)、S-BSL7(オハラ製)、S-LAL18(オハラ製)、S-LAH66(オハラ製)、S-TIH53(オハラ製)等のガラス基板、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ABS樹脂等の樹脂基板アクリル、ゼオネックス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の一般的な樹脂材料やガラスを用いることができる。
(2) 下地層
下地層21は、基板20から反射層22側への水分の移動を防ぎ、耐湿性を向上させるために設けられる層であり、酸化アルミニウムを含む膜を含む。酸化アルミニウムを含む膜の材料としては例えば酸化ケイ素と酸化アルミニウムの混合物、酸化ランタンと酸化アルミニウムの混合物、酸化イットリウムと酸化アルミニウムの混合物などが挙げられる。下地層21の酸化アルミニウムを含む膜は酸化アルミニウム膜であるのが好ましい。
下地層21は、基板20から反射層22側への水分の移動を防ぎ、耐湿性を向上させるために設けられる層であり、酸化アルミニウムを含む膜を含む。酸化アルミニウムを含む膜の材料としては例えば酸化ケイ素と酸化アルミニウムの混合物、酸化ランタンと酸化アルミニウムの混合物、酸化イットリウムと酸化アルミニウムの混合物などが挙げられる。下地層21の酸化アルミニウムを含む膜は酸化アルミニウム膜であるのが好ましい。
下地層21は、酸化アルミニウムを含む膜のほかに、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ランタン及び酸化クロムからなる群から選ばれる1種以上を含む多層膜でも良い。
下地層21に含まれる酸化アルミニウムを含む膜は、10〜200 nmの物理膜厚を有しているのが好ましい。酸化アルミニウムを含む膜の膜厚が10 nm未満の場合は耐湿性が十分ではなく、膜厚が200 nmを越えても耐湿性は殆ど向上しない。酸化アルミニウムを含む膜の物理膜厚は20〜190 nmであるのがより好ましい。
(3) 反射層
反射層22は、入射する光を反射させるために設けられる銀又は銀を含む合金からなる層である。銀を含む合金は例えば銀にスズ、金、銅、亜鉛、白金、パラジウムからなる少なくとも1種類を混合した合金が挙げられる。反射層22の物理膜厚は100〜500 nmであるのが好ましく、12〜480 nmであるのがさらに好ましい。反射層22の物理膜厚が500 nmを超えても反射率は向上せず、物理膜厚が100 nm未満では所望する反射率を得ることが困難である。
反射層22は、入射する光を反射させるために設けられる銀又は銀を含む合金からなる層である。銀を含む合金は例えば銀にスズ、金、銅、亜鉛、白金、パラジウムからなる少なくとも1種類を混合した合金が挙げられる。反射層22の物理膜厚は100〜500 nmであるのが好ましく、12〜480 nmであるのがさらに好ましい。反射層22の物理膜厚が500 nmを超えても反射率は向上せず、物理膜厚が100 nm未満では所望する反射率を得ることが困難である。
(4) 増反射層
増反射層23は、反射層22を保護するとともに反射特性を向上させるために設けられる層である。増反射層23の酸化アルミニウムを含む中間屈折率膜の材料としては例えば酸化アルミニウム、酸化ケイ素と酸化アルミニウムの混合物、酸化ランタンと酸化アルミニウムの混合物、酸化イットリウムと酸化アルミニウムの混合物が挙げられる。中間屈折率膜は酸化アルミニウム膜であるのが好ましい。増反射層に含まれる中間屈折率膜の物理膜厚は10 nm以上であるのが好ましい。中間屈折率膜が10 nm未満であると、耐湿性が不十分である上に、反射特性も悪い。中間屈折率膜の物理膜厚は11〜19 nmであるのがより好ましい。
増反射層23は、反射層22を保護するとともに反射特性を向上させるために設けられる層である。増反射層23の酸化アルミニウムを含む中間屈折率膜の材料としては例えば酸化アルミニウム、酸化ケイ素と酸化アルミニウムの混合物、酸化ランタンと酸化アルミニウムの混合物、酸化イットリウムと酸化アルミニウムの混合物が挙げられる。中間屈折率膜は酸化アルミニウム膜であるのが好ましい。増反射層に含まれる中間屈折率膜の物理膜厚は10 nm以上であるのが好ましい。中間屈折率膜が10 nm未満であると、耐湿性が不十分である上に、反射特性も悪い。中間屈折率膜の物理膜厚は11〜19 nmであるのがより好ましい。
