JP7466794B2 - 電力変換装置、モータ駆動装置および冷凍サイクル適用機器 - Google Patents

電力変換装置、モータ駆動装置および冷凍サイクル適用機器 Download PDF

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Description

本開示は、交流電力を所望の電力に変換する電力変換装置、モータ駆動装置および冷凍サイクル適用機器に関する。
現在、モータは、様々な機械装置の動力源として利用されている。機械装置の中には、負荷トルクに周期的な変動が発生するもの、すなわち周期的な負荷トルク脈動を持つものが多い。モータ、機械装置などでは、負荷トルク脈動によって、振動、騒音などが発生することがある。そのため、振動抑制制御に関する様々な技術が検討されている。例えば、特許文献1には、モータ駆動装置が振動を抑制する脈動成分をq軸電流に加える補償を行うことで振動を抑制する技術が開示されている。
上記のようなモータ駆動装置で使用される一般的な電力変換装置は、交流電源から供給される交流電力を整流部で整流し、さらに平滑コンデンサで平滑し、複数のスイッチング素子からなるインバータで所望の交流電力に変換し、モータに出力している。上記のような構成の電力変換装置は、平滑コンデンサに大きな電流が流れると、平滑コンデンサの経年劣化が加速する。このような問題に対して、平滑コンデンサの容量を大きくすることでコンデンサ電圧のリプル変化を抑制する、またはリプルによる劣化耐量の大きい平滑コンデンサを使用する方法が考えられるが、コンデンサ部品のコストが高くなり、また装置が大型化してしまう。そのため、電力変換装置は、平滑コンデンサに流れる電流を抑制するようにq軸電流を脈動させる補償を行うことで、平滑コンデンサの劣化を抑制しつつ、装置の大型化を抑制することができる。
特開2017-55466号公報
コンデンサ電流抑制制御においては、整流部で整流された交流電力が交流電源から供給される交流電力の2倍の周波数で脈動していることから、交流電源から供給される交流電力の2倍の周波数を対象にしてq軸電流を脈動させる。しかしながら、平滑コンデンサに流れる電流の脈動成分に、交流電力の2倍の周波数を基準とした2倍成分、3倍成分などの高周波の周波数成分が含まれる場合、交流電源から供給される交流電力の2倍の周波数を対象とした制御のみでは、コンデンサ電流抑制制御による効果が十分に得られない、という問題があった。高周波の周波数成分が含まれる場合については、前述の振動抑制制御にも同様のことが言える。また、q軸電流を脈動させる補償制御については、前述のコンデンサ電流抑制制御および振動抑制制御の他にも様々な制御対象が想定される。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、q軸電流を脈動させる補償制御における補償の精度を向上可能な電力変換装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る電力変換装置は、商用電源から供給される第1の交流電力を整流する整流部と、整流部の出力端に接続されるコンデンサと、コンデンサの両端に接続され、第2の交流電力を生成してモータに出力するインバータと、モータの回転子位置に同期して回転するdq回転座標を用いて、インバータおよびモータの動作を制御する制御部と、を備える。制御部は、q軸電流の脈動成分であるq軸電流脈動から複数の周波数成分を抽出し、抽出した各周波数成分の振幅値を制限してq軸電流脈動の振幅を制御する。
本開示に係る電力変換装置は、q軸電流を脈動させる補償制御における補償の精度を向上させることができる、という効果を奏する。
実施の形態1に係る電力変換装置の構成例を示す図 実施の形態1に係る電力変換装置が備える制御部の構成例を示すブロック図 実施の形態1に係る電力変換装置の制御部が備えるq軸電流脈動演算部の構成例を示すブロック図 実施の形態1に係る電力変換装置の制御部が備えるq軸電流脈動演算部の動作を示すフローチャート 実施の形態1に係る電力変換装置が備える制御部を実現するハードウェア構成の一例を示す図 実施の形態2に係る電力変換装置が備える制御部の構成例を示すブロック図 実施の形態2に係る電力変換装置の制御部が備えるq軸電流脈動演算部の構成例を示すブロック図 実施の形態2に係る電力変換装置の制御部が備えるq軸電流脈動演算部の動作を示すフローチャート 実施の形態3に係る電力変換装置の制御部が備えるq軸電流脈動演算部の構成例を示す第1のブロック図 2つの周波数成分を足し合わせたときの位相差によるピーク値の違いの例を示す図 実施の形態3に係る電力変換装置の制御部が備えるq軸電流脈動演算部の構成例を示す第2のブロック図 実施の形態4に係る電力変換装置が備える制御部の構成例を示すブロック図 実施の形態4に係る電力変換装置の制御部が備えるq軸電流脈動演算部の構成例を示すブロック図 実施の形態4に係る電力変換装置の制御部が備えるq軸電流脈動演算部の動作を示すフローチャート 実施の形態5に係る電力変換装置の制御部が備えるq軸電流脈動演算部の構成例を示す第1のブロック図 実施の形態5に係る電力変換装置の制御部が備えるq軸電流脈動演算部の構成例を示す第2のブロック図 実施の形態6に係る電力変換装置が備える制御部の構成例を示すブロック図 実施の形態6に係る電力変換装置の制御部が備えるq軸電流脈動演算部の構成例を示す第1のブロック図 実施の形態6に係る電力変換装置の制御部が備えるq軸電流脈動演算部の構成例を示す第2のブロック図 実施の形態6に係る電力変換装置の制御部が備えるq軸電流脈動演算部の動作を示すフローチャート 実施の形態7に係る冷凍サイクル適用機器の構成例を示す図
以下に、本開示の実施の形態に係る電力変換装置、モータ駆動装置および冷凍サイクル適用機器を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る電力変換装置1の構成例を示す図である。電力変換装置1は、商用電源110および圧縮機315に接続される。電力変換装置1は、商用電源110から供給される電源電圧Vsの第1の交流電力を所望の振幅および位相を有する第2の交流電力に変換し、圧縮機315に供給する。電力変換装置1は、リアクトル120と、整流部130と、電圧検出部501と、平滑部200と、インバータ310と、電流検出部313a,313bと、制御部400と、を備える。なお、電力変換装置1、および圧縮機315が備えるモータ314によって、モータ駆動装置2を構成している。
リアクトル120は、商用電源110と整流部130との間に接続される。整流部130は、整流素子131~134によって構成されるブリッジ回路を有し、商用電源110から供給される電源電圧Vsの第1の交流電力を整流して出力する。整流部130は、全波整流を行うものである。電圧検出部501は、整流部130によって整流され、整流部130から平滑部200に流入される電流によって充電された平滑部200の両端電圧である直流母線電圧Vdcを検出し、検出した電圧値を制御部400に出力する。電圧検出部501は、コンデンサ210の電力状態を検出する検出部である。
平滑部200は、整流部130の出力端に接続される。平滑部200は、平滑素子としてコンデンサ210を有し、整流部130によって整流された電力を平滑化する。コンデンサ210は、例えば、電解コンデンサ、フィルムコンデンサなどである。コンデンサ210は、整流部130の出力端に接続され、整流部130によって整流された電力を平滑化するような容量を有し、平滑化によりコンデンサ210に発生する電圧は商用電源110の全波整流波形形状ではなく、直流成分に商用電源110の周波数に応じた電圧リプルが重畳した波形形状となり、大きく脈動しない。この電圧リプルの周波数は、商用電源110が単相の場合は電源電圧Vsの周波数の2倍成分となり、商用電源110が三相の場合は6倍成分が主成分となる。商用電源110から入力される電力とインバータ310から出力される電力が変化しない場合、この電圧リプルの振幅はコンデンサ210の容量によって決まる。例えば、コンデンサ210に発生する電圧リプルの最大値が最小値の2倍未満となるような範囲で脈動している。
インバータ310は、平滑部200、すなわちコンデンサ210の両端に接続される。インバータ310は、スイッチング素子311a~311f、および還流ダイオード312a~312fを有する。インバータ310は、制御部400の制御によってスイッチング素子311a~311fをオンオフし、整流部130および平滑部200から出力される電力を所望の振幅および位相を有する第2の交流電力に変換、すなわち第2の交流電力を生成して、圧縮機315に出力する。電流検出部313a,313bは、各々、インバータ310から出力される3相の電流のうち1相の電流値を検出し、検出した電流値を制御部400に出力する。なお、制御部400は、インバータ310から出力される3相の電流値のうち2相の電流値を取得することで、インバータ310から出力される残りの1相の電流値を算出することができる。圧縮機315は、圧縮機駆動用のモータ314を有する負荷である。モータ314は、インバータ310から供給される第2の交流電力の振幅および位相に応じて回転し、圧縮動作を行う。例えば、圧縮機315が空気調和機などで使用される密閉型圧縮機の場合、圧縮機315の負荷トルクは定トルク負荷とみなせる場合が多い。モータ314について、図1ではモータ巻線がY結線の場合を示しているが、一例であり、これに限定されない。モータ314のモータ巻線は、Δ結線であってもよいし、Y結線とΔ結線とが切り替え可能な仕様であってもよい。
なお、電力変換装置1において、図1に示す各構成の配置は一例であり、各構成の配置は図1で示される例に限定されない。例えば、リアクトル120は、整流部130の後段に配置されてもよい。また、電力変換装置1は、昇圧部を備えてもよいし、整流部130に昇圧部の機能を持たせるようにしてもよい。以降の説明において、電圧検出部501、および電流検出部313a,313bをまとめて検出部と称することがある。また、電圧検出部501で検出された電圧値、および電流検出部313a,313bで検出された電流値を、検出値と称することがある。
