JP7466356B2 - 給湯装置および運転制御方法 - Google Patents

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Description

本開示は、ヒートポンプを用いて加熱された湯水を貯湯タンクに貯留し、貯留された湯水を利用して給湯を行う給湯装置および運転制御方法に関するものである。
従来、冷凍サイクルを利用して水を沸き上げ、沸き上げられた湯水を蓄える給湯装置において、蓄えられた湯水を60℃以上の高温で沸き上げる高温貯湯運転が行われることによって湯水を殺菌することが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような給湯装置では、殺菌運転に相当する高温貯湯運転が特定期間毎に実施される。
特開2015-038397号公報
しかしながら、特許文献1に記載の給湯装置では、湯水中のレジオネラなどの細菌量に関わらず、特定期間毎に殺菌運転(高温貯湯運転)が実施される。そのため、湯水中のレジオネラが少ない場合には、必要以上の頻度で殺菌運転が実施されることになり、省エネルギー性が悪化するという課題がある。
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、効率的に殺菌運転を実施し、省エネルギー性を向上させることができる給湯装置および運転制御方法を提供することを目的とする。
本開示の給湯装置は、流入する湯水を加熱する加熱装置と、湯水を貯留する貯湯タンクと、前記加熱装置を制御し、設定温度以上の温度で前記貯湯タンク内の湯水を沸き上げる殺菌運転、および、前記設定温度未満の温度である設定沸き上げ温度で前記貯湯タンク内の湯水を沸き上げる沸き上げ運転を行わせる制御装置とを備え、前記制御装置は、湯水中のレジオネラが基準値を超えて繁殖する前に前記殺菌運転を行う時期を示す運転計画を、前記設定沸き上げ温度が閾値を超える場合には、次の前記殺菌運転までの期間が、湯水中のレジオネラが基準値を超えて繁殖するまでよりも短い第1の期間となるように作成し、前記設定沸き上げ温度が前記閾値以下である場合には、次の前記殺菌運転までの期間が、湯水中のレジオネラが基準値を超えて繁殖するまでよりも短く、前記第1の期間よりも短い第2の期間となるように作成して、前記運転計画に基づき前記殺菌運転を行うものである。
また、本開示の運転制御方法は、貯湯タンクに貯留された湯水を沸き上げる沸き上げ運転の際の、設定温度未満の温度である設定沸き上げ温度に基づき、前記設定温度以上の温度で前記貯湯タンク内の湯水を沸き上げる殺菌運転を行う時期を示す運転計画を、前記設定沸き上げ温度が閾値を超える場合には、次の前記殺菌運転までの期間が、湯水中のレジオネラが基準値を超えて繁殖するまでよりも短い第1の期間となるように作成し、前記設定沸き上げ温度が前記閾値以下である場合には、次の前記殺菌運転までの期間が、湯水中のレジオネラが基準値を超えて繁殖するまでよりも短く、前記第1の期間よりも短い第2の期間となるように作成して、湯水中のレジオネラが基準値を超えて繁殖する前に前記殺菌運転が行われるように、前記運転計画に基づき前記殺菌運転を行うものである。
本開示によれば、沸き上げ運転の際の設定沸き上げ温度に基づき運転計画が作成される。これにより、適切なタイミングで殺菌運転が実施されるため、効率的に殺菌運転を実施し、省エネルギー性を向上させることができる。
実施の形態1に係る給湯装置の構成の一例を示す概略図である。 図1の制御装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。 図2の制御装置の構成の一例を示すハードウェア構成図である。 図2の制御装置の構成の他の例を示すハードウェア構成図である。 水温とレジオネラの状態との関係について説明するための概略図である。 時間に対する湯水中のレジオネラの状態と水温との関係の一例について説明するためのグラフである。 実施の形態1に係る給湯装置による運転計画作成処理の流れの一例を示すフローチャートである。 実施の形態1に係る給湯装置による運転処理の流れの一例を示すフローチャートである。 実施の形態2における運転計画について説明するための概略図である。
実施の形態1.
以下、本実施の形態1に係る給湯装置について説明する。本実施の形態1に係る給湯装置は、時間帯別契約電力の電力単価が安価な深夜時間帯にヒートポンプを用いて湯水を沸き上げて貯湯し、貯湯された湯水を給湯に用いるものである。
[給湯装置1の構成]
図1は、本実施の形態1に係る給湯装置1の構成の一例を示す概略図である。図1に示すように、給湯装置1は、ヒートポンプユニット10、貯湯ユニット20、浴槽ユニット40、制御装置50およびリモートコントローラ(以下、「リモコン」と称する)60で構成されている。ヒートポンプユニット10および貯湯ユニット20は、沸き上げ回路用の出湯配管2および入水配管3で接続されている。
(ヒートポンプユニット10)
ヒートポンプユニット10は、貯湯ユニット20から供給される湯水を加熱する加熱装置の一例であり、例えば9℃程度の低温水を、電熱ヒータを用いることなく90℃程度の高温に沸き上げる。ヒートポンプユニット10は、圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13、蒸発器14および室外ファン15を備えている。そして、圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13および蒸発器14が冷媒配管で順次接続されることにより、冷媒回路が形成される。冷媒回路を流れる冷媒として、例えば、R32、フルオロカーボンおよび二酸化炭素等が用いられる。
圧縮機11は、低温低圧の冷媒を吸入し、吸入した冷媒を圧縮し、高温高圧の冷媒を吐出する。圧縮機11において、吐出側には凝縮器12が接続され、吸入側には蒸発器14が接続されている。圧縮機11として、例えば、運転周波数を変化させることにより、単位時間あたりの送出量である容量が制御されるインバータ圧縮機等が用いられる。圧縮機11は、制御装置50によって運転周波数が制御され、回転周波数を変化させることで冷媒流量を調整し、加熱能力を制御する。通常時において、圧縮機11は、沸き上げ時の目標加熱能力が一定となるように、運転が制御される。