屈折率1.35以下の超低屈折率膜は、フッ化マグネシウムのナノ粒子膜、シリカエアロゲル膜、花弁状アルミナ膜及びフッ素樹脂膜のいずれかであるのが好ましい。超低屈折率膜の屈折率は1.09〜1.34であるのが好ましい。フッ化マグネシウムのナノ粒子膜及びシリカエアロゲル膜は従来のゾル―ゲル法により形成することができる。花弁状アルミナ膜及びフッ素樹脂膜についても従来の製造方法により形成することができる。
超低屈折率膜の物理膜厚は21 nm以上であるのが好ましい。超低屈折率膜が21 nm未満であると、十分な反射特性が得られない。超低屈折率膜の物理膜厚は22〜90nmであるのがより好ましい。
増反射層23は、図2に示すように、四層構成からなり、反射層22から順に中間屈折率膜23a、超低屈折率膜23b、屈折率1.85〜2.6の高屈折率膜23c及び屈折率1.351〜1.6の低屈折率膜23dが形成されているのが好ましい。増反射層23をこのような層構成にすることにより、広い可視光領域(400〜700 nm)の波長範囲において、入射角0〜70°の広い角度範囲で反射率97.5%以上という高い反射率を有する反射鏡が得られる。
中間屈折率膜23aと超低屈折率膜23bの積層順は逆でも良い。すなわち増反射層23は、図3に示すように、四層構成からなり、反射層22から順に超低屈折率膜23b、中間屈折率膜23a、屈折率1.85〜2.6の高屈折率膜23c及び屈折率1.351〜1.6の低屈折率膜23dが形成されていても良い。
増反射層23は、図4に示すように、五層構成からなり、反射層22から順に中間屈折率膜23a、超低屈折率膜23b、屈折率1.85〜2.6の高屈折率膜23c、屈折率1.351〜1.6の低屈折率膜23d及び屈折率1.85〜2.6の高屈折率膜23eが形成されていても良い。増反射層23をこのような層構成にすることにより、広い可視光領域(400〜700 nm)の波長範囲において、入射角0〜70°の広い角度範囲で反射率97.5%以上という高い反射率を有する反射鏡が得られる。
中間屈折率膜23aと超低屈折率膜23bの積層順は逆でも良い。すなわち増反射層23は、図5に示すように、五層構成からなり、反射層22から順に超低屈折率膜23b、中間屈折率膜23a、屈折率1.85〜2.6の高屈折率膜23c、屈折率1.351〜1.6の低屈折率膜23d及び屈折率1.85〜2.6の高屈折率膜23eが形成されていても良い。
中間屈折率膜23aの材料は下地層21の中間屈折率膜と同じものを用いることができるが、酸化アルミニウムが好ましい。高屈折率膜23c,23eは酸化チタン膜、酸化ニオブ膜及び酸化タンタル膜のいずれかであるのが好ましい。低屈折率膜23dはフッ化マグネシウム膜、酸化シリコン膜、及び酸化シリコンと酸化アルミニウムの混合膜のいずれかであるのが好ましい。
(5) 密着層
下地層21と反射層22との接着力を向上させるために、下地層21と反射層22との間に金属膜からなる密着層を設けても良い。密着層に使用される金属材料としては、銅、クロム、ニッケルやクロム・ニッケル合金等のクロム系合金を用いることができる。密着層は1層膜であっても良いし、多層膜であっても良い。密着層3の物理膜厚は0.1〜200 nmであるのが好ましい。なお下地層21と反射層22との間に充分な密着性能が得られる場合には必ずしも密着層を設ける必要はない。
下地層21と反射層22との接着力を向上させるために、下地層21と反射層22との間に金属膜からなる密着層を設けても良い。密着層に使用される金属材料としては、銅、クロム、ニッケルやクロム・ニッケル合金等のクロム系合金を用いることができる。密着層は1層膜であっても良いし、多層膜であっても良い。密着層3の物理膜厚は0.1〜200 nmであるのが好ましい。なお下地層21と反射層22との間に充分な密着性能が得られる場合には必ずしも密着層を設ける必要はない。
(6) その他
耐磨耗性を向上させるために、増反射層23の上に保護層をさらに設けても良い。保護層としては、二酸化ケイ素等が挙げられる。保護層の物理膜厚は10〜100 nmであるのが好ましい。耐湿性や耐塩水性を向上させるために、増反射層23又は保護層の上に撥水層をさらに設けても良い。撥水層としては、含フッ素ケイ素化合物等が挙げられる。撥水層物理膜厚は1〜10 nm程度であるのが好ましい。
耐磨耗性を向上させるために、増反射層23の上に保護層をさらに設けても良い。保護層としては、二酸化ケイ素等が挙げられる。保護層の物理膜厚は10〜100 nmであるのが好ましい。耐湿性や耐塩水性を向上させるために、増反射層23又は保護層の上に撥水層をさらに設けても良い。撥水層としては、含フッ素ケイ素化合物等が挙げられる。撥水層物理膜厚は1〜10 nm程度であるのが好ましい。
