本発明は、トイレにおいて便器を設置したブースに入口扉および出口扉を別々に設け、使用者の動作の検知結果に基づいて入口扉および出口扉のロック状態を制御することで、ブースに対する使用者の一方通行の動作を実現し、使用者同士のすれ違いを無くそうとするものである。以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態に係るトイレシステム1は、公共のトイレ施設100において、ブース2内に便器3を設置した構成を備える。図1では、トイレ施設100において、3つのトイレシステム1がブース2同士を隣接させるように一列に配設された構成例が示されている。
ブース2は、互いに対向した前壁部4および後壁部5と、互いに対向した側壁部6,7とを有し、これらの壁部によって平面視で矩形状のプライベートな空間をなす小部屋として構成されている。3つのトイレシステム1は、後側のブース2の前壁部4を前側のブース2の後壁部5に隣接させるように前後方向(図1における左右方向)に連設されている。なお、後側のブース2の前壁部4と前側のブース2の後壁部5とを1枚の壁とした構成、つまり隣接したブース2同士が1枚の壁により仕切られた構成であってもよい。
ブース2内における後壁部5側寄りのスペースに、便器3を含む便器装置10が設けられている。便器装置10は、ブース2内において、後壁部5の直前方の位置に、前後方向をブース2の前後方向とする向きで設置されている。便器装置10は、便器本体として、トイレシステム1の使用者(以下単に「使用者」という。)の排泄物を受けるボウル部をなす便器3を有し、腰掛式の水洗大便器を構成している。なお、便器装置10は、その前後方向をブース2の左右方向とする向きで設置されていてもよい。
ブース2内において、便器装置10の左右一側(図1において下側)には、便器3に対する使用者の着座や起立の際に用いられる手摺11が設けられている。また、ブース2内において、便器装置10の左右他側に(図1において上側)には、側壁部7に沿ってキャビネット12が設けられている。キャビネット12のカウンター面上には、手洗水洗および手洗器を含む手洗部13が設けられている。
トイレシステム1は、ブース2の一側に設けられた入口15を開閉する入口扉16と、ブース2の入口15と異なる側に設けられた出口17を開閉する出口扉18とを備える。
本実施形態に係るブース2においては、一側の側壁部6の前側の部分に、使用者がブース2内に入るための入口15が設けられており、入口15に入口扉16が設けられている。また、他側の側壁部7の前側の部分に、使用者がブース2から外に出るための出口17が設けられており、出口17に出口扉18が設けられている。入口扉16および出口扉18は、いずれも側壁部6,7に沿って開閉動作を行う引き戸として構成されている。
すなわち、入口扉16は、入口15の開閉動作として、一側の側壁部6に沿って前後方向の移動を行い(矢印A1参照)、前方に移動して入口15を塞ぐことで入口15を閉状態とし、入口15の閉状態から後方に移動することで入口15を開状態とする。また、出口扉18は、出口17の開閉動作として、他側の側壁部7に沿って前後方向の移動を行い(矢印A2参照)、前方に移動して出口17を塞ぐことで出口17を閉状態とし、出口17の閉状態から後方に移動することで出口17を開状態とする。
なお、入口扉16および出口扉18の構成は、引き戸タイプに限定されるものではない。トイレシステム1が備える扉の構成は、例えば、開き戸タイプや折り戸タイプ、あるいは例えば円弧状の軌道に沿って移動する回転タイプ等の構成であってもよい。
ブース2において、入口15と出口17とは、便器装置10の設置スペースの前側のスペースの両側で、互いに対向した位置に設けられている。すなわち、ブース2は、後側のスペースを、便器装置10等を設置したトイレスペース2aとし、トイレスペース2aの前側のスペースを、入口15と出口17との間の通路スペース2bとしている。
トイレシステム1は、入口扉16をロックするための入口扉用ロック装置21と、出口扉18をロックするための出口扉用ロック装置22とを備える。これらのロック装置は、便器装置10の使用中にブース2の外部から扉が開けられないように各扉の施錠を行うための装置であり、ロックされた状態(施錠状態)となることで、閉じた状態の扉について、ブース2を形成する壁部に対する扉の移動を規制して扉の閉状態を保持する。
図2に示すように、入口扉用ロック装置21および出口扉用ロック装置22は、トイレシステム1が備える制御部20に接続されている。入口扉用ロック装置21および出口扉用ロック装置22による扉のロック状態、つまりロック装置のロック動作は、制御部20により制御される。
入口扉用ロック装置21および出口扉用ロック装置22は、例えば、動作部分としてのロックアクチュエータを有し、制御部20からの制御信号の入力を受けてロックアクチュエータを動作させ、ロック動作またはアンロック動作を行う。ここで、ロック動作は、ロック装置がアンロックの状態(施錠解除状態)からロックされた状態となる動作であり、アンロック動作は、ロックされた状態からアンロックの状態となる動作である。
本実施形態では、入口扉用ロック装置21は、ロック動作については、使用者による手動で行われ、アンロック動作については、制御部20による制御動作として自動で行われるように構成されている。入口扉用ロック装置21は、そのロック動作について、ボタンやスイッチ等の操作部の操作によってロック動作を行うように構成されたものであってもよく、ロック機構に対する機械的な施錠動作によってロック動作を行うように構成されたものであってもよい。
また、本実施形態では、出口扉用ロック装置22は、ロック動作およびアンロック動作のいずれについても制御部20による制御動作として自動で行われるように構成されている。なお、入口扉用ロック装置21も、出口扉用ロック装置22と同様に、ロック動作およびアンロック動作のいずれも制御部20による自動制御であってもよい。
