以下、図面を参照しながら、各実施形態を説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1~図3に示すように、本実施形態の角度検出装置10は、第1軸心CL1を中心に回転する被検出物としての被検出軸11に取り付けられ、その被検出軸11の回転角度θを検出する。その被検出軸11は、例えば、車両の操舵機構の一部を構成しステアリングホイールに連結されたステアリングシャフトである。角度検出装置10は、被検出軸11の1回転を超える回転範囲において被検出軸11の回転角度θを検出できる。なお、図3では、各歯車12、13、14、15の歯の図示が省略されており、後述の図でも、簡潔な図示をするために、歯車の歯の図示は省略されることがある。
角度検出装置10は、第1主動歯車12、第2主動歯車13、第1従動歯車14、第2従動歯車15、第1磁石18、第2磁石19、磁気センサ20、基板22、一対の第1ヨーク24、25、一対の第2ヨーク26、27、支持部材28、および制御装置29(図8参照)を備えている。
なお、図3には、第1軸心CL1のほかに、第2軸心CL2も示されている。この第2軸心CL2は、第1軸心CL1と平行な回転軸心であり、本開示の一軸心に対応する。本実施形態の説明では、第1軸心CL1の軸方向を第1軸方向D1aと称し、第1軸心CL1の径方向を第1径方向D1rと称し、第2軸心CL2の軸方向を第2軸方向D2aと称し、第2軸心CL2の径方向を第2径方向D2rと称する。また、図3の紙面上側は、第1軸方向D1aの一方側であり且つ第2軸方向D2aの一方側でもある。図3の紙面下側は、第1軸方向D1aの他方側であり且つ第2軸方向D2aの他方側でもある。
図1~図3に示すように、第1主動歯車12と第2主動歯車13は、被検出軸11に連動して第1軸心CL1を中心に回転する外歯車である。具体的に、第1主動歯車12と第2主動歯車13はそれぞれ、被検出軸11に対し相対回転不能に嵌合しており、第1軸心CL1を中心に被検出軸11と一体回転する。第1主動歯車12は、第2主動歯車13に対し第1軸方向D1aの一方側に並んで配置されている。
第1従動歯車14は、第1主動歯車12と噛合した外歯車であり、第1主動歯車12に連動して第2軸心CL2を中心に回転する。第2従動歯車15は、第2主動歯車13と噛合した外歯車であり、第2主動歯車13に連動して第2軸心CL2を中心に回転する。第2従動歯車15は、第1従動歯車14に対し第2軸方向D2aの他方側に並んで配置されている。第1従動歯車14と第2従動歯車15は非磁性体で構成されている。
第1および第2主動歯車12、13と第1および第2従動歯車14、15のそれぞれの歯数、ピッチ円直径、およびモジュール数は、第1軸心CL1と第2軸心CL2とが互いに平行になるように設定される。但し、第1従動歯車14と第2従動歯車15とが被検出軸11の回転に伴って互いに僅かに異なる回転速度(言い換えれば、角速度)で回転するように、上記の歯数、ピッチ円直径、およびモジュール数は設定される。
例えば本実施形態では、第1主動歯車12の歯数は29とされ、第1主動歯車12のピッチ円直径は29mmとされ、第2主動歯車13の歯数は28とされ、第2主動歯車13のピッチ円直径は28mmとされている。そして、第1従動歯車14の歯数は28とされ、第1従動歯車14のピッチ円直径は28mmとされ、第2従動歯車15の歯数は29とされ、第2従動歯車15のピッチ円直径は29mmとされている。
第1磁石18と第2磁石19はそれぞれ、第2径方向D2rに延びた棒状の永久磁石である。第1磁石18の極対数と第2磁石19の極対数は何れも1である。第1磁石18と第2磁石19は例えば部品単体としては同じものであり、第1磁石18の強さと第2磁石19の強さは同じである。
図2、図4、図5に示すように、第1磁石18は、第1従動歯車14に形成された溝に嵌め込まれ、第1従動歯車14に固定されている。そのため、第1磁石18は、その第1磁石18の着磁方向MD1を第2径方向D2rに向けながら、第2軸心CL2を中心として第1従動歯車14と一体回転する。
第2磁石19は、第2従動歯車15に形成された溝に嵌め込まれ、第2従動歯車15に固定されている。そのため、第2磁石19は、その第2磁石19の着磁方向MD2を第2径方向D2rに向けながら、第2軸心CL2を中心として第2従動歯車15と一体回転する。
また、第1および第2従動歯車14、15は第2軸心CL2を中心に回転可能であるが、第2軸方向D2aには変位しないように支持されている。従って、第1磁石18と第2磁石19も第2軸方向D2aには変位しない。
一対の第1ヨーク24、25は軟磁性体で構成されている。一対の第1ヨーク24、25は、互いに離れた状態で第1従動歯車14に固定されている。従って、一対の第1ヨーク24、25は、第2軸心CL2を中心に第1従動歯車14と一体回転する。一対の第1ヨーク24、25は、第1磁石18周りから磁気センサ20の周辺まで延びており、第1磁石18が発生させる磁束を磁気センサ20の周辺へと導く。
一対の第2ヨーク26、27は軟磁性体で構成されている。一対の第2ヨーク26、27は、互いに離れた状態で第2従動歯車15に固定されている。従って、一対の第2ヨーク26、27は、第2軸心CL2を中心に第2従動歯車15と一体回転する。一対の第2ヨーク26、27は、第2磁石19周りから磁気センサ20の周辺まで延びており、第2磁石19が発生させる磁束を磁気センサ20の周辺へと導く。
このように、第1磁石18が発生させる磁束と第2磁石19が発生させる磁束とが磁気センサ20の周辺へと導かれるので、磁気センサ20の位置およびその周辺には、第1磁石18と第2磁石19とによって生じる合成磁界が生成される。
磁気センサ20は、第1磁石18と第2磁石19とによって生じる合成磁界を検出するセンサである。この磁気センサ20は、基板22上に実装されており、第2軸心CL2上に設けられている。
また、磁気センサ20は、第1従動歯車14に対し第2軸方向D2aの一方側に並んで配置されている。すなわち、磁気センサ20と第1従動歯車14と第2従動歯車15は、第2軸方向D2aの一方側から、磁気センサ20、第1従動歯車14、第2従動歯車15の順に並んで配置されている。そして、磁気センサ20と第1磁石18と第2磁石19も、第2軸方向D2aの一方側から、磁気センサ20、第1磁石18、第2磁石19の順に並んで配置されている。
磁気センサ20が実装された基板22は、銅箔などの配線パターンを有する電気基板である。その基板22は、磁気センサ20に対し第2軸方向D2aの一方側に設けられている。そして、基板22は、磁気センサ20と制御装置29に接続された電線とを電気的に接続すると共に、空気中にて磁気センサ20の位置を固定する。すなわち、本実施形態では、磁気センサ20と基板22は回転せず、磁気センサ20と基板22とのそれぞれの配置および姿勢は固定されている。そのため、一対の第1ヨーク24、25と第1磁石18と一対の第2ヨーク26、27と第2磁石19は、被検出軸11の回転に伴い、非回転の磁気センサ20と基板22とに対し回転する。
図4~図6に示すように、本実施形態の磁気センサ20は例えばホールICから構成されている。具体的に、磁気センサ20は、径第1方向R1に沿った向きの磁界の強さB1と、径第2方向R2に沿った向きの磁界の強さB2とをそれぞれ第2軸心CL2上で検出できるように構成されている。その径第1方向R1と径第2方向R2はそれぞれ、第2径方向D2rのうちの一つの方向である。そして、径第2方向R2は、径第1方向R1と交差する方向、厳密には、その径第1方向R1に直交する方向である。
また、磁気センサ20は、径第1方向R1に沿った向きの磁界の強さB1(別言すれば、径第1方向R1の磁界強さB1)を示す電気信号と、径第2方向R2に沿った向きの磁界の強さB2(別言すれば、径第2方向R2の磁界強さB2)を示す電気信号とを制御装置29へ出力する。すなわち、磁気センサ20は、径第1方向R1の磁界強さB1と径第2方向R2の磁界強さB2との両方を検出することで、第1磁石18と第2磁石19とによって生じる合成磁界の強さBcpを検出する。
なお、図6において径第1方向R1の磁界強さB1を示す矢印の向きは、磁気センサ20が検出する径第1方向R1の磁界強さB1の正方向を表している。そして、径第2方向R2の磁界強さB2を示す矢印の向きは、磁気センサ20が検出する径第2方向R2の磁界強さB2の正方向を表している。
図1、図4、図5に示すように、第1ヨーク24、25および第2ヨーク26、27との関係では、磁気センサ20は、一対の第1ヨーク24、25の相互間に配置され、かつ、一対の第2ヨーク26、27の相互間に配置されている。この配置により、磁気センサ20は、一対の第1ヨーク24、25に鎖交する磁束と一対の第2ヨーク26、27に鎖交する磁束とを検出する。
具体的には、図1および図5に示すように、一対の第1ヨーク24、25は、第2軸心CL2を挟んで第1磁石18の着磁方向MD1に並んで配置されている。例えば、一対の第1ヨーク24、25は、第2軸心CL2を挟んで対称形状を成すように配置されている。すなわち、一対の第1ヨーク24、25の一方である一方側第1ヨーク24と、他方である他方側第1ヨーク25は、部品単体としては互いに同じ物であり、第2軸心CL2を中心に対称配置されている。
また、一対の第1ヨーク24、25はそれぞれ、第1磁石18側に設けられた第1一端部241、251と、磁気センサ20側に設けられた第1他端部242、252とを有している。その第1一端部241、251はそれぞれ、第1磁石18を挟んで第1磁石18の着磁方向MD1と平行な方向を向いて互いに対向する第1一端対向面241a、251aを有している。例えば、その一対を成す第1一端対向面241a、251aの一方は、第1磁石18の一端に対向して接触し、第1一端対向面241a、251aの他方は、第1磁石18の他端に対向して接触している。
一対の第1ヨーク24、25の第1他端部242、252はそれぞれ、磁気センサ20を挟んで第2径方向D2rに互いに対向する第1延設面242a、252aを有している。一対の第1ヨーク24、25は第1従動歯車14を第2軸方向D2aに貫通して延びており、その第1延設面242a、252aは、第1従動歯車14に対し第2軸方向D2aの一方側に配置されている。従って、磁気センサ20は、一対の第1ヨーク24、25のうち一対を成す第1延設面242a、252aの相互間に配置されている。
一対を成す第1延設面242a、252aはそれぞれ、第2軸方向D2aへ拡がっている。そして、一対を成す第1延設面242a、252aはそれぞれ、第2軸方向D2aの長さが互いに等しくなるように形成されている。また、一対を成す第1延設面242a、252aは、例えば、磁気センサ20に接触することのない範囲内で、磁気センサ20に近接するように配置されている。
一方、図1および図4に示すように、一対の第2ヨーク26、27は、第2軸心CL2を挟んで第2磁石19の着磁方向MD2に並んで配置されている。例えば、一対の第2ヨーク26、27は、第2軸心CL2を挟んで対称形状を成すように配置されている。すなわち、一対の第2ヨーク26、27の一方である一方側第2ヨーク26と、他方である他方側第2ヨーク27は、部品単体としては互いに同じ物であり、第2軸心CL2を中心に対称配置されている。
また、一対の第2ヨーク26、27はそれぞれ、第2磁石19側に設けられた第2一端部261、271と、磁気センサ20側に設けられた第2他端部262、272とを有している。その第2一端部261、271はそれぞれ、第2磁石19を挟んで第2磁石19の着磁方向MD2と平行な方向を向いて互いに対向する第2一端対向面261a、271aを有している。例えば、その一対を成す第2一端対向面261a、271aの一方は、第2磁石19の一端に対向して接触し、第2一端対向面261a、271aの他方は、第2磁石19の他端に対向して接触している。
一対の第2ヨーク26、27の第2他端部262、272はそれぞれ、磁気センサ20を挟んで第2径方向D2rに互いに対向する第2延設面262a、272aを有している。
一対の第2ヨーク26、27は第1従動歯車14を第2軸方向D2aに貫通して延びており、その第2延設面262a、272aは、第1従動歯車14に対し第2軸方向D2aの一方側に配置されている。詳細には、第1従動歯車14には、第2軸方向D2aに貫通し第2軸心CL2を中心とした円弧状に延びる一対のスリット14a、14bが形成されている。そして、一対の第2ヨーク26、27の一方である一方側第2ヨーク26は、一対のスリット14a、14bの一方である一方側スリット14aに挿通されている。これと同様に、一対の第2ヨーク26、27の他方である他方側第2ヨーク27は、一対のスリット14a、14bの他方である他方側スリット14bに挿通されている。
従って、磁気センサ20は、一対の第2ヨーク26、27のうち一対を成す第2延設面262a、272aの相互間に配置されている。また、一方側第2ヨーク26は、一方側スリット14a内で第2軸心CL2を中心に回転可能となっており、他方側第2ヨーク27は、他方側スリット14b内で第2軸心CL2を中心に回転可能となっている。
一対を成す第2延設面262a、272aはそれぞれ、第2軸方向D2aへ拡がっている。そして、一対を成す第2延設面262a、272aはそれぞれ、第2軸方向D2aの長さが互いに等しくなるように形成されている。また、一対を成す第2延設面262a、272aは、例えば、磁気センサ20に接触することのない範囲内で、磁気センサ20に近接するように配置されている。
ここで、第1延設面242a、252aと第2延設面262a、272aと磁気センサ20との第2軸方向D2aの位置関係については、図1、図4、図5に示すようになっている。すなわち、一対の第1延設面242a、252aが第2軸方向D2aに占める軸方向範囲H1yと、一対の第2延設面262a、272aが第2軸方向D2aに占める軸方向範囲H2yは何れも所定の軸方向重複範囲Hyを含んでいる。言い換えると、第1延設面242a、252aの軸方向範囲H1yと第2延設面262a、272aの軸方向範囲H2yとの両方に重複する第2軸方向D2aの範囲が、軸方向重複範囲Hyに該当する。そして、磁気センサ20は、その軸方向重複範囲Hyに入るように配置されている。本実施形態では、磁気センサ20の一部分が軸方向重複範囲Hyに入っているが、例えば、磁気センサ20の全部がその軸方向重複範囲Hyに入っていても構わない。
例えば本実施形態では、4つの延設面242a、252a、262a、272aが有する第2軸方向D2aの一端は、第2軸方向D2aでは互いに同じ位置にある。そして、その4つの延設面242a、252a、262a、272aが有する第2軸方向D2aの他端も、第2軸方向D2aでは互いに同じ位置にある。従って、第1延設面242a、252aの軸方向範囲H1yと第2延設面262a、272aの軸方向範囲H2yと軸方向重複範囲Hyは何れも同じになっている。
図1および図7に示すように、本実施形態の被検出軸11は、上記したようにステアリングシャフトであるので、有限の回転範囲内で回転動作する。すなわち、被検出軸11は、第1回転角度位置PA1から第2回転角度位置PA2までの回転角度で構成される所定の回転動作範囲θw内で回転動作するものである。この回転動作範囲θwは、被検出軸11の1回転を超える回転範囲である。
そして、第2軸心CL2の周方向における第1従動歯車14の一対のスリット14a、14bの幅はそれぞれ、被検出軸11が回転動作範囲θw内で回転動作する限り一対の第2ヨーク26、27の周方向移動を妨げないように定められている。そして、一対の第1ヨーク24、25は、第1従動歯車14の一対のスリット14a、14bの両方から離れて配置されている。
従って、一対の第1ヨーク24、25は、被検出軸11が回転動作範囲θw内で回転動作する限り、一対の第2ヨーク26、27から離れた状態を維持しながら回転する。また、第2ヨーク26、27側から見れば、一対の第2ヨーク26、27は、被検出軸11が回転動作範囲θw内で回転動作する限り、一対の第1ヨーク24、25から離れた状態を維持しながら回転する。要するに、一対の第1ヨーク24、25と一対の第2ヨーク26、27は、被検出軸11が回転動作範囲θw内で回転動作する限り、互いに離れた状態を維持しながら回転する。
図2、図4、図5に示すように、支持部材28は、第1従動歯車14と第2従動歯車15との間に設けられ、第1従動歯車14の回転中心と第2従動歯車15の回転中心との間の芯ズレを防止する。従って、支持部材28は、第1磁石18の回転中心と第2磁石19の回転中心との間の芯ズレも防止する。