凝縮器12は、冷媒側流路に接続された冷媒回路を流れる冷媒と、水側流路に接続された沸き上げ回路を流れる湯水との間で熱交換を行い、冷媒の熱を水に放熱して冷媒を凝縮させる。これにより、水側流路の沸き上げ回路を流れる湯水は、例えば65℃~90℃程度の設定沸き上げ温度に加熱される。凝縮器12において、冷媒側流路の流入側(冷媒流入側)には圧縮機11が接続され、冷媒側流路の流出側(冷媒流出側)には膨張弁13が接続されている。また、水側流路の流入側(湯水流入側)には入水配管3が接続され、水側流路の流出側(湯水流出側)には出湯配管2が接続されている。
膨張弁13は、凝縮器12から流出した冷媒を膨張させる。膨張弁13は、例えば、電子式膨張弁等の開度の制御が可能な弁で構成される。膨張弁13の開度は、制御装置50によって制御される。膨張弁13において、流入側には凝縮器12の冷媒流出側が接続され、流出側には蒸発器14の冷媒流入側が接続されている。
蒸発器14は、室外ファン15によって供給される室外空気と冷媒との間で熱交換を行い、冷媒を蒸発させる。蒸発器14において、冷媒流入側には膨張弁13が接続され、冷媒流出側には圧縮機11が接続されている。
室外ファン15は、蒸発器14に対して室外空気を供給する。室外ファン15の回転数は、制御装置50によって制御される。回転数が制御されることにより、蒸発器14に対する送風量が調整される。
また、ヒートポンプユニット10は、入水温度センサ61、出湯温度センサ62、蒸発器温度センサ63および外気温度センサ64を備えている。入水温度センサ61は、例えばサーミスタであり、入水配管3または凝縮器12における水側流路の入口に取り付けられている。入水温度センサ61は、凝縮器12の水側流路に流入する水の温度を検出する。出湯温度センサ62は、例えばサーミスタであり、出湯配管2または凝縮器12における水側流路の出口に取り付けられている。出湯温度センサ62は、凝縮器12の水側流路から流出する湯水の沸き上げ温度を検出する。
蒸発器温度センサ63は、例えばサーミスタであり、蒸発器14の近傍に取り付けられている。蒸発器温度センサ63は、冷媒が蒸発する際の蒸発温度を検出する。外気温度センサ64は、例えばサーミスタであり、ヒートポンプユニット10の筐体等に取り付けられている。外気温度センサ64は、室外ファン15によって取り込まれる室外空気の温度を検出する。
なお、ここでは、加熱装置としてヒートポンプユニット10を例にとって説明したが、加熱装置は、これに限られず、ボイラまたはヒータ等の他の加熱手段を用いたものでもよい。
(貯湯ユニット20)
貯湯ユニット20は、貯湯タンク21、第1三方弁22、送水ポンプ23、第1四方弁24、第2四方弁25、一般給湯混合弁26、風呂給湯混合弁27、第2三方弁28、湯張り開閉弁29および風呂熱交換器30を備えている。また、貯湯ユニット20には、浴槽ユニット40が接続されている。貯湯ユニット20には、外部から水道水等の水が供給される給水端20aと、台所および洗面所等に湯を供給する給湯端20bとが設けられている。
本実施の形態1では、貯湯タンク21の下部流出口21b、第1三方弁22、送水ポンプ23、ヒートポンプユニット10の凝縮器12、第1四方弁24、第2四方弁25および貯湯タンク21の上部流入出口21eが各配管で接続されることにより、沸き上げ回路が形成される。また、給水端20a、貯湯タンク21の給水口21aおよび上部流入出口21e、一般給湯混合弁26ならびに給湯端20bが各配管で接続されることにより、給湯回路が形成される。
給水端20a、貯湯タンク21の給水口21aおよび中間部流入出口21f、第2三方弁28、一般給湯混合弁26ならびに給湯端20bが各配管で接続されることにより、中温水出湯回路が形成される。また、給水端20a、貯湯タンク21の給水口21aおよび上部流入出口21e、風呂給湯混合弁27、湯張り開閉弁29ならびに浴槽ユニット40の浴槽41が各配管で接続されることにより、湯張り回路が形成される。貯湯タンク21の上部流出口21d、風呂熱交換器30、第1三方弁22、送水ポンプ23、第1四方弁24、第2四方弁25および貯湯タンク21の上部流入出口21eが各配管で接続されることにより、追焚回路が形成される。
貯湯タンク21は、給水端20aを介して供給される水および凝縮器12で加熱された湯水を貯留する。貯湯タンク21の下部には、給水口21a、下部流出口21bおよび下部流入口21cが設けられている。貯湯タンク21の上部には、上部流出口21dおよび上部流入出口21eが設けられている。貯湯タンク21の中間部には、中間部流入出口21fおよび中間部流入口21gが設けられている。
給水口21aは、給水配管20cおよびタンク給水配管20dを介して給水端20aに接続されている。下部流出口21bは、第1三方弁22の第1流入口22aに接続されている。下部流入口21cは、第1湯水配管20eを介して第1四方弁24の第1流出口24cに接続されている。
上部流出口21dは、第1送湯配管20kおよび第3湯水配管20hを介して第2四方弁25の第1流出口25bに接続されている。また、上部流出口21dは、第1送湯配管20kおよび温水導入配管20pを介して風呂熱交換器30における1次側流路の流入側に接続されている。上部流入出口21eは、第2送湯配管20mおよび第4湯水配管20iを介して第2四方弁25の第3流出口25dに接続されている。また、上部流入出口21eは、第2送湯配管20mおよび給湯配管20nを介して一般給湯混合弁26の第1流入口26aおよび風呂給湯混合弁27の第1流入口27aに接続されている。
中間部流入出口21fは、中温水配管20sを介して第2三方弁28の第2流入口28bに接続されている。中間部流入口21gは、第5湯水配管20jを介して第2四方弁25の第2流出口25cに接続されている。
貯湯タンク21は、上記のようにして各種の流入出口が設けられていることにより、低温の水が下部に供給され、高温の湯が上部に供給される。これによって、貯湯タンク21の内部には、上部から下部に向かって高温域から低温域となる温度の層が形成される。すなわち、貯湯タンク21に貯留される湯は、上部から下部に向かうに従って温度が低くなっている。
第1三方弁22は、第1流入口22a、第2流入口22bおよび流出口22cを有している。第1三方弁22は、第1流入口22aおよび流出口22c、または、第2流入口22bおよび流出口22cのいずれかが連通するように、制御装置50によって制御される。
第1流入口22aは、貯湯タンク21の下部流出口21bに接続されている。第2流入口22bは、風呂熱交換器30における1次側流路の流出側に接続されている。流出口22cは、送水ポンプ23の吸入側に接続されている。
