JP7195165B2 - 制御装置、モータ駆動装置、及びそれを用いた冷凍機器 - Google Patents

制御装置、モータ駆動装置、及びそれを用いた冷凍機器 Download PDF

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Description

本発明は、制御装置、モータ駆動装置、及びそれを用いた冷凍機器に関する。特に、インバータ回路を有するモータ駆動装置において、モータ負荷トルクの周期変動に起因する振動や電流波高値の変動を低減する技術に関する。
レシプロ圧縮機やロータリ圧縮機は、冷媒の圧縮過程において周期的なトルク変動を生じることが知られている。このようなトルク変動に伴う振動や騒音を抑制する技術が必要とされる。
また、圧縮機の振動等を抑制できるものの、周期的なトルク変動に伴って、モータに流れる電流の波高値が大きく変動するため、駆動システム(インバータとモータ)の損失増加を招くことがある。そこで、モータの損失を低減する技術が必要とされる。
このような技術に関連するもとして、例えば特許文献1がある。
特許文献1の[要約]において、「[課題]周期的なトルク外乱に起因する電動機の入力電流を低減する。[解決手段]負荷に連結された電動機を駆動するインバータと、該インバータをパルス幅変調制御により駆動する制御器とを備えた電動機制御装置において、前記制御器は、前記電動機に流れるモータ電流の実効値に関する電流変動分を抽出し、該電流変動分を抑制する補正信号を生成して前記パルス幅変調制御の電流指令を補正する電流変動補償手段を備えることにより、周期的なトルク外乱による入力電流を低減する。」と記載されており、電動機制御装置の技術が開示されている。
この特許文献1には、モータの出力トルクと圧縮機の負荷トルクとの差である周期的なトルク変動をゼロにするようにモータを制御する手段や、モータの損失を低減する技術として、モータ電流の波高値を略一定に保つ手段が示されている。
特開2007-166690号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、圧縮機の振動や騒音を抑制する制御手段と、モータの損失を低減できるモータ電流の波高値を略一定に保つ手段が、圧縮機の運転状況(回転速度や負荷の重さ)に応じて、切替するようにしているものの、圧縮機の振動と電流波高値の変動とは、トレードオフ関係になっているため、両者を同時に抑制することはできず、課題が残る。
一方、圧縮機が製品(エアコンや冷蔵庫)に実装される際には、ある程度の振動や騒音対策(ゴム足や防音材など)がなされているため、圧縮機の振動がある程度残っても問題がないことがある。そのため、駆動効率を優先にして、振動を所定レベル以下に抑制できる制御手段が望ましい場合があり、このような制御手段が課題として残されている。
本発明は、前記した課題に鑑みて創案されたものであって、制御対象の運転状況に応じて、制御対象の振動を所定レベル以下に抑制し、制御対象の損失を低減する制御装置を提供することを課題とする。
また、前記制御装置を用いたモータ駆動装置、冷凍機器を提供することを課題とする。
前記の課題を解決するために、本発明を以下のように構成した。
すなわち、本発明の制御装置は、外部からの指令信号が入力されて制御信号を出力する制御器と、前記制御信号に基づいて制御される制御対象の発生する状態情報を検出して前記制御器に検出信号を出力する検出手段と、を備える制御装置であって、前記制御器は、前記指令信号と前記検出信号の偏差が入力され、該偏差に基づき前記制御対象の操作量を出力するPI制御器またはPID制御器と、所定の抑制目標値と前記検出信号の偏差が入力され、該偏差に含まれる所定周波数の信号を逆位相にして出力するS制御器と、前記PI制御器または前記PID制御器の出力と前記S制御器の出力を加算し、前記制御信号として出力する加算器と、を備え、前記S制御器は、下記の式1に示す伝達関数を用いる、
ことを特徴とする。
Figure 0007195165000001
ここで、G(s):伝達関数、s:ラプラス演算子、ω0:中心周波数、Ks、Kt:制御ゲイン
前記の課題を解決するために、本発明を以下のように構成した。
すなわち、本発明の制御装置は、外部からの指令信号が入力されて制御信号を出力する制御器と、前記制御信号に基づいて制御される制御対象の発生する状態情報を検出して前記制御器に検出信号を出力する検出手段と、を備える制御装置であって、前記制御器は、前記指令信号と前記検出信号の偏差が入力され、該偏差に基づき前記制御対象の操作量を出力するPI制御器またはPID制御器と、所定の抑制目標値と前記検出信号の偏差が入力され、該偏差に含まれる所定周波数の信号を逆位相にして出力するS制御器と、前記PI制御器または前記PID制御器の出力と前記S制御器の出力を加算し、前記制御信号として出力する加算器と、を備え、前記S制御器は、下記の式1に示す伝達関数を用い、前記検出信号に複数の高次成分の周波数が存在する場合に、各々の周波数に対応した複数のS制御器を併用する、
ことを特徴とする。
Figure 0007195165000002
ここで、G(s):伝達関数、s:ラプラス演算子、ω:中心周波数、K、K:制御ゲイン
また、本発明の冷凍機器は、いずれかの前記モータ駆動装置を内蔵する圧縮機を備える、ことを特徴とする。
また、その他の手段は、発明を実施するための形態のなかで説明する。
本発明によれば、モータ負荷の周期的なトルク変動に起因する振動(制御対象の振動)を所定レベル以下に抑制し、インバータとモータの損失(制御対象の損失)を低減する制御装置、モータ駆動装置、及びそれを用いた冷凍機器を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る制御装置の構成例と、制御対象との関連を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る制御装置における制御器の構成例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る制御器におけるS制御器のゲイン特性例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る制御器におけるS制御器による周期外乱の抑制効果を第1の検証波形例で示す図である。 