具体的に、第1従動歯車14には、第2軸方向D2aの他方側を向いて開放され第2軸心CL2を中心とした円環状の第1環状溝14cが形成されている。これに対し、第2従動歯車15には、第2軸方向D2aの一方側を向いて開放され第2軸心CL2を中心とした円環状の第2環状溝15cが形成されている。この第2環状溝15cは第1環状溝14cと同径であり、第1環状溝14cに対し対向するように開放されている。そして、支持部材28は、第2径方向D2rを厚み方向とした円環形状を成し、第1環状溝14cと第2環状溝15cとの両方に嵌め込まれている。更に、支持部材28は、第1環状溝14cと第2環状溝15cとの一方または両方に対し、第2軸心CL2を中心に回転可能となっている。
このような構成により、支持部材28は、第1従動歯車14と第2従動歯車15との相対回転を許容しつつ、第1従動歯車14と第2従動歯車15との相対的な第2径方向D2rの変位を制限している。
図8に示す制御装置29は、不図示のCPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータで構成されており、非遷移的実体的記憶媒体であるROM、RAMなどの半導体メモリに格納されたコンピュータプログラムを実行する。すなわち、制御装置29は、そのコンピュータプログラムに従って種々の制御処理を実行する。
本実施形態では、制御装置29は、磁気センサ20によって検出された合成磁界の強さBcpに基づいて被検出軸11の回転角度θを算出する。具体的には、第1磁石18と第2磁石19とによって生じる合成磁界の強さBcpを示す検出信号として、径第1方向R1の磁界強さB1(図6参照)を示す検出信号と径第2方向R2の磁界強さB2を示す検出信号との両方が、磁気センサ20から制御装置29へ逐次入力される。
そして、図7に示す合成磁界の強さBcpと被検出軸11の回転角度θとの関係で構成された回転角度推定マップMP1が予め実験的に設定されており、制御装置29は、その回転角度推定マップMP1を記憶している。制御装置29は、磁気センサ20から得られた径第1方向R1の磁界強さB1と径第2方向R2の磁界強さB2とに基づき合成磁界の強さBcpを下記式F1を用いて算出する。合成磁界の強さBcpを算出すると、制御装置29は、その合成磁界の強さBcpに基づき、回転角度推定マップMP1を用いて被検出軸11の回転角度θを推定する。
なお、回転角度推定マップMP1では、被検出軸11の回転角度θに応じて、合成磁界の強さBcpは図7の実線のように変化し、径第1方向R1の磁界強さB1は図7の二点鎖線のように変化し、径第2方向R2の磁界強さB2は図7の破線のように変化する。このことは、特許文献1から理解できる。
すなわち、被検出軸11が回転すると、磁気センサ20のうち磁界を検出する検出点では、第1磁石18と第2磁石19との相対角度変化によって、第1および第2磁石18、19の磁束は互いに強め合い又は弱め合う。そのため、径第1方向R1の磁界強さB1の振幅と径第2方向R2の磁界強さB2の振幅は、被検出軸11の回転角度θに応じて連続的に変化する。そして、図7において、合成磁界の強さBcpを示す実線は、径第1方向R1の磁界強さB1を示す二点鎖線と径第2方向R2の磁界強さB2を示す破線との包絡線として得られる。
上述したように、本実施形態によれば、図1、図2に示すように、第1磁石18と第2磁石19とによって生じる合成磁界を検出する磁気センサ20は、一対の第1ヨーク24、25の相互間に配置され、その一対の第1ヨーク24、25に鎖交する磁束を検出する。従って、特許文献1の回転角度検出装置と比較して、磁気センサ20の配置位置およびその周辺での磁界の強さ(言い換えれば、磁束密度)を一対の第1ヨーク24、25によって平均化することができる。
そのため、その第1ヨーク24、25に相当するヨークを備えていない特許文献1の回転角度検出装置と比較して、本実施形態では、磁気センサ20の位置ずれの許容幅を拡大しつつ精度良く被検出軸11の回転角度θを検出することが可能である。すなわち、磁気センサ20の位置ずれに対するセンサ出力のロバスト性が向上するので、それにより、角度検出装置10の実用性の向上を図ることが可能である。このことは、第2ヨーク26、27でも同様である。
(1)また、本実施形態によれば、図5に示すように、一対の第1ヨーク24、25は、第2軸心CL2を挟んで第1磁石18の着磁方向MD1に並んで配置されている。従って、そのように第1ヨーク24、25が配置されない場合と比較して、第1磁石18からの漏れ磁束を低減し、第1磁石18から一対の第1ヨーク24、25への鎖交磁束量を増加させることができる。このことは、第2ヨーク26、27でも同様である。
(2)また、本実施形態によれば、図5に示すように、一対の第1ヨーク24、25はそれぞれ、第1一端対向面241a、251aを有する第1一端部241、251と、第1延設面242a、252aを有する第1他端部242、252とを有している。その一対を成す第1一端対向面241a、251aは、第1磁石18を挟んで第1磁石18の着磁方向MD1と平行な方向を向いて互いに対向する。そして、一対を成す第1延設面242a、252aは、磁気センサ20を挟んで第2径方向D2rに互いに対向しており、第2軸方向D2aへそれぞれ拡がっている。
従って、第1一端対向面241a、251aの形状および配置により、第1磁石18からの漏れ磁束を低減することができ、一対の第1ヨーク24、25への鎖交磁束量を増加させることができる。また、第1延設面242a、252aにより、第1延設面242a、252aの相互間で磁界の強さが平均化されるので、磁気センサ20の配置自由度を向上させることが可能である。このことは、第2ヨーク26、27でも同様である。
(3)また、本実施形態によれば、図5および図9に示すように、一対を成す第1延設面242a、252aはそれぞれ、第2軸方向D2aの長さが互いに等しくなるように形成されている。これにより、その第1延設面242a、252aの相互間に、第1磁石18の着磁方向MD1に平行な磁界を形成できる。このことは、第2ヨーク26、27でも同様である。
(4)また、本実施形態によれば、図1、図4、図5に示すように、磁気センサ20は、一対の第1ヨーク24、25の相互間に配置され、かつ、一対の第2ヨーク26、27の相互間に配置されている。そして、磁気センサ20は、一対の第1ヨーク24、25に鎖交する磁束と一対の第2ヨーク26、27に鎖交する磁束とを検出する。従って、第1ヨーク24、25と第2ヨーク26、27との一方しか設けられていない場合と比較して、磁気センサ20の配置位置およびその周辺での磁界の強さを、より平均化することができる。その結果、第2軸方向D2aと第2径方向D2rとの何れへの磁気センサ20の位置ずれに対してもセンサ出力のロバスト性を向上させることが可能である。
本実施形態では、図9に示すように、第1および第2ヨーク24、25、26、27の各延設面242a、252a、262a、272aは何れも第2軸方向D2aへ拡がった形状を成している。そのため、例えば磁気センサ20が第2軸方向D2aへ位置ずれしたことに起因して磁気センサ20の検出点が点P1aから点P1bへずれたとしても、磁気センサ20が検出する径第1方向R1の磁界強さB1と径第2方向R2の磁界強さB2は殆ど変化しない。要するに、磁気センサ20のセンサ出力は殆ど変化しない。従って、本実施形態では、特に第2軸方向D2aへの磁気センサ20の位置ずれに対しセンサ出力のロバスト性の向上が図られている。
なお、図9の点P1aと点P1bとでは、第2径方向D2rの位置は同じであるが、第2軸方向D2aの位置は異なる。また、点P1aと点P1bは何れも、互いに対向する第1延設面242a、252aの相互間に位置し、且つ、互いに対向する第2延設面262a、272aの相互間に位置する。また、図9の破線矢印は、第1延設面242a、252aに鎖交する磁束を示し、図9の二点鎖線矢印は、第2延設面262a、272aに鎖交する磁束を示している。
ここで、本実施形態の角度検出装置10と第1比較例の角度検出装置との間で、磁気センサ20の検出点が正規位置から第2軸方向D2aに0.5mm位置ずれした場合の誤差率を比較した結果を説明する。その第1比較例の角度検出装置は、特許文献1の構成と同様に第1および第2ヨーク24、25、26、27を備えておらず、第2軸方向D2aにおける第1磁石18と第2磁石19との間に磁気センサ20が配置されたものである。これらの点を除き、第1比較例の角度検出装置は本実施形態の角度検出装置10と同様である。
磁気センサ20の検出点が第2軸方向D2aに0.5mm位置ずれした場合の誤差率は、図10に示すように、第1比較例の角度検出装置では0.71%であったのに対し、本実施形態の角度検出装置10では0.08%であった。この誤差率からも、本実施形態では、磁気センサ20の位置ずれに対しセンサ出力のロバスト性が向上していることが判る。なお、誤差率とは、被検出軸11の回転角度θの真値に対する誤差の割合であり、その真値とは、磁気センサ20が位置ずれしていない正規位置にある場合に得られる被検出軸11の回転角度θである。
(5)また、本実施形態によれば、図1、図4、図5に示すように、第1延設面242a、252aの軸方向範囲H1yと、第2延設面262a、272aの軸方向範囲H2yは何れも所定の軸方向重複範囲Hyを含んでいる。そして、磁気センサ20は、その軸方向重複範囲Hyに入るように配置されている。従って、その軸方向重複範囲Hyでは、第1磁石18と第2磁石19とによって生じる合成磁界が均一化されているので、磁気センサ20の位置ずれに対するセンサ出力のロバスト性を向上させることができる。
(6)また、本実施形態によれば、図1および図7に示すように、一対の第1ヨーク24、25は、被検出軸11が回転動作範囲θw内で回転動作する限り、一対の第2ヨーク26、27から離れた状態を維持しながら回転する。別言すれば、一対の第1ヨーク24、25と一対の第2ヨーク26、27は、被検出軸11が回転動作範囲θw内で回転動作する限り、互いに離れた状態を維持しながら回転する。従って、被検出軸11の回転動作範囲θw内の全域において、磁気センサ20の位置ずれに対するセンサ出力のロバスト性を確保することができる。
(7)また、本実施形態によれば、図1および図2に示すように、第1従動歯車14には、第2軸方向D2aに貫通し第2軸心CL2を中心とした円弧状に延びる一方側スリット14aと他方側スリット14bとが形成されている。そして、一対の第2ヨーク26、27のうちの一方側第2ヨーク26は、第2軸心CL2を中心として回転可能に一方側スリット14aに挿通されている。これと同様に、一対の第2ヨーク26、27のうちの他方側第2ヨーク27は、第2軸心CL2を中心として回転可能に他方側スリット14bに挿通されている。
従って、第2磁石19および第2ヨーク26、27の回転を妨げずに、第2磁石19が発生させる磁束を第1従動歯車14を超えて第2軸方向D2aの一方側へ導けるので、磁気センサ20を第1従動歯車14に対する第2軸方向D2aの一方側に配置できる。すなわち、磁気センサ20の配置自由度を向上させることが可能である。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。また、前述の実施形態と同一または均等な部分については省略または簡略化して説明する。このことは後述の実施形態の説明においても同様である。
図11~図13に示すように、本実施形態では、角度検出装置10は、図2の一対の第1ヨーク24、25に替えて一対の第1ヨーク30、31を備え、図2の一対の第2ヨーク26、27に替えて一対の第2ヨーク32、33を備えている。また、本実施形態では、磁気センサ20および基板22のそれぞれの配置が、第1実施形態と異なっている。また、本実施形態では、磁気センサ20、基板22、一対の第1ヨーク30、31、一対の第2ヨーク32、33、および支持部材28は何れも回転しない。すなわち、磁気センサ20、基板22、一対の第1ヨーク30、31、一対の第2ヨーク32、33、および支持部材28のそれぞれの配置および姿勢は固定されている。これらの点で本実施形態は第1実施形態と異なっている。
具体的に本実施形態では、第1磁石18および第2磁石19はそれぞれ、極対数が1であるという点では第1実施形態と同様であるが、棒状ではなく、第2軸心CL2を中心とした円盤状を成している。
また、第1実施形態と同様に、本実施形態でも、第1磁石18と第2磁石19は第2軸方向D2aに並んで配置され、第1磁石18は、第2磁石19に対し第2軸方向D2aの一方側に配置されている。そして、第1磁石18は、第1従動歯車14に固定され第1従動歯車14と一体回転し、第2磁石19は、第2従動歯車15に固定され第2従動歯車15と一体回転する。
また、第1および第2従動歯車14、15は第2軸方向D2aには変位しないように回転可能に支持されているので、第1磁石18と第2磁石19も第2軸方向D2aには変位しない。従って、第1磁石18と第2磁石19はそれぞれ、磁気センサ20と基板22と一対の第1ヨーク30、31と一対の第2ヨーク32、33とに対し第2軸方向D2aに相対変位しないように、第2軸心CL2を中心に回転する。
また、第1磁石18と第2磁石19は、第1および第2従動歯車14、15が停止していても回転していても、磁気センサ20、基板22、一対の第1ヨーク30、31、および一対の第2ヨーク32、33から離れている。
本実施形態の各歯車12、13、14、15の歯数は、それぞれ第1実施形態と同じであるので、本実施形態でも第1実施形態と同様に、第2従動歯車15は、第1従動歯車14とは異なる回転速度で回転する。
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、磁気センサ20は第2軸心CL2上に設けられており、基板22上に実装されている。詳細に言うと、本実施形態の基板22は、第2軸方向D2aに向いた実装面221を有し、その実装面221上に磁気センサ20は実装されている。例えば、磁気センサ20は、その磁気センサ20のうち磁界を検出する検出点が第2軸心CL2上に位置するように設けられている。
本実施形態の一対の第1ヨーク30、31と一対の第2ヨーク32、33は軟磁性体で構成されている。例えば、一対の第1ヨーク30、31と一対の第2ヨーク32、33は何れも同じ材料で構成されている。
また、一対の第1ヨーク30、31、および一対の第2ヨーク32、33は、磁気センサ20が実装された基板22の実装面221上に実装されている。つまり、磁気センサ20と一対の第1ヨーク30、31と一対の第2ヨーク32、33は何れも基板22の実装面221に固定されている。従って、一対の第1ヨーク30、31と一対の第2ヨーク32、33は、磁気センサ20に対して相対的に変位しないように位置決めされている。
図14および図15に示すように、一対の第1ヨーク30、31は、径第1方向R1を厚み方向とした板形状を成している。そして、一対の第2ヨーク32、33は、径第2方向R2を厚み方向とした板形状を成している。
本実施形態の一対の第1ヨーク30、31と一対の第2ヨーク32、33とである4つのヨーク30、31、32、33は、互いに離れて配置され、電気的に絶縁された状態で基板22上に実装されている。また、その4つのヨーク30、31、32、33は、例えば、磁気センサ20に接触することのない範囲内で、磁気センサ20に近接するように配置されている。
また、磁気センサ20、基板22、一対の第1ヨーク30、31、および一対の第2ヨーク32、33は、第2軸方向D2aにおいて第1磁石18と第2磁石19との間に配置されている。従って、磁気センサ20の位置およびその周辺には、第1磁石18と第2磁石19とによって生じる合成磁界が生成される。そのため、本実施形態でも第1実施形態と同様に、磁気センサ20は、第1磁石18と第2磁石19とによって生じる合成磁界を検出する。例えば、磁気センサ20は、その磁気センサ20の検出点が第1磁石18と第2磁石19とのそれぞれから等距離に位置するように配置されている。
なお、本実施形態でも第1実施形態と同様に、磁気センサ20は、径第1方向R1に沿った向きの磁界の強さB1と、径第2方向R2に沿った向きの磁界の強さB2とをそれぞれ第2軸心CL2上で検出できるように構成されている。
また、一対の第1ヨーク30、31は、磁気センサ20を挟んで第2径方向D2rに並んで基板22上に配置され、一対の第2ヨーク32、33も、磁気センサ20を挟んで第2径方向D2rに並んで基板22上に配置されている。詳細には、一対の第1ヨーク30、31は、磁気センサ20を挟んで径第1方向R1に並んで基板22上に配置され、一対の第2ヨーク32、33は、磁気センサ20を挟んで径第2方向R2に並んで基板22上に配置されている。