制御部20は、各種演算処理や制御を実行する演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)、RAM(random access memory)やROM(read only memory)等の記憶装置、データ入出力用の入出力インターフェイス等の入出力装置(入出力回路)、クロック回路等の周辺回路等をバス等により接続した構成を備える。また、制御部20は、時間計測のためのタイマを有する。制御部20のCPUは、ROM等に記憶された各種のプログラムに従って演算処理を行う。
また、制御部20は、トイレシステム1の使用状況に応じて入力されるセンサ信号に基づいて所定の条件が満たされた場合にアラーム信号を発信する機能部を有する。このアラーム信号は、例えば、無線通信モジュールが用いられ、トイレ施設100とは別の場所に設けられた管理室の管理者に対して報知される。報知を行うための構成としては、光や音、あるいは電子メール等のメッセージ送信等が適宜用いられる。
入口扉16および出口扉18は、それぞれ入口扉自動ドアセンサ25および出口扉自動ドアセンサ26による検出信号に基づいて開閉動作を行う自動ドアとして構成されている。自動ドアセンサ(25,26)は、例えば、赤外線やマイクロ波を用いたセンサであり、扉の前に存在する人体を検知するために用いられる。
図2に示すように、入口扉自動ドアセンサ25および出口扉自動ドアセンサ26は、それぞれ制御部20に接続されており、センサ出力としての検出信号を制御部20に送信する。入口扉16および出口扉18は、それぞれモータ等の駆動源を含む駆動装置(図示略)を備えている。各扉の駆動装置の動作は、自動ドアセンサ(25,26)のセンサ出力に基づいて、制御部20により制御される。
すなわち、入口扉16が閉じている状態において、入口扉自動ドアセンサ25により人体が検知されることで、制御部20により入口扉16の駆動装置が駆動させられて入口扉16が開く。同様に、出口扉18が閉じている状態において、出口扉自動ドアセンサ26により人体が検知されることで、制御部20により出口扉18の駆動装置が駆動させられて出口扉18が開く。
入口扉自動ドアセンサ25は、入口扉16において、入口扉16の外側(ブース2の外側)の前に立つ人体を検知する位置に設けられている。例えば、入口扉自動ドアセンサ25は、入口扉16の外側の上端部に設けられる。つまり、入口扉16は、入口15によりブース2外からブース2内に入ろうとする使用者に対し、かかる使用者を入口扉自動ドアセンサ25によって検知することで、自動で開くように構成されている。また、入口扉16は、ブース2の内側からは、自動ドアとしての機能によっては開かないように構成されている。このように、入口扉16は、自動ドアとして、外側からしか開かないように構成されている。
出口扉自動ドアセンサ26は、出口扉18において、出口扉18の内側(ブース2の内側)の前に立つ人体を検知する位置に設けられている。例えば、出口扉自動ドアセンサ26は、出口扉18の内側の上端部に設けられる。つまり、出口扉18は、出口17によりブース2内からブース2外に出ようとする使用者に対し、かかる使用者を出口扉自動ドアセンサ26によって検知することで、自動で開くように構成されている。また、出口扉18は、ブース2の外側からは、自動ドアとしての機能によっては開かないように構成されている。このように、出口扉18は、自動ドアとして、内側からしか開かないように構成されている。
このように入口扉16および出口扉18が自動ドアとしての機能を有する構成において、各扉について、制御部20により、入口扉用ロック装置21および出口扉用ロック装置22との関係で次のような制御が行われる。
入口扉16は、入口扉用ロック装置21がロックされた状態においては、自動ドアとしての機能を停止し、入口扉自動ドアセンサ25による検知範囲に人体が入っても開動作を行わないように制御される。すなわち、入口扉自動ドアセンサ25による入口扉16の自動ドアとしての機能は、入口扉用ロック装置21がアンロックの状態でのみ有効となる。
出口扉18については、出口扉用ロック装置22は、通常はロックされた状態となっており、出口扉自動ドアセンサ26によって人体が検知されることで、出口扉用ロック装置22がアンロックの状態となるとともに、出口扉18が自動で開くように制御される。そして、自動で開いた出口扉18が閉じた後、出口扉用ロック装置22がロックされた状態となる。これにより、出口扉18は外側からは開かない構成となっている。
制御部20への入力信号には、入口扉16および出口扉18の開閉状態についての検知信号が含まれる。この検知信号は、制御部20による入口扉用ロック装置21および出口扉用ロック装置22の動作制御に適宜用いられる。
また、トイレシステム1は、ブース2からの使用者の退出を検知するための退出検知用センサとしての人感センサ28を備える。本実施形態では、人感センサ28は、ブース2内の人体を検知するためのセンサであり、ブース2内に人体が存在することを検知するように設けられている。すなわち、人感センサ28によってブース2内に人体が存在することが検知されなくなることが、ブース2からの使用者の退出として検知される。
このように、本実施形態では、人感センサ28は、ブース2内に使用者が存在することを検知するための使用者検知用センサとして機能する。
人感センサ28は、例えば、赤外線信号を利用した焦電センサや、マイクロ波を用いたマイクロ波ドップラセンサ等の電波センサや、超音波を用いた超音波センサや、CCD(charge-coupled device)センサである。図2に示すように、人感センサ28は、制御部20に接続されており、検知信号を制御部20に対して出力する。人感センサ28は、ブース2内において、例えば天井や後壁部5等の壁部に対して設置され、ブース2内の使用者の有無を検出する。なお、人感センサ28としては、例えば感圧センサを用いた重量センサが用いられてもよい。
人感センサ28は、例えば、入口扉自動ドアセンサ25の検知信号に基づいて入口扉16を開動作させる制御と連動させ、入口扉16の開動作から一定時間の間検知動作を行うように制御される。ただし、人感センサ28は、常時検知動作を行うように制御されてもよい。