本発明の第1実施形態に係る制御器におけるS制御器による周期外乱の抑制効果を第2の検証波形例で示す図である。 本発明の第1実施形態に係る制御器におけるS制御器を複数のS制御器で構成する回路例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係るモータ駆動装置の構成例と、交流電源とモータとの関連を示す図である。 本発明の第2実施形態に係るモータ駆動装置における制御器の機能ブロックの構成例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係るモータ駆動装置における制御軸とモータ回転軸の例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係るモータ駆動装置の制御器における速度&位相推定器の機能ブロックの構成例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係るモータ駆動装置の制御器における周期変動抑制器の機能ブロックの構成例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係るモータ駆動装置における周期変動抑制器の第1の検証波形例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係るモータ駆動装置における周期変動抑制器の第2の検証波形例を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る冷凍機器の構成例を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下においては「実施形態」と表記する)を、適宜、図面を参照して説明する。
≪第1実施形態・制御装置≫
図1~図6を参照して、本発明の第1実施形態の制御装置を説明する。なお、本(第1)実施形態の制御装置1は、外部からの指令に基づいて、制御対象の出力(例えば、電圧、電流、位置、速度、角度、流量など)を制御するものであれば、具体的な制御対象は限定されない。
図1は、本発明の第1実施形態に係る制御装置1の構成例と、制御対象90との関連を示す図である。図1において、制御装置1は、制御器10と、制御対象90の出力を検出する検出手段60と、を備えて構成されている。
制御器10には、検出手段60が検出した検出信号1004と、外部の上位装置からの指令信号1001が入力されている。制御器10は、前記の指令信号1001と検出信号1004とに基づき、制御対象90を制御する制御信号(制御量)1002を生成して、制御信号1002を制御対象90に出力する。
制御対象90には、周期外乱1010が印加されているものとする。制御対象90は、周期外乱1010の影響を含んだ出力(出力量、出力信号)1003を出力する。
検出手段60は、電圧センサ、電流センサ、位置センサ、温度センサ等各種の、物理量を信号に変換するセンサである。検出手段60は、制御対象90の周期外乱1010の影響を含んだ出力1003から検出信号(状態情報)1004を検出して、前記したように、制御器10の入力に検出信号1004を送信する。
以上の構成によって、制御装置1は、制御対象90を周期外乱1010の影響を排除して、極力、指令信号1001に基づき作動するように制御するものである。
次に、制御器10の詳細について説明する。
《制御器10について》
図2は、本発明の第1実施形態に係る制御装置1における制御器10の構成例を示す図である。
制御器10は、比例積分制御器(以下「PI制御器」と称する)16と、正弦波伝達関数制御器(以下「S制御器」と称する)17とを備える。また、制御器10は、抑制目標値0(15)、加減算器11,12、加算器13を備えている。
また、制御器10には、外部の上位装置からの指令信号1001と検出手段60の検出信号1004が入力し、制御器10から制御信号(制御量)1002が出力している。
加減算器11は、指令信号1001と検出信号1004が入力して、指令信号1001と検出信号1004との偏差を演算する。そして、この偏差の信号をPI制御器16に入力する。
PI制御器16は、図2に示していないが、比例ゲインKpの増幅器と積分ゲインKiの積分器を用いて、入力信号をそれぞれ演算し、増幅器の出力と積分器の出力を合算して出力する。
加減算器12は、抑制目標値0の信号と検出信号1004が入力して、抑制目標値0と検出信号1004との偏差を演算する。そして、この偏差の信号をS制御器17に入力する。なお、検出信号1004には制御対象90に作用する周期外乱1010の所定の周波数が含まれているが、加減算器12に入力する際に負(-)の信号として入力するので、S制御器17の入力および出力には、前記の周期外乱1010に含まれる所定の周波数成分は、逆位相として作用する。
また、S制御器17は、制御対象90(図1)に印加された周期外乱1010(図1)の影響を抑制するための手段であり、次に示す式1のような伝達関数を利用する。
Figure 0007195165000003
ここで、G(s):伝達関数、s:ラプラス演算子、ω0:中心周波数、Ks、Kt:制御ゲイン
加算器13は、PI制御器16の出力とS制御器17の出力とを加算(合算)され、制御信号(制御量)1002として制御器10から出力される。
以上の構成により、制御器10は、指令信号1001と検出信号1004との偏差を補正し、併せて検出信号1004が抑制目標値0に近づくように制御信号(制御量)1002を出力する。
なお、図2で示したS制御器17に入力して制御する制御ゲイン1005は、前記の式1における制御ゲインKs、Ktに相当する。
また、式1で示したS制御器17の伝達関数G(s)のゲイン特性について、次に説明する。
《S制御器17のゲイン特性》
図3は、本発明の第1実施形態に係る制御器10におけるS制御器17のゲイン特性例を示す図である。図3において、ゲイン特性1009は、S制御器17(図2)のゲイン特性である。また、横軸は周波数(Frequency)(Hz)であり、縦軸は、ゲイン(Gain)(dB)である。
図3に示すように、所定の中心周波数(ω0)において大きなゲインを持つことがS制御器17の特徴である。
なお、S制御器17に設定される中心周波数(ω0)は、検出信号1004(図2)に含まれる周期変動成分に基づいて設定する。