送水ポンプ23は、図示しないモータによって駆動され、第1三方弁22の流出口22cから流出した湯水を送出し、凝縮器12の水側流路に供給する。送水ポンプ23の回転数は、制御装置50によって制御される。送水ポンプ23の回転数が変更されることにより、ヒートポンプユニット10の沸き上げ温度が設定沸き上げ温度に調整される。
第1四方弁24は、第1流入口24a、第2流入口24b、第1流出口24cおよび第2流出口24dを有している。第1四方弁24は、第1流入口24aおよび第1流出口24c、第1流入口24aおよび第2流出口24d、第2流入口24bおよび第1流出口24c、または、第2流入口24bおよび第2流出口24dのいずれかが連通するように、制御装置50によって制御される。
第1流入口24aは、水配管20gを介して送水ポンプ23の送出側に接続されている。第2流入口24bは、出湯配管2を介して凝縮器12における水側流路の流出側に接続されている。第1流出口24cは、第1湯水配管20eを介して貯湯タンク21の下部流入口21cに接続されている。第2流出口24dは、第2湯水配管20fを介して第2四方弁25の流入口25aに接続されている。
第2四方弁25は、流入口25a、第1流出口25b、第2流出口25cおよび第3流出口25dを有している。第2四方弁25は、流入口25aおよび第1流出口25b、流入口25aおよび第2流出口25c、または、流入口25aおよび第3流出口25dのいずれかが連通するように、制御装置50によって制御される。
流入口25aは、第2湯水配管20fを介して第1四方弁24の第2流出口24dに接続されている。第1流出口25bは、第3湯水配管20hおよび温水導入配管20pを介して風呂熱交換器30における1次側流路の流入側に接続されている。第2流出口25cは、第5湯水配管20jを介して貯湯タンク21の中間部流入口21gに接続されている。第3流出口25dは、第4湯水配管20iおよび第2送湯配管20mを介して貯湯タンク21の上部流入出口21eに接続されている。
一般給湯混合弁26は、例えば三方弁であり、第1流入口26a、第2流入口26bおよび流出口26cを有している。一般給湯混合弁26は、第1流入口26aに流入する高温の湯と、第2流入口26bに流入する水との混合比を調整し、所望の給湯温度の湯水を流出口26cから流出させる。一般給湯混合弁26において、第1流入口26aおよび第2流入口26bのそれぞれの弁の開度は、制御装置50によって制御される。
第1流入口26aは、給湯配管20nおよび第2送湯配管20mを介して貯湯タンク21の上部流入出口21eに接続されている。第2流入口26bは、第2三方弁28の流出口28cに接続され、第2三方弁28を介して給水端20aに接続されている。流出口26cは、一般給湯配管20rを介して給湯端20bに接続されている。
風呂給湯混合弁27は、例えば三方弁であり、第1流入口27a、第2流入口27bおよび流出口27cを有している。風呂給湯混合弁27は、第1流入口27aに流入する高温の湯と、第2流入口27bに流入する水との混合比を調整し、所望の湯張り温度の湯水を流出口27cから流出させる。風呂給湯混合弁27において、第1流入口27aおよび第2流入口27bのそれぞれの弁の開度は、制御装置50によって制御される。
第1流入口27aは、給湯配管20nおよび第2送湯配管20mを介して貯湯タンク21の上部流入出口21eに接続されている。第2流入口27bは、第2三方弁28の流出口28cに接続され、第2三方弁28を介して給水端20aに接続されている。流出口27cは、湯張り配管20uを介して湯張り開閉弁29に接続されている。
第2三方弁28は、第1流入口28a、第2流入口28bおよび流出口28cを有している。第2三方弁28は、第1流入口28aおよび流出口28c、または、第2流入口28bおよび流出口28cのいずれかが連通するように、制御装置50によって制御される。
第1流入口28aは、給水配管20cを介して給水端20aに接続されている。第2流入口28bは、中温水配管20sを介して貯湯タンク21の中間部流入出口21fに接続されている。流出口28cは、一般給湯混合弁26の第2流入口26bと、風呂給湯混合弁27の第2流入口27bとに接続されている。
湯張り開閉弁29は、浴槽ユニット40に設けられた浴槽41に湯張りする際の流路を開閉するために設けられている。湯張り開閉弁29は、制御装置50によって制御される。湯張り開閉弁29の流入側は、湯張り配管20uを介して風呂給湯混合弁27の流出口27cに接続されている。湯張り開閉弁29の流出側は、浴槽往き配管20vを介して浴槽41に接続されている。
風呂熱交換器30は、1次側流路に接続された温水導入配管20pから流入する湯水と、2次側流路に接続された浴槽戻り配管20wから流入する浴槽水との間で熱交換を行う。風呂熱交換器30として、例えば、スパイラル式熱交換器などの管型、あるいはプレート熱交換器などの板型の熱交換器が用いられる。
風呂熱交換器30において、1次側流路の流入側は、第1送湯配管20kおよび温水導入配管20pを介して貯湯タンク21の上部流出口21dに接続されている。また、1次側流路の流出側は、第1温水導出配管20qを介して第1三方弁22の第2流入口22bに接続されている。
2次側流路の流入側は、浴槽戻り配管20wを介して浴槽ユニット40の浴槽循環ポンプ42に接続されている。2次側流路の流出側は、浴槽往き配管20vを介して浴槽41に接続されている。
また、貯湯ユニット20は、貯湯温度センサ65、浴槽往き温度センサ66および浴槽温度センサ67を備えている。貯湯温度センサ65は、貯湯タンク21の表面の高さ方向に複数設置された温度センサで構成されている。それぞれの貯湯温度センサ65は、設置された高さに存在する、貯湯タンク21内に貯留された湯水の温度を検出する。すなわち、貯湯温度センサ65は、貯湯タンク21における上下方向の湯水の温度分布を検出する。
浴槽往き温度センサ66は、浴槽往き配管20vに取り付けられている。浴槽往き温度センサ66は、浴槽41に流入する浴槽水の温度を検出する。浴槽温度センサ67は、浴槽戻り配管20wに取り付けられている。浴槽温度センサ67は、浴槽41から流出し、風呂熱交換器30に流入する浴槽水の温度を検出する。
(浴槽ユニット40)
浴槽ユニット40は、浴槽41および浴槽循環ポンプ42を備えている。浴槽ユニット40において、浴槽41、浴槽循環ポンプ42および貯湯ユニット20の風呂熱交換器30が各配管で接続されることにより、浴槽循環回路が形成される。