また、トイレシステム1においては、ブース2が使用中であることを示す表示装置が設けられてもよい。表示装置は、例えば、入口扉16が設けられる側壁部6等において、ブース2外から視認可能な位置に設けられる。表示装置は、例えば入口扉16および出口扉18の開閉状態についての検知信号等に基づいて制御部20により制御される。
以上のような構成を備えた本実施形態のトイレシステム1は、制御部20により、人感センサ28の検出信号に基づいて入口扉16のロック状態を制御するように構成されている。
使用者は、入口扉自動ドアセンサ25によって検知されて自動的に入口扉16が開くことで、入口15からブース2に入室した後、自分で(手動で)入口扉用ロック装置21をロックする。ブース2に入室した使用者は、人感センサ28によって検知される。使用者は、便器装置10を使用した後(用が済んだ後)、出口17から退室する際、出口扉自動ドアセンサ26によって検知されることで開いた出口扉18から出て行く。
このような使用者の一連の動作態様において、制御部20は、一旦人感センサ28からの検出信号によりブース2内の使用者を検知した後は、人感センサ28によってブース2内の使用者が検知されなくなるまで、つまり使用者の退出が検知されるまでは、使用者によってロックされた入口扉用ロック装置21のロックした状態を保持する。そして、制御部20は、人感センサ28によってブース2からの使用者の退出を検知することで、使用者によりロックされた入口扉用ロック装置21をアンロックの状態とする(アンロック動作をさせる)。
なお、入口扉用ロック装置21のロック動作が制御部20の制御によって自動で行われる構成の場合、入口扉16のロックは自動で行われることになる。この場合、制御部20は、例えば、人感センサ28によってブース2内に入室した使用者を検知したことを条件として、使用者を検知してから所定時間経過後、入口扉16の閉動作および入口扉用ロック装置21のロック動作を行う。
また、本実施形態のトイレシステム1は、制御部20により、人感センサ28の検出信号に基づいて出口扉18のロック状態を制御するように構成されている。
上述したような使用者の一連の動作態様において、制御部20は、出口17から退室しようとする使用者を出口扉自動ドアセンサ26により検知して出口扉18を開動作させるに際し、出口扉用ロック装置22をアンロックの状態とする。その後、制御部20は、出口扉18を閉動作させ、人感センサ28によりブース2内の使用者が検出されなくなってから一定時間経過後に、出口扉用ロック装置22をロック状態とする。すなわち、制御部20は、人感センサ28によってブース2からの使用者の退出を検知してから所定の時間が経過した後に、出口扉18の自動ドアの機能にともなってアンロックの状態となっている出口扉用ロック装置22をロックした状態とする(ロック動作をさせる)。
また、本実施形態のトイレシステム1は、制御部20により、人感センサ28の検出信号によりブース2内に使用者が存在することを検知した後、出口扉18のロックを解除するまでは、入口扉16をロックした状態を保持するように構成されている。
上述したような使用者の一連の動作態様において、制御部20は、使用者によってロックされた入口扉用ロック装置21のロックを解除するための条件を、出口扉自動ドアセンサ26によって出口扉18に開動作させる際の出口扉用ロック装置22のアンロック動作とし、かかる条件が満たされたことを契機として、入口扉用ロック装置21をアンロック動作させる。この場合、制御部20は、人感センサ28によりブース2内の使用者を検知した後は、人感センサ28による検出信号にかかわらず、出口扉用ロック装置22をアンロック動作させるまでは、入口扉用ロック装置21のロックを保持し、出口扉用ロック装置22のアンロック動作を契機として、入口扉用ロック装置21のロックを解除する。
また、本実施形態のトイレシステム1は、制御部20により、人感センサ28の検出信号によりブース2からの使用者の退出を検知すると、入口扉16のロックの解除、および出口扉18の施錠を行うように構成されている。
上述したような使用者の一連の動作態様において、制御部20は、人感センサ28によりブース2内の使用者を検知した後、人感センサ28により使用者の退出を検知することを条件として、使用者によりロックされた入口扉用ロック装置21をアンロックの状態とするとともに、使用者の退室に際してアンロックとされた出口扉用ロック装置22をロックした状態とする。
ここで、制御部20による入口扉16のロックの解除(アンロック動作)、および出口扉18の施錠(ロック動作)は、同時に行われてもよく、互いに異なるタイミングで順番に行われてもよい。これらの動作が順番に行われる場合は、入口扉16のアンロック動作が先でも、出口扉18のロック動作が先でもよい。
また、制御部20による入口扉16のアンロック動作および出口扉18のロック動作は、人感センサ28の検出信号によりブース2からの使用者の退出を検知した時点から所定時間経過後に行われてもよい。
具体的には、制御部20は、タイマにより時間を計測し、人感センサ28によりブース2からの使用者の退出を検知した時を時刻t0とした場合、時刻t0から所定時間T0(例えば10秒)経過した時刻t1に、入口扉16のアンロック動作および出口扉18のロック動作を行う。所定時間T0は、制御部20のROM等にあらかじめ記憶され設定される。
ここで、入口扉16のアンロック動作および出口扉18のロック動作は、互いに異なるタイミングで行われてもよい。この場合、例えば、入口扉16のアンロック動作が、時刻t0から第1の所定時間T1経過後に行われ、出口扉18のロック動作が、時刻t0から第1の所定時間T1と異なる第2の所定時間T2経過後に行われる。第1の所定時間T1と第2の所定時間T2の長短関係は特に限定されない。これらの所定時間も、制御部20のROM等にあらかじめ記憶され設定される。
以上のような構成を備えた本実施形態のトイレシステム1による制御態様の一例について、使用者の動作とともに、図3から図5を用いて説明する。