また、中心周波数(ω0)に対応するゲインの大きさ(Gp)は、二つの制御ゲイン(Ks、Kt)の比(Ks/Kt)である。
また、制御ゲイン(Ks、Kt)の調整により、中心周波数(ω0)に対応するゲインの大きさの調整ができる。ゆえに、S制御器17が動作しない状態の周期外乱の影響に対して、S制御器17が動作後の周期外乱による影響の残留率(E)は、次に示す式2によって表される。
E = 1/(1+Gp)=Kt /(Kt+Ks) ・・・式2
また、周期外乱の影響の抑制率(Su)は、式3に示される。
u=1-E = Ks /(Kt+Ks) ・・・式3
《周期外乱の抑制効果を示す第1の検証波形例》
図4は、本発明の第1実施形態に係る制御器10におけるS制御器17による周期外乱の抑制効果を第1の検証波形例で示す図である。
図4において、上段グラフに「周期外乱」、中段グラフに「S制御器の出力」、下段グラフに「検出信号」を示している。また、グラフ共通の横軸は、時間(Time)(s)である。また、上段グラフ、中段グラフ、下段グラフの各段の縦軸は電圧(V)である。
横軸である時間軸の最初(時間軸の0s~0.1s)の段階では、中段グラフに示すように、S制御器17が停止中(出力が「0」)なので、制御対象90に上段グラフのような周期外乱1010が印加されると、検出手段60が検出した検出信号1004(下段グラフ)には固定周波数の周期外乱成分が現れた。
そこで、時間軸の0.1s以降で、S制御器17を動作させ、前記の式1の伝達関数に応じて抽出された周期外乱1010と逆位相のS制御器の出力波形1011を生成し、これを用いて制御対象90を制御することで、下段グラフに示すように、検出信号1004の周期外乱成分が抑制される。すなわち、図4の下段グラフにおいて、時間軸の0.1s以降において、検出信号1004の振幅が減少し始め、時間軸の0.25s以降においては、振幅が概ね0に収束している。
なお、図4に対応するS制御器17の制御ゲイン(Ks,Kt)は、Ks=100[rad/s]、Kt=1[rad/s]であり、残留率(E)が約1%である。そのため、安定状態(時間軸の0.25s以降)の検出信号1004には、前記したように、周期外乱成分が殆ど無くなった。
《周期外乱の抑制効果を示す第2の検証波形例》
図5は、本発明の第1実施形態に係る制御器10におけるS制御器17による周期外乱の抑制効果を第2の検証波形例で示す図である。
図5において、上段グラフに「周期外乱」、中段グラフに「S制御器の出力」、下段グラフに「検出信号」を示している。また、グラフ共通の横軸は、時間(Time)(s)である。また、上段グラフ、中段グラフ、下段グラフの各段の縦軸は電圧(V)である。
図5においては、S制御器17の制御ゲインを、Ks=100[rad/s]、Kt=300[rad/s]に設定した場合の検証波形である。
対応する残留率(E)が25%であるため、S制御器17が動作しても、図5の下段グラフにおいて、定常状態(時間軸の0.25s以降)の検出信号1004に所定の周期外乱成分が残っていることを確認できる。
以上の検証結果により、前記した式1の伝達関数G(s)の制御ゲイン(Ks,Kt)を調整すれば,周期外乱の抑制制御の抑制率(Su)を可変できることがわかる。
また、制御ゲインKsは、制御の応答性および安定性に関わるため、一般的に、抑制率(Su)を調整したい場合、制御ゲインKtの調整を優先的に行うことが望ましい。
なお、制御の応答性および安定性に問題がなければ、制御ゲインKsの調整、もしくは二つの制御ゲイン(Ks、Kt)の同時調整をしても良い。
抑制率Suを目標に設定し、制御ゲインKsを固定にする場合、制御ゲインKtは、次の式4により算出できる。
t=(1-Su)× Ks /Su ・・・式4
図6は、本発明の第1実施形態に係る制御器10(10B)におけるS制御器17を複数のS制御器17a,17b,・・・で構成する回路例を示す図である。
図6において、図2におけるS制御器17の代わりに複数のS制御器1(7a)、S制御器2(7b)、・・・が備えられている。そして、複数のS制御器1(7a)、S制御器2(7b)には、共通の信号が入力し、それぞれの出力は加算器13,13a,13b、・・・で加算されている。
なお、複数のS制御器1(7a)、S制御器2(7b)、・・・の伝達関数G(s)は互いに異なる。
また、S制御器1(7a)、S制御器2(7b)、・・・における制御ゲインの制御信号の記載については、省略している。
その他の構成は、図6と図2とは概ね同じであるので、重複する説明は省略する。
図6の複数のS制御器17a,17b,・・・を備えた制御器10Bは、周期外乱に複数の周波数成分が含まれる場合に有効に作用する。
すなわち、制御対象90に印加される周期外乱に、複数の周波数成分が存在する場合、図6に示すように、それぞれの周波数に対応した、複数のS制御器7(7a、7b、・・・)を並列に設けることで、それぞれの周波数成分の周期外乱を抑制できる。
以上で説明したように、本(第1)実施形態の制御装置1によれば、制御器10が備えるS制御器17を用いて、周期外乱の周波数成分に対応する抑制量を出力することにより、制御対象に印加された周期外乱の影響を抑制できる。また、二つの制御ゲインの調整により、周期外乱の影響の抑制率を調整する。
<第1実施形態の効果>
本発明の第1実施形態によれば、制御装置1の制御器10が備えるS制御器17を用いて、周期外乱の周波数成分に対応する抑制量を出力することにより、制御対象90に印加された周期外乱1010の影響を抑制できる。また、二つの制御ゲイン(Ks,Kt)の調整により、周期外乱の影響の抑制率(Su)を調整することができる。
すなわち、本発明は、制御対象の運転状況に応じて、制御対象の振動を所定レベル以下に抑制し、制御対象の損失を最小限にする制御装置を提供することができる。
≪第2実施形態・モータ駆動装置≫
図7~図13を参照して、本発明の第2実施形態のモータ駆動装置を説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係るモータ駆動装置100の構成例と、交流電源210とモータ(電動機)250との関連を示す図である。
図7において、モータ駆動装置100は、交流電源210から交流電力(交流電圧)を入力して、一度、直流電力(直流電圧)に変換してから、再び所定の周波数と電圧の三相交流(電圧、電力)に変換して、モータ250を駆動する。