制御部400は、電圧検出部501から平滑部200の直流母線電圧Vdcの電圧値を取得し、電流検出部313a,313bからインバータ310によって変換された所望の振幅および位相を有する第2の交流電力の電流値を取得する。制御部400は、各検出部によって検出された検出値を用いて、インバータ310の動作、具体的には、インバータ310が有するスイッチング素子311a~311fのオンオフを制御する。また、制御部400は、各検出部によって検出された検出値を用いて、モータ314の動作を制御する。本実施の形態において、制御部400は、整流部130から平滑部200のコンデンサ210に流入する電力の脈動に応じた脈動を含む第2の交流電力をインバータ310から負荷である圧縮機315に出力するようにインバータ310の動作を制御する。平滑部200のコンデンサ210に流入する電力の脈動に応じた脈動とは、例えば、平滑部200のコンデンサ210に流入する電力の脈動の周波数などによって変動する脈動である。これにより、制御部400は、平滑部200のコンデンサ210に流れる電流を抑制する。なお、制御部400は、各検出部から取得した全ての検出値を用いなくてもよく、一部の検出値を用いて制御を行ってもよい。
制御部400は、モータ314の速度、電圧、電流のいずれかが所望の状態になるように制御を行う。ここで、モータ314が圧縮機315の駆動用に使用され、圧縮機315が密閉型圧縮機の場合、モータ314に回転子位置を検出する位置センサを取り付けることが構造的にもコスト的にも難しいので、制御部400は、モータ314の制御を位置センサレスで行う。モータ314の位置センサレス制御方法については、一次磁束一定制御、およびセンサレスベクトル制御の2種類がある。本実施の形態では、一例として、センサレスベクトル制御をベースに説明する。なお、以降で説明する制御方法については、軽微な変更で一次磁束一定制御に適用することも可能である。本実施の形態において、制御部400は、後述するように、モータ314の回転子位置に同期して回転するdq回転座標を用いて、インバータ310およびモータ314の動作を制御する。
つづいて、制御部400における本実施の形態での特徴的な動作について説明する。図1に示すように、電力変換装置1において、整流部130から平滑部200のコンデンサ210への入力電流を入力電流I1とし、平滑部200のコンデンサ210からインバータ310への出力電流を出力電流I2とし、平滑部200のコンデンサ210の充放電電流を充放電電流I3とする。入力電流I1は、商用電源110の電源位相、整流部130の前後に設置される素子の特性などの影響は受けるものの、基本的に電源周波数の2n倍成分を含む特性を有する。なお、nは1以上の整数である。
平滑部200のコンデンサ210として電解コンデンサを用いる場合、充放電電流I3が大きいとコンデンサ210の経年劣化が加速する。充放電電流I3を減少させ、コンデンサ210の劣化を抑制するためには、制御部400は、コンデンサ210への入力電流I1=コンデンサ210からの出力電流I2となるようにインバータ310を制御すればよい。ただし、出力電流I2にはPWM(Pulse Width Modulation)に起因するリプル成分が重畳されるため、制御部400は、リプル成分を加味してインバータ310を制御する必要がある。制御部400は、コンデンサ210の劣化を抑制するためには、平滑部200、すなわちコンデンサ210の電力状態を監視し、モータ314に適切な脈動を与えて充放電電流I3が減少するようにすればよい。ここで、コンデンサ210の電力状態とは、コンデンサ210への入力電流I1、コンデンサ210からの出力電流I2、コンデンサ210の充放電電流I3、コンデンサ210の直流母線電圧Vdcなどのことである。制御部400は、これらのコンデンサ210の電力状態のうち、少なくともいずれか1つの情報が劣化抑制制御に必要となる。
本実施の形態では、制御部400は、電圧検出部501で検出されたコンデンサ210の直流母線電圧Vdcを用いて、出力電流I2からPWMリプルを除いた値が入力電流I1と一致するようにモータ314に脈動を加える。すなわち、制御部400は、電圧検出部501の検出値に応じた脈動がモータ314の駆動パターンに重畳されるようにインバータ310の動作を制御し、コンデンサ210の充放電電流I3を抑制する。制御部400は、入力電流I1と出力電流I2との差分が小さくなるように、モータ314の入出力電力の関係からモータ314のq軸電流指令i を制御する。制御部400は、この制御方法では、インバータ310への入力電力とモータ314の機械出力との関係を利用して、充放電電流I3を低減するための理想的なq軸電流指令i を算出する。このように、本実施の形態において、制御部400は、d軸およびq軸を有する回転座標において制御を行う。なお、電力変換装置1は、コンデンサ210の直流母線電圧Vdcからコンデンサ210の充放電電流I3を推定することが可能であるが、コンデンサ210の充放電電流I3を検出する電流検出部を備えていてもよい。
電力変換装置1において、電圧検出部501は、コンデンサ210の直流母線電圧Vdcの電圧値を検出し、電圧値を制御部400に出力する。制御部400は、コンデンサ210からインバータ310への出力電流I2からPWMリプルを除いた値が入力電流I1と一致するようにインバータ310を制御し、モータ314に出力される電力に脈動を加える。制御部400は、出力電流I2を適切に脈動させることによって、コンデンサ210の充放電電流I3を減少させることができる。前述のように、コンデンサ210への入力電流I1には電源周波数の2n倍成分が含まれることから、出力電流I2およびモータ314のq軸電流iにも電源周波数の2n倍成分が含まれることになる。なお、制御部400は、上記のようなコンデンサ電流抑制制御の他、モータ314の回転速度、直流母線電圧Vdc、モータ314に流れる電流などに生じる脈動を抑制するようにq軸電流指令i を制御することができ、また、これらの制御を並行して行うことも可能である。
制御部400の構成および動作について説明する。図2は、実施の形態1に係る電力変換装置1が備える制御部400の構成例を示すブロック図である。制御部400は、回転子位置推定部401と、速度制御部402と、弱め磁束制御部403と、電流制御部404と、座標変換部405,406と、PWM信号生成部407と、q軸電流脈動演算部408と、加算部409と、を備える。
回転子位置推定部401は、モータ314にかかるdq軸電圧指令ベクトルVdq およびdq軸電流ベクトルidqから、モータ314が有する図示しない回転子について、回転子磁極のdq軸での方向である推定位相角θest、および回転子速度である推定速度ωestを推定する。
速度制御部402は、速度指令ωおよび推定速度ωestからq軸電流指令iqDC を生成する。具体的には、速度制御部402は、速度指令ωと推定速度ωestとが一致するようにq軸電流指令iqDC を自動調整する。速度指令ωは、電力変換装置1が冷凍サイクル適用機器として空気調和機などに使用される場合、例えば、図示しない温度センサで検出された温度、図示しない操作部であるリモコンから指示される設定温度を示す情報、運転モードの選択情報、運転開始及び運転終了の指示情報などに基づくものである。運転モードとは、例えば、暖房、冷房、除湿などである。以降の説明において、q軸電流指令iqDC を第1のq軸電流指令と称することがある。
弱め磁束制御部403は、dq軸電圧指令ベクトルVdq の絶対値が電圧制限値Vlim の制限値内に収まるようにd軸電流指令i を自動調整する。また、本実施の形態において、弱め磁束制御部403は、q軸電流脈動演算部408で演算されたq軸電流脈動指令iqrip を加味して弱め磁束制御を行う。弱め磁束制御は、大別して、電圧制限楕円の方程式からd軸電流指令i を計算する方法、および電圧制限値Vlim とdq軸電圧指令ベクトルVdq との絶対値の偏差がゼロになるようにd軸電流指令i を計算する方法の2種類があるが、どちらの方法を使用してもよい。
電流制御部404は、q軸電流指令i およびd軸電流指令i を用いてモータ314に流れる電流を制御し、dq軸電圧指令ベクトルVdq を生成する。具体的には、電流制御部404は、dq軸電流ベクトルidqがd軸電流指令i およびq軸電流指令i に追従するようにdq軸電圧指令ベクトルVdq を自動調整する。以降の説明において、dq軸電圧指令ベクトルVdq を単にdq軸電圧指令と称することがある。
座標変換部405は、推定位相角θestに応じて、dq軸電圧指令ベクトルVdq をdq座標から交流量の電圧指令Vuvw に座標変換する。
座標変換部406は、推定位相角θestに応じて、モータ314に流れる電流Iuvwを交流量からdq座標のdq軸電流ベクトルidqに座標変換する。前述のように、制御部400は、モータ314に流れる電流Iuvwについて、インバータ310から出力される3相の電流値のうち、電流検出部313a,313bで検出される2相の電流値、および2相の電流値を用いて残りの1相の電流値を算出することによって取得することができる。
PWM信号生成部407は、座標変換部405で座標変換された電圧指令Vuvw に基づいてPWM信号を生成する。制御部400は、PWM信号生成部407で生成されたPWM信号をインバータ310のスイッチング素子311a~311fに出力することで、モータ314に電圧を印加する。
q軸電流脈動演算部408は、電力変換装置1の運転に応じて発生する何らかの脈動成分xripに応じてq軸電流脈動iqripを演算し、q軸電流指令i の脈動成分である前述のq軸電流脈動指令iqrip を生成する。q軸電流iの脈動振幅はモータ314の駆動条件によって変わってくるので、q軸電流脈動演算部408は、PID(Proportional Integral Differential)制御などを用いて、駆動条件を適切に考慮して振幅を決定する。q軸電流脈動演算部408の詳細な構成および動作については後述する。
加算部409は、速度制御部402から出力されたq軸電流指令iqDC と、q軸電流脈動演算部408で演算されたq軸電流脈動指令iqrip とを加算してq軸電流指令i を生成し、電流制御部404へ出力する。以降の説明において、q軸電流指令i を第2のq軸電流指令と称することがある。
つづいて、q軸電流脈動演算部408の構成および動作について説明する。図3は、実施の形態1に係る電力変換装置1の制御部400が備えるq軸電流脈動演算部408の構成例を示すブロック図である。q軸電流脈動演算部408は、減算部601と、フーリエ係数演算部602~605と、振幅制御部606と、PID制御部607~610と、交流復元部611と、を備える。q軸電流脈動演算部408は、指令値をゼロとしたフィードバック制御器として構成される。通常、フィードバック制御器は、フィードフォワード制御器と比較して制御応答が低く、高周波の脈動を抑制するには不向きであるが、様々な高周波脈動抑制手段が過去に提案されており公知である。有名な方法としては、フーリエ係数演算およびPID制御を用いた手法がある。
減算部601は、0である指令値と入力信号である脈動成分xripとの偏差を演算する。