従って、一対の第1ヨーク30、31は、磁気センサ20を挟んで第2径方向D2rに互いに対向する第1ヨーク対向面301、311を有している。詳細には、その一対を成す第1ヨーク対向面301、311は、磁気センサ20を挟んで径第1方向R1に互いに対向する。従って、一対を成す第1ヨーク対向面301、311はそれぞれ、径第1方向R1に垂直な面として形成されており、言い換えれば、径第1方向R1に向いた磁気センサ20の検出面と平行に形成されている。
これと同様に、一対の第2ヨーク32、33は、磁気センサ20を挟んで第2径方向D2rに互いに対向する第2ヨーク対向面321、331を有している。詳細には、その一対を成す第2ヨーク対向面321、331は、第1ヨーク対向面301、311に対し第2軸心CL2の周方向へずれた位置に設けられ、磁気センサ20を挟んで径第2方向R2に互いに対向する。従って、一対を成す第2ヨーク対向面321、331はそれぞれ、径第2方向R2に垂直な面として形成されており、言い換えれば、径第2方向R2に向いた磁気センサ20の検出面と平行に形成されている。
このような各ヨーク30、31、32、33の配置により、磁気センサ20は、一対の第1ヨーク30、31に鎖交する磁束と一対の第2ヨーク32、33に鎖交する磁束とを検出する。詳細には、磁気センサ20は、一対を成す第1ヨーク対向面301、311に鎖交する磁束と一対を成す第2ヨーク対向面321、331に鎖交する磁束とを検出する。
また、一対の第1ヨーク30、31はそれぞれ、第2軸方向D2aに対称な形状を成しているので、一対を成す第1ヨーク対向面301、311もそれぞれ、第2軸方向D2aに対称な形状を成している。例えば、その第1ヨーク対向面301、311はそれぞれ、短辺または長辺が第2軸方向D2aに沿って延びる長方形形状を成している。
これと同様に、一対の第2ヨーク32、33もそれぞれ、第2軸方向D2aに対称な形状を成しているので、一対を成す第2ヨーク対向面321、331もそれぞれ、第2軸方向D2aに対称な形状を成している。例えば、その第2ヨーク対向面321、331もそれぞれ、短辺または長辺が第2軸方向D2aに沿って延びる長方形形状を成している。
また、4つのヨーク30、31、32、33は何れも等しい形状を有している。すなわち、4つのヨーク30、31、32、33の配置および姿勢はそれぞれ異なるものの、その4つのヨーク30、31、32、33は部品単体としては同じ物になっている。
例えば、一対の第1ヨーク30、31は、径第1方向R1を法線方向として第2軸心CL2を含む仮想の平面に対し、互いに対称になるように設けられている。そして、一対の第2ヨーク32、33は、径第2方向R2を法線方向として第2軸心CL2を含む仮想の平面に対し、互いに対称になるように設けられている。
図13および図14に示すように、基板22の実装面221に対する第1ヨーク対向面301、311の高さH1fと、実装面221に対する第2ヨーク対向面321、331の高さH2fは何れも、実装面221に対する磁気センサ20の高さHsに比して大きい。
図12および図13に示すように、本実施形態の支持部材28は、第1実施形態と同様に第1従動歯車14の円環状の第1環状溝14cと第2従動歯車15の円環状の第2環状溝15cとの両方に嵌め込まれている。
但し、第1実施形態とは異なり、本実施形態の支持部材28は、円環形状ではなく、円環形状が部分的に切り欠かれた断面C字形状を成している。また、支持部材28は回転しないので、第1従動歯車14と第2従動歯車15は支持部材28に対し相対回転する。
また、支持部材28は第1および第2環状溝14c、15cに嵌め込まれているので、支持部材28と第1および第2磁石18、19のそれぞれとの間の距離は、一定に保持されている。なお、図12では、判りやすい図示とするために、支持部材28を仮想的に透明化して図示している。
本実施形態の制御装置29は、第1実施形態と同様に、磁気センサ20によって検出された合成磁界の強さBcpに基づいて被検出軸11の回転角度θを算出する。詳細に言うと、本実施形態でも径第1方向R1の磁界強さB1と径第2方向R2の磁界強さB2は、図7に示すように被検出軸11の回転角度θに応じて変化する。そのため、本実施形態でも第1実施形態と同様に、制御装置29は、合成磁界の強さBcpに基づき、図7の回転角度推定マップMP1を用いて被検出軸11の回転角度θを推定する。
上述したように、本実施形態によれば、図12および図15に示すように、一対の第1ヨーク30、31は磁気センサ20に対して相対的に変位しないように位置決めされ、その磁気センサ20を挟んで第2径方向D2rに互いに対向する第1ヨーク対向面301、311を有している。そして、一対の第1ヨーク30、31と磁気センサ20は第1磁石18と第2磁石19との間に配置され、磁気センサ20は、一対を成す第1ヨーク対向面301、311に鎖交する磁束を検出する。
従って、特許文献1の回転角度検出装置と比較して、磁気センサ20の配置位置およびその周辺での磁界の強さを一対の第1ヨーク30、31によって平均化することができる。そのため、その第1ヨーク30、31に相当するヨークを備えていない特許文献1の回転角度検出装置と比較して、本実施形態では、磁気センサ20の位置ずれの許容幅を拡大しつつ精度良く被検出軸11の回転角度θを検出することが可能である。すなわち、本実施形態でも第1実施形態と同様に、磁気センサ20の位置ずれに対するセンサ出力のロバスト性が向上するので、それにより、角度検出装置10の実用性の向上を図ることが可能である。このことは、第2ヨーク32、33でも同様である。
また、図12および図13に示すように、4つのヨーク30、31、32、33および磁気センサ20が第1磁石18と第2磁石19との間に配置されているので、その4つのヨーク30、31、32、33が第1磁石18と第2磁石19との一方の磁束を引き寄せるなどの不均一さを抑制できる。
(1)また、本実施形態によれば、図13および図14に示すように、一対の第1ヨーク30、31はそれぞれ、第2軸方向D2aに対称な形状を成している。これにより、一対の第1ヨーク30、31が第2軸方向D2aに非対称である場合と比較して、第1ヨーク30、31が引き寄せる磁束が第2軸方向D2aに不均一になることに起因した合成磁界のアンバランスを抑制できる。このことは、第2ヨーク32、33でも同様である。
(2)また、本実施形態によれば、図15に示すように、磁気センサ20は、径第1方向R1に沿った向きの磁界の強さB1と、径第2方向R2に沿った向きの磁界の強さB2とをそれぞれ検出できるように構成されている。そして、一対を成す第1ヨーク対向面301、311は、径第1方向R1に互いに対向する。従って、そのように第1ヨーク対向面301、311が互いに対向していない場合と比較して、磁気センサ20の位置ずれに対するセンサ出力のロバスト性を向上させることができる。このことは、第2ヨーク32、33でも同様である。
(3)また、本実施形態によれば、図12および図15に示すように、一対の第2ヨーク32、33は第1磁石18と第2磁石19との間に配置され、磁気センサ20を挟んで径第2方向R2に互いに対向する第2ヨーク対向面321、331を有している。そして、磁気センサ20は、一対を成す第1ヨーク対向面301、311に鎖交する磁束と、一対を成す第2ヨーク対向面321、331に鎖交する磁束とを検出する。
従って、径第1方向R1の磁界強さB1の検出と径第2方向R2の磁界強さB2の検出とのそれぞれに対し、磁気センサ20の位置ずれに対するセンサ出力のロバスト性を向上させることができる。また、一対の第1ヨーク30、31と一対の第2ヨーク32、33にはそれぞれ、外部磁界が磁気センサ20に鎖交することを抑制する効果もある。
例えば、4つのヨーク30、31、32、33は第1および第2磁石18、19の磁束を引き寄せ、それと共に、図16に示すように、一対の第1ヨーク30、31の相互間および一対の第2ヨーク32、33の相互間において磁束密度を均一化するよう作用する。そのため、4つのヨーク30、31、32、33によって磁界が均一化されたエリアであれば磁気センサ20の位置ずれがあったとしてもセンサ出力の変動を抑制できる。
具体的に例示すると、磁気センサ20が第2軸方向D2aへ位置ずれしたことに起因して磁気センサ20の検出点が図16の点P2aから点P2bへずれたとしても、磁気センサ20が検出する径第1方向R1の磁界強さB1と径第2方向R2の磁界強さB2は殆ど変化しない。要するに、磁気センサ20のセンサ出力は殆ど変化しない。従って、本実施形態でも第1実施形態と同様に、特に第2軸方向D2aへの磁気センサ20の位置ずれに対しセンサ出力のロバスト性の向上が図られている。
なお、図16の点P2aと点P2bとでは、第2径方向D2rの位置は同じであるが、第2軸方向D2aの位置は異なる。また、点P2aと点P2bは何れも、互いに対向する第1ヨーク対向面301、311の相互間に位置し、且つ、互いに対向する第2ヨーク対向面321、331の相互間に位置する。また、図16の破線は、第1磁石18から生じる磁束を示し、図9の二点鎖線は、第2磁石19から生じる磁束を示している。
ここで、本実施形態の角度検出装置10と第2比較例の角度検出装置との間で、図17に示すように磁気センサ20の検出点が正規位置から第2軸方向D2aに0.5mm位置ずれした場合の誤差率を比較した結果を説明する。具体的に、その磁気センサ20の検出点が正規位置から第2軸方向D2aに0.5mm位置ずれした場合とは、磁気センサ20と基板22と4つのヨーク30、31、32、33とが正規位置から第2軸方向D2aの一方側に0.5mm位置ずれした場合である。
なお、第2比較例の角度検出装置は、特許文献1の構成と同様に第1および第2ヨーク30、31、32、33を備えていないものである。これらの点を除き、第2比較例の角度検出装置は本実施形態の角度検出装置10と同様である。
磁気センサ20の検出点が第2軸方向D2aに0.5mm位置ずれした場合の誤差率は、図18に示すように、第2比較例の角度検出装置では0.71%であったのに対し、本実施形態の角度検出装置10では0.28%であった。この誤差率からも、本実施形態では、磁気センサ20の位置ずれに対しセンサ出力のロバスト性が向上していることが判る。なお、本実施形態での誤差率の定義は、第1実施形態での誤差率の定義と同様である。
(4)また、本実施形態によれば、図12および図15に示すように、一対の第1ヨーク30、31と一対の第2ヨーク32、33は何れも等しい形状を有している。従って、例えば4つのヨーク30、31、32、33の形状が不均一である場合と比較して、磁気センサ20の位置およびその周辺において磁界の不均一さが抑制される。その結果として、磁気センサ20の位置ずれに対するセンサ出力のロバスト性を向上させることができる。
(5)また、本実施形態によれば、図14および図15に示すように、基板22の実装面221に対する第1ヨーク対向面301、311の高さH1fは、実装面221に対する磁気センサ20の高さHsに比して大きい。そして、実装面221に対する第2ヨーク対向面321、331の高さH2fも、実装面221に対する磁気センサ20の高さHsに比して大きい。
従って、例えば磁気センサ20は基板22の実装面221から多少浮き上がって固定されても、一対を成す第1ヨーク対向面301、311の相互間、および一対を成す第2ヨーク対向面321、331の相互間から外れない。そのため、第2軸方向D2aへの磁気センサ20の位置ずれに対するセンサ出力のロバスト性を向上させることができる。
(6)また、本実施形態によれば、図12および図13に示すように、第1磁石18と第2磁石19はそれぞれ、一対の第1ヨーク30、31に対し第2軸方向D2aに相対変位しないように、第2軸心CL2を中心に回転する。これにより、一対の第1ヨーク30、31のそれぞれに鎖交する磁界が安定するので、磁気センサ20の位置ずれに対するセンサ出力のロバスト性を向上させることができる。このことは、第2ヨーク32、33でも同様である。
また、本実施形態によれば、4つのヨーク30、31、32、33は磁気センサ20に対して相対的に変位しないように位置決めされている。従って、例えば4つのヨーク30、31、32、33と基板22とを一体モールドするなど、その4つのヨーク30、31、32、33を容易に配置することが可能である。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図19および図20に示すように、本実施形態では、角度検出装置10は、図2の一対の第2ヨーク26、27に替えて一対のヨーク35、36を備えているが、図2の一対の第1ヨーク24、25に対応するヨークを備えていない。また、角度検出装置10は、第2磁石19と支持部材28とを備えていない。また、本実施形態では、磁気センサ20および基板22の配置が、第1実施形態と異なっている。これらの点で本実施形態は第1実施形態と異なっている。なお、本実施形態では第2磁石19が設けられていないので、第1磁石18を単に磁石18とも称する。
具体的に本実施形態では、磁石18は、極対数が1であるという点では第1実施形態の第1磁石18と同様であるが、棒状ではなく、第2軸心CL2を中心とした円盤状を成している。
従って、磁石18は、第2径方向D2rの外側を向いて第2軸心CL2の周方向D2c(図22参照)へ延びる外周面18aである磁石外周面18aを有している。この磁石外周面18aは、磁石18の全周にわたって、第2軸心CL2を中心とした円環状に形成されている。従って、図21に示すように、磁石外周面18a上では、磁石18のS極とN極とが、第2軸心CL2の周方向D2cに交互に配置されている。
図20および図21に示すように、本実施形態の磁石18は、第1実施形態の第1磁石18と同様に、第1従動歯車14内に嵌め込まれて第1従動歯車14に固定されおり、第1従動歯車14と一体回転する。すなわち、磁石18は、その磁石18の着磁方向MD1を第2径方向D2rに向けながら、第2軸心CL2を中心として第1従動歯車14と一体回転する。そして、磁石18と第1従動歯車14は、第2従動歯車15に対し第2軸方向D2aの一方側に配置されている。
また、第1および第2従動歯車14、15は第2軸方向D2aには変位しないように回転可能に支持されているので、第1従動歯車14に固定された磁石18は、磁気センサ20と、第2従動歯車15に固定された一対のヨーク35、36とに対して第2軸方向D2aには変位しない。
本実施形態の各歯車12、13、14、15の歯数は、それぞれ第1実施形態と同じであるので、本実施形態でも第1実施形態と同様に、第2従動歯車15は、第1従動歯車14とは異なる回転速度で回転する。
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、磁気センサ20は第2軸心CL2上に設けられており、基板22上に実装されている。本実施形態の基板22および磁気センサ20も、第1実施形態と同様、回転しない非回転部材である。
例えば、本実施形態の磁気センサ20は、その磁気センサ20のうち磁界を検出する検出点が第2軸心CL2上に位置するように設けられている。磁気センサ20と基板22は、第2従動歯車15に対し第2軸方向D2aの他方側に配置されている。
本実施形態の一対のヨーク35、36は軟磁性体で構成されている。例えば、一対のヨーク35、36は何れも同じ材料で構成されている。例えば、一対のヨーク35、36は、第2軸心CL2を挟んで第2径方向D2rに互いに対称な形状を成すように形成されている。
また、一対のヨーク35、36は、互いに離れた状態で第2従動歯車15にそれぞれ固定されている。従って、一対のヨーク35、36は、第2軸心CL2を中心に第2従動歯車15と一体回転する。そして、一対のヨーク35、36は、その第2従動歯車15と一体回転することで、磁気センサ20に対して回転する。
一対のヨーク35、36はそれぞれ、第2従動歯車15を第2軸方向D2aへ貫通するように形成されており、磁石18周りから磁気センサ20の周辺まで延びている。これにより、図22および図23に示すように、一対のヨーク35、36はそれぞれ、磁石18が発生させる磁束を磁気センサ20の周辺へと導く。図23の矢印Mxは、一対のヨーク35、36に導かれて磁気センサ20を貫通する磁束を表している。
詳細には、図20、図22、図23に示すように、一対のヨーク35、36はそれぞれ、第2従動歯車15に対し第2軸方向D2aの一方側に設けられたヨーク一端部351、361と、第2従動歯車15に対し第2軸方向D2aの他方側に設けられたヨーク他端部352、362とを有している。