また、モータ駆動装置100は、整流回路22、平滑コンデンサ23、インバータ回路24、制御器20、電流検出回路27、直流電圧検出回路28を備えている。
整流回路22は、交流電源210に接続され、交流電源210からの交流電圧(交流電力)を直流電圧(直流電力)に変換する。
平滑コンデンサ23は、整流回路22の直流出力端子に接続され、整流回路22の出力である直流電圧を平滑する。
インバータ回路24は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの半導体スイッチング素子を組み合わせて構成され、制御器20からのPWM(Pulse Width Modulation)信号で各半導体スイッチング素子のオン・オフ動作を統括的に制御される。この構成によって、インバータ回路24は、平滑コンデンサ23の出力である直流電圧(直流電力)を所定の周波数と電圧の交流電圧(三相交流電圧、三相交流電力)に変換して出力する。
このインバータ回路24の所定の周波数と電圧の三相交流電圧(三相交流電力)によって、モータ250を駆動し、回転数(回転速度)を制御する。
また、電流検出回路(シャント抵抗を含む)27は、平滑コンデンサ23とインバータ回路24の間に設けられたシャント抵抗(27)を用いて、インバータ回路24の直流電流である母線電流信号Ishを検出して出力する。
直流電圧検出回路28は、平滑コンデンサ23の両端の直流電圧を検出して、直流電圧信号Edcを検出して出力する。
なお、図7における電流検出回路27および直流電圧検出回路28は、図1における検出手段60に対応している。また、図1においては、検出手段60は、制御対象90の出力側に記載しているが、制御対象90の動作状態を反映するものであれば、図7に示すように、制御対象90であるインバータ回路24の電源側に備えてもよい。
制御器20は、電流検出回路27の母線電流信号Ishと、直流電圧検出回路28の直流電圧信号Edcと、外部からの速度指令ω*とに基づいて、インバータ回路24を制御するPWM信号を生成する。
なお、制御器20はマイクロコンピュータ、もしくはDSP(デジタルシグナルプロセッサ)等の半導体演算素子を用いている。
<制御器20の構成>
図8は、本発明の第2実施形態に係るモータ駆動装置100における制御器20の機能ブロックの構成例を示す図である。
図8において、制御器20は、速度制御器30、d軸電流指令発生器31、電圧制御器32、2軸/3相変換器33、速度&位相推定器34、3相/2軸変換器35、電流再現演算器36、周期変動抑制器37、PWM制御器38、加減算器39A、加算器39Bを備えて構成されている。なお、前記したように、各機能はCPU(コンピュータ、マイクロコンピュータ、Central Processing Unit)及び演算プログラムにより実現される。
また、制御器20には、速度指令ω*、母線電流信号Ish、直流電圧信号Edcの各信号が入力する。また、制御器20からPWM信号が出力する。
《制御器20の機能動作の概要》
制御器20の基本的な機能は、dqベクトル制御により、モータ250(図7)に印加する電圧指令信号(Vu *,Vv *,Vw *)を演算し、インバータ回路24(図7)の制御信号であるPWM信号を生成するものである。
実際には、図8に示す前記した各機能ブロックと構成によって、後記する様々な機能動作をする。次に、各機能ブロックの構成、機能、動作について説明する。
以下において、電流再現演算器36、3相/2軸変換器35、速度制御器30、d軸電流指令発生器31、電圧制御器32、速度&位相推定器34、周期変動抑制器(補正部)37、2軸/3相変換器33、PWM制御器38の順で説明する。
ただし、3相/2軸変換器35、速度&位相推定器34、周期変動抑制器37のそれぞれを詳しく説明するために、3相/2軸変換器35では図9、速度&位相推定器34では図10、周期変動抑制器37では図11、図12、図13をそれぞれ間に設け、それぞれを参照して説明する。
《電流再現演算器36》
図8において、電流再現演算器36は、電流検出回路27(図7)が出力する母線電流信号Ishと、2軸/3相変換器33が出力する3相電圧指令値Vu *,Vv *,Vw *を基に、インバータ回路24(図7)の出力電流Iu、Iv、Iwを演算して再現する。
そして、出力電流Iu、Iv、Iwを3相/2軸変換器35に送る。
《3相/2軸変換器35》
次に、図8における3相/2軸変換器35の機能動作を図9を参照して説明する。
図9は、本発明の第2実施形態に係るモータ駆動装置100における制御軸と、モータ回転軸の例を示す図である。
図9において、dc-qc軸は、制御系の推定軸であり、d-q軸は、モータ回転軸である。また、d-q軸とdc-qc軸との軸誤差をΔθcと定義する。
図8における3相/2軸変換器35は、電流再現演算器36で再現された3相の出力電流Iu、Iv、Iwと、速度&位相推定器34により推定された位相情報θdcとを用い、以下に示す式5と式6とに基づいて、dc軸電流検出値Idcと、qc軸電流検出値Iqcを演算する。
Figure 0007195165000004
Figure 0007195165000005
そして、3相/2軸変換器35は、dc軸電流検出値Idcと、qc軸電流検出値Iqcを出力として、電圧制御器32、速度&位相推定器34、周期変動抑制器37に送る。
なお、電圧制御器32、速度&位相推定器34、周期変動抑制器37については、後記する。
《速度制御器30》
速度制御器30は、外部からの速度指令値(速度指令、モータ回転速度指令)ω*とモータ回転速度推定値ω1の偏差に従って、q軸電流指令値Iq *を出力する。なお、速度指令値ω*とモータ回転速度推定値(推定速度)ω1の偏差は、加減算器39Aで算出される。
q軸電流指令値Iq *は、後記する周期変動抑制器37からのΔIq *と加算して、q軸電流指令値(Iq *+ΔIq *)を生成し、q軸電流指令値(Iq *+ΔIq *)を電圧制御器32へ送る。q軸電流指令値Iq *とΔIq *との加算は、加算器39Bで算出される。
《d軸電流指令発生器31》
d軸電流指令発生器31は、モータ電流を最小化するd軸電流指令値Id *を生成して、電圧制御器32へ出力する。
《電圧制御器32》
電圧制御器32では、前記したd軸電流指令値Id *と、q軸電流指令値(Iq*+ΔIq*)と、dc軸電流検出値Idcと、qc軸電流検出値Iqcとに基づいてモータ250の制御に用いるdc軸電圧指令値Vdcと、qc軸電圧指令値Vqcを演算する。