フーリエ係数演算部602~605は、フーリエ級数展開の理論を用いることで、減算部601で演算された偏差に含まれる特定周波数のsin信号成分およびcos信号成分の振幅を抽出することが可能である。本実施の形態において、フーリエ係数演算部602~605は、前述の偏差に含まれる規定された周波数を1fとして、前述の偏差に含まれるsin1f成分、cos1f成分、sin2f成分、およびcos2f成分の振幅をそれぞれ演算する。フーリエ係数演算部602~605で偏差に乗算される検波信号はそれぞれsin1ωint、cos1ωint、sin2ωint、およびcos2ωintであり、入力信号である偏差と検波信号との積の平均値の2倍がそれぞれ偏差に含まれるsin1f成分、cos1f成分、sin2f成分、およびcos2f成分の振幅である。例えば、フーリエ係数演算部602は、偏差にsin1ωintの検波信号を乗算し、脈動成分xripに含まれる脈動のうちsin1f成分の振幅値を演算する。フーリエ係数演算部603は、偏差にcos1ωintの検波信号を乗算し、脈動成分xripに含まれる脈動のうちcos1f成分の振幅値を演算する。フーリエ係数演算部604は、偏差にsin2ωintの検波信号を乗算し、脈動成分xripに含まれる脈動のうちsin2f成分の振幅値を演算する。フーリエ係数演算部605は、偏差にcos2ωintの検波信号を乗算し、脈動成分xripに含まれる脈動のうちcos2f成分の振幅値を演算する。
PID制御部607~610は、フーリエ係数演算部602~605で抽出された偏差の特定周波数成分がそれぞれゼロになるように比例積分微分制御、すなわちPID制御を実施する。図3に示すように、PID制御部607はフーリエ係数演算部602に接続され、PID制御部608はフーリエ係数演算部603に接続され、PID制御部609はフーリエ係数演算部604に接続され、PID制御部610はフーリエ係数演算部605に接続される。ここで、比例ゲインおよび微分ゲインはゼロでも構わないが、偏差をゼロに収束させるためには積分ゲインの値が非ゼロでなければならないので、PID制御部607~610では積分動作がメインとなる。通常、積分制御の出力はゆるやかに変化するので、PID制御部607~610からの出力も概ね一定と見なすことができる。
交流復元部611は、PID制御部607~610からの出力を交流に復元すべく、それぞれsin1ωint、cos1ωint、sin2ωint、およびcos2ωintと掛け合わせた後に合算し、q軸電流脈動指令iqrip を生成する。
ここで、q軸電流脈動指令iqrip の振幅が大きい場合、またq軸電流指令i の直流成分iqDCがq軸電流指令i のリミット値iqrimに対して余裕がない場合などでは、インバータ310の電流許容値を超えてしまう可能性がある。このような場合、通常、q軸電流脈動指令iqrip に対するリミッタをq軸電流脈動指令iqrip を生成する構成の後段に挿入することで、q軸電流指令i が過大になることを防ぐことができる。しかしながら、このような方法には問題がある。具体的には、q軸電流脈動指令iqrip のリミット値iqriplimでq軸電流脈動指令iqrip が制限されることでq軸電流脈動指令iqrip の振幅が小さくなってしまい、q軸電流脈動指令iqrip を生成する構成で本来得られたはずの効果が低減してしまう。このような方法では、q軸電流脈動指令iqrip のリミット値iqriplimでq軸電流脈動指令iqrip が制限され、その結果としてq軸電流脈動指令iqrip に含まれる各周波数成分の振幅値が減少するが、各周波数成分の振幅値が成行き的に決定される。
そのため、本実施の形態において、振幅制御部606は、q軸電流脈動指令iqrip に含まれる複数の周波数成分の振幅値を周波数成分ごとに調整することで、q軸電流脈動演算部408での効果を改善する。例えば、振幅制御部606は、q軸電流脈動指令iqrip のリミット値iqriplimに応じて、PID制御部607~610に対して、各周波数成分の振幅値を具体的に指定してもよいし、フーリエ係数演算部602~605で抽出された各周波数成分の振幅値を抑制するための比率を指定してもよい。振幅制御部606は、PID制御部607~610に対して制限値を指定してフーリエ係数演算部602~605で抽出された各周波数成分の振幅値を抑制してもよいし、PID制御部607~610に対してゲインを指定してフーリエ係数演算部602~605で抽出された各周波数成分の振幅値を抑制してもよい。振幅制御部606は、q軸電流脈動指令iqrip のリミット値iqriplimについて、予め保持していてもよいし、速度制御部402で生成されたq軸電流指令iqDC を取得してq軸電流指令iqDC を用いて演算によって求めてもよい。
なお、本実施の形態では、q軸電流脈動演算部408が4つのフーリエ係数演算部602~605および4つのPID制御部607~610を備えていたが、一例であり、これに限定されない。q軸電流脈動演算部408は、6つのフーリエ係数演算部および6つのPID制御部を備えてもよいし、8つ以上のフーリエ係数演算部および8つ以上のPID制御部を備えてもよい。例えば、q軸電流脈動演算部408は、6つのフーリエ係数演算部および6つのPID制御部を備える場合、前述の4つの周波数成分の他にsin3f成分、およびcos3f成分を対象にして制御を行う。また、q軸電流脈動演算部408は、8つのフーリエ係数演算部および8つのPID制御部を備える場合、前述の4つの周波数成分の他にsin3f成分、cos3f成分、sin4f成分、およびcos4f成分を対象にして制御を行う。
このように、制御部400において、q軸電流脈動演算部408は、q軸電流iの脈動成分であるq軸電流脈動iqripから複数の周波数成分を抽出し、抽出した各周波数成分の振幅値を制限してq軸電流脈動iqripの振幅を制御する。
図4は、実施の形態1に係る電力変換装置1の制御部400が備えるq軸電流脈動演算部408の動作を示すフローチャートである。q軸電流脈動演算部408において、減算部601は、0である指令値と脈動成分xripとの偏差を演算する(ステップS11)。フーリエ係数演算部602~605は、減算部601で演算された偏差に含まれる複数の特定周波数の周波数成分を抽出する(ステップS12)。振幅制御部606は、各周波数成分の振幅値を制限する制限値を決定する(ステップS13)。PID制御部607~610は、振幅制御部606で決定された制限値を用いて、フーリエ係数演算部602~605で抽出された各周波数成分の振幅値を制限する(ステップS14)。交流復元部611は、PID制御部607~610で得られた振幅値制限後の各周波数成分を用いて、q軸電流脈動指令iqrip を生成する(ステップS15)。
つづいて、電力変換装置1が備える制御部400のハードウェア構成について説明する。図5は、実施の形態1に係る電力変換装置1が備える制御部400を実現するハードウェア構成の一例を示す図である。制御部400は、プロセッサ91およびメモリ92により実現される。
プロセッサ91は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)、またはシステムLSI(Large Scale Integration)である。メモリ92は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)といった不揮発性または揮発性の半導体メモリを例示できる。またメモリ92は、これらに限定されず、磁気ディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVD(Digital Versatile Disc)でもよい。
以上説明したように、本実施の形態によれば、電力変換装置1において、制御部400のq軸電流脈動演算部408は、電力変換装置1の運転に応じて発生する何らかの脈動成分xripに含まれる脈動成分に対して、基本となる脈動成分の周波数とともに、基本となる脈動成分の周波数の正の整数倍の周波数についても振幅を制限する制御を行うこととした。これにより、電力変換装置1の制御部400は、q軸電流iを脈動させる補償制御における補償の精度を向上させることができる。この結果、電力変換装置1は、銅損を低減できるなどの効果を得ることができる。
実施の形態2.
実施の形態2では、具体的にコンデンサ電流抑制制御を対象として、脈動成分xripが電圧検出部501で検出された直流母線電圧Vdcの場合について説明する。なお、実施の形態2では、電圧検出部501で検出された直流母線電圧Vdcを用いて説明するが、電力変換装置1がコンデンサ210の電力状態としてコンデンサ210の充放電電流I3を検出する電流検出部を備える場合、直流母線電圧Vdcに替えてコンデンサ210の充放電電流I3を用いることも可能である。
図6は、実施の形態2に係る電力変換装置1が備える制御部400aの構成例を示すブロック図である。制御部400aは、図2に示す実施の形態1の制御部400のq軸電流脈動演算部408をq軸電流脈動演算部408aに置き換えたものである。なお、図示は省略するが、実施の形態2に係る電力変換装置1は、図1に示す実施の形態1の電力変換装置1に対して、制御部400を制御部400aに置き換えたものとする。
図7は、実施の形態2に係る電力変換装置1の制御部400aが備えるq軸電流脈動演算部408aの構成例を示すブロック図である。q軸電流脈動演算部408aは、減算部601aと、フーリエ係数演算部602a~605aと、振幅制御部606aと、PID制御部607a~610aと、交流復元部611aと、を備える。
減算部601aは、減算部601と同様の機能を有する。減算部601aは、0である指令値とコンデンサ210の電力状態を検出する電圧検出部501で検出された検出値である直流母線電圧Vdcとの偏差を演算する。以降の説明において、「0」を「ゼロ」と表記することがある。