そのヨーク一端部351、361はそれぞれ、磁石18に対する第2径方向D2rの外側に配置され磁石外周面18aに対向する一端部対向面351a、361aを有している。詳細には、その一対を成す一端部対向面351a、361aはそれぞれ、第2軸心CL2を中心とした円弧状に延びている。一対を成す一端部対向面351a、361aはそれぞれ、本実施形態では磁石外周面18aに対し第2径方向D2rに僅かな隙間をあけて離れているが、磁石外周面18aに対し摺動可能に接触していてもよい。
また、ヨーク他端部352、362はそれぞれ、ヨーク35、36のうち磁気センサ20近傍で第2径方向D2rの内側へ向かって延びた先端部分として構成されている。従って、ヨーク他端部352、362はそれぞれ、磁気センサ20を挟んで第2径方向D2rに互いに対向する。詳細には、ヨーク他端部352、362はそれぞれ、第2径方向D2rの内側を向いた端面352a、362aを有しており、その端面352a、362a同士が、磁気センサ20を挟んで第2径方向D2rに互いに対向している。例えば、一対を成すヨーク他端部352、362は、磁気センサ20に接触することのない範囲内で、磁気センサ20に近接するように配置されている。
このようにして、磁石18が発生させる磁束が一対のヨーク35、36によって磁気センサ20の周辺へと導かれるので、その導かれた磁束は、図23の矢印Mxで示すように磁気センサ20を貫通する。そして、磁気センサ20は、ヨーク他端部352、362の相互間に生じる磁界を検出する。
具体的には、第1実施形態と同様に、磁気センサ20は、径第1方向R1の磁界強さB1(図6参照)と、径第2方向R2の磁界強さB2とをそれぞれ第2軸心CL2上で検出できるように構成されている。そして、磁気センサ20は、径第1方向R1の磁界強さB1と径第2方向R2の磁界強さB2との両方を検出することで、ヨーク他端部352、362の相互間に生じる磁界の強さを検出する。
本実施形態では、被検出軸11の回転に伴って一対のヨーク35、36と磁石18とが相対回転し、例えば一対のヨーク35、36と磁石18との位置関係が図22および図23に示すようになった場合に、磁気センサ20に鎖交する磁束の磁束量は最大になる。すなわち、一対のヨーク35、36の一端部対向面351a、361aが互いに対向する対向方向Docが磁石18の着磁方向MD1に対し平行になる回転位置に、一対のヨーク35、36の回転位置がなった場合に、磁気センサ20に鎖交する磁束の磁束量は最大になる。
その一方で、例えば一対のヨーク35、36と磁石18との位置関係が図24および図25に示すようになった場合に、磁気センサ20に鎖交する磁束の磁束量は最小になる。すなわち、一端部対向面351a、361aの対向方向Docが磁石18の着磁方向MD1に対し垂直になる回転位置に、一対のヨーク35、36の回転位置がなった場合に、磁気センサ20に鎖交する磁束の磁束量は最小になる。
このような磁束の磁束量の変化から判るように、一対のヨーク35、36が有するヨーク他端部352、362の相互間に生じる磁界は、第2軸心CL2まわりの磁石18と一対のヨーク35、36との相対角度変化に応じて変化する。そして、磁気センサ20は、そのヨーク他端部352、362の相互間に生じる磁界の変化を検出する。
本実施形態の制御装置29は、磁気センサ20によって検出された磁界の強さに基づいて被検出軸11の回転角度θを算出する。詳細に言うと、本実施形態でも、磁気センサ20が検出する径第1方向R1の磁界強さB1と径第2方向R2の磁界強さB2は、図7に示すように被検出軸11の回転角度θに応じて変化する。従って、ヨーク他端部352、362の相互間に生じる磁界の強さは、図7に示される合成磁界の強さBcpと同様に算出することが可能である。
そのため、本実施形態の制御装置29は、磁気センサ20が検出する径第1方向R1の磁界強さB1と径第2方向R2の磁界強さB2とに基づき、図7の回転角度推定マップMP1と同様のマップを用いて被検出軸11の回転角度θを推定する。
図7および図20に示すように、本実施形態の被検出軸11も、第1実施形態と同様に、第1回転角度位置PA1から第2回転角度位置PA2までの回転角度で構成される所定の回転動作範囲θw内で回転動作するものである。そして、本実施形態の角度検出装置10は、例えば各歯車12、13、14、15の歯数や磁石18の極対数Npmの設定により、「ΔAym<90/Npm」という不等式の関係が守られるように構成されている。
上記の不等式において、ΔAymは、被検出軸11が第1回転角度位置PA1から第2回転角度位置PA2まで回転動作した場合に一対のヨーク35、36が磁石18に対し相対回転して角度変化する相対的な角度変化量である。別言すると、ΔAymは、被検出軸11が第1回転角度位置PA1から第2回転角度位置PA2まで回転動作した場合の磁石18に対する一対のヨーク35、36の相対的な角度変化量である。要するに、ΔAymは、磁石18に対する一対のヨーク35、36の相対的な最大角度変化量である。また、Npmは磁石18の極対数である。また、上記の不等式における角度変化量ΔAymの単位は[deg]である。
すなわち、本実施形態では、被検出軸11が第1回転角度位置PA1から第2回転角度位置PA2まで回転動作した場合の磁石18に対する一対のヨーク35、36の相対的な角度変化量ΔAymは、90[deg]を磁石18の極対数Npmで除した角度よりも小さい。本実施形態では磁石18の極対数Npmは1であるので、上記の角度変化量ΔAymは90[deg]よりも小さい。
上述したように、本実施形態によれば、図20および図21に示すように、一対のヨーク35、36は第2従動歯車15と一体回転し、第1従動歯車14と一体回転する磁石18が発生させる磁束を導く。一対のヨーク35、36のヨーク一端部351、361はそれぞれ、磁石18に対する第2径方向D2rの外側に配置され磁石外周面18aに対向する一端部対向面351a、361aを有する。一方、一対のヨーク35、36のヨーク他端部352、362は、磁気センサ20を挟んで第2径方向D2rに互いに対向する。そして、磁気センサ20は、一対のヨーク35、36の相互間に生じる磁界を検出する。
従って、本実施形態でも磁気センサ20は一対のヨーク35、36の相互間に生じる磁界を検出するので、第1実施形態と同様に、ヨーク35、36、磁石18、または磁気センサ20の位置ずれに対するセンサ出力のロバスト性が、特許文献1の回転角度検出装置と比較して向上する。そのため、角度検出装置10の実用性の向上を図ることが可能である。
本実施形態では、図26および図27に示すように、一対のヨーク35、36は、ヨーク他端部352、362の相互間において磁束密度を均一化するよう作用する。そのため、例えば磁気センサ20が第2軸方向D2aへ位置ずれしたことに起因して磁気センサ20の検出点が図27の点P3aから点P3bへずれたとしても、磁気センサ20が検出する磁界の強さは殆ど変化しない。
要するに、磁気センサ20のセンサ出力は殆ど変化しない。従って、本実施形態でも第1実施形態と同様に、特に第2軸方向D2aへの磁気センサ20の位置ずれに対しセンサ出力のロバスト性の向上が図られている。
なお、図27の点P3aと点P3bとでは、第2径方向D2rの位置は同じであるが、第2軸方向D2aの位置は異なる。また、点P3aと点P3bは何れも、互いに対向するヨーク他端部352、362の端面352a、362aの相互間に位置する。また、図26および図27では、磁石18が発生させる磁束の流れが複数の矢印で表されている。
(1)また、本実施形態によれば、被検出軸11が図7の第1回転角度位置PA1から第2回転角度位置PA2まで回転動作した場合の磁石18に対する一対のヨーク35、36の相対的な角度変化量ΔAymは、90[deg]を磁石18の極対数Npmで除した角度よりも小さい。このようにその角度変化量ΔAymが限定されているので、磁気センサ20のセンサ出力から一意に被検出軸11の回転角度θを推定できる。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。
図28~図30に示すように、本実施形態の角度検出装置10は、主軸心CLmを中心に回転する被検出物としての被検出軸11に取り付けられ、その被検出軸11の回転角度θを検出する。本実施形態の被検出軸11も、例えばステアリングシャフトである。
従って、本実施形態の被検出軸11も、第1実施形態と同様に、1回転を超える有限の回転範囲内で回転動作する。具体的には第1実施形態と同様に、被検出軸11は、第1回転角度位置PA1から第2回転角度位置PA2までの回転角度で構成される所定の回転動作範囲θw(図33参照)内で回転動作するものである。そして、角度検出装置10は、被検出軸11の1回転を超えるその回転動作範囲θwの全域において被検出軸11の回転角度θを検出できる。なお、図29の破線矢印は、第2磁石44からの磁束の流れを示している。
本実施形態の角度検出装置10は、主動歯車41、従動歯車42、第1磁石43、第2磁石44、保持部45、磁気センサ20、および制御装置29(図8参照)を備えている。本実施形態の被検出軸11、従動歯車42、および保持部45はそれぞれ非磁性体で構成されている。
なお、図28には、回転軸心として、主軸心CLmのほかに副軸心CLsも示されている。この副軸心CLsは、主軸心CLmに交差する回転軸心であり、厳密に言えば、主軸心CLmに直交する回転軸心である。そして、主軸心CLmと副軸心CLsは所定の仮想平面PLmsに含まれる。本実施形態の説明では、主軸心CLmの軸方向を主軸心軸方向DMaと称し、主軸心CLmの径方向を主軸心径方向DMrと称し、図31の主軸心CLmの周方向を主軸心周方向DMcと称する。また、図28の副軸心CLsの軸方向を副軸心軸方向DSaと称し、副軸心CLsの径方向を副軸心径方向DSrと称し、図32の副軸心CLsの周方向を副軸心周方向DScと称する。
また、図28の紙面上側は、主軸心軸方向DMaの一方側であり、図28の紙面下側は、主軸心軸方向DMaの他方側である。
図28と図31との間では、図示された第1磁石43の回転位置に差異があるが、これは、図31において、被検出軸11が後述の基準状態にある場合の第1磁石43の向きを表示するためである。そして、図28と図32との間では、図示された第2磁石44の回転位置に差異があるが、これは、図32において、被検出軸11が後述の基準状態にある場合の第2磁石44の向きを表示するためである。
図28~図30に示すように、主動歯車41と従動歯車42は、互いに噛合する傘歯車である。主動歯車41は、被検出軸11に連動して主軸心CLmを中心に回転する。具体的に、主動歯車41は、被検出軸11に対し相対回転不能に嵌合しており、主軸心CLmを中心に被検出軸11と一体回転する。
第1磁石43は、主軸心CLmを中心とした円環状を成し、被検出軸11の外周に固定されている。従って、第1磁石43は、主軸心CLmを中心に被検出軸11と一体回転する。すなわち、主軸心CLmは第1磁石43の回転軸心でもある。
第1磁石43は、主軸心径方向DMrの外側を向いて主軸心周方向DMcへ延びる第1磁石外周面43aを有している。この第1磁石外周面43aは、第1磁石43の全周にわたって、主軸心CLmを中心とした円環状に形成されている。従って、図28および図31に示すように、第1磁石外周面43a上では、第1磁石43のS極とN極とが、主軸心周方向DMcに交互に配置されている。
また、本実施形態の第1磁石43の極対数は1であり、第1磁石43は、その第1磁石43の着磁方向MDaを主軸心径方向DMrに向けながら、主軸心CLmを中心として被検出軸11と一体回転する。
従動歯車42は、主動歯車41に連動して副軸心CLsを中心に回転する。主動歯車41と従動歯車42との歯数比は一対一ではなく、一対一から僅かにずれている。そのため、主動歯車41と従動歯車42は、被検出軸11の回転に伴って互いに僅かに異なる回転速度で回転する。
図28に示すように本実施形態では、第1磁石43と副軸心CLsと主動歯車41は、主軸心軸方向DMaの一方側から、第1磁石43、副軸心CLs、主動歯車41の順に並んで配置されている。
図30および図32に示すように、第2磁石44は、副軸心CLsを中心とした円環状を成し、従動歯車42の外周に固定されている。従って、第2磁石44は、副軸心CLsを中心に従動歯車42と一体回転する。すなわち、副軸心CLsは第2磁石44の回転軸心でもある。例えば、第1磁石43の強さと第2磁石44の強さは同じである。
第2磁石44は、副軸心径方向DSrの外側を向いて副軸心周方向DScへ延びる第2磁石外周面44aを有している。この第2磁石外周面44aは、第2磁石44の全周にわたって、副軸心CLsを中心とした円環状に形成されている。従って、第2磁石外周面44a上では、第2磁石44のS極とN極とが、副軸心周方向DScに交互に配置されている。
また、本実施形態の第2磁石44の極対数は1であり、第2磁石44は、その第2磁石44の着磁方向MDbを副軸心径方向DSrに向けながら、副軸心CLsを中心として従動歯車42と一体回転する。従って、第2磁石44は、被検出軸11の回転に伴って、第1磁石43とは僅かに異なる回転速度で回転する。
図28~図30に示すように、本実施形態の磁気センサ20は、第1実施形態の磁気センサ20と同様の物であるが、第1実施形態と比較して本実施形態では、磁気センサ20の配置および姿勢が異なっている。
本実施形態の磁気センサ20は、第1実施形態と同様に、例えばホールICから構成されている。磁気センサ20は、第1磁石43の径方向外側かつ第2磁石44の径方向外側に配置されている。磁気センサ20は、例えば空気中に配置されている。
詳細には図30に示すように、磁気センサ20は、主軸心軸方向DMaでの第1磁石43の第1軸方向範囲V1aと副軸心軸方向DSaでの第2磁石44の第2軸方向範囲V2aとの両方に含まれる重複領域V12a内に少なくとも部分的に入るように配置されている。その第1軸方向範囲V1aとは、第1磁石43が主軸心軸方向DMaに占める範囲であり、第2軸方向範囲V2aとは、第2磁石44が副軸心軸方向DSaに占める範囲である。
そして、図32に示すように、磁気センサ20は、第1磁石43が第1方向DA1に占める幅W1aと第2磁石44が第1方向DA1に占める幅W2aとのうち小さい方の幅内にも少なくとも部分的に入るように配置されている。その第1方向DA1とは、主軸心CLmと副軸心CLsとの両方に垂直な方向である。例えば本実施形態では、磁気センサ20は、その磁気センサ20の全体が第1方向DA1の第1磁石43の幅W1aと第1方向DA1の第2磁石44の幅W2aとの両方に入るように配置されている。
更に磁気センサ20の配置について詳細に言うと、図30に示すように、磁気センサ20は、仮想の第1直線L1aが磁気センサ20内を横切り且つ仮想の第2直線L2aも磁気センサ20内を横切るように配置されている。その第1直線L1aは、主軸心CLmと副軸心CLsとを含む仮想平面PLms(図29参照)に含まれ第1磁石43の中心点MC1aを通って主軸心CLmに垂直に延びる仮想直線である。そして、第2直線L2aは、上記の仮想平面PLmsに含まれ第2磁石44の中心点MC2aを通って副軸心CLsに垂直に延びる直線である。なお、各磁石43、44の中心点MC1a、MC2aはそれぞれ、磁石43、44の体積中心であってもよいし、磁石43、44の重心であってもよい。
このように磁気センサ20は配置されているので、磁気センサ20の位置およびその周辺には、第1磁石43と第2磁石44とによって生じる合成磁界が生成される。
図28~図30に示すように、磁気センサ20は、その第1磁石43と第2磁石44とによる合成磁界のうち、図29の第1方向DA1の成分である第1磁界成分Bφと、図28の第2方向DA2の成分である第2磁界成分Brとを検出する。磁気センサ20は、その第1磁界成分Bφを示す電気信号と第2磁界成分Brを示す電気信号とを制御装置29へ出力する。
上記の第2方向DA2とは、主軸心CLmおよび副軸心CLsのそれぞれに対して傾き且つ第1方向DA1に垂直な方向である。例えば、図28に示すように第2方向DA2は、第1方向DA1に沿った方向視で主軸心CLmと副軸心CLsとに挟まれる4つの挟み角度のうち磁気センサ20を含んだ領域を画定する挟み角度を等角に二分する直線に沿った方向とされている。すなわち、図28の副軸心軸方向DSaに対する第2方向DA2の傾斜角度αrはπ/4[rad]とされている。
なお、図28および図29において第1磁界成分Bφを示す矢印の向きは、磁気センサ20が検出する第1磁界成分Bφの正方向を表している。そして、第2磁界成分Brを示す矢印の向きは、磁気センサ20が検出する第2磁界成分Brの正方向を表している。
図30に示すように、保持部45と磁気センサ20は、回転しない非回転部材である。保持部45は、磁気センサ20を定位置に保持すると共に、従動歯車42を回転可能に支持する。