図3に示すように、トイレシステム1の待機状態(S10)においては、入口扉16は閉じた状態であり、入口扉用ロック装置21はアンロックの状態である。つまり、入口扉16は、入口扉自動ドアセンサ25の検知に基づく開動作の待ち状態となっている。また、出口扉18は閉じた状態であり、出口扉用ロック装置22はロックされた状態である。つまり、出口扉18の外側からはブース2内に入れないようになっている。このトイレシステム1の待機状態は、前の使用者がブース2から退出した後の状態でもある。
図4Aに示すように、使用者30が、入口15からブース2内に入るため、入口扉16の前に立つことで、入口扉自動ドアセンサ25によって検知される。これにより、図4Bに示すように、入口扉16が自動で開き(矢印B1参照)、使用者30がブース2内に入室する(図3、S20、図4、矢印B2参照)。なお、図4および図5に示す例では、使用者30の後に、トイレシステム1の使用を待つ使用待機者30Aを示している。
図3に示すように、ブース2内に入室した使用者30は、入口扉16をロックする(S30)。すなわち、図4Cに示すように、自動で開いた入口扉16は自動で閉じ(矢印B3参照)、ブース2内に入室した使用者30は、入口扉16が閉じた状態において、手動により入口扉用ロック装置21をロック動作させ、入口扉用ロック装置21をロックした状態とする。
なお、入口扉用ロック装置21のロック動作が制御部20の制御によって自動で行われる構成の場合、ステップS30における入口扉16のロックは、上述したように人感センサ28による検出信号に基づいて自動で行われることになる。
ブース2内の使用者30の存在は、人感センサ28により検知される。ブース2に入室した使用者30は、便器装置10やキャビネット12上の手洗部13等を適宜使用する。ここで、制御部20は、人感センサ28により使用者30を検知してからタイマによる時間の計測を開始し、人感センサ28による検知状態の継続時間が、あらかじめ設定された一定時間Ta以上となるか否かを判断する(S40)。
ステップS40において、制御部20は、タイマによる計測時間が一定時間Ta以上となった場合(S40、YES)、つまり人感センサ28により使用者30を検知した時点から一定時間Taが経過した場合、アラーム信号を送信し、トイレ施設100とは別の場所に設けられた管理室の管理者に対する報知を行う(S50)。すなわち、この場合は、ブース2内に入室した使用者30が一定時間以上経過してもブース2内に存在することとなり、アラーム信号を送信する。これにより、例えば、ブース2内で使用者が急病等で動けなくなったり倒れ込んだりした場合に、そのような使用者を速やかに発見することが可能となる。
一方、ステップS40において、制御部20のタイマによる計測時間が一定時間Ta以上となる前に(S40、NO)、ブース2内で用を済ませた使用者30がブース2から退室しようとした場合、次のような制御が行われる。
図3に示すように、出口17からブース2外に入ようとする使用者30が出口扉18の前に立つことで、使用者30が出口扉自動ドアセンサ26によって検知され、出口扉18が自動で開き(S60)、使用者30が退室する。
すなわち、図5Aに示すように、出口扉18の前に立った使用者30が出口扉自動ドアセンサ26によって検知されることで、制御部20の制御によって出口扉用ロック装置22がアンロック動作を行い、図5Bに示すように、出口扉18が自動で開く(矢印C1参照)。これにより、使用者30は出口17からブース2外に退室する(矢印C2参照)。
出口扉18が自動で開いた後、一定時間経過後、出口扉18が自動で閉じ、出口扉用ロック装置22が自動でロックされる(S70)。すなわち、図5Cに示すように、制御部20は、出口扉18を自動で開いた時点から、あらかじめ設定された一定時間Tb経過後、出口扉18を自動で閉じ(矢印C3参照)、出口扉用ロック装置22にロック動作をさせ、出口扉用ロック装置22をロックした状態とする。
制御部20は、出口扉用ロック装置22にロック動作をさせた後、人感センサ28による人体の感知、つまり人感センサ28からの検出信号の有無を判断する(S80)。
ステップS80において、人感センサ28による人体の感知が有った場合(S80、YES)、処理はステップS40に戻る。すなわち、この場合、使用者30は、出口17から退室せずにブース2内に残った状態で、出口扉18の施錠動作のみが行われたこととなる。
一方、ステップS80において、人感センサ28による人体の感知が無かった場合(S80、NO)、トイレシステム1は待機状態に戻る(S10)。すなわち、この場合、制御部20は、使用者30のブース2からの退出を検知したとして、ステップS30において使用者30により手動でロックされた入口扉用ロック装置21にアンロック動作をさせ、入口扉16を、入口扉自動ドアセンサ25の検知に基づく開動作が可能な状態(待ち状態)とする。これにより、トイレシステム1は、使用者30の次の使用者となる使用待機者30Aのブース2内への受け入れが可能な状態となる。
出口17から退室した使用者30は、閉じた状態の出口扉18および入口扉16を介してブース2の反対側にいる使用待機者30Aと顔を合わせることなく、つまり使用待機者30Aとすれ違うことなく、ブース2を退室することができ、トイレ施設100から立ち去ることができる。
以上のように、本実施形態に係るトイレシステム1は、ブース2内に人感センサ28を備え、人感センサ28の検出信号に基づいて入口扉16のロック状態を制御する制御部20を備える。本実施形態において、入口扉16のロック状態を制御することには、制御部20が、人感センサ28によってブース2からの使用者の退出を検知した際に、入口扉用ロック装置21にアンロック動作をさせることが含まれる。かかる制御動作は、図3に示すフロー図において、ステップS80において人感センサ28による人体の感知が無かった場合(S80、NO)の制御動作に該当する。
また、入口扉用ロック装置21のロック動作が制御部20の制御によって自動で行われる構成の場合、入口扉16のロック状態を制御することには、制御部20が、人感センサ28によってブース2内への使用者の入室を検知した際に、入口扉用ロック装置21にロック動作をさせることが含まれる。
以上のような構成を備えた本実施形態に係るトイレシステム1によれば、ブース2に対する入退室時における他者(使用待機者30A)とのすれ違いを無くすことができ、快適性を向上することができる。