なお、この演算の際に、予め登録されたモータ250の巻き線抵抗r、d-q軸インダクタンスLdとLq等のモータ定数を参照する。
また、電圧制御器32は、速度制御器30の出力であるq軸電流指令値Iq *を入力しているので演算の際に速度指令値ω*も間接的に参照している。
なお、電圧制御器32での電圧制御は、周知であるため、詳細な説明を省略する。
電圧制御器32で演算されたdc軸電圧指令値Vdcとqc軸電圧指令値Vqcは、2軸/3相変換器33と速度&位相推定器34に出力される。
《速度&位相推定器34》
次に、速度&位相推定器34の構成と、モータ位置センサレス制御を実現するための速度&位相推定方法について説明する。なお、図8で示した速度&位相推定器34の詳細な構成を図10を参照して説明する。
図10は、本発明の第2実施形態に係るモータ駆動装置100の制御器20における速度&位相推定器34の機能ブロックの構成例を示す図である。
図10において、速度&位相推定器34は、軸誤差演算器41、速度推定器42、位相演算器43、モータ定数44、抑制目標値0(45)、加減算器46を備えて構成されている。
速度&位相推定器34には、dc軸電圧指令値Vdc、qc軸電圧指令値Vqc、dc軸電流値Idc、qc軸電流値Iqcの各信号が入力し、軸誤差Δθc、位相情報θdc、モータ回転速度推定値ω1の各信号が出力している。
この速度&位相推定器34は、モータ回転子位置センサレス制御法により、回転子位置と回転速度とを推定するものである。
軸誤差演算器41は、dc軸電圧指令値Vdc、qc軸電圧指令値Vqc、dc軸電流値Idc、qc軸電流値Iqcの各信号、モータ定数44、および後記するモータ回転速度推定値ω1と、を入力して、モータ軸(d-q軸)と制御系軸(dc-qc軸)との軸誤差Δθcを演算する。具体的には、以下の式7を用いて、軸誤差Δθcを演算する。
Figure 0007195165000006
軸誤差演算器41の出力信号である軸誤差Δθcは、速度&位相推定器34の出力信号として、出力されると共に、加減算器46に入力する。
加減算器46には、前記した軸誤差Δθcの信号と、抑制目標値0(45)の信号が入力して、それらの信号の偏差を演算する。この演算された偏差の信号は速度推定器42に入力する。
また、速度推定器42は、前記した軸誤差演算器41が出力する軸誤差Δθcを、いわゆるPI制御器を用いて処理し、モータ回転速度推定値ω1を出力するものである。
また、モータ回転速度推定値ω1は、速度&位相推定器34の出力信号として、出力されると共に、位相演算器43と、前記したように軸誤差演算器41に入力している。
なお、前記した速度推定器42のPI制御器は、軸誤差演算器41で推定される軸誤差Δθcを無くす(抑制目標値0)ようにPLL(Phase-Locked Loop)制御するものである。
また、位相演算器43では、モータ回転速度推定値ω1を積分して、制御系の位相情報θdcを演算し、出力する。
以上で説明した速度&位相推定器34を用いることによって、モータ回転速度推定値ω1と位相情報θdcが得られるので、モータ250の回転子位置センサを省略することができ、システム全体としてのコスト低減が可能である。
《周期変動抑制器37》
次に、図8で示した周期変動抑制器(補正部)37の詳細な構成と機能動作を、図11、図12、図13を参照して説明する。
図11は、本発明の第2実施形態に係るモータ駆動装置100(図7)の制御器20(図7)における周期変動抑制器37(図8)の機能ブロックの構成例を示す図である。
図11において、周期変動抑制器37は、切替器52、制御ゲイン演算器51、S制御器17、抑制目標値0(15)、加減算器12を備えて構成されている。
周期変動抑制器37には、qc軸電流値Iqc、軸誤差Δθc、抑制モード切替信号M、抑制率Suの各信号が入力し、q軸電流指令の抑制量ΔIq *の信号を出力している。
この周期変動抑制器37は、3相/2軸変換器35からのqc軸電流値Iqcもしくは速度&位相推定器34からの軸誤差Δθcの周期変動成分を抑制するためのものである。
切替器52には、qc軸電流値Iqcと軸誤差Δθcと抑制モード切替信号Mとが入力している。そして、外部からの抑制モード切替信号Mによって、qc軸電流値Iqcと軸誤差Δθcから一つの信号を出力する。すなわち、切替器52は、qc軸電流値Iqcの周期変動抑制制御モード(電流一定制御モード)と、軸誤差Δθcの周期変動抑制制御モード(振動抑制モード)との二つの制御モードを切り替える。
切替器52によって選択された制御モードの信号は、加減算器12に入力する。
加減算器12において、制御モードの信号と抑制目標値15(一般は「0」にする)の信号との偏差(差分)がとられる。この偏差(差分)はS制御器17に入力する。
また、外部からの抑制率Suの信号は、制御ゲイン演算器51に入力する。制御ゲイン演算器51において、抑制率Suに基づき制御ゲインを演算し、演算された制御ゲインの信号をS制御器17に入力する。
S制御器17は、第1実施形態の制御装置1の制御器10におけるS制御器17と同じように、式1の伝達関数G(s)を有している。S制御器17は、所定の周波数における周期変動成分のq軸電流指令の抑制量ΔIq *を出力する。
また、S制御器17は、制御ゲインの調整によって、検出信号(Iqc,Δθc)に含まれる所定の周波数の残留率(E)を調整して出力する。
また、S制御器17に設定される中心周波数ω0は、qc軸電流値Iqcの周期変動抑制制御モードでは、交流電流検出信号の高次成分に基づき設定される。
また、S制御器17に設定される中心周波数ω0は、軸誤差Δθcの周期変動抑制制御モードでは軸誤差Δθcの高次成分に基づき設定される。
なお、抑制モード切替信号Mは、本(第2)実施形態のモータ駆動装置100を搭載する装置やシステムの要求仕様に合わせて生成される。例えば、モータ回転数(回転速度)が低い領域で、負荷トルクの周期変動分が大きくなると、回転数の変動幅が大きくて、装置の振動や騒音が要求仕様に満足できない場合には、振動抑制モードに切り替えて、振動や騒音を要求レベル以下に抑制するように動作する。
また、実際の製品要求によって、一つの制御モードに固定しても良い。