本実施形態の制御装置29は、図8の第1実施形態の制御装置29と同様にマイクロコンピュータで構成されている。図8および図28に示すように、本実施形態の制御装置29は、磁気センサ20によって検出された第1磁界成分Bφと第2磁界成分Brとに基づいて被検出軸11の回転角度θを算出する。
具体的には、第1磁界成分Bφ(図28参照)を示す検出信号と第2磁界成分Brを示す検出信号との両方が、磁気センサ20から制御装置29へ逐次入力される。そして、制御装置29は、磁気センサ20から得られた第1磁界成分Bφと第2磁界成分Brとに基づき、その第1磁界成分Bφと第2磁界成分Brとを併せた合算磁界強さBφrを下記式F2を用いて算出する。
また、合算磁界強さBφrと被検出軸11の回転角度θとの関係で構成された回転角度推定マップMP2(図33参照)が予め実験的に設定されており、制御装置29は、その回転角度推定マップMP2を記憶している。その回転角度推定マップMP2は、第1実施形態の回転角度推定マップMP1と同様のものである。制御装置29は、上記式F2を用いて合算磁界強さBφrを算出すると、その合算磁界強さBφrに基づき、回転角度推定マップMP2を用いて被検出軸11の回転角度θを推定する。
なお、回転角度推定マップMP2では、被検出軸11の回転角度θに応じて、合算磁界強さBφrは図33の実線のように変化し、第1磁界成分Bφは図33の二点鎖線のように変化し、第2磁界成分Brは図33の破線のように変化する。このことは、特許文献1から理解できる。そして、図33において、合算磁界強さBφrを示す実線は、第1磁界成分Bφを示す二点鎖線と第2磁界成分Brを示す破線との包絡線として得られる。
ここで、第1および第2磁界成分Bφ、Brについて詳述すると、被検出軸11の回転角度θと従動歯車42の回転角度θsとに基づき、第1磁界成分Bφは下記式F3から算出され、第2磁界成分Brは下記式F4から算出される。下記式F3中の定数kφと下記式F4中の定数krはそれぞれ、図33に示される第1磁界成分Bφの振幅と第2磁界成分Brの振幅とが互いに揃うように実験的に設定される。なお、本実施形態で示される計算式の中で用いられる角度の単位は、特段の記載がない限り[rad]である。
但し、被検出軸11の回転角度θが零である基準状態に被検出軸11がある場合には、従動歯車42の回転角度θsは零である。具体的に、その被検出軸11が基準状態にある場合には、第1磁石43は図31に示した向きになっており、第1磁石43の着磁方向MDaは副軸心軸方向DSaと平行になっている。また、被検出軸11が基準状態にある場合には、第2磁石44は図32に示した向きになっており、第2磁石44の着磁方向MDbは主軸心軸方向DMaと平行になっている。
また、図31の矢印RT1aは被検出軸11の回転角度θの正方向を示し、図32の矢印RT2aは従動歯車42の回転角度θsの正方向を示している。また、上記式F3に含まれる「kφ・sinθ」、「kφ・sinθs」、上記式F4に含まれる「kr・cosθ」、および「kr・cosθs」はそれぞれ、図31または図32に、矢印の向きを正方向として表示されている。また、主動歯車41の歯数Zmと従動歯車42の歯数Zsとの比を「Zm:Zs=ns:1」とすると、従動歯車42の回転角度θsは「θs=ns×θ」になる。この式の中の歯数比nsは1ではない。
また、被検出軸11は図33の回転動作範囲θw内で回転動作するので、角度検出装置10は、その回転動作範囲θwの全域にわたって、被検出軸11の回転角度θを検出する必要がある。そのため、角度検出装置10は、下記式F5を満たすように構成されている。下記式F5を満たすことにより、上記式F2から算出された合算磁界強さBφrに基づき回転角度推定マップMP2を用いて被検出軸11の回転角度θを一意に決定できる。
なお、上記式F5中のθswは、被検出軸11の回転動作範囲θwに対応した従動歯車42の回転動作範囲である。すなわち、従動歯車42の回転動作範囲θswは、被検出軸11が図33の第1回転角度位置PA1から第2回転角度位置PA2まで回転動作した場合に従動歯車42が回転する回転動作範囲である。
上記式F5は、上記の「θs=ns×θ」という関係式を加味することにより、下記式6のように変形される。
上述したように、本実施形態によれば、図28~図30に示すように、主動歯車41は、主軸心CLmを中心に回転する被検出軸11に連動して回転し、従動歯車42は、その主動歯車41と噛合し、主軸心CLmに交差する副軸心CLsを中心に第1磁石43とは異なる回転速度で回転する。第1磁石43は被検出軸11と一体回転し、第2磁石44は従動歯車42と一体回転する。そして、磁気センサ20は、第1磁石43の径方向外側かつ第2磁石44の径方向外側に配置されている。
このような構成により、本実施形態の角度検出装置10で必須の構成とされる歯車は、主動歯車41と従動歯車42との2つである。すなわち、本実施形態の角度検出装置10では、必須の構成とされる歯車の数を、特許文献1の回転角度検出装置と比較して少なくできる。従って、角度検出装置10の構成部品数の削減により、角度検出装置10の実用性の向上を図ることが可能である。
また、主軸心軸方向DMaは副軸心径方向DSrのうちの1つの方向に該当するので、被検出軸11の回転動作範囲θwが拡大しても、本実施形態の角度検出装置10では、例えば第1実施形態の構成と比較して主軸心径方向DMrへ大きくなりにくい。すなわち、本実施形態によれば、角度検出装置10の小型化を図りやすい。
(1)また、本実施形態によれば、図30に示すように、磁気センサ20は、主軸心軸方向DMaでの第1磁石43の第1軸方向範囲V1aと副軸心軸方向DSaでの第2磁石44の第2軸方向範囲V2aとの両方に含まれる重複領域V12a内に少なくとも部分的に入るように配置されている。そして、図32に示すように、磁気センサ20は、第1磁石43が第1方向DA1に占める幅W1aと第2磁石44が第1方向DA1に占める幅W2aとのうち小さい方の幅内にも少なくとも部分的に入るように配置されている。
従って、被検出軸11の回転に伴って、第1磁石43からの磁束の磁束密度変化と第2磁石44からの磁束の磁束密度変化との両方が強く現れる箇所に磁気センサ20が配置される。そのため、磁気センサ20の検出感度の向上を図ることが可能である。
(2)また、本実施形態によれば、磁気センサ20は、第1磁石43の中心点MC1aと第2磁石44の中心点MC2aとに対し、図30に示すように配置されている。すなわち、磁気センサ20は、主軸心CLmと副軸心CLsとを含む仮想平面PLms(図29参照)に含まれ第1磁石43の中心点MC1aを通って主軸心CLmに垂直に延びる仮想の第1直線L1aが磁気センサ20内を横切るように配置されている。そして、磁気センサ20は、上記の仮想平面PLmsに含まれ第2磁石44の中心点MC2aを通って副軸心CLsに垂直に延びる仮想の第2直線L2aが磁気センサ20内を横切るようにも配置されている。これにより、角度検出装置10の体格が主軸心径方向DMrに拡大することを抑制できる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第4実施形態と異なる点を主として説明する。
図34~図36に示すように本実施形態では、第1磁石43の極数が第2磁石44の極数と異なっている。
例えば第1磁石43の極数は6極であり、第2磁石44の極数は4極である。この場合、主動歯車41の角速度に対し従動歯車42の角速度が約1.5倍になるように、各歯車41、42の歯数を設定できる。
(1)従って、第1磁石43の極数が第2磁石44の極数とが同じ場合と比較して、本実施形態では従動歯車42と第2磁石44とを小径化できるので、角度検出装置10を主軸心軸方向DMaに小型化することが可能である。なお、被検出軸11の回転角度θに応じて第1および第2磁界成分Bφ、Brを図33のように変化させるために、従動歯車42の角速度を主動歯車41の角速度に対し1.5倍ちょうどにはしない。
以上説明したことを除き、本実施形態は第4実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第4実施形態と共通の構成から奏される効果を第4実施形態と同様に得ることができる。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第4実施形態と異なる点を主として説明する。
図37に示すように、本実施形態の角度検出装置10は、第4実施形態の角度検出装置10が備える構成要素に加え、第1主動歯車39と第1従動歯車40とを備えている。また、本実施形態の説明では、第1主動歯車39との区別のため主動歯車41を第2主動歯車41と称し、第1従動歯車40との区別のため従動歯車42を第2従動歯車42と称する。
すなわち、本実施形態の角度検出装置10は、第1主動歯車39、第1従動歯車40、第2主動歯車41、第2従動歯車42、第1磁石43、第2磁石44、保持部45、磁気センサ20、および制御装置29(図8参照)を備えている。本実施形態の第1従動歯車40、第2従動歯車42、および保持部45はそれぞれ非磁性体で構成されている。
なお、図37には、回転軸心として、主軸心CLmと副軸心CLsのほかに第1副軸心CL1sも示されている。本実施形態の説明では、第1副軸心CL1sとの区別のため副軸心CLsを第2副軸心CLsと称する。
図37に示す第1副軸心CL1sは、主軸心CLmに交差する回転軸心であり、厳密に言えば、主軸心CLmに直交する回転軸心である。また、本実施形態では、第1副軸心CL1sは第2副軸心CLsと平行である。そして、主軸心CLmと第1副軸心CL1sと第2副軸心CLsは所定の仮想平面PLms(図38参照)に含まれる。
また、本実施形態の説明では、第4実施形態と同様に、主軸心CLmの軸方向を主軸心軸方向DMaと称し、主軸心CLmの径方向を主軸心径方向DMrと称し、主軸心CLmの周方向を主軸心周方向DMcと称する。それに加え、本実施形態の説明では、図37の第1副軸心CL1sの軸方向を第1副軸心軸方向DS1aと称し、第1副軸心CL1sの径方向を第1副軸心径方向DS1rと称し、図38の第1副軸心CL1sの周方向を第1副軸心周方向DS1cと称する。
また、図37の第2副軸心CLsの軸方向を第2副軸心軸方向DSaと称し、第2副軸心CLsの径方向を第2副軸心径方向DSrと称し、図38の第2副軸心CLsの周方向を第2副軸心周方向DScと称する。すなわち、本実施形態の第2副軸心軸方向DSaは第4実施形態の副軸心軸方向DSaと同じであり、本実施形態の第2副軸心径方向DSrは第4実施形態の副軸心径方向DSrと同じであり、本実施形態の第2副軸心周方向DScは第4実施形態の副軸心周方向DScと同じである。
第1主動歯車39と第1従動歯車40は、互いに噛合する傘歯車である。第1主動歯車39は、被検出軸11に連動して主軸心CLmを中心に回転する。具体的に、第1主動歯車39は、被検出軸11に対し相対回転不能に嵌合しており、主軸心CLmを中心に被検出軸11と一体回転する。第1主動歯車39は、第2主動歯車41に対し主軸心軸方向DMaの一方側に配置されている。
第1従動歯車40は、第1主動歯車39に連動して第1副軸心CL1sを中心に回転する。また、第2従動歯車42は、第4実施形態と同様に、第2主動歯車41に連動して第2副軸心CLsを中心に回転する。
但し、第2従動歯車42は、第1従動歯車40とは僅かに異なる回転速度で第2副軸心CLsを中心に回転する。例えば、第1主動歯車39の歯数Z1mと第1従動歯車40の歯数Z1sと第2主動歯車41の歯数Zmと第2従動歯車42の歯数Zsとの比は「Z1m:Z1s:Zm:Zs=1:1:ns:1」と表され、歯数比nsは1ではない。
図37および図38に示すように、本実施形態の第1磁石43の配置は第4実施形態と異なっており、第1磁石43は被検出軸11に固定されていない。すなわち、本実施形態の第1磁石43は、第1副軸心CL1sを中心とした円環状を成し、第1従動歯車40の外周に固定されている。従って、第1磁石43は、第1副軸心CL1sを中心に第1従動歯車40と一体回転する。そのため、第1磁石43と第2磁石44は、被検出軸11の回転に伴って、互いに僅かに異なる回転速度で回転する。
また、本実施形態の第1磁石外周面43aは、第1副軸心径方向DS1rの外側を向いて第1副軸心周方向DS1cへ延びるように形成されている。そして、第1磁石外周面43aは、第1磁石43の全周にわたって、第1副軸心CL1sを中心とした円環状に形成されている。従って、第1磁石外周面43a上では、第1磁石43のS極とN極とが、第1副軸心周方向DS1cに交互に配置されている。
また、第1磁石43は、その第1磁石43の着磁方向MDaを第1副軸心径方向DS1rに向けながら、第1副軸心CL1sを中心として第1従動歯車40と一体回転する。例えば本実施形態でも、第1磁石43の強さと第2磁石44の強さは同じである。
第2磁石44は第1磁石43に対し主軸心軸方向DMaに並んで配置され、磁気センサ20は第1磁石43と第2磁石44との間に配置されている。具体的には、第1磁石43と磁気センサ20と第2磁石44は、主軸心軸方向DMaの一方側から、第1磁石43、磁気センサ20、第2磁石44の順に並んで配置されている。
詳細には、本実施形態の磁気センサ20は、第1磁石43と第2磁石44との間において、第1磁石43の第1軸方向範囲V1bと第2磁石44の第2軸方向範囲V2bとの両方に含まれる重複領域V12b内に少なくとも部分的に入るように配置されている。その第1軸方向範囲V1bとは、第1磁石43が第1副軸心軸方向DS1aに占める範囲である。また、第2軸方向範囲V2bとは、第2磁石44が第2副軸心軸方向DSaに占める範囲であり、すなわち、図37の第2軸方向範囲V2bは、第4実施形態における第2軸方向範囲V2a(図30参照)と同じである。例えば本実施形態では、図37に示すように、磁気センサ20の全体が重複領域V12b内に入っている。
また、図38に示すように、磁気センサ20は、第1副軸心CL1sに沿った方向視で主軸心CLmに垂直な方向DMvの第1磁石43の幅W1b内に少なくとも部分的に入るように配置されている。それと共に、磁気センサ20は、第2副軸心CLsに沿った方向視で主軸心CLmに垂直な方向DMvの第2磁石44の幅W2b内にも少なくとも部分的に入るように配置されている。例えば本実施形態では、磁気センサ20の全体が、上記第1磁石43の幅W1b内に入り且つ第2磁石44の幅W2b内にも入るように配置されている。
更に磁気センサ20の配置について詳細に言うと、図37および図38に示すように、磁気センサ20は、仮想の第1直線L1bが磁気センサ20内を横切り且つ仮想の第2直線L2bも磁気センサ20内を横切るように配置されている。その第1直線L1bは、図38の仮想平面PLmsに含まれ第1磁石43の中心点MC1aを通って第1副軸心CL1sに垂直に延びる仮想直線である。そして、第2直線L2bは、上記の仮想平面PLmsに含まれ第2磁石44の中心点MC2aを通って第2副軸心CLsに垂直に延びる直線である。なお、本実施形態の第2直線L2bは、第4実施形態の第2直線L2a(図30参照)と同じである。
このように磁気センサ20は配置されているので、本実施形態でも第4実施形態と同様に、磁気センサ20の位置およびその周辺には、第1磁石43と第2磁石44とによって生じる合成磁界が生成される。
図37および図38に示すように、本実施形態の磁気センサ20は、第4実施形態と同様に、第1磁界成分Bφと第2磁界成分Brとを検出する。
但し、本実施形態では第4実施形態と異なり、磁気センサ20が検出する第1磁界成分Bφは、第1磁石43と第2磁石44とによって生じる合成磁界のうちの第1方向DB1の成分である。そして、その第1方向DB1とは、第1副軸心CL1sまたは第2副軸心CLsに垂直かつ主軸心CLmに垂直な方向である。本実施形態では、第1副軸心CL1sと第2副軸心CLsは平行であるので、第1方向DB1は、第1副軸心CL1sと第2副軸心CLsとの両方に対し垂直な方向となっている。また、磁気センサ20が検出する第2磁界成分Brは、第1磁石43と第2磁石44とによって生じる合成磁界のうち、主軸心CLmに平行な第2方向DB2の成分である。
本実施形態の制御装置29は、第4実施形態と同様に、上記式F2を用いて合算磁界強さBφrを算出し、その合算磁界強さBφrに基づき、回転角度推定マップMP2(図33参照)を用いて被検出軸11の回転角度θを推定する。
なお、図38において第1磁界成分Bφを示す矢印の向きは、本実施形態の磁気センサ20が検出する第1磁界成分Bφの正方向を表している。そして、第2磁界成分Brを示す矢印の向きは、本実施形態の磁気センサ20が検出する第2磁界成分Brの正方向を表している。