浴槽41は、リモコン60に対する操作等により設定された40℃程度の温度の湯を貯めることができる。浴槽41には、浴槽往き配管20vおよび浴槽戻り配管20wが接続されている。また、浴槽41の底部には、貯めた湯を外部に排出するための排水栓41aが設けられている。
浴槽循環ポンプ42は、図示しないモータによって駆動され、浴槽41から流出した風呂水を送出し、浴槽戻り配管20wを介して風呂熱交換器30の2次側流路に供給する。浴槽循環ポンプ42の駆動は、制御装置50によって制御される。
(制御装置50)
制御装置50は、給湯装置1に設けられた各部を制御する。特に、本実施の形態1において、制御装置50は、湯水の沸き上げ温度に応じて後述する殺菌運転を実施する時期を設定する運転計画を作成し、作成した運転計画に基づいて殺菌運転を実施するように、各部を制御する。
図2は、図1の制御装置50の構成の一例を示す機能ブロック図である。図2に示すように、制御装置50は、統轄部51、運転計画作成部52、沸き上げ制御部53および記憶部54を有している。制御装置50は、マイクロコンピュータなどの演算装置上でソフトウェアを実行することにより各種機能が実現され、もしくは各種機能を実現する回路デバイスなどのハードウェア等で構成されている。
統轄部51は、制御装置50の各部を制御するとともに、運転を決定するために必要な各種の比較および判断を行う。本実施の形態1において、統轄部51は、記憶部54に記憶された現在の設定沸き上げ温度と閾値である50℃とを比較し、設定沸き上げ温度が50℃より大きいか否かを判断する。また、統轄部51は、沸き上げ運転を行った際の沸き上げ温度の変更の有無を判断する。さらに、統轄部51は、運転計画作成部52で作成された運転計画に基づき、実施する運転を決定し、沸き上げ制御部53に対して運転の指示を行う。なお、詳細は後述するが、閾値としての50℃は、湯水中のレジオネラが死滅するか否かの境界値である。
運転計画作成部52は、統轄部51による比較および判断に基づき、第1の運転計画または第2の運転計画を作成する。作成された第1の運転計画または第2の運転計画は、記憶部54に記憶されるとともに、統轄部51に送信される。
第1の運転計画は、ある時点で殺菌運転が実施されてから次の殺菌運転の実施までの期間が比較的長くなるように、殺菌運転および沸き上げ運転の運転時期が設定された運転計画である。第2の運転計画は、ある時点で殺菌運転が実施されてから次の殺菌運転の実施までの期間が比較的短くなるように、殺菌運転および沸き上げ運転の運転時期が設定された運転計画である。なお、以下の説明において、第1の運転計画および第2の運転計画を特に区別する必要がない場合には、単に「運転計画」と称して説明する。
沸き上げ制御部53は、作成された運転計画に基づく統轄部51からの指示により、殺菌運転または沸き上げ運転を行うように、給湯装置1の各部を制御する。例えば、沸き上げ制御部53は、統轄部51からの指示に基づき、当日の深夜時間帯に殺菌運転または沸き上げ運転を実施するように、給湯装置1の各部を制御する。また、沸き上げ制御部53は、沸き上げ運転時の設定沸き上げ温度が変更された場合に、変更された設定沸き上げ温度で沸き上げ運転が行われるように、沸き上げ設定を制御する。
記憶部54は、制御装置50の各部で用いられる各種の値を記憶する。具体的には、記憶部54は、沸き上げ運転時に設定される設定沸き上げ温度、および、運転計画作成部52で作成された運転計画等を記憶する。また、記憶部54は、統轄部51で比較および判断を行う際に用いられる閾値として50℃を示す情報を記憶する。
図3は、図2の制御装置50の構成の一例を示すハードウェア構成図である。制御装置50の各種機能がハードウェアで実行される場合、図2の制御装置50は、図3に示すように、処理回路71で構成される。図2の統轄部51、運転計画作成部52、沸き上げ制御部53および記憶部54の各機能は、処理回路71により実現される。
各機能がハードウェアで実行される場合、処理回路71は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。統轄部51、運転計画作成部52、沸き上げ制御部53および記憶部54の各部の機能それぞれを処理回路71で実現してもよいし、各部の機能を1つの処理回路71で実現してもよい。
図4は、図2の制御装置50の構成の他の例を示すハードウェア構成図である。制御装置50の各種機能がソフトウェアで実行される場合、図2の制御装置50は、図4に示すように、プロセッサ72およびメモリ73で構成される。統轄部51、運転計画作成部52、沸き上げ制御部53および記憶部54の各機能は、プロセッサ72およびメモリ73により実現される。
各機能がソフトウェアで実行される場合、統轄部51、運転計画作成部52、沸き上げ制御部53および記憶部54の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ73に格納される。プロセッサ72は、メモリ73に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。
メモリ73として、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable and Programmable ROM)およびEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ等が用いられる。また、メモリ73として、例えば、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、CD(Compact Disc)、MD(Mini Disc)およびDVD(Digital Versatile Disc)等の着脱可能な記録媒体が用いられてもよい。
(リモコン60)
図1のリモコン60は、ユーザにより操作され、給湯温度の設定、ならびに浴槽41に出湯する湯水の温度および量の設定等を行う。リモコン60は、通信を行う図示しない通信手段を備え、設定された各種の情報等の送受信を制御装置50との間で行う。
また、リモコン60は、表示装置または音声出力装置等の図示しない報知手段を備え、報知手段を用いて給湯設定温度等の各種の情報をユーザに対して報知することができる。特に、本実施の形態1において、報知手段が表示装置である場合に、リモコン60は、表示装置を用いて、設定された運転計画を表示することができる。
[給湯装置1の動作]