すなわち、トイレシステム1においては、人感センサ28によってブース2からの使用者の退出が検知されることで、入口扉16のロックが解除され、入口15からのブース2内への入室が可能となる。これにより、ブース2に入ろうとする人とブース2から出ようとする人との鉢合わせを抑制することができ、他人とすれ違うことによる不快さを無くすことが可能となる。
また、本実施形態のトイレシステム1において、制御部20は、人感センサ28の検出信号に基づいて出口扉18のロック状態を制御する。
このような構成によれば、例えば、一旦出口17からブース2の外に出た使用者が、出口17からブース2内に入室することを防ぐことができる。これにより、一旦出口17からブース2の外に出た使用者と、入口15からブース2内に入った使用者との鉢合わせを防ぐことができ、使用者同士のすれ違いを効果的に防止することができる。
また、本実施形態のトイレシステム1において、制御部20は、人感センサ28によりブース2内の使用者の存在を検知した後、出口扉18のロックを解除するまでは、入口扉16のロックを保持する。すなわち、ブース2内に使用者がいることを検知した後は、出口扉18が開くまでは、ブース2内に人が存在することになるため、入口扉16を開かない状態に保持する制御が行われる。
図3に示すフロー図においては、制御部20は、使用者のブース2内への入室(S20)を人感センサ28により検知した後、出口扉18が開く際(S60)に出口扉用ロック装置22にアンロック動作をさせるまでは、入口扉用ロック装置21をロックした状態を保持する。特に、図3に示すフロー図による制御態様の一例では、制御部20は、出口扉18を開いてから(S60)、出口扉18をロックし(S70)、その後、人感センサ28によりブース2内の使用者の存在が検知されなくなったことを条件として、入口扉16のロックを解除する。
このような構成によれば、前の使用者がブース2から外に出るまでは、次の使用者がブース2に入ることが規制されるため、ブース2内で使用者同士が鉢合わせとなることを防止することができる。これにより、使用者同士のすれ違いを効果的に防止することができ、快適性を向上することができる。
また、本実施形態のトイレシステム1において、制御部20は、人感センサ28によりブース2からの使用者の退出を検知することを条件として、入口扉16のロックの解除、および出口扉18の施錠を行う。
図3に示すフロー図においては、入口扉16のロックの解除については、制御部20は、出口扉18の施錠を行った(S70)後、人感センサ28によって使用者の退出を検知した場合に(S80、NO)、トイレシステム1の待機状態(S10)に戻るべく、入口扉16のロックの解除を行う。
一方、出口扉18の施錠については、制御部20は、出口扉18を開いた後(S60)、一定時間経過後に出口扉18の施錠を行う(S70)。これに対し、制御部20により、出口扉18を開いた後(S60)、人感センサ28によって使用者の退出を検知したことを条件として(S80、NO)、出口扉18の施錠を行うこととしてもよい。すなわち、人感センサ28によって使用者の退出を検知した場合に(S80、NO)、トイレシステム1の待機状態(S10)に戻るべく、入口扉16のロックの解除と、出口扉18の施錠とが行われるような制御態様としてもよい。
このような構成によれば、人が出口17からブース2内に入ることを防ぐことができるとともに、入口15からブース2内に入ろうとする使用者の受け入れ態勢を速やかに整えることが可能となる。これにより、トイレシステム1の使用における快適性を向上することができる。
また、本実施形態のトイレシステム1において、制御部20は、人感センサ28によりブース2からの使用者の退出を検知してから所定時間経過後に、入口扉16のロックの解除、および出口扉18の施錠を行う。
このような構成によれば、使用者による利用態様等に応じて時間を調整することで、入口扉16のロックの解除、および出口扉18の施錠のタイミングを調整することが可能となる。これにより、使用者同士のすれ違いを防止することができるとともに、トイレシステム1の使用における快適性を効果的に向上することができる。
以上のような本実施形態のトイレシステム1によれば、ブース2内に人がいる状態では、室内からでないと、入口扉16および出口扉18のどちらの扉も開かないことになる。すなわち、入口扉用ロック装置21がアンロックの状態のときは、ブース2内に人がいない状態であり、出口扉用ロック装置22はロックされた状態である。また、出口扉用ロック装置22がアンロックの状態となるときは、ブース2内の人が出ようとするときであり、入口扉用ロック装置21はロックされた状態となっている。
このように、本実施形態のトイレシステム1によれば、入口15から出口17への使用者の一方通行の動線を守らせることができる。そして、ブース2の室内に人が1人でもいれば、入口扉用ロック装置21のロックされた状態が保持されて入口扉16が開かないため、ブース2内での待ち伏せを防止することができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と共通する部分については共通の符号を用いる等して適宜説明を省略する。図6に示すように、本実施形態に係るトイレシステム1Aは、第1実施形態に係る人感センサ28を備えず、出口扉18において、第2の出口扉自動ドアセンサである出口扉外側ドアセンサ36を備える。
出口扉外側ドアセンサ36は、例えば、赤外線やマイクロ波を用いたセンサであり、出口扉18の外側(ブース2の外側)の前に存在する人体を検知するために用いられる。出口扉外側ドアセンサ36は、ブース2からの使用者の退出を検知するための退出検知用センサとして機能する。
出口扉外側ドアセンサ36は、出口17からブース2の外に出た人体を検知するためのセンサであり、出口扉18の外側(ブース2の外側)の前に存在する人体を検知する位置に設けられる。出口扉外側ドアセンサ36は、例えば、出口扉18の外側の上端部に設けられる。出口扉外側ドアセンサ36によって人体の存在が検知されることが、ブース2からの使用者の退出として検知される。