下地層21、反射層22、増反射層23の中間屈折率膜23a、高屈折率膜23c,23e及び低屈折率膜23d、密着層、保護層及び撥水層は真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法、熱CVD、プラズマCVD、光CVD等の化学蒸着法等により形成することができるが、真空蒸着法又はスパッタリング法が好ましい。
本発明の反射鏡の層構成は上記のものに限定されず、本発明の範囲内において、種々の形態を採用することができる。また本発明の反射鏡はカメラ、双眼鏡、顕微鏡等の光学機器や、複写機、プロジェクタ等のOA機器に好適に用いることができる。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1
S-BSL7(オハラ製)からなる基板上に表1に示す七層構成(図4)の膜を形成し、反射鏡10を製造した。第1層〜第3層及び第5層〜第7層は真空蒸着法により形成し、第4層のシリカエアロゲル膜はゾルゲル法により形成した。
S-BSL7(オハラ製)からなる基板上に表1に示す七層構成(図4)の膜を形成し、反射鏡10を製造した。第1層〜第3層及び第5層〜第7層は真空蒸着法により形成し、第4層のシリカエアロゲル膜はゾルゲル法により形成した。
上記反射鏡10に垂直に光を入射(0°入射)させたときの分光反射率と、反射鏡10の垂線に対して70°の入射角を有する光を入射(70°入射)させたときの分光反射率とを、それぞれシミュレーションにより求めた。得られた結果を図7に示す。図7に示すように、入射角0°でも70°でも波長400〜700 nmにおける反射率が97.5%以上と高かった。
実施例2
S-BSL7(オハラ製)からなる基板上に表2に示す七層構成(図4)の膜を形成し、反射鏡10を製造した。第1層〜第3層及び第5層〜第7層は真空蒸着法により形成し、第4層のシリカエアロゲル膜はゾルゲル法により形成した。
S-BSL7(オハラ製)からなる基板上に表2に示す七層構成(図4)の膜を形成し、反射鏡10を製造した。第1層〜第3層及び第5層〜第7層は真空蒸着法により形成し、第4層のシリカエアロゲル膜はゾルゲル法により形成した。
上記反射鏡10に垂直に光を入射(0°入射)させたときの分光反射率と、反射鏡10の垂線に対して70°の入射角を有する光を入射(70°入射)させたときの分光反射率とを、それぞれシミュレーションにより求めた。得られた結果を図8に示す。図8に示すように、入射角0°でも70°でも波長400〜700 nmにおける反射率が97.5%以上と高かった。
実施例3
BK7からなる基板上に表3に示す六層構成(図3)の膜を形成し、反射鏡10を製造した。第1層〜第3層は真空蒸着法により形成し、第4層のシリカエアロゲル膜はゾルゲル法により形成し、第5層及び第6層はスパッタリングにより形成した。
BK7からなる基板上に表3に示す六層構成(図3)の膜を形成し、反射鏡10を製造した。第1層〜第3層は真空蒸着法により形成し、第4層のシリカエアロゲル膜はゾルゲル法により形成し、第5層及び第6層はスパッタリングにより形成した。
上記反射鏡10に垂直に光を入射(0°入射)させたときの分光反射率と、反射鏡10の垂線に対して70°の入射角を有する光を入射(70°入射)させたときの分光反射率とを、それぞれシミュレーションにより求めた。得られた結果を図9に示す。図9に示すように、入射角0°でも70°でも波長400〜700 nmにおける反射率が97.5%以上と高かった。
実施例4
BK7からなる基板上に表4に示す六層構成(図3)の膜を形成し、反射鏡10を製造した。第1層及び第2層は真空蒸着法により形成し、第3層のシリカエアロゲル膜はゾルゲル法により形成し、第3層〜第6層はスパッタリングにより形成した。
BK7からなる基板上に表4に示す六層構成(図3)の膜を形成し、反射鏡10を製造した。第1層及び第2層は真空蒸着法により形成し、第3層のシリカエアロゲル膜はゾルゲル法により形成し、第3層〜第6層はスパッタリングにより形成した。
上記反射鏡10に垂直に光を入射(0°入射)させたときの分光反射率と、反射鏡10の垂線に対して70°の入射角を有する光を入射(70°入射)させたときの分光反射率とを、それぞれシミュレーションにより求めた。得られた結果を図10に示す。図10に示すように、入射角0°でも70°でも波長400〜700 nmにおける反射率が97.5%以上と高かった。
実施例5
BK7からなる基板上に表5に示す七層構成(図5)の膜を形成し、反射鏡10を製造した。第1層及び第2層及び第4層〜第7層は真空蒸着法により形成し、第3層のシリカエアロゲル膜はゾルゲル法により形成した。