フーリエ係数演算部602a~605aは、フーリエ係数演算部602~605と同様の機能を有する。本実施の形態において、フーリエ係数演算部602a~605aは、商用電源110から供給される第1の交流電力の電源周波数を1fとして、減算部601aで演算された偏差に含まれるsin2f成分、cos2f成分、sin4f成分、およびcos4f成分の振幅をそれぞれ演算する。なお、実施の形態2の「f」および実施の形態1の「f」については、異なっていてもよいし、同一であってもよい。フーリエ係数演算部602a~605aで偏差に乗算される検波信号はそれぞれsin2ωint、cos2ωint、sin4ωint、およびcos4ωintであり、入力信号である偏差と検波信号との積の平均値の2倍がそれぞれ偏差に含まれるsin2f成分、cos2f成分、sin4f成分、およびcos4f成分の振幅値である。例えば、フーリエ係数演算部602aは、偏差にsin2ωintの検波信号を乗算し、直流母線電圧Vdcに含まれる脈動のうちsin2f成分の振幅値を演算する。フーリエ係数演算部603aは、偏差にcos2ωintの検波信号を乗算し、直流母線電圧Vdcに含まれる脈動のうちcos2f成分の振幅値を演算する。フーリエ係数演算部604aは、偏差にsin4ωintの検波信号を乗算し、直流母線電圧Vdcに含まれる脈動のうちsin4f成分の振幅値を演算する。フーリエ係数演算部605aは、偏差にcos4ωintの検波信号を乗算し、直流母線電圧Vdcに含まれる脈動のうちcos4f成分の振幅値を演算する。なお、コンデンサ210の充放電電流I3が周期波形であれば、フーリエ係数演算部602a~605aからの出力信号はほぼ一定となる。このように、複数のフーリエ係数演算部であるフーリエ係数演算部602a~605aは、各々が、減算部601aで演算された偏差から、第1の交流電力の周波数の2倍の第1の周波数のサイン成分、第1の周波数のコサイン成分、第1の周波数の2以上の整数倍である第2の周波数のサイン成分、および第2の周波数のコサイン成分のうち1つを抽出する。実施の形態2において、第1の周波数は2fであり、第2の周波数は4fである。
振幅制御部606aは、振幅制御部606と同様の機能を有する。振幅制御部606aは、q軸電流脈動指令iqrip のリミット値iqriplimに応じて、PID制御部607a~610aに対して、各周波数成分の振幅値を具体的に指定してもよいし、フーリエ係数演算部602a~605aで抽出された各周波数成分の振幅値を抑制するための比率を指定してもよい。振幅制御部606aは、q軸電流脈動指令iqrip のリミット値iqriplimについて、予め保持していてもよいし、速度制御部402で生成されたq軸電流指令iqDC を取得してq軸電流指令iqDC を用いて演算によって求めてもよい。このように、振幅制御部606aは、フーリエ係数演算部602a~605aで抽出された各周波数成分の振幅値を制限する制限値を決定する。
PID制御部607a~610aは、PID制御部607~610と同様の機能を有する。PID制御部607a~610aは、フーリエ係数演算部602a~605aで抽出された偏差の特定周波数成分がそれぞれゼロになるように比例積分微分制御、すなわちPID制御を実施する。図7に示すように、PID制御部607aはフーリエ係数演算部602aに接続され、PID制御部608aはフーリエ係数演算部603aに接続され、PID制御部609aはフーリエ係数演算部604aに接続され、PID制御部610aはフーリエ係数演算部605aに接続される。このように、複数の積分制御部であるPID制御部607a~610aは、各々がフーリエ係数演算部602a~605aのうちの1つに接続され、振幅制御部606aで決定された制限値を用いて、接続されるフーリエ係数演算部で抽出された周波数成分の振幅値を制限する。
交流復元部611aは、交流復元部611と同様の機能を有する。交流復元部611aは、PID制御部607a~610aからの出力を交流に復元すべく、それぞれsin2ωint、cos2ωint、sin4ωint、およびcos4ωintと掛け合わせた後に合算し、q軸電流脈動指令iqrip を生成する。このように、交流復元部611aは、PID制御部607a~610aで得られた振幅値制限後の各周波数成分を用いて交流成分の信号を生成し、q軸電流脈動iqripの振幅を制御するq軸電流脈動指令iqrip として出力する。
なお、本実施の形態では、q軸電流脈動演算部408aが4つのフーリエ係数演算部602a~605aおよび4つのPID制御部607a~610aを備えていたが、一例であり、これに限定されない。q軸電流脈動演算部408aは、6つのフーリエ係数演算部および6つのPID制御部を備えてもよいし、8つ以上のフーリエ係数演算部および8つ以上のPID制御部を備えてもよい。例えば、q軸電流脈動演算部408aは、6つのフーリエ係数演算部および6つのPID制御部を備える場合、前述の4つの周波数成分の他にsin6f成分、およびcos6f成分を対象にして制御を行う。また、q軸電流脈動演算部408aは、8つのフーリエ係数演算部および8つのPID制御部を備える場合、前述の4つの周波数成分の他にsin6f成分、cos6f成分、sin8f成分、およびcos8f成分を対象にして制御を行う。
図8は、実施の形態2に係る電力変換装置1の制御部400aが備えるq軸電流脈動演算部408aの動作を示すフローチャートである。q軸電流脈動演算部408aにおいて、減算部601aは、0である指令値と直流母線電圧Vdcとの偏差を演算する(ステップS21)。フーリエ係数演算部602a~605aは、減算部601aで演算された偏差に含まれる複数の特定周波数の周波数成分を抽出する(ステップS22)。振幅制御部606aは、各周波数成分の振幅値を制限する制限値を決定する(ステップS23)。PID制御部607a~610aは、振幅制御部606aで決定された制限値を用いて、フーリエ係数演算部602a~605aで抽出された各周波数成分の振幅値を制限する(ステップS24)。交流復元部611aは、PID制御部607a~610aで得られた振幅値制限後の各周波数成分を用いて、q軸電流脈動指令iqrip を生成する(ステップS25)。
電力変換装置1が備える制御部400aのハードウェア構成について説明する。制御部400aは、実施の形態1の制御部400と同様、プロセッサ91およびメモリ92により実現される。
以上説明したように、本実施の形態によれば、電力変換装置1において、制御部400aのq軸電流脈動演算部408aは、直流母線電圧Vdcに含まれる脈動成分に対して、基本となる脈動成分の周波数とともに、基本となる脈動成分の周波数の正の整数倍の周波数についても振幅を制限する制御を行うこととした。これにより、電力変換装置1の制御部400aは、q軸電流iを脈動させる補償制御における補償の精度を向上させることができる。この結果、電力変換装置1は、銅損を低減できるなどの効果を得ることができる。
実施の形態3.
実施の形態3では、電力変換装置1がコンデンサ電流抑制制御を対象にしている場合において、q軸電流脈動演算部408aの振幅制御部606aがフーリエ係数演算部602a~605aで抽出された各周波数成分の振幅値を制限する制限値を決定する方法について説明する。実施の形態3において、制御部400aの構成は、図6に示す実施の形態2の制御部400aの構成と同様である。
まず、第1の手法として、振幅制御部606aが、直流母線電圧Vdcに含まれる脈動の各周波数成分の振幅値を用いる場合について説明する。図9は、実施の形態3に係る電力変換装置1の制御部400aが備えるq軸電流脈動演算部408aの構成例を示す第1のブロック図である。q軸電流脈動演算部408aは、減算部601aと、フーリエ係数演算部602a~605aと、振幅制御部606aと、PID制御部607a~610aと、交流復元部611aと、を備える。ここでは、フーリエ係数演算部602a~605aが演算結果を振幅制御部606aに出力し、振幅制御部606aがq軸電流脈動指令iqrip のリミット値iqriplimおよびフーリエ係数演算部602a~605aの演算結果を用いて制限値を決定する点が実施の形態2と異なる。すなわち、振幅制御部606aは、q軸電流iの各周波数成分の振幅値に基づいて、最終的に出力するq軸電流iの各周波数成分の振幅値を調整する。
フーリエ係数演算部602aは、演算により求めたsin2f成分の振幅値をPID制御部607aとともに振幅制御部606aに出力する。sin2f成分の振幅値をIq2fs と表記する。フーリエ係数演算部603aは、演算により求めたcos2f成分の振幅値をPID制御部608aとともに振幅制御部606aに出力する。cos2f成分の振幅値をIq2fc と表記する。フーリエ係数演算部604aは、演算により求めたsin4f成分の振幅値をPID制御部609aとともに振幅制御部606aに出力する。sin4f成分の振幅値をIq4fs と表記する。フーリエ係数演算部605aは、演算により求めたcos4f成分の振幅値をPID制御部610aとともに振幅制御部606aに出力する。cos2f成分の振幅値をIq4fc と表記する。
振幅制御部606aは、電源周波数の2f成分のノルムを式(1)のように演算する。
Figure 0007466794000001
振幅制御部606aは、電源周波数の4f成分のノルムを式(2)のように演算する。
Figure 0007466794000002
振幅制御部606aは、電源周波数の2f成分のノルムと電源周波数の4f成分のノルムとを式(3)のように加算する。
Figure 0007466794000003
振幅制御部606aは、式(3)で得られたノルムがq軸電流脈動指令iqrip のリミット値iqriplimを超えないようにすればよいので、例えば、式(4)の分数部分のように制限値を演算する。
Figure 0007466794000004
なお、式(4)は、PID制御部607a~610aでの演算を表している。具体的には、PID制御部607aは、フーリエ係数演算部602aから取得した演算結果のIq2fs に振幅制御部606aから取得した制限値を乗算することで振幅値制限後のsin2f成分の振幅値Iq2fs (~)を得る。なお、実施の形態の説明部分では、式(4)におけるIの上に「~」を付与する表現ができないため、Iq2fs (~)のように表現する。以降の類似する記載についても同様とする。PID制御部608aは、フーリエ係数演算部603aから取得した演算結果のIq2fc に振幅制御部606aから取得した制限値を乗算することで振幅値制限後のcos2f成分の振幅値Iq2fc (~)を得る。PID制御部609aは、フーリエ係数演算部604aから取得した演算結果のIq4fs に振幅制御部606aから取得した制限値を乗算することで振幅値制限後のsin4f成分の振幅値Iq4fs (~)を得る。PID制御部610aは、フーリエ係数演算部605aから取得した演算結果のIq4fc に振幅制御部606aから取得した制限値を乗算することで振幅値制限後のcos4f成分の振幅値Iq4fc (~)を得る。
このように、q軸電流脈動演算部408aにおいて、複数のフーリエ係数演算部であるフーリエ係数演算部602a~605aは、抽出した周波数成分の振幅値を振幅制御部606aに出力する。振幅制御部606aは、q軸電流脈動指令iqrip に対するリミット値iqriplimおよびフーリエ係数演算部602a~605aから取得した各周波数成分の振幅値から制限値を演算する。複数の積分制御部であるPID制御部607a~610aは、接続されるフーリエ係数演算部で抽出された周波数成分の振幅値に制限値を乗算して周波数成分の振幅値を制限する。
つぎに、第2の手法として、振幅制御部606aが、直流母線電圧Vdcに含まれる脈動の各周波数成分の位相関係を用いる場合について説明する。q軸電流脈動演算部408aの構成は、前述の図9に示すq軸電流脈動演算部408aの構成と同様とする。