また、振動抑制モードでは、製品の要求仕様に従って、事前に設定した振動抑制の抑制率Suから、第1実施形態の説明で示した式4を用いて、制御ゲイン演算器51でS制御器17の制御ゲインを算出して、振動抑制の強さを調整する。
また、抑制率Suの事前設定方法は、実験データや解析データより、テーブル化する手段などがある。また、モータ電流の波高値や前記軸誤差Δθc、モータ回転速度推定値ω1など検出情報や制御情報を使って、抑制率Suを自動調整しても良い。
図12は、本発明の第2実施形態に係るモータ駆動装置100における周期変動抑制器37の第1の検証波形例を示す図である。
図12においては、上段グラフにはモータ電流1052、中段グラフにはモータ回転速度1053、下段グラフにはモータ銅損1054の各特性が示されている。
また、図12において、横軸は、上段、中段、下段ともに共通の時間(s)を示している。また、上段の縦軸はモータ電流のcurrent(A)、中段の縦軸はモータ回転速度のspeed(rpm)、下段の縦軸はモータ銅損のcopper loss(W)を示している。
図12に示す各特性は、振動抑制モードで、抑制率Suが90%の場合のモータ電流1052、モータ回転速度1053、モータ銅損1054の検証波形である。
図13は、本発明の第2実施形態に係るモータ駆動装置100における周期変動抑制器37の第2の検証波形例を示す図である。
図13においては、上段グラフにはモータ電流1052、中段グラフにはモータ回転速度1053、下段グラフにはモータ銅損1054の各特性が示されている。
また、図13において、横軸は、上段、中段、下段ともに共通の時間(s)を示している。また、上段の縦軸はモータ電流のcurrent(A)、中段の縦軸はモータ回転速度のspeed(rpm)、下段の縦軸はモータ銅損のcopper loss(W)を示している。
図13に示す各特性は、振動抑制モードで、抑制率Suが50%の場合のモータ電流1052、モータ回転速度1053、モータ銅損1054の検証波形である。
前記したように、図12においては、抑制率Suが90%の場合の各波形であり、図13においては、抑制率Suが50%の場合の各波形である。図12と図13の各波形を比較すると、抑制率Suが低く設定すれば、モータ回転速度1053の変動幅(振動の大きさに相当)が増えるが、モータ電流1052の波高値の変動が少なくなり、モータ銅損1054も減少する。
このように、製品の振動要求仕様に合わせて、抑制率Suを調整すれば、過剰な振動抑制を避けて、モータ駆動装置の損失低減を図れる。
《2軸/3相変換器33》
次に、図8に示した2軸/3相変換器33を説明する。
図8に示すように、2軸/3相変換器33には、電圧制御器32からのモータ電圧指令(Vdc *、Vqc *)と、速度&位相推定器34からの位相情報θdcが入力して、3相指令電圧(Vu *、Vv *、Vw *)を生成し、PWM制御器38へ出力している。
モータ電圧指令(Vdc*、Vqc*)と位相情報θdcを用いて、3相指令電圧(Vu *、Vv *、Vw *)を算出するのは、下記の式8、及び式9に基づいて実施される。
Figure 0007195165000007
Figure 0007195165000008
《PWM制御器38》
図8におけるPWM制御器38について説明する。
PWM制御器38は、2軸/3相変換器33からの3相指令電圧(Vu *、Vv *、Vw *)と、直流電圧検出回路28からの直流電圧信号Edcとを用いて、変調率を算出し、インバータ回路24のPWM信号を作成する。このPWM信号は、前記したように、インバータ回路24(図7)に送られる。
インバータ回路24の半導体スイッチング素子241(図7)は、PWM信号に従ってオン・オフ動作し、各相の出力端子から、パルス状の電圧(振幅値が直流電圧、幅がPWM信号によって変化)を出力する。
このように、PWM信号のなかに制御量が反映される。
以上で説明したように、第2実施形態のモータ駆動装置100において、モータ250の運転状況(回転速度や負荷の重さなど)に応じて、振動抑制制御の抑制率(Su)を調整して、振動を所定レベル以下に抑制し、インバータ回路24とモータ250の損失を低減する。
<第2実施形態の効果>
以上で説明したように、本(第2)実施形態によれば、モータ250の運転状況(回転速度や負荷の重さなど)に応じて、振動抑制制御の抑制率(Su)を調整して、振動を所定レベル以下に抑制し、インバータ回路24とモータ250の損失を低減するモータ駆動装置100を提供することができる。
<第2実施形態の補足>
第2実施形態の制御器20の構成と機能動作については、図7、図8、図10、図11を参照して説明したが、前記の多岐の各図面に亘っているので、以下に、特に整理しておきたいポイントをあらためて説明する。
周期変動抑制器(補正部)37として、「周期変動抑制器」を「補正部」としても表記している。その主な理由は、周期変動抑制器37による周期外乱による制御対象90の周期変動を抑制するために、制御対象90の状態を反映した交流電流検出信号Iqc(Ish)、または、d-q軸とdc-qc軸との軸誤差Δθcとに基づいて電流指令(ΔIq *)を補正することによって、行っているためである。
なお、図11において、周期変動抑制器(補正部)37は、抑制モード切替信号Mによって、交流電流検出信号Iqcか軸誤差Δθcかが選択され、そのいずれかで周期変動抑制器(補正部)37もしくは制御器20の動作が異なるので、その二つの場合について分けて補足説明をする。
《交流電流検出信号Iqcが選択される場合》
図11に示した周期変動抑制器(補正部)37において、交流電流検出信号Iqcが選択される場合には、周期変動抑制器(補正部)37は、交流電流検出信号(Iqc)に基づき、電流指令(ΔIq *)を補正する。
また、周期変動抑制器(補正部)37には、抑制目標値0(15)と交流電流検出信号(Iqc)との偏差が入力されて、この偏差の信号を逆位相(加減算器12)にして、S制御器17に入力し、S制御器17から補正した電流指令(ΔIq *)を周期変動抑制器(補正部)37の外部に出力する構成となる。
この場合には、図7で示したモータ駆動装置100は、以下の構成となる。
モータ駆動装置(100)は、
直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路(24)と、前記インバータ回路が出力する交流電流を検出する電流検出手段(電流検出回路27)と、前記インバータ回路を制御する制御器(20)と、を備え、交流モータ(250)を駆動するモータ駆動装置(100)であって、