BK7からなる基板上に表5に示す七層構成(図5)の膜を形成し、反射鏡10を製造した。第1層及び第2層及び第4層〜第7層は真空蒸着法により形成し、第3層のシリカエアロゲル膜はゾルゲル法により形成した。
上記反射鏡10に垂直に光を入射(0°入射)させたときの分光反射率と、反射鏡10の垂線に対して70°の入射角を有する光を入射(70°入射)させたときの分光反射率とを、それぞれシミュレーションにより求めた。得られた結果を図11に示す。図11に示すように、入射角0°でも70°でも波長400〜700 nmにおける反射率が97.5%以上と高かった。
比較例1
S-BSL7(オハラ製)からなる基板上に表6に示す四層構成の膜を真空蒸着法により形成し、反射鏡10を製造した。
S-BSL7(オハラ製)からなる基板上に表6に示す四層構成の膜を真空蒸着法により形成し、反射鏡10を製造した。
上記反射鏡10に垂直に光を入射(0°入射)させたときの分光反射率と、反射鏡10の垂線に対して70°の入射角を有する光を入射(70°入射)させたときの分光反射率とを、それぞれシミュレーションにより求めた。得られた結果を図12に示す。図12に示すように、波長400 nmで0°入射光の反射率は96.8%程度と高かったが、70°入射光の反射率は95.7%と低かった。
比較例2
S-BSL7(オハラ製)からなる基板上に表7に示す六層構成の膜を真空蒸着法により形成し、反射鏡10を製造した。
S-BSL7(オハラ製)からなる基板上に表7に示す六層構成の膜を真空蒸着法により形成し、反射鏡10を製造した。
上記反射鏡10に垂直に光を入射(0°入射)させたときの分光反射率と、反射鏡10の垂線に対して70°の入射角を有する光を入射(70°入射)させたときの分光反射率とを、それぞれシミュレーションにより求めた。得られた結果を図13に示す。図13に示すように、波長400 nmで0°入射光の反射率が97.3%、70°入射光の反射率が96.5%と低かった。
比較例3
S-BSL7(オハラ製)からなる基板上に表8に示す六層構成の膜を形成し、反射鏡10を製造した。第1層、第2層及び第4層〜第6層は真空蒸着法により形成し、第3層のシリカエアロゲル膜はゾルゲル法により形成した。
S-BSL7(オハラ製)からなる基板上に表8に示す六層構成の膜を形成し、反射鏡10を製造した。第1層、第2層及び第4層〜第6層は真空蒸着法により形成し、第3層のシリカエアロゲル膜はゾルゲル法により形成した。
上記反射鏡10に垂直に光を入射(0°入射)させたときの分光反射率と、反射鏡10の垂線に対して70°の入射角を有する光を入射(70°入射)させたときの分光反射率とを、それぞれシミュレーションにより求めた。得られた結果を図14に示す。図14に示すように、入射角0°でも70°でも波長400〜700 nmにおける反射率が97.5%以上と高かった。
実施例1〜5及び比較例1〜3の反射鏡の耐久性を確認するために、温度60℃、湿度90%RHの条件下で300時間の耐湿試験を以下の方法で行った。得られた結果を表9に示す。表9に示すように、銀による反射膜上にAl2O3膜を形成することにより、耐環境性が向上していることが分かる。
Claims (12)
- 基板と、前記基板上に順に形成された下地層、反射層及び増反射層とを有する反射鏡において、
前記下地層は酸化アルミニウムを含む膜を含み、
前記反射層は銀又は銀合金からなり、
前記増反射層は酸化アルミニウムを含む屈折率1.61〜1.75の中間屈折率膜及び屈折率1.35以下の超低屈折率膜を含むことを特徴とする反射鏡。 - 請求項1に記載の反射鏡において、前記下地層に含まれる前記酸化アルミニウムを含む膜の物理膜厚は10〜200 nmであり、前記反射層の物理膜厚は100〜500 nmであり、前記増反射層に含まれる前記中間屈折率膜の物理膜厚は10 nm以上であり、前記超低屈折率膜の物理膜厚は21 nm以上であることを特徴とする反射鏡。