フーリエ係数演算部602a~605aの動作は、振幅制御部606aが振幅値を用いる場合の前述のフーリエ係数演算部602a~605aの動作と同様である。
振幅制御部606aは、フーリエ係数演算部602a~605aから取得した振幅値の情報のうち、同じ周波数成分のsin成分の振幅値およびcos成分の振幅値を用いて当該周波数の位相を算出する。例えば、振幅制御部606aは、フーリエ係数演算部602aから取得したsin2f成分の振幅値であるIq2fs とフーリエ係数演算部603aから取得したcos2f成分の振幅値であるIq2fc とを用いて、式(5)のように周波数2f成分の位相θ2fを演算する。
Figure 0007466794000005
振幅制御部606aは、同様の計算方法で、フーリエ係数演算部604aから取得したsin4f成分の振幅値であるIq4fs とフーリエ係数演算部605aから取得したcos4f成分の振幅値であるIq4fc とを用いて周波数4f成分の位相θ4fを演算する。なお、位相θ2fおよび位相θ4fの演算については、振幅制御部606aの手前に別途演算するための構成を設けて、振幅制御部606aの外部で行ってもよい。振幅制御部606aは、位相θ2fおよび位相θ4fの位相関係から、各周波数成分の制限値を決定する。
ここで、振幅制御部606aがq軸電流iの各周波数成分の位相関係に基づいて最終的に出力するq軸電流iの各周波数成分の振幅値を調整する理由は、複数のq軸電流iの脈動成分のそれぞれの位相関係によって、各周波数成分を足し合わせた際の最大値が異なるからである。例えば、周波数2f成分から算出されたq軸電流iの脈動成分、および周波数4f成分から算出されたq軸電流iの脈動成分について、位相が同じ場合には電流ピーク値は増加することになるが、位相がずれている場合には電流ピーク値は減少する場合がある。電流ピーク値が減少すれば、q軸電流脈動指令iqrip のリミット値iqriplimに対して、q軸電流iの脈動成分は余裕ができるので、その分、q軸電流iの脈動成分の振幅を増加させることができ、コンデンサ210へ流入する電流量を低下させることができる。
図10は、2つの周波数成分を足し合わせたときの位相差によるピーク値の違いの例を示す図である。図10(a)は位相が同じ場合を示し、図10(b)は位相がずれている場合を示す。なお、図10(a)および図10(b)において、sin2fおよびsin4fの振幅は同じとする。また、図10(b)において、sin2fの位相およびsin4の位相が90°ずれている、すなわちsin4fの初期位相が90°であるとする。図10(a)に示すように、位相が同じ場合、sin2fおよびsin4fを足し合わせた波形の振幅は、sin1fと比較して、最大値が1から1.76に増加し、最小値が-1から-1.76に減少している。一方、図10(b)に示すように、位相がずれている場合、sin2fおよびsin4fを足し合わせた波形の振幅は、sin1fと比較して、最大値が1から1.12に増加し、最小値が-1から-2に減少している。このように、足し合わせるsin波の初期位相によって最大値および最小値は異なる。最大値および最小値が変化すると、q軸電流脈動指令iqrip のリミット値iqriplimに対する余裕量が異なってくる。したがって、振幅制御部606aは、各周波数成分の位相に応じて各周波数成分の制限値を調整する。
各周波数成分の位相差と各周波数成分を足し合わせたときのピーク値との関係については、電力変換装置1の設計者などが予め求めておくことができる。また、各周波数成分を足し合わせたときのピーク値によって、各周波数成分をどの程度制限すればよいのかについても、電力変換装置1の設計者などが予め求めておくことができる。そのため、振幅制御部606aは、各周波数成分の位相差、各周波数成分を足し合わせたときのピーク値、各周波数成分の制限量などの関係を予め保持しておくことで、各周波数成分の位相差を求めれば、各周波数成分の制限値を決定することができる。
このように、q軸電流脈動演算部408aにおいて、複数のフーリエ係数演算部であるフーリエ係数演算部602a~605aは、抽出した周波数成分の振幅値を振幅制御部606aに出力する。振幅制御部606aは、フーリエ係数演算部602a~605aから取得した各周波数成分から第1の周波数の位相および第2の周波数の位相を演算する。振幅制御部606aは、第1の周波数の位相と第2の周波数の位相との位相差を演算し、q軸電流脈動指令iqrip に対するリミット値iqriplimおよび位相差から制限値を決定する。複数の積分制御部であるPID制御部607a~610aは、制限値に応じて、接続されるフーリエ係数演算部で抽出された周波数成分の振幅値を制限する。
つぎに、第3の手法として、振幅制御部606aが、q軸電流指令i の直流成分iqDCの大きさを用いる場合について説明する。図11は、実施の形態3に係る電力変換装置1の制御部400aが備えるq軸電流脈動演算部408aの構成例を示す第2のブロック図である。q軸電流脈動演算部408aは、減算部601aと、フーリエ係数演算部602a~605aと、振幅制御部606aと、PID制御部607a~610aと、交流復元部611aと、を備える。ここでは、振幅制御部606aがq軸電流脈動指令iqrip のリミット値iqriplimおよびq軸電流指令i の直流成分iqDCを用いて制限値を決定する点が実施の形態2と異なる。すなわち、振幅制御部606aは、q軸電流指令i の直流成分iqDCに基づいて、最終的に出力するq軸電流iの各周波数成分の振幅値を調整する。なお、振幅制御部606aは、q軸電流指令i の直流成分iqDCについて、図示は省略するが、速度制御部402から出力されるq軸電流指令iqDC を直流成分iqDCとして用いてもよい。また、振幅制御部606aは、電力変換装置1がq軸電流指令i の直流成分iqDCを検出する検出部を備えている場合には検出部の検出値を用いてもよい。
q軸電流指令i の直流成分iqDCは、モータ314に加わる負荷トルクなどによって生じる。負荷トルクが加わる方向がモータ314の回転方向と同じ場合には、q軸電流指令i の直流成分iqDCは正であり、逆方向の場合には負となる。例えば、q軸電流指令i の直流成分iqDCが正の場合、q軸電流指令i は、q軸電流指令i の正側の制限値に対して余裕は減少するが、負側の制限値に対して余裕は増加する。q軸電流指令i の直流成分iqDCが負の場合、q軸電流指令i は、q軸電流指令i の正側の制限値に対して余裕は増加するが、負側の制限値に対して余裕は減少する。したがって、振幅制御部606aは、上記のような関係から、q軸電流iに含まれる各周波数成分の振幅値の大きさを調整する必要がある。
このように、q軸電流脈動演算部408aにおいて、振幅制御部606aは、q軸電流脈動指令iqrip に対するリミット値iqriplimおよびq軸電流iの直流成分iqDCから制限値を決定する。複数の積分制御部であるPID制御部607a~610aは、制限値に応じて、接続されるフーリエ係数演算部で抽出された周波数成分の振幅値を制限する。
なお、振幅制御部606aは、制限値を決定する上記3つの手法を組み合わせてもよい。前述のように、各周波数成分の初期位相の関係によって各周波数成分を足し合わせた場合の最大値および最小値が変化する場合、q軸電流指令i のリミット値iqlimに対するq軸電流指令i の余裕量が変わる。例えば、q軸電流指令i の直流成分iqDCが正の場合、sin2fとsin4fとの足し合わせについて、同位相のときと位相が90°ずれているときとでは、位相が90°ずれている方が最大値の増加量が小さいので、q軸電流指令i のリミット値iqlimの正側に対して余裕ができる。振幅制御部606aは、このような事象を鑑みて、各周波数成分の制限値を決定する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、電力変換装置1において、制御部400aのq軸電流脈動演算部408aは、様々な手法で制限値を決定することができ、様々な手法を組み合わせることで、精度よく制限値を決定することができる。
実施の形態4.
実施の形態4では、具体的にモータ314の速度脈動抑制制御を対象として、脈動成分xripが推定速度ωestの場合について説明する。
図12は、実施の形態4に係る電力変換装置1が備える制御部400bの構成例を示すブロック図である。制御部400bは、図2に示す実施の形態1の制御部400のq軸電流脈動演算部408をq軸電流脈動演算部408bに置き換えたものである。なお、図示は省略するが、実施の形態4に係る電力変換装置1は、図1に示す実施の形態1の電力変換装置1に対して、制御部400を制御部400bに置き換えたものとする。
図13は、実施の形態4に係る電力変換装置1の制御部400bが備えるq軸電流脈動演算部408bの構成例を示すブロック図である。q軸電流脈動演算部408bは、減算部601bと、フーリエ係数演算部602b~605bと、振幅制御部606bと、PID制御部607b~610bと、交流復元部611bと、を備える。
減算部601bは、減算部601と同様の機能を有する。減算部601bは、速度指令ωと回転子位置推定部401で推定された推定速度ωestとの偏差を演算する。
フーリエ係数演算部602b~605bは、フーリエ係数演算部602~605と同様の機能を有する。本実施の形態において、フーリエ係数演算部602b~605bは、減算部601bで演算された偏差をモータ314の速度脈動として、モータ314の速度脈動に含まれるsin1f成分、cos1f成分、sin2f成分、およびcos2f成分の振幅をそれぞれ演算する。なお、実施の形態4の「f」、実施の形態2の「f」、および実施の形態1の「f」については、異なっていてもよいし、同一であってもよい。フーリエ係数演算部602b~605bで偏差に乗算される検波信号はそれぞれsin1ωint、cos1ωint、sin2ωint、およびcos2ωintであり、入力信号である偏差と検波信号との積の平均値の2倍がそれぞれ偏差に含まれるsin1f成分、cos1f成分、sin2f成分、およびcos2f成分の振幅値である。例えば、フーリエ係数演算部602bは、偏差にsin1ωintの検波信号を乗算し、モータ314の速度脈動に含まれる脈動のうちsin1f成分の振幅値を演算する。フーリエ係数演算部603bは、偏差にcos1ωintの検波信号を乗算し、モータ314の速度脈動に含まれる脈動のうちcos1f成分の振幅値を演算する。フーリエ係数演算部604bは、偏差にsin2ωintの検波信号を乗算し、モータ314の速度脈動に含まれる脈動のうちsin2f成分の振幅値を演算する。フーリエ係数演算部605bは、偏差にcos2ωintの検波信号を乗算し、モータ314の速度脈動に含まれる脈動のうちcos2f成分の振幅値を演算する。このように、複数のフーリエ係数演算部であるフーリエ係数演算部602b~605bは、各々が、減算部601bで演算された偏差から、モータ314の速度脈動に含まれる第3の周波数のサイン成分、第3の周波数のコサイン成分、第3の周波数の2以上の整数倍である第4の周波数のサイン成分、および第4の周波数のコサイン成分のうち1つを抽出する。実施の形態4において、第3の周波数は1fであり、第4の周波数は2fである。