次に、上記構成を有する給湯装置1の動作について説明する。給湯装置1では、沸き上げ運転および給湯運転などの種々の運転が行われるが、ここでは、本実施の形態1に特に関連のある沸き上げ運転および殺菌運転について説明する。
(沸き上げ運転)
給湯装置1による沸き上げ運転について説明する。本実施の形態1における沸き上げ運転は、ヒートポンプによって水を低温に沸き上げ、沸き上げられた湯水を貯湯タンク21に貯留する運転である。沸き上げ運転は、主に、深夜電力時間帯などの予め設定された時間帯に開始され、深夜電力時間帯が終了する直前に沸き上げが完了するように実施される。なお、「低温」とは、設定温度未満の比較的低い温度を示し、例えば、60℃以下である。
沸き上げ運転において、貯湯タンク21の貯湯温度である沸き上げ温度は、例えば、リモコン60に対するユーザの操作等により設定された給湯設定温度に応じて決定される。リモコン60は、設定された給湯設定温度を制御装置50に送信する。
制御装置50は、リモコン60から給湯設定温度を受信すると、給湯設定温度と過去の使用湯量履歴とに基づいて沸き上げ温度を算出し、記憶部54に記憶する。そして、沸き上げ運転開始時間となった場合に、沸き上げ制御部53は、統轄部51の指示により、出湯温度センサ62によって検出される凝縮器12の沸き上げ温度が設定沸き上げ温度となるように、送水ポンプ23の回転数を制御する。これにより、沸き上げ運転が開始される。
ヒートポンプユニット10では、低温低圧の冷媒が圧縮機11によって圧縮され、高温高圧のガス冷媒となって吐出される。圧縮機11から吐出された高温高圧のガス冷媒は、凝縮器12に流入し、沸き上げ回路を流れる湯水と熱交換して放熱しながら凝縮し、高圧の液冷媒となって凝縮器12から流出する。
凝縮器12から流出した高圧の液冷媒は、膨張弁13によって減圧されて低温低圧の気液二相冷媒となる。低温低圧の気液二相冷媒は、蒸発器14に流入し、室外ファン15によって取り込まれた室外空気と熱交換して吸熱および蒸発し、低圧のガス冷媒となって圧縮機11へ吸入される。
一方、貯湯ユニット20において、沸き上げ制御部53は、第1三方弁22の第1流入口22aと流出口22cとが連通するように、第1三方弁22を制御する。また、沸き上げ制御部53は、第1四方弁24の第2流入口24bと第2流出口24dとが連通するように、第1四方弁24を制御する。さらに、沸き上げ制御部53は、第2四方弁25の流入口25aと第3流出口25dとが連通するように、第2四方弁25を制御する。そして、沸き上げ制御部53は、送水ポンプ23を駆動する。
これにより、貯湯タンク21の下部に存在する低温水は、下部流出口21bから流出し、第1三方弁22を介して送水ポンプ23の吸入側に吸入される。送水ポンプ23に吸入された低温水は、加圧されて送水される。送水ポンプ23から送水された低温水は、入水配管3を介してヒートポンプユニット10の凝縮器12に流入する。
凝縮器12に流入した低温水は、冷媒側流路を流れる冷媒と熱交換して湯水となり、凝縮器12から流出する。凝縮器12から流出した湯は、出湯配管2、第2湯水配管20f、第4湯水配管20iおよび第2送湯配管20mを介して貯湯タンク21の上部に流入する。
このように沸き上げ運転が行われることにより、ヒートポンプユニット10に流入する湯水の入水温度は、制御装置50の統轄部51によって設定される設定沸き上げ温度まで沸き上げられる。そして、貯湯タンク21では、上部に高温水が貯留され、最下部に低温水が貯留される。この場合、上部と最下部との間には、温度境界層が形成される。沸き上げ運転が進行すると、沸き上げ量が増加することによって高温水の領域が大きくなり、温度境界層が下方へ移動する。
温度境界層が下方へ移動すると、ヒートポンプユニット10への湯水の入水温度は、次第に上昇する。このとき、ヒートポンプユニット10への高温入水を防止するため、制御装置50は、入水温度センサ61で検出される湯水の入水温度が予め設定された入水温度閾値以上となった場合に、沸き上げを終了するように、各部を制御する。
また、沸き上げ運転中に設定沸き上げ温度が変更された場合、出湯温度センサ62で検出される湯水の沸き上げ温度が設定沸き上げ温度となるように、沸き上げ制御部53は、送水ポンプ23の回転数を制御する。
なお、沸き上げ運転の実施は、上述した深夜時間帯のみに限られず、例えば、夕方または夜間などの給湯使用量が多く、貯湯タンク21の残湯量が少なくなった場合に実施されてもよい。
(殺菌運転)
給湯装置1による殺菌運転について説明する。殺菌運転は、ヒートポンプによって水を高温に沸き上げて殺菌し、沸き上げられた湯水を貯湯タンク21に貯留する運転である。殺菌運転は、主に、深夜電力時間帯などの予め設定された時間帯に開始され、深夜電力時間帯が終了する直前に沸き上げが完了するように実施される。なお、「高温」とは、「低温」よりも高い設定温度以上の温度を示す。この設定温度は、レジオネラを殺菌することができる殺菌温度以上の温度を示す。具体的には、「高温」は、65℃を超える温度である。
殺菌運転におけるヒートポンプユニット10および貯湯ユニット20の動作は、沸き上げ運転と同様である。すなわち、殺菌運転が行われることにより、ヒートポンプユニット10に流入する湯水は、制御装置50の統轄部51によって算出される設定沸き上げ温度に沸き上げられる。そして、沸き上げられた湯水は、貯湯タンク21に貯留される。このときの設定沸き上げ温度は、沸き上げ運転時よりも高く、例えば65℃程度である。
(レジオネラについて)
殺菌運転による殺菌対象であるレジオネラについて説明する。図5は、水温とレジオネラの状態との関係について説明するための概略図である。図5に示すように、貯湯タンク21内の湯水に含まれるレジオネラは、水温によって状態が変化する性質がある。例えば、レジオネラの状態は、水温が20℃以下の場合に「冬眠状態」、20℃~45℃の場合に「活動的(繁殖)」、45℃~50℃の場合に「不活性(繁殖しない)」、50℃~60℃の場合に「やがて死滅」、ならびに、60℃以上の場合に「死滅」となる。
このような性質から、レジオネラは、給湯装置1において沸き上げられる湯水の温度によっては、沸き上げ運転時に死滅せず、活動的な状態で貯湯タンク21に留まり続ける可能性がある。