また、図38の矢印RT1bは、被検出軸11の回転角度θの正方向へ被検出軸11が回転したときの第1従動歯車40の回転方向を示している。図38の矢印RT2bは、被検出軸11の回転角度θの正方向へ被検出軸11が回転したときの第2従動歯車42の回転方向、すなわち、第2従動歯車42の回転角度θsの正方向を示している。また、被検出軸11が上記した基準状態にある場合には、第1磁石43と第2磁石44はそれぞれ図38に示した向きになる。なお、図37の矢印RT1aは被検出軸11の回転角度θの正方向を示している。
本実施形態の保持部45は、磁気センサ20を定位置に保持すると共に、第1従動歯車40と第2従動歯車42とをそれぞれ回転可能に支持する。
上述したように、本実施形態によれば、第1従動歯車40は第1主動歯車39と噛合し、主軸心CLmに交差する第1副軸心CL1sを中心に回転し、第1磁石43は、その第1従動歯車40と一体回転する。第2従動歯車42は第2主動歯車41と噛合し、主軸心CLmに交差する第2副軸心CLsを中心に回転し、第2磁石44は、その第2従動歯車42と一体回転する。そして、磁気センサ20は、第1磁石43と第2磁石44との間に配置され、第1磁石43と第2磁石44とによって生じる合成磁界のうちの第1磁界成分Bφと第2磁界成分Brとを検出する。
このような構成により、第1磁石43を回転させる構造と第2磁石44を回転させる構造とを互いに似た構造にできるので、角度検出装置10において構成部品の共通化を図りやすい。例えば、第1磁石43と第2磁石44とを同じ部品にすることも可能であり、延いては、角度検出装置10の低コスト化を図ることが可能である。
(1)また、本実施形態によれば、磁気センサ20は、図37の第1磁石43の第1軸方向範囲V1bと第2磁石44の第2軸方向範囲V2bとの両方に含まれる重複領域V12b内に少なくとも部分的に入るように配置されている。そして、磁気センサ20は、第1副軸心CL1sに沿った方向視で第1磁石43の幅W1b内にも少なくとも部分的に入り、且つ、第2副軸心CLsに沿った方向視で第2磁石44の幅W2b内にも少なくとも部分的に入るように配置されている。
従って、被検出軸11の回転に伴って、第1磁石43からの磁束の磁束密度変化と第2磁石44からの磁束の磁束密度変化との両方が強く現れる箇所に磁気センサ20が配置される。そのため、磁気センサ20の検出感度の向上を図ることが可能である。
(2)また、本実施形態によれば、図37および図38に示ように、図38の仮想平面PLmsに含まれ第1磁石43の中心点MC1aを通って第1副軸心CL1sに垂直に延びる仮想の第1直線L1bは、磁気センサ20内を横切る。そして、仮想平面PLmsに含まれ第2磁石44の中心点MC2aを通って第2副軸心CLsに垂直に延びる仮想の第2直線L2bも、磁気センサ20内を横切る。このような磁気センサ20の配置により、角度検出装置10の体格が主軸心径方向DMrに拡大することを抑制できる。
以上説明したことを除き、本実施形態は第4実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第4実施形態と共通の構成から奏される効果を第4実施形態と同様に得ることができる。
なお、本実施形態は第4実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第5実施形態と組み合わせることも可能である。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第4実施形態と異なる点を主として説明する。
前述の第4実施形態では、第1磁石43と第2磁石44とによって生じる合成磁界に対応した磁界を検出することで被検出軸11の回転角度θを推定する。これに対し、本実施形態では、第1磁石43によって生じる磁界と第2磁石44によって生じる磁界とを各々検出することで被検出軸11の回転角度θを推定する。また、本実施形態では、後述の第1回転軸111と第2回転軸112との間に生じる捩れ角度Twを算出する。以下の説明では、その捩れ角度Twを回転軸捩れ角度Twとも称する。
図39および図40に示すように、本実施形態では第4実施形態との比較で、被検出軸11の構成が異なっている。具体的に、本実施形態の被検出軸11は、第1回転軸111と第2回転軸112と弾性軸部材113とを有し、主軸心CLmを中心に回転する。その第1回転軸111と第2回転軸112と弾性軸部材113は何れも、主軸心CLmを中心とした軸部である。
そして、第1回転軸111は、第2回転軸112に対し弾性軸部材113を介して主軸心軸方向DMaに直列に連結されている。詳細には、弾性軸部材113は、主軸心軸方向DMaにおける弾性軸部材113の一方側の端部にて、第1回転軸111に対し第1固定部材111aを介して相対回転不能に連結されている。それと共に、弾性軸部材113は、主軸心軸方向DMaにおける弾性軸部材113の他方側の端部にて、第2回転軸112に対し第2固定部材112aを介して相対回転不能に連結されている。
また、弾性軸部材113は、トーションバーとして機能するものであり、主軸心CLmまわりに捩じられるように弾性変形可能な構成になっている。なお、本実施形態では、弾性軸部材113の弾性捩じり変形に起因して第1回転軸111と第2回転軸112との間に回転差が生じることがあるので、被検出軸11の回転角度θとは、第1回転軸111の回転角度θを意味するものとする。従って、被検出軸11の回転角度θと第1回転軸111の回転角度θは同じである。
本実施形態では、角度検出装置10は、図28の磁気センサ20に替えて、図39および図40に示すように第1磁気センサ51と第2磁気センサ52とを備えている。更に、本実施形態の角度検出装置10は第1保持部53を備えている。なお、図39に示される矢印AR1、AR2、AR3はそれぞれ、被検出軸11が正方向に回転したときの第1磁石43、主動歯車41、第2磁石44それぞれの回転方向を示している。
その第1保持部53は非磁性体で構成されており、第1磁気センサ51を定位置に保持している。なお、第1保持部53との区別のため、保持部45を第2保持部45と称する。その第2保持部45は、第2磁気センサ52を定位置に保持すると共に、従動歯車42を回転可能に支持する。要するに本実施形態では、第1保持部53と第2保持部45と第1磁気センサ51と第2磁気センサ52は、非回転部材である。
主動歯車41は、被検出軸11のうち第2回転軸112に連動して主軸心CLmを中心に回転する。具体的に、主動歯車41は、第2回転軸112に対し相対回転不能に嵌合しており、主軸心CLmを中心に第2回転軸112と一体回転する。
また、第1磁石43は、被検出軸11のうち第1回転軸111の外周に固定されているので、主軸心CLmを中心に第1回転軸111と一体回転する。
本実施形態の第1および第2磁気センサ51、52は、第4実施形態の磁気センサ20と同様の物であり、例えば空気中に配置されているが、その第4実施形態の磁気センサ20と比較して配置および姿勢が異なっている。
図40および図41に示すように、第1磁気センサ51は、第1磁石43の径方向外側に配置されている。そして、図39に示すように、第1磁気センサ51は、第1磁石43が主軸心軸方向DMaに占める第1軸方向範囲V1a内に少なくとも部分的に入るように配置されている。例えば本実施形態では、第1磁気センサ51の全体が第1軸方向範囲V1a内に入っている。
このような配置により、図41に示すように、第1磁気センサ51は、第1磁石43によって生じる磁界のうち、主軸心周方向DMcの成分である第1周方向磁界成分Bmφと、主軸心径方向DMrの成分である第1径方向磁界成分Bmrとを検出する。第1磁気センサ51は、その第1周方向磁界成分Bmφを示す電気信号と第1径方向磁界成分Bmrを示す電気信号とを制御装置29へ出力する。
なお、図41において第1周方向磁界成分Bmφを示す矢印の向きは、第1磁気センサ51が検出する第1周方向磁界成分Bmφの正方向を表している。そして、第1径方向磁界成分Bmrを示す矢印の向きは、第1磁気センサ51が検出する第1径方向磁界成分Bmrの正方向を表している。
図40および図42に示すように、第2磁気センサ52は、第2磁石44の径方向外側に配置されている。そして、図39に示すように、第2磁気センサ52は、第2磁石44が副軸心軸方向DSaに占める第2軸方向範囲V2a内に少なくとも部分的に入るように配置されている。例えば本実施形態では、第2磁気センサ52の全体が第2軸方向範囲V2a内に入っている。
このような配置により、図42に示すように、第2磁気センサ52は、第2磁石44によって生じる磁界のうち、副軸心周方向DScの成分である第2周方向磁界成分Bsφと、副軸心径方向DSrの成分である第2径方向磁界成分Bsrとを検出する。第2磁気センサ52は、その第2周方向磁界成分Bsφを示す電気信号と第2径方向磁界成分Bsrを示す電気信号とを制御装置29へ出力する。
なお、図42において第2周方向磁界成分Bsφを示す矢印の向きは、第2磁気センサ52が検出する第2周方向磁界成分Bsφの正方向を表している。そして、第2径方向磁界成分Bsrを示す矢印の向きは、第2磁気センサ52が検出する第2径方向磁界成分Bsrの正方向を表している。
本実施形態の制御装置29は、図8の第1実施形態の制御装置29と同様にマイクロコンピュータで構成されている。本実施形態の制御装置29は、第1磁気センサ51によって検出された第1周方向磁界成分Bmφと第1径方向磁界成分Bmrと第2磁気センサ52によって検出された第2周方向磁界成分Bsφと第2径方向磁界成分Bsrとに基づいて、回転軸捩れ角度Twと被検出軸11の回転角度θとを算出する。
なお、制御装置29による回転軸捩れ角度Twと被検出軸11の回転角度θとの算出では、次のことが前提とされる。すなわち、被検出軸11が基準状態にある場合には、従動歯車42の回転角度θsは零である。また、被検出軸11が基準状態にある場合には、第1磁石43は図41に示した向きになっており、第1磁石43の着磁方向MDaは副軸心軸方向DSaと平行になっている。また、被検出軸11が基準状態にある場合には、第2磁石44は図42に示した向きになっており、第2磁石44の着磁方向MDbは主軸心軸方向DMaと平行になっている。本実施形態の被検出軸11の基準状態とは、被検出軸11の回転角度θが零であり且つ回転軸捩れ角度Twも零である状態である。
また、図41の矢印RT1aは被検出軸11の回転角度θの正方向を示し、図42の矢印RT2aは従動歯車42の回転角度θsの正方向を示している。また、第1回転軸111が第2回転軸112に対し図41の矢印RT1aの方向へ回転した場合が、回転軸捩れ角度Twの正方向とされる。また、制御装置29が算出に用いる各磁界成分Bmφ、Bmr、Bsφ、Bsrの正方向は上記したとおりである。制御装置29による算出の前提は以上である。
制御装置29による回転軸捩れ角度Twの算出について説明すると、具体的には、第1周方向磁界成分Bmφ(図41参照)を示す検出信号と第1径方向磁界成分Bmrを示す検出信号とが、第1磁気センサ51から制御装置29へ逐次入力される。それと共に、第2周方向磁界成分Bsφ(図42参照)を示す検出信号と第2径方向磁界成分Bsrを示す検出信号とが、第2磁気センサ52から制御装置29へ逐次入力される。
そして、制御装置29は、その得られた各磁界成分Bmφ、Bmr、Bsφ、Bsrに基づき、下記式F7を用いて角度Tdを算出し、その算出した角度Tdに基づき下記式F8を用いて角度Tを算出する。角度Tを算出すると、制御装置29は、その角度Tに基づき下記式F9を用いて回転軸捩れ角度Twを算出する。なお、本実施形態で示される計算式の中で用いられる角度の単位は、特段の記載がない限り[rad]である。
ここで、上記式F7において、定数k1は、被検出軸11の回転中における右辺第1項中の「k1・Bsφ」の振幅と「Bsr」の振幅とが同じになるように、予め実験的に設定されている。また、定数k2は、被検出軸11の回転中における右辺第2項中の「k2・Bmφ」の振幅と「Bmr」の振幅とが同じになるように、予め実験的に設定されている。また、歯数比nsは1ではなく、主動歯車41の歯数Zmと従動歯車42の歯数Zsとに基づき、上記式F10を満たすように算出される。また、上記式F9の中の角度T0は、回転軸捩れ角度Twが零である場合の角度Tであり、予め実験的に算出されている。
本実施形態で示されるarctan関数は、任意の値Yに対し「-π/2<arctanY<π/2」の範囲の値を返す関数である。そのため、従動歯車42の回転角度θsと歯数比nsとから得られる「1/ns・arctan(tanθs)」と、被検出軸11の回転角度θから得られる「arctan(tanθ)」は、被検出軸11の回転角度θに応じて図43(a)に示すように一定範囲内で増減する。そして、上記式F7、式F8から得られる角度Tは、図43(a)に示すように回転角度θが大きくなるほど段階的に大きくなり、角度T0も同様である。なお、図43のグラフ横軸に示された被検出軸11の回転角度θ0は、回転軸捩れ角度Twが零である場合の被検出軸11の回転角度θである。
また、図43(b)に示すように、上記式F7、式F8から得られる角度Tは、回転軸捩れ角度Twが大きくなるほど、回転軸捩れ角度Twが零である場合の角度T0からグラフ縦軸方向へ離れるように変化する。そのように変化した場合における角度Tと角度T0との差分が、上記式F9から判るように回転軸捩れ角度Twとして算出される。
また、制御装置29が算出する回転軸捩れ角度Twには限度があり、回転軸捩れ角度Twの最大値を最大捩れ角度Twmaxとした場合に、制御装置29は、その最大捩れ角度Twmaxが下記式F11を満たす範囲内で回転軸捩れ角度Twを算出する。
上記式F11の角度差Tcは、図43(b)に示すように段階的に変化する角度Tの1段分の角度差であり、この角度差Tcは、回転軸捩れ角度Twと回転角度θとの何れにもよらず一定値である。詳細に言うと、その式F11の角度差Tcは、歯数比nsに基づき、「Tc=(1-1/ns)×π」という計算式から算出できる。
なお、図43(b)に示すように角度T0は被検出軸11の回転角度θに応じて段階的に変化するので、上記式F9に用いられる角度T0は一定値ではない。しかし、被検出軸11の回転角度θには上限値と下限値とがあるので、上記式F9において採用されうる角度T0の候補の数は有限である。そして、最大捩れ角度Twmaxには上記式F11の制限がある。そこで、制御装置29は、上記式F9において角度T0の複数の候補のそれぞれについて右辺「T0-T」を算出し、その算出した複数の「T0-T」のうち「T0-T」の絶対値が最小になる角度T0の候補を選択する。そして、制御装置29は、その選択した角度T0の候補と上記式F8から得られる角度Tとに基づき、上記式F9を用いて回転軸捩れ角度Twを算出する。
制御装置29は、上記のようにして回転軸捩れ角度Twを算出すると、続いて、被検出軸11の回転角度θを算出するために、先ず、制御装置29は、各磁界成分Bmφ、Bmr、Bsφ、Bsrに基づき、下記式F12を用いて角度θdを算出し、その算出した角度θdに基づき下記式F13を用いて角度θcを算出する。角度θcを算出すると、制御装置29は、その角度θcと回転軸捩れ角度Twとに基づき下記式F14を用いて被検出軸11の回転角度θを算出する。下記式F12の中の定数k1、k2はそれぞれ、上記式F7のものと同じである。
なお、図41に示すように、第1周方向磁界成分Bmφと被検出軸11の回転角度θは「Bmφ∝sinθ」の関係にあり、第1径方向磁界成分Bmrと被検出軸11の回転角度θは「Bmr∝cosθ」の関係にある。また、図42に示すように、第2周方向磁界成分Bsφと従動歯車42の回転角度θsは「Bsφ∝sinθs」の関係にあり、第2径方向磁界成分Bsrと従動歯車42の回転角度θsは「Bsr∝cosθs」の関係にある。これらの関係に基づき、上記式F7と上記式F12は導出されている。
上述したように、本実施形態によれば、図39および図40に示すように、角度検出装置10は主動歯車41と従動歯車42とを、前述の第4実施形態と同様に備えている。従って、必須の構成とされる歯車の数を、第4実施形態と同様に特許文献1の回転角度検出装置と比較して少なくできる。従って、角度検出装置10の構成部品数の削減により、角度検出装置10の実用性の向上を図ることが可能である。
そして、本実施形態では、第1回転軸111と第2回転軸112との間に生じる回転軸捩れ角度Twが算出されるので、その回転軸捩れ角度Twに基づき、被検出軸11に掛かるトルクを容易に算出することが可能である。