例えば、使用者がブース2の出口17から退室した際、出口扉18が開いた状態において、出口扉外側ドアセンサ36によって人体が検知された場合に、出口扉18の閉動作が行われる。すなわち、この場合、ブース2から退室した使用者が出口扉外側ドアセンサ36によって検知されるまでは、出口扉18の開状態が保持され、出口扉外側ドアセンサ36によって人体が検知されることを条件として、出口扉18が閉じられる。
図7に示すように、出口扉外側ドアセンサ36は、制御部20に接続されており、センサ出力としての検出信号を制御部20に送信する。出口扉外側ドアセンサ36のセンサ出力に基づいて、出口扉18の駆動装置の動作が制御部20により制御される。すなわち、出口扉18が開いている状態において、出口扉外側ドアセンサ36により人体が検知されることで、制御部20により出口扉18の駆動装置が駆動させられて出口扉18が閉じる。
出口扉外側ドアセンサ36は、例えば、出口扉自動ドアセンサ26の検知信号に基づいて出口扉18を開動作させる制御と連動させ、出口扉18の開動作から一定時間の間検知動作を行うように制御される。ただし、出口扉外側ドアセンサ36は、常時検知動作を行うように制御されてもよい。
また、本実施形態に係るトイレシステム1Aにおいては、出口17の外側に、出口扉外側ドアセンサ36による検知に関し、トイレシステム1Aの使用とは無関係な人の検知を防ぐための障壁となる囲い壁部38が設けられている。囲い壁部38は、ブース2の前壁部4を左方(図6における上方)に向けて延設した態様の前側壁部と、前側壁部の左端から後方(図6における左方)に向けて延設した態様の左側壁部とを有し、これらの壁部によって平面視で直角状をなす屈曲壁部として構成されている。
このように、囲い壁部38は、出口17の外側を、前側(図6において右側)および左側(図6において上側)から囲むように設けられている。囲い壁部38によれば、ブース2の外において出口扉18の近傍を歩いている人が、出口扉外側ドアセンサ36によって不意に検知されることが防がれる。なお、囲い壁部38の形状は、本実施形態に限定されるものではなく、出口扉外側ドアセンサ36の誤検知を防止すべく適宜の形状が採用される。
出口17の外側であって囲い壁部38の内側のスペースは、出口扉外側ドアセンサ36による人体の検知範囲となる。囲い壁部38によれば、出口17から出た使用者は、自己の右側および正面側が囲い壁部38によって遮られ、自己の左側(図6において左側)に進むように案内されることになる。
また、本実施形態に係るトイレシステム1Aは、ブース2内において、入口扉開閉ボタン40を備える。入口扉開閉ボタン40は、入口15からブース2内に入った使用者によって操作される入口扉16についての開閉操作部である。
入口扉開閉ボタン40としては、入口扉16を開動作させるための開ボタンと、入口扉16を閉動作させるための閉ボタンとが設けられている。入口扉開閉ボタン40は、例えば前壁部4の右側(図6における下側)の部位など、ブース2内における入口扉16の近傍の位置に設けられる。なお、入口扉開閉ボタン40は、入口扉16に設けられてもよい。
図7に示すように、入口扉開閉ボタン40は、制御部20に接続されており、出力信号としての操作信号を制御部20に送信する。入口扉開閉ボタン40の操作信号に基づいて、入口扉16の開閉動作が制御部20により制御される。
すなわち、入口扉16が閉じている状態において、入口扉開閉ボタン40が開操作されることで、制御部20により入口扉16の駆動装置が駆動させられて入口扉16が開く。ここで、入口扉用ロック装置21がロックされた状態となっている場合は、制御部20は、ロックを解除し、入口扉16を開動作させる。また、入口扉16が開いている状態において、入口扉開閉ボタン40が閉操作されることで、制御部20により入口扉16の駆動装置が駆動させられて入口扉16が閉じる。入口扉16は、ブース2の内側からは、入口扉開閉ボタン40の開操作によってしか開かないことになる。
以上のような構成を備えた本実施形態のトイレシステム1Aは、制御部20により、出口扉外側ドアセンサ36の検出信号に基づいて入口扉16のロック状態を制御するように構成されている。
すなわち、上述したような使用者の一連の動作態様において、制御部20は、出口扉外側ドアセンサ36によってブース2から出た使用者を検知するまで、つまり使用者の退出が検知されるまでは、使用者によってロックされた入口扉用ロック装置21のロックした状態を保持する。そして、制御部20は、出口扉外側ドアセンサ36によってブース2からの使用者の退出を検知することで、使用者によりロックされた入口扉用ロック装置21をアンロックの状態とする。
また、本実施形態のトイレシステム1Aは、制御部20により、出口扉外側ドアセンサ36の検出信号に基づいて出口扉18のロック状態を制御するように構成されている。
上述したような使用者の一連の動作態様において、制御部20は、出口17から退室しようとする使用者を出口扉自動ドアセンサ26により検知して出口扉18を開動作させるに際し、出口扉用ロック装置22をアンロックの状態とする。その後、制御部20は、出口扉外側ドアセンサ36により使用者の退室を検知した場合に、出口扉18を閉動作させ、出口扉用ロック装置22をロック状態とする。すなわち、制御部20は、出口扉外側ドアセンサ36によってブース2からの使用者の退出を検知してから、出口扉18の自動ドアの機能にともなってアンロックの状態となっている出口扉用ロック装置22をロックした状態とする。
また、本実施形態のトイレシステム1Aは、制御部20により、出口扉外側ドアセンサ36の検出信号によりブース2からの使用者の退出を検知すると、入口扉16のロックの解除、および出口扉18の施錠を行うように構成されている。
上述したような使用者の一連の動作態様において、制御部20は、出口扉外側ドアセンサ36によりブース2内の使用者を検知した後、出口扉外側ドアセンサ36により使用者の退出を検知することを条件として、使用者によりロックされた入口扉用ロック装置21をアンロックの状態とするとともに、使用者の退室に際してアンロックとされた出口扉用ロック装置22をロックした状態とする。