図6は、時間に対する湯水中のレジオネラの状態と水温との関係の一例について説明するためのグラフである。図6において、横軸は経過時間を示し、縦軸は湯水100mLあたりのCFU(Colony Forming Unit:コロニー形成単位)および水温を示す。なお、以下では、「湯水100mLあたりのCFU」を、単に「CFU」と称して説明する。図6には、レジオネラについてのCFUの基準値が示されている。また、図6に示す例は、湯水の沸き上げ温度の違いによってレジオネラの状態がどのように異なるのかを示す一例であり、図に示される経過時間、CFUおよび水温等の各数値は、実測値ではない。
図6に示すように、沸き上げ温度が45℃~50℃程度の場合、貯湯タンク21内の沸き上げ直後(経過時間が0時間)の湯水中のレジオネラは「不活性(繁殖しない)」状態であり、死滅せずに繁殖活動が停止した状態となっている。このとき、CFUは、水道水と略同等であり、基準値である10[CFU/100mL]を下回っている。
その後、時間が経過するとともに湯水の温度が低下し、沸き上げ完了から12時間が経過した時点において、水温が45℃以下となる。このとき、レジオネラは「活動的(繁殖)」状態となり、繁殖活動を開始する。そして、時間が経過するに従って水温が徐々に低下するとともに、レジオネラは繁殖活動を継続し、沸き上げ完了から72時間が経過した時点において、CFUが基準値を超える。
一方、沸き上げ温度が50℃~60℃程度の場合、貯湯タンク21内の沸き上げ直後(経過時間が0時間)の湯水中のレジオネラは「やがて死滅」状態であり、徐々に死滅して減少する。そのため、CFUは、徐々に減少する。
その後、時間が経過するとともに湯水の温度が低下し、沸き上げ完了から12時間が経過した時点において、水温が50℃以下となる。このとき、レジオネラは「不活性(繁殖しない)」状態となり、死滅せずに繁殖活動を停止した状態となる。この場合、CFUは、水道水と略同等であり、基準値を下回った一定の値が維持される。
また、湯水の温度がさらに低下し、沸き上げ完了から42時間程度が経過した時点において、水温が45℃以下となると、レジオネラは「活動的(繁殖)」状態となり、繁殖活動を開始する。そして、時間が経過するに従って水温が徐々に低下するとともに、レジオネラは繁殖活動を継続し、沸き上げ完了から126時間程度が経過した時点において、CFUが基準値を超える。
このように、貯湯タンク21内の湯水に含まれるレジオネラは、時間が経過するとともに増殖する。そのため、高温で湯水を沸き上げる殺菌運転を定期的に実施して衛生性を保つ必要がある。
一方、CFUが基準値を超えるまでに要する経過時間は、湯水の沸き上げ温度に応じて異なる。具体的には、沸き上げ温度が高いほど、CFUが基準値を超えるまでに要する経過時間が長くなる。
例えば、沸き上げ温度が50℃~60℃と比較的高い場合、沸き上げ直後の湯水中のレジオネラは「やがて死滅」状態であり、湯水の温度が45℃以下となって「活動的」状態となるまでの時間が比較的長い。また、沸き上げ温度が45℃~50℃と比較的低い場合、沸き上げ直後の湯水中のレジオネラは「不活性(繁殖しない)」状態であり、繁殖しないものの死滅せず、湯水の温度が45℃以下となって「活動的」状態となるまでの時間が比較的短い。
このように、殺菌運転が実施されてから、湯水の温度が殺菌運転を必要とする温度となるまでの期間は、沸き上げ温度によって異なる。
また、仮に、沸き上げ温度によらず、殺菌運転を定期的に実施する場合、沸き上げ運転時の沸き上げ温度と、沸き上げ運転からの経過時間とによっては、定期的に実施される殺菌運転のタイミングが不適切である場合も考えられる。例えば、図6に示す例において、湯水が50℃~60℃程度で沸き上げられた場合、湯水に含まれるレジオネラは、沸き上げ完了から126時間程度経過するまで基準値を下回っているため、この間は殺菌運転が不要である。したがって、この経過時間内に殺菌運転を行うと、効率が低く、省エネ性が悪化する可能性がある。
そこで、本実施の形態1に係る給湯装置1の制御装置50は、湯水の沸き上げ温度に応じて、湯水中のレジオネラが基準値よりも繁殖する前に殺菌運転が行われるように、殺菌運転を実施する時期を設定する運転計画を作成する。そして、制御装置50は、作成した運転計画に基づいて殺菌運転を実施する。
(運転計画作成処理)
運転計画を作成する運転計画作成処理について説明する。運転計画作成処理は、殺菌運転が実施された後に行われ、次の殺菌運転の実施時期を決定するための処理である。
本実施の形態1では、運転計画作成処理により、殺菌運転が行われてから、湯水中のレジオネラのCFUが基準値を超えるまでの期間が比較的長い場合に、第1の運転計画が作成される。また、殺菌運転が行われてから、湯水中のレジオネラのCFUが基準値を超えるまでの期間が比較的短い場合に、第2の運転計画が作成される。第1の運転計画および第2の運転計画は、ある時点で殺菌運転が行われた後、湯水中のレジオネラのCFUが基準値を超える前に次の殺菌運転が実施されるように作成される。
殺菌運転および沸き上げ運転は、通常、1日毎にその日の深夜時間帯に行われる。そのため、運転計画には、殺菌運転が実施されてから、次の殺菌運転が実施されるまでの間の1日毎の運転が設定される。
ここで、湯水中のレジオネラのCFUが基準値を超えるまでの期間は、貯湯タンク21内の湯水の温度によって異なり、貯湯タンク21内の湯水の温度は、毎日実施される沸き上げ運転の設定沸き上げ温度によって異なる。
したがって、次の殺菌運転の実施時期は、沸き上げ運転時の設定沸き上げ温度に基づき決定することができる。具体的には、制御装置50の統轄部51は、設定沸き上げ温度に基づき、湯水中のレジオネラのCFUが基準値を超えるまでの時間を算出する。そして、運転計画作成部52は、統轄部51によって算出された時間に到達する前に次の殺菌運転が実施されるように、運転計画を作成する。
図7は、本実施の形態1に係る給湯装置1による運転計画作成処理の流れの一例を示すフローチャートである。ステップS1において、制御装置50の統轄部51は、記憶部54に記憶された現在の設定沸き上げ温度が閾値である50℃より大きいか否かを判断する。設定沸き上げ温度が50℃より大きい場合(ステップS1:Yes)、運転計画作成部52は、ステップS2において、次に殺菌運転を実施するまでの期間が比較的長い第1の期間となるように、第1の運転計画を作成する。第1の期間は、50℃よりも高い設定沸き上げ温度で湯水が沸き上げられた場合において、湯水中のレジオネラのCFUが基準値を超えるまでの期間よりも短い期間である。