振幅制御部606bは、振幅制御部606と同様の機能を有する。振幅制御部606bは、q軸電流脈動指令iqrip のリミット値iqriplimに応じて、PID制御部607b~610bに対して、各周波数成分の振幅値を具体的に指定してもよいし、フーリエ係数演算部602b~605bで抽出された各周波数成分の振幅値を抑制するための比率を指定してもよい。振幅制御部606bは、q軸電流脈動指令iqrip のリミット値iqriplimについて、予め保持していてもよいし、速度制御部402で生成されたq軸電流指令iqDC を取得してq軸電流指令iqDC を用いて演算によって求めてもよい。このように、振幅制御部606bは、フーリエ係数演算部602b~605bで抽出された各周波数成分の振幅値を制限する制限値を決定する。
PID制御部607b~610bは、PID制御部607~610と同様の機能を有する。PID制御部607b~610bは、フーリエ係数演算部602b~605bで抽出された偏差の特定周波数成分がそれぞれゼロになるように比例積分微分制御、すなわちPID制御を実施する。図13に示すように、PID制御部607bはフーリエ係数演算部602bに接続され、PID制御部608bはフーリエ係数演算部603bに接続され、PID制御部609bはフーリエ係数演算部604bに接続され、PID制御部610bはフーリエ係数演算部605bに接続される。このように、複数の積分制御部であるPID制御部607b~610bは、各々がフーリエ係数演算部602b~605bのうちの1つに接続され、振幅制御部606bで決定された制限値を用いて、接続されるフーリエ係数演算部で抽出された周波数成分の振幅値を制限する。
交流復元部611bは、交流復元部611と同様の機能を有する。交流復元部611bは、PID制御部607b~610bからの出力を交流に復元すべく、それぞれsin1ωint、cos1ωint、sin2ωint、およびcos2ωintと掛け合わせた後に合算し、q軸電流脈動指令iqrip を生成する。このように、交流復元部611bは、PID制御部607b~610bで得られた振幅値制限後の各周波数成分を用いて交流成分の信号を生成し、q軸電流脈動iqripの振幅を制御するq軸電流脈動指令iqrip として出力する。
なお、本実施の形態では、q軸電流脈動演算部408bが4つのフーリエ係数演算部602b~605bおよび4つのPID制御部607b~610bを備えていたが、一例であり、これに限定されない。q軸電流脈動演算部408bは、6つのフーリエ係数演算部および6つのPID制御部を備えてもよいし、8つ以上のフーリエ係数演算部および8つ以上のPID制御部を備えてもよい。例えば、q軸電流脈動演算部408bは、6つのフーリエ係数演算部および6つのPID制御部を備える場合、前述の4つの周波数成分の他にsin3f成分、およびcos3f成分を対象にして制御を行う。また、q軸電流脈動演算部408bは、8つのフーリエ係数演算部および8つのPID制御部を備える場合、前述の4つの周波数成分の他にsin3f成分、cos3f成分、sin4f成分、およびcos4f成分を対象にして制御を行う。
図14は、実施の形態4に係る電力変換装置1の制御部400bが備えるq軸電流脈動演算部408bの動作を示すフローチャートである。q軸電流脈動演算部408bにおいて、減算部601bは、速度指令ωと推定速度ωestとの偏差を演算する(ステップS31)。フーリエ係数演算部602b~605bは、減算部601bで演算された偏差に含まれる複数の特定周波数の周波数成分を抽出する(ステップS32)。振幅制御部606bは、各周波数成分の振幅値を制限する制限値を決定する(ステップS33)。PID制御部607b~610bは、振幅制御部606bで決定された制限値を用いて、フーリエ係数演算部602b~605bで抽出された各周波数成分の振幅値を制限する(ステップS34)。交流復元部611bは、PID制御部607b~610bで得られた振幅値制限後の各周波数成分を用いて、q軸電流脈動指令iqrip を生成する(ステップS35)。
電力変換装置1が備える制御部400bのハードウェア構成について説明する。制御部400bは、実施の形態1の制御部400と同様、プロセッサ91およびメモリ92により実現される。
以上説明したように、本実施の形態によれば、電力変換装置1において、制御部400bのq軸電流脈動演算部408bは、推定速度ωestに含まれる脈動成分に対して、基本となる脈動成分の周波数とともに、基本となる脈動成分の周波数の正の整数倍の周波数についても振幅を制限する制御を行うこととした。これにより、電力変換装置1の制御部400bは、q軸電流iを脈動させる補償制御における補償の精度を向上させることができる。この結果、電力変換装置1は、銅損を低減できるなどの効果を得ることができる。
実施の形態5.
実施の形態5では、電力変換装置1がモータ314の速度脈動抑制制御を対象にしている場合において、q軸電流脈動演算部408bの振幅制御部606bがフーリエ係数演算部602b~605bで抽出された各周波数成分の振幅値を制限する制限値を決定する方法について説明する。実施の形態5において、制御部400bの構成は、図12に示す実施の形態4の制御部400bの構成と同様である。
まず、第1の手法として、振幅制御部606bが、モータ314の速度脈動に含まれる脈動の各周波数成分の振幅値を用いる場合について説明する。図15は、実施の形態5に係る電力変換装置1の制御部400bが備えるq軸電流脈動演算部408bの構成例を示す第1のブロック図である。q軸電流脈動演算部408bは、減算部601bと、フーリエ係数演算部602b~605bと、振幅制御部606bと、PID制御部607b~610bと、交流復元部611bと、を備える。ここでは、フーリエ係数演算部602b~605bが演算結果を振幅制御部606bに出力し、振幅制御部606bがq軸電流脈動指令iqrip のリミット値iqriplimおよびフーリエ係数演算部602b~605bの演算結果を用いて制限値を決定する点が実施の形態4と異なる。すなわち、振幅制御部606bは、q軸電流iの各周波数成分の振幅値に基づいて、最終的に出力するq軸電流iの各周波数成分の振幅値を調整する。具体的なq軸電流脈動演算部408bの動作については、実施の形態3の第1の手法として説明したq軸電流脈動演算部408aの動作と同様なため、詳細な説明については省略する。
q軸電流脈動演算部408bにおいて、複数のフーリエ係数演算部であるフーリエ係数演算部602b~605bは、抽出した周波数成分の振幅値を振幅制御部606bに出力する。振幅制御部606bは、q軸電流脈動指令iqrip に対するリミット値iqriplimおよびフーリエ係数演算部602b~605bから取得した各周波数成分の振幅値から制限値を演算する。複数の積分制御部であるPID制御部607b~610bは、接続されるフーリエ係数演算部で抽出された各周波数成分の振幅値に制限値を乗算して周波数成分の振幅値を制限する。
つぎに、第2の手法として、振幅制御部606bが、モータ314の速度脈動に含まれる脈動の各周波数成分の位相関係を用いる場合について説明する。q軸電流脈動演算部408bの構成は、前述の図15に示すq軸電流脈動演算部408bの構成と同様とする。具体的なq軸電流脈動演算部408bの動作については、実施の形態3の第2の手法として説明したq軸電流脈動演算部408aの動作と同様なため、詳細な説明については省略する。
q軸電流脈動演算部408bにおいて、複数のフーリエ係数演算部であるフーリエ係数演算部602b~605bは、抽出した周波数成分の振幅値を振幅制御部606bに出力する。振幅制御部606bは、複数のフーリエ係数演算部602b~605bから取得した各周波数成分から第3の周波数の位相および第4の周波数の位相を演算する。振幅制御部606bは、第3の周波数の位相と第4の周波数の位相との位相差を演算し、q軸電流脈動指令iqrip に対するリミット値iqriplimおよび位相差から制限値を決定する。複数の積分制御部であるPID制御部607b~610bは、制限値に応じて、接続されるフーリエ係数演算部で抽出された周波数成分の振幅値を制限する。
つぎに、第3の手法として、振幅制御部606bが、q軸電流指令i の直流成分iqDCの大きさを用いる場合について説明する。図16は、実施の形態5に係る電力変換装置1の制御部400bが備えるq軸電流脈動演算部408bの構成例を示す第2のブロック図である。q軸電流脈動演算部408bは、減算部601bと、フーリエ係数演算部602b~605bと、振幅制御部606bと、PID制御部607b~610bと、交流復元部611bと、を備える。ここでは、振幅制御部606bがq軸電流脈動指令iqrip のリミット値iqriplimおよびq軸電流指令i の直流成分iqDCを用いて制限値を決定する点が実施の形態4と異なる。すなわち、振幅制御部606bは、q軸電流指令i の直流成分iqDCに基づいて、最終的に出力するq軸電流iの各周波数成分の振幅値を調整する。なお、振幅制御部606bは、q軸電流指令i の直流成分iqDCについて、図示は省略するが、速度制御部402から出力されるq軸電流指令iqDC を直流成分iqDCとして用いてもよい。また、振幅制御部606bは、電力変換装置1がq軸電流指令i の直流成分iqDCを検出する検出部を備えている場合には検出部の検出値を用いてもよい。具体的なq軸電流脈動演算部408bの動作については、実施の形態3の第3の手法として説明したq軸電流脈動演算部408aの動作と同様なため、詳細な説明については省略する。
q軸電流脈動演算部408bにおいて、振幅制御部606bは、q軸電流脈動指令iqrip に対するリミット値iqriplimおよびq軸電流iの直流成分iqDCから制限値を決定する。複数の積分制御部であるPID制御部607a~610aは、制限値に応じて、接続されるフーリエ係数演算部で抽出された周波数成分の振幅値を制限する。
なお、振幅制御部606bは、制限値を決定する上記3つの手法を組み合わせてもよい。
以上説明したように、本実施の形態によれば、電力変換装置1において、制御部400bのq軸電流脈動演算部408bは、様々な手法で制限値を決定することができ、様々な手法を組み合わせることで、精度よく制限値を決定することができる。
実施の形態6.