ここで、制御部20による入口扉16のロックの解除、および出口扉18の施錠のタイミングについては、第1実施形態の場合と同様に、同時であっても順番であってもよく、また、出口扉外側ドアセンサ36の検出信号によりブース2からの使用者の退出を検知した時点から所定時間経過後に行われてもよい。
以上のような構成を備えた本実施形態のトイレシステム1Aによる制御態様の一例について、使用者の動作とともに、図8および図9を用いて説明する。
図8に示すフロー図のステップS110~S130の内容は、第1実施形態の図3に示すフロー図のステップS10~S30の内容と同じである。このため、ステップS110~S130の内容については説明を省略する。
入口扉16が自動的に開き、入口15からブース2内に入った使用者30は、ブース2内で用を済ませた後、ブース2から退室しようとする。なお、本実施形態に係るトイレシステム1Aは、入口扉開閉ボタン40を備えるため、入口15からブース2内に入室した使用者30は、入口扉16が閉じて入口扉用ロック装置21がロックされた状態において、入口扉開閉ボタン40を開操作することで、ブース2の内部から入口扉16を開くことができる。本実施形態において、ブース2内で用を済ませた使用者30がブース2から退室しようとした場合、次のような制御が行われる。
図8に示すように、出口17からブース2外に入ようとする使用者30が出口扉18の前に立つことで、使用者30が出口扉自動ドアセンサ26によって検知され、出口扉18が自動で開き(S140)、使用者30が退室する。
すなわち、図9Aに示すように、出口扉18の前に立った使用者30が出口扉自動ドアセンサ26によって検知されることで、制御部20の制御によって出口扉用ロック装置22がアンロック動作を行い、図9Bに示すように、出口扉18が自動で開く(矢印D1参照)。これにより、使用者30は出口17からブース2外に退室する(矢印D2参照)。
出口扉18が自動で開いた後、制御部20は、出口扉外側ドアセンサ36による人体の感知、つまり出口扉外側ドアセンサ36からの検出信号の有無を判断する(S150)。
ステップS150において、出口扉外側ドアセンサ36による人体の感知が無かった場合(S150、NO)、処理はステップS140に戻る。すなわち、この場合、使用者30は、出口17から退室せずにブース2内に残った状態で、出口扉18の開動作のみが行われたこととなる。
一方、ステップS150において、出口扉外側ドアセンサ36による人体の感知が有った場合(S150、YES)、出口扉18が自動で閉じ、出口扉用ロック装置22が自動でロックされる(S160)。すなわち、図9Cに示すように、制御部20は、出口扉18を自動で閉じ(矢印D3参照)、出口扉用ロック装置22にロック動作をさせ、出口扉用ロック装置22をロックした状態とする。
出口扉外側ドアセンサ36による人体の感知が有った場合は、図9Cに示すように、使用者30がブース2から出たということであり(矢印D4参照)、この場合、トイレシステム1Aは待機状態に戻る(S110)。すなわち、この場合、制御部20は、使用者30のブース2からの退出を検知したとして、出口扉18を閉じてロックするとともに、ステップS130において使用者30により手動でロックされた入口扉用ロック装置21にアンロック動作をさせ、入口扉16を、入口扉自動ドアセンサ25の検知に基づく開動作が可能な状態(待ち状態)とする。これにより、トイレシステム1は、使用者30の次の使用者となる使用待機者30Aのブース2内への受け入れが可能な状態となる。
本実施形態に係るトイレシステム1Aにおいては、アラーム信号の送信に関し、次のような制御を行うことができる。
すなわち、制御部20は、入口扉16に閉動作をさせてから、または入口扉用ロック装置21にロック動作をさせてから、タイマによる時間の計測を開始し、出口扉外側ドアセンサ36により人体が検知されるまでの時間が、あらかじめ設定された一定時間以上となるか否かを判断する。
そして、制御部20は、タイマによる計測時間が一定時間以上となった場合、アラーム信号を送信し、トイレ施設100とは別の場所に設けられた管理室の管理者に対する報知を行う。すなわち、この場合は、ブース2内に入室した使用者30が一定時間以上経過してもブース2から退室していないこととなり、アラーム信号を送信する。これにより、例えば、ブース2内で使用者が急病等で動けなくなったり倒れ込んだりした場合に、そのような使用者を速やかに発見することが可能となる。
以上のように、本実施形態に係るトイレシステム1Aは、出口扉18の外側に出口扉外側ドアセンサ36を備え、出口扉外側ドアセンサ36の検出信号に基づいて入口扉16のロック状態を制御する制御部20を備える。本実施形態において、入口扉16のロック状態を制御することには、制御部20が、出口扉外側ドアセンサ36によってブース2からの使用者の退出を検知した際に、入口扉用ロック装置21にアンロック動作をさせることが含まれる。かかる制御動作は、図8に示すフロー図において、ステップS150において出口扉外側ドアセンサ36による人体の感知が有った場合(S150、YES)の制御動作に該当する。
以上のような構成を備えた本実施形態に係るトイレシステム1Aによれば、第1実施形態のトイレシステム1と同様に、ブース2に対する入退室時における他者(使用待機者30A)とのすれ違いを無くすことができ、快適性を向上することができる。
すなわち、トイレシステム1Aにおいては、出口扉外側ドアセンサ36によってブース2からの使用者の退出が検知されることで、入口扉16のロックが解除され、入口15からのブース2内への入室が可能となる。これにより、ブース2に入ろうとする人とブース2から出ようとする人との鉢合わせを抑制することができ、他人とすれ違うことによる不快さを無くすことが可能となる。
また、本実施形態のトイレシステム1Aにおいて、制御部20は、出口扉外側ドアセンサ36の検出信号に基づいて出口扉18のロック状態を制御する。
このような構成によれば、例えば、一旦出口17からブース2の外に出た使用者が、出口17からブース2内に入室することを防ぐことができる。これにより、一旦出口17からブース2の外に出た使用者と、入口15からブース2内に入った使用者との鉢合わせを防ぐことができ、使用者同士のすれ違いを効果的に防止することができる。