一方、設定沸き上げ温度が50℃以下である場合(ステップS1:No)、運転計画作成部52は、ステップS3において、次に殺菌運転を実施するまでの期間が比較的短い第2の期間となるように、第2の運転計画を作成する。第2の期間は、50℃以下の設定沸き上げ温度で湯水が沸き上げられた場合において、湯水中のレジオネラのCFUが基準値を超えるまでの期間よりも短い期間であり、第1の期間よりも短い期間である。そして、ステップS4において、運転計画作成部52は、作成した第1の運転計画または第2の運転計画を統轄部51に送信する。
(運転処理)
図8は、本実施の形態1に係る給湯装置1による運転処理の流れの一例を示すフローチャートである。運転処理は、図7の運転計画作成処理で作成された運転計画に基づき、殺菌運転または沸き上げ運転を実施する処理である。運転処理は、例えば毎朝7時などの予め決められた時刻に定期的に行われる。
ステップS11において、統轄部51は、運転計画が作成済みであるか否かを判断する。運転計画が作成済みである場合(ステップS11:Yes)には、処理がステップS12に移行する。一方、運転計画が未作成である場合(ステップS11:No)、統轄部51は、ステップS17において、図7に示す運転計画作成処理を行い、運転計画を作成する。
次に、ステップS12において、統轄部51は、設定沸き上げ温度が、直前の沸き上げ運転時から変更されたか否かを判断する。設定沸き上げ温度が変更されていないと判断した場合(ステップS12:No)には、処理がステップS13に移行する。
ステップS13において、統轄部51は、運転計画に基づき、当日に殺菌運転を行うか否かを判断する。当日に殺菌運転を行う場合(ステップS13:Yes)、統轄部51は、沸き上げ制御部53に対して殺菌運転を行うための指示を送る。沸き上げ制御部53は、ステップS14において、当日の深夜時間帯に殺菌運転を実施するように、給湯装置1の各部を制御する。そして、運転計画作成部52は、ステップS15において、図7に示す運転計画作成処理を行い、運転計画を作成する。
また、ステップS13において、当日に沸き上げ運転を行う場合(ステップS13:No)、統轄部51は、沸き上げ制御部53に対して沸き上げ運転を行うための指示を送る。沸き上げ制御部53は、ステップS16において、当日の深夜時間帯に沸き上げ運転を実施するように、給湯装置1の各部を制御する。
一方、ステップS12において設定沸き上げ温度が変更されていると判断した場合(ステップS12:Yes)、統轄部51は、ステップS17において、図7に示す運転計画作成処理を行い、運転計画を作成する。
以上のように、本実施の形態1に係る給湯装置1では、沸き上げ運転の際の設定沸き上げ温度に基づき、湯水中のレジオネラが基準値を超えて繁殖する前に殺菌運転が行われるように、運転計画が作成される。運転計画は、殺菌運転が行われた後に作成され、次の殺菌運転を行う時期が決定される。これにより、適切なタイミングで殺菌運転が実施されるため、効率的に殺菌運転を実施し、省エネルギー性を向上させることができる。
給湯装置1においては、設定沸き上げ温度が閾値である50℃を超える場合に、次の殺菌運転までの時間が比較的長い第1の期間となるように運転計画が作成される。また、設定沸き上げ温度が閾値である50℃以下である場合に、次の殺菌運転までの期間が比較的短く、第1の期間よりも短い第2の期間となるように運転計画が作成される。このとき、閾値は、レジオネラが死滅する温度に設定される。これにより、設定沸き上げ温度に応じてレジオネラが繁殖する前に、殺菌運転を適切に行うことができる。
給湯装置1においては、設定沸き上げ温度が変更された場合に、運転計画が再作成される。これにより、設定沸き上げ温度が変更された場合でも、変更された設定沸き上げ温度に応じて殺菌運転を適切に行うことができる。
実施の形態2.
次に、本実施の形態2について説明する。本実施の形態2は、特定の期間内において殺菌運転を周期的に実施するための運転計画が作成される点で、実施の形態1と相違する。なお、以下の説明において、実施の形態1と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
本実施の形態2に係る給湯装置1は、実施の形態1に係る給湯装置1と同様の構成を有しているため、ここでは給湯装置1の構成についての説明を省略する。
[運転計画作成処理]
本実施の形態2における運転計画作成処理について説明する。ある特定の期間において、給湯負荷が一定であり、沸き上げ運転時の設定沸き上げ温度が変化しないと仮定した場合、殺菌運転が行われてから次の殺菌運転を行うまでの期間は、常に一定とすることができる。すなわち、この場合には、殺菌運転が周期的に行われるように、殺菌運転および沸き上げ運転を設定することができる。
そこで、本実施の形態2では、殺菌運転が周期的に行われるように運転計画を作成する。この場合の運転計画は、沸き上げ運転時の設定沸き上げ温度が高いほど、殺菌運転の周期が長くなるように作成される。
図9は、本実施の形態2における運転計画について説明するための概略図である。図9は、殺菌運転が行われてからの経過日数毎に設定された、第1の運転計画および第2の運転計画における運転の一例を示す。この例では、最初に殺菌運転が行われた時点を経過日数「0」として、10日目までの運転計画が示されている。また、図9における記号「●」は、当日の運転が殺菌運転であることを示し、記号「△」は、当日の運転が沸き上げ運転であることを示す。
殺菌運転は、設定沸き上げ温度に応じて周期が異なるように設定される。具体的には、設定沸き上げ温度が比較的高い場合には、湯水中のレジオネラのCFUが基準値を超えるまでの期間が比較的長い。そのため、殺菌運転の周期は、比較的長い第1の期間と同等の長さに設定される。設定沸き上げ温度が比較的低い場合には、湯水中のレジオネラのCFUが基準値を超えるまでの期間が比較的短い。そのため、殺菌運転の周期は、比較的短い第2の期間と同等の長さに設定される。
例えば、図9に示す例において、設定沸き上げ温度が50℃~60℃と比較的高い場合、第1の運転計画は、5日周期で殺菌運転が行われるように作成される。一方、設定沸き上げ温度が45℃~50℃と比較的低い場合、第2の運転計画は、3日周期で殺菌運転が行われるように作成される。このときの殺菌運転の周期は、実施の形態1と同様に、沸き上げ運転時の設定沸き上げ温度に基づき決定することができる。
このように、本実施の形態2では、周期的に殺菌運転を行うように運転計画が作成される。これにより、殺菌運転が行われる毎に、次の殺菌運転の実施時期を決定する必要がなく、運転計画の作成処理に係る負担が軽減される。