- 請求項1又は2に記載の反射鏡において、前記下地層に含まれる前記酸化アルミニウムを含む膜は酸化アルミニウム膜であり、前記中間屈折率膜は酸化アルミニウム膜であり、前記超低屈折率膜はフッ化マグネシウムのナノ粒子膜、シリカエアロゲル膜、花弁状アルミナ膜及びフッ素樹脂膜のいずれかであることを特徴とする反射鏡。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の反射鏡において、前記増反射層は四層構成からなり、前記反射層から順に前記中間屈折率膜、前記超低屈折率膜、屈折率1.85〜2.6の高屈折率膜及び屈折率1.351〜1.6の低屈折率膜が形成されていることを特徴とする反射鏡。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の反射鏡において、前記増反射層は四層構成からなり、前記反射層から順に前記超低屈折率膜、前記中間屈折率膜、屈折率1.85〜2.6の高屈折率膜及び屈折率1.351〜1.6の低屈折率膜が形成されていることを特徴とする反射鏡。
- 請求項4又は5に記載の反射鏡において、前記増反射層の前記中間屈折率膜の物理膜厚は10〜20 nmであり、前記超低屈折率膜の物理膜厚は21〜91 nmであり、前記高屈折率膜の物理膜厚は28〜68 nmであり、前記低屈折率膜の物理膜厚は59〜150 nmであることを特徴とする反射鏡。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の反射鏡において、前記増反射層は五層構成からなり、反射層から順に前記中間屈折率膜、前記超低屈折率膜、屈折率1.85〜2.6の第一の高屈折率膜、屈折率1.351〜1.6の低屈折率膜及び屈折率1.85〜2.6の第二の高屈折率膜が形成されていることを特徴とする反射鏡。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の反射鏡において、前記増反射層は五層構成からなり、反射層から順に前記超低屈折率膜、前記中間屈折率膜、屈折率1.85〜2.6の第一の高屈折率膜、屈折率1.351〜1.6の低屈折率膜及び屈折率1.85〜2.6の第二の高屈折率膜が形成されていることを特徴とする反射鏡。
- 請求項7又は8に記載の反射鏡において、前記増反射層の前記中間屈折率膜の物理膜厚は10〜20 nmであり、前記超低屈折率膜の物理膜厚は21〜91 nmであり、前記第一の高屈折率膜の物理膜厚は28〜68 nmであり、前記低屈折率膜の物理膜厚は59〜99 nmであり、前記第二の高屈折率膜の物理膜厚は3〜23 nmであることを特徴とする反射鏡。
- 請求項4〜9のいずれかに記載の反射鏡において、前記高屈折率膜は酸化チタン膜、酸化ニオブ膜及び酸化タンタル膜のいずれかであり、前記低屈折率膜はフッ化マグネシウム膜、酸化シリコン膜、及び酸化シリコンと酸化アルミニウムの混合膜のいずれかであることを特徴とする反射鏡。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の反射鏡を用いることを特徴とする光学機器。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の反射鏡を用いることを特徴とするOA機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014245353A JP2016109785A (ja) | 2014-12-03 | 2014-12-03 | 反射鏡及びそれを用いた光学機器及びoa機器 |
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JP2014245353A JP2016109785A (ja) | 2014-12-03 | 2014-12-03 | 反射鏡及びそれを用いた光学機器及びoa機器 |
Publications (1)
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JP (1) | JP2016109785A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019020484A (ja) * | 2017-07-12 | 2019-02-07 | 株式会社クラレ | ディスプレイ用スクリーン、及びその製造方法 |
CN113031126A (zh) * | 2021-03-24 | 2021-06-25 | 浙江舜宇光学有限公司 | 防水减反膜、透镜和成像装置 |
CN115308820A (zh) * | 2022-08-12 | 2022-11-08 | 江苏斯迪克新材料科技股份有限公司 | 半透半反防水膜、光学镜片、成像装置 |
-
2014
- 2014-12-03 JP JP2014245353A patent/JP2016109785A/ja active Pending
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