実施の形態2,3では、電力変換装置1がコンデンサ電流抑制制御を対象にする場合について説明し、実施の形態4,5では、電力変換装置1がモータ314の速度脈動抑制制御を対象にする場合について説明した。実施の形態6では、電力変換装置1がコンデンサ電流抑制制御およびモータ314の速度脈動抑制制御を対象にする場合について説明する。
図17は、実施の形態6に係る電力変換装置1が備える制御部400cの構成例を示すブロック図である。制御部400cは、図2に示す実施の形態1の制御部400のq軸電流脈動演算部408をq軸電流脈動演算部408cに置き換えたものである。なお、図示は省略するが、実施の形態6に係る電力変換装置1は、図1に示す実施の形態1の電力変換装置1に対して、制御部400を制御部400cに置き換えたものとする。
図18は、実施の形態6に係る電力変換装置1の制御部400cが備えるq軸電流脈動演算部408cの構成例を示す第1のブロック図である。q軸電流脈動演算部408cは、減算部601a,601bと、フーリエ係数演算部602a,603a,602b,603bと、振幅制御部606cと、PID制御部607a,608a,607b,608bと、交流復元部611cと、を備える。
減算部601a,601b、フーリエ係数演算部602a,603a,602b,603b、およびPID制御部607a,608a,607b,608bの動作は前述の動作と同様である。
振幅制御部606cは、振幅制御部606と同様の機能を有する。振幅制御部606cにおける制限値を決定する手法は、前述の振幅制御部606aまたは振幅制御部606bによる手法と同様である。なお、振幅制御部606cは、コンデンサ電流抑制制御およびモータ314の速度脈動抑制制御について、各制御を同等に扱ってもよいし、一方の制御の制限値を大きくし、他方の制御の制限値を小さくするように、制御によって重み付けをしてもよい。
交流復元部611cは、交流復元部611と同様の機能を有する。交流復元部611cは、PID制御部607a,608a,607b,608bからの出力を合成し、q軸電流脈動指令iqrip を生成する。
このように、q軸電流脈動演算部408cにおいて、第1の減算部である減算部601aは、ゼロである指令値とコンデンサ210の電力状態を検出する検出部で検出された検出値との第1の偏差を演算する。複数の第1のフーリエ係数演算部であるフーリエ係数演算部602a,603aは、各々が、第1の偏差から、第1の交流電力の周波数の2倍の第1の周波数のサイン成分、および第1の周波数のコサイン成分のうち1つを抽出する。第2の減算部である減算部601bは、速度指令ωと推定速度ωestとの第2の偏差を演算する。複数の第2のフーリエ係数演算部であるフーリエ係数演算部602b,603bは、各々が、第2の偏差から、モータ314の速度脈動に含まれる第3の周波数のサイン成分、および第3の周波数のコサイン成分のうち1つを抽出する。振幅制御部606cは、フーリエ係数演算部602a,603aおよびフーリエ係数演算部602b,603bで抽出された各周波数成分の振幅値を制限する制限値を決定する。複数の第1の積分制御部であるPID制御部607a,608aは、各々がフーリエ係数演算部602a,603aのうちの1つに接続され、制限値を用いて、接続されるフーリエ係数演算部で抽出された周波数成分の振幅値を制限する。複数の第2の積分制御部であるPID制御部607b,608bは、各々がフーリエ係数演算部602b,603bのうちの1つに接続され、制限値を用いて、接続されるフーリエ係数演算部で抽出された周波数成分の振幅値を制限する。交流復元部611cは、PID制御部607a,608aおよびPID制御部607b,608bで得られた振幅値制限後の各周波数成分を用いて交流成分の信号を生成し、q軸電流脈動iqripの振幅を制御するq軸電流脈動指令iqrip として出力する。
なお、図18の例では、q軸電流脈動演算部408cは、コンデンサ電流抑制制御として1つ周波数のsin成分およびcos成分の組み合わせを対象とし、モータ314の速度脈動抑制制御として1つ周波数のsin成分およびcos成分の組み合わせを対象としていたが、これに限定されない。q軸電流脈動演算部408cは、実施の形態2から実施の形態5までのように、各制御において複数の周波数のsin成分およびcos成分の組み合わせを対象にすることも可能である。
図19は、実施の形態6に係る電力変換装置1の制御部400cが備えるq軸電流脈動演算部408cの構成例を示す第2のブロック図である。q軸電流脈動演算部408cは、減算部601a,601bと、フーリエ係数演算部602a~605a,602b~605bと、振幅制御部606cと、PID制御部607a~610a,607b~610bと、交流復元部611cと、を備える。
減算部601a,601b、フーリエ係数演算部602a~605a,602b~605b、およびPID制御部607a~610a,607b~610bの動作は前述の動作と同様である。
振幅制御部606cは、振幅制御部606と同様の機能を有する。振幅制御部606cにおける制限値を決定する手法は、前述の振幅制御部606aまたは振幅制御部606bによる手法と同様である。なお、振幅制御部606cは、コンデンサ電流抑制制御およびモータ314の速度脈動抑制制御について、各制御を同等に扱ってもよいし、一方の制御の制限値を大きくし、他方の制御の制限値を小さくするように、制御によって重み付けをしてもよい。
交流復元部611cは、交流復元部611と同様の機能を有する。交流復元部611cは、PID制御部607a~610a,607b~610bからの出力を合成し、q軸電流脈動指令iqrip を生成する。
このように、q軸電流脈動演算部408cにおいて、第1の減算部である減算部601aは、ゼロである指令値とコンデンサ210の電力状態を検出する検出部で検出された検出値との第1の偏差を演算する。複数の第1のフーリエ係数演算部であるフーリエ係数演算部602a~605aは、各々が、第1の偏差から、第1の交流電力の周波数の2倍の第1の周波数のサイン成分、および第1の周波数のコサイン成分、第1の周波数の2以上の整数倍である第2の周波数のサイン成分、および第2の周波数のコサイン成分のうち1つを抽出する。第2の減算部である減算部601bは、速度指令ωと推定速度ωestとの第2の偏差を演算する。複数の第2のフーリエ係数演算部であるフーリエ係数演算部602b~605bは、各々が、第2の偏差から、モータ314の速度脈動に含まれる第3の周波数のサイン成分、第3の周波数のコサイン成分、第3の周波数の2以上の整数倍である第4の周波数のサイン成分、および第4の周波数のコサイン成分のうち1つを抽出する。振幅制御部606cは、フーリエ係数演算部602a~605aおよびフーリエ係数演算部602b~605bで抽出された各周波数成分の振幅値を制限する制限値を決定する。複数の第1の積分制御部であるPID制御部607a~610aは、各々がフーリエ係数演算部602a~605aのうちの1つに接続され、制限値を用いて、接続されるフーリエ係数演算部で抽出された周波数成分の振幅値を制限する。複数の第2の積分制御部であるPID制御部607b~610bは、各々がフーリエ係数演算部602b~605bのうちの1つに接続され、制限値を用いて、接続されるフーリエ係数演算部で抽出された周波数成分の振幅値を制限する。交流復元部611cは、PID制御部607a~610aおよびPID制御部607b~610bで得られた振幅値制限後の各周波数成分を用いて交流成分の信号を生成し、q軸電流脈動iqripの振幅を制御するq軸電流脈動指令iqrip として出力する。
図20は、実施の形態6に係る電力変換装置1の制御部400cが備えるq軸電流脈動演算部408cの動作を示すフローチャートである。q軸電流脈動演算部408cにおいて、減算部601aは、0である指令値と直流母線電圧Vdcとの偏差を演算する(ステップS41)。減算部601bは、速度指令ωと推定速度ωestとの偏差を演算する(ステップS42)。フーリエ係数演算部602a~605aは、減算部601aで演算された偏差に含まれる複数の特定周波数の周波数成分を抽出し、フーリエ係数演算部602b~605bは、減算部601bで演算された偏差に含まれる複数の特定周波数の周波数成分を抽出する(ステップS43)。振幅制御部606cは、各周波数成分の振幅値を制限する制限値を決定する(ステップS44)。PID制御部607a~610aは、振幅制御部606cで決定された制限値を用いて、フーリエ係数演算部602a~605aで抽出された各周波数成分の振幅値を制限し、PID制御部607b~610bは、振幅制御部606cで決定された制限値を用いて、フーリエ係数演算部602b~605bで抽出された各周波数成分の振幅値を制限する(ステップS45)。交流復元部611cは、PID制御部607a~610a,607b~610bで得られた振幅値制限後の各周波数成分を用いて、q軸電流脈動指令iqrip を生成する(ステップS46)。
電力変換装置1が備える制御部400cのハードウェア構成について説明する。制御部400cは、実施の形態1の制御部400と同様、プロセッサ91およびメモリ92により実現される。
以上説明したように、本実施の形態によれば、電力変換装置1において、制御部400cのq軸電流脈動演算部408cは、直流母線電圧Vdcおよび推定速度ωestに含まれる脈動成分に対して、振幅を制限する制御を行うこととした。これにより、電力変換装置1の制御部400cは、q軸電流iを脈動させる補償制御における補償の精度を向上させることができる。この結果、電力変換装置1は、銅損を低減できるなどの効果を得ることができる。また、q軸電流脈動演算部408cは、直流母線電圧Vdcおよび推定速度ωestに含まれる脈動成分に対して、基本となる脈動成分の周波数とともに、基本となる脈動成分の周波数の正の整数倍の周波数についても振幅を制限する制御を行うこととした。これにより、電力変換装置1の制御部400cは、さらにq軸電流iを脈動させる補償制御における補償の精度を向上させることができる。この結果、電力変換装置1は、さらに銅損を低減できるなどの効果を得ることができる。
実施の形態7.