なお、実施の形態2における運転処理については、実施の形態1と同様であり、図8のフローチャートに示す処理が行われる。すなわち、本実施の形態2では、作成された運転計画に従って殺菌運転または沸き上げ運転が実施される。運転計画により設定された期間内において、設定沸き上げ温度が変更された場合には、設定沸き上げ温度の変更が確認された時点で、運転計画が再作成される。そして、再作成された運転計画に従って、殺菌運転または沸き上げ運転が実施される。
以上のように、本実施の形態2に係る給湯装置1では、沸き上げ運転の際の設定沸き上げ温度に基づき運転計画が作成される。運転計画は、一定期間内に殺菌運転が周期的に行われるように作成される。これにより、適切なタイミングで殺菌運転が実施されるため、実施の形態1と同様に、効率的に殺菌運転を実施し、省エネルギー性を向上させることができる。また、この場合には、殺菌運転が周期的に行われるように、運転計画が作成されるため、殺菌運転が行われる毎に、次の殺菌運転の実施時期を決定する必要がないため、運転計画の作成処理に係る負担を軽減することができる。
以上、実施の形態1および2について説明したが、本開示は、上述した実施の形態1および2に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。実施の形態1では、殺菌運転が行われた後の次の殺菌運転までの期間の運転計画が作成され、実施の形態2では、一定期間内に殺菌運転が周期的に行われるように運転計画が作成されるが、これはこの例に限られない。例えば、設定沸き上げ温度が高いほど、次の殺菌運転の実施時期が遅くなるように、設定沸き上げ温度毎に運転計画が作成されてもよい。
1 給湯装置、2 出湯配管、3 入水配管、10 ヒートポンプユニット、11 圧縮機、12 凝縮器、13 膨張弁、14 蒸発器、15 室外ファン、20 貯湯ユニット、20a 給水端、20b 給湯端、20c 給水配管、20d タンク給水配管、20e 第1湯水配管、20f 第2湯水配管、20g 水配管、20h 第3湯水配管、20i 第4湯水配管、20j 第5湯水配管、20k 第1送湯配管、20m 第2送湯配管、20n 給湯配管、20p 温水導入配管、20q 第1温水導出配管、20r 一般給湯配管、20s 中温水配管、20u 湯張り配管、20v 浴槽往き配管、20w 浴槽戻り配管、21 貯湯タンク、21a 給水口、21b 下部流出口、21c 下部流入口、21d 上部流出口、21e 上部流入出口、21f 中間部流入出口、21g 中間部流入口、22 第1三方弁、22a 第1流入口、22b 第2流入口、22c 流出口、23 送水ポンプ、24 第1四方弁、24a 第1流入口、24b 第2流入口、24c 第1流出口、24d 第2流出口、25 第2四方弁、25a 流入口、25b 第1流出口、25c 第2流出口、25d 第3流出口、26 一般給湯混合弁、26a 第1流入口、26b 第2流入口、26c 流出口、27 風呂給湯混合弁、27a 第1流入口、27b 第2流入口、27c 流出口、28 第2三方弁、28a 第1流入口、28b 第2流入口、28c 流出口、29 湯張り開閉弁、30 風呂熱交換器、40 浴槽ユニット、41 浴槽、41a 排水栓、42 浴槽循環ポンプ、50 制御装置、51 統轄部、52 運転計画作成部、53 沸き上げ制御部、54 記憶部、60 リモートコントローラ、61 入水温度センサ、62 出湯温度センサ、63 蒸発器温度センサ、64 外気温度センサ、65 貯湯温度センサ、66 浴槽往き温度センサ、67 浴槽温度センサ、71 処理回路、72 プロセッサ、73 メモリ。

Claims (7)

  1. 流入する湯水を加熱する加熱装置と、
    湯水を貯留する貯湯タンクと、
    前記加熱装置を制御し、設定温度以上の温度で前記貯湯タンク内の湯水を沸き上げる殺菌運転、および、前記設定温度未満の温度である設定沸き上げ温度で前記貯湯タンク内の湯水を沸き上げる沸き上げ運転を行わせる制御装置と
    を備え、
    前記制御装置は、
    湯水中のレジオネラが基準値を超えて繁殖する前に前記殺菌運転を行う時期を示す運転計画を
    前記設定沸き上げ温度が閾値を超える場合には、次の前記殺菌運転までの期間が、湯水中のレジオネラが基準値を超えて繁殖するまでよりも短い第1の期間となるように作成し、
    前記設定沸き上げ温度が前記閾値以下である場合には、次の前記殺菌運転までの期間が、湯水中のレジオネラが基準値を超えて繁殖するまでよりも短く、前記第1の期間よりも短い第2の期間となるように作成して、
    前記運転計画に基づき前記殺菌運転を行う
    給湯装置。
  2. 前記制御装置は、
    前記殺菌運転が行われた後に前記運転計画を作成し、次の前記殺菌運転を行う時期を決定する
    請求項1に記載の給湯装置。
  3. 前記制御装置は、
    一定期間内に前記殺菌運転を周期的に行うように、前記運転計画を作成する
    請求項1に記載の給湯装置。
  4. 前記制御装置は、
    前記閾値をレジオネラが死滅する温度に設定する
    請求項1~3のいずれか一項に記載の給湯装置。
  5. 前記制御装置は、
    前記設定沸き上げ温度が変更された場合に、前記運転計画を再作成する
    請求項1~のいずれか一項に記載の給湯装置。
  6. 給湯温度を含む設定を行うリモートコントローラをさらに備え、
    前記リモートコントローラは、
    前記運転計画を表示する表示装置を有する
    請求項1~のいずれか一項に記載の給湯装置。
  7. 貯湯タンクに貯留された湯水を沸き上げる沸き上げ運転の際の、設定温度未満の温度である設定沸き上げ温度に基づき、前記設定温度以上の温度で前記貯湯タンク内の湯水を沸き上げる殺菌運転を行う時期を示す運転計画を、前記設定沸き上げ温度が閾値を超える場合には、次の前記殺菌運転までの期間が、湯水中のレジオネラが基準値を超えて繁殖するまでよりも短い第1の期間となるように作成し、前記設定沸き上げ温度が前記閾値以下である場合には、次の前記殺菌運転までの期間が、湯水中のレジオネラが基準値を超えて繁殖するまでよりも短く、前記第1の期間よりも短い第2の期間となるように作成して、
    湯水中のレジオネラが基準値を超えて繁殖する前に前記殺菌運転が行われるように、前記運転計画に基づき前記殺菌運転を行う
    運転制御方法。
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