また、本実施形態のトイレシステム1Aにおいて、制御部20は、出口扉外側ドアセンサ36によりブース2からの使用者の退出を検知することを条件として、入口扉16のロックの解除、および出口扉18の施錠を行う。
図8に示すフロー図においては、入口扉16のロックの解除については、制御部20は、出口扉外側ドアセンサ36によって使用者の退出を検知した場合に(S150、YES)、出口扉18の施錠を行った(S160)後、トイレシステム1Aの待機状態(S110)に戻るべく、入口扉16のロックの解除を行う。
一方、出口扉18の施錠については、制御部20は、出口扉18を開いた(S140)後、出口扉外側ドアセンサ36によって使用者の退出を検知したことを条件として(S150、YES)、出口扉18の施錠を行う(S160)。
このような構成によれば、人が出口17からブース2内に入ることを防ぐことができるとともに、入口15からブース2内に入ろうとする使用者の受け入れ態勢を速やかに整えることが可能となる。これにより、トイレシステム1Aの使用における快適性を向上することができる。
また、本実施形態のトイレシステム1Aにおいて、制御部20は、出口扉外側ドアセンサ36によりブース2からの使用者の退出を検知してから所定時間経過後に、入口扉16のロックの解除、および出口扉18の施錠を行う。
このような構成によれば、使用者による利用態様等に応じて時間を調整することで、入口扉16のロックの解除、および出口扉18の施錠のタイミングを調整することが可能となる。これにより、使用者同士のすれ違いを防止することができるとともに、トイレシステム1Aの使用における快適性を効果的に向上することができる。
以上のように実施形態を用いて説明した本発明に係るトイレシステムは、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨に沿う範囲で、この開示から当業者によって明らかとなる種々の態様を採用することができる。
上述した実施形態では、入口扉16および出口扉18は、いずれも自動ドアセンサによる検知に基づいて動作する構成のものであるが、自動ドアとしての構成は特に限定されない。自動ドアの構成としては、例えば、タッチプレート等の接触部に対する接触や、ボタン等の操作部の操作によってドアが起動する構成であってもよい。また、入口扉16および出口扉18は、手動で開閉させる手動式のドアであってもよい。
また、上述した第2実施形態においては、入口扉16の内側に入口扉開閉ボタン40が設けられているが、入口扉16の外側に、入口扉16の開閉操作部として、入口外側開閉ボタンを設けてもよい。
入口外側開閉ボタンを設けた構成においては、例えば、次のような制御を行うことができる。ここでは、第1実施形態のトイレシステム1において入口外側開閉ボタンを設けた場合を例にとって説明する。
人感センサ28によりブース2内の使用者が検知された後、出口扉18が開くまでは、入口外側開閉ボタンの操作を無効とする。すなわち、制御部20が、人感センサ28のセンサ出力によってブース2内の使用者を検知した後、出口扉用ロック装置22のロックを解除して出口扉18を開動作させるまでは、入口外側開閉ボタンの操作を無効とする。
これにより、ブース2内に入室した使用者が出口扉18を開くまでは、入口外側開閉ボタンによってブース2の外から入口扉16が開けられることを防ぐことができる。したがって、入口15から出口17への使用者の一方通行の動線を確保することができ、使用者同士のすれ違いを防止することができる。
また、人感センサ28によりブース2内の使用者が検知されなくなった場合に、入口外側開閉ボタンの操作を有効とする。すなわち、制御部20が、人感センサ28のセンサ出力によってブース2内の使用者を検知した後、人感センサ28のセンサ出力によってブース2内の使用者が検知されなくなったことを条件として、入口外側開閉ボタンの操作を有効とする。
これにより、ブース2内に入室した使用者が退室してから、入口外側開閉ボタンによってブース2の外から入口扉16を開けることが可能となる。したがって、入口15から出口17への使用者の一方通行の動線を確保することができ、使用者同士のすれ違いを防止することができる。
また、人感センサ28によりブース2内の使用者が検知されなくなった場合に入口外側開閉ボタンの操作を有効とする制御において、人感センサ28によりブース2内の使用者が検知されなくなった時点から、あらかじめ設定された所定時間経過後に、入口外側開閉ボタンの操作を有効としてもよい。このような制御を行うことで、より確実に使用者同士のすれ違いを防止することができる。
また、上述した実施形態では、人感センサ28および出口扉外側ドアセンサ36のいずれか一方を備えた構成が採用されているが、人感センサ28および出口扉外側ドアセンサ36の両方を備えた構成であってもよい。この場合、例えば、いずれか一方のセンサに基づく制御が、いずれか他方のセンサに基づく制御に優先して適用される。
すなわち、本発明に係る退出検知用センサは、ブース内の使用者を検知することで間接的に使用者の退出を検知するセンサ、および出口からブースの外に出た使用者をブース外で検知することで直接的に使用者の退出を検知するセンサの少なくともいずれか一方である。
また、上述した実施形態のように、トイレ施設100において複数のブース2が設けられる構成において、制御部20の構成としては、ブース2毎に制御部を設けた構成であってもよく、複数のブース2を包括的に制御する制御部を設けた構成であってもよい。
また、上述した実施形態では、ブース2は、平面視で長方形状をなす構成のものであるが、ブースの構成は特に限定されない。ブースは、その平面視形状として、例えば、三角形状や五角形以上の多角形状、あるいは円形状や楕円形状をなす構成のものであってもよい。
また、上述した実施形態では、ブース2の入口15と出口17は、対向する位置に設けられているが、ブースにおける入口と出口の配置は、特に限定されるものではない。すなわち、ブースにおける入口と出口の配置は、使用者同士のずれ違いを防止する観点から、ブースにおいて互いに異なる側であればよい。