図21は、実施の形態7に係る冷凍サイクル適用機器900の構成例を示す図である。実施の形態7に係る冷凍サイクル適用機器900は、実施の形態1~6で説明した電力変換装置1を備える。実施の形態7に係る冷凍サイクル適用機器900は、空気調和機、冷蔵庫、冷凍庫、ヒートポンプ給湯器といった冷凍サイクルを備える製品に適用することが可能である。なお、図21において、実施の形態1と同様の機能を有する構成要素には、実施の形態1と同一の符号を付している。
冷凍サイクル適用機器900は、実施の形態1におけるモータ314を内蔵した圧縮機315と、四方弁902と、室内熱交換器906と、膨張弁908と、室外熱交換器910とが冷媒配管912を介して取り付けられている。
圧縮機315の内部には、冷媒を圧縮する圧縮機構904と、圧縮機構904を動作させるモータ314とが設けられている。
冷凍サイクル適用機器900は、四方弁902の切替動作により暖房運転又は冷房運転をすることができる。圧縮機構904は、可変速制御されるモータ314によって駆動される。
暖房運転時には、実線矢印で示すように、冷媒が圧縮機構904で加圧されて送り出され、四方弁902、室内熱交換器906、膨張弁908、室外熱交換器910及び四方弁902を通って圧縮機構904に戻る。
冷房運転時には、破線矢印で示すように、冷媒が圧縮機構904で加圧されて送り出され、四方弁902、室外熱交換器910、膨張弁908、室内熱交換器906及び四方弁902を通って圧縮機構904に戻る。
暖房運転時には、室内熱交換器906が凝縮器として作用して熱放出を行い、室外熱交換器910が蒸発器として作用して熱吸収を行う。冷房運転時には、室外熱交換器910が凝縮器として作用して熱放出を行い、室内熱交換器906が蒸発器として作用し、熱吸収を行う。膨張弁908は、冷媒を減圧して膨張させる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 電力変換装置、2 モータ駆動装置、110 商用電源、120 リアクトル、130 整流部、131~134 整流素子、200 平滑部、210 コンデンサ、310 インバータ、311a~311f スイッチング素子、312a~312f 還流ダイオード、313a,313b 電流検出部、314 モータ、315 圧縮機、400,400a,400b,400c 制御部、401 回転子位置推定部、402 速度制御部、403 弱め磁束制御部、404 電流制御部、405,406 座標変換部、407 PWM信号生成部、408,408a,408b,408c q軸電流脈動演算部、409 加算部、501 電圧検出部、601,601a,601b 減算部、602~605,602a~605a,602b~605b フーリエ係数演算部、606,606a,606b,606c 振幅制御部、607~610,607a~610a,607b~610b PID制御部、611,611a,611b,611c 交流復元部、900 冷凍サイクル適用機器、902 四方弁、904 圧縮機構、906 室内熱交換器、908 膨張弁、910 室外熱交換器、912 冷媒配管。

Claims (13)

  1. 商用電源から供給される第1の交流電力を整流する整流部と、
    前記整流部の出力端に接続されるコンデンサと、
    前記コンデンサの両端に接続され、第2の交流電力を生成してモータに出力するインバータと、
    前記モータの回転子位置に同期して回転するdq回転座標を用いて、前記インバータおよび前記モータの動作を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、q軸電流の脈動成分であるq軸電流脈動から複数の周波数成分を抽出し、抽出した各周波数成分の振幅値を制限して前記q軸電流脈動の振幅を制御する、
    電力変換装置。
  2. 前記制御部は、
    ゼロである指令値と前記コンデンサの電力状態を検出する検出部で検出された検出値との偏差を演算する減算部と、
    各々が、前記偏差から、前記第1の交流電力の周波数の2倍の第1の周波数のサイン成分、前記第1の周波数のコサイン成分、前記第1の周波数の2以上の整数倍である第2の周波数のサイン成分、および前記第2の周波数のコサイン成分のうち1つを抽出する複数のフーリエ係数演算部と、
    前記複数のフーリエ係数演算部で抽出された各周波数成分の振幅値を制限する制限値を決定する振幅制御部と、
    各々が前記複数のフーリエ係数演算部のうちの1つに接続され、前記制限値を用いて、接続される前記フーリエ係数演算部で抽出された周波数成分の振幅値を制限する複数の積分制御部と、
    前記複数の積分制御部で得られた振幅値制限後の各周波数成分を用いて交流成分の信号を生成し、前記q軸電流脈動の振幅を制御するq軸電流脈動指令として出力する交流復元部と、
    を備える請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記複数のフーリエ係数演算部は、抽出した周波数成分の振幅値を前記振幅制御部に出力し、
    前記振幅制御部は、前記q軸電流脈動指令に対するリミット値および前記複数のフーリエ係数演算部から取得した各周波数成分の振幅値から前記制限値を演算し、
    前記複数の積分制御部は、接続される前記フーリエ係数演算部で抽出された周波数成分の振幅値に前記制限値を乗算して前記周波数成分の振幅値を制限する、
    請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記複数のフーリエ係数演算部は、抽出した周波数成分の振幅値を前記振幅制御部に出力し、
    前記振幅制御部は、前記複数のフーリエ係数演算部から取得した各周波数成分から前記第1の周波数の位相および前記第2の周波数の位相を演算し、前記第1の周波数の位相と前記第2の周波数の位相との位相差を演算し、前記q軸電流脈動指令に対するリミット値および前記位相差から前記制限値を決定し、
    前記複数の積分制御部は、前記制限値に応じて、接続される前記フーリエ係数演算部で抽出された周波数成分の振幅値を制限する、
    請求項2または3に記載の電力変換装置。
  5. 前記振幅制御部は、前記q軸電流脈動指令に対するリミット値および前記q軸電流の直流成分から前記制限値を決定し、
    前記複数の積分制御部は、前記制限値に応じて、接続される前記フーリエ係数演算部で抽出された周波数成分の振幅値を制限する、
    請求項2から4のいずれか1つに記載の電力変換装置。
  6. 前記制御部は、
    速度指令と推定速度との偏差を演算する減算部と、
    各々が、前記偏差から、前記モータの速度脈動に含まれる第3の周波数のサイン成分、前記第3の周波数のコサイン成分、前記第3の周波数の2以上の整数倍である第4の周波数のサイン成分、および前記第4の周波数のコサイン成分のうち1つを抽出する複数のフーリエ係数演算部と、
    前記複数のフーリエ係数演算部で抽出された各周波数成分の振幅値を制限する制限値を決定する振幅制御部と、
    各々が前記複数のフーリエ係数演算部のうちの1つに接続され、前記制限値を用いて、接続される前記フーリエ係数演算部で抽出された周波数成分の振幅値を制限する複数の積分制御部と、
    前記複数の積分制御部で得られた振幅値制限後の各周波数成分を用いて交流成分の信号を生成し、前記q軸電流脈動の振幅を制御するq軸電流脈動指令として出力する交流復元部と、
    を備える請求項1に記載の電力変換装置。
  7. 前記複数のフーリエ係数演算部は、抽出した周波数成分の振幅値を前記振幅制御部に出力し、
    前記振幅制御部は、前記q軸電流脈動指令に対するリミット値および前記複数のフーリエ係数演算部から取得した各周波数成分の振幅値から前記制限値を演算し、
    前記複数の積分制御部は、接続される前記フーリエ係数演算部で抽出された各周波数成分の振幅値に前記制限値を乗算して前記周波数成分の振幅値を制限する、
    請求項6に記載の電力変換装置。
  8. 前記複数のフーリエ係数演算部は、抽出した周波数成分の振幅値を前記振幅制御部に出力し、
    前記振幅制御部は、前記複数のフーリエ係数演算部から取得した各周波数成分から前記第3の周波数の位相および前記第4の周波数の位相を演算し、前記第3の周波数の位相と前記第4の周波数の位相との位相差を演算し、前記q軸電流脈動指令に対するリミット値および前記位相差から前記制限値を決定し、
    前記複数の積分制御部は、前記制限値に応じて、接続される前記フーリエ係数演算部で抽出された周波数成分の振幅値を制限する、
    請求項6または7に記載の電力変換装置。
  9. 前記振幅制御部は、前記q軸電流脈動指令に対するリミット値および前記q軸電流の直流成分から前記制限値を決定し、
    前記複数の積分制御部は、前記制限値に応じて、接続される前記フーリエ係数演算部で抽出された周波数成分の振幅値を制限する、
    請求項6から8のいずれか1つに記載の電力変換装置。
  10. 前記制御部は、
    ゼロである指令値と前記コンデンサの電力状態を検出する検出部で検出された検出値との第1の偏差を演算する第1の減算部と、
    各々が、前記第1の偏差から、前記第1の交流電力の周波数の2倍の第1の周波数のサイン成分、および前記第1の周波数のコサイン成分のうち1つを抽出する複数の第1のフーリエ係数演算部と、
    速度指令と推定速度との第2の偏差を演算する第2の減算部と、
    各々が、前記第2の偏差から、前記モータの速度脈動に含まれる第3の周波数のサイン成分、および前記第3の周波数のコサイン成分のうち1つを抽出する複数の第2のフーリエ係数演算部と、
    前記第1のフーリエ係数演算部および前記第2のフーリエ係数演算部で抽出された各周波数成分の振幅値を制限する制限値を決定する振幅制御部と、
    各々が前記複数の第1のフーリエ係数演算部のうちの1つに接続され、前記制限値を用いて、接続される前記第1のフーリエ係数演算部で抽出された周波数成分の振幅値を制限する複数の第1の積分制御部と、
    各々が前記複数の第2のフーリエ係数演算部のうちの1つに接続され、前記制限値を用いて、接続される前記第2のフーリエ係数演算部で抽出された周波数成分の振幅値を制限する複数の第2の積分制御部と、
    前記複数の第1の積分制御部および前記複数の第2の積分制御部で得られた振幅値制限後の各周波数成分を用いて交流成分の信号を生成し、前記q軸電流脈動の振幅を制御するq軸電流脈動指令として出力する交流復元部と、
    を備える請求項1に記載の電力変換装置。
  11. 前記制御部は、
    ゼロである指令値と前記コンデンサの電力状態を検出する検出部で検出された検出値との第1の偏差を演算する第1の減算部と、
    各々が、前記第1の偏差から、前記第1の交流電力の周波数の2倍の第1の周波数のサイン成分、および前記第1の周波数のコサイン成分、前記第1の周波数の2以上の整数倍である第2の周波数のサイン成分、および前記第2の周波数のコサイン成分のうち1つを抽出する複数の第1のフーリエ係数演算部と、
    速度指令と推定速度との第2の偏差を演算する第2の減算部と、
    各々が、前記第2の偏差から、前記モータの速度脈動に含まれる第3の周波数のサイン成分、前記第3の周波数のコサイン成分、前記第3の周波数の2以上の整数倍である第4の周波数のサイン成分、および前記第4の周波数のコサイン成分のうち1つを抽出する複数の第2のフーリエ係数演算部と、
    前記複数の第1のフーリエ係数演算部および前記複数の第2のフーリエ係数演算部で抽出された各周波数成分の振幅値を制限する制限値を決定する振幅制御部と、
    各々が前記複数の第2のフーリエ係数演算部のうちの1つに接続され、前記制限値を用いて、接続される前記第1のフーリエ係数演算部で抽出された周波数成分の振幅値を制限する複数の第1の積分制御部と、
    各々が前記複数の第2のフーリエ係数演算部のうちの1つに接続され、前記制限値を用いて、接続される前記第2のフーリエ係数演算部で抽出された周波数成分の振幅値を制限する複数の第2の積分制御部と、
    前記複数の第1の積分制御部および前記複数の第2の積分制御部で得られた振幅値制限後の各周波数成分を用いて交流成分の信号を生成し、前記q軸電流脈動の振幅を制御するq軸電流脈動指令として出力する交流復元部と、
    を備える請求項1に記載の電力変換装置。
  12. 請求項1から11のいずれか1つに記載の電力変換装置を備えるモータ駆動装置。
  13. 請求項1から11のいずれか1つに記載の電力変換装置を備える冷凍サイクル適用機器。
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