(1)また、本実施形態によれば、図39に示すように、第1磁気センサ51は、第1磁石43が主軸心軸方向DMaに占める第1軸方向範囲V1a内に少なくとも部分的に入るように配置されている。従って、被検出軸11の回転に伴って、第1磁石43からの磁束の磁束密度変化が強く現れる箇所に第1磁気センサ51が配置される。そのため、第1磁気センサ51の検出感度の向上を図ることが可能である。
(2)また、本実施形態によれば、図39に示すように、第2磁気センサ52は、第2磁石44が副軸心軸方向DSaに占める第2軸方向範囲V2a内に少なくとも部分的に入るように配置されている。従って、被検出軸11の回転に伴って、第2磁石44からの磁束の磁束密度変化が強く現れる箇所に第2磁気センサ52が配置される。そのため、第2磁気センサ52の検出感度の向上を図ることが可能である。
以上説明したことを除き、本実施形態は第4実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第4実施形態と共通の構成から奏される効果を第4実施形態と同様に得ることができる。
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第7実施形態と異なる点を主として説明する。
図44~図46に示すように、本実施形態の角度検出装置10は、第7実施形態の角度検出装置10が備える構成要素に加え、第1主動歯車39と第1従動歯車40とを備えている。また、本実施形態の説明では、第1主動歯車39との区別のため主動歯車41を第2主動歯車41と称し、第1従動歯車40との区別のため従動歯車42を第2従動歯車42と称する。
すなわち、本実施形態の角度検出装置10は、第1主動歯車39、第1従動歯車40、第2主動歯車41、第2従動歯車42、第1磁石43、第2磁石44、保持部45、第1磁気センサ51、第2磁気センサ52、および制御装置29(図8参照)を備えている。本実施形態の第1従動歯車40、第2従動歯車42、および保持部45はそれぞれ非磁性体で構成されている。
なお、図44には、回転軸心として、主軸心CLmと副軸心CLsのほかに第1副軸心CL1sも示されている。本実施形態の説明では、第1副軸心CL1sとの区別のため副軸心CLsを第2副軸心CLsと称する。
図44に示す第1副軸心CL1sは、主軸心CLmに交差する回転軸心であり、厳密に言えば、主軸心CLmに直交する回転軸心である。また、本実施形態では、第1副軸心CL1sは第2副軸心CLsと平行である。そして、主軸心CLmと第1副軸心CL1sと第2副軸心CLsは所定の仮想平面PLmsに含まれる。
また、本実施形態の説明では、第7実施形態と同様に、主軸心CLmの軸方向を主軸心軸方向DMaと称し、主軸心CLmの径方向を主軸心径方向DMrと称し、主軸心CLmの周方向を主軸心周方向DMc(図41参照)と称する。それに加え、本実施形態の説明では、図44の第1副軸心CL1sの軸方向を第1副軸心軸方向DS1aと称し、第1副軸心CL1sの径方向を第1副軸心径方向DS1rと称し、図45の第1副軸心CL1sの周方向を第1副軸心周方向DS1cと称する。
また、図44の第2副軸心CLsの軸方向を第2副軸心軸方向DSaと称し、第2副軸心CLsの径方向を第2副軸心径方向DSrと称し、図45の第2副軸心CLsの周方向を第2副軸心周方向DScと称する。すなわち、本実施形態の第2副軸心軸方向DSaは第7実施形態の副軸心軸方向DSaと同じであり、本実施形態の第2副軸心径方向DSrは第7実施形態の副軸心径方向DSrと同じであり、本実施形態の第2副軸心周方向DScは第7実施形態の副軸心周方向DScと同じである。
第1主動歯車39と第1従動歯車40は、互いに噛合する傘歯車である。第1主動歯車39は、第1回転軸111に連動して主軸心CLmを中心に回転する。具体的に、第1主動歯車39は、第1回転軸111に対し相対回転不能に嵌合しており、主軸心CLmを中心に第1回転軸111と一体回転する。第1主動歯車39は、第2主動歯車41に対し主軸心軸方向DMaの一方側に配置されている。
第1従動歯車40は、第1主動歯車39に連動して第1副軸心CL1sを中心に回転する。
また、第2従動歯車42は、第7実施形態と同様に、第2主動歯車41に連動して第2副軸心CLsを中心に回転する。但し、本実施形態の第2従動歯車42は、第7実施形態の従動歯車42(図39参照)との比較で逆向きに回転する。
そして、第2従動歯車42は、第1従動歯車40とは僅かに異なる回転速度で第2副軸心CLsを中心に回転する。例えば、第1主動歯車39の歯数Z1mと第1従動歯車40の歯数Z1sと第2主動歯車41の歯数Zmと第2従動歯車42の歯数Zsとの比は、下記式F15で表され、下記式F15の中の歯数比nsは1ではない。
図44~図46に示すように、本実施形態の第1磁石43の配置は第7実施形態と異なっており、第1磁石43は被検出軸11に固定されていない。具体的に、本実施形態の第1磁石43の配置は、上述した第6実施形態の第1磁石43(図37参照)の配置と同じになっている。従って、本実施形態の第1磁石外周面43aの向きも、上述した第6実施形態の第1磁石外周面43a(図37参照)の向きと同じになっている。例えば本実施形態でも、第1磁石43の強さと第2磁石44の強さは同じである。
また、本実施形態の第1磁石43は、第2磁石44に対し主軸心軸方向DMaの一方側に並んで配置されている。第1磁気センサ51は、第1磁石43の径方向外側に配置されているが、詳しくは、第1磁石43に対し主軸心軸方向DMaの一方側に並んで配置されている。そして、第2磁気センサ52は、第2磁石44の径方向外側に配置されているが、詳しくは、第2磁石44に対し主軸心軸方向DMaの他方側に並んで配置されている。
すなわち、第1磁気センサ51と第1磁石43と第2磁石44と第2磁気センサ52は、主軸心軸方向DMaの一方側から、第1磁気センサ51、第1磁石43、第2磁石44、第2磁気センサ52の順に並んで配置されている。
詳細には、図44に示すように、第1磁気センサ51は、第1副軸心軸方向DS1aに第1磁石43が占める第1軸方向範囲V1b内に少なくとも部分的に入るように配置されている。例えば本実施形態では、第1磁気センサ51の全体が第1軸方向範囲V1b内に入っている。ここで確認的に述べるが、第1磁石43は第1副軸心CL1sを中心に回転するので、第1副軸心軸方向DS1aは第1磁石43の回転軸心の軸方向であると言える。
このような配置により、図44~図46に示すように、第1磁気センサ51は、第1磁石43によって生じる磁界のうち、第1副軸心周方向DS1cの成分である第1周方向磁界成分Bmφと、第1副軸心径方向DS1rの成分である第1径方向磁界成分Bmrとを検出する。第1磁気センサ51は、その第1周方向磁界成分Bmφを示す電気信号と第1径方向磁界成分Bmrを示す電気信号とを制御装置29へ出力する。
なお、図45および図47において第1周方向磁界成分Bmφを示す矢印の向きは、第1磁気センサ51が検出する第1周方向磁界成分Bmφの正方向を表している。そして、第1径方向磁界成分Bmrを示す矢印の向きは、第1磁気センサ51が検出する第1径方向磁界成分Bmrの正方向を表している。
図44に示すように、第2磁気センサ52は、第2磁石44の第2軸方向範囲V2b内に少なくとも部分的に入るように配置されている。その第2軸方向範囲V2bとは、第2磁石44が第2副軸心軸方向DSaに占める範囲であり、すなわち、図44の第2軸方向範囲V2bは、第7実施形態における第2軸方向範囲V2a(図39参照)と同じである。例えば本実施形態では、第2磁気センサ52の全体が第2軸方向範囲V2b内に入っている。ここで確認的に述べるが、第2磁石44は第2副軸心CLsを中心に回転するので、第2副軸心軸方向DSaは第2磁石44の回転軸心の軸方向であると言える。
このような配置により、図44~図46に示すように、本実施形態の第2磁気センサ52は、第7実施形態と同様に、第2磁石44によって生じる磁界のうち第2周方向磁界成分Bsφと第2径方向磁界成分Bsrとを検出する。第2磁気センサ52は、その第2周方向磁界成分Bsφを示す電気信号と第2径方向磁界成分Bsrを示す電気信号とを制御装置29へ出力する。
なお、図45および図47において第2周方向磁界成分Bsφを示す矢印の向きは、第2磁気センサ52が検出する第2周方向磁界成分Bsφの正方向を表している。そして、第2径方向磁界成分Bsrを示す矢印の向きは、第2磁気センサ52が検出する第2径方向磁界成分Bsrの正方向を表している。
本実施形態の制御装置29は、第7実施形態と同様に、回転軸捩れ角度Twと被検出軸11の回転角度θとを算出する。すなわち、制御装置29は、第1磁気センサ51によって検出された第1周方向磁界成分Bmφと第1径方向磁界成分Bmrと第2磁気センサ52によって検出された第2周方向磁界成分Bsφと第2径方向磁界成分Bsrとに基づいて、回転軸捩れ角度Twと被検出軸11の回転角度θとを算出する。
要するに、本実施形態における回転軸捩れ角度Twと被検出軸11の回転角度θとの算出には、第7実施形態と同様に上記式F7~式F9、式F11~式F14が用いられる。そして、本実施形態では、上記式F10に替えて上記式F15が用いられる。
なお、図44の矢印RT1aは被検出軸11の回転角度θの正方向を示している。従って、図47の矢印RT1bは、被検出軸11の回転角度θの正方向へ被検出軸11が回転したときの第1従動歯車40の回転方向を示している。そして、図47の矢印RT2bは、被検出軸11の回転角度θの正方向へ被検出軸11が回転したときの第2従動歯車42の回転方向、すなわち、第2従動歯車42の回転角度θsの正方向を示している。また、被検出軸11が上記した基準状態にある場合には、第1磁石43と第2磁石44はそれぞれ図47に示した向きになる。本実施形態の回転軸捩れ角度Twの正方向は第7実施形態と同様である。
本実施形態の保持部45は、第1磁気センサ51と第2磁気センサ52とを定位置に保持すると共に、第1従動歯車40と第2従動歯車42とをそれぞれ回転可能に支持する。
上述したように、本実施形態によれば、角度検出装置10が有する歯車39、40、41、42の構成は、上述した第6実施形態とほぼ同様である。従って、その第6実施形態と同様に、角度検出装置10において構成部品の共通化を図りやすい。例えば、第1磁石43と第2磁石44とを同じ部品にすることも可能であり、延いては、角度検出装置10の低コスト化を図ることが可能である。
(1)また、本実施形態によれば、図44に示すように、第1磁気センサ51は、第1磁石43が第1副軸心軸方向DS1aに占める第1軸方向範囲V1b内に少なくとも部分的に入るように配置されている。従って、被検出軸11の回転に伴って、第1磁石43からの磁束の磁束密度変化が強く現れる箇所に第1磁気センサ51が配置される。そのため、第1磁気センサ51の検出感度の向上を図ることが可能である。
(2)また、本実施形態によれば、図44に示すように、第2磁気センサ52は、第2磁石44が第2副軸心軸方向DSaに占める第2軸方向範囲V2b内に少なくとも部分的に入るように配置されている。従って、被検出軸11の回転に伴って、第2磁石44からの磁束の磁束密度変化が強く現れる箇所に第2磁気センサ52が配置される。そのため、第2磁気センサ52の検出感度の向上を図ることが可能である。
以上説明したことを除き、本実施形態は第7実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第7実施形態と共通の構成から奏される効果を第7実施形態と同様に得ることができる。
(第9実施形態)
次に、第9実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第8実施形態と異なる点を主として説明する。
図48~図50に示すように、本実施形態では、第1および第2磁気センサ51、52の配置が第8実施形態と異っている。
具体的に図49~図51に示すように、第1磁石43は、その第1磁石43の着磁方向MDaを第1副軸心径方向DS1rに向けながら、第1副軸心CL1sを中心として第1従動歯車40と一体回転する。また、第2磁石44は、その第2磁石44の着磁方向MDbを第2副軸心径方向DSrに向けながら、第2副軸心CLsを中心として第2従動歯車42と一体回転する。従って、第2磁石44は、被検出軸11の回転に伴って、第1磁石43とは僅かに異なる回転速度で回転する。これらの点では、本実施形態は第8実施形態と同様である。
但し、本実施形態では第8実施形態に対して異なり、本実施形態の第1磁石43と第2磁石44はそれぞれ、図52に示すように円盤状である。そして、図48~図50に示すように、本実施形態では第1磁石43は、第1従動歯車40に形成された窪み内に嵌め込まれ、第2磁石44は、第2従動歯車42に形成された窪み内に嵌め込まれている。なお、図52の破線矢印は磁束の流れを示している。
本実施形態の第1磁気センサ51は、第1磁石43に対し第1副軸心軸方向DS1aに並んで配置されている。すなわち、第1磁気センサ51は、第1副軸心CL1s上で第1磁石43に対し並んで配置されている。
このような配置により、第1磁気センサ51は、第1磁石43によって生じる磁界のうち第1磁石第1磁界成分Bmyと第1磁石第2磁界成分Bmzとを検出する。第1磁気センサ51は、その第1磁石第1磁界成分Bmyを示す電気信号と第1磁石第2磁界成分Bmzを示す電気信号とを制御装置29へ出力する。
図50および図51に示すように、その第1磁石第1磁界成分Bmyは、第1磁石43によって生じる磁界のうち、第1副軸心径方向DS1rの1つの方向に該当する第1の一方向DS1raの磁界成分である。また、第1磁石第2磁界成分Bmzは、第1磁石43によって生じる磁界のうち、第1副軸心径方向DS1rの1つの方向に該当する第1の他方向DS1rbの磁界成分である。その第1の他方向DS1rbは、第1の一方向DS1raに交差する方向、厳密には、第1の一方向DS1raに垂直な方向である。
なお、図51において第1磁石第1磁界成分Bmyを示す矢印の向きは、第1磁気センサ51が検出する第1磁石第1磁界成分Bmyの正方向を表している。そして、第1磁石第2磁界成分Bmzを示す矢印の向きは、第1磁気センサ51が検出する第1磁石第2磁界成分Bmzの正方向を表している。
図50および図51に示すように、第2磁気センサ52は、第2磁石44に対し第2副軸心軸方向DSaに並んで配置されている。すなわち、第2磁気センサ52は、第2副軸心CLs上で第2磁石44に対し並んで配置されている。
このような配置により、第2磁気センサ52は、第2磁石44によって生じる磁界のうち第2磁石第1磁界成分Bsyと第2磁石第2磁界成分Bszとを検出する。第2磁気センサ52は、その第2磁石第1磁界成分Bsyを示す電気信号と第2磁石第2磁界成分Bszを示す電気信号とを制御装置29へ出力する。
その第2磁石第1磁界成分Bsyは、第2磁石44によって生じる磁界のうち、第2副軸心径方向DSrの1つの方向に該当する第2の一方向DSraの磁界成分である。また、第2磁石第2磁界成分Bszは、第2磁石44によって生じる磁界のうち、第2副軸心径方向DSrの1つの方向に該当する第2の他方向DSrbの磁界成分である。その第2の他方向DSrbは、第2の一方向DSraに交差する方向、厳密には、第2の一方向DSraに垂直な方向である。
本実施形態の制御装置29は、第8実施形態と同様に、回転軸捩れ角度Twと被検出軸11の回転角度θとを算出する。但し、本実施形態の制御装置29は、第1磁気センサ51によって検出された第1磁石第1磁界成分Bmyと第1磁石第2磁界成分Bmzと第2磁気センサ52によって検出された第2磁石第1磁界成分Bsyと第2磁石第2磁界成分Bszとに基づいて、回転軸捩れ角度Twと被検出軸11の回転角度θとを算出する。
なお、制御装置29による回転軸捩れ角度Twと被検出軸11の回転角度θとの算出では、次のことが前提とされる。すなわち、被検出軸11が基準状態にある場合には、第2従動歯車42の回転角度θsは零である。また、被検出軸11が基準状態にある場合には、第1磁石43は図51に示した向きになっており、第1磁石43の着磁方向MDaは主軸心軸方向DMaと平行になっている。また、被検出軸11が基準状態にある場合には、第2磁石44は図51に示した向きになっており、第2磁石44の着磁方向MDbも主軸心軸方向DMaと平行になっている。本実施形態の被検出軸11の基準状態とは、第8実施形態と同様に、被検出軸11の回転角度θが零であり且つ回転軸捩れ角度Twも零である状態である。
また、図48および図49の矢印RT1aは被検出軸11の回転角度θの正方向を示している。従って、図51の矢印RT1bは、被検出軸11の回転角度θの正方向へ被検出軸11が回転したときの第1従動歯車40の回転方向を示している。そして、図51の矢印RT2bは、被検出軸11の回転角度θの正方向へ被検出軸11が回転したときの第2従動歯車42の回転方向、すなわち、第2従動歯車42の回転角度θsの正方向を示している。本実施形態の回転軸捩れ角度Twの正方向は第8実施形態と同様である。制御装置29による算出の前提は以上である。