前記制御器(20)は、
モータトルク指令またはモータ回転速度指令(速度指令ω*)から算出された電流指令(Iq *,Id *)と、前記電流検出手段の検出した交流電流検出信号(Iqc,Idc)をモータ回転子軸(d-q軸)に変換されたd-q軸電流、とに基づき前記インバータ回路の指令電圧を生成する電圧制御器(32)と、前記d-q軸電流に基づき前記電流指令を補正する補正信号(ΔIq *)を生成する補正部(37)と、を備え、
前記補正部は、
所定の抑制目標値(15)と前記d-q軸電流との偏差が入力され、該偏差に含まれる所定周波数の信号を逆位相にして、前記補正信号(ΔIq *)を生成するS制御器(17)を備え、
前記S制御器には、前記の式1に示す伝達関数を用いる、ことを特徴とする。
《軸誤差Δθcが選択される場合》
図11に示した周期変動抑制器(補正部)37において、軸誤差Δθcが選択される場合には、周期変動抑制器(補正部)37は、軸誤差Δθcに基づき、電流指令(ΔIq *)を補正する。
軸誤差Δθcの信号は、図10で示した速度&位相推定器34における軸誤差演算器41の出力信号の軸誤差Δθcである。
この場合には、図7で示したモータ駆動装置100は、以下の構成となる。
モータ駆動装置(100)は、
直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路(24)と、前記インバータ回路が出力する交流電流を検出する電流検出手段(電流検出回路27)と、前記インバータ回路を制御する制御器(20)と、を備え、交流モータ(250)を駆動するモータ駆動装置(100)であって、
前記制御器(20)は、
モータトルク指令またはモータ回転速度指令(速度指令ω*)から算出された電流指令(Iq *,Id *)と、前記電流検出手段の検出した交流電流検出信号(Iqc,Idc)をモータ回転子軸(d-q軸)に変換されたd-q軸電流、とに基づき前記インバータ回路の指令電圧を生成する電圧制御器(32)と、前記電圧制御器(32)からの指令電圧(Vdc,Vqc)と前記d-q軸電流とに基づき制御軸(dc-qc軸)とモータ回転子軸(d-q軸)との軸誤差(Δθc)を算出する軸誤差演算部(41)と、前記軸誤差(Δθc)に基づき前記電流指令を補正する補正信号(ΔIq *)を生成する補正部(37)と、を備え、
前記補正部(37)は、
所定の抑制目標値(15)と前記軸誤差(Δθc)の偏差が入力され、該偏差に含まれる所定周波数の信号を逆位相にして、前記補正信号を生成するS制御器(17)を備え、
前記S制御器には、前記の1式に示す伝達関数を用いる、ことを特徴とする。
≪第3実施形態・冷凍機器≫
本発明の第3実施形態の冷凍機器を、図14を参照して説明する。
図14は、本発明の第3実施形態に係る冷凍機器(冷蔵庫、空気調和機など)200の構成例を示す図である。
図14において、冷凍機器(冷凍空調機器)200は、空気温度を調和する装置であり、室内機200Aと室外機200Bとが配管(冷媒配管)206により接続されて構成される。
室内機200Aは、熱交換機201とファン203を備える。
室外機200Bは、冷媒と空気の熱交換を行う熱交換器202と、この熱交換器202に空気を送風するファン204と、冷媒を圧縮して循環させる圧縮機205と、モータ駆動装置207とを備える。なお、圧縮機用モータ208が、圧縮機205に備えられている。
また、圧縮機205は、前記したように内部に永久磁石同期モータを有する圧縮機用モータ208を備えており、モータ駆動装置207により圧縮機用モータ208を駆動することで圧縮機205が駆動される。
モータ駆動装置207は、交流電源の交流電圧を直流電圧に変換して、モータ駆動用インバータ(24:図7)に提供し、モータ駆動用インバータで所定の周波数と電圧の3相交流電圧(交流電力)に変換して、圧縮機用モータ208を駆動する。
圧縮機205の詳細な構造は図示していないが、圧縮機205にはレシプロ圧縮機やロータリ圧縮機等が用いられ、内部に圧縮機構部を備えている。この圧縮機構部は、圧縮機用モータ208により駆動される。
このモータ駆動装置207として第2実施形態のモータ駆動装置100を用いることにより、圧縮機の運転状況(回転速度や負荷の重さなど)に応じて、振動抑制制御の抑制率Suを調整して、振動を所定レベル以下に抑制し、インバータ(インバータ回路)とモータ(圧縮機用モータ)の損失を低減し、高い制御性能を確保できる。
<第3実施形態の効果>
本(第3)実施形態によれば、冷凍機器200にモータ駆動装置100を用いることによって、冷凍機器200に搭載された圧縮機205の運転状況に応じて、振動抑制制御の抑制率Suを調整できる。
そのため、冷凍機器200として、圧縮機205および圧縮機用モータ208の振動が所定レベル以下に抑制され、圧縮機用モータ208の損失が低減された、高い制御性能の冷凍機器200を提供することができる。
≪その他の実施形態≫
なお、本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものでなく、さらに様々な変形例が含まれる。例えば、前記の実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために、例示したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成の一部で置き換えることが可能であり、さらに、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成の一部または全部を追加・削除・置換をすることも可能である。
以下に、その他の実施形態や変形例について、説明する。
《制御器の構成》
第1実施形態の制御器10において、図2に示すようにPI制御器16を備える構成で説明した。しかし、PI(比例積分)の機能を有する制御器に限定されない。
例えば、比例積分微分(PID)制御器、比例(P)制御器、積分(I)制御器のいずれかを使用しても良い。
《モータ駆動装置の構成》
図7に示した第2実施形態のモータ駆動装置100においては、交流電源210を電力の供給源とする場合の構成を説明した。しかし電力の供給源は、交流電源に限定されない。例えば、蓄電池などの直流電源から給電する場合は、整流回路22を省略し、直流電源の出力をそのままインバータ回路24に入力する構成としても良い。