本実施形態の制御装置29による回転軸捩れ角度Twの算出について説明すると、具体的には、第1磁石第1磁界成分Bmyを示す検出信号と第1磁石第2磁界成分Bmzを示す検出信号とが、第1磁気センサ51から制御装置29へ逐次入力される。それと共に、第2磁石第1磁界成分Bsyを示す検出信号と第2磁石第2磁界成分Bszを示す検出信号とが、第2磁気センサ52から制御装置29へ逐次入力される。
そして、制御装置29は、その得られた各磁界成分Bmy、Bmz、Bsy、Bszに基づき、下記式F16を用いて角度Tdを算出し、その算出した角度Tdに基づき下記式F17を用いて角度Tを算出する。角度Tを算出すると、制御装置29は、その角度Tに基づき下記式F18を用いて回転軸捩れ角度Twを算出する。なお、本実施形態で示される計算式の中で用いられる角度の単位は、特段の記載がない限り[rad]である。
ここで、上記式F16の中の歯数比nsは1ではなく、上記式F15を満たすように算出される。また、上記式F18の中の角度T0は、第8実施形態と同様であり、すなわち回転軸捩れ角度Twが零である場合の角度Tであり、予め実験的に算出されている。
また、本実施形態でも第8実施形態と同様に、制御装置29は、最大捩れ角度Twmaxが上記式F11を満たす範囲内で回転軸捩れ角度Twを算出する。従って、上記式F18を用いた回転軸捩れ角度Twの算出方法は、第7実施形態で説明した上記式F9での回転軸捩れ角度Twの算出方法と同様である。
本実施形態の制御装置29は、上記のようにして回転軸捩れ角度Twを算出すると、続いて、被検出軸11の回転角度θを算出するために、先ず、制御装置29は、各磁界成分Bmy、Bmz、Bsy、Bszに基づき、下記式F19を用いて角度θdを算出する。そして、制御装置29は、その算出した角度θdに基づき下記式F20を用いて角度θcを算出する。角度θcを算出すると、制御装置29は、その角度θcと回転軸捩れ角度Twとに基づき下記式F21を用いて被検出軸11の回転角度θを算出する。
上述したように、本実施形態によれば、角度検出装置10が有する歯車39、40、41、42の構成は、上述した第8実施形態とほぼ同様である。従って、その第8実施形態と同様に、角度検出装置10において構成部品の共通化を図りやすい。例えば、第1磁石43と第2磁石44とを同じ部品にすることも可能であり、延いては、角度検出装置10の低コスト化を図ることが可能である。
以上説明したことを除き、本実施形態は第8実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第8実施形態と共通の構成から奏される効果を第8実施形態と同様に得ることができる。
(第10実施形態)
次に、第10実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第7実施形態と異なる点を主として説明する。
図53に示すように、本実施形態の角度検出装置10は、第1および第2磁気センサ51、52を第7実施形態と同様に備えるが、それに加え、磁気センサ20を備えている。本実施形態の磁気センサ20は、第4実施形態の磁気センサ20(図28参照)と同じものであり、その磁気センサ20の配置も第4実施形態と同様である。なお、本実施形態の説明では、第1および第2磁気センサ51、52との区別のため、磁気センサ20を第3磁気センサ20と称する。
また、本実施形態の制御装置29(図8参照)は、第7実施形態と同様に回転軸捩れ角度Twと被検出軸11の回転角度θとを算出する。但し、本実施形態の制御装置29は、図54のフローチャートに示された制御処理により、回転軸捩れ角度Twと被検出軸11の回転角度θとを算出する。
図54に示すように、制御装置29は、まず、ステップS01にて、第1および第2磁気センサ51、52のセンサ出力に基づき回転軸捩れ角度Twを算出する。すなわち、制御装置29は、第7実施形態と同様に、上記式F7~式F9を用いて回転軸捩れ角度Twを算出する。
ステップS01に続くステップS02では、制御装置29は、被検出軸11に捩れが発生しているか否かを判定する。具体的には、制御装置29は、回転軸捩れ角度Twが零か否かを判定する。
このステップS02において、回転軸捩れ角度Twが零であると判定された場合、すなわち、被検出軸11に捩れが無いと判定された場合には、ステップS03へ進む。その一方で、回転軸捩れ角度Twが零ではないと判定された場合、すなわち、被検出軸11に捩れが発生していると判定された場合には、ステップS04へ進む。
ステップS03では、制御装置29は、第3磁気センサ20のセンサ出力に基づき被検出軸11の回転角度θを算出する。すなわち、制御装置29は、第4実施形態と同様に、上記式F2を用いて合算磁界強さBφrを算出し、その算出した合算磁界強さBφrに基づき、回転角度推定マップMP2(図33参照)を用いて被検出軸11の回転角度θを推定する。
ステップS04では、制御装置29は、回転軸捩れ角度Twと第3磁気センサ20のセンサ出力とに基づき被検出軸11の回転角度θを算出する。すなわち、制御装置29は、第4実施形態と同様に、上記式F2を用いて合算磁界強さBφrを算出する。そして、制御装置29は、その算出した合算磁界強さBφrと回転軸捩れ角度Twとに基づき、所定の回転角度推定マップを用いて被検出軸11の回転角度θを推定する。
このステップS04で用いられる回転角度推定マップは、例えば合算磁界強さBφrと回転軸捩れ角度Twと被検出軸11の回転角度θとの関係を示したマップであり、予め実験的に設定されている。
上記のステップS03、S04では、合算磁界強さBφrに基づいた回転角度θの算出と併せて、制御装置29は、第7実施形態と同様に、上記式F12~式F14を用いて被検出軸11の回転角度θを算出してもよい。そのようにした場合には、制御装置29は、上記式F12~式F14を用いて得られた回転角度θと、合算磁界強さBφrに基づいて得られた回転角度θとを比較し、それらの回転角度θの差が所定の許容差以内であるか否かを確認する。
このようにすれば、その回転角度θの差が所定の許容差以内である場合には、合算磁界強さBφrに基づいて得られた回転角度θが精度の高い値であると認識することができる。その一方で、その回転角度θの差が所定の許容差よりも大きい場合には、例えば、制御装置29は、被検出軸11の回転角度θの算出にエラーが生じた可能性があると認識することができる。要するに、制御装置29は、被検出軸11の回転角度θを良好な精度で算出することができる。
以上説明したことを除き、本実施形態は第7実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第7実施形態と共通の構成から奏される効果を第7実施形態と同様に得ることができる。
(第11実施形態)
次に、第11実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第8実施形態と異なる点を主として説明する。
図55に示すように、本実施形態の角度検出装置10は、第1および第2磁気センサ51、52を第8実施形態と同様に備えるが、それに加え、磁気センサ20を備えている。本実施形態の磁気センサ20は、第6実施形態の磁気センサ20(図37参照)と同じものであり、その磁気センサ20の配置も第6実施形態と同様である。なお、本実施形態の説明では、第1および第2磁気センサ51、52との区別のため、磁気センサ20を第3磁気センサ20と称する。
また、本実施形態の制御装置29(図8参照)は、第8実施形態と同様に回転軸捩れ角度Twと被検出軸11の回転角度θとを算出する。例えば、本実施形態の制御装置29は、第10実施形態と同様にして、回転軸捩れ角度Twと被検出軸11の回転角度θとを算出する。
なお、本実施形態の第2従動歯車42と第2磁石44は、第8実施形態の第2従動歯車42および第2磁石44(図46参照)との比較で逆向きに回転する。このことを加味して、上記式F7、式F12中の各磁界成分Bmφ、Bmr、Bsφ、Bsrの正方向を定めれば、上記式F7~式F9、式F11~式F15を本実施形態でも用いることができる。
以上説明したことを除き、本実施形態は第8実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第8実施形態と共通の構成から奏される効果を第8実施形態と同様に得ることができる。
(他の実施形態)
(1)上述の第1実施形態では、図2に示すように、角度検出装置10は、一対の第1ヨーク24、25と一対の第2ヨーク26、27とを備えているが、これは一例である。例えば、角度検出装置10は、一対の第1ヨーク24、25と一対の第2ヨーク26、27とのうち一方を備えるが他方を備えていないという構成も考え得る。このことは、第2実施形態の角度検出装置10が備えるヨーク30、31、32、33に関しても同様である。
(2)上述の第1実施形態では、図1、図4、図5に示すように、第1延設面242a、252aの軸方向範囲H1yと第2延設面262a、272aの軸方向範囲H2yは何れも同じ範囲になっているが、これは一例である。例えば、それらの軸方向範囲H1y、H2yは、その一方が他方に対し部分的に重複するように形成されていても差し支えない。
(3)上述の第1実施形態では、図4に示すように、磁気センサ20と第1従動歯車14と第2従動歯車15は、第2軸方向D2aの一方側から、磁気センサ20、第1従動歯車14、第2従動歯車15の順に並んで配置されているが、これは一例である。例えば、各ヨーク24、25、26、27の形状によっては、磁気センサ20が第2軸方向D2aにおいて第1磁石18と第2磁石19との間の位置に配置されていることも考え得る。
(4)上述の第2実施形態では、図14に示すように、一対の第1ヨーク30、31は径第1方向R1を厚み方向とした平板状であり、一対の第2ヨーク32、33は径第2方向R2を厚み方向とした平板状であるが、これは一例である。例えば、一対の第1ヨーク30、31と一対の第2ヨーク32、33はそれぞれ、図56に示す形状であってもよい。その図56に示す例では、一対の第1ヨーク30、31と一対の第2ヨーク32、33はそれぞれ、第2軸方向D2aを厚み方向とした平板状であり、第2径方向D2rの外側の端縁が円弧状に湾曲した形状を成している。
また、別の例として、一対の第1ヨーク30、31と一対の第2ヨーク32、33はそれぞれ、図57に示す形状であってもよい。その図57に示す例では、図57~図59に示すように、一対の第1ヨーク30、31と一対の第2ヨーク32、33はそれぞれ、第2軸方向D2aを厚み方向とした2枚の平板状の板部と、第2径方向D2rの内側の端に設けられた連結部とを有している。そして、その2枚の板部は第2軸方向D2aに間隔をあけて積層配置され、連結部は、その積層配置された2枚の板部を第2径方向D2rの内側の端で第2軸方向D2aにつないでいる。更に、その2枚の板部は、第2径方向D2rの外側の端縁が円弧状に湾曲した形状を成している。
(5)上述の第3実施形態では、図20に示すように、一対を成すヨーク他端部352、362はそれぞれ、ヨーク35、36のうち第2径方向D2rの内側へ向かって延びた先端部分として構成されているが、これは一例である。
例えば、そのヨーク他端部352、362はそれぞれ、第2径方向D2rの内側へ向かって延びた部分から第2軸方向D2aへ折り曲げられた先端部分で構成されていてもよい。そのようにすれば、ヨーク他端部352、362はそれぞれ、第2軸方向D2aへ延びて互いに対向する他端部対向面を有し、磁気センサ20は、その他端部対向面の相互間の磁束を検出する。
(6)上述の第3実施形態では、図20に示すように、第2軸方向D2aにおける磁石18と磁気センサ20との間には、非磁性体である第2従動歯車15は設けられているが、磁性体は設けられていない。これは一例であり、例えば図60に示すように、角度検出装置10は、磁石18と磁気センサ20との間に配置され磁性体で構成された補助ヨーク37を備えていてもよい。その補助ヨーク37は、第2軸方向D2aを厚み方向として第2径方向D2rへ拡がる板状を成している。例えば、補助ヨーク37は、第2従動歯車15に固定されている。
例えばその補助ヨーク37が設けられていない場合には、例えば図61に示すように、一対のヨーク35、36から外れて漏れ出た磁束などの外乱磁界が磁気センサ20に鎖交する。これに対し、図60に示すように補助ヨーク37が設けられている場合には、その補助ヨーク37は、外乱磁界を引き寄せるので、磁気センサ20に鎖交する外乱磁界を低減することができる。なお、図24の矢印C1と、図60および図61の記号C2、C3は、外乱磁界の磁束の流れを表している。
(7)上述の第1実施形態では、例えば図4において紙面上側の主動歯車12が第1主動歯車と称され、紙面下側の主動歯車13が第2主動歯車と称されているが、これは一例である。例えば主動歯車12、13に用いられる「第1」、「第2」の呼称を第1実施形態と比較して逆にしても差し支えない。これと同様に、従動歯車14、15、磁石18、19、およびヨーク24、25、26、27に用いられる「第1」、「第2」の呼称も、第1実施形態と比較してそれぞれ逆にして差し支えない。このような角度検出装置10の構成要素に用いられる「第1」、「第2」の呼称の取扱いについては、第2実施形態以降でも同様である。
(8)上述の第6実施形態では、図37に示すように、磁気センサ20の全体が重複領域V12b内に入っているが、これは一例である。その重複領域V12b内に磁気センサ20の全体が入っていてもよいし、磁気センサ20の一部分が入っているだけでもよい。このことは、第6実施形態以外の実施形態における磁気センサ20、51、52と重複領域V12a、V12bまたは軸方向範囲V1a、V1b、V2a、V2bとの位置関係についても同様である。
(9)上述の第7実施形態において、回転軸捩れ角度Twは、上記式F7~式F9を用いて算出されるが、これは一例である。例えば第4実施形態における被検出軸11の回転角度θの算出と同様に、回転軸捩れ角度Twは、予め実験的に設定された捩れ角度推定マップを用いて各磁界成分Bmφ、Bmr、Bsφ、Bsrに基づいて算出されても差し支えない。このことは、第8~第11実施形態における回転軸捩れ角度Twの算出に関しても同様である。
(10)上述の第7実施形態において、被検出軸11の回転角度θは、上記式F12~式F14を用いて算出されるが、これは一例である。例えば第4実施形態と同様に、被検出軸11の回転角度θは、予め実験的に設定された回転角度推定マップを用いて各磁界成分Bmφ、Bmr、Bsφ、Bsrと回転軸捩れ角度Twとに基づいて算出されても差し支えない。このことは、第8、第9実施形態における被検出軸11の回転角度θの算出に関しても同様である。
(11)上述の第8実施形態では、図46に示すように角度検出装置10は複数の歯車39、40、41、42を備えているが、これは一例である。例えば図62に示すように、角度検出装置10がそれらの歯車39、40、41、42を備えていない構成も想定できる。
その図62の例では、第1磁石43は、第1回転軸111に対し相対回転不能に嵌合しており、主軸心CLmを中心に第1回転軸111と一体回転する。第2磁石44は、第2回転軸112に対し相対回転不能に嵌合しており、主軸心CLmを中心に第2回転軸112と一体回転する。そのため、第1磁石43と第2磁石44は、主軸心CLmを中心に、互いに同じ回転速度で回転する。
例えば第1磁石43と第2磁石44の極対数はそれぞれ1であり、第1磁石43の着磁方向MDaと第2磁石44の着磁方向MDbは何れも、主軸心径方向DMrとなっている。
また、第8実施形態と同様に図62の例でも、第1磁気センサ51は第1磁石43の径方向外側に配置され、第2磁気センサ52は第2磁石44の径方向外側に配置されている。
この図62の例でも、回転軸捩れ角度Twと被検出軸11の回転角度θとを算出することができる。但し、第1磁石43と第2磁石44は互いに同じ回転速度で回転するので、検出可能な回転角度θの範囲は、被検出軸11の1回転未満である。
このような歯車39、40、41、42が無い構成により、角度検出装置10の機械的構造の簡素化を図ることができる。
(12)なお、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。
また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。
また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。