《制御器の構成》
第2実施形態の制御器20において、図8に示すように母線電流信号Ishから3相電流を再現する方式を採用している。この方式を採用したのは、主にコスト低減を図ったものである。
しかし、母線電流信号Ishから3相電流を再現する方式に限定される訳ではない。例えば、電流センサなどの電流検出手段を用いてインバータ回路24(図7)の出力である交流電流を検出しても良い。この場合は、その電流検出手段が検出した3相電流を3相/2軸変換器35に入力すれば良い。
《制御器の入力信号》
図8に示した制御器20においては、速度指令(速度指令値、回転速度指令)ω*を入力信号としているが、モータトルク指令を入力信号として、制御する構成も可能である。
1 制御装置
10,10B,20 制御器
11,12,39A,46 加減算器
13,13a,13b,39B 加算器
15,45 抑制目標値(抑制目標値0)
16 PI制御器(PID制御器)
17,17a,17b S制御器
22 整流回路
23 平滑コンデンサ
24 インバータ回路(インバータ)
27 電流検出回路(シャント抵抗)、検出手段、電流検出手段
28 直流電圧検出回路、検出手段、電圧検出手段
30 速度制御器
31 d軸電流指令発生器
32 電圧制御器
33 2軸/3相変換器
34 速度&位相推定器
35 3相/2軸変換器
36 電流再現演算器
37 周期変動抑制器、補正部
38 PWM制御器
41 軸誤差演算器
42 速度推定器
43 位相演算器
44 モータ定数
51 制御ゲイン演算器
52 切替器
60 検出手段
90 制御対象
100,207 モータ駆動装置
200 冷凍機器
200A 室内機
200B 室外機
201,202 熱交換器
203,204 ファン
205 圧縮機
206 配管
208 圧縮機用モータ、モータ
210 交流電源
250 モータ

Claims (9)

  1. 外部からの指令信号が入力されて制御信号を出力する制御器と、
    前記制御信号に基づいて制御される制御対象の発生する状態情報を検出して前記制御器に検出信号を出力する検出手段と、
    を備える制御装置であって、
    前記制御器は、
    前記指令信号と前記検出信号の偏差が入力され、該偏差に基づき前記制御対象の操作量を出力するPI制御器またはPID制御器と、
    所定の抑制目標値と前記検出信号の偏差が入力され、該偏差に含まれる所定周波数の信号を逆位相にして出力するS制御器と、
    前記PI制御器または前記PID制御器の出力と前記S制御器の出力を加算し、前記制御信号として出力する加算器と、
    を備え、
    前記S制御器は、下記の式1に示す伝達関数を用い
    前記検出信号に複数の高次成分の周波数が存在する場合に、各々の周波数に対応した複数のS制御器を併用する、
    ことを特徴とする制御装置。
    Figure 0007195165000009
    ここで、G(s):伝達関数、s:ラプラス演算子、ω:中心周波数、K、K:制御ゲイン
  2. 請求項1において、
    前記S制御器は、制御ゲインの調整によって前記検出信号に含まれる所定周波数の残留率を調整する、
    ことを特徴とする制御装置。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記S制御器に設定される中心周波数ωは、前記検出信号に含まれる周期変動成分に基づいて設定する、
    ことを特徴とする制御装置。
  4. 直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路と、
    前記インバータ回路が出力する交流電流を検出する電流検出手段と、
    前記インバータ回路を制御する制御器と、
    を備え、交流モータを駆動するモータ駆動装置であって、
    前記制御器は、
    モータトルク指令またはモータ回転速度指令から算出された電流指令と、前記電流検出手段の検出した交流電流検出信号をモータ回転子軸(d-q軸)に変換されたd-q軸電流、とに基づき前記インバータ回路の指令電圧を生成する電圧制御器と、
    前記電圧制御器からの指令電圧と前記d-q軸電流とに基づき制御軸とモータ回転子軸との軸誤差を算出する軸誤差演算部と、
    前記軸誤差に基づき前記電流指令を補正する補正信号を生成する補正部と、
    を備え、
    前記補正部は、
    所定の抑制目標値と前記軸誤差の偏差が入力され、該偏差に含まれる所定周波数の信号を逆位相にして、前記補正信号を生成するS制御器を備え、
    前記S制御器には、下記の1式に示す伝達関数を用いる、
    ことを特徴とするモータ駆動装置。
    Figure 0007195165000010
    ここで、G(s):伝達関数、s:ラプラス演算子、ω:中心周波数、K、K:制御ゲイン
  5. 請求項において、
    前記S制御器は、制御ゲインの調整によって、前記軸誤差に含まれる所定周波数の信号の残留率を調整する、
    ことを特徴とするモータ駆動装置。
  6. 請求項において、
    前記S制御器に設定される中心周波数ωは、前記軸誤差の高次成分に基づいて設定される、
    ことを特徴とするモータ駆動装置。
  7. 請求項において、
    前記軸誤差に複数の高次成分の周波数が存在する場合に、各々の周波数に対応した複数のS制御器を併用する、
    ことを特徴とするモータ駆動装置。
  8. 直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路と、
    前記インバータ回路が出力する交流電流を検出する電流検出手段と、
    記インバータ回路を制御する請求項に記載のモータ駆動装置における制御器と
    外部からの抑制モード切替信号に基づき二つの前記制御器を切り替える切替器と、
    を備え、
    モータの回転速度および/または負荷トルクに応じて電流一定制御モードまたは振動抑制モードでモータを駆動する、
    ことを特徴とするモータ駆動装置。
  9. 請求項乃至請求項のいずれか一項に記載のモータ駆動装置を内蔵する圧縮機を備える、
    ことを特徴とする冷凍機器。
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